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特許7125295水受けの取付構造及びそれを備えた飲料サーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】水受けの取付構造及びそれを備えた飲料サーバ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/16 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
B67D1/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018133681
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020011741
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000179373
【氏名又は名称】山田電器工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 誠
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210480(JP,A)
【文献】特開2003-097823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料サーバ本体の前側下部に水平方向にスライド移動可能に配置された容器状の水受けを、該飲料サーバ本体に対して着脱可能に取り付ける構造であって、
上記水受けに設けられた係合部と、
上記飲料サーバ本体に、上記水受けの移動方向と略直交する方向に沿って突出位置及び非突出位置の間を移動可能に設けられ、該水受けが該飲料サーバ本体に装着された装着位置にあるときに、突出位置に移動して上記水受けの係合部に係合し水受けを該装着位置に保持する係止部と、
上記係止部を上記非突出位置から上記突出位置に向かって付勢する付勢手段とを備え、
上記水受けがスライド移動するときに、上記係止部が上記付勢手段の付勢力により上記非突出位置から上記突出位置に移動する突出動作と、上記係止部が該付勢手段の付勢力に抗して該突出位置から該非突出位置に移動する非突出動作とが切り換えられて行われるように構成されており、
上記水受けの係合部は、該水受けの後側縁部に、該後側縁部から前側に突出するように、一体的に形成され、
上記水受けの係合部には、該水受けの移動に伴い、上記非突出位置にある係止部が摺接する平面からなる摺接面が形成されていることを特徴とする水受けの取付構造。
【請求項2】
請求項において、
上記水受けにおける底壁部の後側部には、後ろ上がりに傾斜する傾斜部が形成され、
上記係合部に対応する傾斜部の底面には、水受け下側の上記飲料サーバ本体に当たった状態で該係合部を支持する支持部が形成されていることを特徴とする水受けの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記係止部は、先細りのテーパー状に形成されていることを特徴とする水受けの取付構造。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項において、
飲料サーバ本体は、内部に上記係止部と上記付勢手段とを収容し、かつ該係止部が突出可能な開口部を有する収容部材を備え、
上記係止部の基端に、開口部周りの収容部材に係合可能なフランジ部が形成され、
上記係止部が上記非突出位置から上記突出位置に移動するときに、上記付勢手段の付勢力によって、上記係止部のフランジ部が上記開口部周りの収容部材に衝突するように構成されていることを特徴とする水受けの取付構造。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の水受けの取付構造を備えていることを特徴とする飲料サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水受けの取付構造及びそれを備えた飲料サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料を注出コックから容器に注出する飲料注出装置(飲料サーバ)には、例えば特許文献1に示されるように、装置本体の前面下部にて容器から溢出する飲料を受けるドレンパン(水受け)が備えられている。
【0003】
このドレンパンは、その後面に設けた係合突部を装置本体の前面下部に設けた内側に凹む係合凹部に着脱可能に係合させることで、装置本体の前面下部に着脱可能に取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-210480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の飲料注出装置では、ドレンパンの係合突部を装置本体の係合凹部に係合するときに、係合する感覚や感触が得られ難い。そのため、ドレンパンが装置本体に対して確実に係合したかどうかを確認することが困難である。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水受けを飲料サーバ本体に取り付ける構造に工夫を加えることにより、簡単な構造で、着脱する感覚や感触が得られ、水受けが飲料サーバ本体に対して確実に着脱したことを確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水受けの取付構造の一態様では、飲料サーバ本体の前側下部に水平方向にスライド移動可能に配置された容器状の水受けを、該飲料サーバ本体に対して着脱可能に取り付ける構造であって、上記水受けに設けられた係合部と、上記飲料サーバ本体に、上記水受けの移動方向と略直交する方向に沿って突出位置及び非突出位置の間を移動可能に設けられ、該水受けが該飲料サーバ本体に装着された装着位置にあるときに、突出位置に移動して上記水受けの係合部に係合し水受けを該装着位置に保持する係止部と、上記係止部を上記非突出位置から上記突出位置に向かって付勢する付勢手段とを備える。
【0008】
そして、上記水受けがスライド移動するときに、上記係止部が上記付勢手段の付勢力により上記非突出位置から上記突出位置に移動する突出動作と、上記係止部が該付勢手段の付勢力に抗して該突出位置から該非突出位置に移動する非突出動作とが切り換えられて行われるように構成されている。
【0009】
上記の構成によると、水受けのスライド移動により、突出動作及び非突出動作が行われるとき、並びに当該動作が切り換えられるときに、水受けの係合部と係止部との間に摩擦による摺動抵抗が生じる。これにより、水受けを飲料サーバ本体に着脱する感覚や感触(以下、まとめてクリック感ともいう)が得られる。その結果、使用者は、水受けが飲料サーバ本体に対して確実に着脱したことを確認することができる。また、水受けに係合部と、飲料サーバ本体に係止部及び付勢手段とを設けるだけでよいため、構造が簡単である。さらに、付勢手段の付勢力を適宜調整することにより、水受けの着脱時に大きな負荷にならず、小さな負荷でクリック感を得ることができる。
【0010】
水受けの取付構造において、上記水受けの係合部には、該水受けの移動に伴い、上記非突出位置にある係止部が摺接する平面からなる摺接面が形成されている、としてもよい。
【0011】
これにより、非突出位置にある係止部が係合部の摺接面上を摺動することで、突出動作と、非突出動作とが切り替えられる間に、係止部が摺動する短い摺動時間が発生する。この摺動時間中、係合部と係止部との間に摩擦による摺動抵抗が生じるため、クリック感がより一層得られる。
【0012】
水受けの取付構造において、上記水受けの係合部は、該水受けの後側縁部に一体的に形成されている、としてもよい。
【0013】
これにより、水受けにおける係合部の位置や構造が具体化される。
【0014】
水受けの取付構造において、上記水受けにおける底壁部の後側部には、後ろ上がりに傾斜する傾斜部が形成され、上記係合部に対応する傾斜部の底面には、水受け下側の上記飲料サーバ本体に当たった状態で該係合部を支持する支持部が形成されている、としてもよい。
【0015】
これにより、水受けの構造が具体化される。この構造では、係合部に対応する傾斜部の底面に支持部が形成されているため、水受けがスライド移動するときに、水受け部の傾斜部が後ろ下がりに倒れることを防止することができる。
【0016】
水受けの取付構造において、上記係止部は、先細りのテーパー状に形成されている、としてもよい。
【0017】
これにより、水受けの係合部が係止部におけるテーパー状に形成されたテーパー部上を摺動することで、水受けのスライド移動がスムーズになる。また、突出動作が行われるときには、付勢手段の付勢力により水受けのスライド移動がより一層スムーズになる。その結果、良質なクリック感が得られる。
【0018】
水受けの取付構造において、飲料サーバ本体は、内部に上記係止部と上記付勢手段とを収容し、かつ該係止部が突出可能な開口部を有する収容部材を備え、上記係止部の基端に、開口部周りの収容部材に係合可能なフランジ部が形成され、上記係止部が上記非突出位置から上記突出位置に移動するときに、上記付勢手段の付勢力によって、上記係止部のフランジ部が上記開口部周りの収容部材に衝突するように構成されている、としてもよい。
【0019】
これにより、係止部及び付勢手段の構造が具体化される。この構造では、付勢手段の付勢力により係止部が非突出位置から突出位置に移動するときに、即ち突出動作が行われるときに、係止部のフランジ部が開口部周りの収容部材に衝突することで、カチンという音(以下、クリック音ともいう)が生じる。その結果、使用者は、水受けが飲料サーバ本体に対して確実に着脱したことをクリック感とともに、クリック音でも確認することが可能になる。
【0020】
本発明に係る飲料サーバの一態様では、上記水受けの取付構造のいずれか1つを備えている。
【0021】
上記の構成によると、上記水受けの取付構造を備えているため、使用者は、水受けが飲料サーバ本体に対して確実に着脱したことをクリック感等で確認することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上に説明したように、本発明の水受けの取付構造及びそれを備えた飲料サーバによれば、簡単な構造で、着脱する感覚や感触が得られ、水受けが飲料サーバ本体に対して確実に着脱したことを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、飲料サーバ本体に水受けが装着された状態を示す斜視図である。
図2図2は、飲料サーバ本体に水受けを装着する前の状態を示す斜視図である。
図3図3は、水受け本体から蓋部を外した状態を示す斜視図である。
図4図4は、水受けの底面の構造の一例を示す斜視図である。
図5図5は、水受けの取付構造の一例を示す拡大斜視図であり、水受けの装着位置を示す。
図6図6は、水受けが装着位置にあり、非突出動作が行われる前の状態(係止部が突出位置にある状態)を示す拡大斜視図である。
図7図7は、非突出動作が行われた状態(係止部が非突出位置にある状態)を示す拡大斜視図である。
図8図8は、水受けが非装着位置にあり、非突出動作から切り替えられて突出動作が行われた状態(係止部が突出位置にある状態)を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
(飲料サーバ)
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る飲料サーバ10を示す。飲料サーバ10は、注出コック22からグラスやジョッキ(図示省略)等にビール等の飲料を注出するために使用される。飲料サーバ10は、飲料サーバ本体20と、水受け30とを備える。なお、飲料は、ビールに限定されず、例えば発泡酒、酎ハイ、炭酸飲料、その他ソフトドリンク等の各種飲料であってもよい。
【0026】
以下の説明では、飲料サーバ10の設置状態に基づいて「上下」を定義するものとし、使用者との対向面側を「前」とする。また、前から見た正面視に基づいて、「左右」を定義する。
【0027】
(飲料サーバ本体)
飲料サーバ本体20は、飲料が収容された飲料容器(図示省略)を着脱可能に収容する飲料収容部21と、飲料収容部21の前面に配置された注出コック22と、注出コック22の上側に一体的に取り付けられた注出レバー23とを備える。
【0028】
飲料収容部21は、上下方向に2段重なるように設けられている。また、飲料収容部21の外周近傍には、飲料収容部21に収容された飲料容器(飲料)を所定の冷却温度(例えば0~5℃程度)に冷却する冷却装置(図示省略)が設けられている。
【0029】
注出コック22は、飲料容器における飲料の充填や取り出しをするための開口部(図示省略)を液密状に封止するとともに、飲料容器から飲料や泡等を注ぎ出す。
【0030】
注出レバー23は、使用者による前後方向への操作にしたがって注出コック22を介して導かれた飲料の注ぎ出し及びその停止を切り替える。
【0031】
(水受け)
水受け30は、飲料を注ぎ出す際にこぼれ落ちた飲料を受けるものである。図2に示すように、水受け30は、飲料サーバ本体20の前側下部に前後方向(水平方向)にスライド移動可能に配置され、飲料サーバ本体20に対して着脱可能に取り付けられる。具体的には、水受け30を飲料サーバ本体20に装着するときには、飲料サーバ本体20の前側下部に設けられた開口部24に、水受け30の後側部(後述する傾斜部34)が収容されて取り付けられる。
【0032】
図3に示すように、容器状の水受け30は、水受け本体31と、水受け本体31の上面に配置される蓋部32とを備える。
【0033】
水受け本体31は、水受け部33と、水受け部33の後側部に一体的に形成された傾斜部34とを備える。水受け本体31(水受け部33、傾斜部34)の材料としては、例えば樹脂材料等が挙げられる。
【0034】
水受け部33は、上面が開口した容器状に形成されており、飲料を注ぎ出す際にこぼれ落ちた飲料を受ける。
【0035】
図3図8に示すように、傾斜部34は、水受け31における底壁部の後側部に、後ろ上がり(前下がり)に傾斜するように形成されており、結露等により飲料サーバ本体20の内部に溜まった水がドレインホース25を介して傾斜部34から水受け部33に流れ落ちるようになっている。
【0036】
傾斜部34の上面、具体的には水受け30の後側縁部に、前側に突出する箱状の係合部35が一体的に形成されている。係合部35は、後述する係止部40と係合するものである。係合部35の上面は、上下方向において位置が水受け30の上面の位置とほぼ同じであり、水受け30の移動に伴い非突出位置にある係止部40が摺接する平面からなる摺接面36が形成されている。
【0037】
また、図4図8に示すように、係合部35に対応する傾斜部34の底面に、水受け30下側の飲料サーバ本体20内部のフレームに当たった状態で係合部35を支持する、リブ状の支持部37が形成されている。これにより、水受け30がスライド移動するときに、傾斜部34が支持部37により支持されて後ろ下がりに倒れないようになる。
【0038】
図3に示すように、蓋部32は、水受け本体31における水受け部33を通水可能に覆うように形成され、水受け部33の上部に対して着脱可能に設けられる。蓋部32は、例えば金属製、樹脂製等の矩形状板材からなる。蓋部32の表面には、例えば円形状、楕円形状、矩形状等の通水口38,38,…が前後方向及び左右方向に所定間隔あけて数種類かつ複数形成されており、飲料を注ぎ出す際にこぼれ落ちた飲料が通水口38,38,…を通って水受け部33に流れ落ちるようになっている。
【0039】
(水受けの取付構造)
次に、図5図8を参照しながら、水受けの取付構造Sを説明する。
【0040】
飲料サーバ本体20は、その内部、具体的には図5及び図6に示す装着位置にある水受け30の係合部35の近傍に、係止部40と、付勢手段としてのコイルばね50とを収容し、かつ係止部40が突出可能な開口部61を有する収容部材としてのケース60を備える。
【0041】
係止部40は、水受け30の移動方向(前後方向)と略直交する方向(上下方向)に沿って、図5図6及び図8に示す突出位置と、図7に示す非突出位置との間を移動可能に設けられる。係止部40は、水受け30が図5及び図6に示す装着位置にあるときに、突出位置に移動して水受け30の係合部35に係合し、水受け30を装着位置に保持する。
【0042】
図5図6及び図8に示すように、突出位置では、係止部40の先端部41が、係合部35の摺接面36よりも下側に配置されている。一方、図7に示すように、非突出位置では、係止部40の先端部41が、係合部35により押し上げられて係合部35の摺接面36と摺接した位置に配置されている。即ち、突出位置にある係止部40の先端部41は、非突出位置(係合部35の摺接面36の位置)にあるときよりも下側に位置される。なお、図5及び図6に示すように、水受け30が装着位置にあるときは、係止部40が、突出位置かつ水受け30の係合部35よりも前側に配置される。
【0043】
また、係止部40は、先細りのテーパー状(テーパー部42)に形成されて弾丸状になっている。係止部40の基端には、開口部61周りのケース60に係合可能なフランジ部43が形成されている。係止部40の材料としては、例えば金属材料、樹脂材料等が挙げられる。
【0044】
コイルばね50は、係止部40の基端部と、ケース60の上壁内部との間に縮装されており、係止部40を非突出位置から突出位置に向かって付勢する。具体的には、係止部40が非突出位置から突出位置に移動するときに、コイルばね50の付勢力によって、係止部40のフランジ部43が開口部61周りのケース60に衝突するように構成される。
【0045】
コイルばね50は、特に限定されず、一般に市販されている金属製、樹脂製等のものを使用することができる。
【0046】
ケース60は、例えば金属製、樹脂製等の箱状部材からなり、上述のごとく、開口部61を有する。開口部61は、ケース60の下壁に、係止部40が突出可能、かつ係止部40のフランジ部43が開口部61の外周縁に衝突するように形成される。
【0047】
また、図5に示すように、ケース60の前壁には、左右両方向に延在する延在部62,62が形成されており、延在部62,62にてケース60が飲料サーバ本体20内部のフレーム(図示省略)に取付固定される。
【0048】
次に、水受け30を飲料サーバ本体20に対してスライド移動させて着脱するときの係止部40の動作を説明する。ここでは、装着位置にある水受け30を飲料サーバ本体20から引き出す(水受け30を前側にスライド移動する)ときを例にして説明する。
【0049】
図6に示すように、水受け30が装着位置にあるときには、係止部40は、上述のごとく、突出位置かつ水受け30の係合部35よりも前側に配置されている。
【0050】
水受け30のスライド移動により、係止部40のテーパー部42が係合部35の前側縁部に当接すると、係止部40がコイルばね50の付勢力に抗してケース60の上壁側に押し込まれて(上側に押し上げられて)突出位置から非突出位置に移動する非突出動作が行われる。このとき、係合部35と係止部40との間に摩擦による摺動抵抗が生じる。
【0051】
図7に示すように、水受け30のさらなるスライド移動により、非突出位置にある係止部40の先端部41は、係合部35の摺接面36上を摺動する。係止部40が摺動する摺動時間は、良好なクリック感を得る観点から、例えば1秒程度である。
【0052】
非突出位置にある係止部40の先端部41が係合部35の後側縁部を超えると、係止部40がコイルばね50の付勢力により下側に押し下げられて非突出位置から突出位置に移動する突出動作に切り換えられて行われる。このとき、コイルばね50の付勢力によって、係止部40のフランジ部43が開口部61周りのケース60に衝突することで、カチンというクリック音が生じる。また、非突出動作時における摺動抵抗よりも比較的小さい摺動抵抗が生じる。
【0053】
図8に示すように、以上に説明した係止部40の一連の動作により、水受け30は飲料サーバ本体20から引き出された非装着位置になり、水受け30を飲料サーバ本体20から取り外すことが可能になる。なお、水受け30が非装着位置にあるときには、係止部40は、突出位置かつ水受け30の係合部35よりも後ろ側に配置される。
【0054】
一方、非装着位置にある水受け30を飲料サーバ本体20に装着する(水受け30を後ろ側にスライド移動する)ときの係止部40の一連の動作は、上記と同様である。即ち、水受け30は、スライド移動により、飲料サーバ本体20に対して着脱することができる。
【0055】
以上のようにして構成される水受けの取付構造S及びそれを備えた飲料サーバ10によれば、水受け30のスライド移動により、係止部40の突出動作と非突出動作とが切り換えられて行われる。具体的には、係止部40の動作が非突出動作から突出動作に切り換えられて行われる。このとき、係合部35と係止部40との間に摩擦による摺動抵抗が生じるため、使用者は、水受け30を飲料サーバ本体20に着脱するときに、小さな負荷であってもクリック感が得られ、水受け30が飲料サーバ本体20に対して確実に着脱したことを確認できる。
【0056】
また、係止部40の突出動作が行われるときにクリック音が生じるため、使用者は、水受け30が飲料サーバ本体20に対して確実に着脱したことを、クリック感とともに、クリック音でも確認することが可能となる。
【0057】
さらに、水受け30に係合部35と、飲料サーバ本体20に係止部40及びコイルばね50とを設けるだけでよく、構造が簡単である。
【0058】
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、水受け30の上面に係合部35が設けられているが、これに限定されず、例えば水受け30の底面、側面等に係合部35を設けて、その係合部35に対応する飲料サーバ本体20の位置に係止部40を配置するようにしてもよい。
【0059】
上記の実施形態では、付勢手段として、コイルばね50が使用されているが、これに限定されず、係止部40を水受け30側に向かって付勢するように構成されていればよく、例えば板バネ等であってもよく、その他の弾性を有する部材であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る水受けの取付構造及びそれを備えた飲料サーバは、水受けが飲料サーバ本体に対して確実に着脱したことをクリック感で確認できるため、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0061】
S 水受けの取付構造
10 飲料サーバ
20 飲料サーバ本体
30 水受け
34 傾斜部
35 係合部
36 摺接面
37 支持部
40 係止部
42 テーパー部
43 フランジ部
50 コイルばね(付勢手段)
60 ケース(収容部材)
61 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8