(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
B65G1/04 521
B65G1/04 547Z
(21)【出願番号】P 2019135989
(22)【出願日】2019-07-24
(62)【分割の表示】P 2018107939の分割
【原出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
(72)【発明者】
【氏名】西前 健司
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭40-029018(JP,Y1)
【文献】実公昭42-001229(JP,Y1)
【文献】特開平02-306873(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00133472(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133,1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を保管可能な
複数段の保管棚部を
備え、
前記
複数段の保管棚
部それぞれは、
第1方向に延在する
第1走行路と、
前記
第1走行路を支持する第1支持部材と、
荷を搭載
可能であり、前記
第1走行路上を前記第1方向に移動
可能な第1台車と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在する
第2走行路と、
前記
第2走行路を支持
し、前記第2方向に複数配置された第2支持部材と、
前記第1台車を搭載
可能であり、前記
第2走行路上を前記第2方向に移動
可能な第2台車と、を有し、
少なくとも一つの段の
前記保管棚
部において、前記第1支持部材
は前記
複数の第2支持部材
にわたるように延伸し、且つ、前記複数の第2支持部材に対して、前記第1方向から見て高さ方向に一部重
なりを有するように接することを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
荷を保管可能な
複数段の保管棚
部を
備え、
前記複数段の保管棚部それぞれは、第1方向に延在する
第1走行路と、
前記
第1走行路を支持
し、前記第1方向に複数配置された第1支持部材と、
荷を搭載
可能であり、前記
第1走行路上を前記第1方向に移動
可能な第1台車と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在する
第2走行路と、
前記
第2走行路を支持する第2支持部材と、
前記第1台車を搭載
可能であり、前記
第2走行路上を前記第2方向に移動
可能な第2台車と、を有し、
少なくとも一つの段の前記保管棚部において、前記第2支持部材は前記複数の第1支持部材にわたるように延伸し、且つ、前記
複数の第1支持部材
に対して、前記第2方向から見て高さ方向に一部重なりを有するように接することを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項3】
前記第2支持部材は、前記第1支持部材が進入する凹部を有する、請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記第1支持部材は、前記第2支持部材が進入する凹部を有する、請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、それぞれ凹部を有し、該凹部同士が噛合う、請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材のうち、下方に位置する一方の支持部材が下向きに凹む凹部を有し、前記凹部に他方の支持部材が進入する、請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
前記第1支持部材と前記第2支持部材とは一体的に構成されていることを特徴とする請求項1
から6のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
前記第2支持部材の前記第1方向の端面は、前記第1支持部材の側面に固定されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項9】
前記第2支持部材は、一片が前記第1支持部材の上面に接し他片が前記第2支持部材に接合されるL字部材によって前記第1支持部材に固定されていることを特徴とする請求項1
から6のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な自動倉庫システムが知られている。本出願人は、特許文献1によって複数の物品を収納可能な複数の収納棚を備えた自動倉庫システムを開示している。この自動倉庫システムは、保管棚部の間で列方向に移動可能な搬送台車を用いて物品を搬入・搬出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、自動倉庫システムについて以下の認識を得た。
自動倉庫では、保管棚部への荷の収納や取出しは、リフト機構を有するリフト機器を用いて行われる場合が多い。一方で、自動倉庫であっても、保管棚部の最下段などにリフト機器を使わずユーザが手動で荷の収納や取出しを行えるようにしたいというニーズがある。しかし、特許文献1に記載の自動倉庫では、保管棚部の各段の載置面の構造の制約から載置面の位置を低くすることが困難であり、最下段であっても手動で荷を収納・取出することが難しいという問題があった。
【0005】
また、保管棚部の各段の載置面の位置を低くすることができないため、同じ高さの荷を収納する場合に、各段の上下スパンを小さくすることができず、同じ天井高の倉庫に設置できる保管棚部の段数は限られるという問題もあった。
これらから、本発明者らは、自動倉庫システムには、保管棚部の載置面を低くする観点から改善の余地があることを認識した。
【0006】
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたもので、保管棚部の載置面を低くすることが可能な自動倉庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を保管可能な保管棚部をN(N≧2)段有する自動倉庫システムであって、保管棚部のそれぞれは、第1方向に延在する第1レールと、第1レールを支持する第1支持部材と、荷を搭載して第1レール上を第1方向に移動する第1台車と、第1方向と交差する第2方向に延在する第2レールと、第2レールを支持する第2支持部材と、第1台車を搭載して第2レール上を第2方向に移動する第2台車と、を有する。N段の保管棚部のうちの所定の段の保管棚部において、第1支持部材と第2支持部材とは、高さ方向に一部重畳する。
【0008】
この態様によると、第1支持部材と第2支持部材とを、高さ方向に一部重畳させることができる。
【0009】
本発明の別の態様もまた、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管可能な保管棚をN(N≧2)段有する自動倉庫システムであって、第1方向に延在する第1レールと、第1レールを支持する第1支持部材と、荷を搭載して第1レール上を第1方向に移動する第1台車と、第1方向と交差する第2方向に延在する第2レールと、第2レールを支持する第2支持部材と、第1台車を搭載して第2レール上を第2方向に移動する第2台車と、を有する。床部から1段目の保管棚部の載置面までの高さ方向における長さが所定の長さ以下となるように、第1支持部材と第2支持部材とが構成されている。
【0010】
本発明のさらに別の態様もまた、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管可能な保管棚をN(N≧2)段有する自動倉庫システムであって、第1方向に延在する第1レールと、第1レールを支持する第1支持部材と、荷を搭載して第1レール上を第1方向に移動する第1台車と、第1方向と交差する第2方向に延在する第2レールと、第2レールを支持する第2支持部材と、第1台車を搭載して第2レール上を第2方向に移動する第2台車と、を有する。床部からN段目の保管棚部の天井面までの高さ方向における長さが所定の長さ以下となるように、第1支持部材と第2支持部材とが構成されている。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保管棚部の載置面を低くすることが可能な自動倉庫システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る自動倉庫システムの一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の自動倉庫システムの保管棚部の配置を示す平面図である。
【
図3】
図1の自動倉庫システムを概略的に示す正面図である。
【
図4】
図1の自動倉庫システムの保管棚部の配置を示す正面図である。
【
図5】
図1の自動倉庫システムの第1台車の一例を概略的に示す平面図である。
【
図7】
図1の自動倉庫システムの第2台車の一例を概略的に示す平面図である。
【
図9】比較例に係る自動倉庫システムの保管棚部を概略的に示す正面図である。
【
図10】
図1の自動倉庫システムの保管棚部を概略的に示す正面図である。
【
図12】
図10の第1支持部材と第2支持部材の重畳部分を示す正面視の図である。
【
図13】変形例の第2支持部材と第1支持部材の連結部分を示す正面視の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0015】
[実施の形態]
図1~
図4を参照して実施の形態に係る自動倉庫システム100の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る自動倉庫システム100の一例を概略的に示す平面図である。
図2は、自動倉庫システム100の保管棚部22の配置を示す平面図である。
図3は、自動倉庫システム100を概略的に示す正面図である。
図4は、自動倉庫システム100の保管棚部22の配置を示す正面図である。これらの図では、柱や梁などの記載を省略している。
【0016】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、X軸の正方向側を「右側」、X軸の負方向側を「左側」ということもある。また、Y軸の正方向側を「前側」、Y軸の負方向側を「後側」、Z軸の正方向側を「上側」、Z軸の負方向側を「下側」ということもある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。なお、以降の説明ではXYZ直交座標系を用いて説明するが、必ずしもX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに直交していなくとも、略90度で交差していればよい。
【0017】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。自動倉庫システム100は、多数の荷12を保管可能な保管棚部22を含むシステムである。自動倉庫システム100は、保管棚部22と、第1台車14と、第2台車16と、第1レール40と、第2レール44と、第1支持部材42と、第2支持部材46と、給電部34と、制御部18と、を含む。実施の形態では、第1方向としてX軸方向を、第2方向としてY軸方向を例示している。保管棚部22において、第1レール40はX軸方向に延在し、第2レール44および給電部34はY軸方向に延在する。制御部18は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、ユーザからの操作結果に基づき、第1台車14および第2台車16の動作を制御する。
【0018】
なお、実施の形態では、荷12をパレット(不図示)に載せた状態で扱うが、これに限られず、パレットを用いずに荷12を単独で扱うようにしてもよい。なお、荷12をパレットに載せた状態で搬送することを、単に荷12を搬送するという。
【0019】
(保管棚部)
保管棚部22は、床部Lgに設置され、多数の荷12を保管可能ないわば高密度保管型の保管スペースである。保管棚部22の構成は、複数の荷12を収容・保管可能であれば、特に限定されない。自動倉庫システム100、高さ方向に層状に重ねられたN(N≧2)段の保管棚部22を有する。本実施形態は3段の保管棚部22を有する。層状に重ねられたN段の保管棚部22を保管棚群20と表記する。なお、床部Lgに最も近い1段目の保管棚部22を単に「1段目」と、2段目の保管棚部22を単に「2段目」と、3段目の保管棚部22を単に「3段目」ということがある。
【0020】
各段の保管棚部22は、Y軸方向に並べられた複数(例えば6つ)の保管行24を含み、各保管行24はX軸方向に接続された複数(例えば6つ)の保管部26を含む。保管部26は、荷12を保管する単位である。各保管行24の第2レール44側の端部には、荷12を出し入れするための出入口部24bが設けられる。
【0021】
第1レール40は、保管行24において、X軸方向に延在する。第2レール44は、保管行24の出入口部24bの近傍において、Y軸方向に延在する。第1レール40および第2レール44を総称するときは単にレールという。
【0022】
第1支持部材42は第1レール40を支持する。特に、本実施形態の第1支持部材42は、第1レール40の下側において第1レール40と直交する方向に延在する。
図3の例では、第1支持部材42は、第2レール44と平行な方向に延びている。第2支持部材46は第2レール44を支持する。特に、本実施形態の第2支持部材46は、第2レール44の下側において第2レール44と直交する方向に延在する。
図3の例では、第2支持部材46は、第1レール40の下側において第1レール40と平行な方向に延びている。第1支持部材42および第2支持部材46を総称するときはレール支持部材という。
図2に示すように、複数段の保管棚部22のうちの所定の段の保管棚部において、第1支持部材42と第2支持部材46は、高さ方向に一部重畳している。レール支持部材については後述する。
【0023】
第1台車14は、第1レール40上をX軸方向に走行する。第2台車16は、第2レール44上をY軸方向に走行する。第1台車14および第2台車16を総称するときは単に「台車」ということがある。また、第1台車14と、第2台車16と、第1レール40と、第2レール44と、を総括するときは「内部搬送機構」ということがある。
【0024】
(第1台車)
次に、
図5、
図6も参照して第1台車14について説明する。
図5は、第1台車14の一例を概略的に示す平面図である。
図6は、第1台車14の側面図である。第1台車14は、荷12を搬送するために、保管行24の中で第1レール40をX軸方向に走行する。第1台車14は、保管部26に対して荷12を出し入れする。第1台車14は、第2台車16に乗降するために、第2台車16上をX軸方向に走行する。
【0025】
第1台車14は、車体14bと、載置台部14cと、リフト機構14dと、複数(例えば4個)の車輪14fと、を主に含む。車体14bは、高さ方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体14bの内部には、複数の車輪14fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、電池(不図示)と、を搭載している。第1台車14は、電池の電力によってモータを駆動するように構成されている。電池は繰り返し充電可能なリチウムイオン電池などの二次電池であってもよい。
【0026】
載置台部14cは、荷12を持上げて保持する部分である。リフト機構14dは、載置台部14cを昇降させる機構である。
図6において、上昇状態の載置台部14cを破線で示し、下降状態の載置台部14cを実線で示す。リフト機構14dは、載置台部14cを上昇させ、荷12を保管部26の後述する載置面22pから持上げることができる。リフト機構14dは、載置台部14cを降下させて荷12を保管部26の載置面22pに降ろすことができる。複数の車輪14fは第1レール40上および第2台車16上を転動することができる。
【0027】
(第2台車)
次に、
図7、
図8も参照して第2台車16について説明する。
図7は、第2台車16の一例を概略的に示す平面図である。
図8は、第2台車16の側面図であり、第1台車14を搭載した状態を示している。第2台車16は、第2レール44をY軸方向に走行する。第2台車16は、空荷の状態または荷12を搭載した状態の第1台車14を搬送する。
【0028】
第2台車16は、台車搭載部16cと、機構収納部16dと、複数(例えば、4個)の車輪16fと、集電ユニット38と、を主に含む。台車搭載部16cは、第1台車14を搭載するためのものである。機構収納部16dは、台車搭載部16cのY軸方向の両側に設けられる。台車搭載部16cと、機構収納部16dと、を総称するときは車体16bという。
【0029】
(台車搭載部)
台車搭載部16cは、車体16bの上面から下向に窪んでおり、車体16bは側面視で凹形状を呈する。台車搭載部16cはX軸方向幅およびY軸方向幅に対してZ軸方向に薄い略板状をしている。台車搭載部16cは、第1台車14がX軸方向に走行する走行路の一部である。台車搭載部16cの大きさは、第1台車14が台車搭載部16cの周囲と干渉することなくX軸方向に走行できるように、第1台車14の大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。
【0030】
(機構収納部)
機構収納部16dは、台車搭載部16cに比べZ軸方向に厚く、台車搭載部16cの両側で上向きに突出する略直方体形状を有する。機構収納部16dは、台車搭載部16cの上側の空間をY軸方向に挟む一対の側壁部16jを有する。一対の側壁部16jは、第1台車14の車体の側壁と隙間を介してY軸方向に対向する。機構収納部16dの内部には、車輪16fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、が搭載されている。
【0031】
車輪16fは、第2レール44上を走行する。集電ユニット38は、第2レール44の近傍をY軸方向に沿って延在する給電部34(
図1も参照)に接触して電力の供給を受ける。第2台車16は、その集電ユニット38を介して給電部34から電力を受け取る。第2台車16は、受け取った電力によってモータを駆動するように構成されている。
以上が、自動倉庫システム100の全体構成の説明である。
【0032】
(レール支持部材)
次に、
図9~
図11を参照してレール支持部材を説明する。
【0033】
(比較例)
本実施形態のレール支持部材を説明する前に比較例のレール支持部材を説明する。この比較例は、本実施形態を完成する過程で創案されたものの一つである。
図9は、比較例に係る自動倉庫システム500の保管棚部22を概略的に示す正面図である。この図では、第2台車16の台車搭載部16cが示され、機構収納部と車輪の一部は省略されている。比較例の保管棚部22は、本実施形態の保管棚部22に対して、第1支持部材42と第2支持部材46との配置が異なり、第2台車16の形状が異なる点で相違し、その他の構成は同様である。
【0034】
図9では、各段の保管棚部22の載置面22pを一点鎖線で示している。載置面22pは、後述する載置部41の上面である。1段目の第1台車14は、載置台部14cを上昇させ、荷12を載置台部14cに載せている。2段目の第1台車14は、リフト機構を降下させ、荷12を保管部の載置面22pに降ろしている。3段目の第1台車14は、第1レール40から第2台車16の台車搭載部16cに乗り込もうとしている。このように、高さ方向(Z軸方向)において、台車搭載部16cの上面は第1レール40の上面と同位置に配置される。
【0035】
比較例では、
図9に示すように、第1支持部材42と第2支持部材46とは、高さ方向で重ならず、互いに離間している点で本実施形態と異なる。このことにより、1段目の載置面22pの床部Lgからの高さH1は500mmに設定されている。また、載置面22pの高さと第2支持部材46の高さの差に基づき、台車搭載部16cの厚さT16は125mmに設定されている。
【0036】
本発明者らは、実験により、載置面22pの床部Lgからの高さが320mm以下である場合には、ユーザが手動で1段目に荷12を収納したり取出ししたりすることが可能であるとの知見を得た。比較例では、載置面22pの高さH1は320mmを超える500mmであり、ユーザが手動で1段目に荷12の収納や取出しを行うことは難しい。
【0037】
本発明者らの検討によると、多くの倉庫では制限高さLhが5500mm程度に設定されている。このため、保管棚部22の天井面Fcまでの床部Lgからの高さ(以下、「天井面の高さHc」という)は、5500mmよりも低いことが望ましい。しかし、
図9の比較例では、保管棚部22を3段に設けると、3段目の天井面Fcの高さHcは5500m以上であり、倉庫の制限高さLhを越えてしまう。このため、天井面Fcの高さHcを5500mm以下に抑えるために、保管棚部22の段数を1段減らして2段にする必要がある。保管棚部22を2段にすると、その天井面Fc2と制限高さLhとの間に大きな無駄な空間が形成され、収納効率が低下する。
【0038】
比較例の説明を踏まえて本実施形態のレール支持部材を説明する。
図10は、自動倉庫システム100の保管棚部22を概略的に示す正面図である。この図では、第2台車16の台車搭載部16cが示され、機構収納部と車輪の一部は省略されている。
図11は、本実施形態の保管棚部22を概略的に示す側面図である。保管棚部22において、各段の保管棚部22は、レールとレールを支持するレール支持部材とで構成されており、レール支持部材は複数の縦柱20nによって支持されている。
【0039】
第1支持部材42は、矩形断面を有しY軸方向に延びる角筒状の部材である。
図10に示すように、各段の保管棚部22において、複数の第1支持部材42が、所定の間隔でX軸方向に配列されている。第2支持部材46は、矩形断面を有しX軸方向に延びる角筒状の部材である。
図11に示すように、各段の保管棚部22において、複数の第2支持部材46が、所定の間隔でY軸方向に配列されている。各段の保管棚部22において、第1支持部材42と第2支持部材46とは、高さ方向に一部重畳している。
【0040】
図10では、各段の保管部の載置面22pを一点鎖線で示している。
図11に示すように、載置面22pは載置部41の上面である。載置部41は、第1レール40の上側で第1レール40と平行に保管行24に沿ってX軸方向に延びるZ軸方向に薄い板状の部材である。載置部41は、接続部41jにより第1レール40と接続されている。接続部41jは、第1レール40に沿ってX軸方向に延びるY軸方向に薄い板状の部材である。載置部41と接続部41jと第1レール40とは一体に形成されており、長手方向に垂直な断面が角張ったC字状に形成されている。
図11では、1段目は第1台車14が第1レール40上にある状態を示し、2段目は第1台車14が第2台車16上にある状態を示す。このいずれの状態においても、第1台車14の高さは同じである。
【0041】
本実施形態では、床部Lgから1段目の保管棚部22の載置面22pまでの高さ方向における長さ(=高さH1)が所定の長さ以下となるように、第1支持部材42と第2支持部材46が構成されている。所定の長さは320mmであることが好ましい。具体的には、本実施形態では、
図10に示すように、各段の保管棚部22について、第1支持部材42と第2支持部材46は、高さ方向に一部重畳するように配置されている。第1支持部材42と第2支持部材46とが高さ方向で一部オーバーラップすることにより、第2支持部材46が比較例に比べて低い位置に配置可能になり、1段目の載置面22pの床部Lgからの高さH1は300mmに設定することが可能となる。この結果、本実施形態では、載置面22pの高さH1が320mm以下であるので、ユーザが手動で1段目に荷12を収納・取出しすることができる。
【0042】
また、台車搭載部16cの厚さT16は、載置面22pの高さと第2支持部材46の高さの差に基づいて、比較例に比べてはるかに薄い45mmに設定されている。本実施形態では、台車搭載部16cの厚さT16を薄くするために、比較例で台車搭載部16cに収納されていたバッテリや駆動回路が、機構収納部16dに収納されている。
【0043】
本実施形態では、床部LgからN段目の保管棚部22の天井面Fcまでの高さ方向における長さ(=高さHc)が所定の長さ以下となるように、第1支持部材42と第2支持部材46が構成されている。所定の長さは、倉庫の制限高さLhである5500mmであってもよい。具体的には、本実施形態では、3段目(=最上段の保管棚部22)の天井面Fcの高さHcは5500mm以下となるように、第1支持部材42と第2支持部材46とが一部重畳するように配置されている。レール支持部が重複することにより、
図10に示すように、各保管棚部22の上下スパンは比較例より短くなる。このため、天井面Fcの高さHcを低くすることができる。この場合、制限高さLh=5500mmの倉庫にN段(例えば、3段)の保管棚部22を収納することが可能である。この結果、保管棚部22の天井面Fcと倉庫の制限高さLhとの間の無駄な空間が小さくなり、収納効率が向上する。
【0044】
次に、
図12を参照してレール支持部材の重畳部分を説明する。
図12(a)は、第1支持部材42と第2支持部材46の重畳部分の第1の例を示す図である。
図12(b)は、第1支持部材42と第2支持部材46の重畳部分の第2の例を示す図である。これらの図は、
図10の符号Eで指す部分におけるレール支持部材を拡大して示している。第2支持部材46には、第1支持部材42とオーバーラップする位置に、上面から下向きに凹む凹部46dが設けられる。凹部46dには第1支持部材42の一部が進入する。凹部46dを有することにより第1支持部材42との干渉を避けることができる。
【0045】
図12(a)の例では、第1支持部材42は凹部46d内に接触せず、凹部46dとの間に隙間が設けられている。
図12(b)の例では、第1支持部材42は凹部46dに接触している。この場合、第1支持部材42が第2支持部材46と接触するから、これらの相対位置精度を高めることができる。特に、凹部46dにおいて、第1支持部材42と第2支持部材46は一体的に構成されていてもよい。この場合、製造時や稼働中において、第1支持部材42と第2支持部材46の一方に所望の位置からのずれが生じたとしても、第1支持部材42と第2支持部材46は一体的に構成されているため、他方も同様にずれることになる。したがって、第1支持部材42と第2支持部材46との間ではずれは生じにくく、相対位置精度を一層高めることができる。
以上が、自動倉庫システム100の構成の説明である。
【0046】
(搬入・搬出動作)
次に、
図1を参照して、このように構成された自動倉庫システム100の搬入・搬出動作を説明する。自動倉庫システム100は、入庫部30と、出庫部32と、を備える。自動倉庫システム100は、フォークリフトなどによって倉庫外部からの荷12を入庫部30に搬入する。自動倉庫システム100は、入庫部30に搬入された荷12を、第1台車14および第2台車16を含む内部搬送機構によって所定の保管部26に搬送して保管する。自動倉庫システム100は、所定の保管部26で保管していた荷12を、内部搬送機構によって出庫部32に搬送する。自動倉庫システム100は、出庫部32に搬送された荷12を、フォークリフトなどによって倉庫外部に搬出する。
【0047】
以上、本発明の各実施形態をもとに説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0048】
(変形例)
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0049】
実施形態の説明では、保管棚部22の全段の保管棚部22において、第1支持部材42と第2支持部材46とが高さ方向において重畳する例を示したが、これに限定されない。保管棚部22の各段の保管棚部22のうちの所定の段の保管棚部22において、第1支持部材42と第2支持部材46とが高さ方向に一部重畳していれば、他の段の保管棚部22では、第1支持部材42と第2支持部材46とが重畳していなくてもよい。
【0050】
実施形態の説明では、第2支持部材46がX軸方向において第1支持部材42と重なる位置まで延びる例を示したが、これに限定されない。第2支持部材46はX軸方向において第1支持部材42と重ならなくてもよい。
【0051】
実施形態の説明では、レール支持部材の重畳部分において、第2支持部材46に第1支持部材42が進入する凹部46dが設けられる例を示したが、これに限定されない。重畳部分において、第1支持部材42に第2支持部材46が進入する凹部が設けられてもよい。あるいは、第1支持部材42と第2支持部材46の双方に凹部が設けられ、これらの凹部同士が噛合うように構成されてもよい。
【0052】
実施形態の説明では、保管棚部22の段数が3段である例を示したが、保管棚部22の段数は、2段であってもよく4段以上であってもよい。
【0053】
第2台車16を高さ方向へ昇降させる昇降装置を設けてもよい。この場合、第2台車16を各段間で移動することができる。
【0054】
第1台車14を各段の各行に設けることは必須ではなく、第1台車14は各段に設けられなくてもよい。
【0055】
保管棚部22は1列の保管行24から構成されてもよい。保管棚部22は1段の保管行24から構成されてもよい。
【0056】
保管行24の保管部26の数を一様に構成することは必須ではない。保管行24を構成する保管部26の数は、保管棚部22を収容する建物の壁の凹凸に応じて、数が多い行と少ない行とが設けられてもよい。
【0057】
高さ方向に積層される保管行24の段数を一様に構成することは必須ではない。保管行24の段数は、保管棚部22を収容する建物の天井の高さに応じて、段数が多い領域と少ない領域とが設けられてもよい。
【0058】
荷12がパレットを含むことは必須ではない。本自動倉庫システムは、パレットを含まない荷を取り扱うようにしてもよい。
【0059】
フォークリフトに代えて、クレーンを備えた移載装置など、別の種類の移載装置によって、荷12を搬入・搬出するようにしてもよい。
【0060】
実施形態の説明では、第2支持部材46が保管棚部22の全域に沿ってX軸方向に延在する例を示したが、これに限定されない。第2支持部材46は、保管棚部22の全域に沿ってX軸方向に延在することは必須ではない。第2支持部材46は、いずれかに固定されるとともに、第2レール44を支持可能に設けられていればよい。例えば、第2支持部材46は、第2台車の走行領域の下部のみに設けられ、第2台車が走行しない領域には設けられなくてもよい。
【0061】
図13は、変形例に係る第2支持部材46と第1支持部材42の連結部分の周辺を示す正面視の図である。
図13(a)は、第2支持部材46のX軸方向の端面46bが第1支持部材42の側面42bに溶接等の手段により直接固定される構成を示している。この図に示すように、第2支持部材46は、第2台車の走行領域のみに設けられていてもよい。第2支持部材46を、第2レール44を支持する部分に設け、第1支持部材42を超えて両側に延出する部分を設けないことにより、その重量を減らしコストを低減することができる。
【0062】
第2支持部材46は、一片が第1支持部材42の上面に接し他片が第2支持部材46に接合されるL字部材によって第1支持部材42に固定されてもよい。
図13(b)は、第2支持部材46が介在部材48を介して第1支持部材42に固定される構成を示している。この例の介在部材48は、X軸方向に延びる第1部分48aと、第1部分48aの第2支持部材46側の端部からZ軸方向下向に延びる第2部分48bとを含み、正面視でL字断面を有するL字部材である。第1部分48aは、第1支持部材42の上面に掛けられる一片の部分である。第2部分48bは、第2支持部材46の端面46bに、ボルト留めや溶接などの手段によって接合される一片の部分である。
【0063】
例えば、予め第2支持部材46の両方の端面46bに第2部分48bを接合し、その状態で第1部分48aを第1支持部材42の上面に掛けることにより、第2支持部材46を第1支持部材42に固定することができる。第1部分48aは、第1支持部材42に溶接等の手段により接合されてもよいし、単に掛けられて接するだけの状態であってもよい。このように構成することにより、第2支持部材46を第1支持部材42に容易に固定することができる。
【0064】
実施形態の説明では、
図10に示すように、第1支持部材42が縦柱20nからX軸方向に後退した位置に設けられる例を示したが、これに限定されない。X軸方向において、第1支持部材42は縦柱20nと同じ位置に設けられてもよい。特に、第1支持部材42は、そのX軸方向で第2レール44側の側面が縦柱20nの側面と同面になるように配置されてもよい。
【0065】
これらの各変形例は、実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0066】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0067】
12・・荷、 14・・第1台車、 16・・第2台車、 22・・保管棚部、 22p・・載置面、 26・・保管部、 40・・第1レール、 42・・第1支持部材、 44・・第2レール、 46・・第2支持部材、 100・・自動倉庫システム。