(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20220817BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220817BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220817BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220817BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/42
A24F40/46
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020529374
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 GB2018053682
(87)【国際公開番号】W WO2019122866
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-17
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ディケンズ, コリン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-506915(JP,A)
【文献】特表2017-524353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/42
A24F 40/46
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス部品及び着脱可能カートリッジ部品を含むエアロゾル供給システムであって、前記カートリッジ部品が、使用のために前記デバイス部品に結合され、
前記デバイス部品がヒータを備え、
前記カートリッジ部品が、原料液体用のリザーバと、原料液体用の前記リザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、
前記カートリッジ部品が使用のために前記デバイス部品に結合されるとき、前記気化面が前記ヒータと熱的に連通され、それにより、前記ヒータが作動されたときに前記気化面が加熱されて、前記気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こし、
前記カートリッジ部品が、第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する伝熱要素を含み、前記第1の表面の少なくとも一部が前記気化面であり、
前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記ヒータが、前記伝熱要素の前記第2の表面に直接接触するように構成され、
前記カートリッジ部品は、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されたときに、前記原料液体が前記ヒータに接触するのを妨げるように構成され
、
前記ヒータは、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記気化面を前記カートリッジ部品の本体内に移動させるように構成される、エアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記カートリッジ部品が使用のために前記デバイス部品に結合され、前記ヒータが作動されたとき、前記気化面が、前記ヒータからの熱の伝導によって加熱される、請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
前記気化面が非多孔性である、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
前記デバイス部品は、生成されたエアロゾルが通ることを可能にされた空気経路を含み、前記ヒータが、前記空気経路から流体的に隔離される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
前記気化面が、前記カートリッジ部品の本体に対して、前記カートリッジ部品の長手方向軸線に沿った方向に移動可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記気化面は、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるときに変形される、請求項
1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
前記ヒータが、前記デバイス部品に対して、前記デバイス部品の長手方向軸線に沿った方向に移動可能である、請求項1~
6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記気化面が、金属又はセラミックのうちの少なくとも1つから形成される、請求項1~
7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
原料液体のための前記リザーバ及び前記気化面と流体連通する液体輸送要素をさらに備え、前記液体輸送要素が、原料液体を前記リザーバから前記気化面に輸送するように構成される、請求項1~
8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記液体輸送要素が前記気化面を含む、請求項
9に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記液体輸送要素が異なる多孔率の領域を含み、比較的低い多孔率の領域が、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるときに前記ヒータに面するように配置される、請求項
10に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記ヒータは、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるときに前記第2の表面を押すように構成される、請求項
11に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
前記伝熱要素が、前記カートリッジ部品の本体に対して、前記カートリッジ部品の前記本体内への方向に移動するように構成され、前記伝熱要素が、前記カートリッジ部品の前記本体から離れる方向に付勢される、請求項
11又は
12に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記伝熱要素が、弾性部材を介して前記カートリッジ部品の前記本体に取り付けられ、前記弾性部材が、前記伝熱要素の移動を可能にする、請求項
13に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記伝熱要素が前記液体輸送要素を含む、請求項
9に従属するときの、請求項
10~14のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記カートリッジ部品が、液体が前記気化面から滴下するのを防止するために前記気化面を覆うように構成された着脱可能カバーを含み、前記カートリッジ部品と前記デバイス部品とを結合する前に、前記着脱可能カバーが取り外される、請求項1~
15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
前記デバイス部品が、前記ヒータの温度を決定するように構成される、請求項1~
16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
前記デバイス部品が、温度センサによって出力された温度信号を分析するように構成された分析回路と、前記温度信号に基づいて前記デバイス部品の動作パラメータを調整するように構成された制御回路とを備える、請求項
17に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
ヒータを備える再利用可能デバイス部品と共に使用するためのカートリッジ部品であって、前記カートリッジ部品が、使用のために前記デバイス部品に結合されて、エアロゾル供給システムを形成することが可能であり、
前記カートリッジ部品が、原料液体用のリザーバと、原料液体用の前記リザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、
前記カートリッジ部品が使用のために前記再利用可能デバイス部品に結合されるとき、前記気化面が前記ヒータと熱的に連通され、それにより、前記ヒータが作動されたときに前記気化面が加熱されて、前記気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こし、
前記カートリッジ部品が、第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する伝熱要素を含み、前記第1の表面の少なくとも一部が前記気化面であり、
前記再利用可能デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記ヒータが、前記伝熱要素の前記第2の表面に直接接触するように構成され、
前記カートリッジ部品は、前記再利用可能デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されたときに、前記原料液体が前記ヒータに接触するのを妨げるように構成され
、
前記ヒータは、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記気化面を前記カートリッジ部品の本体内に移動させるように構成される、カートリッジ部品。
【請求項20】
前記カートリッジ部品がヒータを備えない、請求項
19に記載のカートリッジ部品。
【請求項21】
カートリッジ部品と共に使用するためのデバイス部品であって、前記カートリッジ部品が、使用のために前記デバイス部品に結合されて、エアロゾル供給システムを形成することができ、前記カートリッジ部品が、原料液体のためのリザーバと、原料液体のための前記リザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、前記デバイス部品が、
ヒータを備え、
前記ヒータは、前記カートリッジ部品が使用のために前記デバイス部品に結合されるとき、前記気化面が前記ヒータと熱的に連通され、それにより、前記ヒータが作動されたときに前記気化面が加熱されて、前記気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こすように構成され、
前記カートリッジ部品が、第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する伝熱要素を含み、前記第1の表面の少なくとも一部が前記気化面であり、
前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記ヒータが、前記伝熱要素の前記第2の表面に直接接触するように構成され、
前記カートリッジ部品は、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されたときに、前記原料液体が前記ヒータに接触するのを妨げるように構成され
、
前記ヒータは、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記気化面を前記カートリッジ部品の本体内に移動させるように構成される、デバイス部品。
【請求項22】
使用のためにエアロゾル供給デバイスを構成する方法であって、前記デバイスが、デバイス部品及び着脱可能カートリッジ部品を含み、前記方法が、
前記デバイス部品を前記カートリッジ部品に結合するステップであり、前記デバイス部品がヒータを備え、前記カートリッジ部品が、原料液体のためのリザーバと、原料液体のための前記リザーバと流体連通するように構成された気化面とを備える、ステップを含み、
前記カートリッジ部品が使用のために前記デバイス部品に結合されるときに前記気化面が前記ヒータと熱的に近接され、それにより、前記ヒータが作動されたときに前記気化面が加熱されて、前記気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こし、
前記カートリッジ部品が、第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する伝熱要素を含み、前記第1の表面の少なくとも一部が前記気化面であり、
前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記ヒータが、前記伝熱要素の前記第2の表面に直接接触するように構成され、
前記カートリッジ部品は、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されたときに、前記原料液体が前記ヒータに接触するのを妨げるように構成され
、
前記ヒータは、前記デバイス部品と前記カートリッジ部品とが使用のために結合されるとき、前記気化面を前記カートリッジ部品の本体内に移動させるように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子タバコなどの電子エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは、一般に、典型的にはニコチンを含む配合物を含有する原料液体のリザーバを含み、リザーバから、例えば気化熱によって蒸気が生成される。したがって、エアロゾル供給システム用の蒸気源は、例えばウィッキング/毛管作用によってリザーバから原料液体を受け入れるように構成された加熱要素を有するヒータを備えることがある。ユーザがシステムから吸入している間、電力が加熱要素に供給されて、加熱要素の近傍で原料液体を気化させて、ユーザによる吸入のための蒸気を生成する。そのようなシステムには通常、システムのマウスピース端部から離して位置する1つ又は複数の吸気穴が設けられている。ユーザがシステムのマウスピース端部に接続されたマウスピースから吸引すると、空気が吸気穴から蒸気源を通過して引き込まれる。蒸気源とマウスピースの開口部とをつなぐ流路があり、蒸気源を通過して引き込まれた空気は、流路に沿ってマウスピース開口部に進み、蒸気源からの蒸気の一部をエアロゾルの形で同伴して運ぶ。エアロゾルは、ユーザによる吸入のためにマウスピース開口部を通ってエアロゾル供給システムから出る。
【0003】
そのようなシステムでは、蒸気源と加熱要素は、使い捨ての「カトマイザ」に提供することができる。カトマイザは、原料液体を受け入れるためのリザーバと加熱要素との両方を含む構成要素である。カトマイザは、使用時に、制御回路やバッテリなどのエアロゾル供給システムを操作するために使用することができる様々な電子構成要素を含む再利用可能部品(「デバイス」部と呼ぶこともある)に結合される。加熱要素には、カトマイザと再利用可能デバイス部品との間の電気的接続を介してバッテリから電力が供給される。カトマイザ内の原料液体が使い果たされると(すなわち、実質的にすべての原料液体が気化及び吸入されると)、ユーザは、カトマイザを交換し、新たなカトマイザを取り付けて、気化液体の生成及び吸入を継続する。
【0004】
カトマイザ自体は複雑な設計になることがあり、カトマイザの本体に多くの異なる構成要素を設置する必要があり得る。これらのカトマイザを製造して組み立てるのに必要な製造コスト及び複雑さは、比較的高くなることがある。
【0005】
これらの問題のいくつかに対処する助けとなる様々な手法を述べる。
【発明の概要】
【0006】
特定の実施形態の第1の態様によれば、デバイス部品及び着脱可能カートリッジ部品を含むエアロゾル供給システムであって、カートリッジ部品が、使用のためにデバイス部品に結合され、デバイス部品がヒータを備え、カートリッジ部品が、原料液体用のリザーバと、原料液体用のリザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、カートリッジ部品が使用のためにデバイス部品に結合されるとき、気化面がヒータと熱的に連通され、それにより、ヒータが作動されたときに気化面が加熱されて、気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こす、エアロゾル供給システムが提供される。
【0007】
特定の実施形態の第2の態様によれば、ヒータを備える再利用可能デバイス部品と共に使用するためのカートリッジ部品であって、前記カートリッジ部品が、使用のためにデバイス部品に結合されて、エアロゾル供給システムを形成することが可能であり、カートリッジ部品が、原料液体用のリザーバと、原料液体用のリザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、カートリッジ部品が使用のために再利用可能デバイス部品に結合されるとき、気化面がヒータと熱的に連通され、それにより、ヒータが作動されたときに気化面が加熱されて、気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こす、カートリッジ部品が提供される。
【0008】
特定の実施形態の第3の態様によれば、カートリッジ部品と共に使用するためのデバイス部品であって、カートリッジ部品が、使用のためにデバイス部品に結合されて、エアロゾル供給システムを形成することができ、カートリッジ部品が、原料液体のためのリザーバと、原料液体のためのリザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、デバイス部品がヒータを備え、ヒータは、カートリッジ部品が使用のためにデバイス部品に結合されるとき、気化面がヒータと熱的に連通され、それにより、ヒータが作動されたときに気化面が加熱されて、気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こすように構成される、デバイス部品が提供される。
【0009】
特定の実施形態の第4の態様によれば、使用のためにエアロゾル供給デバイスを構成する方法であって、デバイスが、デバイス部品及び着脱可能カートリッジ部品を含み、方法が、デバイス部品をカートリッジ部品に結合するステップであり、デバイス部品がヒータを備え、カートリッジ部品が、原料液体のためのリザーバと、原料液体のためのリザーバと流体連通するように構成された気化面とを備える、ステップを含み、カートリッジ部品が使用のためにデバイス部品に結合されるときに気化面がヒータと熱的に近接され、それにより、ヒータが作動されたときに気化面が加熱されて、気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こす、方法が提供される。
【0010】
特定の実施形態の第5の態様によれば、再利用可能デバイス部品及び着脱可能カートリッジ部品を含む蒸気供給手段であって、カートリッジ部品が、使用のための再利用可能デバイス部品に結合され、再利用可能デバイス部品が加熱手段を備え、カートリッジ部品が、原料液体を貯蔵するためのリザーバ手段と、原料液体用のリザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、カートリッジ部品が使用のために再利用可能デバイス部品に結合されるとき、気化面が加熱手段と熱的に連通され、それにより、加熱手段が作動されたときに気化面が加熱されて、気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こす、蒸気供給手段が提供される。
【0011】
本発明の第1及び他の態様に関連して上述した本発明の特徴及び態様は、本発明の他の態様による本発明の実施形態に同等に適用可能であり、上述した特定の組合せだけでなく適宜組み合わせることができることを理解されたい。
【0012】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して単に例として述べる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一体型の加熱要素を有するカートリッジ部品と、切り離された状態での再利用可能デバイス部品とを含む例示的なeシガレットの概略図である。
【
図2】
図1の例示的なeシガレットの再利用可能デバイス部品のより詳細な概略図である。
【
図3】
図1の例示的なeシガレットのカートリッジ部品のより詳細な概略図である。
【
図4】本開示の一態様による、結合された状態で吸入されるエアロゾルを生成するための、突出したヒータを有する再利用可能デバイス部品と、引っ込んだ伝熱要素を有するカートリッジ部品とを含む電子エアロゾル供給システムの概略図である。
【
図5】
図4の電子エアロゾル供給システムの再利用可能デバイス部品のより詳細な概略図である。
【
図6】
図4の電子エアロゾル供給システムのカートリッジ部品のより詳細な概略図である。
【
図7a】
図6の伝熱要素を支持するためのカートリッジ部品の支持部材の概略断面図である。
【
図8】
図4の電子エアロゾル供給システムなどの電子エアロゾル供給システムを使用するための例示的な方法の概略図である。
【
図9】本開示の別の態様による、吸入されるエアロゾルを生成するための引っ込んだ伝熱要素を有するカートリッジ部品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴を本明細書で論じる/述べる。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通りに実現されることがあり、これらについては、簡潔にするために詳細には論じない/述べない。したがって、詳細に述べていない本明細書で論じる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実現するための任意の従来の技法に従って実現することができることを理解されたい。
【0015】
上述したように、本開示は、電子タバコ(eシガレット)などの蒸気送達デバイスに関する(が、これらに限定されない)。以下の記載を通して、「電子タバコ」という用語が使用されることがある。しかし、この用語は、蒸気(エアロゾル)送達システムと交換可能に使用することができることを理解されたい。さらに、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語は、気化された原料液体、又は気化された原料液体を含有する空気を表すために交換可能に使用することができる。
【0016】
図1~
図3は、例示的なeシガレット10のいくつかの態様を示す概略図である。eシガレット10は、概して円筒形状を有し、破線LAで示される長手方向軸線に沿って延び、
図1に示されるように、2つの主要構成要素、すなわち再利用可能デバイス部品20及び着脱可能/交換可能カートリッジ部品30を備える。
図2及び
図3は、それぞれ
図1のeシガレットの再利用可能部品20及びカートリッジ部品30の概略図である。わかりやすくするために、配線やより複雑な形状などの様々な構成要素及び詳細が
図2及び
図3から省略されていることに留意されたい。
【0017】
カートリッジ部品30は、気化及び吸入すべき原料液体(ニコチンを含むことがある)を含む内部液体リザーバ160と、気化器(加熱要素155など)と、マウスピース35とを含む。加熱要素155は、本例では、液体をリザーバ160から抵抗ワイヤに輸送するためのウィッキング材料又は同様の設備の周囲に巻かれた抵抗ワイヤ(ニクロム線など)である。
【0018】
再利用可能デバイス部品20は、一般に、交換可能カートリッジ部品30の予想寿命よりも長い動作寿命を有する構成要素を含む。再利用可能デバイス部品20は、バッテリ210又は電池などの電源を含み、eシガレット10、及びeシガレット10の様々な機能を全般的に制御するための制御回路(以下でより詳細に論じる)に電力を供給する。制御回路によって制御されて、加熱要素155は、バッテリ(
図1には図示せず)から電力を受け取ると、原料液体を気化させ、次いで、この蒸気(エアロゾル)がマウスピース35を通してユーザによって吸入される。
【0019】
図1に示される実施形態では、再利用可能デバイス部品20とカートリッジ部品30とは、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって互いに着脱可能であるが、eシガレット10が使用されているとき、(カートリッジ部品30での)参照番号25A及び(再利用可能デバイス部品20での)参照番号25Bとして概して示される接続手段によって互いに接合されて、再利用可能デバイス部品20とカートリッジ部品30との間の機械的及び電気的接続を提供する。この例でのコネクタ25A及び25Bは、カートリッジ部品30を再利用可能デバイス部品20に接続するための差込み取付具を提供するために使用されるが、他の結合機構(例えばねじ山)を用いてもよい。
【0020】
多くのデバイスでは、原料液体の供給が使い果たされたとき、又はユーザが原料液体の香料/タイプを変更したい場合、カートリッジ部品30を交換するためにカートリッジ部品30が再利用可能デバイス部品20から取り外され、所望の場合には別のカートリッジ部品30と交換される。対照的に、再利用可能デバイス部品20は、通常、複数のカートリッジ部品30と共に再利用可能である。
【0021】
次に
図2を見ると、再利用可能デバイス部品20は、バッテリ210と、回路基板215を含む制御回路とを含み、例えば(マイクロ)コントローラ、プロセッサ、ASIC、又は同様の形態の制御チップの提供によって、eシガレットの制御機能を提供する。制御チップは、プリント回路基板(PCB)に取り付けることができる。バッテリ210は、典型的には円筒形状であり、eシガレットの長手方向軸線LAに沿って、又は少なくとも近接して(且つ概して平行に)位置する中心軸線を有する。図示される例における回路基板215は、センサユニットも含む。ユーザがマウスピース35から吸入する場合、空気は、1つ又は複数の吸気穴(
図1及び
図2には図示せず)を通ってeシガレット10に引き込まれる。圧力センサ及び/又はマイクロフォンを含むことがあるセンサユニットは、この気流を検出し、そのような検出に応答して、回路基板215は、バッテリ210からカートリッジ部品30の加熱要素155に電力を供給する(これは一般的にパフ作動と呼ばれる)。他の例では、eシガレット10は、バッテリから加熱要素155に電力を供給するためにユーザが操作することができるボタン又はスイッチを備えることがある。
【0022】
ここで
図3を見ると、カートリッジ部品30は、カートリッジ部品30(及びeシガレット10)の中心(長手方向)軸線に沿ってマウスピース35からコネクタ25Aに延びる空気通路161を含み、コネクタ25Aは、カートリッジ部品を再利用可能部品20に接合する。原料液体のリザーバ160は、空気通路161の周りに設けられる。このリザーバ160は、例えば原料液体に浸漬させた綿又は発泡体を提供することによって実装することができ、又は原料液体を適切な容器内で自由に保持することができる。加熱要素155は、ライン166及び167を介して電力供給され、コネクタ25Aを介してバッテリ210の反対の極性(正と負、又はその逆)に接続される。
【0023】
図3には示されていないが、カートリッジ部品30は、加熱要素155の温度を感知するように構成された加熱要素温度センサを含むことがある。ヒータ温度センサは、カートリッジ部品30に配設されるが、例えばコネクタ25A及び25Bを介して回路基板215に結合される。したがって、回路基板215は、加熱要素155の導出された温度に基づいて、加熱要素155に供給される電力を制御することができる。
【0024】
前述のように、コネクタ25A及び25Bは、再利用可能デバイス部品20とカートリッジ部品30との間の機械的及び電気的接続を提供する。
図2で見られるように、コネクタ25Bは、2つの電気端子、すなわち外側接点240及び内側接点250を含み、これらの接点は、絶縁体260によって分離されている。コネクタ25Aも同様に、(
図3に見られるように)絶縁体172によって分離された内側電極175及び外側電極171を含む。カートリッジ部品30が再利用可能部品20に接続されるとき、カートリッジ部品30の内側電極175及び外側電極171は、それぞれ再利用可能デバイス20の内側接点250及び外側接点240に機械的に(したがって電気的に)係合する。内側接点250はコイルばね255に取り付けられ、対合(接続)プロセス中、内側電極175が内側接点250を押してコイルばね255を圧縮し、それにより、カートリッジ部品30が再利用可能部品20に接続されるときに良好な機械的及び電気的接触を確実に確立する助けとなる。
【0025】
図3のコネクタ25Aは、2つの突起又はタブ180A、180Bも備え、突起又はタブ180A、180Bは、eシガレットの長手方向軸線から互いに反対方向に延びる。これらのタブを使用して、カートリッジ部品30を再利用可能デバイス部品20に接続するための差込み取付具を提供する。
【0026】
当業者には理解されるように、
図3に示されるカートリッジ部品30は、多くの構成要素、特に加熱要素155、電気接点166、167などを含み、温度センサ(図示せず)も含むことがある。一般に、カートリッジ部品に含まれる構成要素が多いほど、使用される多数の構成要素により、又はカートリッジ部品30内の多数の構成要素の組立てに関連する製造コストにより、カートリッジ部品30のコストが高くなる。これは、カートリッジ部品30当たりのコストが比較的高いことを意味する。上述したように、カートリッジ部品30は交換可能であり、通常、原料液体が消費されると廃棄される。
【0027】
本発明者らは、カートリッジ部品のための物品のコストを削減し、製造の複雑さを低減する方法を実現した。本開示は、カートリッジ部品から加熱要素をなくし、代わりに再利用可能デバイス部品内に加熱要素を配置したeシガレットを例示する。その結果、(少なくとも、加熱要素/電気接点に使用される金属構成要素など、より複雑な/高価な構成要素が定期的に廃棄されないので)カートリッジ部品のための物品のコストが削減される。さらに、加熱要素を再利用可能デバイス部品(定期的に廃棄されない)に移すことは、より高価な/複雑な加熱要素(場合によっては、寿命がより長く、加熱効率がより高い)を再利用可能デバイス部品で使用することができることを意味する。
【0028】
図4は、本開示の態様によるeシガレット300を示す概略図である。eシガレット300は、概して円筒形状を有し、破線LAで示される長手方向軸線に沿って延び、3つの主要構成要素、すなわち、再利用可能部品400、(任意選択の)カバー600、及びカートリッジ部品500(
図4には図示せず)を備える。円筒部を通る、すなわち線LAに垂直な平面での断面は、この例示的な実装形態では概して円形である。しかし、他の実装形態は、楕円形、正方形、長方形、六角形、又は望みに応じて何らかの他の定形若しくは不定形などの断面形状を有することがある。また、eシガレット300の他の実施形態は、概して円筒形以外の形状、例えば概して楕円形状を有することができることも理解すべきである。
【0029】
図4に示される実施形態では、再利用可能デバイス部品400、カバー600、及びカートリッジ部品500は、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって互いに着脱可能であるが、デバイス300が使用されているときには、これら3つの主要な構成要素間の機械的接続を提供する接続手段によって互いに接合される。eシガレット300が組み立てられると、カートリッジ部品500は、カバー600によって覆われる/見えなくされる。カバー600は、マウスピース端部605で狭まる概して切頭直円錐形状を有する。マウスピース端部605は開口部を含み、ユーザがマウスピース端部605から吸入するときに、カートリッジ500に保持された原料液体から生成された蒸気が開口部を通ってユーザに渡ることができる。カバー600は、概して中空であり、カートリッジ500を受け入れる。
【0030】
図示されている実装形態では、ユーザは、最初に、再利用可能デバイス部品400に対して長手方向軸線LAに平行な方向にカバー600を引っ張ることによって、カバー600を取り外してカートリッジ500を露出させなければならない。カバー600と再利用可能部品400との接続は、任意の適切な接続、例えば圧入又は締まり嵌めの接続にすることができる。他の実施形態は、スナップ嵌め又はねじの接続など、異なる形態の接続を使用してもよいことを理解されたい。同様にして、カートリッジ部品500が露出されると、ユーザは、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって、再利用可能デバイス部品400とカートリッジ部品500とを取り外すことができる。原料液体の供給が使い果たされたとき、及び/又はユーザが原料液体の香料/タイプを変更したいとき、カートリッジ部品500を交換するためにカートリッジ部品500が再利用可能デバイス部品400から取り外される。
【0031】
図5は、
図4の再利用可能デバイス部品400のより詳細な概略図である。再利用可能デバイス部品400は、ハウジング410、バッテリ420などの電源、回路基板430、ヒータ支持体440、及びヒータ450を含む。ハウジング410は、長手方向軸線LAに沿って延びる概して円筒形状を有する。ハウジング410は、バッテリ420及び回路基板430が位置する内部空間を含む。バッテリ420は、概して円筒形であり、いくつかの実装形態では、ハウジング410の中空内部にぴったりと嵌まるように、ハウジング410と概して同様のプロファイルを有する。
【0032】
バッテリ420は、電気接点422を介して回路基板430に接続される。
図5では、電気接点はワイヤとして概略的に示されているが、バッテリ420と回路基板430との間の任意の形態の電気接点、例えばコンタクトパッドが適切であり、目下の特定の用途によって決定することができることを理解すべきである。回路基板430は、eシガレット300の様々な機能を制御するように構成され、本明細書では制御回路と呼ばれることがある。例えば、制御回路は、ヒータ450への電力供給、外部供給源からの(例えば、外部電源とハウジング410に位置するUSB/microUSBポートとの接続を介した)バッテリ420の充電、又はホストコンピュータ(パーソナルPC、スマートフォンなど)へのデータ通信など任意の他の機能を制御することができる。回路基板430は、この制御機能を実現するために、(マイクロ)コントローラ、プロセッサ、ASIC、又は同様の形態の制御チップを含むことがある。さらに、制御チップは、プリント回路基板(PCB)に実装されてもよい。また、回路基板430によって提供される機能は、複数の回路基板に、及び/又はPCBに実装されていない構成要素に分散することができ、これらの追加の構成要素及び/又はPCBは、eシガレット内に適宜位置させることができることに留意されたい。例えば、バッテリ420の(再)充電機能を制御するための回路基板430の機能は、放電を制御するための(すなわち、ヒータに電力を供給するための)機能とは別に(例えば異なるPCB上に)提供することができる。
【0033】
前述のように、再利用可能デバイス部品400は、ヒータ450をさらに備える。ヒータ450は、ヒータ支持体440に取り付けられ、ヒータ支持体440は、その一端(すなわち、カートリッジ部品500及び/又はカバー600と結合するように構成されたハウジング410の端部)でハウジング410に取り付けられる。ヒータ支持体440は、概して円筒形状を有するが、ヒータ支持体440の他の形状が他の実装形態で可能であることを理解すべきである。
図5に示されるように、ハウジング410は、円筒形のヒータ支持体440が嵌まる概して円形/円筒形の凹部412を含む。ヒータ支持体440は、任意の適切な手段を使用して、例えば接着剤によって、又は凹部412との圧入/締まり嵌め係合によって、ハウジング410に取り付けられる。本例では、ヒータ支持体440は、比較的低い熱伝導率を有する材料、例えばシリコーンから完全に形成される。ヒータ支持体440は、ある程度の可撓性/弾性を有する材料、例えばシリコーンから形成されてもよい。すなわち、ヒータ支持体440は、ヒータ450を支持するとともに、断熱材として作用するように構成されて、ヒータ450から再利用可能デバイス部品400の他の領域への熱放散を防止又は低減する。代替実装形態では、ヒータ支持体440は、ヒータ450に最も近い層/複数の層が断熱材として作用するように構成された多層/多部品構造でもよい。
【0034】
ヒータ450は、
図5では、ヒータ支持体440の上に位置決めされて示されている。ヒータ450は、任意の適切な方法で、例えば適切な耐熱性接着剤によって、又はヒータ支持体440との締まり嵌めによって、ヒータ支持体440に取り付けられる。いくつかの実装形態では、ヒータ支持体440は、ヒータ450の少なくとも一部を受け入れるように構成された形状を有することができ、例えば、ヒータ支持体440は、ヒータ450の外縁部を受け入れるために半径方向内向きのリップ部分を有することができる。
【0035】
図5に示される例では、ヒータ450は、中心軸線に沿って円形断面を有する平面部材(例えばディスク状部材)であり、抵抗ヒータとして作用するように構成された導電性材料(例えばニクロム)から形成される。ヒータ450は、ワイヤ432を介して回路基板430に電気的に接続され、ワイヤ432は、ヒータ支持体440(ワイヤを通すための適切なチャネルが形成されている)を通過する。再利用可能部品400の形成中、ワイヤ432は、ハウジング410の凹部から突出することができ、ワイヤ432がヒータ支持体440のチャネルを通過すると同時にヒータ支持体440を凹部内に摺動させることができる。次いで、ワイヤ432は、任意の適切な方法で、例えば、はんだ付け、又はヒータ450との接触によって、ヒータ450に電気的に結合される。ワイヤ432とヒータ450との接触の場合、ワイヤ432の端部を湾曲させて、ワイヤ432がヒータ支持体440の長手方向軸線に垂直に延びることを可能にして、ワイヤ432が接触するヒータ450の表面積を増加させて、良好な電気接続を確実に確立することができる。
【0036】
回路基板430は、ヒータ450に電力を供給するように構成される。回路基板430は、接点422を介してバッテリ420から電力を受け取り、検出された入力に応答してワイヤ432を介してヒータ450に電力を供給する。いくつかの実装形態では、検出された入力は、ユーザがハウジング410の表面のボタン(図示せず)を押したことに応答して回路基板430によって受信される、ボタン押下を示す信号である。他の実装形態では、再利用可能デバイス部品400は、ユーザがeシガレットを通して空気を吸引したことに応答して(すなわち、再利用可能デバイス部品400とカートリッジ部品500とが使用のために結合されているときに)再利用可能デバイス部品400を通る空気の流れを検出するように構成されたパフセンサ(図示せず)を備える。空気経路は
図5には示されていないが、いくつかの実装形態では、ハウジング410には、カートリッジ部品500(後述)に設けられた吸気穴に流体接続される吸気穴が設けられる。したがって、再利用可能デバイス部品400、カートリッジ部品500、及びカバー600が使用のために結合されているときにユーザがカバー600のマウスピース端部605で吸入すると、回路基板430は、パフセンサから信号を受信し、ヒータ450に電力を供給し始める。
【0037】
回路基板430によってヒータ450に電力が供給されるとき、ヒータ450の温度が上昇する。ヒータ450の温度は、いくつかの実装形態では、再利用可能デバイス部品400に位置する温度センサ460によって監視することができる。例えば、
図5に示されるように、温度センサ460は、再利用可能デバイス部品400のハウジング410内に位置し、ワイヤ462を介して回路基板430及びヒータ450に電気的に接続される。温度センサ460は、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)、又は他の適切な温度センサであってもよく、ヒータ450の温度を示す信号を回路基板430に出力するように構成される。回路基板430は、受信された温度信号に応答して、バッテリ420からヒータ450に出力/供給される電力を調整するように構成される。例えば、回路基板430は、パルス幅変調(PWM)技法を使用してヒータ450に電力を供給するように構成することができ、ヒータ450の温度に基づいてヒータに供給される電力を増加又は減少するようにデューティサイクルを調整することができる。ヒータ450の温度制御/監視は任意選択の機能であり、いくつかの実装形態では存在しないことがあることを理解すべきである。同様に、他の実装形態では、制御回路は、ヒータ450の電気抵抗を測定し、電気抵抗の変化をヒータ450の温度の指標として使用することができる。
【0038】
ハウジング410に戻ると、
図5に示されるハウジング410は、
図5では突出部として概略的に示されている第1の係合機構414及び第2の係合機構416を含み、これらの突出部は、ハウジング410の本体から離れる方向に延び、長手方向軸線LAに沿って見たときに環を成す。第1の係合機構414は、カバー600(第1の係合機構414と協働して係合するように構成された対応する係合機構を有する)と係合するように構成される。カバー600とハウジング410との間の係合機構は、例えば螺合、差込み嵌め、圧入、スナップ嵌めなど任意の適切な形態を取ることができる。例えば、カバー600は、環状突出部414の外面の周りに延びる凹部に受け入れられたリップ(図示せず)を含むことができる。同様に、第2の係合機構416は、カートリッジ部品500の対応する係合機構515と協働して係合するように構成される。本例における第1の係合機構416の環状突出部は、ヒータ支持体440の外面を取り囲む(又は言い換えると、環状突出部は、ヒータ支持体440を受け入れる内径を有する)。本例における第1の係合機構416の環状突出部は、その半径方向外面に、カートリッジ部品500(以下により詳細に述べる)のねじ部分と係合するねじ部分を有する。
【0039】
図6は、
図4の再利用可能デバイス部品400と共に使用するのに適したカートリッジ部品500を概略的に示す。
図6に示されるカートリッジ部品500は、ハウジング510、原料液体リザーバ520、ウィック530、支持部材540、及び伝熱要素550を含む。
【0040】
カートリッジ部品500のハウジング510は、概して切頭直円錐形状を取り、この実装形態では、カバー600の中空体積内に受け入れられるようにサイズ設定される。すなわち、ハウジング510の直径及びテーパ角は、カバー600がカートリッジ部品500の外面の大部分を取り囲むようにカバー600をカートリッジ500に被せて配置することができるように提供される。しかし、ハウジング510の形状とカバー600の存在とはどちらも必須の要件ではないことに留意すべきである。したがって、ハウジング510は異なる形状を取ることができ、カバー600は存在しなくてもよい。
【0041】
ハウジング510は、デバイス300の長手方向軸線LAの方向に概して延びる壁を有するように配置される。より具体的には、カートリッジ部品500は、長手方向軸線LAの方向に延びる管状内壁512と、実質的に長手方向軸線LAの方向に延びるが、再利用可能デバイス部品400と係合するように構成されたカートリッジ部品500の端部(
図6の最下端)に向かって直径が増加するようにテーパ角が付けられている、管状外壁514と、管状内壁512の端部と管状外壁514の端部とを互いに接続するように構成された環状上壁516とを有するように構成される。
【0042】
外側管状壁514は、内側管状壁512よりも長い、長手方向軸線LA方向での特徴的な長さを有する。概して円筒形状を有し、外側管状壁514の内径にほぼ等しい外径を有する支持部材540は、支持部材540の外面が外側管状壁514の内面に接触するように外側管状壁514の内部に配置される。支持部材540は、
図6に示されるように、ハウジング510に押し込まれて、内側管状壁512の端部に当接するように配置される。この構成では、支持部材540は、内側管状壁512の端部と外側管状壁514の内面との間に延びる環状面を提供する。言い換えると、支持部材540と、内側及び外側管状壁512、514と、環状上壁516とが、囲まれた体積を画定する。この体積は、原料液体リザーバ520であり、原料液体リザーバ520内に、気化のための任意の適切な液体を入れることができる。支持部材540は、管状壁の開端部を封止すると考えることができる。
【0043】
図7a及び7bは、
図6の支持部材のより詳細な概略図である。
図7aは、長手方向軸線LAに平行な平面を通る断面で支持部材540を概略的に示し、
図7bは、長手方向軸線LAに沿った方向で上方から見た支持部材540を概略的に示す。
【0044】
支持部材540は、いくつかの機能を提供するように構成される。特に、支持部材540は、液体リザーバ520の一部を画定する(したがって封止機能を行う)が、液体リザーバ520へのアクセスを提供し(ウィック530が流体を伝熱要素550に輸送することを可能にし)、且つ伝熱要素550に対する支持を提供するようにも構成される。
【0045】
この特定の実装形態では、支持部材540は、シリコーンなどの耐熱材料の単一の構成要素として形成される。伝熱要素550からカートリッジ部品500の他の部品への熱の散逸を低減するために、耐熱材料が選択される。また、支持部材540は、ある程度の可撓性を可能にし、液体リザーバ520を封止する助けとなる弾性的に柔軟な材料(ここでもシリコーン)から形成されてもよい。他の実装形態では、支持部材540は、上記の機能のうちの1つ又は複数を実施するようにそれぞれ構成されたいくつかの異なる材料/構成要素から形成されてもよい。
【0046】
図7aで見られるように、支持部材540は、リングに類似する本体部品541と、本体部品541の外周から第1の方向に延びる脚部543と、本体部品541に設けられ、本体部品541の第1の側(上部側)から、第1の側とは反対の第2の側(底部側)に延びる貫通穴542と、第1の方向とは反対の第2の方向に本体部品541の内周から延びる環状封止リップ544と、脚部543から半径方向内側に延びる支持アーム546a、546bとを備える。
【0047】
前述の記載から理解できるように、支持部材540の本体部品541は、管状内壁512の端部と外側管状壁514の内面との間に延在して、液体リザーバ520の囲まれた体積を画定する構成要素である。
【0048】
支持部材540とハウジング510との間の液体の流れを防止又は低減するために、支持部材540は、弾性材料から形成される。支持部材540がカートリッジ部品500内にさらに(すなわち、外側管状壁514の内面の間に)押し込まれると、支持部材540は、テーパの付いた外側管状壁514によって徐々に圧縮される。支持部材540は、外側管状壁514の内径よりもわずかに大きい外径/外寸を有することがある。例えば、この差は、数mm程度でもよい。支持部材540を外側管状壁514にそれ以上挿入できなくなると(例えば、支持部材540が内側管状壁512の端部に当接するので)、支持部材540は、液体が支持部材540と外側管状壁514との間を容易に流れることができない程度まで圧縮される。いくつかの他の実装形態では、外側管状壁514は、(例えば、壁514が比較的薄い部分と比較的厚い部分とを有する段付き構成を提供することによって)支持部材540との係合面を提供するように形作られることがある。代替として又は追加として、支持部材540は、例えば接着剤やねじなどによって、任意の適切な方法で所定位置に保持することができる。
【0049】
支持部材540と内側管状壁512との間の漏れを低減又は防止するために、環状封止リップ544は、管状内壁512に接触する及び/又は管状内壁512を押すように配置される。例えば、環状封止リップ544は、支持部材540が(例えば、管状内壁512によって半径方向内側に押されることによって)ハウジング510に挿入されるときに環状封止リップ544が半径方向内側に押されるように、内側管状壁512の内径よりもわずかに大きい外径を有することがある。
【0050】
前述のように、支持部材540には、流体が液体リザーバ520から流出することを可能にする2つの貫通穴542が設けられている。これらの貫通穴542は、ウィック530のそれぞれの端部を受け入れるように構成される。貫通穴542は、所望の任意の形状を取ることができる。例えば、
図6、7a、及び7bに示される例における貫通穴は、湾曲したスロットである。これらのスロット542の長さは数mm程度であり、スロット542の曲率半径は、円筒形支持部材540の曲率半径とほぼ同じである(
図7b参照)。他の実装形態では、貫通穴542は、円形又は直線形(すなわち湾曲していない)スロットでもよい。本実装形態では概して長方形の形状を取る繊維状ウィッキング材料の平面シートであるウィック530の各端部は、ウィッキング材料が貫通穴542を埋めるように貫通穴542に通される。すなわち、概して長方形のウィック530の幅方向の特徴的な広がりは、スロット542の長さの特徴的な広がりよりも大きい。これは、(例えばウィック530と貫通穴542との間のギャップによる)貫通穴542を通る液体漏れの可能性を低減する助けとなる。したがって、原料液体リザーバ520内の原料液体は、毛管作用によってウィック530の長さに沿って原料液体リザーバ520からウィッキングすることができる。ウィック530は、この機能を実施するために任意の適切な材料、例えば綿、セラミック、ガラス繊維などから形成することができる。本明細書では、ウィック530は、液体輸送要素と呼ぶこともできる。
【0051】
本実装形態におけるウィック530は、支持部材540のスロット542間の距離よりも大きい、長さ方向での特徴的な広がりを有する。ウィック530の端部がスロット542に挿入されるとき、ウィック530は、
図6に示されるように、再利用可能部品400と係合するカートリッジ部品500の端部に向かう方向に延び、概してU字形を成す。U字形ウィック530は、伝熱要素550と接触するように構成され、液体リザーバと伝熱要素550との間の境界面を提供する。
【0052】
追加として、支持部材540は、伝熱要素550を受け入れるように構成される。伝熱要素550は、本実装形態では、eシガレット300が組み立てられたときに長手方向軸線LAに沿った方向に見たときに円形断面を有する平面部材であり、長手方向軸線LAに平行な方向で特定の厚さを有する。伝熱要素550は、2つの主要な表面、すなわち接触面(
図6では伝熱要素550の最下部の円形表面である)と、接触面の反対側にある気化面(
図6では、ウィック530に当接する伝熱要素550の最上面の円形表面である)とを有する。
【0053】
支持部材540は、上側支持アーム546a及び下側支持アーム546bを備え、どちらの支持アームも、脚部543から半径方向内向きに突出するが、長手方向軸線LAの方向で互いに分離されている。分離距離は、伝熱要素550の厚さに対して設定される。本質的に、伝熱要素550は、上側アーム546aが伝熱要素550の気化面に当接し、下側アームが伝熱要素550の接触面に当接するように、支持部材540に挿入される。実際には、支持アーム546は、伝熱要素500を、支持部材540に対して概して固定された位置で保持する。
【0054】
支持部材540を組み立てるために、上述したように、ウィック530がスロット542に通される。次に、伝熱要素550は、例えば環状アーム546によって画定される穴を通してディスク状の伝熱要素550を作動させることによって、アーム546の間に挿入される。これは、支持部材540を可撓性材料(例えばシリコーン)から形成することによって、より容易にすることができる。アーム546は、脚部543から延びる環状突出部を画定する。図示される例では、上側支持アーム546aは、下側支持アーム546bの内径よりも小さい内径を有する。上側支持アーム546aは、伝熱要素550が上側アーム546aを越えて支持部材540に押し込まれるのを防止するためのストッパとして作用する。下側アーム546bは、伝熱要素550を所定位置に保持するために提供されるが、伝熱要素550がアーム546間の所定位置に押し込まれることを可能にするためにより小さい内径を有する。所定位置にあるとき、伝熱要素550は、U字形ウィック530をわずかに圧縮し、U字形の曲線を本質的に平らにする。これにより、伝熱要素550の気化面と接触するウィック530の表面積が増加され、追加として、伝熱要素550の気化面とウィック530との間の一定の接触が保証される。より一般的には、ウィック530は、ウィック530と流体連通していると言われる(そして、最終的には、液体リザーバ520に貯蔵されており、ウィックによって輸送される原料液体と流体連通しているとも言われる)。ウィック530は、リザーバからの液体の移動を最大にし、また気化面との接触も最大にする他の形態を取ることができる。
【0055】
図6に戻ると、前述したように、カートリッジ部品500は、再利用可能部品400の第2の係合機構416と協働して係合するように構成された係合機構515を備える。この例では、係合機構515は、外側管状壁514の内面に形成され、ねじ区域515を含む。ねじ区域515は、第2の係合機構416のねじ外面とねじ係合するように構成される。言い換えると、カートリッジ部品500を再利用可能デバイス部品に取り付ける又は取り外すために、ユーザは、カートリッジ部品500(及び/又は再利用可能デバイス部品400)を長手方向軸線の周りでねじって、ねじ部分を係合/係合解除する。前述したように、差込み嵌めや圧入など他の係合機構が可能であり、使用される正確な係合機構は、本開示の原理に重要ではない。
【0056】
カートリッジ部品500が再利用可能デバイス部品400に結合されるとき、ヒータ450は、伝熱要素550と係合/接触するように配置される。使用中、ヒータ450は電力を供給され、その後、加熱される。ヒータ450は、その熱を、伝導などによって伝熱要素550と交換する。
【0057】
記載され、
図5及び6に示される実装形態では、ヒータ450は、再利用可能デバイス部品400から特定の距離だけ突出し、伝熱要素550は、カートリッジ部品500の本体に凹まされて又は引っ込められて提供される。記載される実装形態では、カートリッジ部品500の端部(再利用可能部品に結合する端部)と伝熱要素550との間の距離は、ヒータ450が再利用可能部品400の表面から突出する距離よりもわずかに小さい(例えば2~5mm小さい)。このようにして、カートリッジ部品500が再利用可能部品400に結合されるとき、ヒータ450は、伝熱要素550に接触し、伝熱要素550を、長手方向軸線LAに沿った方向で支持部材540/カートリッジ部品500に押し込む。弾性支持部材540は、軸線方向への(例えば長手方向軸線LAに沿った)伝熱要素550のいくらかの動きを可能にするが、そのような動きに抵抗するように付勢される。追加として又は代替として、弾性ヒータ支持体440は、軸線方向への(例えば長手方向軸線LAに沿った)伝熱要素550のいくらかの動きを可能にするが、そのような動きに抵抗するように付勢される。したがって、相対距離のこの差を提供することによって、ヒータ450を伝熱要素550と直接接触させることができ、伝熱要素550は、その後、ヒータ450の表面に偏倚される。これは、ヒータ450と伝熱要素550との間の高信頼性であり一定の接触を確実に確立することができる。いくつかの場合には、このように伝熱要素550をカートリッジ部品500の本体にさらに押し込むことにより、支持部材540もカートリッジ部品500の本体にさらに押し込まれ、これにより、支持部材540が外側管状壁514及び内側管状壁512の内面にさらに押し付けられ、これは、支持部材540とハウジング510との間の封止を改良する助けとなり得る。さらに、カートリッジ部品500と再利用可能デバイス部品400とを結合するときに生成される押圧力は、特にヒータ450が伝熱要素550の一部のみに接触する場合に、伝熱要素550をわずかに変形/湾曲させることができる。
【0058】
伝熱要素550は、金属などの熱伝導材料から形成される。使用時、ユーザ入力(ボタンの押下又はユーザのパフの検出であってもよい)に応答して、電力がバッテリ420からヒータ450に供給される。これにより、ヒータ450は、その温度を例えば約200℃の気化温度まで、又はより高温に上昇させる(これは、システム内の伝熱の非効率性によって左右されることがある)。ヒータ450によって生成された熱は、例えば熱伝導によって伝熱要素550に伝達される。これにより、伝熱要素550は、ウィック530に含まれる原料液体を気化させて原料液体の蒸気を生成するのに十分な温度、例えば約200℃(本明細書では気化温度と呼ぶ)まで温度上昇する。異なる原料液体は異なる気化温度を有することがあることを理解すべきである。
【0059】
したがって、デバイス部品400とカートリッジ部品500とが使用のために互いに結合されるとき、ヒータ450と伝熱要素550とは熱的に連通していると言われる。すなわち、デバイス部品400にあるヒータ450からカートリッジ部品500にある伝熱要素550に熱が伝達/輸送されて、伝熱要素500を加熱させる。本開示の一態様は、熱源(すなわち、熱を生成する要素/構成要素)が、カートリッジ部品ではなくデバイス部品に位置するものである。
【0060】
伝熱要素550は、任意の所望の形状を取り、任意の厚さを有し、任意の熱伝導材料から形成することができる。しかし、効率的な加熱(及び効率的な電力使用)を確実に行うために、目下の特定の用途に関して伝熱要素550のパラメータの注意深い選択が必要である。伝熱要素550の全体の厚さ又は表面積を減少させることは、伝熱要素550を気化温度にするのに必要なエネルギーが比較的少ない(又は接触面から伝熱要素の気化面への伝熱が改良される)ことを意味する。代替として(又は追加として)、伝熱要素550が形成される材料の種類又は密度も加熱効率に影響を及ぼすことがあり、例えば、特に良好な熱伝導率を有する材料から形成すると、全体的なエネルギー効率を改善することができる。一例として、アルミニウムの薄片から作られた伝熱要素500は、同様の厚さの鋼(7.8g/cm
3)から作られる伝熱要素に比べて、比較的高い熱伝導率及び低い密度(2.7g/cm
3)を有する。しかし、より薄いアルミニウムは鋼よりも構造的剛性が小さく、したがって堅牢性がより重要となる用途には適さないことがあるため、トレードオフがある。一般に、伝熱要素550を形成する材料は、目下の用途に関する特定の密度、比熱容量、熱伝導率、及び堅牢性を有するように選択することができる。伝熱要素550が気化温度まで加熱されると、ウィック530内に貯蔵され、伝熱要素550の気化面と接触又は近接する原料液体が気化される。
図6を参照すると、蒸気は、主に伝熱要素550の気化面の上方の領域で生成される。吸気口519がカートリッジ部品500に設けられており、これにより、空気がカートリッジ部品500の外部(すなわち、ハウジング510の外部)からカートリッジ部品500に流入することができる。この実装形態では、第1の開口部が管状外壁514に設けられ、第2の開口部が支持部材540に設けられ、これら2つの開口部は、互いに整列されたときに吸気口519を画定する。管状外壁514の開口部は、組立てプロセスにおける位置合わせ不一致に対処するように、支持部材540の開口部よりも大きいことがある。第2の吸気口は、デバイス300の外部の空気が吸気口519を通ることができるように、カバー600、又は再利用可能デバイス部品400のハウジング410のいずれかに提供される。ユーザがカバー600のマウスピース605を通して吸入すると、空気がカバー600又はハウジング410の外部から引き込まれ、カートリッジ部品500の吸気口519を通過し、生成された蒸気と混合して/蒸気を収集して、エアロゾルを形成する。エアロゾルは、内側管状壁512の内面によって画定される空気通路518に沿って進む。次いで、エアロゾルは、空気通路518に沿って進められてカートリッジ部品500の上端から出て、カバー600のマウスピース605を通ってユーザの口/肺に入る。
【0061】
いくつかの実装形態では、Oリング(図示せず)などの封止部材を、空気通路518の開端部を囲むようにカートリッジ部品500の環状上壁516に設けて、カバー600と係合する(すなわち、カバー600の内部中空部分を画定する表面によって圧縮される)ように配置することができ、エアロゾルがカートリッジ部品500のハウジング510とカバー600の内部との間を通るのを防止又は低減する。
【0062】
図8は、エアロゾル供給システム300を使用する例示的な方法を流れ図で表す。この方法は、分離された状態でのエアロゾル供給システム300から始まり、すなわち、再利用可能デバイス部品400がカートリッジ部品500及びカバー600から分離された状態から始まる。
【0063】
ステップ700で、ユーザは、例えば係合機構416が係合機構515と係合するようにカートリッジ部品500を再利用可能デバイス部品400にねじ込むことによって、再利用可能デバイス部品400をカートリッジ部品500に結合する。また、ユーザは、例えばカバー600のリップ(図示せず)を係合機構414に設けられた凹部にクリップ留めすることによってカートリッジ部品500が再利用可能部品400に結合された後、カバー600を再利用可能デバイス部品400に結合することができる。
【0064】
ステップ702で、エアロゾル供給システム300は、エアロゾルの供給をユーザが望んでいることを示すユーザの入力を検出する。前述のように、これは、再利用可能デバイス部品400の表面に設けられたボタン若しくは同様の機構とのユーザの対話の検出によって、又は代替として、ユーザがシステム300から吸入したときの圧力又は気流の変化の(気流若しくは圧力センサを用いた)検出によって行われることがある。より具体的には、制御回路430は、(任意の形態の)ユーザの入力を検出する。
【0065】
ステップ704で、ヒータ450に電力が供給される。より具体的には、制御回路430は、ユーザの入力が検出されると、(例えばワイヤ432を通る電流の流れを可能にすることによって)バッテリ420からヒータ450への電力の送達を制御するように構成される。電力は、任意の適切な方法で供給することができ、例えば電力は、パルス幅変調技法に従って変調させることができる。さらに、制御回路430は、ヒータ450の温度を示す温度センサ480からの読取値を受信することができる。制御回路430は、温度読取値に基づいて電力の供給を調整するように構成される。
【0066】
ステップ706で、伝熱要素550に熱が伝達される。ステップ706は、ステップ704と並行して行われる。伝熱要素550は、気化温度まで上昇され、前述のように、ウィック530に保持された原料液体を気化させる。ステップ708で、ユーザが吸入するとき、空気がカートリッジ部品500に引き込まれ、生成された蒸気と混合した後、カートリッジ部品500を通過して、カバー600のマウスピース端部605の開口部から出る。この方法は、生成されたエアロゾルがユーザに提供されることで終了する。当然、この方法が繰り返されてもよく、その場合、方法はステップ708からステップ702に戻って、別の量の吸入可能なエアロゾルをユーザに提供することができる。
【0067】
本開示のエアロゾル供給システム300は、例えば
図1のカートリッジ部品30と比較して、カートリッジ部品500に含まれる異なる構成要素がより少数であるエアロゾル供給システム300を提供する。さらに、例えば
図1のカートリッジ部品30と比較して、カートリッジ部品500を組み立てる複雑さが低減される。これらの因子はどちらも、全体的なコストの削減、及びカートリッジ部品500を製造するための製造プロセスの単純化に寄与することができる。
【0068】
さらに、エアロゾル供給システム300は、再利用可能デバイス部品400内にヒータ450を含み、これは、ヒータ450をいくつかのカートリッジ部品500と共に再利用することができ、ヒータ450が廃棄されないことを意味する。これは、ヒータ155が使い捨てカートリッジ部品30の一体構成要素である例示的なeシガレット10と比較して、エアロゾル供給システム300においてより高価な及び/又はよりエネルギー効率の高いヒータを提供することがより経済的に実現可能であることを意味する。さらに、この実装形態では、ヒータ450は原料液体と全く接触せず、これは、異なるカートリッジ部品500間の汚染の可能性がない又はほとんどないことを意味する。これは、ヒータ450から流体的に隔離されている空気経路(すなわち経路518)に沿って流れることが許されている生成されたエアロゾルにも同様に当てはまり、それにより、生成されたエアロゾルへのヒータ450の露出を低減、さらには防止する。これは、一般にデバイスがより衛生的であることを意味する。
【0069】
以上、デバイス部品及び着脱可能カートリッジ部品を含むエアロゾル供給システムであって、カートリッジ部品が、使用のためにデバイス部品に結合され、デバイス部品がヒータを備え、カートリッジ部品が、原料液体用のリザーバと、原料液体用のリザーバと流体連通するように構成された気化面とを備え、カートリッジ部品が使用のためにデバイス部品に結合されるとき、気化面がヒータと熱的に連通され、それにより、ヒータが作動されたときに気化面が加熱されて、気化面と流体連通する原料液体の少なくとも一部の気化を引き起こす、エアロゾル供給システムを述べた。カートリッジ部品、デバイス部品、及び吸入用の蒸気を生成する方法も述べた。
伝熱要素550は、金属材料から形成されるものとして上述した。しかし、いくつかの実装形態では、伝熱要素550は、部分的又は全体的に、セラミック又は他の多孔質材料から形成されてもよい。
図9は、セラミック材料から形成された伝熱要素550’を含む例示的なカートリッジ部品500’の概略図である。カートリッジ部品500’は、
図5の再利用可能部品400と共に使用されるように構成され、カートリッジ部品500と実質的に同じである。簡潔にするために、カートリッジ部品500とは異なる構成要素のみを詳細に述べる。同一の構成要素は同じ参照番号で示し、ここでさらに詳細には述べない。
【0070】
伝熱要素550’は、支持部材540’に取り付けられて示されている。支持部材540’は、支持部材540と実質的に同じであるが、液体リザーバ520に貯蔵された原料液体と直接接触するように伝熱要素550’を提供する。すなわち、伝熱要素550’の最上面の少なくとも一部が原料液体と接触する。カートリッジ部品500’において、伝熱要素550’は、液体リザーバ520から液体をウィッキングするように作用する。すなわち、伝熱要素550’は、液体リザーバ520から気化面に原料液体をウィッキングするように作用する。それに従って、原料液体は伝熱要素550’に貯蔵され、伝熱要素550’は、その後、再利用可能部品400のヒータ450によって加熱されて、伝熱要素550’に貯蔵された原料液体から気化面に蒸気を生成する。この実装形態は、カートリッジ部品500’を形成するのに必要とされる構成要素の数をさらに減少する。また、吸気口519’が外側管状壁514のみに設けられていることにも留意すべきである。いくつかの実装形態では、(複合型の伝熱要素及びウィック要素550’に貯蔵された原料液体とは対照的に)液体リザーバ520に貯蔵された原料液体の本体への伝熱を防止又は低減するために、ヒータ450は、伝熱要素550’の接触面全体ではなく、接触面の一部のみに接触することがある。
【0071】
使用前(すなわち、カートリッジ部品500’を再利用可能部品400に結合する前)にセラミック伝熱要素550’を通って浸透する原料液体を防止又は低減するために、カートリッジ部品500’は、着脱可能封止部材580’を設けられることがある。着脱可能封止部材580’は、伝熱要素550’の接触面を覆い、(例えば接着剤層を介して)接触面に着脱可能に取り付けられるように構成される。カートリッジ部品500’を再利用可能部品に結合する前に、ユーザは、着脱可能封止部材580’(ユーザが把持することができるタブを含むことがある)を引っ張って、着脱可能封止部材580’を伝熱要素550’の接触面から分離する。この配置では、いくらかの原料液体が、例えば伝熱要素550’を通って滴下するときにヒータ450に接触することがある。ヒータ450は、交差汚染を低減するために、ヒータ450の表面を例えば布又は類似の洗浄用具できれいに拭き取ることができるように形作られることがある。
【0072】
また、複合型のセラミック伝熱及びウィック要素550’には、原料液体を伝熱要素550’にウィッキングするためにウィック要素530を設けることができることも理解すべきである。
【0073】
代替として、伝熱要素550’は、多層から形成することができ、最下層(伝熱要素550’の接触面を形成する層)を金属材料(例えば伝熱要素550に関して上述した任意の材料)から形成することができ、最上層(気化面を形成する層)をセラミック又は多孔性材料から形成することができる。これに関して、金属層は、障壁として作用することによって、伝熱要素550’を通る液体漏れを防止又は低減することができる。代替として、金属層は、伝熱要素550’を通る液体漏れを低減するために、多孔性セラミック又はより低い多孔率の他の多孔性材料によって置き換えられてもよい。すなわち、伝熱要素550’は、接触面から気化面に向けて増加する多孔率勾配を有することがある。
【0074】
また、セラミック又は多孔質材料から完全に形成されたセラミック層又は伝熱要素550’の場合、気化面は、多孔質材料内のどこかに形成された表面でもよいことを理解すべきである。すなわち、気孔の内面が気化面を形成することがあり、したがって気化面は必ずしも伝熱要素550’の最上面ではないことがある。
【0075】
上述したように、伝熱要素550は、可撓性及び弾性材料から形成された支持部材540に取り付けられ、(再利用可能部品400から突出する)ヒータ450が伝熱部材550に接触するとき、支持部材550の可撓性及び弾性材料は、第1に、伝熱要素550をカートリッジ部品500内へさらに奥に位置させ、第2に、伝熱要素550をヒータ450に向けて付勢する。しかし、他の実装形態では、伝熱要素550は、カートリッジ部品500のハウジング510に対して移動可能に提供される、剛性であるが可動の構成要素に取り付けられる。同様に、カートリッジ部品500が再利用可能部品400に結合されるとき、突出するヒータ450が伝熱要素550に接触すると、可動構成要素がカートリッジ部品500のハウジング510内に押し込まれる。可撓性及び弾性支持部材450に関して述べた付勢力は、例えば、ばねなどの付勢部材を介して加えることができる。
【0076】
伝熱要素550、550’は、円形断面を有する平面部材として一般に述べてきたが、他の実装形態では、伝熱要素550、550’は平面部材でなくてもよいことを理解すべきである。例えば、伝熱要素550は、放物面形状の気化面(上面)を有することがある。すなわち、伝熱要素550は、均一な厚さを有さないことがある。これは、伝熱要素の表面全体にわたる温度を変えることによって、生成される蒸気の特性を変えることができ、及び/又は伝熱要素550を気化温度まで上げるのに必要なエネルギーを変えることができる。
【0077】
ヒータ450は円形断面を有する平面部材として述べてきたが、ヒータが任意の所望の形状を取ることができることを理解すべきである。例えば、ヒータ450は、eシガレット300の中心軸線LAに沿って見たときに長方形の断面を有することがある。異なる目的のために異なる断面を採用することができる。いくつかの場合には、ヒータ450を動作温度まで上げるときの電力消費を低減するために、ヒータ450の質量を最小化することが望ましいことがある。これは、ヒータ450の断面形状又は厚さを変えることによって実現される。さらに、いくつかの実装形態における伝熱要素550の接触面は、ヒータ450の断面形状に合致するように構成される。すなわち、伝熱要素550に接触するヒータ450の表面と、ヒータ450に接触する伝熱要素550の表面とは、同様の面積及び同様の形状を有するように構成される。
【0078】
ヒータ450を抵抗ヒータとして述べてきたが、ヒータ450は、誘導や放射など任意の適切な加熱手段によって加熱することができることを理解すべきである。例えば、電力を電気抵抗プレートに直接供給するのではなく、代わりに、ヒータは、ワークコイルとサセプタプレートとから形成されてもよく、サセプタプレートは、電流をワークコイルに通すことによって生成される浸透磁場によって加熱される。同様に、加熱されたサセプタプレートは、伝熱要素550と物理的に接触して、その熱を伝熱プレートに伝達し、その後、ウィック530内の液体を気化させる。より一般的には、ヒータ450は熱源と考えることができ、すなわち、エアロゾル原材料を気化させるための熱を最初に生成する構成要素である。
【0079】
いくつかの実装形態では、ヒータ450及び/又は伝熱要素550は、電気絶縁層を設けられている。これは、ヒータ450が、抵抗ヒータであるか、又は電流がヒータ450を通過する他のタイプのヒータである場合に特に当てはまる。例えば、いくつかの実装形態では、伝熱要素550の接触面に接触するヒータ450の表面には、酸化アルミニウムなどのセラミックの薄層が設けられる。伝熱要素550が導電性材料から形成される場合、ヒータ450に電気絶縁材料を提供することにより、伝熱要素550内に/伝熱要素550を通って電流が流れるのが防止される。絶縁層は、比較的高い熱伝導率を有していてもよく、それにより伝熱効率は、この層の存在によって実質的に影響を及ぼされない。他の実装形態では、ヒータ450の代わりに(又はそれに加えて)伝熱要素550に電気絶縁層を設けることができることを理解すべきである。
【0080】
エアロゾル供給デバイス300がカバー600を含むことを上述したが、カバー600は任意選択であり、いくつかの実装形態では設けられないことがあることを理解すべきである。例えば、カートリッジ部品500はユーザの唇が接触する構成要素であるので、カートリッジ部品500の外側ハウジングがカバー600として作用することがある。例えば、ユーザは、唇を空気通路518への開口部の周りに当て、(マウスピース605を通してではなく)空気通路518を通して直接吸入することができる。カートリッジ部品500は、ユーザの唇に対応するように人間工学的に形作られてもよく、又は適切な材料から作られてもよい。
【0081】
吸気口519がカートリッジ部品500の壁に設けられていることを上述したが、吸気口を他の構成で設けることも可能である。例えば、伝熱要素に、1つ又は複数の貫通穴を穿孔することができる。これにより、空気がウィッキング要素を通って流れることが可能になる。この実装形態では、カートリッジ部品への空気の進入は、カートリッジ部品と再利用可能デバイス部品との間の比較的空気透過性の接続によって実現することができる。
【0082】
上述した実施形態はいくつかの点でいくつかの特定の例示的なエアロゾル供給システムに焦点を当てているが、同じ原理を、他の技術を使用するエアロゾル供給システムにも適用できることを理解されたい。すなわち、エアロゾル供給システムの様々な態様が機能する特定の方法は、本明細書で述べる例の根底にある原理に直接関連していない。
【0083】
様々な問題に対処し、当技術を進歩させるために、本開示は、特許請求される発明を実施することができる様々な実施形態を例示として示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的な実例にすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。それらは、特許請求される発明を理解するのを助けて教示するためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示に対する制限、又は特許請求の範囲の均等物に対する制限と考えるべきではないこと、さらに、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、修正を行うことができることを理解されたい。様々な実施形態は、本明細書に具体的に述べたもの以外の開示される要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に含む、それらからなる、又はそれらから本質的になることがあり、したがって、特許請求の範囲に明示的に記載されているもの以外の組合せで従属クレームの特徴を独立クレームの特徴と組み合わせることができることを理解されたい。本開示は、現在特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含むことがある。