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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/22 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
E02B7/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019207910
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021080695
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】516248691
【氏名又は名称】有限会社シンワ
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和紀
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-082606(JP,A)
【文献】特開2003-082956(JP,A)
【文献】特開2009-225725(JP,A)
【文献】特開2009-091736(JP,A)
【文献】特開平04-285205(JP,A)
【文献】特開平11-158850(JP,A)
【文献】特開2015-113603(JP,A)
【文献】特開2003-201710(JP,A)
【文献】特開2005-097964(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0063855(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面又は床面に埋設され、装置内に流入する水によって浮力を得る止水板が上昇して水を堰き止める止水装置であって、
前記止水装置は止水ユニットと排水ポンプと停電保証部とを備え、
前記止水ユニットは、
地面又は床面に埋設され水が流入する流入槽と、
前記流入槽の下部に設けられる第1排水口と、
前記流入槽に隣接して地面又は床面に埋設され前記流入槽より深く構成される貯水槽と、
前記流入槽と前記貯水槽とを連通させる連通口と、
前記貯水槽の下部に設けられる第2排水口と、
前記貯水槽のうち前記止水板が上昇しない水位かつ雨水路に排水可能な高さに設けられる第3排水口と、
前記貯水槽に収容され前記第1排水口及び前記第2排水口の排水量を超える水が流入したときに前記貯水槽に溜まった水によって浮力を得る止水板と、
前記貯水槽と前記止水板との水密を保つパッキンと、を備え、
前記排水ポンプは、前記第1排水口と前記第2排水口のうち少なくとも前記第2排水口から排水される水を前記雨水路までポンプアップし、
前記停電保証部は、送電時は前記第3排水口からの排水を止め、停電時は前記第3排水口からの排水を妨げないことを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記流入槽又は前記貯水槽に任意に水を流入させる給水管、及び前記第1排水口及び前記第2排水口の排水を一時的に止める排水停止機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の止水装置。
【請求項3】
前記パッキンが断面D形のうち直線部分が底部となって延伸された断面ハット状であるとともに前記底部がその他の部分より硬く構成され、前記パッキンを固定するための断面L形の一対の金具がパッキン留めとして逆さに前記貯水槽の側面に対向して設けられ、前記底部が前記パッキン留めと前記貯水槽の側面との間に挿入されて固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面又は床面に埋設され、装置内に流入する水によって浮力を得て止水板が上昇して水を堰き止める止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集水ピット内に流入された水が喫水線まで達せずに降雨等が止んだ時に、そのまま集水ピットに水が残り、これが繰り返されると洪水ではない通常の降雨時でも水防板が浮上することになる問題点を解決することを目的として、特開2003-253715号公報に、排水ポンプを備えることで通常の降雨時に雨水等の水が集水ピット内に流入しても排水が可能で、水防板が浮上することがなく、又洪水時で冠水した時に水防板が浮上し、浮上した後、水が引いた時に集水ピット内の溜まった水の排水を行い、水防板を集水ピット内に格納できるようにした浮上式水防装置が開示されている。
【0003】
ここで、一般的に下水管は比較的深い位置に埋設されているものの雨水を排水することができず、雨水路又は雨水管(以下、「雨水路」という。)は比較的浅い位置に配置されている。このため、集水ピットからの水を排水ポンプなしで雨水路に排水するには、集水ピットを浅くするしか方法がなかった
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-253715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、排水路が集水ピットの底部より低い位置にあるときの排水は問題ないものの、停電時に排水ポンプが動作しないときの排水についての記載はない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、停電時においても装置内に流入する水を雨水路に排水することができる止水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の止水装置は、
地面又は床面に埋設され、装置内に流入する水によって浮力を得る止水板が上昇して水を堰き止める止水装置であって、
前記止水装置は止水ユニットと排水ポンプと停電保証部とを備え、
前記止水ユニットは、
地面又は床面に埋設され水が流入する流入槽と、
前記流入槽の下部に設けられる第1排水口と、
前記流入槽に隣接して地面又は床面に埋設され前記流入槽より深く構成される貯水槽と、
前記流入槽と前記貯水槽とを連通させる連通口と、
前記貯水槽の下部に設けられる第2排水口と、
前記貯水槽のうち前記止水板が上昇しない水位かつ雨水路に排水可能な高さに設けられる第3排水口と、
前記貯水槽に収容され前記第1排水口及び前記第2排水口の排水量を超える水が流入したときに前記貯水槽に溜まった水によって浮力を得る止水板と、
前記貯水槽と前記止水板との水密を保つパッキンと、を備え、
前記排水ポンプは、前記第1排水口と前記第2排水口のうち少なくとも前記第2排水口から排水される水を前記雨水路までポンプアップし、
前記停電保証部は、送電時は前記第3排水口からの排水を止め、停電時は前記第3排水口からの排水を妨げないことを特徴とする。
【0008】
本発明の止水装置によれば、第3排水口と停電保証部とを備えるため、送電時は排水ポンプで装置に流入する水を排水することができ、停電時には第3排水口を通じて排水することができる。
【0009】
(2)本発明の止水装置の好ましい例は、
前記流入槽又は前記貯水槽に任意に水を流入させる給水管、及び前記第1排水口及び前記第2排水口の排水を一時的に止める排水停止機構を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の止水装置の好ましい例によれば、給水管と排水停止機構とを備えるため、降水の有無に関わらず貯水槽に水を溜めることができ、設置時やメンテナンス後の動作確認を容易にすることができる。
【0011】
(3)本発明の止水装置の好ましい例は、
前記パッキンが断面D形のうち直線部分が底部となって延伸された断面ハット状であるとともに前記底部がその他の部分より硬く構成され、前記パッキンを固定するための断面L形の一対の金具がパッキン留めとして逆さに前記貯水槽の側面に対向して設けられ、前記底部が前記パッキン留めと前記貯水槽の側面との間に挿入されて固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の止水装置の好ましい例によれば、パッキンのうち断面ハット状の延伸された底部をパッキン留めに挿入することでパッキンを装着することができ、止水装置の製造時及びメンテナンス時におけるパッキン交換の作業工数の低減を図ることができる。また、パッキンの底部がパッキンのその他の部分より硬く構成されているため、パッキンがパッキン留めから抜けることを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明の止水装置によれば、停電時においても装置内に流入する水を雨水路に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の止水装置のコンクリート枠を説明する図である。
図2図1のA-A線断面図に止水ユニット等を組付けた状態を模式的に表わす図である。
図3】パッキン及びパッキン留めを説明するずである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の止水装置1の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の止水装置1は、コンクリート枠10と、止水ユニット40と、排水ポンプ70とを備える。このコンクリート枠10は、本体枠20と、点検枠30とを備える。
【0016】
本体枠20は、コンクリート製で地面又は床面等の間口や通路を横断するように埋設されるもので、開口部21と、嵌合溝22と、第1貫通孔23とを備える。開口部21は、本体枠20の上面に設けられるものである。嵌合溝22は、開口部21から下に向かって設けられるもので、断面視で略逆さL字状をなしている。この嵌合溝22に止水ユニット40が嵌められる。また、嵌合溝22は、その側面63が斜めになることで開口部21が最も広く構成され、底部28にいくにしたがい狭くなっている。第1貫通孔23は、本体枠20の側面に嵌合溝22と連通して設けられるもので、作業者が止水ユニット40への配管の接続作業やメンテナンス等を行なうものである。また、第1貫通孔23の上面には、第1排水口71(詳細は後述する)への接続のための接続孔24が設けられている。この接続孔24に代えて、第1貫通孔23の上面の一部を除去することもできる。また、本実施形態の止水装置1では、装置全体を支えるとともに、その上部を通過する車両等の荷重に耐えるための主な骨格を、コンクリート枠10が担っている。このため、耐荷重性能に優れるものとなっている。
【0017】
なお、本実施形態の止水装置1では、本体枠20を中央枠26と前記中央枠26の長手方向両側に連結される一対の端枠27a,27bとに3分割している。これは、本体枠20の製造と運搬を容易にするためである。このため、本体枠20の長手方向の寸法によっては2分割、4分割、5分割等、様々なものを用いることができる。また、2分割では本体枠20の片方には図示しない板を取付けて本体枠20の嵌合溝22の端とすることができる。これらの中央枠26と端枠27a,27bとは、図示しないボルト等で連結され、連結される場所には防水のためのパッキンが配置されたり、コーキング等が施されることが好ましい(本体枠20と点検枠30との連結においても同様。)。また、本体枠20の上面の開口部21の周囲には、ボルト25又はボルト用の穴が設けられ、止水ユニット40を装着後に固定することができる。この止水ユニット40を固定するボルト25には、例えば特殊な頭部形状を有するボルト25を採用し、止水ユニット40の盗難を防止することもできる。
【0018】
点検枠30は、コンクリート製で、本体枠20の側面に連結されるもので、下枠31と、第2貫通孔32と、天板33と、点検口34と、点検蓋35とを備える。下枠31は、枡状をなすもので、この内部に排水ポンプ70や配管等が収容される。第2貫通孔32は下枠31の側面に、本体枠20の第1貫通孔23に対応するように設けられる孔である。天板33は、下枠31の開放された上面を覆うものであり、その上を通過する車両等に対して十分な耐荷重性能を有している。点検口34は、天板33の一部に設けられるもので、通常時は点検蓋35閉じられ、メンテナンス等のときにそこから作業者が出入りするのである。なお、天板33そのものを点検口34の代わりとすることもできる。
【0019】
止水ユニット40は、流入槽41と、貯水槽43と、止水板50と、パッキン60とを備える。流入槽41は、止水ユニット40のうち屋外側又は洪水のときに水が来る方に設けられるもので、比較的浅い槽である。流入槽41の上面には水等が通過するようにグレーチング42等の溝蓋42が設けられる。また、流入槽41の下部には、流入槽41に流入する水を排水するための第1排水口71が設けられ、本体枠20の接続孔24を介して第1排水管72が接続される。また、流入槽41には貯水槽43と連通する連通口44が備えられる。この連通口44は、流入槽41の底部より3~10cm程度高いところに設けられ、通常の降雨において流入する水は第1排水口71を通じて排水され、水が貯水槽43に行かないようになっている。一方、豪雨等で第1排水口71からの排水量を超える水が流入槽41に流入すると、流入槽41内の水位が上昇し、連通口44を通じて流入槽41から貯水槽43に向かって水が流入する構成となっている。この流入槽41の底部の幅w1は、当該部分の本体枠20の嵌合溝22の幅と略同じ幅とされ、流入槽41の底部は嵌合溝22に挟まれるように固定される。
【0020】
貯水槽43は、流入槽41に隣接して前記嵌合溝22に嵌められるもので、流入槽41より深く構成される。また、貯水槽43の下部かつ第1貫通孔23に対応する位置に第2排水口73が設けられ、この第2排水口73に第2排水管74が接続される。貯水槽43に流入する水は、この第2排水口73を通じて排水される。ここで、豪雨等で上記の第1排水口71と第2排水口73の排水量を超える水が流入槽41及び貯水槽43流入すると、貯水槽43の内部に水が溜まり、浮力を得た止水板50が上昇する仕組みとなっている。この貯水槽43の底部の幅w2は、本体枠20の嵌合溝22の底部28と略同じ幅に構成され、貯水槽43の底部は嵌合溝22に挟まれるように固定される。また、貯水槽43の底部は、雨水路83より深い位置にあり、貯水槽43の方が雨水路83より深く構成される。なお、流入槽41と貯水槽43との間には、補強のための柱45が適宜設けられる。
【0021】
また、貯水槽43には、第3排水口76が設けられている。これは、停電時に排水ポンプ70が停止して貯水槽43に水が溜まって、止水板50が浮いてしまうことを防止するためである。この第3排水口76は、貯水槽43の第1貫通孔23に対応する位置のうち、止水板50が上昇しない水位かつ雨水路83に排水可能な高さに設けられるものである。この第3排水口76には第3排水管77が接続され雨水路83まで延伸される。また、第3排水管77には、送電時には閉じることで第3排水口76からの排水を止めて、停電時には開いて第3排水口76からの排水を妨げない停電保証部78が設けられる。この停電保証部78は、電磁弁を用いたバルブが用いられる。これにより、停電時に排水ポンプ70が動作しなくとも、雨水路83より地中深くに構成される貯水槽43を備えながら、通常の降水では第3排水口76から水が排水され、止水板50が浮くことがない。なお、この第3排水口76、第3排水管77、及び停電保証部78は、本実施形態の止水装置1のようなコンクリート枠10を用いる態様に留まらず、排水ポンプを備える他の止水装置にも応用可能なことは勿論である。
【0022】
また、流入槽41又は貯水槽43には給水管81が接続される。この給水管81は、流入槽41又は貯水槽43の第1貫通孔23に対応する位置に設けられるもので、本実施形態では貯水槽43に接続されている。流入槽41に接続する場合は、第1貫通孔23の上面に孔を設けてそこから接続すれば良い。この給水管81には給水弁82が設けられ、水を給水するか否かは作業者が任意に選択することができる。
【0023】
また、第1排水口71及び第2排水口73からの排水を一時的に止める排水停止機構75が設けられる。本実施形態では、第1排水管72と第2排水管74とが合流した下流に、排水停止弁75を設けているが、排水ポンプ70や排水槽84の態様によっては排水ポンプ70の強制停止等の手段を用いてもよい。これらの給水管81と排水停止機構75によって、水を強制的に貯水槽43及び流入槽41に溜めることができ、止水装置1の動作確認等を容易に行なうことができる。なお、停電時に排水停止機弁を自動的に動作させて、排水ポンプ70に水が行かないようにすることもできる。
【0024】
また、貯水槽43の上部には、止水板50との水密を保つためのパッキン60が備えられる。このパッキン60は、図3に示すように、断面D形のうち直線部分が底部61となって延伸された断面ハット状をなし、この底部61は、その他の部分よりも硬く構成されている。また、パッキン60は、パッキン留め62に固定される。このパッキン留め62は、断面L字形の一対の形鋼が逆さに向かい合うように貯水槽43の側面63に取付けられ、貯水槽43の側面63と形鋼との間にパッキン60の底部61が挿入され固定される。
【0025】
図1及び図2に戻り、止水板50は、貯水槽43に収容され第1排水口71及び第2排水口73の排水量を超える水が流入したときに貯水槽43に溜まった水によって浮力を得るものである。止水板50の上部には止水天板51が設けられ、通常時における車両や人等の通行の妨げにならないようになっている。また、止水板50の上昇時には、貯水槽43の長手方向の両端に設けられたガイド部52によって、止水板50が倒れないように支持される。
【0026】
排水ポンプ70は、点検枠30の内部に備えられ、排水槽84に溜まった第1排水口71及び第2排水口73からの排水を雨水路83までポンプアップする。これにより、止水ユニット40流入する水を、比較的深い位置に設置される下水管ではなく、比較的浅い位置に設置される雨水路83に排水することができる。この排水ポンプ70の二次側配管79には、逆止弁80が設けられることが好ましい。なお、第1排水口71の深さが雨水路83に流せるものである場合、第1排水口71からの第1排水管72は、本実施形態の止水装置1のように第2排水管74と合流させずに、直接雨水路83まで配置させてもよい。
【0027】
次に、上述した本実施形態の止水装置1の構成を踏まえて、止水装置の設置方法と撤去方法を説明する。
先ず設置方法を説明する。本実施形態の止水装置の設置方法は、枠設置工程と、止水ユニット装着工程と、配管作業工程とを含む。枠設置工程は、地面又は床面を掘り下げて、事前に工場で製造された本体枠20と点検枠30とを現場に設置する。次に、止水ユニット装着工程として、本体枠20の嵌合溝22に、事前に工場で製造された止水ユニットを装着するのである。ここで、嵌合溝22は開口部21が広く、底部28にいくにしたがい狭く構成され、さらに底部28の幅は貯水槽43の底部の幅と略同じに構成される。これにより、嵌合溝22への止水ユニット40の装着が容易となるとともに、装着後に貯水槽43の底部を特に固定せずともぐらつくことがない。次に、ボルト25等で止水ユニット40の上部と本体枠20の上面とを結合させる。次に、点検枠30の内部に排水ポンプ70を設置する。次に配管作業工程として、止水ユニット40の第1排水口71、第2排水口73、第3排水口76等に必要な配管を接続し、排水ポンプ70への配管接続を行なう。また、給水管81も貯水槽43に接続される。さらに、必要な電気配線をして、動作確認をして、点検枠30の天板33と点検口34を閉じればよい。なお、天板33は排水ポンプ70を設置した後はいつ置いても構わない。
【0028】
次に、撤去方法を説明する。本実施形態の止水装置の撤去方法は、配管撤去工程と、止水ユニット抜取工程と、蓋設置工程とを含む。配管撤去工程は、点検枠30の点検口34と天板33とを外し、配管、電気配線等を取外して撤去又は封をする。また、排水ポンプ70も撤去される。次に、止水ユニット抜取工程として、止水ユニット40と本体枠20とを結合させているボルト25等を取外し、クレーン等で止水ユニット40を引き上げて抜き取る。このとき、本体枠20の嵌合溝22が開口部21にいくにしたがい広く構成されているため、止水ユニット40の抜取時に止水ユニット40と本体枠20とが殆ど接触せず、容易に抜き取ることができる。次に、点検枠30の天板33と点検蓋35とを戻して点検枠30を塞ぐ。次に、蓋設置工程として、本体枠20の開口部21に蓋(図示せず)を設置して、開口部21を塞ぐ。このとき、蓋の固定に本体枠20の上面に設けられたボルト25等を用いることができる。
【0029】
以上、説明したように、本実施形態の止水装置1によれば、コンクリート枠10に点検枠30を備えることで、設置やメンテナンス等において、作業が容易となる。また、排水ポンプ70で排水をポンプアップするため、止水ユニット40の貯水槽43を深くしても排水に問題がない。また、第3排水口76と停電保証部78とを備えるため、排水ポンプ70を備える構成ながら停電時においても排水が可能となる。また、パッキン60が断面ハット状でありその底部をパッキン留め62に挿入するため、パッキン60の取付が容易となる。また、本体枠20が分割構造となっているため、運搬や設置工事に際して大型の機械が不要である。また、本体枠20の嵌合溝22が開口部21が広く、底部に行くに従い狭く構成されているため、止水ユニット40の設置と撤去において、止水ユニット40と嵌合溝22との接触を最小限にすることができる。また、コンクリート枠10で殆どの耐荷重性能を得るため、止水ユニット40の柱45等の補強を最低限とすることができ、製造コストの低減を図ることと、耐荷重性能の向上を両立させることができる。
【0030】
また、本実施形態の止水装置1の設置方法によれば、工場で予め製造したコンクリート枠10と止水ユニット40を現場に設置すればよく、工期の短縮を図ることができる。また、本実施形態の止水装置1の撤去方法によれば、コンクリート枠10をそのまま残すため、工期の短縮ができるとともに、再度の止水装置1の設置が容易である。
【0031】
なお、上述の止水装置1、止水装置1の設置方法及び撤去方法は、本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0032】
1・・止水装置、
10・・コンクリート枠、
20・・本体枠、21・・開口部、22・・嵌合溝、23・・第1貫通孔、24・・接続孔、25・・ボルト、26・・中央枠、27a,27b・・端枠、28・・底部(嵌合溝)
30・・点検枠、31・・下枠、32・・第2貫通孔、33・・天板、34・・点検口、35・・点検蓋、
40・・止水ユニット、41・・流入槽、42・・溝蓋(グレーチング)、43・・貯水槽、44・・連通口、45・・柱、
50・・止水板、51・・止水天板、52・・ガイド部、
60・・パッキン、61・・底部(パッキン)、62・・パッキン留め、63・・側面、
70・・排水ポンプ、71・・第1排水口、72・・第1排水管、73・・第2排水口、74・・第2排水管、75・・排水停止機構(排水停止弁)、76・・第3排水口、77・・第3排水管、78・・停電保証部、79・・二次側配管、80・・逆止弁、81・・給水管、82・・給水弁、83・・雨水路、84・・排水槽、
図1
図2
図3