(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】作業支援装置、作業支援方法、作業支援プログラム、締付工具
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
B25B23/14 610Z
(21)【出願番号】P 2018115172
(22)【出願日】2018-06-18
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳之
(72)【発明者】
【氏名】大河 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 喜晴
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/122274(WO,A1)
【文献】特開2007-087249(JP,A)
【文献】特開2006-126931(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201113(JP,U)
【文献】特開2005-177919(JP,A)
【文献】特開2002-059147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25F 5/00
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が締付工具を用いて所定の締付トルクで締付部材を締め付ける締付作業に関する作業内容情報を前記締付作業ごとに取得する作業内容情報取得部と、
前記締付作業における前記作業者の作業状況に関する作業状況情報を前記締付作業ごとに取得する作業状況情報取得部と、
前記締付トルクが前記締付部材ごとに設定される目標トルク値となるように前記締付作業を支援する作業支援情報を、前記作業内容情報
及び前記作業状況情報に基づいて前記作業者ごとに出力する作業支援情報出力部と、
を備え、
前記締付工具による締付作業時の締付けトルクである実締付トルク値が、前記目標トルクと同一又は小さい設定トルク値に達した場合に、そのことを報知するように構成されており、
前記作業支援情報出力部が、前記設定トルク値に関する情報、又は、前記締付工具の把持位置に関する情報を前記作業支援情報として出力する、
作業支援
システム。
【請求項2】
作業者が締付工具を用いて所定の締付トルクで締付部材を締め付ける締付作業に関する作業内容情報を前記締付作業ごとに取得する作業内容情報取得部と、
前記作業者の属性に関する作業者属性情報を前記作業者ごとに取得する作業者属性情報取得部と、
前記締付トルクが前記締付部材ごとに設定される目標トルク値となるように前記締付作業を支援する作業支援情報を、前記作業内容情報及び前記作業者属性情報に基づいて前記作業者ごとに出力する作業支援情報出力部と、
を備え、
前記締付工具による締付作業時の締付けトルクである実締付トルク値が、前記目標トルクと同一又は小さい設定トルク値に達した場合に、そのことを報知するように構成されており、
前記作業支援情報出力部が、前記設定トルク値に関する情報、又は、前記締付工具の把持位置に関する情報を前記作業支援情報として出力する、
作業支援システム。
【請求項3】
前記作業内容情報は、前記締付作業における前記締付部材ごとの目標トルク値及び実締付トルク値を含む、
請求項1
又は2に記載の作業支援
システム。
【請求項4】
前記作業内容情報は、前記締付作業における作業時間に関する情報を含む、
請求項1
又は2に記載の作業支援
システム。
【請求項5】
前記作業状況情報は、前記締付作業における前記作業者の姿勢に関する情報を含む、
請求項1に記載の作業支援
システム。
【請求項6】
前記作業状況情報は、前記締付作業における締付部材に対する前記締付工具の方向に関する情報を含む、
請求項1に記載の作業支援
システム。
【請求項7】
作業者が締付工具を用いて締付部材を締め付ける締付作業に関する作業内容情報を前記締付作業ごとに取得するステップと、
前記締付作業における前記作業者の作業状況に関する作業状況情報を前記締付作業ごとに取得するステップと、
前記締付部材を締め付ける締付トルクが前記締付部材ごとに設定される目標トルク値となるように前記締付作業を支援する作業支援情報を、前記作業内容情報
及び前記作業状況情報に基づいて前記作業者ごとに出力するステップと、
をコンピュータに実行させる
ものであり、
前記締付工具による締付作業時の締付けトルクである実締付トルク値が、前記目標トルクと同一又は小さい設定トルク値に達した場合に、そのことを報知するように構成された作業支援システムに用いられるプログラムであって、
前記作業支援情報を出力するステップにおいて、前記設定トルク値に関する情報、又は、前記締付工具の把持位置に関する情報を前記作業支援情報として出力する、
作業支援プログラム。
【請求項8】
作業者が締付工具を用いて締付部材を締め付ける締付作業に関する作業内容情報を前記締付作業ごとに取得するステップと、
前記作業者の属性に関する作業者属性情報を前記作業者ごとに取得するステップと、
前記締付部材を締め付ける締付トルクが前記締付部材ごとに設定される目標トルク値となるように前記締付作業を支援する作業支援情報を、前記作業内容情報及び前記作業者属性情報に基づいて前記作業者ごとに出力するステップと、
をコンピュータに実行させるものであり、
前記締付工具による締付作業時の締付けトルクである実締付トルク値が、前記目標トルクと同一又は小さい設定トルク値に達した場合に、そのことを報知するように構成された作業支援システムに用いられるプログラムであって、
前記作業支援情報を出力するステップにおいて、前記設定トルク値に関する情報、又は、前記締付工具の把持位置に関する情報を前記作業支援情報として出力する、
作業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援装置、作業支援方法、作業支援プログラム、締付工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、締付トルクを管理するための締付工具として、トルクレンチが知られている。トルクレンチは、ボルトやナットなどの締付部材を締付箇所に締め付けるときに発生する締付トルクが、予め締付工具に設定されたトルク値(以下「設定トルク値」という)に達したことを作業者に報知する。作業者は、トルクレンチからの報知を受けて作業を止める。作業者は、トルクレンチを用いることで、設定トルク値に近い締付トルクで締付部材を締め付けることができる。
【0003】
なお、目標トルク値(上述の設定トルク値に相当)に近づいた時の締付速度で目標トルク値に達するまでの時間感覚を予測可能とし熟練を要することなく迅速に目標とするトルク値にボルトを締め付けることができるトルク工具に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、所定の割合よりも大きく目標トルク範囲よりも小さい範囲における目標トルク値に対する締付トルク値の割合に応じて対応する表示部の点灯表示を行うタイミング予測表示部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、トルクレンチを用いた締付作業は、設定トルク値に達したときにトルクレンチから報知されて作業者が作業を止める。このため、実際の締付トルクの値(以下「実締付トルク値」という。)は、設定トルク値を上回る。実締付トルク値は、作業者がトルクレンチからの報知を受けた後の除荷の状況に依存する。除荷の状況とは、具体的には、例えば作業者が除荷するまでの時間、除荷するまでに加えられる実締付トルク値などをいう。除荷の状況は、作業者の締付作業への習熟度などの作業者の属性、作業時の姿勢などの作業状況、あるいは設定トルク値や実締付トルク値などの作業内容により変動し得る。
【0006】
しかし、特許文献1の技術を含め、従来の技術は、作業者に対して設定トルク値で締付作業を行うために、上述のように所定の基準に基づいて一律の情報に基づいて報知していた。このため、従来の技術は、作業者の属性、作業状況、作業内容を考慮して、個々の作業者に適した支援を行うことが鑑みられていなかった。
【0007】
本発明は、締付作業を行う個々の作業者に適応した支援を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、作業者が締付工具を用いて所定の締付トルクで締付部材を締め付ける締付作業に関する作業内容情報を締付作業ごとに取得する作業内容情報取得部と、締付作業における作業者の作業状況に関する作業状況情報を締付作業ごとに取得する作業状況情報取得部と、作業者の属性に関する作業者属性情報を作業者ごとに取得する作業者属性情報取得部と、締付トルクが締付部材ごとに設定される目標トルク値となるように締付作業を支援する作業支援情報を、作業内容情報、作業状況情報、及び作業者属性情報に基づいて前記作業者ごとに出力する作業支援情報出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、締付作業を行う個々の作業者に適応した支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る作業支援装置の実施形態であるコンピュータを備える工具ステーションの斜視図である。
【
図3】上記コンピュータが接続するコンピュータネットワークの例を示す模式図である。
【
図4】本発明に係る締付工具の実施形態であるトルクレンチの正面図である。
【
図6】上記トルクレンチの内部構造を示す部分断面図である。
【
図7】上記トルクレンチにおいて所定の設定トルク値以上のトルクが加わった状態の内部構造を示す部分断面図である。
【
図8】上記トルクレンチの操作量検出部及び回動検出部を示すブロック図である。
【
図9】本発明に係る作業支援方法を実行させる作業支援プログラムによる処理を示すフローチャートである。
【
図10】上記トルクレンチを用いて締付作業を行う作業者の姿勢の例を示す模式図である。
【
図11】
図10に示した締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す波形図である。
【
図12】上記トルクレンチを用いて締付作業を行う作業者の姿勢の別の例を示す模式図である。
【
図13】
図12に示した締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す波形図である。
【
図14】
図10に示した締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す別の波形図である。
【
図15】締付作業を行う際の上記トルクレンチの向きの例を示す模式図である。
【
図16】
図15に示した締付作業の設定トルク値と実締付トルク値との関係を示すデータテーブルである。
【
図17】締付作業を行う際の上記トルクレンチの向きの別の例を示す模式図である。
【
図18】
図17に示した締付作業の設定トルク値と実締付トルク値との関係を示すデータテーブルである。
【
図19】締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す波形図である。
【
図20】本発明に係る締付工具の別の実施形態を示すトルクレンチの正面図である。
【
図21】
図21に示したトルクレンチのMCU及び歪ゲージを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る作業支援装置、作業支援方法、作業支援プログラム、締付工具の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
以下説明するように、本実施形態における作業支援装置は、作業支援方法を実行して作業支援情報を出力する装置である。作業支援装置は、作業支援プログラムを実行させることができるコンピュータであってもよい。
【0013】
[作業支援装置の構成]
図1は、本発明に係る作業支援装置の実施形態であるコンピュータ101を備える工具ステーション100の斜視図である。
図1に示すように、工具ステーション100は、工具を収納する引出しが複数設けられるワゴン型の収納用什器である。コンピュータ101は、いわゆるタブレット型のコンピュータである。コンピュータ101は、工具ステーション100に設けられる。
【0014】
図2は、コンピュータ101の機能ブロック図である。
図2に示すように、コンピュータ101は、演算部102、二次記憶装置105、入力部106、出力部107などを備える。
【0015】
演算部102は、CPU(Central Processing Unit)104及びRAM(Random Access Memory)などのメインメモリ(MM)103とから構成され、作業支援プログラムを含むアプリケーションプログラムに基づいて処理を行う。
【0016】
二次記憶装置105は、バス108を介して演算部102に接続される。二次記憶装置105には、ROM(Read Only Memory)やハードディスクドライブなどの大容量記憶媒体を用いる。二次記憶装置105には、コンピュータ101が正常に機能するために必要なオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。二次記憶装置105には、本発明に係る作業支援方法を実行する作業支援装置を実現するために作成された、コンピュータで実行可能な作業支援プログラムがインストールされている。また、二次記憶装置105には、一般に用いられる他のアプリケーションプログラムもインストールされている。
【0017】
各種情報処理端末の一例であるタブレット型のコンピュータ101は、CPU104が必要に応じて二次記憶装置105内の作業支援プログラムをMM103にロード(読み込み)して順次実行する。
【0018】
コンピュータ101は、作業支援プログラムを実行させることで、以下の本発明の実施形態において説明する作業支援方法の各ステップを実行する作業支援装置として機能する。つまり、コンピュータ101は、所定の締付トルクで締付部材を締め付ける締付作業に関する作業内容情報、締付作業における作業者の作業状況に関する作業状況情報、作業者の属性に関する作業者属性情報を取得する。つまり、コンピュータ101は、作業内容情報取得部、作業状況情報取得部、及び作業者属性情報取得部として機能する。作業内容情報、作業状況情報、及び作業者属性情報は、トルクレンチ10または作業者が所持するスマートフォン300から取得することができる。コンピュータ101は、作業内容情報、作業状況情報、及び作業者属性情報に基づいて、締付トルクが締付部材ごとに設定される設定トルク値となるように締付作業を支援する作業支援情報を、作業者ごとに出力する。つまり、コンピュータ101は、作業支援情報出力部として機能する。出力された作業支援情報は、トルクレンチ10、あるいはスマートフォン300に送信され、作業者による締付作業を支援する。作業支援情報、作業者属性情報、作業状況情報、及び作業内容情報を含め、コンピュータ101による作業支援方法の処理については後述する。
【0019】
入力部106は、タッチパネルやカメラなど、作業者が各種情報を入力するためのデバイスである。また、入力部106には、不図示のキーボード、あるいはマウスなどのポインティングデバイスであってもよい。出力部107は、タッチパネルに重畳されるディスプレイのほか、不図示のプリンタなど、作業者に各種情報を出力するためのデバイスである。
【0020】
図3は、コンピュータ101が接続するコンピュータネットワークNの例を示す模式図である。
図3に示すように、コンピュータネットワークNには、トルクレンチ10、管理サーバS、及びコンピュータ101などが接続する。
【0021】
トルクレンチ10、管理サーバS、及びコンピュータ101は、WAN(Wide Area Network)またはLAN(Local Area Network)などの各種コンピュータネットワークNに有線通信または無線通信で接続している。
【0022】
トルクレンチ10は、作業者の動作による締付部材の締付作業に用いることが可能な本発明に係る締付工具の実施形態である。
【0023】
作業支援システム1には、トルクレンチ10A,10B,10Cのように、無線LANルータ500に接続するコンピュータ400やスマートフォン300,300A,300Bなどの情報処理端末を経由してコンピュータネットワークNに接続してもよい。また、作業支援システム1には、トルクレンチ10Dのように、本発明に係る締付工具が情報処理端末を経由せず直接的にコンピュータネットワークNに接続してもよい。
【0024】
[管理サーバSの構成]
管理サーバSは、コンピュータ101と同様に、各種情報処理端末の一例である。つまり、管理サーバSは、演算部、二次記憶装置、入力部、出力部などを備える。管理サーバSは、コンピュータ101と同様に、演算部のCPUが必要に応じて二次記憶装置の作業支援プログラムをメインメモリにロード(読み込み)して順次実行する。このようにすることで、管理サーバSは、締付工具が取得した作業者識別情報を作業者属性情報として管理してもよい。また、管理サーバSは、上述の作業支援方法についても実行してもよい。また、管理サーバSは、トルク値設定部18の設定トルク値の演算処理などの作業情報に関する処理を実行してもよい。管理サーバSが作業支援方法、あるいは作業情報に関する処理を実行する場合、実行後に出力されるデータは、コンピュータネットワークNを介してトルクレンチ10、スマートフォン300などに送信されて作業者の締付作業の支援に利用される。
【0025】
[トルクレンチの構成]
図4は、本発明に係る締付工具の実施形態を示すトルクレンチ10の正面図である。
【0026】
以下の説明において、締付トルクが予め締付工具に設定されたトルク値(以下「設定トルク値」という)に達したことを作業者に認識させる締付工具の一例である、機械式のトルクレンチに、本発明を適用した例について説明する。機械式のトルクレンチでは、締付部材を締め付ける際に、締付トルクが設定トルク値に達すると、ケースとヘッド部とを軸支するヘッドピンを中心にケースが締付部材の締付方向に回動する。このとき、機械式のトルクレンチでは、ケースがヘッド部など他の箇所に接触して音や振動が発生することで、作業者に締付トルクが設定トルク値に達したことを知覚させて報知する。その後、機械式のトルクレンチは、ヘッド部に対してケースが締付方向と反対方向(弛緩方向)に回動して、回動前の位置(初期位置)に戻る。
【0027】
本実施形態における機械式のトルクレンチは、工具等を用いることなく作業者の操作により設定トルク値の変更ができるいわゆるプリセット型トルクレンチである。
【0028】
図4に示すように、トルクレンチ10は、ケース11と、ヘッド部12と、ヘッドピン13と、トルク値設定部18と、操作量検出部19と、ディスプレイ部25と、などを備える。
【0029】
ケース11は、ヘッド部12などのトルクレンチ10の構成要素を収容し、トルクレンチ10の外形形状を構成する略筒状の部材である。ケース11は、略筒状のトルクレンチ10の外形形状を構成する本体部である。ケース11は、一端にヘッド部12を備える。また、ケース11は、他端にトルク値設定部18及び操作量検出部19を備える。ケース11の他端側は、トルクレンチ10を使用して締付作業を行う際に、ユーザが把持するグリップとして機能する。また、ケース11は、ヘッド部12を支持し締付部材を締め付ける締付力をヘッド部12に伝達する筐体として機能する。
【0030】
なお、ケース11は、樹脂製などの不図示のグリップが一体的または着脱自在に取り付けられてもよい。また、ケース11は、ケース11そのものを把持させてグリップとして機能させてもよい。
【0031】
ディスプレイ部25は、後述の演算部により演算された設定トルク値の表示値を表示するトルク値表示部として機能する。ディスプレイ部25は、設定トルク値の表示値を示すために、例えばセグメント表示やドット表示が可能な液晶表示装置やEL(Electronic Luminescent)表示装置などを用いて構成することができる。
【0032】
図5は、トルクレンチ10の底面図である。
図5に示すように、ヘッド部12には、ラチェットヘッド121が設けられている。ラチェットヘッド121は、ケース11から露出している。ラチェットヘッド121には、締付部材と係合する不図示のソケットレンチ(ボルトまたはナット締付用)を着脱自在に取り付けることができるように、ソケット接続部124が設けられている。
【0033】
図6は、トルクレンチ10の内部構造を示す部分断面図である。
図6では、トルクレンチ10の内部構造を示すために、ケース11及び操作量検出部19のカバー198のみ断面を示している。
図6に示すように、ケース11の内部には、トルクレンチ10を構成する、ヘッド部12と、ヘッドピン13と、ゲイン調整ネジ14と、リンク15と、スライダ16と、スプリングガイド17と、トルク値設定部18とが設けられる。また、ケース11には、ヘッド部12に対するケース11の動作を検出する回動検出部20が設けられる。
【0034】
ヘッド部12は、ケース11外部に露出するラチェットヘッド121の他に、ケース11の内部に収容されるアーム122と接触部123と動作検出ピン125とを備える略棒状の部材である。ケース11とヘッド部12とは、ラチェットヘッド121とアーム122との境界に設けられるヘッドピン13によって、互いに回動自在に軸支されている。
【0035】
ヘッド部12は、ヘッドピン13によってケース11に軸支されている。このため、アーム122は、ケース11がヘッドピン13を中心に締付部材の回転方向へ回動するとき、ケース11及びヘッド部12の相互の相対的な位置が変化する。
【0036】
接触部123は、ヘッド部12のラチェットヘッド121側の端とは反対側の端部に設けられている。接触部123は、ケース11が回動するとケース11の内壁と接触して、音や振動を発する。接触部123は、締付作業による負荷がヘッド部12に加わった際にケース11とアーム122が接触する位置に設けられる。
【0037】
ゲイン調整ネジ14は、ヘッド部12の幅方向(
図6の紙面方向)に貫通するように、ヘッド部12のアーム122の上記端部に設けられている。ゲイン調整ネジ14は、トルクレンチ10に締付トルクが加わったときのアーム122の動作のゲインを調整するために設けられている。アーム122には、スライダ16とリンク機構で接続するリンク15が設けられる。
【0038】
動作検出ピン125は、接触部123などと同様に、長手方向においてアーム122のラチェットヘッド121側の端とは反対側の端部に設けられている。動作検出ピン125は、ヘッド部12の厚み方向(
図4の紙面を貫く方向)に突出して設けられる。動作検出ピン125は、回動検出部20によりケース11の回動を検出するために設けられる。
【0039】
スライダ16は、一端がリンク15を介してアーム122と接続し、他端がスプリングガイド17と接続している。スライダ16は、ヘッド部12に対してケース11が回動する際にケース11内部で長手方向に移動する。また、スライダ16は、ケース11内壁に接触するローラを備える。ローラは、ケース11内でのスライダ16の移動を案内する。
【0040】
スプリングガイド17は、略円筒状の部材である。スプリングガイド17は、ケース11の軸とスプリングガイド17の軸とが略一致するように、ケース11内部に配置される。スプリングガイド17は、トルク値設定部18のバネ部181の動きを案内する。スプリングガイド17は、一方の底面の中央に孔を有する。スプリングガイド17の孔は、スライダ16の他端に挿入される。また、スプリングガイド17は、他方の底面にバネ部181の一端が接している。
【0041】
[トルク値設定部の構成]
トルク値設定部18は、バネ部181と、トルク値指示部182と、設定ボルト183と、ロックナット184とが、ケース11の内部に設けられる。トルク値設定部18は、ケース11の外部にトルク値設定グリップ185を備える。
【0042】
バネ部181は、弾性体の一例である。バネ部181は、例えばトルクレンチ10の長手方向が圧縮方向となる金属製のコイル圧縮バネである。バネ部181は、上述のように一端がスプリングガイド17の他方の底面に接している長手構造である。バネ部181は、スプリングガイド17、スライダ16、リンク15を介して弾性力による圧縮力でヘッド部12を押圧する。
【0043】
トルク値指示部182は、ケース11の内部に配置される略円筒状の部材である。トルク値指示部182は、一端がバネ部181の他端に接してバネ部181を押圧している。また、トルク値指示部182は、他端がトルク値設定グリップ185の方を向いて配置されている。トルク値指示部182には、表面に設定された設定トルク値を示す目盛が表示されている。ケース11の内壁には、不図示の回り止めが取り付けられている。トルク値指示部182は、上記回り止めに対してトルクレンチ10の軸方向に摺動可能に設けられる。この回り止めにより、トルク値指示部182は、ケース11内部で回動せずに軸方向に移動するようになっている。このため、トルク値指示部182の目盛は、ケース11に設けられる表示窓から常に読み取ることができる。また、トルク値指示部182には、中心部に長手方向を貫くメネジが設けられている。このメネジには、設定ボルト183が螺合する。
【0044】
設定ボルト183は、トルク値指示部182のメネジに螺合させるために、軸状の本体部分にメネジのピッチに対応したオネジのネジ山が切られている。設定ボルト183は、鍔状の部分がロックナット184と係合する。
【0045】
ロックナット184は、ケース11の内部に固定される略円盤状の部材である。ロックナット184は、中心部に設定ボルト183の軸状の部分が挿入される孔が設けられている。
【0046】
トルク値設定グリップ185は、トルクレンチ10の他端に設けられる略円筒状の部材である。トルク値設定グリップ185は、操作量検出部19を介して設定ボルト183と接続し、設定ボルト183を回転させることができる。トルク値設定グリップ185により設定ボルト183が回転すると、設定ボルト183のオネジによりネジのピッチに応じた一定量だけトルク値指示部182の位置を移動させる。トルク値設定部18では、トルク値指示部182がケース11の内部を移動することで、トルク値指示部182がバネ部181の圧縮力を変化させる。
【0047】
以上の構成を備えるトルクレンチ10のトルク値設定部18の動作について説明する。トルクレンチ10では、バネ部181からの圧縮力が、スライダ16及びリンク15を介してヘッド部12に働いて押圧している。トルクレンチ10では、バネ部181が、弾性力を生じさせてヘッド部12とケース11とを押圧することにより、ヘッド部12とケース11との相対的な位置を固定する。バネ部181の弾性力は、トルクレンチ10により締付部材を締め付ける際の締付トルクが設定トルク値であるときにヘッド部12に加わる力に相当する。
【0048】
トルクレンチ10では、締付部材を締め付ける際に、締付トルクがトルク値設定部18により設定された設定トルク値に達すると、締付トルクにより発生する力がバネ部181からの圧縮力を上回る。
【0049】
図7は、トルクレンチ10において所定の設定トルク値以上のトルクが加わった状態の内部構造を示す部分断面図である。
図7に示すように、トルクレンチ10では、
図6の状態からヘッドピン13を中心にケース11が締付方向(第1方向)に回動して、ケース11の内壁がヘッド部12のアーム122の接触部123に接触して音や振動を発する。
【0050】
ケース11の内壁と接触部123とが接触して発する音や振動により、トルクレンチ10では、作業者に締付トルクが設定トルク値に達したことを報知する。その後、作業者が力を緩めると、ケース11は、弛緩方向に回動してケース11とヘッド部12との位置が動作前の位置に戻る。
【0051】
以上より、トルクレンチ10は、トルク値設定部18のバネ部181によりヘッド部12に対してケース11が回動する設定トルク値を設定している。トルク値設定部18は、トルク値設定グリップ185によりバネ部181の圧縮力を変化させることで、締付部材の締め付け時にヘッド部12に対してケース11が回動する設定トルク値を所定の値に調整することができる。ここで、トルク値設定グリップ185による設定トルク値の変化量は、バネ部181に固有の変化の特性、具体的にはバネ部181の弾性力とたわみとの関係(以下「バネ部181の弾性力の変化の特性」という。)に対応している。
【0052】
以上のように、トルク値設定部18は、締付部材を締め付けるときに発生する締付トルクが所定の設定トルク値に達するとケース11からヘッド部12に伝達される締付力を低下させる締付力伝達部として機能する。
【0053】
[操作量検出部の構成]
操作量検出部19は、カバー198の内部に、回転軸191と、基板192と、エンコーダユニット193と、円盤194と、を備える。
【0054】
回転軸191は、設定ボルト183及びトルク値設定グリップ185と協働可能に接続する。回転軸191は、作業者が回転させたトルク値設定グリップ185からの回転力を設定ボルト183に伝達する。
【0055】
基板192は、エンコーダユニット193などの電子部品を載置可能な部材である。基板192は、例えばプリント基板など、公知の電子回路用基板を用いることができる。
【0056】
エンコーダユニット193は、後述の発光素子と、受光素子と、信号処理部とを備える。エンコーダユニット193には、ロータリエンコーダとして一般に知られている、アブソリュート型エンコーダ及びインクリメンタル型エンコーダのいずれかを用いることができる。
【0057】
円盤194は、中心が回転軸191に挿通されていて回転軸191と共に回転する。円盤194は、受光素子193bの受光状態を変化させる、受光状態変化部として機能する。
【0058】
[操作量検出部の機能ブロック]
図8は、トルクレンチ10の操作量検出部19及び回動検出部20を示すブロック図である。
図8に示すように、操作量検出部19及び回動検出部20は、コンピュータプログラムを実行可能なMCU(Micro Control Unit)30に接続している。MCU30は、トルクレンチ10におけるトルク値設定部18の設定トルク値演算プログラムの処理、及び、回動検出部20のヘッド部12に対するケース11の回動動作を検出する演算処理を実行する。なお、回動検出部20の機能ブロックについては後述する。
【0059】
操作量検出部19は、上述のようにエンコーダユニット193と円盤194とにより構成される。エンコーダユニット193は、発光素子193aと、受光素子193bと、信号処理部193cとを備える。
【0060】
発光素子193aは、例えば発光ダイオードやレーザダイオードなどの各種光源である。発光素子193aは、円盤194及び受光素子193bに向けて光を照射する発光部として機能する。
【0061】
受光素子193bは、例えばフォトダイオードなどを用いることができる。受光素子193bは、発光素子193aから照射された光のうち、円盤194によって反射、遮光、あるいは屈折などの作用で受光状態を変化されていない光を受光する受光部として機能する。受光素子193bは、受光した光に基づいて受光信号を出力する。
【0062】
信号処理部193cは、受光素子193bから出力された受光信号に対して増幅などの信号処理を行う。信号処理部193cは、信号処理した受光信号を演算部31に出力する。また、信号処理部193cは、省電力化や動作安定を図るために、受光量などに基づいて発光素子193aの駆動電力や動作の制御などを行う。
【0063】
円盤194は、中心が回転軸191に挿通されていて回転軸191と共に回転する。円盤194は、受光素子193bの受光状態を変化させる、受光状態変化部として機能する。円盤194は、板状で光不透過性(遮光性)の平板部の中央に孔が設けられる。孔は、回転軸191を挿通することができる。
【0064】
円盤194は、発光素子193aからの光を透過する光透過部として機能するスリットを有する。スリットは、円盤194の円周方向において等間隔に複数個、例えば100個設けられる。隣り合うスリットの間の角度θは、例えば3.6°である。なお、複数のスリットの間隔や角度θ、円盤194上のスリットの個数は上述の例には限定されない。
【0065】
円盤194は、平板部及びスリットにより、発光素子193aからの光の透過と不透過とを切り換えることで、受光素子193bの受光状態を変化させて、設定ボルト183の回転角度に基づくパルス信号を得る。このパルス信号は、操作量検出部19が検出した設定ボルト183の回転角度に基づく電子的情報である回転角度情報である。操作量検出部19は、受光素子193bの受光状態の変化により得たパルス信号から設定ボルト183の回転角度を演算する。操作量検出部19は、このような受光素子193bの受光状態を変化させる円盤194を用いることにより、トルク値設定グリップ185及び設定ボルト183の回転角度に基づくパルス信号を角度θごとに出力する。
【0066】
なお、円盤194は、上述のように光透過部を有する透過型のものに限定されず、例えばプリズムにより発光素子193aからの光を屈折させて受光素子193bの受光状態を変化させてもよい。
【0067】
演算部31は、MCU30におけるCPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などのメインメモリにより構成される。演算部31は、設定トルク値演算プログラムを含むアプリケーションプログラムに基づいて処理を行う。演算部31は、通信部32及び記憶部33に接続している。演算部31は、記憶部33に記憶される設定トルク値演算プログラムを実行することで、設定トルク値演算方法を実行するための設定トルク値演算装置としての機能を実現する。すなわち、演算部31は、設定トルク値演算プログラムを実行することで、操作量検出部19から出力されたトルク値設定グリップ185の操作量及び設定トルク値の変化の特性に基づいて、ディスプレイ部25に表示するための設定トルク値の表示値を演算する。
【0068】
具体的には、演算部31は、エンコーダユニット193の信号処理部193cから出力された回転角度に基づくパルス信号、及び、記憶部33に格納されるバネ部181の弾性力とたわみとの関係の情報に基づいて、設定トルク値の表示値を演算する。演算部31は、演算された設定トルク値の表示値の情報をディスプレイ部25に出力する。
【0069】
なお、演算部31は、設定トルク値を演算して出力する際に、作業日時や作業者に関する情報を設定トルク値に対応させて出力してもよい。
【0070】
通信部32は、演算部31が出力した設定トルク値の表示値のデータ及び回転角度情報のいずれかを含む締付部材の締付作業に関連する情報を、設定トルク値のデータを管理するサーバなど、不図示の外部装置(情報処理装置)に送信する。通信部32による通信路は、無線通信または有線通信のいずれでもよい。また、通信部32と外部装置との通信フォーマットの種類は限定されず、例えばBluetooth(登録商標)、赤外線通信、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などを利用できる。
【0071】
[回動検出部の構成]
回動検出部20は、動作検出ピン125の付近、つまり長手方向においてアーム122のラチェットヘッド121側の端とは反対側の端部の付近に設けられている。回動検出部20は、ヘッド部12、具体的にはヘッド部12のアーム122を基準とした(ヘッド部12に対する)ケース11の動作を検出するために、ケース11に固定されている。
【0072】
回動検出部20は、発光素子及び受光素子を備えるエンコーダユニットと、検出レバーを備える。回動検出部20は、エンコーダユニットの発光素子から検出レバーに向けて光を発する。検出レバーは、ヘッド部12のアーム122と共に動く。検出レバーは、光の進行方向を変化させる。回動検出部20は、受光素子が受光した検出レバーを経た光の受光状態(受光量)の変化に基づいてケース11の回動、具体的には回動方向や回動量などを検出する。
【0073】
[回動検出部の機能ブロック]
図8に示すように、回動検出部20は、操作量検出部19と同様にコンピュータプログラムを実行可能なMCU(Micro Control Unit)30に接続している。MCU30は、回動検出部20のヘッド部12に対するケース11の回動動作を検出する演算処理を実行する。
【0074】
回動検出部20は、上述のようにエンコーダユニット21と検出レバー22とにより構成される。エンコーダユニット21は、発光素子211と、受光素子212と、信号処理部24とを備える。
【0075】
発光素子211は、例えば発光ダイオードやレーザダイオードなどの各種光源である。発光素子211は、検出レバー22及び受光素子212に向けて光を照射する発光部として機能する。
【0076】
受光素子212は、例えばフォトダイオードなどを用いることができる。受光素子212は、発光素子211に向かい合う位置など、発光素子211からの光を受光し得る位置に配置される。受光素子212は、発光素子211から照射された光のうち、検出レバー22によって反射、遮光、あるいは屈折などの作用を受けて受光状態を変化された光を受光する受光部として機能する。受光素子212は、受光した光に基づいて受光信号を出力する。
【0077】
検出レバー22は、発光素子211と受光素子212との間に設けられるアクリルなどの光透過性部材である。検出レバー22は、側面部に等間隔のプリズムが多数設けられ、発光素子211からの光を屈折させて透過する。
【0078】
検出レバー22は、不図示の回動軸を中心に回動する。このようにすることで、検出レバー22は、光を透過させたときのプリズムの位置によって光の透過状態を変化させる。つまり、検出レバー22は、発光素子211からの光を透過・屈折させたときの位置の相違により、受光素子212の受光状態を変化させる、受光状態変化部として機能する。
【0079】
検出レバー22は、動作検出ピン125と接するなどにより、動作検出ピン125が設けられるヘッド部12の動作と同期している。つまり、回動検出部20は、検出レバー22が動作検出ピン125の動きに同期しているため、ヘッド部12に対するケース11の回動量、回動方向、あるいは回動角度を得るための回動動作の情報を取得できる。
【0080】
なお、検出レバー22は、上述のようにプリズムを用いるものに限定されず、例えば光透過部と光不透過部とにより発光素子211からの光を遮光させて受光素子212の受光状態を変化させてもよい。
【0081】
信号処理部24は、受光素子212から出力された受光信号に対して増幅などの信号処理を行う。このとき、信号処理部24は、検出レバー22によって生じる受光状態の違いに基づいて検出レバー22の回動量を検出する。演算部31は、検出した検出レバー22の回動量から、動作検出ピン125が設けられるヘッド部12に対するケース11の回動量、回動角度及び回動方向を演算することができる。
【0082】
また、信号処理部24は、検出した動作検出ピン125の回動量に基づく電子的情報である回動量情報を、演算部31に出力する。また、信号処理部24は、省電力化や動作安定を図るために、受光量などに基づいて発光素子211の駆動電力や動作の制御などを行う。
【0083】
演算部31は、回動検出部20から出力された回動量情報に基づくケース11の回動動作に関する演算処理を行う。具体的には、演算部31は、エンコーダユニット21の信号処理部24から出力された信号に基づいて、ヘッド部12に対するケース11の回動量(回動角度)を演算する。
【0084】
[作業支援情報の出力処理]
本実施形態における作業支援情報の出力処理について説明する。本実施形態では、上述したコンピュータ101やトルクレンチ10の演算部31に作業支援プログラムを実行させることで、以下説明する作業支援方法による作業支援情報を出力する。
【0085】
以下の説明において、実締付トルク値とは、締付部材の実際の締付トルク値である。目標トルク値とは、締付部材あるいは締付箇所ごとに設定される締付部材の目標とされる締付トルク値である。設定トルク値とは、トルクレンチ10の上記締付力伝達部が報知を行うために予めトルクレンチ10に設定されるトルク値である。目標トルク値と設定トルク値とは、同じ値であってもよい。
【0086】
作業支援情報とは、作業者が締付工具を用いて締付部材を締め付ける作業(以下「締付作業」という)を行う際に、作業者を支援する情報である。作業支援情報は、締付作業を行う際に、締付部材に加える実締付トルク値が、締付部材ごとに設定される目標トルク値または目標トルク値に近い値となるように作業者を支援する情報である。
【0087】
作業支援情報は、例えば、締付工具の一例であるトルクレンチ10を用いて締付作業を行う際の実締付トルク値が、設定トルク値または設定トルク値に近い値となるように作業者に作業完了を報知するための情報である。また、作業支援情報は、別の例として、デジタル式トルクレンチにおける、作業完了の報知であってもよい。ここで、デジタル式トルクレンチにおける作業完了の報知とは、デジタル式トルクレンチに備えられる歪ゲージにより計測される歪量から算出される実締付トルク値に応じて、実締付トルク値が設定トルク値または設定トルク値に近い値となるように、任意のタイミングで行われる。また、デジタル式トルクレンチにおける作業完了の通知の態様には、音声出力部からの音声、LEDなど発光部の発光、あるいは表示部への文字や図による作業完了を通知する情報の表示などが挙げられる。この場合、作業支援情報は、上記デジタル式トルクレンチの上記作業完了の報知のタイミングまたは設定トルク値を特定する換算式が挙げられる。デジタル式トルクレンチの構成については後述する。
【0088】
また、作業支援情報は、例えば、トルクレンチを用いて締付作業を行う際の実締付トルク値が、目標トルク値または目標トルク値に近い値となるようなトルクレンチの把持位置(力点位置)に関する情報である。この場合、作業支援情報は、例えば、力点位置の指示位置を特定するための換算式が挙げられる。
【0089】
また、作業支援情報は、機械式のトルクレンチで締付作業を行う際の実締付トルク値が、目標トルク値または近い値となるように考慮された、機械式トルクレンチのトルク値設定部に設定された設定トルク値を算出するための情報である。この場合、作業支援情報は、例えば、機械式トルクレンチの設定トルク値の換算式が挙げられる。
【0090】
なお、作業支援情報は、上述の例に限定されず、締付部材に加える締付トルクが、目標トルク値または目標トルク値に近い値となるように作業者を支援する情報であればいかなるものであってもよい。
【0091】
以下の説明において、作業支援情報は、実締付トルク値が目標トルク値または目標トルク値に近い値となるように、トルクレンチ10に設定される設定トルク値に関する情報である。
【0092】
図9は、本発明に係る作業支援方法を実行させる作業支援プログラムによる処理を示すフローチャートである。
図9に示すように、コンピュータ101は、作業者の属性に関する作業者属性情報を作業者ごとに取得する(S101)。
【0093】
作業者属性情報は、作業者の氏名などの個々の作業者を特定可能な情報に紐付けられる情報である。作業者属性情報は、作業者固有の情報である。作業者属性情報は、例えば、作業者の締付作業に対する熟練度(締付作業の従事時間)、筋力、年齢、性別、身長、体重などである。
【0094】
コンピュータ101は、作業者が締付工具を用いて所定の締付トルクで締付部材を締め付ける締付作業に関する作業内容情報を締付作業ごとに取得する(S102)。
【0095】
作業内容情報は、例えば、締付作業における締付部材ごとに定められる目標トルク値、及び、その締付作業時の実締付トルク値である。以下の説明において、締付作業における締付部材ごとに定められる目標トルク値、及び、その締付作業時の実締付トルク値を、作業時のトルク値情報ともいう。
【0096】
作業内容情報は、締付作業における作業時間に関する情報を含んでもよい。締付作業における作業時間に関する情報とは、例えば、締付部材ごとの締付作業開始から締付作業完了までの時間をいう。この締付作業における作業時間に関する情報と、作業時のトルク値情報とにより、締付作業時の時間ごとの実締付トルク値の変化、つまり作業速度を得ることができる。また、作業内容情報は、締付作業を行った日時に関する情報を含んでもよい。作業内容情報は、上述のトルクレンチ10のMCU30から取得した情報を利用することができる。
【0097】
コンピュータ101は、締付作業における作業者の作業状況に関する作業状況情報を締付作業ごとに取得する(S103)。
【0098】
作業状況情報は、例えば、締付作業における作業者の姿勢に関する情報である。作業状況情報は、個々の作業時の作業状況に関する情報である。作業状況情報は、例えば、作業時の工具の向き、作業時の作業者の姿勢である。作業状況情報は、例えば、トルクレンチ10または作業者が所持するスマートフォン300に備えられるジャイロセンサなどの物体の姿勢変化情報を取得できるセンサの情報を利用することができる。
【0099】
図10は、トルクレンチ10を用いて締付作業を行う作業者Wの姿勢の例を示す模式図である。
図10において、作業者Wの姿勢は、立ち姿である。作業者Wは、長手方向が略水平方向を向くトルクレンチ10を用いて、腰の位置付近にある締付部材を締め付けるため、手の位置が腰の位置付近にある。以下の説明において、
図10に示す姿勢を、姿勢1とする。
【0100】
図11は、
図10に示した締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す波形図である。
図11、及び後述の
図13,14において、実締付トルク値と時間が作業内容情報であり、作業者の姿勢が作業状況情報である。
【0101】
以下の説明において、波形図におけるa点は、トルクレンチ10により、締結部材を締め付けるに従って上昇した実締付トルク値のピークである。a点に達すると上記締付力伝達部のケース11とヘッド部12との相対的な位置が変化し、実締付トルク値は急激に低下する。
【0102】
波形図におけるb点は、上記締付力伝達部の作動に伴うヘッド部12とケース11との相対的な移動が終了した位置である。b点は、上記締付力伝達部により、ケース11からヘッド部12への締付力の伝達が完全に断たれない。すなわち、b点では、ケース11とヘッド部12とが接触することで音や振動などが発生した後もケース11とヘッド部12とが接触状態が継続し、作業者の手の力が引き続き加わるため、再び実締付トルク値が上昇する。
【0103】
波形図におけるc点は、b点で上記締付力伝達部の作動に伴うヘッド部12とケース11との相対的な移動が終了した後、ケース11とヘッド部12との相対的な位置が変化したことで、作業者がトルクレンチ10を下方に向けるのを緩めて除荷した位置である。b点からc点の間では、ヘッド部12とケース11とが一体となって移動する。
【0104】
波形図におけるd点とe点は、作業者が締付力を緩めると、上記締付力伝達部のバネ部181のバネ力により、ヘッド部12とケース11とが相対的に移動して元の位置に戻り、その際に生じる衝撃を示す。
【0105】
図11に示すように、姿勢1で行った締付作業における実締付トルク値は、a点よりもc点の方がわずかに大きな値となっていることがわかる。
【0106】
図12は、トルクレンチを用いて締付作業を行う作業者の姿勢の別の例を示す模式図である。
図12において、作業者Wの姿勢は、立ち姿である。作業者Wは、長手方向が略垂直方向を向くトルクレンチ10を用いて、腰の位置付近にある締付部材を締め付けるため、手の位置が胸の位置付近にある。以下の説明において、
図12に示す姿勢を、姿勢2とする。
【0107】
図13は、
図12に示した締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す波形図である。
図13に示すように、姿勢2で行った締付作業における実締付トルク値は、a点よりもc点の方が明らかに大きな値となっていることがわかる。また、姿勢2で行った締付作業において、c点の実締付トルク値は、姿勢1で行った締付作業におけるc点の実締付トルク値よりも大きい。
【0108】
図14は、
図10に示した締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す別の波形図である。
図14の波形図は、
図10と同じ姿勢1で締付作業を行った際のものであるが、
図11の波形図よりも締付完了までの作業速度が早い。
図14に示すように、姿勢1で行った締付作業において作業速度を速めた場合の実締付トルク値は、a点よりもc点の方が明らかに大きな値となっていることがわかる。また、この場合において、c点の実締付トルク値は、
図11の波形図におけるc点の実締付トルク値よりも大きい。
【0109】
図10乃至
図14によれば、作業状況情報として取得される作業者Wの姿勢や作業速度が変化することによって、実締付トルク値が変化することがわかる。具体的には、作業者Wがトルクレンチ10に加える手の力を加減しにくい姿勢2は、姿勢1よりも大きな実締付トルク値が加わる傾向にあることがわかる。また、作業速度が速い場合は、作業速度が遅い場合よりも大きな実締付トルク値が加わる傾向にあることがわかる。以上より、実締付トルク値を目標トルク値に近づけるには、トルクレンチ10が報知するトルク値である設定トルク値は目標トルク値よりも小さい値とするのが望ましいことがわかる。また、設定トルク値は、作業者属性情報、作業内容情報、及び作業状況情報に基づいて定めるのが望ましいことがわかる。
【0110】
図15は、締付作業を行う際のトルクレンチ10の向きの例を示す模式図である。
図15において、締付部材は、軸方向が略水平方向を向いている。このため、トルクレンチ10は、長手方向が略水平方向を向き、ケース11の回動方向は略垂直(上下)方向である。以下の説明において、
図15に示すトルクレンチ10の向きを、縦方向とする。
【0111】
図16は、
図15に示した締付作業の設定トルク値と実締付トルク値との関係を示すデータテーブルである。
図16のデータテーブルは、トルクレンチ10の向きが縦方向の場合における、補正前後の設定トルク値と実締付トルク値、実締付トルク値の10回あたりの平均値、実締付トルク値の誤差の平均値、及び、設定トルク値に対する上記誤差の比率を示す。以下の説明において、「補正後設定トルク値」は、一般にトルクレンチを用いて締付作業を行う場合、実締付トルク値が設定トルク値を上回ることを考慮して、実締付トルク値が設定トルク値に近づくように補正した値である。
図16及び
図18において、設定トルク値と目標トルク値とは同一である。
図16及び
図18において、「設定値」と表記される欄に記載される値は、補正前の設定トルク値である。また、
図16及び
図18において、「補正後」と表記される欄に記載される値は、補正後の設定トルク値である。
【0112】
図17は、締付作業を行う際のトルクレンチ10の向きの別の例を示す模式図である。
図17において、締付部材は、軸方向が略垂直方向を向いている。このため、トルクレンチ10は、長手方向が略水平方向を向き、ケース11の回動方向が略水平方向である。以下の説明において、
図17に示すトルクレンチ10の向きを、横方向とする。
【0113】
図18は、
図17に示した締付作業の設定トルク値と実締付トルク値との関係を示すデータテーブルである。
図18のデータテーブルは、トルクレンチ10の向きが横方向の場合における、補正前後の設定トルク値と実締付トルク値、実締付トルク値の10回あたりの平均値、実締付トルク値の誤差の平均値、及び、設定トルク値に対する上記誤差の比率を示す。
【0114】
図16及び
図18によれば、作業状況情報として取得されるトルクレンチ10の向きが変化することによって、実締付トルク値が変化することがわかる。具体的には、作業者Wがトルクレンチ10に手の力を加えやすい縦方向は、横方向よりも大きな実締付トルク値が加わる傾向にあることがわかる。また、トルクレンチ10の向きが縦方向の場合は、横方向の場合よりも補正前の設定トルク値と補正後の設定トルク値との差が大きい傾向にあることがわかる。
【0115】
図19は、締付作業におけるトルク値と時間との関係を示す波形図である。
図19の波形図は、設定トルク値と報知時期との時間差を説明するものである。
図19において、トルクレンチ10の締付力伝達部が動作する時期を報知時期という。また、
図19において、報知時期は、いずれも設定トルク値に対する実締付トルク値の比率が90%の場合を示している。
図19に示すように、設定トルク値が大きくなるにつれて、トルクレンチ10の報知タイミングから実際に上記締付力伝達部が動作するまでの時間差(タイムラグ)も大きくなる。つまり、トルクレンチ10において、報知時期を設定トルク値の大きさに応じて変化させる必要がある。
【0116】
コンピュータ101は、取得した作業者属性情報、作業内容情報、及び作業状況情報を作業者ごとに対応付けが完了したか否かを判断する(S104)。上記情報の作業者ごとの対応付けが完了した場合には、コンピュータ101は、上記情報を二次記憶装置105の内部のデータベースに格納する。上記情報の作業者ごとの対応付けが完了しない場合には、S101に戻り、上記情報の取得処理を行う。
【0117】
コンピュータ101は、締付トルクが締付部材ごとに設定される設定トルク値となるように前記締付作業を支援する作業支援情報を、作業内容情報、作業状況情報、及び作業者属性情報に基づいて作業者ごとに出力する(S105)。
【0118】
コンピュータ101は、作業者属性情報に基づいて作業支援情報を出力する場合、例えば以下のように作業支援情報を出力する。一般に、作業者の熟練度が高い場合には、熟練度が低い場合と比較してトルクレンチ10の上記締付力伝達部による報知から作業を停止するまでの時間差が短い。このため、コンピュータ101は、熟練度が高い場合には、熟練度が低い場合と比較して報知タイミングが遅くなるように設定トルク値を定める。コンピュータ101は、筋力が大きい場合には、筋力が小さい場合と比較して報知タイミングが早くなるように設定トルク値を定める。コンピュータ101は、年齢が高い場合には、年齢が低い場合と比較して報知タイミングが遅くなるように設定トルク値を定める。コンピュータ101は、性別が男性の場合には、女性の場合と比較して報知タイミングが早くなるように設定トルク値を定める。コンピュータ101は、身長が高い場合には、身長が低い場合と比較して報知タイミングが早くなるように設定トルク値を定める。コンピュータ101は、体重が重い場合には、体重が軽い場合と比較して報知タイミングが早くなるように設定トルク値を定める。
【0119】
コンピュータ101は、作業状況情報に基づいて作業支援情報を出力する場合、例えば以下のように作業支援情報を出力する。コンピュータ101は、作業者の姿勢が姿勢2のように手の力を調節しにくい姿勢である場合には、姿勢1のように手の力を調節しやすい姿勢である場合と比較して報知タイミングが早くなるように設定トルク値を目標トルク値よりも小さな値に定める。コンピュータ101は、トルクレンチ10の向きが縦方向のように手の力を調節しにくい方向である場合には、横方向のように手の力を調節しやすい方向である場合と比較して報知タイミングが早くなるように設定トルク値を目標トルク値よりも小さな値に定める。
【0120】
コンピュータ101は、作業内容情報に基づいて作業支援情報を出力する場合、例えば以下のように作業支援情報を出力する。コンピュータ101は、設定トルク値が大きくなるにつれて、報知タイミングが遅くなるように設定トルク値を定める。また、コンピュータ101は、作業速度が速い作業者に対しては、作業速度が遅い作業者と比較して報知タイミングが早くなるように設定トルク値を定める。
【0121】
以上のように出力された作業支援情報は、トルクレンチ10の設定トルク値として使用されることで、実締付トルク値を目標トルク値または目標トルク値に近い値となるようにすることができる。
【0122】
なお、コンピュータ101は、作業者属性情報、作業状況情報、作業内容情報の少なくともいずれか一つに基づいて、作業支援情報を出力すればよい。また、コンピュータ101は、作業者属性情報、作業状況情報、作業内容情報を、締付作業ごとに逐次取得しても、あるいは所定回数ごとなど任意のタイミングで取得してもよい。
【0123】
[締付工具の実施形態2]
次に、本発明に係る締付工具の別の実施形態について説明する。以下説明する実施形態では、本発明に係る締付工具の一例である、トルクレンチ10Aについて説明する。また、以下の説明において、以上説明した実施形態と共通する箇所については説明を省略する。
【0124】
図20は、本発明に係る締付工具の別の実施形態を示すトルクレンチ10Aの正面図である。また、
図21は、トルクレンチ10AのMCU及び歪ゲージを示す模式図である。
図20及び
図21に示すように、本実施形態に係るトルクレンチ10Aは、歪ゲージ40が検出した歪量を用いて締付トルクを計測するトルク値計測部4により、締付部材の締付トルク値を取得するデジタル式(電子式)トルクレンチである。
【0125】
トルクレンチ10Aは、本体部2、ラチェットヘッド3、トルク値計測部4、表示部5、把持部6、MCU30、歪ゲージ40、及び指紋読取部41を備える。
【0126】
本体部2は、例えば金属製の棒状の部材である。本体部2は、作業時に作業者により把持されることでトルクレンチ10Aを操作可能にする。本体部2の一端には、トルクレンチ10と同じくラチェットヘッド3が設けられる。ラチェットヘッド3には、ソケットと係合する係合部が設けられる。係合部には、ボルト・ナット等の締付部材(図示せず)の種類や寸法に応じたソケットを取り付けることができる。係合部は、ソケットを介して、トルクレンチ10Aと締付部材とを係合させる。また、本体部2の他端には、作業者が把持するための把持部6が設けられる。
【0127】
トルク値計測部4は、起歪体として機能する本体部2に取り付けられる歪ゲージ40と、MCU30とを備える。
【0128】
トルク値計測部4は、歪ゲージ40により、トルクレンチ10Aを用いて締付部材を締め付けるときに本体部2に生じる歪量を計測する。トルク値計測部4は、計測された歪量に基づいて、締付部材を締め付けるときの締付トルクを算出する。トルク値計測部4は、算出した締付トルクの値を表示部5に表示する。
【0129】
MCU30は、歪ゲージ40により計測された歪量に基づいて締付トルクの実測値を算出する処理、及び、算出した締付トルクの値を表示部5に表示させる処理を行う。MCU30は、上記処理以外に以上説明したトルクレンチ10のMCU30と同じく、演算部31により、上述の作業支援方法による作業者の支援処理を行う。
【0130】
トルクレンチ10Aは、トルク値計測部4または表示部5が報知部として機能する。トルク値計測部4には、スピーカのような不図示の音声出力部やLED(Light Emitting Diode)のような不図示の発光部が設けられる。トルク値計測部4は、音声出力部からの音声または発光部からの光、あるいは表示部への文字や図による作業完了を通知する情報の表示などにより、作業者識別情報の標本情報の登録処理及び作業管理処理の結果の報知を行う。
【0131】
表示部5は、以上説明した作業管理処理の結果の報知と同様の情報を報知する。ここで、表示部5による作業管理処理の結果の報知の表示態様は、以上説明した表示画面と同様のものに限定されず、例えば文字情報のみによるなどして簡略化されていてもよい。
【0132】
出力された作業支援情報は、トルクレンチ10Aの設定トルク値として使用されることで、実締付トルク値を目標トルク値または目標トルク値に近い値となるようにトルクレンチ10Aの報知タイミングを設定することができる。
【0133】
なお、本発明に係る締付工具は、上述のプリセット型のトルクレンチ10に限定されない。本発明に係る締付工具は、例えば、設定用の工具等を用いない限り作業者が設定トルク値の変更ができないいわゆるプリロック型のトルクレンチや、トルクドライバなどの他の締付工具であってもよい。
【符号の説明】
【0134】
1:作業支援システム
2:本体部
3:ラチェットヘッド
4:トルク値計測部
5:表示部
6:把持部
10:トルクレンチ
11:ケース
12:ヘッド部
13:ヘッドピン
14:ゲイン調整ネジ
15:リンク
16:スライダ
17:スプリングガイド
18:トルク値設定部
19:操作量検出部
20:回動検出部
21:エンコーダユニット
22:検出レバー
24:信号処理部
25:ディスプレイ部
30:MCU
31:演算部
32:通信部
33:記憶部
40:歪ゲージ
41:指紋読取部
100:工具ステーション
101:コンピュータ
102:演算部
103:メインメモリ
104:CPU
105:二次記憶装置
106:入力部
107:出力部
108:バス
121:ラチェットヘッド
122:アーム
123:接触部
124:ソケット接続部
125:動作検出ピン
181:バネ部
182:トルク値指示部
183:設定ボルト
184:ロックナット
185:トルク値設定グリップ
191:回転軸
192:基板
193:エンコーダユニット
193a:発光素子
193b:受光素子
193c:信号処理部
194:円盤
198:カバー
211:発光素子
212:受光素子
300:スマートフォン
400:コンピュータ
500:無線LANルータ