特許 7125531 削孔機およびアンカーボルト並びにそれらの使用方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-08-16

(45)【発行日】2022-08-24

(54)【発明の名称】削孔機およびアンカーボルト並びにそれらの使用方法

(51)【国際特許分類】

   B28D 1/14 20060101AFI20220817BHJP

   B23B 45/00 20060101ALI20220817BHJP

   B23B 51/04 20060101ALI20220817BHJP

   E01D 19/04 20060101ALI20220817BHJP

   E01D 19/14 20060101ALI20220817BHJP

   E02D 27/00 20060101ALI20220817BHJP

【ＦＩ】

B28D1/14

B23B45/00 C

B23B51/04 T

E01D19/04 Z

E01D19/14

E02D27/00 A

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2021182143

(22)【出願日】2021-11-08

【審査請求日】2021-11-15

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】306033025

【氏名又は名称】日本鉄塔工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100067448

【弁理士】

【氏名又は名称】下坂 スミ子

(74)【代理人】

【識別番号】100221752

【弁理士】

【氏名又は名称】古川 雅与

(74)【代理人】

【識別番号】100213746

【弁理士】

【氏名又は名称】川成 渉

(72)【発明者】

【氏名】東 幹人

(72)【発明者】

【氏名】本松 勝輝

(72)【発明者】

【氏名】福士 文夫

(72)【発明者】

【氏名】中村 公春

【審査官】豊島 唯

(56)【参考文献】

【文献】特開２００５－２７１４３２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００８－２４０４８５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－２４５９１９（ＪＰ，Ａ）

【文献】登録実用新案第３０２３７０６（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１８－０４８４９７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－０８９１１０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－２０６８８０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１０－０５２２１５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ２８Ｄ １／１４

Ｂ２３Ｂ ４５／００

Ｂ２３Ｂ ５１／０４

Ｅ０１Ｄ １９／０４

Ｅ０１Ｄ １９／１４

Ｅ０２Ｄ ２７／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

相対的に高さが低い作業空間においてアンカーボルト用開孔を削孔するための削孔機であって、
削孔機本体のスパナ掛け部に設けられた内ネジ部と係脱自在に螺合する外ネジ部を有する円柱状の螺合部と、コアビットの連結側端部に設けられた外ネジ部と係脱自在に螺合する内ネジ部を有しかつ螺合部と同心円状に一体に形成された円筒状の連結部とを有するアダプタであって、
前記アダプタは、アタッチメントの一端に設けられた扇型の凹面および凸面にそれぞれ嵌合するように形成された凸面および凹面を備え、
前記アダプタは、凸面および凹面を貫通する貫通孔と、前記貫通孔に差し込まれるロックピンとを備える、削孔機。

【請求項2】

前記アダプタの連結部の内ネジ部と係脱自在に螺合する外ネジ部を一端に有し、コアビットの連結側端部に設けられた外ネジ部と係脱自在に螺合する内ネジ部を他端に有する中間チューブをさらに含む、請求項１に記載の削孔機。

【請求項3】

相対的に高さが低い作業空間において請求項１または２に記載の削孔機により穿設されたアンカー孔に埋設するためのアンカーボルトであって、
一端に内ネジ部を設けられた上方アンカーボルトと、
一端に内ネジ部を設けられた下方アンカーボルトと、
一端に上方アンカーボルトの内ネジ部と係脱自在に螺合する上方外ネジ部を有しかつ他端に下方アンカーボルトの内ネジ部と係脱自在に螺合する下方外ネジ部を有する連結治具とを含む、分割型アンカーボルト。

【請求項4】

前記連結治具は上方外ネジ部と下方外ネジ部との間にストッパを有する、請求項３に記載の分割型アンカーボルト。

【請求項5】

相対的に高さが低い作業空間において請求項１に記載の削孔機を用いてアンカーボルト孔を穿設するための方法であって、
削孔機本体のスパナ掛け部にアダプタを取り付けた削孔機を所要のアンカーボルト孔の削孔位置に固定し、
所定のアンカーボルト孔の深さよりも短い長さの浅孔用コアビットをアダプタに取り付けたのち、削孔機を稼働して浅孔用コアビットを回動させ、削孔機本体を下降させることによりアンカーボルト孔を削孔し、
相対的に浅い所要の深さまでアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体を上昇させて浅孔用コアビットをアンカーボルト孔から取り出し、
浅孔用コアビットをアダプタから取り外したのち、深孔用コアビットを削孔したアンカーボルト孔内に立柱させてアダプタと結合し、
所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔するように深孔用コアビットを回動させて削孔機本体を下降させ、
削孔機本体を上昇させ、深孔用コアビットをアダプタから取り外したのちアンカーボルト孔から取り出す
ことを含む、削孔方法。

【請求項6】

相対的に高さが低い作業空間において請求項２に記載の削孔機を用いてアンカーボルト孔を穿設するための方法であって、
削孔機本体のスパナ掛け部にアダプタを取り付けた削孔機を所要のアンカーボルト孔の削孔位置に固定し、
所定のアンカーボルト孔の深さよりも短い長さのコアビットをアダプタに取り付けたのち、削孔機を稼働してコアビットを回動させ、削孔機本体を下降させることによりアンカーボルト孔を削孔し、
相対的に浅い所要の深さまでアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体を上昇させてコアビットをアンカーボルト孔から取り出し、
コアビットをアダプタから取り外して削孔したアンカーボルト孔内に立柱させたのち、コアビットの切削端が所定のアンカーボルト孔の深さに到達できるように選定された長さを有する中間チューブを用いて相互に離間するアダプタとコアビットの間を結合し、
コアビットを回動させると共に削孔機本体を下降させることにより所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔し、
削孔機本体を上昇させて中間チューブおよびコアビットをアンカーボルト孔から取り出し、中間チューブおよびコアビットを分解して取り外す
ことを含む、削孔方法。

【請求項7】

相対的に高さが低い作業空間において請求項１に記載の削孔機を用いて穿設されたアンカーボルト孔に、請求項３または４に記載の分割型アンカーボルトを埋設するための方法であって、
下方アンカーボルトの内ネジ部を上方にして、或いは、一端部を下方アンカーボルトの内ネジ部に螺合させた連結治具を上方にして、下方アンカーボルトをアンカーボルト孔に挿入し、
上方アンカーボルトの内ネジ部に螺合させた連結治具、或いは、上方アンカーボルトの内ネジ部を、アンカーボルト孔に挿入された下方アンカーボルトの内ネジ部、或いは、下方アンカーボルトの内ネジ部に螺合された連結治具の他端部に螺合させて連結することにより分割型アンカーボルトを一体化し、
アンカーボルト孔に挿入された一体化した分割型アンカーボルトを、使用する分割型アンカーボルトの種類に応じた施工方式によりアンカーボルト孔内に固定する
ことを含む、アンカーボルト埋設方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は橋台・橋脚上における狭い空間でのアンカー削孔およびアンカーボルト設置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、橋台・橋脚上における支承の交換工法において、桁下空間が狭い場合はウォータージェット工法により、橋台・橋脚上のコンクリートをはつり取り、支承を撤去する。その後、はつり取ったスペースを利用して、アンカー削孔の機械を設置し、新規のアンカーボルト孔を削孔する。同様に、新規アンカーボルトの設置においても、上記はつり取ったスペースが利用されている。一方でウォータージェット工法を採用する場合は、水養生のために大掛かりな設備が必要となるため、工事の長期化に繋がる等の課題がある。

【0003】

近年、橋台・橋脚上における支承の交換作業時に、橋台・橋脚上のコンクリートをはつり取らない工法が提案されている（例えば、特願２０２０‐１３７０８３等）。一方で上記工法では、橋台・橋脚の既設コンクリートがはつり取られることがないため、桁下空間は狭くなる。したがって、従来工法に見られるようなアンカー削孔の機械の設置や新規のアンカーボルトを設置するのに十分なスペースが確保できない。

【0004】

桁下空間が狭い場合、所定のアンカーボルト孔の深さまで穿設するには短いコアビットを複数回にわたって継ぎ足す必要があり、コアビットの交換作業が頻繁に必要となる。従来はコアビットを構成する全ての部品がねじで螺合する構造を有しているが、狭い桁下空間では着脱する作業が難しいため、着脱作業の簡易化が求められる。

【0005】

狭い空間内での使用を想定したコア削孔機として、例えばコア機本体側面にモーターを複数連接するコア削孔機が提案されている（特許文献１参照）。しかし、コアドリルの回転方向とモーターの回転方向が異なるため、モーターの回転力をコアドリルに伝えるためには、回転軸方向を変更するギア等を介さなければならない。上記ギア等に掛かる負荷は高く、部品の交換が頻繁に必要となる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【文献】特開２０１７‐１００３４０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

本発明の目的は、相対的に高さが低い作業空間、特に桁下空間において、橋台・橋脚上のコンクリートをはつり取らずに、アンカーボルト孔を削孔し、新規アンカーボルトを設置する、削孔機並びに分割型アンカーボルトおよびそれらを用いる使用方法を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上記目的を達するために、本発明に係る削孔機は、相対的に高さが低い作業空間においてアンカーボルト用開孔を削孔するための削孔機であって、削孔機本体のスパナ掛け部に設けられた内ネジ部と係脱自在に螺合する外ネジ部を有する円柱状の螺合部と、コアビットの連結側端部に設けられた外ネジ部と係脱自在に螺合する内ネジ部を有しかつ螺合部と同心円状に一体に形成された円筒状の連結部とを有するアダプタを有することを特徴としている。

【0009】

上記削孔機は、アダプタの連結部の内ネジ部と係脱自在に螺合する外ネジ部を一端に有し、コアビットの連結側端部に設けられた外ネジ部と係脱自在に螺合する内ネジ部を他端に有する中間チューブをさらに含んでいてもよい。

【0010】

上記目的を達するために、本発明に係る分割型アンカーボルトは、相対的に高さが低い作業空間において請求項１または２に記載の削孔機により穿設されたアンカー孔に埋設するためのアンカーボルトであって、一端に内ネジ部を設けられた上方アンカーボルトと、一端に内ネジ部を設けられた下方アンカーボルトと、一端に上方アンカーボルトの内ネジ部と係脱自在に螺合する上方外ネジ部を有しかつ他端に下方アンカーボルトの内ネジ部と係脱自在に螺合する下方外ネジ部を有する連結治具とを含むことを特徴としている。

【0011】

上記分割型アンカーボルトは、上記連結治具が上方外ネジ部と下方外ネジ部との間にストッパを有していてもよい。

【0012】

上記目的を達するために、本発明に係る削孔機を用いる削孔方法は、相対的に高さが低い作業空間において上記削孔機を用いてアンカーボルト孔を穿設するための方法であって、削孔機本体のスパナ掛け部にアダプタを取り付けた削孔機を所要のアンカーボルト孔の削孔位置に固定し、所定のアンカーボルト孔の深さよりも短い長さの浅孔用コアビットをアダプタに取り付けたのち、削孔機を稼働して浅孔用コアビットを回動させ、削孔機本体を下降させることによりアンカーボルト孔を削孔し、相対的に浅い所要の深さまでアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体を上昇させて浅孔用コアビットをアンカーボルト孔から取り出し、浅孔用コアビットをアダプタから取り外したのち、深孔用コアビットを削孔したアンカーボルト孔内に立柱させてアダプタと結合し、所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔するように深孔用コアビットを回動させて削孔機本体を下降させ、削孔機本体を上昇させ、深孔用コアビットをアダプタから取り外したのちアンカーボルト孔から取り出すことを含むことを特徴としている。

【0013】

また、本発明に係る削孔機を用いる削孔方法は、相対的に高さが低い作業空間において上記削孔機を用いてアンカーボルト孔を穿設するための方法であって、削孔機本体のスパナ掛け部にアダプタを取り付けた削孔機を所要のアンカーボルト孔の削孔位置に固定し、所定のアンカーボルト孔の深さよりも短い長さのコアビットをアダプタに取り付けたのち、削孔機を稼働してコアビットを回動させ、削孔機本体を下降させることによりアンカーボルト孔を削孔し、相対的に浅い所要の深さまでアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体を上昇させてコアビットをアンカーボルト孔から取り出し、コアビットをアダプタから取り外して削孔したアンカーボルト孔内に立柱させたのち、コアビットの切削端が所定のアンカーボルト孔の深さに到達できるように選定された長さを有する中間チューブを用いて相互に離間するアダプタとコアビットの間を結合し、コアビットを回動させると共に削孔機本体を下降させることにより所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔し、削孔機本体を上昇させて中間チューブおよびコアビットをアンカーボルト孔から取り出し、中間チューブおよびコアビットを分解して取り外すことを含むことを特徴としている。

【0014】

上記目的を達するために、本発明に係る分割型アンカーボルトを用いるアンカーボルトの埋設方法は、相対的に高さが低い作業空間において上記削孔機を用いて穿設されたアンカーボルト孔に、上記分割型アンカーボルトを埋設するための方法であって、下方アンカーボルトの内ネジ部を上方にして、或いは、一端部を下方アンカーボルトの内ネジ部に螺合させた連結治具を上方にして、下方アンカーボルトをアンカーボルト孔に挿入し、上方アンカーボルトの内ネジ部に螺合させた連結治具、或いは、上方アンカーボルトの内ネジ部を、アンカーボルト孔に挿入された下方アンカーボルトの内ネジ部、或いは、下方アンカーボルトの内ネジ部に螺合された連結治具の他端部に螺合させて連結することにより分割型アンカーボルトを一体化し、アンカーボルト孔に挿入された一体化した分割型アンカーボルトを、使用する分割型アンカーボルトの種類に応じた施工方式によりアンカーボルト孔内に固定することを含むことを特徴としている。

【発明の効果】

【0015】

上記構成による本発明の一態様に係る削孔機は、相対的に高さが狭い作業空間、例えばコンクリートをはつり取らない桁下空間等において設置および削孔が可能となる。さらに上記中間チューブを用いることで、上記作業空間において深度の深い削孔が可能となる。施工スペースを確保するために、コンクリートをウォータージェット等を用いてはつり取ることもないので、水養生等も必要なく、施工日数および施工コストを大幅に短縮することができる。

【0016】

上記構成による本発明の一態様に係る分割型アンカーボルトは、相対的に高さが狭い作業空間、例えばコンクリートをはつり取らない桁下空間等において埋設が可能となる。また、上記分割型アンカーボルトの連結治具に上方外ネジ部と下方外ネジ部との間にストッパを設けることにより上記作業空間においてアンカーボルトの連結を確実に行うことが可能となる。こちらも、施工スペースを確保するために、コンクリートをウォータージェット等を用いてはつり取ることもないので、水養生等も必要なく、施工日数および施工コストを大幅に短縮することができる。

【図面の簡単な説明】

【0017】

【図1】削孔機本体の側面図

【図2】アダプタの平面図（Ａ）と側面図（Ｂ）

【図3】中間チューブの平面図（Ａ）と側面図（Ｂ）

【図4】貫通孔にロックピンが取り付けられたアダプタのＡ－Ａ方向断面図（Ａ）とＢ－Ｂ方向断面図（Ｂ）と平面図（Ｃ）

【図5】貫通孔にロックピンが取り付けられたアタッチメントのＡ－Ａ方向断面図（Ａ）とＢ－Ｂ方向断面図（Ｂ）と平面図（Ｃ）

【図6】分割型アンカーボルトの側面図

【図7】本出願に係る削孔機を用いた削孔方法の工程図

【発明を実施するための形態】

【0018】

以下、本発明に係る削孔機並びに分割型アンカーボルトおよびそれらの使用方法について、図面を参照しながら説明する。

【0019】

本発明の実施例による削孔機１は、図１に示されているように、従前の削孔機と同様、メインシャフト、アタッチメント、モーターおよびポールベースで構成されるが、アダプタ１２、コアビット１３および中間チューブ１４を備えていることを特徴とする。また、アタッチメント１５を備えていてもよい。

【0020】

アダプタ１２は、図1に示されるように、その一端に、削孔機１のメインシャフト１１に設けられるスパナ掛部の内ネジ部１１１と係脱自在に螺合する外ネジ部を有する円柱状の螺合部１２１が形成されている。螺合部１２１は、一般的なネジの規格であって、本発明の目的を達するものであれば、特段その規格を問わない。

【0021】

また、アダプタ１２は、その他端に、コアビット１３または中間チューブ１４の連結側端部に設けられる外ネジ部と係脱自在に螺合する内ネジ部を有する円筒状の連結部１２２が形成されている。

【0022】

アダプタ１２は、図２および図３に示されるように、上記他端に、中間チューブ１４の一端である連結側端部に設けられた外ネジ部１４１と係脱自在に螺合する内ネジ部を有する円筒状の連結部１２２が形成される。この連結部１２２はその外周面に、外ネジ部が内ネジ部と完全に螺合できるように受容する受容部１２３を有していてもよい。受容部１２３の外周面には、中間チューブ１４の連結側外周面に設けられた突起１４２を受容するための掛止部１２４を設けていても良い。このような構成にすることにより、アダプタ１２と中間チューブ１４は確実かつ強固に締結される。

【0023】

また、アダプタ１２は、図４および図５に示されるように、上記他端に、アタッチメント１５の一端である扇型に形成された凹面１５１および凸面１５２に嵌合するよう形成される凸面１２５および凹面１２６を備え、アダプタ１２の凸面１２５およびアタッチメント１５の凹面１５１を貫通する貫通孔Ｋを備えることもでき、貫通孔ＫにロックピンＲを差し込むことでアダプタ１２とアタッチメント１５の間の連結を遂行する。このような構成にすることにより、アダプタ１２とアタッチメント１５は確実かつ強固に締結される。アタッチメント１５の他端には中間チューブ１４の一端である連結側端部に設けられた外ネジ部１４１と係脱自在に螺合する内ネジ部を有する円筒状の連結部１５３が形成されていても良い。

【0024】

コアビット１３は、所定のアンカーボルト孔の深さよりも短い長さの浅孔用コアビット１３１と所定のアンカーボルト孔の深さに達する長さの深孔用のコアビット１３２とで構成されていても良い。

【0025】

本発明の実施例による分割型アンカーボルト２は、図６に示されるように、上方アンカーボルト２１と下方アンカーボルト２２と連結治具２３とから構成されている。

【0026】

上方アンカーボルト２１は、円筒状の金属性部材であって、連結治具２３の一端に備わる上方ネジ部２３１と螺合するための内ネジ部２１１をその一端に備えている。

【0027】

下方アンカーボルト２２は、円筒状の金属性部材であって、連結治具２３の一端に備わる下方ネジ部２３２と螺合するための内ネジ部２２１をその一端に備えている。

【0028】

連結治具２３は、円柱状の金属性部材であって、上方アンカーボルト２１の一端に設けられた内ネジ部２１１と螺合するための上方ネジ部２３１をその一端に備え、下方アンカーボルト２２の一端に設けられた内ネジ部２２１と螺合するための下方ネジ部２３２をその他端に備えている。また、連結治具２３は、上方ネジ部２３１と下方ネジ部２３２との間の周面に、螺合する内ネジ部２１１および内ネジ部２２１とを係止するための凸状に形成されるストッパ２３３を備えていても良い。

【0029】

本発明に係る削孔機１を用いるアンカーボルト孔の削孔方法は、図７に示されているように、削孔機本体のスパナ掛け部にアダプタ１２を取り付けた削孔機１を所要のアンカーボルト孔の削孔位置に固定し、所定のアンカーボルト孔の深さよりも短い長さの浅孔用コアビット１３１をアダプタ１２に取り付けたのち（図７（１）参照）、削孔機を稼働して浅孔用コアビット１３１を回動させ、削孔機本体１を下降させることによりアンカーボルト孔を削孔する（図７（２）参照）。相対的に浅い所要の深さまでアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体１を上昇させて浅孔用コアビットをアンカーボルト孔から取り出し（図７（３）参照）、浅孔用コアビット１３１をアダプタ１２から取り外したのち（図７（４）参照）、深孔用コアビット１３２を削孔したアンカーボルト孔内に立柱させてアダプタ１２と結合し（図７（５）、（６）参照）、所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔するように深孔用コアビット１３２を回動させて削孔機本体１を下降することにより所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔する（図７（７）参照）。所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体１を上昇させ、深孔用コアビット１３２をアダプタ１２から取り外したのち（図７（８）、（９）参照）、アンカーボルト孔から取り出す（図７（１０）参照）。

【0030】

上記工法は、中間チューブ１４の一端にコアビット１３を取付け、中間チューブ１４の他端をアダプタ１２に取り付けた削孔機により、所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔してもよい。その後、中間チューブ１４とコアビット１３の結合を解除し、別の中間チューブ１４の一端をコアビット１３に接合し、解除した中間チューブ１４の一端に別の中間チューブ１４の他端を接合しても良い。これにより、所定の深さのアンカーボルト孔を削孔することができる。

【0031】

また、本発明に係る削孔機１を用いるアンカーボルト孔の別の削孔方法は、削孔機本体１のスパナ掛け部にアダプタ１２を取り付けた削孔機を所要のアンカーボルト孔の削孔位置に固定し、所定のアンカーボルト孔の深さよりも短い長さのコアビット１３をアダプタに取り付けたのち、削孔機を稼働してコアビットを回動させ、削孔機本体を下降させることによりアンカーボルト孔を削孔する。所要の深さに対して相対的に浅い深さのアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体を上昇させてコアビット１３をアンカーボルト孔から取り出し、コアビット１３をアダプタ１２から取り外して削孔したアンカーボルト孔内に立柱させたのち、コアビットの切削端が所定のアンカーボルト孔の深さに到達できるように選定された長さを有する中間チューブ４を用いて相互に離間するアダプタとコアビットの間を結合し、コアビットを回動させると共に削孔機本体を下降させることにより所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔する。所定の深さを有するアンカーボルト孔を削孔したのち、削孔機本体１を上昇させて中間チューブ１４およびコアビット１３をアンカーボルト孔から取り出し、中間チューブ１４およびコアビット１３を分解して取り外す。

【0032】

本発明に係る分割型アンカーボルト２を用いるアンカーボルトの埋設方法は、上述した削孔方法により削孔されたアンカーボルト孔に下方アンカーボルト２２を挿入する。次いで連結治具２３を挿入し、連結治具２３の一端に備わる下方ネジ部２３２を下方アンカーボルト２２の一端に備わる内ネジ部２２１に螺合させる。最後に上方アンカーボルト２１を挿入し、連結治具２３の一端に備わる上方ネジ部２３１を上方アンカーボルト２１の一端に備わる内ネジ部２１１に螺合させる。

【0033】

上述した本発明は、橋台または橋脚上の桁下空間といった相対的に高さが狭い空間におけるアンカーボルト孔の削孔およびアンカーボルトの設置を目的としているが、マンション等の他の構造物に係るアンカーボルト孔の削孔およびアンカーボルトの設置などに適合できることは容易に理解されよう。

【符号の説明】

【0034】

１ 削孔機本体
１１ メインシャフト
１１１ 内ネジ部
１２ アダプタ
１２１ 螺合部
１２２ 連結部
１２３ 受容部
１２４ 掛止部
１２５ 凸面
１２６ 凹面
１３ コアビット
１３１ 浅孔用コアビット
１３２ 深孔用コアビット
１４ 中間チューブ
１４１ 外ネジ部
１５ アタッチメント
１５１ 凹面
１５２ 凸面
１５３ 連結部
２ 分割型アンカーボルト
２１ 上方アンカーボルト
２１１ 内ネジ部
２２ 下方アンカーボルト
２２１ 内ネジ部
２３ 連結治具
２３１ 上方ネジ部
２３２ 下方ネジ部
２３３ ストッパ
Ｋ 貫通孔
Ｒ ロックピン

【要約】      （修正有）

【課題】相対的に高さが低い作業空間、特に桁下空間において、橋台・橋脚上のコンクリートをはつり取らずに、アンカーボルト孔を削孔し、新規アンカーボルトを設置する、削孔機並びに分割型アンカーボルトおよびそれらを用いる使用方法を提供すること。
【解決手段】相対的に高さが低い作業空間においてアンカーボルト用開孔を削孔するための削孔機であって、削孔機本体１のスパナ掛け部に設けられた内ネジ部１１１と係脱自在に螺合する外ネジ部を有する円柱状の螺合部１２１と、コアビットの連結側端部に設けられた外ネジ部と係脱自在に螺合する内ネジ部を有しかつ螺合部と同心円状に一体に形成された円筒状の連結部１２２とを有するアダプタを有する。
【選択図】図１

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】