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特許7125493人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置、学習方法およびシステム
<図1>
  • 特許-人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置、学習方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置、学習方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20220817BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20220817BHJP
   G06N 3/08 20060101ALI20220817BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20220817BHJP
【FI】
G01N27/26 371Z
G01N27/416 338
G01N27/26 391Z
G06N3/08
G06N20/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020541937
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2018004088
(87)【国際公開番号】W WO2019189977
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】10-2018-0036160
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510115030
【氏名又は名称】アイセンス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ビョン クン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミョンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソク-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ハクヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チャ,ソンフン
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-153548(JP,A)
【文献】特開2006-343124(JP,A)
【文献】特表2007-534926(JP,A)
【文献】特開2004-000655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0185733(US,A1)
【文献】特開2018-000871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
A61B 5/06-5/22
G06N 3/08
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報測定装置;および
前記生体情報測定装置を通じて採血した血液を一対の電極を備えたセンサーに注入することによって起こる電気化学的反応を通じた信号を獲得する信号獲得部と、前記信号獲得部から獲得された信号を人工神経網ディープラーニング技法のために前処理するための信号処理部と、人工神経網ディープラーニング技法を活用して、前記信号処理部を通じて前処理された信号から前記血液の特徴を自動的に抽出し、最適化された生体情報測定アルゴリズムを生成する生体情報測定アルゴリズム生成部と、前記生体情報測定装置に最適化された生体情報測定アルゴリズムを提供する最適化アルゴリズム結果提供部を有する生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバーを含む人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システム。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記信号獲得部から獲得された信号中に血液注入異常およびハードウェア異常による信号を除き、前記生体情報測定アルゴリズム生成部は、血糖測定のためのアルゴリズム構造を形成するアルゴリズム構造部と、血糖予測値が真値である血糖値を最も正確に予測できるようにアルゴリズム内の変数を調整するアルゴリズム学習部と、血糖値予測の正確度および精密度の向上のために一つ以上のアルゴリズムを組み合わせて最終予測値を算出するアンサンブルアルゴリズム部を含む、請求項1に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システム。
【請求項3】
前記アルゴリズム構造部は、前記信号処理部を通じて前処理された生体情報信号データ内に含まれている前記血液の特徴を抽出する特徴抽出部と、前記特徴抽出部を利用して求められた特徴を利用して血糖値を推定する血糖値予測部を含む、請求項2に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システム。
【請求項4】
前記アルゴリズム構造部は、前記血液の成分、ヘマトクリット、温度、干渉種の特性を反映したイメージから分類または測定しようとする結果値を反映する特徴を人工神経網ディープラーニング技法を活用して自動的に抽出する、請求項2に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システム。
【請求項5】
前記アルゴリズム学習部は、抽出された特徴を使用してアルゴリズム学習過程を経て予測結果値の誤差が最小になる人工神経網アルゴリズム内の変数値を導出する、請求項2に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システム。
【請求項6】
人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置において、
一対の電極を有する電気化学的バイオセンサーが装着されるコネクタ;
前記コネクタと電気的に接続される電流-電圧変換器;
前記電気化学的バイオセンサーの一対の電極に対して一定電圧を印加し、三角波形または四角波形、階段波形または他の変形された三角関数形態の波形を有する循環電圧を印加するように制御するデジタル-アナログコンバータ回路;および
これらを制御するマイクロコントローラーを含み、
前記マイクロコントローラーは、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システムで得られた最適化された人工知能基盤ディープラーニングアルゴリズムにより自動的に血糖を計算する人工知能ディープラーニングアルゴリズム計算部を備えた人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置。
【請求項7】
前記電気化学的バイオセンサーと前記コネクタの接続が不良であるか、または血液注入異常およびハードウェア異常による異常信号が検出されると、これを警報する又はディスプレイに表示する異常信号処理部をさらに含む、請求項6に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置。
【請求項8】
前記人工知能ディープラーニングアルゴリズム計算部は、前記生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバーにより導出された最適化された人工知能ディープラーニング血糖測定アルゴリズムにより前記電気化学的バイオセンサーを通じて測定された応答電流から血糖測定値を8秒以内に求める、請求項6に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置。
【請求項9】
人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法において、
試料を準備する段階;
電気化学的バイオセンサーを生体情報測定装置に装填する段階;
前記電気化学的バイオセンサーが試料に接触して前記電気化学的バイオセンサーの作動電極と補助電極を血液に浸す瞬間に一定電圧を印加し、前記一定電圧印加後に待ち時間印加電圧終了時点に連続的に三角波形または四角波形、階段波形または他の変形された三角関数形態の波形を有する循環電圧を印加する段階;および
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システムで得られた最適化された人工知能ディープラーニング血糖測定アルゴリズムにより測定された応答電流から血糖測定値を計算する段階を含む人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法。
【請求項10】
前記応答電流が異常信号であるか否かを判断する段階と、異常信号と判断されると血糖測定値を計算せずに警報する又はディスプレイに表示する段階を含む、請求項9に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法。
【請求項11】
生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法において、
生体情報測定装置を通じて採血した血液を一対の電極を有するセンサーに注入することによって起こる電気化学的反応を通じて信号を獲得する段階;
前記獲得された信号を人工神経網ディープラーニング技法のために前処理する段階;
人工神経網ディープラーニング技法を活用して前記前処理する段階で前処理された信号から前記血液の特徴を抽出する特徴抽出部と血糖値予測部とからなる血糖測定のためのアルゴリズム構造を形成する段階;
血糖予測値と真値の差が最小になるようにアルゴリズム内の全ての変数を調整して血糖測定アルゴリズムを学習する段階;および
血糖値予測の正確度および精密度向上のために一つ以上のアルゴリズムを組み合わせて最終予測値を算出する段階を含む生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法。
【請求項12】
前記信号を獲得する段階では、温度5~50℃、ヘマトクリット10~70%、そしてグルコース10~630mg/dLの様々な条件で信号を獲得し、バイオセンサーの一対の電極に1秒当たり400回データを獲得する方式で3秒間のインキュベーションと反応を測定するために3秒以内の時間に特定のシークエンス電圧を印加する、請求項11に記載の人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法。
【請求項13】
前記前処理する段階は、信号獲得時に血液注入異常およびハードウェア異常により非正常信号を処理する段階を含み、
前記非正常信号を処理する段階は、スパイク性ノイズが現れると異常信号除外アルゴリズムで除外するか、または非正常信号とデータの差が一定値以上になると除外する段階を含む、請求項11に記載の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法。
【請求項14】
前記前処理する段階は、血糖測定装置のアルゴリズム演算量を減らすために80Hz以下にダウンサンプリングを利用する段階と、単一電極で獲得された血液サンプルの原信号から追加的な情報を獲得するために時間に応じたデータの関係マップまたはドメイン変化段階を含み、前記時間に応じたデータの関係マップで原信号、微分信号、積分信号を利用する、請求項11に記載の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法。
【請求項15】
前記特徴抽出部は、前記前処理された1x106大きさのデータであり、特徴抽出のための5個の層を構成し、各層には入力信号により原信号は1x5、微分および積分信号は1x3大きさのフィルターを使用し、Convolutionを遂行する部分とBatch normalizationを遂行する部分、活性化関数そしてpoolingで構成されて各信号により32種の特徴を抽出する、請求項11に記載の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法。
【請求項16】
前記血糖値予測部では前記特徴抽出部から求められた32個の特徴を利用して血糖値を推定し、前記血糖値予測部は、総2個の層で構成されて第1の層で32x16加重値配列を利用して32個の特徴を16個に縮小し、第2の層で16x8加重値配列を利用して16個の特徴を8個に縮小した後、最終的に血糖値を推定する段階を含む、請求項11に記載の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法。
【請求項17】
前記血糖値アルゴリズム学習する段階は、最適化する変数および学習率設定する段階と、前記血糖予測値と真値の差が最小になるまでアルゴリズムの最適化する変数値を予測値と真値の差による補償程度を学習率の分、アップデートする学習の過程を繰り返す段階を含む、請求項11に記載の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法。
【請求項18】
前記最終予測値を算出する段階は、入力信号が原信号、微分および積分信号の三つである時、それぞれアルゴリズムで求められた血糖値を加重合計を通じて最終血糖値を算出する段階を含む、請求項11に記載の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置、学習方法およびシステムに関し、より詳細には、人工神経網ディープラーニング技術を適用してセンサーから得た信号を変換してイメージ化したデータから測定物に該当する領域を認識し、その領域で測定物の種類あるいは濃度の決定に必要なそれぞれの要素を抽出して最も適した測定物の種類および濃度を予測する人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置、学習方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、体外診断製品において最も重要な基準の一つは測定結果の正確度である。
【0003】
かかる製品は、測定物が存在する時に感知センサーが信号を出力し、分析器がこれを認知して予め定められた検定曲線またはアルゴリズムを適用して定量的または定性的な結果を送り出す。測定結果の正確度は、干渉物、外部環境、サンプルの性質などの多様な変数により起こった干渉作用により影響を受けることができる。
【0004】
血糖測定のために活用される電気化学的センサーを例に挙げると、電極表面で酸化する測定物以外の物質の存在や粘度などの血液性質の変化による血糖の電極に向かった拡散係数(Diffusion Coefficient)または電極表面での反応速度(Reaction Rate)の変化などにより出力される電気信号が影響を受けることができる。かかる影響を最小化または除去するために、センサーに単なる直流電圧を印加する方式の代わりに、多様な種類のパターンを有する波形の入力電圧を印加し、その結果、電極反応で得られた波形を適切な統計数学的技法で処理する方法が使用されてきた。
【0005】
2010年代以降の血糖測定市場は、この事業に進出する企業が増え、各国の国民保険拡大による価格の引下圧力が大きくなり、主要標準管理機構および認証機関で使用者の安全を高めるために正確性および精密性に対する基準を日々強化している。例えば、米国のメディケア保険で支払う保険酬価は2008年以降始まった競争入札制度(competitive bidding)により半分以下に低くなった反面、最近2016年に発表されたFDA New guidanceは、既存の血糖測定器の規格に比べて正確性の要求や各種妨害物質の干渉影響の限界が遥かに強化された内容を含んでいる(https://www.fda.gov/downloads/medicaldevices/deviceregulationandguidance/guidancedocuments/ucm380325.pdf)。
【0006】
このように競争は激しくなり、測定システムの性能に対する要求は強化された血糖測定器市場で生存するためには、低価の高性能を有するシステムを開発しなければならず、このような矛盾した開発目標は卓越な技術的進歩だけを通じて可能である。
【0007】
血糖測定システムの生産原価を低めるためには、制限された性能のハードウェア(例;STM8L Series MCU)と生産が容易な単純な構造のセンサーストリップが必要である。反面、血糖測定システムの性能を向上させるために、ディープラーニングのような高度な演算が必要な方法を使用するためには、高性能の演算が可能なチップまたはスマートフォンの機能を使用できるようにブルートゥースなどを通じてデータを伝送して演算するシステムまたはクラウドシステムで別途の計算をするように通信するシステムを備えなければならないが、これは現在市場の傾向とは異なっている。たとえディープラーニングアルゴリズムのような多くの演算量が必要なアルゴリズムを制限されたハードウェアで具現したとしても、血糖測定時間が長くかかる問題点が残ることとなる。現在の血糖測定器市場で競争力を確保するためには、分析物投入後に通常約8秒内に推定血糖濃度を出力できなければならない。また、血糖ストリップ(Strip)の生産原価を最小化するためには、可能な既存の生産工程で作っていた一対の電極だけを有するストリップを継続して使用することが有利である。反面、このような制限された構造の電極で得る情報と既存の信号処理方法だけでは正確な血液内のグルコースの推定が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであって、本発明の目的は、既存の多重回帰(Multiple Linear Regression)方法から抜け出してアルゴリズムの正確度、精密度、およびヘマトクリットを含む干渉補正性能を改善することができ、制限された構造のメトリックハードウェアとセンサーストリップを有して具現が可能な最適化した血糖推定人工知能基盤のディープラーニング技術に基盤した人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、制限されたハードウェアでも複雑なアルゴリズムが具現され得るようにデータ次元縮小、アルゴリズム構造縮小がなされた人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムを提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、演算量が多いアルゴリズムを使用しても計算を効率的に進行して演算時間を血糖測定器に適した8秒以内に最小化することができる人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムを提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、制限された数の電極を通じて得た情報からデータ内に内在された追加情報を最大限抽出できる技術を通じて多電極を利用する効果を得ることができる測定物分析方法、装置および低価のシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システムに関し、生体情報測定装置;および前記生体情報測定装置を通じて採血した血液を一対の電極を備えたセンサーに注入することによって起こる電気化学的反応を通じた信号を獲得する信号獲得部と、前記信号獲得部から獲得された信号を人工知能ディープラーニング学習のための信号で前処理するための信号処理部と、前記信号処理部を通じて処理された信号を利用して最適化した生体情報測定アルゴリズムをディープラーニング人工神経網技法を活用して自動的に抽出する生体情報測定アルゴリズム生成部と、前記生体情報測定装置に最適化した生体情報測定アルゴリズムを提供する最適化アルゴリズム結果提供部を有する生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバーを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の側面による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置は、一対の電極を有する電気化学的バイオセンサーが装着されるコネクタ;前記コネクタと電気的に接続される電流-電圧変換器;前記電気化学的バイオセンサーの一対の電極に対して一定電圧を印加し、三角波形循環電圧、四角波形、階段波形または他の変形された三角関数形態の波形の電圧印加するように制御するデジタル-アナログコンバータ回路;およびこれらを制御するマイクロコントローラーを含み、前記マイクロコントローラーは、人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システムで得られた最適化した人工知能基盤ディープラーニングアルゴリズムにより自動的に血糖を計算する人工知能ディープラーニングアルゴリズム計算部を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法は、試料を準備する段階;電気化学的バイオセンサーを生体情報測定装置に装填する段階;前記バイオセンサーが試料に接触して前記電気化学的バイオセンサーの作動電極と補助電極を血液に浸す瞬間に一定電圧を印加し、前記一定電圧印加後に待ち時間印加電圧終了時点に連続的に三角波形循環電圧または四角波形、階段波形または他の変形された三角関数形態の波形を印加する段階;および最適化した人工知能ディープラーニング血糖測定アルゴリズムにより測定された応答電流から血糖測定値を計算する段階を含むことができる。
【0015】
本発明の他の側面による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法は、生体情報測定装置を通じて採血した血液を一対の電極を有するセンサー(Strip)に注入することによって起こる電気化学的反応を通じて信号を獲得する段階;前記獲得された信号を人工知能ディープラーニングのための信号で処理する段階;
【0016】
信号の特徴抽出部と血糖値予測部からなる血糖測定のためのアルゴリズム構造を形成する段階;血糖予測値が真値である血糖値を最も正確に予測できるようにアルゴリズム内の変数を調整して血糖測定アルゴリズムを学習する段階;最適化する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムによれば、既存の多重回帰(Multiple Linear Regression)方法から抜け出してアルゴリズムの正確度、精密度、およびヘマトクリットを含む干渉補正性能を改善することができ、制限された構造のメトリックハードウェアとセンサーストリップを有して具現が可能な最適化した血糖推定人工知能基盤のディープラーニング技術を提供することができる。
【0018】
また、本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムによれば、制限されたハードウェアでも複雑なアルゴリズムが具現され得るようにデータ次元縮小、アルゴリズム構造縮小がなされることができる。
【0019】
本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムによれば、演算量が多いアルゴリズムを使用しても計算を効率的に進行して演算時間を血糖測定器に適した8秒以内に最小化することができる。
【0020】
また、本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムによれば、制限された数の電極を通じて得た情報からデータ内に内在された追加情報を最大限抽出できる技術を通じて多電極を利用する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システムの概念図である。
図2図2は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析学習システム中の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバーの構成図である。
図3図3は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置の内部構成図である。
図4図4は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法のフローチャートである。
図5図5は既存方法と提案方法による臨床テスト正確度性能を示すグラフである。
図6図6は既存方法と提案方法によるノイズ敏感度評価を示すグラフである。
図7図7は本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法に印加される電圧およびその応答電流であり、
図8図8は非正常信号の例示図であり、
図9図9はダウンサンプリング方法の概念図であり、
図10図10はダウンサンプリングの例であり、
図11図11はデータの関係マップを利用した情報抽出方法を示すグラフである。
図12図12は本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法のアルゴリズム構造概念図であり、
図13図13はアルゴリズム特徴抽出部の構成図であり、
図14図14は特徴抽出部のレイヤー構造図であり、
図15図15はアルゴリズム血糖推定部の構成図である。
図16図16はアンサンブルアルゴリズム構成図である。
図17図17は本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施例による人工神経網を利用したディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置、およびシステムについて図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本明細書において、本発明の一実施例による人工神経網を利用したディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムは、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の保護範囲が実施例により限定されるのではない。
【0024】
図1は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システムの概念図である。
【0025】
図1に示されているように、本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析システム1は、最小個数である一対の電極を備えた生体情報測定装置10、前記生体情報測定装置10に生体情報を測定できる最適化したアルゴリズムを人工知能基盤ディープラーニング技術を利用して提供する生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100、前記生体情報測定装置10と前記生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100を有線または無線で連結するためのネットワーク20、および前記生体情報測定装置10で測定される生体情報を保存登録したり前記生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100の学習を補助できるコンピュータ、スマート端末などのような使用者端末30を含むことができる。
【0026】
ここでネットワーク20は、公衆電話網、インターネット網などのように生体情報測定装置10、個人用コンピュータ31、スマート端末33、生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100が互いに情報を送受信できるネットワークであって、本発明が適用される分野により多様な種類のネットワークを用いることができ、これは本発明の範囲に属する。
【0027】
生体情報測定装置10は、2G、3G、LTE、Wi-Fiなど基幹通信網を利用できるモデムを備えており、使用者が生体情報を測定する時ごとに、生体情報測定装置10の識別子と測定した生体情報を備えた生体情報メッセージを生成し、生成した生体情報メッセージを生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100に送信することもできる。
【0028】
前記生体情報測定装置10が通信できない場合には、個人用コンピュータ31またはスマート端末33などのような使用者端末30を通じて生体情報測定装置10の識別子と測定した生体情報を備えた生体情報メッセージを生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100に送信することができる。
【0029】
図2は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析学習システム中の生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバーの構成図である。
【0030】
図2に示されているように、前記生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100は、前記生体情報測定装置10を通じて採血した血液をセンサー(Strip)に注入することによって起こる電気化学的反応を通じて1次元時系列データ(Time series data)を獲得する信号獲得部110と、前記信号獲得部110から獲得された信号中に血液注入異常およびハードウェア異常による異常信号を除外するか、または前記生体情報測定装置10で利用され得る最適化した生体情報測定アルゴリズムを得るために信号を前処理する信号処理部130と、前記信号処理部130を通じて処理された信号を利用して最適化した生体情報測定アルゴリズムをディープラーニング人工神経網技法を活用して自動的に特徴を抽出する生体情報測定アルゴリズム生成部150と、前記生体情報測定装置10で利用できる最適化アルゴリズム結果提供部170を含むことができる。
【0031】
前記信号処理部130は、前記生体情報測定アルゴリズム生成部150で学習することができるように正規化(Normalization)あるいは標準化(Standardization)を通じてデータを一定の大きさ(scale)あるいは分布(distribution)に変換し、変換されたデータは多チャンネルデータを組み合わせたりドメイン転換(例えば、時間あるいは周波数ドメイン)などの信号処理およびデータ変換を利用してデータイメージ化させることができる。
【0032】
前記生体情報測定アルゴリズム生成部150は、血糖測定のためのアルゴリズム構造を形成するアルゴリズム構造部151と、血糖予測値が真値である血糖値を最も正確に予測できるようにアルゴリズム内の変数を調整するアルゴリズム学習部153と、血糖値予測の正確度および精密度向上のために一つ以上のアルゴリズムを組み合わせて最終予測値を算出するアンサンブルアルゴリズム部155を含むことができる。
【0033】
また、前記アルゴリズム構造部151は、前記信号処理部130を通じて信号前処理された生体情報信号データ内に含まれている測定物の特徴を抽出する特徴抽出部151aと、前記特徴抽出部151aを利用して求められた特徴を利用して血糖値を推定する血糖値予測部151bを含むことができる。
【0034】
前記アルゴリズム構造部151は、測定物の成分、ヘマトクリット、温度、干渉種の特性など周辺環境を反映したイメージから分類あるいは測定しようとする結果値を反映する特徴をディープラーニング人工神経網技法を活用して自動的に抽出する。
【0035】
前記アルゴリズム学習部153は、抽出された特徴を使用してアルゴリズム学習過程を経て結果値の誤差が最小になる人工神経網層間の加重値(Weight)およびバイアス(Bias)を導出する。
【0036】
前記アルゴリズム構造部151は、人工神経網アルゴリズムで目的に合うように特定値を推定する回帰モデルとして活用が可能であり、また測定物の種類を分類する分類器として活用が可能である。
【0037】
本明細書において、血糖測定時のヘマトクリットにより測定誤差が発生することを補正することを好ましい実施例として説明するが、グルコース検査と同様に特定酵素を導入することによって多様な代謝物質、例えばβ-ヒドロキシブチレート(別名ケトン体)、コレステロール、ラクテート、クレアチニン、過酸化水素、アルコール、アミノ酸、グルタメートのような有機物または無機物の濃度も同様な方法で測定値を補正することができる。したがって、本発明は、試料層組成物に含まれる酵素の種類を異にすることによって多様な代謝物質の定量に使用され得る。
【0038】
例えば、β-ヒドロキシブチレート脱水素化酵素(β-hydroxybutyrate dehydrogenase)、グルコース酸化酵素(glucose oxidase、GOx)、グルコース脱水素化酵素(glucose dehydrogenase、GDH)、グルタメート酸化酵素(glutamate oxidase)グルタメート脱水素化酵素(glutamate dehydrogenase)、コレステロール酸化酵素、コレステロールエステル化酵素、ラクテート酸化酵素、アスコルビン酸酸化酵素、アルコール酸化酵素、アルコール脱水素化酵素、ビリルビン酸化酵素などを使用し、β-ヒドロキシブチレート、グルコース、グルタメート、コレステロール、ラクテート、アスコルビン酸、アルコールおよびビリルビンなどの定量を行うことができる。
【0039】
本発明の一実施例による生体情報測定装置10には、作動電極および補助電極が互いに異なる平面上で対面するように備えられ、前記作動電極上に物質による酵素および電子伝達媒体を含む試薬組成物がコーティングされた対面型電気化学的バイオセンサーが適用され得る。
【0040】
また、本発明の一実施例による生体情報測定装置10には、作動電極および補助電極が一平面上に備えられ、前記作動電極上に物質による酵素および電子伝達媒体を含む試薬組成物がコーティングされた平面型電気化学的バイオセンサーが適用され得る。
【0041】
図3および図4を参照して本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法および装置について説明する。
【0042】
図3は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置の内部構成図である。
【0043】
図3に示されているように、本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置10は、既存の電気化学的バイオセンサー、つまり、ストリップ1の一対の作動電極と補助電極の構造をそのまま維持しながら、一定電圧印加後に三角波形循環電圧、四角波形、階段波形または他の変形された三角関数形態の波形を印加すると本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法により既存の多重回帰(Multiple Linear Regression)方法から抜け出してアルゴリズムの正確度、精密度、およびヘマトクリットを含む干渉補正性能を改善できる最適化した血糖推定人工知能基盤のディープラーニングアルゴリズムにより血糖測定値を提供することができる。
【0044】
本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置10はまた、制限されたハードウェアでも最適化した血糖推定人工知能基盤のディープラーニングアルゴリズムを計算を効率的に進行して演算時間を8秒以内に進行することができる。
【0045】
本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置10は、前記電気化学的バイオセンサー1がコネクタ11に装着されると、前記コネクタ11は電流-電圧変換器12に電気的に接続されるが、マイクロコントローラー15(MCU)がデジタル-アナログコンバータ回路13(DAC)を通じて一定電圧を印加し、三角波形循環電圧を前記ストリップ1の作動電極に印加することができるように構成される。
【0046】
このために本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置10のファームウェアは、まず予め定められた三角波形循環電圧を発生させることができる定数をメモリに保存し、一定電圧を印加する時は定められた定数をDAC13のレジスターに記録し、三角波形循環電圧を印加する時は定められた時間を周期として前記メモリに保存された定数値を増/加減させてDAC13のレジスターに記録する。ただし、ここに例示する印加循環電圧の波形は例示に過ぎず、この例示に限定されず、同事業の従事者に当然な全ての波形の循環電圧を含む。
【0047】
前記マイクロコントローラー15は、前記DAC13レジスターに記録された定数値によりストリップの二つの電極の間に当該電圧を印加させる。
【0048】
図3に示されているように、一定電圧が印加され、三角波形循環電圧が印加されると、前記ストリップ1を通じて測定された応答電流が前記コネクタ11および前記電流-電圧変換器12を経て直接アナログ-デジタルコンバータ回路13(ADC)を通じて測定され得る。
【0049】
一方、本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定装置10は、異常信号処理部16と人工知能ディープラーニングアルゴリズム計算部17をさらに含むが、前記異常信号処理部16は、前記ストリップ1の前記コネクタ11との接続が不良であるか、または血液注入異常およびハードウェア異常による異常信号が検出されると、これを警報、ディスプレイに表示などを通じて知らせ、前記人工知能ディープラーニングアルゴリズム計算部17で不必要な計算を行わないようにできる。
【0050】
前記人工知能ディープラーニングアルゴリズム計算部17は、前記生体情報分析人工知能基盤ディープラーニングサーバー100により導出された最適化した人工知能ディープラーニング血糖測定アルゴリズムにより前記ストリップ1を通じて測定された応答電流から血糖測定値を8秒以内に求めることができる。
【0051】
以下、図4を参照して本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法を説明する。
【0052】
図4は本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法のフローチャートである。
【0053】
図4を参照すれば、本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法は、試料を準備し(S110)、例えば電気化学的対面型バイオセンサー1を生体情報測定装置10に装填し(S120)、前記バイオセンサー1が試料(血液)に接触して前記電気化学的バイオセンサー1の作動電極と補助電極を血液に浸す瞬間に前記電流電圧変換器12を通じて一定電圧を印加し(S130)、前記一定電圧印加後に待ち時間印加電圧終了時点に連続的に三角波形循環電圧を印加する(S140)。
【0054】
前記異常信号処理部16で感応電流が異常信号であるか否かを判断し(S150)、異常信号と判断されるとこれを警報、ディスプレイに表示などを通じて知らせることができる(S151)。
【0055】
また、異常信号でないと判断されると、前記人工知能ディープラーニングアルゴリズム計算部17で最適化した人工知能ディープラーニング血糖測定アルゴリズムにより測定された応答電流から血糖測定値を求めることができる。
【0056】
[比較例]
【0057】
本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した血糖測定方法と同様に、一般に従来の多重回帰を利用した血糖測定方法は、既存の平面型または対面型の電気化学的バイオセンサーに生体情報測定装置10を通じて一定電圧を印加し、三角形循環波形を印加して作動電極で還元された電子伝達媒介体の酸化電位を印加して生成された電流値を測定して血糖の濃度を求めた。
【0058】
まず、正確度性能に対して多重線形回帰法を使用して計算するアルゴリズムを装着した既存方法(以下、既存方法)と本発明の提案方法(本願発明)を下記のように比較した。
【0059】
総2回の正確度性能評価を標準分析器であるYSI2300システムで同一試料に対して得た分析値と比較実施し(以下、全ての実施例の比較の基準はYSI2300の測定値との比較である)、これを[表1]および図5に既存方法と提案方法に対して表示したところ、2回の臨床テストの全ては新しいアルゴリズム結果が統計的に(p=0.047)改善されることを確認した。
【0060】
つまり、データセット1および2に対して既存方法と提案方法を適用してサンプル数それぞれ1,040、600に対してISO15197基準である血糖濃度100mg/dL以上である場合、基準値と対比して±15%以内血糖濃度100mg/dL未満である場合、基準値と対比して±15mg/dL以内である正確度を測定する。標準分析器の測定値に対するBiasは、血糖濃度100mg/dL未満の場合(血糖推定値-基準値)で計算され、血糖濃度100mg/dL以上の場合((血糖推定値-基準値)/基準値)*100で計算する。正確度性能を示す指標として正確度、bias平均、そして二乗平均平方根偏向度(root means quare bias;RMSB)を使用した。RMSBは
【数1】
で計算する。
【0061】
表1は既存方法の多重線形回帰分析法を使用したシステムで得た血糖測定値と本発明の一実施例によるディープラーニングアルゴリズムを採用したシステムで得た血糖測定値の標準分析器YSI2300システムで得た測定値に対する偏向度(bias)比較を示す。
【0062】
【表1】
【0063】
図5は既存方法と提案方法による臨床テスト正確度性能を示すグラフである。図5と表1を通じて提案方法の正確度が1次と2次テストで98.9%、99.7%で、既存方法98.7%、98.5%と比較して正確度が改善された。またBias平均が既存方法と比較して提案方法で5.6→4.9、5.7→4.4に改善されたが、RMSBは11.1→9.8、13.1→6.7に改善された。
【0064】
また、表2は既存方法の多重線形回帰分析法を使用したシステムで得た血糖測定値と本発明の一実施例によるディープラーニングアルゴリズムを採用したシステムで得た血糖測定値のヘマトクリット42%試料から得た血糖測定値に対する平均偏向度(bias)比較を示す。
【0065】
表2に表示されたとおり、ヘマトクリット影響評価を実施し、既存方法に比べて提案方法が優れた結果を示すことが分かる。
【0066】
試料は、グルコース標準溶液であり、グルコース標準溶液とは、静脈で抽出した血液をヘマトクリット15%~65%に合わせてグルコース分析器、つまり、YSIの2300 Stat Plusを使用して特定のグルコース濃度を有するように製造した血液をいい、準備された濃度の標準血液試料を23度で各10回ずつ測定した。
【0067】
ヘマトクリット影響評価は、ISO15197基準に各グルコースのヘマトクリット42%である試料の平均基準に各ヘマトクリットの平均の差がグルコース100mg/dL未満である場合、10mg/dL以下、100mg/dL以上の場合、10%以下でなければならない。
【0068】
表2に示す値は、グルコース340mg/dL、ヘマトクリット42%試料の血糖値基準に各ヘマトクリットでの平均差を示す値である。ヘマトクリットにより平均の差が発生する。
【0069】
つまり、血液内ヘマトクリットの量により血糖推定値が変わることが分かる。
【0070】
既存方法と提案方法のヘマトクリット補正能力の定量的比較のためにMean-Absolute-Difference(MAD)を使用した。MADは、ヘマトクリット42%基準に各ヘマトクリットの平均差を絶対値平均を取った値である。
【0071】
より具体的に、既存方法はヘマトクリットに対する影響がグルコース340mg/dLでMADが5.9であるが、提案方法は3.5にヘマトクリット補正能力が改善された。
【0072】
【表2】
【0073】
また、精密度性能評価を実施した。アルゴリズムの精密度は、ISO15197を基準に血糖濃度100mg/dL未満は血糖推定値の標準偏差で計算し、100mg/dL以上はcoefficient of variation(CV)で計算する。CVは、各実験条件の血糖値標準偏差を算術平均で割った値である。
【0074】
一方、表3は既存方法の多重線形回帰分析法を使用したシステムで得た血糖測定値と本発明の一実施例によるディープラーニングアルゴリズムを採用したシステムで反復測定を通じて得た血糖測定値の精密度比較を示す。
【0075】
ここで、グルコース100mg/dL未満の場合、測定値の標準偏差値を利用し、100mg/dL以上の場合、測定値の変動係数(CV)を利用する。
【0076】
[表3]に示したように、本発明の一実施例による血液内特定物質の濃度測定方法の精密度結果が比較例による血液内特定物質の濃度測定方法に比べて分散比検証であるF-test結果、p=0.000を得て統計的に有意な改善であることを確認した。
【0077】
【表3】
【0078】
ノイズ敏感度性能と関連して図6を参照して説明する。
【0079】
図6に示したように、ストリップ反応信号に一定の大きさのノイズを任意に加えた時、アルゴリズム値の影響を確認した。既存信号の標準偏差と対比して0~40%大きさのランダムノイズを加えた時、アルゴリズム値の変化を確認した。臨床で重要な110mg/dLの場合、既存方法ではノイズの大きさによりroot-mean-square-error(RMSE)が約5~37mg/dL差がある反面、提案した方法では約4~9mg/dL程度にノイズに対する安定性が改善された。
【0080】
次に、図7乃至図17を参照して人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析学習方法について詳細に説明する。
【0081】
図7は本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法に印加される電圧およびその応答電流であり、図8は非正常信号の例示図であり、図9はダウンサンプリング方法の概念図であり、図10はダウンサンプリングの例であり、図11はデータの関係マップを利用した情報抽出方法を示すグラフである。
【0082】
図12は本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法のアルゴリズム構造概念図であり、図13はアルゴリズム特徴抽出部の構成図であり、図14は特徴抽出部のレイヤー構造図であり、図15はアルゴリズム血糖推定部の構成図である。
【0083】
図16はアンサンブルアルゴリズム構成図であり、図17は本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法のフローチャートである。
【0084】
本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法は、信号獲得部110で前記生体情報測定装置10を通じて採血した血液をセンサー(Strip)に注入することによって起こる電気化学的反応を通じて1次元時系列データ(Time series data)を獲得する(S210)。
【0085】
温度5~50℃、ヘマトクリット10~70%、そしてグルコース10~630mg/dLの多様な実験条件で温度および湿度が制御可能なチャンバー室で[表4]のような変数および実験条件で実験データを獲得した。
【0086】
表4は学習データ獲得のための実験条件を示す。
【0087】
【表4】
【0088】
実験データを得るための血液は、前記実験条件で製造した調製血を使用した。調製血製造方法は、抗凝固剤チューブに採血された静脈血を利用し、遠心分離して血漿、血球に分離する。ヘマトクリットは、血漿と血球混合比率を調節して合わせ、製造しようとする濃度のグルコースを添加して各実験条件の調製血を作った。
【0089】
使用したストリップには毛細管構造の試料セルに酵素と電子伝達媒介体および各種安定剤と分散剤を含む試薬がコーティングされている一対の電極(作動電極と補助電極)が配置されている。
【0090】
一つの血液サンプルデータを獲得するために、2電極ストリップで1秒当たり400回データを獲得する方式を使用すれば3秒間のインキュベーション(ストリップの酵素と血液が化学的反応が起こるように待つ時間)と反応を測定するために、2.65秒間印加したシークエンス電圧に対しては総2260データ収集が必要である。例えば、印加されるシークエンスと血液反応で得られるデータは図7に示された図の同一である。
【0091】
学習に必要なデータを獲得するためには、多数の研究員が相当期間の間に恒温抗湿が可能なチェンバで作業する努力が必要である。実施例では、温度、グルコース、ヘマトクリット実験条件を組み合わせて反復測定を通じて総約1億個以上のデータを獲得した。
【0092】
前記信号獲得部110で獲得した温度、グルコース、ヘマトクリット実験条件を組み合わせて反復測定を通じて得たデータに対して信号処理部130は、正規化(Normalization)あるいは標準化(Standardization)を通じてデータを一定の大きさ(scale)あるいは分布(distribution)に変換する。
【0093】
変換されたデータは、多チャンネルデータを組み合わせたりドメイン転換(例えば、時間あるいは周波数ドメイン)などの信号処理およびデータ変換を利用してデータイメージ化する。前記信号処理部130は、図8に示されているように、信号獲得時に血液注入異常およびハードウェア異常により非正常なデータが発生することがあるが、例えば、非正常信号はスパイク性ノイズが現れると、異常信号除外アルゴリズムを通じてエラーとして処理する。
【0094】
非正常信号をエラー処理するために、時間に応じたデータの変化程度が一定値以上になると抽出する方式と正常信号で現れ得る信号範囲を逸脱した場合、抽出する方法を混合して使用した。
【0095】
一方、電極から得た電気化学的反応信号は、1秒当たり400回データを収集する方式で2.65秒間特定のシークエンスを印加して1060回データを収集しており、本発明の生体情報測定装置10の場合、STM32L MCUのような制限されたハードウェアで1060回のデータを全て処理するためには実施例のアルゴリズム構造である場合、約32秒かかるという問題が発生する。
【0096】
血糖測定のために消耗する時間が32秒であるということは、製品として商品性が低下するため、最適化作業が必要である。したがって、制限されたハードウェアで演算量が多いアルゴリズムを処理するためには、1060個からなる原信号の次元を減らすためにrow rank approximation方法とダウンサンプリング方法を適用した。
【0097】
本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法において、信号処理部130は、信号前処理として、アルゴリズムの演算量は10分の1水準に減らしながら、時系列信号の特徴は維持することができるダウンサンプリング方法を図9に図示するように実施した。
【0098】
図10に示されているように、10分の1水準にデータの大きさを減らしたにもかかわらず、既存の時系列信号の特徴はそのまま有している信号を獲得した。ダウンサンプリング結果、血糖測定にかかる時間を約32秒から3秒に減らした。
【0099】
図11に示されているように、本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法において、信号処理部130は、単一電極で獲得された血液サンプルの原信号から追加的な情報を獲得するために時間に応じたデータの関係マップおよびドメイン変化を適用した。
【0100】
本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法において、原信号を微分および積分した信号に変換して追加する。したがって、入力信号はセンサーから獲得された原信号とその信号の微分および積分信号の三つからなる。これによって、単一電極で得た信号を通じて多電極で信号を得た効果を得ることができる。
【0101】
図12は本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法のアルゴリズム構造概念図であり、図13はアルゴリズム特徴抽出部の構成図であり、図14は特徴抽出部の層状(Layer、レイヤー)構造図であり、図15はアルゴリズム血糖推定部の構成図であり、図16はアンサンブルアルゴリズム構成図である。
【0102】
一方、図12に示されているように、本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法において、血糖測定のためのアルゴリズム構造部150は、血糖測定のためのアルゴリズム構造を形成する(S230)。
【0103】
血糖測定のためのアルゴリズム構造は、信号の特徴抽出部151と血糖値予測部153に分けられる。アルゴリズムの大きさが大きいほどコンピューティングパワーは大きいが、その分、資源の消耗も増える。血糖測定器のような制限されたハードウェアでディープラーニングのような演算量が多いアルゴリズムを具現するためには、アルゴリズム構造を最小化する技術が必要である。単にアルゴリズムの大きさだけを減らすことが目的ではなく、性能低下を最小化しながらアルゴリズム構造を縮小することが目的である。
【0104】
アルゴリズム構造を縮小するために、重要でない連結(加重値)を除去するConnection pruning、類似連結(加重値)同士でグループ化するWeight encoding-sharing、およびアルゴリズムモデル正規化技術を適用してアルゴリズムの性能低下は最小化しながら、アルゴリズム構造の大きさは縮小した。
【0105】
前記特徴抽出部151の入力信号は、前述の信号前処理過程を経た1x106大きさのデータである。データ内に含まれている特徴を抽出するために、大きく5個の層状構造を構成した。
【0106】
前記特徴抽出部151を多くの層で構成した理由は、raw dataで獲得できる抽象的な特徴を多くの層を通じて加工することによって具体化するためである。前記特徴抽出部151の各層には、特徴を抽出するためのConvolutionフィルターを設定する。
【0107】
本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法において、入力信号により原信号は1x5、微分および積分信号は1x3の大きさのフィルターを用い、各層により使用されたフィルターの個数は[表5]のとおりである。
【0108】
表5は実施例で使用されたフィルターサイズおよび個数である。
【0109】
【表5】
【0110】
各層状はConvolutionを遂行する部分とBatch normalizationを遂行する部分、活性化関数、そしてMax poolingで構成されている。
【0111】
[Convolution]
【0112】
ここでConvolutionは、図13のように設定されたフィルターを利用してデータの開始部分から終了部分まで順次に演算を進行する。Convolution演算は
【数2】
となり、nはフィルターの大きさとなる。
【0113】
[Batch normalizationとReLU]
【0114】
Batch normalizationとReLUは、ディープラーニング学習と関連して問題になり得るCovariate shiftとGradient vanishing問題を解決しようとした。
【0115】
Batch normalizationは、データがk個の次元を有するとすればそれぞれ次元ごとに下記の式で計算する。
【0116】
【数3】
【0117】
ReLU関数は、Batch normalizationを通じて求めた
【数4】
に対して下記の式で計算する。
【0118】
【数5】
【0119】
[Pooling]
【0120】
Convolution演算を通じて導出されるデータの大きさを減らすために特徴抽出部でMax poolingとMean poolingを適用した。
【0121】
各層状はConvolutionを遂行する部分とBatch normalizationを遂行する部分、活性化関数、そしてMax poolingあるいはMean poolingで構成されている。
【0122】
図14は5個の層で構成された特徴抽出部の各層の例である。アルゴリズム特徴抽出部は各信号により32種の特徴を出力するようになる。
【0123】
前記血糖値予測部153では特徴抽出部を利用して求められた32個の特徴を利用して血糖値を推定する。前記血糖値予測部153は総2個の層で構成されている。32個の値を利用して第1の層で32x16加重値配列を利用して32個の特徴を16個に縮小し、第2の層で16x8加重値配列を利用して16個の特徴を8個に縮小した後、最終的に血糖値を推定する。
【0124】
各特徴をノード(node)といい、隣接した層のノードは全て連結されている。学習を通じてこのノードの加重値を決定するようになる。
【0125】
図15に示されているように、前記アルゴリズム学習部160は、血糖測定アルゴリズムを学習する。
【0126】
この時、血糖予測値が真値である血糖値を最も正確に予測できるようにアルゴリズム内の変数を調整する。アルゴリズム内の変数は、前記特徴抽出部151のフィルターの値あるいは前記血糖値予測部153のノード間の加重値などになり得る。
【0127】
最適化の目標は、Loss functionを最小化することにある。Loss functionは、血糖値と予測値のroot mean square error値に定義した。
【0128】
Lossを最適化する方法としてGradient Descent optimizer、Momentum optimization、Nesterov Accelerated Gradient、AdaGrad、RMSProp、そしてAdam optimizationなどを活用して最大限の性能を示す方法を適用した。
【0129】
血糖予測値と真値の差によりアルゴリズム内の変数をアップデートするためにAdam optimizationを使用し、変数アップデート程度は学習率(η)により決定され、本アルゴリズムでは0.00001に設定した。基本的なLossを最適化する過程は以下のとおりである。
【0130】
1.最適化する変数および学習率を設定する。
【0131】
2.血糖予測値と真値の差が最小になるまで学習を繰り返す。
【0132】
1)学習を繰り返す度に学習データの一部を無作為に選択する。
【0133】
2)選択されたデータに対する予測値と真値の差に対する補償程度を計算する。
【0134】
3)アルゴリズム内の最適化する変数を計算された補償程度により学習率の分、アップデートする。
【0135】
アルゴリズム演算時間を減らすために演算に必要な最小限のデータが積もればデータを収集とは別個に演算を進行するようになる。つまり、データを全て収集した後にデータを演算する方式でなく、データ収集と演算を同時に進行する方式である。
【0136】
本実施例では、データ収集後に演算する場合、約3.3秒の演算時間が必要であるが、前記で言及した方法を通じてデータ収集後に約1秒内に全ての演算が完了できるようにして演算時間を約2.3秒改善させた。
【0137】
次に、前記アンサンブルアルゴリズム部170が血糖値予測の正確度および精密度向上のために一つ以上のアルゴリズムを組み合わせて最終予測値を算出する。
【0138】
図16に示されているように、入力信号が原信号、微分および積分信号の三つである時、それぞれ血糖値が予測されるが、三つのアルゴリズムで求められた血糖値の加重平均を通じて最終血糖値を算出した。
【0139】
最終値算出方法は、各アルゴリズムの重要度により加重値を異に付与することができ、3個のアルゴリズムの出力値を利用して小規模ネットワークアルゴリズムを追加的に構成することもできる。
【0140】
図17を参照して、本発明の一実施例による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法のフローチャートを再度簡単に説明する。
【0141】
本発明の他の側面による生体情報分析人工知能基盤ディープラーニング学習方法は、生体情報測定装置を通じて採血した血液を一対の電極を有するセンサー(Strip)に注入することによって起こる電気化学的反応を通じて信号を獲得する段階(S210)と、前記獲得された信号を人工知能ディープラーニングのための信号で処理する段階(S230)と、信号の特徴抽出部と血糖値予測部からなる血糖測定のためのアルゴリズム構造を形成する段階(S240)と、血糖予測値が真値である血糖値を最も正確に予測できるようにアルゴリズム内の変数を調整して血糖測定アルゴリズムを学習する段階(S250)と、最適化する段階を含むことができる(S260)。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明の一実施例による人工神経網ディープラーニング技法を活用した測定物分析方法、装置およびシステムによれば、既存の多重回帰(Multiple Linear Regression)方法から抜け出してアルゴリズムの正確度、精密度、およびヘマトクリットを含む干渉補正性能を改善することができ、制限された構造のメトリックハードウェアとセンサーストリップを有して具現が可能な最適化した血糖推定人工知能基盤のディープラーニング技術を提供することができる。
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