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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】直流電磁石
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/16 20060101AFI20220818BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
H01F7/16 H
H01F7/16 D
H01F7/16 E
F16K31/06 305
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021181991
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】角谷 圭太
(72)【発明者】
【氏名】高崎 博
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特許第5884972(JP,B2)
【文献】特開2002-243056(JP,A)
【文献】特開2014-222076(JP,A)
【文献】特開2015-55281(JP,A)
【文献】特開2002-71045(JP,A)
【文献】特開平9-283331(JP,A)
【文献】特開平3-9180(JP,A)
【文献】特開平11-241783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/16
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、該コイルの励磁により移動する可動鉄心と、該可動鉄心に対向して配置された固定鉄心とを有する直流電磁石であって、
前記固定鉄心は、前記可動鉄心側に形成された小径部と大径部を有する凸形状を有し、
前記可動鉄心は、前記固定鉄心の凸形状に対応する凹形状を有し、
前記固定鉄心の小径部と大径部との間には、溝が設けられていて、
前記溝には、非磁性材料で形成された円形状のスペーサが嵌合していて、
前記スペーサは、
円環状の本体と、
前記本体の内周側から中心に向かって延長された複数の舌片部とを備え、
前記舌片部が等間隔に配置されているとともに、等間隔に配置された該舌片部の少なくとも1つが欠落した幅狭部が形成されていて、
前記舌片部の内径は、前記固定鉄心の小径部より小さく、
前記幅狭部の内径は、前記固定鉄心の小径部より大きいことを特徴とする直流電磁石。
【請求項2】
前記舌片部は、
前記円環状の本体の内周側から中心に向かって延びる基部と、
前記基部の先端から円周方向に延びる円弧部とを有することを特徴とする請求項1に記載の直流電磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルの励磁により移動する可動鉄心と、可動鉄心に対向して配置された固定鉄心とを有する直流電磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
一例として直流電磁石は、固定鉄心と、可動鉄心と、可動鉄心を移動させるコイルとを有し、コイルを励磁すると、可動鉄心が吸引されて、可動鉄心に対向して配置された固定鉄心に向かって移動可能となっている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の直流電磁石では、固定鉄心の可動鉄心側に小径部と大径部を有し、小径部と大径部との間には溝が設けられている。また、この溝には、非磁性材料で形成されたC字形状のスペーサの内周側が嵌合している。スペーサは、固定鉄心の小径部側から挿入されて、小径部と大径部の間に設けられた溝に装着される。
【0004】
そして直流電磁石では、コイルが励磁されると、可動鉄心が固定鉄心の溝に装着されたスペーサに向かって移動し、可動鉄心がスペーサに当接することにより、通電時に可動鉄心と固定鉄心が直接吸着することを防止している。
【0005】
ここで、通電時に可動鉄心と固定鉄心が直接吸着すると、通電を切ったときに残留磁束のために可動鉄心が固定鉄心から離れにくくなり、可動鉄心の応答性が低下してしまう。そこで直流電磁石では、通電時に可動鉄心と固定鉄心の間にスペーサを介在させている。
【0006】
特許文献1のスペーサは、その周面の一部を切り欠いたC字形状の本体と、本体に形成され円周方向に沿って等間隔に配置された複数の舌片部とを備える。また、スペーサの内径すなわち舌片部の内径は、固定鉄心の小径部よりも小さくなっている。
【0007】
特許文献1では、可動鉄心と固定鉄心の密着防止のために用いる非磁性スペーサの内径側に、固定鉄心の小径部よりも内径が小さく変形し易い舌片部を設けたので、スペーサを溝に装着させるとき、舌片部が電磁石の軸方向にも変形するため、C字形状の本体が径方向に変形することを抑える、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5884972号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし特許文献1のスペーサでは、C字形状の本体が外力で変形しやすく、塑性変形領域に達すると、本体が径方向に変形したまま元に戻らず他の部品と干渉する可能性があった。またスペーサは、本体の周面の一部が切り欠かれているため、保管時に他のスペーサの本体と絡み合ってしまう場合がある。このような場合、固定鉄心の溝にスペーサを装着する際、まず絡み合ったC字形状の本体同士を分離する必要があるため、手間がかかり作業性が損なわれてしまう。
【0010】
また特許文献1では、スペーサの本体部の周面の一部が切り欠かれているため、表面積が小さくなることから、可動鉄心がスペーサに衝突したときの面圧が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑み、保管時にスペーサ同士を絡みにくくするとともに、固定鉄心への組み付け作業時にスペーサが径方向に変形することを確実に抑制し、さらに可動鉄心の衝突時でのスペーサの強度を向上させることができる直流電磁石を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明にかかる直流電磁石の代表的な構成は、コイルと、コイルの励磁により移動する可動鉄心と、可動鉄心に対向して配置された固定鉄心とを有する直流電磁石であって、固定鉄心は、可動鉄心側に形成された小径部と大径部を有する凸形状を有し、可動鉄心は、固定鉄心の凸形状に対応する凹形状を有し、固定鉄心の小径部と大径部との間には、溝が設けられていて、溝には、非磁性材料で形成された円形状のスペーサが嵌合していて、スペーサは、円環状の本体と、本体の内周側から中心に向かって延長された複数の舌片部とを備え、舌片部が等間隔に配置されているとともに、等間隔に配置された舌片部の少なくとも1つが欠落した幅狭部が形成されていて、舌片部の内径は、固定鉄心の小径部より小さく、幅狭部の内径は、固定鉄心の小径部より大きいことを特徴とする。
【0013】
上記構成では、スペーサが円環状の本体を備えているため、保管時に他のスペーサの本体と絡み合うことがなく、スペーサ同士を絡みにくくすることができる。またコイルが励磁されると、可動鉄心が固定鉄心の溝に装着されたスペーサに向かって移動し、可動鉄心が円環状の本体を備えた円形状のスペーサに当接し衝突する。このため、可動鉄心が例えば周面の一部が切り欠かれたC字形状のスペーサに衝突する場合に比べて、可動鉄心が衝突するスペーサの面積が大きくなり、スペーサの強度を向上させることができる。
【0014】
また、スペーサの舌片部の内径が固定鉄心の小径部より小さく、舌片部が欠落したことで形成された幅狭部の内径が固定鉄心の小径部より大きい。このため、スペーサを固定鉄心の小径部側から挿入して溝に装着させるとき、舌片部が固定鉄心の小径部に接して軸方向に変形しつつ、幅狭部が固定鉄心の小径部に接触しない。
【0015】
これにより、固定鉄心の小径部にスペーサを挿入するときの軸方向の抵抗を小さくすることができ、スペーサを溝に取り付ける作業性を向上させることができる。さらに、スペーサが円環状の本体を備えているため、スペーサを溝に装着するときスペーサが径方向に変形することを確実に抑制することができる。
【0016】
上記の舌片部は、円環状の本体の内周側から中心に向かって延びる基部と、基部の先端から円周方向に延びる円弧部とを有するとよい。
【0017】
これにより、舌片部の円弧部と円環状の本体の内周との間には隙間が形成されている。そして舌片部は、基部と円弧部とからなるL字状に形成されている。このため、スペーサを固定鉄心の溝に装着させるとき、舌片部の円弧部が固定鉄心の小径部に接しつつ基部が軸方向に確実に変形することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、保管時にスペーサ同士を絡みにくくするとともに、固定鉄心への組み付け作業時にスペーサが径方向に変形することを確実に抑制し、さらに可動鉄心の衝突時でのスペーサの強度を向上させることができる直流電磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態における直流電磁石を示す図である。
図2図1の直流電磁石の要部を示す図である。
図3図2の直流電磁石のスペーサおよび比較例を示す図である。
図4図3のスペーサの変形例および比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態における直流電磁石100を示す図である。直流電磁石100は、例えば弁装置102に適用されていて、コイル104と、可動鉄心106と、固定鉄心108とを備える。
【0022】
コイル104は、ハウジング110内に配置されている。固定鉄心108は、可動鉄心106に対向して配置されていて、可動鉄心106側に形成された小径部112と大径部114を有する。このため、固定鉄心108の可動鉄心106側は、小径部112と大径部114からなる凸形状となっている。また固定鉄心108は、軸方向に延びる貫通孔116を有し、貫通孔116にはロッド118が挿通されている。
【0023】
直流電磁石100では、コイル104を励磁すると、可動鉄心106が吸引されて固定鉄心108に向かって移動可能となっている。可動鉄心106は、固定鉄心108側の端面120が固定鉄心108の凸形状に対応する凹形状を有する。
【0024】
可動鉄心106の端面120は、中央部122と縁部124とを有する。中央部122は、固定鉄心108の小径部112に対向していて、ロッド118に接している。縁部124は、固定鉄心108の大径部114に対向していて、中央部122よりも固定鉄心108側に向かって突出している。このようにして、可動鉄心106の端面120は、凹形状となっている。またロッド118は、弁装置102のスプール126にも接している。なお固定鉄心108の大径部114の外周面には、ソレノイドガイド127が嵌合して溶接されている。
【0025】
図2は、図1の直流電磁石100の要部を示す図である。図2(a)は、固定鉄心108を示している。図2(b)は、図2(a)の一部を拡大して示している。固定鉄心108は、溝128を有する。溝128は、図示のように固定鉄心108の小径部112と大径部114との間に設けられている。
【0026】
直流電磁石100はさらに、スペーサ130を備える。スペーサ130は、非磁性材料で形成された円形状であって、固定鉄心108の溝128に嵌合している。またスペーサ130は、固定鉄心108の小径部112側から挿入されて溝128に装着される。
【0027】
直流電磁石100では、図1に示すコイル104が励磁されると、可動鉄心106が固定鉄心108の溝128に装着されたスペーサ130に向かって移動し、可動鉄心106の端面120の縁部124がスペーサ130に当接する。このように直流電磁石100は、可動鉄心106と固定鉄心108の間にスペーサ130を介在させることにより、通電時に可動鉄心106と固定鉄心108が直接吸着することを防止している。
【0028】
ここで、通電時に可動鉄心106と固定鉄心108が直接吸着すると、通電を切ったときに残留磁束のために可動鉄心106が固定鉄心108から離れにくくなり、可動鉄心106の応答性が低下してしまう。そこで直流電磁石100では、可動鉄心106と固定鉄心108の間にスペーサ130を介在させて、このような事態を回避している。
【0029】
なお直流電磁石100では、コイル104が励磁されて、可動鉄心106がスペーサ130に向かって移動すると、可動鉄心106の端面120の中央部122がロッド118を押し付けて移動させ、ロッド118を介してスプール126が切り換えられる。
【0030】
また直流電磁石100は、通電を切ってコイル104を非励磁とした場合、不図示のばね部材の付勢力によってスプール126がロッド118を可動鉄心106に向かって押し付ける。そして可動鉄心106は、その端面120の中央部122がロッド118により押し付けられることで移動し、例えば初期位置に戻される。
【0031】
図3は、図2の直流電磁石100のスペーサ130および比較例を示す図である。スペーサ130は、図3(a)に示すように円環状の本体132と、複数(ここでは5つ)の舌片部134と、幅狭部136とを備える。なお図3(a)には、固定鉄心108の小径部112を点線で示している。
【0032】
舌片部134は、本体132の内周側から中心に向かって延長された部位であって、基部138と円弧部140とを有する。基部138は、本体132の内周側から中心に向かって延びている。円弧部140は、基部138の先端142から円周方向に延びている。このため、舌片部134の円弧部140と円環状の本体132の内周との間には、隙間144が形成されている。
【0033】
また舌片部134は、本体132の内周側に等間隔で配置されている。このため、隣接する舌片部134の間には、隙間146が形成されている。このようにして舌片部134は、基部138と円弧部140とからなるL字状に形成されている。
【0034】
幅狭部136は、等間隔に配置された舌片部134の1つが欠落したことで形成された部位である。つまりスペーサ130では、円環状の本体132の内周側の全周にわたって舌片部134を設けるのではなく、少なくとも1つの舌片部134を欠落させることで意図的に幅狭部136を形成している。
【0035】
また固定鉄心108の小径部112の外径は、図2(a)および図3(a)に示すように寸法Laである。舌片部134の内径は、図3(a)に示すように寸法Lbである。さらに幅狭部136の内径すなわち円環状の本体132の内径は、図3(a)に示すように寸法Lcである。
【0036】
図3(a)に示すように、舌片部134の内径の寸法Lbは、固定鉄心108の小径部112の外径の寸法Laより小さい。また幅狭部136の内径の寸法Lcは、固定鉄心108の小径部112の外径の寸法Laより大きい。
【0037】
このような直流電磁石100では、スペーサ130が円環状の本体132を備えているため、保管時に他のスペーサ130の本体132と絡み合うことがなく、スペーサ130同士を絡みにくくすることができる。
【0038】
また直流電磁石100では、コイル104が励磁されると、可動鉄心106が固定鉄心108の溝128に装着されたスペーサ130に向かって移動し、可動鉄心106が円環状の本体132を備えた円形状のスペーサ130に当接し衝突する。このため、可動鉄心106が例えば周面の一部が切り欠かれたC字形状のスペーサに衝突する場合に比べて、可動鉄心106が衝突するスペーサ130の面積が大きくなり、スペーサ130の強度を向上させることができる。
【0039】
さらにスペーサ130は、舌片部134の内径が固定鉄心108の小径部112より小さく、舌片部134が欠落したことで形成された幅狭部136の内径が固定鉄心108の小径部112より大きい。また舌片部134は、基部138と円弧部140とからなるL字状に形成されている。
【0040】
このため直流電磁石100では、スペーサ130を固定鉄心108の小径部112側から挿入して溝128に装着させるとき、舌片部134が固定鉄心108の小径部112に接して軸方向に変形しつつ、幅狭部136が固定鉄心108の小径部112に接触しない。このとき、舌片部134は、円弧部140が固定鉄心108の小径部112に接しつつ、例えば基部138が軸方向に確実に変形する。
【0041】
これにより直流電磁石100では、固定鉄心108の小径部112にスペーサ130を挿入するときの軸方向の抵抗を小さくすることができ、スペーサ130を溝128に取り付ける作業性を向上させることができる。さらに、スペーサ130が円環状の本体132を備えているため、スペーサ130を溝128に装着するとき、スペーサ130が径方向に変形することを確実に抑制することができる。
【0042】
図3(b)に示す比較例のスペーサ150は、円環状の本体152と複数(ここでは6つ)の舌片部154とを有する。スペーサ150は、本体152の内周側の全周に舌片部154を等間隔に配置して、上記幅狭部136を形成していない点で、スペーサ130と異なる。また図示は省略するが、スペーサ150の舌片部154の内径は、固定鉄心108の小径部112より小さくなっている。
【0043】
このためスペーサ150では、固定鉄心108の小径部112側から挿入して溝128に装着させるとき、本体152の内周側の全周に配置された全ての舌片部154が固定鉄心108の小径部112に接して軸方向に変形する。このため、固定鉄心108の小径部112にスペーサ150を挿入するときの軸方向の抵抗が大きくなり、スペーサ150を溝128に取り付け難くなってしまう。
【0044】
図4は、図3のスペーサ130の変形例および比較例を示す図である。図4(a)に示す変形例のスペーサ130Aは、円環状の本体132Aと、本体132Aの内周側に等間隔に配置された複数(ここでは4つ)の舌片部134Aと、舌片部134Aの1つが欠落したことで形成された幅狭部136Aとを備える。
【0045】
また図示は省略するが、舌片部134Aの内径は、固定鉄心108の小径部112より小さい。幅狭部136Aの内径は、固定鉄心108の小径部112より大きい。
【0046】
図4(b)に示す比較例のスペーサ150Aは、円環状の本体152Aと、複数(ここでは5つ)の舌片部154Aとを有する。スペーサ150Aは、本体152Aの内周側の全周に舌片部154を等間隔に配置して、上記幅狭部136、136Aを形成していない点で、スペーサ130、130Aと異なる。また図示は省略するが、スペーサ150Aの舌片部154Aの内径は、固定鉄心108の小径部112より小さくなっている。
【0047】
このためスペーサ150Aでは、固定鉄心108の小径部112に挿入するとき、全ての舌片部154Aが固定鉄心108の小径部112に接して軸方向に変形するため、軸方向の抵抗が大きくなり、スペーサ150Aを溝128に取り付け難くなってしまう。
【0048】
これに対して図4(a)に示す変形例のスペーサ130Aは、スペーサ130(図3(a)参照)に比べて舌片部134Aの数が少ないものの、幅狭部136Aを備えている。このため直流電磁石100では、スペーサ130Aを固定鉄心108の小径部112側から挿入して溝128に装着させるとき、舌片部134Aが固定鉄心108の小径部112に接して軸方向に変形しつつ、幅狭部136Aが固定鉄心108の小径部112に接触しない。
【0049】
これにより直流電磁石100では、固定鉄心108の小径部112にスペーサ130Aを挿入するときの軸方向の抵抗を小さくすることができ、スペーサ130Aを溝128に取り付ける作業性を向上させることができる。
【0050】
なお上記スペーサ130、130Aでは、本体132、132Aの内周側に等間隔に配置された舌片部134、134Aの1つが欠落することで幅狭部136、136Aを形成したが、これに限定されず、2つ以上の舌片部134、134Aが欠落して幅狭部を形成するようにしてもよい。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、コイルの励磁により移動する可動鉄心と、可動鉄心に対向して配置された固定鉄心とを有する直流電磁石として利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
100…直流電磁石、102…弁装置、104…コイル、106…可動鉄心、108…固定鉄心、110…ハウジング、112…小径部、114…大径部、116…貫通孔、118…ロッド、120…可動鉄心の端面、122…端面の中央部、124…端面の縁部、126…スプール、127…ソレノイドガイド、128…溝、130、130A、150、150A…スペーサ、132、132A、152、152A…スペーサの本体、134、134A、154、154A…舌片部、136、136A…幅狭部、138…舌片部の基部、140…円弧部、142…基部の先端、144、146…隙間
【要約】
【課題】保管時にスペーサ同士を絡みにくくするとともに、固定鉄心への組み付け作業時にスペーサが径方向に変形することを確実に抑制し、さらに可動鉄心の衝突時でのスペーサの強度を向上させることができる直流電磁石を提供する。
【解決手段】直流電磁石100は、コイル104、可動鉄心106および固定鉄心108を有し、固定鉄心は、可動鉄心側に形成された小径部112と大径部114を有し、可動鉄心は、固定鉄心の凸形状に対応する凹形状を有し、固定鉄心の小径部と大径部との間に設けられた溝128には、円環状の本体132と、本体の内周側から中心に向かって延長された複数の舌片部134とを備える円形状のスペーサ130が嵌合していて、スペーサには、舌片部が等間隔に配置され、舌片部の少なくとも1つが欠落した幅狭部136が形成されていて、舌片部の内径は、固定鉄心の小径部より小さく、幅狭部の内径は、固定鉄心の小径部より大きい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4