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特許7125709画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A61B8/13
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2018157755
(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公開番号】P2020028662
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-08-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)革新的研究開発推進プログラム(ImPACT) 「ワイドフィールド可視化システムのプロトタイプ開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155871
【弁理士】
【氏名又は名称】森廣 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(73)【特許権者】
【識別番号】520147108
【氏名又は名称】株式会社Luxonus
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】今西 宣晶
(72)【発明者】
【氏名】相磯 貞和
(72)【発明者】
【氏名】浦野 萌美
(72)【発明者】
【氏名】長永 兼一
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-093140(JP,A)
【文献】特開2017-042612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤が導入された被検体に複数回光を照射し、光照射を受けて発生した音響波に基づいて生成された第一の画像データを時系列で複数取得するデータ取得手段と、
時系列で取得した複数の前記第一の画像データのそれぞれに対して、画像値が所定の範囲にある領域を抽出し、抽出された複数の領域を合成した領域を前記造影剤に対応する領域として示す第二の画像データを生成する画像生成手段と、
を有することを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
造影剤が導入された被検体に複数回光を照射し、光照射を受けて発生した音響波に基づいて生成された第一の画像データを時系列で複数取得するデータ取得手段と、
時系列で取得した複数の前記第一の画像データのうちの所定の期間に含まれる複数の前記第一の画像データにおいて、画像値が所定の範囲にある領域を抽出し、当該抽出された領域を前記造影剤に対応する領域として示す第二の画像データを生成する画像生成手段と、
を有ることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項3】
前記第一の画像データは、複数回の光照射ごとに画像再構成をして生成されている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記データ取得手段は、前記被検体内の吸収係数分布をさらに取得し、
前記画像生成手段は、前記吸収係数が所定の閾値を超えていない領域を、前記造影剤に対応する領域から除外する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像生成手段は、前記第二の画像データにおける前記造影剤に対応する領域に対して、前記第一の画像データの画像値に応じた色相を与える
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像生成手段は、前記第二の画像データにおける前記造影剤に対応する領域に対して、前記被検体内の吸収係数に応じた輝度を与える
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第一の画像データは、前記被検体に互いに異なる複数の波長の光をそれぞれ照射することによって得られた複数の光音響画像データに対して演算を行うことで生成された分光画像である、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記複数の波長は、797nmおよび835nmである
ことを特徴とする、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
数の前記第一の画像データを動画像として出力し、前記第二の画像データを静止画として出力する表示制御手段をさらに有する
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記動画像を所定の速度で繰り返し表示可能である
ことを特徴とする、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記動画像を早送り表示可能である
ことを特徴とする、請求項9または10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第二の画像データは、前記造影剤に対応する領域が強調表示された画像である
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
造影剤が導入された被検体に複数回光を照射し、光照射を受けて発生した音響波に基づいて生成された第一の画像データを時系列で複数取得するデータ取得ステップと、
時系列で取得した複数の前記第一の画像データのそれぞれに対して、画像値が所定の範囲にある領域を抽出し、抽出された複数の領域を合成した領域を前記造影剤に対応する領域として示す第二の画像データを生成する画像生成ステップと、
を含むことを特徴とする、画像処理方法。
【請求項14】
造影剤が導入された被検体に複数回光を照射し、光照射を受けて発生した音響波に基づいて生成された第一の画像データを時系列で複数取得するデータ取得ステップと、
時系列で取得した複数の前記第一の画像データのうちの所定の期間に含まれる複数の前記第一の画像データにおいて、画像値が所定の範囲にある領域を抽出し、当該抽出された領域を前記造影剤に対応する領域として示す第二の画像データを生成する画像生成ステップと、
を含むことを特徴とする、画像処理方法。
【請求項15】
前記第一の画像データは、複数回の光照射ごとに画像再構成をして生成されている
ことを特徴とする、請求項13または14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記データ取得ステップでは、前記被検体内の吸収係数分布をさらに取得し、
前記画像生成ステップでは、前記吸収係数が所定の閾値を超えていない領域を、前記造影剤に対応する領域から除外する
ことを特徴とする、請求項13から15のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記画像生成ステップでは、前記第二の画像データにおける前記造影剤に対応する領域に対して、前記第一の画像データの画像値に応じた色相を与える
ことを特徴とする、請求項13から16のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記画像生成ステップは、前記第二の画像データにおける前記造影剤に対応する領域に対して、前記被検体内の吸収係数に応じた輝度を与える
ことを特徴とする、請求項13から16のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項19】
前記第一の画像データは、前記被検体に互いに異なる複数の波長の光をそれぞれ照射することによって得られた複数の光音響画像データに対して演算を行うことで生成された分光画像である、
ことを特徴とする、請求項13から15のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項20】
前記複数の波長は、797nmおよび835nmである
ことを特徴とする、請求項19に記載の画像処理方法。
【請求項21】
数の前記第一の画像データを動画像として出力し、前記第二の画像データを静止画として出力する表示制御ステップをさらに有する
ことを特徴とする、請求項13から20のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項22】
前記表示制御ステップでは、前記動画像を所定の速度で繰り返し表示可能である
ことを特徴とする、請求項21に記載の画像処理方法。
【請求項23】
前記表示制御ステップでは、前記動画像を早送り表示可能である
ことを特徴とする、請求項21または22に記載の画像処理方法。
【請求項24】
前記第二の画像データは、前記造影剤に対応する領域が強調表示された画像である
ことを特徴とする、請求項13から23のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項25】
請求項13から24のいずれか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項26】
数の前記第一の画像データのそれぞれに対して、前記画像値が負値となる領域が抽出されることを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響イメージングにより生成された画像に対する画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
血管やリンパ管等の検査において、造影剤を利用した光音響イメージング(「光超音波イメージング」ともよぶ)が知られている。特許文献1には、リンパ節やリンパ管などの造影のために用いられる造影剤を評価対象とし、その造影剤が吸収して光音響波を発生する波長の光を出射する光音響画像生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/002337号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光音響イメージングでは、被検体内部の造影対象の構造(例えば、血管やリンパ管等の走行)を把握しにくい場合がある。
【0005】
本発明は、光音響イメージングによって造影対象の構造を把握しやすい画像を生成するシステムに用いられる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本発明に係る画像処理装置は、
造影剤が導入された被検体に複数回光を照射し、光照射を受けて発生した音響波に基づいて生成された第一の画像データを時系列で複数取得するデータ取得手段と、時系列で取得した複数の前記第一の画像データのそれぞれに対して画像値が所定の範囲にある領域を抽出し、抽出された複数の領域を合成した領域を前記造影剤に対応する領域として示す第二の画像データを生成する画像生成手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像処理方法は、
造影剤が導入された被検体に複数回光を照射し、光照射を受けて発生した音響波に基づいて生成された第一の画像データを時系列で複数取得するデータ取得ステップと、時系列で取得した複数の前記第一の画像データのそれぞれに対して画像値が所定の範囲にある領域を抽出し、抽出された複数の領域を合成した領域を前記造影剤に対応する領域として示す第二の画像データを生成する画像生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光音響イメージングによって造影対象の構造を把握しやすい画像を生成するシステムに用いられる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態に係るシステムのブロック図。
図2】第一の実施形態に係る画像処理装置と周辺構成を示すブロック図。
図3】第一の実施形態に係る光音響装置の詳細なブロック図。
図4】第一の実施形態に係るプローブの模式図。
図5】第一の実施形態に係るシステムが行う画像処理方法のフローチャート。
図6】ICGの濃度と吸収係数との関係を示すスペクトル図。
図7】式(1)の計算値を、波長と造影剤の濃度ごとに示したグラフ。
図8】ICGの濃度と、式(1)の計算値との関係を示す図。
図9】オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数スペクトル図。
図10】第一の実施形態にて表示されるGUIを示す図。
図11】造影剤に対応する領域を抽出する処理を説明する図。
図12】造影剤に対応する領域を抽出する処理を説明する図。
図13】ICGの濃度を変化させたときの右前腕伸側の光音響画像。
図14】ICGの濃度を変化させたときの左前腕伸側の光音響画像。
図15】ICGの濃度を変化させたときの左右下腿内側の光音響画像。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
本発明に係るシステムにより得られる光音響画像は、光エネルギーの吸収量や吸収率を反映している。光音響画像は、光音響波の発生音圧(初期音圧)、光吸収エネルギー密度、および光吸収係数などの少なくとも1つの被検体情報の空間分布を表す画像である。光音響画像は、2次元の空間分布を表す画像であってもよいし、3次元の空間分布を表す画像(ボリュームデータ)であってもよい。本実施形態に係るシステムは、造影剤が導入された被検体を撮影することにより光音響画像を生成する。なお、造影対象の立体構造を把握するために、光音響画像は、被検体表面から深さ方向の2次元の空間分布を表す画像または3次元の空間分布を表す画像であってもよい。
【0012】
また、本発明に係るシステムは、複数の波長に対応する複数の光音響画像を用いて被検体の分光画像を生成することができる。分光画像は、被検体に互いに異なる複数の波長の光を照射することにより発生した光音響波に基づいた、複数の波長のそれぞれに対応する光音響信号を用いて生成された画像である。
なお、分光画像は、複数の波長のそれぞれに対応する光音響信号を用いて生成された、被検体中の特定物質の濃度を示す画像であってもよい。使用する造影剤の光吸収係数スペクトルと、特定物質の光吸収係数スペクトルとが異なる場合、分光画像中の造影剤の画像値と分光画像中の特定物質の画像値とは異なる。よって、分光画像の画像値に応じて造影剤の領域と特定物質の領域とを区別することができる。なお、特定物質としては、ヘモグロビン、グルコース、コラーゲン、メラニン、脂肪や水など、被検体を構成する物質が挙げられる。この場合にも、特定物質の光吸収係数スペクトルとは異なる光吸収スペクトルを有する造影剤を選択する必要がある。また、特定物質の種類に応じて、異なる算出方法で分光画像を算出してもよい。
【0013】
以下に述べる実施形態では、酸素飽和度の計算式(1)を用いて算出された画像を分光画像として説明する。本発明者らは、複数の波長のそれぞれに対応する光音響信号に基づいて血中ヘモグロビンの酸素飽和度(酸素飽和度に相関をもつ指標でもよい)を計算する式(1)に対し、光吸収係数の波長依存性がオキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンとは異なる傾向を示す造影剤で得られた光音響信号の計測値I(r)を代入した場合に、ヘモグロビンの酸素飽和度が取り得る数値範囲から大きくずれた計算値Is(r)が得られる、ということを見出した。それゆえ、この計算値Is(r)を画像値としてもつ分光画像を生成すれば、被検体内部におけるヘモグロビンの領域(血管領域)と造影剤の存在領域(例えばリンパ管に造影剤が導入された場合であればリンパ管の領域)とを画像上で分離(区別)することが容易となる。
【数1】
【0014】
ここで、Iλ (r)は第1波長λの光照射により発生した光音響波に基づいた計測値であり、Iλ (r)は第2波長λの光照射により発生した光音響波に基づいた計測値である。εHb λ は第1波長λに対応するデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数[mm-1mol-1]であり、εHb λ は第2波長λに対応するデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数[mm-1mol-1]である。εHbO λ は第1波長λに対応するオキシヘモグロビンのモラー吸収係数[mm-1mol-1]であり、εHbO λ は第2波長λに対応するオキシヘモグロビンのモラー吸収係数[mm-1mol-1]である。rは位置である。なお、計測値Iλ (r)、Iλ (r)としては、吸収係数μ λ (r)、μ λ (r)を用いてもよいし、初期音圧P λ (r)、P λ (r)を用いてもよい。
【0015】
ヘモグロビンの存在領域(血管領域)から発生した光音響波に基づいた計測値を式(1)に代入すると、計算値Is(r)として、ヘモグロビンの酸素飽和度(または酸素飽和度に相関をもつ指標)が得られる。一方、造影剤を導入した被検体において、造影剤の存在領域(例えばリンパ管領域)から発生した音響波に基づいた計測値を式(1)に代入すると、計算値Is(r)として、擬似的な造影剤の濃度分布が得られる。なお、造影剤の濃度分布を計算する場合でも、式(1)ではヘモグロビンのモラー吸収係数の数値をそのまま用いればよい。このようにして得られた分光画像Is(r)は、被検体内部のヘモグロビンの存在領域(血管)と造影剤の存在領域(例えばリンパ管)の両方が互いに分離可能(区別可能)な状態で描出された画像となる。
【0016】
なお、本実施形態では、酸素飽和度を計算する式(1)を用いて分光画像の画像値を計算するが、酸素飽和度以外の指標を分光画像の画像値として計算する場合には、式(1)以外の算出方法を用いればよい。指標およびその算出方法としては、公知のものを利用可能であるため、ここでは詳しい説明を割愛する。
【0017】
また、本発明に係るシステムは、第1波長λの光照射により発生した光音響波に基づいた第1光音響画像および第2波長λの光照射により発生した光音響波に基づいた第2光音響画像の比を示す画像を分光画像としてもよい。すなわち、第1波長λの光照射により発生した光音響波に基づいた第1光音響画像および第2波長λの光照射により発生した光音響波に基づいた第2光音響画像の比に基づいた画像を分光画像としてよい。なお、式(1)の変形式にしたがって生成される画像も、第1光音響画像および第2光音響画像の比によって表現できるため、第1光音響画像および第2光音響画像の比に基づいた画像(分光画像)といえる。
【0018】
なお、造影対象の立体構造を把握するために、分光画像は、被検体表面から深さ方向の2次元の空間分布を表す画像または3次元の空間分布を表す画像であってもよい。
【0019】
(第一の実施形態)
以下、本実施形態に係るシステムの構成および画像処理方法について説明する。
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る
システムは、光音響装置1100、記憶装置1200、画像処理装置1300、表示装置1400、および入力装置1500を備えて構成される。装置間のデータの送受信は、有線で行われてもよいし、無線で行われてもよい。
【0020】
光音響装置1100は、造影剤が導入された被検体を撮影することにより光音響画像を生成し、記憶装置1200に出力する装置である。具体的には、光音響装置1100は、光照射により発生した光音響波を受信することにより得られる受信信号を用いて、被検体内の複数位置のそれぞれに対応する特性値の情報を生成する装置である。すなわち、光音響装置1100は、光音響波に由来した特性値情報の空間分布を、医用画像データ(光音響画像)として生成する装置である。
【0021】
記憶装置1200は、ROM(Read only memory)、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体を含む装置である。記憶装置1200は、PACS(Picture Archiving and Communication System)等のネットワークを介した記憶サーバであってもよい。
【0022】
画像処理装置1300は、記憶装置1200に記憶された光音響画像や、光音響画像に付帯する情報等を処理する装置(本発明におけるデータ取得手段,画像取得手段,および表示制御手段)である。
画像処理装置1300の演算機能を担うユニットは、CPUやGPU等のプロセッサ、FPGAチップ等の演算回路で構成されることができる。これらのユニットは、単一のプロセッサや演算回路から構成されるだけでなく、複数のプロセッサや演算回路から構成されていてもよい。
【0023】
画像処理装置1300の記憶機能を担うユニットは、ROM(Read only memory)、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの非一時記憶媒体で構成することができる。また、記憶機能を担うユニットは、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の媒体であってもよい。なお、プログラムが格納される記憶媒体は、非一時記憶媒体である。なお、記憶機能を担うユニットは、1つの記憶媒体から構成されるだけでなく、複数の記憶媒体から構成されていてもよい。
【0024】
画像処理装置1300の制御機能を担うユニットは、CPUなどの演算素子で構成される。制御機能を担うユニットは、システムの各構成の動作を制御する。制御機能を担うユニットは、入力部からの測定開始などの各種操作による指示信号を受けて、システムの各構成を制御してもよい。また、制御機能を担うユニットは、コンピュータ150に格納されたプログラムコードを読み出し、システムの各構成の作動を制御してもよい。
【0025】
表示装置1400は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)などのディスプレイである。また、表示装置1400は、画像や装置を操作するためのGUIを表示してもよい。
【0026】
入力装置1500には、ユーザが操作可能な、マウスやキーボードなどで構成される操作コンソールを採用することができる。また、表示装置1400をタッチパネルで構成し、表示装置1400を入力装置1500として利用してもよい。
【0027】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置1300の具体的な構成例を示す図である。本実施形態に係る画像処理装置1300は、CPU1310、GPU1320、RAM1330、ROM1340、外部記憶装置1350から構成される。また、画像処理装置1300には、表示装置1400としての液晶ディスプレイ1410、入力装置1500としてのマウス1510、キーボード1520が接続されている。さらに、画像処理装置13
00は、PACS(Picture Archiving and Communication System)などの記憶装置1200としての画像サーバ1210と接続されている。これにより、画像データを画像サーバ1210上に保存したり、画像サーバ1210上の画像データを液晶ディスプレイ1410に表示したりすることができる。
【0028】
次に、本実施形態に係るシステムに含まれる各装置の構成例を説明する。図3は、本実施形態に係るシステムに含まれる光音響装置1100の概略ブロック図である。
本実施形態に係る光音響装置1100は、駆動部130、信号収集部140、コンピュータ150、プローブ180、および導入部190を有する。
【0029】
プローブ180は、光照射部110、および受信部120を有して構成される。図4は、本実施形態に係るプローブ180の模式図を示す。測定対象は、導入部190によって造影剤が導入された被検体100である。
駆動部130は、光照射部110と受信部120を駆動し、機械的な走査を行う。光照射部110が光を被検体100に照射し、被検体100内で音響波が発生する。光に起因して光音響効果により発生する音響波を光音響波とも呼ぶ。
受信部120は、光音響波を受信することによりアナログ信号としての電気信号(光音響信号)を出力する。
【0030】
信号収集部140は、受信部120から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、コンピュータ150に出力する。
コンピュータ150は、信号収集部140から出力されたデジタル信号を、光音響波に由来する信号データとして記憶する。コンピュータ150は、記憶されたデジタル信号に対して信号処理を行うことにより、光音響画像を生成する。また、コンピュータ150は、得られた光音響画像に対して画像処理を施した後に、光音響画像を表示部160に出力する。
表示部160は、光音響画像に基づいた画像を表示する。表示画像は、ユーザやコンピュータ150からの保存指示に基づいて、コンピュータ150内のメモリや、モダリティとネットワークで接続されたデータ管理システムなどの記憶装置1200に保存される。
【0031】
また、コンピュータ150は、光音響装置に含まれる構成の駆動制御も行う。また、表示部160は、コンピュータ150で生成された画像の他にGUIなどを表示してもよい。入力部170は、ユーザが情報を入力できるように構成されている。ユーザは、入力部170を用いて測定開始や終了、作成画像の保存指示などの操作を行うことができる。
【0032】
以下、本実施形態に係る光音響装置1100が有する各構成の詳細を説明する。
<光照射部110>
光照射部110は、光を発する光源111と、光源111から射出された光を被検体100へ導く光学系112とを含んで構成される。なお、光は、いわゆる矩形波、三角波などのパルス光を含む。
光源111が発する光のパルス幅としては、熱閉じ込め効果を考慮すると100ns以下のパルス幅であることが好ましい。また、光の波長は、400nmから1600nm程度の範囲の波長が好適である。血管を高解像度でイメージングする場合は、血管での吸収が大きい波長(400nm以上、700nm以下)を用いてもよい。生体の深部をイメージングする場合には、生体の背景組織(水や脂肪など)において典型的に吸収が少ない波長(700nm以上、1100nm以下)の光を用いてもよい。
【0033】
光源111としては、レーザーや発光ダイオードを用いることができる。また、複数波長の光を用いて測定する際には、波長の変更が可能な光源であってもよい。なお、複数波長を被検体に照射する場合、互いに異なる波長の光を発生する複数台の光源を用意し、そ
れぞれの光源から交互に照射することも可能である。複数台の光源を用いた場合もそれらをまとめて光源として表現する。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用することができる。例えば、Nd:YAGレーザーやアレキサンドライトレーザーなどのパルスレーザーを光源として用いてもよい。また、Nd:YAGレーザー光を励起光とするTi:saレーザーやOPO(Optical Parametric Oscillators)レーザーを光源として用いてもよい。また、光源111としてフラッシュランプや発光ダイオードを用いてもよい。また、光源111としてマイクロウェーブ源を用いてもよい。
【0034】
光学系112には、レンズ、ミラー、光ファイバ等の光学素子を用いることができる。乳房等を被検体100とする場合、パルス光のビーム径を広げて照射するために、光学系の光出射部は光を拡散させる拡散板等で構成されていてもよい。一方、光音響顕微鏡においては、解像度を上げるために、光学系112の光出射部はレンズ等で構成し、ビームをフォーカスして照射してもよい。
なお、光照射部110が光学系112を備えずに、光源111から直接被検体100に光を照射してもよい。
【0035】
<受信部120>
受信部120は、音響波を受信することにより電気信号を出力するトランスデューサ121と、トランスデューサ121を支持する支持体122とを含む。また、トランスデューサ121は、音響波を送信する送信手段としてもよい。受信手段としてのトランスデューサと送信手段としてのトランスデューサとは、単一(共通)のトランスデューサでもよいし、別々の構成であってもよい。
【0036】
トランスデューサ121を構成する部材としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック材料や、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電膜材料などを用いることができる。また、圧電素子以外の素子を用いてもよい。例えば、静電容量型トランスデューサ(CMUT:Capacitive Micro-machined Ultrasonic Transducers)を用いたトランスデューサなどを用いることができる。なお、音響波を受信することにより電気信号を出力できる限り、いかなるトランスデューサを採用してもよい。また、トランスデューサにより得られる信号は時間分解信号である。つまり、トランスデューサにより得られる信号の振幅は、各時刻にトランスデューサで受信される音圧に基づく値(例えば、音圧に比例した値)を表したものである。
【0037】
光音響波を構成する周波数成分は、典型的には100KHzから100MHzであり、トランスデューサ121として、これらの周波数を検出することのできるものを採用してもよい。
【0038】
支持体122は、機械的強度が高い金属材料などから構成されていてもよい。照射光を被検体に多く入射させるために、支持体122の被検体100側の表面に、鏡面加工もしくは光散乱させる加工が行われていてもよい。本実施形態において支持体122は半球殻形状であり、半球殻上に複数のトランスデューサ121を支持できるように構成されている。この場合、支持体122に配置されたトランスデューサ121の指向軸は半球の曲率中心付近に集まる。そして、複数のトランスデューサ121から出力された信号を用いて画像化したときに曲率中心付近の画質が高くなる。なお、支持体122はトランスデューサ121を支持できる限り、いかなる構成であってもよい。支持体122は、1Dアレイ、1.5Dアレイ、1.75Dアレイ、2Dアレイと呼ばれるような平面又は曲面内に、複数のトランスデューサを並べて配置してもよい。複数のトランスデューサ121が複数の受信手段に相当する。
【0039】
また、支持体122は音響マッチング材を貯留する容器として機能してもよい。すなわち、支持体122をトランスデューサ121と被検体100との間に音響マッチング材を配置するための容器としてもよい。
【0040】
また、受信部120が、トランスデューサ121から出力される時系列のアナログ信号を増幅する増幅器を備えてもよい。また、受信部120が、トランスデューサ121から出力される時系列のアナログ信号を時系列のデジタル信号に変換するA/D変換器を備えてもよい。すなわち、受信部120が後述する信号収集部140を備えてもよい。
【0041】
受信部120と被検体100との間の空間は、光音響波が伝播することができる媒質で満たす。この媒質には、音響波が伝搬でき、被検体100やトランスデューサ121との界面において音響特性が整合し、できるだけ光音響波の透過率が高い材料を採用する。例えば、この媒質には、水、超音波ジェルなどを採用することができる。
【0042】
図4は、プローブ180を側面から観察した図である。本実施形態に係るプローブ180は、開口を有する半球状の支持体122に複数のトランスデューサ121が3次元に配置された受信部120を有する。また、支持体122の底部には、光学系112の光射出部が配置されている。
本実施形態においては、図4に示すように、被検体100は、保持部200に接触することにより、その形状が保持される。
【0043】
受信部120と保持部200の間の空間は、光音響波が伝播することができる媒質で満たされる。この媒質には、光音響波が伝搬でき、被検体100やトランスデューサ121との界面において音響特性が整合し、できるだけ光音響波の透過率が高い材料を採用する。例えば、この媒質には、水、超音波ジェルなどを採用することができる。
【0044】
保持部200は、被検体100の形状を測定中に保持するために使用される。保持部200により被検体100を保持することによって、被検体100の動きの抑制および被検体100の位置を保持部200内に留めることができる。保持部200の材料には、ポリカーボネートやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等、樹脂材料を用いることができる。
【0045】
保持部200は、取り付け部201に取り付けられている。取り付け部201は、被検体の大きさに合わせて複数種類の保持部200を交換可能に構成されていてもよい。例えば、取り付け部201は、曲率半径や曲率中心などの異なる保持部に交換できるように構成されていてもよい。
【0046】
<駆動部130>
駆動部130は、被検体100と受信部120との相対位置を変更する手段である。駆動部130は、駆動力を発生させるステッピングモータなどのモータと、駆動力を伝達させる駆動機構と、受信部120の位置情報を検出する位置センサとを含む。駆動機構としては、リードスクリュー機構、リンク機構、ギア機構、油圧機構、などを用いることができる。また、位置センサとしては、エンコーダー、可変抵抗器、リニアスケール、磁気センサ、赤外線センサ、超音波センサなどを用いたポテンショメータなどを用いることができる。
【0047】
なお、駆動部130は被検体100と受信部120との相対位置をXY方向(二次元)に変更させるものに限らず、一次元または三次元に変更させてもよい。
なお、駆動部130は、被検体100と受信部120との相対的な位置を変更できれば
、受信部120を固定し、被検体100を移動させてもよい。被検体100を移動させる場合は、被検体100を保持する保持部を動かすことで被検体100を移動させる構成などが考えられる。また、被検体100と受信部120の両方を移動させてもよい。
駆動部130は、相対位置を連続的に移動させてもよいし、ステップアンドリピートによって移動させてもよい。駆動部130は、プログラムされた軌跡で移動させる電動ステージであってもよいし、手動ステージであってもよい。
また、本実施形態では、駆動部130は光照射部110と受信部120を同時に駆動して走査を行っているが、光照射部110だけを駆動したり、受信部120だけを駆動したりしてもよい。
なお、プローブ180が、把持部が設けられたハンドヘルドタイプである場合、光音響装置1100は駆動部130を有していなくてもよい。
【0048】
<信号収集部140>
信号収集部140は、トランスデューサ121から出力されたアナログ信号である電気信号を増幅するアンプと、アンプから出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを含む。信号収集部140から出力されるデジタル信号は、コンピュータ150に記憶される。信号収集部140は、Data Acquisition System(DAS)とも呼ばれる。本明細書において電気信号は、アナログ信号もデジタル信号も含む概念である。なお、フォトダイオードなどの光検出センサが、光照射部110から光射出を検出し、信号収集部140がこの検出結果をトリガーに同期して上記処理を開始してもよい。
【0049】
<コンピュータ150>
コンピュータ150は、画像処理装置1300と同様のハードウェアで構成されている。すなわち、コンピュータ150の演算機能を担うユニットは、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ、FPGA(Field
Programmable Gate Array)チップ等の演算回路で構成される。これらのユニットは、単一のプロセッサや演算回路から構成されるだけでなく、複数のプロセッサや演算回路から構成されていてもよい。
コンピュータ150の記憶機能を担うユニットは、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の媒体であってもよい。なお、プログラムが格納される記憶媒体は、非一時記憶媒体である。なお、コンピュータ150の記憶機能を担うユニットは、1つの記憶媒体から構成されるだけでなく、複数の記憶媒体から構成されていてもよい。
【0050】
コンピュータ150の制御機能を担うユニットは、CPUなどの演算素子で構成される。コンピュータ150の制御機能を担うユニットは、光音響装置の各構成の動作を制御する。コンピュータ150の制御機能を担うユニットは、入力部170からの測定開始などの各種操作による指示信号を受けて、光音響装置の各構成を制御してもよい。また、コンピュータ150の制御機能を担うユニットは、記憶機能を担うユニットに格納されたプログラムコードを読み出し、光音響装置の各構成の作動を制御する。すなわち、コンピュータ150は、本実施形態に係るシステムの制御装置として機能することができる。
なお、コンピュータ150と画像処理装置1300は同じハードウェアで構成されていてもよい。1つのハードウェアがコンピュータ150と画像処理装置1300の両方の機能を担っていてもよい。すなわち、コンピュータ150が、画像処理装置1300の機能を担ってもよい。また、画像処理装置1300が、コンピュータ150の機能を担ってもよい。
【0051】
<表示部160>
表示部160は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminesce
nce)などのディスプレイである。また、表示部160は、画像や装置を操作するためのGUIを表示してもよい。
なお、表示部160と表示装置1400は同じディスプレイであってもよい。すなわち、1つのディスプレイが表示部160と表示装置1400の両方の機能を担っていてもよい。
【0052】
<入力部170>
入力部170としては、ユーザが操作可能な、マウスやキーボードなどで構成される操作コンソールを採用することができる。また、表示部160をタッチパネルで構成し、表示部160を入力部170として利用してもよい。
なお、入力部170と入力装置1500は同じ装置であってもよい。すなわち、1つの装置が入力部170と入力装置1500の両方の機能を担っていてもよい。
【0053】
<導入部190>
導入部190は、被検体100の外部から被検体100の内部へ造影剤を導入可能に構成されている。例えば、導入部190は造影剤の容器と被検体に刺す注射針とを含むことができる。しかしこれに限られず、導入部190は、造影剤を被検体100に導入することができる限り種々のものを適用可能である。導入部190は、この場合、例えば、公知のインジェクションシステムやインジェクタなどであってもよい。なお、コンピュータ150が、導入部190の動作を制御することにより、被検体100に造影剤を導入してもよい。また、ユーザが導入部190を操作することにより、被検体100に造影剤を導入してもよい。
【0054】
<被検体100>
被検体100はシステムを構成するものではないが、以下に説明する。本実施形態に係るシステムは、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを目的として使用できる。よって、被検体100としては、生体、具体的には人体や動物の乳房や各臓器、血管網、頭部、頸部、腹部、手指または足指を含む四肢などの診断の対象部位が想定される。例えば、人体が測定対象であれば、オキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビンやそれらを含む多く含む血管あるいは腫瘍の近傍に形成される新生血管などを光吸収体の対象としてもよい。また、頸動脈壁のプラークなどを光吸収体の対象としてもよい。また、皮膚等に含まれるメラニン、コラーゲン、脂質などを光吸収体の対象としてもよい。さらに、被検体100に導入する造影剤を光吸収体とすることができる。光音響イメージングに用いる造影剤としては、インドシアニングリーン(ICG)、メチレンブルー(MB)などの色素、金微粒子、およびそれらの混合物、またはそれらを集積あるいは化学的に修飾した外部から導入した物質を採用してもよい。また、生体を模したファントムを被検体100としてもよい。
【0055】
なお、光音響装置の各構成はそれぞれ別の装置として構成されてもよいし、一体となった1つの装置として構成されてもよい。また、光音響装置の少なくとも一部の構成が一体となった1つの装置として構成されてもよい。
なお、本実施形態に係るシステムを構成する各装置は、それぞれが別々のハードウェアで構成されていてもよいし、全ての装置が1つのハードウェアで構成されていてもよい。本実施形態に係るシステムの機能は、いかなるハードウェアで構成されていてもよい。
【0056】
次に、図5に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る画像生成方法を説明する。なお、図5に示すフローチャートには、本実施形態に係るシステムの動作を示す工程も、医師等のユーザの動作を示す工程も含まれている。
【0057】
まず、ステップS100で、コンピュータ150が、HIS(Hospital In
formation System)やRIS(Radiology Information System)などのシステムから送信された検査オーダー情報を取得する。検査オーダー情報とは、検査に用いるモダリティの種類や検査に使用する造影剤などの情報を含む情報である。
【0058】
次に、ステップS200で、コンピュータ150が、造影剤に関する情報を取得する。本ステップでは、例えば、光音響装置のユーザが、入力部170を用いて、検査に使用する造影剤の種類や造影剤の濃度を入力する。この場合、コンピュータ150は、入力部170を介して、造影剤に関する情報を取得する。
なお、コンピュータ150は、ステップS100で取得した検査オーダー情報から造影剤に関する情報を読み出してもよい。また、コンピュータ150は、ユーザの指示と検査オーダー情報との少なくともいずれかに基づいて、造影剤に関する情報を取得してもよい。
【0059】
次に、ステップS300で、導入部190が、被検体に対して造影剤を導入する。なお、ユーザが、導入部190を用いて被検体に造影剤を導入した際に、入力部170を介して、光音響装置1100に対して造影剤の導入を通知してもよい。この場合、造影剤が導入されたことを表す信号を入力部170からコンピュータ150に送信してもよい。また、導入部190が、被検体100に造影剤が導入されたことを表す信号をコンピュータ150に送信してもよい。なお、導入部190を用いずに造影剤を被検体に直接投与してもよい。例えば、被検体としての生体が噴霧された造影剤を吸引することにより、造影剤が投与されてもよい。
【0060】
ここで、ICGを導入した生体を光音響装置によって撮影することによって得られた分光画像を参照し、ICGの濃度について説明する。
図13図15は、濃度を変えてICGを導入した場合に撮影して得られた分光画像を示す。いずれの撮影においても、手もしくは足の皮下もしくは皮内にICGを1か所につき0.1mL導入した。皮下もしくは皮内に導入されたICGは、リンパ管に選択的に取り込まれるため、リンパ管の内腔が造影される。また、いずれの撮影においても、ICGの導入から5分~60分以内に撮影した。また、いずれの分光画像も、797nmの波長の光と835nmの波長の光とを生体に照射することにより得られた光音響画像から生成された分光画像である。
【0061】
図13(A)は、ICGを導入しなかった場合の右前腕伸側の分光画像を示す。一方、図13(B)は、2.5mg/mLの濃度のICGを導入したときの右前腕伸側の分光画像を示す。図13(B)中の破線および矢印で示した領域にリンパ管が描出されている。
図14(A)は、1.0mg/mLの濃度のICGを導入したときの左前腕伸側の分光画像を示す。図14(B)は、5.0mg/mLの濃度のICGを導入したときの左前腕伸側の分光画像を示す。図14(B)中の破線および矢印で示した領域にリンパ管が描出されている。
図15(A)は、0.5mg/mLの濃度のICGを導入したときの右下腿内側の分光画像を示す。図15(B)は、5.0mg/mLの濃度のICGを導入したときの左下腿内側の分光画像を示す。図15(B)中の破線および矢印で示した領域にリンパ管が描出されている。
【0062】
図13図15に示した分光画像によれば、ICGの濃度を高くすると、分光画像の中のリンパ管の視認性が向上することが理解される。また、図13図15によれば、ICGの濃度が2.5mg/mL以上の場合にリンパ管が良好に描出できることが理解される。すなわち、ICGの濃度が2.5mg/mL以上である場合に線上のリンパ管を明確に視認することができる。そのため、造影剤としてICGを採用する場合、その濃度は2.
5mg/mL以上であってもよい。なお、生体内でのICGの希釈を考慮すると、ICGの濃度は5.0mg/mLより大きくてもよい。ただし、ジアグノグリーンの可溶性を鑑みると、10.0mg/mL以上の濃度で水溶液に溶かすことは困難である。
【0063】
以上より、生体に導入するICGの濃度としては、2.5mg/mL以上、10.0mg/mL以下がよく、好適には、5.0mg/mL以上、10.0mg/mL以下がよい。
【0064】
そこで、コンピュータ150は、図10に示すGUIのアイテム2600において造影剤の種類としてICGが入力された場合に、上記数値範囲のICGの濃度を示すユーザからの指示を選択的に受け付けるように構成されていてもよい。すなわち、この場合、コンピュータ150は、上記数値範囲以外のICGの濃度を示すユーザからの指示を受け付けないように構成されていてもよい。よって、コンピュータ150は、造影剤の種類がICGであることを示す情報を取得した場合に、2.5mg/mLより小さい、または、10.0mg/mLより大きいICGの濃度を示すユーザからの指示を受け付けないように構成されていてもよい。また、コンピュータ150は、造影剤の種類がICGであることを示す情報を取得した場合に5.0mg/mLより小さい、または、10.0mg/mLより大きいICGの濃度を示すユーザからの指示を受け付けないように構成されていてもよい。
【0065】
コンピュータ150は、ユーザがGUI上で上記数値範囲以外のICGの濃度を指示できないようにGUIを構成してもよい。すなわち、コンピュータ150は、ユーザがGUI上で上記数値範囲以外のICGの濃度を指示できないようにGUIを表示させてもよい。例えば、コンピュータ150は、GUI上で上記数値範囲のICGの濃度を選択的に指示できるプルダウンを表示させてもよい。コンピュータ150は、プルダウンの中の上記数値範囲以外のICGの濃度をグレーアウトさせて表示し、グレーアウトされた濃度を選択できないようにGUIを構成してもよい。
【0066】
また、コンピュータ150は、GUI上で上記数値範囲以外のICGの濃度がユーザから指示された場合にアラートを通知してもよい。通知方法としては、表示部160へのアラートの表示や、音やランプの点灯などのあらゆる方法を採用することができる。
また、コンピュータ150は、GUI上で造影剤の種類としてICGが選択された場合に、被検体に導入するICGの濃度として上記数値範囲を表示部160に表示させてもよい。
なお、被検体に導入する造影剤の濃度は、ここで示した数値範囲に限らず、目的に応じた好適な濃度を採用することができる。また、ここでは造影剤の種類がICGである場合の例について説明したが、その他の造影剤においても同様に上記構成を適用することができる。
このようにGUIを構成することにより、被検体に導入する予定の造影剤の種類に応じて、適当な造影剤の濃度をユーザが被検体に導入するための支援を行うことができる。
【0067】
次に、ステップS400で、造影剤に応じた照射光の波長を決定する。なお、本ステップ以降の処理は、被検体100内の造影対象に造影剤が行き渡るまで時間をおいてから実行してもよい。本ステップでは、コンピュータ150が、ステップS200で取得された造影剤に関する情報に基づいて、照射光の波長を決定する。本実施形態では、分光画像を生成するために、コンピュータ150が造影剤に関する情報に基づいて、複数の波長を決定する。
【0068】
図6は、造影剤としてのICGの濃度を変えたときの吸収係数スペクトルの変化を示したスペクトル図である。図6に示したグラフは、下から順に、ICGの濃度が5.04μ
g/mL、50.4μg/mL、0.5mg/mL、1.0mg/mLである場合のスペクトルを示している。図6に示すように、造影剤の濃度が高くなるにつれて光の吸収度合いが高くなることが理解される。このように、造影剤の濃度ごとに、任意の2波長における吸収係数の比が異なるため、使用する造影剤の濃度に応じて、適切な照射光の波長を決定する必要がある。
【0069】
なお、生体内の血管(動静脈)における酸素飽和度は、パーセント表示で概ね60%~100%の範囲に収まる。そのため、被検体に照射する光の波長(2波長)は、分光画像中の造影剤に対応する酸素飽和度値(式(1)の計算値)が60%より小さくなる、または、100%より大きくなるような波長とすることが好ましい。このようにすることで、分光画像において、動静脈に対応する像と、造影剤に対応する像の判別が容易になる。例えば、造影剤としてICGを用いる場合、700nm以上、820nmより小さい波長と、820nm以上、1020nm以下の波長の2波長を選択し、式(1)により分光画像を生成することにより、造影剤の領域と血管の領域とを良好に識別することができる。
【0070】
次に、波長の組み合わせを変更したときの、分光画像中の造影剤に対応する画像値の変化について説明する。図7は、2波長の組み合わせのそれぞれにおける、分光画像中の造影剤に対応する画像値(擬似的な酸素飽和度として算出された値)のシミュレーション結果を示す。図7の縦軸と横軸はそれぞれ、第1波長と第2波長を表す。図7には、分光画像中の造影剤に対応する画像値の等値線が示されている。
図7(a)~図7(d)はそれぞれ、ICGの濃度が5.04μg/mL、50.4μg/mL、0.5mg/mL、1.0mg/mLである場合の、分光画像中の造影剤に対応する画像値を示す。図7に示すように、選択する波長の組み合わせによっては、分光画像中の造影剤に対応する画像値が60%~100%となってしまう場合がある。かかる波長の組み合わせを用いた場合、分光画像中の血管の領域と造影剤の領域とを識別することが困難となる場合がある。そのため、図7に示す波長の組み合わせにおいて、分光画像中の造影剤に対応する画像値が60%より小さくなる、または、100%より大きくなるような波長の組み合わせを選択することが好ましい。さらには、図7に示す波長の組み合わせにおいて、分光画像中の造影剤に対応する画像値が負値(マイナス)となるような波長の組み合わせを選択することが好ましい。血液中の酸素飽和度は負値になり得ないため、造影剤が存在する領域が判別しやすくなるためである。
以下、血管が存在する領域を血管領域と称し、造影剤が存在する領域を造影剤領域と称する。血管領域は、動脈または静脈に対応する領域であり、造影剤領域はリンパ管に対応する領域である。
【0071】
例えば、ここで第1波長として797nmを選択し、第2波長として835nmを選択した場合を考える。図8は、第1波長として797nmを選択し、第2波長として835nmを選択した場合における、ICGの濃度と、分光画像中の造影剤に対応する画像値(式(1)の値)との関係を示すグラフである。図8によれば、第1波長として797nmを選択し、第2波長として835nmを選択した場合、5.04μg/mL~1.0mg/mLのいずれの濃度であっても、分光画像中の造影剤に対応する画像値は負値となる。そのため、このような波長の組み合わせにより生成された分光画像によれば、血液中の酸素飽和度値は原理上負値をとることはないため、血管領域と造影剤領域とを明確に識別することができる。
【0072】
なお、ここまで、造影剤に関する情報に基づいて照射光の波長を決定することを説明したが、波長の決定においてヘモグロビンの吸収係数を考慮してもよい。図9は、オキシヘモグロビンのモラー吸収係数(破線)とデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数(実線)のスペクトルを示す。図9に示す波長レンジにおいては、797nmを境にオキシヘモグロビンのモラー吸収係数とデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数の大小関係が逆転して
いる。すなわち、797nmよりも短い波長においては静脈を把握しやすく、797nmよりも長い波長においては動脈を把握しやすいといえる。ところで、リンパ浮腫の治療においては、リンパ管と静脈との間にバイパスを作製するリンパ管細静脈吻合術が利用されている。この術前検査のために、光音響イメージングによって、静脈と、造影剤が蓄積したリンパ管との両方を画像化することが考えられる。この場合に、複数の波長の少なくとも1つを797nmよりも小さい波長とすることにより、静脈をより明確に画像化することができる。また、複数の波長の少なくとも1つを、オキシヘモグロビンのモラー吸収係数よりもデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数が大きくなる波長とすることが、静脈を画像化するうえで有利である。また、2波長に対応する光音響画像から分光画像を生成する場合、2波長のいずれも、オキシヘモグロビンのモラー吸収係数よりもデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数が大きい波長とすることが、静脈を画像化するうえで有利である。これらの波長を選択することにより、リンパ管細静脈吻合術の術前検査において、造影剤が導入されたリンパ管と静脈との両方を精度良く画像化することができる。
【0073】
ところで、複数の波長のいずれも、血液よりも造影剤の吸収係数が大きい波長である場合、造影剤由来のアーチファクトにより、血液の酸素飽和度精度が低下してしまう。そこで、造影剤由来のアーチファクトを低減するために、複数の波長の少なくとも1つの波長が、血液の吸収係数に対して造影剤の吸収係数が小さくなる波長であってもよい。
ここでは、式(1)にしたがって分光画像を生成する場合の説明を行ったが、造影剤の条件や照射光の波長によって分光画像中の造影剤に対応する画像値が変化するような分光画像を生成する場合にも適用することができる。
【0074】
図5に戻って説明を続ける。
ステップS500では、光照射部110が、ステップS400で決定された波長を光源111に設定し、光の照射を行う。光源111から発生した光は、光学系112を介してパルス光として被検体100に照射される。そして、被検体100の内部でパルス光が吸収され、光音響効果により光音響波が生じる。このとき、導入された造影剤もパルス光を吸収し、光音響波を発生する。被検体100で発生した光音響波は、トランスデューサ121によって受信され、アナログの電気信号に変換される。なお、光照射部110は、パルス光を照射したタイミングで、信号収集部140へ同期信号を送信してもよい。
光照射部110は、複数の波長のそれぞれについて、同様に光照射を行う。
【0075】
なお、ユーザが、照射光の照射条件(繰り返し周波数や波長など)、プローブ180の位置などの制御パラメータを、入力部170を用いて事前に入力してもよい。また、コンピュータ150が、ユーザの指示に基づいて、制御パラメータを設定してもよい。また、コンピュータ150が、指定された制御パラメータに基づいて、駆動部130を制御することによりプローブ180を指定の位置へ移動させてもよい。また、複数位置での撮影が指定された場合、駆動部130は、まずプローブ180を最初の指定位置へ移動させる。なお、駆動部130は、測定の開始指示がなされたときに、あらかじめプログラムされた位置にプローブ180を移動させてもよい。
【0076】
信号収集部140は、光照射部110から送信された同期信号を受信すると、信号収集の動作を開始する。すなわち、信号収集部140は、受信部120から出力された、光音響波に由来するアナログ電気信号を、増幅およびA/D変換することにより、増幅されたデジタル電気信号を生成し、コンピュータ150へ出力する。コンピュータ150は、信号収集部140から送信された信号を保存する。複数の走査位置での撮影を指定された場合、指定された走査位置において、ステップS500の工程を繰り返し実行し、パルス光の照射と、音響波に由来するデジタル信号の生成を繰り返す。なお、コンピュータ150は、発光をトリガーとして、発光時の受信部120の位置情報を、駆動部130が有する位置センサから取得し、記憶してもよい。
【0077】
なお、本実施形態では、複数の波長の光を時分割によって照射する例を説明したが、複数の波長のそれぞれに対応する信号データを取得できる限り、光の照射方法はこれに限らない。例えば、光照射によって符号化を行う場合に、複数の波長の光がほぼ同時に照射されるタイミングが存在してもよい。
【0078】
次に、ステップS600で、コンピュータ150が、記憶された信号データに基づいて、光音響画像を生成する。コンピュータ150は、生成された光音響画像を記憶装置1200に出力し、記憶させる。
信号データを2次元または3次元の空間分布に変換する再構成アルゴリズムとして、タイムドメインでの逆投影法やフーリエドメインでの逆投影法などの解析的な再構成法やモデルベース法(繰り返し演算法)を採用することができる。例えば、タイムドメインでの逆投影法として、Universal back-projection(UBP)、Filtered back-projection(FBP)、または整相加算(Delay-and-Sum)などが挙げられる。
【0079】
本実施形態では、被検体への1回の光照射で得られた光音響信号を用いた画像再構成により1つの3次元の光音響画像(ボリュームデータ)が生成される。さらに、複数回の光照射を行い、光照射ごとに画像再構成を行うことで、時系列の3次元画像データ(時系列のボリュームデータ)が取得される。複数回の光照射の光照射ごとに画像再構成して得られた3次元画像データを総称して、複数回の光照射に対応する3次元画像データと呼ぶ。なお、時系列に複数回の光照射が実行されるため、複数回の光照射に対応する3次元画像データが、時系列の3次元画像データを構成する。
【0080】
コンピュータ150は、信号データに対して再構成処理を行うことにより、初期音圧分布(複数の位置において発生した音圧)を示す画像を生成する。また、コンピュータ150は、被検体100に照射された光の被検体100の内部での光フルエンス分布を計算し、初期音圧分布を光フルエンス分布で除算することにより、吸収係数分布を示す画像を生成してもよい。光フルエンス分布の計算手法については、公知の手法を適用することができる。
コンピュータ150は、複数の波長の光のそれぞれに対応する光音響画像を生成することができる。具体的には、コンピュータ150は、第1波長の光照射により得られた信号データに対して再構成処理を行うことにより、第1波長に対応する第1光音響画像を生成することができる。また、コンピュータ150は、第2波長の光照射により得られた信号データに対して再構成処理を行うことにより、第2波長に対応する第2光音響画像を生成することができる。このように、コンピュータ150は、複数の波長の光に対応する複数の光音響画像を生成することができる。
【0081】
本実施形態では、コンピュータ150は、複数の波長の光のそれぞれに対応する吸収係数分布情報を光音響画像として取得する。以降、第1波長に対応する吸収係数分布情報を第1光音響画像とし、第2波長に対応する吸収係数分布情報を第2光音響画像とする。
【0082】
なお、本実施形態に係るシステムは、光音響画像を生成する光音響装置1100を含むものとして説明したが、光音響装置1100を含まないシステムにも本発明は適用可能である。画像処理装置1300が、光音響画像を取得できる限り、いかなるシステムであっても本発明を適用することができる。例えば、光音響装置1100を含まず、記憶装置1200と画像処理装置1300とを含むシステムであっても本発明を適用することができる。この場合、画像処理装置1300は、記憶装置1200に予め記憶された光音響画像群の中から指定された光音響画像を読み出すことにより、光音響画像を取得することができる。
【0083】
次に、ステップS700で、コンピュータ150が、複数の波長に対応する複数の光音響画像に基づいて、分光画像を生成する。コンピュータ150は、分光画像を記憶装置1200に出力し、記憶装置1200に記憶させる。前述したように、コンピュータ150は、被検体に投与した造影剤、被検体固有のグルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、脂肪や水の体積分率など、被検体を構成する物質の濃度に相当する情報を示す画像を分光画像として生成できる。また、コンピュータ150は、第1波長に対応する第1光音響画像と、第2波長に対応する第2光音響画像との比を表す画像を分光画像として生成してもよい。本実施形態では、コンピュータ150が、第1光音響画像と第2光音響画像とを用いて、式(1)に従って、酸素飽和度を示す分光画像を生成する。
【0084】
なお、画像処理装置1300は、記憶装置1200に予め記憶された分光画像群の中から指定された分光画像を読み出すことにより、分光画像を取得してもよい。また、画像処理装置1300は、記憶装置1200に予め記憶された光音響画像群の中から、読み出した分光画像の生成に用いられた複数の光音響画像の少なくとも一つを読み出すことにより、光音響画像を取得してもよい。
【0085】
ここで、分光画像によって生体内のリンパ管を画像化する際の問題点について説明する。
分光画像によって、体内に導入された造影剤が存在する領域を描出することができるため、造影剤が導入されたリンパ管を描出することができる。しかし、一枚の画像のみでは、リンパ管の位置を正しく示せない場合がある。これは、リンパ液の流れが血液のように一定ではないという理由による。
血液は、心臓の拍動によって絶えず循環しているが、リンパ管にはポンプの役割をする共通の臓器は存在せず、リンパ管を構成するリンパ管壁に内在する平滑筋が収縮することで、リンパ液の輸送が行われる。数十秒から数分に1度の頻度で生じるリンパ管壁の平滑筋の収縮に加え、リンパ液は、人の動きとともに起こる筋肉の収縮、弛緩によって生じる圧力、呼吸によって生じる圧力変化、外部からのマッサージ刺激などに起因して移動する。よって、リンパ液の移動タイミングは一定ではなく、例えば、数十秒~数分に一回といった不定期な間隔での間欠的な流れとなる。リンパ液が移動していないタイミングで分光画像を取得しても、十分な量の造影剤がリンパ管内に存在しないため、リンパ管を描出することができないか、リンパ管の一部のみしか描出することができないことが懸念される。
【0086】
そこで、本実施形態に係るシステムでは、所定の期間において、時系列に沿った複数の分光画像(複数の第一の画像データ)を取得し、取得した複数の分光画像に基づいて、リンパ管が存在する領域(すなわち、造影剤が通過する領域)を抽出する。本実施形態では、光音響装置1100が、ステップS500~S700の処理において、時系列に沿った複数の分光画像を取得し、記憶装置1200に記憶させる。なお、所定の期間は、リンパ液の移動が発生する周期より長いこと(例えば、40秒~2分程度よりも長いこと)が好ましい。
【0087】
ステップS800は、複数の分光画像に基づいて動画像を生成するステップである。
複数の分光画像を動画像として表示することで、装置のユーザが、リンパ液が移動する様態を観察できるようになる。しかし、リンパ液はリンパ管内を間欠的に流れるため、時系列で取得された複数の分光画像の中でも、リンパ液の流れの確認に利用できるのは一部の分光画像だけとなる。すなわち、動画像のみによって分光画像を表示した場合、ユーザは、リンパ液の移動が発生するまで画面を見続けなければならない。さらに、リンパ液(造影剤)の一回あたりの移動は短時間であるため、画面上において、リンパ管の位置をユーザに正確に把握させることが難しい。
そこで、本実施形態では、ステップS800を実行した後、ステップS900で、画像処理装置1300が、複数の分光画像に基づいて、リンパ管の位置を示す静止画像(第二の画像データ)を生成する。
【0088】
まず、ステップS800の処理から説明する。
ステップS800では、画像処理装置1300が、記憶装置1200に記憶された複数の分光画像を取得し、動画像を生成する。
具体的には、事前に取得した、造影剤に関する情報に基づいて、造影剤領域とそれ以外の領域とを識別できるように、分光画像の各フレームに対して画像処理を行い、処理後の画像を表示装置1400に出力する。なお、レンダリング手法として、最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)、ボリュームレンダリング、およびサーフェイスレンダリングなどのあらゆる方法を採用することができる。ここで、三次元画像を二次元にレンダリングする際の表示領域や視線方向などの設定条件は、観察対象に合わせて任意に指定することができる。
【0089】
ここでは、照射光の波長として797nmと835nmを設定し、ステップS700で、式(1)にしたがって分光画像を生成する場合の例を挙げる。図8で示したとおり、これらの2波長を選択した場合、ICGがいかなる濃度であっても、生成される分光画像中の造影剤に対応する画像値は負値となる。
【0090】
図10は、波長797nmに対応する吸収係数画像(第1光音響画像)2100、波長835nmに対応する吸収係数画像(第2光音響画像)2200、酸素飽和度画像(分光画像)2300を含むGUIの例である。当該GUIは、画像処理装置1300によって生成される。なお、本例では、光音響画像と分光画像の両方を表示しているが、分光画像だけを表示してもよい。また、画像処理装置1300は、ユーザの指示に基づいて、光音響画像の表示と分光画像の表示とを切り替えてもよい。
符号2500は検査オーダー情報を表し、符号2600は造影剤に関する情報を表す。当該インタフェースには、HISやRISなどの外部装置、入力部170を介して取得した情報が表示される。
【0091】
図10に示したように、画像処理装置1300は、分光画像の画像値と表示色との関係を示すカラースケールとして、カラーバー2400をGUIに含ませる。画像処理装置1300は、造影剤に関する情報(例えば、造影剤の種類がICGであることを示す情報)と、照射光の波長を示す情報とに基づいて、カラースケールに割り当てる画像値の数値範囲を決定してもよい。例えば、画像処理装置1300は、式(1)によって求めた動脈の酸素飽和度、静脈の酸素飽和度、および造影剤に対応する画像値(負値の画像値)を含む数値範囲を決定してもよい。画像処理装置1300は、-100%~100%の数値範囲を決定し、青から赤に変化するカラーグラデーションに-100%~100%を割り当てたカラーバー2400を設定してもよい。このような表示方法により、動静脈の識別に加え、(画像値が負値となる)造影剤領域も識別することができる。また、画像処理装置1300は、造影剤に関する情報と、照射光の波長を示す情報とに基づいて、造影剤に対応する画像値の数値範囲を示すインジケータ2410を表示させてもよい。ここでは、カラーバー2400において、ICGに対応する画像値の数値範囲として負値の領域をインジケータ2410で示している。このように造影剤に対応する表示色を識別できるようにカラースケールを表示することにより、分光画像中の造影剤領域を容易に識別することができる。
【0092】
なお、分光画像の画像値に色相、明度、および彩度の少なくとも一つを割り当て、光音響画像の画像値に色相、明度、および彩度の残りのパラメータを割り当ててもよい。例えば、分光画像の画像値に色相および彩度を割り当て、光音響画像の画像値に明度を割り当
てた画像を表示させてもよい。このとき、造影剤に対応する光音響画像の画像値が、血管に対応する光音響画像の画像値よりも大きい場合や小さい場合、光音響画像の画像値に明度を割り当てると、血管と造影剤の両方を視認することが困難な場合がある。そこで、分光画像の画像値によって、光音響画像の画像値から明度への変換テーブルを変更してもよい。例えば、分光画像の画像値が造影剤に対応する画像値の数値範囲に含まれる場合、光音響画像の画像値に対応する明度を、血管に対応するそれよりも小さくしてもよい。すなわち、造影剤領域と血管領域を比べたときに、光音響画像の画像値が同じであれば、血管領域よりも造影剤領域の明度を小さくしてもよい。変換テーブルとは、複数の画像値のそれぞれに対応する明度を示すテーブルである。また、分光画像の画像値が造影剤に対応する画像値の数値範囲に含まれる場合、光音響画像の画像値に対応する明度を、血管に対応するそれよりも大きくしてもよい。すなわち、造影剤領域と血管領域を比べたときに、光音響画像の画像値が同じであれば、血管領域よりも造影剤領域の明度を大きくしてもよい。また、分光画像の画像値によって、光音響画像の画像値を明度に変換しない光音響画像の画像値の数値範囲が異なっていてもよい。
変換テーブルは、造影剤の種類や濃度、また照射光の波長によって適したものに変更してもよい。そこで、画像処理装置1300は、造影剤に関する情報と、照射光の波長を示す情報とに基づいて、光音響画像の画像値から明度への変換テーブルを決定してもよい。画像処理装置1300は、造影剤に対応する光音響画像の画像値が血管に対応するそれよりも大きくなると推定される場合、造影剤に対応する光音響画像の画像値に対応する明度を血管に対応するそれよりも小さくしてもよい。反対に、画像処理装置1300は、造影剤に対応する光音響画像の画像値が血管に対応するそれよりも小さくなると推定される場合、造影剤に対応する光音響画像の画像値に対応する明度を血管に対応するそれよりも大きくしてもよい。
【0093】
画像処理装置1300は、図10に示したGUIに含まれる分光画像(符号2300)を動画像によって表示する。すなわち、所定の期間における複数の分光画像を、連続した画像として出力する。
なお、複数の分光画像は、撮影時と同一のフレームレートで再生されてもよいし、異なるフレームレート(例えば早送り)で再生されてもよい。このため、図10のGUIに、ユーザがフレームレートを手動で入力するためのウィンドウや、フレームレートを変更するためのスライドバーなどを追加してもよい。一般に、リンパ液の流れは間欠的であり、その周期は数十秒から数分である。しかし、表示部160に表示される動画像のフレームレートを可変にすることで、表示される動画像の早送り表示が可能になり、ユーザがリンパ管内の流体の様子を短時間で確認できるようになる。
【0094】
また、所定の時間範囲内の動画像を繰り返し表示可能であってもよい。その際、繰り返し表示を行う範囲をユーザが指定可能とするためのウィンドウやスライドバーなどのGUIを、図10に追加することも好ましい。これにより、例えばユーザは動画像データのうちの造影剤が流れる期間を指定して繰返し動画像を観察することが可能となり、リンパ管内を流体が流れる様子をユーザが把握しやすくなる。
【0095】
次に、ステップS900で、画像処理装置1300が、記憶装置1200に記憶された複数の分光画像(複数フレームの分光画像)を取得し、リンパ管が存在する領域を表す画像を生成する。
本ステップでは、まず、時系列で得られた複数の分光画像のそれぞれについて、画像値が所定の範囲にある領域を抽出する。前述した例では、式(1)の計算値である画像値が負値である画素の集合を抽出する。これにより、図11(A)に示したように、動画像のフレームごと、すなわち、動画像を構成する分光画像ごと、に領域(黒線で図示)が抽出される。抽出された領域は、各フレームにおいて造影剤が存在する領域である。なお、図11では、二次元画像を例示しているが、分光画像が三次元分光画像である場合、三次元
空間内から領域を抽出してもよい。
そして、フレームごとに得られた領域を重ね合わせ(合成し)、リンパ管に対応する領域を生成する。図11(A)に示した領域を重ね合わせると、図11(B)に示したような、リンパ管に対応する領域(符号1101)が得られる。
【0096】
画像処理装置1300は、このようにして生成された領域に基づいて、リンパ管の位置を表す画像(第二の画像データ)を生成し、出力する。なお、リンパ管の位置を表す画像を生成する際は、元の画像値(すなわち、分光画像の画像値)に応じた色相を与えてもよいし、固有のマーキングを施すことで強調表示してもよい。また、吸収係数に対応する輝度を与えてもよい。吸収係数は、分光画像を生成する際に使用した光音響画像から取得することができる。
生成した画像は、図10に示したGUIと同一の画面に出力してもよいし、別の画面に出力してもよい。第二の画像は、三次元画像であってもよいし、二次元画像であってもよい。また、上述のように生成された第二の画像データを画像サーバ1210や記憶装置1200等に保存するためのインタフェースを図10に示したGUIに追加してもよい。第二の画像データは、動画像である第一の画像データに比してデータ量が少ないため、処理能力の高くない端末を用いる場合であっても、リンパ管の位置を容易に把握することができる。
【0097】
第一の実施形態によると、医師等のユーザに対して、リンパ管の位置を表す静止画像を提供することが可能になる。リンパ液(造影剤)は周期的に移動するため、複数の分光画像を単純に加算(ないし平均化)した場合、リンパ管の位置を正確に提示することができない。一方、本実施形態では、画像値が所定の範囲にある領域を、分光画像の各フレームから抽出して合成するため、時間方向の情報が圧縮される。これにより、正確にリンパ管の位置を描出することができる。
【0098】
なお、例示した実施形態では、分光画像の画像値が所定の範囲にある領域を抽出したが、他の条件を併用して領域の抽出を行ってもよい。例えば、分光画像に対応する光音響画像(吸収係数を表す画像)を参照し、その輝度値が所定の閾値を下回る領域を除外してもよい。これは、分光画像の画像値が所定の範囲内にあっても、吸収係数が小さい領域はノイズである可能性が高いためである。また、フィルタリングを行うための輝度値の閾値は、ユーザによって変更可能としてもよい。
【0099】
本実施形態では、造影剤に対応する画像値(式(1)によって求めた値)が負値となる波長を選択することにより、血管と造影剤とを識別できるようにしたが、造影剤に対応する画像値が血管と造影剤とを識別できる限り、造影剤に対応する画像値は、いかなる値であってもよい。例えば、造影剤に対応する分光画像(酸素飽和度画像)の画像値が、60%より小さくなるまたは100%より大きくなる場合などにも、本工程で説明した画像処理を適用することができる。
また、本実施形態では、血管領域に対応する画素の画像値が正になり、造影剤領域に対応する画素の画像値が負になるような照射光の波長(2波長)を選択したが、分光画像における双方の画像値の符号が逆になるような任意の2波長を選択してもよい。
【0100】
また、画像処理装置1300は、造影剤に関する情報と、照射光の波長を示す情報とに基づいて、分光画像中の造影剤領域を決定してもよい。例えば、画像処理装置1300は、分光画像のうち、負値の画像値を有する領域を造影剤領域として決定してもよい。そして、画像処理装置1300は、造影剤領域とそれ以外の領域とを識別できるように分光画像を表示装置1400に表示させてもよい。画像処理装置1300は、造影剤領域とそれ以外の領域との表示色を異ならせる、造影剤領域を点滅させる、造影剤領域を示すインジケータ(例えば、枠)を表示させるなどの識別表示を採用することができる。
【0101】
なお、図10に示すGUIに表示されたICGの表示に対応するアイテム2730を指示することにより、ICGに対応する画像値を選択的に表示させる表示モードに切り替え可能であってもよい。例えば、ユーザがICGの表示に対応するアイテム2730を選択した場合に、画像処理装置1300が分光画像から画像値が負値のボクセルを選択し、選択されたボクセルを選択的にレンダリングすることにより、ICGの領域を選択的に表示してもよい。同様に、ユーザが動脈の表示に対応するアイテム2710や静脈の表示に対応するアイテム2720を選択してもよい。ユーザの指示に基づいて、画像処理装置1300が、動脈に対応する画像値(例えば、90%以上100%以下)や静脈に対応する画像値(例えば、60%以上90%未満)を選択的に表示させる表示モードに切り替えてもよい。動脈に対応する画像値や静脈に対応する画像値の数値範囲については、ユーザの指示に基づいて変更可能であってもよい。
【0102】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、ステップS900において、時系列で取得した分光画像の各フレームに対してそれぞれ領域の抽出処理を行い、抽出した複数の領域を合成した。これに対し、第二の実施形態は、時系列で取得した分光画像の複数のフレームを参照し、所定の期間内において条件を満たした領域を直接抽出する実施形態である。
【0103】
第二の実施形態では、ステップS900において、所定の期間内に含まれる複数の分光画像を選択し、当該所定の期間内において画像値が所定の範囲に入った領域(前述した例では、画像値が負値となった領域)を抽出する。所定の期間内において、画像値が所定の範囲に入った領域は、すなわち、造影剤が通過した領域であると言える。なお、所定の期間は、リンパ液の移動が発生する周期より長いこと(例えば、40秒~2分程度よりも長いこと)が好ましい。
【0104】
図12は、分光画像中のある画素P(x,y)における画像値の、所定の期間内における時間変化を例示した図である。図示した画素は、画像値が所定の範囲に入っているため、抽出の対象となる。
このように、造影剤領域は、所定の期間内において変化する画像値に基づいて抽出してもよい。なお、当該判定を行う際は、所定の期間内において光音響画像の画像値のピークホールドなどを行ってもよい。
【0105】
なお、ノイズ対策のため、第二の実施形態においても、第一の実施形態と同様に、吸収係数が所定の値を下回る領域を除外してもよい。すなわち、分光画像の画像値が所定の範囲内にあり、かつ、対応する光音響画像の輝度が閾値を上回っている領域を抽出対象としてもよい。
また、ノイズ対策のため、前述した条件を満たした状態で、一定の時間が経過した領域を抽出対象としてもよい。また、前述した一定の時間は、ユーザが調整可能としてもよい。
【0106】
(変形例)
なお、実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。
例えば、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む光音響装置として実施することもできる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む被検体情報取得方法として実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0107】
例えば、実施形態の説明では、分光画像の画像値が所定の範囲内にある領域を抽出対象
としたが、(所定の期間内における)画像値の変化が条件を満たした領域を造影剤領域として抽出してもよい。例えば、画像値の時間変化量が閾値を超えた領域を、造影剤領域として抽出してもよい。かかる構成によると、リンパの脈動に基づいて領域の抽出を行うことができる。この他にも、画像値の標準偏差や変動周期が条件を満たした領域を抽出してもよい。
【0108】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、FPGAやASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0109】
1100:光音響装置、1200:記憶装置、1300:画像処理装置、1400:表示装置、1500:入力装置
図1
図2
図3
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図11
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