(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】クロスカット装置及びスクイズカットの切り口を安定化させるための方法
(51)【国際特許分類】
B26D 1/40 20060101AFI20220817BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20220817BHJP
B26D 7/08 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B26D1/40 502G
B26D1/40 502A
B26D1/40 502D
B26D7/20
B26D7/08 D
(21)【出願番号】P 2021500615
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2019067716
(87)【国際公開番号】W WO2020011599
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】102018117055.6
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018122005.7
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520243592
【氏名又は名称】ベーヴェー ペイパーシステムズ ハンブルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ボルグ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ゲートケ トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルペル フランク
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255210(JP,A)
【文献】特開2004-136408(JP,A)
【文献】実開昭54-087801(JP,U)
【文献】実公昭32-014306(JP,Y1)
【文献】特開昭50-095883(JP,A)
【文献】特開平09-183093(JP,A)
【文献】米国特許第05918518(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0097569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/40
B26D 7/20
B26D 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的には、好ましくは紙、ボール紙、プラスチック、及び/又は金属の移動している材料ウエブ(2)をシート(3)に切断又は直交分離するためのものであって、前記材料ウエブ(2)及びその搬送方向と交差して延在する回転軸の周りを回転することができる回転可能切断装置としてのナイフドラム(5)を有するクロスカット装置(1)であって、前記ナイフドラム(5)は、前記ナイフドラム(5)の軸方向に延在し、前記ナイフドラム(5)と一緒に回転する少なくとも1つのナイフ(8)を有し、対応するアンビルドラム(6)は、前記材料ウエブ(2)及びその搬送方向と交差して延在する回転軸の周りで回転可能であり、前記アンビルドラム(6)は、好ましくは、前記ナイフドラム(5)の鉛直方向下方に配置され、前記ナイフドラム(5)のナイフ(8)が前記アンビルドラム(6)と接触すると、切断線においてスクイズカットが行われ、前記ナイフドラム(5)は、円周上で前記材料ウエブ(2)の移送方向(10)においてナイフ(8)の前に少なくとも1つのダウンホルダー(9)を有し、
前記ダウンホルダー(9)は、前記ナイフ(8)から離れた及び/又は半径方向の延長部を有し、前記材料ウエブ(2)が、前記スクイズカット中に前記ダウンホルダー(9)と接触して前記ダウンホルダー(9)によって前記アンビルドラム(6)の方向に湾曲するようになって
おり、
前記アンビルドラム(6)は、前記切断処理中に前記材料ウエブ(2)を安定させるために、前記材料ウエブ(2)の前記移送方向(10)で前記切断線の前に少なくとも1つのリフター(11)を有し、
前記リフター(11)は、協働する前記ナイフドラム(5)及び前記アンビルドラム(6)の移動モードにおいて、前記材料ウエブ(2)の前記移送方向(10)において少なくとも実質的に前記ダウンホルダー(9)の前に配置される、クロスカット装置(1)。
【請求項2】
前記材料ウエブ(2)は、前記スクイズカット中に前記ダウンホルダー(9)によって前記アンビルドラム(6)に押し付けられ、前記アンビルドラム(6)に支えられる、請求項1に記載のクロスカット装置(1)。
【請求項3】
複数の相隔たるリフター(11)及び/又は相隔たるダウンホルダー(9)は、前記材料ウエブ(2)及びその搬送方向を横切って設けられる、
請求項1又は2に記載のクロスカット装置(1)。
【請求項4】
前記ナイフドラム(5)は、円周上で前記材料ウエブ(2)の前記移送方向(10)において前記ナイフ(8)の後に少なくとも1つのダウンホルダー(9)を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のクロスカット装置(1)。
【請求項5】
前記ダウンホルダー(9)及び前記リフター(11)は、少なくとも前記スクイズカットのエッジ領域で互いにぴったり合うように配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のクロスカット装置(1)。
【請求項6】
前記リフター(11)及び/又は前記ダウンホルダー(9)は、弾性材料、例えば、発泡材料、ゴム材料、又はエラストマー材料で作られている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のクロスカット装置(1)。
【請求項7】
切断シート(3)を受け取るための少なくとも1つのガイドプレート(7)が、前記材料ウエブ(2)の前記移送方向(10)において前記アンビルドラム(6)の下流に配置され、好ましくは、前記ガイドプレート(7)は、前記アンビルドラム(6)に向かい合う側に少なくとも1つの凹部又は溝を有し、前記リフター(11)は、前記アンビルドラム(6)の回転中に前記凹部又は溝を通過する、
請求項1から6のいずれか1項に記載のクロスカット装置(1)。
【請求項8】
具体的には
請求項1から7のいずれか1項に記載のクロスカット装置(1)のスクイズカット中に切り口を安定化させるための方法であって、
前記材料ウエブ(2)は、前記スクイズカット中に、切断中に新しく形成された前縁の領域で前記クロスカット装置(1)のナイフドラム(5)の少なくとも1つの押さえ装置(9)と接触し、前記押さえ装置(9)によって前記クロスカット装置(1)のアンビルドラム(6)の方向に湾曲する、方法。
【請求項9】
前記材料ウエブ(2)は、前記切断中に新しく形成された前記前縁の前の領域で前記スクイズカット中に前記アンビルドラム(6)の少なくとも1つのリフター(11)と接触し、前記リフター(11)によって前記ナイフドラム(5)の方向に持ち上げられ、前記材料ウエブ(2)は、実質的にS字形に、好ましくは前記リフター(11)と前記ダウンホルダー(9)との間の前記領域内で湾曲する、
請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には、好ましくは、紙、ボール紙、プラスチック、及び/又は金属の移動材料ウエブをシートに切断又は直交分離するためのものであって、材料ウエブ及びその搬送方向と交差して延在する回転軸の周りで回転することができる回転可能切断装置としてのナイフドラムを有するクロスカット送り込み装置に関し、ナイフドラムは、該ナイフドラムの軸方向に延在し、ナイフドラムと一緒に回転する少なくとも1つのナイフを有し、対応するアンビルドラムは、材料ウエブ及びその搬送方向と交差して延在する回転軸の周りで回転可能であり、アンビルドラムは、好ましくは、ナイフドラムの鉛直方向下方に配置され、ナイフドラムのナイフがアンビルドラムと接触すると、切断線においてスクイズカットが行われ、ナイフドラムは、円周上で材料ウエブの搬送方向において、ナイフの前に少なくとも1つのダウンホルダーを有する。さらに、本発明は、クロスカット装置内のスクイズカットの切り口を安定化させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクイズカットを行なうナイフドラム及び対応するアンビルドラムで構成されるクロスカット装置は、従来技術から公知である。移動中の材料ウエブのシートへのクロスカットは、ナイフドラムの1つのナイフがアンビルドラムと接触するように行われる。完全な切断を保証するために、ナイフは、好ましくは実質的に遊びなしでアンビルを通過することができる。通常、シートの移送方向において、ガイドプレートは、クロスカッターの下流に配置され、シートを受け取って移送する機能を果たす。通常、ガイドプレートは、アンビルドラムの下流に配置され、小さな隙間を形成する。アンビルドラムとガイドプレートとの間の接触は、ガイドプレート及び/又はアンビルドラムの損傷につながる可能性があるため、ガイドプレートとアンビルドラムとの間に残っている隙間は、デザインに起因して避けることができない。
【0003】
多くの場合、材料ウエブ又は切断シートの切り口は、切断後にアンビルドラムの表面に付着し、アンビルドラムと一緒に進むので、ガイドプレートへ移送できないか又は移送が著しく妨げられる。材料ウエブの前縁は、例えば、アンビルドラムとガイドプレートとの間の隙間に進む可能性がある。その後、対応するシートは、さらなる処理ステージに送られず、運転シーケンスの中断につながる可能性がある。しかしながら、ウエブの前方切り口がナイフドラムのナイフに張り付いてナイフドラムにまとわりつく可能性もある。このウエブ又はシートの望ましくない挙動は、誤動作につながる可能性もあり、クロスカット装置を停止させて、シート位置を手動で修正させるようにする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、シートの前縁がナイフドラム及び/又はアンビルドラムと一緒に進むのを効果的に防止するクロスカッターを提供することである。同時に、切断品質が改善される。さらに、上記の課題を解決して、本パラグラフに説明されている目的を実現させる方法が提供されるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1の特徴を備えるクロスカット装置及び請求項10の特徴を備えるプロセスによって解決される。従属請求項は、本発明の有利な特徴を示す。
【0006】
本発明の範囲内で実行された試験は、クロスカット装置の切断品質が、ナイフ及びアンビルドラムに対する材料ウエブの位置に強く依存することを示している。従って、本発明によれば、クロスカット装置のダウンホルダーは、材料ウエブがスクイズカット中にダウンホルダーと接触し、ダウンホルダーによってアンビルドラムの方向に曲げられるように、ナイフから離れた、及び/又は、アンビルドラムの方向に長さ又は半径方向の延長部(スクイズカット中のダウンホルダーの位置に対する)を有する。ダウンホルダーは、材料ウエブの移送方向においてナイフの前でナイフドラムの円周上に配置される。材料ウエブは、ガイドプレートを通ってクロスカット装置に給送され、シートに切り分けられる。材料ウエブは、切断の直前及び切断中にアンビルドラムに向かって押し付けられる。切断の実行後、ダウンホルダーは、材料ウエブの前部をアンビルドラムに向かって下向きに押し続ける。一方では、このことは前縁がナイフドラムと一緒に進むのを防止する。他方では、材料ウエブは、アンビルドラムの方向に湾曲し、結果として、切断中にその位置で安定化して著しく改善された切断結果をもたらす。
【0007】
従って、本発明は、切断前及び切断中に材料ウエブを一時的にアーチ状にし、結果的に、特に切断中に材料ウエブを安定化させるという考えに基づいている。材料ウエブのより高い安定性により切断品質が向上する。さらに、ダウンホルダーは、ウエブがナイフドラムと一緒に動くのを効果的に防止する。
【0008】
ナイフドラムは、好ましくはナイフドラムの全長にわたって実質的に延びる単一のナイフを有することができる。このようなナイフドラムは、一回転毎に切断を行う。もしくは、ナイフドラムは、ナイフドラムの全長にわたって延びる複数のナイフを有することもできる。その結果に、ナイフドラムの回転毎に、ナイフの数に対応する数の切断が実行される。後者の場合、対応するクロスカット装置は複数の切断線を有し、結果として、複数のダウンホルダーも有する。ドラムの全長にわたって延びるナイフは、複数のナイフ部分又はナイフセグメントに分割することも可能である。次に、ナイフセグメントは互いに独立して交換することができる、及び/又は材料ウエブの幅に適合させることができる。
【0009】
有利な方法では、材料ウエブは、スクイズカット中にダウンホルダーによってアンビルドラムに押し付けられ、スクイズカットの前にすでにアンビルドラムと直接接触している。ダウンホルダーは、ウエブの一方の、好ましくは上側の、平坦面に対して作用し、ウエブを他方の平坦面でアンビルドラムに押し付ける。従って、材料ウエブは、ダウンホルダーとアンビルドラムの間にクランプされ、切断中に2つのドラムの移動で案内される。結果として生じる材料ウエブ内の湾曲、及びアンビルドラムと押さえクランプとの間のシートのクランプは、切断中の材料ウエブの安定性を累積的に向上させる。このように、再現可能な切断、具体的には切断中の材料ウエブの再現可能で安定した位置がもたらされ、これは切断品質を向上させる。
【0010】
本発明の有利な実施形態において、アンビルドラムは、切断加工中に材料ウエブを安定化させるために、材料ウエブの移送方向において切断線の前に少なくとも1つのリフターを有する。材料ウエブは、ガイドプレートを通ってクロスカット装置に給送され、リフター上に少なくとも部分的に載り、結果的に、好ましくは、移送方向において、ダウンホルダーによってアンビルドラムの方向にS字形に押し付けられる。材料ウエブは、好ましくは、切断中、ダウンホルダー及び切断線の領域でアンビルドラム上に載っている。S字形の湾曲により、材料ウエブの安定性が大幅に向上し、切断の切断品質及び再現性に関するプラス効果を有する。これは、本発明の一部として実行された広範囲に及ぶ試験によって確認されている。
【0011】
また、リフターは、ウエブの前縁又は前方セクションがアンビルドラムと一緒に動くのを防止する機能を有する。ウエブを切断した後も2つのドラムが回転し続ける場合、押さえクランプとアンビルドラムとの間の距離は、押さえクランプがウエブをアンビルドラム上に、及び/又はアンビルドラムの方向にもはや押さえ付けないように増加する。ここで、抵抗がなくなることに起因して、材料ウエブは、リフターによって半径方向に持ち上げられ、次に、前縁の領域はもはやアンビルドラム上に載らない。ウエブの曲率は、この処理中にウエブがもはや湾曲しないか又は僅かに湾曲する状態まで減少する。次に、切り口自体は、リフター上にもアンビルドラム上にも載らない。これにより、ウエブの前縁がアンビルドラムと一緒に進むのを効果的に防止する。
【0012】
有利な方法では、リフターは、相互作用するナイフドラムとアンビルドラムの移動形態で、材料ウエブの移送方向において少なくとも実質的にダウンホルダーの前に配置される。相互作用するナイフドラムとアンビルドラムの移動状態は、ナイフドラム及びアンビルドラムの協調的な回転運動、及びその結果として生じるリフター及び押さえデバイスの相互作用を説明する。好ましくは、リフター及びダウンホルダーは、スクイズカット中にウエブの異なる平坦面に対して同時に作用する。リフターは、好ましくは、ドラムの円周方向でダウンホルダーから離間している。これは、リフターがダウンホルダーよりもウエブの移送方向で又はドラムの円周方向で切断線からさらに離れていることを意味する。2つのドラムが反対方向に回転すると、リフター及び押さえクランプは、ウエブが少なくとも一部の領域で押さえクランプ上に載り、押さえクランプとリフターの相互作用によって湾曲するようにウエブと接触する。切断線の領域において、材料ウエブは、好ましくは、切断中にアンビルドラム上に載っている。切断中の材料ウエブの湾曲は、リフターとダウンホルダーとの間の円周方向の距離を選択することによって影響を受ける場合がある。好ましくは、リフターとダウンホルダーとの間の距離は、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mmである。
【0013】
好ましいデザインにおいて、複数の相隔たるリフター及び/又は相隔たるダウンホルダーは、材料ウエブ及びその移送方向に対して直角に設けられる。相隔たるリフターセグメントは持ち上げ領域を分割し、相隔たるダウンホルダーセグメントは押さえ領域を分割する。ウエブの均一な湾曲は、複数の相隔たるリフター及び/又はダウンホルダーによって、ウエブの幅全体にわたって生じさせることができる。これは、具体的には切断時のウエブの安定性の向上と切断品質の向上に貢献する。リフター及びダウンホルダーは、ウエブの移送方向に互いにオフセットされていると有利である。従って、湾曲は、材料に関して優しい方法で実現することができる。
【0014】
ナイフドラムは、好ましくは、材料ウエブの移送方向においてナイフの後の円周上に少なくとも1つのダウンホルダーを有する。移送方向においてナイフの後に追加のダウンホルダーを配置することにより、ウエブは、ナイフの前後のダウンホルダーによってアンビルドラムの方向に切断時に押し付けられる。従って、材料ウエブは、ナイフの両側で安定化する。このように、切断品質をさらに改善することができる。
【0015】
ダウンホルダー及びリフターは、少なくともスクイズカットの時にエッジ領域で互いにぴったり合うように配置することができる。次に、ダウンホルダー及びリフターは、移送方向に対して横方向に相隔たり、移送方向で互いに向き合うエッジ領域でオーバーラップする。ダウンホルダー及びリフターが、切断処理中に少なくとも一時的にかつエッジ領域において互いにオーバーラップするか又は櫛状になる場合、これは、一方では移送方向に材料ウエブの有利な湾曲をもたらし、他方で移送方向を横切る材料ウエブの湾曲をもたらす。複数の相隔たるリフター及びダウンホルダーが材料ウエブに対して直角に設けられる場合、移送方向に直角に材料ウエブの波状の湾曲を作り出すことができる。移送方向及びこれを横切る方向に作られた材料の湾曲は、互いにオーバーラップして、材料ウエブに複雑な三次元湾曲を形成する。この湾曲は、再現可能で特に安定した方法で材料ウエブを固定し、特に有利な切断品質を生み出す。
【0016】
さらに、リフター及び/又はダウンホルダーは、好ましくは、弾性材料、例えば、発泡体、ゴム材料、又はエラストマー材料で作られる。このように、材料ウエブの移動を改善することができる。リフター及びダウンホルダーの弾性挙動は、材料に優しい方法でウエブ内の湾曲を引き起こす。これは、ウエブの表面が損傷を受ける、さもなければ悪影響を受けるのを防止する効果的な方法である。弾性材料であるため、リフター及びダウンホルダーは、より厚いウエブを使用する場合に、例えば、ウエブに損傷を与えるか又はプロセスに悪影響を与えることなく、ウエブの変化を補償することができる。リフターは、硬質材料を有することもできる。例えば、リフターがアンビルと同じ材料を有する場合に、リフターはアンビル中にフライス加工することができる。これは、リフター及びダウンホルダーを可能性のある広範なウエブ特性に好適なものとする。
【0017】
リフター及びダウンホルダーは、それぞれ別個の要素としてデザインすることができ、交換可能な方法でナイフドラム又はアンビルドラムに配置及び取り付けることができる。リフター及びダウンホルダーは、ネジ結合又はクランプを使用してアンビルドラム又はナイフドラムに容易に結合することができ、従って、容易に交換及び/又は取り替えることができる。これは、リフター及びダウンホルダーを処理又は材料ウエブの要件に合わせて選択して、それぞれのドラムに装着することができることを意味する。もしくは、リフター及びダウンホルダーは、交換不可能な方法でドラムに結合することもできる。リフター及びダウンホルダーは、例えば、それぞれのドラムに一体で結合すること、例えば、接着することによって恒久的にドラムに取り付けることもできる。リフター及び/又はダウンホルダーが高さ調節可能であることを排除することはできない。これに関連して、高さ調節可能とは、リフター及び/又はダウンホルダーが半径方向に移動可能及び/又は調節可能とすることができることを意味する。このように、リフター及び/又はダウンホルダーは、さまざまな用途に使用し、要件に従って半径方向に位置合わせすることができる。半径方向の調整は、油圧で又は例えばセットスクリューを使用して機械的に行うことができる。熟練者は、要素の半径方向の調節のための適切な装置及び手順を理解している。
【0018】
複数のダウンホルダーは、好ましくは移送方向を横切って設けられており、ナイフドラムの長手方向のダウンホルダーの総延長、すなわち個々の長さの合計は、ナイフドラムの長さの少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは15%から45%とすることができる。ダウンホルダーは、好ましくは、ナイフドラムの長手方向に互いに等間隔に配置されている。ダウンホルダーの適切な配置は、ウエブの幅方向で均一な湾曲をウエブにもたらす。加えて、材料ウエブはまた、切断に沿った切断品質が一貫して高品質であるように切断中に均一に固定される。
【0019】
複数のリフターが有利な方法で設けられ、アンビルドラムの長手方向のリフターの付加的延長、すなわち個々の長さの合計は、アンビルドラムの長さの少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは15%から45%に相当する。好ましくは、リフターは、アンビルドラムの長手方向に均等に相隔てられている。リフターの位置合わせは、ウエブの均一な湾曲をもたらし、結果として切断時にウエブの均一な固定をもたらす。同時に、ウエブの前方領域が切断後に半径方向に持ち上げられ、アンビルドラムと一緒に進むのを防止することが保証される。
【0020】
複数のリフター及び複数のダウンホルダーが設けられる場合、リフター及びダウンホルダーは、リフター及びダウンホルダーの交互配置を実現できるように、材料ウエブを横切る方向で交互になっている。
【0021】
本発明のさらなる有利な変形形態において、材料ウエブの移送方向でアンビルドラムの後に、材料ウエブ又はシートの前方切り口領域を引き受けるためガイドプレートが続く。ガイドプレートとアンビルドラムとの間のドラムの半径方向の距離及び/又は円周方向の距離は、決定的に重要である。ガイドプレートとアンビルドラムとの間の距離が遠すぎると、ガイドプレートとアンビルドラムとの間の隙間に進むリスクがある。これが発生すると、処理を停止して、シートを手動でガイドプレートに移動させる必要がある。ガイドプレートとアンビルドラムの距離が小さすぎると、ガイドプレートと回転アンビルドラムとが互いに接触し、ガイドプレートとアンビルドラムの両方に損傷を与える可能性がある。これは、切断品質に悪影響を与える可能性がある。距離は、好ましくは0.1mmから2mmの範囲であるが、それより大きくすることも小さくすることもできる。原理的にガイドプレートなしでシートをさらに移送することも可能である。
【0022】
アンビルドラムからのガイドプレートの距離は、例えば、油圧、空気圧、及び/又は機械的調整デバイスによって調整可能であることが有利である。このように、距離は、特に処理要件に合わせ及び処理される材料ウエブに応じて調整することができる。
【0023】
ガイドプレートは、鈍い刃又は尖った刃を有し、このガイドプレートがアンビルドラムに配置されることが有利である。ガイドプレートの尖った刃は、シートの前縁がアンビルドラムとガイドプレートとの間の領域に進むのを効果的に防止することができるように、ガイドプレートとアンビルドラムとの間の距離を特に小さく保つことができるとう利点がある。ガイドプレートとアンビルドラムとの間の距離を特別に調整することで、故障を効果的に防止することができる。アンビルドラムに対するガイドプレートの位置合わせを変更して、結果として切断処理の条件に適合させることも可能である。
【0024】
好ましくは、ガイドプレートは、アンビルドラムに向かい合う側に少なくとも1つの凹部又は溝を有し、アンビルドラムの回転時、リフターは凹部又は溝を通過する。ウエブの前方領域は、切断後にリフター上に載っており、アンビルドラムから半径方向に離間している。リフターは、ウエブの前方領域が持ち上げられるか又はガイドプレートに移送されることを保証する。アンビルドラムのさらなる回転時、リフターがガイドプレートの凹部又は溝を完全に通過した場合にウエブの前方領域がどんなに遅くともガイドプレート上に載るように、リフターはガイドプレートの凹部又は溝を通過する。アンビルドラムが複数のリフターを有する場合、各リフターは、アンビルドラムの回転時にリフターが割り当てられた凹部又は溝を通過することが好ましい。これは、ウエブの前方セクションがその全幅にわたってガイドプレート上に均等に持ち上げられるか又は移送されるのを保証する。
【0025】
本発明による処理において、材料ウエブは、切断中に新しく形成された前縁の領域において、スクイズカット中にクロスカット装置のナイフドラムの少なくとも1つの押さえデバイスと接触し、クロスカット装置のアンビルドラムの方向に押さえデバイスによって曲げられる。特に好ましいのは、スクイズカット中に材料ウエブが、切断中に新しく形成された前縁の前の領域でアンビルドラムの少なくとも1つのリフターと接触して、リフターによってナイフドラムの方向に持ち上げられるデザインであり、さらに好ましくは、材料ウエブは、リフターとダウンホルダーとの間の領域で実質的にS字形に湾曲している。
【0026】
本発明によれば、ウエブの切断中の安定化のために、少なくとも1つのリフター及び少なくとも1つの相隔たるダウンホルダーによって、切断中に形成された前縁の領域をクロスカット中に湾曲させることができる。リフターは、クロスカット後に材料ウエブの前縁領域をアンビルドラムから持ち上げることができ、材料ウエブがナイフドラムと一緒に進むのを防止するために、材料ウエブの前縁は、少なくとも1つの凹み部又は溝を備えたガイドプレートに移送することができる。従って、材料ウエブは、切断前及び切断中に安定化される。従って、この方法は、切断処理の再現性を改善し、切り口のより良い品質につながる。同時に、ウエブの前方セクションをクロスカット装置の下流のガイドプレートへ移送させることが信頼性のある方法で可能になる。
【0027】
本発明の前述の実施形態は、これが明確に詳細に言及されていなくても、必要に応じて互いに組み合わせることができる。本発明の開示内容は、選択された段落フォーマットによって与えられる本発明の特徴の組み合わせに限定されない。
【0028】
本発明のさらなる特徴は、図面に基づく本発明の好ましい実施形態の以下の説明、及び図面自体によって生じる。個別に又は何らかの組み合わせのいずれかで、すべての説明される及び/又は図面を用いて表される特徴は、クレームの概要又はそれらの再帰的関係(retro-relationship)に関わりなく本発明の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるクロスカット装置の概略断面図である。
【
図2】
図1のクロスカット装置の切断領域の概略斜視図である。
【
図3】
図1のクロスカット装置の切断操作後の概略断面図である。
【
図4】
図1の本発明によるクロスカット装置のアンビルドラム及び材料排出ガイドプレートの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、走行する材料ウエブ2をシート3に切断する、すなわちクロスカットするためのクロスカット装置1を示す。材料ウエブ2は、供給ガイドプレート4によってクロスカット装置1に給送される。材料ウエブ2は、供給ガイドプレート4によって、ナイフドラム5と該ナイフドラム5の下に配置された対応するアンビルドラム6との間の切断領域に案内される。材料ウエブ2は、切断領域内でシート3に切断される。次に、材料ウエブ2又はシート3は、排出ガイドプレート7を通ってクロスカット装置1から運び去られ、次の処理ステージに給送される。
【0031】
材料ウエブ2を切断するために、ナイフドラム5は、好ましくはナイフドラム5の全長にわたって延びる少なくとも1つのナイフ8を有する。押さえクランプ9は、ナイフドラム5上において移送方向10でナイフ8の前に配置されている。ダウンホルダー9は、好ましくは、ナイフ8の直前に、又はナイフ8から離れて配置することができる。
【0032】
切断を行う際に、ナイフ8及びアンビルドラム6は、切断線で互いに接触している。リフター11は、アンビルドラム6上に配置されている。リフター11は、材料ウエブ2の移送方向10で切断線の前に配置されかつそれから離間している。
図1に示すように、リフター11は、
図1に示すドラム5、6の切断位置に関連して、材料ウエブ2の移送方向10でダウンホルダー9の前に位置決めされ、ダウンホルダー9から離間している。しかしながら、ダウンホルダー9及びリフター11は、移送方向10においてドラム5、6の切断位置の領域でオーバーラップすることもできる。
【0033】
材料ウエブ2は、切断前及び切断中にダウンホルダー9によってアンビルドラム5に向かって押し付けられる。切断処理中又は切断処理後、材料ウエブ2は、少なくとも部分的にリフター11上に載っている。ダウンホルダー9は、材料ウエブ2の上側平坦面を押し、材料ウエブ2の反対側の平坦面をアンビルドラム6に向かって押し付け、好ましくは材料ウエブ2はアンビルドラム6に支えられる。材料ウエブ2は、ダウンホルダー9とアンビルドラム6との間に挟み込むこと又は保持することもできる。切断線領域において、材料ウエブ2はアンビルドラム6上に載っている。移送方向10でのナイフの前において、材料ウエブ2は、好ましくは、ダウンホルダー9とリフター11との相互作用のために実質的にS字形に湾曲している。このように、材料ウエブ2は、切断中に安定した位置に固定され、これは切断品質に関してプラス効果をもたらす。
【0034】
図2は、複数のダウンホルダー9及びリフター11が、材料ウエブ2の移送方向10に対して横方向に又はドラム5、6の長手方向に対して前後に並べて配置されていることを示す。
図2は、切断状態のナイフドラム5及びアンビルドラム6を示す。ナイフドラム5は、複数の均等に相隔たるダウンホルダー9を有する。また、アンビルドラム6は、同様に均等に相隔たる複数のリフター11を有する。ダウンホルダー9及びリフター11は、移送方向10を横切って交互に配置されている。2つの隣接するダウンホルダー9の間の距離は、好ましくは、少なくともリフター11の幅に相当する。ダウンホルダー9及びリフター11は、移送方向10を横切って、例えば、少なくとも1mm離れることができる。
【0035】
図1及び
図2に示す配置において、ダウンホルダー9及びリフター11は、移送方向10において切断時の位置に対してオーバーラップせず、例えば、互いから少なくとも1mmの距離を有することができる。しかしながら、リフター11及びダウンホルダー9は、切断時にそれらの位置に対して一部の領域内で互いに櫛状になることができる。このように、材料ウエブ2は、リフター11及びダウンホルダー9の領域内で移送方向10及び横方向に変形することができる。このように、切断時、材料ウエブ2の複雑で特に安定した三次元曲率を実現することができ、これは切断品質を大幅に改善する。
【0036】
図1及び
図2に示すように、ダウンホルダー9及びリフター11は、ドラム5、6の円周方向で、切断時にそれらの位置に対して相隔たっている。この距離を変えることにより、材料ウエブ2の曲率を変えることができる。このように、用途に応じて材料ウエブ2の様々な変形を設定することが可能である。
【0037】
切断が行われた後、材料ウエブ2は、排出ガイドプレート7に移送される。
図3に示すように、ガイドプレート7とアンビルドラム6との間には隙間がある。材料ウエブ2の前部がアンビルドラム6と一緒に進むのを防止するために(材料ウエブ2をガイドプレート7とアンビルドラム6との間の隙間に入らせる可能性がある)、材料ウエブ2は、切断後にリフター11によって半径方向に持ち上げられる。切断後、
図3に示すように、アンビルドラム6及びマッサージドラム5は、押さえクランプ9が材料ウエブ2と接触しなくなるように回転し続ける。次に、ダウンホルダー9は、材料ウエブ2の上側平坦面を押し付けなくなり及び/又は材料ウエブ2をアンビルドラムに向かって押し付けなくなり、材料ウエブ2は、前方領域のリフター11により再び真っ直ぐになることができる。次に、ウエブ2の前方領域は、アンビルドラム6から半径方向に離間する。このように、ウエブ2の前方セクションは、排出ガイドプレート7に移送することができ、ウエブ2がアンビルドラム6と一緒に進むのを効果的に防止する。材料ウエブ2は、もはやガイドプレート7とアンビルドラム6との間の隙間に偶発的に進み得ない。
【0038】
図3に示すクロスカット装置1は、ダウンホルダー9の可能な第2の配置を示す。材料ウエブ2の移送方向10において、ナイフドラム5は、ナイフ8の前のダウンホルダー9及びナイフ8の後ろにダウンホルダー9の両方を有する。切断処理中、材料ウエブ2は、切断品質をさらに高めることができるように、ナイフ8の両側のダウンホルダー9によって安定化される。
【0039】
図4に示すように、アンビルドラム6のリフター11は、アンビルドラム6の円周の大部分にわたって延在することができる。
図4に示すアンビルドラムは、フライス加工で容易に製造することができる。リフター11は、円周方向の溝をフライス加工することによって形成される。材料ウエブ2の切断及び押し付けがダウンホルダー9によって行われる切断領域においてのみ、リフター11は、アンビルドラムから部分的に除去する必要がある。この除去はフライス加工によって行うこともできる。
【0040】
図4に示すように、ガイドプレート7は、複数の凹部12又は溝を有する。各凹部12は、リフター11に割り当てられ、各リフター11は、ドラム回転中にガイドプレート7の対応する凹部を通過する。このように、リフター11とガイドプレート7との衝突が排除される。従って、リフター11は、材料ウエブ2をガイドプレート7に安全に移送し、凹部12を通過することができる。これは、リフター11が、ダウンホルダー9と相互作用する切断時に材料ウエブ2を安定化する機能を有するだけでなく、材料ウエブ2を排出ガイドプレート7に安全に移送する機能も有することを意味する。
【符号の説明】
【0041】
1 クロスカット装置
2 材料ウエブ
3 シート
4 ガイドプレート
5 ナイフドラム
6 アンビルドラム
7 誘導プレート
8 ナイフ
9 ダウンホルダー
10 移送方向
11 リフター
12 凹部