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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】医療用酸素供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
A61M16/10 Z
A61M16/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018131442
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020006016
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月27日 第58回日本呼吸器学会学術講演会にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】595099960
【氏名又は名称】株式会社群馬コイケ
(73)【特許権者】
【識別番号】591027008
【氏名又は名称】株式会社小池メディカル
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 晃二
(72)【発明者】
【氏名】高野 英一
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171823(JP,A)
【文献】特開2015-123210(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101433743(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用酸素を流通させる開口部を有する医療用酸素ボンベの口金に取り付けられて患者に医療用酸素を供給する医療用酸素供給装置であって、
医療用酸素ボンベの口金を挿通する穴と、該穴に挿通した医療用酸素ボンベの口金を一方向に押圧する押圧部材を有する取付部材と、
前記取付部材と一体的に構成され、該取付部材に設けた押圧部材と対向して配置された本体部と、前記本体部と連続し且つ前記取付部材に設けた押圧部材及び前記取付部材の側片と並行し前記取付部材との間に間隙をあけて配置された一対の突状部と、を有し平面視がコ字状に形成されたケーシングと、
前記ケーシングの本体部に配置され医療用酸素ボンベの口金に設けた開口部と嵌合して医療用酸素が供給されるノズルを有し供給された医療用酸素の圧力を調整する圧力調整部材と、
前記取付部材に摺動可能に装着される摺動部と、該摺動部と交差する方向に形成され医療用酸素ボンベの口金に嵌装される嵌装部と、を有し、該嵌装部を医療用酸素ボンベの口金に装着したとき、前記圧力調整部材のノズルが医療用酸素ボンベの口金の側面に形成された開口部に対向し得るように形成された嵌装部材と、を有することを特徴とする医療用酸素供給装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、該ケーシングの本体部又は該本体部から一方の突状部にかけて配置された圧力が調整された医療用酸素の流量を設定する流量設定部材と、該ケーシングの本体部又は該本体部から他方の突状部にかけて配置され流量が設定された医療用酸素を患者に対し連続して供給し又は患者の吸気に対応させて供給する弁部材と、該ケーシングの何れか一方の突状部に配置され、患者に対する医療用酸素の供給を連続的に行う連続供給又は吸気に対応させて行う吸気同調供給を選択する選択スイッチと、該ケーシングの他方の突状部に配置され、患者の吸気を検出する吸気検出センサと、該ケーシングの他方の突状部に配置され、吸気の有無を表示する吸気表示部と、該ケーシングの他方の突状部に配置され、前記選択スイッチによって吸気同調供給が選択されると共に前記流量設定部材によって流量が設定されたとき前記吸気検出センサの検出信号に基づいて前記弁部材を開閉すると共に前記吸気表示部に表示させるように制御する制御部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載した医療用酸素供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用酸素ボンベの口金に取り付けたとき周囲の邪魔になることがなく且つ医療用酸素ボンベの口金に対し容易に確実に取り付けることができる医療用酸素供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病室で医療用酸素ボンベを起立させて或いはカートに搭載して移動しつつ、患者に医療用酸素を供給することが行われる。医療用酸素ボンベから供給された医療用酸素は、所定の圧力に減圧された後、患者に対して予め設定された流量に調整される。そして、圧力及び流量が調整された医療用酸素がカニューラを経由して患者に供給される。
【0003】
このため、医療用酸素ボンベの口金に装着される医療用酸素供給装置は、医療用酸素ボンベに充填された高圧の医療用酸素を減圧する減圧機構と、流量を調整する調節機構を内臓して構成されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された酸素供給装置は、患者の吸気に同調させて医療用酸素を供給するものである。この酸素供給装置は、ケーシングの端部に一体的に設けられた略ロ字状の結合部を介してボンベの口金に装着され、止めねじによって固定し得るように構成されている。また、ケーシングの内部には、高圧の医療用酸素を減圧する減圧部、減圧された医療用酸素を患者に供給又は停止する開閉部、患者の吸気に応じて開閉部を開閉する制御部、が直線的に配置されている。そして、減圧部と開閉部との間に配置されたオリフィスプレートを操作することで、医療用酸素の流量を設定し得るように構成されている。
【0005】
また、医療用酸素ボンベを在宅で利用する場合、該医療用酸素ボンベに対する医療用酸素供給装置の着脱は患者が自ら或いは介護者が行うため、確実で容易に取り付ける得ることが重要となる。このため、特許文献2に記載された取付治具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6192213号公報
【文献】特開2016-171823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された医療用酸素供給装置では、患者の吸気に応じて医療用酸素を供給する機構が機械的に構成されており合理的であるものの、呼気の有無を検出して表示する構成ではない。また、減圧部、開閉部、制御部、流量設定部が直列に配列されているため、ボンベの口金に取り付けたとき、口金からの突出長さが大きくなり、該ボンベの起立状態が不安定になる虞が生じている。更に、ボンベをカートに搭載して移動する際に、医療用酸素供給装置がボンベから突出するようになり、周囲に対して邪魔になる虞も生じている。
【0008】
また、在宅で医療用酸素ボンベの口金に特許文献1に記載された医療用酸素供給装置を装着する際に、該医療用酸素供給装置のノズルを医療用酸素ボンベの口金に形成されている開口部に対向させる作業が困難になる虞が生じている。
【0009】
このため、患者の吸気の有無を検出して表示することが可能で、且つ医療用酸素ボンベの口金に容易に且つ確実に取り付けることが可能で、取り付けた後もボンベの起立状態の不安定化を招くことがなく、且つ周囲に対して邪魔になることのないような医療用酸素供給装置の開発が要求されているのが実情である。
【0010】
本発明の目的は、患者の吸気の有無を表示することができ、且つ医療用酸素ボンベの口金に容易に且つ確実取り付けることができ、取り付けた後、周囲の邪魔になることのない医療用酸素供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明に係る医療用酸素供給装置は、医療用酸素を流通させる開口部を有する医療用酸素ボンベの口金に取り付けられて患者に医療用酸素を供給する医療用酸素供給装置であって、医療用酸素ボンベの口金を挿通する穴と、該穴に挿通した医療用酸素ボンベの口金を一方向に押圧する押圧部材を有する取付部材と、前記取付部材と一体的に構成され、該取付部材に設けた押圧部材と対向して配置された本体部と、前記本体部と連続し且つ前記取付部材に設けた押圧部材及び前記取付部材の側片と並行し前記取付部材との間に間隙をあけて配置された一対の突状部と、を有し平面視がコ字状に形成されたケーシングと、前記ケーシングの本体部に配置され医療用酸素ボンベの口金に設けた開口部と嵌合して医療用酸素が供給されるノズルを有し供給された医療用酸素の圧力を調整する圧力調整部材と、前記取付部材に摺動可能に装着される摺動部と、該摺動部と交差する方向に形成され医療用酸素ボンベの口金に嵌装される嵌装部と、を有し、該嵌装部を医療用酸素ボンベの口金に装着したとき、前記圧力調整部材のノズルが医療用酸素ボンベの口金の側面に形成された開口部に対向し得るように形成された嵌装部材と、を有するものである。
【0012】
上記医療用酸素供給装置に於いて、前記ケーシングは、該ケーシングの本体部又は該本体部から一方の突状部にかけて配置された圧力が調整された医療用酸素の流量を設定する流量設定部材と、該ケーシングの本体部又は該本体部から他方の突状部にかけて配置され流量が設定された医療用酸素を患者に対し連続して供給し又は患者の吸気に対応させて供給する弁部材と、該ケーシングの何れか一方の突状部に配置され、患者に対する医療用酸素の供給を連続的に行う連続供給又は吸気に対応させて行う吸気同調供給を選択する選択スイッチと、該ケーシングの他方の突状部に配置され、患者の吸気を検出する吸気検出センサと、該ケーシングの他方の突状部に配置され、吸気の有無を表示する吸気表示部と、該ケーシングの他方の突状部に配置され、前記選択スイッチによって吸気同調供給が選択されると共に前記流量設定部材によって流量が設定されたとき前記吸気検出センサの検出信号に基づいて前記弁部材を開閉すると共に前記吸気表示部に表示させるように制御する制御部と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る医療用酸素供給装置(以下「酸素供給装置」という)は、酸素供給装置が本体部と一対の突状部とからなる略コ字状のケーシングを有するため、医療用酸素ボンベ(以下「ボンベ」という)に取り付けたとき、ケーシングの本体部と一対の突状部が該ボンベの口金を三方から取り囲むように配置される。このため、酸素供給装置のボンベの口金からの突出長さが小さくなり、周囲の邪魔になることがなく、且つボンベの起立状態の安定化をはかることができる。
【0014】
また、摺動部と、ボンベの口金に嵌装される嵌装部と、を有する嵌装部材を取付部材に摺動可能に装着したので、該嵌装部材の嵌装部をボンベの口金に嵌装することで、酸素供給装置のノズルとボンベの口金の開口部を確実に対向させることができる。このため、在宅でボンベの口金に酸素供給装置を取り付ける際の作業を容易に行うことができ、且つ確実な取り付けを実現できる。
【0015】
また、患者の吸気を吸気検出センサによって検出して吸気の有無を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例に係る酸素供給装置に於ける構成要素の配置を説明する平面図である。
図2図1のII矢視図である。
図3図1のIII矢視図である。
図4図1のIV矢視図である。
図5】嵌装部材の構成を説明する図である。
図6】嵌装部材を酸素供給装置に取り付ける際の手順を説明する模式図である。
図7】嵌装部材を介して酸素供給装置をボンベの口金に取り付ける際の手順を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る酸素供給装置は、ボンベの口金に取り付ける取付部材に摺動可能に嵌装部材を取り付けることで、該口金に対する酸素供給装置の取付作業を容易に各確実に行えるようにしたものである。
【0018】
また、圧力調整機能と、流量設定機能及び患者に対する供給停止機能を夫々異なる部材として構成し、これらの部材をケーシングの内部に合理的に配置することで、ボンベの口金に取り付けたときの突出長さを小さくしたものである。そして、この構成によって、自立させたボンベに取り付けたときの安定性を向上させることが可能となり、且つ周囲に対して邪魔になることがない。
【0019】
本実施例に係る酸素供給装置の構成について図により説明する。図に示す酸素供給装置Aは、ボンベの口金Bに取り付けるための取付部材1と、該取付部材1に摺動可能に装着された嵌装部材Cと、取付部材1と一体的に構成され内部に後述する各部材などを収容したケーシング10を有して構成されている。
【0020】
取付部材1は、ボンベの口金Bを挿通するための穴2を有する平面視が略ロ字状に形成されている。また、取付部材1の片1aには押圧部材となる押しネジ3が配置されており、該片1aと対向する片1bを介してケーシング10と一体化し、該片1bに後述する圧力調整部材12のノズル12aが対応している。片1aと片1bとは一対の片1c、1dによって接続されている。
【0021】
ケーシング10は、取付部材1の片1bと一体化した本体部10aと、この本体部10aと連続して形成され取付部材1の片1、1と並行して配置された一対の突状部10b、10cと、を有して構成されている。特に、突状部10b、10cは夫々取付部材1の片1c、1dに沿って並行して形成されている。このため、ケーシング10は平面視が略コ字状に形成されている。
【0022】
また、ケーシング10の取付部材1側の端面には、位置決め用のピン10dが配置されている。更に、ケーシング10は下部体と上部体とに分割されており、下部体に後述する各部材が取り付けられると共に、上部体に後述する表示部が配置されている。
【0023】
酸素供給装置Aの説明に先立って、嵌装部材Cの構成について図5により説明する。この嵌装部材Cは、現在一般的に利用されているボンベの口金Bに酸素供給装置Aを取り付ける際に用いられるものである。このボンベの口金Bには側面に開口部4a及びピン穴4bが形成されている。
【0024】
図に示す嵌装部材Cは、酸素供給装置Aの取付部材1に摺動可能に装着される摺動部5と、摺動部5の摺動方向と交差する方向に形成されボンベの口金Bに嵌装される嵌装部6、を有して構成されている。本実施例では、摺動部5による取付部材1の摺動方向と、嵌装部6による口金Bに対する嵌装方向は直交している。
【0025】
そして、摺動部5を酸素供給装置Aの取付部材1に装着し、この状態で嵌装部6をボンベの口金Bに嵌装したとき、ノズル12aが口金Bの開口部4aに対向し、且つピン10dがピン穴4bに対向し得るように構成されている。
【0026】
摺動部5は、取付部材1の片1c、1dの外周を包み込むように嵌合し、この状態で片1c、1dに沿って摺動する。そして、この摺動によってノズル12aを口金Bのハンドル4cとの衝突を防ぐように回避させることが可能であり、押ねじ3の回転に伴ってノズル12aを口金Bに形成された開口部4a側に移動させて円滑に結合することが可能である。このため、摺動部5は、ハンドル4cとの干渉を避けるために、嵌装部6の端部から起立して形成された一対の挟持片5aによって構成されている。
【0027】
嵌装部6はボンベの口金Bに嵌装されるものであり、口金Bの断面形状と対応する形状を有する筒状の本体部6aを有している。この本体部6aの一方の端部に摺動部5を構成する挟持片5aが形成され、他方の端部側の内面に口金Bの基部と当接する当接部6bが形成されている。
【0028】
次に上記の如く構成された嵌装部材Cを利用して酸素供給装置Aをボンベの口金Bに取り付ける際の手順について図6図7により説明する。尚、取付部材1はケーシング10の突状部10b、10cの間に配置されている。しかし、同図では記載の煩雑さを避けるため取付部材1のみを記載している。
【0029】
先ず、図6により、嵌装部材Cを酸素供給装置Aの取付部材1に取り付ける手順を説明する。図6(a)に示すように、酸素供給装置Aの取付部材1に螺合してある押しねじ3を離脱させる。そして、摺動部5の挟持片5aを取付部材1の片1c1dに嵌合する。その後、同図(b)に示すように、押しねじ3を取付部材1に螺合させる。このとき、押しねじ3は、取付部材1から落下することがない程度に螺合していれば良い。このようにして嵌装部材Cを取付部材1に取り付けたとき、該嵌装部材Cは取付部材1の片1c、1dに沿って摺動可能となる。
【0030】
次いで図7(a)に示すように、嵌装部材Cの嵌装部6をボンベの口金Bの上方に配置して嵌装させる。このとき、押しねじ3が穴2に露出することがないため、同図(b)に示すように円滑な嵌装を実現することが可能である。そして、嵌装部材Cの嵌装部6に設けた当接部6bが口金Bの基部に当接したとき、酸素供給装置Aのノズル12aが口金Bに形成した開口部4aと対向し、ピン10dが開口部4aの下側に設けたピン穴4bに対向する。
【0031】
更に、同図(c)に示すように、押しねじ3を締め付けることで、酸素供給装置Aは取付部材1に沿って矢印a方向に移動する。そして、酸素供給装置Aに設けたノズル12aが開口部4aに嵌合すると共にピン10dがピン穴4bに嵌合する。
【0032】
このように、嵌装部材Cを利用して酸素供給装置Aをボンベの口金Bに対して取り付ける際に、酸素供給装置を片手で保持しながらノズルを開口部に対向したか否かを目視により確認する必要がなく、容易に確実に取り付けることが可能である。
【0033】
次に、酸素供給装置Aの構成について具体的に説明する。
【0034】
ケーシング10の本体部10aであって取付部材1をボンベの口金Bに取り付けたとき、ノズル12aが該口金Bの開口部と対向する位置となるように圧力調整部材12が配置されている。圧力調整部材12の構造は特に限定するものではないが、ノズル12aに対しダイヤフラムやケレップを有する減圧機構が交差するように構成したものであることが好ましい。
【0035】
圧力調整部材12は圧力計12bを有しており、該圧力計によってボンベに充填された医療用酸素(以下単に「酸素)という)の圧力を確認し得るように構成されている。
【0036】
上記の如く構成された圧力調整部材12では、該圧力調整部材12の長手方向を取付部材1の片1bと並行して配置することで、ケーシング10の本体部10aの長手方向に一致させることが可能となる。このため、供給装置Aのボンベの口金Bからの突出長さを大きくすることがない。
【0037】
ケーシング10の本体部10aに、或いは本体部10aから一方の突状部例えば突状部10bにかけて、流量設定部材13が配置されている。この流量設定部材13の構成も特に限定するものではなく、予め設定された寸法を有する複数のオリフィスを選択することで流量を設定するような構成であることが好ましい。
【0038】
本実施例の流量設定部材13では、流量設定部材13にはダイヤル13aを有しており、このダイヤル13aによって寸法の異なる複数のオリフィスが形成されたオリフィスプレート(図示せず)を回動させることで、患者に供給する酸素流量を設定し得るように構成されている。
【0039】
ケーシング10の本体部10aに、或いは本体部10aから他方の突状部10cにかけて、患者に対する酸素の供給、停止を行う弁部材14が配置されている。この弁部材14には差込部14aが設けられており、該差込部14aにカニューラを差し込むことで患者に酸素を供給することが可能で、且つ患者の吸気に対応した負圧を伝えることが可能である。弁部材14の構造を特に限定するものではない。しかし、ピエゾ素子を利用したものであると好ましい。
【0040】
弁部材14には二つの酸素通路が形成されている。即ち、一方の酸素通路は患者に対する酸素の供給を吸気に同調させるように後述する負圧センサ18や開閉弁を介在させて構成されている。また、他方の酸素通路は患者に対して連続的に酸素を供給し得るように負圧センサ18や開閉弁を介在させることのないバイパス通路として構成されている。
【0041】
ケーシング10の何れかの突状部、例えば突状部10bに患者に対して酸素を連続的に供給するか或いは吸気に対応させて吸気同調供給するかを選択する選択スイッチ15が配置されている。この選択スイッチ15は、ケーシング10の突状部10bの上面に突出させたレバー16によって操作され、「同調」、「連続」、「切」を選択し得るように構成されている。
【0042】
また、ケーシング10の他方の突状部10cには、患者の吸気を検出する吸気検出センサとなる負圧センサ18が配置されており、上面に吸気の有無を表示する表示部となるランプ19が配置されている。更に、突状部10bには弁部材14、ランプ19の作動を制御する制御部20が配置されている。
【0043】
制御部20は、選択スイッチ15によって選択した「同調」、「連続」に対応させた動作プログラムを記憶しており、同調が選択された場合には、負圧センサ18から発生した吸気信号に対応させて弁部材14を開閉し、且つランプ19を点灯させるように制御する。また、連続が選択された場合には、弁部材14を開放状態で保持するように制御する。
【0044】
尚、21はケーシング10の本体部10aから一方の突状部10bにかけての空間に収容した電池である。
【0045】
次に、ケーシング10の内部に於ける酸素の流通経路について説明する。ボンベから供給された酸素はノズル12aから圧力調整部材12に供給されて予め設定された圧力に調整される。圧力が調整された酸素は図示しないチューブを介して、該圧力調整部材12の接続部12cから流量設定部材13の接続部13bに供給される。
【0046】
流量設定部材13では、選択スイッチ15によって選択された同調供給或いは連続供給に対応して二つの接続部13c、13dが設けられている。そして、図示しないチューブを介して同調供給の場合は接続部13cから弁部材14の接続部14cに供給され、連続供給の場合は接続部13dから弁部材14の接続部14dに供給される。
【0047】
また、弁部材14の接続部14eと負圧センサ18の接続部18aがチューブによって接続され、差込部14aに接続されたカニューラを介して患者の吸気に伴う負圧を検出し得るように構成されている。
【0048】
上記の如く構成された供給装置Aでは、前述したように、取付部材1に嵌装部材Cを取り付け、該嵌装部材Cを介してボンベの口金Bに装着する。その後、ハンドル4cを操作して口金Bを開放すると、酸素は開口部4a、ノズル12aを通って圧力調整部材12に供給されて予め設定された圧力に調整されて接続部12cから流量設定部材13の接続部13bに供給される。
【0049】
レバー16を操作して選択スイッチ15の同調、連続の何れかを選択すると共に、流量設定部材13のダイヤル13aを回動させて流量を設定する。このとき、選択スイッチ15によって選択された同調供給或いは連続供給に対応して発生した信号、及び流量設定部材13のダイヤル13aの回動位置を検出したポジションセンサ13eから発生した設定流量に対応した信号は夫々制御部20に伝えられる。そして、圧力及び流量が設定された酸素は、選択された供給仕様に応じて、同調の場合には接続部13cから弁部材の接続部14cに供給され、連続の場合には接続部13dから接続部14dに供給される。
【0050】
患者に対する酸素の供給が同調である場合、患者の吸気が弁部材14の接続部14eから負圧センサ18の接続部18aに伝えられる。そして、負圧センサ18で発生した吸気の信号と、流量設定部材13のポジションセンサ13eからの信号と、が制御部20に伝えられる。制御部20では、これらの信号に基づいて弁部材14を一定時間開放すると共にランプ19を点灯する。
【0051】
また、患者に対する酸素の供給が連続である場合、患者の吸気の有無に関わらず、ダイヤル13aの操作に伴って設定された流量の酸素は弁部材14に形成されたバイパス通路を通して連続的に供給される。
【0052】
上記酸素供給装置Aは、取付部材1に嵌装部材Cを取り付けておくことで、該嵌装部材Cをボンベの口金Bに嵌装する作業を行うことによって、開口部4aとノズル12aを対向させると共にピン穴4bとピン10dを対向させることが可能となる。このため、酸素供給装置Aをボンベの口金Bに取り付ける際の作業を容易に且つ確実に行うことが可能となる。
【0053】
特に、酸素供給装置Aは、ボンベの口金Bに取り付ける取付部材1の3片1b~1dに沿って該取付部材1を取り囲む形状を有している。このため、ボンベの口金Bに取り付けたとき、供給装置Aを構成する各部材はボンベの口金Bの周囲に配置されることとなり、床に起立させたボンベであっても安定した状態を保持することが可能である。
【0054】
また、カートに搭載して移動するような場合でも、ボンベの口金Bから突出する部分が少なくなり、周囲の邪魔になることがない。
【0055】
また、在宅で酸素供給装置Aをボンベの口金Bに取り付ける際にも、取付部材1に嵌装部材Cを装着しておくことで、該装着部材Cの嵌装部6をボンベの口金Bに嵌装することで、該口金Bに設けた開口部4aとノズル12a、ピン穴4bとピン10dを確実に対抗させることが可能となり、容易で各確実なな取り付けを実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る供給装置Aは、高圧酸素が充填されたボンベを酸素の供給源としたときに有利である。
【符号の説明】
【0057】
A 供給装置
B ボンベの口金
C 嵌装部材
1 取付部材
1a~1d 片
2 穴
3 押しネジ
4a 開口部
4b ピン穴
4c ハンドル
5 摺動部
5a 挟持片
6 嵌装部
6a 本体部
6b 当接部
10 ケーシング
10a 本体部
10b、10c 突状部
10d ピン
12 圧力調整部材
12a ノズル
12b 圧力計
12c、13b~13d、14c~14e、18a
接続部
13 流量設定部材
13a ダイヤル
13e ポジションセンサ
14 弁部材
14a 差込部
15 選択スイッチ
16 レバー
18 負圧センサ
19 ランプ
20 制御部
21 電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7