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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】水位検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/284 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
G01F23/284
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022069102
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2022-04-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 一徳
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501403(JP,A)
【文献】特開平1-131418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0047896(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0426622(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/14-23/2965
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯めるための容器と、
所定周波数の電気信号を出力する発信器と、
前記容器内に設置され、かつ前記発信器から出力された電気信号に応じた所定周波数の電波を出力する電極と、
前記容器内の液体との間に発生する電界を検知する電界センサと、
前記電界センサによって検知された前記電界の強度に基づいて、前記容器内に貯められている液体の水位を検知する制御装置と、
を備える水位検知システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電界の強度が所定閾値以上である場合に、前記水位が所定値以上であると判定する、
請求項1に記載の水位検知システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記電界の強度が所定閾値未満である場合に、前記水位が所定値未満であると判定する、
請求項1又は請求項2に記載の水位検知システム。
【請求項4】
前記電界センサは、所定周波数に共振点を有する、
請求項1に記載の水位検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水位検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耐久性が高く且つ保守が容易な流速を計測するセンサが開示されている。このセンサは、導波管内の音を入力して音電気信号を出力し、音電気信号から音の周波数スペクトルを求め、流体が流れていない時の空間の容積を求める(例えば、[請求項1]を参照)。
【0003】
また、特許文献2には、VHF/UHFレーダー局を使用して河川流量パラメータを監視するシステムが開示されている。このシステムは、河岸と作動的な関係に位置している少なくとも1つのアンテナアレイを有するレーダー局、少なくとも1つのアンテナアレイに連結されている少なくとも1つの受信チャンネル、少なくとも1つの受信チャンネルに連結されている方向探知モジュール、方向探知モジュールに連結されているエイリアシング除去モジュール、ならびにエイリアシング除去モジュールに連結され、河川横断方向距離の関数として川下表面流量のプロファイルを計算するように作動可能であるプロファイリングモジュール、およびエイリアシング除去ブロックに連結され、河川放流量を推定するためにレーダー局によって測定された表面速度のサブセットを利用するように作動可能であるインデキシングモジュールからなる群より選択される少なくとも1つのモジュールを含む(例えば、特許文献2の明細書段落[0010])。
【0004】
また、特許文献3には、水の有無および付着物の有無を正確に、高速に判定できる静電容量型水位センサが開示されている。この静電容量型水位センサは、検出手段が出力する検出信号が、水が有る判定するための第1の基準値以下の場合に、受信電極の近傍に水が有ると判定し、第1のシールド電極に印加される高周波パルス信号の電圧振幅は、送信電極に印加される高周波パルス信号の電圧振幅よりも小さい、ことを特徴とする(例えば、[要約]を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6476789号公報
【文献】特許第5460066号公報
【文献】特開2017-181086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、容器に貯められている液体の水位を検出する際には、特許文献3に開示されているような静電容量センサが用いられることがある。この場合、静電容量センサは容器外部の側面付近に設置されることが多い。しかし、容器内部の側面に汚れ又は異物等が付着した場合は、静電容量センサは汚れ又は異物の位置を水位として検知してしまう場合がある。
【0007】
特許文献3に開示されている技術は、貯留部の水の有無を判定すると共に、検出信号が基準値以上の場合に付着物が有ると判定する。しかし、特許文献3に開示されている静電容量センサの構成は複雑である。また、付着物が有ることは検知せずに、単に水位のみを検知したいという場合も多い。
【0008】
本開示は、上記の事情を鑑みてなされたもので、液体が貯められる容器の内部側面に電解質を有する異物が付着しやすい状況下であっても、容器に貯められている液体の水位を精度良く検出することができる、水位検知システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様は、液体を貯めるための容器と、所定周波数の電気信号を出力する発信器と、前記容器内に設置され、かつ前記発信器から出力された電気信号に応じた所定周波数の電波を出力する電極と、前記容器内の液体との間に発生する電界を検知する電界センサと、前記電界センサによって検知された前記電界の強度に基づいて、前記容器内に貯められている液体の水位を検知する制御装置と、を備える水位検知システムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、液体が貯められる容器の内部側面に電解質を有する異物が付着しやすい状況下であっても、容器に貯められている液体の水位を精度良く検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の水処理システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】制御装置として機能するコンピュータの概略ブロック図である。
図3】本実施形態の水処理システムの作用を説明するための図である。
図4】本実施形態の水処理システムの作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
【0013】
<実施形態の水位検知システム>
図1は、本実施形態の水位検知システム10を示す図である。図1に示されるように、本実施形態の水位検知システム10は、容器11と、発信器12と、電極13と、電界センサ14とを備える。なお、水位検知システム10の構成は図1に限定されるものではない。図1は、実施形態である水位検知システム10を説明するためのものであり、各種構成要素の配置及び構成等は、図1に限定されるものではない。
【0014】
容器11には、所定の液体が貯められる。容器11は、例えば、樹脂製の液体タンクである。本実施形態の水位検知システム10は、この容器11に貯められている液体の水位を検知する。なお、容器11は、例えば、10リットルから10,000リットルの液体を貯めることが可能なタンクである。
【0015】
容器に貯められている液体の水位を検知しようとする場合には、静電容量センサが利用されることがある。しかし、液体が貯められる容器の内側には、その液体又は容器の性質に応じて汚れ又は異物等が付着する場合がある。例えば、特開2022-014999号公報に開示されているような手洗い装置では、ユーザによって一度利用された水を貯水しておく必要があるため、その水が汚れている場合には貯水タンクの内側の側面に汚れ又は異物等が付着する場合がある。貯水タンクの内側の側面に汚れ又は異物等が付着した場合、一般的な静電容量センサは汚れ又は異物の位置を水位として検知してしまう場合がある。
【0016】
そこで、本実施形態の水位検知システム10では、容器11内に電極13を設置し、その電極13から特定の周波数を有する電波を出力させる。容器11に貯められている液体の種類によって、その液体を透過する電波は異なる。
【0017】
そこで、本実施形態の水位検知システム10は、電波と液体との間における上述したような性質を利用して、容器11に貯められている液体Wの水位を検知する。具体的には、容器11に貯めることが予定されている液体内を伝搬しやすい電波の周波数が、電極13から出力される電波の周波数として予め設定される。
【0018】
図1に示されるように、液体Wの水位Lが電極13の先端部13Aよりも高い場合には、電極13の先端部13Aから出力された所定周波数の電波が、液体W内を伝搬し、液体Wと電界センサ14との間において電界が発生する。水位検知システム10は、この電界を検知することにより、水位Lが電極13の先端部13Aよりも高いと判定する。これにより、液体が貯められる容器の内部側面に電解質を有する異物が付着しやすい状況下であっても、容器に貯められている液体の水位を精度良く検出することができる。以下、具体的に説明する。
【0019】
発信器12は、所定周波数の電気信号を出力する。なお、この発信器12が出力する電気信号の所定周波数は、容器11に貯められている液体の性質又は容積に応じて予め設定される。具体的には、容器11に貯めることが予定されている液体が伝搬しやすい電波の周波数が、発信器12が出力する電気信号の所定周波数として予め設定される。
【0020】
電極13は、図1に示されるように、容器11内に設置され、かつ発信器12から出力された電気信号に応じた電波を出力する。
【0021】
電界センサ14は、発信器12が出力する電気信号が有する所定周波数に共振点を有しているセンサである。電界センサ14は、容器11内の液体との間に発生する電界を検知する。
【0022】
制御装置16は、電界センサ14によって検知された電界の強度に基づいて、容器11内に貯められている液体の水位を検知する。制御装置16は、電界センサ14によって検知された電界の強度が所定閾値以上である場合には、液体Wの水位Lが所定値以上であると判定する。一方、制御装置16は、電界センサ14によって検知された電界の強度が所定閾値未満である場合には、液体Wの水位Lが所定値未満であると判定する。
【0023】
制御装置16は、例えば、図2に示すコンピュータ50で実現することができる。コンピュータ50はCPU51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータ50は、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体59に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータ50は、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークinterface(I/F)56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
【0024】
記憶部53は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリによって実現できる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータ50を機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU51は、プログラムを記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0025】
なお、プログラムにより実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等で実現することも可能である。
【0026】
<水位検知システム10の作用>
次に、実施形態の水位検知システム10の作用について説明する。
【0027】
図3に示されるように、電極13は、発信器12から出力された電気信号に応じた電波Rを逐次出力する。図3に示されている場面は、液体Wの水位Lは電極13の先端部13Aよりも低いため、液体Wと電界センサ14との間における電界の強度は低い。そのため、制御装置16は、電界センサ14から出力される電界の強度が所定閾値未満であると判定する。
【0028】
一方、図4に示される場面は、容器11内の液体Wの水位Lが上昇し、液体Wの水位Lは電極13の先端部13Aよりも高い。この場合には、液体Wと電界センサ14との間における電界の強度は高い。そのため、制御装置16は、電界センサ14から出力される電界の強度が所定閾値以上であると判定する。
【0029】
なお、電極13の長さを調整することにより、容器11に貯められている液体の任意の水位を検知することが可能となる。例えば、容器11に貯められている液体が満水であること又は液体の水枯れを検知することができる。
【0030】
以上説明したように、実施形態に係る水位検知システム10は、液体を貯めるための容器11と、所定周波数の電気信号を出力する発信器12と、容器11内に設置され、かつ発信器12から出力された電気信号に応じた所定周波数の電波を出力する電極13と、所定周波数に共振点を有し、容器11内の液体との間に発生する電界を検知する電界センサ14と、を備える。これにより、液体が貯められる容器の内部側面に電解質を有する異物が付着しやすい状況下であっても、容器に貯められている液体の水位を精度良く検出することができる。
【0031】
容器11内に貯められる液体が汚水等である場合には、容器11内側の側面に電気伝導度の高い異物等が付着しやすい。静電容量センサを用いて水位を検知する場合には、非接触であっても異物の層が厚い場合にはその電気伝導度が高くなり、静電容量センサは異物の位置を水位として検知してしまう場合がある。
【0032】
これに対し、実施形態に係る水位検知システム10は、液体と電界センサとの間に発生する電界を検知し、電界の強度に応じて水位を検知することにより、容器11内側の側面に電気伝導度の高い異物が付着したことによる影響は受けず誤検知が抑制される。
【0033】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0034】
例えば、上記実施形態では、発信器12が所定周波数の電気信号を出力する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、制御装置16が所定周波数の電気信号を生成し、その電気信号を出力するようにしてもよい。または、制御装置16が所定周波数の電気信号を生成し、発信器12がその電気信号を出力するようにしてもよい。
【0035】
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。例えば、プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0036】
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。または、プロセッサとしては、GPGPU(General-purpose graphics processing UNIT)を用いてもよい。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0037】
また、本実施形態の各処理を、汎用演算処理装置及び記憶装置等を備えたコンピュータ又はサーバ等により構成して、各処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。もちろん、その他いかなる構成要素についても、単一のコンピュータやサーバによって実現しなければならないものではなく、ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散して実現してもよい。
【0038】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」ことを必ずしも意味しない。
【0040】
また、何らかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、開示の技術の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本開示の技術の各態様の範囲外とするものではない。
【0041】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0042】
(付記1)
液体を貯めるための容器と、
所定周波数の電気信号を出力する発信器と、
前記容器内に設置され、かつ前記発信器から出力された電気信号に応じた所定周波数の電波を出力する電極と、
前記容器内の液体との間に発生する電界を検知する電界センサと、
前記電界センサによって検知された前記電界の強度に基づいて、前記容器内に貯められている液体の水位を検知する制御装置と、
を備える水位検知システム。
【0043】
(付記2)
前記制御装置は、前記電界の強度が所定閾値以上である場合に、前記水位が所定値以上であると判定する、
付記1に記載の水位検知システム。
【0044】
(付記3)
前記制御装置は、前記電界の強度が所定閾値未満である場合に、前記水位が所定値未満であると判定する、
付記1又は付記2に記載の水位検知システム。
【0045】
(付記4)
前記電界センサは、所定周波数に共振点を有する、
付記1~付記3の何れか1項に記載の水位検知システム。
【符号の説明】
【0046】
10 水位検知システム
11 容器
12 発信器
13 電極
13A 先端部
14 電界センサ
16 制御装置
50 コンピュータ
【要約】
【課題】液体が貯められる容器の内部側面に電解質を有する異物が付着しやすい状況下であっても、容器に貯められている液体の水位を精度良く検出する。
【解決手段】水位検知システム10は、液体を貯めるための容器11と、所定周波数の電気信号を出力する発信器12と、容器11内に設置され、かつ発信器12から出力された電気信号に応じた所定周波数の電波を出力する電極13と、容器11内の液体との間に発生する電界を検知する電界センサ14と、電界センサ14によって検知された電界の強度に基づいて、容器11内に貯められている液体の水位を検知する制御装置16と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4