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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】給油所システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/24 20100101AFI20220818BHJP
   B67D 7/22 20100101ALI20220818BHJP
【FI】
B67D7/24 C
B67D7/22 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019131735
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2020111387
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2019001697
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】江守 一
(72)【発明者】
【氏名】栗原 孝司
(72)【発明者】
【氏名】田中 和則
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-100289(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0106196(US,A1)
【文献】特開2010-235117(JP,A)
【文献】特開2010-235210(JP,A)
【文献】特開2006-188992(JP,A)
【文献】特開2014-055023(JP,A)
【文献】特開2018-070218(JP,A)
【文献】特開2003-231597(JP,A)
【文献】特開2020-070089(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098289(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0058149(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油設定を行うデータ入出力機を有する給油装置と、
前記給油設定がなされた給油装置の近傍の所定の範囲内に電波を発信する電波発信手段と、
該電波発信手段から電波を受信してから所定時間経過すると、給油許可信号が出力可能になる携帯端末と、
該携帯端末から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする制御装置とを備えることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
給油設定を行うデータ入出力機を有する給油装置と、
前記給油設定がなされた給油装置の近傍の所定の範囲内に電波を発信する電波発信手段と、
該電波発信手段から電波を受信した後、前記給油装置の識別コードを読み込むことで、給油許可信号を前記給油装置に出力する携帯端末と、
該携帯端末から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする制御装置とを備えることを特徴とする給油所システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、前記電波を受信してから所定時間経過した後、前記給油装置の識別コードを読み込むことで、前記給油許可信号を出力可能になることを特徴とする請求項2に記載の給油所システム。
【請求項4】
給油設定を行うデータ入出力機を有する給油装置と、
前記給油設定がなされた給油装置の近傍の所定の範囲内に電波を発信する電波発信手段と、
該電波発信手段から電波を受信すると、画面に識別コードが表示される携帯端末と、
前記識別コードを前記給油装置に読み込ませると、該給油装置を給油可能状態にする制御装置とを備えることを特徴とする給油所システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、前記電波を受信してから所定時間経過すると、前記識別コードを表示
することを特徴とする請求項4に記載の給油所システム。
【請求項6】
前記電波発信手段は、複数の給油装置のために、前記電波と、前記給油設定がなされた給油装置の識別情報を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の給油所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システムに関し、特に、セルフサービス方式の給油所において顧客の安全を確保する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人件費削減等の目的で給油作業、窓拭き等のサービス作業、及び給油料金の精算作業を顧客自身が行うセルフサービス方式の給油所が急増している。このようなセルフサービス方式の給油所では、事務所内に集中制御装置(セルフサービスコンソール:SSC)が設置されて給油所作業員が待機し、顧客の操作により給油装置から給油要求があった場合、当該給油エリアの安全を目視確認した後にSSCを操作して給油を許可する。
【0003】
一方、セルフサービス方式の給油所において、セルフサービスによる給油に不慣れな顧客に対して説明を行う必要が生じても、給油所作業員が少ない場合には、上記作業を行うためにSSCの前から離れることができないことも多く、円滑にサービスを提供できないおそれがある。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献1において、複数台の給油機と、該給油機を制御するセルフコンソール及びPOS端末を有するセルフ給油管理システムにおいて、携帯端末による無線で給油許可信号を出力することで給油機による給油を許可することが可能な給油管理システムを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-100289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記発明も有効であるが、携帯端末において給油許可信号の出力条件が存在しないため、顧客の安全を確認できない場合でも給油が許可される可能性を否定できなかった。
【0007】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができる給油所システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機を有する給油装置と、前記給油設定がなされた給油装置の近傍の所定の範囲内に電波を発信する電波発信手段と、該電波発信手段から電波を受信してから所定時間経過すると、給油許可信号が出力可能になる携帯端末と、該携帯端末から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする制御装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、携帯端末における給油許可信号の出力条件を、給油装置の近傍における電波の受信とすることで、携帯端末を携帯する給油所作業員が給油装置の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。また、前記携帯端末は、前記電波を受信してから所定時間経過すると、前記給油許可信号を出力可能になるようにすることで、給油所作業員が顧客の安全を確認してから給油許可を出力することができる。
【0011】
また、本発明は、給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機を有する給油装置と、前記給油設定がなされた給油装置の近傍の所定の範囲内に電波を発信する電波発信手段と、該電波発信手段から電波を受信した後、前記給油装置の識別コードを読み込むことで、給油許可信号を前記給油装置に出力する携帯端末と、該携帯端末から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする制御装置とを備えることを特徴とする。本発明によれば、給油所作業員は給油装置まで行くこととなるため、顧客の安全確認がより確実に行われる。
【0012】
また、本発明は、給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機を有する給油装置と、前記給油設定がなされた給油装置の近傍の所定の範囲内に電波を発信する電波発信手段と、該電波発信手段から電波を受信すると、画面に識別コードが表示される携帯端末と、前記識別コードを前記給油装置に読み込ませると、該給油装置を給油可能状態にする制御装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、給油装置を給油可能状態にする条件を、携帯端末の画面に表示された識別コードを給油装置に読み込ませることとすることで、携帯端末を携帯する給油所作業員が給油装置の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。
【0014】
上記給油所システムにおいて、前記携帯端末は、前記電波を受信してから所定時間経過すると、前記識別コードを表示するようにすることで、給油所作業員が顧客の安全を確認してから給油装置を給油可能状態にすることができる。
【0015】
上記給油所システムにおいて、前記電波発信手段を、複数の給油装置のために、前記電波と、前記給油設定がなされた給油装置の識別情報を出力するように構成することで、給油装置毎に電波発信手段を設ける必要がなくなり、設備コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができる給油所システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る給油所システムの第1の実施形態について説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの概略図を、(b)及び(c)は携帯端末の表 示画面を各々示す。
図2図1に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
図3図1に示す給油所システムの変形例について説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの概略図を、(b)及び(c)はスマートウォッチの表示 画面を各々示す。
図4】本発明に係る給油所システムの第2の実施形態について説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの概略図を、(b)及び(c)は携帯端末の表示画面を各々示す。
図5図4に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
図6図4に示す給油所システムの変形例について説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの概略図を、(b)及び(c)はスマートウォッチの表示 画面を各々示す。
図7】本発明に係る給油所システムの第3の実施形態について説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの概略図を、(b)及び(c)は携帯端末の表示画面を各々示す。
図8図7に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
図9図7に示す給油所システムの変形例について説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの概略図を、(b)及び(c)はスマートウォッチの表示 画面を各々示す。
図10】本発明に係る給油所システムの参考例について説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの概略図を、(b)は携帯端末の表示画面を各々示す。
図11図10に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
図12】本発明に係る給油所システムの第の実施形態を説明するための概略図であって、(a)は給油所システムの一部を示す概略図を、(b)及び(c)は携帯端末の表示画面を、(d)及び(e)はスマートウォッチの表示画面を各々示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明に係る給油所システムの第1の実施形態を示し、この給油所システム1は、データ入出力機2aを有する給油装置2と、SSC(セルフサービスコンソール、制御装置)3aを有するPOS3と、給油所作業員が携帯する携帯端末4とで構成される。尚、説明の都合上、図1(a)に給油装置2とデータ入出力機2aを2つずつ記載したが、2つの給油装置2及びデータ入出力機2aは各々同一の1つの装置である。
【0020】
給油装置2は、POS3に給油要求信号を出力するデータ入出力機2aの他に、給油データ等を表示する表示器2bと、給油装置2の近傍の所定の範囲内に信号を出力する(電波を発する)ビーコン2cと、その他、通常の給油装置に設けられる給油系統等を備える。
【0021】
POS3は、給油設定がされた給油装置2に、ビーコン信号を出力するよう指示するビーコン信号出力指示信号を出力する点で従来と異なり、その他の構成は従来と同様である。
【0022】
SSC3aは、携帯端末4から給油許可信号が入力された際に、給油装置2に給油機駆動信号を出力するために設けられる。
【0023】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、図1及び図2を参照しながら説明する。尚、図2のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0024】
データ入出力機2aのステップS1において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS1;Yes)、POS3及びSSC3aに給油設定を行った給油装置2の識別情報を含む給油条件を出力してデータ入出力機2aの動作を終了する(ステップS2)。
【0025】
ステップS11において、データ入出力機2aから給油条件が入力されたPOS3は(ステップS11;Yes)、給油装置2にビーコン信号出力指示信号を出力する(ステップS12)。
【0026】
ステップS21において、ビーコン信号出力指示信号が入力された給油装置2は(ステップS21;Yes)、給油装置2の近傍の所定の範囲を通信可能範囲A1(図1(a)参照)とするビーコン信号をビーコン2cから出力し(ステップS22)、さらにステップS23において、ノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS23;Yes)、給油要求信号をPOS3及びSSC3aに出力する(ステップS24)。
【0027】
ステップS13において、給油装置2から給油要求信号が入力されたPOS3は(ステップS13;Yes)、給油要求表示信号をSSC3aに出力する(ステップS14)。
【0028】
ステップS42によって給油要求信号が入力されたSSC3aにおいて(ステップS42;Yes)、ステップS43でPOS3から給油要求表示信号が入力されると(ステップS43;Yes)、携帯端末4に給油設定を行った給油装置2の識別情報を含む給油要求表示信号を転送する(ステップS44)。ステップS51において、SSC3aから給油要求表示信号が入力された携帯端末4は、図1(b)に示すように、画面に給油要求がなされた給油装置2の識別情報(1は装置番号、Aは給油エリア)を表示して給油所作業員に給油装置2を使用する顧客の安全確認を促す(ステップS52)。
【0029】
携帯端末4のステップS53において、給油装置2のビーコン2cからビーコン信号が入力され(ステップS53;Yes)、給油所作業員が給油装置2を使用する顧客の安全を確認し、ビーコン信号が入力されてからの経過時間Tが所定時間t1に達すると(ステップS54;Yes)、給油所作業員が給油装置2を使用する顧客の安全を確認したと判定し、図1(c)に示すように、給油許可信号の出力を実行するためのOK釦4aを携帯端末4の画面に表示する(ステップS55)。
【0030】
ステップS56において、顧客の安全を確認した給油所作業員がOK釦4aを押圧すると(ステップS56;Yes)、SSC3aに給油許可信号を出力して携帯端末4の動作を終了する(ステップS57)。ステップS45において、給油許可信号が入力されたSSC3aは(ステップS45;Yes)、給油装置2に給油装置駆動信号及び給油条件を出力して動作を終了する(ステップS46)。
【0031】
ステップS25において、給油装置駆動信号及び給油条件が入力された給油装置2は(ステップS25;Yes)、入力された給油条件の下で給油可能な状態となり、表示器2bにリセット信号を送信することで前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)を行い、給油ポンプを駆動すると共に、ステップS22にて出力していたビーコン信号の出力を停止する(ステップS26)。
【0032】
ステップS27において、給油ノズルより燃料油が吐出されることで流量パルス信号が表示器に出力され(ステップS27;Yes)、表示器2bに給油量の表示(計数表示)がされる(ステップS28)。
【0033】
ステップS29において、顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになると(ステップS29;Yes)、給油ポンプを停止し(ステップS30)、POS3に給油データを出力して給油装置2の動作を終了する(ステップS31)。
【0034】
ステップS15で給油装置2から給油データが入力されたPOS3は(ステップS15;Yes)、売上げ管理のために入力された給油データを保存して動作を終了する(ステップS16)。
【0035】
以上のように、本実施の形態によれば、携帯端末4における給油許可信号の出力条件を、給油装置2の近傍における電波の受信とすることで、携帯端末4を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。
【0036】
次に、上記給油所システム1の変形例について図3を参照しながら説明する。この変形例における給油所システム1Vは、図3(a)に示すように、上記携帯端末4(図1参照)に代えてスマートウォッチ9を備え、SSC3aがPOS3から分離されている点で上記給油所システム1と相違する。
【0037】
スマートウォッチ9は、腕時計型で、従来より小型のスマートフォンであり、携帯端末4と同様に表示機能や通信機能を備える。各々独立したPOS3及びSSC3aは、情報授受が行えるように接続される。尚、給油所システム1Vの動作は、図2に示す動作と同様であり、携帯端末4の動作をスマートウォッチ9が代わりに行う。
【0038】
本給油所システム1Vによっても、上記給油所システム1と同様に、スマートウォッチ9を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。尚、給油要求時(図2のステップS51に対応)及びビーコン2cから電波を受信した際(図2のステップS55に対応)のスマートウォッチ9の表示画面は、図3(b)及び(c)に示す通りであり、図3(c)に示すように、スマートウォッチ9の画面にもOK釦9aが表示される。
【0039】
次に、本発明に係る給油所システムの第2の実施形態について、主に図4図6を参照しながら説明する。以下、上記第1の実施形態に関連して図1も参照しながら説明する場合がある。
【0040】
図4に示すように、本実施の形態における給油所システム11は、上記第1の実施形態の給油所システム1の給油装置2及び携帯端末4とは異なる構成を有する給油装置12及び携帯端末14を備え、上記給油所システム1のPOS3及びSSC3aを備える。
【0041】
給油装置12は、上記給油装置2のデータ入出力機2a、表示器2b及びビーコン2cに加え、識別コード読取部12aをさらに備える。携帯端末14は、給油要求時には給油装置12の識別情報を画面に表示し(図4(b)参照)、ビーコン2cから電波を受信した際には識別コード14aを画面に表示するように構成される(図4(c)参照)。
【0042】
上記構成を有する給油所システム11は、上記給油所システム1のように携帯端末4がビーコン2cの通信可能範囲A1の中でOK釦4aを押圧するのではなく、OK釦4aの押圧の代わりに携帯端末14の識別コード14aを給油装置12の識別コード読取部12aに読み込ませることで給油装置12の給油を許可する。
【0043】
以下、給油所システム11の動作について主に図5を参照しながら詳しく説明する。尚、同図において、図2に示す上記給油所システム1の動作と同一のステップについては同一の参照番号を付す。また、図5のルートが分岐するステップにおいても、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0044】
データ入出力機2aのステップS1において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS1;Yes)、POS3及びSSC3aに給油設定を行った給油装置12の識別情報を含む給油条件を出力してデータ入出力機2aの動作を終了する(ステップS2)。
【0045】
ステップS11において、データ入出力機2aから給油条件が入力されたPOS3は(ステップS11;Yes)、給油装置12にビーコン信号出力指示信号を出力する(ステップS12)。
【0046】
ステップS21において、ビーコン信号出力指示信号が入力された給油装置12は(ステップS21;Yes)、給油装置12の近傍の所定の範囲を通信可能範囲A1(図4(a)参照)とするビーコン信号をビーコン2cから出力し(ステップS22)、さらにステップS23において、ノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS23;Yes)、給油要求信号をPOS3及びSSC3aに出力する(ステップS24)。
【0047】
ステップS13において、給油装置12から給油要求信号が入力されたPOS3は(ステップS13;Yes)、給油要求表示信号をSSC3aに出力する(ステップS14)。
【0048】
ステップS42によって給油要求信号が入力されたSSC3aにおいて(ステップS42;Yes)、ステップS43でPOS3から給油要求表示信号が入力されると(ステップS43;Yes)、携帯端末14に給油設定を行った給油装置12の識別情報を含む給油要求表示信号を転送する(ステップS44)。ステップS51において、SSC3aから給油要求表示信号が入力された携帯端末14は、図4(b)に示すように、給油要求がなされた給油装置12の識別情報を画面に表示して給油所作業員に給油装置12を使用する顧客の安全確認を促す(ステップS52)。
【0049】
携帯端末14のステップS53において、給油装置12のビーコン2cからビーコン信号が入力され(ステップS53;Yes)、給油所作業員が給油装置12を使用する顧客の安全を確認し、ビーコン信号が入力されてからの経過時間Tが所定時間t1に達すると(ステップS54;Yes)、給油所作業員が給油装置12を使用する顧客の安全を確認したと判定し、図4(c)に示すように、給油装置12に給油許可信号を出力させるための識別コード14aを携帯端末14の画面に表示し、携帯端末14の識別コード14aを給油装置12の識別コード読取部12aに読み込ませ、携帯端末14の動作を終了する(ステップS61)。
【0050】
ステップS62において、携帯端末14の識別コード14aを読み取った給油装置12は(ステップS62;Yes)、SSC3aに給油許可信号を出力する(ステップS63)。ステップS45において、給油許可信号が入力されたSSC3aは(ステップS45;Yes)、給油装置12に給油装置駆動信号及び給油条件を出力して動作を終了する(ステップS46)。
【0051】
ステップS25において、給油装置駆動信号が入力された給油装置12は(ステップS25;Yes)、入力された給油条件の下で給油可能な状態となり、表示器2bにリセット信号を送信することで前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)を行い、給油ポンプを駆動すると共に、ステップS22にて出力していたビーコン信号の出力を停止する(ステップS26)。
【0052】
ステップS27において、給油ノズルより燃料油が吐出されることで流量パルス信号が表示器に出力され(ステップS27;Yes)、表示器2bに給油量の表示(計数表示)がされる(ステップS28)。
【0053】
ステップS29において、顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになると(ステップS29;Yes)、給油ポンプを停止し(ステップS30)、POS3に給油データを出力して給油装置12の動作を終了する(ステップS31)。
【0054】
ステップS15で給油装置12から給油データが入力されたPOS3は(ステップS15;Yes)、売上げ管理のために入力された給油データを保存して動作を終了する(ステップS16)。
【0055】
本実施の形態によれば、給油許可信号の出力に際し、給油所作業員は、携帯端末14の識別コード14aを給油装置12の識別コード読取部12aに読み込ませるため給油装置12まで行くこととなる。そのため、顧客の安全確認がより確実に行われる。
【0056】
次に、図4に示す上記給油所システム11の変形例について図6を参照しながら説明する。この変形例における給油所システム11Vは、図1の給油所システム1の変形例である図3の給油所システム1Vと同様、図6(a)に示すように、上記携帯端末14に代えてスマートウォッチ19を備え、SSC3aがPOS3から分離されている点で上記給油所システム11と相違する。
【0057】
本給油所システム11Vによっても、上記給油所システム11と同様に、給油許可信号の出力に際し、給油所作業員は、スマートウォッチ19の識別コード19aを給油装置12の識別コード読取部12aに読み込ませるために給油装置12まで行くこととなる。そのため、給油所作業員による顧客の安全確認がより確実に行われる。尚、給油要求時(図5のステップS51に対応)及びビーコン2cから電波を受信した際(図5のステップS61に対応)のスマートウォッチ19の表示画面は、図6(b)及び(c)に示す通りである。
【0058】
次に、本発明に係る給油所システムの第3の実施形態について、主に図7図9を参照しながら説明する。以下、上記第1及び第2の実施形態に関連して図1図6も参照しながら説明する場合がある。
【0059】
図7に示すように、本実施の形態における給油所システム21は、上記第2の実施形態の給油所システム11の識別コード14aの表示と読込を逆の装置で行うように構成され、給油装置22が識別コード22aを備え(図7(a)参照)、携帯端末24が識別コード読取部24aを備える(図7(c)参照)。
【0060】
識別コード22aは、給油装置22の本体表面に貼付されるシール等に印字される。尚、識別コード22aの上に別の識別コードが貼付され、給油所作業員が全く関係のない識別コードを読み取ってしまうことを防止するため、データ入出力機2aに識別コードを表示することもできる。
【0061】
携帯端末24は、給油要求時には給油装置22の識別情報を画面に表示し(図7(b)参照)、給油許可出力時には識別コード読取部24aを画面に表示するように構成される(図7(c)参照)。
【0062】
上記構成を有する給油所システム21の動作を図8に示す。同図において、図2及び図5に示す上記給油所システム1、11の動作と同一のステップには同一の参照番号を付す。携帯端末24のステップS71において、携帯端末24の識別コード読取部24aで給油装置22の識別コード22aを読み取る点以外は、上記給油所システム1、11における動作説明の通りであり、識別コード読取部24aで識別コード22aを読み取ることで(ステップS71;Yes)、SSC3aに給油許可信号が出力され(ステップS57)、ステップS45において、給油許可信号が入力されたSSC3aは(ステップS45;Yes)、給油装置22に給油装置駆動信号及び給油条件を出力して動作を終了する(ステップS46)。
【0063】
また、上記給油所システム1V、11Vと同様、図9に示すように、上記給油所システム21の携帯端末24(図7参照)をスマートウォッチ29に置き換えて給油所システム21Vを構成することもできる。スマートウォッチ29の表示画面は、図9(b)及び(c)の通りであり、上記条件を満たせば、スマートウォッチ29にも識別コード読取部29aが表示される。
【0064】
このように、本実施の形態でも、給油許可信号の出力に際し、給油所作業員は、携帯端末24の識別コード読取部24aで給油装置22の識別コード22aを読み取るために給油装置24まで行くこととなる。そのため、給油所作業員による顧客の安全確認がより確実に行われる。
【0065】
次に、本発明に係る給油所システムの参考例について、主に図10及び図11を参照しながら説明する。以下、上記第1~第3の実施形態に関連して図1図9も参照しながら説明する場合がある。
【0066】
図10に示すように、本参考例における給油所システム31は、給油装置32がNFC(Near Field Communication、近距離無線通信)タグ32aを備え(図10(a)参照)、携帯端末34がNFCタグ32aと近距離通信可能に構成され、給油装置32と携帯端末34の間でNFCによる近距離通信が確立された際にPOS33によって給油が許可されるように構成される。
【0067】
NFCタグ32aは、携帯端末34で対応可能な規格であり、携帯端末34で対応可能ものであればその規格は問わない。また、NFCタグ32aは、ビーコン2cが常にON(発信状態)であっても携帯端末34と通信可能である。
【0068】
携帯端末34は、給油要求時には給油装置32の識別情報を画面に表示するように構成される(図10(b)参照)。
【0069】
POS33は、給油装置32から入力される給油装置32の識別情報と、携帯端末34から入力されるNFCデータ内の給油装置32の識別情報とを比較し、これらが一致する場合にSSC3aに給油許可信号を出力するために設けられる。
【0070】
上記構成を有する給油所システム31の動作を図11に示す。同図において、図2図5及び図8に示す上記給油所システム1、11、21の動作と同一のステップには同一の参照番号を付す。尚、図11においても、ルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0071】
データ入出力機2aのステップS1において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS1;Yes)、POS33及びSSC3aに給油設定を行った給油装置32の識別情報を含む給油条件を出力してデータ入出力機2aの動作を終了する(ステップS2)。
【0072】
ステップS11において、データ入出力機2aから給油条件が入力されたPOS33は(ステップS11;Yes)、給油装置32にビーコン信号出力指示信号を出力する(ステップS12)。
【0073】
ステップS21において、ビーコン信号出力指示信号が入力された給油装置32は(ステップS21;Yes)、給油装置32の近傍の所定の範囲を通信可能範囲A1(図1(a)参照)とするビーコン信号をビーコン2cから出力し(ステップS22)、さらにステップS23において、ノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS23;Yes)、給油要求信号をPOS33及びSSC3aに出力する(ステップS24)。
【0074】
ステップS13において、給油装置32から給油要求信号が入力されたPOS33は(ステップS13;Yes)、給油要求表示信号をSSC3aに出力する(ステップS14)。
【0075】
ステップS42によって給油要求信号が入力されたSSC3aにおいて(ステップS42;Yes)、ステップS43でPOS33から給油要求表示信号が入力されると(ステップS43;Yes)、携帯端末34に給油設定を行った給油装置32の識別情報を含む給油要求表示信号を転送する(ステップS44)。ステップS51において、SSC3aから給油要求表示信号が入力された携帯端末34は、図10(b)に示すように、画面に給油要求がなされた給油装置32の識別情報(1は装置番号、Aは給油エリア)を表示して給油所作業員に給油装置32を使用する顧客の安全確認を促す(ステップS52)。
【0076】
携帯端末34のステップS53において、給油装置32のビーコン2cからビーコン信号が入力されると(ステップS53;Yes)、携帯端末34は給油装置32のNFCタグ32aと通信可能になり(ステップS71)、給油所作業員が給油装置32を使用する顧客の安全を確認し、携帯端末34を給油装置32のNFCタグ32aにかざすと、携帯端末34に給油装置32からNFCデータ(装置番号及び給油エリア)が入力され(ステップS72;Yes)、携帯端末34は、このNFCデータをPOS33に出力すると共に、NFCタグ32aとの通信を終了する(ステップS73)。
【0077】
POS33のステップS81において、携帯端末34からNFCデータが入力されると、このNFCデータに含まれる給油装置32の識別情報と、ステップS11で入力された給油装置32の識別情報とを比較し、両者が一致する場合には(ステップS82;Yes)、SSC3aに給油許可信号を出力する(ステップS83)。そして、携帯端末34は、ステップS74においてエラー表示信号が入力されていないため(ステップS74;No)、NFCデータを出力してからの経過時間Tが所定時間t1に達すると(ステップS75;Yes)、動作を終了する。
【0078】
SSC3aにPOS33から給油許可信号が入力された後(ステップS45;Yes)は、上記第1~第3の実施形態の動作と同様に、SSC3aのステップS46、給油装置32のステップS25~S31、POS33のステップS15及びS16の順に給油と給油データの保存等が行われ、SSC3a、給油装置32及びPOS33の動作を終了する。
【0079】
一方、POS33のステップS82において、給油装置32の識別情報が一致しない場合には(ステップS82;No)、POS33は携帯端末34にエラー表示信号を出力する(ステップS84)。POS33からエラー表示信号が入力された携帯端末34は(ステップS74;Yes)、画面にエラー表示することで給油所作業員に適切な給油装置32のNFCタグ32aに携帯端末34をかざすように促し、画面にエラーを表示してからの経過時間Tが所定時間t2に達すると、ステップS52へ戻り、給油要求がなされた給油装置32の識別情報を画面に再表示する。
【0080】
また、上記給油所システム1V、11V、21Vと同様、図示は省略するが、上記給油所システム31の携帯端末34をスマートウォッチに置き換えることもできる。
【0081】
このように、本参考例でも、給油許可信号の出力に際し、給油所作業員は、給油装置32のNFCタグ32aに携帯端末34やスマートウォッチをかざすために給油装置32まで行くこととなる。そのため、給油所作業員による顧客の安全確認がより確実に行われる。また、携帯端末34は、ビーコン信号が入力されたときにのみNFC送受信が可能になり、NFCデータが入力されるとNFCタグ32aとの通信を遮断するため、バッテリーの消耗を防止することができる。
【0082】
さらに、上記第3の実施形態は、給油装置22の識別コード22aが劣化したり、改ざんされた場合に給油許可信号を出力することができないおそれがあるが、本参考例はNFCタグ32aを利用するため、確実に給油許可信号を出力することができる。
【0083】
次に、本発明に係る給油所システムの第の実施形態について図12を参照しながら説明する。図12(a)に示すように、本例における給油所システム41では、給油所の事務所43の近傍に複数の給油装置42が設置され、各給油装置42に上記ビーコン2cが設けられていない代わりに、所定数(本例では4台)の給油装置42を通信可能範囲A2に含むビーコン45が設置される。尚、事務所43の中には上記POS3及びSSC3aが設置される。
【0084】
本給油所システム41によっても、上記第1~第の実施形態及び参考例と同様に、携帯端末やスマートウォッチを携帯する給油所作業員が給油装置の近傍まで移動して顧客の安全を確認することができるだけでなく、各給油装置42にビーコン2cを設けなくて済む分設備コストを低減することができる。
【0085】
尚、上記給油所システム41の携帯端末44の表示画面を、図12(b)及び(c)に示す。給油要求時には、給油装置42の識別情報(1A)がグレーアウトで表示され(図12(b)参照)、ビーコン45から電波を受信した際には、グレーアウトが解除されて押下可能になる(図12(c)参照)。第2~第の実施形態及び参考例では、押下の代わりに識別コードの読取りを行ったり、携帯端末をかざしてNFC通信を行う。尚、給油所システム41を携帯端末44ではなく、スマートウォッチ49で構成した場合における表示画面は、図12(d)及び(e)に示す通りである。
【0086】
尚、上記実施の形態では、電波発信手段としてビーコンを用いたが、携帯端末と通信できる発信手段(Wi-Fi(登録商標)等)は特に限定されない。
【符号の説明】
【0087】
1、1V 給油所システム
2 給油装置
2a データ入出力機
2b 表示器
2c ビーコン
3 POS
3a SSC
4 携帯端末
4a OK釦
9 スマートウォッチ
9a OK釦
11、11V 給油所システム
12 給油装置
12a 識別コード読取部
14 携帯端末
14a 識別コード
19 スマートウォッチ
19a 識別コード
21、21V 給油所システム
22 給油装置
22a 識別コード
24 携帯端末
24a 識別コード読取部
29 スマートウォッチ
29a 識別コード読取部
31 給油所システム
32 給油装置
32a NFCタグ
33 POS
34 携帯端末
41 給油所システム
42 給油装置
43 事務所
44 携帯端末
45 ビーコン
49 スマートウォッチ
A1、A2 通信可能範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12