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特許7125192停止装置、ローラコンベアおよびベルトコンベア
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  • 特許-停止装置、ローラコンベアおよびベルトコンベア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】停止装置、ローラコンベアおよびベルトコンベア
(51)【国際特許分類】
   B65G 13/00 20060101AFI20220817BHJP
   B65G 47/88 20060101ALI20220817BHJP
   B65G 39/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B65G13/00 Z
B65G47/88 B
B65G39/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022526353
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2021046977
【審査請求日】2022-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592141020
【氏名又は名称】株式会社協和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】鳴瀧 健
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 年博
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-255337(JP,A)
【文献】特開平2-18220(JP,A)
【文献】特許第5659745(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/00
B65G 47/88
B65G 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
移動路を移動する対象物を停止させる停止装置であって、
前記対象物を停止させるための部材である停止部材と、
前記停止部材をカム機構によって前記移動路に対し出没させる出没部とを備え、
前記カム機構は、凹所または貫通開口のカム溝を形成した溝カムと、前記カム溝に案内され、前記停止部材に係合されるカムフォロアとを備え、
前記カム溝は、前記移動路の移動方向に沿った第1直線と前記出没方向に沿った第2直線とで形成される平面内で弧形状であり、
前記出没部は、前記弧形状の中心点から偏心した偏心点を通り、前記平面の法線方向に沿った第3直線を回転軸として軸回りに前記溝カムを駆動する駆動部をさらに備える、
停止装置。
【請求項3】
移動路を移動する対象物を停止させる停止装置であって、
前記対象物を停止させるための部材である停止部材と、
前記停止部材をカム機構によって前記移動路に対し出没させる出没部とを備え、
前記カム機構は、凹所または貫通開口のカム溝を形成した溝カムと、前記カム溝に案内され、前記停止部材に係合されるカムフォロアとを備え、
前記カム溝は、前記移動路の移動方向に沿った第1直線と前記出没方向に沿った第2直線とで形成される平面内で、角を丸めたコ字形状を含む形状であり、
前記出没部は、前記コ字形状の内側で中央位置より一方に偏った偏心点を通り、前記平面の法線方向に沿った第3直線を回転軸として軸回りに前記溝カムを駆動する駆動部をさらに備える、
停止装置。
【請求項4】
前記駆動部は、ローラコンベアに用いられるローラコンベア用であって、モータを内蔵するモータローラである、
請求項2または請求項3に記載の停止装置。
【請求項5】
一方向に沿って並置される複数のローラを備えるローラコンベアであって、
前記複数のローラのうちの互いに隣接する2個のローラの間、および、前記複数のローラのうちの端に位置するローラにおける前記一方向の外側、のうちの少なくとも一方で、前記停止部材を出没するように配置された、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の停止装置をさらに備える、
ローラコンベア。
【請求項6】
一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備える1または複数のサブコンベアを備えるベルトコンベアであって、
前記複数のサブコンベアのうちの互いに隣接する2個のサブコンベアの間、および、前記1または複数のサブコンベアのうちの端に位置するサブコンベアにおける前記一方向の外側、のうちの少なくとも一方で、前記停止部材を出没するように配置された、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の停止装置をさらに備える、
ベルトコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動路を移動する対象物を停止させる停止装置ならびに前記停止装置を備えるローラコンベアおよびベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路(搬送路)として対象物(搬送物)を移動(搬送)するローラコンベアが知られている。このローラコンベアは、例えば、物流センター、食品ライン、工業製品の製造ライン、メールセンター、配送センター等の、対象物の種類に応じて様々な産業分野で利用されている。
【0003】
このローラコンベアでは、一方のローラコンベアを移動する対象物を他方のローラコンベアへ載せ換えたり、複数の対象物をローラコンベア上で一時的に貯留したり、対象物の向きをローラコンベア上で整えたり等のために、必要に応じて対象物を停止させたい場合がある。このために、ローラコンベアには、停止装置(ストッパー)が設けられる場合があり、例えば特許文献1には、エアシリンダを備えたストッパーが開示されている。
【0004】
ところで、前記特許文献1に開示されたエアシリンダを備えたストッパーは、複数のローラの途中に配置でき、必要なタイミングで作動できるというメリットを有する一方、シリンダの駆動にエアの供給が必要となるデメリットを有する。また、エアの供給路を気密に形成する必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-177441号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、エアの供給を必要としない停止装置ならびに前記停止装置を備えるローラコンベアおよびベルトコンベアを提供することである。
【0007】
本発明にかかる停止装置は、移動路を移動する対象物を停止させる停止装置であって、前記対象物を停止させるための部材である停止部材と、前記停止部材をカム機構によって前記移動路に対し出没させる出没部とを備える。本発明にかかるローラコンベアおよびベルトコンベアは、このような停止装置を備える。
【0008】
上記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態におけるローラコンベアの構成を説明するための図である。
図2】前記ローラコンベアに備えられる停止装置の構成を説明するための図である。
図3】前記停止装置の分解斜視図である。
図4】前記停止装置における溝カムおよびカムフォロアを説明するための図である。
図5】前記停止装置の取り付け箇所周りのローラコンベアを示す概略図である。
図6】前記停止装置における待機状態(没状態)および作動状態(出状態)を示す斜視図である。
図7】前記停止装置を備えた前記ローラコンベアにおける運用の一例を説明するための図である。
図8】前記停止装置に用いられる溝カムの変形形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0011】
実施形態における停止装置(ストッパー)は、移動路を移動する対象物を停止させる停止装置であって、前記対象物を停止させるための部材である停止部材と、前記停止部材をカム機構によって前記移動路に対し出没させる出没部とを備える。このような停止装置は、前記対象物の種類に応じた様々な移動路に利用されてよいが、ここでは、一例として、一方向に沿って並置される複数のローラを備えるローラコンベアに停止装置が利用される場合について、前記停止装置を説明する。この場合では、前記停止装置は、前記複数のローラのうちの互いに隣接する2個のローラの間、および、前記複数のローラのうちの端に位置するローラにおける前記一方向の外側、のうちの少なくとも一方で、前記停止部材を出没するように配置される。以下、停止装置および前記停止装置を備えるローラコンベアについて、より具体的に説明する。
【0012】
図1は、実施形態におけるローラコンベアの構成を説明するための図である。図2は、前記ローラコンベアに備えられる停止装置の構成を説明するための図である。図2Aは、作動状態(出状態)における停止装置の斜視図であり、図2Bは、待機状態(没状態)における、図2Aに示すI-I断面線から見た一部断面の側面図である。図2Bの断面は、XZ平面に平行な面である。図3は、前記停止装置の分解斜視図である。図4は、前記停止装置における溝カムおよびカムフォロアを説明するための図である。図4Aは、溝カムの平面図であり、図4Bは、カムフォロアの側面図である。図5は、前記停止装置の取り付け箇所周りのローラコンベアを示す概略図である。図5Aないし図5Fは、停止装置が待機状態(没状態)である場合を示し、図5Gは、停止装置が作動状態(出状態)である場合を示す。仮に停止装置の駆動部(その一例のモータローラ)が視認できる側を上流側とした場合において、図5Aは、上流側から見た斜視図であり、図5Bは、上面図であり、図5Cは、下流側から見た斜視図であり、図5Dは、上流側から見た平面図(正面図)であり、図5Eは、上流側から下流側へ向かう方向に対する右側面図であり、図5Fは、下流側から見た平面図(背面図)である。図5Gは、上流側から下流側へ向かう方向に対する右側面図である。図6は、前記停止装置における待機状態(没状態)および作動状態(出状態)を示す斜視図である。図6Aは、停止装置が待機状態(没状態)にある場合を示し、図6Bは、停止装置が作動状態(出状態)にある場合を示す。図1ないし図3および図6には、方向関係の明確化のために、XYZ直交座標系が示されている。なお、X方向は、ローラコンベアCVによって対象物が移動する、図1Aに示す移動方向DRに沿った方向(水平方向)であり、Z方向は、X方向に直交する高さ方向(垂直方向)であり、Y方向は、X方向およびZ方向に直交する方向(幅方向、奥行き方向)である。
【0013】
実施形態におけるローラコンベアCVは、例えば、図1および図6に示すように、コンベア本体1と、停止装置2と、制御装置3とを備える。
【0014】
コンベア本体1は、所定の対象物(搬送物)が移動(搬送)する移動路(搬送路)を形成する装置であり、一方向に沿って順次に並置される複数のローラ11を備え、前記一方向を移動方向DRとし、複数のローラ11の上を前記移動路として前記対象物を移動させる。図1に示す例では、複数のローラ11は、前記一方向としてのX方向に沿って順次に並置されている。なお、図1には、8個のローラ11-1~11-8を備えているコンベア本体1の一部分が図示され、残余の部分が省略されている。複数のローラ11は、水平面内で前記一方向に直交する方向(図1に示す例ではY方向)に所定の間隔(第1間隔)を空けて配設され、前記一方向に沿って長尺な板状部材である1対の第1および第2フレーム12-1、12-2によって回転可能に軸支されている。第1および第2フレーム12-1、12-2は、それぞれ、垂直方向(図1に示す例ではZ方向)の各端部から、前記並置されている複数のローラ11に対して外側にY方向に沿って延びる各フランジ部(延設部)121-1、122-1;121-2、122-2を備えている。X方向に沿って長尺な板状部材である第1および第2フレーム12-1、12-2において、これら各フランジ部121-1、122-1;121-2、122-2によって、X方向に直交する2方向のY方向およびZ方向それぞれでの強度が向上する。複数のローラ11は、自ら駆動力を生成して回転する複数の駆動ローラ11aと、他からの駆動力によって回転する複数の従動ローラ11bとを含む。複数の駆動ローラ11aは、前記一方向に沿って所定の間隔(第2間隔)を空けて配設され、互いに隣接する駆動ローラ11a間には、1または複数の従動ローラ11bが配設される。図1に示す例では、複数の駆動ローラ11a(11a-3、11a-6)は、2個おきに配設され、互いに隣接する駆動ローラ11a間には、2個の従動ローラ11b(11b-1、11b-2;11b-4、11b-5;11b-7、11b-8)が配設されている。
【0015】
駆動ローラ11aは、例えば、電力の供給を受けることにより駆動するモータを内蔵したモータローラである。このローラコンベアCVに用いられるローラコンベア用のモータローラは、公知であり、例えば前記特許文献1や国際公開第2009/139068号等に開示されている。このモータローラは、例えば、1対の第1および第2フレーム12-1、12-2に固定される1対の第1および第2軸体に、ベアリング等の軸受け部材を介して回転可能に取り付けられる1対の第1および第2サイドプレートで両端部を閉塞した筒状のローラ管(ドラム)を備える。前記ローラ管の内部には、前記第1および第2軸体の一方、例えば前記第1軸体に固定された内部フレームに取り付けられた内蔵モータと、前記内蔵モータの出力軸に取り付けられた減速機とが収容され、前記減速機の出力軸に前記ローラ管が取り付けられて固定される。前記内蔵フレームに固定される前記第1軸体は、中空になっており、この中空の内部には、制御装置3に一方端を接続したケーブル(配線)が外部から通され、前記ケーブルは、その他方端で前記内蔵モータに接続される。前記内蔵モータは、前記ケーブルによって給電された電力によって駆動され、前記内蔵モータによって生成された駆動力は、前記減速機を介して前記ローラ管に伝達され、前記ローラ管を前記第1および第2軸体を回転軸として軸回りに回転させる。
【0016】
なお、上述では、駆動ローラ11aは、モータを内蔵したモータローラであるが、駆動ローラ11aは、モータを外部に備え、例えばプーリおよびベルトによって、あるいは例えばギヤによって前記外部のモータの駆動力をローラに伝達して前記ローラを駆動するタイプであってもよい。
【0017】
従動ローラ11bは、公知であり、例えば前記特許文献1や前記国際公開第2009/139068号等に開示されている。この従動ローラ11bは、例えば、1対の第1および第2フレーム12-1、12-2に固定される1対の第1および第2軸体に、ベアリング等の軸受け部材を介して回転可能に取り付けられる1対の第1および第2サイドプレートで両端部を閉塞した筒状のローラ管(ドラム)を備えて構成される。このような従動ローラ11bは、駆動ローラ11aによって移動して来た対象物との摩擦力によって回転される。あるいは、駆動ローラ11aおよび従動ローラ11bは、それぞれ、各一方端に、ベルトを掛け渡された各プーリを備え、駆動ローラ11aの駆動力が、駆動ローラ11aの前記プーリ、前記ベルトおよび従動ローラ11bの前記プーリを介して、従動ローラ11bに伝達され、従動ローラ11bが回転される。
【0018】
停止装置2は、移動路を移動する対象物を停止させる装置である。停止装置2は、前記対象物を停止後、その停止を解除することもできる。本実施形態では、前記移動路は、コンベア本体1における複数のローラ11によって形成される。この停止装置2は、例えば、図1ないし図6に示すように、前記対象物を停止させるための部材である停止部材21と、前記停止部材21をカム機構によって前記移動路に対し出没させる出没部とを備える。前記カム機構は、凹所または貫通開口のカム溝222を形成した溝カム22と、前記カム溝222に案内され、前記停止部材21に係合されるカムフォロア23とを備える。前記カム溝222は、前記移動路の移動方向DRに沿った第1直線と前記出没方向に沿った第2直線とで形成される平面内で弧形状である。図1ないし図6に示す例では、前記移動方向DRは、X方向であり、前記第1直線は、X軸と平行な直線であり、前記出没方向は、Z方向であり、前記第2直線は、Z軸と平行な直線であり、前記第1および第2直線で形成される平面は、XZ平面(XZ平面に平行な面)である。前記出没部は、前記弧形状の中心点CPから偏心した偏心点EPを通り、前記平面の法線方向に沿った第3直線を回転軸として軸回りに前記溝カム22を駆動する駆動部をさらに備える。図1ないし図6に示す例では、前記平面の法線方向は、Y方向であり、前記第3直線は、Y軸と平行な直線である。前記駆動部は、ローラコンベアに用いられるローラコンベア用であって、モータを内蔵するモータローラである。
【0019】
より具体的には、停止部材21は、板状の部材である。図1ないし図6に示す例では、停止部材21は、YZ平面に平行で平坦な第1面を形成する第1面部211と、第1面部211からX方向に約90度折り曲げられ、さらに、Z方向に約90度折り曲げられて延設する段差部212と、段差部212から延設され、YZ平面に平行で平坦な第2面を形成する第2面部213と、第2面部213におけるY方向の各端部それぞれからZ方向に延設される1対の第1および第2レール保持部214-1、214-2と、第1および第2レール保持部214-1、214-2それぞれの各付け根部からX方向にフランジ状に突設する1対の第1および第2カムフォロア保持部215-1、215-2とを備える。したがって、停止部材21は、段差部212で段差を有し、第1および第2カムフォロア保持部215-1、215-2間には、Y方向に沿って所定の間隔(第3間隔)が空けられて空間が形成されており、この空間に前記出没部が配置できるようになっている。第1レール保持部214-1には、Z方向に長尺な板状の部材である第1レール24-1が例えばネジで固定され、第1レール保持部214-1は、第1レール24-1を保持する。板状の第1レール24-1は、Y方向の一方端部がX方向に約90度折り曲げられ、第1レール保持部214-1におけるY方向の外側端面を覆っている。したがって、第1レール24-1は、XY平面に平行な断面(XY平面の断面)で略L字状を呈している。同様に、第2レール保持部214-2には、Z方向に長尺な板状の部材である第2レール24-2が例えばネジで固定され、第2レール保持部214-2は、第2レール24-2を保持する。板状の第2レール24-2は、Y方向の一方端部がX方向に約90度折り曲げられ、第2レール保持部214-2におけるY方向の外側端面を覆っている。したがって、第2レール24-2は、XY平面の断面で略L字状を呈している。
【0020】
停止装置2は、柱状の部材である1対の第1および第2レールガイド25-1、25-2を備える。第1および第2レールガイド25-1、25-2それぞれの各一方側面には、前記柱状の延長方向に延びて内側に凹む各凹条が形成されている。第1および第2レールガイド25-1、25-2は、前記各凹条が互いに向かい合うように、第1レール保持部214-1から第2レール保持部214-2までのY方向の長さに応じた間隔(第4間隔)で、前記柱状の延長方向をZ方向に合わせて、1対の第1および第2ガイド取付板26-1、26-2それぞれによって例えばネジでベースプレート27に固定されて取り付けられる。第1レールガイド25-1の凹条には、第1レール保持部214-1に保持された第1レール24-1が、前記約90度折り曲げられた一方端部が前記凹条の底面に対向するように、そのY方向の外側の端部の一部分で摺動可能に嵌まり込むと共に、第2レールガイド25-2の凹条には、第2レール保持部214-2に保持された第2レール24-2が、前記約90度折り曲げられた一方端部が前記凹条の底面に対向するように、そのY方向の外側の端部の一部分で摺動可能に嵌まり込んでいる。このような停止部材21およびベースプレート27をZ方向(出没方向)から見た場合、停止部材21の段差部212は、ベースプレート27におけるZ方向の一方端の端面と重なる。
【0021】
溝カム22は、図1ないし図6に示す例では、1対の第1および第2溝カム22-1、22-2を備えて構成されている。これら第1および第2溝カム22-1、22-2は、同形であるので、溝カム22として主に図4Aを参照して以下に説明する。溝カム22は、図4Aに示すように、円形の一部を切り欠いた板状の部材である溝カム本体221を備えて構成され、板状の溝カム本体221には、凹所または貫通開口、図4Aに示す例では貫通開口の弧形状のカム溝222が形成され、前記弧形状の中心点CPから所定の距離だけ偏心した偏心点EPの位置に、前記駆動部の一例としてのモータローラ29の軸体を挿通するための貫通開口の軸体挿通開口部223が形成されている。前記弧形状の中心点CPは、溝カム本体221が仮に切り欠いて無くて円形であるとした場合の中心点と一致する。カム溝222における周方向の長さ(前記弧形状の中心角の大きさ)、カム溝222の半径、および、偏心点EPの位置は、前記移動路に対する、停止部材21における第1面部211の出没長に応じて適宜に設定される。
【0022】
ベースプレート27は、板状の部材である。ベースプレート27は、一例では矩形である。上述のように、停止部材21における1対の第1および第2レール保持部214-1、214-2それぞれに保持された1対の第1および第2レール24-1、24-2それぞれを、ベースプレート27に取り付けられた1対の第1および第2レールガイド25-1、25-2それぞれの各凹条に摺動可能に嵌め込んだ状態において、このベースプレート27には、第1および第2レール保持部214-1、214-2間の空間内であって第1レール保持部214-1のY方向の内側に、第1溝カム22-1を通過可能にするために、Z方向に延びる矩形の貫通開口の第1溝カム通過開口部271-1が形成され、第1および第2レール保持部214-1、214-2間の空間内であって第2レール保持部214-2のY方向の内側に、第2溝カム22-2を通過可能にするために、Z方向に延びる矩形の貫通開口の第2溝カム通過開口部271-2が形成されている。この第1溝カム通過開口部271-1と第1レールガイド25-1との間において、停止部材21における出没の移動中に第1レール保持部214-1および第1レール24-1と干渉しないように、XY平面の断面で略L字状を呈する板状の第1軸支部材28-1が前記略L字状の一方端部でベースプレート27に例えばネジで固定されて取り付けられている。第1軸支部材28-1における前記略L字状の他方端部には、前記駆動部の一例としてのモータローラ29の軸体を軸支するための貫通開口の第1軸支開口部281-1が形成されている。同様に、第2溝カム通過開口部271-2と第2レールガイド25-2との間において、停止部材21における出没の移動中に第2レール保持部214-2および第2レール24-2と干渉しないように、XY平面の断面で略L字状を呈する板状の第2軸支部材28-2が前記略L字状の一方端部でベースプレート27に例えばネジで固定されて取り付けられている。第2軸支部材28-2における前記略L字状の他方端部には、前記駆動部の一例としてのモータローラ29の軸体を軸支するための貫通開口の第2軸支開口部281-2が形成されている。
【0023】
モータローラ29は、前記駆動部の一例に相当し、本実施形態では、ローラコンベアCVに用いられるローラコンベア用である。このモータローラ29は、例えば、駆動ローラ11aと同様に、1対の第1および第2軸体に、ベアリング等の軸受け部材を介して回転可能に取り付けられる1対の第1および第2サイドプレートで両端部を閉塞した筒状のローラ管(ドラム)を備え、前記ローラ管の内部には、前記第1および第2軸体の一方、例えば前記第1軸体に固定された内部フレームに取り付けられた内蔵モータと、前記内蔵モータの出力軸に取り付けられた減速機とが収容され、前記減速機の出力軸に前記ローラ管が取り付けられて固定される。前記内蔵フレームに固定される前記第1軸体は、中空になっており、この中空の内部には、制御装置3に一方端を接続したケーブル(配線)が外部から通され、前記ケーブルは、その他方端で前記内蔵モータに接続される。前記内蔵モータは、前記ケーブルによって給電された電力によって駆動され、前記内蔵モータによって生成された駆動力は、前記減速機を介して前記ローラ管に伝達され、前記ローラ管を前記第1および第2軸体を回転軸として軸回りに回転させる。この停止装置2に利用されるモータローラ29は、その長さがコンベア本体1に利用されるローラ11より短い。モータローラ29は、その第1軸体を第1溝カム22-1の第1軸体挿通開口部223-1に挿通することによって第1溝カム22-1を介して、前記第1軸体が第1軸支開口部281-1で第1軸支部材28-1に固定されると共に、その第2軸体を第2溝カム22-2の第2軸体挿通開口部223-2に挿通することによって第2溝カム22-2を介して、前記第2軸体が第2軸支開口部281-2で第2軸支部材28-2に固定される。これによって、1対の第1および第2溝カム22-1、22-2それぞれが1対の第1および第2溝カム通過開口部271-1、271-2それぞれを通過可能に、第1溝カム22-1、モータローラ29および第2溝カム22-2がベースプレート27に取り付けられる。そして、モータローラ29のローラ管は、その一方端で第1溝カム22-1に例えばネジで固定されて取り付けられるとともに、その他方端で第2溝カム22-2に例えばネジで固定されて取り付けられる。これによって、第1溝カム22-1は、第1溝カム本体221-1がXZ平面と平行となるように、モータローラ29におけるローラ管の一方端に取り付けられ、第1カム溝222-1は、前記移動路の移動方向DR(図1ないし図6に示す例ではX方向)に沿った第1直線と前記出没方向(図1ないし図6に示す例ではZ方向)に沿った第2直線とで形成される平面内(図1ないし図6に示す例ではXZ平面内)で弧形状となる。同様に、第2溝カム22-2は、第2溝カム本体221-2がXZ平面と平行となるように、モータローラ29におけるローラ管の他方端に取り付けられ、第2カム溝222-2は、前記移動路の移動方向DR(図1ないし図6に示す例ではX方向)に沿った第1直線と前記出没方向(図1ないし図6に示す例ではZ方向)に沿った第2直線とで形成される平面内(図1ないし図6に示す例ではXZ平面内)で弧形状となる。
【0024】
カムフォロア23は、図1ないし図6に示す例では、1対の第1および第2カムフォロア23-1、23-2を備えて構成されている。これら第1および第2カムフォロア23-1、23-2は、同形であるので、カムフォロア23として主に図4Bを参照して以下に説明する。カムフォロア23は、図4Bに示すように、円柱状の軸部232と、軸部232の一方端に、例えばニードルベアリング等を介して軸部232に対して回転可能に取り付けられる、円筒状のフォロア本体231とを備える。したがって、軸部232の直径は、フォロア本体231の直径より短い。フォロア本体231の直径は、カム溝222に移動可能に嵌まり込むように、カム溝222の径方向の長さ(幅)よりやや短い。
【0025】
第1カムフォロア23-1は、第1溝カム22-1の第1カム溝222-1に案内され、停止部材21に係合される。第2カムフォロア23-2は、第2溝カム22-2の第2カム溝222-2に案内され、停止部材21に係合される。図1ないし図6に示す例では、第1カムフォロア23-1の第1フォロア本体231-1は、第1溝カム22-1の第1カム溝222-1に移動可能に嵌め込まれると共に、第1カムフォロア23-1における第1軸部232-1の他方端は、停止部材21の第1カムフォロア保持部215-1に例えばネジで固定されて取り付けられる。同様に、第2カムフォロア23-2の第2フォロア本体231-2は、第2溝カム22-2の第2カム溝222-2に移動可能に嵌め込まれると共に、第2カムフォロア23-2における第2軸部232-2の他方端は、停止部材21の第2カムフォロア保持部215-2に例えばネジで固定されて取り付けられる。
【0026】
これら第1および第2レール24-1、24-2、第1および第2レールガイド25-1、25-2、第1および第2ガイド取付板26-1、26-2、第1および第2軸支部材28-1、28-2、モータローラ29、第1および第2溝カム22-1、22-2、ならびに、第1および第2カムフォロア23-1、23-2は、前記出没部の一例を構成し、前記出没部の一例に相当する。第1および第2レール24-1、24-2、第1および第2レールガイド25-1、第1および第2溝カム22-1、22-2、ならびに、第1および第2カムフォロア23-1、23-2は、前記カム機構の一例を構成し、前記カム機構の一例に相当する。第1および第2溝カム22-1、22-2は、いわゆる原動節の一例に相当し、第1および第2レール24-1、24-2ならびに第1および第2カムフォロア23-1、23-2は、いわゆる従動節の一例に相当し、第1および第2レールガイド25-1、25-2は、いわゆる固定節の一例に相当する。なお、第1および第2レール24-1、24-2を保持する第1および第2レール保持部214-1、214-2も前記出没部に含まれてもよい。この場合では、第1および第2レール保持部214-1、214-2は、前記従動節に含まれる。
【0027】
そして、本実施形態では、停止装置2は、溝カム22の移動状態、図1ないし図6に示す例では第1溝カム22-1の移動状態を検出するために、第1および第2センサ30-1、30-2と、センサ保持部31と、第1および第2センサドグ32-1、32-2とをさらに備えている。第1および第2センサ30-1、30-2は、それぞれ、前記第1溝カム22-1の移動状態として第1溝カム22-1の回転位置を検出するためのセンサであり、例えば誘導型近接センサである。センサ保持部31は、XZ平面に平行な断面(XZ平面の断面)で略L字状を呈する板状の部材であり、第1および第2センサ30-1、30-2を保持する。より具体的には、センサ保持部31は、前記略L字状の一方端部上に第1および第2センサ30-1、30-2をX方向に順次に並置することによって、第1および第2センサ30-1、30-2を保持すると共に、第1および第2センサ30-1、30-2が第1溝カム22-1に対向するように、モータローラ29のZ方向の下方に、前記略L字状の他方端部でベースプレート27に例えばネジで固定されて取り付けられている。第1センサドグ32-1は、第1センサ30-1を作動させるための部材であり、第2センサドグ32-2は、第2センサ30-2を作動させるための部材である。第1および第2センサ30-1、30-2が前記誘導型近接センサである場合には、第1および第2センサドグ32-1、32-2は、それぞれ、第1溝カム22-1の第1溝カム本体221-1より第1および第2センサ30-1、30-2に近接させるためであって誘導電流を生起して流すために、金属(合金を含む)で形成された短高円柱状の部材である。第1センサドグ32-1は、停止部材21が図6Aに示すように没状態(待機状態)である場合に、第1センサ30-1に対向する位置(第1位置)に、図2Bに示すように、第1溝カム22-1の第1溝カム本体221-1に例えばネジで固定されて取り付けられる。第2センサドグ32-2は、停止部材21が図6Bに示すように出状態(作動状態)である場合に、第2センサ30-2に対向する位置(第2位置)に、図2Bに示すように、第1溝カム22-1の第1溝カム本体221-1に例えばネジで固定されて取り付けられる。
【0028】
このような構成の停止装置2は、図6Aに示す待機状態(没状態)では停止部材21が移動路から没すると共に、図6Bに示す作動状態(出状態)では停止部材21が前記移動路に出るように、前記移動路に対して配置される。本実施形態では、前記移動路は、コンベア本体1における複数のローラ11によって形成されるので、前記複数のローラ11のうちの互いに隣接する2個のローラ11の間、および、前記複数のローラ11のうちの端に位置するローラ11における前記一方向の外側、のうちの少なくとも一方で、図1ないし図6に示す例では互いに隣接する2個のローラ11-1、11-2間で、停止装置2は、図5Eに示すように、待機状態では停止部材21が複数のローラ11によって形成される移動路から没すると共に、図5Gに示すように、作動状態では停止部材21が前記移動路に出るように、1対の第1および第2停止装置保持部13-1、13-2によって、コンベア本体1に取り付けられて配設される。より具体的には、第1および第2停止装置保持部13-1、13-2は、それぞれ、略直角三角形状の板状の部材であり、前記直角を挟む2辺それぞれの各端部が略90度でそれぞれ曲げられている。したがって、第1および第2停止装置保持部13-1、13-2は、それぞれ、XZ平面の断面で略L字状を呈すると共にXY平面の断面で略L字状を呈している。第1停止装置保持部13-1は、XZ平面の断面での前記略L字状の一方端部で、第1フレーム12-1のフランジ部122-1に例えばネジで固定されて取り付けられ、第2停止装置保持部13-2は、XZ平面の断面での前記略L字状の一方端部で、第2フレーム12-2のフランジ部122-2に例えばネジで固定されて取り付けられている。そして、上述のように、移動路に対して停止部材21が出没可能となるように、第1停止装置保持部13-1は、XY平面の断面での前記略L字状の一方端部で、ベースプレート27に例えばネジで固定されて取り付けられると共に、第2停止装置保持部13-2は、XY平面の断面での前記略L字状の一方端部で、ベースプレート27に例えばネジで固定されて取り付けられている。
【0029】
制御装置3は、コンベア本体1の各駆動ローラ11aそれぞれに接続され、各駆動ローラ11aを制御する装置である。制御装置3は、例えば、ローラコンベアCVの上位システム(不図示)からの制御信号、あるいは、制御装置3の操作盤(不図示)からの入力等に応じて、駆動ローラ11aを所定の回転速度で正転させる制御、あるいは、駆動ローラ11aを所定の回転速度で逆転させる制御等を行う。正転とは、対象物を移動方向DRに移送させるような駆動ローラ11aの回転方向である。このような制御装置3は、公知であり、例えば前記特許文献1や前記国際公開第2013/057767号等に開示されている。そして、本実施形態では、停止装置2は、前記駆動部の一例としてのモータローラ29を用いているので、制御装置3は、停止装置2のモータローラ29ならびに第1および第2センサ30-1、30-2それぞれに接続され、第1および第2センサ30-1、30-2の各検出信号に応じてモータローラ29を制御する。
【0030】
このような構成の停止装置2では、例えば待機状態(没状態)の場合に、前記上位システムや前記操作盤から作動状態(出状態)への指示を受け付けると、制御装置3は、第2センサ30-2から検出信号を受信するまで、停止装置2のモータローラ29を正転するように制御する。この制御により、モータローラ29は、正転する。すなわち、モータローラ29の前記内蔵モータが駆動し、モータローラ29の前記減速機を介して、モータローラ29の前記ローラ管は、第1および第2軸支部材28-1、28-2それぞれに固定されたモータローラ29の前記第1および第2軸体を回転軸として正転する。モータローラ29の前記ローラ管が正転すると、モータローラ29の前記ローラ管に固定された第1および第2溝カム22-1、22-2は、駆動する。すなわち、第1および第2溝カム22-1、22-2は、第1および第2カム溝222-1、222-2の各弧形状の中心点CP-1、CP2から偏心した偏心点EP-1、EP-2を通り、XZ平面の法線方向(Y方向)に沿った第3直線を回転軸として軸回りに回転する。第1および第2溝カム22-1、22-2が回転すると、第1および第2カムフォロア23-1、23-2それぞれは、第1および第2カム溝222-1、222-2それぞれに案内されて移動する。すなわち、第1および第2カム溝222-1、222-2それぞれに嵌まり込んだ第1および第2カムフォロア23-1、23-2の第1および第2フォロア本体231-1、231-2それぞれは、第1および第2カム溝222-1、222-2それぞれに沿って周方向の各一方端から各他方端へ移動し、したがって、第1および第2カムフォロア23-1、23-2の第1および第2軸部232-1、232-2それぞれも移動する。この各移動は、第1および第2カムフォロア23-1、23-2の第1および第2軸部232-1、232-2それぞれに固定して取り付けられた第1および第2カムフォロア保持部215-1、215-2を介して停止部材21に伝達され、第1および第2カムフォロア23-1、23-2の各移動に伴って停止部材21も移動する。ここで、停止部材21の移動は、第1および第2レールガイド25-1、25-2によってZ方向の移動に規制(案内)され、停止部材21は、例えば図6に示すように所定の長さSTだけZ方向に移動し、停止部材21の第1面部211が移動路に出る。そして、第2センサ30-2が第2センサドグ32-2を検出すると、第2センサ30-2は、検出信号を制御装置3へ送信し、この検出信号の受信に応じて制御装置3は、上述したように、モータローラ29の正転を停止する。
【0031】
なお、上述において、制御装置3は、モータローラ29の正転を開始する前に、第1センサ30-1によって第1センサドグ32-1の検出を確認することによって、停止装置2が待機状態にあることを確認してもよい。
【0032】
また、上述の停止装置2では、第2センサドグ32-2の位置を調整することで、停止部材21の移動量である前記所定の長さSTを調整することができる。正転の駆動時間を調整することでも、前記所定の長さSTを調整することができる。
【0033】
一方、例えば作動状態(出状態)の場合に、前記上位システムや前記操作盤から待機状態(没状態)への指示を受け付けると、制御装置3は、第2センサ30-2から検出信号を受信するまで、停止装置2のモータローラ29を逆転するように制御する。この制御により、モータローラ29は、逆転する。すなわち、モータローラ29の前記内蔵モータが駆動し、モータローラ29の前記減速機を介して、モータローラ29の前記ローラ管は、第1および第2軸支部材28-1、28-2それぞれに固定されたモータローラ29の前記第1および第2軸体を回転軸として逆転する。モータローラ29の前記ローラ管が逆転すると、モータローラ29の前記ローラ管に固定された第1および第2溝カム22-1、22-2は、駆動する。すなわち、第1および第2溝カム22-1、22-2は、第1および第2カム溝222-1、222-2の各弧形状の中心点CP-1、CP2から偏心した偏心点EP-1、EP-2を通り、XZ平面の法線方向(Y方向)に沿った第3直線を回転軸として軸回りに回転する。第1および第2溝カム22-1、22-2が回転すると、第1および第2カムフォロア23-1、23-2それぞれは、第1および第2カム溝222-1、222-2それぞれに案内されて移動する。すなわち、第1および第2カム溝222-1、222-2それぞれに嵌まり込んだ第1および第2カムフォロア23-1、23-2の第1および第2フォロア本体231-1、231-2それぞれは、第1および第2カム溝222-1、222-2それぞれに沿って周方向の各他方端から各一方端へ移動し、したがって、第1および第2カムフォロア23-1、23-2の第1および第2軸部232-1、232-2それぞれも移動する。この各移動は、第1および第2カムフォロア23-1、23-2の第1および第2軸部232-1、232-2それぞれに固定して取り付けられた第1および第2カムフォロア保持部215-1、215-2を介して停止部材21に伝達され、第1および第2カムフォロア23-1、23-2の各移動に伴って停止部材21も移動する。ここで、停止部材21の移動は、第1および第2レールガイド25-1、25-2によってZ方向の移動に規制(案内)され、停止部材21は、Z方向に移動し、停止部材21の第1面部211が移動路から没する。そして、第1センサ30-1が第1センサドグ32-1を検出すると、第1センサ30-1は、検出信号を制御装置3へ送信し、この検出信号の受信に応じて制御装置3は、上述したように、モータローラ29の逆転を停止する。
【0034】
なお、上述において、制御装置3は、モータローラ29の逆転を開始する前に、第2センサ30-2によって第2センサドグ32-2の検出を確認することによって、停止装置2が作動状態にあることを確認してもよい。
【0035】
以上説明したように、実施形態におけるローラコンベアCVおよびこれに備えられた停止装置2は、停止部材21をカム機構によって移動路に対し出没させるので、エアの供給を必要としない。
【0036】
停止装置が停止板のような固定式の場合、比較的安価であるが、対象物の停止位置に前記停止板を取り付けたり、停止した対象物の移動を再開する場合に前記停止板を取り外したり等の工数(手間)が必要となる。上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2は、停止部材21をカム機構によって移動路に対し出没させるので、このような工数(手間)を必要としない。
【0037】
上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2は、平面内にカム溝を形成した平面カムの溝カムを用いるので、簡単な構造でカム機構を実現できる。上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2は、例えば対象物等によって、停止部材21に、出没方向に交差する方向(例えば移動方向DRの水平方向等)から力がかかっている場合でも、溝カムを用いるので、停止部材21を没することができる。
【0038】
上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2は、ローラコンベア用のモータローラを前記駆動部に流用するので、モータローラを制御するローラコンベア用の制御装置(コントローラ)を当該停止装置2の制御装置として流用できる。
【0039】
上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2は、モータローラ29の駆動によって停止部材21を出没させるので、停止部材21の自重で停止部材を没する場合に較べて、確実に停止部材21を没することができる。特に、例えば対象物等によって、停止部材21に、出没方向に交差する方向(例えば移動方向DRの水平方向等)から力がかかっている場合でも、上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2は、停止部材21を没することができる。
【0040】
停止部材21は、Z方向(出没方向)から見てベースプレート27におけるZ方向の一方端の端面と重なる段差部212を備えるので、待機状態を検出するための第1センサ30-1に不具合が生じた場合にも、上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2では、停止部材21の段差部212がベースプレート27の前記端面に当接するから、停止部材21の移動が停止できる。したがって、上記ローラコンベアCVおよび上記停止装置2は、フェールセーフの機能を備える。段差部212がベースプレート27の前記端面に当接すると、モータローラ29に負荷がかかるので、制御装置3がモータローラ29の内蔵モータに供給する電流をモニタすることで、前記制御装置3は、前記当接を検出でき、モータローラ29の逆転の駆動を停止することもできる。
【0041】
本実施形態によれば、上記停止装置2を備えたローラコンベアCVが提供できる。上記ローラコンベアCVは、複数のローラ11の途中に配置された停止装置を備える場合には、停止部材21を移動路に出すことで、対象物を複数のローラ11の途中で、必要なタイミングで停止でき、また、前記停止部材21を移動路から没することで、必要なタイミングで前記対象物を再移動できる。上記ローラコンベアCVは、複数のローラ11における端に外側に配置された停止装置2を備える場合には、停止部材21を移動路に出すことで、対象物を複数のローラ11の端で、必要なタイミングで停止でき、また、前記停止部材21を移動路から没することで、必要なタイミングで前記対象物を再移動できる。
【0042】
停止装置が電動シリンダを用いた電動式の場合、前記電動シリンダを制御する制御装置が必要となる。上記ローラコンベアCVは、前記ローラコンベアCVのモータローラ11aを制御する制御装置3で、停止装置2の前記駆動部(その一例のモータローラ29)も制御できるので、停止装置2の前記駆動部を制御する制御装置を、別途、用意する必要が無い。
【0043】
次に、停止装置2を備えたローラコンベアCVにおける運用の一例について説明する。図7は、前記停止装置を備えた前記ローラコンベアにおける運用の一例を説明するための図である。図7Aは、ローラコンベアCVによって移動する対象物(第1対象物Ob-1)の移動の様子を示す図である。図7Bは、3個の第1ないし第3対象物OB-1~Ob-3がローラコンベアCVの移動路中に貯留されている様子を示す図である。図7Cは、図7Bに示す貯留された3個の第1ないし第3対象物Ob-1~Ob-3のうち、先頭(最下流)に位置する第1対象物Ob-1の移動を再開した様子を示す図である。
【0044】
図7に示す例では、停止装置2は、複数のローラ11のうちの互いに隣接する2個のローラ11の間で、停止部材21を出没するように配置されている。
【0045】
対象物Obを移動(搬送)するようにローラコンベアCVを運用する場合には、停止装置2は、図7Aに示すように、待機状態(没状態)とされ、停止部材21は、移動路(搬送路)から没している。これによって、複数のローラ11によって移動する対象物Obは、その移動を継続する。
【0046】
複数の対象物Obを移動路中に貯留するようにローラコンベアCVを運用する場合には、停止装置2は、図7Bに示すように、作動状態(出状態)とされ、停止部材21は、移動路に出ている。複数のローラ11によって移動する第1対象物Ob-1は、停止装置2の停止部材21の位置まで移動すると、この停止部材21によって停止される。ここで、第1対象物Ob-1が移動方向DR(X方向)に対して傾いている場合、停止部材21の第1面部211が平坦であるので、第1対象物Ob-1がこの平坦な第1面部211に当接することによって、第1対象物Ob-1における移動方向DRに対する傾きが修正される。複数のローラ11によって移動する第2対象物Ob-2は、停止中の第1対象物Ob-1の位置まで移動すると、この第1対象物Ob-1に当接して第1対象物Ob-1によって停止される。これによって第1および第2対象物Ob-1、Ob-2が移動路中に貯留される。複数のローラ11によって移動する第3対象物Ob-3は、停止中の第2対象物Ob-2の位置まで移動すると、この第2対象物Ob-2に当接して第2対象物Ob-2によって停止される。これによって第1ないし第3対象物Ob-1~Ob-3が移動路中に貯留される。なお、第1ないし第3対象物Ob-1~Ob-3の貯留中、第1ないし第3対象物Ob-1~Ob-3の載る駆動ローラ11aが停止されてもよい。
【0047】
貯留中の複数の対象物Obを再移動するようにローラコンベアCVを運用する場合には、停止装置2は、図7Cに示すように、作動状態から待機状態とされ、停止部材21は、移動路から没する。停止部材21が移動路から没すると、停止部材21によって停止していた先頭(最下流)の第1対象物Ob-1は、その移動を再開し、複数のローラ11によって移動する。ここで、第1対象物Ob-1の移動後、停止装置2が待機状態から作動状態とされ、これによって、第2および第3対象物Ob-2、Ob-3が貯留され、その後、所定のタイミングで、停止装置2が作動状態から待機状態とされ、第2対象物Ob-2の移動が再開されてもよい。これによって第1対象物Ob-1と第2対象物Ob-2との間隔(第5間隔)が調整できる。同様に、第2対象物Ob-2と第3対象物Ob-3との間隔(第6間隔)も調整できる。
【0048】
なお、上述では、ローラコンベアCVに、1個の停止装置2が配設されたが、複数の停止装置2が配設されてもよい。
【0049】
また、上述の停止装置2は、弧形状のカム溝222を形成し、偏心点EPを通る第3直線を回転軸とした軸回りに駆動される溝カム22を備えたが、溝カム22の形状は、これに限定されるものではなく、停止部材21をカム機構によって移動路に対し出没できる形状であればよい。
【0050】
図8は、前記停止装置に用いられる溝カムの変形形態を説明するための図である。図8Bは、溝カムの平面図であり、図8Aは、図8Bに示すII-II断面線から見た断面図であり、図8Cは、溝カムの側面図である。例えば、前記カム機構は、図4Aに示す溝カム22に代わる、図8に示す凹所または貫通開口のカム溝を形成した溝カム22aと、前記カム溝に案内され、前記停止部材21に係合される図4Bに示すカムフォロア23とを備える。前記カム溝222aは、前記移動路の移動方向DRに沿った第1直線と前記出没方向に沿った第2直線とで形成される平面内で、角を丸めた略コ字形状を含む形状である。上述と同様に、前記移動方向DRは、X方向であり、前記第1直線は、X軸と平行な直線であり、前記出没方向は、Z方向であり、前記第2直線は、Z軸と平行な直線であり、前記第1および第2直線で形成される平面は、XZ平面(XZ平面に平行な面)である。前記出没部は、前記略コ字形状の内側で中央位置より一方に偏った偏心点EPaを通り、前記平面の法線方向に沿った第3直線を回転軸として軸回りに前記溝カム22aを駆動する駆動部をさらに備える。上述と同様に、前記平面の法線方向は、Y方向であり、前記第3直線は、Y軸と平行な直線である。前記駆動部は、ローラコンベアに用いられるローラコンベア用であって、モータを内蔵するモータローラである。
【0051】
より具体的には、このような溝カム22aは、上述と同様に、1対の第1および第2溝カム22a-1、22a-2を備えて構成されている。これら第1および第2溝カム22a-1、22a-2は、同形であるので、溝カム22aとして以下に説明する。溝カム22aは、図8Bに示すように、平面視にて、略D字形状の板状の部材である溝カム本体221aを備えて構成され、板状の溝カム本体221aには、凹所または貫通開口、図8Bに示す例では貫通開口の、平面視にて、2個の角を丸めた略コ字形状のカム溝222aが形成されている。図8に示す例では、カム溝222aにおいて、前記略コ字形状の一方端は、外方向斜めに若干延長されている。前記略コ字形状の内側でZ方向の中央位置より一方に偏った(図8Bに示す例ではZ方向下側に偏った)偏心点EPaの位置に、前記駆動部の一例としてのモータローラ29の軸体を挿通するための貫通開口の軸体挿通開口部223aが形成されている。カム溝222aの略コ字形状の大きさ(カム溝222aの延長方向の長さ)、および、偏心点EPaの位置は、前記移動路に対する、停止部材21における第1面部211の出没長に応じて適宜に設定される。また、上述の溝カム22では、前記弧形状の中心点CPは、溝カム本体221が仮に切り欠いて無くて円形であるとした場合の中心点と一致したが、図8に示す溝カム22aでは、カム溝221aの中心点は、溝カム本体221aの中心点とは一致していない。
【0052】
また、上述では、停止装置2は、ローラコンベアCVに備えられたが、停止装置2は、一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備える1または複数のサブコンベアを備えるベルトコンベアに備えられてもよい。このようなベルトコンベアは、公知であり、例えば、特開2018-158826号公報等に開示されている。この場合では、停止装置2は、前記複数のサブコンベアのうちの互いに隣接する2個のサブコンベアの間、および、前記1または複数のサブコンベアのうちの端に位置するサブコンベアにおける前記一方向の外側、のうちの少なくとも一方で、前記停止部材を出没するように配置される。上記ベルトコンベアは、複数のサブコンベアの途中に配置された停止装置2を備える場合には、停止部材21を移動路に出すことで、対象物を前記途中で、必要なタイミングで停止でき、また、前記停止部材21を移動路から没することで、必要なタイミングで前記対象物を再移動できる。上記ベルトコンベアは、複数のサブコンベアにおける端に外側に配置された停止装置2を備える場合には、停止部材21を移動路に出すことで、対象物を前記端で、必要なタイミングで停止でき、また、前記停止部材21を移動路から没することで、必要なタイミングで前記対象物を再移動できる。
【0053】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0054】
一態様にかかる停止装置は、移動路を移動する対象物を停止させる停止装置であって、前記対象物を停止させるための部材である停止部材と、前記停止部材をカム機構によって前記移動路に対し出没させる出没部とを備える。
【0055】
このような停止装置は、停止部材をカム機構によって移動路に対し出没させるので、エアの供給を必要としない。
【0056】
他の一態様では、上述の停止装置において、前記カム機構は、凹所または貫通開口のカム溝を形成した溝カムと、前記カム溝に案内され、前記停止部材に係合されるカムフォロアとを備え、前記カム溝は、前記移動路の移動方向に沿った第1直線と前記出没方向に沿った第2直線とで形成される平面内で弧形状であり、前記出没部は、前記弧形状の中心点から偏心した偏心点を通り、前記平面の法線方向に沿った第3直線を回転軸として軸回りに前記溝カムを駆動する駆動部をさらに備える。他の一態様では、上述の停止装置において、前記カム機構は、凹所または貫通開口のカム溝を形成した溝カムと、前記カム溝に案内され、前記停止部材に係合されるカムフォロアとを備え、前記カム溝は、前記移動路の移動方向に沿った第1直線と前記出没方向に沿った第2直線とで形成される平面内で、角を丸めたコ字形状を含む形状であり、前記出没部は、前記コ字形状の内側で中央位置より一方に偏った偏心点を通り、前記平面の法線方向に沿った第3直線を回転軸として軸回りに前記溝カムを駆動する駆動部をさらに備える。
【0057】
これら停止装置は、平面内にカム溝を形成した平面カムの溝カムを用いるので、簡単な構造でカム機構を実現できる。上記停止装置は、例えば対象物等によって、停止部材に、出没方向に交差する方向(例えば水平方向等)から力がかかっている場合でも、溝カムを用いるので、停止部材を没することができる。
【0058】
他の一態様では、これら上述の停止装置において、前記駆動部は、ローラコンベアに用いられるローラコンベア用であって、モータを内蔵するモータローラである。
【0059】
このような停止装置は、ローラコンベア用のモータローラを駆動部に流用するので、モータローラを制御するローラコンベア用の制御装置(コントローラ)を当該停止装置の制御装置として流用できる。当該停止装置がローラコンベアに用いられる場合では、前記ローラコンベアのモータローラを制御する制御装置で、停止装置の駆動部(その一例のモータローラ)も制御できるので、停止装置の駆動部を制御する制御装置を、別途、用意する必要が無い。
【0060】
他の一態様にかかるローラコンベアは、一方向に沿って並置される複数のローラを備えるローラコンベアであって、前記複数のローラのうちの互いに隣接する2個のローラの間、および、前記複数のローラのうちの端に位置するローラにおける前記一方向の外側、のうちの少なくとも一方で、前記停止部材を出没するように配置された、これら上述のいずれかの停止装置をさらに備える。
【0061】
一態様にかかるベルトコンベアは、一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備える1または複数のサブコンベアを備えるベルトコンベアであって、前記複数のサブコンベアのうちの互いに隣接する2個のサブコンベアの間、および、前記1または複数のサブコンベアのうちの端に位置するサブコンベアにおける前記一方向の外側、のうちの少なくとも一方で、前記停止部材を出没するように配置された、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の停止装置をさらに備える。
【0062】
これらによれば、これら上述のいずれかの停止装置を備えたローラコンベアおよびベルトコンベアが提供できる。上記ローラコンベアおよびベルトコンベアは、途中に配置された停止装置を備える場合には、停止部材を移動路に出すことで、対象物を前記途中で、必要なタイミングで停止でき、また、前記停止部材を移動路から没することで、必要なタイミングで前記対象物を再移動できる。上記ローラコンベアおよびベルトコンベアは、端に外側に配置された停止装置を備える場合には、停止部材を移動路に出すことで、対象物を前記端で、必要なタイミングで停止でき、また、前記停止部材を移動路から没することで、必要なタイミングで前記対象物を再移動できる。
【0063】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、停止装置、ローラコンベアおよびベルトコンベアが提供できる。
【要約】
本発明の停止装置は、移動路を移動する対象物を停止させる停止装置であって、前記対象物を停止させるための部材である停止部材と、前記停止部材をカム機構によって前記移動路に対し出没させる出没部とを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8