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特許7125345撮像素子、撮像素子の製造方法、及び、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】撮像素子、撮像素子の製造方法、及び、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220817BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20220817BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H04N5/3745 200
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018526383
(86)(22)【出願日】2017-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2017024414
(87)【国際公開番号】W WO2018008614
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2016133965
(32)【優先日】2016-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚之
(72)【発明者】
【氏名】大津 枝理子
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065688(JP,A)
【文献】特開2015-026708(JP,A)
【文献】特開2004-228407(JP,A)
【文献】特開平10-189936(JP,A)
【文献】特開2015-023259(JP,A)
【文献】特開2000-340553(JP,A)
【文献】特開2016-066766(JP,A)
【文献】特開2015-082592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0263962(US,A1)
【文献】特開2012-164942(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156933(WO,A1)
【文献】特開2015-106621(JP,A)
【文献】特開2011-187544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0327051(US,A1)
【文献】特開2014-096490(JP,A)
【文献】特開2011-003860(JP,A)
【文献】特開2013-175494(JP,A)
【文献】特開2006-080457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 5/3745
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部と、
前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部と、
前記光電変換部及び前記電荷保持部が形成されている半導体基板と、
配線層と、
絶縁膜層と、
第1の遮光膜と、
第2の遮光膜と
を備え、
前記半導体基板の光が入射する側の第1の面と反対の第2の面に、前記第2の面に近い方から前記絶縁膜層、前記第1の遮光膜、及び、前記配線層が積層され、
前記第2の遮光膜は、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板の前記第1の面から前記半導体基板内の途中まで延びている第1の遮光部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板を貫通している第2の遮光部と、
前記半導体基板の前記第1の面の一部を覆う第3の遮光部と
を備え、
前記光電変換部の側面が、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部により囲まれ、
前記第1の遮光部は、前記光電変換部と前記光電変換部から前記電荷保持部に電荷を転送するための転送ゲート部との間、及び、前記第2の遮光膜の前記光電変換部の側面を囲んでいる部分であって、前記第1の面に平行な第1の方向に延びている部分と、前記第1の面に平行かつ前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びている部分との接続部に少なくとも配置され、
前記第2の遮光部は、互いに異なる画素に配置されている前記光電変換部と前記電荷保持部との間に少なくとも配置されている
撮像素子。
【請求項2】
前記絶縁膜層は、組成が異なる第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の2層を含み、
前記第1の絶縁膜は、前記半導体基板の前記第2の面と前記第2の絶縁膜の間に配置されている
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜は、酸化膜であり、
前記第2の絶縁膜は、窒化膜又は酸窒化膜である
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記絶縁膜層は、前記第2の絶縁膜と前記第1の遮光膜との間に配置され、酸化膜からなる第3の絶縁膜をさらに含む
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1の絶縁膜の厚さは、10nmから20nmの範囲内であり、
前記第2の絶縁膜の厚さは、50nmから100nmの範囲内であり、
前記第3の絶縁膜の厚さは、30nmから100nmの範囲内である
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記第2の遮光部は、前記第1の絶縁膜を貫通し、前記第2の絶縁膜まで延びている
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記第2の遮光部は、前記絶縁膜層を貫通し、前記第1の遮光膜と接続されている
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第3の遮光部は、前記半導体基板の前記第1の面のうち、前記光電変換部への光が入射する領域を除く領域を覆っている
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記第1の遮光膜は、前記光電変換部の受光面と反対側の面を全て覆っている
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記第2の遮光部に正又は負のバイアスが印加される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記第2の遮光部の方が前記第1の遮光部より前記第1の面に平行な方向の幅が広い
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項12】
光電変換部及び前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部が形成されている半導体基板の光が入射する側の第1の面を覆う第1のパターンの前記光電変換部と前記電荷保持部との間の所定の位置に、第1の溝及び第2の溝をそれぞれ形成する第1の工程と、
前記第1の溝を第2のパターンで塞ぐ第2の工程と、
前記第2の溝を前記半導体基板の途中まで掘り下げる第3の工程と、
前記第2のパターンを除去した後、前記第1の溝及び前記第2の溝を掘り下げ、前記第2の溝を、前記半導体基板を貫通させ、前記半導体基板の前記第1の面と反対の第2の面に形成されている絶縁膜層に到達させる第4の工程と、
前記半導体基板の前記第1の面、前記第1の溝の内壁及び底、並びに、前記第2の溝の内壁及び底を覆うように、固定電荷膜、反射防止膜、及び、絶縁膜を含む多層膜を形成する第5の工程と、
前記第1の溝を第3のパターンで塞ぐ第6の工程と、
前記第3のパターンの除去と並行して、前記第2の溝を、前記多層膜及び前記絶縁膜層を貫通させ、前記絶縁膜層に積層されている第1の遮光膜まで掘り下げる第7の工程と、
前記第1の溝内及び前記第2の溝内に第2の遮光膜を形成する第8の工程と
を含む撮像素子の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁膜層は、組成が異なる第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の2層を含む
請求項12に記載の撮像素子の製造方法。
【請求項14】
前記第4の工程において、前記第2の溝を、前記半導体基板及び前記第1の絶縁膜を貫通させ、前記第2の絶縁膜まで到達させる
請求項13に記載の撮像素子の製造方法。
【請求項15】
前記絶縁膜層は、前記第2の絶縁膜と前記第1の遮光膜との間に配置されている第3の絶縁膜を含み、
前記第1の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜は、酸化膜からなり、
前記第2の絶縁膜は、窒化膜又は酸窒化膜からなる
請求項13に記載の撮像素子の製造方法。
【請求項16】
前記第1の工程より前において、
前記第1の絶縁膜の前記半導体基板の前記第2の面側と反対側の面に前記第2の絶縁膜を形成する第9の工程と、
前記第2の絶縁膜の前記第2の溝を形成する位置に、前記第1の絶縁膜まで貫通する第3の溝を形成する第10の工程と、
前記第2の絶縁膜の表面に前記第3の絶縁膜を成膜するとともに、前記第3の絶縁膜により前記第3の溝を埋める第11の工程と
をさらに含み、
前記第7の工程において、前記第3の溝内の前記第3の絶縁膜を除去し、前記第2の溝を前記第1の遮光膜まで掘り下げる
請求項15に記載の撮像素子の製造方法。
【請求項17】
撮像素子と、
前記撮像素子から出力される信号を処理する信号処理部と
を備え、
前記撮像素子は、
光電変換部と、
前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部と、
前記光電変換部及び前記電荷保持部が形成されている半導体基板と、
配線層と、
絶縁膜層と、
第1の遮光膜と、
第2の遮光膜と
を備え、
前記半導体基板の光が入射する側の第1の面と反対の第2の面に、前記第2の面に近い方から前記絶縁膜層、前記第1の遮光膜、及び、前記配線層が積層され、
前記第2の遮光膜は、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板の前記第1の面から前記半導体基板内の途中まで延びている第1の遮光部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板を貫通している第2の遮光部と、
前記半導体基板の前記第1の面の一部を覆う第3の遮光部と
を備え、
前記光電変換部の側面が、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部により囲まれ、
前記第1の遮光部は、前記光電変換部と前記光電変換部から前記電荷保持部に電荷を転送するための転送ゲート部との間、及び、前記第2の遮光膜の前記光電変換部の側面を囲んでいる部分であって、前記第1の面に平行な第1の方向に延びている部分と、前記第1の面に平行かつ前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びている部分との接続部に少なくとも配置され、
前記第2の遮光部は、互いに異なる画素に配置されている前記光電変換部と前記電荷保持部との間に少なくとも配置されている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術は、撮像素子、撮像素子の製造方法、及び、電子機器に関し、特に、電荷保持部を備える裏面照射型の撮像素子、その撮像素子の製造方法、及び、その撮像素子を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
グローバルシャッタ機能を有する裏面照射型のCMOSイメージセンサにおいては、光電変換部で生成された電荷を一時的に保持する電荷保持部が、半導体基板内に設けられる。この電荷保持部に光が入射すると、不要な電荷が発生し、それに伴う光学的ノイズが発生し、画質が低下する。これに対して、従来、電荷保持部への光の入射を抑制することが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電荷保持部の面のうち、半導体基板の光が入射する入射面側の上面及びその反対側の底面を、遮光膜で覆う第1の実施例が開示されている。これにより、半導体基板の入射面側から入射する光だけでなく、半導体基板の入射面と反対側の面に積層されている配線層からの反射光が電荷保持部に入射するのが防止される。
【0004】
また、特許文献1には、電荷保持部の上面及び側面を遮光膜で覆うとともに、側面側の遮光膜の一部を、半導体基板を貫通させる第2の実施例が開示されている。これにより、電荷保持部の側面への入射光をより確実に遮断することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-65688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の第1の実施例では、電荷保持部の側面を覆う遮光膜が、半導体基板の途中までしか設けられておらず、側面の遮光膜で覆われていない部分から光が入射するのを防止することができない。
【0007】
また、特許文献1の第2の実施例では、電荷保持部の底面が遮光膜で覆われていないため、配線層からの反射光が電荷保持部に入射するのを防止することができない。
【0008】
そこで、本開示にかかる技術(以下、単に本技術とも称する)は、電荷保持部を備える裏面照射型の撮像素子において、電荷保持部への光の入射を抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の第1の側面の撮像素子は、光電変換部と、前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部と、前記光電変換部及び前記電荷保持部が形成されている半導体基板と、配線層と、絶縁膜層と、第1の遮光膜と、第2の遮光膜とを備え、前記半導体基板の光が入射する側の第1の面と反対の第2の面に、前記第2の面に近い方から前記絶縁膜層、前記第1の遮光膜、及び、前記配線層が積層され、前記第2の遮光膜は、前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板の前記第1の面から前記半導体基板内の途中まで延びている第1の遮光部と、前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板を貫通している第2の遮光部と、前記半導体基板の前記第1の面の一部を覆う第3の遮光部とを備え、前記光電変換部の側面が、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部により囲まれ、前記第1の遮光部は、前記光電変換部と前記光電変換部から前記電荷保持部に電荷を転送するための転送ゲート部との間、及び、前記第2の遮光膜の前記光電変換部の側面を囲んでいる部分であって、前記第1の面に平行な第1の方向に延びている部分と、前記第1の面に平行かつ前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びている部分との接続部に少なくとも配置され、前記第2の遮光部は、互いに異なる画素に配置されている前記光電変換部と前記電荷保持部との間に少なくとも配置されている。
【0013】
前記絶縁膜層に、組成が異なる第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の2層を含ませ、前記第1の絶縁膜を、前記半導体基板の前記第2の面と前記第2の絶縁膜の間に配置することができる。
【0014】
前記第1の絶縁膜を、酸化膜とし、前記第2の絶縁膜を、窒化膜又は酸窒化膜とすることができる。
【0015】
前記絶縁膜層に、前記第2の絶縁膜と前記第1の遮光膜との間に配置され、酸化膜からなる第3の絶縁膜をさらに含ませることができる。
【0017】
前記第1の絶縁膜の厚さを、10nmから20nmの範囲内とし、前記第2の絶縁膜の厚さを、50nmから100nmの範囲内とし、前記第3の絶縁膜の厚さを、30nmから100nmの範囲内とすることができる。
【0018】
前記第2の遮光部を、前記第1の絶縁膜を貫通させ、前記第2の絶縁膜まで延ばすことができる。
【0019】
前記第2の遮光部を、前記絶縁膜層を貫通させ、前記第1の遮光膜と接続させることができる。
【0020】
前記第3の遮光部が、前記半導体基板の前記第1の面のうち、前記光電変換部への光が入射する領域を除く領域を覆うようにすることができる。
【0021】
前記第1の遮光膜が、前記光電変換部の受光面と反対側の面を全て覆うようにすることができる。
【0022】
前記第2の遮光部に正又は負のバイアスが印加することができる。
【0023】
前記第2の遮光部の方を前記第1の遮光部より前記第1の面に平行な方向の幅を広くすることができる。
【0024】
本技術の第2の側面の撮像素子の製造方法は、光電変換部及び前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部が形成されている半導体基板の光が入射する側の第1の面を覆う第1のパターンの前記光電変換部と前記電荷保持部との間の所定の位置に、第1の溝及び第2の溝をそれぞれ形成する第1の工程と、前記第1の溝を第2のパターンで塞ぐ第2の工程と、前記第2の溝を前記半導体基板の途中まで掘り下げる第3の工程と、前記第2のパターンを除去した後、前記第1の溝及び前記第2の溝を掘り下げ、前記第2の溝を、前記半導体基板を貫通させ、前記半導体基板の前記第1の面と反対の第2の面に形成されている絶縁膜層に到達させる第4の工程と、前記半導体基板の前記第1の面、前記第1の溝の内壁及び底、並びに、前記第2の溝の内壁及び底を覆うように、固定電荷膜、反射防止膜、及び、絶縁膜を含む多層膜を形成する第5の工程と、前記第1の溝を第3のパターンで塞ぐ第6の工程と、前記第3のパターンの除去と並行して、前記第2の溝を、前記多層膜及び前記絶縁膜層を貫通させ、前記絶縁膜層に積層されている第1の遮光膜まで掘り下げる第7の工程と、前記第1の溝内及び前記第2の溝内に第2の遮光膜を形成する第8の工程とを含む。
【0025】
前記絶縁膜層に、組成が異なる第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の2層を含ませることができる。
【0026】
前記第4の工程において、前記第2の溝を、前記半導体基板及び前記第1の絶縁膜を貫通させ、前記第2の絶縁膜まで到達させることができる。
【0027】
前記絶縁膜層に、前記第2の絶縁膜と前記第1の遮光膜との間に配置されている第3の絶縁膜を含ませ、前記第1の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜を、酸化膜とし、前記第2の絶縁膜を、窒化膜又は酸窒化膜とすることができる。
【0028】
前記第1の工程より前において、前記第1の絶縁膜の前記半導体基板の前記第2の面側と反対側の面に前記第2の絶縁膜を形成する第9の工程と、前記第2の絶縁膜の前記第2の溝を形成する位置に、前記第1の絶縁膜まで貫通する第3の溝を形成する第10の工程と、前記第2の絶縁膜の表面に前記第3の絶縁膜を成膜するとともに、前記第3の絶縁膜により前記第3の溝を埋める第11の工程とをさらに含ませ、前記第7の工程において、前記第3の溝内の前記第3の絶縁膜を除去し、前記第2の溝を前記第1の遮光膜まで掘り下げさせることができる。
【0030】
本技術の第3の側面の電子機器は、撮像素子と、前記撮像素子から出力される信号を処理する信号処理部とを備え、前記撮像素子は、光電変換部と、前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部と、前記光電変換部及び前記電荷保持部が形成されている半導体基板と、配線層と、絶縁膜層と、第1の遮光膜と、第2の遮光膜とを備え、前記半導体基板の光が入射する側の第1の面と反対の第2の面に、前記第2の面に近い方から前記絶縁膜層、前記第1の遮光膜、及び、前記配線層が積層され、前記第2の遮光膜は、前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板の前記第1の面から前記半導体基板内の途中まで延びている第1の遮光部と、前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板を貫通している第2の遮光部と、前記半導体基板の前記第1の面の一部を覆う第3の遮光部とを備え、前記光電変換部の側面が、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部により囲まれ、前記第1の遮光部は、前記光電変換部と前記光電変換部から前記電荷保持部に電荷を転送するための転送ゲート部との間、及び、前記第2の遮光膜の前記光電変換部の側面を囲んでいる部分であって、前記第1の面に平行な第1の方向に延びている部分と、前記第1の面に平行かつ前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びている部分との接続部に少なくとも配置され、前記第2の遮光部は、互いに異なる画素に配置されている前記光電変換部と前記電荷保持部との間に少なくとも配置されている。
【0031】
本技術の第1の側面又は第の側面においては、第1の遮光膜、及び、第2の遮光膜の第1乃至第3の遮光部により光が遮られる。
【0032】
本技術の第2の側面においては、光電変換部及び前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部が形成されている半導体基板の光が入射する側の第1の面を覆う第1のパターンの前記光電変換部と前記電荷保持部との間の所定の位置に、第1の溝及び第2の溝がそれぞれ形成され、前記第1の溝が第2のパターンで塞がれ、前記第2の溝が前記半導体基板の途中まで掘り下げられ、前記第2のパターンが除去された後、前記第1の溝及び前記第2の溝が掘り下げられ、前記第2の溝が、前記半導体基板を貫通し、前記半導体基板の前記第1の面と反対の第2の面に形成されている絶縁膜層に到達し、前記半導体基板の第1の面、前記第1の溝の内壁及び底、並びに、前記第2の溝の内壁及び底を覆うように、固定電荷膜、反射防止膜、及び、絶縁膜を含む多層膜が形成され、前記第1の溝が第3のパターンで塞がれ、前記第3のパターンの除去と並行して、前記第2の溝が、前記多層膜及び前記絶縁膜層を貫通し、前記絶縁膜層に積層されている第1の遮光膜まで掘り下げられ、前記第1の溝内及び前記第2の溝内に第2の遮光膜が形成される。
【発明の効果】
【0034】
本技術の第1の側面又は第の側面によれば、電荷保持部を備える裏面照射型の撮像素子において、電荷保持部への光の入射を抑制することができる。
【0035】
本技術の第2の側面によれば、電荷保持部を備える裏面照射型の撮像素子において、半導体基板内の光電変換部と電荷保持部との間に、一部が半導体基板を貫通する遮光膜を形成することができる。その結果、電荷保持部への光の入射を抑制することができる。
【0036】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本技術を適用したCMOSイメージセンサの構成例を示す図である。
図2図1のCMOSイメージセンサの単位画素の構成例を示す回路図である。
図3図1のCMOSイメージセンサの遮光構造の第1の実施の形態を模式的に示す断面図である。
図4図3の遮光構造における半導体基板内の遮光膜の配置を模式的に示す図である。
図5図3の遮光構造における半導体基板の受光面側の遮光膜の配置を模式的に示す図である。
図6図3の遮光構造における半導体基板の境界面側の遮光膜の配置を模式的に示す図である。
図7図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第1の製造方法を説明するための図である。
図8図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第1の製造方法を説明するための図である。
図9図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第1の製造方法を説明するための図である。
図10図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第1の製造方法を説明するための図である。
図11図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第1の製造方法を説明するための図である。
図12図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第1の製造方法を説明するための図である。
図13図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第2の製造方法を説明するための図である。
図14図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第2の製造方法を説明するための図である。
図15図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第2の製造方法を説明するための図である。
図16図3の遮光構造を有するCMOSイメージセンサの第2の製造方法を説明するための図である。
図17図1のCMOSイメージセンサの遮光構造の第2の実施の形態を模式的に示す断面図である。
図18】撮像素子の使用例を示す図である。
図19】電子機器の構成例を示すブロック図である。
図20】車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図21】撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.変形例
4.応用例
【0039】
<<1.第1の実施の形態>>
まず、図1乃至図12を参照して、本技術の第1の実施の形態について説明する。
【0040】
<1-1.CMOSイメージセンサの構成例>
図1は、本技術が適用される撮像素子としてのCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサの構成例を示すブロック図である。
【0041】
CMOSイメージセンサ10は、画素アレイ部11、垂直駆動部12、カラム処理部13、水平駆動部14、及び、システム制御部15を含んで構成される。画素アレイ部11、垂直駆動部12、カラム処理部13、水平駆動部14、及び、システム制御部15は、図示しない半導体基板(チップ)上に形成されている。
【0042】
画素アレイ部11には、入射光量に応じた電荷量の光電荷を発生して内部に蓄積する光電変換素子を有する単位画素(図2の単位画素50)が行列状に2次元配置されている。なお、以下、入射光量に応じた電荷量の光電荷を、単に「電荷」と称し、単位画素を、単に「画素」と称する場合がある。
【0043】
画素アレイ部11にはさらに、行列状の画素配列に対して行ごとに画素駆動線16が図の左右方向(画素行の画素の配列方向)に沿って形成され、列ごとに垂直信号線17が図の上下方向(画素列の画素の配列方向)に沿って形成されている。画素駆動線16の一端は、垂直駆動部12の各行に対応した出力端に接続されている。
【0044】
CMOSイメージセンサ10はさらに、信号処理部18およびデータ格納部19を備えている。信号処理部18およびデータ格納部19については、CMOSイメージセンサ10とは別の基板に設けられる外部信号処理部、例えばDSP(Digital Signal Processor)やソフトウェアによる処理でも良いし、CMOSイメージセンサ10と同じ基板上に搭載しても良い。
【0045】
垂直駆動部12は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素を、全画素同時あるいは行単位等で駆動する画素駆動部である。この垂直駆動部12は、その具体的な構成については図示を省略するが、読み出し走査系と、掃き出し走査系あるいは、一括掃き出し、一括転送を有する構成となっている。
【0046】
読み出し走査系は、単位画素から信号を読み出すために、画素アレイ部11の単位画素を行単位で順に選択走査する。行駆動(ローリングシャッタ動作)の場合、掃き出しについては、読み出し走査系によって読み出し走査が行われる読み出し行に対して、その読み出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃き出し走査が行なわれる。また、グローバル露光(グローバルシャッタ動作)の場合は、一括転送よりもシャッタスピードの時間分先行して一括掃き出しが行なわれる。
【0047】
この掃き出しにより、読み出し行の単位画素の光電変換素子から不要な電荷が掃き出される(リセットされる)。そして、不要電荷の掃き出し(リセット)により、いわゆる電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換素子の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0048】
読み出し走査系による読み出し動作によって読み出される信号は、その直前の読み出し動作または電子シャッタ動作以降に入射した光量に対応するものである。行駆動の場合は、直前の読み出し動作による読み出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃出しタイミングから、今回の読み出し動作による読み出しタイミングまでの期間が、単位画素における光電荷の蓄積期間(露光期間)となる。グローバル露光の場合は、一括掃き出しから一括転送までの期間が蓄積期間(露光期間)となる。
【0049】
垂直駆動部12によって選択走査された画素行の各単位画素から出力される画素信号は、垂直信号線17の各々を通してカラム処理部13に供給される。カラム処理部13は、画素アレイ部11の画素列ごとに、選択行の各単位画素から垂直信号線17を通して出力される画素信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
【0050】
具体的には、カラム処理部13は、信号処理として少なくとも、ノイズ除去処理、例えばCDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)処理を行う。このカラム処理部13による相関二重サンプリングにより、リセットノイズや増幅トランジスタの閾値ばらつき等の画素固有の固定パターンノイズが除去される。なお、カラム処理部13にノイズ除去処理以外に、例えば、AD(アナログ-デジタル)変換機能を持たせ、信号レベルをデジタル信号で出力することも可能である。
【0051】
水平駆動部14は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部13の画素列に対応する単位回路を順番に選択する。この水平駆動部14による選択走査により、カラム処理部13で信号処理された画素信号が順番に信号処理部18に出力される。
【0052】
システム制御部15は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ等によって構成され、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に垂直駆動部12、カラム処理部13、および水平駆動部14などの駆動制御を行う。
【0053】
信号処理部18は、少なくとも加算処理機能を有し、カラム処理部13から出力される画素信号に対して加算処理等の種々の信号処理を行う。データ格納部19は、信号処理部18での信号処理に当たって、その処理に必要なデータを一時的に格納する。
【0054】
<1-2.画素の構成例>
次に、図1の画素アレイ部11に行列状に配置されている単位画素50の具体的な構造について説明する。
【0055】
図2は、単位画素の構成例を示している。単位画素50は、光電変換素子として、例えばフォトダイオード(PD)51を有している。フォトダイオード51は、例えば、n型基板52上に形成されたp型ウエル層53に対して、p型層51-1を基板表面側に形成してn型埋め込み層51-2を埋め込むことによって形成される埋め込み型フォトダイオードである。なお、n型埋め込み層51-2は、電荷排出時に空乏状態となる不純物濃度とされる。
【0056】
単位画素50は、フォトダイオード51に加えて、TRYゲート54、TX1ゲート55-1、TX2ゲート55-2、及び、電荷保持部(MEM)56を備える。TRYゲート54は、フォトダイオード51と電荷保持部56に接続される位置に配置されている。またTX1ゲート55-1、TX2ゲート55-2は、電荷保持部56の近傍に配置されている。また、単位画素50では、電荷保持部56を、p型層56-1を表面として、埋め込み型のn型拡散領域56-2によって形成した構成が採用されている。
【0057】
電荷保持部56をn型拡散領域56-2によって形成した場合であっても、埋め込みチャネルによって形成した場合と同様の作用効果を得ることができる。具体的には、p型ウエル層53の内部にn型拡散領域56-2を形成し、基板表面側にp型層56-1を形成することで、Si-SiO2界面で発生する暗電流が電荷保持部56のn型拡散領域56-2に蓄積されることを回避できるため画質の向上に寄与できる。
【0058】
TRYゲート54は、フォトダイオード51で光電変換され、フォトダイオード51の内部に蓄積された電荷を、ゲート電極に駆動信号TRYが印加されることによって、電荷保持部56に転送する。また、TRYゲート54は、電荷保持部56からフォトダイオード51に電荷が逆流しないためのゲートとして機能する。
【0059】
TX2ゲート55-2は、フォトダイオード51から電荷保持部56へ電荷を転送するときのゲートとして機能し、電荷保持部56に電荷を保持させるためのゲートとしても機能する。
【0060】
TX1ゲート55-1は、電荷保持部56から浮遊拡散領域(FD:Floating Diffusion)58へ電荷を転送するときのゲートとして機能し、電荷保持部56に電荷を保持させるためのゲートとしても機能する。
【0061】
電荷保持部56においては、TX2ゲート55-2のゲート電極及びTX1ゲート55-1のゲート電極に駆動信号TX2及び駆動信号TX1がそれぞれ印加されることで、電荷保持部56に変調がかけられる。すなわち、TX2ゲート55-2のゲート電極及びTX1ゲート55-1のゲート電極に駆動信号TX2及び駆動信号TX1がそれぞれ印加されることで、電荷保持部56のポテンシャルが深くなる。これにより、電荷保持部56の飽和電荷量を、変調をかけない場合よりも増やすことができる。
【0062】
また、単位画素50は、TRGゲート57および浮遊拡散領域58を有する。TRGゲート57は、電荷保持部56に蓄積された電荷を、TRGゲート57のゲート電極に駆動信号TRGが印加されることによって、浮遊拡散領域58に転送する。
【0063】
浮遊拡散領域58は、n型層からなる電荷電圧変換部であり、TRGゲート57によって電荷保持部56から転送された電荷を電圧に変換する。
【0064】
単位画素50はさらに、リセットトランジスタ(RST)59、増幅トランジスタ(AMP)60、および選択トランジスタ(SEL)61を備える。なお、図2では、リセットトランジスタ59、増幅トランジスタ60、及び、選択トランジスタ61に、nチャネルのMOSトランジスタを用いた例を示している。しかし、リセットトランジスタ59、増幅トランジスタ60、および選択トランジスタ61の導電型の組み合わせは、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0065】
リセットトランジスタ59は、電源Vrstと浮遊拡散領域58との間に接続されており、ゲート電極に駆動信号RSTが印加されることによって浮遊拡散領域58をリセットする。増幅トランジスタ60は、ドレイン電極が電源Vddに接続され、ゲート電極が浮遊拡散領域58に接続されており、浮遊拡散領域58の電圧を読み出す。
【0066】
選択トランジスタ61は、例えば、ドレイン電極が増幅トランジスタ60のソース電極に、ソース電極が垂直信号線17にそれぞれ接続されており、ゲート電極に駆動信号SELが印加されることで、画素信号を読み出すべき単位画素50を選択する。なお、選択トランジスタ61については、電源Vddと増幅トランジスタ60のドレイン電極との間に接続した構成を採用することも可能である。
【0067】
なお、リセットトランジスタ59、増幅トランジスタ60、および選択トランジスタ61については、その1つあるいは複数を画素信号の読み出し方法によって省略することも可能である。
【0068】
また、図2の単位画素50、および、後述する単位画素50の他の構成例においては、p型ウエル層53にn型の埋め込みチャネルを形成するようにしたが、逆の導電型を採用するようにしてもよい。この場合、後述するポテンシャルの関係は全て逆になる。
【0069】
また、図2に示した単位画素50には、ブルーミング防止用のオーバーフローゲートも設けられている。OFGゲート63は、露光開始時にそのゲート電極に駆動信号OFGが印加されることで、フォトダイオード51の電荷をn型層64に排出する。n型層64には、所定の電圧Vddが印加されている。
【0070】
このようにして構成されるCMOSイメージセンサ10は、全画素同時に露光を開始し、全画素同時に露光を終了し、フォトダイオード51に蓄積された電荷を、遮光された電荷保持部56へ転送することで、グローバルシャッタ動作(グローバル露光)を実現する。このグローバルシャッタ動作により、全画素一致した露光期間による歪みのない撮像が可能となる。
【0071】
<1-3.CMOSイメージセンサの遮光構造の第1の実施の形態>
次に、図3乃至図6を参照して、CMOSイメージセンサ10の遮光構造の第1の実施の形態について説明する。なお、以下、図3乃至図6に示される遮光構造を有するCMOSイメージセンサ10をCMOSイメージセンサ10aと称する。
【0072】
図3は、CMOSイメージセンサ10aの遮光構造を模式的に示す断面図である。
【0073】
CMOSイメージセンサ10aにおいては、図内の上から、半導体基板101、絶縁膜層102、遮光膜103、配線層104が積層されている。CMOSイメージセンサ10aは、半導体基板101の配線層104が積層されているオモテ面と反対側の裏面側からフォトダイオード51に光を照射する裏面照射型の撮像素子である。
【0074】
なお、図示は省略するが、半導体基板101の裏面側には、例えば、パッシベーション膜、カラーフィルタ、マイクロレンズ等が積層される。また、配線層104の下には、例えば、支持基板が積層される。
【0075】
なお、以下、半導体基板101の裏面を入射面とも称し、半導体基板101のオモテ面であって、配線層104との境界に配置されている面を境界面とも称する。また、以下、フォトダイオード51の半導体基板101の入射面側の面を受光面と称し、受光面と反対側の面を底面と称する。また、以下、電荷保持部56の半導体基板101の入射面側の面を上面と称し、上面と反対側の面を底面と称する。
【0076】
半導体基板101は、例えばシリコン基板からなる。半導体基板101内には、フォトダイオード51及び電荷保持部56が形成されている。なお、図内の左側のフォトダイオード51と電荷保持部56が同じ画素50内に配置され、右側のフォトダイオード51と電荷保持部56とはそれぞれ隣接する異なる画素50内に配置されている。
【0077】
絶縁膜層102は、絶縁膜102A乃至絶縁膜102Cの3層の絶縁膜からなる。絶縁膜102A乃至絶縁膜102Cは、例えばSiO2膜等の酸化膜からなる。絶縁膜102Aは、ゲート電極105と半導体基板101の間の絶縁膜も兼ねている。なお、ゲート電極105は、例えば、図2のTRYゲート54のゲート電極に相当する。絶縁膜102Bは、例えばSiN膜等の窒化膜からなる。
【0078】
遮光膜103は、例えばタングステン等の遮光性を有するメタルからなる。遮光膜103は、フォトダイオード51で吸収されずに半導体基板101を透過した光が、配線層104に入射するのを防止する。これにより、半導体基板101を透過した光が、配線層104に入射し、配線層104で反射されて、電荷保持部56に入射することが抑制される。
【0079】
半導体基板101の入射面、及び、フォトダイオード51と電荷保持部56の間には、多層膜106を介して、遮光膜107が形成されている。
【0080】
多層膜106は、例えば、固定電荷膜、反射防止膜、及び、絶縁膜を含む3層構造の膜からなる。絶縁膜は、例えばSiO2膜等の酸化膜からなる。
【0081】
遮光膜107は、例えばタングステン等の遮光性を有するメタルからなる。遮光膜107は、主に半導体基板101の入射面から入射した光が直接又は間接的に電荷保持部56に入射するのを抑制する。遮光膜107は、表面遮光部107A、非貫通遮光部107B、及び、貫通遮光部107Cに大きく分かれる。
【0082】
表面遮光部107Aは、半導体基板101の入射面のうち、フォトダイオード51の受光面の上方を除く領域を覆っている。すなわち、表面遮光部107Aは、半導体基板101の受光面のうち、フォトダイオード51への光が入射する領域を除く領域を覆っている。
【0083】
非貫通遮光部107Bは、半導体基板101の入射面から半導体基板101の途中まで延びている。また、この例では、非貫通遮光部107Bは、同じ画素50内のフォトダイオード51と電荷保持部56の間に配置されている。
【0084】
貫通遮光部107Cは、半導体基板101及び絶縁膜層102を貫通し、遮光膜103に接続されている。また、この例では、貫通遮光部107Cは、互いに異なる画素50に配置されているフォトダイオード51と電荷保持部56の間に配置されている。
【0085】
ここで、絶縁膜102A乃至絶縁膜102Cの厚みの例について説明する。
【0086】
絶縁膜102Aは、例えば、10nm以上の厚みに設定される。これは、例えば、貫通遮光部107Cを形成するための半導体基板101を貫通する溝の深さの加工調整をするために必要な厚みである。ただし、絶縁膜102Aは、ゲート電極105と半導体基板101との間の絶縁膜を兼ねているため、あまり厚くしすぎるのは望ましくない。従って、絶縁膜102Aの厚みは、例えば、10nm~20nmの範囲内に設定される。
【0087】
絶縁膜102Bは、例えば、50nm以上の厚みに設定される。これは、例えば、配線層104に形成されるコンタクトの加工調整、及び、貫通遮光部107Cを形成するための半導体基板101を貫通する溝の加工制御のために必要な厚みである。例えば、コンタクトを形成するための溝が半導体基板101にまで達したり、コンタクトの加工によるダメージにより半導体基板101が損傷したりするのを防いだり、貫通遮光部107Cを形成するための半導体基板101を貫通する溝を絶縁膜102Bで止めるために必要な厚みである。ただし、絶縁膜102Bは、CMOSイメージセンサ10aの薄型化等の観点から、あまり厚くしすぎるのは望ましくない。従って、絶縁膜102Bの厚みは、例えば、50nm~100nmの範囲内に設定される。
【0088】
絶縁膜102Cは、例えば、25nm以上の厚みに設定される。これは、例えば、遮光膜103の加工時に、絶縁膜102Cが損傷し、絶縁膜102Bが露出しないようにするために必要な厚みである。ただし、絶縁膜102Cは、CMOSイメージセンサ10aの薄型化等の観点から、あまり厚くしすぎるのは望ましくない。従って、絶縁膜102Cの厚みは、例えば、30nm~100nmの範囲内に設定される。
【0089】
図4は、図3のCMOSイメージセンサ10aの深さD1付近の断面の平面レイアウトを模式的に示している。なお、非貫通遮光部107Bと貫通遮光部107Cを区別するために、非貫通遮光部107Bは、右斜め下方向の間隔が狭い斜線のパターンで示されており、貫通遮光部107Cは、左斜め下方向の間隔が広い斜線のパターンで示されている。
【0090】
また、半導体基板101の境界面側に形成される、TRYゲート54、TX1ゲート55-1、TX2ゲート55-2、TRGゲート57、リセットトランジスタ59のゲート部59A、増幅トランジスタ60のゲート部60A、選択トランジスタ61のゲート部61A、及び、OFGゲート63の位置が点線で示されている。また、配線層104に形成されるコンタクト151-1乃至コンタクト151-23の位置が点線で示されている。
【0091】
なお、以下、画素50内の各部の位置関係を説明する場合、図4内における上下左右の方向を用いて説明する。
【0092】
また、図4では、1つの画素50が中心に図示されるとともに、その周辺の画素50の一部が図示されている。そして、各画素50の対応する部分には、同じ符号が付されている。なお、左右に隣接する画素50内の各部の配置は、互いに左右対称になっている。また、上下に隣接する画素50内の各部の配置は、同様である。
【0093】
フォトダイオード51の上には、TRYゲート54、TX2ゲート55-2、TX1ゲート55-1、TRGゲート57が左から右に並ぶように配置されている。TRYゲート54のほぼ中央にコンタクト151-1及びコンタクト151-2が左右に並ぶように配置されている。TX2ゲート55-2のほぼ中央にコンタクト151-3及びコンタクト151-4が左右に並ぶように配置されている。TX1ゲート55-1のほぼ中央にコンタクト151-5及びコンタクト151-6が左右に並ぶように配置されている。コンタクト151-1乃至コンタクト151-6は、左右に一列に並んでいる。TRGゲート57の右端に、コンタクト151-7及びコンタクト151-8が上下に並ぶように配置されている。
【0094】
また、TRYゲート54、TX2ゲート55-2、及び、TX1ゲート55-1とほぼ重なるように、電荷保持部56が配置されている。
【0095】
フォトダイオード51の右には、リセットトランジスタ59のゲート部59A、増幅トランジスタ60のゲート部60A、及び、選択トランジスタ61のゲート部61Aが上下に並ぶように配置されている。ゲート部59Aの上にコンタクト151-9が配置されている。ゲート部59Aの下端にコンタクト151-10が配置されている。ゲート部59Aとゲート部60Aの間にコンタクト151-11が配置されている。ゲート部60Aの略中央にコンタクト151-12及びコンタクト151-13が上下に並ぶように配置されている。コンタクト151-9乃至コンタクト151-13は、上下に一列に並んでいる。
【0096】
ゲート部60Aとゲート部61Aの間に、コンタクト151-14及びコンタクト151-15が左右に並ぶように配置されている。ゲート部61Aのほぼ中央にコンタクト151-16及びコンタクト151-17が左右に並ぶように配置されている。ゲート部61Aの下にコンタクト151-18及びコンタクト151-19が左右に並ぶように配置されている。コンタクト151-14、コンタクト151-16、及び、コンタクト151-18は、上下に一列に並んでいる。コンタクト151-15、コンタクト151-17、及び、コンタクト151-19は、上下に一列に並んでいる。
【0097】
フォトダイオード51の左には、OFGゲート63が配置されている。OFGゲート63内の上方には、コンタクト151-20及びコンタクト151-21が上下に並ぶように配置されている。OFGゲート63の下端の窪んだ部分にコンタクト151-22が配置されている。OFGゲート63の下にコンタクト151-23が配置されている。コンタクト151-20乃至コンタクト151-23は、上下に一列に並んでいる。
【0098】
フォトダイオード51の周囲(側面)は、非貫通遮光部107B及び貫通遮光部107Cにより囲まれている。非貫通遮光部107Bと貫通遮光部107Cは、半導体基板101の入射面に平行な方向において、途切れることなく繋がっており、フォトダイオード51の周囲(側面)を途切れることなく囲んでいる。また、非貫通遮光部107Bは、左右に隣接する画素50とも途切れることなく繋がっている。
【0099】
フォトダイオード51を囲む遮光部のうち、貫通遮光部107Cは、フォトダイオード51と、フォトダイオード51と同じ画素内のTX1ゲート55-1及びTX2ゲート55-2との間に配置されている。また、貫通遮光部107Cは、フォトダイオード51と、上下に隣接する画素50の電荷保持部56との間に配置されている。
【0100】
それ以外の部分は、非貫通遮光部107Bが配置されている。具体的には、フォトダイオード51と、左右に隣接する画素50との間に、非貫通遮光部107Bが配置されている。これは、各トランジスタのゲート部やコンタクトを形成するためである。また、フォトダイオード51と、同じ画素内のTRYゲート54との間に、非貫通遮光部107Bが配置されている。これは、フォトダイオード51から電荷保持部56に電荷が流れる経路を確保するためである。また、左右方向に延びる遮光膜107と上下方向に延びる遮光膜107の接続部(遮光膜107が交わる部分)に、非貫通遮光部107Bが配置されている。これは、この部分に貫通遮光部107Cを形成すると、マイクロローディング現象によりエッチングが加速し、貫通遮光部107Cが、配線層104まで達する恐れがあるためである。
【0101】
なお、後述する理由により、貫通遮光部107Cの半導体基板101の入射面に平行な方向の幅は、非貫通遮光部107Bより広くなる。
【0102】
図5は、図3のCMOSイメージセンサ10aの半導体基板101の入射面であって、図4の断面図と画素の配置方向において同じ位置の平面レイアウトを模式的に示している。なお、図内の斜線で示される部分は、表面遮光部107Aが配置されている領域を示している。また、図5では、非貫通遮光部107B及び貫通遮光部107Cの位置が点線で示されている。
【0103】
この図に示されるように、表面遮光部107Aは、半導体基板101の入射面のうち、フォトダイオード51の受光面を除く領域を覆っている。
【0104】
図6は、図3のCMOSイメージセンサ10aの深さD2付近の断面であって、図4の断面図と画素の配置方向において同じ位置の断面の平面レイアウトを模式的に示している。なお、図内の斜線で示される部分は、遮光膜103が配置されている領域を示している。
【0105】
図6では、フォトダイオード51、TRYゲート54、TX1ゲート55-1、TX2ゲート55-2、電荷保持部56、TRGゲート57、リセットトランジスタ59のゲート部59A、増幅トランジスタ60のゲート部60A、選択トランジスタ61のゲート部61A、及び、OFGゲート63の位置が点線で示されている。
【0106】
遮光膜103は、半導体基板101の境界面のアクティブ領域、及び、コンタクト151-1乃至コンタクト151-23が配置されている領域を除く領域に配置されている。従って、フォトダイオード51の底面は、全て遮光膜103により覆われている。また、電荷保持部56の底面は、半導体基板101の境界面のアクティブ領域、及び、コンタクト151-1乃至コンタクト151-6が配置されている領域を除いて、ほぼ遮光膜103により覆われている。
【0107】
そして、図5に示されるように、半導体基板101の入射面のうち、フォトダイオード51への光が入射する領域を除く領域が、表面遮光部107Aにより覆われている。従って、半導体基板101の入射面に入射した光は、フォトダイオード51の受光面以外の領域にはほとんど入射しない。また、フォトダイオード51を透過した光が、フォトダイオード51の側面を囲む非貫通遮光部107B及び貫通遮光部107Cにより、電荷保持部56に入射することが抑制される。さらに、貫通遮光部107Cが半導体基板101を貫通し遮光領域が大きくなることにより、電荷保持部56への光の入射をより抑制することができる。また、フォトダイオード51を透過した光が、遮光膜103により配線層104に入射することが防止されるため、配線層104からの反射光が、電荷保持部56に入射することが防止される。これにより、電荷保持部56に光が入射することによる光学的ノイズの発生が抑制され、例えば、グローバルシャッタの光漏れノイズを抑制することができる。
【0108】
また、貫通遮光部107Cに負バイアスを印加することにより、ピニングが強化され、暗電流の発生が抑制される。そして、暗電流の発生が抑制されることで、半導体基板101のp型ウエル層53を低濃度化することができ、半導体基板101の表面電荷密度Qs及び電荷保持部56の容量を大きくすることができる。これにより、画素特性が向上する。
【0109】
<1-4.CMOSイメージセンサの製造方法>
次に、図7乃至図16を参照して、CMOSイメージセンサ10aの製造方法について説明する。
【0110】
なお、図7乃至図16では、図を見やすくするために、フォトダイオード51、電荷保持部56、配線層104、及び、ゲート電極105の図示を省略している。また、図7乃至図12では、CMOSイメージセンサ10aの図4のA-A部の断面を図内の右方向から見た図を示している。図13乃至図16では、CMOSイメージセンサ10aの図4のB-B部の断面を図内の下方向から見た図を示している。
【0111】
まず、図7乃至図12を参照して、CMOSイメージセンサ10aの第1の製造方法について説明する。
【0112】
工程1の前に、図示は省略するが、半導体基板101のオモテ面(境界面)側のプロセスが行われる。
【0113】
まず、ゲート電極105の形成までは、通常のCMOSイメージセンサのプロセスと同様である。
【0114】
次に、半導体基板101の境界面に、絶縁膜層102が成膜される。
【0115】
次に、遮光膜103が成膜される。このとき、遮光膜103の加工処理が、遮光膜103と隣接する絶縁膜102C、又は、絶縁膜102Bで止められる。
【0116】
次に、層間絶縁膜、コンタクト、配線が形成されることにより、配線層104が形成される。
【0117】
次に、配線層104と図示せぬ支持基板が貼り合わされる。
【0118】
そして、半導体基板101の裏面(入射面)側の加工が行われる。
【0119】
具体的には、工程1において、半導体基板101の入射面にハードマスク201からなるパターンが形成される。ハードマスク201は、例えば、SiO2膜からなる。
【0120】
工程2において、ハードマスク201の表面にフォトレジスト202からなるパターンが形成される。具体的には、ハードマスク201の表面にフォトレジスト202が塗布される。次に、フォトレジスト202のパターニングが行われ、非貫通遮光部107B及び貫通遮光部107Cが形成される位置に合わせて、それぞれ開口202A及び開口202Bが形成される。
【0121】
工程3において、フォトレジスト202の開口202A及び開口202Bを介して、ハードマスク201が加工され、非貫通遮光部107B及び貫通遮光部107Cが形成される位置に合わせて、溝203及び溝204が形成される。その後、フォトレジスト202は除去される。
【0122】
工程4において、ハードマスク201の表面に、溝203を埋めるようにフォトレジスト205からなるパターンが形成される。このフォトレジスト205により、次の工程5において、溝203を介して、半導体基板101が加工されることが防止される。
【0123】
工程5において、半導体基板101が加工され、溝204が半導体基板101の途中まで掘り下げられる。なお、溝204の深さは、次の工程6の半導体基板101の加工時間に合わせて調整される。
【0124】
工程6において、フォトレジスト205が除去される。そして、半導体基板101が加工され、溝203及び溝204が同時に掘り下げられる。このとき、溝204が半導体基板101を貫通し、絶縁膜102Aに達するまで加工が行われる。これにより、溝203は、半導体基板101の途中まで掘り下げられる。ここで、2回目の加工となる溝204の半導体基板101の入射面に平行な方向の幅の方が、1回目の加工となる溝203の幅より広くなる。
【0125】
工程7において、ケミカルドライエッチング(CDE)を用いた等方性エッチングにより、溝203及び溝204の側壁の加工によるダメージが除去され、溝203及び溝204の形状が最適化される。このとき、等方性エッチングにより溝204の底の絶縁膜102Aが除去され、図内の丸で囲まれた部分に示されるように、溝204が絶縁膜102Bに達する。なお、溝204の幅は、溝203の幅より広いまま維持される。従って、溝204に形成される貫通遮光部107Cの幅は、溝203に形成される非貫通遮光部107Bの幅より広くなる。
【0126】
工程8において、ハードマスク201の表面、溝203内、及び、溝204内が、フォトレジスト206からなるパターンでコーティングされる。このフォトレジスト206により、次の工程9及び工程10において、ハードマスク201を除去するための薬液により、溝204が掘り下げられることが防止される。
【0127】
工程9において、エッチバックが行われ、ハードマスク201の表面のフォトレジスト206が除去され、ハードマスク201の表面の一部が除去される。なお、溝203及び溝204内のフォトレジスト206は、そのまま保持される。
【0128】
工程10において、BHF(バッファードフッ酸)を用いてウエットエッチングが行われ、ハードマスク201が除去される。
【0129】
工程11において、硫酸と過酸化水素水を用いたSH処理により、溝203及び溝204内のフォトレジスト206が除去される。このとき、工程7において、溝204の深さを絶縁膜102Bで止めておくことにより、遮光膜103が溶解されるのが防止される。
【0130】
工程12において、半導体基板101の入射面、並びに、溝203及び溝204の内壁及び底を覆うように、多層膜106が形成される。例えば、多層膜106は、半導体基板101に近い方から順番に固定電荷膜、反射防止膜、及び、絶縁膜が積層された3層構造の膜からなる。その後、アニール処理が行われる。
【0131】
工程13において、カバレッジの低い絶縁膜207が成膜される。ずなわち、溝203及び溝204の内壁及び底を覆わずに、ほぼ半導体基板101の入射面のみを覆うように、絶縁膜207が成膜される。
【0132】
工程14において、絶縁膜207の表面に、溝203を埋めるようにフォトレジスト208からなるパターンが形成される。このフォトレジスト208により、次の工程14及び工程15において、溝203の加工が防止される。
【0133】
工程15において、エッチバックが行われる。これにより、少なくともフォトレジスト208の絶縁膜207の上に形成されている部分が除去される。
【0134】
工程16において、さらにエッチバックが行われる。これにより、絶縁膜207、及び、溝203内のフォトレジスト208の除去と並行して、溝204が掘り下げられる。そして、溝204の底の多層膜106、絶縁膜102B、及び、絶縁膜102Cが除去され、溝204が、絶縁膜層102を貫通し、遮光膜103まで達する。
【0135】
工程17において、図示せぬバリア膜が、多層膜106の表面、並びに、溝203及び溝204の内壁及び底を覆うように形成される。バリア膜は、例えば、Ti又はTiN等の膜からなる。次に、遮光膜107が、半導体基板101の溝203及び溝204に埋め込まれるとともに、半導体基板101の入射面を覆うように形成される。このとき、溝204内に形成された貫通遮光部107Cは、半導体基板101、絶縁膜102A、絶縁膜102B、及び、絶縁膜102Cを貫通して、遮光膜103に接続される。また、フォトダイオード51の受光面が露出するように、半導体基板101の入射面の表面遮光部107Aのパターニングが行われる。
【0136】
その後、図示は省略するが、半導体基板101の入射面において、パッシベーション膜が形成された後、カラーフィルタ、レンズ、及び、パッド等の形成が行われる。
【0137】
次に、図13乃至図16を参照して、CMOSイメージセンサ10aの第2の製造方法について説明する。この第2の製造方法では、主に半導体基板101のオモテ面(境界面)側のプロセスに特徴があり、その工程を中心に説明する。
【0138】
工程101において、半導体基板101のオモテ面に、絶縁膜102Aが成膜される。
【0139】
工程102において、絶縁膜102Aの上に、絶縁膜102Bが成膜される。
【0140】
工程103において、絶縁膜102Bの表面にフォトレジスト221からなるパターンが形成される。具体的には、絶縁膜102Bの表面にフォトレジスト221が塗布される。次に、フォトレジスト221のパターニングが行われ、貫通遮光部107Cが形成される位置に合わせて、開口221Aが形成される。
【0141】
工程104において、フォトレジスト221の開口221Aを介して、絶縁膜102Bが加工され、貫通遮光部107Cが形成される位置に合わせて、溝222が形成される。その後、フォトレジスト221は除去される。
【0142】
工程105において、絶縁膜102Bの表面に、例えばSiO2からなる酸化膜が成膜されるとともに、溝222が酸化膜により埋められる。これにより、絶縁膜102Cが形成される。
【0143】
工程106において、絶縁膜102Cの表面に、遮光膜103が成膜される。
【0144】
工程107において、図7乃至図9の工程1乃至工程7と同様の工程が行われ、半導体基板101に溝203及び溝204が形成される。
【0145】
なお、工程107の図は、工程106の図と上下反転している。また、工程107以降の図内の点線で示される領域は、溝203及び溝204の奥の壁となる半導体基板101を示している。
【0146】
工程108において、図11の工程12と同様の工程により、半導体基板101の入射面、並びに、溝203及び溝204の内壁及び底を覆うように、多層膜106(不図示)が形成される。次に、図11の工程14と同様の工程により、溝203を埋めるようにフォトレジスト208からなるパターンが形成される。
【0147】
工程109において、エッチバックが行われる。これにより、溝204の下方の絶縁膜102Aが除去される。さらに、工程105において絶縁膜102Bの溝222に埋められた酸化膜(絶縁膜102Cの一部)、及び、その下方の絶縁膜102Cが除去される。その結果、溝204が、絶縁膜102A乃至絶縁膜102Cを貫通し、遮光膜103まで達する。
【0148】
工程110において、フォトレジスト208が除去された後、図示せぬバリア膜が、多層膜106(不図示)の表面、並びに、溝203及び溝204の内壁及び底を覆うように形成される。次に、遮光膜107が、半導体基板101の溝203及び溝204に埋め込まれるとともに、半導体基板101の入射面を覆うように形成される。このとき、溝204内に形成された貫通遮光部107Cは、半導体基板101、絶縁膜102A、絶縁膜102B、及び、絶縁膜102Cを貫通して、遮光膜103に接続される。また、フォトダイオード51の受光面が露出するように、半導体基板101の入射面の表面遮光部107Aのパターニングが行われる。
【0149】
なお、工程110の図内の点線は、表面遮光部107A、非貫通遮光部107B、及び、貫通遮光部107Cの位置を示す補助線である。
【0150】
その後、図示は省略するが、半導体基板101の入射面において、パッシベーション膜が形成された後、カラーフィルタ、レンズ、及び、パッド等の形成が行われる。
【0151】
このように、絶縁膜102Bに溝222を形成し、絶縁膜102A及び絶縁膜102Cと同じ酸化膜で溝222を埋めることにより、図15の工程109で絶縁膜102A乃至絶縁膜102Cに形成される溝204の図4のB-Bの方向の幅の画素50間のバラツキが抑制される。これにより、図4のB-Bの方向の貫通遮光部107Cの幅の画素50間のバラツキが抑制される。その結果、画素50間の特性のバラツキが抑制され、CMOSイメージセンサ10aの画質が向上する。
【0152】
なお、上述した特許文献1では、遮光膜を形成する具体的な方法が開示されていない。従って、特許文献1に記載の技術では、例えば、遮光膜を形成するための溝を深く掘りすぎて、遮光膜が配線層に突出したり、半導体基板のオモテ面側の遮光膜やコンタクトの形成時に形状の不具合等が生じたりして、白点などの画質の劣化を生じる懸念がある。
【0153】
<<2.第2の実施の形態>>
次に、図17を参照して、本技術の第2の実施の形態について説明する。
【0154】
図17は、図3と同様に、CMOSイメージセンサ10bの遮光構造を模式的に示す断面図である。
【0155】
CMOSイメージセンサ10bは、図3のCMOSイメージセンサ10aと比較して、貫通遮光膜107Cが、半導体基板101を貫通しているが、絶縁膜102Bで止まっており、遮光膜103と接続していない点が異なる。
【0156】
なお、CMOSイメージセンサ10bの製造工程は、CMOSイメージセンサ10aの工程12(図11)までは同様である。その後、工程13乃至工程16が省略され、工程17と同様の工程より、遮光膜107が形成される。
【0157】
<<3.変形例>>
以下、上述した本開示に係る技術の実施の形態の変形例について説明する。
【0158】
例えば、絶縁層膜102は、上述した3層構造以外の構造にすることも可能である。
【0159】
例えば、絶縁膜層102を絶縁膜102Aの1層構造にすることが可能である。ただし、この場合、絶縁膜102Aを厚くする必要がある。また、絶縁膜102Aと組成が異なる絶縁膜102Bを設けた方が、例えば、上述した工程7において、エッチングの選択比を制御することにより、溝204を絶縁膜層102内で止めやすくなる。
【0160】
また、例えば、絶縁膜層102を、絶縁膜102A及び絶縁膜102Bの2層構造にすることが可能である。ただし、絶縁膜102Cを設けた方が、絶縁膜層102と遮光膜103との間の剥がれや、遮光膜103の加工時の絶縁膜102Bの削れを抑制することが可能になる。
【0161】
さらに、例えば、絶縁膜102Bを、SiON膜等の酸窒化膜により構成することも可能である。
【0162】
また、本技術は、裏面照射型で電荷保持部を備える撮像素子全般に適用することができる。従って、上述した、図1のCMOSイメージセンサ10の構成や図2の画素50の構成は、その一例であり、適宜変更することが可能である。また、例えば、各半導体領域の導電型を逆にするようにしてもよい。この場合、印加するバイアス電圧の正負が逆となる。
【0163】
<<4.応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。
【0164】
<4-1.本開示に係る技術の適用例>
例えば、本開示に係る技術は、図18に示されるように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに適用することができる。
【0165】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供され装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0166】
以下、より具体的な適用例について説明する。
【0167】
<4-2.電子機器への適用例>
図19は、本技術の撮像素子を適用した電子機器の一例である撮像装置300の構成例を示すブロック図である。撮像装置300は、レンズ群301等を含む光学系、固体撮像素子302、カメラ信号処理部であって、固体撮像素子302からの信号を処理するDSP回路303、フレームメモリ304、表示装置305、記録装置306、操作系307、及び、電源系308等を有している。
【0168】
そして、DSP回路303、フレームメモリ304、表示装置305、記録装置306、操作系307、及び、電源系308がバスライン309を介して相互に接続された構成となっている。CPU310は、撮像装置300内の各部を制御する。
【0169】
レンズ群301は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像素子302の撮像面上に結像する。固体撮像素子302は、レンズ群301によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この固体撮像素子302として、例えば、上述したCMOSイメージセンサ10を用いることができる。
【0170】
表示装置305は、液晶表示装置や有機EL(electro luminescence)表示装置等のパネル型表示装置からなり、固体撮像素子302で撮像された動画または静止画を表示する。記録装置306は、固体撮像素子302で撮像された動画または静止画を、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどの記録媒体に記録する。
【0171】
操作系307は、ユーザによる操作の下に、本撮像装置が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源系308は、DSP回路303、フレームメモリ304、表示装置305、記録装置306、及び、操作系307の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0172】
このような撮像装置300は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには、スマートフォン、携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールに適用される。
【0173】
<4-3.移動体への応用例>
また、例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0174】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0175】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図20に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0176】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0177】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0178】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0179】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0180】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0181】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0182】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0183】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0184】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図20の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0185】
図21は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0186】
図21では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0187】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0188】
なお、図21には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0189】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0190】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0191】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0192】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0193】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031や運転者状態検出部12041に適用され得る。具体的には、例えば、図1のCMOSイメージセンサ10は、撮像部12031や運転者状態検出部12041に適用することができる。撮像部12031や運転者状態検出部12041に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高画質の撮影画像を得ることができため、例えば、車両の外部及び内部の情報の検出精度が向上する。
【0194】
なお、本開示に係る技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示に係る技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0195】
<4-4.構成の組み合わせ例>
また、例えば、本開示に係る技術は、以下のような構成も取ることができる。
【0196】
(1)
光電変換部と、
前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部と、
前記光電変換部及び前記電荷保持部が形成されている半導体基板と、
配線層と、
絶縁膜層と、
第1の遮光膜と、
第2の遮光膜と
を備え、
前記半導体基板の光が入射する側の第1の面と反対の第2の面に、前記第2の面に近い方から前記絶縁膜層、前記第1の遮光膜、及び、前記配線層が積層され、
前記第2の遮光膜は、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板の前記第1の面から前記半導体基板内の途中まで延びている第1の遮光部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板を貫通している第2の遮光部と、
前記半導体基板の前記第1の面の一部を覆う第3の遮光部と
を備える撮像素子。
(2)
前記第1の遮光部と前記第2の遮光部とが、前記第1の面に平行な方向において繋がっている
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記光電変換部の側面が、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部により囲まれている
前記(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記第1の遮光部は、前記光電変換部と、前記光電変換部から前記電荷保持部に電荷を転送するための転送ゲート部との間に少なくとも配置され、
前記第2の遮光部は、互いに異なる画素に配置されている前記光電変換部と前記電荷保持部との間に少なくとも配置されている
前記(3)に記載の撮像素子。
(5)
前記絶縁膜層は、組成が異なる第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の2層を含み、
前記第1の絶縁膜は、前記半導体基板の前記第2の面と前記第2の絶縁膜の間に配置されている
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6)
前記第1の絶縁膜は、酸化膜であり、
前記第2の絶縁膜は、窒化膜又は酸窒化膜である
前記(5)に記載の撮像素子。
(7)
前記絶縁膜層は、前記第2の絶縁膜と前記第1の遮光膜との間に配置され、酸化膜からなる第3の絶縁膜をさらに含む
前記(6)に記載の撮像素子。
(8)
前記第1の絶縁膜の厚さは、10nm以上であり、
前記第2の絶縁膜の厚さは、50nm以上であり、
前記第3の絶縁膜の厚さは、25nm以上である
前記(7)に記載の撮像素子。
(9)
前記第1の絶縁膜の厚さは、10nmから20nmの範囲内であり、
前記第2の絶縁膜の厚さは、50nmから100nmの範囲内であり、
前記第3の絶縁膜の厚さは、30nmから100nmの範囲内である
前記(8)に記載の撮像素子。
(10)
前記第2の遮光部は、前記第1の絶縁膜を貫通し、前記第2の絶縁膜まで延びている
前記(5)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(11)
前記第2の遮光部は、前記絶縁膜層を貫通し、前記第1の遮光膜と接続されている
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(12)
前記第3の遮光部は、前記半導体基板の第1の面のうち、前記光電変換部への光が入射する領域を除く領域を覆っている
前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の撮像素子。
(13)
前記第1の遮光膜は、前記光電変換部の受光面と反対側の面を全て覆っている
前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像素子。
(14)
前記第2の遮光部に正又は負のバイアスが印加される
前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の撮像素子。
(15)
前記第2の遮光部の方が前記第1の遮光部より前記第1の面に平行な方向の幅が広い
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の撮像素子。
(16)
光電変換部及び前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部が形成されている半導体基板の光が入射する側の第1の面を覆う第1のパターンの前記光電変換部と前記電荷保持部との間の所定の位置に、第1の溝及び第2の溝をそれぞれ形成する第1の工程と、
前記第1の溝を第2のパターンで塞ぐ第2の工程と、
前記第2の溝を前記半導体基板の途中まで掘り下げる第3の工程と、
前記第2のパターンを除去した後、前記第1の溝及び前記第2の溝を掘り下げ、前記第2の溝を、前記半導体基板を貫通させ、前記半導体基板の前記第1の面と反対の第2の面に形成されている絶縁膜層に到達させる第4の工程と、
前記半導体基板の第1の面、前記第1の溝の内壁及び底、並びに、前記第2の溝の内壁及び底を覆うように、固定電荷膜、反射防止膜、及び、絶縁膜を含む多層膜を形成する第5の工程と、
前記第1の溝を第3のパターンで塞ぐ第6の工程と、
前記第3のパターンの除去と並行して、前記第2の溝を、前記多層膜及び前記絶縁膜層を貫通させ、前記絶縁膜層に積層されている第1の遮光膜まで掘り下げる第7の工程と、
前記第1の溝内及び前記第2の溝内に第2の遮光膜を形成する第8の工程と
を含む撮像素子の製造方法。
(17)
前記絶縁膜層は、組成が異なる第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の2層を含む
前記(16)に記載の撮像素子の製造方法。
(18)
前記第4の工程において、前記第2の溝を、前記半導体基板及び前記第1の絶縁膜を貫通させ、前記第2の絶縁膜まで到達させる
前記(17)に記載の撮像素子の製造方法。
(19)
前記絶縁膜層は、前記第2の絶縁膜と前記第1の遮光膜との間に配置されている第3の絶縁膜を含み、
前記第1の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜は、酸化膜からなり、
前記第2の絶縁膜は、窒化膜又は酸窒化膜からなる
前記(17)に記載の撮像素子の製造方法。
(20)
前記第1の工程より前において、
前記第1の絶縁膜の前記半導体基板の前記第2の面側と反対側の面に前記第2の絶縁膜を形成する第9の工程と、
前記第2の絶縁膜の前記第2の溝を形成する位置に、前記第1の絶縁膜まで貫通する第3の溝を形成する第10の工程と、
前記第2の絶縁膜の表面に前記第3の絶縁膜を成膜するとともに、前記第3の絶縁膜により前記第3の溝を埋める第11の工程と
をさらに含み、
前記第7の工程において、前記第3の溝内の前記第3の絶縁膜を除去し、前記第2の溝を前記第1の遮光膜まで掘り下げる
前記(19)に記載の撮像素子の製造方法。
(21)
光電変換部及び前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部が形成されている半導体基板の光が入射する側の第1の面を覆う第1のパターンの前記光電変換部と前記電荷保持部との間の所定の位置に、第1の溝及び第2の溝をそれぞれ形成する第1の工程と、
前記第1の溝を第2のパターンで塞ぐ第2の工程と、
前記第2の溝を前記半導体基板の途中まで掘り下げる第3の工程と、
前記第2のパターンを除去した後、前記第1の溝及び前記第2の溝を掘り下げ、前記第2の溝を、前記半導体基板を貫通させ、前記半導体基板の前記第1の面と反対の第2の面に形成されている絶縁膜層に到達させる第4の工程と、
前記第1の溝内及び前記第2の溝内に遮光膜を形成する第5の工程と
を含む撮像素子の製造方法。
(22)
撮像素子と、
前記撮像素子から出力される信号を処理する信号処理部と
を備え、
前記撮像素子は、
光電変換部と、
前記光電変換部により生成された電荷を保持する電荷保持部と、
前記光電変換部及び前記電荷保持部が形成されている半導体基板と、
配線層と、
絶縁膜層と、
第1の遮光膜と、
第2の遮光膜と
を備え、
前記半導体基板の光が入射する側の第1の面と反対の第2の面に、前記第2の面に近い方から前記絶縁膜層、前記第1の遮光膜、及び、前記配線層が積層され、
前記第2の遮光膜は、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板の前記第1の面から前記半導体基板内の途中まで延びている第1の遮光部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に配置され、前記半導体基板を貫通している第2の遮光部と、
前記半導体基板の前記第1の面の一部を覆う第3の遮光部と
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0197】
10,10a,10b CMOSイメージセンサ, 11 画素アレイ部, 51 フォトダイオード, 53 p型ウエル層, 54 TRYゲート, 55-1 TX1ゲート, 55-2 TX2ゲート, 56 電荷保持部, 57 TRGゲート, 58 浮遊拡散領域, 101 半導体基板, 102 絶縁膜層, 102A乃至102C 絶縁膜, 103 遮光膜, 104 配線層, 105 ゲート電極, 106 多層膜, 107 遮光膜, 107A 表面遮光部, 107B 非貫通遮光部, 107C 貫通遮光部, 201 ハードマスク, 203,204 溝, 205,206 フォトレジスト, 207 絶縁膜, 208 フォトレジスト, 222 溝, 300 撮像装置, 302 固体撮像素子, 12000 車両制御システム, 12031 撮像部, 12041 運転者状態検出部, 12101乃至12105 撮像部
図1
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