(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】バルブタイミング制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 13/02 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
F02D13/02 H
(21)【出願番号】P 2018085864
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】平田 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】西尾 貴史
(72)【発明者】
【氏名】沖田 祐介
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080948(JP,A)
【文献】特開2012-136947(JP,A)
【文献】特開2003-097300(JP,A)
【文献】特開昭61-061928(JP,A)
【文献】特開2017-043192(JP,A)
【文献】特開2011-099492(JP,A)
【文献】特開2007-292038(JP,A)
【文献】特開2007-182864(JP,A)
【文献】特開2005-016413(JP,A)
【文献】特開2017-072102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(10)のクランク軸(11)に対するカム軸(16,17)の位相差であるカム軸位相を変化させることで、前記カム軸により開閉される吸気弁又は排気弁のバルブタイミングを変化させる位相可変装置(20)を制御対象とし、前記内燃機関の回転位置情報に基づいて前記カム軸位相を制御するバルブタイミング制御装置(30)であって、
前記内燃機関において共振が生じているか否かを判定する判定部と、
前記共振が生じていないと判定される場合に、前記カム軸位相の制御として通常制御を実施する第1制御部と、
前記共振が生じていると判定される場合に、前記カム軸位相の制御として前記通常制御と異なる保護制御を実施する第2制御部と、
を備え、
前記内燃機関は、前記回転位置情報である所定回転角度ごとのエンジン回転位置を検出する第1位置検出部(19)と、前記回転位置情報である所定回転角度ごとのカム回転位置を検出する第2位置検出部(18)とを備え、
前記位相可変装置は、前記カム軸位相の変化を生じさせるモータ(24)と、前記モータのモータ回転位置を検出する第3位置検出部(27)とを備え、
前記第1制御部は、前記通常制御として、検出された前記エンジン回転位置
と、前記カム回転位置
と、前記エンジン回転位置における上死点と前記カム回転位置との検出時刻差とに基づいて実際の前記カム軸位相を実位相として算出するとともに、その実位相に基づいて前記カム軸位相を制御し、
前記第2制御部は、前記保護制御として、検出された前記エンジン回転位置から算出されるエンジン回転角度と、検出された前記モータ回転位置から算出されるモータ回転角度と
、前記モータ回転角度とカム軸位相の変化量との比とに基づいて前記カム軸位相を制御す
るバルブタイミング制御装置。
【請求項2】
前記位相可変装置は、前記クランク軸の回転に伴って回転する第1回転体(21)と、前記第1回転体の回転に伴って回転することで前記カム軸を回転させる第2回転体(22)とを有し、前記第2回転体の位相を所定の作動範囲内で変化させることにより、前記カム軸位相を変化させ、
前記第1制御部及び前記第2制御部は、前記回転位置情報に基づいて、前記カム軸位相を目標位相に制御し、
前記第2制御部は、前記保護制御として、前記第2回転体の位相が前記作動範囲の中間に位置するように前記目標位相を設定する請求項
1に記載のバルブタイミング制御装置。
【請求項3】
前記第1制御部及び前記第2制御部は、前記回転位置情報に基づいて、前記カム軸位相を目標位相に制御し、
前記第2制御部は、前記保護制御として、前記カム軸位を前記目標位相に制御する際の位相変化速度の上限値を前記通常制御による前記位相変化速度の上限値よりも制限する請求項1
又は2に記載のバルブタイミング制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記回転位置情報の変化量又は変化率に基づいて、前記内燃機関に共振が生じているか否かを判定する請求項1~
3のいずれか一項に記載のバルブタイミング制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記位相可変装置における前記カム軸位相の変化量又は変化率に基づいて、前記内燃機関に共振が生じているか否かを判定する請求項1~
3のいずれか一項に記載のバルブタイミング制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内燃機関の回転位置情報に基づいて、吸気弁又は排気弁のバルブタイミングを制御するバルブタイミング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関におけるクランク軸に対するカム軸の回転位相差であるカム軸位相を可変することにより、カム軸の回転による吸気弁又は排気弁のバルブタイミングを制御するバルブタイミング制御装置が開示されている。具体的には、内燃機関はカム軸位相を可変する位相可変装置を備えている。バルブタイミング制御装置は、この位相可変装置を制御対象とすることで、エンジンの回転位置情報に基づいてカム軸位相を制御し、ひいては吸気弁又は排気弁のバルブタイミングを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンの共振によりクランク軸で回転変動が生じると、それに起因して、位相可変装置が意図せず過剰に操作されることが懸念される。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みたものであり、エンジンの共振が生じる場合でも、位相可変装置が過剰に操作されるのを防止することができるバルブタイミング制御装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明では、内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相であるカム軸位相を変化させることで、前記カム軸により開閉される吸気弁又は排気弁のバルブタイミングを変化させる位相可変装置を制御対象とし、前記内燃機関の回転位置情報に基づいて前記カム軸位相を制御するバルブタイミング制御装置に関するものである。バルブタイミング制御装置は、前記内燃機関において共振が生じているか否かを判定する判定部と、前記共振が生じていないと判定される場合に、前記カム軸位相の制御として通常制御を実施する第1制御部と、前記共振が生じていると判定される場合に、前記カム軸位相の制御として前記通常制御と異なる保護制御を実施する第2制御部と、を備える。前記内燃機関は、前記回転位置情報である所定回転角度ごとのエンジン回転位置を検出する第1位置検出部と、前記回転位置情報である所定回転角度ごとのカム回転位置を検出する第2位置検出部とを備える。前記位相可変装置は、前記カム軸位相の変化を生じさせるモータと、前記モータのモータ回転位置を検出する第3位置検出部とを備える。前記第1制御部は、前記通常制御として、検出された前記エンジン回転位置と、前記カム回転位置と、前記エンジン回転位置における上死点と前記カム回転位置との検出時刻差とに基づいて実際の前記カム軸位相を実位相として算出するとともに、その実位相に基づいて前記カム軸位相を制御する。前記第2制御部は、前記保護制御として、検出された前記エンジン回転位置から算出されるエンジン回転角度と、検出された前記モータ回転位置から算出されるモータ回転角度と、前記モータ回転角度とカム軸位相の変化量との比とに基づいて前記カム軸位相を制御する。
【0007】
内燃機関の回転位置情報に基づいてカム軸位相を制御する構成では、内燃機関に共振が生じると、回転位置情報が適正に検出されず、位相可変装置が意図せず過剰に操作されることが懸念される。この点、上記構成では、内燃機関の共振が生じていないと判定される場合に、カム軸位相の制御として通常制御が実施される。一方で、内燃機関の共振が生じていると判定される場合に、カム軸位相の制御として通常制御と異なる保護制御が実施される。この場合、内燃機関の共振の影響により、回転位置情報が適正に検出できない場合でも、保護制御により位相可変装置が過剰に操作されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】カム軸位相に対する通常制御の手順を説明するフローチャート。
【
図4】カム軸位相に対する制御を、通常制御と保護制御との間で切替える手順を説明するフローチャート。
【
図5】カム軸位相に対する保護制御の手順を説明するフローチャート。
【
図6】カム軸位相に対する保護制御を説明するタイミングチャート。
【
図7】第2実施形態に係るカム軸位相に対する保護制御の手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
バルブタイミング制御装置の実施形態である制御装置を、図を用いて説明する。制御装置は、車両における内燃機関であるエンジンに適用され、エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブタイミングを制御する。
【0010】
図1に示すように、エンジン10は、クランク軸11からの動力がタイミングベルト12により各スプロケット13、15を介して吸気側カム軸16と排気側カム軸17とに伝達されるようになっている。また、吸気側カム軸16には、モータ駆動式の位相可変装置20が設けられている。位相可変装置20は、クランク軸11に対する吸気側カム軸16の回転位相差を示すカム軸位相を可変することにより、吸気側カム軸16によって開閉駆動される吸気バルブのバルブタイミングを可変する。
【0011】
図2に示す位相可変装置20は、クランク軸11の回転に伴って回転するアウタギヤ21と、アウタギヤ21の回転に伴って回転することで吸気側カム軸16を回転させるインナギヤ22とを備えている。本実施形態では、アウタギヤ21は、吸気側カム軸16と同軸上に配置された内歯付きのギヤであり、クランク軸11と一体的に回転するようにスプロケット13内に設けられている。インナギヤ22は、アウタギヤ21の内周側に同心状に配置された外歯付きのギヤであり、吸気側カム軸16と一体的に回転するようにスプロケット13内に設けられている。本実施形態では、アウタギヤ21が第1回転体に相当し、インナギヤ22が第2回転体に相当する。
【0012】
位相可変装置20には、アウタギヤ21とインナギヤ22との間で両者に噛み合う遊星ギヤ23が設けられている。遊星ギヤ23は、インナギヤ22の回りを旋回することにより、アウタギヤ21の回転力をインナギヤ22に伝達する。インナギヤ22の回転速度に対する遊星ギヤ23の旋回速度を制御することにより、アウタギヤ21に対するインナギヤ22の回転位相が変化し、ひいてはカム軸位相を変化させることができる。
【0013】
位相可変装置20は、インナギヤ22の回動範囲を制限する制限部を備えている。本実施形態では、制限部は、インナギヤ22の径外方向へ突出する凸部と、スプロケット13におけるインナギヤ22が収容される収容室の内壁に形成される凹部とにより構成されている。インナギヤ22がアウタギヤ21に対して遅角方向へ相対的に回動する場合、凸部の遅角側端面が凹部の内周壁に形成されたストッパ部に突き当たることでインナギヤ22の遅角側の回動が制限される。一方、インナギヤ22がアウタギヤ21に対して進角方向へ相対的に回動する場合、凸部の進角側端面が凹部のストッパ部に突き当たることでインナギヤ22の進角側の回動が制限される。そのため、インナギヤ22の位相が最進角位置MAPと最遅角位置MRPとの間の所定作動範囲に制限されることにより、カム軸位相が制限される。
【0014】
位相可変装置20は、遊星ギヤ23の旋回速度を可変するモータ24を備えている。モータ24の回転軸25は、吸気側カム軸16、アウタギヤ21及びインナギヤ22と同軸上に配置され、このモータ24の回転軸25と遊星ギヤ23の支持軸26とが、径方向に延びる連結部材を介して連結されている。これにより、モータ24が回転駆動することにより、遊星ギヤ23が支持軸26を中心に回転(自転)しながらインナギヤ22の外周の円軌道を旋回できるようになっている。
【0015】
本実施形態では、位相可変装置20により吸気バルブ55のバルブタイミングを進角する場合、モータ24の回転速度を吸気側カム軸16の回転速度よりも速くする。これにより、遊星ギヤ23の旋回速度がインナギヤ22の回転速度よりも速くなるため、カム軸位相が進角され、ひいてはバルブタイミングが進角される。
【0016】
また、位相可変装置20により吸気バルブのバルブタイミングを遅角する場合、モータ24の回転速度を吸気側カム軸16の回転速度よりも遅くする。これにより、遊星ギヤ23の旋回速度がインナギヤ22の回転速度よりも遅くなるため、カム軸位相が遅角され、ひいてはバルブタイミングが遅角される。
【0017】
クランク軸11の外周側には、所定のエンジン角度毎にエンジン回転位置を検出するクランク角センサ19が取り付けられている。クランク軸11には、クランク軸11の所定回転角度毎に歯が形成されたタイミングロータを備えている。また、タイミングロータには、欠け歯部が形成されている。クランク角センサ19は、タイミングロータの歯を検出することにより、エンジン回転位置として、所定回転角度毎のクランク角信号CS1を出力する。また、クランク角センサ19が欠け歯部に対向する場合、クランク角信号CS1のオフ期間が通常のオフ期間よりも長くなることにより、エンジン10の上死点TDCのタイミングを検出することができる。
【0018】
吸気側カム軸16の外周側には、所定のカム角毎にカム回転位置を検出するカム角センサ18が取り付けられている。吸気側カム軸16には、タイミングロータが取り付けられている。カム角センサ18は、タイミングロータの歯を検出することにより、カム回転位置として、吸気側カム軸16の1回転に応じたカム角信号CS2を出力する。モータ24には、モータ24のモータ回転位置を検出するモータ回転角センサ27が取り付けられている。
【0019】
本実施形態では、クランク角センサ19が第1位置検出部に相当し、カム角センサ18が第2位置検出部に相当する。また、本実施形態では、モータ回転角センサ27が第3位置検出部に相当する。
【0020】
各種センサ18,19,27の出力は、制御装置30に入力される。制御装置30が提供する各機能は、例えば、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって提供される。
【0021】
制御装置30は、位相可変装置20を制御対象として、クランク角信号CS1とカム角信号CS2とに基づいて、カム軸位相を制御する。制御装置30が実施するカム軸位相に対する通常制御では、現在のカム軸位相を示す実位相が算出され、この実位相を、運転状態に応じて設定される目標位相に近づけるようにモータ24の回転速度がフィードバック制御される。
【0022】
まずは、
図3を用いて、カム軸位相に対する通常制御を説明する。
図3に示す通常制御は、通常制御の実施を示すフラグがハイ状態になっている場合において、制御装置30により所定周期で繰り返し実行される。
図3に示す処理が、第1制御部に相当する。
【0023】
ステップS11では、エンジンの運転状態等に基づいて目標位相VTtgを設定する。
【0024】
ステップS12~ステップS15では、クランク角センサ19から出力されるクランク角信号CS1と、カム角センサ18から出力されるカム角信号CS2とに基づいて現在のカム軸位相を示す実位相VTrを算出する。
【0025】
まず、ステップS12では、クランク角信号CS1により上死点TDCのタイミングが検出されてからカム角信号CS2が入力されるまでの時刻差TVTを算出する。
【0026】
ステップS13では、ステップS12で算出した時刻差TVTを用いて、上死点TDCに対するカム角信号CS2の回転位相VTBを算出する。例えば、カム角信号CS2の回転位相VTBは、下記式(1)により算出される。
【0027】
VTB=TVT/T120×120℃A … (1)
ここで、T120は、クランク軸11が120℃A回転するのに要する時間であり、例えば、クランク角信号CS1に基づいて算出される。
【0028】
ステップS14では、インナギヤ22の最遅角位置MRPに対するカム角信号CS2の回転位相VTCを算出する。例えば、回転位相VTCは、下記式(2)により算出される。
VTC=VTB-VTBK … (2)
ここで、VTBKは、インナギヤ22の位相が最遅角位置MRPである場合の、上死点TDCに対するカム角信号CS2の回転位相VTBであり、例えば、学習により取得される値である。
【0029】
ステップS15では、ステップS14で算出した回転位相VTCに基づいてカム角信号CS2の出力時における実位相VTrを算出する。本実施形態では、一例として、回転位相VTCをそのまま実位相VTrとして算出している。
【0030】
ステップS16では、ステップS11で設定した目標位相VTtgと、ステップS15で算出した実位相VTrとの偏差に基づいて、要求変化速度Vreq[℃A/s]を算出する。要求変化速度Vreqは、実位相VTrを目標位相VTtgにフィードバック制御する際の実位相VTrの変化速度を示す。例えば、要求変化速度Vreqは、実位相VTrの変化方向が進角側のときにプラスの値となり、遅角側のときにマイナスの値となる。
【0031】
ステップS17では、ステップS16で算出した要求変化速度Vreqの絶対値が、第1制限速度Vs1よりも大きいか否かを判定する。要求変化速度Vreqの絶対値が第1制限速度Vs1よりも大きいと判定すると、ステップS18に進み、要求変化速度Vreqの絶対値を第1制限速度Vs1に制限するガード処理を実施する。
【0032】
一方、ステップS17において、要求変化速度Vreqの絶対値が第1制限速度Vs1以下と判定した場合、ステップS19に進む。この場合、ステップS16で算出した要求変化速度Vreqに対してガード処理を実施しない。
【0033】
ステップS19では、要求変化速度Vreqに基づいて、モータ24の回転速度を制御する。例えば、要求変化速度Vreqに基づいてモータ24が遊星ギヤ23を旋回させるのに必要な要求トルクを算出し、算出した要求トルクに基づいてモータ24の回転速度を制御する。ステップS19の処理において、実位相VTrが目標位相VTtgに近づくように遊星ギヤ23の旋回速度が制御されることにより、カム軸位相が制御される。
【0034】
ステップS19を実施すると、
図3の処理を一旦終了する。
【0035】
図3に示す通常制御では、実位相VTrの算出時において、クランク角信号CS1により上死点TDCのタイミングが検出される。しかし、エンジン10の共振によりクランク軸11の回転変動が生じると、それに起因してクランク角信号CS1を用いた上死点TDCのタイミングの検出が不安定になる場合がある。具体的には、共振によりクランク軸11の回転変動が生じると、クランク角信号CS1のパルス間隔が変動し、上死点TDCのタイミングを示す欠け歯の位置を検出できなくなる場合がある。その結果、クランク角信号CS1及びカム角信号CS2に基づいて算出される実位相VTrの算出精度が低下し、カム軸位相を適正に制御できなくなることが懸念される。
【0036】
そこで、制御装置30は、エンジン10に共振が生じているか否かを判定する。そして、エンジン10に共振が生じていないと判定した場合は、カム軸位相の制御として通常制御を実施する。一方で、エンジン10に共振が生じていると判定した場合は、カム軸位相の制御として通常制御と異なる保護制御を実施する。
【0037】
ここで、モータ24の回転位置はエンジン10の共振の影響を受けにくいと言える。また、エンジン10の共振によりクランク軸11に回転変動が生じていても、クランク角信号CS1のパルスを検出することは可能であり、検出したクランク角信号CS1のパルスからエンジン回転角度を算出することができる。そのため、モータ回転角センサ27の検出値により算出されるモータ回転角度と、エンジン回転角度とを用いれば、実位相VTrを算出することが可能である。そこで、本実施形態では、制御装置30は、保護制御として、エンジン回転角度とモータ回転角度とに基づいて実位相VTrを算出し、算出した実位相VTrに基づいてカム軸位相を制御する。
【0038】
また、エンジン10の共振に伴うクランク軸11の回転変動により、インナギヤ22の位相が進角側又は遅角側に過剰に操作されるおそれがある。そこで、本実施形態では、制御装置30は、保護制御として、実位相VTrの目標値である目標位相VTtgを、インナギヤ22が作動範囲の中間に位置するように設定する。
【0039】
図4を用いて、カム軸位相に対する制御を通常制御と保護制御との間で切替える手順を説明する。
図4に示す処理は、制御装置30により所定周期で繰り返し実施される。
【0040】
ステップS21では、クランク角信号CS1に基づいて、エンジン回転速度の変化率を示す速度変化率RNEを算出する。本実施形態では、前回の演算周期において、クランク角信号CS1により算出したエンジン回転速度と、今回の演算周期においてクランク角信号CS1により算出したエンジン回転速度との差から速度変化率RNEを算出する。
【0041】
ステップS22では、現在、保護制御を実施しているか否かを判定する。ここでは、現在、保護制御を実施していないとしてステップS23に進む。ステップS21,S22が判定部に相当する。
【0042】
ステップS23では、ステップS21で算出した速度変化率RNEが第1変化率閾値THAよりも大きいか否かを判定する。第1変化率閾値THAは、エンジン10に共振が生じている場合に想定されるエンジン10の回転速度の変化率の下限値である。
【0043】
速度変化率RNEが第1変化率閾値THA以下であると判定すると、ステップS27に進み、通常制御を継続する。本実施形態では、通常制御を実施していることを示す第1フラグF1をハイ状態に維持し、保護制御を実施していることを示す第2フラグF2をロー状態に維持する。そして、
図4の処理を一旦終了する。
【0044】
一方、ステップS23において、速度変化率RNEが第1変化率閾値THAよりも大きければ、ステップS24に進み、第1カウンタCo1を増加させる。第1カウンタCo1は、速度変化率RNEが第1変化率閾値THAよりも大きい状態が継続される時間を計測する値である。
【0045】
ステップS25では、第1カウンタCo1が開始側判定値THBよりも大きいか否かを判定する。第1カウンタCo1が開始側判定値THB以下と判定すると、ステップS27に進み、通常制御を継続する。
【0046】
図4の処理を実施するごとに速度変化率RNEが第1変化率閾値THAよりも大きいと判定すると、ステップS24による第1カウンタCo1の増加が継続される。なお、
図4の処理が繰り返される間に、ステップS23で速度変化率RNEが第1変化率閾値THAよりも小さいと判定すると、第1カウンタCo1をゼロにリセットする。
【0047】
ステップS25において、第1カウンタCo1が開始側判定値THBよりも大きいと判定すると、ステップS26に進む。ステップS26では、保護制御を開始する。本実施形態では、保護制御を実施していることを示す第2フラグF2をロー状態からハイ状態に変化させ、通常制御を実施していることを示す第1フラグをハイ状態からロー状態に変化させる。そして、
図4の処理を一旦終了する。
【0048】
次の演算周期においてステップS22に進み、第2フラグF2がハイ状態となっていることで保護制御の実施中であると判定すると、ステップS30に進む。
【0049】
ステップS30では、速度変化率RNEが第2変化率閾値THCよりも小さいか否かを判定する。第2変化率閾値THCは、エンジン10が共振していない場合の、クランク角信号CS1の変化率の上限値を示す値であり、第1変化率閾値THAよりも小さな値である。速度変化率RNEを第2変化率閾値THC以上と判定すると、共振が継続していると判定でき、
図4の処理を一旦終了する。
【0050】
ステップS30において、速度変化率RNEが第2変化率閾値THCよりも小さいと判定すると、ステップS31に進み、第2カウンタCo2を増加させる。第2カウンタCo2は、速度変化率RNEが第2変化率閾値THCよりも小さい状態が継続される時間を判定する値である。
【0051】
ステップS32では、第2カウンタCo2が終了側判定値THDよりも大きいか否かを判定する。第2カウンタCo2が終了側判定値THD以下と判定すると、
図4の処理を一旦終了する。
図4の処理を実施するごとに、速度変化率RNEを第2変化率閾値THCよりも小さいと判定すると、ステップS31による第2カウンタCo2の増加が継続される。なお、
図4の処理が繰り返される間に、ステップS30で速度変化率RNEが第2変化率閾値THCよりも大きいと判定すると、第2カウンタCo2をゼロにリセットする。
【0052】
ステップS32において、第2カウンタCo2が終了側判定値THDよりも大きいと判定すると、ステップS33に進む。ステップS33では、保護制御の実施を解除する。本実施形態では、第2フラグF2をハイ状態からロー状態に変化させ、第1フラグF1をロー状態からハイ状態に変化させることにより、保護制御の実施を解除する。
【0053】
次に、本実施形態に係る保護制御の手順について、
図5を用いて説明する。
図5に示す保護制御は、
図4のステップS26の処理により第2フラグF2がハイ状態となっている場合に、制御装置30により所定周期で繰り返し実施される。
図5の処理が第2制御部に相当する。
【0054】
ステップS41では、所定時間T内における、クランク角信号CS1のカウント数の変化量ΔCcrを算出する。本実施形態では、今回の演算周期でのクランク角信号CS1のカウント数の積算値Ccr(i)から、前回の演算周期でのクランク角信号CS1のカウント数の積算値Ccr(i-1)を引いた値を、所定時間T内でのクランク角信号CS1における今回のカウント数の変化量ΔCcrとして算出する。
【0055】
なお、クランク角信号CS1のカウント数は、クランク軸11の2回転当たりのクランク角信号CS1の出力回数と、モータ24の1回転当たりのモータ角信号の出力回数とが同一になるように、クランク角信号CS1のカウント値が補正されることが望ましい。
【0056】
ステップS42では、所定時間T内における、モータ角信号CS3のカウント数の変化量ΔCmoを算出する。本実施形態では、今回の演算周期でのモータ角信号CS3のカウント数の積算値Cmo(i)から、前回の演算周期でのモータ角信号CS3のカウント数の積算値Cmo(i-1)を引いた値を、モータ角信号CS3における今回のカウント数の変化量ΔCmoとして算出する。
【0057】
ステップS43では、クランク角信号CS1のカウント数の変化量ΔCcrと、モータ角信号CS3のカウント数の変化量ΔCmoとに基づいて、インナギヤ22(吸気側カム軸16)に対するモータ24の回転角度変化量Dを算出する。本実施形態では、ステップS41,S42それぞれで算出した各カウント数の変化量ΔCcr,ΔCmoの差Cを算出する。そして、算出した差Cに、カウント数当たりのインナギヤ22に対するモータ24の角度変化量CDを積算することにより、インナギヤ22に対するモータ24の回転角度変化量Dを算出する。例えば、角度変化量CDは換算係数であり、モータ角信号CS3とクランク角信号CS1のカウント値の変化量の差Cが1カウントとなる場合のインナギヤ22に対するモータ24の回転角度変化量に相当する。
【0058】
ステップS44では、下記式(3)を用いて、インナギヤ22に対するモータ24の回転角度変化量Dを、演算周期当たりのカム軸位相の変化量dVTHに換算する。
dVTH=D/G … (3)
ここで、Gは位相可変装置20の減速比であり、インナギヤ22に対するモータ24の相対回転量とカム軸位相の変化量との比である。
【0059】
ステップS45では、ステップS44で算出した演算周期当たりのカム軸位相の変化量dVTHを最遅角位置MRPからカム角信号CS2が検出されるまでの期間で積算することにより、カム軸位相の積算変化量ΔVTHを算出する。
【0060】
ステップS46では、最遅角位置MRPに対するカム角信号CS2の回転位相VTCに、ステップS45で算出した現在の積算変化量ΔVTHを加算した値を、現在の実位相VTrとして算出する。ステップS46で用いられる回転位相VTCは、
図3のステップS14で算出されるものと同様のものを用いることができる。
【0061】
ステップS47では、目標位相VTtgを、インナギヤ22が所定作動範囲の中間に位置するように設定する。本実施形態では、目標位相VTtgを、予め定められた位相範囲の中間位相VT1に設定する。
【0062】
ステップS48では、ステップS46で算出した実位相VTrと、ステップS47で設定した中間位相VT1とに基づいて、要求変化速度Vreqを算出する。
【0063】
ステップS49では、ステップS48で算出した要求変化速度Vreqに基づいて、モータ24の回転速度を制御する。ステップS49の処理により、保護制御後の実位相VTr及び目標位相VTtgにより遊星ギヤ23の旋回速度が制御され、カム軸位相が制御される。
【0064】
図6は、本実施形態に係る制御装置30のタイミングチャートである。
図6(a)は、エンジン回転速度NEの推移を示し、
図6(b)は、速度変化率RNEの推移を示す。なお、
図6(b)では、速度変化率RNEを離散的な値により示している。
図6(c)は、第1カウンタCo1の推移を示し、
図6(d)は、第2カウンタCo2の推移を示す。
図6(e)は、第2フラグF2の推移を示し、
図6(f)は、実位相VTrの推移を示す。
【0065】
図6では、時刻t2以前では、目標位相VTtgが最進角位置MAPから最遅角位置MRPまでの範囲において、エンジン回転速度NEに応じて設定されている。そして、この目標位相VTtgに応じて、実位相VTrが制御されている。なお、時刻t1以前からエンジン回転速度NEが緩やかに減少しており、時刻t2で、エンジン10の共振が生じ始めている。
図6では、時刻t2から時刻t6までの期間TAで、エンジン10の共振が生じており、この期間TAでのエンジン回転速度NEの変化が時刻t2以前及び時刻t6以後でのエンジン回転速度NEの変化よりも大きくなっている。
【0066】
時刻t2以後、速度変化率RNEが増加しており、時刻t3で、速度変化率RNEが第1変化率閾値THAを上回ることにより、第1カウンタCo1の増加が開始される。時刻t3以後、速度変化率RNEは、継続して第1変化率閾値THAを上回ることにより、第1カウンタCo1は継続して増加される。そして、時刻t4で、第1カウンタCo1が開始側判定値THBを上回ることにより、第2フラグF2がロー状態からハイ状態に変化し、保護制御が開始される。
【0067】
時刻t4から時刻t6の期間において実施される保護制御では、目標位相VTtgが最進角位置MAPと最遅角位置MRPとの間の中間位相VT1に設定される。そのため、時刻t4から時刻t6の期間では、エンジン回転速度NEの変化に依らず、実位相VTrは、中間位相VT1に制御されている。
【0068】
その後、時刻t5で、速度変化率RNEが第2変化率閾値THCを下回ることにより、第2カウンタCo2の増加が開示される。時刻t5以後、速度変化率RNEは、継続して第2変化率閾値THCを下回っている。時刻t6で、第2カウンタCo2が終了側判定値THDを上回ることにより、第2フラグF2がハイ状態からロー状態に変化し、保護制御が解除される。そのため、時刻t6以後では、カム軸位相は通常制御により制御されており、実位相VTrはエンジン回転速度NEに応じて定められる目標位相VTtgに制御されている。
【0069】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0070】
・制御装置30は、エンジン10に共振が生じていないと判定した場合に、カム軸位相の制御として通常制御を実施する。一方で、エンジン10に共振が生じていると判定した場合に、カム軸位相の制御として通常制御と異なる保護制御を実施する。この場合、エンジン10の共振の影響により、回転位置情報が適正に検出できない場合でも、保護制御により位相可変装置20が過剰に操作されるのを防止することができる。
【0071】
・制御装置30は、エンジン10の共振が生じていないと判定する場合、通常制御として、クランク角信号CS1から検出される上死点TDCのタイミングとカム角信号CS2とに基づいて実位相VTrを算出し、その実位相VTrに基づいてカム軸位相を制御する。また、エンジン10の共振が生じていると判定する場合、保護制御として、クランク角信号CS1から算出されるエンジン回転角度とモータ角信号CS3から算出されるモータ回転角度とに基づいてカム軸位相を制御する。この場合、エンジン回転角度及びモータ回転角度といった既存の情報を流用して保護制御を実施することができるため、新たなセンサを追加することなく、位相可変装置20が過剰に操作されるのを防止することができる。
【0072】
・エンジン10の共振により、位相可変装置20のカム軸位相が進角側又は遅角側に過剰に操作されるおそれがある。この点、制御装置30は、保護制御として、インナギヤ22が作動範囲の中間に位置するように目標位相VTtgを設定する。この場合、共振により、インナギヤ22が進角側又は遅角側に過剰に操作されることにより、制限部の凸部が凹部のストッパに衝突するのを抑制できる。
【0073】
・制御装置30は、エンジン回転速度NEの速度変化率RNEに基づいて、エンジン10の共振が生じているか否かを判定する。この場合、エンジン10の共振が生じているか否かを、エンジン10の回転状態から判定することができ、共振の有無を容易に判定することができる。
【0074】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0075】
エンジン10の共振の影響により、制御装置30が実位相VTrを過剰に大きく算出する場合や過剰に小さく算出する場合、この実位相VTrを目標位相VTtgに制御する際の位相変化速度が大きくなることが懸念される。実位相VTrの位相変化速度が大きくなることで、例えば、インナギヤ22の位相変化が大きくなり、制限部の凸部が凹部のストッパに過剰な速度で衝突することが懸念される。そこで、本実施形態では、制御装置30は、保護制御として、実位相VTrを目標位相VTtgにフィードバック制御する際の位相変化速度の上限値を、通常制御での位相変化速度の上限値よりも制限している。
【0076】
本実施形態に係る保護制御の手順について、
図7を用いて説明する。
図7に示す保護制御は、
図4のステップS26の制御により第2フラグF2がハイ状態となっている場合に、制御装置30により所定周期で繰り返し実施される。
【0077】
ステップS60では、クランク角信号CS1により検出される上死点TDCのタイミングと、カム角信号CS2とに基づいて、実位相VTrを算出する。なお、本実施形態では、ステップS60での実位相VTrの算出方法は、
図3のステップS12~S15での実位相VTrの算出方法と同様である。
【0078】
ステップS61では、エンジン10の運転状態に応じて、目標位相VTtgを設定する。
【0079】
ステップS49では、ステップS60で算出した実位相VTrとステップS61で設定した目標位相VTtgとの偏差に基づいて、要求変化速度Vreqを算出する。
【0080】
ステップS62では、ステップS49で算出した要求変化速度Vreqの絶対値が、第2制限速度Vs2よりも大きいか否かを判定する。第2制限速度Vs2は、通常制御でのガード処理(ステップS17)で用いられる第1制限速度Vs1よりも低い速度を示す。
【0081】
例えば、第2制限速度Vs2は、制限部の凸部が、凹部のストッパに衝突した場合でも、アウタギヤ21、インナギヤ22及び遊星ギヤ23の噛み込みや損傷が発生しない比較的遅い位相変化速度である。
【0082】
ステップS62において、要求変化速度Vreqの絶対値が第2制限速度Vs2よりも大きいと判定すると、ステップS64に進み、要求変化速度Vreqの絶対値を第2制限速度Vs2に制限する。そして、ステップS50に進む。一方、上記ステップS62で、要求変化速度Vreqの絶対値が第2制限速度Vs2以下と判定した場合、ステップS50に進む。
【0083】
ステップS50では、要求変化速度Vreqに基づいて、モータ24の回転速度を制御する。そのため、ステップS50の処理により、実位相VTrの変化速度の上限値が通常制御での実位相VTrの変化速度の上限値よりも制限された状態で、実位相VTrが目標位相VTtgに近づけられる。
【0084】
以上説明した本実施形態では、制御装置30は、保護制御として、実位相VTrを目標位相VTtgに制御する際の実位相VTrの変化速度の上限値を通常制御による位相変化速度の上限値よりも制限する。この場合、アウタギヤ21に対するインナギヤ22の相対速度が過剰に大きくなることで、制限部の凸部が凹部のストッパに過剰な速度で衝突するのを防止することができる。
【0085】
(その他の実施形態)
エンジン10の共振が生じているか否かの判定として、実位相VTrの変化量や変化率を判定してもよい。この場合、
図4のステップS21において、制御装置30は、位相可変装置20における実位相VTrの変化量又は変化率を算出する。そして、ステップS23において、ステップS21で算出した実位相VTrの変化量又は変化率が所定値以上であると判定すると、ステップS26に進み保護制御を開始すればよい。この場合、共振の影響によるカム軸位相の変化態様を直接判定することで、保護制御の不要作動を抑制することができる。
【0086】
・制御装置30は、エンジン回転速度NEの変化量に基づいて、エンジン10の共振が生じているか否かを判定してもよい。
【0087】
・制御装置30は、保護制御として、クランク角信号CS1及びモータ角信号CS3に基づく実位相VTrの算出、目標位相VTtgを中間位相VT1に設定する処理、及び要求変化速度Vreqの第2制限速度Vs2への制限を合わせて実施してもよい。
【0088】
・制御装置30は、排気バルブのバルブタイミングを制御する際に、保護制御を実施してもよい。
【0089】
・カム角信号CS2に基づいて上死点TDCのタイミングを検出できる場合、上死点TDCのタイミングをカム角信号CS2に基づいて検出してもよい。
【符号の説明】
【0090】
11…クランク軸、16…吸気側カム軸、20…位相可変装置、30…制御装置。