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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】V2X通信用アンテナ搭載リーン車両
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20220817BHJP
   B62J 50/25 20200101ALI20220817BHJP
   H01Q 9/18 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
B62J50/25
H01Q9/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020539401
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2019032930
(87)【国際公開番号】W WO2020045252
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2018158053
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康史
(72)【発明者】
【氏名】浅野 大輔
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/157011(WO,A1)
【文献】特表2016-509444(JP,A)
【文献】国際公開第2017/213243(WO,A1)
【文献】特開2006-232181(JP,A)
【文献】特開平04-299800(JP,A)
【文献】マイケル ロックランほか,車々間通信における対向車からの干渉特性,電子情報通信学会論文誌 (J82ーB) 第11号,日本,社団法人電子情報通信学会,1999年11月25日,第J82-B巻,p.2034-2042
【文献】社団法人 電子情報通信学会 編,「アンテナ工学ハンドブック(第2版)」,オーム社,2008年07月25日,p.35
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
B62J 50/25
H01Q 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左旋回中に車両左方向に傾斜し、右旋回中に車両右方向に傾斜するリーン車体フレームと、
前記リーン車体フレームの周囲に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信に用いられるV2X通信装置と、
前記V2X通信装置に電気的に接続され、前記リーン車体フレームと一体的に車両左方向または車両右方向に傾斜するように設けられるV2X通信用アンテナと、
を備えたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記V2X通信用アンテナは、
指向性を有する指向性V2X通信用アンテナであって、
前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していない前記V2X通信用アンテナを測定した時、(I)前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢において前記V2X通信用アンテナを通る水平面である車載水平面の3dBビーム幅が、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢において前記V2X通信用アンテナを通り前記車載水平面に垂直かつ車両前後方向に平行な車載垂直面の3dBビーム幅より大きくなるように構成され(II)前記車載垂直面の3dBビーム幅が前記車載水平面よりも車両上方向の車両上領域と前記車載水平面よりも車両下方向の車両下領域の両方に存在するように構成され(III)前記車載水平面の3dBビーム幅が前記車載垂直面よりも車両左方向の車両左領域と前記車載垂直面よりも車両右方向の車両右領域の両方に存在するように構成されると共に前記車載垂直面の3dBビーム幅のうち前記車両上領域に存在する3dBビーム幅が、前記車載垂直面の3dBビーム幅のうち前記車両下領域に存在する3dBビーム幅より大きくなるように構成され、
前記V2X通信装置は、
少なくとも前記リーン車体フレームが車両左方向に傾斜している左旋回中および前記リーン車体フレームが車両右方向に傾斜している右旋回中に前記リーン車体フレームの周囲に存在する前記他のV2X通信装置とのV2X通信を行うことを特徴とするV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項2】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していない前記V2X通信用アンテナを測定した時の前記車載水平面の3dBビーム幅が、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、左旋回中に前記リーン車体フレームが車両左方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向と車両上下方向がなす角度である左方向最大バンク角、および、右旋回中に前記リーン車体フレームが車両右方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向と車両上下方向がなす角度である右方向最大バンク角を合計した合計最大バンク角より大きくなるように構成されることを特徴とする請求項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項3】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していない前記V2X通信用アンテナを測定した時の前記車載垂直面の3dBビーム幅が、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、前記車載垂直面と左旋回中に前記リーン車体フレームが車両左方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向とがなす角度である左方向最大バンク角、および、前記車載垂直面と右旋回中に前記リーン車体フレームが車両右方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向とがなす角度である右方向最大バンク角を合計した合計最大バンク角の半分より大きくなるように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項4】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
車両の前部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端よりも車両後方向に位置するように設けられ、
車両の後部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端よりも車両前方向に位置するように設けられることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項5】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
車両の前部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端と車両前後方向において同じ位置になるように設けられ、
車両の後部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端と車両前後方向において同じ位置になるように設けられることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項6】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
車両の前部または車両の後部の少なくともいずれかに設けられることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項7】
車両の前部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の後部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナとを備えるか、または、
車両の後部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の前部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナとを備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項8】
車両の前部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の後部に設けられ、前記指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性のV2X通信用アンテナとを備えるか、または、
車両の後部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の前部に設けられ、前記指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性のV2X通信用アンテナとを備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項9】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の上部に配置されることを特徴とする請求項1~に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項10】
前記リーン車体フレームに支持され、それぞれタイヤとホイールとを有する少なくとも1つの前輪および少なくとも1つの後輪を更に備え、
前記指向性V2X通信用アンテナは、
前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両において、前記ホイールよりも車両上方向に配置されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項11】
前記リーン車体フレームに支持され、少なくとも2つの前記前輪または少なくとも2つの前記後輪を接続するリンク機構を更に有し、
前記指向性V2X通信用アンテナは、
前記リーン車体フレームが直立状態および傾斜状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、前記リンク機構よりも前記リーン車体フレームの上方向あるいは前記リーン車体フレームの下方向に配置されるか、または、車両の前部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢での前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両前方向に配置され、車両の後部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢での前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両後方向に配置されることを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項12】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
車両の前部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離だけ前記リンク機構から離れた位置に配置され、
車両の後部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両後方向であって、前記アンテナ金属間距離だけ前記リンク機構から離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項13】
前記指向性V2X通信用アンテナは、
車両の前部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の前記車載水平面において、前記リーン車体フレームよりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離だけ前記リーン車体フレームから離れた位置に配置され、
車両の後部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の前記車載水平面において、前記リーン車体フレームよりも車両後方向であって、前記アンテナ金属間距離だけ前記リーン車体フレームから離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項14】
前記アンテナ金属間距離は、前記指向性V2X通信用アンテナが送受信可能な電磁波の波長の少なくとも2倍の距離であることを特徴とする請求項1または1に記載のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、V2X通信を行うためのアンテナを搭載したV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周囲に存在する他のV2X通信装置と通信を行うV2X通信装置を備えたリーン車両が提案されている。このようなリーン車両は、V2X通信用装置と電気的に接続されたV2X通信用アンテナを備えている。例えば、特許文献1において、無指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載し、指向性のV2X通信用アンテナを車両の後部に搭載したリーン車両が提案されている。また、例えば、特許文献2において、無指向性のV2X通信用アンテナを車両の後部に搭載したリーン車両が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/136658号
【文献】国際公開第2016/035797号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リーン車両のリーン車体フレームは、左旋回時に車両左方向に傾斜し、右旋回時に車両右方向に傾斜する。つまり、リーン車両が旋回する時、リーン車体フレームは傾斜する。そして、リーン車両に搭載されたV2X通信用アンテナも、旋回する時に、リーン車体フレームの傾斜と共に傾斜する。
【0005】
本願発明者らは、無指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載して、V2X通信の送受信特性を検討した。無指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載した場合、無指向性のV2X通信用アンテナの搭載位置によって、V2X通信の送受信性能が異なることがわかった。そこで、指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載して、V2X通信の送受信特性を検討した。指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載した場合、指向性のV2X通信用アンテナの搭載位置が異なっても、V2X通信の送受信性能の差が小さいことが分かった。しかしながら、指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載した場合で、直進状態と旋回状態とを比較すると、V2X通信の送受信性能が異なることがわかった。
【0006】
本発明は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができるV2X通信用アンテナを搭載したリーン車両を提供することを目的とする。
【解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、無指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載して、V2X通信の送受信特性を検討した。無指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載した場合、無指向性のV2X通信用アンテナの搭載位置によって、V2X通信の送受信性能が異なることがわかった。無指向性のV2X通信用アンテナよりも車両前後方向の後方向に金属が配置されていると、電磁波が金属で反射される場合がある。それにより、V2X通信用アンテナよりも車両前後方向の前方向の領域におけるV2X通信の送受信性能が、V2X通信用アンテナ単独の場合より低下する場合がある。そこで、V2X通信用アンテナよりも車両前後方向の後方向に配置されている金属の影響を抑制するために、指向性を有する指向性V2X通信用アンテナをリーン車両に搭載することを検討した。その結果、指向性V2X通信用アンテナをリーン車両に搭載した場合、V2X通信用アンテナよりも車両後方向に配置されている金属の影響が抑制される。そのため、指向性V2X通信用アンテナをリーン車両に搭載した場合は、指向性V2X通信用アンテナの搭載位置が異なっても、V2X通信の送受信性能の差が小さいことが分かった。
【0008】
そこで、指向性V2X通信用アンテナが搭載されたリーン車両を様々な走行状態で検討した。その結果、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたリーン車両は、直進状態と旋回状態とで、V2X通信の送受信性能が異なることが分かった。特に、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたリーン車両においては、旋回状態におけるV2X通信の送受信性能が直進状態より低下する場合があることが分かった。そこで、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたリーン車両の旋回状態でのV2X通信の送受信性能について詳細に検討した。
【0009】
リーン車両は、そのリーン車体フレームが、左旋回時に車両左方向に傾斜し、右旋回時に車両右方向に傾斜する。つまり、リーン車両は、旋回する時にリーン車体フレームが傾斜する。そして、リーン車両に搭載された指向性V2X通信用アンテナも、旋回する時に、リーン車体フレームの傾斜と共に傾斜する。V2X通信用装置は、少なくともリーン車両が左方向に傾斜している左旋回中およびリーン車両が右方向に傾斜している右旋回中にV2X通信を行う。つまり、指向性V2X通信用アンテナは、少なくともリーン車両の車両左右方向の傾斜に伴って傾斜している状態で、電磁波を送受信する。
【0010】
車両は、左にカーブする道路で左旋回する。リーン車両は、左旋回により、車両前方向、且つ、車両左方向に移動する。そして、左にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、リーン車両は、左旋回により、車両左方向により大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが左旋回するリーン車両の前部に搭載されている場合、リーン車両の前部に搭載された指向性V2X通信用アンテナと左旋回するリーン車両よりも車両前方向かつ車両左方向の車両前左領域に存在する他のV2X通信装置との送受信性能が、直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両左方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、左旋回するリーン車両よりも車両前左領域に存在する他のV2X通信装置が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車両左右方向に垂直な車両垂直面から車両左方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。具体的には、直進状態でリーン車両よりも車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態で、リーン車両よりも車両左方向に移動する。そして、左にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、直進状態でリーン車両よりも車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態で、リーン車両よりも車両左方向により大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されている場合、リーン車両の前部に搭載された指向性V2X通信用アンテナとリーン車両が左旋回状態においてリーン車両の車両前左領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両とのV2X通信の送受信性能が、直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両左方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、左旋回状態のリーン車両の車両前左領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車両左右方向に垂直な車両垂直面から車両左方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。
【0011】
車両は、右にカーブする道路で右旋回する。リーン車両は、右旋回により、車両前方向、且つ、車両右方向に移動する。そして、右にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、リーン車両は、右旋回により、車両右方向により大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが右旋回するリーン車両の前部に搭載されている場合、リーン車両の前部に搭載された指向性V2X通信用アンテナと右旋回するリーン車両よりも車両前方向かつ車両右方向の車両前右領域に存在する他のV2X通信装置との送受信性能が、直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両右方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、右旋回するリーン車両よりも車両前右領域に存在する他のV2X通信装置が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車両左右方向に垂直な車両垂直面から車両右方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。具体的には、直進状態でリーン車両よりも車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態で、リーン車両よりも車両右方向に移動する。そして、右にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、直進状態でリーン車両よりも車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態で、リーン車両よりも車両右方向により大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されている場合、リーン車両の前部に搭載された指向性V2X通信用アンテナとリーン車両が右旋回状態においてリーン車両の車両前右領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両とのV2X通信の送受信性能が、直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両右方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、右旋回状態のリーン車両の車両前左領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車両左右方向に垂直な車両垂直面から車両右方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。
【0012】
その結果、車両の前部に搭載される指向性V2X通信用アンテナを次のように構成すれば、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができることを見出した。それは、リーン車両に搭載した状態での指向性V2X通信用アンテナの3dBビーム幅をリーン車両の旋回を考慮して工夫するという技術思想に基づくものである。
【0013】
指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していないV2X通信用アンテナを測定した時の放射特性が次のようになるように構成される。つまり、指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢においてV2X通信用アンテナを通る水平面である車載水平面の3dBビーム幅が、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢においてV2X通信用アンテナを通り車載水平面に垂直かつ車両前後方向に平行な車載垂直面の3dBビーム幅より大きくなるように構成される。また、指向性V2X通信用アンテナは、車載垂直面の3dBビーム幅が車載水平面よりも車両上方向の車両上領域と車載水平面よりも車両下方向の車両下領域の両方に存在するように構成される。さらに、指向性V2X通信用アンテナは、車載水平面の3dBビーム幅が、車載垂直面よりも車両左方向の車両左領域と車載垂直面よりも車両右方向の車両右領域の両方に存在するように構成される。
【0014】
例えば、リーン車両は、左旋回により、車両前方向、且つ、車両左方向に移動して、リーン車両の車両前左領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でリーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態において、リーン車両よりも車両左方向に移動して、リーン車両の車両前左領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両前左領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。また、リーン車両は、右旋回により、車両前方向、且つ、車両右方向に移動して、リーン車両の車両前右領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でリーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態において、リーン車両よりも車両右方向に移動して、リーン車両の車両前右領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両前右領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0015】
なお、本願発明者らは、同じように構成された指向性V2X通信用アンテナを、車両の後部に搭載した場合であっても、車両の前部に搭載した場合と同様の効果を得ることができることを見出した。
【0016】
車両は、左にカーブする道路で左旋回する。リーン車両は、左旋回により、車両前方向、且つ、車両左方向に移動する。そして、左にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、リーン車両は、左旋回により、車両左方向により大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが左旋回するリーン車両の後部に搭載されている場合、リーン車両の後部に搭載された指向性V2X通信用アンテナと左旋回するリーン車両よりも車両後方向かつ車両左方向の車両前左領域に存在する他のV2X通信装置との送受信性能が、直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両左方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、左旋回するリーン車両よりも車両後左領域に存在する他のV2X通信装置が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車両左右方向に垂直な車両垂直面から車両左方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。具体的には、直進状態でリーン車両よりも車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態で、リーン車両よりも車両左方向に移動する。そして、左にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、直進状態でリーン車両よりも車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態で、リーン車両よりも車両左方向に大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されている場合、リーン車両の後部に搭載された指向性V2X通信用アンテナとリーン車両が左旋回状態においてリーン車両の車両後左領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両左方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、左旋回状態のリーン車両の車両後左領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車載水平面に垂直かつ車両前後方向に平行な車載垂直面から車両左方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。
【0017】
車両は、右にカーブする道路で右旋回する。リーン車両は、右旋回により、車両前方向、且つ、車両右方向に移動する。そして、右にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、リーン車両は、右旋回により、車両右方向により大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが右旋回するリーン車両の後部に搭載されている場合、リーン車両の後部に搭載された指向性V2X通信用アンテナと右旋回するリーン車両よりも車両後方向かつ車両右方向の車両後右領域に存在する他のV2X通信装置との送受信性能が、直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両右方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、右旋回するリーン車両よりも車両後右領域に存在する他のV2X通信装置が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車両左右方向に垂直な車両垂直面から車両右方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。具体的には、直進状態でリーン車両よりも車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態で、リーン車両よりも車両右方向に移動する。そして、右にカーブする道路の旋回半径が小さいほど、直進状態でリーン車両よりも車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態で、リーン車両よりも車両右方向に大きく移動する。そして、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されている場合、リーン車両の後部に搭載された指向性V2X通信用アンテナとリーン車両が右旋回状態においてリーン車両の車両後右領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することが分かった。また、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたリーン車両のリーン車体フレームの車両右方向への傾斜角度が大きいほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。さらに、右旋回状態のリーン車両の車両後左領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両が、リーン車体フレームの直立状態のリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナを通り車載水平面に垂直かつ車両前後方向に平行な車載垂直面から車両右方向に離れるほど、この送受信性能が低下する傾向があることが分かった。
【0018】
例えば、リーン車両は、左旋回により、車両前方向、且つ、車両左方向に移動して、リーン車両の車両後左領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でリーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態において、リーン車両よりも車両左方向に移動して、リーン車両の車両後左領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両後左領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。また、リーン車両は、右旋回により、車両前方向、且つ、車両右方向に移動して、リーン車両の車両後右領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でリーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態において、リーン車両よりも車両右方向に移動して、リーン車両の車両後右領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたリーン車両は、右旋回状態において車両後右領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0019】
以上により、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【0020】
(1)本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回中に車両左方向に傾斜し、右旋回中に車両右方向に傾斜するリーン車体フレームと、前記リーン車体フレームの周囲に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信に用いられるV2X通信装置と、前記V2X通信装置に電気的に接続され、前記リーン車体フレームと一体的に車両左方向または車両右方向に傾斜するように設けられるV2X通信用アンテナと、を備えたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両であって、前記V2X通信用アンテナは、指向性を有する指向性V2X通信用アンテナであって、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していない前記V2X通信用アンテナを測定した時、(I)前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢において前記V2X通信用アンテナを通る水平面である車載水平面の3dBビーム幅が、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢において前記V2X通信用アンテナを通り前記車載水平面に垂直かつ車両前後方向に平行な車載垂直面の3dBビーム幅より大きくなるように構成され、かつ、(II)前記車載垂直面の3dBビーム幅が前記車載水平面よりも車両上方向の車両上領域と前記車載水平面よりも車両下方向の車両下領域の両方に存在するように構成されると共に、(III)前記車載水平面の3dBビーム幅が前記車載垂直面よりも車両左方向の車両左領域と前記車載垂直面よりも車両右方向の車両右領域の両方に存在するように構成され、前記V2X通信装置は、少なくとも前記リーン車体フレームが車両左方向に傾斜している左旋回中および前記リーン車体フレームが車両右方向に傾斜している右旋回中に前記リーン車体フレームの周囲に存在する前記他のV2X通信装置とのV2X通信を行うことを特徴とする。
【0021】
この構成によると、リーン車両は、リーン車体フレームと一体的に車両左方向または車両右方向に傾斜するように設けられるV2X通信用アンテナを備えたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両である。そのリーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナは、指向性を有する指向性V2X通信用アンテナである。そのため、指向性V2X通信用アンテナの3dBビーム幅を、意図を持って設計することができる。
【0022】
指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していないV2X通信用アンテナを測定した時に、以下の3つの特徴を有するように構成される。なお、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していないV2X通信用アンテナとは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されておらず、V2X通信用アンテナの周囲に何も配置されていないV2X通信用アンテナ単体を意味する。第1の特徴は、(I)リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢においてV2X通信用アンテナを通る水平面である車載水平面の3dBビーム幅が、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢においてV2X通信用アンテナを通り車載水平面に垂直かつ車両前後方向に平行である車載垂直面の3dBビーム幅より大きく構成されることである。第2の特徴は、(II)車載垂直面の3dBビーム幅が、車載水平面よりも車両上方向の車両上領域と車載水平面よりも車両下方向の車両下領域の両方に存在するように構成されることである。第3の特徴は、(III)車載水平面の3dBビーム幅が、車載垂直面よりも車両左方向の車両左領域と車載垂直面よりも車両右方向の車両右領域の両方に存在するように構成されることである。さらに、V2X通信装置は、少なくともリーン車体フレームが車両左方向に傾斜している左旋回中およびリーン車体フレームが車両右方向に傾斜している右旋回中にリーン車体フレームの周囲に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信を行う。
【0023】
例えば、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回により、車両前方向、且つ、車両左方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前左領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態において、リーン車両よりも車両左方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前左領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両前左領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回により、車両前方向、且つ、車両右方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前右領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態において、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両よりも車両右方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前右領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両前右領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0024】
また、例えば、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回により、車両前方向、且つ、車両左方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後左領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態において、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両よりも車両左方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後左領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両後左領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回により、車両前方向、且つ、車両右方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後右領域に存在する他のV2X通信装置と通信する場合が多い。具体的には、直進状態でV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態において、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両よりも車両右方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後右領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両後右領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0025】
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【0026】
(2)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していない前記V2X通信用アンテナを測定した時、前記車載垂直面の3dBビーム幅のうち前記車両上領域に存在する3dBビーム幅が、前記車載垂直面の3dBビーム幅のうち前記車両下領域に存在する3dBビーム幅より大きくなるように構成される。
【0027】
指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していないV2X通信用アンテナを測定した時、車載垂直面の3dBビーム幅のうち車両上領域に存在する3dBビーム幅が、車載垂直面の3dBビーム幅のうち車両下領域に存在する3dBビーム幅より大きくなるように、リーン車体フレームに設けられる。
【0028】
例えば、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両前左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0029】
また、例えば、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両後右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0030】
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0031】
(3)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)または(2)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していない前記V2X通信用アンテナを測定した時の前記車載水平面の3dBビーム幅が、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、左旋回中に前記リーン車体フレームが車両左方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向と車両上下方向がなす角度である左方向最大バンク角、および、右旋回中に前記リーン車体フレームが車両右方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向と車両上下方向がなす角度である右方向最大バンク角を合計した合計最大バンク角より大きくなるように構成される。
【0032】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していないV2X通信用アンテナを測定した時、車載水平面の3dBビーム幅が、合計最大バンク角より大きくなるように構成される。これにより、指向性V2X通信用アンテナの車載水平面の3dBビーム幅を、合計最大バンク角に応じて設計することができる。
【0033】
例えば、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が左方向最大バンク角で左旋回するような左旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、このような左旋回により、車両左方向により大きく移動する。また、直進状態で指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような左旋回状態ではV2X通信用アンテナ搭載リーン車両よりも車両左方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両前左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が右方向最大バンク角で右旋回するような右旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、このような右旋回により、車両右方向により大きく移動する。また、直進状態で指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような右旋回状態ではV2X通信用アンテナ搭載リーン車両よりも車両右方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0034】
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が左方向最大バンク角で左旋回するような左旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回により、車両左方向により大きく移動する。また、直進状態で指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような左旋回状態ではV2X通信用アンテナ搭載リーン車両よりも車両左方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が右方向最大バンク角で右旋回するような右旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、このような右旋回により、車両右方向により大きく移動する。また、直進状態で指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような右旋回状態ではV2X通信用アンテナ搭載リーン車両よりも車両右方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両後右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0035】
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0036】
(4)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(3)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していない前記V2X通信用アンテナを測定した時の前記車載垂直面の3dBビーム幅が、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、前記車載垂直面と左旋回中に前記リーン車体フレームが車両左方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向とがなす角度である左方向最大バンク角、および、前記車載垂直面と右旋回中に前記リーン車体フレームが車両右方向に最大に傾斜している状態の前記リーン車体フレームの上下方向とがなす角度である右方向最大バンク角を合計した合計最大バンク角の半分より大きくなるように構成される。
【0037】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載していないV2X通信用アンテナを測定した時、車載垂直面の3dBビーム幅が、合計最大バンク角の半分より大きくなるように構成される。これにより、指向性V2X通信用アンテナの車載垂直面の3dBビーム幅を、合計最大バンク角に応じて設計することができる。
【0038】
例えば、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両が左方向最大バンク角で左旋回するような左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも左方向最大バンク角だけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両前左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両が右方向最大バンク角で右旋回するような右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも右方向最大バンク角だけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0039】
また、例えば、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両が左方向最大バンク角で左旋回するような左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも左方向最大バンク角だけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両が右方向最大バンク角で右旋回するような右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも右方向最大バンク角だけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両後右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0040】
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0041】
(5)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(4)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端よりも車両後方向に位置するように設けられ、車両の後部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端よりも車両前方向に位置するように設けられる。
【0042】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端よりも車両後方向に位置するように設けられる。また、指向性V2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられる場合、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端よりも車両前方向に位置するように設けられる。
これにより、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端と車両前後方向において同じ位置に設けられる場合と比較して、車両上領域に存在する指向性V2X通信用アンテナの車載垂直面の3dBビーム幅の大きさが大きくなる。
【0043】
指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両前左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、指向性V2X通信用アンテナが前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0044】
また、例えば、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
また、指向性V2X通信用アンテナが後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の右旋回するような右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナも車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナまでの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態において車両後右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0045】
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0046】
(6)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(4)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端と車両前後方向において同じ位置になるように設けられ、車両の後部に設けられる場合、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が前記指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端と車両前後方向において同じ位置になるように設けられる。
【0047】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端と車両前後方向において同じ位置になるように設けられる。また、指向性V2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられる場合、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端と車両前後方向において同じ位置になるように設けられる。
【0048】
指向性V2X通信用アンテナがこのように構成されることにより、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の前部または後部の姿勢が車両上下方向に変化しても、指向性V2X通信用アンテナの車載垂直面の3dBビーム幅が車両上領域と車両下領域の両方に存在する。また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の前部または後部の姿勢が車両上下方向に変化しても、指向性V2X通信用アンテナの車載水平面の3dBビーム幅が車両左領域と車両右領域の両方に存在する。つまり、車両の後部が前部に対して相対的に低くなった場合、または、車両の前部が後部に対して相対的に低くなった場合においても、指向性V2X通信用アンテナの送受信性能の差を抑制することができる。
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【0049】
(7)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(6)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部または車両の後部の少なくともいずれかに設けられる。
【0050】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられてもよい。この場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナは指向性V2X通信用アンテナのみであってよい。指向性V2X通信用アンテナが車両の前部のみに設けられた場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
または、指向性V2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられてもよい。この場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナは指向性V2X通信用アンテナのみであってよい。指向性V2X通信用アンテナが車両の後部のみに設けられた場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
さらに、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部および後部に設けられてもよい。指向性V2X通信用アンテナが車両の前部および後部に設けられた場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他の車両およびリーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【0051】
(8)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(6)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両の前部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の後部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナとを備えるか、または、車両の後部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の前部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナとを備える。
【0052】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられてもよい。そして、無指向性のV2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられる。指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に設けられた場合、指向性V2X通信用アンテナの指向性を、車両の後部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナを考慮して設計することができる。そして、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対しても、無指向性のV2X通信用アンテナにより、V2X通信を行うことができる。
または、指向性V2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられてもよい。そして、無指向性のV2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる。指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に設けられた場合、指向性V2X通信用アンテナの指向性を、車両の前部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナを考慮して設計することができる。そして、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置に対しても、無指向性のV2X通信用アンテナにより、V2X通信を行うことができる。
【0053】
(9)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(6)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両の前部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の後部に設けられ、前記指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性のV2X通信用アンテナとを備えるか、または、車両の後部に設けられた前記指向性V2X通信用アンテナと、車両の前部に設けられ、前記指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性のV2X通信用アンテナとを備える。
【0054】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられてもよい。そして、指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性のV2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられる。車両の前部に設けられた指向性V2X通信用アンテナの指向性は、車両の後部に設けられた指向性のV2X通信用アンテナを考慮して設計することができる。そして、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対しても、車両の後部に設けられた指向性のV2X通信用アンテナにより、V2X通信を行うことができる。
または、指向性V2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられてもよい。そして、指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性のV2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる。車両の後部に設けられた指向性V2X通信用アンテナの指向性は、車両の前部に設けられた指向性のV2X通信用アンテナを考慮して設計することができる。そして、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の車両前方向に存在する他のV2X通信装置に対しても、車両の前部に設けられた指向性のV2X通信用アンテナにより、V2X通信を行うことができる。
【0055】
(10)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(9)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の上部に配置される。
【0056】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の上部に配置される。V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の上部には、アンテナの放射特性に影響を与える金属があまり配置されていない。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0057】
(11)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(10)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、前記リーン車体フレームに支持され、それぞれタイヤとホイールとを有する少なくとも1つの前輪および少なくとも1つの後輪を更に備え、前記指向性V2X通信用アンテナは、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両において、前記ホイールよりも車両上方向に配置される。
【0058】
この構成によると、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、少なくとも1つの前輪および少なくとも1つの後輪を更に備える。少なくとも1つの前輪および少なくとも1つの後輪は、リーン車体フレームに支持され、それぞれタイヤとホイールとを有する。ホイールは、金属で形成されている場合がある。金属は、アンテナの電磁波を反射する。つまり、金属は、アンテナの放射特性に影響を与える。そして、指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両において、ホイールよりも車両上方向に配置される。つまり、指向性V2X通信用アンテナは、その放射特性がホイールによる影響を受けにくい位置に配置される。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0059】
(12)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(11)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、前記リーン車体フレームに支持され、少なくとも2つの前記前輪または少なくとも2つの前記後輪を接続するリンク機構を更に有し、前記指向性V2X通信用アンテナは、前記リーン車体フレームが直立状態および傾斜状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、前記リンク機構よりも前記リーン車体フレームの上方向あるいは前記リーン車体フレームの下方向に配置されるか、または、車両の前部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢での前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両前方向に配置され、車両の後部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢での前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両後方向に配置される。
【0060】
この構成によると、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、リンク機構を更に有する。リンク機構は、リーン車体フレームに支持され、少なくとも2つの前輪を接続する。または、リンク機構は、リーン車体フレームに支持され、少なくとも2つの後輪を接続する。リンク機構は、金属で形成されている場合がある。金属は、アンテナの電磁波を反射する。つまり、リンク機構が金属で形成されている場合は、リンク機構はアンテナの放射特性に影響を与える。指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態および傾斜状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、リンク機構よりもリーン車体フレームの上方向あるいはリーン車体フレームの下方向に配置される。または、指向性V2X通信用アンテナは、以下の2つの位置のいずれかに設けられる。指向性V2X通信用アンテナが車両の前部に設けられる場合は、指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢での車載水平面において、リンク機構よりも車両前方向に配置される。指向性V2X通信用アンテナが車両の後部に設けられる場合は、指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢での車載水平面において、リンク機構よりも車両後方向に配置される。つまり、指向性V2X通信用アンテナは、その放射特性がリンク機構による影響を受けにくい位置に配置される。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0061】
(13)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(12)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離だけ前記リンク機構から離れた位置に配置され、車両の後部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢での前記車載水平面において、前記リンク機構よりも車両後方向であって、前記アンテナ金属間距離だけ前記リンク機構から離れた位置に配置される。
【0062】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合は、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リンク機構よりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離だけリンク機構から離れた位置に配置される。指向性V2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられる場合は、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リンク機構よりも車両後方向であって、アンテナ金属間距離だけリンク機構から離れた位置に配置される。アンテナ金属間距離は、リンク機構が指向性V2X通信用アンテナの放射特性に影響を与えない程度に十分に大きい距離である。アンテナ金属間距離は、例えば、リンク機構が有る場合と無い場合で、指向性V2X通信用アンテナの3dBビーム幅が変化しない距離であってもよい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0063】
(14)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(1)~(11)のいずれか構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の前記車載水平面において、前記リーン車体フレームよりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離だけ前記リーン車体フレームから離れた位置に配置され、車両の後部に設けられる場合は、前記リーン車体フレームが直立状態の前記V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の前記車載水平面において、前記リーン車体フレームよりも車両後方向であって、前記アンテナ金属間距離だけ前記リーン車体フレームから離れた位置に配置される。
【0064】
この構成によると、指向性V2X通信用アンテナは、車両の前部に設けられる場合は、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リーン車体フレームよりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離だけリーン車体フレームから離れた位置に配置される。指向性V2X通信用アンテナは、車両の後部に設けられる場合は、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リーン車体フレームよりも車両後方向であって、アンテナ金属間距離だけリーン車体フレームから離れた位置に配置される。アンテナ金属間距離は、リーン車体フレームが指向性V2X通信用アンテナの放射特性に影響を与えない程度に十分に大きい距離である。アンテナ金属間距離は、例えば、リーン車体フレームが有る場合と無い場合で、指向性V2X通信用アンテナの3dBビーム幅が変化しない距離であってもよい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0065】
(15)本発明の他の観点によれば、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記(13)または(14)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記アンテナ金属間距離は、前記指向性V2X通信用アンテナが送受信可能な電磁波の波長の少なくとも2倍の距離である。
【0066】
この構成によると、アンテナ金属間距離は、指向性V2X通信用アンテナが送受信可能な電磁波の波長の少なくとも2倍の距離である。それにより、指向性V2X通信用アンテナとリーン車体フレームとの間に、リンク機構やリーン車体フレームが指向性V2X通信用アンテナの放射特性に影響を与えない程度に十分に大きい距離を確保することができる。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0067】
<V2X通信の定義>
本発明においてV2X通信とは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載される通信装置と他の通信装置との間で情報をやりとりする通信を意味する。例えば、V2X通信は、車車間通信(Vehicle to Vehicle communication)、路車間通信(Vehicle to Infrastructure communication)、歩車間通信(Vehicle to Pedestrian communication)などがある。車車間通信は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されるV2X通信装置と他の車両に搭載された他のV2X通信装置との間で通信を行う。路車間通信は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されるV2X通信装置と路上に設置された他のV2X通信装置との間で通信を行う。歩車間通信は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されるV2X通信装置と歩行者が保持するV2X通信装置との間で通信を行う。なお、本発明において、V2X通信にGNSSは含まない。
【0068】
<3dBビーム幅の定義>
本発明において3dBビーム幅とは、本発明の指向性V2X通信用アンテナから放射される電磁波の放射強度が最大利得となる方向を含み、電磁波の放射強度が最大利得から3dB低くなる2つの方向の間の角度を示す。つまり、3dBビーム幅の大きさは、角度で表される。また、ある領域に3dBビーム幅が存在するとは、3dBビーム幅に含まれる少なくとも一部の方向がある領域に存在することを意味する。
【0069】
<アンテナの放射特性の定義>
本発明において、アンテナの放射特性とは、放射パターンおよび受信感度の両方を含む。つまり、本発明において、アンテナの放射特性は、送信性能と受信性能の両方である送受信性能を含む。
【0070】
<アンテナの指向性および無指向性の定義>
本発明において、無指向性のアンテナとは、指向性を有さないアンテナであって、アンテナを通るある平面でアンテナを中心とした全方向にほぼ均一の放射強度を有するアンテナである。また、指向性のアンテナとは、指向性を有するアンテナであって、アンテナを通るいずれの平面においてもアンテナを中心とした全方向に均一でなく、アンテナを中心としたある特定の方向に強い放射強度を有するアンテナである。
【0071】
<リーン車体フレームの定義>
本発明において、リーン車体フレームとは、車両において応力を主に受ける部材である。リーン車体フレームは、複数の部品を組み合わせたものであってもよく、一体成型されていてもよい。リーン車体フレームの少なくとも一部は、板材で応力を受けるモノコック構造であってもよい。モノコック構造は、フレームレス構造とも呼ばれる。また、本発明において、リーン車体フレームが車両右方向に傾斜するとは、車両上下方向に対してリーン車体フレームが車両右方向に傾斜することをいう。リーン車体フレームが車両右方向に傾斜するとは、車両の接地位置に対してリーン車体フレームが車両右方向に傾斜することをいう。つまり、リーン車体フレームの下部に対してリーン車体フレームの上部が車両右方向に移動することをいう。
【0072】
<最大バンク角の定義>
本発明において、左方向最大バンク角は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、左旋回中にリーン車体フレームが車両左方向に最大に傾斜している状態のリーン車体フレームの上下方向と車両上下方向がなす角度である。右方向最大バンク角は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、右旋回中にリーン車体フレームが車両右方向に最大に傾斜している状態のリーン車体フレームの上下方向と車両上下方向がなす角度である。合計最大バンク角は、左方向最大バンク角および右方向最大バンク角を合計した角度である。ここで、左旋回中にリーン車体フレームが車両左方向に最大に傾斜している状態とは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が左旋回中に車両左方向に最も傾斜することが可能な状態のことを意味する。右旋回中にリーン車体フレームが車両右方向に最大に傾斜している状態とは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が右旋回中に車両右方向に最も傾斜することが可能な状態のことを意味する。具体的には、最大バンク角とは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両にライダーが乗車しておらず、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両が走行していない状態で、直立状態から左方向または右方向に傾斜させていったときに最初に車輪以外の車両の部材と車両が接地する水平な路面とが接触するときの、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両前方向または車両後方向に見て、リーン車体フレームの上下方向と車両上下方向とがなす角度のことを意味する。なお、本発明において、車両上下方向は、車両が接地する水平な路面に直交する方向である。
【0073】
<車両上下方向、車両左右方向、車両前後方向の定義>
本発明において、車両上下方向とは、車両が接地する水平な路面に直交する方向である。車両左右方向とは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されるリーン車体フレームの幅方向中央を通る平面に直交する方向である。車両前後方向とは、車両上下方向および車両左右方向の両方に直交する方向である。なお、リーン車体フレームが直立状態とは、リーン車体フレームの幅方向の中央を通る平面が車両が接地する水平な路面に垂直である状態である。
【0074】
<車両の前部および後部の定義、車両の上部および下部の定義>
本発明において、車両の前部とは、車両前後方向における車両の中央の位置よりも車両前方向にある部分のことを意味する。車両の後部とは、車両前後方向における車両の中央の位置よりも車両後方向にある部分のことを意味する。また、車両の上部とは、車両上下方向における車両の中央の位置よりも車両上方向にある部分のことを意味する。車両の下部とは車両上下方向における車両の中央の位置よりも車両下方向にある部分のことを意味する。
【0075】
<その他の定義>
本発明において、ある部品の端部とは、部品の端とその近傍部とを合わせた部分を意味する。
【0076】
本発明において、A方向に沿った方向とは、A方向と平行な方向に限らない。A方向に沿った方向とは、A方向に対して-45°以上+45°以下の範囲内で傾斜している直線を含む。同様の定義が、「沿った」を用いた他の表現にも適用される。「沿った」を用いた他の表現とは、例えば、「A方向に沿った方向」や、「複数のBがA方向に沿って配列される」や、「1つのBがA方向に沿っている」等である。なお、A方向は、特定の方向を指すものではない。A方向を、水平方向や前後方向に置き換えることができる。
【0077】
本明細書において、AがBよりも前方向に配置されるとは、以下の状態を指す。Aは、Bの最前端を通り前後方向に直交する平面の前方向に配置される。この場合、AとBは、前後方向に沿って並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。この定義は、「AがBよりも後方向に配置される」、「AがBよりも右方向に配置される」、「AがBより左方向に配置される」、「AがBより上方向に配置される」、「AがBよりも下方向に配置される」という表現にも適用される。
【0078】
本発明において、X方向に並ぶAとBとは、以下の状態を示す。X方向に垂直な方向にAとBを見たときに、AとBの両方がX方向を示す任意の直線上に配置されている状態である。本発明において、Y方向に見てX方向に並ぶAとBとは、以下の状態を示す。Y方向にAとBを見たときに、AとBの両方がX方向を示す任意の直線上に配置されている状態である。この場合、Y方向とは異なるW方向にAとBを見ると、AとBのいずれか一方がX方向を示す任意の直線上に配置されていない状態であってもよい。尚、AとBが接触していてもよい。AとBが離れていてもよい。AとBの間にCが存在していてもよい。
【0079】
本明細書において、AがBの前方向に配置されるとは、以下の状態を指す。AとBが前後方向に並んでおり、且つ、AのBと対向する部分が、Bより前方向に配置される。この定義において、Bの前面のうちAと対向する部分が、Bの最前端の場合には、AはBよりも前方向に配置される。この定義において、Bの前面のうちAと対向する部分が、Bの最前端ではない場合には、AはBよりも前方向に配置されてもよく、されなくてもよい。この定義は、前後方向以外の方向の左右方向および上下方向にも適用される。尚、Bの前面とは、Bを前方から見た時に見える面のことである。Bの形状によっては、Bの前面とは、連続した1つの面ではなく、複数の面で構成される場合がある。
【0080】
本明細書において、左方向または右方向に見て、AがBの前方向に配置されるとは、以下の状態を指す。左方向または右方向に見て、AとBが前後方向に並んでおり、且つ、左方向または右方向に見て、AのBと対向する部分が、Bより前方向に配置される。この定義において、AとBは、3次元では、前後方向に並んでいなくてもよい。この定義は、「AがBの後方向に配置される」、「AがBの右方向に配置される」、「AがBの左方向に配置される」、「AがBの上方向に配置される」、「AがBの下方向に配置される」という表現にも適用される。
【0081】
本発明において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)およびこれらの派生語は、列挙されたアイテムおよびその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。取り付けられた(mounted)、接続された(connected)および結合された(coupled)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続および結合だけでなく、間接的な取付、接続および結合も含む。更に、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的または機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
【0082】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0083】
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。
【0084】
請求の範囲において、ある構成要素の数を明確に特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される場合、本発明は、この構成要素を、複数有していてもよい。また本発明は、この構成要素を1つだけ有していてもよい。
【0085】
本発明では、上述した他の観点による構成を互いに組み合わせることを制限しない。
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態でも可能であり、様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する変形例を適宜組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0086】
本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】本発明の第1の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を模式的に示す図であり、(a)はリーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両下方向に見た平面図であり、(b)はリーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を車両右方向に見た側面図である。
図2】直進状態の指向性V2X通信用アンテナを搭載した車両およびその周囲に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両を模式的に示す図であり、(a)は車両下方向に見た平面図である。(b)は指向性V2X通信用アンテナを搭載した車両が第1の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両である場合に、車両前方向に見た正面図である。(c)は指向性V2X通信用アンテナを搭載した車両が第1の実施形態の指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性V2X通信用アンテナを搭載したリーン車両である場合に、車両前方向に見た正面図である。
図3】右旋回状態の指向性V2X通信用アンテナを搭載した車両およびその周囲に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両を模式的に示す図であり、(a)は車両下方向に見た平面図である。(b)は指向性V2X通信用アンテナを搭載した車両が第1の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両である場合に、車両前方向に見た正面図である。(c)は指向性V2X通信用アンテナを搭載した車両が第1の実施形態の指向性V2X通信用アンテナとは異なる放射特性を有する指向性V2X通信用アンテナを搭載したリーン車両である場合に、車両前方向に見た正面図である。
図4】本発明の第2の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を模式的に示す図であり、車両右方向に見た側面図である。
図5】本発明の第2の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を模式的に示す図であり、車両後方向に見た側面図である。
図6】本発明の第2の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の指向性V2X通信用アンテナを模式的に示す図であり、車両右方向に見た一部側面図である。
図7】本発明の第2の実施形態の変形例のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両の指向性V2X通信用アンテナを模式的に示す図であり、車両右方向に見た一部側面図である。
図8】本発明の実施形態の具体例1の自動二輪車を車両右方向に見た側面図である。
図9】具体例1の自動二輪車を車両下方向に見た平面図である。
図10】具体例1の自動二輪車を車両後方向に見た正面図である。
図11】具体例1の自動二輪車を車両前方向に見た背面図である。
図12】具体例1の自動二輪車に搭載される指向性V2X通信用アンテナの一例を示す斜視図である。
図13図7の自動二輪車に搭載される指向性V2X通信用アンテナの放射パターンの一例を示す図であり、(a)は車載水平面の放射パターンを示し、(b)は車載垂直面の放射パターンを示し、(c)は斜視図である。
図14】本発明の実施形態の具体例2の自動三輪車を車両右方向に見た側面図である。
図15】具体例2の自動三輪車を車両後方向に見た正面図である。
図16】具体例2の自動三輪車の前部を車両下方向に見た平面図である。
図17】左旋回状態の具体例2の自動三輪車の前部を車両後方向に見た正面図である。
図18】V2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載される指向性V2X通信用アンテナの変形例を示す斜視図である。
図19図18で示す指向性V2X通信用アンテナの金属板の大きさを変化させた場合の第1例を示す図であり、(a)は指向性V2X通信用アンテナの構成を示す図、(b)は車載水平面の放射パターンを示す図、および、(c)は放射パターンの斜視図を示す図である。
図20図18で示す指向性V2X通信用アンテナの金属板の大きさを変化させた場合の第2例を示す図であり、(a)は指向性V2X通信用アンテナの構成を示す図、(b)は車載水平面の放射パターンを示す図、および、(c)は放射パターンの斜視図を示す図である。
図21図18で示す指向性V2X通信用アンテナの金属板の大きさを変化させた場合の第3例を示す図であり、(a)は指向性V2X通信用アンテナの構成を示す図、(b)は車載水平面の放射パターンを示す図、および、(c)は放射パターンの斜視図を示す図である。
図22図18で示す指向性V2X通信用アンテナの金属板の大きさを変化させた場合の第4例を示す図であり、(a)は指向性V2X通信用アンテナの構成を示す図、(b)は車載水平面の放射パターンを示す図、および、(c)は放射パターンの斜視図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1について、図1の模式図を参照しつつ説明する。図1に示す矢印Uと矢印Dは、車両上下方向の車両上方向と車両下方向をそれぞれ表している。また、図1に示す矢印Fと矢印Bは、車両前後方向の車両前方向と車両後方向をそれぞれ表している。また、図1に示す矢印Lと矢印Rは、車両左右方向の車両左方向と車両右方向をそれぞれ表している。図1(a)は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両下方向に見た模式図である。図1(b)は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を、車両右方向に見た模式図である。
【0089】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、リーン車体フレーム7と、V2X通信装置30と、V2X通信用アンテナ31と、を備える。リーン車体フレーム7は、左旋回中に車両左方向に傾斜し、右旋回中に車両右方向に傾斜する。V2X通信装置30は、リーン車体フレーム7の周囲に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信に用いられる。つまり、V2X通信装置30は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の周囲に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信に用いられる。V2X通信用アンテナ31は、V2X通信装置30に電気的に接続される。V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7と一体的に車両左方向または車両右方向に傾斜するように設けられる。V2X通信用アンテナ31は、車両1の前部に設けられている。V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、図1に二点鎖線で示すV2X通信用アンテナ32を備えてもよい。V2X通信用アンテナ32は、車両1の後部に設けられている。
【0090】
V2X通信用アンテナ31は、指向性を有する指向性V2X通信用アンテナである。指向性V2X通信用アンテナ31の通信可能距離は、例えば、100~500mである。指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、下記3つの特徴(I)~(III)を有するように構成される。なお、リーン車体フレーム7が直立状態とは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が直立状態と同じである。つまり、直立状態のリーン車体フレーム7とは、リーン車体フレーム7の幅方向の中央を通る平面が、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する水平な路面に垂直である状態のリーン車体フレーム7である。なお、車両1の後部に設けられるV2X通信用アンテナ32も、指向性を有するV2X通信用アンテナ32である。指向性V2X通信用アンテナ32も、指向性V2X通信用アンテナ31と同様に構成される。
【0091】
指向性V2X通信用アンテナ31の1つ目の特徴(I)は、指向性V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephが、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvより大きくなるように、指向性V2X通信用アンテナ31が構成されることである。ここで、車載水平面Pahとは、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の指向性V2X通信用アンテナ31の姿勢において、指向性V2X通信用アンテナ31を通る水平面である。また、車載垂直面Pavとは、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の指向性V2X通信用アンテナ31の姿勢において、指向性V2X通信用アンテナ31を通り車載水平面Pahに垂直かつ車両前後方向(FB方向)に平行な面である。ここで、図1(a)に示すように、車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephの角度はα[°]である。車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephは、車載水平面Pahにおいて、指向性V2X通信用アンテナ31から放射される電磁波の放射強度が最大利得となる方向を含み、電磁波の放射強度が最大利得から3dB低くなる2つの方向の間の角度を示す。図1(b)に示すように、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvの角度はβ[°]である。車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvは、車載垂直面Pavにおいて、指向性V2X通信用アンテナ31から放射される電磁波の放射強度が最大利得となる方向を含み、電磁波の放射強度が最大利得から3dB低くなる2つの方向の間の角度を示す。つまり、α>βとなるように、V2X通信用アンテナ31が構成される。なお、αおよびβは、α>βを満たせば、どのような値であってもよい。αは、例えば、90°と同じかそれより大きい値、100°と同じかそれより大きい値、110°と同じかそれより大きい値、120°と同じかそれより大きい値、130°と同じかそれより大きい値、140°と同じかそれより大きい値、150°と同じかそれより大きい値、160°と同じかそれより大きい値、170°と同じかそれより大きい値、180°と同じかそれより大きい値、190°と同じかそれより大きい値、200°と同じかそれより大きい値、210°と同じかそれより大きい値、220°と同じかそれより大きい値、230°と同じかそれより大きい値、240°と同じかそれより大きい値である。βは、例えば、110°と同じかそれより小さい値、100°と同じかそれより小さい値、90°と同じかそれより小さい値、80°と同じかそれより小さい値、70°と同じかそれより小さい値、60°と同じかそれより小さい値である。
【0092】
指向性V2X通信用アンテナ31の2つ目の特徴(II)は、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvが、車両上領域Auと車両下領域Adの両方に存在するように、指向性V2X通信用アンテナ31が構成されることである。車両上領域Auは、車載水平面Pahよりも車両上方向(U方向)の領域である。車両下領域Adは、車載水平面Pahよりも車両下方向(D方向)の領域である。
【0093】
指向性V2X通信用アンテナ31の3つ目の特徴(III)は、車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephが車両左領域Alと車両右領域Arの両方に存在するように、指向性V2X通信用アンテナ31が構成されることである。車両左領域Alは、車載垂直面Pavよりも車両左方向(L方向)の領域である。車両右領域Arは、車載垂直面Pavよりも車両右方向(R方向)の領域である。
【0094】
なお、指向性V2X通信用アンテナ31は、車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephについて、車両左領域Alに存在する3dBビーム幅と車両右領域Arに存在する3dBビーム幅との差が10°以下となるよう構成されることが好ましい。
【0095】
車両1の後部に設けられるV2X通信用アンテナ32も、V2X通信用アンテナ31と同様に構成される。つまり、V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していないV2X通信用アンテナ32を測定した時、上記3つの特徴(I)~(III)を有するように構成される。
【0096】
V2X通信装置30は、少なくともリーン車体フレーム7が車両左方向に傾斜している左旋回中およびリーン車体フレーム7が車両右方向に傾斜している右旋回中にV2X通信を行う。V2X通信装置30は、リーン車体フレーム7が直立状態のときもV2X通信を行う。
【0097】
第1の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、このような構成を有するため、以下の効果を奏する。
【0098】
第1の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、リーン車体フレームと一体的に車両左方向または車両右方向に傾斜するように設けられるV2X通信用アンテナ31またはV2X通信用アンテナ32を備える。そのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載されるV2X通信用アンテナ31、32は、指向性を有する指向性V2X通信用アンテナ31、32である。そのため、指向性V2X通信用アンテナ31、32の3dBビーム幅を、意図を持って設計することができる。そして、指向性V2X通信用アンテナ31、32は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31、32を測定した時に、上記3つの特徴(I)~(III)を有するように構成される。
【0099】
ここで、指向性V2X通信用アンテナ31がこのような構成を有することにより得られる効果を図2の具体例を用いて説明する。図2において、リーン車両1は、第1の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両である。また、車両501は、第1の実施形態に係るV2X通信用アンテナ31とは異なる放射特性を有するV2X通信用アンテナが車両501の前部に搭載されたリーン車両である。また、車両502は、リーン車両1,501の周囲に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両である。なお、車両502に搭載した他のV2X通信装置は図示していない。また、道路510は直線の道路であり、道路511は車両右方向にカーブする道路である。つまり、車両は、道路510では直進状態で走行し、道路511では右旋回状態で走行する。
【0100】
図2(a)に示すように、直進状態でリーン車両1,501の前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両502は、図3(a)に示すように、右旋回状態において、リーン車両1,501よりも車両右方向に移動して、リーン車両1,501の車両前右領域Afrに存在する。ここで、車両前左領域Aflは、車両左領域Al内の領域であって、且つ、リーン車両1,501よりも車両前方向(F方向)の領域である。また、車両前右領域Afrは、車両右領域Ar内の領域であって、且つ、リーン車両1,501よりも車両前方向(F方向)の領域である。図2(b)は、直進状態での第1の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の3dBビーム幅Ep1を示している。また、図2(c)は、直進状態でのリーン車両501の3dBビーム幅Ep0を示している。また、図3(b)は、右旋回状態での第1の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の3dBビーム幅Ep1を示している。また、図3(c)は、右旋回状態でのリーン車両501の3dBビーム幅Ep0を示している。
【0101】
図2(b)および図3(b)に示すように、第1の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の3dBビーム幅Ep1は、車両前右領域Afrに比較的広い放射特性を持つ。そのため、第1の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、直進状態および右旋回状態のいずれの状態でも、他のV2X通信装置を搭載した車両502がその3dBビーム幅Ep1に含まれる。
【0102】
一方、図2(c)および図3(c)に示すように、第1の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31とは異なる放射特性を有するV2X通信用アンテナが車両501の前部に搭載されたリーン車両501の3dBビーム幅Ep0は、車両前右領域Afrに比較的狭い放射特性を持つ。そのため、第1の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31とは異なる放射特性を有するV2X通信用アンテナが車両501の前部に搭載されたリーン車両501は、直進状態で他のV2X通信装置を搭載した車両502がその3dBビーム幅Ep0に含まれるが、右旋回状態で他のV2X通信装置を搭載した車両502がその3dBビーム幅Ep0に含まれない。
【0103】
つまり、リーン車両指向性V2X通信用アンテナ31がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたリーン車両1は、右旋回状態において車両前右領域Afrに十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両前右領域Afrに存在する他のV2X通信装置を搭載した車両502とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0104】
また、同様に、直進状態でV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態において、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1よりも車両左方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前左領域に存在する場合が多い。第1の実施形態の指向性V2X通信用アンテナ31がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両前左領域Aflに十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両前左領域Aflに存在する他のV2X通信装置を搭載した車両とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0105】
また、同様に、直進状態でV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、左旋回状態において、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1よりも車両左方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後左領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナ32がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両後左領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0106】
また、同様に、直進状態でV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、右旋回状態において、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1よりも車両右方向に移動して、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後右領域に存在する場合が多い。指向性V2X通信用アンテナ32がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両後右領域に十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することを抑制できる。
【0107】
以上により、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ31、32の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【0108】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1について、図4図6の模式図を参照しつつ説明する。第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、第1の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の構成を全て含んでいる。
【0109】
第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が有する指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、第1の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31の上記特徴(I)~(III)に加えて、次の3つの特徴(IV)(V)(VI)を更に有する。なお、第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、車両1の後部に設けられるV2X通信用アンテナ32を備えていてもよい。V2X通信用アンテナ32も、車両1の前部に設けられるV2X通信用アンテナ31と同様に構成される。
【0110】
指向性V2X通信用アンテナ31が更に有する1つ目の特徴(IV)は、下記の通りである。指向性V2X通信用アンテナ31は、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvのうち車両上領域Auに存在する3dBビーム幅が、車載垂直面Pavの3dBビーム幅のうち車両下領域Adに存在する3dBビーム幅より大きくなるように構成される。図4に示すように、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvの大きさは、β[°]である。車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvのうち車両上領域Auに存在する3dBビーム幅の大きさは、βu[°]である。車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvのうち車両下領域Adに存在する3dBビーム幅の大きさは、βd[°]である。つまり、β=βu+βdである。そして、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、βu>βdとなるように構成される。
【0111】
指向性V2X通信用アンテナ31が更に有する2つ目の特徴(V)は、下記の通りである。指向性V2X通信用アンテナ31は、車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephが、左方向最大バンク角および右方向最大バンク角を合計した合計最大バンク角より大きくなるように構成される。図1(a)に示すように、車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephの大きさは、α[°]である。図5(a)に示すように、左方向最大バンク角γl[°]は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両前方向または車両後方向に見て、左旋回中にリーン車体フレーム7が車両左方向に最大に傾斜している状態のリーン車体フレーム7の上下方向と車両上下方向がなす角度である。図5(b)に示すように、右方向最大バンク角γr[°]は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両前方向または車両後方向に見て、右旋回中にリーン車体フレーム7が車両右方向に最大に傾斜している状態のリーン車体フレーム7の上下方向と車両上下方向がなす角度である。左方向最大バンク角γlおよび右方向最大バンク角γrは、車両の種類によって異なる値である。左方向最大バンク角γlおよび右方向最大バンク角γrは、それぞれ、例えば、40°である。ここで、左旋回中にリーン車体フレーム7が車両左方向に最大に傾斜している状態とは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が左旋回中に車両左方向に最も傾斜することが可能な状態のことを意味する。また、右旋回中にリーン車体フレーム7が車両右方向に最大に傾斜している状態とは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が右旋回中に車両右方向に最も傾斜することが可能な状態のことを意味する。つまり、合計最大バンク角は、γl+γr=γ[°]である。指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、α>γとなるように構成される。
【0112】
指向性V2X通信用アンテナ31が更に有する3つ目の特徴(VI)は、下記の通りである。指向性V2X通信用アンテナ31は、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvが、左方向最大バンク角および右方向最大バンク角を合計した合計最大バンク角の半分より大きくなるように構成される。図1(b)に示すように、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvの大きさは、β[°]である。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、β>γ/2となるように構成される。
【0113】
さらに、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31は、図6に示すように、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の上端31uが指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の下端31dよりも車両後方向に位置するように構成される。図6において、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板は、模式的に示されている。なお、車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ32を構成する基板の上端32uが指向性V2X通信用アンテナ32を構成する基板の下端32dよりも車両前方向に位置するように構成される。なお、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31の上端31uおよび下端31dを通る直線と、車両上下方向とがなす角度は、90°(より好ましくは45°)より小さければ、どのような値であってもよい。
【0114】
第2の実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、このような構成を有するため、第1実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0115】
第2の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvのうち車両上領域Auに存在する3dBビーム幅の大きさβuが、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvのうち車両下領域Adに存在する3dBビーム幅の大きさβdより大きくなるように、構成される。つまり、第2の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31は、特徴(IV)を更に有する。なお、車両1の後部に設けられるV2X通信用アンテナ32も、車両1の前部に設けられるV2X通信用アンテナ31と同様に構成される。
【0116】
ここで、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ31も車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ31までの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前左領域Aflのうちの車両上領域Auに放射される指向性V2X通信用アンテナの電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ31が上記特徴(IV)を更に有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両前左領域Aflにより十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両前左領域Aflに存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0117】
また、指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ31も車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ31までの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前右領域Afrのうちの車両上領域Auに放射される指向性V2X通信用アンテナ31の電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ31が上記特徴(IV)を更に有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された車間通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両前右領域Afrにより十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両前右領域Afrに存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0118】
また、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ32も車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ32までの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後左領域のうちの車両上領域Auに放射される指向性V2X通信用アンテナ32の電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ32が上記特徴(IV)を更に有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0119】
また、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ32も車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ32までの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後右領域のうちの車両上領域Auに放射される指向性V2X通信用アンテナ32の電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ32が上記特徴(IV)を更に有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0120】
第2の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephの大きさαが、合計最大バンク角γより大きくなるように構成される。つまり、第2の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31は、特徴(V)を更に有する。これにより、指向性V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephの大きさαを、合計最大バンク角γに応じて設計することができる。なお、車両の後部に設けられるV2X通信用アンテナ32も、車両の前部に設けられるV2X通信用アンテナ31と同様に構成される。
【0121】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が左方向最大バンク角で左旋回するような左旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、直進状態で指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような左旋回状態ではV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1よりも車両左方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナ31が上記特徴(V)を更に有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両前左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0122】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が右方向最大バンク角で右旋回するような右旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、直進状態で指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の前方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような右旋回状態ではリーン車両よりも車両右方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナ31が上記特徴(V)を更に有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0123】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が左方向最大バンク角で左旋回するような左旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、このような左旋回により、車両左方向により大きく移動する。また、直進状態で指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような左旋回状態ではV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1よりも車両左方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナ32が上記特徴(V)を更に有するように構成されることにより指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0124】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が右方向最大バンク角で右旋回するような右旋回状態では旋回半径が小さい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、このような右旋回により、車両右方向により大きく移動する。また、直進状態で指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の後方向に存在する他のV2X通信装置を搭載した車両は、このような右旋回状態ではV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1よりも車両右方向に大きく移動する。指向性V2X通信用アンテナ32が上記特徴(V)を更に有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両後右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0125】
第2の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvの大きさβが、合計最大バンク角γの半分より大きくなるように構成される。つまり、第2の実施形態に係る指向性V2X通信用アンテナ31は、特徴(VI)を更に有する。これにより、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvの大きさβを、合計最大バンク角γに応じて設計することができる。なお、車両1の後部に設けられるV2X通信用アンテナ32も、車両1の前部に設けられるV2X通信用アンテナ31と同様に構成される。
【0126】
指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が左方向最大バンク角γlで左旋回するような左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ31も左方向最大バンク角γlだけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ31までの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ31の電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ31が上記特徴(VI)を有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両前左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0127】
指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が右方向最大バンク角γrで右旋回するような右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ31も右方向最大バンク角γrだけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ31までの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ31の電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ31が上記特徴(VI)を有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0128】
また、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が左方向最大バンク角γlで左旋回するような左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ32も左方向最大バンク角γlだけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ32までの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ32の電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ32が上記特徴(VI)を有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0129】
また、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が右方向最大バンク角γrで右旋回するような右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ32も右方向最大バンク角γrだけ傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ32までの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ32の電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ32が上記特徴(VI)を有するように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両後右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0130】
以上により、第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、上記(IV)、(V)、(VI)の特徴を有することにより、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0131】
なお、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、上記特徴(IV)、(V)、(VI)の少なくともいずれか1つ以上を有するものであってもよい。
【0132】
また、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の上端31uが指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の下端31dよりも車両後方向に位置するように、車両1の前部に設けられる。これにより、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の上端31uが指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の下端31dと車両前後方向において同じ位置に設けられる場合と比較して、車両上領域に存在する指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面の3dBビーム幅の大きさが大きくなる。
また、指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ32を構成する基板の上端32uが指向性V2X通信用アンテナ32を構成する基板の下端32dよりも車両前方向に位置するように車両1の後部に設けられる。これにより、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ32を構成する基板の上端32uが指向性V2X通信用アンテナ32を構成する基板の下端32dと車両前後方向において同じ位置に設けられる場合と比較して、車両上領域に存在する指向性V2X通信用アンテナ32の車載垂直面の3dBビーム幅の大きさが大きくなる。
【0133】
指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ31も車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ31までの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ31の電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ31がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両前左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両前左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0134】
また、指向性V2X通信用アンテナ31が前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ31も車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ31までの高さは、右旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ31の電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ31がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態において車両前右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ31が車両1の前部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両前右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0135】
また、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の左旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ32も車両左方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ32までの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後左領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ32の電磁波が、左旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ32がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態において車両後左領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、左旋回状態における車両後左領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0136】
また、指向性V2X通信用アンテナ32が後部に搭載されたV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の右旋回状態では、指向性V2X通信用アンテナ32も車両右方向に傾斜する。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1が接地する路面から指向性V2X通信用アンテナ32までの高さは、左旋回状態では直進状態と比較して低くなる。つまり、直進状態でのV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後右領域のうちの車両上領域に放射される指向性V2X通信用アンテナ32の電磁波が、右旋回状態では路面により近い位置に放射される。指向性V2X通信用アンテナ32がこのように構成されることにより、指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載されたリーン車両は、右旋回状態において車両後右領域により十分な放射特性を得ることができる。従って、このように構成された指向性V2X通信用アンテナ32が車両1の後部に搭載された場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、右旋回状態における車両後右領域に存在する他のV2X通信装置とのV2X通信の送受信性能が直進状態と比較して低下することをより抑制できる。
【0137】
<第2実施形態の変形例>
次に、本発明の第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の変形例について、図7の模式図を参照しつつ説明する。第2の実施形態の変更例に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1Aは、第1の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の構成を全て含んでいる。V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1Aの指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aは、第2の実施形態の指向性V2X通信用アンテナ31、32と比較して、指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aを構成する基板の上端と下端の配置される位置が異なる。それ以外の点は、指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aは、第2の実施形態の指向性V2X通信用アンテナ31、32と同じ構成である。図7において、指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aを構成する基板は、模式的に示されている。
【0138】
図7に示すように、車両1Aの前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1Aを車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31Aを構成する基板の上端31Auと指向性V2X通信用アンテナ31Aを構成する基板の下端31Adとが車両前後方向において同じ位置に設けられる。なお、車両1Aの後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32Aは、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1Aを車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ32Aを構成する基板の上端32Auと指向性V2X通信用アンテナ32Aを構成する基板の下端32Adとが車両前後方向において同じ位置に設けられる。
【0139】
指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aがこのように構成されることにより、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1Aの前部または後部の姿勢が車両上下方向に変化しても、指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aの車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvが車両上領域Auと車両下領域Adの両方に存在する。また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1Aの前部または後部の姿勢が車両上下方向に変化しても、指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aの車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephが車両左領域Alと車両右領域Arの両方に存在する。つまり、車両1Aの後部が前部に対して相対的に低くなった場合、または、車両1Aの前部が後部に対して相対的に低くなった場合においても、指向性V2X通信用アンテナ31A、32Aの送受信性能の差を抑制することができる。
【0140】
以上により、第2の実施形態の変形例に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1Aは、V2X通信用アンテナ31A、32Aの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両1Aの直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【0141】
<第1および第2実施形態の具体例1>
次に、本発明の第1および第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の具体例1について、図8~11の模式図を参照しつつ説明する。具体例1では、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を自動二輪車1に適用した例について説明する。以下の説明において、上述した車両前後方向、車両左右方向、車両上下方向とは、それぞれ自動二輪車1の後述するシート8に着座した運転者33から見た前後方向、左右方向、上下方向を意味するものとする。
【0142】
(自動二輪車1の構成)
図8は、具体例1の自動二輪車1の側面図である。図9は、具体例1の自動二輪車1の平面図である。図10は、具体例1の自動二輪車1の正面図である。図11は、具体例1の自動二輪車1の背面図である。尚、図8図11は、水平な路面に直立した状態で配置された自動二輪車1を示している。
【0143】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、リーン車体フレーム7と、V2X通信装置30と、V2X通信用アンテナ31と、V2X通信用アンテナ32とを備える。車両1は、リーン車体フレーム7を車両上下方向に対して車両左右方向に傾斜させて旋回する。リーン車体フレーム7は、右旋回時に車両右方向に傾斜し、左旋回時に車両左方向に傾斜する。図8図11において、矢印FFは、リーン車体フレーム7の前方向を示している。矢印FBは、リーン車体フレーム7の後方向を示している。矢印FUは、リーン車体フレーム7の上方向を示している。矢印FDは、リーン車体フレーム7の下方向を示している。矢印FRは、リーン車体フレーム7の右方向を示している。矢印FLは、リーン車体フレーム7の左方向を示している。図8図11において、リーン車体フレーム7の上下方向(UFDF方向)とは、リーン車体フレーム7のヘッドパイプ4の軸方向に平行な方向である。リーン車体フレーム7の左右方向(LFRF方向)とは、リーン車体フレーム7の幅方向中央を通る平面に直交する方向である。リーン車体フレーム7の前後方向(FFBF方向)とは、リーン車体フレーム7の上下方向(UFDF方向)とリーン車体フレーム7の左右方向(LFRF方向)の両方に直交する方向である。尚、図8図11において、自動二輪車1は、水平な路面に直立した状態で配置されている。つまり、図8図11は、リーン車体フレーム7が直立状態の自動二輪車1を示している。そのため、図8図11において、自動二輪車1の車両左右方向とリーン車体フレーム7の左右方向とは一致する。
【0144】
具体例1の自動二輪車1は、いわゆるツアラー型の自動二輪車1である。図8に示すように、自動二輪車1は、リーン車体フレーム7を備えている。リーン車体フレーム7は、金属製である。リーン車体フレーム7の前部には、ヘッドパイプ4が設けられている。ヘッドパイプ4にはステアリングシャフト4a(図9参照)が回転可能に挿入されている。ヘッドパイプ4およびステアリングシャフト4aは、金属製である。ステアリングシャフト4aの車両上下方向の上部には、ハンドル部(ステアリングホイール部)40が設けられている。
【0145】
自動二輪車1は、1つの前輪2aを含む前輪部2を備えている。自動二輪車1は、1つの後輪3aを含む後輪部3を備えている。前輪部2は、車両前後方向において自動二輪車1の前部に配置される。また、前輪部2は、後述するシート8よりも車両前方向に配置される。後輪部3は、車両前後方向において自動二輪車1の後部に配置される。また、後輪部3は、一部が後述するシート8よりも車両後方向に配置される。前輪2aは、タイヤ2a1とホイール2a2を含む。後輪3aは、タイヤ3a1とホイール3a2を含む。前輪2aのホイール2a2および後輪3aのホイール3a2は、金属製である。ハンドル部40が左右方向に回されると、前輪部2の幅方向中央を通る平面は、車両前後方向(FB方向)に対して傾斜する。
【0146】
図9に示すように、ハンドル部40は、ステアリングシャフト4aに接続されている。また、図8および図10に示すように、ハンドル部40は、フロントフォーク18L、18Rに支持されている。図示は省略するが、フロントフォーク18L、18Rと、ステアリングシャフト4aとは、間接的に接続されている。フロントフォーク18L、18Rは、前輪部2を中心として、左右対称に設けられている。フロントフォーク18L、18Rは、伸縮方向の衝撃を吸収するフロントサスペンションを有している。なお、伸縮方向は、リーン車体フレーム7の上下方向である。図10に示すように、フロントフォーク18L、18Rの下端部には、車軸2bが固定されている。この車軸2bには、前輪部2が回転可能に取り付けられている。そして、フロントフォーク18L、18Rによって、車両左方向および車両右方向から前輪部2が支持される。つまり、前輪部2は、フロントフォーク18L、18Rを介して、リーン車体フレーム7に支持される。また、フロントフォーク18L、18Rの後方にはラジエータ34が配置される。フロントフォーク18L、18Rは、金属製である。
【0147】
図9に示すように、ハンドル部40は、グリップ部43L、43Rと、ハンドルスイッチ部44L、44Rと、ハンドルクラウン45と、ブレーキレバー46と、メインスイッチ47と、ハンドルバー48L、48Rとを有する。ハンドルバー48L、48Rは、ハンドルクラウン45に固定されている。ハンドルバー48L、48Rの端部には、それぞれ、グリップ部43L、43Rが接続される。グリップ部43Lは、グリップ部43Rよりも車両左方向にある。ハンドルクラウン45は、ステアリングシャフト4aに連結される。ハンドル部40のハンドルクラウン45およびハンドルバー48L、48Rは、金属製である。
【0148】
グリップ部43Rは、スロットルグリップである。グリップ部43Rは、エンジン本体の出力を調整するために操作される。具体的には、グリップ部43Rは、エンジンユニット5のスロットルバルブ(図示せず)の開度を調整するために操作される。また、グリップ部43Rの車両前方向には、ブレーキレバー46が設けられている。運転者33がブレーキレバー46を操作することで、前輪部2の回転が制動される。
【0149】
図8に示すように、前輪部2の車両上方向にはフロントフェンダー17が設けられている。フロントフェンダー17は、前輪部2の上部を覆うように配置される。
【0150】
リーン車体フレーム7の車両上方向には、シート8が設けられる。シート8は、メインシート8aと後部シート8bとを含む。また、リーン車体フレーム7の車両上方向には、燃料タンク9が設けられる。燃料タンク9は、リーン車体フレーム7に支持されている。シート8は、燃料タンク9の車両後方向に配置される。後部シート8bは、メインシート8aの車両後方向に配置されている。後部シート8bの上面は、メインシート8aの上面よりも車両上方向に位置している。運転者33は、メインシート8aに着座する。後部シート8bには、同乗者(図示せず)が着座する。
【0151】
リーン車体フレーム7の下端部には、ピボット軸(図示せず)を介して、リヤアーム6の前部が連結されている。リヤアーム6は、ピボット軸を中心として車両上下方向に揺動可能である。リヤアーム6の後部には、後輪部3が支持されている。リヤアーム6とリーン車体フレーム7とは、伸縮方向の衝撃を吸収する車両左右方向に設けられた一対のリヤサスペンション(図示省略)を介して接続されている。なお、伸縮方向は、リーン車体フレーム7の上下方向である。つまり、後輪部3は、リヤサスペンションおよびリヤアーム6を介して、リーン車体フレーム7に支持される。
【0152】
リーン車体フレーム7の車両下方向には、エンジンユニット5が配置されている。エンジンユニット5は、リーン車体フレーム7に支持されている。自動二輪車1のエンジンユニット5は、エンジン本体を水により冷却する水冷式のエンジンユニットである。図示は省略するが、エンジンユニット5は、エンジン本体と変速機を有する。エンジン本体から出力される駆動力は、変速機を介して後輪部3に伝達される。また、リーン車体フレーム7は、バッテリー(図示せず)を支持する。バッテリーは、制御装置や各種センサなどの電子機器に電力を供給する。
【0153】
図8および図9に示すように、自動二輪車1の左部の下部および右部の下部には、それぞれフットレスト10L、10Rが設けられている。フットレスト10L、10Rには、運転時に、運転者33の足が乗せられる。左のフットレスト10Lの車両前方向には、シフトペダル10Laが設けられる。運転者33がシフトペダル10Laを操作することで、変速機の変速比が変更される。図3に示すように、右のフットレスト10Rの車両前方向には、ブレーキペダル10Rbが設けられている。運転者33がブレーキペダル10Rbを操作することで、後輪部3の回転が制動される。
【0154】
自動二輪車1は、リーン車体フレーム7等を覆う車体カバー20を有する。車体カバー20は、フロントカバー21と、サイドカバー22L、22Rと、リヤカバー23と、フロントフェンダー17と、リヤフェンダー19と、ダッシュパネル41とを有する。車体カバー20は、樹脂製である。
【0155】
フロントカバー21は、ヘッドパイプ4の車両前方向に配置される。フロントカバー21は、リーン車体フレーム7に取り付けられる。フロントカバー21は、車両1の車両左右方向の中央を中心として、左右対称に配置される。フロントカバー21は、ヘッドパイプ4の前からヘッドパイプ4の前部を覆う。フロントカバー21には、2つのヘッドライトユニット13L、13R(図9および図10参照)が取り付けられる。ヘッドライトユニット13L、13Rは、リーン車体フレーム7に支持される。ヘッドライトユニット13L、13Rには、ハロゲンランプや半導体光源等が用いられる。
【0156】
ヘッドライトユニット13L、13Rは、車両1の車両前方向に光を放射する。ヘッドライトユニット13L、13Rは、車両1の車両左右方向の中央を中心として、左右対称に配置されている。ヘッドライトユニット13Lは、車両1の左部に配置される。ヘッドライトユニット13Rは、車両1の右部に配置される。
【0157】
フロントカバー21の上部には、スクリーン12が配置される。スクリーン12は、ハンドル部40よりも車両前方向に配置される。フロントカバー21の上部は、車両前方向または車両後方向に見て、スクリーン12と重なっている。フロントカバー21の上部におけるスクリーン12と重なる部分は、スクリーン12よりも車両後方向に配置される。スクリーン12は、透明な樹脂等によって形成される。
【0158】
図9に示すように、ハンドル部40は、シート8よりも車両前方向に配置される。ハンドル部40は、棒状部材であって、車両左右方向に延びるように配置される。ハンドル部40の少なくとも一部は、燃料タンク9よりも車両前方向に配置される。ハンドル部40の車両左右方向の中央部は、燃料タンク9よりも車両前方向に配置される。
【0159】
図8に示すように、ハンドル部40の近傍には、ダッシュパネル41が備えられる。ダッシュパネル41は、フロントカバー21よりも車両後方向に配置される。ダッシュパネル41は、フロントカバー21の上端部に接続されている。ダッシュパネル41は、少なくとも一部がヘッドパイプ4よりも車両前方向に配置される。ダッシュパネル41には、図示しないメーター部が配置される。メーター部は、図示しない表示装置を含む。表示装置には、車速、エンジン回転速度、各種の警告などが表示される。メーター部は、少なくとも一部が金属製である。
【0160】
図10に示すように、自動二輪車1の前部には、ミラーステー11La、11Raが設けられる。ミラーステー11La、11Raは、フロントカバー21の上部の車両左方向および車両右方向にそれぞれ配置される。ミラーステー11La、11Raは、一端がフロントカバー21に固定される。ミラーステー11La、11Raは、車両1の車両左右方向の中央を中心として、左右対称に配置される。ミラーステー11La、11Raは、それぞれ、スクリーン12の左端部および右両端の近傍に配置される。ミラーステー11La、11Raは、内部に空間が形成されている。ミラーステー11La、11Raは、金属製または樹脂製である。ミラーステー11La、11Raの他端には、それぞれ、バックミラー11L、11Rが取り付けられる。バックミラー11L、11Rは、フロントカバー21の上部の車両左方向および車両右方向にそれぞれ配置される。バックミラー11L、11Rは、ミラー部11Lb、11Rb(図9参照)を備える。ミラー部11Lb、11Rbは、平板状の鏡面が車両後方向に向くように配置される。運転者33は、ミラー部11Lb、11Rbにより、自動二輪車1の車両後方向を視認することができる。
【0161】
図8および図9に示すように、サイドカバー22L、22Rは、少なくとも一部がヘッドパイプ4よりも車両後方向に配置される。サイドカバー22L、22Rの一部は、フロントカバー21よりも車両後方向に配置される。サイドカバー22L、22Rは、フロントカバー21の下端部に接続されている。サイドカバー22L、22Rは、リーン車体フレーム7に取り付けられる。サイドカバー22L、22Rは、リーン車体フレーム7の少なくとも一部を車両左方向および車両右方向から覆う。サイドカバー22L、22Rは、燃料タンク9の前部を覆う。サイドカバー22L、22Rは、車両1の車両左右方向の中央を中心として、左右対称に配置される。
【0162】
リヤカバー23は、自動二輪車1の後部に設けられる。リヤカバー23は、サイドカバー22L、22Rよりも車両後方向に配置される。リヤカバー23は、シート8の車両下方向であって、シート8の車両後方向に配置される。リヤカバー23は、後輪部3の車両上方向に位置している。リヤカバー23は、リーン車体フレーム7の一部を車両後方向から覆う。リヤカバー23は、リーン車体フレーム7に支持されている。リヤカバー23は、車両1の車両左右方向の中央を中心として、左右対称の形状に形成されている。
【0163】
リヤカバー23には、テールライト14が取り付けられている。テールライト14は、自動二輪車1の後部に位置している。テールライト14の表面は、車両左右方向に見て、下端から上端に向かって、後ろ斜め上方向に延びている。テールライト14には、ハロゲンランプや半導体光源等が用いられる。
【0164】
リヤカバー23の後部には、後方方向指示灯ユニット15L、15Rが配置される。後方方向指示灯ユニット15L、15Rは、リヤカバー23の左部および右部に一対に配置される。後方方向指示灯ユニット15L、15Rは、リヤカバー23の左部および右部に配置される。
【0165】
図8に示すように、リヤカバー23には、リヤフェンダー19が取り付けられる。リヤフェンダー19は、テールライト14の車両下方向に位置している。リヤフェンダー19は、後輪部3の車両上方向に位置している。リヤフェンダー19は、後輪部3の上部を覆うように配置される。
【0166】
図10に示すように、フロントカバー21には、一対のヘッドライトユニット用開口部21La、21Raが形成される。ヘッドライトユニット13L、13Rは、それぞれ、ヘッドライトユニット用開口部21La、21Raに挿入されている。ヘッドライトユニット13L、13Rは、リーン車体フレーム7に支持部材(図示せず)を介して支持されている。
【0167】
(V2X通信装置)
V2X通信装置30は、V2X通信用アンテナ31と、V2X通信用アンテナ32とに電気的に接続されている。V2X通信装置30は、少なくともリーン車体フレーム7が車両左方向に傾斜している左旋回中およびリーン車体フレーム7が車両右方向に傾斜している右旋回中にV2X通信を行う。V2X通信装置30は、リーン車体フレーム7が直立状態のときもV2X通信を行う。
【0168】
(指向性V2X通信用アンテナ31の配置)
指向性V2X通信用アンテナ31は、車両1の前部に設けられる。さらに、指向性V2X通信用アンテナ31は、シート8に着座する運転者33の胴体部33aよりも車両前方向に配置される。図8において、運転者33の胴体部33aの前端を通り、車両前後方向に垂直な面Dr1を直線で示す。指向性V2X通信用アンテナ31は、面Dr1よりも車両前方向に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ31は、自動二輪車1の上部に配置される。指向性V2X通信用アンテナ31は、フロントカバー21の後方向に配置される。具体的には、指向性V2X通信用アンテナ31は、フロントカバー21を取り付けるためのステーに固定具を介して取り付けられる。指向性V2X通信用アンテナ31は、自動二輪車1を車両上方向または車両下方向に見て、車両1の車両左右方向のほぼ中央に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1において、前輪2aのホイール2a2よりも車両上方向に配置される。指向性V2X通信用アンテナ31は、車両1の上部に配置される。指向性V2X通信用アンテナ31は、車両1を車両左方向または車両右方向に見て、前輪2aのホイール2a2よりも車両上方向であって、金属製であるヘッドパイプ4よりも車両前方向に配置される。指向性V2X通信用アンテナ31は、車体カバー20の車両後方向に配置されている。そして、指向性V2X通信用アンテナ31は、車体カバー20の内面と車体カバー20の内部に配置された金属製のヘッドパイプ4との間に配置される。指向性V2X通信用アンテナ31は、ヘッドライトユニット13L、13Rの間に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態の車両1に搭載された時の姿勢の車載水平面Pahにおいて、金属製であるリーン車体フレーム7の車両前方向に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態または傾斜状態のときに、リーン車体フレーム7の上下方向において、リーン車体フレーム7よりも上方向に配置される。
【0169】
さらに、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態の車両1に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リーン車体フレーム7であるヘッドパイプ4と指向性V2X通信用アンテナ31との距離であるアンテナ金属間距離W1が電磁波の波長の少なくとも2倍の距離になる位置に配置される。アンテナ金属間距離W1は、ヘッドパイプ4が指向性V2X通信用アンテナ31の放射特性に影響を与えない程度に十分大きい距離である。アンテナ金属間距離W1は、例えば、リーン車体フレーム7が有る場合と無い場合で、指向性V2X通信用アンテナ31の3dBビーム幅が変化しない距離であってもよい。
【0170】
(指向性V2X通信用アンテナ32の配置)
V2X通信用アンテナ32は、指向性を有するV2X通信用アンテナである。指向性V2X通信用アンテナ32は、指向性V2X通信用アンテナ31が有する上記特徴(I)~(VI)と同じ特徴を有する。指向性V2X通信用アンテナ31が有する上記特徴(I)~(VI)のうちの車両前方向についての特徴については、指向性V2X通信用アンテナ32は、車両後方向について同様の特徴を有する。指向性V2X通信用アンテナ32は、車両1の後部に搭載される。指向性V2X通信用アンテナ32は、シート8に着座する運転者33の胴体部33aの後端よりも車両後方向に配置される。図8において、運転者33の胴体部33aの後端を通り、車両前後方向に垂直な面Dr2を直線で示す。指向性V2X通信用アンテナ32は、面Dr2よりも車両後方向に配置される。指向性V2X通信用アンテナ32は、車両1の後面部であるリヤフェンダー19の上端部に取り付けられる。指向性V2X通信用アンテナ32は、自動二輪車1を車両上方向または車両下方向に見て、車両1の車両左右方向のほぼ中央に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ32は、後輪3aのホイール3a2よりも車両上方向に配置される。指向性V2X通信用アンテナ32は、車両1の上部に配置される。指向性V2X通信用アンテナ32は、車両1を車両左方向または車両右方向に見て、後輪3aのホイール3a2よりも車両上方向に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態の車両1に搭載された時の姿勢の車載水平面Pahにおいて、金属製であるリーン車体フレーム7の車両後方向に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態または傾斜状態のときに、リーン車体フレーム7の上下方向において、リーン車体フレーム7よりも上方向に配置される。
【0171】
さらに、指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態の車両1に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リーン車体フレーム7と指向性V2X通信用アンテナ32との距離であるアンテナ金属間距離W2が電磁波の波長の少なくとも2倍の距離になる位置に配置される。アンテナ金属間距離W2は、リーン車体フレーム7が指向性V2X通信用アンテナ31の放射特性に影響を与えない程度に十分大きい距離である。アンテナ金属間距離W2は、例えば、リーン車体フレーム7が有る場合と無い場合で、指向性V2X通信用アンテナ32の3dBビーム幅が変化しない距離であってもよい。
【0172】
(具体例1の指向性V2X通信用アンテナの3dBビーム幅)
図8に、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時の指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pav1の3dBビーム幅Epv1の模式図を示す。また、図8に、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ32を測定した時の指向性V2X通信用アンテナ32の車載垂直面Pav2の3dBビーム幅Epv2の模式図を示す。さらに、図9に、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時の指向性V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pah1の3dBビーム幅Eph1の模式図を示す。また、図9に、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ32を測定した時の指向性V2X通信用アンテナ32の車載水平面Pah2の3dBビーム幅Eph2の模式図を示す。本具体例1では、指向性V2X通信用アンテナ31および指向性V2X通信用アンテナ32は同じ上記特徴(I)~(VI)を有する。従って、指向性V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pah1の3dBビーム幅Eph1の大きさおよび指向性V2X通信用アンテナ32の車載水平面Pah2の3dBビーム幅Eph2の大きさは、共にα°である。また、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pav1の3dBビーム幅Epv1の大きさおよび指向性V2X通信用アンテナ32の車載垂直面Pav2の3dBビーム幅Epv2の大きさは、共にβ°である。
【0173】
(指向性V2X通信用アンテナ31の構成)
指向性V2X通信用アンテナ31の構成の一例を図12に示す。図12に示す矢印AUと矢印ADは、アンテナ上下方向のアンテナ上方向とアンテナ下方向をそれぞれ表している。また、図12に示す矢印AFと矢印ABは、アンテナ前後方向のアンテナ前方向とアンテナ後方向をそれぞれ表している。また、図12に示す矢印ALと矢印ARは、アンテナ左右方向のアンテナ左方向とアンテナ右方向をそれぞれ表している。なお、アンテナ上下方向、アンテナ左右方向、および、アンテナ前後方向は互いに直交する。まず、指向性V2X通信用アンテナ31の一例について、図12に基づいて説明する。なお、指向性V2X通信用アンテナ32も、指向性V2X通信用アンテナ31と同じ構成であってよい。
【0174】
指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左右方向が車両左右方向に沿い、アンテナ前後方向が車両前後方向に沿い、アンテナ上下方向が車両上下方向に沿うように配置される。指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左方向が車両左方向に一致し、アンテナ右方向が車両右方向に一致するように配置される。具体例1において、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、その上端31uがその下端31dよりも車両後方向に位置するように設けられる。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31は、アンテナ前後方向が車両上下方向と一致せず、アンテナ上下方向が車両上下方向に一致しないように配置される。なお、具体例1において、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の上端31uおよび下端31dを通る直線と、車両上下方向とがなす角度は、例えば、10°である。
【0175】
ここで、指向性V2X通信用アンテナ32が図12に示す指向性V2X通信用アンテナ31と同じ構成の場合について説明する。指向性V2X通信用アンテナ32も、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左右方向が車両左右方向に沿い、アンテナ前後方向が車両前後方向に沿い、アンテナ上下方向が車両上下方向に沿うように配置される。指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左方向が車両右方向に一致し、アンテナ右方向が車両左方向に一致するように配置される。指向性V2X通信用アンテナ32を構成する基板は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、その上端がその下端よりも車両前方向に位置するように設けられる。つまり、指向性V2X通信用アンテナ32も、アンテナ前後方向が車両上下方向と一致せず、アンテナ上下方向が車両上下方向に一致しないように配置される。
【0176】
図12に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31は、1つの給電放射素子53と、一対の無給電放射素子55と、1つの給電放射素子53のアンテナ後方向に設けられた金属板56と、を有する。指向性V2X通信用アンテナ31は、基板50、基板51および基板52を有する。基板50、基板51および基板52は、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する。基板50は、アンテナ上下方向に沿って配置される。基板50は、アンテナ上下方向に細長い矩形状に形成される。基板50の矩形の少なくとも一辺は、アンテナ上下方向に沿う。基板50は、表面50aおよび裏面(図示せず)に直交する方向がアンテナ左右方向に沿うように配置される。基板50の表面50aおよび裏面には、アンテナ上下方向に沿うように給電放射素子53が配置される。給電放射素子53は、一対の給電放射素子53a、53bからなるパッチアンテナである。給電放射素子53a、53bは、基板50のアンテナ上下方向の上部および下部にそれぞれ配置される。給電放射素子53a、53bは、それぞれ、アンテナ前後方向およびアンテナ上下方向に沿ったL字状に形成される。給電放射素子53a、53bは、それぞれ、アンテナ上下方向に沿った長さがアンテナ前後方向に沿った長さより長いL字状に形成される。給電放射素子53a、53bは、基板50のアンテナ上下方向の中央を通りアンテナ前後方向に平行な直線ACに対して線対称になるように配置される。給電放射素子53a、53bは、給電部54により給電される。給電放射素子53は、給電部54により給電されて励起する。そして、給電放射素子53は、アンテナとして機能する。基板50は、例えば、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で水平な水平面に対して垂直方向に沿って配置される。具体的には、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板50は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、その上端がその下端よりも車両後方向に位置するように設けられる。
【0177】
基板51、52は、それぞれ、基板50に沿って配置される。つまり、基板51、52は、それぞれ、アンテナ上下方向に沿って配置される。基板51は、V2X通信用アンテナ31をアンテナ後方向に見て、基板50のアンテナ右方向に配置される。基板52は、指向性V2X通信用アンテナ31をアンテナ前方向またはアンテナ後方向に見て、基板50のアンテナ左方向に配置される。基板51および基板52は、同じ形状に形成される。基板51および基板52は、それぞれ、アンテナ上下方向に細長い矩形状に形成される。基板51および基板52のそれぞれの矩形の少なくとも一辺は、アンテナ上下方向に沿う。基板51は、表面51aおよび裏面(図示せず)に直交する方向がアンテナ左右方向となるように配置される。基板52は、表面52aおよび裏面(図示せず)に直交する方向がアンテナ左右方向となるように配置される。基板50の表面50a、基板50の裏面、基板51の表面51a、基板51の裏面、基板52の表面52a、および基板52の裏面は、平行または略平行である。一対の無給電放射素子55は、一対の無給電放射素子55a、55bで構成される。一対の無給電放射素子55a、55bは、それぞれ、矩形状に形成され、基板51、52に設けられる。無給電放射素子55aは、基板51のアンテナ上下方向の一部の表面であって、基板51のアンテナ前後方向の前端部の表面に配置される。無給電放射素子55bは、基板52のアンテナ上下方向の一部の表面であって、基板52のアンテナ前後方向の前端部の表面に配置される。一対の無給電放射素子55a、55bは、基板50に沿って配置される。無給電放射素子55aは、V2X通信用アンテナ31をアンテナ前方向またはアンテナ後方向に見て、給電放射素子53のアンテナ右方向に配置される。無給電放射素子55bは、指向性V2X通信用アンテナ31をアンテナ前方向またはアンテナ後方向に見て、給電放射素子53のアンテナ左方向に配置される。一対の無給電放射素子55a、55bは、それぞれ、ダイポールアンテナである。一対の無給電放射素子55a、55bは、給電放射素子53が給電部54により励起される影響で、励起される。そして、一対の無給電放射素子55a、55bは、それぞれ、アンテナとして機能する。基板51、52は、例えば、水平面に対して垂直方向に沿って配置される。具体的には、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板51、52は、それぞれ、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、その上端がその下端よりも車両後方向に位置するように設けられる。
【0178】
金属製の基板である金属板56は、給電放射素子53のアンテナ後方向に配置される。金属板56は、基板50と別体で構成されている。金属板56は、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する。金属板56は、表面(前面)に直交する方向がアンテナ前後方向に沿うように配置される。金属板56は、その表面(前面)が、基板50の表面50aおよび裏面に直交するように配置される。金属板56の表面(前面)は、平面であってもよく、曲面であってもよく、平面と曲面を両方有していてもよい。金属板56は、電磁波を反射する。そして、金属板56は、給電放射素子53の電磁波がアンテナ後方向に放射されるのを防止する。これにより、指向性V2X通信用アンテナ31は、アンテナ後方向への電磁波の放射を抑制して、アンテナ前方向と、アンテナ左方向およびアンテナ右方向とへ電磁波を放射する。なお、金属板56は、基板50と別体で構成されなくてもよい。金属板56は、基板50のアンテナ後方向の端部に配置されて、基板50と一体で構成されてもよい。基板50は、例えば、水平面に対して垂直方向に沿って配置される。具体的には、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する金属板56は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、その上端がその下端よりも車両後方向に位置するように設けられる。
【0179】
(指向性V2X通信用アンテナ31の放射パターンのシミュレーション結果)
図13に、指向性V2X通信用アンテナ31の放射パターンのシミュレーション結果の一例を示す。図13は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載された時の姿勢で、かつ、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載していない指向性V2X通信用アンテナ31を測定した時の指向性V2X通信用アンテナ31の放射パターンのシミュレーション結果である。図13では、図8に示す指向性V2X通信用アンテナ31を想定して、シミュレーションを行った。図8に示す指向性V2X通信用アンテナ31は、車両1の前部に設けられる。また、図8に示す指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナ31を構成する基板の下端よりも車両後方向に位置するように設けられる。
【0180】
図13(a)には、指向性V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahにおける3dBビーム幅Ephを示している。図13(b)には、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavでの3dBビーム幅を示す。さらに、図13(c)は、指向性V2X通信用アンテナ31の3dBビーム幅を示す斜視図である。図13(a)では、車載水平面Pahにおいて、車両前方向を0°、車両左方向を90°、車両後方向を180°、車両右方向を-90°として方向を表している。つまり、図13(a)に示す車載水平面Pahにおける車両左領域Alは、90°を含み、0°~180°の方向を含む範囲である。また、車載水平面Pahにおける車両右領域Arは、-90°を含み、0°~180°の方向を含む範囲である。図13(b)は、車載垂直面Pavにおいて、車両前方向を0°、車両上方向を90°、車両後方向を180°、車両下方向を-90°として方向を表している。つまり、図13(b)に示す車載垂直面Pavにおける車両上領域Auは、90°を含み、0°~180°の方向を含む範囲である。また、車載水平面Pahにおける車両下領域Adは、-90°を含み、0°~180°の方向を含む範囲である。図13(c)では、車両上方向を矢印U、車両左方向を矢印L、車両前方向を矢印Fとして表している。図13(c)では、指向性V2X通信用アンテナ31の球面座標系の3dBビーム幅を示している。図13(c)では、車両水平面を球面座標系のTheta、車両垂直面を球面座標系のPhiで表している。なお、図13(c)において、色の濃淡と放射利得の強弱とは関連していない。
【0181】
図13(a)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31は、V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephは、0°を含み約+110~-110°の範囲である。つまり、V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephの大きさαは、約220°である。なお、V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahにおける最大利得をとる方向は、0°の方向である。また、図13(b)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvは、0°を含み約-20~55°の範囲である。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvの大きさβは、約75°である。なお、V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavにおける最大利得をとる方向は、+20°の方向である。
【0182】
つまり、図13(a)~図13(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31は、V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephの大きさαが、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvの大きさβより大きい。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31は、上記特徴(I)を有する。
【0183】
図13(b)および図13(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31の車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvが、車両上領域Auと車両下領域Adの両方に存在する。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31は、上記特徴(II)を有する。
【0184】
図13(a)および図13(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31の車載水平面Pahの3dBビーム幅Ephが車両左領域Alと車両右領域Arの両方に存在する。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31は、特徴(III)を有する。
【0185】
図13(b)および図13(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31は、車載垂直面Pavの3dBビーム幅Epvのうち車両上領域Auに存在する3dBビーム幅の大きさ(約75°)が、車載垂直面Pavの3dBビーム幅のうち車両下領域Adに存在する3dBビーム幅の大きさ(約20°)より大きい。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31は、特徴(IV)を有する。
【0186】
具体例1のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、このような構成を有するため、第1実施形態および第2実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0187】
指向性V2X通信用アンテナ31は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の上部に配置される。V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の上部には、アンテナの放射特性に影響を与える金属があまり配置されていない。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ31の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0188】
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、1つの前輪2aを備える。前輪2aは、リーン車体フレーム7に支持され、タイヤ2a1とホイール2a2とを有する。ホイール2a2は、金属で形成されている場合がある。金属は、アンテナの電磁波を反射する。つまり、金属は、アンテナの放射特性に影響を与える。そして、指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1において、ホイール2a2よりも車両上方向に配置される。つまり、指向性V2X通信用アンテナ31は、その放射特性がホイール2a2による影響を受けにくい位置に配置される。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ31の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0189】
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、1つの後輪3aを備える。後輪3aは、リーン車体フレーム7に支持され、タイヤ3a1とホイール3a2とを有する。ホイール3a2は、金属で形成されている場合がある。金属は、アンテナの電磁波を反射する。つまり、金属は、アンテナの放射特性に影響を与える。そして、指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1において、ホイール3a2よりも車両上方向に配置される。つまり、指向性V2X通信用アンテナ32は、その放射特性がホイール3a2による影響を受けにくい位置に配置される。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ32の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0190】
また、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31は、リーン車体フレーム7が直立状態の車両1に搭載された時の姿勢の車載水平面Pahにおいて、リーン車体フレーム7(詳細にはヘッドパイプ4)よりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離W1だけリーン車体フレーム7(ヘッドパイプ4)から離れた位置に配置される。車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32は、リーン車体フレーム7が直立状態の車両1に搭載された時の姿勢の車載水平面Pahにおいて、リーン車体フレーム7よりも車両後方向であって、アンテナ金属間距離W2だけリーン車体フレーム7から離れた位置に配置される。アンテナ金属間距離W1,W2は、リーン車体フレーム7が指向性V2X通信用アンテナ31,32の放射特性に影響を与えない程度に十分に大きい距離である。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ31,32の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0191】
アンテナ金属間距離W1,W2は、指向性V2X通信用アンテナ31,32が送受信可能な電磁波の波長の少なくとも2倍の距離である。それにより、指向性V2X通信用アンテナ31,32とリーン車体フレーム7との間に、リーン車体フレーム7が指向性V2X通信用アンテナ31,32の放射特性に影響を与えない程度に十分に大きい距離を確保することができる。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ31,32の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0192】
<第1および第2の実施形態の具体例2>
次に、本発明の第1および第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の具体例2について、図14~17の模式図を参照しつつ説明する。具体例2では、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両を自動三輪車101に適用した例について説明する。以下の説明において、上述した車両前後方向、車両左右方向、車両上下方向とは、それぞれ自動三輪車101の後述するシート108に着座した運転者133から見た前後方向、左右方向、上下方向を意味するものとする。なお、具体例2では、V2X通信用アンテナとして、車両1の前部に指向性V2X通信用アンテナ131のみを備えている。
【0193】
(自動三輪車101の構成)
図14は、具体例2の自動三輪車101の側面図である。図15は、具体例2の自動三輪車の平面図である。図16は、具体例2の自動三輪車101の正面図である。図17は、具体例2の旋回状態の自動三輪車101の正面図である。尚、図14図16は、水平な路面に直立した状態で配置された自動三輪車101を示している。つまり、図14図16は、リーン車体フレーム107が直立状態の自動三輪車101を示している。
【0194】
具体例2の自動三輪車101は、いわゆる傾斜可能な自動三輪車101である。つまり、自動三輪車101は、傾斜可能なリーン車体フレーム107と、そのリーン車体フレーム107の車両左方向および車両右方向に並ぶように配置された2つの前輪102L、102Rを備えている車両である。
【0195】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、リーン車体フレーム107と、V2X通信装置30と、V2X通信用アンテナ131とを備える。車両101は、リーン車体フレーム107を車両上下方向に対して車両左方向および車両右方向に傾斜させて旋回する。リーン車体フレーム107は、右旋回時に車両右方向に傾斜し、左旋回時に車両左方向に傾斜する。図14図17において、矢印FFは、リーン車体フレーム107の前方向を示している。矢印FBは、リーン車体フレーム107の後方向を示している。矢印FUは、リーン車体フレーム107の上方向を示している。矢印FDは、リーン車体フレーム107の下方向を示している。矢印FRは、リーン車体フレーム107の右方向を示している。矢印FLは、リーン車体フレーム107の左方向を示している。図14図17において、リーン車体フレーム107の上下方向(UFDF方向)とは、リーン車体フレーム107のヘッドパイプ104の軸方向に平行な方向である。リーン車体フレーム107の左右方向(LFRF方向)とは、リーン車体フレーム107の幅方向中央を通る平面に直交する方向である。リーン車体フレーム107の前後方向(FFBF方向)とは、リーン車体フレーム107の上下方向(UFDF方向)とリーン車体フレーム107の左右方向(LFRF方向)の両方に直交する方向である。尚、図14図16の説明において、自動三輪車101は、水平な路面にリーン車体フレーム107が直立状態で配置されている。そのため、自動三輪車101の車両左右方向とリーン車体フレーム107の左右方向とは一致する。
【0196】
図14に示されるように、自動三輪車101は、前輪部102、後輪部103、リンク機構105、および、操舵機構106を有する。リンク機構105は、後述する2つの前輪102L、102Rを接続する。リンク機構105および操舵機構106は、金属製である。
【0197】
前輪部102は、2つの前輪として、左前輪102Lおよび右前輪102Rを有する。後輪部103は、1つの後輪103aを有する。前輪部102は、車両前後方向において自動三輪車101の前部に配置される。また、前輪部102は、後述するシート108よりも車両前方向に配置される。後輪部103は、車両前後方向において自動三輪車101の後部に配置される。また、後輪部103は、一部が後述するシート108よりも車両後方向に配置される。2つの前輪102L、102Rは、それぞれ、タイヤ102L1、102R1およびホイール102L2、102R2を有する。後輪103aは、タイヤ103a1とホイール103a2を含む。2つの前輪102L、102Rのホイール102L2、102R2および後輪103aのホイール103a2は、金属製である。
【0198】
また、自動三輪車101は、リーン車体フレーム107、車体カバー120、シート108、リヤアーム125、およびパワーユニット126を含む。
【0199】
リーン車体フレーム107は、前部にヘッドパイプ104を有する。リーン車体フレーム107の左右方向に見て、ヘッドパイプ104の車両上下方向の上部は、リーン車体フレーム107の前後方向においてヘッドパイプ104の車両上下方向の下部よりも後方向に配置されている。リーン車体フレーム107は、シート108、リヤアーム125、およびパワーユニット126を支持している。
【0200】
パワーユニット126は、エンジン、電動モータ、バッテリーなどの動力源、およびトランスミッションなどの伝達機構を備えている。動力源により生成された駆動力は、伝達機構を介して後輪部103へ伝達される。リヤアーム125は、その前端部がリーン車体フレーム107に揺動可能に支持される。リヤアーム125は、その後端部が後輪部103に支持される。
【0201】
車体カバー120は、自動三輪車101のリーン車体フレーム107等を覆う。車体カバー120は、フロントカバー121、2つのフロントフェンダー122、リヤフェンダー123、およびレッグシールド124を含んでいる。
【0202】
フロントカバー121は、シート108よりもリーン車体フレーム107の前方向に配置されている。フロントカバー121は、リンク機構105と操舵機構106の少なくとも一部を覆っている。フロントカバー121は、リーン車体フレーム107に対して変位不能に配置されている。フロントカバー121には、ヘッドライトユニット113が取り付けられている。ヘッドライトユニット113は、後述するリンク機構105に支持されている。ヘッドライトユニット113は、リンク機構105よりも車両前方向に配置されている。ヘッドライトユニット113には、ハロゲンランプや半導体光源等が用いられる。ヘッドライトユニット113は、車両101の車両前方向に光を照射する。
【0203】
2つのフロントフェンダー122の少なくとも一部は、フロントカバー121の車両下方向に配置されている。2つのフロントフェンダー122の少なくとも一部は、前輪部102よりも車両上方向に配置されている。
【0204】
フロントカバー121の上部には、スクリーン112が配置される。スクリーン112は、ハンドル部140の車両前方向に配置される。フロントカバー121の上部は、車両前方向または車両後方向に見て、スクリーン112と重なっている。フロントカバー121の上部におけるスクリーン112と重なる部分は、スクリーン112よりも車両後方向に配置される。スクリーン112は、透明な樹脂等によって形成される。
【0205】
前輪部102は、リーン車体フレーム107の上下方向においてヘッドパイプ104よりも下方向に配置されている。前輪部102の少なくとも一部は、リーン車体フレーム107の上下方向においてフロントカバー121の下方向に配置されている。
【0206】
後輪部103の少なくとも一部は、リーン車体フレーム107の上下方向においてシート108よりも下方向に配置されている。後輪部103の少なくとも一部は、リーン車体フレーム107の上下方向においてリヤフェンダー123の下方向に配置されている。
【0207】
レッグシールド124は、リーン車体フレーム107の前後方向において前輪部102よりも後方向かつシート108よりも前方向に配置されている。レッグシールド124は、車両101を車両後方向に見てシート108に着座した運転者133の脚部の少なくとも一部を覆う位置に配置されている。
【0208】
シート108は、メインシート108aと後部シート108bとを含む。後部シート108bは、メインシート108aの車両後方向に配置されている。後部シート108bの上面は、メインシート108aの上面よりも車両上方向に位置している。運転者133は、メインシート108aに着座する。後部シート108bには、同乗者(図示せず)が着座する。
【0209】
図15に示すように、前輪部102は、左前輪102Lと右前輪102Rを含んでいる。左前輪102Lは、リーン車体フレーム107の一部であるヘッドパイプ104よりもリーン車体フレーム107の左方向に配置されている。右前輪102Rは、リーン車体フレーム107の左右方向においてヘッドパイプ104よりも右方向に配置されている。左前輪102Lと右前輪102Rは、リーン車体フレーム107の左右方向に並ぶように配置されている。
【0210】
2つのフロントフェンダー122は、左フェンダー122Lと右フェンダー122Rを含んでいる。左フェンダー122Lは、左前輪102Lの上面の少なくとも一部を覆っている。右フェンダー122Rは、右前輪102Rの上面の少なくとも一部を覆っている。
【0211】
図14および図15に示すように、自動三輪車101の車両前後方向の前部には、ミラーステー111La、111Raが設けられる。ミラーステー111La、111Raは、フロントカバー121の上部の車両左方向および車両右方向に配置される。ミラーステー111La、111Raは、一端がフロントカバー121に固定される。ミラーステー111La、111Raは、車両101の車両左右方向の中央を中心として、左右対称に配置される。ミラーステー111La、111Raは、スクリーン112の左右両端の近傍に配置される。ミラーステー111La、111Raは、金属製または樹脂製である。ミラーステー111La、111Raの他端には、それぞれ、バックミラー111L、111Rが取り付けられる。バックミラー111L、111Rは、フロントカバー121の上部の車両左方向および車両右方向に配置される。
【0212】
操舵機構106は、左フロントフォーク161、右フロントフォーク162、左ブラケット163、および右ブラケット164を含んでいる。
【0213】
左フロントフォーク161は、その下端部が車軸161bに固定されている。車軸161bには、左前輪102Lが回転可能に取り付けられている。左フロントフォーク161は、その上端部が左ブラケット163に固定されている。つまり、左フロントフォーク161および左ブラケット163は、車軸161bを介して、左前輪102Lを支持している。左フロントフォーク161は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。左フロントフォーク161は、伸縮方向の衝撃を吸収するフロントサスペンション161aを有している。なお、伸縮方向は、リーン車体フレーム107の上下方向である。
【0214】
右フロントフォーク162は、その下端部が車軸162bに固定されている。車軸162bには、右前輪102Rが回転可能に取り付けられている。右フロントフォーク162は、その上端部が右ブラケット164に固定されている。つまり、右フロントフォーク162および右ブラケット164は、車軸162bを介して、右前輪102Rを支持している。右フロントフォーク162は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。右フロントフォーク162は、伸縮方向の衝撃を吸収するフロントサスペンション162aを有している。なお、伸縮方向は、リーン車体フレーム107の上下方向である。
【0215】
操舵機構106は、ハンドル部140を含んでいる。ハンドル部140は、ハンドルバー148とステアリングシャフト104aを含んでいる。ハンドルバー148は、ステアリングシャフト104aの上部に取り付けられている。ステアリングシャフト104aは、ヘッドパイプ104に、ステアリングシャフト104aの中心軸である中央操舵軸線周りに回動可能に挿入されている。ステアリングシャフト104aは、運転者133によるハンドルバー148の操作に応じて回動する。
【0216】
リンク機構105は、平行四節リンク(パラレログラムリンク)方式のリンク機構である。リンク機構105は、リーン車体フレーム107の上下方向においてハンドルバー148よりも下方向に配置されている。リンク機構105は、リーン車体フレーム107の上下方向において前輪部102よりも上方向に配置されている。リンク機構105は、上クロス部151、下クロス部152、左前輪支持部153、および右前輪支持部154を含んでいる。
【0217】
上クロス部151は、上中間連結シャフト151aを有している。上クロス部151の車両左右方向の中間部は、上中間連結シャフト151aによってヘッドパイプ104に連結されている。上クロス部151は、ヘッドパイプ104に対して、上中間連結シャフト151aの中心軸線周りに回動可能である。上中間連結シャフト151aの中心軸線は、フレーム前後方向に沿った方向である。
【0218】
左前輪支持部153は、上左連結シャフト153aを含む。上クロス部151の左端部は、上左連結シャフト153aによって、左前輪支持部153に連結されている。上クロス部151は、左前輪支持部153に対して、上左連結シャフト153aの中心軸線周りに回動可能である。上左連結シャフト153aの中心軸線は、上中間連結シャフト151aの中心軸線と平行である。
【0219】
右前輪支持部154は、上右連結シャフト154aを含む。上クロス部151の右端部は、上右連結シャフト154aによって、右前輪支持部154に連結されている。上クロス部151は、右前輪支持部154に対して、上右連結シャフト154aの中心軸線周りに回動可能である。上右連結シャフト154aの中心軸線は、上中間連結シャフト151aの中心軸線と平行である。
【0220】
下クロス部152は、上クロス部151よりもフレーム下方向に配置される。下クロス部152は、下中間連結シャフト152aを有している。下クロス部152の中間部は、下中間連結シャフト152aによって、ヘッドパイプ104に連結されている。下クロス部152は、ヘッドパイプ104に対して、下中間連結シャフト152aの中心軸線周りに回動可能である。下中間連結シャフト152aの中心軸線は、上中間連結シャフト151aの中心軸線と平行である。
【0221】
左前輪支持部153は、下左連結シャフト153bを含む。下クロス部152の左端部は、下左連結シャフト153bによって、左前輪支持部153に連結されている。下クロス部152は、左前輪支持部153に対して、下左連結シャフト153bの中心軸線周りに回動可能である。下左連結シャフト153bの中心軸線は、上中間連結シャフト151aの中心軸線と平行である。
【0222】
右前輪支持部154は、下右連結シャフト154bを含む。下クロス部152の右端部は、下右連結シャフト154bによって、右前輪支持部154に連結されている。下クロス部152は、右前輪支持部154に対して、下右連結シャフト154bの中心軸線周りに回動可能である。下右連結シャフト154bの中心軸線は上中間連結シャフト151aの中心軸線と平行である。
【0223】
左前輪支持部153の下端部には、左ブラケット163を介して、左フロントフォーク161の上端部に連結されている。左フロントフォーク161の上端部は、左ブラケット163に対して相対回転不能に固定されている。右前輪支持部154の下端部には、右ブラケット164を介して、右フロントフォーク162の上端部に連結されている。右フロントフォーク162の上端部は、右ブラケット164に対して相対回転不能に固定されている。
【0224】
リーン車体フレーム107が直立状態で水平な路面に配置された車両101を車両後方向に見たとき、上中間連結シャフト151aおよび下中間連結シャフト152aは、フレーム上下方向および車両上下方向に平行な直線上にある。リーン車体フレーム107が直立状態で水平な路面に配置された車両101を車両後方向に見たとき、上左連結シャフト153aおよび下左連結シャフト153bは、フレーム上下方向および車両上下方向に平行な直線上にある。リーン車体フレーム107が直立した状態で水平な路面に配置された車両101を車両後方向に見たとき、上右連結シャフト154aおよび下右連結シャフト154bは、フレーム上下方向および車両上下方向に平行な直線上にある。
【0225】
リーン車体フレーム107が直立状態で水平な路面に配置された車両101を車両後方向に見たとき、上中間連結シャフト151aの前端、上左連結シャフト153aの前端、および上右連結シャフト154aの前端は、フレーム左右方向および車両左右方向に平行な直線上にある。リーン車体フレーム107が直立状態で水平な路面に配置された車両101を車両後方向に見たとき、下中間連結シャフト152aの前端、下左連結シャフト153bの前端、および下右連結シャフト154bの前端は、フレーム左右方向および車両左右方向に平行な直線上にある。
【0226】
つまり、上クロス部151および下クロス部152は、相互に平行な姿勢を保つように、リーン車体フレーム107に支持されている。また、左前輪支持部153および右前輪支持部154は、相互に平行な姿勢を保つように、リーン車体フレーム107に支持されている。
【0227】
左フロントフォーク161および左ブラケット163は、左前輪102Lを支持している。右フロントフォーク162および右ブラケット164は、右前輪102Rを支持している。リンク機構105である上クロス部151、下クロス部152、左前輪支持部153および右前輪支持部154は、左前輪102Lおよび右前輪102Rを接続する。つまり、リンク機構105により、2つの前輪102L、102Rは接続される。
【0228】
図15および図16に示すように、リンク機構105は、操舵力伝達ロッド166を含んでいる。操舵力伝達ロッド166は、運転者133がハンドルバー148を操作する操舵力を、左ブラケット163と右ブラケット164に伝達する。操舵力伝達ロッド166は、下クロス部152よりもフレーム下方向に配置されている。操舵力伝達ロッド166のフレーム左右方向の中間部は、中間ブラケット165を介してステアリングシャフト104aの下部に連結されている。中間ブラケット165は、ステアリングシャフト104aに対して、フレーム上下方向に平行な中央操舵軸線周りに回転可能である。操舵力伝達ロッド166は、ステアリングシャフト104aと一体的に回転可能である。操舵力伝達ロッド166のフレーム左右方向の中間部は、中間ブラケット165に対して2つの軸部材を介して連結されている。2つの軸部材は、中心軸線がフレーム上下方向に沿った方向である軸部材と、中心軸線がフレーム前後方向に沿った方向である軸部材である。操舵力伝達ロッド166は、フレーム左右方向の中間部を中心軸とするこの2つの軸部材によって、中間ブラケット165に対して、フレーム上下方向に沿った軸線周りに回転可能で、かつ、フレーム前後方向に沿った軸線周りに回転可能である。
【0229】
操舵力伝達ロッド166の左端部は、左ブラケット163を介して、左前輪支持部153に連結されている。左ブラケット163は、左前輪支持部153に対して、フレーム上下方向に平行な左操舵軸線周りに回転可能である。操舵力伝達ロッド166の左端部は、左ブラケット163に対して2つの軸部材を介して連結されている。2つの軸部材は、中心軸線がフレーム上下方向に沿った方向である軸部材と、中心軸線がフレーム前後方向に沿った方向である軸部材である。操舵力伝達ロッド166は、この2つの軸部材によって、左ブラケット163に対して、フレーム上下方向に沿った軸線周りに回転可能で、かつ、フレーム前後方向に沿った軸線周りに回転可能である。
【0230】
操舵力伝達ロッド166の右端部は、右ブラケット164を介して、右前輪支持部154に連結されている。右ブラケット164は、右前輪支持部154に対して、フレーム上下方向に平行な右操舵軸線周りに回転可能である。操舵力伝達ロッド166の右端部は、右ブラケット164に対して2つの軸部材を介して連結されている。2つの軸部材は、中心軸線がフレーム上下方向に沿った方向である軸部材と、中心軸線がフレーム前後方向に沿った方向である軸部材である。操舵力伝達ロッド166は、この2つの軸部材によって、右ブラケット164に対して、フレーム上下方向に沿った軸線周りに回転可能で、かつ、フレーム前後方向に沿った軸線周りに回転可能である。
【0231】
運転者133のハンドルバー148の操作によってステアリングシャフト104aが中央操舵軸線周りに回転すると、中間ブラケット165も一体的に回転する。それにより、操舵力伝達ロッド166がフレーム左方向またはフレーム右方向に移動する。それにより、左ブラケット163が左前輪支持部153に対して左操舵軸線周りに回転し、同時に、右ブラケット164が、右前輪支持部154に対して右操舵軸線周りに回転する。それにより、左フロントフォーク161が左操舵軸線周りに回転し、同時に、右フロントフォーク161が右操舵軸線周りに回転する。その結果、左前輪102Lが左操舵軸線周りに回転し、右前輪102Rが右操舵軸線周りに回転する。つまり、操舵力伝達ロッド166は、中央操舵軸線周りの回転と、左操舵軸線周りの回転と、右操舵軸線周りの回転とを同期させるように構成されている。そして、操舵力伝達ロッド166は、左前輪支持部153と右前輪支持部154を接続し、ハンドルバー148の中央操舵軸線周りの回動に応じて左前輪102Lを左操舵軸線周りに回転させると同時に、右前輪102Rを右操舵軸線周りに回動させるように構成されている。
【0232】
図17に、運転者133がリーン車体フレーム107を車両左方向に傾斜させた場合の自動三輪車101を示す。なお、正面図において、フレーム上下方向は紙面に平行な方向ではない。図17のリーン車体フレーム107の上下方向(UFDF方向)は、車両前後方向からみたリーン車体フレーム107の上下方向を示している。水平な路面上でリーン車体フレーム107が車両左方向に傾斜した場合、ヘッドパイプ104が車両上下方向に対して車両左方向に傾斜する。ヘッドパイプ104が傾斜した場合、上クロス部151は、上中間連結シャフト151aを中心として、ヘッドパイプ104に対して、車両101を車両後方向に見て反時計回りに回動する。同時に、下クロス部152は、下中間連結シャフト152aを中心として、ヘッドパイプ104に対して、車両101を車両後方向に見て反時計回りに回動する。同時に、操舵力伝達ロッド166は、中間ブラケット165を中心として、ヘッドパイプ104に対して、車両101を車両後方向に見て反時計回りに回動する。つまり、リーン車体フレーム107が車両左方向に傾斜するとき、上クロス部151、下クロス部152、および操舵力伝達ロッド166は、それぞれ、ヘッドパイプ104に対して、車両101を車両後方向に見て反時計周りに回転する。これにより、上クロス部151は、下クロス部152に対して、フレーム左方向に移動する。
【0233】
この移動により、上クロス部151は、上左連結シャフト153aと上右連結シャフト154aを中心として、それぞれ左前輪支持部153と右前輪支持部154に対して、車両101を車両後方向に見て反時計回りに回動する。同時に、下クロス部152は、下左連結シャフト153bと下右連結シャフト154bを中心として、それぞれ左前輪支持部153と右前輪支持部154に対して、車両101を車両後方向に見て反時計回りに回動する。これにより、左前輪支持部153と右前輪支持部154は、ヘッドパイプ104と平行な姿勢を保ったまま、車両上下方向に対して車両左方向に傾斜する。
【0234】
また、下クロス部152は、操舵力伝達ロッド166に対して、フレーム左方向に移動する。この移動により、操舵力伝達ロッド166は、中間ブラケット165に設けられた2つの軸部により、車両101を車両後方向に見て反時計回りに回動する。これにより、操舵力伝達ロッド166は、上クロス部151および下クロス部152と平行な姿勢を保つ。
【0235】
車両左方向への左前輪支持部153の傾斜に伴い、左前輪支持部153に支持されている左ブラケット163は、車両左方向に傾斜する。この傾斜に伴い、左ブラケット163に支持されている左フロントフォーク161も、車両左方向に傾斜する。これにより、左フロントフォーク161に支持されている左前輪102Lが、ヘッドパイプ104と平行な姿勢を保ったまま、車両左方向に傾斜する。
【0236】
車両左方向への右前輪支持部154の傾斜に伴い、右前輪支持部154に支持されている右ブラケット164は、車両左方向に傾斜する。この傾斜に伴い、右ブラケット164に支持されている右フロントフォーク162も、車両左方向に傾斜する。これにより、右フロントフォーク162に支持されている右前輪102Rが、ヘッドパイプ104と平行な姿勢を保ったまま、車両左方向に傾斜する。
【0237】
このように、上クロス部151、下クロス部152、および操舵力伝達ロッド166は車両左方向または車両右方向に傾くことなく車両左下方向に移動する。同時に、左前輪支持部153および右前輪支持部154は、リーン車体フレーム107と同じ角度だけ車両左方向に傾斜する。そのため、前輪102Lと前輪102Rの両方が路面に接地した状態で、リーン車体フレーム107が車両左方向に傾斜できる。
【0238】
なお、水平な路面上でリーン車体フレーム107が車両右方向に傾斜した場合、自動三輪車101は、上述した水平な路面上でリーン車体フレーム107が車両左方向に傾斜した場合と左右対称の動きをする。図17において、水平な路面上でリーン車体フレーム107が車両右方向に傾斜した場合の上クロス部151Rと操舵力伝達ロッド166Rの相対位置を破線で示している。リーン車体フレーム107の上下方向において、リンク機構105の上クロス部151は、リンク機構105の上端部に含まれる。また、リーン車体フレーム107の上下方向において、リンク機構105の操舵力伝達ロッド166は、リンク機構105の下端部に含まれる。車両101を車両後方向に見て、リンク機構105よりもリーン車体フレーム107の上方向の範囲は、図17の一点鎖線に示す直線L1より上方向である。つまり、リンク機構105よりもリーン車体フレーム107の上方向の範囲は、リンク機構105の上端部に含まれる上クロス部151の可動範囲よりもリーン車体フレーム107の上方向である。車両101を車両後方向に見て、リンク機構105よりもリーン車体フレーム107の下方向の範囲は、図17の一点鎖線に示す直線L2よりもリーン車体フレーム107の下方向である。つまり、リンク機構105よりもリーン車体フレーム107の下方向の範囲は、リンク機構105の下端部に含まれる操舵力伝達ロッド166の可動範囲よりもリーン車体フレーム107の下方向である。
【0239】
(V2X通信装置)
V2X通信装置30は、V2X通信用アンテナ131と電気的に接続されている。V2X通信装置30は、リーン車体フレーム107が車両左方向に傾斜している左旋回中およびリーン車体フレーム107が車両右方向に傾斜している右旋回中にV2X通信を行う。V2X通信装置30は、リーン車体フレーム107が直立状態のときもV2X通信を行う。
【0240】
(指向性V2X通信用アンテナ131の配置)
図14~17に示すように、指向性V2X通信用アンテナ131は、シート108に着座する運転者133の胴体部133aの前端よりも車両前方向に配置される。図14において、運転者133の胴体部133aの前端を通り、車両前後方向に垂直な面Dr11を直線で示す。指向性V2X通信用アンテナ131は、面Dr11よりも車両前方向に配置される。指向性V2X通信用アンテナ131は、フロントカバー121の車両後方向に配置される。具体的には、指向性V2X通信用アンテナは、ステー113aに、固定具を介して取り付けられる。ステー113aは、フロントカバー121に取り付けられるヘッドライトユニット113を、ヘッドパイプ104に固定するものである。指向性V2X通信用アンテナ131は、車両101を車両上方向または車両下方向に見て、車両101の車両左右方向のほぼ中央に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ131は、前輪102L、102Rのホイール102L2、102R2よりも車両上方向に配置される。指向性V2X通信用アンテナ131は、車両101の上部に配置される。指向性V2X通信用アンテナ131は、金属製であるヘッドパイプ104、リンク機構105、および操舵機構106よりも車両前方向に配置される。つまり、指向性V2X通信用アンテナ131は、車体カバー120の車両後方向に配置されている。そして、指向性V2X通信用アンテナ131は、車体カバー120の内面と車体カバー120の内部に配置された金属製のリンク機構105との間に配置される。より詳細には、指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム107が直立状態の自動三輪車101に搭載された時の姿勢の車載水平面Pahにおいて、リンク機構105の車両前方向に配置される。また、指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム107が直立状態の自動三輪車101に搭載された時の姿勢の車載水平面Pahにおいて、リンク機構105と指向性V2X通信用アンテナ131との距離であるアンテナ金属間距離W11が電磁波の波長の少なくとも2倍の距離になる位置に配置される。アンテナ金属間距離W11は、リンク機構105が指向性V2X通信用アンテナ131の放射特性に影響を与えない程度に十分に大きい距離である。指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム107が直立状態または傾斜状態のときに、リーン車体フレーム107の上下方向において、リンク機構105よりも上方向に配置される。つまり、指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム107の前後方向に見て、リーン車体フレーム107の上下方向において直線L1より上方向の範囲に配置される。
【0241】
指向性V2X通信用アンテナ131は、指向性V2X通信用アンテナ31と同じ上記特徴を有するため、その説明を省略する。
【0242】
本具体例2の自動三輪車101は、このような構成を有するため、上述の本実施形態の自動二輪車1および具体例1の自動二輪車1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0243】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、リンク機構105を有する。リンク機構105は、リーン車体フレーム107に支持され、少なくとも2つの前輪を接続する。リンク機構105は、金属で形成されている場合がある。金属は、アンテナの電磁波を反射する。つまり、リンク機構105が金属で形成されている場合は、リンク機構105はアンテナの放射特性に影響を与える。指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム107が直立状態および傾斜状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両101を車両前方向または車両後方向に見て、リンク機構105よりもリーン車体フレーム107の上方向に配置される。また、車両101の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム107が直立状態の自動三輪車101に搭載された時の姿勢の車載水平面Pah1において、リンク機構105よりも車両前方向に配置される。つまり、指向性V2X通信用アンテナ131は、その放射特性がリンク機構105による影響を受けにくい位置に配置される。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、V2X通信用アンテナ131の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両101の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0244】
車両101の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ131は、リーン車体フレーム107が直立状態の自動三輪車101に搭載された時の姿勢の車載水平面Pah1において、リンク機構105よりも車両前方向であって、アンテナ金属間距離W11だけリンク機構105から離れた位置に配置される。アンテナ金属間距離W11は、リンク機構105が指向性V2X通信用アンテナ131の放射特性に影響を与えない程度に十分に大きい距離である。アンテナ金属間距離は、例えば、リンク機構105が有る場合と無い場合で、指向性V2X通信用アンテナ131の3dBビーム幅が変化しない距離であってもよい。そのため、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、V2X通信用アンテナ131の搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いをより抑制しつつ、リーン車両101の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差をより抑制することができる。
【0245】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。また、後述する変更例は適宜組み合わせて実施することができる。
【0246】
指向性V2X通信用アンテナ31は、図12の構成に限らない。指向性V2X通信用アンテナ31は、上記特徴(I)~(III)を有するものであれば、どのような構成であってもよい。指向性V2X通信用アンテナ31の別の一例である指向性V2X通信用アンテナ31xについて、図18に基づいて説明する。図18に示す矢印AU、矢印AD、矢印AF、矢印AB、矢印AL、矢印ARは、図12に示す矢印AU、矢印AD、矢印AF、矢印AB、矢印AL、矢印ARと同じであり、その説明を省略する。指向性V2X通信用アンテナ31xは、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左右方向が車両左右方向に沿い、アンテナ前後方向が車両前後方向に沿い、アンテナ上下方向が車両上下方向に沿うように配置される。指向性V2X通信用アンテナ31xは、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左方向が車両左方向に一致し、アンテナ右方向が車両右方向に一致するように配置される。指向性V2X通信用アンテナ31xは、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31xを構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナ31xを構成する基板の下端と車両前後方向の同じ位置に配置されるように設けられる。なお、指向性V2X通信用アンテナ31xは、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ31xを構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナ31xを構成する基板の下端よりも車両後方向に位置するように配置されてもよい。
【0247】
また、車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32は、図18の指向性V2X通信用アンテナ31xと同じ構成であってもよい。その場合に、指向性V2X通信用アンテナ32(31x)は、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左右方向が車両左右方向に沿い、アンテナ前後方向が車両前後方向に沿い、アンテナ上下方向が車両上下方向に沿うように配置される。指向性V2X通信用アンテナ32(31x)は、リーン車体フレーム7が直立状態のときに、アンテナ左方向が車両右方向に一致し、アンテナ右方向が車両左方向に一致するように配置される。指向性V2X通信用アンテナ32(31x)は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ32(31x)を構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナ32(31x)を構成する基板の下端と同じ位置に配置されるように設けられる。指向性V2X通信用アンテナ32(31x)は、リーン車体フレーム7が直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1を車両左方向または車両右方向に見て、指向性V2X通信用アンテナ32(31x)を構成する基板の上端が指向性V2X通信用アンテナ32(31x)を構成する基板の下端よりも車両前方向に位置するように配置されてもよい。
【0248】
図18に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31xは、1つの給電放射素子253と、1つの給電放射素子253のアンテナ後方向に配置された金属板256とを有する。指向性V2X通信用アンテナ31は、基板250を有する。基板250は、アンテナ上下方向に沿って配置される。基板250は、アンテナ上下方向に細長い矩形状に形成される。基板250の矩形の少なくとも一辺は、アンテナ上下方向に沿う。基板250は、表面250aおよび裏面(図示せず)に直交する方向が車両左右方向となるように配置される。基板250の表面250aおよび裏面(図示せず)には、基板250に沿うように給電放射素子253が配置される。給電放射素子253は、一対の給電放射素子253a、253bからなるパッチアンテナである。給電放射素子253a、253bは、基板250の上部および下部にそれぞれ配置される。給電放射素子253a、253bは、それぞれ、アンテナ前後方向およびアンテナ上下方向に沿ったL字状に形成される。給電放射素子253a、253bは、それぞれ、アンテナ上下方向の長さがアンテナ前後方向の長さより長いL字状に形成される。一対の給電放射素子253a、253bは、基板250のアンテナ上下方向の中央を通りアンテナ前後方向に平行な直線に対して線対称になるように配置される。一対の給電放射素子253a、253bは、給電部254により給電される。給電放射素子253は、給電部254により給電されて励起する。そして、給電放射素子253は、アンテナとして機能する。基板250は、アンテナ上下方向が車載水平面に対して垂直方向になるように配置される。
【0249】
金属板256は、給電放射素子253のアンテナ後方向に配置される。金属板256は、基板250と別体で構成されている。金属板256は、表面(前面)に直交する方向がアンテナ前後方向となるように配置される。金属板256は、その表面(前面)が、基板250の表面250aおよび裏面に直交するように配置される。金属板256の表面(前面)は、平面であってもよく、曲面であってもよく、平面と曲面を両方有していてもよい。金属板256は、電磁波を反射する。そして、金属板256は、給電放射素子253の電磁波がアンテナ後方向に放射されるのを防止する。これにより、指向性V2X通信用アンテナ31xは、アンテナ後方向への電磁波の放射を抑制して、アンテナ前方向と、アンテナ左方向およびアンテナ右方向とへ電磁波を放射する。なお、金属板256は、基板250と別体で構成されなくてもよい。金属板256は、基板250のアンテナ後方向の端部に配置されて、基板250と一体で構成されてもよい。金属板256は、アンテナ上下方向が車載水平面に対して垂直方向になるように配置される。
【0250】
ここで、給電放射素子253に対する金属板256の大きさを変化させた場合の指向性V2X通信用アンテナ31xの放射特性のシミュレーション結果について、図19図22を用いて説明する。図19(a)~図22(a)にそれぞれ示すV2X通信用アンテナ31xa~31xdは、V2X通信用アンテナ31xの一例である。図19(a)~図22(a)は、V2X通信用アンテナ31xa~31xdをアンテナ後方向に見た時の、1つの給電放射素子253と金属板256とを示している。図19(b)~図22(b)は、V2X通信用アンテナ31xの車載水平面における放射特性を示す。図19(b)~図22(b)では、車載水平面において、車両前方向を0°、車両左方向を90°、車両後方向を180°、車両右方向を-90°として方向を設定している。つまり、図19(b)~図22(b)に示す車載水平面における車両左領域は、90°を含み、0°~180°の方向を含む範囲である。また、車載水平面における車両右領域は、-90°を含み、0°~180°の方向を含む範囲である。図19(c)~図22(c)は、V2X通信用アンテナ31xa~31xdの車載水平面および車載垂直面における放射特性を示す。図19(c)~図22(c)では、車両上方向を矢印U、車両左方向を矢印L、車両前方向を矢印Fとして表している。図19(c)~図22(c)では、指向性V2X通信用アンテナ31の球面座標系の3dBビーム幅を示している。図19(c)~図22(c)では、車両水平面を球面座標系のTheta、車両垂直面を球面座標系のPhiで表している。なお、図19(c)~図22(c)において、色の濃淡と放射利得の強弱とは関連していない。
【0251】
図19(a)および図19(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xaは、V2X通信用アンテナ31xaをアンテナ後方向に見て、給電放射素子253が金属板256aに重なる。また、V2X通信用アンテナ31xaは、V2X通信用アンテナ31xaをアンテナ後方向に見て、1つの給電放射素子253の面積に対する金属板256aの面積が大きい。図19(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xaの車載水平面における3dBビーム幅は、約60°~-60°である。なお、V2X通信用アンテナ31xaの車載水平面における最大利得の角度は、0°である。図19(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xaの車載水平面の3dBビーム幅は、車両左領域と車両右領域の両方に存在する。図19(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31xaの車載水平面の3dBビーム幅の大きさは、指向性V2X通信用アンテナ31xaの車載垂直面の3dBビーム幅より大きい。また、指向性V2X通信用アンテナ31xaの車載垂直面の3dBビーム幅が、車両上領域と車両下領域の両方に存在する。
【0252】
図20(a)および図20(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xbは、V2X通信用アンテナ31xbをアンテナ後方向に見て、給電放射素子253が金属板256bに重なる。また、V2X通信用アンテナ31xbは、V2X通信用アンテナ31xbをアンテナ後方向に見て、1つの給電放射素子253の面積に対する金属板256bの面積が大きい。しかし、図20(a)に示す金属板256は、図19(a)に示す金属板256aより小さい。図20(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xbの車載水平面における3dBビーム幅は、約80°~-80°である。なお、V2X通信用アンテナ31xbの車載水平面における最大利得の角度は、0°である。図20(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xbの車載水平面の3dBビーム幅は、車両左領域と車両右領域の両方に存在する。図20(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31xbの車載水平面の3dBビーム幅の大きさは、指向性V2X通信用アンテナ31xbの車載垂直面の3dBビーム幅より大きい。また、指向性V2X通信用アンテナ31xbの車載垂直面の3dBビーム幅が、車両上領域と車両下領域の両方に存在する。
【0253】
図21(a)および図21(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xcは、V2X通信用アンテナ31xcをアンテナ後方向に見て、給電放射素子253の一部が金属板256cに重なる。また、V2X通信用アンテナ31xcは、V2X通信用アンテナ31xcをアンテナ後方向に見て、1つの給電放射素子253の面積は金属板256cの面積とほぼ同じである。図21(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xcの車載水平面における3dBビーム幅は、約110°~-110°である。なお、V2X通信用アンテナ31xcの車載水平面における最大利得の角度は、15°である。図21(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xcの車載水平面の3dBビーム幅は、車両左領域と車両右領域の両方に存在する。図21(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31xcの車載水平面の3dBビーム幅の大きさは、指向性V2X通信用アンテナ31xcの車載垂直面の3dBビーム幅より大きい。また、指向性V2X通信用アンテナ31xcの車載垂直面の3dBビーム幅が、車両上領域と車両下領域の両方に存在する。
【0254】
図22(a)および図22(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xdは、V2X通信用アンテナ31xdをアンテナ後方向に見て、給電放射素子253の一部が金属板256dに重なる。また、V2X通信用アンテナ31xdは、V2X通信用アンテナ31xdをアンテナ後方向に見て、1つの給電放射素子253の面積に対する金属板256dの面積が小さい。図22(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xdの車載水平面における3dBビーム幅は、約115°~-115°である。なお、V2X通信用アンテナ31xdの車載水平面における最大利得の角度は、-20°である。図22(b)に示すように、V2X通信用アンテナ31xdの車載水平面の3dBビーム幅は、車両左領域と車両右領域の両方に存在する。図22(c)に示すように、指向性V2X通信用アンテナ31xdの車載水平面の3dBビーム幅の大きさは、指向性V2X通信用アンテナ31xdの車載垂直面の3dBビーム幅より大きい。また、指向性V2X通信用アンテナ31xdの車載垂直面の3dBビーム幅が、車両上領域と車両下領域の両方に存在する。
【0255】
なお、図18に示す指向性V2X通信用アンテナ31xは、1つの給電放射素子253と、1つの給電放射素子253のアンテナ後方向に配置された金属板256とを有するが、それに限らない。本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載されるV2X通信用アンテナは、アンテナ上下方向に並んだ複数の給電放射素子と、複数の給電放射素子のアンテナ後方向に配置された金属板とを有してよい。
【0256】
<指向性V2X通信用アンテナの配置の変形例>
上記第1および2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31を備えている。そして、第1および2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32を備えてもよい。本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32を備えず、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31のみを備えてもよい。また、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31および車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32の両方を備えてもよい。さらに、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31を備えず、車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32のみを備えてもよい。
【0257】
V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載されるV2X通信用アンテナが、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31のみである場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は以下の効果を有する。V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
また、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載されるV2X通信用アンテナが、車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32のみである場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は以下の効果を有する。V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
さらに、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1に搭載されるV2X通信用アンテナが、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31および車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32の両方である場合、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は以下の効果を有する。V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両前方向に存在する他のV2X通信装置およびV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1の車両後方向に存在する他のV2X通信装置に対して、V2X通信用アンテナの搭載位置の違いに依存するV2X通信の送受信性能の違いを抑制しつつ、リーン車両1の直進状態と旋回状態との違いに依存するV2X通信の送受信性能の差を抑制することができる。
【0258】
<V2X通信用アンテナのビーム幅の変形例>
上記第2の実施形態に係るV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、上記特徴(IV)、(V)、(VI)を有する。しかしながら、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、上記特徴(IV)、(V)、(VI)のいずれを有さなくてもよい。また、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、上記特徴(IV)、(V)、(VI)の少なくともいずれか1つ以上を有するものであってもよい。
【0259】
<リンク機構の変形例>
上記具体例2のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、リーン車体フレーム107に支持され、少なくとも2つの前輪を接続するリンク機構105を有する。しかしながら、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、リーン車体フレームに支持され、少なくとも2つの後輪を接続するリンク機構を有してよい。そして、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、V2X通信用アンテナとして、車両101の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ131のみを有している。しかしながら、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、V2X通信用アンテナとして、車両101の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ131および車両101の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナを有してもよい。または、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両101は、V2X通信用アンテナとして、車両101の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナのみを有してもよい。
【0260】
ここで、リンク機構が少なくとも2つの後輪を接続する場合、車両の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リンク機構よりも車両後方向に配置される。そして、車両の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナは、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢の車載水平面において、リンク機構よりも車両後方向であって、アンテナ金属間距離だけリンク機構から離れた位置に配置されることが好ましい。
【0261】
<リーン車両の変形例>
上記具体例1、2において、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両が適用されるリーン車両として、図8~11に示す自動二輪車1および図14~17に示す自動三輪車101を示したが、それに限らない。本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両が適用されるリーン車両は、左旋回中に車両左方向に傾斜し、右旋回中に車両右方向に傾斜するリーン車体フレームを有していれば、どのような形態のリーン車両であってもよい。
【0262】
<アンテナ金属間距離の変形例>
上記具体例1において、指向性V2X通信用アンテナ31は、指向性V2X通信用アンテナ31とリーン車体フレーム7との距離であるアンテナ金属間距離W1、W2が電磁波の波長の少なくとも2倍の距離になる位置に配置される。しかしながら、本発明の指向性V2X通信用アンテナは、指向性V2X通信用アンテナとリーン車体フレームとの距離が電磁波の波長の2倍よりも短い距離になる位置に配置されてもよい。また、上記実施形態の具体例2において、指向性V2X通信用アンテナ131は、指向性V2X通信用アンテナ131とリンク機構105との距離であるアンテナ金属間距離W11が電磁波の波長の少なくとも2倍の距離になる位置に配置される。しかしながら、本発明の指向性V2X通信用アンテナは、指向性V2X通信用アンテナとリンク機構との距離が電磁波の波長の2倍よりも短い距離になる位置に配置されてもよい。
【0263】
<V2X通信用アンテナ搭載リーン車両の変形例>
上記具体例1のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両1は、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31および車両1の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32を有している。しかしながら、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31および車両の後部に設けられる無指向性のV2X通信用アンテナを備えてもよい。無指向性のV2X通信用アンテナは、電磁波の放射特性が車載水平面で全周囲に均一な無指向性の特性を有する。なお、無指向性のV2X通信用アンテナの車載垂直方向の指向性は問わない。無指向性のV2X通信用アンテナは、例えば、無指向性の線状アンテナである。無指向性の線状アンテナは、具体的には、モノポールアンテナ、ホイップアンテナ、コリニアアンテナ、ブラウンアンテナ、および、ダイポールアンテナ等である。また、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32および車両の前部に設けられる無指向性のV2X通信用アンテナを備えてもよい。
【0264】
また、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両1の前部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ31を備え、且つ、第1の実施形態の指向性V2X通信用アンテナ31、32とは異なる放射特性を有し、車両の後部に設けられる指向性のV2X通信用アンテナを備えてもよい。第1の実施形態の指向性V2X通信用アンテナ31とは異なる放射特性を有する指向性のV2X通信用アンテナは、上記特徴(I)~(III)のいずれかの1つ以上の特徴を有さない指向性のV2X通信用アンテナである。例えば、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢において、V2X通信用アンテナを通る水平面である車載水平面の3dBビーム幅が、リーン車体フレームが直立状態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両に搭載された時の姿勢において、車載垂直面の3dBビーム幅と同じか小さく構成される、上記特徴(I)を有さない指向性のV2X通信用アンテナである。また、例えば、車載垂直面の3dBビーム幅が、車両上領域のみ、または、車両下領域のみに存在するよう構成される、上記特徴(II)を有さない指向性のV2X通信用アンテナである。また、例えば、車載水平面の3dBビーム幅が、車両左領域のみ、または、車両右領域のみに存在するように構成される、上記特徴(III)を有さない指向性のV2X通信用アンテナである。また、本発明のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、車両の後部に設けられる指向性V2X通信用アンテナ32を備え、且つ、第1の実施形態の指向性V2X通信用アンテナ31、32とは異なる放射特性を有し、車両の前部に設けられる指向性のV2X通信用アンテナを備えてもよい。
【0265】
また、本実施形態のV2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、前部に本実施形態の指向性V2X通信用アンテナを搭載している。ここで、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、単一アンテナとして、車載水平面における指向性を有さない無指向性のV2X通信用アンテナを車両の前部に搭載してもよい。単一アンテナとは、V2X通信用アンテナとして車両に1つだけ搭載されるV2X通信用アンテナである。但し、この単一無指向性V2X通信用アンテナは、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両のシートに着座する運転者の胴体部の前端よりも車両前方向に配置される。そして、この単一無指向性V2X通信用アンテナは、例えば、運転者がシートに着座した状態で、車載水平面における3dBビーム幅が車載垂直面における3dBビーム幅より大きくなる位置に配置される。また、例えば、この単一無指向性V2X通信用アンテナは、運転者がシートに着座した状態での車載水平面における3dBビーム幅が100度以上となる位置に配置される。好ましくは、この単一無指向性V2X通信用アンテナは、運転者がシートに着座した状態での車載水平面における3dBビーム幅が120度以上となる位置に配置される。より好ましくは、この単一無指向性V2X通信用アンテナは、運転者がシートに着座した状態での車載水平面における3dBビーム幅が180度以上となる位置に配置される。なお、この単一無指向性V2X通信用アンテナは、運転者がシートに着座した状態での車載水平面における3dBビーム幅が100度未満となる位置に配置されてもよい。
【0266】
さらに、V2X通信用アンテナ搭載リーン車両は、V2X通信用アンテナとして、車両の前部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナと、車両の後部に設けられた無指向性のV2X通信用アンテナを備えてもよい。この場合、車両の前部に設けられた前無指向性V2X通信用アンテナは、運転者がシートに着座した状態で、車載水平面における3dBビーム幅が車載垂直面における3dBビーム幅より大きくなる位置に配置される。また、車両の後部に設けられた後無指向性V2X通信用アンテナは、運転者がシートに着座した状態で、車載水平面における3dBビーム幅が車載垂直面における3dBビーム幅より大きくなる位置に配置される。また、例えば、運転者がシートに着座した状態で、前無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅が100度以上となり、かつ、前無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅および後無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅の合計が360度以下となる位置に配置される。なお、運転者がシートに着座した状態で、前無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅が100度以上となり、かつ、前無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅および後無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅の合計が360度より大きくなる位置に配置されてもよい。さらに、例えば、運転者がシートに着座した状態で、後無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅が100度以上となり、かつ、前無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅および後無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅の合計が360度以下となる位置に配置される。なお、運転者がシートに着座した状態で、後無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅が100度以上となり、かつ、前無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅および後無指向性V2X通信用アンテナの車載水平面における3dBビーム幅の合計が360度より大きくなる位置に配置されてもよい。
【0267】
<V2X通信用アンテナの変形例>
本発明において、V2X通信用アンテナとは、V2X通信を行うためのアンテナである。本発明において、V2X通信用アンテナは、車車間通信、路車間通信、または、歩車間通信のみを行うためのアンテナであってもよい。また、本発明のV2X通信用アンテナは、車車間通信、路車間通信、または、歩車間通信の少なくとも2つの通信を行うためのアンテナであってもよい。
【符号の説明】
【0268】
1、101 V2X通信用アンテナ搭載リーン車両
2、102 前輪部
2a、102L、102R 前輪
2a1、102L1、102R1 タイヤ
2a2、102L2、102R2 ホイール
3、103 後輪部
3a、103a 後輪
7、107 リーン車体フレーム
30 V2X通信装置
31、31A、31x、31xa、31xb、31xc、31xd、32、32A、131 指向性V2X通信用アンテナ
31u、31Au、32u、32Au 指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の上端
31d、31Ad、32d、32Ad 指向性V2X通信用アンテナを構成する基板の下端
105 リンク機構
502 他のV2X通信装置を搭載した車両
Al 車両左領域
Ar 車両右領域
Afl 車両前左領域
Afr 車両前右領域
Au 車両上領域
Ad 車両下領域
Pah、Pah1、Pah2 車載水平面
Pav、Pav1、Pav2 車載垂直面
Eph、Eph1、Eph2 車載水平面での3dBビーム幅
Epv、Epv1、Epv2 車載垂直面での3dBビーム幅
図1
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