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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/06 20060101AFI20220817BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01H25/06 B
H01H25/04 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021527359
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2020010607
(87)【国際公開番号】W WO2020255495
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2019114962
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西條 孝行
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213120(JP,A)
【文献】特開2016-029645(JP,A)
【文献】特開2004-288393(JP,A)
【文献】特開平06-076694(JP,A)
【文献】特開2012-123923(JP,A)
【文献】特開2018-067446(JP,A)
【文献】実開昭53-131578(JP,U)
【文献】特開昭57-101314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/06
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在して設けられ、前記第1の方向に対して略垂直に突設された軸部によって前記第1の方向における一方の側が回転可能に軸支され、前記第1の方向における他方の側が回動する操作ノブと、
球部を有し、前記操作ノブの回動によって前記球部の中心が支点となって前記第1の方向と交差する第2の方向へ傾倒し、前記操作ノブの前記第1の方向へのスライドによって前記球部の中心が支点となって前記第1の方向へ傾倒するアクチュエータと、
前記アクチュエータの前記第1の方向への傾倒により押下される第1のスイッチと、
前記アクチュエータの前記第2の方向への傾倒により押下される第2のスイッチと、
前記アクチュエータの外周縁部に沿った形状の収容空間を有し、前記収容空間内に前記アクチュエータを保持するホルダと
を備え、
前記アクチュエータは、
前記球部から前記第1の方向に延在し、前記アクチュエータの前記第1の方向への傾倒により前記第1のスイッチを押下する第1の腕部と、
前記球部から前記第2の方向に延在し、前記アクチュエータの前記第2の方向への傾倒により前記第2のスイッチを押下する第2の腕部と、
前記球部から前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する第3の方向に突設された柱状部と、
を有し、
前記ホルダの前記収容空間は、
前記第1の方向に延在し、前記第1の腕部が収容されて、前記第1の腕部を前記第1のスイッチの押下方向にガイドする第1の収容部と、
前記第2の方向に延在し、前記第2の腕部が収容されて、前記第2の腕部を前記第2のスイッチの押下方向にガイドする第2の収容部と
を有し、
前記第1の腕部または前記第1の収容部は、前記第1の腕部と前記第1の収容部との干渉を回避して、前記アクチュエータの前記第2の方向への傾倒を許容する許容部を有し、
前記第2の腕部または前記第2の収容部は、前記第2の腕部と前記第2の収容部との干渉を回避して、前記アクチュエータの前記第1の方向への傾倒を許容する許容部を有する
ことを特徴する操作装置。
【請求項2】
前記第1の腕部および前記第2の腕部の各々の断面形状は、台形である
ことを特徴する請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作装置は、
前記軸部を回動自在に軸支する軸受穴をさらに備え、
前記軸部は、
前記軸受穴の内部で前記第1の方向にスライド可能である
ことを特徴する請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記軸受穴の内壁面は、前記第2の方向に傾斜し、前記軸部の前記第2の方向への傾きを許容する傾斜面を有する
ことを特徴する請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記軸部は、弾性変形可能である
ことを特徴する請求項3に記載の操作装置。
【請求項6】
前記軸受穴は、
前記ホルダに一体的に形成されている
ことを特徴する請求項3~5のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記柱状部は、前記操作ノブに対して、前記第2の方向への移動が規制され、且つ、前記第1の方向に回動可能に連結される
ことを特徴する請求項1~6のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、
前記第1の腕部の側面と前記第1の収容部の内壁面との間、および、前記第2の腕部の側面と前記第2の収容部の内壁面との間に隙間を有し、前記柱状部の中心軸を回転軸として前記収容空間内で回動可能である
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のパワーシートスイッチ等の各種操作装置において、スイッチ動作を行うアクチュエータに対し、操作ノブを連結することにより、ユーザによる操作ノブの操作によって、アクチュエータをスイッチ動作させることができるようにした技術が考案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、パワーシートスイッチ用のスライドスイッチ構造体に関し、ノブの回動操作により、ノブと連結されたスライダをスライドさせる技術が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、車両用パワーシートスイッチ装置に関し、操作つまみに設けられた係合保持部(平行に配置された2枚の係合保持板)により、駆動体の先端の球状の係合部を保持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5241587号公報
【文献】特開2004-288393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、互いに連結される部材間(例えば、操作ノブとアクチュエータとの間)に製造誤差等によって生じる隙間を有する場合、当該部材間にガタが生じ、スムース且つダイレクトな操作感が得られなくなる虞がある。
【0007】
一方で、従来技術では、互いに連結される部材間の隙間を完全に排除してしまうと、当該部材間の摩擦抵抗が大きくなったり、当該部材間に生じる姿勢差が許容できずに捻れが生じたりして、スムース且つダイレクトな操作感が得られなくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の操作装置は、第1の方向に延在して設けられ、第1の方向に対して略垂直に突設された軸部によって第1の方向における一方の側が回転可能に軸支され、第1の方向における他方の側が回動する操作ノブと、球部を有し、操作ノブの回動によって球部の中心が支点となって第1の方向と交差する第2の方向へ傾倒し、操作ノブの第1の方向へのスライドによって球部の中心が支点となって第1の方向へ傾倒するアクチュエータと、アクチュエータの第1の方向への傾倒により押下される第1のスイッチと、アクチュエータの第2の方向への傾倒により押下される第2のスイッチと、アクチュエータの外周縁部に沿った形状の収容空間を有し、収容空間内にアクチュエータを保持するホルダとを備え、アクチュエータは、球部から第1の方向に延在し、アクチュエータの第1の方向への傾倒により第1のスイッチを押下する第1の腕部と、球部から第2の方向に延在し、アクチュエータの第2の方向への傾倒により第2のスイッチを押下する第2の腕部と、球部から第1の方向および第2の方向の各々と交差する第3の方向に突設された柱状部と、を有し、ホルダの収容空間は、第1の方向に延在し、第1の腕部が収容されて、第1の腕部を第1のスイッチの押下方向にガイドする第1の収容部と、第2の方向に延在し、第2の腕部が収容されて、第2の腕部を第2のスイッチの押下方向にガイドする第2の収容部とを有し、第1の腕部または第1の収容部は、第1の腕部と第1の収容部との干渉を回避して、アクチュエータの第2の方向への傾倒を許容する許容部を有し、第2の腕部または第2の収容部は、第2の腕部と第2の収容部との干渉を回避して、アクチュエータの第1の方向への傾倒を許容する許容部を有する。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、スムース且つダイレクトな操作感が得られる操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るパワーシートスイッチの平面図
図2】一実施形態に係るパワーシートスイッチの分解斜視図
図3】一実施形態に係るパワーシートスイッチが備えるスイッチモジュールの構成を示す図
図4】一実施形態に係るパワーシートスイッチが備えるアクチュエータの構成を示す図
図5】一実施形態に係るパワーシートスイッチが備えるアクチュエータの一部拡大図
図6A】一実施形態に係るパワーシートスイッチが備えるホルダの構成を示す図
図6B】一実施形態に係るパワーシートスイッチが備えるホルダの構成を示す図
図6C】一実施形態に係るパワーシートスイッチが備えるホルダの構成を示す図
図7図1に示すパワーシートスイッチの構成、および、操作ノブまたはアクチュエータの第1方向に関連する方向への動作を示すA-A断面図
図8図1に示すパワーシートスイッチの構成、および、操作ノブまたはアクチュエータの第2方向に関連する方向への動作を示すB-B断面図
図9】一実施形態に係るパワーシートスイッチが備えるスイッチモジュールに対して操作が取り付けられた状態を示す図
図10図9に示す軸部、および、軸受穴の構成を示すC-C断面図
図11図9に示す軸部、および、軸受穴の傾斜面の構成を示すD-D断面図
図12】一実施形態に係るパワーシートスイッチの平面図
図13図12に示すアクチュエータの非操作時における腕部の配置を示す断面図
図14図12に示すアクチュエータが傾倒する時の腕部の動作を示す断面図
図15図9に示すスイッチモジュールのF-F断面図
図16図9に示すアクチュエータおよびホルダの構成を示すE-E断面図
図17図16に示す腕部および収容部の一部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向(特許請求の範囲に記載の「第3の方向」の一例)を上下方向とし、図中Z軸正方向を上方とし、図中Z軸負方向を下方とする。また、図中X軸方向を、特許請求の範囲に記載の「第1の方向」の一例とし、図中Y軸方向を、特許請求の範囲に記載の「第2の方向」の一例とする。
【0012】
(パワーシートスイッチ100の概要)
図1は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100の平面図である。図1に示すパワーシートスイッチ100は、特許請求の範囲に記載の「操作装置」の一例であり、車両のパワーシートを操作するための装置である。例えば、パワーシートスイッチ100は、車内における所定の位置(例えば、ドアのインナーパネル、シートの座面の側面等)に設置される。
【0013】
図1に示すように、パワーシートスイッチ100は、ケース102、操作ノブ104、および操作ノブ106を備える。操作ノブ104および操作ノブ106は、ケース102の上面に設けられている。操作ノブ104および操作ノブ106は、パワーシートの各種調整(例えば、リクライニング調整、高さ調整、傾き調整、前後位置調整)を行うための、スイッチ操作(例えば、押下操作、スライド操作、傾倒操作)がなされる操作部材である。
【0014】
操作ノブ104は、図中X軸方向を長手方向とする直方体形状の操作部104Aを有する。操作ノブ104は、操作部104Aに対するユーザからのスライド操作がなされることにより、上方から見て、図中X軸正方向(図中D1方向)およびX軸負方向(図中D2方向)のそれぞれにスライド可能である。
【0015】
また、操作ノブ104は、図中X軸方向における負側(特許請求の範囲に記載の「第1の方向の一方の側」の一例)において、操作部104Aから下方に延在する軸部104B(図2参照)を有している。
【0016】
また、操作ノブ104は、図中X軸方向における正側(特許請求の範囲に記載の「第1の方向の他方の側」の一例)において、操作部104Aから下方に延在する連結部104C(図2参照)を有している。
【0017】
操作ノブ104は、操作部104Aに対するユーザからの回動操作がなされることにより、軸部104Bの中心軸AX1を回動軸として、上方から見て、X軸正側の部分が時計回り方向(図中D3方向)および反時計回り方向(図中D4方向)のそれぞれに回動可能である。
【0018】
パワーシートスイッチ100は、コネクタ、ケーブル等の接続部材(図示省略)を介して、車両に搭載されたコントロールユニット(図示省略)に電気的に接続される。これにより、パワーシートスイッチ100は、操作ノブ104および操作ノブ106によるスイッチ操作に応じた電気信号を、コントロールユニットに出力して、コントロールユニットにパワーシートの制御を行わせることが可能となる。
【0019】
(パワーシートスイッチ100の構成)
図2は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100の分解斜視図である。図2に示すように、パワーシートスイッチ100は、上方から順に、操作ノブ104および操作ノブ106、ケース102、基板ユニット110、およびカバー108を備えて構成されている。
【0020】
ケース102は、内部空間を有し、下方側に下部開口を有する容器状の部材である。例えば、ケース102は、樹脂素材を射出成形することによって形成される。図1で説明したように、ケース102の上面には、操作ノブ104および操作ノブ106が設けられる。ケース102の下部開口は、カバー108が取り付けられることによって閉塞される。ケース102の内部空間には、基板ユニット110が収容される。
【0021】
基板ユニット110は、平板状の基板111の上面に3つのスイッチモジュール112,114,120が実装されて構成されている。
【0022】
スイッチモジュール112,114は、上方に延在する柱状部を有するアクチュエータ112A,114Aを備えている。アクチュエータ112A,114Aの柱状部は、ケース102に形成された開口部102C,102Dを通じて、操作ノブ106と連結される。これにより、スイッチモジュール112,114は、操作ノブ106によるスイッチ操作が可能となる。
【0023】
スイッチモジュール120は、上方に延在する柱状部121Aを有するアクチュエータ121を備えている。アクチュエータ121の柱状部121Aは、ケース102の上部に形成された開口部102Aを通じて、操作ノブ104の連結部104Cと連結され、連結部104Cを支持する。これにより、スイッチモジュール120は、操作ノブ104に対するスライド操作または回動操作を受けて、アクチュエータ121によって対応するスイッチ(スイッチ123a~123dのいずれか。図3参照)を押下することができる。
【0024】
操作ノブ104の軸部104Bは、ケース102の上部に形成された開口部102Bを通じて、スイッチモジュール120が備えるホルダ122に一体的に形成された軸受穴122Cに嵌め込まれる。これにより、操作ノブ104は、ホルダ122によって回動可能に軸支される。
【0025】
(スイッチモジュール120の構成)
図3は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100が備えるスイッチモジュール120の構成を示す図である。図3に示すように、スイッチモジュール120は、アクチュエータ121、ホルダ122、およびスイッチ123a,123b,123c,123dを備える。
【0026】
アクチュエータ121は、柱状部121A、球部121B、および腕部121C1,121C2,121C3,121C4を有する。柱状部121Aは、アクチュエータ121の中心において上下方向に延在する。柱状部121Aは、球部121Bから略垂直に突設されている。球部121Bは、スイッチ123a~123dの復元力が、腕部121C1~121C4を介して伝わることによって、上方に押し上げられる。これにより、球部121Bは、ホルダ122の曲面部122Eに圧接される。球部121Bは、柱状部121Aの傾倒に伴って、ホルダ122の曲面部122Eに形成された4つのリブ122Dの各々に摺接しながら回転する。
【0027】
腕部121C1,121C2は、特許請求の範囲に記載の「第2の腕部」の一例である。腕部121C1は、球部121BからY軸正方向に延在する。腕部121C2は、球部121BからY軸負方向に延在する。
【0028】
腕部121C3,121C4は、特許請求の範囲に記載の「第1の腕部」の一例である。腕部121C3は、球部121BからX軸正方向に延在する。腕部121C4は、球部121BからX軸負方向に延在する。
【0029】
アクチュエータ121は、操作ノブ104の回動によって球部121Bの中心121Baが支点となってY軸方向へ傾倒し、操作ノブ104のX軸方向へのスライドによって球部121Bの中心121Baが支点となってX軸方向へ傾倒する。
【0030】
スイッチ123a,123bは、特許請求の範囲に記載の「第2のスイッチ」の一例である。スイッチ123aは、基板111の上面における腕部121C1の下側に配置され、操作ノブ104のY軸正方向への回動操作がなされて、アクチュエータ121がY軸正方向に傾倒したときに、腕部121C1によって上方から押下される。
【0031】
スイッチ123bは、基板111の上面における腕部121C2の下側に配置され、操作ノブ104のY軸負方向への回動操作がなされて、アクチュエータ121がY軸負方向に傾倒したときに、腕部121C2によって上方から押下される。
【0032】
スイッチ123c,123dは、特許請求の範囲に記載の「第1のスイッチ」の一例である。スイッチ123cは、基板111の上面における腕部121C3の下側に配置され、操作ノブ104のX軸正方向へのスライド操作がなされて、アクチュエータ121がX軸正方向に傾倒したときに、腕部121C3によって上方から押下される。
【0033】
スイッチ123dは、基板111の上面における腕部121C4の下側に配置され、操作ノブ104のX軸負方向へのスライド操作がなされて、アクチュエータ121がX軸負方向に傾倒したときに、腕部121C4によって上方から押下される。
【0034】
スイッチ123a,123b,123c,123dには、例えば、クリック操作感を呈示することが可能なメタルコンタクトスイッチが用いられる。
【0035】
ホルダ122は、基板111の上面に取り付けられて、ネジ等の固定手段によって固定される。ホルダ122は、収容空間122A、開口部122B、軸受穴122C、曲面部122E、およびリブ122Dを有する。
【0036】
収容空間122Aは、アクチュエータ121の下側の一部(腕部121C1,121C2,121C3,121C4を含む)と、スイッチ123a,123b,123c,123dとを収容する。収容空間122Aは、アクチュエータ121の外周縁部に沿った形状を有し、当該収容空間122A内にアクチュエータ121を保持する。
【0037】
開口部122Bは、ホルダ122の上部において、十字形状に形成されている。開口部122Bは、アクチュエータ121の上側の一部(柱状部121Aを含む)を、ホルダ122の上部から露出させる。
【0038】
軸受穴122Cは、収容空間122Aから、X軸負側に所定距離離れた位置に設けられている。軸受穴122Cは、操作ノブ104の軸部104Bが貫通した状態で、軸部104Bを回動自在に支持する。軸受穴122Cは、X軸方向に延在した長穴形状を有している。これにより、軸受穴122Cは、軸部104BのX軸方向への移動を可能とする。
【0039】
曲面部122Eは、ホルダ122の上部において、開口部122Bの中央にある4つの角部の各々に形成されている。曲面部122Eは、アクチュエータ121の球部121Bの表面に沿った湾曲形状を有する。リブ122Dは、ホルダ122の上部に形成された4つの曲面部122Eの各々に形成されている。リブ122Dは、アクチュエータ121の球部121Bの表面が摺接される。
【0040】
図4は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100が備えるアクチュエータ121の構成を示す図である。図4(a)は、アクチュエータ121の斜視図であり、図4(b)は、アクチュエータ121の平面図であり、図4(c)は、アクチュエータ121の底面図である。図5は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100が備えるアクチュエータ121の一部拡大図である。図6は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100が備えるホルダ122の構成を示す図である。図6Aは、ホルダ122の斜視図であり、図6Bは、ホルダ122の平面図であり、図6Cは、ホルダ122の底面図である。
【0041】
図4に示すように、アクチュエータ121が有する腕部121C1~121C4は、互いに同形状を有する。また、図4および図5に示すように、各腕部121C1~121C4は、当接面f1、摺動曲面f2、およびテーパ面f3を有する。当接面f1、摺動曲面f2、およびテーパ面f3は、それぞれ図5に示す領域A1において、図6に示すホルダ122の収容部(122Aa~122Ad)と当接可能、または、摺接可能な構成となっている。
【0042】
当接面f1は、腕部121C1~121C4の上部に形成された平面部分である。当接面f1は、腕部121C1~121C4の先端に向って下る傾斜面となっている。アクチュエータ121は、一の腕部の方向に傾倒したときに、その反対方向の腕部の当接面f1が図6に示すホルダ122の収容部(122Aa~122Ad)の上部に当接面f1に対応して下方を向いて平面状に設けられた天井面122F(図6C参照)に当接することにより、傾倒角度が規制される。
【0043】
摺動曲面f2は、各腕部121C1~121C4の両側部に形成された曲面部分である。摺動曲面f2は、アクチュエータ121の傾倒(当該摺動曲面f2が形成されている腕部と交差する方向への傾倒)に伴い、当該腕部が収容されるホルダ122の収容部(122Aa~122Ad)の内壁面122G(図6C参照)と摺接する。
【0044】
テーパ面f3は、特許請求の範囲に記載の「許容部」の一例である。テーパ面f3は、各腕部121C1~121C4の両側部において、摺動曲面f2の下側に形成された平面部分である。テーパ面f3は、下側に向かうにつれて腕部の幅を狭めるように傾斜した傾斜面となっている。テーパ面f3は、当該腕部が収容されるホルダ122の収容部(122Aa~122Ad)の内壁面122Gとの干渉を回避して、アクチュエータ121の傾倒(当該テーパ面f3が形成されている腕部と交差する方向への傾倒)を許容する。
【0045】
また、図4に示すように、アクチュエータ121の柱状部121AのY軸方向における両側面には、円柱状の突起部121Aaが突出して設けられている。突起部121Aaは、操作ノブ104の連結部104Cに形成された円形の軸受穴104Caに嵌め込まれる。これにより、アクチュエータ121は、連結部104Cを回動可能に軸支することができる。
【0046】
図6Cに示すように、ホルダ122の上壁部の下側には、十字状に配置された収容部122Aa,122Ab,122Ac,122Adが形成されている。
【0047】
収容部122Aa,122Abは、特許請求の範囲に記載の「第2の収容部」の一例である。収容部122Aaは、収容空間122Aの中央部(球部121Bが収容される部分)からY軸正方向に直線状に延在する空間であり、同じくY軸正方向に直線状に延在するアクチュエータ121の腕部121C1と、腕部121C1の下側且つ基板111上に配置されたスイッチ123aとが収容される。
【0048】
収容部122Abは、収容空間122Aの中央部からY軸負方向に直線状に延在する空間であり、同じくY軸負方向に直線状に延在するアクチュエータ121の腕部121C2と、腕部121C2の下側且つ基板111上に配置されたスイッチ123bとが収容される。
【0049】
収容部122Ac,122Adは、特許請求の範囲に記載の「第1の収容部」の一例である。収容部122Acは、収容空間122Aの中央部からX軸正方向に直線状に延在する空間であり、同じくX軸正方向に直線状に延在するアクチュエータ121の腕部121C3と、腕部121C3の下側且つ基板111上に配置されたスイッチ123cとが収容される。
【0050】
収容部122Adは、収容空間122Aの中央部からX軸負方向に直線状に延在する空間であり、同じくX軸負方向に直線状に延在するアクチュエータ121の腕部121C4と、腕部121C4の下側且つ基板111上に配置されたスイッチ123dとが収容される。
【0051】
また、図6に示すように、ホルダ122の上壁部には、アクチュエータ121の柱状部121Aと、アクチュエータ121の各腕部121C1~121C2の各々の一部とを、ホルダ122の上壁部から露出させるための十字状の開口部122Bが形成されている。
【0052】
また、ホルダ122の上部において開口部122Bの中央にある4つの角部の各々には、球部121Bの表面に沿った曲面形状を有する曲面部122Eが形成されている。各曲面部122Eには、アクチュエータ121の傾倒に伴って球部121Bの表面と摺接する、リブ122Dが形成されている。
【0053】
(パワーシートスイッチ100のスイッチ動作)
図7は、図1に示すパワーシートスイッチ100の構成、および、操作ノブ104またはアクチュエータ121の第1方向に関連する方向への動作を示すA-A断面図(アクチュエータ121の柱状部121Aの中心軸AX2を通る、XZ平面に平行な断面を示す断面図)である。図8は、図1に示すパワーシートスイッチ100の構成、および、操作ノブ104またはアクチュエータ121の第2方向に関連する方向への動作を示すB-B断面図(アクチュエータ121の柱状部121Aの中心軸AX2を通る、YZ平面に平行な断面を示す断面図)である。
【0054】
図7および図8に示すように、アクチュエータ121は、柱状部121Aの上部が操作ノブ104の連結部104Cに連結されている。また、アクチュエータ121は、柱状部121Aの中心軸AX2を通る下端部に、先鋭状の下端部121Dを有する。下端部121Dは、非操作時のアクチュエータ121の中心軸AX2が上下方向と平行な状態において、下端部121Dから基板111の上面までの距離がスイッチ(123a~123d)のストローク量よりも小さくなる寸法に設けられている。そのため、操作ノブ104が押下操作されたとき、アクチュエータ121は、腕部(121C1~121C4)がスイッチ(123a~123d)をオンさせるより先に、下端部121Dが基板111の上面に当接する。これにより、スイッチ123a~123dのうちの何れかのスイッチが複数同時に押下されることは無くなるため、スイッチの同時押しによって発生する誤入力は未然に防がれる。
【0055】
例えば、操作部104Aに対するX軸正方向のスライド操作がなされた場合、アクチュエータ121は、球部121Bの中心121Baが支点となって、X軸正方向(図7中D5方向、球部121Bと同心円の円周に沿った方向)に傾倒する。これにより、アクチュエータ121は、球部121BからX軸正方向に延在する腕部121C3によって、スイッチ123cを押下することができる。なお、操作部104Aに対するX軸正方向のスライド操作がなされた場合、操作部104Aの動きは、操作部104AのX軸正側の部分の、球部121Bと同心円の円周に沿った方向(図7中D5方向)への動きと、操作部104AのX軸負側の部分の、X軸正方向(図7中D7方向)への直線的な動きとが組み合わされた、楕円の円周に沿った方向(図7中D1方向)への動きとなる。
【0056】
また、操作部104Aに対するX軸負方向のスライド操作がなされた場合、アクチュエータ121は、球部121Bの中心121Baが支点となって、X軸負方向(図7中D6方向、球部121Bと同心円の円周に沿った方向)に傾倒する。これにより、アクチュエータ121は、球部121BからX軸負方向に延在する腕部121C4によって、スイッチ123dを押下することができる。なお、操作部104Aに対するX軸負方向のスライド操作がなされた場合、操作部104Aの動きは、操作部104AのX軸正側の部分の、球部121Bと同心円の円周に沿った方向(図7中D6方向)への動きと、操作部104AのX軸負側の部分の、X軸負方向(図7中D8方向)への直線的な動きとが組み合わされた、楕円の円周に沿った方向(図7中D2方向)への動きとなる。
【0057】
また、操作部104Aに対して、上方から見て時計回り方向(図1に示すD3方向)へ回動操作がなされた場合、アクチュエータ121は、球部121Bの中心121Baが支点となって、Y軸正方向(図8中D3方向、球部121Bと同心円の円周に沿った方向)に傾倒する。これにより、アクチュエータ121は、球部121BからY軸正方向に延在する腕部121C1によって、スイッチ123aを押下することができる。
【0058】
また、操作部104Aに対して、上方から見て反時計回り方向(図1に示すD4方向)へ回動操作がなされた場合、アクチュエータ121は、球部121Bの中心121Baが支点となって、Y軸負方向(図8中D4方向、球部121Bと同心円の円周に沿った方向)に傾倒する。これにより、アクチュエータ121は、球部121BからY軸負方向に延在する腕部121C2によって、スイッチ123bを押下することができる。
【0059】
図9は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100が備えるスイッチモジュール120に対して操作ノブ104が取り付けられた状態を示す図である。図9では、ケース102の図示が省略されている。図10は、図9に示す軸部104B、および、軸受穴122Cの構成を示すC-C断面図である。
【0060】
図9に示すように、操作ノブ104の軸部104Bは、その先端部分が、ホルダ122の軸受穴122Cを貫通した状態で、スナップフィット構造により、軸受穴122Cに嵌め込まれる。これにより、軸部104Bは、軸受穴122Cによって回転可能に軸支される。
【0061】
ここで、図10に示すように、軸受穴122Cは、X軸方向に延在する長穴形状を有している。また、軸部104BのX軸方向の長さL1は、軸受穴122CのX軸方向の長さL2よりも小さくなっている。これにより、軸部104Bは、軸受穴122Cの内部をX軸方向に移動できるようになっている。
【0062】
また、図9に示すように、操作ノブ104の連結部104Cは、当該連結部104Cの下側開口からアクチュエータ121の柱状部121Aの上部が挿し込まれ、さらに、当該連結部104CのY軸方向における両側壁部に形成された円形の軸受穴104Caに対して、柱状部121AのY軸方向における両側面から突出して設けられた円柱状の突起部121Aaが嵌め込まれる。これにより、連結部104Cは、柱状部121Aに対してX軸方向に沿って回転可能に、柱状部121Aによって支持される。なお、突起部121Aaは、柱状部121Aに一体的に形成されたものであってもよく、柱状部121Aを貫通するシャフトであってもよい。
【0063】
本構成により、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104に対するX軸方向へのスライド操作がなされて、アクチュエータ121がX軸方向に傾倒した際、柱状部121Aと連結部104Cとの間に生じる姿勢差(角度差)を、柱状部121Aに対して連結部104Cが回動することによって許容することができる。よって、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、当該角度差によるアクチュエータ121および操作ノブ104の捻れの発生を抑制することができる。したがって、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104に対するX軸方向へのスイッチ操作に対して、スムース且つダイレクトなスイッチ操作感を呈示することができる。
【0064】
また、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104に対するX軸方向へのスライド操作において、ホルダ122および操作ノブ104の捻れの発生を抑制することができる。したがって、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104に対するX軸方向へのスイッチ操作に対して、スムース且つダイレクトなスイッチ操作感を呈示することができる。
【0065】
また、本実施形態のパワーシートスイッチ100では、操作ノブ104に対する時計回りまたは反時計回りへの回動操作がなされた際、アクチュエータ121の柱状部121Aは、上方から見てY軸正方向または負方向に直線状に傾倒しようとするが、操作ノブ104の連結部104Cは、上方から見て軸部104Bを中心とする円周上を時計回りまたは反時計回りに曲線状に移動しようとする。このため、操作ノブ104の回動角度が大きくなるにつれて、柱状部121Aと連結部104Cとの間に位置差が生じようとする。しかしながら、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、これに追従して、軸部104Bが軸受穴122Cの内部をX軸正方向に移動することにより、柱状部121Aと連結部104Cとの間の位置差が生じないようになっている。このため、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104およびアクチュエータ121等に捻れを発生させることなく、操作ノブ104に対する回動操作に対して、スムース且つダイレクトな操作感を呈示することができる。
【0066】
ここで、図10に示すように、各腕部121C1~121C4の幅(短手方向の幅)は、各収容部122Aa~122Adの幅(短手方向の幅)と略同じ寸法である。これにより、各腕部121C1~121C4は、下方(特許請求の範囲に記載の「押下方向」の一例)への移動が各収容部122Aa~122Adの内壁面122Gによってガイドされ、且つ、幅方向への平行移動が各収容部122Aa~122Adの内壁面122Gによって規制されるため、ガタが生じることなく、下方へのスイッチの押下動作を、スムース且つダイレクトに行うことができる。
【0067】
(軸部104Bおよび軸受穴122Cの断面構成)
図11は、図9に示す軸部104B、および、軸受穴122Cの傾斜面の構成を示すD-D断面図である。図10および図11に示すように、操作ノブ104の軸部104Bは、先端部分に他の部分よりも外径が小さく軸受穴122Cを構成する壁部122Ccと摺接する小径部104Baを有しており、当該小径部104Baが、壁部122Ccに嵌合することにより、軸受穴122Cから容易に抜け落ちないように、軸受穴122Cによって軸支される。
【0068】
ここで、軸受穴122CにおけるY軸正側の壁部122Ccは、上方にゆくにつれて徐々に軸部104BからY軸正方向に離間するように傾斜した、傾斜面122Caを有する。これにより、軸部104Bは、Y軸正側の側面が傾斜面122Caに当接するまで、Y軸正側に傾倒できるようになっている。
【0069】
また、軸受穴122CにおけるY軸負側の壁部122Ccは、上方にゆくにつれて徐々に軸部104BからY軸負方向に離間するように傾斜した、傾斜面122Cbを有する。これにより、軸部104Bは、Y軸負側の側面が傾斜面122Cbに当接するまで、Y軸負側に傾倒できるようになっている。
【0070】
また、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、アクチュエータ121のガタを抑制するために、スイッチ123a~123dの復元力でアクチュエータ121を常にホルダ122に押圧する構成を採用している。このため、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、アクチュエータ121とホルダ122との間に捻じれが生じ易くなっている。そこで、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、アクチュエータ121の各腕部121C1~121C4にテーパ面f3(許容部)を設けたことにより、アクチュエータ121とホルダ122との間の捻じれを解消することができる。これにより、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、アクチュエータ121のガタの発生を抑制することができる。また、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、スイッチ123a~123dの復元力が操作ノブ104にダイレクトに伝達されるため、ダイレクトな操作感を提示することができる。
【0071】
(アクチュエータ121の傾倒動作)
図12は、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100の平面図である。図12では、ケース102、操作ノブ104、および操作ノブ106が取り外された状態のパワーシートスイッチ100を表している。
【0072】
図13は、図12に示すアクチュエータ121の非操作時における腕部の配置を示す断面図である。図14は、図12に示すアクチュエータ121が傾倒する時の腕部の動作を示す断面図である。
【0073】
図13(a)および図14(a)は、図12示すパワーシートスイッチ100の断面線(腕部121C1と交差するX軸方向に延びる断面線)による、アクチュエータ121およびホルダのY軸正側から見た断面構成を示す断面図である。
【0074】
図13(b)および図14(b)は、図12示すパワーシートスイッチ100の断面線(腕部121C3と交差するY軸方向に延びる断面線)による、アクチュエータ121およびホルダのX軸正側から見た断面構成を示す断面図である。
【0075】
図13(c)および図14(c)は、図12示すパワーシートスイッチ100の断面線(腕部121C2と交差するX軸方向に延びる断面線)による、アクチュエータ121およびホルダのY軸負側から見た断面構成を示す断面図である。
【0076】
図13(a)および図14(a)に示すように、アクチュエータ121の腕部121C1は、ホルダ122の収容空間122Aの収容部122Aaに収容される。
【0077】
また、図13(b)および図14(b)に示すように、アクチュエータ121の腕部121C3は、ホルダ122の収容空間122Aの収容部122Acに収容される。
【0078】
また、図13(c)および図14(c)に示すように、アクチュエータ121の腕部121C2は、ホルダ122の収容空間122Aの収容部122Abに収容される。
【0079】
ここで、図13および図14に示すように、アクチュエータ121の各腕部121C1~121C4の横幅は、ホルダ122の各収容部122Aa~122Adの横幅と略同じ寸法である。これにより、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、各腕部121C1~121C4の下方への傾きが、各収容部122Aa~122Adの内壁面122Gによってガイドされ、且つ、各腕部121C1~121C4の横幅方向への移動が、各収容部122Aa~122Adの内壁面122Gによって規制されるため、ガタが生じることなく、アクチュエータ121の傾倒動作(すなわち、各スイッチ123a~123dの押下動作)を、スムース且つダイレクトに行うことができる。
【0080】
また、図13に示すように、アクチュエータ121が備える各腕部121C1~121C4は、アクチュエータ121が傾倒していないとき、各スイッチ123a~123dから押し上げられることにより、互いに同じ高さ位置にある。
【0081】
一方、図14に示すように、操作ノブ104が上方から見て時計回りに回動操作がなされて、アクチュエータ121がY軸正方向に傾倒したとき、図14(a)に示すように、球部121BからY軸正方向に延在する腕部121C1は、収容部122Aa内で下方に傾く。これにより、腕部121C1によってスイッチ123aが押下され、スイッチ123aがオンになる。
【0082】
また、図14(c)に示すように、球部121BからY軸負方向に延在する腕部121C2は、収容部122Ab内で上方に傾く。このとき、腕部121C2の上部に形成された当接面f1は、ホルダ122の上部(天井面122F)に当接することにより、アクチュエータ121の傾倒角度を規制する。特に、当接面f1は、平面状であるため、上方に膨らむような曲面状とした場合に比べて、ホルダ122をより低背化することができる。
【0083】
また、図14(b)に示すように、球部121BからX軸正方向に延在する腕部121C3は、収容部122Ac内でY軸正側に傾く。このとき、腕部121C3は、スイッチ123aがオンにならない程度に、その底面部分においてスイッチ123aを僅かに押下する。
【0084】
また、図13(b)および図14(b)に示すように、腕部121C3におけるY軸正側の側部およびY軸負側の側部の各々には、下方にゆくにつれて徐々に収容部122Acの内壁面122Gから離間するように(すなわち、腕部121C3の横幅が狭くなるように)傾斜した、アクチュエータ121のY軸方向への傾倒を許容するテーパ面f3が設けられている。
【0085】
これにより、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作により、アクチュエータ121の柱状部121AをY軸方向に傾倒させたとき、テーパ面f3が収容部122Acの内壁面122Gに当接するまで、腕部121C3が柱状部121AとともにY軸方向に傾倒できるようになっている。
【0086】
このため、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、柱状部121Aと腕部121C3との間に捻じれが生じないように、アクチュエータ121全体をY軸方向に傾倒させることができ、よって、スムース且つダイレクトなスイッチ操作感をユーザに呈示することができる。
【0087】
なお、スイッチモジュール120が備える4本の腕部121C1,121C2,121C3,121C4および4つの収容部122Aa,122Ab,122Ac,122Adは、いずれも同様の断面構成を有している。すなわち、腕部121C1,121C2,121C3,121C4のそれぞれにおいて、同様のテーパ面f3が形成されている。
【0088】
このため、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104のスライド操作により、アクチュエータ121の柱状部121AをX軸方向に傾倒させたときも、Y軸方向へ延在する腕部121C1,121C2のテーパ面f3が、収容部122Aa,収容部122Abの内壁面122Gに当接するまで、腕部121C1,121C2が柱状部121AとともにX軸方向に傾倒できるようになっている。
【0089】
このため、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、スイッチ123a~123dの復元力でアクチュエータ121を常にホルダ122に押圧することで、アクチュエータ121のガタの発生を抑制しつつ、柱状部121Aと腕部121C3との間に捻じれが生じないように、アクチュエータ121全体をX軸方向に傾倒させることができ、よって、アクチュエータ121とホルダ122との間の捻じれを解消することができ、スムース且つダイレクトなスイッチ操作感をユーザに呈示することができる。
【0090】
(連結部104Cの断面構成)
図15は、図9に示すスイッチモジュール120のF-F断面図である。図15に示すように、操作ノブ104の連結部104Cは、角筒状をなしている。連結部104Cには、下側開口からアクチュエータ121の角柱状の柱状部121Aが挿し込まれ、さらに、当該連結部104CのY軸方向における両側壁部に形成された円形の軸受穴104Caに対して、柱状部121AのY軸方向における両側面から突出して設けられた円柱状の突起部121Aaが嵌め込まれる。これにより、連結部104Cは、柱状部121Aに対してX軸方向に沿って回動可能に、柱状部121Aによって支持される。
【0091】
ここで、図15に示すように、柱状部121AのY軸方向の幅は、連結部104Cの筒内部のY軸方向の幅と略同じ寸法である。これにより、柱状部121Aおよび連結部104Cは、両者の間におけるY軸方向へのガタが生じ難くなっている。これにより、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作がなされて、アクチュエータ121がY軸正方向またはY軸負方向に傾倒してスイッチ123aまたはスイッチ123bを押下するときに、ダイレクトなスイッチ操作感をユーザに呈示することができる。
【0092】
また、図15に示すように、柱状部121AのX軸方向の幅は、連結部104Cの筒内部のX軸方向の幅よりも小さくなっている。これにより、柱状部121Aは、突起部121Aaを回動軸として、連結部104Cの筒内部で、X軸方向に沿って回動可能となっている。これにより、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104のX軸方向へのスライド操作がなされて、アクチュエータ121がX軸正方向またはX軸負方向に傾倒してスイッチ123cまたはスイッチ123dを押下するときに、連結部104Cと柱状部121Aとの間に生じる角度差を許容することができ、よって、スムース且つダイレクトなスイッチ操作感をユーザに呈示することができる。
【0093】
(アクチュエータ121の回動可能な構成)
図16は、図9に示すアクチュエータ121およびホルダ122の構成を示すE-E断面図である。図17は、図16に示す腕部121C1および収容部122Aaの一部拡大図である。
【0094】
図17に示すように、アクチュエータ121の腕部121C1と、ホルダ122の収容部122Aaとは、いずれもY軸正方向に延在しており、且つ、収容部122Aaに腕部121C1が収容された状態となっている。
【0095】
ここで、腕部121C1のX軸正側の側面122aaと、腕部121C1のX軸負側の側面122abとの各々は、X軸方向における外側に凸状に湾曲した湾曲面となっている。一方、収容部122Aaの一対の内壁面122Gの各々は、Y軸方向に延在する平面であるが、X軸方向における腕部121C1側に突出した規制部125を有する。
【0096】
腕部121C1は、側面122ab,122abの腹部において、規制部125に点で当接しているが、側面122ab,122abのその他の部分において、内壁面122Gとの間に隙間を有している。これにより、腕部121C1は、X軸方向への平行移動が規制部125によって規制されているとともに、図17において矢印で示すように、上方からの平面視において時計回りおよび反時計回りに回動可能となっている。
【0097】
なお、図16に示すように、スイッチモジュール120が備える他の3本の腕部121C2,121C3,121C4および他の3つの収容部122Ab,122Ac,122Adは、いずれも図17と同様の構成を有している。すなわち、腕部121C2,121C3,121C4の各々が、両方の側面の各々が湾曲面となっており、収容部122Ab,122Ac,122Adの各々が、一対の内壁面122Gの各々に規制部125を有しており、腕部121C2,121C3,121C4の各々が、上方からの平面視において時計回りおよび反時計回りに回動可能となっている。
【0098】
これにより、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作により、アクチュエータ121に時計回り方向または反時計回り方向への回転モーメントが生じたときに、アクチュエータ121が、柱状部121Aの中心軸AX2を回転軸として、時計回りまたは反時計回りに回動することにより、この回転モーメントを逃がすことができる。このため、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作が行われた際の、アクチュエータ121の捻れが生じ難くなっており、よって、スムース且つダイレクトなスイッチ操作感をユーザに呈示することができる。
【0099】
以上説明したように、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、スイッチ123a~123dの復元力でアクチュエータ121を常にホルダ122に押圧する構成を採用している。このため、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、アクチュエータ121のガタの発生を抑制することができる。また、本実施形態のパワーシートスイッチ100は、スイッチ123a~123dの復元力が操作ノブ104にダイレクトに伝達されるため、ダイレクトな操作感を提示することができる。
【0100】
また、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、第1の腕部121C3,121C4が、第1の収容部122Ac,122Adとの干渉を回避して、アクチュエータ121のY軸方向への傾倒を許容するテーパ面f3(許容部)を有する。同様に、第2の腕部121C1,121C2が、第2の収容部122Aa,122Abとの干渉を回避して、アクチュエータ121のX軸方向への傾倒を許容するテーパ面f3(許容部)を有する。
【0101】
これにより、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作によってアクチュエータ121をY軸方向へ傾倒させる際、腕部121C3,121C4を収容部122Ac,122Adと干渉させずにY軸方向へ傾倒させることができる。同様に、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104のスライド操作によってアクチュエータ121をX軸方向へ傾倒させる際、腕部121C1,121C2を収容部122Aa,122Abと干渉させずにX軸方向へ傾倒させることができる。したがって、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100によれば、アクチュエータ121とホルダ122との間の捻じれを解消することができ、スムース且つダイレクトな操作感を得ることができる。
【0102】
一実施形態に係るパワーシートスイッチ100において、腕部121C1,121C2,121C3,121C4の各々が、当接面f1、摺動曲面f2、およびテーパ面f3を含んでいる。
【0103】
これにより、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、腕部121C1,121C2,121C3,121C4の各々が、当接面f1によってアクチュエータ121の傾倒角度を規制でき、摺動曲面f2によってホルダ122の収容部(122Aa~122Ad)の内壁面122Gと摺接することができ、さらに、テーパ面f3によってアクチュエータ121の傾倒を許容できる。
【0104】
特に、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100において、腕部121C1,121C2,121C3,121C4の各々の断面形状は、当接面f1、摺動曲面f2、およびテーパ面f3を含む最小構成の台形である。
【0105】
これにより、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、当接面f1、摺動曲面f2、およびテーパ面f3を含む余計な要素が省かれているため、ホルダ122を低背化することができる。
【0106】
一実施形態に係るパワーシートスイッチ100において、操作ノブ104は、軸部104Bを回動自在に軸支する軸受穴122Cをさらに備え、軸部104Bは、軸受穴122Cの内部でX軸方向にスライド可能である。
【0107】
これにより、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104のスライド操作において、ホルダ122および操作ノブ104の捻れの発生を抑制することができるため、スムース且つダイレクトな操作感を得ることができる。
【0108】
また、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作により、アクチュエータ121をY軸方向へ傾倒させる際にも、操作ノブ104を軸部104BとともにX軸方向へ移動させることができるため、スムース且つダイレクトな操作感を得ることができる。
【0109】
また、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100において、軸受穴122Cの内壁面は、Y軸方向に傾斜し、軸部104BのY軸方向への傾きを許容する傾斜面122Ca,122Cbを有する。
【0110】
これにより、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作により、アクチュエータ121をY軸方向へ傾倒させる際、操作ノブ104を軸部104BとともにY軸方向へ傾倒させることができるため、スムース且つダイレクトな操作感を得ることができる。
【0111】
また、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100において、軸受穴122Cは、ホルダ122に一体的に形成されている。
【0112】
これにより、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、基板111に対するホルダ122の設置誤差に依らず、アクチュエータ121と軸受穴122Cとの相対的な位置関係を設計どおり一定とすることができるため、アクチュエータ121と軸受穴122Cとの間に介在する操作ノブ104の動作を、設計された動作に高精度に実現することができる。
【0113】
また、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100において、柱状部121Aは、連結部104Cに対して、Y軸方向への移動が規制され、且つ、X軸方向に回動可能に連結される。
【0114】
これにより、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104の回動操作により、アクチュエータ121をY軸方向へ傾倒させる際、柱状部121Aと連結部104Cとの間のガタを生じ難くすることができるため、スムース且つダイレクトな操作感を得ることができる。
【0115】
また、一実施形態に係るパワーシートスイッチ100は、操作ノブ104のスライド操作により、アクチュエータ121をX軸方向へ傾倒させる際、柱状部121Aと連結部104Cとの間に生じる角度差を許容することができるため、スムース且つダイレクトな操作感を得ることができる。
【0116】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0117】
例えば、上記実施形態において、操作ノブ104の軸部104Bは、弾性変形可能であってもよい。この場合、軸受穴122Cは、傾斜面122Ca,122Cbを有しなくともよい。この場合、軸部104Bが弾性変形することにより、操作ノブ104のY軸方向への傾倒を許容できるからである。
【0118】
また、上記実施形態では、アクチュエータ121の傾倒を許容する傾斜面が各腕部121C1~121C4の側面に設けられているが、これに限らず、当該傾斜面が各収容部122Aa~122Adの内壁面122Gに設けられていてもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、本発明を車両用のパワーシートスイッチに適用した例を説明したが、これに限らず、本発明は如何なるスイッチ装置にも適用可能である。
【0120】
また、上記実施形態では、本発明を互いに交差する2つの方向(X軸方向およびY軸方向)の双方に傾倒可能なアクチュエータを備えるスイッチ装置に適用した例を説明したが、これに限らず、例えば、本発明は、互いに交差する2つの方向のうちのいずれか一方のみに傾倒可能なアクチュエータを備えるスイッチ装置にも適用可能である。
【0121】
また、上記実施形態では、本発明を互いに反対方向である2つの方向(正方向および負方向)の双方に傾倒可能なアクチュエータを備えるスイッチ装置に適用した例を説明したが、これに限らず、例えば、本発明は、互いに反対方向である2つの方向のうちのいずれか一方のみに傾倒可能なアクチュエータを備えるスイッチ装置にも適用可能である。
【0122】
本国際出願は、2019年6月20日に出願した日本国特許出願第2019-114962号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0123】
100 パワーシートスイッチ(操作装置)
102 ケース
102A,102B,102C,102D 開口部
104,106 操作ノブ
104A 操作部
104B 軸部
104C 連結部
104Ca 軸受穴
108 カバー
110 基板ユニット
112,114,120 スイッチモジュール
121 アクチュエータ
121A 柱状部
121D 下端部
121C1,121C2 腕部(第2の腕部)
121C3,121C4 腕部(第1の腕部)
121B 球部
121Ba 中心
122 ホルダ
122A 収容空間
122Aa,122Ab 収容部(第2の収容部)
122Ac,122Ad 収容部(第1の収容部)
122B 開口部
122C 軸受穴
122Ca,122Cb 傾斜面
122D リブ
122E 曲面部
122F 天井面
122G 内壁面
123a,123b スイッチ(第2のスイッチ)
123c,123d スイッチ(第1のスイッチ)
124a,124b 傾斜面
125 規制部
AX1,AX2 中心軸
f1 当接面
f2 摺動曲面
f3 テーパ面(許容部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17