(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】植物の監視のためのシステム、方法及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20220817BHJP
【FI】
G06T19/00 A
(21)【出願番号】P 2019538176
(86)(22)【出願日】2018-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2018050638
(87)【国際公開番号】W WO2018130606
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-07
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508186875
【氏名又は名称】キージーン ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン スチュリーク, マルコ ゲラルダス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン バーベル, ルドルフ ラウレンティウス
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-271990(JP,A)
【文献】実開平05-017505(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00 - 19/20
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を監視するためのシステムであって、
画像データを受信するための入力ユニット(110)と、
プロセッサ(103)であって、
複数の植物のための画像データ(107)を用意すること(201)であって、各画像データが個々の植物に関連付けられている、画像データ(107)を用意すること(201)、
各植物の前記画像データ(107)を対応する植物特性データ(109)に関連付けること(204)、
前記植物特性データ(109)に基づいて、前記植物のサブセットを選択すること(206)、
選択された前記植物に対応する複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを生成すること(207)、
コンピュータグラフィックステクスチャの形式の個々の選択された植物の前記画像データ(107)を、対応する前記コンピュータグラフィックスオブジェクトに適用すること(208)、
コンピュータグラフィックスシーンの3次元空間において、各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定すること(209)、及び
前記シーンのコンピュータグラフィックスレンダリングを作成すること(210)
を制御するように構成されたプロセッサ(103)と、
前記コンピュータグラフィックスレンダリングを表示する(211)ための出力ユニット(102)と
を備える、システム。
【請求項2】
植物の前記植物特性
データ(109)が、前記植物の表現型、前記植物の遺伝子型、前記植物の成長段階、及び前記植物がさらされた実験条件のうちの少なくとも1つについての情報を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサ(103)が、ユーザ入力に基づいて少なくとも1つのフィルタオプションを選択することを制御するようにさらに構成され、少なくとも1つの前記フィルタオプションが前記植物特性データに対してフィルタを定義し、
前記植物の前記サブセットを前記選択すること(206)が前記フィルタオプションにさらに基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を前記決定すること(209)が、前記植物特性
データ(10
9)に基づいて各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサ(103)が、ユーザ入力に基づいて少なくとも1つのソーティングオプションを選択することを制御するようにさらに構成され、少なくとも1つの前記ソーティングオプションが前記植物特性
データ(109)に対して前記植物の順序を定義し、各コンピュータグラフィックスオブジェクト(209)の3次元位置が、前記植物の定義された前記順序にさらに基づいている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサ(103)が、前記植物の前記サブセットを選択する(206)前に、複数の植物のそれぞれのための事前処理されたコンピュータグラフィックステクスチャデータを用意すること(203)を制御するように構成され、前記コンピュータグラフィックステクスチャデータ(108)がテクスチャ圧縮形式である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
事前処理されたコンピュータグラフィックステクスチャデータを前記
用意すること(203)が、異なるスケールにおける前記テクスチャデータの複数のバージョンを用意することを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記画像データ(107)が、複数の異なる観察角度から撮影された個々の植物の複数の写真を含み、前記コンピュータグラフィックスオブジェクトが、複数の異なる前記観察角度に対応する面を有し、写真画像(107)に対応する前記コンピュータグラフィックステクスチャ(108)が、前記コンピュータグラフィックスオブジェクトの対応する前記面に適用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
コンピュータグラフィックスレンダリングを前記作成することが、
双眼観察装置用の立体的なコンピュータグラフィックスレンダリングを作成することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
ユーザ入力を受信するためのユーザインタフェース入力ユニット(101)をさらに備え、
前記プロセッサ(103)が、前記ユーザインタフェース
入力ユニット(101)を通して受信された前記ユーザ入力に基づいて、観察者の観察位置又は観察角度を適合させることを制御するようにさらに構成され、前記観察位置又は観察角度が、前記コンピュータグラフィックスレンダリングを前記作成することのために使用される、請求項1又は8に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサ(103)が、
植物を監視するために、前記植物の前記サブセットの前記選択についての情報を、サーバ(120)又は別のシステム(140)と交換することと、
植物を監視するために、前記植物の前記選択及び前記コンピュータグラフィックスオブジェクト(301)の3次元位置を、前記サーバ(120)又は前記別のシステム(140)と同調させることと、
を制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサ(103)が、
植物を監視するために、前記コンピュータグラフィックスレンダリングを作成すること(210)のために使用され
る観察位置又は観察方向についての情報を、前記サーバ(120)又は前記別のシステム(140)との間で送受信することと、
別のユーザを表すコンピュータグラフィックスオブジェクトを作成し、前記別のユーザの前記観察位置又は観察方向についての受信された前記情報に基づいて、前記コンピュータグラフィックスシーンの前記別のユーザを表す前記コンピュータグラフィックスオブジェクトに位置を割り当てることと、
前記シーンの前記コンピュータグラフィックスレンダリング(210)に、前記別のユーザを表す前記コンピュータグラフィックスオブジェクトを含めることと、
を制御するようにさらに構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記植物特性データの統計値を含む育種情報を表すコンピュータグラフィックスオブジェクト(602、603)を生成し、前記育種情報を表す前記コンピュータグラフィックスオブジェクト(602、603)を前記コンピュータグラフィックスシーンの位置に関連付け、前記育種情報を表す前記コンピュータグラフィックスオブジェクト(602、603)を前記シーンの前記コンピュータグラフィックスレンダリング(210)に含めることによって、前記植物特性データの統計値を含む育種情報(602、603)を表示すること(205)を制御するように前記プロセッサ(103)が構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサ(103)が、
要求をアプリケーションプログラムインタフェースに送信することにより、サーバプログラムから表示される(602、603)前記育種情報を検索することであって、前記要求が、前記植物特性データ(109)に対して少なくとも1つのフィルタオプション及び/又はソーティングオプションを示す、検索すること
を制御するように構成され、
前記植物の前記サブセットを前記選択すること(206)が、前記要求によって示された前記フィルタオプションに基づいて実施され、又は、各コンピュータグラフィックスオブジェクト(301)の前記位置を前記決定すること(209)が、前記要求によって示された前記ソーティングオプションに基づいて実施される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
植物を監視するための方法であって、
複数の植物のための画像データを用意するステップ(201)であって、各画像データが個々の植物に関連付けられている、画像データを用意するステップ(210)と、
各植物の前記画像データを対応する植物特性データに関連付けるステップ(204)と、
前記植物特性データに基づいて前記植物のサブセットを選択するステップ(206)と、
前記選択された植物に対応する複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを生成するステップ(207)と、
コンピュータグラフィックステクスチャの形式の各選択された植物の前記画像データを、対応する前記コンピュータグラフィックスオブジェクトに適用するステップ(208)と、
コンピュータグラフィックスシーンの3次元空間において、各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定するステップ(209)と、
前記シーンのコンピュータグラフィックスレンダリングを作成するステップ(210)と、
前記コンピュータグラフィックスレンダリングを表示するステップ(211)と、
を含む、方法。
【請求項16】
コンピュータシステムに請求項15に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は植物を監視することに関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]育種家が自身の育種計画を進めるために利用可能な情報の総量は圧倒的である。ある植物のある観察された表現型に関して、いくつかの統計分析を実施することができる。さらに、育種専門家による植物の目視検査を実施することができる。育種経過中の植物を自動的体系的に撮影する機器の存在が知られている。しかし、この機器により、育種家に利用可能となるデータ量がさらに増加し、育種決定に利用可能なデータを完全に含めることが難しくなる。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一目的は、植物、特に育種計画中の植物を監視するための改良されたシステムを提供することである。
【0004】
[0004]本発明の一態様によれば、植物を監視するためのシステムが提供される。このシステムは、
・画像データを受信するための入力ユニットと、
・プロセッサであって、
・・複数の植物のための画像データを用意することであって、各画像データが個々の植物に関連付けられている、画像データを用意すること、
・・各植物の画像データを対応する植物特性データに関連付けること、
・・植物特性データに基づいて、植物のサブセットを選択すること、
・・選択された植物に対応する複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを生成すること、
・・コンピュータグラフィックステクスチャの形式の個々の選択された植物の画像データを、対応するコンピュータグラフィックスオブジェクトに適用すること、
・・コンピュータグラフィックスシーンの3次元空間において、各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定すること、及び
・・そのシーンのコンピュータグラフィックスレンダリングを作成すること
を制御するように構成されたプロセッサと、
・コンピュータグラフィックスレンダリングを表示するための出力ユニットと
を備える。
【0005】
[0005]これにより、利用可能な画像データの改良された視覚化が得られる。その理由は、選択された植物が3次元の位置を与えられ、利用可能な種で満たされた仮想温室を作成することが可能となるからである。3次元レンダリングにより、複数の種のうちの特定の種(近くの)に焦点を当て、一方依然として、他の選択された種(さらに離れた)全体にわたる概観を得ることが可能となる。この技術は、育種家が植物の望ましい特徴をより容易に見つけ出す助けとなる。
【0006】
[0006]たとえば、ある植物の植物特性情報は、植物の表現型、植物の遺伝子型、植物の成長段階、及び植物がさらされた実験条件のうちの少なくとも1つについての情報を含む。
【0007】
[0007]プロセッサは、ユーザ入力に基づいて少なくとも1つのフィルタオプション(filter option)を選択することを制御するようにさらに構成することができ、少なくとも1つのフィルタオプションが植物特性データに対してフィルタを定義し、植物のサブセットを選択することは、さらにフィルタオプションに基づいている。これにより、適切なフィルタに基づいて、3次元空間に出現する植物を選択することができるようになる。その結果、ある特性を有する様々な植物が専門的な評価のために仮想世界に並べて置かれる。
【0008】
[0008]各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定することは、植物特性情報に基づいて各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定することを含むことができる。この情報に基づく位置により、空間的に相互に接近した密接に関連した特徴を有する植物を表示することができる。これにより植物特性の検査が容易になる。
【0009】
[0009]プロセッサは、ユーザ入力に基づいて少なくとも1つのソーティングオプションを選択することを制御するようにさらに構成することができ、少なくとも1つのソーティングオプションが植物特性情報に対して植物の順序を定義し、各コンピュータグラフィックスオブジェクトの3次元位置がさらに植物の定義された順序に基づいている。これにより、ユーザはソーティングオプションを変えることにより視覚化を迅速に再配列することが可能となり、コンピュータグラフィックスシーンの植物の3次元位置が変化する。
【0010】
[0010]プロセッサは、植物のサブセットを選択する前に、複数の植物のそれぞれのための事前処理されたコンピュータグラフィックステクスチャデータを用意することを制御するように構成することができ、コンピュータグラフィックステクスチャデータは、テクスチャ圧縮形式である。このように、様々な選択が即座に迅速になされ、遅延することなく表示され得る。
【0011】
[0011]画像データを個々の植物に関連付けられたコンピュータグラフィックステクスチャデータに変換する事前処理ステップは、異なるスケールにおける複数のバージョンのテクスチャを生成することを含むことができる。これにより、特に、画像及び植物の数が多い場合に、植物の迅速な表示が容易になる。これにより、任意選択の利用可能な植物及び画像の「即時」表示を強化することができる。
【0012】
[0012]画像データは、複数の異なる観察角度(viewing angle)から撮影された個々の植物の複数の写真を含むことができる。コンピュータグラフィックスオブジェクトは、複数の異なる観察角度に対応する面を持つことができる。写真画像に対応するテクスチャデータは、コンピュータグラフィックスオブジェクトの対応する面に適用することができる。このように、利用可能な写真データの視覚化が特に効率的になされる。各植物の形状の詳細な3次元モデルを生成することは、必ずしも必要ではない。
【0013】
[0013]コンピュータグラフィックスレンダリングを作成することは、双眼観察装置(binocular viewing device)用の立体的なコンピュータグラフィックスレンダリングを作成することを含むことができる。これにより、植物データの仮想現実体験の作成が容易になる。
【0014】
[0014]このシステムは、ユーザ入力を受信するためのユーザインタフェースデバイスをさらに備えることができる。プロセッサは、観察者の観察位置又は観察方向を適合させることを制御するようにさらに構成することができ、この観察位置又は観察方向は、ユーザインタフェースデバイスによって受信されたユーザ入力に基づいて、コンピュータグラフィックスレンダリングを作成するために使用される。これにより、コンピュータグラフィックス場面の即時の実際の仮想ウォークスルーを作成することができ、ユーザは表示された植物を任意の所望の位置から見ることができる。
【0015】
[0015]プロセッサは、植物を監視するために、植物のサブセットの選択についての情報をサーバ又は別のシステムと交換すること、及び、植物を監視するために、植物の選択及びコンピュータグラフィックスオブジェクトの3次元位置をサーバ又は上記別のシステムと同調させることを制御するようにさらに構成することができる。これにより、異なる位置に配置されてもよい別のユーザと、植物の選択の特定の3次元視覚化を共有することができる。
【0016】
[0016]プロセッサは、植物を監視するために、コンピュータグラフィックスレンダリングを作成するために使用される観察位置又は観察方向についての情報を、サーバ又は上記別のシステムとの間で送受信することと、別のユーザを表すコンピュータグラフィックスオブジェクトを作成し、上記別のユーザの観察位置又は観察方向についての受信された情報に基づいて、コンピュータグラフィックスシーンの上記別のユーザを表すコンピュータグラフィックスオブジェクトに位置を割り当てることと、そのシーンのコンピュータグラフィックスレンダリングに上記別のユーザを表すコンピュータグラフィックスオブジェクトを含むことと、を制御するようにさらに構成することができる。これにより、相互に離れた場所にいてもよいユーザが、上記別のユーザは何を見ているのか、又は何を評価しているのかを理解することができる。ユーザが、上記別のユーザは何を指さしているのか理解することもできる。また、ユーザはそのシーンのある部分を強調することができ、この強調表示は他のすべてのユーザに見せることができる。
【0017】
[0017]表現型情報又は遺伝子型情報といった植物特性データの統計値を含む育種情報を表示することは、育種情報を表すコンピュータグラフィックスオブジェクトを生成することと、そのオブジェクトをコンピュータグラフィックスシーンの位置に関連付けることと、そのシーンのコンピュータグラフィックスレンダリングの育種情報を表すコンピュータグラフィックスオブジェクトを含むことと、を含むことができる。これにより、たとえば、VR環境において、VR環境を離れることなくVR環境内で育種情報を見ることができる。
【0018】
[0018]プロセッサは、要求をサーバプログラムのアプリケーションプログラムインタフェースに送信することにより、サーバプログラムから表示される育種情報を取得することを制御するように構成することができ、この要求は、植物特性データに対して少なくとも1つのフィルタオプション及び/又はソーティングオプションを示し、植物のサブセットを選択することは、要求によって示されたフィルタオプションに基づいて実施され、又は、各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定することは、要求によって示されたソーティングオプションに基づいて実施される。このように、コンピュータグラフィックスオブジェクトは、表示された育種情報と自動的に辻褄を合わせることができる。
【0019】
[0019]本発明の別の態様によれば、植物を監視する方法が提供され、この方法は、
・複数の植物のための画像データを用意することであって、各画像データが個々の植物に関連付けられている、画像データを用意することと、
・各植物の画像データを、対応する植物特性データに関連付けることと、
・植物特性データに基づいて、植物のサブセットを選択することと、
・選択された植物に対応する複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを生成することと、
・コンピュータグラフィックステクスチャの形式の各選択された植物の画像データを、対応するコンピュータグラフィックスオブジェクトに適用することと、
・コンピュータグラフィックスシーンの3次元空間において、各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定することと、
・そのシーンのコンピュータグラフィックスレンダリングを作成することと、
・そのコンピュータグラフィックスレンダリングを表示することと、
を含む。
【0020】
[0020]本発明の別の態様によれば、コンピュータシステムに記載された方法を実施させるための命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0021】
[0021]当業者であれば、上記の特徴は、有用であると考えられる任意の方法で組み合わせることができることを理解するであろう。さらに、このシステムに関して記載された変更及び変形は、同様に方法及びコンピュータプログラム製品に適用することができ、この方法に関して記載された変更及び変形は、同様にシステム及びコンピュータプログラム製品に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0022]以下において、本発明の態様を、図面を参照しながら例として説明する。図面は概略であり、縮尺通りに描かれていないことがある。図面を通して、同様の項目には同一の参照数字が付けられていることがある。
【
図1】植物を監視するためのシステムのブロック図である。
【
図3A】コンピュータグラフィックスオブジェクトを示す図である。
【
図3B】コンピュータグラフィックスオブジェクトを示す図である。
【
図4】複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを示す図である。
【
図5】複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを示す図である。
【
図6】複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを示すが、その一部が部分的に隠されている図である。
【
図7】3次元シーンに表示された制御パネルを示す図である。
【実施形態の詳細な説明】
【0023】
[0023]添付の図面を参照しながら、ある例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0024】
[0024]詳細な構造及び要素などの、説明で開示される事項は、例示的な実施形態を包括的に理解する助けとなるように提供される。したがって、例示的な実施形態は、こうした特別に定義された事項なしに実施できることは明らかである。また、良く知られた動作又は構成は、不必要な詳細で説明をわかりにくくすることがあるので、詳細には説明していない。
【0025】
[0025]
図1は、植物を監視するためのシステム100の例示的な実施態様を示す。システムはたとえば、コンピュータシステムとすることができる。システムは、大量の植物を個々に走査することができる走査デバイス(図示せず)と協働して動作することができる。この走査デバイスは、様々な観察方向から個々の植物の写真を撮るように構成することができる。植物及びその根の別々の写真を撮ることができる。あるいは、走査デバイスは、たとえばX線ベースの走査又は3次元走査といった、写真以外の他のタイプの走査を行うように構成することができる。走査データは、図でサーバ120として暫定的に示したデータ記憶及び検索システムに記憶することができる。サーバ120は、システム100の通信ユニット106に接続することができる。通信ユニットは、サーバに接続するために、イーサネットコネクタ又はUSBコネクタといった通信ポートを備えることができる。サーバ120とシステム100の通信ユニット106との間の接続は、有線又は無線接続を介して、及び、インターネット接続などネットワーク接続を介してもよい。代替の実施態様において、サーバ120及びシステム100は単一のデバイスに統合することができ、通信ユニット106は、単一のデバイスの内部通信バスとすることができる。システムは、ユーザインタフェース入力ユニット101、ユーザインタフェース出力ユニット102、プロセッサ103、メモリ104、通信ユニット106、及び入力ユニット110をさらに備えることができる。
【0026】
[0026]ユーザインタフェース入力ユニット101は、キーボード、マウス、又は仮想現実コントローラといった任意のユーザインタフェースデバイスを備えることができ、この仮想現実コントローラは、たとえば、ジャイロセンサにより触覚フィードバックを検出するように構成される。これに加えて又は代替として、仮想現実コントローラは、ユーザが押してコマンドを与えることができる制御ボタンを備えることができる。
【0027】
[0027]ユーザインタフェース出力ユニット102は、レンダリングされたコンピュータグラフィックスシーンを出力するための表示画面、プロジェクタ、又はプリンタを備えることができる。ユーザインタフェース出力ユニットは、仮想現実ヘッドセットなどの双眼ヘッドマウント表示デバイスを備えることができる。こうした仮想現実ヘッドセットは、当技術分野でそれ自体知られているように、立体画像をヘッドセットの装着者に表示することができる。他の仮想現実表示システムも使用することができる。あるいは、ユーザインタフェース出力ユニット102は、コンピュータモニタ又はプロジェクタといった表示画面を備えることができる。前述のユーザインタフェースデバイスはさらに、外部デバイスを備えることができる。その場合、システム100は実際のインタフェースデバイスを含まず、むしろ、ユーザインタフェース入力ユニット101、及び/又は、ユーザインタフェース出力ユニット102を、これらの外部インタフェースデバイスを制御し、及び/又は、インタフェースデバイスによって検出されたデータを受信するために、前述のインタフェースデバイスと通信することができるコネクタとして実装することができる。
【0028】
[0028]プロセッサ103は、処理動作を制御することができる任意の適切なプロセッサを備えることができる。たとえば、マイクロプロセッサ若しくはコントローラを使用することができる、又は、ネットワーク若しくは複数のマイクロプロセッサ若しくは複数のコントローラを使用することができる。こうしたマイクロプロセッサの一例は、Intel Corporationによって製造されたIntel Core i7プロセッサである。しかし、任意の適切なプロセッサも使用することができる。プロセッサ103は、処理動作を分割するために相互に協働するように構成された複数のマイクロプロセッサを含むことができる。メモリ104は、記憶されたコンピュータプログラムコード105を含むことができ、このコンピュータプログラムコードはプロセッサにある動作を実施させる。このように、本明細書で開示された方法の実現は、こうしたコンピュータプログラムコード105によって実現することができる。
【0029】
[0029]メモリ104は、RAM、ROM、FLASH、磁気ディスク、光ディスク、又はそれらの組合せといった、揮発性及び/又は不揮発性メモリを含むことができる。プログラムコード105は、通常、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶することができる。
【0030】
[0030]プロセッサ103は、ユーザインタフェース入力ユニット101、ユーザインタフェース出力ユニット102、通信ユニット106、入力ユニット110、及びメモリ104の動作を制御するように構成することができる。さらに、他の構成要素(図示せず)をプロセッサによって制御することができる。たとえば、プロセッサ103は、任意の植物走査機器、表示デバイス又は仮想現実システムの動作を制御するように構成することができる。
【0031】
[0031]入力ユニット110及び通信ユニット106は、イーサネット(登録商標)、USB、Wi-Fiトランシーバなどの任意のデータ通信デバイス又はインタフェースを備えることができる。これらのユニットは、たとえば、デバイス間の直接の通信接続又はネットワーク接続でもよい、有線又は無線通信接続を設定するように構成することができる。入力ユニット110及び通信ユニット106は、説明する目的で図面では別個のブロックとして描かれているが、単一の通信デバイスとして実装されてもよい。入力ユニット110は、たとえば、自動植物写真撮影機器又は別の植物走査デバイスといった走査機器130と通信するように構成することができる。あるいは、入力ユニット110は、走査機器によって生成された走査データが記憶されているサーバシステム120と通信するように構成することができる。通信ユニット106は、システム100と類似のものでもよい、図面ではピアシステム140と示された、植物を監視するための別のシステムと数種類の情報を交換するように構成することができる。あるいは、通信ユニット106は、サーバ120を介してこうした情報をピアシステムと交換するように構成することができる。
【0032】
[0032]プロセッサ103は、入力ユニット110を制御して、たとえば、サーバ120又はカメラ若しくはスキャナ130からデータを受信することができる。こうした受信データはメモリ104に記憶することができる。たとえば、サーバから受信された植物の画像(たとえば、写真、これはたとえばJPEG又はPNGフォーマットでもよい)を含む画像データ107、植物の画像の事前処理版を含む事前処理データ108、及び、植物特性情報109は、メモリ104に一時的又はより恒久的に記憶することができる。ある実施態様において、事前処理データは、サーバ120に記憶され、要求に応じてサーバ120からシステム100に送信される。その場合、システム100の(非事前処理)画像データ107を受信する必要がないことがある。これは、数千以上もの植物の膨大な数の事前処理画像データを、サーバ120に記憶することができることを意味する。ある機器が事前処理テクスチャ画像を作成し、それを1つ又は複数の他のシステム100、140によって使用するためにサーバに記憶することさえ可能である。事前処理画像を、すべての構成要素がこうした事前処理デバイスに必要であるというわけではないが、システム100と構造が似ていてもよい個々のデバイスで作成することが可能である。あるいは、システム100は、画像データ107に基づいて事前処理データ108を作成する。なお、テクスチャデータ108はまた、画像データの形式であると言われている。
【0033】
[0033]
図2は、植物を監視する方法を示す。この方法は、たとえば、適切なコンピュータプログラムコード105を使用して、システム100をプログラミングすることによって実装することができる。この方法はさらに、複数のコンピュータシステムによって実装することができ、ここでは機能を複数の異なるコンピュータにわたって分割することができる。
【0034】
[0034]ステップ201において、画像データが入力ユニット106によって受信される。受信された画像データは、複数の植物に関連付けられた複数の画像データを含むことができ、各画像データは個々の植物を表す。同一の植物が2回以上走査され又は撮影され、それにより、植物の異なる成長段階における同一の植物の画像データが利用可能である。さらに、各植物の表現型情報、遺伝子型情報、実験条件及び成長段階といった植物特性データ109を受信し、メモリ104に記憶することができる。この植物特性情報は画像データと比べると、たとえば、枝の特定の寸法又は数、色、根の大きさ等を説明するなど事実上より説明的なものとなり得る。
【0035】
[0035]ある実施態様において、画像データはすでにコンピュータグラフィックステクスチャの形式であってもよく、その結果、画像データ107及びテクスチャデータ108は同一であり、又は、元の画像107及びテクスチャデータ108の両方はすでに予め利用可能となっている。この場合、テクスチャフォーマットへの後続の変換は必要ない。さらに、以下の説明において、コンピュータグラフィックステクスチャ生成ステップ202が前処理ステップとして記述されているが、これは本開示を限定するものではない。一代替実施態様において、特定のテクスチャが特定のコンピュータグラフィックスオブジェクトに適用されるときはいつでも、テクスチャフォーマットは、ステップ208においてオンザフライで生成することができる。
【0036】
[0036]任意選択的なステップ202において、受信された画像データは、コンピュータグラフィックステクスチャデータに変換されてもよい。この前処理ステップは、画像データが3次元コンピュータグラフィックスレンダリングに円滑に表示されるための準備をする。その結果、少なくとも使用セッションにおいて表示されると予知される画像が前処理され、結果として得られるテクスチャデータ108がメモリ104に記憶されてもよい。
【0037】
[0037]前処理ステップにより、長い待ち時間なしに、3次元シーンにおいて大量の植物をレンダリングすることが可能になる。テクスチャデータ108は、プロセッサ103及びユーザインタフェース出力ユニット102のグラフィックス処理ユニット(GPU)により、元の画像データ107よりもより迅速に処理される。テクスチャデータは圧縮されたテクスチャデータでもよい。多くのテクスチャフォーマットにおいて、PNG及びJPEGといった写真を記憶するために使用される通常の圧縮アルゴリズムとは異なり、圧縮率はたとえば4対1など常に同一である。たとえば、圧縮の特定のフォーマット用に、32MBテクスチャを8MBテクスチャに圧縮することができる。これにより、同じ量のビデオメモリを使用して、1テクスチャだけでなく4テクスチャを収容することになる。ある実施形態において、使用される圧縮スキームは、「S3テクスチャ圧縮」特に「DXT1」法と呼ばれる。テクスチャ圧縮の特定の例において、テクスチャのそれぞれが4×4テクセルブロックに対して、圧縮器は、混合してブロックのテクセルに近似する2つの色、A及びBを選択することができる。ブロックのそれぞれのテクセルに対して、色が混合されてテクセルを形成する割合が、圧縮されたテクスチャデータに記憶することができる。すなわち、すべてA、すべてB、Aが3分の2プラスBが3分の1、又は、Bが3分の2プラスAが3分の1である。16の割合が2つのテクセルと同一の空間に収まり、その結果、16テクセルが4つのテクセルサイズへ一定率で削減される。ここで、テクセルはテクスチャの画素(ピクセル)である。
【0038】
[0038]ある実施態様において、使用されたグラフィックスハードウェアにより、たとえばDXTフォーマットにおいて、プリフォーマット済の圧縮されたテクスチャは、圧縮された形式でGPUにより直接使用することができる。その結果、テクスチャをローディング後に、フォーマットに対して任意のさらなる処理を実施する必要はない。そして圧縮されたテクスチャは、圧縮していないテクスチャに比べてメモリ空間をより少なく占めるので、より多くのテクスチャをローカルビデオメモリに収容することができ(すなわち、GPUにローカルなグラフィックスカード上で、テクスチャとのやり取りが非常に速い)、それにより、ローカルビデオメモリへのプリフレームテクスチャアップロードが少なくなる可能性がある。こうしたテクスチャを記憶することができる適切なファイルフォーマットは、DDS(DirectDraw Surface(商標))と呼ばれ、他の方法では3次元シーンにロードするのに望ましくなく遅いことがある、すべての植物画像を取り扱う助けとなることができる。
【0039】
[0039]ステップ203において、事前処理テクスチャデータ108がメモリ104に記憶される。代替として又は追加的に、事前処理テクスチャデータ108は、サーバ120又はピアシステム140に送信され、その結果、他のシステムは、そのテクスチャデータを計算する必要なく再使用することができる。システム100のローカルメモリ104に記憶された事前処理テクスチャデータ108を有することにより、通常、後のステップ208~209の間に最高の性能をもたらすことができる。
【0040】
[0040]ある実施態様において、以下のステップ、特にステップ206~209は、すべての必要な前処理がステップ202で実施された後で実施され、それにより、任意の画像が、前処理によって生じる待ち時間なしに、迅速な表示のために選択することができる。
【0041】
[0041]ステップ204において、画像は対応する植物特性109に関連付けられる。これらの植物特性は、表現型情報、遺伝子型情報、及び、画像の走査時の各植物の成長段階についての情報を含むことができる。
【0042】
[0042]本開示において、「植物特性」は、植物の遺伝子型、表現型、環境条件、成長段階、又はそれらの任意の組合せの態様に関し、又は態様を表すことができる。「遺伝子型」という用語は、個体又は植物の遺伝子構造を指す。「表現型」という用語は、個体又は植物の特性又は特色、特に、これだけには限られないが、形態的、物質的、生化学的、発生的、又は行動的な特性又は特色といった、観察できる特性又は特色を指す。個体又は植物の表現型は、遺伝子の発現及び環境要因、並びに遺伝子の発現と環境要因の相互作用によって形成され得る。「環境条件」という用語は、ある植物が一定の期間の間さらされる(実験的)取扱い及び/又は成長要因といった、環境要因の組合せを指す。実験的取扱いには、生物的及び/若しくは非生物的要因、又は、これだけには限られないが、干ばつ、暑気、害虫、放射線及び化学物質といった混合物への植物の全体又は一部の露出が含まれ得る。成長要因は、栄養分、光及び気温といった植物が成長するために必要な要因とすることができる。「成長段階」という用語は、一般に、種の発芽から植物の老化までにわたる植物の成長段階を指す。
【0043】
[0043]本明細書では「植物」は、植物全体、ある植物の一部、並びに/又は、これだけには限られないが、葉、果実、花、幹及び種といった植物生成物を指す。
【0044】
[0044]ステップ204は、こうした植物特性情報及び各情報が属する画像データの指示を述べるデータを受信し又は提供することを含むことができる。情報は、たとえば、通信ユニット106、入力ユニット110、又は、ユーザインタフェース入力ユニット101を介して受信することができる。画像と植物特性との関連付けは、個々の植物に一意の識別子を与えることにより、並びに、個々の画像及び植物特性データに、一意の識別子、及び任意選択により成長段階でラベルを付けることにより提供することができる。関連付けを実装する他の方法は、当業者にとっては、本開示に基づいて明白である。この植物特性情報109は、メモリ104に記憶することによって提供することができる。
【0045】
[0045]ステップ205において、植物特性情報は任意選択で集約され、統計値は計算されて利用可能な植物のグループの統計情報を得ることができる。この育種情報は、数字、表、グラフなどにより、任意の適切な形式で表示することができる。このステップは完全に任意選択的であることは理解できるであろう。この統計的情報は、植物の表現型情報及び/又は遺伝子型情報といった任意の植物特性情報に関連することができる。
【0046】
[0046]ステップ206において、植物のサブセットが選択される。通常、植物は、表現型情報、遺伝子型情報、植物の走査時の植物の成長段階、又は実験条件といった植物特性データに基づくフィルタリングによって選択される。選択は、たとえば所定のフィルタに基づく自動とすることができる。たとえば、システム100は、最大の画像、又は最も成熟した植物を示す最多の画像、又は最も最近得られた画像を表示するように、予めプログラムすることができる。あるいは、選択は、ユーザインタフェース入力ユニット101を介して受信されたユーザ入力に基づくことができる。第3に、選択は通信ユニット106を介してピアシステム140から受信することができ、その結果、同一の植物画像を同時に2つの異なるシステム100、106で視覚化することが可能となる。
【0047】
[0047]ステップ207において、ステップ206で選択された植物のそれぞれに対して、コンピュータグラフィックスオブジェクトが生成される。このコンピュータグラフィックスオブジェクトは形状を有している。コンピュータグラフィックスオブジェクトの形状は、個々の植物に対して固有とすることができる。その場合、形状は、たとえば植物の高さ及び幅といった表現型情報に基づくことができ、又は、形状は画像データ107に基づいて決定することができる。あるいは、植物を表すすべてのグラフィックスオブジェクトは、同一の形状を有してもよい。3次元コンピュータグラフィックスオブジェクトの生成方法は、それ自体で当業者に知られており、たとえば、Direct3D(商標)又はOpenGL(商標)技術を使用して実行することができる。形状情報は、たとえば、Blender(商標)又は3DMax(商標)といった専売のソフトウェアから得ることができる。
【0048】
[0048]ステップ208において、個々の選択された植物のテクスチャデータが、対応するコンピュータグラフィックスオブジェクトに適用される。すなわち、コンピュータグラフィックスオブジェクトの面が識別され、特定のテクスチャがコンピュータグラフィックスオブジェクトの識別された面に適用される。たとえば、植物の個々の葉が、コンピュータグラフィックスオブジェクトの3次元面として模型を作成され、個々の葉の写真が撮られると、葉の写真に対応する事前処理テクスチャデータを、コンピュータグラフィックスオブジェクトの葉の面に適用することができる。
【0049】
[0049]特定の例示の実施態様において、画像データは、複数の異なる観察方向から撮られた個々の植物の複数の写真を含む。可能な観察方向としては、4つの直交する側部(正面、背面、左側及び右側と呼ばれる)から見た植物、同じ4つの側部から見た植物の根、上から見た植物、下から見た根があげられる。もちろん、植物は、たとえば、植物の周りの5つ以上の視点といった、より多くの方向から写真を撮ることができる。あるいは、より少ない写真が各植物について撮られる。また、利用可能な写真の数は、各植物について同一である必要はない。さらに、画像が利用できない植物は、たとえば、グラフ又はテキストによって表すことができる。
【0050】
[0050]コンピュータグラフィックスオブジェクトは、写真を撮ることができる視点に対応する面を有することができる。上の例において、長方形の形状のコンピュータグラフィックスオブジェクトを作成することができ、それにより、各側部の写真のテクスチャが、コンピュータグラフィックスオブジェクトの周りの4つの面の上半分に適用され、根の写真のテクスチャが、コンピュータグラフィックスオブジェクトの周りの4つの面の下半分に適用される。植物の上方視点の写真のテクスチャが、コンピュータグラフィックスオブジェクトの上面に適用することができる。植物の根の底面のテクスチャが、可能な場合は、コンピュータグラフィックスオブジェクトの下面に適用されてもよい。この例が
図3A及び
図3Bに示されている。
【0051】
[0051]
図3Aは、植物を表すコンピュータグラフィックスオブジェクト301のコンピュータグラフィックスレンダリングを示す。このオブジェクトは、オブジェクトの底部にラベル306、307と、ラベル306、307の上の植物の異なる側部からの根の画像304、305と、植物の画像302、303の直下の根の画像304、305と同じ方向から撮られた植物の画像302、303とを含む。
図3Bは、わずかに異なる観察角度からの同一のコンピュータグラフィックスオブジェクトを示し、上部画像308を示す上面も、コンピュータグラフィックスレンダリングで見ることができる。
【0052】
[0052]ステップ209において、位置が、コンピュータグラフィックスシーンの3次元空間の各コンピュータグラフィックスオブジェクトに割り当てられる。たとえば、コンピュータグラフィックスオブジェクトは、温室の配置に似た長方形の格子に配置することができる。この例は
図4に示されている。
図4は、長方形の格子401に配置された多数のコンピュータグラフィックスオブジェクト301を示す。
図5は、わずかに異なる観察角度を使用した同様の図を示す。
【0053】
[0053]
図4及び
図5に示された例において、植物は、コンピュータグラフィックスシーンの格子配列の水平面に配置される。たとえば、水平面で円形に、垂直面で格子配列に、又は、3次元格子配列にといった、他の配列も可能である。あるいは、位置は擬似ランダム的に決定することができる。
【0054】
[0054]ある実施態様において、コンピュータグラフィックスオブジェクトは、所定の順序で配置される。たとえば、植物は、低い方から高い方へ植物の高さによって順序付けすることができる。格子が平面にあるとき、位置は2つのパラメータ(x,y)によって特徴付けられ得る。位置(0,0)は最も低い植物とすることができ、次に低い植物は位置(0,1)等であり位置(0,N)に達するまで配置することができる。ここで、Nは一列の植物の数であり、次に低い植物は位置(1,0)に配置することができ、次に低い植物は位置(1,1)に配置することができる等々である。
【0055】
[0055]あるいは、2つの異なる特性を、格子の2つの異なる軸に割り振ることができる。たとえば、x軸上の位置は植物の高さによって決定することができ、y軸上の位置は植物の幅によって決定することができる。
【0056】
[0056]また、x軸上の位置は、植物のいくつかの特性によって決定することができ、y軸上の異なる位置で、同じ特性を有するいくつかの異なる植物を比較のために表示することができる。
【0057】
[0057]第4の可能な軸は時間軸である。可動の3次元世界を作成するために、そのシーンのシーケンスが連続的に作成され、レンダリングされ、表示され得る。この可動世界の時間軸は、たとえば、植物の増大する成長段階に対応することができる。
【0058】
[0058]ステップ210において、そのシーンのコンピュータグラフィックスレンダリングが、たとえば、Direct3D(商標)、OpenGL(商標)エンジンを使用して作成される。あるいは、レンダリングを適切な光線射出(ray-casting)技術を使用して作成することができる。こうしたレンダリング技術は、当業者に知られている。レンダリングステップは、たとえば、
図4で示される画像といった表示し、印刷することができる2次元ビットマップ画像をもたらすことができる。レンダリングは、観察方向及び観察パラメータ(透視投影か平行射影、計算された2次元ビットマップ画像の解像度、単一のビットマップ画像又は立体画像が作成されるかどうか)を設定することを含む。こうしたパラメータは、必要に応じて設定することができる。
【0059】
[0059]ステップ211において、コンピュータグラフィックスレンダリングが、たとえば、電子表示デバイス、コンピュータモニタ、デジタルプロジェクタ、又は仮想現実ヘッドセットといったユーザインタフェース出力ユニット102によって、出力される。
【0060】
[0060]ステップ206における植物のサブセットの選択は、ある選択基準を規定する入力フィルタに基づくことができる。フィルタの選択は、予めプログラムされたフィルタを使用して、又はユーザ入力に基づいて、自動とすることができる。
【0061】
[0061]
図6は別の例を示す。プロセッサ103は、ステップ209において、異なる高さを有するオブジェクト601、602を配置するように構成することができる。このように、オブジェクト(たとえば、602)のうちの一部が、別の平坦なオブジェクト(たとえば、床)によって部分的に遮られており、一方、他のオブジェクト(たとえば、601)は完全に目に見えるということは可能である。この効果又は別の視覚効果を使用して、第1のレンダリングモードにおけるある第1の基準を満足させる植物を示し、同時に、第1のレンダリングモードとは異なる、第2のレンダリングモードにおけるある第2の基準を満足させる植物を示すことができる。
【0062】
[0062]
図7は、ユーザインタフェースオブジェクト701を含む、3次元コンピュータグラフィックスシーンのレンダリングの例を示す。ユーザインタフェースオブジェクト701は、あるパラメータを設定するために、1つ又は複数のスライダ及び/又はボタンを備えることができる。こうしたパラメータは、ステップ206で植物を選択するときに適用される、フィルタ又は検索マスクを選択することができる。
図7に示されたシーンはさらに、植物特性が表示されるオブジェクト702を含む。シーンは、オブジェクト703と同様、さらなる植物特性及びその統計値が表示される、壁として視覚化されている植物オブジェクト704をさらに含む。
【0063】
[0063]上で開示されたシステムの可能な拡張として、
図2のプロセスのうちの少なくともいくつかのステップは、ユーザによって実施される検査セッション中に繰り返し実施することができる。たとえば、コンピュータグラフィックスオブジェクトが設定され、そのテクスチャが適用され、位置が設定されると、コンピュータグラフィックスシーンをレンダリング210し、コンピュータグラフィックスレンダリングを出力211するステップを繰り返すことができる。繰り返しの最中に、観察位置又は観察角度は変更することができる。たとえば、ユーザインタフェース入力ユニット101は、レンダリングが表示されている間にユーザ入力を受信するように構成することができる。プロセッサ103は、ユーザ入力に応答して、観察者の観察位置又は観察角度をユーザ入力に基づいて適合させるように構成することができる。次いで、新しい観察位置及び観察角度を使用して、シーンは再度レンダリングし、表示することができる。これにより、ユーザは、あたかも実際の温室であるかのようにシーンを仮想的にウォークスルーすることができる。
【0064】
[0064]システムの別の可能な拡張において、プロセッサは、ステップ206に関連して、植物を監視するために、植物のサブセットの選択についての情報を、通信ユニット106を使用してサーバ120又は別のシステム140と交換することを制御するように、さらに構成することができる。たとえば、サブセットを示す情報は受信され、後続のステップ207~211で使用することができる。あるいは、選択は、ステップ206においてシステム100によって制御することができ、プロセッサ103は、植物の選択されたサブセットを示す情報を、サーバ120又はピアシステム140に送信するように構成することができ、その結果、同じ選択を使用して、サードパーティがシステム100によって表示された植物の同じ選択を見ることができる。また、位置及び/又はソーティングオプションは、サーバ120又はピアシステム140と交換することができる。したがって、植物の選択及びコンピュータグラフィックスオブジェクト301の3次元位置は、植物を監視するために、サーバ120又は別のシステム140と同期させることができる。
【0065】
[0065]システムの別の可能な拡張において、プロセッサ103は、植物を監視するためにサーバ又は別のシステムとの間で、コンピュータグラフィックスレンダリングを作成するために使用される観察位置又は観察方向についての情報を送受信することを制御するようにさらに構成されている。これにより、遠隔配置されたユーザが、仮想温室を示すコンピュータグラフィックスシーンでお互いを見ることが可能である。プロセッサ103は、別のユーザを表すコンピュータグラフィックスオブジェクトを作成すること、及び、上記別のユーザの観察位置又は観察方向についての受信情報に基づいて、コンピュータグラフィックスシーンの上記別のユーザを表すコンピュータグラフィックスオブジェクトに位置を割り当てることを制御することができる。上記別のユーザを表すコンピュータグラフィックスオブジェクトは、シーンのコンピュータグラフィックスレンダリングである。
【0066】
[0066]システムの別の可能な拡張において、植物特性データの統計値を含む育種情報は、コンピュータグラフィックスシーン内に表示される。コンピュータグラフィックスオブジェクト602又は603が作成され、これは、たとえば、育種情報を表すテキスト又はグラフ又は数字を含んでもよく、育種情報は植物特性データの統計値を含む。育種情報を表すコンピュータグラフィックスオブジェクト602又は603は、コンピュータグラフィックスシーンに位置を与えられる。したがって、育種情報を表すオブジェクトは、ステップ210で実施されるコンピュータグラフィックスレンダリングに含まれる。
【0067】
[0067]任意選択で、表示された育種情報は、仮想温室シーンの植物の選択及び/又は位置決めと結合することができる。たとえば、プロセッサ103は、サーバプログラムから602、603に表示される育種情報検索を制御するように構成されている。アプリケーションプログラムは、アプリケーションプログラムインタフェースを有することができる。フィルタ及びソーティングオプションは、要求に含むことができる。たとえば、こうしたオプションは、ユーザインタフェース入力ユニット101を介して受信されたユーザ入力にしたがって設定される。サーバプログラムは、フィルタオプションを満足させる植物の統計値を返信することができる。プロセッサ103は、たとえば、グラフィックスオブジェクト602、603として、統計値を表示するように構成することができる。同時に、ステップ206において、プロセッサ103は、要求に使用された同じフィルタオプションを使用して、植物を選択することができる。ステップ209において、グラフィックスオブジェクトの位置は、要求によって定義された植物の順番に基づくことができる。たとえば、要求はURLの形式をとることができる。URL又は要求の選択基準は、たとえば、制御パネル701と対話することによりユーザによって設定することができる。
【0068】
[0068]以下で、可能な要求の少数の特定の例が、URLの形式で与えられる。こうした例に使用されるフォーマットは、特定のサーバアプリケーションと共に働くことができる。しかし、形式及びコンテンツの両方とも例によって開示されるだけである。例は保護の範囲を限定しない。URLの形式の例示の要求は以下のとおりである。
・http://localhost/graph?dataset=Side&graph=average&trait=totaldetectedarea&coloraggregation=genotype&filter=genotype=t3p,t5p,t6p
【0069】
[0069]この例示の要求において、使用されたプロトコルはハイパーテキスト転送プロトコル(http)、サーバプログラムのホストはシステム100のローカルハードウェア(ローカルホスト)、要求された表示タイプは「Side」と名付けられたデータセットからのデータに基づくグラフである。「全検出領域」特色を使用し、遺伝子型によって着色された、所謂「平均グラフ」が要求される。さらに、要求は遺伝子型によってフィルタを特定し、遺伝子型「3」、「5」又は「6」を有する植物のみを選択する。その結果、遺伝子型「3」、「5」又は「6」を有する植物のみが、コンピュータグラフィックスオブジェクトとしてシーンに表されることになる。
【0070】
[0070]別の例示の要求は以下のとおりである。
・http://localhost/graph?dataset=Side&graph=average&trait=mean_intensity_h&coloraggregation=genotype&filter=genotype=t1p,tp5
【0071】
[0071]この例示の要求において、再度、ローカルホストがtrait=mean_intensity_hを使用して、遺伝子型によって着色され、同時に遺伝子型「1」及び「5」をフィルタリングする「Side」と呼ばれるデータセットの平均的グラフを得るためにhttpが使用される。その結果、遺伝子型「1」又は「5」を有する植物のみがコンピュータグラフィックスオブジェクトとしてシーンに表されることになる。
【0072】
[0072]別の例示の要求は以下のとおりである。
・http://localhost/graph?dataset=Side&graph=average&trait=perimeter&coloraggregation=genotype&filter=genotype=t2p,t7p
【0073】
[0073]この例示の要求において、再度、ローカルホストが今回は「perimeter」特性を使用して、遺伝子型によって着色され、同時に遺伝子型「2」及び「7」をフィルタリングする「Side」と呼ばれるデータセットの平均的グラフを得るためにhttpが使用される。その結果、遺伝子型「2」又は「7」を有する植物のみがコンピュータグラフィックスオブジェクトとしてシーンに表されることになる。
・http://localhost/graph?dataset=Side&graph=average&trait=height&coloraggregation=genotype&filter=genotype=t4p,t5p
【0074】
[0074]この例示の要求において、再度、ローカルホストが今回は「height」特性を使用して、遺伝子型によって着色され、同時に遺伝子型「4」及び「5」をフィルタリングする「Side」と呼ばれるデータセットの平均的グラフを得るためにhttpが使用される。その結果、遺伝子型「4」又は「5」を有する植物のみがコンピュータグラフィックスオブジェクトとしてシーンに表されることになる。
【0075】
[0075]植物を監視する方法は、複数の植物のための画像データを用意すること(201)であって、各画像データが個々の植物に関連付けられている、画像データを用意すること(201)と、各植物の画像データを、対応する植物特性データに関連付けること(204)と、植物特性データに基づいて、植物のサブセットを選択すること(206)と、選択された植物に対応する複数のコンピュータグラフィックスオブジェクトを生成すること(207)と、コンピュータグラフィックステクスチャの形式の各選択された植物の画像データを、対応するコンピュータグラフィックスオブジェクトに適用すること(208)と、コンピュータグラフィックスシーンの3次元空間において、各コンピュータグラフィックスオブジェクトの位置を決定すること(209)と、そのシーンのコンピュータグラフィックスレンダリングを作成すること(210)と、そのコンピュータグラフィックスレンダリングを表示すること(211)とを含むことができる。この方法は、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品の形式で実装することができる。
【0076】
[0076]本発明の一部又はすべての態様は、ソフトウェア特にコンピュータプログラム製品の形式で実装されるのが適切であり得る。コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含むことができる。また、コンピュータプログラムは、光ファイバーケーブル又は電波などの伝達媒体によって搬送される、光信号又は電磁信号といった信号によって表すことができる。コンピュータプログラムは、コンピュータシステムによって実行するのに適した、ソースコード、オブジェクトコード又は擬似コードの形式を部分的又は全面的にとることができる。たとえば、コードは1つ又は複数のプロセッサによって実行することができる。
【0077】
[0077]本明細書に記載の例及び実施形態は、本発明を限定するのではなく説明するのに役立っている。当業者は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定められた、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を設計することができる。請求項の括弧内に置かれた引用符号は、請求項の範囲を限定しようとするものではない。請求項又は説明中に別個のエンティティとして記載された項目は、記載された項目の機能を結合した単一のハードウェア又はソフトウェア項目として実行することができる。