(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】車両輸送制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A63G 31/02 20060101AFI20220817BHJP
A63G 25/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A63G31/02
A63G25/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020065728
(22)【出願日】2020-04-01
(62)【分割の表示】P 2017513747の分割
【原出願日】2015-08-26
【審査請求日】2020-04-07
(32)【優先日】2014-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カワシュ サメール
(72)【発明者】
【氏名】キドゥー マイケル アール
(72)【発明者】
【氏名】パー エリック
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-075387(JP,A)
【文献】特開2000-342858(JP,A)
【文献】米国特許第06162127(US,A)
【文献】米国特許第05901398(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0257860(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101277744(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00,
B61L 1/00-99/00,
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグリッド要素と、
分析システムと、
制御システムと、を備えたシステムであって、
前記複数のグリッド要素は、自走式の車両に係合したときに前記車両の動きを制御するように構成されて、遊園地アトラクションの動的運転区域のステージ内に分散し、前記分析システムは、前記車両の被駆動車輪の角速度及び平面方向を含む前記車両の情報をモニタして、該情報を前記制御システムに送るように構成され、前記制御システムは、決定された作動時に、該被駆動車輪の該平面方向及び該角速度に基づいて前記グリッド要素の動き制御ユニットを回転させるコマンド命令を前記グリッド要素に送るように構成される、システム。
【請求項2】
前記分析システムは、前記車両の複数の被駆動車輪をモニタするように構成され、前記制御システムは、前記コマンド命令を前記グリッド要素に送る前に前記分析システムのモニタ結果と所定の動作とに基づいて、作動される前記グリッド要素を決定
し、前記所定の動作は、前記動的運転区域の操作可能なステージ部分における前記動き制御ユニットを前記平面方向に回転させる動作である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記動的運転区域の前記ステージは、少なくとも前記車両が前記ステージ上に位置して、前記被駆動車輪が前記複数のグリッド要素のうちの1つ又は2つ以上と接触しているときに、平面方向に回転するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のグリッド要素は、前記車両の前記被駆動車輪に1又は2以上の動き制御ユニットが係合して前記1又は2以上の動き制御ユニットを回転させることによって前記車両の前記動きを制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
分析システムにより、自走式の車両に係合したときに前記車両の動きを制御するように構成された複数のグリッド要素が分散された、遊園地アトラクションの動的運転区域のステージ上に位置する前記車両の被駆動車輪の角速度及び平面方向を含む前記車両の情報をモニタするステップと、
前記分析システムにより、該情報を制御システムに送るステップと、
前記制御システムにより、決定された作動時に、該被駆動車輪の該平面方向及び該角速度に基づいて前記グリッド要素の動き制御ユニットを回転させるコマンド命令を前記グリッド要素に送るステップと、
を備える、方法。
【請求項6】
前記分析システムは、前記車両の複数の被駆動車輪をモニタし、前記制御システムは、前記コマンド命令を前記グリッド要素に送る前に前記分析システムのモニタ結果と所定の動作とに基づいて、作動される前記グリッド要素を決定
し、前記所定の動作は、前記動的運転区域の操作可能なステージ部分による前記平面方向に回転する動作である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記動的運転区域の前記ステージは、少なくとも前記車両が前記ステージ上に位置して、前記被駆動車輪が前記複数のグリッド要素のうちの1つ又は2つ以上と接触しているときに、平面方向に回転する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のグリッド要素は、前記車両の前記被駆動車輪に1又は2以上の動き制御ユニットが係合して前記1又は2以上の動き制御ユニットを回転させることによって前記車両の前記動きを制御する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に車両の輸送に関し、具体的には、遊園地アトラクションにおける車両の輸送制御システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、以下で説明及び/又は特許請求する本技術の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。したがって、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【0003】
遊園地は、娯楽価値のために車両の操作を伴うアトラクションを含むことが多い。このようなアトラクションとしては、遊園地の顧客又は来園客を運ぶように動作する乗り物を挙げることができる。例えば、来園客によって操作される車両は、指定区域(例えば、バンパーカールーム、ゴーカート軌道)を走り回ることができ、固定又は制御された経路などに沿って来園客を運ぶことができる。娯楽価値のために車両の操作を伴うアトラクションとしては、車両が行う動作に基づいて視覚的刺激を与えるようにライブで行われるエキシビション(例えば、スタントショー)を挙げることもできる。例えば、スタントドライバによって操作される車両は、ライブスタントショーのシーンに関する複雑な曲技を行うことができる。このような車両の動きの操作及び制御を行う従来のシステムは、これらのタイプのアトラクションで行うことができる動きの性質に関して限界がある。現在では、見物客及び乗り手に興奮をもたらす、車両の動きを制御する改善されたシステム及び方法を提供することが望ましいと認識されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではない。実際に、本開示は、以下に示す実施形態に類似することができる、又はそれとは異なることができる様々な形態を含むことができる。
【0005】
本開示の1つの態様によれば、システムが、複数のグリッド要素(grid elements)と、分析システムと、制御システムとを含むことができる。複数のグリッド要素は、アトラクションにおける動的運転区域(dynamic driving area)内に設置することができ、制御システムから受け取ったコマンド命令に基づいて、複数のグリッド要素上に配置された車両の動きの制御を行うように構成することができる。分析システムは、1又は2以上のセンサを介して車両の位置、サイズ、速度、加速度又はこれらのいずれかの組み合わせを含む車両情報を追跡し、通信モジュールを介して車両情報を制御システムに送るように構成することができ、制御システムは、通信モジュールを介して車両情報を受け取り、車両の所望の動きに基づいて、1又は2以上のプロセッサを介して、複数のグリッド要素のうちのどのグリッド要素が作動すべきか、及び対応する作動方法を決定し、複数のグリッド要素のうちの作動するように識別された各グリッド要素に動作データを含むコマンド命令を送るように構成することができる。
【0006】
本開示の別の態様によれば、システムが、複数のグリッド要素と、分析システムと、制御システムとを含むことができる。複数のグリッド要素は、車両に係合した時に自走式車両(self-propelled vehicle)の動きを制御するように構成されて、遊園地アトラクションの動的運転区域のステージ内に分散することができ、分析システムは、車両の被駆動車輪(driven wheel)の角速度及び平面方向を含む車両の情報をモニタして、この情報を制御システムに送るように構成することができ、制御システムは、決定された作動時に、被駆動車輪の平面方向及び角速度に基づいてグリッド要素の動き制御ユニットを回転させるコマンド命令をグリッド要素に送るように構成することができる。
【0007】
本開示の別の態様によれば、方法が、アトラクションの動的運転区域上を走行中の、又は動的運転区域に接近中の1又は2以上の車両の車両情報を、分析システムを介して追跡するステップと、通信可能に結合された分析システムの通信モジュールと制御システムの通信モジュールとを利用して、分析システムを介して車両情報を制御システムに送るステップと、制御システムが分析システムから受け取った車両情報と、1又は2以上の車両の所望の動きとに基づいて、制御システムを介して、動的運転区域の表面に設置された複数のグリッド要素のうちのどのグリッド要素が作動すべきか、及び作動方法を決定するステップと、制御システムの通信モジュールと、選択されたグリッド要素の通信モジュールとを利用して、複数のグリッド要素のうちの作動するように識別された各グリッド要素に、制御システムを介して動作情報(performance information)を含むコマンド命令を送るステップと、作動するように識別された複数のグリッド要素の動き制御ユニットを介してコマンド命令を実行するステップとを含むことができる。
【0008】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ある実施形態による、動的運転区域内に設置されたグリッド要素を示す図である。
【
図2】ある実施形態による、動的運転区域内に設置された重なり合う玉軸受のシートを制御するグリッド要素を示す図である。
【
図3A】
図1のグリッド要素と、分析システムと、制御システムとを含む、1つの車両の輸送を制御するシステムを示す図である。
【
図3B】ある実施形態による、複数の車両の輸送を制御するシステムを示す図である。
【
図4A】ある実施形態による、動的運転区域内に設置された、車両の車輪に関連する
図1のグリッド要素の上面図である。
【
図4B】ある実施形態による、動的運転区域内に設置された、車両の車輪に関連する
図1のグリッド要素の側面図である。
【
図5】ある実施形態による、動的運転区域の円形部分内のスロットを通じて突出するグリッド要素を示す図である。
【
図6】ある実施形態による、分析システムを利用して車両の輸送を制御する処理のフロー図である。
【
図7】ある実施形態による、位置追跡システムを利用して車両の輸送を制御する処理のフロー図である。
【
図8】ある実施形態による、
図6及び
図7の処理を実行するように構成されたシステムのブロック図である。
【
図9】ある実施形態による、車両の輸送を制御するために利用されるホイール要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の1又は2以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明していない場合もある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間の掛かるものとなり得るが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」、「the」及び「said」といった冠詞は、これらの要素の1つ又は2つ以上が存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在してもよいことを意味する。
【0012】
移動車両を伴う遊園地のアトラクションは、車両の物理的制約、及び「運転区域」と呼ぶことができる車両を運転する区域(例えば、軌道、アリーナ、経路)の性質によって制限される場合がある。例えば、自動車ショーのアトラクションでは、通常、スタントドライバが行うことができる操作は、ドーナツ、バーンアウト、スワービング、トレールブレーキング、追跡介入技術(PIT)操作などの、あらゆる車両が通常の道路上を走行する際に可能な操作である。バンパーカー及びゴーカートなどの、来園客が運転する乗り物で利用される車両にも同じことが当てはまり得る。さらに、自動車ショー及び/又は乗り物で行われる各操作は、見物人又は操作者がリアルタイムで予想する形で行われる。すなわち、従来、これらの車両及び関連する運転区域は、自然な動作に逆らうように見えるいくつかの特殊操作及び/又は特殊効果を可能にすることができない。
【0013】
本実施形態は、ショーの一部としてであるか、それとも乗り物の一部としてであるかに関わらず、時間制御動作の錯覚を与える形で制御された車両の運転を容易にすることに関する。時間制御動作とは、まるで時間が制御されているかのような可変速度の動作のシミュレーションを意味する。時間制御動作中には、通常では知覚できないいくつかのイベントを、見物客及び/又は来園客が知覚できるほど低速にすることができる。例えば、時間制御動作としては、車両をほぼ瞬間的に減速させ、減速期間中にはスローモーションで操作(例えば、180°又は360°ターン)を行って、急激に車をその初期速度に加速させることを挙げることができる。この効果をライブアクションショー又は乗り物の要素としてシミュレートするシステム及び方法は、車両、見物客及び/又は乗り手が実際にスローモーションを体験している印象、及び/又は時間が経過した印象を与えることができる。通常、この種の動作は、映画及びテレビゲームで生じる効果である。しかしながら、ショー及び/又は乗り物における車両を用いて実際にこのような効果を作り出せば、より視覚的刺激の高い体験を提供することによってアトラクションの好ましさを大いに高めることができる。
【0014】
本開示において提供する技術は、ライブアクションにおける車両を時間制御動作の錯覚を与えるように制御することを容易にする。いくつかの実施形態では、複数の車両が、動的に制御されるグリッド要素の運転区域を通じて輸送されている間に可変速度及び方向変化を体験することができる。このようなグリッド要素を含む運転区域は、「動的運転区域」と呼ぶことができる。グリッド要素は、ほぼ瞬間的な減速、制御速度における最大360°の操作及び急加速などを可能にすることができる。運転区域は、グリッド要素が設置された表面に沿って数多くの穴を含むことができる。各グリッド要素は、穴を通じて垂直に作動し、特定の方向及び角度に位置付けられ、所望の力を付与するように制御される動き制御ユニット(例えば、ホイール、線形コイル、磁石)を含むことができる。
【0015】
分析システムが車両情報(例えば、速度、サイズ、位置)を追跡し、この情報を制御システムに中継することができる。制御システムは、この車両情報に基づいて、所望の特殊な車両操作及び/又は効果を協調させるためにどのグリッド要素が作動すべきか、及び各グリッド要素の所望の動作を決定することができる。その後、制御システムは、動的運転区域を通じた車両の輸送を制御するのに望ましい形で動作するようにグリッド要素に命令することができる。他の実施形態では、車両が位置追跡システムを利用して、その情報を直接制御システムに送ることができる。このように、いくつかの協調構成でグリッド要素を利用して車両をほぼ瞬間的に減速させ、制御された低速で操作を行い、所望の高速に急加速させることにより、スピードの速い車両を制御された動きに移行させて、あたかも時間制御動作で動いているかのように見せることができる。理解できるように、本開示の利点は、より刺激的な見ていて面白い及び/又は乗って楽しいアトラクションを可能にすることができる。
【0016】
これらを踏まえ、
図1にグリッド要素10の実施形態を示す。グリッド要素10は、ショー及び/又は乗り物のコース全体を通じて車両が往来する動的運転区域13の表面12を貫いて部分的に延びることができる。設計されるショー及び/又は乗り物の性質に応じて、動的運転区域13の要素として数多くの(例えば、何十、何百、数千もの)グリッド要素10を設置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、車両が動的運転区域13上に配置された時に自力で動くことができず、ショー全体及び/又は乗り物を通じてグリッド要素10が車両を動かす役割を担うことができる。このようなシナリオでは、表面12が、単純にグリッド要素10間の仕切りを構成することも、或いは表面12を完全に排除してグリッド要素10を密に詰め込んで動的運転区域13を構成することもできる。他の実施形態では、ショー及び/又は乗り物の一部を通じて車両が自力で動くことができるが、時間制御動作をシミュレートする特殊操作及び/又は特殊効果が行われる他の部分では動かないようにすることもできる。時間制御動作をシミュレートする部分では、動的運転区域13が、操作及び/又は効果を実行するように車両の輸送を制御するために必要なグリッド要素10を含み、他の区域ではグリッド要素10を排除することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、グリッド要素10が、動き制御ユニット14、シャフト16、モータ18、垂直アクチュエータ20、方向構成ユニット22、通信及び制御回路23、又はこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。動き制御ユニット14は、回転構成ユニットに相当するシャフト16及びモータ18を介して所望の速度で前方又は後方に、及び方向構成ユニット22を介していずれかの方向に回転できるホイールを含むことができる。すなわち、回転構成ユニットは、動き制御ユニット14を角速度で回転させるように構成することができ、方向構成ユニット22は、動き制御ユニット14を旋回させて平面方向と整列させるように構成することができる。さらに、動き制御ユニット14は、電気式、油圧式又は空気式などのうちの1つとすることができる垂直アクチュエータ20によって上昇又は下降することもできる。グリッド要素10は、操作及び/又は効果のために利用されていない時には、垂直アクチュエータ20によって表面12の下方に下降させて隠しておくことができる。いくつかの実施形態では、特定の動作段階中に、グリッド要素10が表面12と整列し、協調的に適所にロックされる。例えば、動き制御ユニット14を、その最も上側の部分が表面12と整列するように下降させた後に適所にロックして、基本的に車両が移動する表面の延長部の役割を果たすようにすることができる。密に詰め込まれたグリッド要素10を含む実施形態(例えば、実質的な固定面12を含まない実施形態)では、グリッド要素10を特定の動作段階中に適所ロックして、その上で車両が勢いを増すようにする固定面としての役割を協調的に果たすようにすることができる。さらに他の実施形態では、垂直アクチュエータ20を排除して動き制御ユニット14の上部を表面12に整列させ、又は他の密に詰め込まれたグリッド要素10と共に基本的に表面を形成するようにする。
【0018】
グリッド要素10が、動き制御を作動させて実行するコマンドを通信及び制御回路23において受け取り、及び/又は実行すると、垂直アクチュエータ20は、動き制御ユニット14を上昇させて瞬間的に超高度に(例えば、表面よりも上方に)露出させることができる。これを行うことにより、動き制御ユニット14は、車両の基部(例えば、車両の車輪又はベースパッド)に接触し、所望の方向に所望の速度で回転して車両の輸送を制御する。例えば、回転する車輪によって動く自走式車両が動き制御ユニット14上を走行した場合、動き制御ユニット14は、車両の車輪の方向とは逆方向に回転してトレッドミル効果を生じることができる。具体例として、このような車両が高速で移動中しているとした場合、制御ユニット14及び他の協調的な制御ユニットは、車両が協調する制御ユニット14上に乗った時に観察者に停止したように見えるように車両の車輪の回転を反映することができる。垂直アクチュエータ20は、特定のグリッド要素10又は一連のグリッド要素10がその部分に奉仕した後、さらなる使用が必要になるまで動き制御ユニット14を再び表面12の下方に下降させることができる。いくつかの実施形態では、もはや車両に特殊効果を与えるために制御ユニット14が使用されなくなると、制御ユニットを下降させて表面と整列させ、及び/又は適所にロックすることができる。
【0019】
他の実施形態では、動き制御ユニット14が、線形誘導モータの一部として、三相電力を受け取って磁場を生成する線形コイルを含むことができる。線形コイルも、必要に応じて垂直アクチュエータ20を利用して、同様に上昇及び下降することができる。この実施形態では、動的運転区域13を走行する車両が、車両の底部に取り付けられた導体(例えば、アルミニウムのシート)である反応プレートを含む。電力を受け取って上昇したコイル上を車両が移動すると、反応プレートが線形コイルの磁場を通過し、誘起された渦電流によって独自の磁場を生成する。これらの2つの磁場が反発し、及び/又は引き合うことによって車両を加速又は減速させることができる。
【0020】
別の実施形態では、動き制御ユニット14が、線形誘導モータの一部として、三相電力を受け取って磁場を生成する線形コイルを含むことができる。この実施形態では、動的運転区域13を走行する車両が、車両の底部に取り付けられた交番極性磁石のアレイを含む。電力を受け取って磁場を生成しているコイル上を車両が移動すると、磁石が極性に基づいて反発し、及び/又は引き合って車両を加速及び/又は減速させることができる。
【0021】
さらに、通信及び制御回路23は、制御システムからコマンド命令を受け取り、又は内部メモリに記憶されている命令を読み取って、所望の形で実行することができる。いずれにせよ、これらの命令は、動き制御ユニット14が一定速度で回転又は別様に作動して特定の方向の動きを生じる(例えば、磁場を活性化させる)ことを含むことができる。例えば、モータ18は、動き制御ユニット14(タイヤ)の一定の毎分回転数(RPM)を生じるようにシャフト16を旋回させて、1人の観客に対して所望の車両速度を生み出すことができる。また、これらの命令は、車両の経路を制御するように動き制御ユニット14を一定方向に位置付けるステップを含むこともできる。このため、方向構成ユニット22は、歯を有する歯車24を含むことができ、これらの歯が、歯を含む別の線形部品26と相互作用してグリッド要素にトルクを伝えて360°内で望むように回転させる。したがって、移動中の車両の経路を変更するように方向構成ユニット22を制御することにより、動き制御ユニット14をいずれかの平面方向に旋回させることができる。
【0022】
理解できるように、複数のグリッド要素10を一定の方法で構成すると、非常に正確な操作及び/又はカスタマイズ可能な効果を可能にすることができる。例えば、車両の車輪は、複数のグリッド要素10の作動中の動き制御ユニット14に接触することができ、これらのグリッド要素10を、厳重に制御された360°の円の形で車輪を旋回させることによって車両の4つの車輪を全て制御するように位置付け又は回転させることができる。また、いくつかの実施形態では、複数の上昇した動き制御ユニット14を素早く逆方向に回転中させることにより、比較的高速(例えば、60マイル/時間(mph))で移動中の車両が上昇した動き制御ユニット14に接触した時に、車両がほぼ瞬間的な速さで所望の速度(例えば、5mph)に減速されるようにすることもできる。その後、車両の車輪が1つの動き制御ユニット14の組から別の動き制御ユニット14の組に搬送されると、車両をいずれかの所望の方向に低速で輸送することができる。動き制御ユニット14は、車両の車輪の回転速度を考慮してこの効果を達成するように制御することができる。これにより、車両が時間制御動作で動いている印象を与えることができる。所望の操作の完了後、車を再び初期速度(60mph)又はいずれかの速度まで加速させるように構成された動き制御ユニット14上に車両を搬送すると、車両は走り去ることができる。いくつかの実施形態では、車両を固定面に搬送し、又は動き制御ユニット14を適所にロックして、車両が独自の制御下で再び移動できるようにすることができる。動的運転区域13を走行する複数の車両をグリッド要素10によって同時に制御することができると理解されたい。実際に、開示する技術は、爽快なカーチェイス、レース、チキンデュエル(chicken duel)、並びにショーにおいて表示される、及び/又は乗り物で体験されるその他のシナリオを可能にする。
【0023】
別の実施形態では、
図2に示すように、グリッド要素10が、表面12の頂部を横切って敷設された玉軸受30のシート28と相互作用することができる。玉軸受30は、動き制御ユニット14が垂直アクチュエータ20によって上昇し、シート28を圧迫して所望の速度で及び/又は所望の方向に回転することにより、係合する玉軸受30をさらに回転させることによって制御することができる。いくつかの例では、動き制御ユニット14がシート28を圧迫して静止状態を保つことにより、玉軸受30を適所にロックすることができる。ある実施形態では、車両のタイヤに接触する玉軸受30の動きを構成することにより、シート28を横切って車両を望むように輸送することができる。例えば、動き制御ユニット14が係合することによって玉軸受30の動き(例えば、方向、速度)を構成し、玉軸受の動きが、玉軸受30に係合した車両の車輪に影響を与えて、時間制御動作などの特殊操作及び/又は特殊効果を車両に実行させることができる。グリッド要素10は、制御システムから受け取られる、又はメモリにローカルに記憶されて制御及び通信回路23によって実行されるコマンド命令によって制御することができる。さらに、見物客及び/又は乗り物客は、動き制御ユニット14と、動き制御ユニット14が突出する穴とをシート28が覆っていることによって表面12の凹凸に気付かない可能性があり、これによって車両が自力で操作及び/又は効果を実行している印象を高めることができる。
【0024】
図3Aに、1つの車両の輸送を制御するシステムを示し、
図3Bに、複数の車両の輸送を制御するシステムを示す。まず、
図3Aに示すように、システムは、時間制御動作での操作を通じて車両32の動きを制御している。システムは、グリッド要素10と、センサ36と、1又は2以上のプロセッサ及び有形の機械可読メモリ(例えば、ハードドライブ)を有する分析システム37と、1又は2以上のプロセッサ及び有形の機械可読メモリ(例えば、ハードドライブ)を有する制御システム38とを含むことができる。上述したように、グリッド要素10は、穴34内に設置することも、又は動的運転区域13全体を通じて密に詰め込むこともできる。なお、
図3A及び
図3Bは概略図であり、動的運転区域13の動的部分のみにグリッド要素10を配置して、動的運転区域13の動的部分と非動的部分とが別個に存在するようにすることもできる。単一の検知ユニット又は複数のセンサを表すことができるセンサ36は、分析システム37のための車両情報(例えば、速度、タイヤの回転速度)を取得することができる。いくつかの実施形態では、センサ36が、カメラ及び/又はレーザを利用して1又は2以上の車両を追跡して車両情報を特定する光学系を含むことができる。車両情報は、車両の速度、サイズ、加速度及び位置(例えば、角度)を含むことができる。車両32のサイズ情報は、車両の重量、長さ、幅、高さなどを含むことができる。分析システム37は、センサ36に対して車両情報を追跡するように指示し、分析システム37と制御システム38とが分離している場合に通信回路に対して制御システム38に車両情報を伝えるように命令するよう構成された1又は2以上のプロセッサを含むモニタとすることができる。この結果、分析システム37は、制御システム38に車両情報を通信することができる。
【0025】
自動化コントローラ(例えば、プログラマブルロジックコントローラ)を含むことができる制御システム38は、車両情報を入力として受け入れ、どのグリッド要素10が作動すべきか、及びこれらのグリッド要素10の所望の動作を決定するように構成することができる。したがって、制御システム38は、車両情報を分析する際に軌道、速度及び加速度を理解してこれらの決定を行うように構成することができる。さらに、制御システム38は、この入力を用いて、操作全体を通じて車両を位置付けるためのグリッド要素10の角度付け方法を決定することができる。その後、制御システム38は、所望のグリッド要素10に作動して決定通りに実行するようにコマンド命令を出力することができる。図示のように、選択されたグリッド要素10は、出力されたコマンド命令を受け取り、制御された180°の回転操作で所望の速度で車両32を搬送するように制御システム38によって正しい時点で作動することができる。なお、制御システムは、グリッド要素10のいくつかを単独で制御し、及び/又は他のグリッド要素10を組としてまとめて制御するように構成することもできる。
【0026】
さらに、
図3Bに、上述したシステムによって動的運転区域13全体を通じて複数の車両の輸送が制御される様子を示す。図示のように、第1の車両32及び第2の車両42が、自動車ショーにおけるチキンデュエルのシナリオに関与する。これに加えて、又はこれとは別に、自動車破壊競争又はバンパーカータイプの乗り物において、来園客が車両32及び42を操作することもできる。図示のシナリオでは、車両32及び42が互いを目掛けて疾走中であり、見物客の間に緊張をもたらしているものとすることができる。センサ36は、サイズ、速度、加速度及び位置などの車両の情報を追跡しており、分析システム37は、この情報を制御システム38に通信しているものとすることができる。制御システム38は、車両32及び42が、時間制御動作における協調的回避操作をトリガする互いに近い距離に達したと判定することができる。したがって、制御システム38は、選択されたグリッド要素32に、初期時点(t1)において車両32及び42を作動させてほぼ瞬間的に減速させ、その後の時点(t2)において各車両32及び42を制御されたスローモーションで互いに同期して左回りに導くコマンド命令を送ることができる。グリッド要素10は、車両32及び42が出発点から180°回転するまで、制御された旋回の形で車両32及び42を搬送し続けることができる。その後、これらの地点に位置するグリッド要素10を、車両を互いから離れて逆向きに高速で加速させるように構成することができる。この結果、車両を見ている見物客及び/又は車両に乗っている来園客は、スリリングな体験を得ることができる。
【0027】
いくつかの実施形態による、動的運転区域13の表面12に沿って穴34内に設置されたグリッド要素10のサイズ決定をさらに良く理解できるように、
図4A及び
図4Bに、車両32の車輪44に関連するグリッド要素の上面図及び側面図をそれぞれ示す。なお、図示のサイズは正確なものではなく、説明目的で近似として使用するものである。まず
図4Aを参照すると、表面12の穴34は、表面12に接触する車輪44の部分(本明細書では「ホイールの接地面」と呼ぶ)の長さ及び幅よりも小さい。これにより、車輪44が穴34に落ち込んで抜け出せなくなるのを防ぐことができる。一般に、穴34は、車両が表面12上を走行している時に少なくともこれらの穴の2つ以上が車輪の接地面によって覆われるように十分に小さくすることができる。車輪の動きに対する制御の細かさは、所与の時点で車輪の接地面と相互作用するグリッド要素10が動的運転区域13の表面12上に数多く存在するほど正確に制御することができる。
【0028】
側面図で示す
図4Bでは、車両32がグリッド要素10上を走行した時に、車両32の車輪44が少なくとも2つのグリッド要素10と相互作用することができる。この図では、中央のグリッド要素10がわずかに左に曲がり、右端のグリッド要素がさらに急角度で左に曲がることにより、グリッド要素10が徐々に左折をもたらすように構成される。タイヤの接地面は、左端及び中央のグリッド要素10と相互作用すると左に曲がり始め、タイヤ44が輸送され続けて中央及び右端のグリッド要素10と相互作用するとさらに急角度で左に曲がるようになる。このように、グリッド要素10のサイズは、操作及び/又は効果の正確性に影響を与えることができる。実際には、所与の操作及び/又は効果のために設計要件に応じて、いくつかの穴34及びその関連するグリッド要素10のサイズが動的運転区域13の表面12全体を通じて変化することができる。例えば、いくつかの実施形態では、車両が急減速又は急加速することが求められる動的運転区域13の部分では、車輪の接地面とほぼ同じサイズのグリッド要素10を利用することが望ましいと思われる。さらに、いくつかの実施形態では、高度に専門的な旋回要素を有する操作及び/又は効果では、細かさ及び制御性を高めるために、ホイールの接地面と相互作用する数多くの非常に小さなグリッド要素10を利用することが望ましいと思われる。さらに他の実施形態では、動的運転区域13全体を通じてグリッド要素10のサイズを均一にすることもできる。
【0029】
別の実施形態では、
図5に示すように、グリッド要素10が、動的運転区域13内に設置された円形部分44内のスロットを通じて垂直に作動することができる。図示のように、円形部分44は、動き制御ユニット14を方向構成ユニット22によって望むように位置付けることができるように、いずれかの方向に回転することができる。具体的に言うと、表面12の円形部分44は、動き制御ユニット14と共に平面方向に回転するように構成され、回転構成ユニットは、動き制御ユニットを平面方向に対して実質的に横向きの軸の周囲で回転させるように構成される。さらに、動き制御ユニット14が突出するスロット43の形状は矩形とすることができる。したがって、スロット43のサイズは、狭い幅を含むことによって円形穴よりも小さくすることができる。したがって、このグリッド要素10の実施形態を含む動的運転区域13は、穴のサイズが小さいので、より多くの走行面12を含むことができる。これにより、動き制御ユニット14が引っ込んだ時に車両の車輪が穴に嵌まって動かなくなる可能性をさらに低下させることができる。
【0030】
さらに、別の実施形態では、動的運転区域13の操作可能なステージ部分にグリッド要素10を分散させることができる。このようなステージ部分は、非動的運転区域内の動的運転区域13全体に対応することも、或いは動的運転区域13の一部のみに対応することもできる。ステージ部分は、運転区域の1又は2以上の他の部分(例えば、別個の動的及び/又は非動的区域)に対して動くように構成することができる。例えば、ステージ部分は円形であって、平面方向に所望の速度で回転するように構成することができる。したがって、車両は、速度を上げてステージ部分上に乗り上げ、車両と相互作用するグリッド要素が引き起こすトレッドミル効果を受けると、完全に停止した後にステージ部分上で回転してスローモーションスピンをシミュレートしているように見えることができる。グリッド要素10を含むステージ部分は、運転区域13全体を通じて複数存在することができる。各ステージ部分は、複数の車両に時間制御動作などの1又は2以上の操作を実行させることができる。いくつかの実施形態では、グリッド要素10を1又は2以上のステージ部分のみに設置することができる。したがって、車両は、モータなどによって駆動される1又は2以上の車輪を含むことができ、運転区域の一部を自力で推進することができる。車両が走り回ると、分析システム37は、センサ36を利用することによって車両の位置、並びに1又は2以上の被駆動車輪の角速度及び平面方向をモニタすることができる。分析システムは、この情報を制御システム38に送ることができ、制御システム38は、車両がステージに接近した時の車両の位置及び被駆動車輪の速度と、ステージ部分(操作可能な動的区域)によって呼び出される所望の動作とに基づいて、どのグリッド要素10が作動すべきかを決定することができる。
【0031】
制御システム38は、時間制御動作などの効果をもたらすために、選択されたグリッド要素10に、接近中の車両の被駆動車輪と同じ角速度及び同じ平面方向に動き制御ユニット14を回転させるコマンド命令を送ることができる。この結果、1又は2以上の被駆動車輪が回転し続けながら基本的に適所に留まるようにすることにより、被駆動車輪が動き制御ユニットに関与した時にトレッドミル効果をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、最も外側のグリッド要素10を、車両の被駆動車輪よりも遅い速度で回転するように制御し、円形ステージの中心に近いほどグリッド要素10の速度を徐々に増加させることができる。したがって、最初のグリッド要素の速度よりも車両の運動量の方が上回り、車体全体がステージ上に載るまで車両が動き続けるようにすることができる。さらに、グリッド要素10の速度をステージの中心に向けて徐々に増加させることにより、より制御された形で車両を停止させることができる。係合されたグリッド要素10の1又は2以上の動き制御ユニット14上の適所で被駆動車輪が回転し出すと、円形ステージを平面方向に所望の速度で回転させて、車両がスローモーション(例えば、時間制御動作)で操作(例えば、最大360°の旋回)を行っている印象を与えることができる。車両が所望の操作を完了すると、動き制御ユニットが方向を逆転させ、又は表面の下方に下降し、或いは被駆動車輪が方向を逆転させることによって車両をステージから降ろし、又は押し出して、通常動作を再開させることができる。
【0032】
次に、分析システムを利用して車両の輸送を制御する処理50のフロー図である
図6を参照する。処理50は、分析システムが、車両情報を追跡するステップ(処理ブロック52)と、分析システムが、車両情報を制御システムに送るステップ(処理ブロック54)と、制御システムが、どのグリッド要素が作動すべきかを決定するステップ(処理ブロック56)と、制御システムが、グリッド要素の所望の動作を決定するステップ(処理ブロック58)と、制御システムが、グリッド要素を決定通りに作動させるステップ(処理ブロック60)とを含む。この処理50はループで動作して、測定された動作を継続的に調整する。具体的には、処理ブロック52において、分析システムは、光学系を利用することにより、車両が動的運転区域を走り回っている際にいくつかの車両情報を連続的に追跡することができる。光学系は、車両の位置、速度、加速度及びサイズなどを追跡するカメラなどのセンサを含むことができる。この情報の一部(例えば、車両のサイズ)は、予めプログラムして、センサが検出できる車両の特定の識別子に割り当てることができる。分析システムは、車両情報を取得すると、この車両情報を制御システムに送ることができる(処理ブロック54)。したがって、分析システム及び制御システムは、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又はこれらの何らかの組み合わせを介して通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、分析システム及び制御システムを、1つの統合ユニット内のコンポーネントとしてカプセル化することができる。さらに、他の実施形態では、いくつかのグリッド要素を制御できる独自の個別制御システムをそれぞれが有する数多くの分析システムが存在することができる。さらに他の実施形態では、数多くの分析システムの各々が、動的運転区域内の全てのグリッド要素を制御する中央制御システムと通信することができる。
【0033】
制御システムは、動的運転区域全体を通じて所望の操作及び/又は効果を実行するためにどのグリッド要素が作動すべきかを決定する際に、車両情報を入力として受け入れることができる(処理ブロック56)。制御システムは、所望の操作及び/又は効果を達成するために作動すべき数多くのグリッド要素を選択することができ、車両が動的運転区域を横切る際にどのグリッド要素が作動すべきかを動的に協調させることができる。このことは、車両が動的運転区域を通じて自力で駆動して設定経路を辿らないショー及び/又は乗り物にとって有益となり得る。制御システムは、位置データなどの車両情報を用いて、車両が所与の時点に動的運転区域上のどこに存在するかを特定することができる。さらに、制御システムは、車両の速度を利用して、車両が動的運転区域の特定の部分にどれほど素早く到達できるかを特定することもできる。この結果、制御システムは、適切な瞬間に車両の予想経路内に存在する作動すべきグリッド要素を選択することによって車両を導くように前以て計画することができる。グリッド要素の垂直アクチュエータは、動き制御ユニットを適切なタイミングで関連する穴を通じて表面の上方に上昇させて車両のタイヤと相互作用させることができる。
【0034】
また、制御システムは、選択されたグリッド要素の所望の動作を決定することができる(処理ブロック58)。この処理は、回転構成ユニットが各グリッド要素の動き制御ユニットによる車両への力の付与を引き起こすべき方向(順方向又は逆方向)、回転構成ユニットが動き制御ユニットを動かすべき速度(例えば、車輪を回転させる角速度、磁場の強度)、及び必要に応じて車両の動きの方向を制御するように方向構成ユニットが動き制御ユニットを位置付けるべき角度(例えば、平面方向)などを決定することを含むことができる。制御システムは、どのグリッド要素が作動すべきか(処理ブロック56)、及び各グリッド要素の所望の動作(処理ブロック58)を決定した後、選択されたグリッド要素を決定通りに作動させることができる(処理ブロック60)。いくつかの実施形態では、制御システムが、各グリッド要素に、タイミング、角度位置、速度及び力方向(例えば、順方向又は逆方向)情報を含むことができるコマンド命令を送ることができる。グリッド要素は、車両が接近すると、時間制御動作などの所望の操作及び/又は効果を実行するように協調的シーケンスで作動することができる。なお、ある実施形態では、制御システムが、作動したグリッド要素に車両が接触する直前又は直後に、車両と直接通信してドライバの制御を断ち切ることもできる。このように、特殊操作及び/又は特殊効果中には、車両の動きがドライバではなくグリッド要素によって制御される。
【0035】
別の実施形態では、システムが、予め定めたプログラミングに基づいて、動的運転区域を通じて車両の輸送を制御することができる。換言すれば、グリッド要素の動作が予め決まっているという点で、車両の輸送は動的運転区域全体を通じて受動的に制御される。この実施形態では、動的運転区域が、ショー及び/又は乗り物の車両が移動する部分全体を通じて複数のグリッド要素を含むことができる。グリッド要素の作動タイミング、平面位置角度、速度(例えば、回転速度)及び力方向(例えば、順方向又は逆方向)は、予めプログラムして制御システムのメモリ又はグリッド要素の内部メモリに記憶しておくことができる。したがって、動的運転区域に車両が配置されると、グリッド要素は、動的運転区域全体を通じて車両を動かすように適切なタイミングで命令通りに作動する。この動作は、別個の車両モチベータと協調して行うことも、又はグリッド要素が単独で行うこともできる。1つの実施形態では、車両が自力で動くことができず、ドライバ及び/又は来園客を車両内に配置して、車が人によって操作されている印象を与えることができる。例えば、いくつかのグリッド要素は、受動的な実施形態を用いて時間制御動作の効果を生み出すために、順方向に力を付与することによってダミー車両を一定速度(例えば、60mph)まで加速させ、逆方向に力を付与することによってほぼ瞬間的に車両を所望の速度(例えば、10mph)に減速させ、動き制御ユニットを同期して曲げることによる操作(例えば、最大360°の旋回運動)を通じて車両を導き、順方向に力を付与することによって車両を急加速させることができる。
【0036】
図7に、位置追跡システムを利用して車両の輸送を制御する処理70の実施形態を表す別のフロー図を示す。連続制御ループとして実装できる処理70は、車両が自らの車両情報を追跡するステップ(処理ブロック72)と、車両が車両情報を制御システムに送るステップ(処理ブロック74)と、制御システムが、所望の操作及び/又は効果のためにどのグリッド要素が作動すべきかを決定するステップ(処理ブロック76)と、制御システムが、選択されたグリッド要素の所望の動作を決定するステップ(処理ブロック78)と、制御システムが、グリッド要素を望むように作動させるステップ(処理ブロック80)とを含むことができる。具体的に言うと、処理ブロック72において、車両は、位置追跡システムを利用することによって特定の情報を追跡することができる。いくつかの実施形態では、位置追跡システムが、位置情報を求めるために使用できる、制御システムに信号を供給するRFID送信機などの送信機を含むことができる。他の実施形態では、位置追跡システムが、位置情報(例えば、角速度)を求めるために放出されて、運転区域全体を通じて配置されたセンサから跳ね返るレーザを含むことができる。さらに、車両は、車両の速度及び加速度を追跡する内部モニタ(例えば、1又は2以上のプロセッサを含むコンピュータ)、及び車両のサイズの寸法を記憶する有形の機械可読メモリ(例えば、ハードドライブ)を含むことができる。
【0037】
次に、処理ブロック74において、車両は、通信モジュールを利用して制御システムに車両情報を送ることができる。したがって、いくつかの実施形態では、車両と制御システムとが互いに直接通信することができる。制御システムは、車両の速度、サイズ、位置及び加速度などを含む車両情報を車両から受け入れ、この車両情報に基づいて、時間制御動作などの所望の操作及び/又は効果のためにどのグリッド要素が作動すべきかを決定する(処理ブロック76)ように構成することができる。
【0038】
また、制御システムは、選択されたグリッド要素の所望の動作を決定することができる(処理ブロック78)。この処理は、回転構成ユニットが各グリッド要素の動き制御ユニットによる車両への力の付与を引き起こすべき方向(順方向又は逆方向)、回転構成ユニットが動き制御ユニットを動かすべき速度(例えば、タイヤの回転速度、磁場の強度)、及び必要に応じて車両の動きの方向を制御するように方向構成ユニットが動き制御ユニットを位置付けるべき平面位置角度などを決定することを含むことができる。制御システムは、どのグリッド要素が作動すべきか(処理ブロック76)、及び各グリッド要素の所望の動作(処理ブロック78)を決定した後、選択されたグリッド要素を決定通りに作動させることができる(処理ブロック80)。いくつかの実施形態では、制御システムが、各グリッド要素に、タイミング、角度位置、速度及び力方向(例えば、順方向又は逆方向)情報を含むことができるコマンド命令を送ることができる。グリッド要素は、車両が動的運転区域の特定の能動的部分に接近すると、時間制御動作などの所望の操作及び/又は効果を実行するように協調的シーケンスで作動することができる。ある実施形態では、制御システムが、作動したグリッド要素に車両が接触する直前又は直後に、車両と通信してドライバの制御を断ち切ることができる。このように、特殊操作及び/又は特殊効果中には、車両の動きがドライバではなくグリッド要素によって制御される。
【0039】
図6を参照しながら上述したように、いくつかの実施形態では、制御システムが、動的運転区域内のどこに車両が存在するか、車両がどれほどの速さで進んでいるか、及び実行すべき所望の操作などに基づいて、どのグリッド要素が作動すべきか、及びこれらのグリッド要素がどのようにほぼリアルタイムで実行すべきかを選択するという点で、どのグリッド要素が作動すべきか、及びグリッド要素の動作の決定を能動的とすることができる。他の実施形態では、決定及び動作を制御システム又はグリッド要素に予めプログラムし、所定のルートを通じて車両を搬送できるという点で、どのグリッド要素が作動すべきか、及びこれらのグリッド要素がどのように実行すべきかについての決定を受動的とすることができる。
【0040】
図8に、
図6及び
図7の処理を実行するように構成されたシステム90のブロック図を示す。システム90は、グリッド要素10と、分析システム37と、制御システム38とを含むことができる。上述したように、システム90は、グリッド要素10が設置された動的運転区域全体を通じて車両32の輸送を制御するように構成することができる。実際には、システム90は、車両32に時間制御動作などの特殊操作及び/又は特殊効果を実行させることができる。分析システム37、制御システム38及びグリッド要素10は、車両32が特殊操作及び/又は特殊効果を実行できるようにする様々なコンポーネントを含むことができる。いくつかの実施形態では、各グリッド要素10を個別に制御することも、又は組として制御することもできる。同様に、車両32は、車両32を所望の方法で制御できるようにするコンポーネントを含むことができる。
【0041】
分析システム37は、プロセッサ94と、メモリ96と、通信モジュール98と、センサ36とを含むことができる。1又は2以上のプロセッサを表すことができるプロセッサ94は、コンピュータ実行可能コードを実行できるあらゆるタイプのコンピュータプロセッサ又はマイクロプロセッサとすることができる。1又は2以上のメモリコンポーネントを表すことができるメモリ96は、コンピュータ実行可能コード又はデータなどを記憶する媒体として機能できるあらゆる好適な製造の物品とすることができる。これらの製造の物品は、本明細書で開示する技術を実行するためにプロセッサ94が使用するプロセッサ実行可能コードを記憶できる有形の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、いずれかの好適な形態の有形メモリ又はストレージ)を表すことができる。メモリ96は、センサ36によって取得された車両情報を記憶するために使用することもできる。通信モジュール98は、分析システム37と制御システム38との間の通信を容易にすることができる無線又は有線通信コンポーネントとすることができる。したがって、通信モジュール98は、データの送受信が可能な無線カード又はデータポート(例えば、イーサネット(登録商標))を含むことができる。センサ36は、カメラを利用して特定の車両情報を追跡する光学系を含むことができる。
【0042】
制御システム38は、プロセッサ100と、メモリ102と、通信モジュール104とを含むことができる。1又は2以上のプロセッサを表すことができるプロセッサ100は、コンピュータ実行可能コードを実行できるあらゆるタイプのコンピュータプロセッサ又はマイクロプロセッサとすることができる。1又は2以上のメモリコンポーネントを表すことができるメモリ102は、コンピュータ実行可能コード又はデータなどを記憶する媒体として機能できるあらゆる好適な製造の物品とすることができる。これらの製造の物品は、どのグリッド要素が作動すべきか、及びこれらのグリッド要素がどのように実行すべきかについての決定などの、本明細書で開示する技術を実行するためにプロセッサ100が使用するプロセッサ実行可能コードを記憶できる有形の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、いずれかの好適な形態の有形メモリ又はストレージ)を表すことができる。メモリ102は、分析システム37から受け取った車両情報を記憶するために使用することもできる。通信モジュール104は、分析システム37、車両32及びグリッド要素10との間の通信を容易にすることができる無線又は有線通信コンポーネントとすることができる。したがって、通信モジュール104は、データの送受信が可能な無線カード又はデータポート(例えば、イーサネット(登録商標))を含むことができる。例えば、プロセッサ100は、決定を行った後に、通信モジュール104に対し、グリッド要素10のうちの選択された一部又は個々のグリッド要素10にコマンド命令(例えば、作動タイミング、力の方向、付与すべき力の量、角度方向情報)を送るように指示することができる。
【0043】
車両32は、プロセッサ108及びメモリ110を含む車両コントローラ106と、位置追跡システム112と、通信モジュール114と、モータ116と、ブレーキ118と、電源120とを含むことができる。1又は2以上のプロセッサを表すことができるプロセッサ108は、コンピュータ実行可能コードを実行できるあらゆるタイプのコンピュータプロセッサ又はマイクロプロセッサとすることができる。1又は2以上のメモリコンポーネントを表すことができるメモリ108は、コンピュータ実行可能コード又はデータなどを記憶する媒体として機能できるあらゆる好適な製造の物品とすることができる。これらの製造の物品は、制御システム38による命令時にドライバによる車両の制御を無効化することなどの、本明細書で開示する技術を実行するためにプロセッサ94が使用するプロセッサ実行可能コードを記憶できる有形の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、いずれかの好適な形態の有形メモリ又はストレージ)を表すことができる。いくつかの実施形態では、メモリ110を、サイズ寸法(例えば、重量、長さ、幅、高さ)、速度及び加速度などの車両の情報を記憶するために使用することもできる。通信モジュール114は、制御システム38との通信を容易にすることができる無線通信コンポーネントとすることができる。したがって、通信モジュール114は、データの送受信が可能な無線カードを含むことができる。例えば、プロセッサ100は、どのグリッド要素10が作動すべきか、及びこれらのグリッド要素10がどのように実行すべきかを制御システム38が決定できるように、通信モジュール114に対して制御システム38に車両情報を送るように指示することができる。
【0044】
車両32は、車両32の動きをもたらすために、モータ116及びブレーキ118を含む。車両32の動きは、車両32の加速、減速、旋回及び停止を含むことができる。モータ116は、以下に限定されるわけではないが、バッテリ、ソーラーパネル、発電機、ガスエンジン、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むいずれかの好適な電源120によって給電を受けることができる。ドライバが車両を運転できる実施形態では、車両コントローラ106がモータ116及びブレーキ118の動作を制御することができる。例えば、車両コントローラ106は、モータ116の出力を調整するようにモータ116を制御して、車両32を加速又は減速させることができる。車両コントローラ106は、ブレーキ118を制御して車両32を減速又は停止させることもできる。さらに、車両コントローラ106は、オペレータインタフェースを介したドライバからの命令に従って動作することも、又は(例えば、グリッド要素が関与を受けた時点でドライバ制御を遮断することによって)ドライバ命令を無効にすることができる制御システム38からの命令に従って動作することもできる。
【0045】
位置追跡システム112は、動的運転区域内の車両の位置をモニタすることができる。1つの実施形態では、位置追跡システム112が、動的運転区域内のセンサと相互作用する。各センサは、動的運転区域内の一意の位置(例えば、1又は2以上の基準点に対する座標)を表す。このような実施形態では、車両位置追跡システム112が、車両32の位置情報を提供するように車両又は車両の特定部分(例えば、前面、右バンパー)に関連付けられた識別子を検知できる読取装置を含む。この結果、読取装置は、制御システム38に位置情報を供給することができ、制御システム38は、所望の操作及び/又は効果のためにどのグリッド要素10が作動すべきか、及び各グリッド要素10がどのように実行すべきかをさらに決定する。上述したように、いくつかの実施形態では、位置追跡システム112が、位置情報の提供及び/又は取得を行うように、RFIDタグ及び/又は放射レーザを含むことができる。分析システム37がセンサ36を利用して車両の情報を追跡する実施形態では、車両32が位置追跡システム112を含まないこともある。
【0046】
グリッド要素10は、通信及び制御回路23(プロセッサ122、メモリ124及び通信モジュール126)、動き制御ユニット14、シャフト16、モータ18、垂直アクチュエータ20、方向構成ユニット22、又はこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。1又は2以上のプロセッサを表すことができるプロセッサ122は、コンピュータ実行可能コードを実行できるあらゆるタイプのコンピュータプロセッサ又はマイクロプロセッサとすることができる。1又は2以上のメモリコンポーネントを表すことができるメモリ124は、コンピュータ実行可能コード又はデータなどを記憶する媒体として機能できるあらゆる好適な製造の物品とすることができる。これらの製造の物品は、本明細書で開示する技術を実行するためにプロセッサ122が使用するプロセッサ実行可能コードを記憶できる有形の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、いずれかの好適な形態の有形メモリ又はストレージ)を表すことができる。例えば、グリッド要素10が制御システム38からのコマンド命令を伴わずに動作するように予めプログラムされた実施形態では、プロセッサ実行可能コードが、いつ垂直作動すべきか、どの方向に力を付与すべきか(例えば、速度又は磁場の強度)、どの角度に位置すべきかに関する命令を含むことができる。これに加えて、又はこれとは別に、グリッド要素10が制御システム38からコマンド命令を受け取るように構成された実施形態では、プロセッサ実行可能コードが、コマンド命令の受け取り、検証及び/又は実行に関する命令を含むこともできる。
【0047】
通信モジュール126は、制御システム38との通信を容易にすることができる無線通信コンポーネントとすることができる。したがって、通信モジュール126は、データの送受信が可能な無線カード又はデータポート(例えば、イーサネット(登録商標))を含むことができる。例えば、通信モジュール126は、制御システム38からコマンド命令を受け取るように構成することができる。
【0048】
1つの実施形態では、分析システム37と制御システム38との間で無線又は有線ネットワークを少なくとも部分的に介してデータが転送される。分析システム37は、センサ36によって車両が追跡されている時に、上述したような車両情報を含むデータを制御システム38に転送することができる。反復すると、このようなデータは、個々の車両32及び関連する位置、サイズ、速度、移動方向又はモータ出力などのための車両識別子を含むことができる。制御システム38は、分析システム37から受け取ったデータに基づいて、所望の操作及び/又は効果のためにどのグリッド要素10が作動すべきか、及び各グリッド要素10がどのように実行すべきかを決定することができる。その後、制御システム38は、車両32の動きを制御するように協調的シーケンスで作用する選択されたグリッド要素10に命令を送ることができる。例えば、グリッド要素10は、車両32をほぼ瞬間的に減速させ、制御された操作を車両32に実行させ、車両32を高速まで急加速させることによって、時間制御動作などの1又は2以上の操作及び/又は効果を可能にすることができる。上述したように、分析システム37は、複数の車両32をモニタして、車両情報を制御システム38に送ることができる。これを受けて、制御システム38は、同じ又は異なる操作及び/又は効果を実行する数多くの車両を取りまとめるために、作動すべき全ての異なるグリッド要素10、及びこれらのグリッド要素10がどのように実行すべきかを決定することができる。このように、動的運転区域上の数多くの車両32を、所望の特殊操作及び/又は特殊効果を同時に実行するように制御することにより、見物客及び/又は乗客にとって非常に楽しい体験をもたらすことができる。
【0049】
別の実施形態では、車両32と制御システム38との間で無線ネットワークを少なくとも部分的に介してデータが転送される。車両32は、上述したような車両情報を含むデータを制御システム38に転送することができる。反復すると、このようなデータは、個々の車両32及び関連する位置、サイズ、速度、移動方向又はモータ出力などのための車両識別子を含むことができる。制御システム38は、車両32から受け取ったデータに基づいて、所望の操作及び/又は効果のためにどのグリッド要素10が作動すべきか、及び各グリッド要素10がどのように実行すべきかを決定することができる。その後、制御システム38は、車両32の動きを制御するように協調的シーケンスで作用する選択されたグリッド要素10に命令を送ることができる。例えば、グリッド要素10は、車両32をほぼ瞬間的に減速させ、制御された操作を車両32に実行させ、車両32を高速まで急加速させることによって、時間制御動作などの1又は2以上の操作及び/又は効果を可能にすることができる。この実施形態では、分析システム37を利用しないこともある。
【0050】
1つの実施形態では、車両32のコンポーネントである機構を利用して車両32の輸送を行うことができる。例えば、
図9に、ホイール要素130の制御機構を示す。ホイール要素130は、グリッド要素10と実質的に同様のコンポーネントを含むことができるが、車両32の各車輪の内側に取り付けられ、(例えば、動的運転区域の表面の穴の中に設置された)動的運転区域のコンポーネントではない。実際に、ホイール要素130は、動き制御ユニット132、シャフト134、モータ136、垂直アクチュエータ138、方向構成ユニット140、通信及び制御回路141、又はこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。動き制御ユニット132は、車両の車輪よりも小さなホイールを含むことができる。方向構成ユニット140は、車輪又はホイール要素130の基部に取り付けられた線形ストリップ上の歯と連動する歯車を含み、最大360°の回転を可能にすることができる。垂直アクチュエータ138は、油圧式、電気式又は空気式の持ち上げシステムを含むことができる。
【0051】
ホイール要素130は、グリッド要素10と実質的に同様に制御することができる。すなわち、制御システムに車両情報を送る分析システムによって車両の情報を追跡することができる。制御システムは、所望の操作及び/又は効果を実行するためにどのホイール要素130が作動すべきか、及び各ホイール要素130がどのように実行すべきかを決定することができる。その後、制御システムは、作動すべきホイール要素にコマンド命令を送ることができる。このコマンド命令は、作動タイミング、力の方向(例えば、順方向又は逆方向)、付与すべき力の量(例えば、回転速度)及び角度位置などに関する情報を含むことができる。ホイール要素130は、垂直アクチュエータ138によって作動すると、駆動面に接触するまで下向きに伸びて、取り付け先の車輪を地面から持ち上げることができる。この結果、作動したホイール要素130が車両の動きを制御するようになる。ホイール要素は、制御システムから受け取ったコマンド命令、又は内部メモリに記憶されている命令に基づいて、時間制御動作などの特殊操作及び/又は特殊効果を実行することができる。ホイール要素130は、操作及び/又は効果の実行前及び実行後に、垂直アクチュエータ138によって駆動面に接触しないように引っ込ませることができる。ホイール要素130は、グリッド要素10の場合と同様に、車両32が運転区域を横切る時に制御システムによって能動的に制御することも、或いは予めプログラムされた操作及び/又は効果を実行することによって受動的に制御することもできる。
【0052】
本明細書では、本開示のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に該当する全てのこのような修正及び変更を含むものであると理解されたい。