(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】キャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20220818BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 541
H01G4/30 547
(21)【出願番号】P 2021016074
(22)【出願日】2021-02-03
(62)【分割の表示】P 2018554174の分割
【原出願日】2017-11-29
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2016234364
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】石田 宣博
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 淳子
(72)【発明者】
【氏名】原田 真臣
(72)【発明者】
【氏名】香川 武史
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-194595(JP,A)
【文献】特開2007-188957(JP,A)
【文献】特開2008-117873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面、前記第1主面と対向する第2主面、及び前記第1主面と前記第2主面とを繋ぐ第1端面を有する基板と、
前記基板の前記第1主面の上に設けられた下部電極と、
前記下部電極の上に設けられた誘電膜と、
前記誘電膜の上に設けられた上部電極と、
前記上部電極の上に設けられ前記基板よりも膜厚が薄い保護膜と、
前記第1端面の上に設けられ前記上部電極及び前記下部電極のいずれか一方と電気的に接続された第1端子電極と、
を備え
、
前記基板が、さらに、前記第1端面と対向する第2端面を有し、
さらに、前記第2端面の上に設けられ前記上部電極及び前記下部電極の他方と電気的に接続された第2端子電極を備え、
前記保護膜は、平面視したときに前記基板の前記第1主面の全域に亘って形成されている、キャパシタ。
【請求項2】
前記第1端子電極は、前記基板の前記第1端面から前記第2主面に亘って設けられる、
請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記基板の前記第1主面の上に設けられ、前記下部電極から電気的に離れており前記上部電極の端部と重なる下部部分をさらに備え、
前記第1端子電極は、前記下部部分に接続される、
請求項1又は2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記第2端子電極は、前記基板の前記第2端面から前記第2主面に亘って設けられる、
請求項
1から3のいずれか1項に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記下部電極の上に設けられ、前記上部電極から電気的に離れており前記下部電極の端部と重なる上部部分をさらに備え、
前記第2端子電極は、前記下部電極の前記上部部分と重なる領域に接続される、
請求項
1から4のいずれか1項に記載のキャパシタ。
【請求項6】
第1主面、前記第1主面と対向する第2主面、前記第1主面と前記第2主面とを繋ぐ第1端面、及び前記第2主面から前記第1主面までを貫通する第1貫通孔を有する基板と、
前記基板の前記第1主面の上に設けられた下部電極と、
前記下部電極の上に設けられた誘電膜と、
前記誘電膜の上に設けられた上部電極と、
前記上部電極の上に設けられ前記基板よりも膜厚が薄い保護膜と、
前記第1貫通孔の内部に設けられ前記上部電極及び前記下部電極のいずれか一方と電気的に接続された第1ビア電極と、
前記第2主面に設けられ前記第1ビア電極と電気的に接続された第1端子電極と、
を備え、
前記基板が、さらに、前記第1端面と対向する第2端面と、前記第2主面から前記第1主面までを貫通する第2貫通孔と、を有し、
さらに、前記第2貫通孔の内部に設けられ前記上部電極及び前記下部電極の他方と電気的に接続された第2ビア電極と、
前記第2主面に設けられ前記第2ビア電極と電気的に接続された第2端子電極と、を備え、
前記保護膜は、平面視したときに前記基板の前記第1主面の全域に亘って形成されている、
キャパシタ。
【請求項7】
前記第1端子電極は、前記基板の前記第2主面から前記第1端面に亘って設けられる、
請求項
6に記載のキャパシタ。
【請求項8】
前記第2端子電極は、前記基板の前記第2主面から前記第2端面に亘って設けられる、
請求項6又は
7に記載のキャパシタ。
【請求項9】
前記第1端子電極は、前記第1主面の法線方向から平面視したときに、前記上部電極、前記誘電膜及び前記下部電極によって構成された真性容量部の外側に位置する、
請求項1から
8のいずれか1項に記載のキャパシタ。
【請求項10】
前記第1主面及び前記第2主面は、平坦な面である、
請求項1から
9のいずれか1項に記載のキャパシタ。
【請求項11】
前記基板の厚みは、前記下部電極、前記誘電膜、前記上部電極、及び前記保護膜の厚みの合計よりも厚い、
請求項1から
10のいずれか1項に記載のキャパシタ。
【請求項12】
前記第1端面の少なくとも一部は、前記第2主面と成す角度が90°以上135°以下である、
請求項1から
11のいずれか1項に記載のキャパシタ。
【請求項13】
前記第1端面の少なくとも一部は、前記第2主面と成す角度が鈍角であるテーパ形状を有する、
請求項1から12のいずれか1項に記載のキャパシタ。
【請求項14】
基板の第1主面の上に下部電極を含む下部導電層を設ける工程と、
前記下部導電層の上に誘電膜を設ける工程と、
前記誘電膜の上に上部電極を含む上部導電層を設ける工程と、
前記上部導電層の上に保護膜を設ける工程と、
前記基板に前記第1主面と対向する第2主面を設ける工程と、
前記基板に前記第1主面と前記第2主面とを繋ぐ第1端面を設ける工程と、
前記上部電極及び前記下部電極のいずれか一方と電気的に接続された第1端子電極を前記第1端面の上に設ける工程と、
を含
み、
前記第1端面を設ける工程において、前記第1主面と前記第2主面とを繋ぎ前記第1端面と対向する第2端面を設け、
前記第1端子電極を設ける工程において、前記上部電極及び前記下部電極の他方と電気的に接続された第2端子電極を前記第2端面の上に設け、
前記保護膜は、平面視したときに前記基板の前記第1主面の全域に亘って形成されている、
キャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記第1端子電極を設ける工程において、前記第1端子電極を前記基板の前記第2主面に亘って設ける、
請求項
14に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記第2端子電極を設ける工程において、前記第2端子電極を前記基板の前記第2主面に亘って設ける、
請求項
14又は15に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記第1端子電極は、前記第1主面の法線方向から平面視したときに、前記上部電極、前記誘電膜及び前記下部電極によって構成された真性容量部の外側に位置する、
請求項
14から
16のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記第1主面及び前記第2主面は、平坦な面である、
請求項
14から
17のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記基板の厚みは、前記下部電極、前記誘電膜、前記上部電極、及び前記保護膜の厚みの合計よりも厚い、
請求項
14から
18のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記第1端面の少なくとも一部は、前記第2主面と成す角度が90°以上135°以下である、
請求項
14から
19のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項21】
前記下部導電層を設ける工程において、前記下部電極と、前記下部電極から電気的に離れた下部部分と、をパターン形成し、
前記第1端子電極を設ける工程において、前記上部電極の端部と重なる前記下部電極に前記第1端子電極を接続させる、
請求項
14又は
15に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項22】
前記上部導電層を設ける工程において、前記上部電極と、前記上部電極から電気的に離れており前記下部電極の端部と重なる上部部分と、をパターン成形し、
前記第2端子電極を設ける工程において、前記下部電極の前記上部部分と重なる領域に前記第2端子電極を接続させる、
請求項
14から21のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項23】
前記第1端面の少なくとも一部は、前記第2主面と成す角度が鈍角であるテーパ形状を有する、
請求項14から22のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路に用いられる代表的なキャパシタ素子として、例えばMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタがよく知られている。MIMキャパシタは、誘電体を下部電極と上部電極とで挟んだ平行平板型の構造を有するキャパシタである。例えば、特許文献1に記載のキャパシタは、下地電極と、該下地電極上に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された上部電極層と、上部電極層に接続された端子電極と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば高周波インピーダンス用マッチング素子として用いられる、容量値が0.1~数10pF程度のキャパシタは、狙い容量値が±0.05pFといった狭偏差で形成することが求められる。キャパシタを狙い通りの容量値で精度良く形成するためには、誘電体層を下部電極と上部電極とで挟んだMIM部の容量(真性容量)を高精度で形成するのに加えて、真性容量以外で発生する浮遊容量をできるだけ小さくすることが必要となる。例えば電極層の上に形成された保護層を挟んで端子電極と電極層とが対向するような従来の構成のキャパシタでは、電極層と端子電極との対向面積をS、層間距離をd、保護層の誘電率をεとすると、電極層と端子電極との間で発生する浮遊容量Cは、C=ε×S/dで表すことができる。上記従来のキャパシタでは、比較的大きな浮遊容量Cが発生してしまう。また、キャパシタを低背化するためには、層間距離dを小さくすることが必要となる。層間距離dが短い場合、層間距離dが変動することによる浮遊容量Cの変動も大きくなる。
【0005】
これらのことから、下部電極と端子電極の間には、比較的大きな変動を持つ、比較的大きな浮遊容量Cが発生してしまう。浮遊容量はMIM部(真性容量)に並列に寄生するため、比較的大きな浮遊容量Cが発生すると、MIM部(真性容量)を高精度で形成したとしても、狙いの容量値から外れてしまい、狭偏差化が実現できないという問題が生じていた。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、容量値の変動の低減を図ることができるキャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るキャパシタは、第1主面、第1主面と対向する第2主面、及び第1主面と第2主面とを繋ぐ第1端面を有する基板と、基板の第1主面の上に設けられた下部電極と、下部電極の上に設けられた誘電膜と、誘電膜の上に設けられた上部電極と、上部電極の上に設けられ基板よりも膜厚が薄い保護膜と、第1端面の上に設けられ上部電極及び前記下部電極のいずれか一方と電気的に接続された第1端子電極と、を備える。
【0008】
本発明の一側面に係るキャパシタは、基板が、さらに、第1端面と対向する第2端面を有し、さらに、第2端面の上に設けられ上部電極及び下部電極の他方と電気的に接続された第2端子電極を備えてもよい。
【0009】
上記態様によれば、浮遊容量が発生する第1端子電極と下部電極との間の対向面積を低減できる。さらに、第1端子電極と下部電極との間の距離を長くすることができる。これらのことから、真性容量に寄生する浮遊容量を低減することができる。また、第2端子電極を備える構成の場合、第2端子電極は基板を挟んで同電位の下部電極と対向するため、第2端子電極によって構成される浮遊容量の発生を抑制することができる。
【0010】
本発明の他の一態様に係るキャパシタは、第1主面、第1主面と対向する第2主面、第1主面と第2主面とを繋ぐ第1端面、及び第2主面から第1主面までを貫通する第1貫通孔を有する基板と、基板の第1主面の上に設けられた下部電極と、下部電極の上に設けられた誘電膜と、誘電膜の上に設けられた上部電極と、上部電極の上に設けられ基板よりも膜厚が薄い保護膜と、第1貫通孔の内部に設けられ上部電極及び前記下部電極のいずれか一方と電気的に接続された第1ビア電極と、第2主面に設けられ第1ビア電極と電気的に接続された第1端子電極と、を備える。
【0011】
本発明の他の一側面に係るキャパシタは、基板が、さらに、第1端面と対向する第2端面と、第2端面の近くで第2主面から前記第1主面までを貫通する第2貫通孔と、を有し、さらに、第2貫通孔の内部に設けられ上部電極及び下部電極の他方と電気的に接続された第2ビア電極と、第2主面に設けられ第2ビア電極と電気的に接続された第2端子電極と、を備えてもよい。
【0012】
上記態様によれば、浮遊容量が発生する第1端子電極と下部電極との間の距離を長くすることができる。従って、真性容量に寄生する浮遊容量を低減することができる。また、第2端子電極を備える構成の場合、第2端子電極は基板を挟んで同電位の下部電極と対向するため、第2端子電極によって構成される浮遊容量の発生を抑制することができる。
【0013】
本発明の他の一側面に係るキャパシタの製造方法は、基板の第1主面の上に下部電極を含む下部導電層を設ける工程と、下部導電層の上に誘電膜を設ける工程と、誘電膜の上に上部電極を含む上部導電層を設ける工程と、上部導電層の上に保護膜を設ける工程と、基板に第1主面と対向する第2主面を設ける工程と、基板に第1主面と第2主面とを繋ぐ第1端面を設ける工程と、前記上部電極及び前記下部電極のいずれか一方と電気的に接続された第1端子電極を第1端面の上に設ける工程と、を含む。
【0014】
上記態様によれば、真性容量に寄生する浮遊容量を低減することが可能なキャパシタを製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容量値の変動の低減を図ることができるキャパシタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタを示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したキャパシタのIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、回路基板に実装したキャパシタを示す断面図である。
【
図5A】
図5Aは、マザー基板に下部電極、誘電膜、上部電極、及び保護膜を設ける工程を示す図である。
【
図5E】
図5Eは、シード層及びレジストを設ける工程を示す図である。
【
図5F】
図5Fは、第1端子電極及び第2端子電極を設ける工程を示す図である。
【
図5G】
図5Gは、レジスト及びシード層を除去する工程を示す図である。
【
図5H】
図5Hは、保護膜から支持基板を剥離する工程を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係るキャパシタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。但し、第2実施形態において、第1実施形態と同一又は類似の構成要素は、第1実施形態と同一又は類似の符号で表し、詳細な説明を適宜省略する。また、第2実施形態において得られる効果について、第1実施形態と同様のものについては説明を適宜省略する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0018】
各々の図面には、各々の図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的にX軸、Y軸、及びZ軸からなる直交座標系(XYZ座標系)を付すことがある。この場合、例えば、X軸と平行な方向を「第1方向X」と呼ぶこととする。同様に、Y軸と平行な方向を「第2方向Y」と呼び、Z軸に平行な方向を「第3方向Z」と呼ぶこととする。なお、第1方向は、X軸方向における矢印の正方向に限定されず、矢印とは反対の負方向も含むものとする。また、第1方向X及び第2方向Yによって特定される面と平行な面を「XY面」と呼ぶこととし、以下、他の軸によって特定される面と平行な面についても同様とする。なお、第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、互いに直交以外の角度で交差する方向であってもよい。
【0019】
<第1実施形態>
図1~
図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るキャパシタについて説明する。ここで、
図1は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタを示す平面図である。
図2は、
図1に示したキャパシタの側面図である。
図3は、
図1に示したキャパシタのIII-III線に沿った断面図である。なお、
図2は、キャパシタ1を第1方向Xの正方向側から見た場合の図である。
【0020】
キャパシタ1は、基板10と、下部導電層21(下部電極21A、下部部分21B)と、誘電膜40と、上部導電層22(上部電極22A、上部部分22B)と、保護膜30と、を備える。さらに、キャパシタ1は、第1端子電極24と、第2端子電極23と、を備える。また、キャパシタ1は、第3方向Zの正方向側から平面視(以下、「平面視」という。)したときに、目標とする容量値(真性容量)を形成する真性容量部2を中央部に有する。真性容量部2は、上部電極22A、下部電極21A、及び誘電膜40によって形成される容量であり、真性容量部2では、上部電極22A及び下部電極21Aが後述する第1主面11の法線方向で誘電膜40を挟んで対向する。
【0021】
キャパシタ1は、平面視したときに、例えば四角形状であり、第1方向Xで対向する1組の短辺3A及び3Bと、第2方向Yで対向する1組の長辺4A及び4Bと、を有する。なお、短辺3A及び3Bは、第2方向Yと平行な直線でもよく、少なくとも一部が屈曲してもよい。短辺3A及び3Bは、真性容量部2から離れている。
【0022】
基板10は、第1主面11と、第3方向Zで第1主面11と対向する第2主面12と、を備えている。また、基板10は、第1主面11と第2主面12とを繋ぐ第1端面14と、第1方向Xで第1端面14と対向する第2端面13と、を備えている。第2端面13も、第1主面11と第2主面12とを繋いでいる。本構成例において、第1主面11及び第2主面12は、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるXY平面と平行な平坦面であり、それぞれ四角形状である。第2主面12の面積は、第1主面11の面積よりも小さい。また、第1主面11の法線方向から平面視したときに、第2主面12は、第1主面11の内側に位置する。第1端面14が第2主面12と成す角度θは、鈍角である。第2端面13が第2主面12と成す角度は、角度θと等しい。つまり、基板10の第1端面14及び第2端面13を含むZX平面と平行な断面は、いわゆる逆テーパ形状である。第1主面11において真性容量部2の面積を充分に確保しつつ、第2主面12における端子電極同士の短絡を防止する観点から、角度θは、90°以上135°以下が好ましく、100°以上120°以下が更に好ましい。なお、基板の形状は、これらに限定されるものではなく、第1端面及び第2端面が第2主面に対して垂直であってもよく、第1端面及び第2端面が第2主面と成す角度が鋭角である、いわゆる順テーパ形状であってもよい。また、第1端面及び第2端面の第2主面に対する角度が、それぞれ、第2主面からの距離に応じて変化するものであってもよい。このような構成であっても、第1端面14の少なくとも一部は、第2主面12と成す角度が鈍角であるテーパ形状を有することが好ましく、第2端面13の少なくとも一部についても、第2主面12と成す角度が鈍角であることが好ましい。
【0023】
基板10は、例えば、シリコン基板やガリウム砒素基板等の半導体基板、ガラス基板やアルミナ基板等の絶縁性基板である。例えば、第1主面11を平面視したとき、基板10の第1方向Xに沿った長さLは200μm以上600μm以下、第2方向Yに沿った幅Wは100μm以上300μm以下である。基板10の第3方向Zに沿った第1主面11と第2主面12との間の厚みTは5μm以上300μm以下である。また、キャパシタ1の機械的強度を確保する観点から、基板10の厚みTは、保護膜30の厚みよりも厚いことが好ましく、下部導電層21、保護膜30、上部導電層22、及び保護膜30の厚みの合計よりも厚いことが好ましい。基板10は、多層構造であってもよく、例えば、半導体基板と絶縁層とで構成される。このような多層構造の一例として、シリコン基板と、第1主面11側に形成された酸化シリコンと、で構成される基板を挙げることができる。酸化シリコン等の絶縁層は、半導体基板と下部導電層とを電気的に絶縁できればよく、膜厚は0.5μm以上3μm以下が好ましい。
【0024】
下部導電層21は、下部電極21A及び下部部分21Bを有する。下部電極21A及び下部部分21Bは、互いに電気的に離れ、第1方向Xに隣り合う。具体的には、下部電極21Aは、短辺3A側から第1方向Xに延在し、真性容量部2に配置される。下部部分21Bは、短辺3B側から第1方向Xに延在する。下部電極21A及び下部部分21Bは、基板10の第1主面11の上に形成される。下部導電層21の膜厚は、直列抵抗を下げるために、厚い方が好ましい。具体的には、下部電極21Aの膜厚は、0.3μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下が更に好ましい。なお、下部部分21Bは、省略してもよい。
【0025】
誘電膜40は、下部電極21Aの上に形成される。具体的には、誘電膜40は、下部電極21Aの真性容量部2に対応する部分を覆うように形成される。誘電膜40は、SiO2、Al2O3、HfO2、Ta2O5、ZrO2等の酸化物、SiN等の窒化物、などの誘電性ないし絶縁性を有する材料により形成される。誘電膜40の膜厚は、0.02μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0026】
上部導電層22は、上部電極22A及び上部部分22Bを有する。上部電極22A及び上部部分22Bは、互いに電気的に離れ、第1方向Xに隣り合う。上部電極22Aは、短辺3B側から第1方向Xに延在し、真性容量部2に配置される。上部電極22Aは、誘電膜40、下部部分21B、及び基板10の上に形成される。つまり、上部電極22Aは、誘電膜40を挟んで第3方向Zで下部電極21Aと対向する。上部部分22Bは、短辺3A側から第1方向Xに延在する。上部部分22Bは、下部電極21Aの上に形成される。上部導電層22の膜厚は、直列抵抗を下げるために、厚い方が好ましい。具体的には、上部導電層の22の膜厚は、0.3μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下が更に好ましい。第1端面14側において、下部部分21B及び上部電極22Aは重なっている。第2端面13側において、下部電極21A及び上部部分22Bは重なっている。
【0027】
下部電極21A及び上部電極22Aは、それぞれ、Cu、Ag、Au、Al、Ni、Cr、Ti等からなる金属又はこれらの金属を含む導電体によって形成されることが好ましい。下部電極21A及び上部電極22Aは、互いに異なる材料によって形成された複数の層を有してもよい。下部電極21A及び上部電極22Aは、互いに、同様の材料によって同様の構成となるように設けられてもよい。下部電極21A及び上部電極22Aは、互いに、異なる材料によって設けられてもよく、異なる構成となるように設けられてもよい。下部部分21Bは、下部電極21Aと同時に形成されるものであり、下部電極21Aと同様の材料及び構成を有する。また、上部部分22Bも、上部電極22Aと同様の材料及び構成を有する。但し、下部部分21Bは下部電極21Aと異なる材料及び構成を有してもよく、上部部分22Bは上部電極22Aと異なる材料及び構成を有してもよい。
【0028】
保護膜30は、上部導電層22の上に形成される。具体的には、保護膜30は、下部導電層21、誘電膜40、及び上部導電層22を覆うように形成される。また、基板10の第1主面11を覆うように形成されてもよい。本構成例では、平面視したときにキャパシタ1の全面に亘って形成される。つまり、キャパシタ1の短辺3A,3Bは保護膜30の短辺に相当し、キャパシタ1の長辺4A,4Bは、保護膜30の長辺に相当する。保護膜30は、基板10から離れる側に位置する第3主面31と、第3主面31とは反対側に位置する第4主面32と、を有する。第4主面32は、下部導電層21、上部導電層22、等によって形成された凹凸に沿って延在するため、基板10の第1主面11や第2主面12よりも平坦性が低い。第3主面31は、第4主面32の凹凸が反映されるため、基板10の第1主面11や第2主面12よりも平坦性が低く、第4主面32よりも平坦性が高い。保護膜30は、ポリイミド樹脂や酸化シリコンなどの絶縁材料により形成される。保護膜30は、下部導電層21、誘電膜40、及び上部導電層22と比較して膜厚が厚く形成されることが好ましく、例えば有機材料によって形成される。保護膜30の膜厚は、1μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0029】
第1端子電極24は、基板10の第1端面14から第2主面12に亘って形成される。第1端子電極24は、上部電極22Aと電気的に接続されるものであり、少なくとも第1端面14の上に形成されればよい。図示した例では、第1端子電極24は、下部導電層21の下部部分21Bを通して、上部電極22Aと電気的に接続される。つまり、第1端子電極24は、下部部分21B及び上部電極22Aの重なる領域において、下部部分21Bに接続されている。これによれば、第1端子電極24と上部電極22Aとの電気的な接続性を改善することができる。浮遊容量を低減する観点から、第1端子電極24は、第1主面11の法線方向から平面視したときに、真性容量部2の外側に位置することが好ましい。言い換えると、第1端子電極24は、平面視で下部電極21Aの外側に位置することが好ましい。
【0030】
第2端子電極23は、基板10の第2端面13から第2主面12に亘って形成される。第2端子電極23は、下部電極21Aと電気的に接続されるものであり、少なくとも第2端面13の上に形成されればよい。図示した例では、第2端子電極23は、下部電極21Aに直接接続されている。第2端子電極23は、下部電極21A及び上部部分22Bの重なる領域において、下部電極21Aに接続されている。これによれば、第2端子電極23と下部電極21Aとの電気的な接続性を改善することができる。第2主面12において、第2端子電極23及び第1端子電極24は、第1方向Xで端子間距離Dを空けて互いに離れている。
【0031】
次に、回路基板60へのキャパシタ1の実装について、
図4を参照しつつ説明する。ここで、
図4は、回路基板に実装したキャパシタを示す断面図である。キャパシタ1は、はんだ53、54によって、回路基板60へ固定される。はんだ54は、回路基板60と第1端子電極24との間に形成される。つまり、上部電極22Aは、第1端子電極24及びはんだ54を通して外部と電気的に接続される。はんだ54は、第1端子電極24の第1端面14側及び第2主面12側に沿って配置され、平面視したときにキャパシタ1の外側に広がる。はんだ53は、回路基板60と第2端子電極23との間に形成される。つまり、下部電極21Aは、第2端子電極23及びはんだ53を通して外部と電気的に接続される。はんだ53は、第2端子電極23の第2端面13側及び第2主面12側に沿って配置され、平面視したときにキャパシタ1の外側に広がる。つまり、はんだ53及び54は、フィレット形状となる。なお、浮遊容量を低減する観点から、はんだ54は、平面視したときに下部電極21Aの外側に位置することが好ましい。
【0032】
次に、
図5A~
図5Hを参照して、キャパシタの製造方法の一例について説明する。
【0033】
図5Aは、マザー基板に下部電極、誘電膜、上部電極、及び保護膜を設ける工程を示す図である。まずは、マザー基板109を用意する。このとき、マザー基板109の厚みtは、キャパシタの基板の厚みTよりも厚い。次に、マザー基板109の上に下部電極を含む下部導電層121を形成する。下部導電層121は、例えば、セミアディティブ法によってパターン形成される。下部導電層121は、物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法や化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Depositioin)法によって形成された導電層をエッチング加工することでパターン形成されてもよい。次に、誘電膜140を形成する。誘電膜140は、例えば、PVD法やCVD法によって形成された誘電体層をエッチング加工することでパターン形成される。次に、上部電極を含む上部導電層122を形成する。上部導電層122は、例えば下部導電層121と同様の方法によってパターン形成される。次に、保護膜130を形成する。保護膜130は、例えば、スピンコート法などのウェットプロセスによって形成される。これにより、保護膜130の第3主面131は、第4主面132に比べて平坦性が高く、以降の工程での加工性が向上する。
【0034】
図5Bは、支持基板を設ける工程を示す図である。保護膜130を形成後、保護膜130に支持基板170を貼合する。支持基板170は、マザー基板109を仮固定するためのものである。後の工程においてマザー基板109の歪みを抑制するため、支持基板170は、例えばガラス基板やシリコン基板等の無機材料によって形成されることが好ましい。
【0035】
図5Cは、基板を研削する工程を示す図である。ここでは、マザー基板109を研削して第2主面112を形成する。このとき、マザー基板109が厚みTとなるように研削する。マザー基板109は、例えば物理研磨や化学研磨によって研削される。
【0036】
図5Dは、基板を掘削する工程を示す図である。ここでは、マザー基板109を第2主面112側から掘削して第1端面114及び第2端面113を形成する。マザー基板109は、例えばレーザー加工やサンドブラスト加工によって掘削される。これにより、第1主面111、第2主面112、第1端面114、及び第2端面113を有する基板110が形成される。レーザー加工で掘削する場合には、例えばビーム形状を変えることやデフォーカスすることで、基板110のテーパ角を比較的広い範囲で制御することが可能となる。サンドブラスト加工で掘削する場合には、例えば加工圧や加工方式を変えることで、基板110のテーパ角を比較的広い範囲で制御することが可能となる。また、レーザー加工及びサンドブラスト加工の組み合わせで掘削してもよい。このとき、マザー基板109を貫通するように研削し、下部導電層121を露出させる。なお、マザー基板109の掘削箇所は、下部導電層121と上部導電層122とが重畳する部分である。このため、過度の掘削によって下部導電層121及び上部導電層122が掘削され、保護膜130が基板110の第2主面112側に露出させられることを抑制可能である。これによれば、後の工程で設ける第1端子電極124と上部導電層122との電気的な接続性を改善し、後の工程で設ける第2端子電極123と下部導電層121との電気的な接続性を改善することができる。
【0037】
図5Eは、シード層及びレジストを設ける工程を示す図である。まず、基板110の第2主面112、第1端面114、及び第2端面113にシード層125を形成する。シード層125は、蒸着やスパッタリング等のPVD法によって形成される。シード層125は、後述する第1端子電極124及び第2端子電極123の一部となるものであり、例えばCu、Ag、Au、Al、Ni、Cr、Ti等からなる金属又はこれらの金属を含む導電体が好ましい。シード層125は、異なる材料から形成された複数の層を有するように形成されてもよい。次に、レジスト127をパターン形成する。レジスト127は、フォトレジストであり、シード層125の上にレジスト層を形成した後、露光・現像によってパターン形成される。レジスト127は、シード層125を挟んで第2主面112と対向する。また、レジスト127は、第1方向Xで第1端面114及び第2端面113から離れる。
【0038】
図5Fは、第1端子電極及び第2端子電極を設ける工程を示す図である。シード層125の上にメッキ処理を施すことで、第1端子電極124及び第2端子電極123を形成する。メッキ処理は、電解めっき、無電解めっき等から適宜好適な処理が選択される。
【0039】
図5Gは、レジスト及びシード層を除去する工程を示す図である。まず、剥離液への浸漬処理やアッシング処理によって、レジスト127を除去する。次に、ウェットエッチングやドライエッチング等によって、レジスト127に覆われていたシード層125を除去する。これにより、第1端子電極124と第2端子電極123とは、第2主面112上において、第1方向Xに端子間距離Dで離れる。つまり、端子間距離Dは、レジスト127の第1方向Xに沿った幅に相当する。
【0040】
図5Hは、保護膜から支持基板を剥離する工程を示す図である。シード層125の除去後、第1端子電極124及び第2端子電極123に転写基板180を貼合し、保護膜130から支持基板170を剥離する。転写基板180は、例えば、紫外線(UV)を照射することで密着性を変化させることができるダイシングテープである。転写基板180が高密着性のときに保護膜130から支持基板170を剥離し、破線で図示した破断線BRでキャパシタ100間を切断する。キャパシタ100間の切断は、ブレードダイシング、ステルスダイシング、ドライエッチングなどによって実施可能である。次に、転写基板180にUVを照射して転写基板180の密着性を低下させ、キャパシタ100を転写基板180から剥離して個片化する。
【0041】
次に、第1実施形態に係るキャパシタ1の浮遊容量の値について説明する。以下の表1は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタにおいて測定した浮遊容量の実験結果を示す表である。表中の浮遊容量Cは、基板10を挟んで対向する下部電極21Aと第1端子電極24とが形成する容量である。基板寸法L,W,Tを変化させた実施例1~6の場合について、それぞれ浮遊容量を実験結果から算出した。なお、端子間距離Dは、基板の長さLに基づいて、端子間の短絡が生じない最短の距離として一様に決まる。角度θが90°より小さいと真性容量部が形成される第1主面の面積が小さくなるため、角度θの下限は90°とした。また、端子間距離Dを確保できる角度範囲の最大値から、角度θの上限を決定した。実施例1,2,3は、基板の長さL=0.4mm、幅W=0.2mmとし、厚みTをそれぞれ0.2mm、0.15mm、0.05mmとしたキャパシタにおける計算結果を示す。実施例1,2,3において、端子間距離D=0.15mmであり、角度θの上限は、それぞれ122°、130°、158°である。実施例4,5,6は、基板の長さL=0.25mm、幅W=0.125mmとし、厚みTをそれぞれ0.125mm、0.1mm、0.05mmとしたキャパシタにおける計算結果を示す。実施例4,5,6において、端子間距離D=0.1mmであり、角度θの上限は、それぞれ121°、127°、146°である。
【表1】
【0042】
実施例1では、浮遊容量C=0.001pFである。実施例2では、浮遊容量C=0.001pFである。実施例3では、浮遊容量C=0.004pFである。実施例4では、浮遊容量C=0.001pFである。実施例5では、浮遊容量C=0.001pFである。実施例6では、浮遊容量C=0.002pFである。保護膜130上に端子電極を形成する構成のキャパシタの場合、浮遊容量は0.1pF程度となる。つまり、実施例1~6のいずれにおいても、浮遊容量Cは十分に低減される。また、角度θが146°以下となる実施例1,2,4,5,6において浮遊容量Cが0.002pF以下となり、角度θが130°以下となる実施例1,2,4,5において浮遊容量Cが0.001pF以下となる。
【0043】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るキャパシタ1について説明する。以下の第2実施形態では、上記第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。また、第2実施形態において第1実施形態と同一の符号が付された構成は、第1実施形態における構成と同様の構成及び機能を有する。
【0044】
図6は、本発明の第2実施形態に係るキャパシタを示す断面図である。第2実施形態は、第1端子電極24及び第2端子電極23が下部導電層21から離れている点で、第1実施形態と相違する。また、基板10は、第1端面14の近くで第2主面12から第1主面11までを貫通する第1貫通孔16を有し、第2端面13の近くで第2主面12から第1主面11までを貫通する第2貫通孔15を有する。第1貫通孔16の内部には上部電極22Aと電気的に接続された第1ビア電極26が形成される。第2貫通孔15の内部には下部電極21Aと電気的に接続された第2ビア電極25が形成される。第1端子電極24は、第1ビア電極26を通して上部電極22Aと電気的に接続される。第2端子電極23は、第2ビア電極25を通して下部電極21Aと電気的に接続される。
図7に示した構成例では、第1端子電極24は、第2主面12から第1端面14に亘って形成されるが、少なくとも第2主面12に形成されればよい。同様に、第2端子電極23も、第2主面12から第2端面13に亘って形成されるが、少なくとも第2主面12に形成されればよい。
【0045】
以上のとおり、第1実施形態によれば、第1主面11、第1主面11と対向する第2主面12、及び第1主面11と第2主面12とを繋ぐ第1端面14を有する基板10と、基板10の第1主面11の上に設けられた下部電極21Aと、下部電極21Aの上に設けられた誘電膜40と、誘電膜40の上に設けられた上部電極22Aと、上部電極22Aの上に設けられ基板10よりも膜厚が薄い保護膜30と、第1端面14の上に設けられ上部電極22A及び下部電極21Aのいずれか一方と電気的に接続された第1端子電極24と、を備えるキャパシタ、が提供される。
【0046】
上記の第1実施形態によれば、浮遊容量が発生する第1端子電極と下部電極との間の対向面積を低減できる。さらに、第1端子電極と下部電極との間の距離を長くすることができる。これらのことから、真性容量に寄生する浮遊容量を低減することができる。また、第1端子電極の面積を増大させることができ、実装時にはんだをフィレット形状で形成することができるため、キャパシタ実装時の第1端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。
【0047】
第1端子電極24は、基板10の第1端面14から第2主面12に亘って設けられてもよい。これによれば、第1端子電極の面積をより増大させることができ、第1端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。
【0048】
キャパシタ1が、基板10の第1主面11の上に設けられ、下部電極21Aから電気的に離れており上部電極22Aの端部と重なる下部部分21Bをさらに備え、第1端子電極24は、下部部分21Bに接続されてもよい。これによれば、第1端子電極と上部電極との電気的な接続性を改善することができる。
【0049】
基板10が、さらに、第1端面14と対向する第2端面13を有し、さらに、第2端面13の上に設けられ上部電極22A及び下部電極21Aの他方と電気的に接続された第2端子電極23を備えてもよい。これによれば、第2端子電極は基板を挟んで同電位の下部電極と対向するため、第2端子電極によって構成される浮遊容量の発生を抑制することができる。また、第2端子電極におけるはんだ固着力を向上させることができる。第1端子電極と第2端子電極とを対称な構造とすることができるため、キャパシタの実装姿勢が安定する。また、はんだがフィレット形状となる点も、実装姿勢の安定に寄与する。具体的には、基板の長さL=0.4mm、幅W=0.2mmのキャパシタを例に挙げた場合、保護膜の上に端子電極を配置する構成では、例えば、はんだ固着力が1N程度、キャパシタ傾きが10°であるのに対して、本実施形態に係る構成では、例えば、はんだ固着力が2N以上、キャパシタ傾きが3°以下に改善された。
【0050】
第2端子電極23は、基板10の第2端面13から第2主面12に亘って設けられてもよい。これによれば、第2端子電極の面積をより増大させることができ、第2端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。
【0051】
キャパシタ1が、下部電極21Aの上に設けられ、上部電極22Aから電気的に離れており下部電極21Aの端部と重なる上部部分22Bをさらに備え、第2端子電極23は、下部電極21Aの上部部分22Bと重なる領域に接続されている。これによれば、第2端子電極と下部電極との電気的な接続性を改善することができる。
【0052】
また、第2実施形態によれば、第1主面11、第1主面11と対向する第2主面12、第1主面11と第2主面12とを繋ぐ第1端面14、及び第2主面12から第1主面11までを貫通する第1貫通孔16を有する基板10と、基板10の第1主面11の上に設けられた下部電極21Aと、下部電極21Aの上に設けられた誘電膜40と、誘電膜40の上に設けられた上部電極22Aと、上部電極22Aの上に設けられ基板10よりも膜厚が薄い保護膜30と、第1貫通孔16の内部に設けられ上部電極22A及び下部電極21Aのいずれか一方と電気的に接続された第1ビア電極26と、第2主面12に設けられ第1ビア電極26と電気的に接続された第1端子電極24と、を備えるキャパシタ、が提供される。
【0053】
上記の第2実施形態によれば、浮遊容量が発生する第1端子電極と下部電極との間の距離を長くすることができる。従って、第1端子電極と下部電極との間の対向面積が低減されなかったとしても、真性容量に寄生する浮遊容量を低減することができる。
【0054】
第1端子電極24は、基板10の第2主面12から第1端面14に亘って設けられてもよい。これによれば、第1端子電極の面積を増大させることができる。また、実装時に第1たん電極を固着するはんだをフィレット形状で形成することができる。よって、第1端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。
【0055】
基板10が、さらに、第1端面14と対向する第2端面13と、第2主面12から第1主面11までを貫通する第2貫通孔15と、を有し、さらに、第2貫通孔15の内部に設けられ上部電極22A及び下部電極21Aの他方と電気的に接続された第2ビア電極25と、第2主面12に設けられ第2ビア電極25と電気的に接続された第2端子電極23と、を備えてもよい。これによれば、第2端子電極は基板を挟んで同電位の下部電極と対向するため、第2端子電極によって構成される浮遊容量の発生を抑制することができる。また、第1端子電極と第2端子電極とを対称な構造とすることができるため、キャパシタの実装姿勢が安定する。
【0056】
第2端子電極23は、基板10の第2主面12から第2端面13に亘って設けられてもよい。これによれば、第2端子電極の面積をより増大させることができる。また、実装時に第2端子電極を固着するはんだもフィレット形状で形成することができる。よって、第2端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。特に、第1端子電極が第1端面に亘って設けられ且つ第2端子電極が第2端面に亘って設けられる構成では、キャパシタの実装姿勢が安定する。
【0057】
いずれの実施形態に係るキャパシタにおいても、さらに、第1端子電極24は、第1主面11の法線方向から平面視したときに、上部電極22A、誘電膜40及び下部電極21Aによって構成された真性容量部2の外側に位置してもよい。これによれば、下部電極と第1端子電極との対向面積をより低減することができ、浮遊容量を低減することができる。
【0058】
いずれの実施形態に係るキャパシタにおいても、第1主面11及び第2主面12は、平坦な面であってもよい。これによれば、キャパシタの製造工程における基板のハンドリング性を向上することができる。また、凹凸に起因した端子電極の断線を抑制することができる。
【0059】
いずれの実施形態に係るキャパシタにおいても、基板10の厚みTは、下部電極21A、誘電膜40、上部電極22A、及び保護膜30の厚みの合計よりも厚くてもよい。これによれば、浮遊容量を充分に低減することができる。また、基板の機械的強度を確保し、製造工程において、基板の割れ等の損傷や変形による形成不良を低減し、歩留りを向上させることができる。
【0060】
いずれの実施形態に係るキャパシタにおいても、第1端面14の少なくとも一部は、第2主面12と成す角度が鈍角であるテーパ形状を有してもよい。これによれば、真性容量部の面積を確保しつつキャパシタの実装に要する回路基板の面積を低減することができる。また、第1端面の第1端子電極の面積をより増大することができ、さらにはんだ固着力を向上させることができる。
【0061】
第1端面14の少なくとも一部は、第2主面12と成す角度が90°以上135°以下であってもよい。これによれば、第1端面の第1端子電極の面積をより増大することができ、はんだ固着力をさらに向上させることができる。
【0062】
また、本発明の他の態様によれば、基板110の第1主面111の上に下部電極を含む下部導電層121を設ける工程と、下部導電層121の上に誘電膜140を設ける工程と、誘電膜140の上に上部電極を含む上部導電層122を設ける工程と、上部導電層122の上に保護膜130を設ける工程と、基板110に第1主面111と対向する第2主面112を設ける工程と、基板110に第1主面111と第2主面112とを繋ぐ第1端面114を設ける工程と、上部電極及び下部電極のいずれか一方と電気的に接続された第1端子電極124を第1端面114の上に設ける工程と、を含むキャパシタの製造方法、が提供される。
【0063】
上記の態様によれば、浮遊容量が発生する第1端子電極と下部電極との間の対向面積を低減できる。さらに、第1端子電極と下部電極との間の距離を長くすることができる。これらのことから、真性容量に寄生する浮遊容量を低減することが可能なキャパシタを提供することができる。また、第1端子電極の面積を増大させることができ、実装時にはんだをフィレット形状で形成することができるため、キャパシタ実装時の第1端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。
【0064】
第1端子電極124を設ける工程において、第1端子電極124を基板110の第2主面112に亘って設けてもよい。これによれば、第1端子電極の面積をより増大させることができ、第1端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。
【0065】
第1端面114を設ける工程において、第1主面111と第2主面112とを繋ぎ第1端面114と対向する第2端面113を設け、第1端子電極124を設ける工程において、上部電極及び前記下部電極の他方と電気的に接続された第2端子電極123を第2端面113の上に設けてもよい。これによれば、第2端子電極は基板を挟んで同電位の下部電極と対向するため、第2端子電極によって構成される浮遊容量の発生を抑制することができる。また、第2端子電極におけるはんだ固着力を向上させることができる。第1端子電極と第2端子電極とを対称な構造とすることができるため、キャパシタの実装姿勢が安定する。また、はんだがフィレット形状となる点も、実装姿勢の安定に寄与する。
【0066】
第2端子電極123を設ける工程において、第2端子電極123を基板110の第2主面112に亘って設けてもよい。これによれば、第2端子電極の面積をより増大させることができ、第2端子電極のはんだ固着力を向上させることができる。
【0067】
上記実施形態に係るキャパシタの製造方法において、第1端子電極24は、第1主面11の法線方向から平面視したときに、上部電極22A、誘電膜40及び下部電極21Aによって構成された真性容量部2の外側に位置してもよい。これによれば、下部電極と第1端子電極との対向面積をより低減することができ、浮遊容量を低減することができる。
【0068】
上記実施形態に係るキャパシタの製造方法において、第1主面11及び第2主面12は、平坦な面であってもよい。これによれば、キャパシタの製造工程における基板のハンドリング性を向上することができる。また、凹凸に起因した端子電極の断線を抑制することができる。
【0069】
上記実施形態に係るキャパシタの製造方法において、基板10の厚みTは、下部電極21A、誘電膜40、上部電極22A、及び保護膜30の厚みの合計よりも厚くてもよい。これによれば、浮遊容量を充分に低減することができる。また、基板の機械的強度を確保し、製造工程において、基板の割れ等の損傷や変形による形成不良を低減し、歩留りを向上させることができる。
【0070】
上記実施形態に係るキャパシタの製造方法において、第1端面14の少なくとも一部は、第2主面12と成す角度が鈍角であるテーパ形状を有してもよい。これによれば、真性容量部の面積を確保しつつキャパシタの実装に要する回路基板の面積を低減することができる。また、第1端面の第1端子電極の面積をより増大することができ、さらにはんだ固着力を向上させることができる。
【0071】
上記実施形態に係るキャパシタの製造方法において、第1端面14の少なくとも一部は、第2主面12と成す角度が90°以上135°以下であってもよい。これによれば、第1端面の第1端子電極の面積をより増大することができ、はんだ固着力をさらに向上させることができる。
【0072】
下部導電層121を設ける工程において、下部電極21Aと、下部電極21Aから電気的に離れた下部部分21Bと、をパターン形成し、第1端子電極124を設ける工程において、上部電極22Aの端部と重なる下部電極21Aに第1端子電極124を接続させてもよい。これによれば、第1端面を設ける工程において、基板を掘削する際に過度の掘削によって下部導電層が掘削され、保護膜が基板の第2主面側に露出させられることを抑制可能である。したがって、第1端子電極と上部導電層との電気的な接続性を改善することができる。
【0073】
上部導電層122を設ける工程において、上部電極22Aと、上部電極22Aから電気的に離れており下部電極21Aの端部と重なる上部部分22Bと、をパターン成形し、第2端子電極123を設ける工程において、下部電極21Aの上部部分22Bと重なる領域に第2端子電極123を接続させてもよい。これによれば、第1端面を設ける工程において、基板を掘削する際に過度の掘削によって上部導電層が掘削され、保護膜が基板の第2主面側に露出させられることを抑制可能である。したがって、第2端子電極と下部導電層との電気的な接続性を改善することができる。
【0074】
以上で説明したように、本発明によれば、容量値の変動の低減を図ることができるキャパシタを提供することが可能となる。
【0075】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0076】
1…キャパシタ 2…真性容量部 10…基板
11…第1主面 12…第2主面 13…第2端面 14…第1端面
L…長さ W…幅 T…厚み θ…角度
21…下部導電層 21A…下部電極 21B…下部部分
22…上部導電層 22A…上部電極 22B…上部部分
23…第2端子電極 24…第1端子電極
30…保護膜 40…誘電膜