(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】自走式木材伐倒搬出機
(51)【国際特許分類】
A01G 23/08 20060101AFI20220817BHJP
A01G 23/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A01G23/08 501B
A01G23/08 501C
A01G23/00 551F
(21)【出願番号】P 2018210472
(22)【出願日】2018-11-08
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】598099132
【氏名又は名称】松本システムエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】松本 良三
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実公昭57-25879(JP,Y2)
【文献】特許第6288949(JP,B2)
【文献】実公昭57-15647(JP,Y2)
【文献】特開2013-176315(JP,A)
【文献】特開2010-213697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/08
A01G 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ式又は覆帯式走行車体構造物の内部空間に、立木を横から抱き抱えて保持するための一対のグラップルを有するグラップル装置及び立木を伐倒するため、立木を横から切断するための切断装置を備えた回転フレームと、該回転フレームを、グラップル装置及び切断装置の垂直位置と水平位置との間で回転させるための装置とを設け、
回転フレームは、前記切断装置を設置するカッターボックスと、ガイド装置とを含み、ガイド装置は、一対のガイドレールと、スライドブラケットと、該スライドブラケットをガイドレールに沿って前後方向に摺動させるための油圧シリンダー、とを含み、前記グラップル装置は、前記スライドブラケットから懸垂され、前記スライドブラケットの摺動により、グラップル装置を前方位置と後方位置との間で移動させ、
グラップル装置のグラップルが、回転フレームの逆回転により立木を伐倒させ、伐倒後、木材伐倒搬出機の走行によりグラップル装置のグラップルが伐倒した木材を搬出するようにした自走式木材伐倒搬出機。
【請求項2】
走行車体構造物は、前車体部分と、内部空間を画成する一対の二股状の後車体部分とを含み、回転フレームは、内部空間内にあって、後車体部分に固定された枢軸に回転自在に取り付けられ、回転フレームを回転させるための装置は、回転フレームにリンク機構を介して連結された油圧シリンダーを含む、請求項1に記載の自走式木材伐倒搬出機。
【請求項3】
前記切断装置は、カッターボックスの中に配置され、カッターボックスの前後支持板に固定された一対の枢軸に回転自在に取付けられた二枚刃と、該二枚刃を前記枢軸の回りに互いに反対方向に回転させるための油圧シリンダーと、を含む、請求項1に記載の自走式木材伐倒搬出機。
【請求項4】
切断装置は、カッターボックスの中に配置され、カッターボックスの前後支持板に固定された枢軸に回転自在に取付けられた取付けアームに固定して取付けられた一枚刃と、該一枚刃を前記枢軸のまわりに外から内に回転させるための油圧シリンダーと、を含む、請求項1に記載の自走式木材伐倒搬出機。
【請求項5】
切断装置は、カッターボックスの中に配置され、カッターボックスの前後支持板に固定された枢軸に回転自在に取付けられた取付けアームに固定して取り付けられたチエーンソーと、該チエーンソーを前記枢軸のまわりに内から外に回転させるための油圧シリンダーと、を含む、請求項1に記載の自走式木材伐倒搬出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立木としての木材を一対のグラップルで横から抱き抱えて保持しながら、カッターで木材を切断し、グラップルを木材の伐倒に追従させ、グラップルを介して伐倒した木材を搬出するようにした自走式木材伐倒搬出機に関する。
【背景技術】
【0002】
木材を伐倒する場合は、ほぼ人手によるチェーソー伐倒が一般的であるため、労務災害による人身事故の発生が起こり易い。人身事故防止のために機械化が望まれるが、大型機械は、林地では身動きが取れず、また勾配角度が45°以上になると、土壌や地盤が悪くなって大型機械の搬入さえできないのが原状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人身事故の防止の観点から人が伐倒すべき立木に近寄る必要なしに無線操作で自走させ、水平林地でばかりでなく傾斜林地を登り下りして大径木の伐倒・搬出を可能にした自走式木材伐倒搬出機の出現が強く望まれていた。
本発明の目的は、その様な要望に応える自走式木材伐倒搬出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記の目的は、タイヤ式又は覆帯式走行車体構造物の内部空間に、立木を横から抱き抱えて保持するための一対のグラップルを有するグラップル装置及び立木を伐倒するため、立木を横から切断するための切断装置を備えた回転フレームと、回転フレームを、グラップル装置及び切断装置の垂直位置と水平位置との間で回転させるための装置とを設け、回転フレームは、切断装置を設置するカッターボックスと、ガイド装置とを含み、ガイド装置は、一対のガイドレールと、スライドブラケットと、スライドブラケットをガイドレールに沿って前後方向に摺動させるための油圧シリンダー、とを含み、グラップル装置は、スライドブラケットから懸垂され、スライドブラケットの摺動により、グラップル装置を前方位置と後方位置との間で移動させ、グラップル装置のグラップルが、回転フレームの逆回転により立木を伐倒させ、伐倒後、木材伐倒搬出機の走行によりグラップル装置のグラップルが伐倒した木材を搬出するようにした自走式木材伐倒搬出機を提供することによって達成される。
【0005】
本発明の好ましい実施形態によれば、走行グラップル装置車体構造物は、前車体部分と、内部空間を画成する一対の二股状の後車体部分とを含み、回転フレームは、内部空間内にあって、後車体部分に固定された枢軸に回転自在に取り付けられ、回転フレームを回転させるための装置は、回転フレームにリンク機構を介して連結された油圧シリンダーを含む、自走式木材伐倒搬出機を提供する。
【0007】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、前記切断装置は、カッターボックスの中に配置され、カッターボックスの前後支持板に固定された一対の枢軸に回転自在に取付けられた取付けアームに固定して取付けられた二枚刃と、該二枚刃を前記枢軸の回りに互いに反対方向に回転させるための一対の油圧シリンダーと、を含む、自走式木材伐倒搬出機を提供する。
【0008】
本発明の変形形態によれば、切断装置は、カッターボックスの中に配置され、カッターボックスの前後支持板に固定された枢軸に回転自在に取付けられた取付けアームに固定して取付けられた一枚刃と、該一枚刃を前記枢軸の回りに回転させるための油圧シリンダーと、を含む、自走式木材伐倒搬出機を提供する。
【0009】
本発明の更なる変形形態によれば、切断装置は、カッターボックスの中に配置され、カッターボックスの前後支持板に固定された枢軸に回転自在に取付けられた取付けアームに固定して取り付けられたチエーンソーと、該チエーンソーを前記枢軸のまわりに回転させるための油圧シリンダーと、を含む、自走式木材伐倒搬出機を提供する。
【0010】
(作用)
本発明の自走式木材伐倒搬出機は、ラジコン操作により遠隔的に作動されるようになっており、グラップル装置は、後方位置において、回転フレームの回転により切断装置とともに垂直位置から水平位置に向き変えされ、グラップル装置の一対のグラップルが立木を抱き抱えて保持し、切断装置で立木を切断する。グラップル装置を前方位置に向かわせると共に回転フレームの逆回転により立木を伐倒させる。伐倒後、木材伐倒搬出機の走行によりグラップル装置のグラップルで伐倒された木を引きずりながら搬出する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による自走木材伐倒搬出車の背面図である。
【
図2】本発明による自走木材伐倒搬出車の側面図であって、回転フレームを水平位置で示す図である。
【
図3】回転フレームを垂直位置で示す、
図2と同様の図である。
【
図4】本発明による自走木材伐倒搬出車の平面図である。
【
図7】本発明による自走木材伐倒搬出車のグラップル装置の側面図である。
【
図10】本発明による自走木材伐倒搬出車の二枚刃の切断装置の背面面図である。
【
図15】本発明の木材伐倒搬出機による、登り傾斜地での伐倒作業を示す図である。
【
図16】本発明の木材伐倒搬出機による、下り傾斜地での伐倒作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至3を参照すると、本発明による自走木材伐倒搬出機1は、車体構造物2を含み、該車体構造物2は、前車体部分3と、該前車体部分3から後方に延びる一対の後車体部分4,4とを有する。前輪5は、前車体部分から枢支されたステアリングフレーム6に装着され、また後輪7は、一対の後車体部分4,4にそれぞれ装着され、これら前輪及び後輪は、詳細には図示されていいが、それぞれ油圧モータを内蔵していて油圧モータにより回転駆動されるようになっている。また前輪5は、これと関連した一般的に周知の舵取り機構により油圧的に舵取りされるようになっている。前輪及び後輪は図示した例では、タイヤ式のものであるが、クローラ式のものであってもよい。前車体部分3には、エンジン部及びエンジンで駆動される油圧ポンプ,バッテリー並びに制御バルブ群等が搭載される。
【0013】
図4乃至6で明らかなように、一対の後車体部分4,4間には、空間8が画成され、その空間に、後述するようにグラップル装置9及び切断装置10が装着される回転フレーム11が配置されている。回転フレーム11は、切断装置10が配置されるカッターボックス12を構成する前後支持板13,14とそれらに連結された一対のサイドアーム15として機能する側板16と、前後支持板の中央上縁に固定された上支持板17及び前支持板13から前方に延びる二股状の底支持板18,18と、を含む。
【0014】
回転フレーム11は、一端が車体構造物2に19’で枢着された油圧シリンダー19のプランジャーロッドの伸縮によりリンク機構20を介して後車体部分4,4にそれぞれに設けられた枢軸21のまわりに回動するようになっている。リンク機構20は、前記油圧シリンダー19のプランジャーロッドに枢着されたリンク22と、前記枢軸21に回動自在に取り付けられ,一端が前記リンク22に22’で枢着され、他端が回転フレーム11のサイドアーム15の下端に15’で固定的に連結されたベルクランク23と、一端が前記リンク22の中間部に22’で枢着され、他端が後車体部分に設けられた枢軸24に回転自在に取り付けられた支持リンク25とを含む。かくして、枢軸21のまわりの回転フレーム11の回転により、グラップル装置9及び切断装置10は、垂直位置から水平位置にまたその反対に水平位置から垂直位置に向き変えされる。
【0015】
グラップル装置9は、
図7乃至9に詳細に示すように、グラブルブラケット26と、ベルクランクの形をなし、グラブルブラケット26の左右一対の枢軸27,27にそれぞれ回転可能に取り付けられた一対のグラップル28,28と、前記枢軸に取り付けられ、各グラップルの上端に28’,28’で枢着されたプランジャーロッドを有する油圧シタンダー29,29と、を含む。かくして、2つの油圧シリンダー29,29の作動によるプランジャーロッドの伸縮で一対のグラップル28,28を閉じたり開いたりして後述するように木を抱き抱えたり開放したりすることができる。グラップルの開閉を同調させるために、よく知られたタイミングロッド30が、一方のグラップルの枢軸27より下方で、また他方のグラップルの枢軸27より上方でグラップル28,28に枢着連結されている。
【0016】
車体構造物は、グラップル装置9のためのガイド装置31を備え、該ガイド装置は、上支持板17及び底支持板18,18と一体をなし、間に空間32を画成する一対の向かい合ったガイドレール33,33と、スライドブラケット34と、を含み、スライドブラケット34は、ガイドレール33,33に係合するガイドローラ35,35を備え、ガイドレール33,33に沿って前後にスライドできるようになっている。グラップル装置9は、スライドブラケット34から懸垂支持されている。ガイドレール33,33間の空間32には、一端がガイドレール間でガイドレールに37’で枢着された油圧シリンダー37が配置され、そのプランジャーロッドは、スライドブラケット34の前方端に設けられた横ピン38に取り付けられている。かくして、油圧シリンダー37の作動によるプランジャーロッドの伸縮で、スライドブラケット34は、ガイドレールに沿って前後方向にスライドし、それにより、グラップル装置9を前方位置と後方位置との間で移動させる。
【0017】
グラップル装置のスイングブラケット39が回転ベアリング40を介してスライドブラケット34に回転可能に取り付けられている。グラップルブラケット26は、横ピン41を介して、スイングブラケット39に取り付けられ、そのため、グラップル装置のグラップルは、例えば、前に15°,後に15°振れることができる。グラップル装置9のグラップル28,28のこの前後の振れは、グラップル装置9の前方位置に向かう際には、可能にされるが、後方位置では、不可能にされることが望ましい。この目的のために、グラップルブラケット26の上面に設けられた左右一対の接触要素42,42と、前記カッターボックス12の前支持板13から前方に延び、かつ接触要素との接触面43,43をそれぞれ有する一対の板状要素44,44とを含む振れ止めが設けられている。かくして振れ止めは、グラップル装置9が前方位置にあるときには接触要素42、42が板状要素44,44の接触面43,43との接触から外れるため働かず、グラップル装置9は、横ピン41を中心に前後に自由に振れることができるが、グラップル装置9が後方に移動されるときには、接触要素42,42が板状要素44,44の接触面43,43に接触するため働き、グラップル装置の振れは止められる。グラップル装置が、垂直位置から水平位置にまたその反対に水平位置から垂直位置に向き変えされるとき、グラップル装置は、振れ止めされた状態にあるから、グラップル装置が前後方向に振れることはない。
【0018】
また、グラップル装置9は、前方位置では、スイングブラケット39の旋回により左右に振れることができるようになっている。しかし、グラップル装置は、これが前方位置から後方位置に移動されるとき振れ止めされることが望ましい。この振れ止めは、スイングブラケット39の前方突出部39’に植設されたスタンドピン45の先端に設けられたローラ46が、ガイドレール33,33の間に前方から入り込めるように位置し、グラップル装置9が前方位置から後方位置に移動されるとき、ガイドレール33,33の下部の向かい合わせ面33’,33’に接触することによって達成される。前方位置においては、ローラ46がガイドレール間から抜け出し、スイングブラケット39が 自由に旋回できるので、グラップルの左右の振れは、可能になる。しかし、前記スタンドピン45が、前記二股状の底支持板18,18の左右張出部18’,18’の下面に下向きに突設された一対のストッパー47,47に当たることによって、例えば、左に45°,右に45°に制限される。
【0019】
カッターボックス12の中には、切断装置10が配置される。切断装置10は、
図10乃至12で明らかなように、カッターボックス12の前後支持板13,14に固定して取り付けられた一対の枢軸48,48に回転可能に設けられた取付けアーム49,49に固定して取付けられた二枚刃50,50(
図11では、そのうちの1つは、刃の取付けをはっきりさせるために省略されて破線で示す)と、前後支持板13,14に固定して取り付けられた一対の枢軸51,51に取り付けられ、取付けアーム49,49に49’,49’で枢着されたプランジャーロッドを有する油圧シリンダー52,52とを含む。かくして、二枚刃50,50は、油圧シリンダー52,52のプランジャーロッドの伸縮により枢軸48,48のまわりに回転して木の切断操作のため開閉される。
【0020】
図13は、一枚刃50を含む切断装置10を示し、一枚刃50は、カッターボックスス12の前後支持板13,14に固定して取り付けられた枢軸48に回転可能に設けられた取付けアーム49に固定して取付けられている。油圧シリンダー52が、前後支持板13,14に固定して取り付けられた枢軸51に取り付けられ、かつ取付けアーム49に49’で枢着されたプランジャーロッドを有する。かくして、一枚刃50は、油圧シリンダー52のプランジャーロッドの伸長により、木の切断操作のため枢軸48のまわりに回転する。
【0021】
図14は、チエーンソー50’を含む切断装置10を示す。チエーンソー50’は、カッターボックスス12の前後支持板13,14に固定して取り付けられた枢軸48に回転可能に設けられた取付けアーム49に固定して取付けられている。油圧シリンダー52が、前後支持板13,14に固定して取り付けられた枢軸51に取り付けられ、かつ取付けアーム49に49’で枢着されたプランジャーロッドを有する。かくして、チエーンソー50’は、油圧シリンダー52のプランジャーロッドの収縮により、木の切断操作のため枢軸48のまわりに回転する。
【0022】
なお、参照番号53は、油圧駆動式ウインチを指し、54は、ウインチから繰り出されるワイヤーのためのスイングガイドシーブを指している。このウインチは、立木に縛り付けたワイヤーを巻き取ることにより、車両が急勾配な林地を昇り降りできるようにするために設置される。
【0023】
操作において、本発明による自走式木材伐倒搬出車の全ての油圧シリンダー及び油圧モータは、ラジコン操作により受信器及び制御弁群を介して遠隔的に作動されるようになっている。なお、木材伐倒搬出車の走行状態及び立木の伐倒作業は、木材伐倒搬出車に適宜設置されるカメラからの映像をモニターすることによって把握されるようになっている。
【0024】
立木の伐倒及び木材の搬出作業について、限られる訳ではないがその手順を以下に説明する。通常は、回転フレーム11は、グラップル装置9及び切断装置10が車体構造物に対して垂直位置にあるように位置決めされ、グラップル装置9は、車体構造物2の前方位置にあるものとする。この状態では、グラップル28,28は閉じ、二枚刃50,50又は一枚刃50は開いており、又チエーンソー50’はカッターボックス内に引っ込められている。伐倒作業は、水平な林地でばかりでなく傾斜林地でほぼ垂直に育っている立木に対して行なわれるのが一般的である。
【0025】
油圧シリンダー37の作動によりスライドブラケット34をガイドレール33,33に沿って移動させることによってグラップル装置9を、前方位置から後方位置まで後方にスライドさせる。次いで、油圧シリンダー19,19の作動によりリンク機構20,20を介して回転フレーム11を枢軸21,21のまわりに回転させ、ガイド装置31を車体構造物に対して水平位置から垂直位置に向き変えする。この方法で、グラップル装置9のグラップル28,28及び切断装置10の二枚刃50,50又は一枚刃50若しくはチエーンソー50’は、垂直位置から水平位置に向き変えされる。この状態において、グラップル28,28を油圧シリンダー29,29の作動によりプランジャーロッドを収縮させて枢軸27,27のまわりに外向きに回転させて開く。次いで、木材伐倒搬出車1を伐倒すべき立木に向かって走行させ、グラップル28,28を油圧シリンダー29,29の作動によりプランジャーロッドを伸張させて枢軸27,27のまわりに内向きに回転させて閉じ、立木を抱き抱えてこれを保持する。次いで油圧シリンダー52,52の作動によりプランジャーロッドを伸張させて二枚刃50,50を枢軸51,51のまわりに互いに反対方向に回転させることにより、一枚刃50の場合には、一枚刃50を枢軸51のまわりに外から内へ回転させることにより、チエーンソー50’の場合には、作動させた状態において、油圧シリンダー52のプランジャーロッドの収縮によりチエーンソー50’を枢軸51のまわりに内から外に回転させることにより、立木を切断する。切断後、油圧シリンダー37及び油圧シリンダー19,19を順次作動してそれらのプランジャーロッドを伸張させ、それによりスライドブラケット34、したがってグラップルをガイドレール33,33に沿って移動させ、また回転フレーム11を枢軸21のまわりに逆転させることによって立木を伐倒させる。カッターは、切断後もとの位置に戻されることは明らかである。グラップルがガイドレール33,33に沿って移動し始める段階で、グラップルは、切断された立木を切り株から持ち上げるように作用し、そのため、立木の伐倒が容易に行なわれることは理解されよう。伐倒し終わったときには、グラップルは、下向きで前方位置にあり、かくして、木材伐倒搬出機を、後方に即ち立木のあった場所から離れる方向に走行させることにより、伐倒した木を地形に沿って引きずりながら搬出する。グラップル装置は、その前方位置では、前後左右に振れるように構成されているから、引きずられる木材は、林地の地形に巧く順応し、また車両が左右に曲がろうとするとき、車両に余分な負荷を及ぼすことがない。
【0026】
傾斜林地では、
図15及び16に示すように、回転フレームを、グラップル装置9のグラップル28,28及び切断装置10の二枚刃50,50又は一枚刃50若しくはチエーンソー50’が立木に対してほぼ直角に向かう程度に回転させことになる。
【0027】
本発明による木材伐倒搬出機は、グラップルにより、横倒しになっている木材を掴んでそれを搬出するのにも利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 木材伐倒搬出機
2 走行車体構造物
3 前車体部分
4 後車体部分
5 前輪
7 後輪
8 空間
9 グラップル装置
10 切断装置
11 回転フレーム
12 カッターボックス
13 前支持板
14 後支持板
15 サイドアーム
18 二股状底支持板
19 油圧シリンダー
20 リンク機構
21 枢軸
26 グラップルブラケット
28 グラップル
29 油圧シリンダー
31 ガイド装置
32 空間
33 ガイドレール
34 スライドブラケット
37 油圧シリンダー
48 枢軸
50 二枚刃,一枚刃
50’ チエーンソー
52 油圧シリンダー