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特許7125572電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステム並びにその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステム並びにその方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/66 20210101AFI20220818BHJP
   G01N 27/90 20210101ALI20220818BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20220818BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220818BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220818BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220818BHJP
   B22F 10/50 20210101ALI20220818BHJP
【FI】
B22F10/66
G01N27/90
B23K31/00 L
B33Y50/02
B33Y30/00
B33Y10/00
B22F10/50
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020210830
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2021098894
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】201911314260.5
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100140006
【弁理士】
【氏名又は名称】渕上 宏二
(72)【発明者】
【氏名】張海鴎
(72)【発明者】
【氏名】趙旭山
(72)【発明者】
【氏名】王桂蘭
(72)【発明者】
【氏名】李潤声
(72)【発明者】
【氏名】陳堯
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535170(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110421169(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107671288(CN,A)
【文献】中国実用新案第207224601(CN,U)
【文献】特開2012-099813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0264590(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/00
B22F10/00
B22F12/00
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/141
B29C64/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステムであって、
成形装置(4)、検出装置(1)、調節制御装置及び基板を含み、
前記成形装置(4)、前記検出装置(1)及び調節制御装置は前記基板の上方に配置され、前記検出装置(1)は調節制御装置と接続され、前記調節制御装置には電磁衝撃調節制御ユニット(3)と電磁攪拌調節制御ユニット(5)が含まれ、
前記成形装置(4)は、前記基板上にワークピースを層ごとに成形し、また、前記検出装置(1)及び前記調節制御装置と同期して移動し、
前記検出装置(1)は、形成済み領域(7)の微細構造をリアルタイムで検出し、検出結果を前記調節制御装置に送信し、
検出結果に応じて、電磁衝撃調節制御ユニット(3)を用いて、形成されたばかりのマイクロゾーン(2)に電磁衝撃を実行するか、もしくは電磁攪拌調節制御ユニット(5)を用いて、溶融プール(6)の電磁攪拌を実行することにより、ワークピースの微細構造を調節制御し、微細構造の検出と調節制御を完了することを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記検出装置(1)は、電磁渦電流検出装置であることを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出装置(1)の軸ラインが、前記基板に対して垂直であることを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電磁衝撃調節制御ユニット(3)と前記電磁攪拌調節制御ユニット(5)は、それぞれ励起コイルと磁気伝導性コアを含み、前記励起コイルは磁気伝導性コアに巻かれ、前記磁気伝導性コアは調整可能なブラケットを介して前記成形装置(4)に取り付けられていることを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記磁気伝導性コアには水冷却流路が設置されていることを特徴とする、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記成形装置(4)は、電気アーク成形装置、レーザー成形装置、又は電子ビーム成形装置の何れかであることを特徴とする、
請求項1乃至5の何れかに記載のシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のシステムにおいて実行される電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御の方法であって、
前記成形装置(4)は、事前に設定された軌道に沿って基板の上に層ごとにワークピースを形成し、前記検出装置(1)と前記調節制御装置は、前記成形装置(4)と同期して移動し、前記検出装置(1)は、成形済み領域(7)のワークピースの微細構造をリアルタイムで検出する、第1の工程(S1)と、
前記第1の工程(S1)において検出結果が正常な場合、前記第1の工程(S1)を繰り返し実行し、異常な微細構造が検出された場合、前記調節制御装置に検出結果を送信し、前記調節制御装置は、微細構造の調節制御を実行するために、電磁衝撃調節制御ユニット(3)を用いて、形成されたばかりのマイクロゾーン(2)に電磁衝撃を実行することにより、前記マイクロゾーン(2)に塑性延性変形を生じさせるか、もしくは、電磁攪拌調節制御ユニット(5)を用いて、溶融プール(6)の電磁攪拌を実行することにより、前記溶融プール(6)の温度を均一化し、対流を発生させる、第2の工程(S2)と、
ワークピースが形成されるまで前記第1の工程(S1)と前記第2の工程(S2)を繰り返し実行し、ワークピースの成形工程の間ずっと微細構造のオンライン検出と調節制御を実現する第3の工程(S3)とを含む、
方法。
【請求項8】
前記検出装置(1)は、ワークピースの成形済み領域(7)に対して電磁渦電流非破壊検出を行い、検出された電磁信号と所定の電磁信号および微細構造との関係を示すデータベースとに基づいて成形済み領域(7)の微細構造の検出を実現することを特徴とする、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記検出装置(1)、前記電磁衝撃調節制御ユニット(3)及び前記電磁攪拌調節制御ユニット(5)に印加される磁場は、交互磁場及びパルス磁場のうちの任意の1つ又は複数であることを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属の積層造形技術に関し、特に、電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステム並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属の積層造形は、柔軟性が高いこと、金型が不要であること、サイクル時間が短いこと、部品構造や材料に制限されないことなどの利点により、軍事産業、自動車、船舶、金型、電子機器、医療、その他の産業分野において広く活用されている。
【0003】
しかし、金属の積層造形プロセスにおいて界面熱抵抗がなく、高速熱伝導、超高温勾配、及び固体金属基板超高速の冷却速度の条件下で、溶融-固化の冶金プロセスを効果的に制御し、よって成形部品の固化構造を調節制御し、収縮やマイクロクラックなどの欠陥を排除し、結晶粒子成長を調節・制御し、最終的にコンポーネントのパフォーマンスの最適化を実現する方法は、金属の積層造形が、より幅広く適用できるかを決定するキーポイントとなった。
一方では、高温溶融プールの急速な固化と層ごとの蓄積プロセスにおける、溶融プールでの金属の冶金学的ダイナミクス及びその結晶の核形成及び成長のプロセスは、積層成形で製造されたコンポーネントの冶金学的組織(結晶粒子サイズ、結晶粒子形態、結晶配向及び化学組成の均一性など)及び機械的性質に直接に影響を与える。単なる積層プロセスでは、粗く、不均一で異方性の微細構造となる傾向にあるため、微細構造を十分に調節できない場合、成形部品は機能が十分できなくて信頼できないこととなる。
もう一方では、成形部品の急激な冷却や加熱なので、温度勾配が大きすぎると変形が制御不能になり、残留応力が大きくなり、残留応力が大きすぎると成形部品の機械的特性が低下してマイクロクラックが発生したり、複雑な熱サイクルなので残留応力分布も複雑となって、よって成形部品の変形と亀裂が発生したりする。
これらの問題は、金属積層造形部品の機械的特性と信頼性を低下させ、それによって金属積層造形技術の普及と適用に制限をもたらす。
【0004】
現在、金属積層造形の分野において、微細構造と特性は、主としてプロセスパラメータの最適化と強制処理方法の導入によって調節されている。従来のプロセスパラメータの最適化には多数のプロセステストが必要であり、また一定の制限があるため、欠陥を排除し、品質と性能を向上させるという要件を満たすことができなくなっている。強制処理は残留応力の低減と粒子の微細化に一定の効果をもたらすが、欠陥を抑制することは困難であり、検出手段と組み合わされていないため、調節制御には制御不能と盲目性が生じる。
従って、金属積層造形が直面する主な問題を解決し、細粒で優れた性能を備えた金属積層造形部品を得るための効果的で制御可能な方法を見つけることが急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術が抱える課題に鑑みて、本発明は、電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステム並びにその方法を提供し、ワークピースの成形プロセス中、微細構造をリアルタイムで検出し、電磁衝撃と電磁攪拌を用いて微細構造を調節制御するシステム並びにその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の態様は、電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステムであって、成形装置、検出装置、調節制御装置及び基板を含み、前記成形装置、前記検出装置及び調節制御装置は前記基板の上方に配置され、前記検出装置は調節制御装置と接続され、前記調節制御装置には電磁衝撃調節制御ユニットと電磁攪拌調節制御ユニットが含まれ、前記成形装置は前記基板上にワークピースを層ごとに成形し、また前記検出装置と前記調節制御装置と同期して移動し、前記検出装置は形成済み領域の微細構造をリアルタイムで検出し、検出結果を前記調節制御装置に送信し、検出結果に応じて、電磁衝撃調節制御ユニットを用いて、形成されたばかりのマイクロゾーンに電磁衝撃を実行するか、もしくは電磁攪拌調節制御ユニットを用いて、溶融プールの電磁攪拌を実行することにより、ワークピースの微細構造を調節制御し、微細構造の検出と調節制御を完了するシステムである。
【0007】
さらに好ましくは、前記検出装置は電磁渦電流検出装置である。
【0008】
さらに好ましくは、前記検出装置の軸ラインが、前記基板に対して垂直である。
【0009】
さらに好ましくは、前記電磁衝撃調節制御ユニットと前記電磁攪拌調節制御ユニットは、それぞれ励起コイルと磁気伝導性コアを含み、前記励起コイルは磁気伝導性コアに巻かれ、前記磁気伝導性コアは調整可能なブラケットを介して前記成形装置に取り付けられている。
【0010】
さらに好ましくは、前記磁気伝導性コアには水冷却流路が設置されている。
【0011】
さらに好ましくは、前記成形装置は、電気アーク成形装置、レーザー成形装置、又は電子ビーム成形装置の何れかである。
【0012】
本発明の別の態様によれば、電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御の方法が提供され、これは、上記のシステムによって実行され、以下の工程を含む。
前記成形装置は、事前に設定された軌道に沿って基板の上に層ごとにワークピースを形成し、前記検出装置と前記調節制御装置は、前記成形装置と同期して移動し、前記検出装置は、成形済み領域のワークピースの微細構造をリアルタイムで検出する、第1の工程と、
前記第1の工程において検出結果が正常な場合、前記第1の工程を繰り返し実行し、異常な微細構造が検出された場合、前記調節制御装置に検出結果を送信し、前記調節制御装置は、微細構造の調節制御を実行するために、電磁衝撃調節制御ユニットを用いて、形成されたばかりのマイクロゾーンに電磁衝撃を実行することにより、前記マイクロゾーンに塑性延性変形を生じさせるか、もしくは、電磁攪拌調節制御ユニットを用いて、溶融プールの電磁攪拌を実行することにより、前記溶融プールの温度を均一化し、対流を発生させる、第2の工程と、
ワークピースが形成されるまで前記第1の工程と前記第2の工程を繰り返し実行し、ワークピースの成形工程の間ずっと微細構造のオンライン検出と調節制御を実現する第3の工程とを含む。
【0013】
さらに好ましくは、前記検出装置は、ワークピースの成形済み領域に対して電磁渦電流非破壊検出を行い、検出された電磁信号と所定の電磁信号および微細構造との関係を示すデータベースとに基づいて成形済み領域の微細構造の検出を実現する。
【0014】
さらに好ましくは、前記検出装置、前記電磁衝撃調節制御ユニット及び前記電磁攪拌調節制御ユニットに印加される磁場は、定常磁場、交互磁場及びパルス磁場のうちの任意の1つ又は複数である。
【発明の効果】
【0015】
全体的に、従来の技術と比較して、本発明によって考案された上記の技術的解決策は、主に以下の技術的利点を有する。
1.本発明は、増積製造のプロセス中に、検出装置を介して凝固ゾーンの微細構造を検出し、さらなる溶融プール又は溶融プールの後方の高温凝固ゾーンの電磁微細構造調節制御の根拠を提供し、積層成形における金属部品微細構造のオンライン閉ループ検出と調節制御を実現し、従来の、積層成形後に検出してパラメータを調整する方法、又は、積層成形プロセス中、全プロセスにわたって単に微細構造についてパラメータを調節・制御する方法と比較して、本発明における検出装置および調節制御装置の協調した動作は、リアルタイムの検出及びリアルタイムの循環調節により、閉ループが調節制御可能であり、安定的であり、適用性が強いという効果を奏する。
【0016】
2.本発明は、成形プロセスへの影響を回避するために非接触型検出を採用し、一方で同じ電磁発生補助システムを使用して、電磁渦電流による微細構造の非破壊検出、電磁補助溶融プール調節制御、電磁衝撃結晶粒子微細化など様々な機能を統合し、単一の補助装置を実装することにより、検出装置と調節制御装置の複雑さを低減することができるという効果を奏する。
【0017】
3.本発明は、調整可能なクランプによって調節制御装置とエネルギー源との相対位置を調整することができる。調節制御装置は、検出装置による検出結果に従って位置を変化させることができる。調節制御装置の外部から印加される磁場の方向は、垂直方向及び水平方向のいずれかであり、成形品質監視のために、複数の溶融プール流れ方向に対する制御、複数の制御強度、及び複数の制御形態を有する磁場補助手段を形成する。
【0018】
4.本発明は、単一の形状及び性能を有するシンプルなコンポーネントを製造することもでき、複雑な形状及び性能を有する機能的コンポーネントを製造することもできる。
また、勾配材料など、さまざまな領域でさまざまな微細構造を必要とするコンポーネントの場合は、事前に設計することによって、成形プロセス中に微細構造をリアルタイムで調節制御して期待される目標を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態の電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステムを示す概略図
図2】本発明の実施形態の電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御の方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0020】
1 検出装置
マイクロゾーン
3 電磁衝撃調節制御ユニット
4 成形装置
5 電磁攪拌調節制御ユニット
6 溶融プール
7 形成済み領域
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された特定の実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するものではないことを理解されたい。さらに、以下に記載される本発明の様々な実施形態に含まれる技術的特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0022】
本発明の実施形態が提供する電磁補助による微細構造のオンライン検出及び調節制御のシステムは、図1に示すように、成形装置4、検出装置1、調節制御装置及び基板を含み、成形装置4、検出装置1及び調節制御装置は基板の上方に配置される。成形装置4は、電気アーク成形装置、レーザー成形装置、又は電子ビーム成形装置の何れかである。検出装置1は調節制御装置と接続され、それらは成形装置4の進行方向に対して後方に位置し、成形装置4と同期して移動する。検出装置1の軸ラインは基板に対して垂直である。検出装置1は、電磁信号に基づいて微細構造を検出する電磁渦電流検出装置であり、電磁渦電流検出装置は調節制御装置と電磁発生装置を共有している。
調節制御装置には、電磁衝撃調節制御ユニット3と電磁攪拌調節制御ユニット5が含まれ、成形装置4の周囲に位置している。調節制御装置は、励起電流の大きさとタイプ又は成形装置4に対する位置と傾斜角を変更することにより、溶融プール領域での電磁界発生器による磁場の大きさ、タイプ及び分布状況を変更し、さらに印加磁場の大きさ、タイプ及び方向を変更して、印加磁場により結晶粒子の成長プロセス、溶融プールの対流及び熱と質量の伝達の制御を達成する。
具体的には、電磁衝撃調節制御ユニット3と電磁攪拌著説制御ユニット5は、何れも励起コイルと磁気伝導性コアを含み、励起コイルは磁気伝導性コアに巻かれ、磁気伝導性コアは調節可能なブラケットを介して成形装置4に取り付けられている。磁気伝導性コアと溶融プールの相対的な位置関係と姿勢を調節することにより、磁場の分布を調整することができる。また、磁気伝導性コアには水冷却流路が設置されている。
【0023】
上記のシステムを使用して、微細構造のオンラインの検出と調節制御は、図2に示すように実施される。具体的には次の工程を含む。
成形装置4は、事前に設定された軌道に沿って基板の上に層ごとにワークピースを形成し、検出装置1と調節制御装置は、成形装置4と同期して移動し、検出装置1は、成形済み領域7のワークピースの微細構造をリアルタイムで検出する、第1の工程S1と、
第1の工程S1において検出結果が正常な場合、第1の工程S1を繰り返し実行し、異常な微細構造が検出された場合、調節制御装置に検出結果を送信し、調節制御装置は、微細構造の調節制御を実行するために、電磁衝撃調節制御ユニット3を用いて、形成されたばかりのマイクロゾーン2に電磁衝撃を実行し、マイクロゾーン2に塑性延性変形を生じさせるか、もしくは、電磁攪拌調節制御ユニット5を用いて、溶融プール6の電磁攪拌を実行し、溶融プール6の温度を均一化し、対流を発生させる、第2の工程S2と、
ワークピースが形成されるまで第1の工程S1と第2の工程S2を繰り返し実行し、ワークピースの成形工程の間ずっと微細構造のオンライン検出と調節制御を実現する第3の工程S3とを含む。
【0024】
前述した全体的な検出・調節制御は、積層成形プロセスにおいて、リアルタイム、オンライン及び閉ループで実行される。具体的には、検出・調節制御は短時間でデータの転送と判断を実行し、検出と調節制御の間隔によって引き起こされる長過ぎる調節制御の空白時間による最終的な成形品質への影響を回避する。検出装置に対する調節制御装置のヒステリシスについては、調節制御しようとする位置のパラメータを格納しておき、次の層の成形を行うときに電磁衝撃調整を行うことができる。
【0025】
具体的には、積層成形の前に、電磁信号と微細構造との関係データベース、及び微細構造と調節制御磁場パラメータとの関係データベースを含む、材料成形に関するデータベースを確立する必要がある。より具体的には、有限要素のミクロモデルとマクロモデルを通じて微細構造-初期透過性/抵抗性―電磁信号データベースを確立して、よって電磁信号(ゼロ交差周波数)と微細構造との間の関係を取得し、次に検出された電磁信号に基づいて、具体的に、微細構造組成(結晶粒子のサイズ)、及び微細構造欠陥(細孔/未融合欠陥)が含まれるワークピースの微細構造が予測でき、よって固化した成形領域の微細構造をリアルタイムに監視し、微細構造と調節制御磁場パラメータとの関係データベースには、結晶粒子サイズ-溶融プール攪拌磁場パラメータ/衝撃磁場パラメータとの関係データベース、及び細孔/未融合欠陥-溶融プール攪拌磁場パラメータ/衝撃磁場パラメータとの関係データベースが含まれる。
【0026】
より具体的には、電磁衝撃調節制御ユニット3は、溶融プール6の近くに成形されたばかりの高温のマイクロゾーン2にAC電磁衝撃を行い、即ち、AC電磁場を介して、溶融プール6の後ろのより高温でより高い塑性の凝固領域に電磁力を加えることにより、塑性伸びと変形をさせ、粒子の微細化、均一な分布、残留応力の低減、及び多孔性や非溶融などの欠陥の低減の効果を実現する。電磁攪拌調節制御ユニット5は、溶融プール6に対してAC電磁攪拌を行うことにより、溶融プール6の流れを制御する。即ち、外部磁場を使用して、溶融プール6に外部電磁力を加えて溶融プール6に強制対流を誘発することにより、溶融プール6を攪拌し、粒子を微細化して、成形構造を変化させ、細孔、偏析、介在物などの冶金学的欠陥を抑制する。一方、溶融プールの流れは、溶融プール温度の均一化を加速し、溶融プールの中央部の過熱を遅くして、固液界面の前面の温度勾配を遅くし、二相ゾーンでの組成物の過冷却を増加して、内因性核形成ための条件を提供し、それによって核の形成率を増加させ、結晶粒子微細化の目標を達成する。
【0027】
さらに、検出装置1、電磁衝撃調節制御ユニット3及び電磁攪拌調節制御ユニット5によって印加される磁場は、定常磁場、交互磁場及びパルス磁場のいずれか1つまたはそれらの組み合わせから構成される包括的な磁場である。成形装置4の成形方法には、金属粉末や金属ワイヤーをベース材料として、レーザー、電子ビーム又は電気アーク、及びそれらの複合の積層製造による成形が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
以上の説明が本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明を限定することを意図するものではないことは言うまでもない。本発明の精神及び本旨から実質的に逸脱することなくなされるいかなる変形及び修正も本発明の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
図1
図2