(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】海苔製造装置
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20220817BHJP
【FI】
A23L17/60 103D
(21)【出願番号】P 2018109141
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000149457
【氏名又は名称】株式会社オーツボ
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】加賀田 祐次
(72)【発明者】
【氏名】藪田 茂
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-106093(JP,U)
【文献】特開平09-275944(JP,A)
【文献】特開2015-112085(JP,A)
【文献】特開昭57-074064(JP,A)
【文献】特開昭60-217885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
簀を保持した簀ホルダを搬送手段によって搬送させる過程で前記簀に抄製された生海苔から水分を除去する脱水部を含む海苔製造装置であって、
前記脱水部は、
前記簀の上方にある上部スポンジと、
上下に貫通する複数の上部貫通孔が形成された上部プレートを有し、前記上部スポンジを上方から保持する上部保持手段と、
前記簀の下方にある下部スポンジと、
上下に貫通する複数の下部貫通孔が形成された下部プレートを有し、前記下部スポンジを下方から保持する下部保持手段と、
前記上部保持手段と前記下部保持手段の少なくともいずれかを上下に昇降させる昇降手段と、を備え、
前記上部保持手段は、前記上部プレートの上面を覆い、その一部に第1の開口が形成された上部カバーを備え
、
前記上部プレートには、前記上部プレートの上面より上方に突出した突起部が形成されており、前記突起部の上面に前記上部貫通孔の上部開口が開口していることを特徴とする海苔製造装置。
【請求項2】
前記脱水部は、前記上部貫通孔から排出された水分を前記第1の開口から真空吸引する第1の吸引手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項
1に記載の海苔製造装置。
【請求項3】
前記上部プレートの上面は、前記上部貫通孔から排出された水分が前記上部プレートから排出される向きに傾斜していることを特徴とする請求項1
または2に記載の海苔製造装置。
【請求項4】
前記下部保持手段は、前記下部プレートの下面を覆い、その一部に第2の開口が形成された下部カバーを備え、
前記脱水部は、前記下部貫通孔から排出された水分を前記第2の開口から真空吸引する第2の吸引手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の海苔製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簀に海苔を抄製してシート状の海苔を製造する海苔製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート状の乾海苔を製造する海苔製造装置では、簀を保持するホルダを抄き部、脱水部、乾燥室、剥離部を順にピッチ送りして、各部において乾海苔を製造するための以下の工程が反復して実行される。すなわち抄き部は、生海苔を矩形状の簀によって抄き上げる。脱水部は、抄き上げられた生海苔から水分を除去する。乾燥室は、水分が除去された生海苔を簀ごと通過させることにより生海苔を乾燥させて乾海苔とする。そして剥離部は、簀から乾海苔を剥ぎ取る。
【0003】
この脱水部として、簀の上方にある上部スポンジと簀の下方にある下部スポンジを簀に対して上下から押し付けて簀上の生海苔から水分を除去するプレス式のものが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術では、上側の多孔板に上面が装着された上部スポンジと、下側の多孔板に下面が装着された下部スポンジを、上下に対向する位置に配置している。さらに、下側の多孔板の下面を真空吸引機に接続されたケースで覆い、下部スポンジ側から真空吸引して脱水している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の先行技術には、プレス中に上部スポンジから排出されて上側の多孔板上に残留していた水分が、プレス後に上部スポンジに逆流してしまうという問題点があり、脱水部における効率的な水分の除去のためにはさらなる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、脱水部において効率的に生海苔から水分を除去することができる海苔製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の海苔製造装置は、簀を保持した簀ホルダを搬送手段によって搬送させる過程で前記簀に抄製された生海苔から水分を除去する脱水部を含む海苔製造装置であって、前記脱水部は、前記簀の上方にある上部スポンジと、上下に貫通する複数の上部貫通孔が形成された上部プレートを有し、前記上部スポンジを上方から保持する上部保持手段と、前記簀の下方にある下部スポンジと、上下に貫通する複数の下部貫通孔が形成された下部プレートを有し、前記下部スポンジを下方から保持する下部保持手段と、前記上部保持手段と前記下部保持手段の少なくともいずれかを上下に昇降させる昇降手段と、を備え、前記上部保持手段は、前記上部プレートの上面を覆い、その一部に第1の開口が形成された上部カバーを備え、前記上部プレートには、前記上部プレートの上面より上方に突出した突起部が形成されており、前記突起部の上面に前記上部貫通孔の上部開口が開口していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脱水部において効率的に生海苔から水分を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態の海苔製造装置の全体構成を示す構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の海苔製造装置において使用される簀ホルダの構成説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の海苔製造装置が備える脱水部の全体構成を示す構成説明図
【
図4】本発明の一実施の形態の海苔製造装置が備える脱水部の断面図
【
図5】本発明の一実施の形態の海苔製造装置が備える脱水部の上部プレートの平面図
【
図6】本発明の一実施の形態の海苔製造装置が備える脱水部の上部保持手段の部分断面図
【
図7】本発明の一実施の形態の海苔製造装置が備える脱水部の第2実施例の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず
図1を参照して、海苔製造装置1の構成を説明する。海苔製造装置1は、簀に抄き上げられた生海苔を乾燥させて乾海苔を製造する機能を有するものである。
図1において、海苔製造装置1は、アタッチメントチェンをエンドレスに連結した無端チェン3によって簀ホルダ5を循環搬送する構成の簀ホルダ搬送手段2と、乾燥室10とを組み合わせた構成となっている。
【0011】
簀ホルダ搬送手段2には上段搬送路2U、下段搬送路2Lの上下2段の搬送路が設けられており、上段搬送路2U、下段搬送路2Lはいずれも対で配置されたスプロケット4に無端チェン3を調帯して構成されている。上段搬送路2Uには、抄き部6、脱水部7が配置されており、下段搬送路2Lには剥離部8が配置されている。簀ホルダ搬送手段2は、無端チェン3を上段搬送路2U、下段搬送路2Lに沿って所定ピッチで間歇走行させることにより、簀ホルダ5を抄き部6、脱水部7、剥離部8の各部に循環搬送する。
【0012】
抄き部6は、簀ホルダ5に保持された簀上に生海苔を抄き上げる(抄製する)。脱水部7は、抄き部6によって抄き上げられた簀上の生海苔から水分を除去する。乾燥室10は、簀ホルダ搬送手段2の上段搬送路2Uから受け渡された簀ホルダ5を搬送しながら簀上の生海苔を乾燥させて乾海苔とする。乾燥室10には無端チェンから成るコンベア11、12がスプロケット13に調帯されて上下2段に配置されている。コンベア11、12には複数の支骨14が一定のピッチで設けられている。
【0013】
図1において、脱水部7から搬出された簀ホルダ5は、上段のコンベア11の始端部まで移動した支骨14の間に送り込まれ(矢印a)、コンベア11、12により乾燥室10の内部を搬送される(矢印b、c、d、e)。その後、簀ホルダ5は簀に形成された乾海苔を下方に向けた状態で簀ホルダ搬送手段2の下段搬送路2Lへ送り出され(矢印f)、剥離部8に向かってピッチ送りされる。剥離部8は、乾燥室10から送り出されて簀ホルダ搬送手段2に受け渡された簀ホルダ5の簀に付着する乾海苔を簀から剥ぎ取る。剥ぎ取られた乾海苔は、剥離部8から装置外に回収される。
【0014】
次に
図2を参照して、海苔製造装置1において使用される簀および簀を保持する簀ホルダ5の構成を説明する。
図2に示す「搬送方向」は、海苔製造装置1において簀ホルダ5が簀ホルダ搬送手段2によって搬送される方向を示しており、「配列方向」は簀ホルダ5において複数の簀が配列される方向を示している。
【0015】
簀ホルダ5は、配列方向に平行に延びた一対の長尺の横桿20a、20bと、複数(ここでは2つ)の短尺の縦桿21を長方形状の枠型に組立てた形状となっている。一対の横桿20a,20bの間には、止具22を介して複数(ここでは3つ)の簀23が展張されて保持されている。なお縦桿21の個数は、簀ホルダ5に保持される簀23の枚数によって適宜増減される。簀23は、例えばプラスチック樹脂から成る複数の棒状体を並べて糸で編んだものである。なお棒状体は、竹ひごでもよい。生海苔24は、抄き部6によって各簀23の上面に矩形のシート状に形成される。
【0016】
このように、簀ホルダ搬送手段2は、簀23を保持した簀ホルダ5を搬送させる搬送手段である。そして、海苔製造装置1は、搬送手段によって簀ホルダ5を搬送させる過程で簀23に抄製された生海苔24から水分を除去する脱水部7を含んでいる。
【0017】
次に
図3~
図6を参照して、脱水部7の構成および機能を説明する。
図3は、脱水部7を搬送方向から見た模式的な正面図である。
図4は
図3におけるA-A矢視を示している。
図5は
図4におけるB-B矢視を示している。
【0018】
図3において、脱水部7は、無端チェン3によって脱水部7までピッチ送りされた簀ホルダ5の上方に配置された上部保持手段30と、簀ホルダ5の下方に配置された下部保持手段40を含んで構成されている。上部保持手段30の下端には、複数(ここでは3つ)の上部スポンジ31が配列方向に並んで保持されている。下部保持手段40の上端には、複数(ここでは3つ)の下部スポンジ41が配列方向に並んで保持されている。すなわち、上部スポンジ31は簀23の上方にあり、下部スポンジ41は簀23の下方にある。複数の上部スポンジ31と下部スポンジ41は、それぞれ上下に対向する位置に配置されている。
【0019】
図4において、上部保持手段30の下端部には、複数の上部貫通孔32が形成された上部プレート33が配置されている。各上部貫通孔32には、上部プレート33の上面33aより上方に突き出した、円錐台状の突起部34が形成されている。突起部34の上面には、上部貫通孔32の上部開口34aが開口している。このように、上部貫通孔32は、上部プレート33の下面33bから突起部34の上部開口34aまで、上部プレート33を上下に貫通している。上部スポンジ31は、上部スポンジ31の上面が上部プレート33の下面33bと接するように、上部保持手段30の下端部に取り付けられている。
図5に示すように、上部プレート33において、複数の上部貫通孔32は平面視して上部スポンジ31と重なる領域内に形成されている。
【0020】
図4において、上部プレート33の上方には、上部プレート33の上方の上部空間35を囲う上部カバー36が配置されている。上部カバー36の側面の一部には、上部カバー開口36a(第1の開口)が形成されている。上部カバー開口36aには、上部吸引管37の一端が接続されている。このように、上部カバー36は、上部空間35を密封している。
図3において、上部吸引管37の他端には、上部吸引機38が接続されている。上部吸引機38を作動させると、上部吸引機38によって上部保持手段30の上部空間35が上部吸引管37を介して真空吸引される。
【0021】
このように、脱水部7が備える上部保持手段30は、上下に貫通する複数の上部貫通孔32が形成された上部プレート33と、上部プレート33の上面33aを覆い、その一部に第1の開口(上部カバー開口36a)が形成された上部カバー36を有し、上部スポンジ31を上方から保持している。上部カバー36は、抄き部6などから飛来してきた水分や、プレス脱水の際に上部スポンジ31の側面や下部スポンジ41の側面から排出された水分が、上部カバー36の外側から上部スポンジ31に流入することを防止する機能を有している。これによって、脱水部7において効率的に生海苔24から水分を除去することができる。
【0022】
図4において、下部保持手段40の上端部には、複数の下部貫通孔42が形成された下部プレート43が配置されている。下部貫通孔42は、下部プレート43の上面43aから下面43bまで、下部プレート43を上下に貫通している。下部プレート43の下方には、配置方向に延伸して下部プレート43を下方から支えて下部プレート43の変形を防止する補強部材44が設置されている。補強部材44の下端部には、複数の補強部材貫通孔44aが形成されている。下部スポンジ41は、下部スポンジ41の下面が下部プレート43の上面43aと接するように、下部保持手段40の上端部に取り付けられている。下部プレート43において、複数の下部貫通孔42は平面視して下部スポンジ41と重なる領域内に形成されている。
【0023】
下部プレート43の下方には、下部プレート43の下方の下部空間45を囲う下部カバー46が配置されている。下部カバー46の下面の一部には、下部カバー開口46a(第2の開口)が形成されている。下部カバー開口46aには、下部吸引管47の一端が接続されている。このように、下部カバー46は、下部空間45を密封している。
図3において、下部吸引管47の他端には、下部吸引機48が接続されている。下部吸引機48を作動させると、下部吸引機48によって下部保持手段40の下部空間45が下部吸引管47を介して真空吸引される。
【0024】
このように、脱水部7が備える下部保持手段40は、上下に貫通する複数の下部貫通孔42が形成された下部プレート43と、下部プレート43の下面43bを覆い、その一部に第2の開口(下部カバー開口46a)が形成された下部カバー46を有し、下部スポンジ41を下方から保持している。下部カバー46は、抄き部6などから飛来してきた水分や、プレス脱水の際に上部スポンジ31の側面や下部スポンジ41の側面から排出された水分が、下部カバー46の外側から下部スポンジ41に流入することを防止する機能を有している。これによって、脱水部7において効率的に生海苔24から水分を除去することができる。
【0025】
図3において、脱水部7は、上部保持手段30を昇降(矢印g)させるプレス機構39を備えている。下部保持手段40は、高さ位置が固定されている。プレス機構39は、上部保持手段30を下降させて生海苔24が抄製された簀23の上下に上部スポンジ31と下部スポンジ41を押し付けることで、生海苔24から水分を除去(プレス脱水)させる。このように、プレス機構39は、上部保持手段30を上下に昇降させる昇降手段である。
【0026】
なお、昇降手段は高さ位置が固定された上部保持手段30に対して下部保持手段40を昇降させるものでも、上部保持手段30と下部保持手段40の両方を昇降させるものでもよい。すなわち、昇降手段前は、上部保持手段30と下部保持手段40の少なくともいずれかを上下に昇降させて、上部スポンジ31と下部スポンジ41によって簀23に抄製された生海苔24をプレス脱水させるものであればよい。
【0027】
図4は、プレス機構39によって上部保持手段30を下降させて、上部スポンジ31と下部スポンジ41を生海苔24が抄製された簀23に押し付けて、上部スポンジ31と下部スポンジ41を圧縮変形させながら水分を除去している状態を示している。生海苔24から上部スポンジ31に吸収された水分は、上部貫通孔32を通じて上部空間35に排出される。上部空間35に排出された水分は、上部カバー開口36aから上部吸引機38によって真空吸引される。
【0028】
また、生海苔24から下部スポンジ41に吸収された水分は、下部貫通孔42と補強部材貫通孔44aを通じて下部空間45に排出される。下部空間45に排出された水分は、下部カバー開口46aから下部吸引機48によって真空吸引される。このように、プレス脱水中に上部吸引機38、下部吸引機48によって真空吸引することにより、生海苔24の水分を効率的に除去することができる。
【0029】
プレス脱水後、プレス機構39によって上部保持手段30を上昇させて上部スポンジ31と下部スポンジ41の圧縮変形が回復している過程において、生海苔24に残留している水分は、さらに上部スポンジ31と下部スポンジ41に吸収される。この間、上部吸引機38と下部吸引機48によって真空吸引することにより、上部空間35と下部空間45に残留している水分が上部スポンジ31と下部スポンジ41に逆流することを防止することができる。
【0030】
このように、上部吸引機38は、上部貫通孔32から排出された水分を第1の開口(上部カバー開口36a)から真空吸引する第1の吸引手段である。また、下部吸引機48は、下部貫通孔42から排出された水分を第2の開口(下部カバー開口46a)から真空吸引する第2の吸引手段である。なお、脱水部7は、上部カバー開口36aと下部カバー開口46aから共通の吸引機(例えば、上部吸引機38)で真空吸引するようにしてもよい。すなわち、第1の吸引手段と第2の吸引手段は共通であってもよい。
【0031】
図6は、プレス脱水後に上昇中の上部保持手段30の上部カバー開口36a付近を拡大した断面図を示している。上部プレート33の上面33aには、プレス脱水中に上部吸引機38によって真空吸引されなかった水分が残留水Wとして残っている。このような状態でも、突起部34により上部貫通孔32の上部開口34aは上部プレート33の上面33aより高い位置に形成されているため、残留水Wが上部貫通孔32を通じて上部スポンジ31に逆流することが防止できる。残留水Wは、次のプレス脱水までの間に上部吸引機38によって上部カバー開口36aより真空吸引される。なお、上部カバー開口36aが真空吸引されていない場合でも、突起部34により上部スポンジ31への残留水Wの逆流防止効果が得られる。
【0032】
上記説明したように、本実施の形態に示す海苔製造装置1は、簀23を保持した簀ホルダ5を搬送手段(簀ホルダ搬送手段2)によって搬送させる過程で簀23に抄製された生海苔24から水分を除去する脱水部7を含んでいる。
【0033】
そして、脱水部7は、簀23の上方にある上部スポンジ31と、上下に貫通する複数の上部貫通孔32が形成された上部プレート33を有し、上部スポンジ31を上方から保持する上部保持手段30と、簀23の下方にある下部スポンジ41と、上下に貫通する複数の下部貫通孔42が形成された下部プレート43を有し、下部スポンジ41を下方から保持する下部保持手段40と、上部保持手段30と下部保持手段40の少なくともいずれかを上下に昇降させる昇降手段(プレス機構39)と、を備えている。そして、上部保持手段30は、上部プレート33の上面を覆い、その一部に第1の開口(上部カバー開口36a)が形成された上部カバー36を備えている。
【0034】
これによって、脱水部7において生海苔24から除去した水分が上部スポンジ31に逆流することを防止して、効率的に生海苔24から水分を除去することができる。なお、上記説明した脱水部7の上部保持手段30は、複数の上部スポンジ31を保持する上部プレート33が一つの上部空間35を共有した構成をしているが、上部保持手段30は上部スポンジ31毎に区切られた上部空間35が形成された上部カバー36を備え、それぞれの上部空間35に上部カバー開口36aが形成された構成でもあってよい。同様に、下部保持手段40は、下部スポンジ41毎に下部空間45が形成された構成であってもよい。
【0035】
次に
図7を参照して、本実施の形態の海苔製造装置1が備える脱水部の第2実施例について説明する。以下、
図3~
図6に示した脱水部7を「第1脱水部」と称し、脱水部の第2実施例を「第2脱水部50」と称す。
図7において、第2脱水部50は、簀ホルダ5の上方に配置された上部保持手段60と、簀ホルダ5の下方に配置された下部保持手段40を含んで構成されている。第2脱水部50の下部保持手段40は、第1脱水部の下部保持手段40と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0036】
図7において、上部保持手段60の下端には、複数の上部スポンジ61が配列方向に並んで保持されている。上部保持手段60の下端部には、複数の上部貫通孔62が形成された上部プレート63が配置されている。各上部貫通孔62には、上部プレート63の上面63aより上方に突き出した、円錐台状の突起部64が形成されている。突起部64の上面には、上部貫通孔62の上部開口64aが開口している。上部スポンジ61は、上部スポンジ61の上面が上部プレート63の下面63bと接するように、上部保持手段60の下端部に取り付けられている。上部プレート63において、複数の上部貫通孔62は平面視して上部スポンジ61と重なる領域内に形成されている。
【0037】
上部保持手段60の搬送方向の一側部には、上部貫通孔62から排出された水分を集めて上部保持手段60の外に排出する樋65が配置されている。上部保持手段60の樋65とは反対側の側部には、上部プレート63の上面63aより高くて水分が上部保持手段60の外に漏れることを防止する壁66が形成されている。上部プレート63の上面63aは、壁66側から樋65側に向けて低くなるように傾斜している。これによって、プレス脱水中に上部貫通孔62から排出された水分は、上部プレート63の上面63aの傾斜に沿って樋65に流れ込む。このように、第2脱水部50の上部プレート63の上面63aは、上部貫通孔62から排出された水分が上部プレート63から排出される向きに傾斜している。
【0038】
図7において、複数の上部開口64aの中で最も低い最低開口高さ位置H1は、上部プレート63の上面63aの中で最も高い最高上面高さ位置H2よりも高い。これによって、プレス脱水中に上部貫通孔62から排出された水分が、プレス脱水後に上部貫通孔62を通じて上部スポンジ61に逆流することが防止できる。
【0039】
なお、上部プレート63は、上面63aが一方向に傾斜する形状に限定されることはない。例えば、上部プレート63は、搬送方向の中央が高くて両側端が低くなるように2つの方向に傾斜する山型の形状で、上部保持手段60の搬送方向の両側部に樋65が配置し、プレス脱水中に上部貫通孔62から排出された水分を2つの斜面に沿って両側部の樋65に排水するようにしてもよい。すなわち、上部プレート63の上面63aは、複数の方向に傾斜して、上部保持手段60は、上部プレート63から水分が排出される位置に水分を排出する樋65を複数備えてもよい。
【0040】
また、第1脱水部(脱水部7)が備える上部保持手段30の上部プレート33の上面63aも、第2脱水部50と同様に、上部貫通孔32から排出された水分が上部プレート33から排出される向きに(上部カバー開口36a側が低くなる向きに)傾斜させてもよい。これによって、より効率的に簀23に抄製された生海苔24から水分を除去することができる。
【0041】
さらに、上記説明した海苔製造装置1は、上段搬送路2Uに一つの脱水部7を備える構成であったが、海苔製造装置1は、上段搬送路2Uの搬送方向に複数(例えば2つ)の脱水部7を備え、複数の脱水部7に順に簀ホルダ5を搬送しながら、生海苔24の水分を除去する構成であってもよい。複数の脱水部7を備える場合、2つの第1脱水部(脱水部7)を並設しても、2つの第2脱水部50を並設しても、抄き部6側に第2脱水部50を配置して乾燥室10側に第1脱水部を配置してもよい。また、2つの第1脱水部を並設する場合、抄き部6側の第1脱水部は真空吸引力を弱くして、乾燥室10側の第1脱水部は真空吸引力を強く設定してもよい。これによって、生海苔24の型崩れを防止しつつ、効率良く水分を除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の海苔製造装置は、脱水部において効率的に生海苔から水分を除去することができるという効果を有し、簀に抄き上げられた生海苔を乾燥させて乾海苔を製造する分野において有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 海苔製造装置
2 簀ホルダ搬送手段(搬送手段)
5 簀ホルダ
7 脱水部
23 簀
24 生海苔
30、60 上部保持手段
31、61 上部スポンジ
32、62 上部貫通孔
33、63 上部プレート
34a、64a 上部開口
36 上部カバー
36a 上部カバー開口(第1の開口)
38 上部吸引機(第1の吸引手段)
39 プレス機構(昇降手段)
40 下部保持手段
41 下部スポンジ
42 下部貫通孔
43 下部プレート
46 下部カバー
46a 下部カバー開口(第2の開口)
48 下部吸引機(第2の吸引手段)
50 第2脱水部(脱水部)