(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】紫外発光ダイオードパッケージ構造及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20220817BHJP
H01L 33/56 20100101ALI20220817BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20220817BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/56
H01L33/48
(21)【出願番号】P 2020549741
(86)(22)【出願日】2018-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2018104008
(87)【国際公開番号】W WO2020047753
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】518281982
【氏名又は名称】廈門市三安光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN SAN’AN OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】5F., Zonghe Bldg., No.1721, Luling Rd., Siming Dist. Xiamen, Fujian 361009, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲トゥー▼ 建斌
(72)【発明者】
【氏名】廖 燕秋
(72)【発明者】
【氏名】時 軍朋
(72)【発明者】
【氏名】趙 志偉
(72)【発明者】
【氏名】黄 永特
(72)【発明者】
【氏名】徐 宸科
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022755(WO,A1)
【文献】特開2012-114286(JP,A)
【文献】国際公開第2014/178288(WO,A1)
【文献】特開2009-146935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0006651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームと、LEDチップと、パッケージのカバー体とを備えており、前記LEDチップは前記支持フレーム上に設けられており、前記支持フレーム上には凹み構造及び凹んでいないエリアが設けられ、前記パッケージのカバー体にはフッ素を含む樹脂を選んでおり、前記フッ素を含む樹脂は前記LEDチップと、前記支持フレームの上表面と、前記凹み構造とを覆って
おり、前記支持フレームの凹み構造の表面の粗さは、前記支持フレームの凹んでいないエリアの表面の粗さよりも大きいことを特徴とする紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項2】
前記凹み構造は、前記支持フレームの上表面及び/又は下表面及び/又は側表面に設置することを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項3】
前記支持フレームの上表面と下表面の凹み構造は、完全にずらして又は部分的にずらして配置されていることを特徴とする請求項2に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項4】
前記凹み構造の縦断面はL字型、又は長方形、又は三角形、又は台形、又はアーチ型、又はその他の多角形を呈すことを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項5】
前記支持フレームの上表面又は下表面又は側表面の粗さは、0.2μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項6】
前記支持フレームの凹み構造の表面の算術平均粗さRaは、0.5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項7】
前記フッ素を含む樹脂は、前記支持フレームの側表面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項8】
前記フッ素を含む樹脂は、前記支持フレームの側表面及び下表面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項9】
前記支持フレームの側表面のフッ素を含む樹脂の最も薄い部分の距離をDと定義すると、Dは20μm~500μmの間であることを特徴とする請求項
7または請求項
8に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項10】
前記フッ素を含む樹脂と前記LEDチップとの間にキャビティが存在しないことを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項11】
前記支持フレームは、基板と電極とを含むことを特徴とする請求項1に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項12】
前記基板には、セラミック又は石英ガラスを選んで用いることを特徴とする請求項
11に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造。
【請求項13】
(1)支持フレームを提供し、前記支持フレームは、上表面と、側表面及び下表面を有しており、前記支持フレームは、基板と若干の電極を含む工程と、
(2)前記基板の上表面に、凹み構造を形成する工程
であって、前記支持フレームの凹み構造の表面の粗さは、前記支持フレームの凹んでいないエリアの表面の粗さよりも大きい、工程と、
(3)若干のLEDチップを前記支持フレーム上に固定する工程と、
(4)フッ素を含む樹脂をパッケージカバー体として、前記LEDチップと、支持フレームの上表面及び凹み構造を覆う工程と、
(5)隣接するLEDチップの間の中心線に沿って切断し、紫外発光ダイオードパッケージ構造を得る工程とを
有することを特徴とする紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法。
【請求項14】
前記工程(2)と(3)の順序は、互いに入れ替え可能であることを特徴とする請求項
13に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法。
【請求項15】
(1)支持フレームを提供し、前記支持フレームは、上表面と、側表面及び下表面を有しており、前記支持フレームは、基板と若干の電極を含む工程と、
(2)前記基板の下表面に、凹み構造を形成する工程
であって、前記支持フレームの凹み構造の表面の粗さは、前記支持フレームの凹んでいないエリアの表面の粗さよりも大きい、工程と、
(3)若干のLEDチップを前記支持フレーム上に固定する工程と、
(4)フッ素を含む樹脂をパッケージカバー体として、前記LEDチップと、支持フレームの上表面と、側表面と、下表面及び凹み構造を覆う工程と、
(5)隣接するLEDチップの間の中心線に沿って切断し、紫外発光ダイオードパッケージ構造を得る工程とを
有することを特徴とする紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法。
【請求項16】
前記工程(2)と(3)の順序は、互いに入れ替え可能であることを特徴とする請求項
15に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法。
【請求項17】
前記工程(4)の前に、更に工程(3)´を含み、該工程(3)´では、凹み構造の中心線に沿って切断を開始し、凹みを貫くまで切断し、それによって若干の単一基板ユニットを形成し、それから前記支持フレームを保護膜上に移すことを特徴とする請求項
15に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法。
【請求項18】
前記支持フレームを保護膜まで移した後、保護膜を拡張して、隣接する基板ユニット間の間隔を大きくし、後続の製造工程の作業空間を大きくすることを特徴とする請求項
17に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法。
【請求項19】
前記工程(4)は、前記フッ素を含む樹脂と前記LEDチップとの間にキャビティが存在しないように、ホットプレス又はディスペンシング方法を用い、前記フッ素を含む樹脂を前記LEDチップ上に密接に貼り付けることを特徴とする請求項
13または請求項
15に記載の紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDパッケージ技術に関し、特に、紫外発光ダイオード素子パッケージ構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(英:LED)は、固体半導体発光素子である。技術の発達に伴って、遠紫外LEDのコストの低下や効率が向上し、遠紫外LEDの利用は、ますます幅広くなっている。特に、昔からの水銀灯が市場から撤退する期限は、ますます近づいており、遠紫外LED照明への需要が急速に高まっている。
【0003】
既存の通常の遠紫外LEDパッケージ構造は、主にセラミックボウルカップを用いて基板や石英ガラスを積載するパッケージのカバー体とする。しかし、キャビティの存在や、セラミックボウルカップが有するある程度の厚さによって、パッケージ構造には体積が大きく、且つ、価格が高いという欠点があり、また、LEDチップによって発する光は、先に基板(例えばサファイア基板、屈折率約1.76)から空気(一般的には屈折率は1である)に達し、更に石英ガラス(屈折率約1.4)に達するので、パッケージ構造の光取り出し効果の低下を引き起こす(
図1に示されている)。その他、平面セラミック基板を用いてシリコーンと組み合わせて成型するパッケージ方法も存在する。このようなパッケージ方法の主な欠点は、遠紫外線(290nm以下)は、シリコーンに対して、強い破壊性を有するので、長時間の照射により接着剤の割れが発生しやすく、且つシリコーンは遠紫外線に対する透過率が、相対的に低めである。
【0004】
現在、あるタイプのフッ素樹脂無機パッケージの材料は、屈折率が一般的に1.35であり、紫外線透過率が高く、信頼性が高く、とても将来性のある遠紫外LEDパッケージ材料である。しかし、フッ素樹脂材料は粘着性に問題があるため、比較的加工しにくく、切断による脱落、震動による脱落、リフローの気泡が生じ易いなどの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の紫外発光ダイオード素子が抱えているフッ素を含む樹脂カバー層と支持フレームの間の粘着が難しいという問題を解決し、素子の信頼性を高め、全反射を減少し、光の取り出しを増加する紫外発光ダイオードパッケージ構造及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第一の態様によれば、紫外発光ダイオードパッケージ構造は、支持フレームとLEDチップ及びパッケージのカバー体とを備えており、前記LEDチップは前記支持フレーム上に設けられており、前記支持フレーム上には凹み構造及び凹んでいないエリアが設けられ、前記パッケージのカバー体にはフッ素を含む樹脂を選んで用い、前記フッ素を含む樹脂は、前記LEDチップと、前記支持フレームの上表面及び前記凹み構造を覆う。
【0007】
好ましくは、前記凹み構造は、前記支持フレームの上表面や/又は下表面や/又は側表面に設ける。
【0008】
好ましくは、前記支持フレームの上表面と下表面に設けられる凹み構造は、完全にずらして又は部分的にずらして配置されている。
【0009】
好ましくは、前記凹み構造の縦断面は、L字型、又は長方形、又は三角形、又は台形、又はアーチ形、又はその他の多角形を呈す。
【0010】
好ましくは、前記支持フレームの凹み構造の表面の粗さは、前記支持フレームの凹んでいないエリアの表面の粗さより大きい。
【0011】
好ましくは、前記支持フレームの上表面又は下表面又は側表面の粗さは、0.2μm以上である。
【0012】
好ましくは、前記支持フレームの凹み構造の表面の算術平均粗さRaは、0.5μm以上である。
【0013】
好ましくは、前記フッ素を含む樹脂は、前記支持フレームの側表面を覆う。
【0014】
好ましくは、前記フッ素を含む樹脂は、前記支持フレームの側表面及び下表面を覆う。
【0015】
好ましくは、前記支持フレームの側表面のフッ素を含む樹脂の最も薄い部分の距離をDと定義すると、Dは20μm~500μmの間である。
【0016】
好ましくは、前記フッ素を含む樹脂と、前記LEDチップとの間にはキャビティが存在しない。
【0017】
好ましくは、前記支持フレームは、基板と電極とを含む。
【0018】
好ましくは、前記基板には、セラミック又は石英ガラスを選んで用いる。
【0019】
本発明の第二の様態によれば、本発明は、紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法を提供する。本発明に係る製造方法は、
(1)支持フレームを提供し、前記支持フレームは、上表面と、側表面及び下表面とを有しており、前記支持フレームは、基板と若干の電極を含む工程と、
(2)前記基板の上表面に、凹み構造を形成する工程と、
(3)若干のLEDチップを前記支持フレーム上に固定する工程と、
(4)フッ素を含む樹脂をパッケージのカバー体として、前記LEDチップと、支持フレームの上表面及び凹み構造とを覆う工程と、
(5)隣接するLEDチップの間の中心線に沿って切断し、紫外発光ダイオードパッケージ構造を得る工程とを有する。
【0020】
好ましくは、前記工程(2)と工程(3)の順序は、互いに入れ替え可能である。
【0021】
好ましくは、前記工程(4)は、前記フッ素を含む樹脂と前記LEDチップとの間にキャビティが存在しないように、ホットプレス又はディスペンシング方法を用い、前記フッ素を含む樹脂を前記LEDチップ上に密接に貼り付ける。
【0022】
本発明の第三の様態によれば、本発明は、更に他の紫外発光ダイオードパッケージ構造の製造方法を提供する。本発明に係る製造方法は、
(1)支持フレームを提供し、前記支持フレームは、上表面と、側表面及び下表面とを有しており、前記支持フレームは、基板と若干の電極を含む工程と、
(2)前記基板の下表面に、凹み構造を形成する工程と、
(3)若干のLEDチップを前記支持フレーム上に固定する工程と、
(4)フッ素を含む樹脂をパッケージのカバー体として、前記LEDチップと、支持フレームの上表面と、側表面と、下表面及び凹み構造とを覆う工程と、
(5)隣接するLEDチップの間の中心線に沿って切断し、紫外発光ダイオードパッケージ構造を得る工程とを有する。
【0023】
好ましくは、前記工程(2)と工程(3)の順序は、互いに入れ替え可能である。
【0024】
好ましくは、前記工程(4)は、前記フッ素を含む樹脂と前記LEDチップとの間にキャビティが存在しないように、ホットプレス又はディスペンシング方法を用い、前記フッ素を含む樹脂を前記LEDチップ上に密接に貼り付ける。
【0025】
好ましくは、前記工程(4)の前に、更に工程(3)´を含み、該工程(3)´では、凹み構造の中心線に沿って切断を開始し、凹みを貫くまで切断し、それによって若干の単一基板ユニットを形成し、それから前記支持フレームを保護膜上に移す。
【0026】
好ましくは、前記工程(3)´は、更に前記支持フレームを保護膜まで移した後、保護膜を拡張して、隣接する基板ユニットの間の間隔を大きくし、後続の製造工程の作業空間を大きくする。
【0027】
従来の紫外発光ダイオード装置パッケージ構造と比べると、本発明は、フッ素を含む樹脂を用いてパッケージのカバー体とし、且つ支持フレームの上表面及び/又は側表面及び/又は下表面に凹み構造を形成し、パッケージのカバー体と支持フレームが、スナップ係合構造を形成し、有効な接触面積を増やし、又は凹み構造の粗さを増やし、それによってフッ素を含む樹脂と支持フレームの結合力を強くし、それによってフッ素を含む樹脂カバー層と、支持フレームの間の粘着が難しいという問題を解決し、素子の信頼性を高め、全反射を減少し、光の取り出しを増加する。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明において陳述するが、一部は明細書から明白なものであり、或いは本発明を実施することにより理解される。本発明の目的及びその他の利点は、明細書、特許請求の範囲、添付の図面により特に示される構造によって実現し獲得される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面は本発明のより一層の理解のために供するものであり、また明細書の一部を構成するものであり、本発明の実施例と共に本発明の解釈に用いられ得るが、本発明を限定するものではない。また、図面における数値は概要を示すにすぎず、比例に応じて描かれたものではない。
【0030】
【
図1】従来の通常の遠紫外LEDパッケージ構造の概略図である。
【
図2】実施例1の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図3】実施例1の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図4】実施例1の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図5】実施例1の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図6】実施例1の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図7】実施例1の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図8】実施例2の紫外LEDパッケージ構造の部分製造工程及び断面図である。
【
図9】実施例2の紫外LEDパッケージ構造の部分製造工程及び断面図である。
【
図10】実施例3の紫外LEDパッケージ構造の断面図である。
【
図11】実施例4の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図12】実施例4の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図13】実施例4の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図14】実施例4の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図15】実施例4の紫外LEDパッケージ構造の製造過程の概略図である。
【
図16】実施例5の紫外LEDパッケージ構造の断面図である。
【
図17】実施例6の紫外LEDパッケージ構造の断面図である。
【
図18】実施例7の紫外LEDパッケージ構造の断面図である。
【
図19】実施例8の紫外LEDパッケージ構造の断面図である。
【
図20】実施例9の紫外LEDパッケージ構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明に係る紫外LEDパッケージ構造及び製造方法について詳しく説明する。本発明を説明する前に、特定の実施例を変更でき、下記の特定の実施例に制限されないことを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲だけに限定され、用いられる実施例は説明のために例示されるがこれに制限されないことを理解されたい。特に説明されていない限り、本発明に用いられるあらゆる技術や科学用語は、当該分野における通常の知識を有する者が、通常理解される意味と同様の意味を持つ。
【0032】
実施例1
【0033】
図2~7を参考にして、本実施例は、以下の製造工程を含む、紫外LEDパッケージ構造の製造方法を提供する。
【0034】
図2に示されるように、工程(1)は、支持フレーム100を提供し、支持フレームは、上表面1011と、側表面1012及び下表面1013とを有し、該支持フレームは基板101と電極102を含むことができ、基板にはセラミックス又は石英ガラスを選んで用いることができ、本実施例の基板は、低温同時焼成セラミックス(英:Low Temperature Co-fired Ceramic、略称LTCC)が好ましく、厚さは一般的には0.25~0.5mmであり、基板の上/下表面に金属層をメッキして電極とし、基板には、上下表面を貫通している通孔構造(図示せず)があってもよい。尚、本発明の前記上、下表面は、相対的な表現であり、絶対の空間位置の上、下に限定して構成されるものではなく、例えば、“下”表面を“下”表面であると理解する場合、“上”表面は、それに対応して“下”表面となる。
【0035】
図3に示されるように、工程(2)は、セラミック基板101の下表面から、ソフトナイフ(一般的には樹脂ナイフ)又はレーザーによって、基板101の下表面に切り込んで一定の幅と深さを有する凹み構造103を形成する。凹み構造の深さは好ましくは、基板の厚さの1/3~1/2であり、ソフトナイフの切断する刃数は複数であってもよく、例えば、第1のナイフの刃の幅0.2mm、第2のナイフの刃の幅0.1mm、これにより0.05mmの幅の凹み構造を得ることが出来る。凹み構造の形成方法は、ソフトナイフ又はレーザーによる切断に限らず、更に他の方法でもよく、例えば、セラミック基板は焼結過程においてナイフを用いて凹み構造を押し出すような方法でもよい。
【0036】
図4に示されるように、工程(3)は、薄め(例えば0.05~0.1mm幅)の刃を用いて、凹み構造の中心線に沿って切断を開始し、正面から切断する場合はチッピングを起こす可能性があるので、背面から切断する方法が好ましく、そして凹みを貫くまで切断することで、若干の単一基板ユニットを形成する。
【0037】
図5に示されるように、工程(4)は、支持フレーム100を保護膜200上まで転移させる。転移方法としては、支持フレームを高温テープ(例えばポリイミドテープ)に貼り付ける方法を用いることが出来る。LEDチップ300を融剤(flux)を用いて、セラミック基板101上に固め、それからリフロー(reflow)を行い、これによりLEDチップと基板を一体に溶接する。オプションとしては、保護膜を拡張し、拡張倍率は1.05~1.25倍であり、隣接する基板ユニットの間の間隔を増やし、後続の製造工程の作業空間を大きくすることが出来る。尚、LEDチップはフリップ構造、水平構造でもよく、又は垂直構造、又は高圧構造などのチップでもよい。
【0038】
図6に示されるように、工程(5)は、パッケージのカバー体400を、例えばフッ素を含んだ樹脂が、ホットプレス又はディスペンシング方法によって、LEDチップ300と支持フレームの上表面1011と、側表面1012と、下表面1013及び凹み構造103を覆い、即ち、フッ素を含む樹脂は、一体的に覆う構造を形成し、密封性が良く、素子の信頼性を向上させることに有益である。尚、凹み構造は、階段構造でもよく、U型又はV型などの構造でもよく、本実施例では、階段構造であることが好ましい。縦断面から見ると、凹み構造の形状は、L字型又は長方形又は三角形又は台形又はアーチ形又はその他多角形でもよい。フッ素を含む樹脂とLEDチップとの間にキャビティが存在しないように、フッ素を含む樹脂を密接にLEDチップ上に貼り付け、これにより、全反射の確率を減少し、放射効率を高めることに有益である。尚、フッ素を含む樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra-fluoro-ethylene)、改質ポリテトラフルオロエチレン(Modification Poly Tetra-fluoro-ethylene)、パーフルオロアルコキシ(Perfluoro-alkoxy)、フッ化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene)、エチレンテトラフルオロエチレン(Ethylene tetrafluoroethylene)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(Ethylene-chlorotrifluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidenefluoride)、ポリクロロトリフルオロエチレン(Polychlorotrifluoroethylene)の中の一種類又は数種類を含んでもよい。
【0039】
図7に示されているように、工程(6)は、隣接する基板ユニットの間の中心線に沿って切断し、紫外発光ダイオードパッケージ構造を得ることが出来る。尚、保護膜は除去してもよいが、しばらく支持フレームは紫外発光ダイオードパッケージ構造を保持するために除去しなくてもよい。
【0040】
以上、本実施例が得ることが出来る紫外発光ダイオードパッケージ構造は、支持フレームと、LEDチップ及びパッケージのカバー体を備えており、前記LEDチップは前記支持フレーム上に設けられており、前記支持フレームには、凹み構造及び凹んでいないエリアが設けられ、前記パッケージのカバー体にはフッ素を含む樹脂を選んで用い、前記フッ素を含む樹脂は前記LEDチップと、前記支持フレームの上表面及び前記凹み構造とを覆っている。
【0041】
従来の紫外発光ダイオードパッケージ構造と比べると、本実施例が得ることが出来る紫外発光ダイオードパッケージ素子のサイズは小さめで、使用上、更に融通が利く。好ましくは、パッケージ素子のサイズの辺の長さは1.5mmより短く、厚さは1mmより小さいことが好ましい。
【0042】
実施例2
【0043】
図8と
図9に示されるように、本実施例が実施例1と異なるのは、本実施例が製造する紫外発光ダイオードパッケージ構造の工程(2)である。実施例1の工程(2)では、隣接する基板ユニットの間に、1つの凹み構造のみを形成しているが、本実施例の工程(2)では、隣接する基板ユニットの間に、少なくとも2つの凹み構造を形成している点である。凹み構造の数の増加によって、パッケージのカバー体と支持フレームの間の接着力を強くすることが出来る。基板側面のフッ素を含む樹脂の材料の最も薄い部分の距離をDと定義すると、好ましくは、Dは20μm~500μmの間であり、Dの数値が小さすぎると、パッケージのカバー体の構造が完全に支持フレームを覆うことに不向きであり、Dの数値が大きすぎると、LEDが放出する光がフッ素を含む樹脂の材料に沿って基板まで導かれ、それによって輝度が低下する。
【0044】
実施例3
【0045】
図10に示されるように、本実施例が実施例2と異なるのは、実施例2の凹み構造の縦断面は長方形であるが、本実施例の凹み構造の縦断面は、アーチ形である点である。
【0046】
実施例4
【0047】
図11~15を参照して、本実施例は、紫外LEDパッケージ構造の製造方法を提供し、以下の製造工程を含む。
【0048】
図11に示されるように、工程(1)は、支持フレーム100を提供し、支持フレームは、上表面1011と、側表面1012及び下表面1013を有しており、該支持フレームは、基板101と若干の電極102を含むことができ、基板の上/下表面に金属層をメッキして電極とし、基板には、上下表面を貫通している通孔構造(図示せず)があってもよい。
【0049】
図12に示されるように、工程(2)は、LEDチップ300を融剤(flux)を用いて、基板101上に固め、それからリフロー(reflow)を行い、これによりLEDチップと基板を共晶溶接方法によって一体に溶接する。
【0050】
図13に示されるように、工程(3)は、セラミック基板101の上表面から、ソフトナイフ又はレーザーなどの方法によって、基板101の上表面(隣接するLEDチップの間に介在する)に切り込んで一定の幅と深さを有する凹み構造103を形成する。
【0051】
図14に示されるように、工程(4)は、パッケージのカバー体400を、例えばフッ素を含んだ樹脂が、ホットプレス又はディスペンシング方法によって、LEDチップ300と支持フレームの上表面1011及び凹み構造103を覆う。支持フレームのその他凹んでいない構造の表面は凹んでいないエリアであると定義する。好ましくは、支持フレームの凹み構造の表面の粗さは、前記支持フレームの凹んでいないエリアの表面の粗さよりも大きく、例えば、支持フレームの凹み構造の表面の算術平均粗さRaは0.5μm以上であるが、支持フレームのその他凹んでいない構造の表面、例えば、上表面又は下表面又は側表面の粗さは0.2μmであり、これにより、パッケージのカバー体と支持フレームの結合力を強くすることができ、それによって、密封性を増し、素子の信頼性を向上させることが出来る。尚、凹み構造は、階段構造でもよく、U型又はV型などの構造でもよく、本実施例では、階段構造であることが好ましい。縦断面から見ると、凹み構造の形状は、長方形又は三角形又は台形又はアーチ形又はその他多角形でもよい。フッ素を含む樹脂とLEDチップの間にキャビティが存在しないように、フッ素を含む樹脂を密接にLEDチップ上に貼り付け、これにより、全反射の確率を減少し、放射効率を向上に有益である。
【0052】
図15に示されるように、工程(5)は、隣接するLEDチップの間の中心線に沿って切断し、紫外発光ダイオードパッケージ構造を得ることが出来る。尚、保護膜は除去してよいが、しばらく支持フレームは紫外発光ダイオードパッケージ構造を保持するために除去しなくてもよい。
【0053】
実施例5
【0054】
図16に示されるように、本実施例が実施例4と異なるのは、実施例4の凹み構造の縦断面は、L字型であるが、本実施例の凹み構造の縦断面は、長方形である点であり、これにより、フッ素を含む樹脂と基板の接触面積を増やし、それによって粘着力を強くすることが出来る。
【0055】
実施例6
【0056】
図17に示されるように、本実施例が実施例5と異なるのは、実施例5の凹み構造は、支持フレームの上表面に設置し、本実施例の凹み構造は、支持フレームの側表面に設置する点であり、これにより、凹み構造とパッケージのカバー体がスナップ係合構造を形成し、それによって素子の密封性を向上させることに有益である。
【0057】
実施例7
【0058】
図18に示されるように、本実施例が実施例1と異なるのは、実施例1の凹み構造は、支持フレームの上表面に設けられるが、本実施例の凹み構造103は支持フレームの上表面1011に設けられるだけでなく、更に支持フレームの下表面1013にも設けられる点であり、支持フレームの上表面、下表面に分かれて位置する凹み構造103は貫通することで通孔構造を形成し、これによってアモルファスフッ素を含む材料は、通孔構造を充填でき、その上、底部電極と基板の間の隙間を全て覆う又は一部を充填する。通孔構造は、好ましくは、基板ユニットの周囲に分布し、具体的な数量は、需要に応じて決めることが出来る。この他、実施例1のLEDチップは一つであるが、本実施例のLEDチップは複数でもよく、例えば3つであり、その電気的接続の方法は需要に応じて、直列または並列を形成する。
【0059】
実施例8
【0060】
図19に示されるように、本実施例が実施例7と異なるのは、実施例7の支持フレームの上、下表面に分かれて位置している凹み構造103は、貫通しているが、本実施例の支持フレームの上、下表面に分かれて位置している凹み構造は、完全にずらして設けられている点である。つまり、上、下表面の凹み構造の水平面上における投影が、完全に重ならない。このようにして、フッ素を含む樹脂パッケージのカバー体と支持フレームの間の接着力を増やすことが出来る。
【0061】
実施例9
【0062】
図20に示されるように、本実施例が実施例8と異なるのは、実施例7の支持フレームの上、下表面の凹み構造103は、完全にずらして設けられているが、本実施例の上、下表面の凹み構造103は、部分的にずらして設けられている点である。つまり、下表面の凹み構造の水平面上における投影が部分的に重なり部分的に重ならない状態であってもよい。この他、実施例7の支持フレームの上、下表面に分かれて位置している凹み構造103の縦断面は長方形であるが、本実施例の支持フレームの下表面に位置している凹み構造103の縦断面はL字型である。尚、支持フレームの縁に位置しているL字型の凹み構造は、支持フレームの側表面と下表面の両方に位置して形成されている凹み構造であり、このようにして、フッ素を含む樹脂パッケージのカバー体が支持フレームの上表面と、側表面及び下表面との凹み構造を覆うことに有益である。更にパッケージのカバー体と支持フレームが形成しているスナップ係合作用を強くし、フッ素を含む樹脂のカバー層と支持フレーム間の粘着が難しいという問題を解決し、パッケージ素子の信頼性を増やす。
【0063】
上述の具体的な実施方式は本発明の部分的な好ましい実施例に過ぎず、以上の実施例は更にあらゆる組み合わせや変形を行える。本発明の範囲は以上の実施例に限定されるものではなく、本発明のあらゆる変更も本発明の保護の範囲内にあることを理解されたい。
【符号の説明】
【0064】
100 支持フレーム
101 基板
1011 上表面
1012 側表面
1013 下表面
102 電極
103 凹み構造
200 保護膜
300 LEDチップ
400 パッケージのカバー体