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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】寝台装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 20/08 20060101AFI20220817BHJP
   A61G 7/005 20060101ALI20220817BHJP
   A61G 7/015 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A47C20/08 Z
A61G7/005
A61G7/015
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020145543
(22)【出願日】2020-08-31
(62)【分割の表示】P 2020070191の分割
【原出願日】2015-10-06
(65)【公開番号】P2020199287
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-08-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 健一
(72)【発明者】
【氏名】原田 昌和
(72)【発明者】
【氏名】窪田 伸之助
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-114487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0023673(US,A1)
【文献】特開2014-223185(JP,A)
【文献】特開2004-298372(JP,A)
【文献】取扱説明書「在宅ケアベッド 楽匠Sシリーズ」,パラマウントベッド株式会社,2012年03月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 20/08
A61G 7/005
A61G 7/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背ボトム及び膝ボトムを支持するメインフレームと、
前記メインフレームを支持するベースフレームと、
を備え、
前記メインフレームに設けられ前後方向に延びる連動リンクを、前記背ボトムの背上げに際して回動する前記メインフレームの第1回動部材と前記膝ボトムの膝上げに際して回動する前記メインフレームの第2回動部材との間に連結でき、
前記ベースフレームは、左右方向に延びる第1連結棒を含み、
前記第1連結棒は、直線状の第1部分と、湾曲した湾曲部と、を含み、
前記第1回動部材の回動と前記第2回動部材の回動とを連動可能な前記連動リンクを前記メインフレームの前記第1回動部材と前記第2回動部材との間に連結したとき、前記連動リンクと前記第1連結棒は平面視において交差し、前記第1連結棒の前記湾曲部は前記背上げ及び前記膝上げの動作時に前記連動リンクと接触を回避する、電動ベッド。
【請求項2】
前記背ボトム及び膝ボトムを駆動するボトム駆動機構と、
前記ボトム駆動機構に連結され前記前記第1回動部材から突出する取付け部材と、
をさらに備えた、
請求項1に記載の電動ベッド。
【請求項3】
前記電動ベッドの設置面から、前記背ボトム及び膝ボトムの上面までの高さを150mmとできる、請求項1または請求項2に記載の電動ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1及び2に示す背膝ボトム連動機構が適用された寝台装置として、以下に示す構成が挙げられる。すなわち、背ボトムと膝ボトムとが回動昇降可能に支持されているベッドフレームにおいて、背ボトムを回転駆動する駆動軸と膝ボトムを回転駆動する駆動軸との間に連動リンクが連結されている。これにより、一つの駆動源で、背ボトムの背上げと膝ボトムの膝上げとの両方を同時に行うことができる。
具体的には、背ボトムの背上げを行うために、駆動源からの動力を背ボトムに連結される駆動腕に与えると、その動力は、駆動腕と同じ駆動軸の連動腕から連動リンクに与えられる。さらに、上記動力は連動リンクを介して膝ボトムの連動腕に与えられ、膝ボトムの
連動腕と同じ駆動軸の押上腕に与えられる。それにより、背ボトムが背上げされると同時に、膝ボトムも押し上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-240583号公報
【文献】特開2004-16635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば低床化などを目的として地面から寝台の上面までの高さを、例えば150mm程度の高さに設定した場合や地面から十分高い高さにあっても寝台の上面から150mm程度の空間に機構を収納しなければいけない場合は、従来の構成ではメインフレームに設けられる連動リンクと昇降機構を構成する交差棒とをスペースの都合上極めて近い位置に配置する必要がある。その結果、背膝ボトム連動機構の動作時に連動リンクが交差棒や床に接触してしまうおそれがある。そのため、背膝ボトム連動機構を有する従来の寝台装置において十分に低床化することは困難であった。一方、メカ連動する寝台装置の場合、部材同士を動作させるためにこれらの部材は必須の部材であることが多い。そのため、例えば部品点数を減らしてスペースを拡充することによって、背膝ボトム連動機構を寝台装置の内部に配置することは困難であった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、低床化された場合であっても、部材同士を接触させずに背膝ボトム連動機構などの連動機構を動作させることができる寝台装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る寝台装置は、背ボトムおよび膝ボトムを有する寝台と、前記寝台を支持する支持架台と、を備え、前記支持架台は、前記背ボトムの背上げに際して回動する第1回動部材と、前記膝ボトムの膝上げに際して回動する第2回動部材と、前記第1回動部材及び前記第2回動部材間を連結し、前記第1回動部材の回動と前記第2回動部材の回動とを連動可能な連動リンクと、平面視において前記連動リンクと交差する部分を有する交差棒と、を備え、前記連動リンクと前記交差棒との少なくとも一方が、前記交差する部分において互いの接触を避けるように変形された逃げ構造を有している。
【0007】
上記態様によれば、交差棒と連動リンクとの両方が互いに接触することを避けるために変形された逃げ構造を有することによって、確実にお互いの接触を回避することができる。
【0008】
前記連動リンクと前記交差棒との両方が、前記交差する部分において互いの接触を避けるように変形された逃げ構造を有していてもよい。
【0009】
上記態様によれば、交差棒と連動リンクとの一方のみではなく、両方が逃げ構造を有するため、低床の寝台装置内で背膝ボトム連動機構を動作させた場合でも、より確実に交差棒と連動リンクとが接触することを回避できる。
【0010】
また、前記連動リンクの前記逃げ構造が、前記交差棒より離間する方向に湾曲する第1の湾曲部であり、前記交差棒の前記逃げ構造が、前記連動リンクより離間する方向に湾曲する第2の湾曲部であってもよい。
【0011】
上記態様によれば、製造が容易な形状である湾曲部によって、連動リンクと交差棒との交差部での距離を十分に確保することができる。
【0012】
前記支持架台が、設置面に設置されるベースフレームと、前記寝台が固定されるメインフレームと、前記ベースフレームに対して前記メインフレームを昇降可能な昇降機構と、をさらに備え、前記交差棒が、前記昇降機構の一部を形成するとともに、前記メインフレームに対して回動自在に連結され、前記昇降機構が前記メインフレームを昇降させるときに、前記交差棒が回動してもよい。
【0013】
上記態様によれば、交差棒と連動リンクとの両方が逃げ構造を有するため、背膝ボトム連動機構の動作時だけでなく、交差棒の回動時においても、交差棒と連動リンクとの干渉を回避することができる。
【0014】
前記交差棒が、前記メインフレームに対する前記交差棒の回動軸の延長線とは異なる直線状に配置された直線部を有し、前記交差棒の前記逃げ構造が、前記回転軸の延長線上に配置されていてもよい。
【0015】
上記態様によれば、昇降機構を動作させても、逃げ構造が回転軸上に配置されるため、交差棒が連動リンクだけでなく、他の部材と干渉することも回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様に係る寝台装置によれば、低床化しかつ連動機構を備えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る寝台装置の平面図である。
図2図1に示す寝台装置の側面図である。
図3図1に示す寝台装置を構成する支持架台の分解斜視図である。
図4図3に示す支持架台の平面図である。
図5図3に示す支持架台の側面図である。
図6図3に示す支持架台の側面図であって、昇降機構によりメインフレームを上昇させた状態を示す図である。
図7】本実施形態におけるボトム連動機構及び連結棒の構成を説明するための拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る寝台装置10を、図面に基づいて以下に説明する。寝台装置10は、例えば、医療環境下(介護環境下を含む)において利用することができる。図1から図6において、矢印Hは人(使用者)が寝る際に頭側となる向きを示し、また矢印Fは人が寝る際に足側となる向きを示している。以下の説明においては、矢印H、Fの方向である前後方向に対して直交する水平方向を左右方向と言う場合が有る。
【0019】
図1から図6に示すように、寝台装置10は、寝台11と、支持架台12と、駆動機構13と、ボード14と、制御部15と、を備えている。寝台装置10は、電力を動力源とするいわゆる電動ベッドである。
寝台11は、平面視した場合に左右方向よりも前後方向に長い。寝台11は、背ボトム16と、腰ボトム17と、脚ボトム18と、を備えており、これらの背ボトム16、腰ボトム17および脚ボトム18は、頭側Hから足側Fに向けてこの順に並んでいる。脚ボトム18は、膝ボトム19と、足ボトム20と、を備えており、これらの膝ボトム19および足ボトム20は、頭側Hから足側Fに向けてこの順に並べられている。
【0020】
背ボトム16の上面、腰ボトム17の上面および脚ボトム18(膝ボトム19および足ボトム20)の上面はそれぞれ、寝台面21の一部を形成している。背ボトム16は、寝台面21上の使用者の背を支える部分に対応し、腰ボトム17は、寝台面21上の使用者の腰を支える部分に対応し、脚ボトム18は、寝台面21上の使用者の脚を支える部分に対応する。膝ボトム19は、寝台面21上の使用者の膝から腰を支える部分に対応し、足ボトム20は、寝台面21上の使用者の膝から足先を支える部分に対応する。腰ボトム17は、前後方向に伸縮自在に形成されている。膝ボトム19および足ボトム20間は、左右方向に延びる屈曲軸22回りに回動自在に連結されている。
【0021】
寝台面21は、駆動機構13によって寝台11が背上げまたは膝上げ等の変形(例えば起伏を伴う回動)をさせられる前の標準状態において、上下方向に直交する直交面とされている。寝台面21は、その平面視において左右方向よりも前後方向に長い矩形状に形成されている。寝台面21(寝台11)の長手方向は前後方向とされ、寝台面21の短手方向は左右方向となっている。寝台面21上には、図示しないマットレスが配置される。
【0022】
支持架台12は、寝台11を支持し、寝台11、および寝台11上の使用者それぞれの荷重を受け止める。本実施形態では、支持架台12が、背ボトム16および脚ボトム18(可動ボトム)を、左右方向に延びる回動軸23、24回りに回動自在に支持していて、寝台装置10は、いわゆるギャッチベットとなっている。支持架台12は、ベースフレーム25と、メインフレーム26と、昇降機構27と、を備えている。
【0023】
ベースフレーム25は、設置面S上に設置され、平面視において矩形状をなす。図3に示すように、ベースフレーム25は、前後方向に延びる第1縦部材28と、左右方向に延びる第1横部材29と、を備えている。
第1縦部材28は、左右方向に間隔をあけて一対設けられている。
第1横部材29は、左右一対の第1縦部材28に架設されており、これらの両第1縦部材28を左右方向に連結している。第1横部材29は、前後方向に間隔をあけて一対設けられている。第1横部材29は、第1縦部材28に移動不能に固定されている。
【0024】
第1縦部材28の前後方向の端部は、第1横部材29よりも前後方向の外側に突出しており、これらの各端部には、設置用の脚部材30が装着されている。なお図示の例では、脚部材30として、ゴムカバーを採用しているが、ゴムカバーに代えてキャスターを採用することも可能である。
【0025】
メインフレーム26は、寝台11を直接、支持する。メインフレーム26は、寝台11を下方から支持するフレーム部31と、フレーム部31から左右方向に突出し、寝台11の下方に配置されるオプション取付け部32と、を備えている。
フレーム部31は、平面視において矩形状をなす。フレーム部31は、前後方向に延びる第2縦部材33(縦部材)と、左右方向に延びる第2横部材34(受け部材)と、を備えている。
【0026】
第2縦部材33は、左右方向に間隔をあけて一対設けられている。
第2横部材34は、左右一対の第2縦部材33に架設され、これらの両第2縦部材33を左右方向に連結している。第2横部材34は、前後方向に間隔をあけて複数、図示の例では5つ設けられている。第2横部材34は、第2縦部材33に移動不能に固定されている。第2縦部材33の前後方向の端部は、複数の第2横部材34のうち、前後方向に沿って最も外側に位置する第2横部材34よりも前後方向に突出している。
【0027】
オプション取付け部32は、フレーム部31を挟んで左右一対設けられ、さらに左右一
対のオプション取付け部32が、前後方向に間隔をあけて一対設けられている。各オプション取付け部32は、第2縦部材33から左右方向に延びる前後一対の突出部材35と、これらの両突出部材35に、左右方向にスライド自在に装着されたオプション受け36と、を備えている。オプション受け36は、寝台11から左右方向に突出している。オプション受け36には、図示しない転落防止用の柵体が着脱される。
【0028】
メインフレーム26は、前後方向に沿って頭側フレーム37と足側フレーム38とに2分割される。本実施形態では、一対の第2縦部材33がそれぞれ、前後方向に沿って頭側部材33aと足側部材33bとに2分割される。そして、左右一対の頭側部材33aを、複数の第2横部材34のうちの頭側Hに位置する2つの第2横部材34が連結することで、頭側フレーム37が形成されている。また、左右一対の足側部材33bを、複数の第2横部材34のうちの足側Fに位置する3つの第2横部材34が連結することで、足側フレーム38が形成されている。オプション取付け部32は、頭側フレーム37および足側フレーム38のそれぞれに、左右一対ずつ配置されている。
【0029】
頭側フレーム37には、背ボトム16が固定されるリトラフレーム39と、リトラフレーム39(背ボトム16)を第1回動軸23回りに回動させる第1回動部材43と、が設けられている。リトラフレーム39および第1回動部材43はいずれも、平面視において頭側Hに向けて開口する倒立U字状に形成されている。
リトラフレーム39は、左右方向に間隔をあけて一対設けられたボトム支持部40と、ボトム支持部40における前後方向の足側Fの端部同士を連結する連結軸41と、を備えている。連結軸41の左右方向の端部は、ボトム支持部40から左右方向に突出している。
【0030】
図3および図4に示すように、リトラフレーム39は、リトラ用リンク42を介してメインフレーム26に連結されている。リトラ用リンク42は、リトラフレーム39を左右方向に挟んで一対設けられている。各リトラ用リンク42の足側Fの端部には、連結軸41の左右方向の端部が回動自在に連結されている。各リトラ用リンク42における頭側Hの端部は、メインフレーム26に第1回動軸23を介して回動自在に連結されている。第1回動軸23は、リトラ用リンク42をメインフレーム26に回動自在に連結している。
【0031】
図2から図4に示すように、第1回動部材43は、背ボトム16の下面に沿って前後方向に延びる左右一対の第1押上腕部43aと、左右一対の第1押上腕部43aを左右方向に連結する第1連結部43b(受け部材)と、を備えている。第1連結部43bは、第1押上腕部43aの足側Fの端部を連結している。第1連結部43bの左右方向の端部は、第1押上腕部43aから左右方向に突出していて、第2縦部材33に回動自在に連結されている。第1押上腕部43aの頭側Hの端部は、ボトム支持部40の下面に摺動自在に当接する。
【0032】
頭側フレーム37では、第1回動部材43が上側に向けて回動することで、第1押上腕部43aの頭側Hの端部がボトム支持部40の下面に対して摺動し、第1回動部材43がリトラフレーム39を押し上げる。すると、リトラ用リンク42が第1回動軸23回りに回動するとともに、リトラフレーム39が連結軸41回りに回動する。これにより、図2に示すように、背ボトム16全体が頭側Hに移動しながら、背ボトム16が第1回動軸23回りに起伏回動し、背ボトム16が水平面に対して傾斜するいわゆる背上げ状態となる。
【0033】
背上げ状態とされたリトラフレーム39は、前後方向に延びるリトラ用ステー44によって支持される。リトラ用ステー44は、リトラフレーム39と、複数の第2横部材34のうち、最も頭側Hに位置する第2横部材34と、の間に設けられている。リトラ用ステ
ー44の足側Fの端部は、リトラフレーム39に回動自在に連結され、リトラ用ステー44の頭側Hの端部は、第2横部材34に回動自在に連結されている。リトラ用ステー44は、背上げ状態とされたリトラフレーム39を頭側H斜め下方から支持する。
【0034】
図3および図4に示すように、足側フレーム38には、脚ボトム18が第2回動軸24を介して固定される固定部材45と、脚ボトム18を第2回動軸24回りに回動させる第2回動部材46と、が設けられている。
固定部材45は、足側フレーム38を構成する複数の第2横部材34のうち、最も頭側Hに位置する第2横部材34に設けられている。固定部材45は、第2横部材34から足側Fに向けて突出している。固定部材45には、脚ボトム18のうち、頭側Hの端部が、第2回動軸24を介して回動自在に固定される。
【0035】
第2回動部材46は、第2縦部材33に、押上軸47回りに回動自在に連結されている。押上軸47は、第2回動部材46を左右方向に挟んで一対設けられている。これらの両押上軸47は、互いに同軸に配置されている。
【0036】
第2回動部材46は、平面視において足側Fに開口する倒立U字状に形成されている。第2回動部材46は、脚ボトム18の下面に沿って前後方向に延びる左右一対の第2押上腕部48と、左右一対の第2押上腕部48を左右方向に連結する第2連結部49(受け部材)と、を備えている。第2連結部49は、左右一対の第2押上腕部48における頭側Hの端部同士を連結している。第2押上腕部48の頭側Hの端部は、第2縦部材33に押上軸47を介して連結されている。第2押上腕部48の足側Fの端部は、膝ボトム19の下面に摺動自在に当接する。
【0037】
足側フレーム38では、第2回動部材46が上側に向けて回動することで、第2押上腕部48の足側Fの端部が膝ボトム19の下面上を摺動しながら、第2回動部材46が膝ボトム19を押し上げる。すると、図2に示すように、膝ボトム19が第1回動軸23回りに回動し、膝ボトム19における足側Fの端部が上昇する。一方で、足ボトム20が相対的に屈曲軸22回りに回動し、寝台面21において膝に対応する部分が上方に向けて突となるように屈曲するいわゆる脚上げ状態となる。
【0038】
なお足ボトム20には、足先上げ用ステー50が設けられている。足先上げ用ステー50は、脚ボトム18を足先上げ状態で保持する。足先上げ状態の脚ボトム18は、脚ボトム18を脚上げ状態とした後、足ボトム20を屈曲軸22回りに上側に向けて回動させてなる。足先上げ用ステー50は、足ボトム20の下面に沿って前後方向に延びている。足先上げ用ステー50における足側Fの端部は、足ボトム20に回動自在に連結されている。足先上げ用ステー50における頭側Hの端部は、自由端とされている。
足先上げ用ステー50では、脚ボトム18が足先上げ状態とされたときに、足先上げ用ステー50の全体が、下方に向けて回動して足ボトム20から頭側H斜め下方に延び、足先上げ用ステー50における頭側Hの端部が、第2縦部材33に係止される。
【0039】
ここで、腰ボトム17における頭側Hの端部は、リトラフレーム39に固定され、腰ボトム17における足側Fの端部は、固定部材45に固定される。背ボトム16が起伏回動するときに、腰ボトム17における頭側Hの端部が背ボトム16とともに起伏し、腰ボトム17は全体として、前後方向に伸長しながら下方に向けて突となるように湾曲する。
【0040】
支持架台12では、第1回動部材43および第2回動部材46が、前述の標準状態から背ボトム16および脚ボトム18を回動させることで、寝台11は、図2に2点鎖線で示すような、背上げおよび脚上げ(膝上げ)がされた典型的な使用状態となる。寝台11を標準状態から使用状態にするときには、脚上げを背上げに先行して実施することで、使用
者の寝台装置10に対するずれを効果的に防止することができる。
【0041】
図3図5および図6に示すように、昇降機構27は、ベースフレーム25に対してメインフレーム26を昇降させる。昇降機構27は、いわゆるXリンク構造を採用している。昇降機構27は、第1リンク51と、第2リンク52と、連結棒53A~53D(受け部材)と、を備えている。
第1リンク51および第2リンク52はそれぞれ、左右方向に間隔をあけて一対設けられている。第1リンク51および第2リンク52は、いずれも前後方向に延びていて、第1リンク51および第2リンク52それぞれにおける前後方向の中央部同士は、連結ピン54を介して回動自在に連結されている。
【0042】
連結棒53A~53Dは、4つ設けられている。各連結棒53A~53Dは、左右一対の第1リンク51それぞれにおける前後方向の両端部同士、および、左右一対の第2リンク52それぞれにおける前後方向の両端部同士を連結している。
4つの連結棒53A~53Dのうち、第1リンク51の頭側Hの端部を連結する連結棒53Aは、第1縦部材28に回動自在に連結され、第2リンク52の頭側Hの端部を連結する連結棒53B(交差棒)は、第2縦部材33に回動自在に連結されている。4つの連結棒53A~53Dのうち、第1リンク51の足側Fの端部を連結する連結棒53Cは、第2縦部材33に設けられた上案内部55に装着され、第2リンク52の足側Fの端部を連結する連結棒53Dは、第1縦部材28に設けられた下案内部56に装着される。上案内部55および下案内部56はそれぞれ、連結棒53C、53Dを前後方向に沿って摺動自在に支持する。
また、図7に示すように後述の連動リンク63と接触することを避けるため、第2縦部材33に回動自在に連結されている連結棒53Bは直線部53bだけでは構成されておらず、一部が湾曲した逃げ構造53aを有している。
【0043】
昇降機構27では、第1リンク51が上側に向けて回動すると、第2リンク52も連動して上側に向けて回動する。このとき、第1リンク51における足側Fの端部、および第2リンク52における足側Fの端部がそれぞれ、上案内部55または下案内部56によって頭側Hに案内されながら、第1リンク51および第2リンク52が回動し、ベースフレーム25に対してメインフレーム26が上昇する。
【0044】
図3および図4に示すように、駆動機構13は、支持架台12に取り付けられ、寝台11および支持架台12のうちの少なくとも一部である可動部57を移動させる。駆動機構13は、前後方向に伸縮する直動アクチュエータとされ、前後方向に伸縮することで可動部57を移動させる。駆動機構13は、可動部57としての背ボトム16及び脚ボトム18(可動ボトム)を連動して回動させるボトム駆動機構58と、可動部57としての第1リンク51または第2リンク52(リンク)を回動させるリンク駆動機構59と、背膝ボトム連動機構(ボトム連動機構)62と、を備えている。
【0045】
本実施形態において、ボトム駆動機構58は、支持架台12において前後方向に沿う頭側Hに位置する部分に配置されている。ボトム駆動機構58は、前後方向に伸長することで、第1回動部材43を上側に向けて回動させる。さらにボトム駆動機構58の動力は、背膝ボトム連動機構62によって第2回動部材46に与えられ、第2回動部材46を上側に向けて回動させる。ボトム駆動機構58は、複数の第2横部材34のうち、最も頭側Hに位置する第2横部材34と、第1連結部43bと、の間に設けられている。ボトム駆動機構58は、第2横部材34および第1連結部43bそれぞれから突出する取付け部材60を介して、第2横部材34および第1連結部43bに連結されている。ボトム駆動機構58は、取付け部材60に回動自在に連結されている。
【0046】
背膝ボトム連動機構62は、頭側フレーム37の第1連結部43b(第1回動部材43)と足側フレーム38の第2連結部49(第2回動部材46)とを連結している。
図7に示すように、背膝ボトム連動機構62は、連動リンク63と、固定部材64a、64bとで構成される。固定部材64aは、頭側フレーム37の第1連結部43bに固定されており、標準状態において上方に突出している。固定部材64bは、足側フレーム38の第2連結部49に固定されており、標準状態において下方に突出している。そして、連動リンク63は、固定部材64a、64bの両方に対して回動自在に固定される。なお、本実施形態においては、連動リンク63も、連結棒53Bと接触することを避けるため、一部が湾曲した逃げ構造63aを有している。
【0047】
以下、本実施形態に係る背膝ボトム連動機構62の連動作用について説明する。
まず、図7に示す標準状態からボトム駆動機構58が前後方向に伸長すると、取付け部材60を介して第1連結部43b(第1回動部材43)が回動する。これにより、固定部材64aが、連動リンク63の頭側Hの端部とともに第1連結部43b回りに頭側Hに向けて移動し、連動リンク63の全体が頭側Hに移動する。そして、連動リンク63の移動によって、連動リンク63の足側Fの端部とともに、固定部材64bの自由端が第2連結部49(第2回動部材46)回りに頭側Hに移動する。これにより、図2に示すように膝ボトム19(脚ボトム18)が押し上げられる。つまり、連動リンク63が第1回動部材43と第2回動部材46に連結されることによって、第1回動部材43の回動と第2回動部材46の回動とを連動することができる。
このように、本実施形態では、ボトム駆動機構58の動力のみで、背ボトム16の背上げと膝ボトム19の膝上げとの両方を同時に行うことができる。この結果、使用者の身体は、膝ボトム19によって支えられながら、背上げが進行するので、背上げによる身体のずれが軽減され、圧迫感を緩和することができる。
【0048】
リンク駆動機構59は、支持架台12において前後方向に沿う足側Fに位置する部分に配置されている。リンク駆動機構59は、前後方向に伸長することで、第1リンク51を上側に向けて回動させる。リンク駆動機構59は、第1リンク51と、複数の連結棒53A~53Dのうち、第1リンク51の足側Fの端部を連結する連結棒53Cと、の間に設けられている。リンク駆動機構59は、連結棒53Cから突出する取付け部材60を介して、連結棒53Cに連結されている。リンク駆動機構59は、変換機構61を介して第1リンク51に連結されている。変換機構61は、リンク駆動機構59の伸縮運動を第1リンク51の回動運動に変換する。リンク駆動機構59は、取付け部材60および変換機構61に回動自在に連結されている。
【0049】
図1から図6に示すように、ボード14は、支持架台12に固定され、寝台面21よりも上方に立ち上がっている。ボード14は、前後一対、備えられていて、第2縦部材33の前後方向の両側の端部から立ち上がっている。
制御部15は、駆動機構13を制御する。制御部15は、駆動機構13に電気的に接続されている。制御部15には、電源コードCおよび図示しない操作部が電気的に接続されている。制御部15には、電源コードCを介して外部から給電されるとともに、上記操作部を介して外部からの指示が入力される。制御部15は、外部からの指示に基づいて駆動機構13を制御する。
【0050】
ところで、本実施形態では、地面(設置面)から寝台11の上面(寝台面21)までの高さが例えば150mm程度まで低床化した寝台装置を想定している。連結棒と連動リンクとの配置が極めて近い位置に配置されるため、ボトム駆動機構58を動作させた際に、メインフレームを低い位置まで下降させた場合に、平面視において連結棒と連動リンクとが交差する部分(重なる部分)が接触してしまうおそれがある。一方、本実施形態では、図7に示すように連動リンク63と連結棒53Bとが平面視で交差する部分において、連
結棒53と連動リンク63との両方が互いに接触することを避けるように変形された逃げ構造53a、63aを有している。
【0051】
具体的には、図7に示すように、連結棒53Bは、直線部53bと逃げ構造53aとで構成される。逃げ構造53aは、平面視で連動リンク63と交差する位置に設けられており、連結棒53の一部が連動リンク63より離間する方向(図示例では直線部53bに対して上方)に湾曲している湾曲部(第2の湾曲部)である。そのため、低床の寝台装置で背膝ボトム連動機構62を動作させても、連結棒53Bの逃げ構造53aと連動リンク63との距離が十分に確保されるため、それらの接触を回避することができる。
さらに、寝台装置10を製造する際に、運搬性を考慮して、現場で各フレームを組み付けて、寝台装置10を完成させることが多い。そのため、各フレームを組み付ける際の作業性を考慮して、図3に示すように第2縦部材33に回動自在に連結されている連結棒53Bは、直線部53bと第2縦部材33に対する回転軸の延長線とが異なる直線上に配置される構造を有する。
一方、連結棒53Bの逃げ構造(湾曲部)53aは、連結棒53Bの第2縦部材33に対する回転軸の延長線上に配置される。これにより、昇降機構27を動作させても、逃げ構造(湾曲部)53aは回転軸上に配置される。そのため、連結棒53Bが他の部材と干渉するおそれがない。特に本実施形態では昇降機構27がXリンク構造を有するため、上記構成はメインフレーム26の昇降時における連結棒53Bの回転の際に特に有効である。
【0052】
また、連動リンク63の逃げ構造63aは、平面視で連結棒53Bと交差する位置に設けられており、その一部が連結棒53Bより離間する方向(図示例では下方)に湾曲している湾曲部(第1の湾曲部)である。そのため、背膝ボトム連動機構62を動作させた場合であっても、連動リンク63の逃げ構造63aと連結棒53Bとの距離が十分に確保されるため、それらの接触を回避することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る寝台装置10によれば、連結棒53と連動リンク63との両方が互いに接触することを避けるために変形された逃げ構造53a、63aを有することによって、昇降機構27及び背膝ボトム連動機構62の両方の動作に対して、確実にお互いの接触を回避することができる。特に、本実施形態では、一方のみではなく、連結棒53と連動リンク63との両方が逃げ構造53a、63aを有するため、低床化された場合でも、背膝ボトム連動機構62の動作に対してより確実にそれらが接触することを回避できる。
従って、本実施形態では、例えば地面から寝台11の上面までの高さを、例えば150mm程度の高さに設定した場合でも、メインフレーム26に設けられる連動リンク63とベースフレーム25の連結棒53とが背上げ及び膝上げ動作時に接触するおそれがない。
【0054】
なお、上記実施形態において連結棒53B及び連動リンク63の両方が逃げ構造53a、63aを有している。しかしながら、これには限定されず、少なくとも連結棒53B及び連動リンク63の少なくとも一方が逃げ構造を有していてもよい。ただし、連結棒53B及び連動リンク63の両方が逃げ構造を有していれば、低床の寝台装置内で背膝ボトム連動機構を動作させた場合でも、より確実に交差棒と連動リンクとが接触することを回避できるため好ましい。
【0055】
なお、上記実施形態において連結棒53B及び連動リンク63の逃げ構造53a、63aは湾曲している。しかしながら、互いの間隔が遠ざかるように変形されていれば、本発明はこれに限定されない。例えば、直角に変形させることで互いの間隔が遠ざかるよう構成してもよい。ただし、製造容易性の観点から湾曲部であることが好ましい。
【0056】
また、上記実施形態では、背膝ボトム連動機構62として、連動リンク63と、固定部材64a、64bとで構成される例を説明した。しかしながら、一つの駆動機構の動力のみで、背ボトムの背上げと膝ボトムの膝上げとの両方を同時に行うことができれば本発明はこれに限定されない。連動リンクに相当する構成を有する機構については本発明を適宜適用してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、昇降機構27はXリンク構造を有しているが、本発明はこれに限定されない。ベースフレームに対してメインフレームを昇降するように構成される寝台装置であれば本発明を適宜適用してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、連動リンク63と接触する恐れのある第2縦部材33に回動自在に連結されている連結棒53Bに逃げ構造53aを設けているが、本発明はこれに限定されない。フレームの構造等に応じて連動リンクと干渉しうる部材に対して適宜逃げ構造を設けてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、ボトム駆動機構58が第1回動部材43に設けられ、背膝ボトム連動機構62が第1回動部材43の回動力を第2回動部材46に伝えるように構成されているが、本発明はこれに限定されない。ボトム駆動機構58を第2回動部材46に設けて、背膝ボトム連動機構62が第2回動部材46の回動力を第1回動部材43に伝えるように構成してもよい。
【0060】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 寝台装置
11 寝台
12 支持架台
16 背ボトム
19 膝ボトム
26 メインフレーム
43 第1回動部材
46 第2回動部材
53B連結棒(受け部材)
53a逃げ構造
53b直線部
58 ボトム駆動機構
63 連動リンク
63a逃げ構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7