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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】無線通信モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01Q 23/00 20060101AFI20220817BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20220817BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q13/08
H01Q1/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022501693
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(86)【国際出願番号】 JP2021000677
(87)【国際公開番号】W WO2021166490
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2020023924
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 理
(72)【発明者】
【氏名】植木 紀行
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-245931(JP,A)
【文献】国際公開第2011/086723(WO,A1)
【文献】特開2008-085639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/145747(US,A1)
【文献】特開2002-171124(JP,A)
【文献】特開2008-079009(JP,A)
【文献】特開2006-222540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
H01Q 13/08
H01Q 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と第2主面とを有する絶縁性の主体を有し、前記第2主面側に導体パターンが形成された回路基板と、
前記第1主面側に、前記第1主面から離れて設けられた平板状の第1放射導体と、
前記第1放射導体の前記回路基板側の面を少なくとも覆う高さで、前記第1主面側に形成された絶縁性樹脂と、
前記第1放射導体の前記回路基板側の面から前記回路基板側に延びる柱状であり、前記第1放射導体を前記回路基板に実装する複数の接続導体と、
を備え、
前記第1放射導体の厚みは、前記回路基板の前記導体パターンの厚みよりも大き
前記複数の接続導体は、前記第1放射導体の対角に形成されている、
無線通信モジュール。
【請求項2】
前記第2主面に形成されている前記導体パターンは、第2放射導体である、
請求項1に記載の無線通信モジュール。
【請求項3】
前記第1放射導体の全面は、前記絶縁性樹脂に埋まっている、
請求項1または請求項2に記載の無線通信モジュール。
【請求項4】
前記第1放射導体の前記回路基板側と反対側の面は、前記絶縁性樹脂から露出している、
請求項1または請求項2に記載の無線通信モジュール。
【請求項5】
前記第1放射導体の厚みは、前記導体パターンの2倍以上である、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の無線通信モジュール。
【請求項6】
記接続導体と前記第1放射導体とは、板状部材によって一体化されている、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の無線通信モジュール。
【請求項7】
前記接続導体は、前記板状部材を湾曲されることによって実現される、
請求項6に記載の無線通信モジュール。
【請求項8】
前記第1放射導体と前記接続導体との繋がる部分に隣接して、前記板状部材の側面から凹む凹部を備える、
請求項6または請求項7に記載の無線通信モジュール。
【請求項9】
前記第1主面に実装されたインダクタ部品を備え、
前記第1主面に直交する方向に視て、前記第1放射導体は、前記インダクタ部品に重なる位置に開口を有する、
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の無線通信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF無線通信用のアンテナを備える無線通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RF信号(高周波信号)の無線通信を行う無線ICデバイスが記載されている。このような無線ICデバイスでは、無線通信用のアンテナを備える。特許文献1では、アンテナは、モノポールまたはダイポールであり、回路基板に貼り付けられている。
【0003】
無線ICデバイスのような無線通信モジュールは、特許文献1に示すような形状のアンテナを備えるものだけでない。例えば、ある種の無線通信モジュールは、平板状の導体からなる放射板を用いている。
【0004】
このような平板状の放射板は、無線通信モジュールの他の回路素子が実装された回路基板の主面に平行に配置され、当該主面から離間して配置されていることがある。この場合、放射板および回路基板の主面に略直交する方向に延びる接続導体によって、放射板と回路基板とは、接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2007/083574号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように、放射板と回路基板とが離間して配置される態様では、この放射板が配置される側の面を絶縁性樹脂で封止する場合に、放射板の形状が変形する等の不具合を生じることがある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、放射板と回路基板とを離間して配置し、絶縁性樹脂で封止する構造において、放射板に関連する不具合を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の無線通信モジュールは、回路基板、第1放射導体、および、絶縁性樹脂を備える。回路基板は、第1主面と第2主面とを有する絶縁性の主体を有し、第2主面側に導体パターンが形成されている。第1放射導体は、平板状であり、第1主面側に、第1主面から離れて設けられている。絶縁性樹脂は、第1放射導体の回路基板側の面を少なくとも覆う高さで、第1主面側に形成されている。第1放射導体の厚みは、回路基板の導体パターンの厚みよりも大きい。
【0009】
この構成では、第1放射導体の厚みが大きいことによって、絶縁性樹脂で封止されるときに応力が加わっても、変形し難い。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、放射板と回路基板とを離間して配置し、絶縁性樹脂で封止する構造において、放射板に関連する不具合を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の外観斜視図であり、図1(B)は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の構成を示す模式的な側面断面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の分解斜視図である。図2では、絶縁性樹脂50(封止樹脂)の図示は省略している。
図3図3(A)は、回路基板20の第1主面201側の平面図であり、図3(B)は、回路基板20の第2主面202側の平面図である。
図4図4(A)は、第1放射導体31の平面図であり、図4(B)、図4(C)、図4(D)、および、図4(E)は、それぞれ第1放射導体31の側面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の等価回路図である。
図6図6(A)は、第2の実施形態に係る無線通信モジュール10Aの構成を示す斜視図であり、図6(B)は、第2の実施形態に係る無線通信モジュール10Aの平面図である。
図7図7は、第3の実施形態に係る無線通信モジュール10Bの構成を示す模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る無線通信モジュールについて、図を参照して説明する。図1(A)は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の外観斜視図であり、図1(B)は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の構成を示す模式的な側面断面図である。なお、図1(A)では、絶縁性樹脂(封止樹脂)の外形を2点鎖線で記載している。図2は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の分解斜視図である。図2では、絶縁性樹脂(封止樹脂)の図示は省略している。図3(A)は、回路基板20の第1主面201側の平面図であり、図3(B)は、回路基板20の第2主面202側の平面図である。図3(A)は、第1放射導体31を除く部品が実装された状態を示す。図4(A)は、第1放射導体31の平面図であり、図4(B)、図4(C)、図4(D)、および、図4(E)は、それぞれ第1放射導体31の側面図である。図5は、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10の等価回路図である。
【0013】
図1(A)、図1(B)、図2に示すように、無線通信モジュール10は、回路基板20、第1放射導体31、第2放射導体32、インダクタ部品41、IC42、コンデンサ部品43、および、絶縁性樹脂50を備える。
【0014】
(回路基板20および第1放射導体31を除く部品の実装構造)
図1(A)、図1(B)、図2図3(A)、図3(B)に示すように、回路基板20は、第1主面201と第2主面202とを有する平板である。回路基板20は、絶縁性材料(ガラスエポキシ樹脂、BTレジン、低温焼成セラミック等)を主体として形成されている。
【0015】
回路基板20の第1主面201には、ランド導体211、ランド導体212、ランド導体221、ランド導体222、ランド導体231、ランド導体232、および、ランド導体233が形成されている。回路基板20の第2主面202には、第2放射導体32が形成されている。第2放射導体32は、第2主面202の略全面に広がる矩形である。第1主面201の複数のランド導体および第2主面202の第2放射導体32は、例えば、数十μm程度の厚みである。
【0016】
インダクタ部品41は、内部に螺旋形の導体パターンが形成された部品である。例えば、インダクタ部品41は、筐体の両端に外部接続端子を有する。そして、螺旋形の導体パターンの軸方向は、これら外部接続端子を結ぶ方向に略平行である。なお、インダクタ部品41は、この構造に限るものではない。しかしながら、インダクタ部品41がこの構成を備えることによって、螺旋形の軸方向(インダクタ部品41が発生する磁界の軸方向)と、第1放射導体31の平板面とが直交しない。したがって、第1放射導体31がインダクタ部品41の磁界を阻害しにくく、インダクタ部品41の特性の低下は抑制される。インダクタ部品41は、ランド導体221とランド導体222とに実装されている。
【0017】
IC42は、無線通信モジュール10が実行する送信処理または受信処理等を実現する回路を備える。IC42は、ランド導体231とランド導体232とに実装されている。
【0018】
コンデンサ部品43は、ランド導体232とランド導体233とに実装されている。
【0019】
この構成によって、インダクタ部品41、IC42、および、コンデンサ部品43は、回路基板20の第1主面201側に実装されている。そして、この回路基板20を用いることによって、無線通信モジュール10は、図5に示すような回路を実現する。
【0020】
無線通信モジュール10は、IC42からみて、コンデンサ部品43(キャパシタ)、第2放射導体32、インダクタ部品41(インダクタ)、および、第1放射導体31と繋がる電流経路を形成している。インダクタ部品41(インダクタ)およびコンデンサ部品43(キャパシタ)は、IC42を介して閉ループ内に接続されているので、インダクタ部品41(インダクタ)およびコンデンサ部品43(キャパシタ)によって、LC直列共振回路が構成される。
【0021】
この共振回路の共振周波数は、通信周波数帯の周波数に一致するか、通信周波数帯近傍の周波数である。言い換えれば、インダクタ部品41のインダクタンスおよびコンデンサ部品43のキャパシタンスは、無線通信モジュール10が無線通信する高周波信号の周波数と、第1放射導体31および第2放射導体32とともに構成する共振回路の共振周波数とが一致するまたは近接するように設定されている。なお、第1放射導体31と第2放射導体32との間に浮遊容量が形成されるが、この浮遊容量は上記共振周波数においては殆ど影響がない。
【0022】
なお、インダクタ部品41が実装されたランド導体222は、回路基板20を厚み方向に貫通するビア導体241によって、第2放射導体32に接続されている。コンデンサ部品43が実装されたランド導体233は、回路基板20を厚み方向に貫通するビア導体242によって、第2放射導体32に接続されている。ビア導体241が第2放射導体32に接続する位置と、ビア導体242が第2放射導体32に接続する位置は、第2主面202の第2放射導体32における対角の位置にあたる。
【0023】
ランド導体211とランド導体212とは、第1主面201における対角の位置にそれぞれ配置されている。これらは、ビア導体241が第2放射導体32に接続する位置と、ビア導体242が第2放射導体32に接続する位置からなる対角と異なる対角である。
【0024】
ランド導体211は、ランド導体231に接続されている。ランド導体212は、ランド導体221に接続されている。
【0025】
(第1放射導体31の構造および第1放射導体31の回路基板20への実装態様)
図1(A)、図1(B)、図2図4(A)に示すように、第1放射導体31は、平面視して略矩形の平板である。第1放射導体31の厚みは、例えば、数百μmである。なお、第1放射導体31の厚みは、第2放射導体32の厚みよりも大きければよく、2倍以上であることが好ましい。絶縁性樹脂50の誘電体損失が回路基板20よりも大きい場合が大半であるため、この場合、第1放射導体31上の電流密度を下げる効果が得られ、高周波損失が抑制される。
【0026】
第1放射導体31には、接続導体311および接続導体312が接続されている。より具体的には、接続導体311および接続導体312は、第1放射導体31における対角の位置にそれぞれ接続されている。
【0027】
接続導体311および接続導体312は、柱状である。接続導体311および接続導体312は、第1放射導体31の主面(平板面)に対して、直交する方向に延びる形状である。
【0028】
なお、本実施形態では、接続導体311および接続導体312は、第1放射導体31と一体化して形成されている。より具体的には、接続導体311および接続導体312は、第1放射導体31の対角から突出する柱状部を略直角に湾曲させることによって形成される。
【0029】
第1放射導体31は、回路基板20の第1主面201側に配置されている。第1放射導体31は、主面である平板面が、第1主面201に平行になるように配置されている。さらに、第1放射導体31は、平面視において、インダクタ部品41、IC42、および、コンデンサ部品43に重なるように配置されている。なお、第1放射導体31は、平面視において、インダクタ部品41、IC42、および、コンデンサ部品43の全体に完全に重なることが好ましいが、部分的に重なっていてもよい。全体に完全に重なる構成を用いることによって、無線通信モジュール10の平面形状を小さくできるとともに、第1放射導体31から空間へ放射される電磁波の影響をインダクタ部品41、IC42、および、コンデンサ部品43が受けなくすることができ、放射特性の劣化を抑制できる。
【0030】
接続導体311の先端部(第1放射導体31に接続する端部と反対側の端部)は、ランド導体211に実装されている。接続導体312の先端部(第1放射導体31に接続する端部と反対側の端部)は、ランド導体212に実装されている。これにより、第1放射導体31は、接続導体311および接続導体312を介して、物理的に固定され、電気的に接続される。すなわち、第1放射導体31は、回路基板20の第1主面201から離れて設けられている。
【0031】
接続導体311および接続導体312に長さを適宜設定することによって、図1(B)に示すように、第1放射導体31における回路基板20の第1主面201に対向する面は、インダクタ部品41に接触しない。
【0032】
(絶縁性樹脂50の構成)
図1(A)、および、図1(B)に示すように、絶縁性樹脂50は、回路基板20の第1主面201側を覆っている。絶縁性樹脂50は、インダクタ部品41、IC42、コンデンサ部品43、および、第1放射導体31の全体を覆っている。さらに、絶縁性樹脂50は、第1放射導体31における第1主面201側の空間にも充填されている。
【0033】
このような構成によって、回路基板20の第1主面201側は、外部環境から保護される。したがって、例えば、無線通信モジュール10の信頼性は、向上する。
【0034】
絶縁性樹脂50は、例えば、エポキシ樹脂を材料としている。絶縁性樹脂50は、例えば、次に示すように形成される。各部品が実装された回路基板20の第1主面201側を枠で囲った状態(なお、複数の回路基板20を一体化したマルチ基板状態であってもよい)で、流動性の高いエポキシ樹脂を枠内に流し込む。この状態では、エポキシ樹脂に圧力等を加えることで、エポキシ樹脂を固化させる。これにより、絶縁性樹脂50は、内部のの空隙等が抑制され、密な状態の構造となる。
【0035】
この際、圧力は、第1放射導体31における回路基板20の側と反対側から加わる。このため、第1放射導体31には、圧力に起因する応力が加わる。しかしながら、第1放射導体31は、厚みが厚いため、この応力による変形を抑制できる。したがって、第1放射導体31は、無線通信モジュール10としての所望の形状を維持でき、無線通信モジュール10は、所望の通信特性を実現できる。すなわち、無線通信モジュール10は、絶縁性樹脂50を用いることによる第1放射導体31への不具合の発生を抑制し、所望の通信特性を実現できる。
【0036】
また、上述の構成では、接続導体311および接続導体312も太くできる。これにより、上述の圧力および応力がかかっても、第1放射導体31を堅固に支持でき、第1放射導体31と回路基板20との位置関係を維持できる。また、接続導体311および接続導体312と回路基板20との接続状態、言い換えれば、第1放射導体31と回路基板20との接続状態を維持できる。これにより、無線通信モジュール10は、絶縁性樹脂50を用いることによる第1放射導体31への不具合の発生をさらに確実に抑制し、所望の通信特性を実現できる。
【0037】
また、上述の構成では、接続導体311および接続導体312と第1放射導体31とが一体形成されている。これにより、上述の圧力および応力がかかっても、接続導体311および接続導体312と第1放射導体31との接続状態を、より確実に維持できる。これにより、無線通信モジュール10は、絶縁性樹脂50を用いることによる第1放射導体31への不具合の発生をさらに確実に抑制し、所望の通信特性を実現できる。
【0038】
なお、図1(A)、図2図4(A)に示すように、無線通信モジュール10は、第1放射導体31と接続導体311との接続部に凹部321を備える。凹部321は、第1放射導体31が接続導体311に接続する側面から凹む形状である。また、無線通信モジュール10は、第1放射導体31と接続導体312との接続部に凹部322を備える。凹部322は、第1放射導体31が接続導体312に接続する側面から凹む形状である。このような凹部321および凹部322を備えることによって、絶縁性樹脂50は、第1放射導体31の回路基板20側に流れ込み易くなる。したがって、絶縁性樹脂50が第1放射導体31と回路基板20との間に充填される構造を、より確実に実現できる。また、凹部321を備えることによって、接続導体311の曲げ加工を容易にできる。同様に、凹部322を備えることによって、接続導体312の曲げ加工を容易にできる。
【0039】
また、第1放射導体31の厚みは、できる限り大きいことが好ましい。これにより、第1放射導体31の放射特性は向上する。しかしながら、第1放射導体31の厚みは、無線通信モジュール10の高さ等に基づいて適宜決定することで、放射特性と形状の小型化(薄型化)を適宜両立することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る無線通信モジュールについて、図を参照して説明する。図6(A)は、第2の実施形態に係る無線通信モジュール10Aの構成を示す斜視図であり、図6(B)は、第2の実施形態に係る無線通信モジュール10Aの平面図である。なお、図6(B)では、絶縁性樹脂50の図示を省略している。
【0041】
図6(A)、図6(B)に示すように、第2の実施形態に係る無線通信モジュール10Aは、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10に対して、第1放射導体31に、開口33を有する点で異なる。無線通信モジュール10Aの他の構成は、無線通信モジュール10と同様であり、同様の個所の説明は省略する。
【0042】
第1放射導体31は、開口33を備える。開口33は、第1放射導体31を厚み方向に貫通する形状である。開口33は、無線通信モジュール10Aの平面視において、インダクタ部品41に重なっている。
【0043】
このような開口33を有することによって、インダクタ部品41の発生する磁界が第1放射導体31によって阻害されることは、さらに抑制される。これにより、インダクタ部品41の特性は向上し、無線通信モジュール10Aの特性は向上する。さらに、この構成では、インダクタ部品41と第1放射導体31との距離をさらに短くできる。これにより、無線通信モジュール10Aは、さらに小型化(薄型化)できる。
【0044】
また、インダクタ部品41への影響抑制以外にも開口33があることで、第1放射導体31と第2放射導体32間に発生する電界が減少する。このことによって、絶縁性樹脂50、回路基板20による誘電体損失が抑制され、電界が絶縁性樹脂50、回路基板20に閉じ込められることが抑制される。したがって、電磁界放射能力が向上する。
【0045】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る無線通信モジュールについて、図を参照して説明する。図7は、第3の実施形態に係る無線通信モジュール10Bの構成を示す模式的な側面断面図である。
【0046】
図7に示すように、第3の実施形態に係る無線通信モジュール10Bは、第1の実施形態に係る無線通信モジュール10に対して、絶縁性樹脂50の形状において異なる。無線通信モジュール10Bの他の構成は、無線通信モジュール10と同様であり、同様の個所の説明は省略する。
【0047】
図7に示すように、無線通信モジュール10Bの絶縁性樹脂50は、第1放射導体31の表面(回路基板20に対向する面と反対側の面)を外部に露出するように配置されている。このような構成であっても、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
なお、上述の各実施形態では、第1放射導体31の対角位置に接続導体311および接続導体312が接続する構成を示した。しかしながら、接続導体311および接続導体312が第1放射導体31に接続する位置は、これに限るものではなく、第1放射導体31が放射する電磁界の指向性等に応じて、適宜設定できる。
【0049】
また、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることができ、組み合わせに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0050】
10、10A、10B:無線通信モジュール
20:回路基板
31:第1放射導体
32:第2放射導体
33:開口
41:インダクタ部品
42:IC
43:コンデンサ部品
50:絶縁性樹脂
201:第1主面
202:第2主面
211、212、221、222、231、232、233:ランド導体
241、242:ビア導体
311、312:接続導体
321、322:凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7