IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマサ醤油株式会社の特許一覧 ▶ 独立行政法人国立国際医療研究センターの特許一覧 ▶ 国立大学法人 熊本大学の特許一覧

特許7125714抗ウイルス活性を有する2’-デオキシ-7-デアザプリンヌクレオシド誘導体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】抗ウイルス活性を有する2’-デオキシ-7-デアザプリンヌクレオシド誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7064 20060101AFI20220818BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61K31/7064
A61P31/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018556715
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2017044684
(87)【国際公開番号】W WO2018110591
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2016240973
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「感染症実用化研究事業 肝炎等克服実用化研究事業ii」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000006770
【氏名又は名称】ヤマサ醤油株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510192802
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立国際医療研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】満屋 裕明
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】苫谷 晃太
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕太郎
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/148746(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/100569(WO,A1)
【文献】米国特許第05192749(US,A)
【文献】TAKAMATSU, Y. et al.,Hepatology,2015年,Vol. 62, No. 4,pp. 1024-1036
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を有効成分とする、抗B型肝炎ウイルス剤
【化1】
[前記式中、Rは、ヒドロキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアミノ基を示す。Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、シアノ基又はアジド基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
【請求項2】
前記ヌクレオシド誘導体が、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はモノフルオロメチル基であり、R は水素原子である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はシアノ基であり、R はヨウ素原子である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はシアノ基であり、R はフッ素原子である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はシアノ基であり、R はエチニル基である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R はアミノ基であり、R はシアノ基であり、R は水素原子である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はシアノ基であり、R は塩素原子である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はアジド基であり、R はフッ素原子である、ヌクレオシド誘導体、又は、
前記一般式(1)中、R はヒドロキシ基であり、R はアミノ基であり、R はシアノ基であり、R は水素原子である、ヌクレオシド誘導体である、請求項1に記載の抗B型肝炎ウイルス剤。
【請求項3】
前記ヌクレオシド誘導体が、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はモノフルオロメチル基であり、R は水素原子である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はシアノ基であり、R はヨウ素原子である、ヌクレオシド誘導体、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はシアノ基であり、R はフッ素原子である、ヌクレオシド誘導体、又は、
前記一般式(1)中、R はアミノ基であり、R は水素原子であり、R はシアノ基であり、R はエチニル基である、ヌクレオシド誘導体である、請求項1に記載の抗B型肝炎ウイルス剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス活性を有する2’-デオキシ-7-デアザプリンヌクレオシド誘導体に関し、より詳しくは、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、2’-デオキシ-7-デアザプリンヌクレオシド誘導体、及び該誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎ウイルス(HBV)が感染すると、急性又は劇症的に肝炎が生じ、時に死に至ることがある。また、慢性的に肝炎を発症させ、肝硬変、そして肝細胞癌へと進行する場合もある。その感染者数は全世界で約4億人いると推定され、東南アジアを中心として罹患率は非常に高く、その有効な治療方法の開発が世界的に希求されている。
【0003】
HBVは、不完全2本鎖DNAウイルスであり、その生活環においてRNAからDNAを合成する逆転写を行うことが知られている。一方、宿主となるヒトにおいては、逆転写は行われないので、この段階を阻害することにより、HBVの複製のみを阻止できることが可能となる。そして、このような観点からのHBV感染症の治療薬として、ヌクレオシド誘導体製剤が開発されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-244422号公報
【文献】特開2008-273960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現状のヌクレオシド誘導体製剤において、その多くが宿主細胞、すなわち服用するヒトの細胞に対しても毒性を有しており、中長期の服用による副作用が問題となっている。そのため、HBV等のウイルス感染症に対する有効な治療方法は確立されていないのが現状である。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくともHBVに対して抗ウイルス活性を有し、宿主細胞に対する毒性が低いヌクレオシド誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、2’-デオキシ-7-デアザプリンヌクレオシドにおいて、プリン塩基の2位、6位及び7位、並びにリボース糖の4位を、各々特定の官能基に置換したヌクレオシド誘導体が、HBVに対して優れた抗ウイルス活性を発揮しつつも、概して、細胞毒性が低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有するヌクレオシド誘導体、及び該誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤に関し、より詳しくは、以下を提供するものである。
<1> 下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体。
【0009】
【化1】
【0010】
[前記式中、Rは、ヒドロキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアミノ基を示す。Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、シアノ基、アジド基又は水素原子を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
<2> <1>に記載のヌクレオシド誘導体を有効成分とする、抗ウイルス剤。
<3> 抗B型肝炎ウイルス剤である、<2>に記載の抗ウイルス剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少なくともHBVに対して抗ウイルス活性を有し、宿主細胞に対して毒性が低いヌクレオシド誘導体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(ヌクレオシド誘導体)
後述の実施例において示す通り、下記式で表されるヌクレオシド誘導体は、B型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有することが明らかになった。したがって、本発明は、抗ウイルス活性を示すヌクレオシド誘導体に関し、より詳しくは、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を提供するものである。
【0013】
【化2】
【0014】
[前記式中、Rは、ヒドロキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアミノ基を示す。Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、シアノ基、又は水素原子を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。]。
【0015】
本発明のヌクレオシド誘導体は、少なくともB型肝炎ウイルス(HBV)に対して抗ウイルス活性を有する。本発明において「HBV」は、B型肝炎を発症させる能力を有するウイルスを意味する。HBVとしては、A(A2/Ae、A1/Aa)、B(Ba、B1/Bj)、C(Cs、Ce)、D~H及びJの遺伝子型が知られているが、本発明のヌクレオシド誘導体は、少なくとも1つの遺伝子型のHBVに対して抗ウイルス活性を有するものであればよい。
【0016】
本発明において「抗ウイルス活性」とは、HBV等のウイルスが感染した細胞(宿主細胞)において、当該ウイルスを消滅させる又はその増殖を抑制する活性を意味し、例えば、宿主細胞におけるウイルス複製を抑制する活性が挙げられる。また、かかる抑制等の対象がゲノムとしてDNAを有するウイルス(DNAウイルス)である場合には、「抗DNAウイルス活性」と称する。さらに、かかる活性は、後述の実施例に示すように、宿主細胞におけるウイルスのコピー数等を指標として算出されるEC50値にて評価することができる。本発明のヌクレオシド誘導体は、抗ウイルス活性のEC50値が1μM未満であることが好ましく、0.5μM以下であることがより好ましく、0.1μM以下であることがさらに好ましく、0.05μM以下(例えば、0.04μM以下、0.03μM以下、0.02μM以下、0.01μM以下)であることがより好ましい。
【0017】
また、本発明のヌクレオシド誘導体は、細胞毒性が低いことが好ましい。本発明において「細胞毒性」とは、細胞を殺傷する、その機能を阻害する、またはその増殖を抑制する活性を意味する。かかる活性は、後述の実施例に示すように、細胞の生存数等を指標として算出されるCC50値にて評価することができる。本発明のヌクレオシド誘導体は、CC50値が10μM以上であることが好ましく、CC50値が25μM以上であることがより好ましく、CC50値が50μM以上であることがさらに好ましく、100μM以上であることがより好ましい。
【0018】
本発明のヌクレオシド誘導体に少なくともHBVに対する抗ウイルス活性を発揮させつつ、当該誘導体の細胞毒性を低下させることができるという観点から、各置換基は、以下に示す通り選択することが好ましい。
【0019】
「置換基を有していてもよいアミノ基」における置換基としては、炭素数1以上のアルキル基が好ましく、炭素数1~6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基がさらに好ましく、メチル基がより好ましい。「置換基を有していてもよいアミノ基」は、より具体的に、アミノ基又はメチルアミノ基が好ましい。
【0020】
「置換基を有していてもよいアルキル基」におけるアルキル基としては特に制限はないが、炭素数1~6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。「置換基を有していてもよいアルキル基」における置換基としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基が挙げられるが、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。より具体的には、「置換基を有していてもよいアルキル基」は、モノフルオロメチル基が好ましい。
【0021】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味するが、フッ素原子、塩素原子又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子又はフッ素原子がより好ましい。
【0022】
「置換基を有していてもよいアルキニル基」におけるアルキニル基としては特に制限はないが、炭素数2以上の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキニル基が好ましく、炭素数2~6の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキニル基がより好ましく、エチニル基がさらに好ましい。「置換基を有していてもよいアルキニル基」における置換基としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基が挙げられる。
【0023】
「置換基を有していてもよい複素環基」における複素環基としては特に制限はなく、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が挙げられる。これらの中で、窒素を含有する複素環基が好ましく、例えば、ピロリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、ピラゾリル基、(1,3,5-)トリアジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、プリニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、テトラゾリル基、テトラジニル基、トリアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、キノキサリル基、キナゾリル基が挙げられるが、これらの中でピラゾリル基が好ましい。「置換基を有していてもよい複素環基」における置換基としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基が挙げられる。
【0024】
好適な官能基を有するヌクレオシド誘導体の例としては、Rがアミノ基であり、Rが水素であり、R3がシアノ基であり、かつR4がフッ素又はエチニル基である前記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体が挙げられる。
【0025】
本発明のヌクレオシド誘導体には、薬理学上許容される塩、水和物又は溶媒和物も含まれる。このような薬理学上許容される塩としては、特に制限はなく、ヌクレオシド誘導体の構造等に応じて適宜選択することができ、例えば、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、硫酸水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、樟脳スルホン酸塩、スルファミン酸塩、マンデル酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、ステアリン酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、パモン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2-アセトキシ安息香酸塩、エタンジスルホン酸塩、シュウ酸塩、イセチオン酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、エチルコハク酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アスパラギン酸塩、アジピン酸塩、ヨウ化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩等)、塩基付加塩(ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、カルシウム塩、ビスマス塩、バリウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、銅塩、コバルト塩、ニッケル塩、カドミウム塩、アンモニウム塩、エチレンジアミン塩、N-ジベンジルエチレンジアミン塩)が挙げられる。また、水和物又は溶媒和物としては、特に制限はなく、例えば、ヌクレオシド誘導体又はその塩1分子に対し、0.1~3分子の水又は溶媒が付加したものが挙げられる。
【0026】
本発明のヌクレオシド誘導体には、互変異性体、幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体等の総ての異性体及び異性体混合物が含まれる。さらに、本発明のヌクレオシド誘導体が生体内で酸化、還元、加水分解、アミノ化、脱アミノ化、水酸化、リン酸化、脱水酸化、アルキル化、脱アルキル化、抱合等の代謝を受けてなお所望の活性を示す化合物をも包含し、また本発明は生体内で酸化、還元、加水分解等の代謝を受けて本発明のヌクレオシド誘導体を生成する化合物(所謂、プロドラッグの形態)をも包含する。さらに、本発明のヌクレオシド誘導体は、後述の通り、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。
【0027】
また、本発明のヌクレオシド誘導体の合成は、たとえば、リボース糖(ヒドロキシ基がアセチル基、ベンジル基等によって置換されることにより保護されたD-リボフラノース)と、プリン塩基(7-デアザアデニン)とを、シリル体経由で反応させ、さらにフェノキシチオカルボニル誘導体経由で還元してリボース糖の2位をデオキシ化し、また必要に応じ、公知の手法により、リボース糖及び/又はプリン塩基の目的の位置に置換基を導入することによって行うことができる。このような本発明のヌクレオシド誘導体の合成方法は後述の実施例において詳細に示されているので、当業者であれば、実施例の記載を参照しつつ、反応原料、反応試薬、反応条件(例えば、溶媒、反応温度、触媒、反応時間)等を適宜選択しつつ、必要に応じてこれらの方法に適宜、修飾ないし改変を加えることにより、本発明のヌクレオシド誘導体を合成することは可能である。また、このようにして合成されたヌクレオシド誘導体は、一般のヌクレオシド、ヌクレオチドの単離・精製に使用されている方法(逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、再結晶法)を適宜単独又は組み合わせて用いることにより、分離、精製することができる。
【0028】
(抗ウイルス剤、ウイルス感染症の予防方法、治療方法)
後述の実施例において示す通り、本発明のヌクレオシド誘導体は、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する。したがって、本発明のヌクレオシド誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤を提供することができる。
【0029】
本発明の抗ウイルス剤並びに後述の予防方法、治療方法が対象とする感染症としては特に制限はなく、例えば、HBV感染症が挙げられ、より具体的には、B型肝炎(慢性肝炎、急性肝炎、劇症肝炎)、肝硬変、肝繊維化、肝細胞癌が挙げられる。
【0030】
本発明の抗ウイルス剤は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤等として、経口的又は非経口的に使用することができる。
【0031】
これら製剤化においては、薬理学上許容される担体又は媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。より具体的には、担体として、乳糖、カオリン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タルク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、塩化ナトリウム等の固体状担体、グリセリン、落花生油、ポリビニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、水等の液状担体も挙げられる。
【0032】
また、本発明の抗ウイルス剤は、公知の他の抗ウイルス剤と併用してもよい。このような公知の抗ウイルス剤としては、対象疾患がHBV感染症である場合には、例えば、エンテカビル、3TC(ラミブジン)、アデフォビル等の公知のヌクレオシドアナログ製剤、インターフェロン(IFN)が挙げられる。また、このような薬剤を用いた抗ウイルス療法の他、免疫療法(副腎皮質ステロイドホルモン離脱療法、プロパゲルニウム製剤内服等)、肝庇護療法(グリチルリチン製剤の静注、胆汁酸製剤の内服等)との併用療法に、本発明の抗ウイルス剤を用いることもできる。
【0033】
本発明の抗ウイルス剤の好ましい投与形態としては特に制限はなく、経口投与又は非経口投与、より具体的には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、皮内投与、気道内投与、直腸投与及び筋肉内投与、輸液による投与が挙げられる。
【0034】
本発明の抗ウイルス剤は、主にヒトを対象として使用することができるが、実験用動物等のヒト以外の動物も対象とすることができる。
【0035】
本発明の抗ウイルス剤を投与する場合、その投与量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態、重篤状態、薬物に対する忍容性、投与形態等に応じて、適宜選択される。1日当たりの本発明の抗ウイルス剤の投与量は、有効成分であるヌクレオシド誘導体の量として、通常0.00001~1000mg/kg体重、好ましくは0.0001~100mg/kg体重であり、1回又は複数回に分けて対象に投与される。
【0036】
本発明の抗ウイルス剤の製品又はその説明書は、ウイルス感染症を治療又は予防するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品又は説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装等に表示を付したこと、又は製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物等に表示を付したことを意味する。また、ウイルス感染症を治療するために用いられる旨の表示においては、本発明のヌクレオシド誘導体を投与することにより、ウイルスの逆転写酵素反応を阻害し、当該ウイルスの複製を抑制できることも本発明の抗ウイルス剤の作用機序に関する情報として含むことができる。
【0037】
このように本発明は、本発明の抗ウイルス剤を対象に投与することによって、感染症を予防又は治療することができる。したがって、本発明は、本発明のヌクレオシド誘導体を投与することを特徴とする、ウイルス感染症を予防又は治療するための方法をも提供するものである。
【0038】
本発明のヌクレオシド誘導体を投与する対象としては特に制限はなく、例えば、HBV等のウイルス感染症患者、感染症が発症する前のウイルス保有者、感染する前の者が挙げられる。
【実施例
【0039】
抗ウイルス活性を有するヌクレオシド誘導体を得るために、下記表1に示す組み合わせにて官能基を有する下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を、以下に示す方法にて合成した。なお、表中の番号は、以下に示す化合物の番号を示す。
【0040】
【化3】
【0041】
【表1】
【0042】
さらに、このようにして合成された化合物が、所望の構造を有する化合物であることは、H核磁気共鳴(NMR)スペクトルを測定することにより確認した。それらの結果も併せて以下に示す。
【0043】
合成例1:4-アミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
4-アミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物8)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0044】
【化4】
【0045】
すなわち先ず、Biosci.Biotechnol.Biochem.1999,63,736-742(上記 Ref.1)に記載の方法に沿って、1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-アロフラノース(化合物1)から、1,2-O-イソプロピリデン-3-O-p-メトキシベンジル-α-D-アロフラノース(化合物2)を合成した。
【0046】
次に、このようにして得られた化合物2から、化合物3(3,5-ジ-O-ベンジル-4-C-フルオロメチル-1,2-O-イソピリデン-α-D-リボフラノース)を合成した。すなわち、化合物2(10.5mg,0.026mmol)をトルエン(1mL)に溶解させた後、N,N-ジエチルアミノサルファートリフルオリド(6.9μL,0.052mmol)を加え、60℃で2時間攪拌した。続いて、N,N-ジエチルアミノサルファートリフルオリド(6.9μL,0.052mmol)を追加し、60℃で4時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/5)で精製を行い、化合物3を得た(6.1mg,0.015mmol,58%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.34-7.25(10H,m),5.76(1H,d,J=3.5Hz),4.91-4.81(1H,dd,J=48.5,10.0Hz),4.74-4.60(3H,m),4.57-4.48(3H,m),4.26(1H,dd,J=5.0,1.5Hz),3.61(1H,dd,J=10.5,2.5Hz),3.55(1H,dd,J=10.5,2.0Hz),1.63(3H,s),1.35(3H,s)。
【0047】
次に、このようにして得られた化合物3から、化合物4(1,2-ジ-O-アセチル-3,5-ジ-O-ベンジル-4-C-フルオロメチル-D-リボフラノース)を合成した。すなわち、化合物3(269mg,0.67mmol)を酢酸(4.2mL)に溶解させた後、水(1.3mL)とトリフルオロ酢酸(0.42mL)を順次加え、5.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒の留去を行い、粗精製の脱アセトナイド体(0.67mmol)を得た。粗精製の脱アセトナイド体(0.67mmol)をトルエンで3回共沸した。得られた残渣をピリジン(3.5mL)に溶解させた後、無水酢酸(0.19mL,2.0mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(8.15mg,67μmol)を加えて1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/4)で精製を行い、化合物4を得た(293mg,0.66mmol,98%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.36-7.24(10H,m),6.42-6.17(1H,m),5.35-5.22(1H,m),4.70-4.64(1H,dd),4.61-4.48(5H,m),4.43-4.34(1H,m),3.70-3.62(1H,dd,J=10.0,2.0Hz),3.51-3.49(1H,dd,J=9.5,2.0Hz),2.10(3H,s),2.04-1.90(3H,s)。
【0048】
次に、このようにして得られた化合物4から、化合物5(7-(2-O-アセチル-3,5-ジ-O-ベンジル-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-4-クロロ-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、6-クロロ-7-ヨード-7-デアザプリン(15.1mg,0.054mmol)にアセトニトリル(0.2mL)を加えた後、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(15.9μL,0.065mmol)を加え、室温で20分攪拌した。続いて、アセトニトリル(0.3mL)に溶解させた化合物4(15.4mg,0.035mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(12.5μL,0.069mmol)を順次加え、室温下で10分攪拌した後、加熱還流下で21時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/6)で精製を行い、化合物5を得た(9.8mg,0.015mmol,43%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.58(1H,s),7.71(1H,s),7.44-7.32(10H,m),6.59(1H,d,J=6.5Hz),5.69(1H,t,J=5.5Hz),4.71-4.48(8H,m),3.76(1H,dd,J=10.0,2.0Hz),3.70(1H,dd,J=10.0,2.5Hz),2.02(3H,s)。
【0049】
次に、このようにして得られた化合物5から、化合物6(4-アミノ-7-(3,5-ジ-O-ベンジル-4-C-フルオロメチル-2-O-フェニルチオノホルミル-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物5(9.8mg,0.015mmol)を1,4-ジオキサン(0.5mL)に溶解させた後、アンモニア水(1mL)を加え、120℃で20時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の6-アミノ化体(9.5mg,0.015mmol)を得た。粗精製の6-アミノ化体(9.5mg,0.015mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させた後、4-ジメチルアミノピリジン(3.0mg,0.025mmol)とクロロチオノぎ酸フェニル(2.3μL,0.016mmol)を順次加え、0℃で1時間攪拌した。続いてクロロチオノぎ酸フェニル(1.0μL,7.1μmol)を加えて0℃で1時間攪拌した後、クロロチオノぎ酸フェニル(1.0μL,7.1μmol)を加えて室温下で1時間攪拌した。さらに4-ジメチルアミノピリジン(2.2mg,0.018mmol)とクロロチオノぎ酸フェニル(2.0μL,0.014mmol)を順次加え、室温下で1時間攪拌した。反応終了後、水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物6を得た(8.2mg,0.011mmol,2工程75%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.24(1H,s),7.40-7.26(13H,m),6.92(2H,m),6.69(1H,d,J=6.5Hz),6.21(1H,dd,J=7.0,5.5Hz),5.74(2H,brs),4.86-4.46(8H,m),3.78(2H,m)。
【0050】
次に、このようにして得られた化合物6から、化合物7(4-アミノ-7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物6(133mg,0.18mmol)をトルエン(6mL)に溶解させた後、水素化トリブチルスズ(0.24mL,0.90mmol)とアゾビスイソブチロニトリル(7.4mg,0.045mmol)を順次加え、80℃で35分間攪拌した。続いて溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製を行い、化合物7を得た(42.3mg,0.092mmol,51%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.29(1H,s),7.38-7.28(10H,m),7.19(1H,d,J=3.5Hz),6.74(1H,t,J=6.5Hz),6.31(1H,d,J=4.0Hz),5.12(2H,brs),4.77-4.49(8H,m),3.72(1H,dd,J=9.5,1.5Hz),3.65(1H,dd,J=10.0,2.0Hz),2.69-2.64(1H,m),2.61-2.56(1H,m)。
【0051】
次に、このようにして得られた化合物7から、化合物8(4-アミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物7(25.6mg,0.055mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解させた後、-78℃下で三塩化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液,0.28mL,0.28mmol)を加え、同温下で3時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水によるクエンチと溶媒の減圧留去を行った。メタノールによる共沸を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/6)で精製を行い、化合物8を得た(13.4mg,0.048mmol,77%)。
H-NMR(CDOD,500MHz);δ8.06(1H,s),7.31(1H,d,J=3.5Hz),6.60(1H,d,J=3.5Hz),6.55(1H,dd,J=8.5,6.0Hz),4.68(1H,dd,J=33.5,10.0Hz),4.65(1H,dd,J=6.0,3.0Hz),4.58(1H,dd,J=34.0,10.0Hz),3.74(2H,m),2.89-2.83(1H,m),2.39-2.34(1H,m)。
【0052】
合成例2:4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン及び7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物18)及び7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物19)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0053】
【化5】
【0054】
先ず、化合物9(Synthesis 1988(9):670-674 参照)から、化合物10(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物9(3.65g,6.4mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(64mL)に溶解し、イミダゾール(1.30g,19mmol)を加えた後、氷冷下にてtert-ブチルジメチルシリルクロリド(1.44g,9.6mmol)を加え、室温にて19.5時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(150mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(2.43g,13mmol)のメタノール溶液(60mL)を10分かけて滴下し、5分間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後分配し、クロロホルムで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=9:1-4:1)にて精製し、化合物10を得た(2.32g,2工程95%)。
H-NMR(CDCl):δ8.63(1H,s),7.35(1H,d,J=3.7Hz),6.62(1H,d,J=3.7Hz),6.29(1H,dd,J=5.5Hz,9.3Hz),5.38(1H,dd,J=2.0Hz,9.2Hz),4.70(1H,d,J=5.3Hz),4.13(1H,d,J=1.4Hz),3.97-3.93(1H,m),3.80-3.74(1H,m),3.04-2.99(1H,m),2.24-2.20(1H,m),0.93(9H,s),0.12(6H,s)。
【0055】
次に、このようにして得られた化合物10から、化合物11(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物10(2.25g,5.9mmol)をジメチルスルホキシド(18mL)、トルエン(12mL)に溶解し、氷冷下にて1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(4.49g,23mmol)、ピリジン(630μL,7.8mmol)、トリフルオロ酢酸(292μL,3.9mmol)を加え5時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を1,4-ジオキサン(18mL)に溶解し、氷冷下にて37%ホルムアルデヒド水溶液(3.3mL,41mmol)、1M水酸化ナトリウム水溶液(6.2mL,6.2mmol)を加え22時間撹拌した。酢酸を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をエタノール(30mL)に溶解し、氷冷下にて水素化ホウ素ナトリウム(226mg,6.0mmol)を加え30分間撹拌した。酢酸を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=9:1-1:1)にて精製し、化合物11を得た(1.02g,3工程42%)。
H-NMR(CDCl):δ8.63(1H,s),7.34(1H,d,3.7Hz),6.61(1H,d,J=3.7Hz),6.40(1H,dd,J=6.1Hz,8.5Hz),5.12(1H,d,J=9.3Hz),4.93(1H,dd,J=2.1Hz,6.4Hz),3.85-3.80(2H,m),3.71-3.66(2H,m),3.20-3.14(1H,m),2.67(brs,1H),2.37-2.33(1H,m),0.96(9H,s),0.18(3H,s),0.17(3H,s)。
【0056】
次に、このようにして得られた化合物11から、化合物12(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-4-C-ジメトキシトリチルオキシメチル-β-D-リボフラノシル)-4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物11(1.02g,2.5mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、トリエチルアミン(515μL,3.7mmol)を加え、氷冷下にて4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(918mg,2.7mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)を20分間かけて滴下した後4時間撹拌し、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(83mg,0.25mmol)を追加してさらに2時間撹拌した。メタノールを加え反応停止後、クロロホルム、水を加え分配し、有機層を飽和重曹水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を中圧分取装置(n-ヘキサン/酢酸エチル=4:1-2:1)にて精製した後、再度シリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1)にて精製し、化合物12を得た(1.44g,82%)。
H-NMR(CDCl):δ8.67(1H,s),7.47-7.19(10H,m),6.83-6.80(4H,m),6.64(1H,d,J=3.6Hz),6.30(1H,dd,J=6.1Hz,8.3Hz),4.71(1H,dd,J=2.6Hz,6.1Hz),4.66(1H,dd,J=3.0Hz,10.7Hz),4.20(1H,dd,J=3.0Hz,12.3Hz),3.79(3H,s),3.78(3H,s),3.64(1H,dd,J=10.7Hz,12.3Hz),3.53(1H,d,J=10.7Hz),3.05-3.03(2H,m),2.24-2.29(1H,m),0.76(9H,s),-0.03(3H,s),-0.12(3H,s)。
【0057】
次に、このようにして得られた化合物12から、化合物13(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物12(1.41g,2.0mmol)、イミダゾール(408mg,6.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、氷冷下にてtert-ブチルジフェニルシリルクロリド(768μL,3.0mmol)を加え、室温にて24時間撹拌し、イミダゾール(136mg,2.0mmol)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(256μL,1.0mmol)を追加してさらに3時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(40mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(761mg,4.0mmol)のメタノール溶液(20mL)を15分かけて滴下し10分間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=7:1-1:1)にて精製し、化合物13を得た(1.25g,2工程96%)。
H-NMR(CDCl):δ8.55(1H,s),7.65-7.28(11H,m),6.70(1H,t,J=6.6Hz),6.47(1H,d,J=3.7Hz),4.87(1H,dd,J=4.2Hz,6.5Hz),3.90-3.74(4H,m)2.75-2.70(1H,m),2.48-2.43(1H,m),2.34(1H,dd,J=5.1Hz,8.7Hz),1.08(9H,s),0.93(9H,s),0.13(3H,s),0.13(3H,s)。
【0058】
次に、このようにして得られた化合物13から、化合物14(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物13(326mg,0.50mmol)をジメチルスルホキシド(1.5mL)、トルエン(1.0mL)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(288mg,1.5mmol)、ピリジン(40μL,0.50mmol)、トリフルオロ酢酸(19μL,0.25mmol)を加え23時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をピリジン(2.5mL)に溶解し、塩酸ヒドロキシルアミン(52mg,0.75mmol)を加え1.5時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し酢酸エチルと水で分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、トリエチルアミン(139μL,1.0mmol)、メシルクロリド(58μL,0.75mmol)を加え1時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて精製し、化合物14を得た(266mg,3工程82%)。
H-NMR(CDCl):δ8.50(1H,s),7.62-7.29(11H,m),6.63(1H,t,J=6.5Hz),6.55(1H,d,J=3.7Hz),4.97(1H,t,J=5.9Hz),4.04(1H,d,J=11.2Hz),3.87(1H,d,J=11.2Hz),3.00-2.95(1H,m),2.56-2.51(1H,m),1.05(9H,s),0.96(9H,s),0.18(3H,s),0.16(3H,s)。
【0059】
次に、このようにして得られた化合物14から、化合物15(ピリジニウム塩)を合成した。すなわち、化合物14(191mg,0.30mmol)をピリジン(4.5mL)、水(1.5mL)に溶解し、50℃にて65時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、粗精製物として化合物15を得た(0.30mmol)。
【0060】
次に、このようにして得られた化合物15から、化合物16(4-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、粗精製の化合物15(0.15mmol)を1,4-ジオキサン(1.5mL)に溶解し、アンモニア水(3mL)を加え48時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1-1:2)にて精製し、化合物16を得た(34mg,36%)。
H-NMR(CDCl):δ8.16(1H,s),7.64-7.32(10H,m),7.01(1H,d,J=3.7Hz),6.61(1H,t,J=6.5Hz),6.30(1H,d,J=3.7Hz),5.41(2H,brs),4.96(1H,t,J=5.8Hz),4.03(1H,d,J=11.1Hz),3.86(1H,d,J=11.1Hz),2.99-2.94(1H,m),2.51-2.46(1H,m),1.06(9H,s),0.95(9H,s),0.17(3H,s),0.15(3H,s)。
【0061】
次に、このようにして得られた化合物16から、化合物18(4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。
【0062】
化合物16(42mg,0.067mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液(150μL,0.15mmol)を加え、室温にて45分間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=5-7%)にて精製し、化合物18を得た(16mg,86%)。
H-NMR(DMSO-d):δ8.07(1H,s),7.34(1H,d,J=3.7Hz),7.08(2H,brs),6.64(1H,t,J=7.0Hz),6.61(1H,d,J=3.7Hz),6.27(1H,d,J=5.1Hz),5.82(1H,t,J=6.1Hz),4.60(1H,dd,J=5.1Hz,6.1Hz),3.75(1H,dd,J=5.9Hz,11.8Hz),3.62(1H,dd,J=6.3Hz,11.8Hz),2.80-2.75(1H,m),2.38-2.34(1H,m)。
【0063】
また、上記の通りにして得られた化合物15から、化合物17(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、粗精製の化合物15(0.15mmol)を1,4-ジオキサン(1.5mL)に溶解し、メチルアミン水溶液(3mL)を加え3時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1-1:2)にて精製した後、再度シリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-1:2)にて精製し、化合物17を得た(50mg,0.078mmol,52%)。
H-NMR(CDCl):δ8.23(1H,s),7.64-7.28(10H,m),6.95(1H,d,J=3.7Hz),6.63(1H,t,J=6.6Hz),6.29(1H,d,J=3.7Hz),5.10(1H,brs),4.95(1H,t,J=5.7Hz),4.04(1H,d,J=11.1Hz),3.86(1H,d,J=11.1Hz),3.16(3H,d,J=5.0Hz),2.99-2.94(1H,m),2.49-2.44(1H,m),1.07(9H,s),0.95(9H,s),0.17(3H,s),0.15(3H,s)。
【0064】
次に、このようにして得られた化合物17から、化合物19(7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物17(50mg,0.078mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液(171μL,0.17mmol)を加え、室温にて50分間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=3-7%)にて精製し、化合物19を得た(19mg,85%)。
H-NMR(DMSO-d):δ8.16(1H,s),7.56(1H,d,J=4.6Hz),7.34(1H,d,J=3.7Hz),6.65(1H,t,J=7.0Hz),6.60(1H,d,J=3.6Hz),6.28(1H,d,J=5.1Hz),5.82(1H,t,J=6.1Hz),4.61(1H,dd,J=4.8Hz,11.0Hz),3.76(1H,dd,J=5.9Hz,11.7Hz),3.62(1H,dd,J=6.3Hz,11.7Hz),2.95(3H,d,J=4.6Hz),2.81-2.75(1H,m),2.39-2.34(1H,m)。
【0065】
合成例3:7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2,4-ジアミノピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2,4-ジアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物30)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0066】
【化6】
【0067】
先ず、化合物20(Synthetic Commun.1997,27,3505-3511 参照)と化合物21(J.Med.Chem.2012,55,7786-7795 参照)から、化合物22(4-クロロ-7-(2-デオキシ-3,5-ジ-O-p-トルオイル-β-D-リボフラノシル)-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物21(3.41g,14mmol)をアセトニトリル(70mL)に溶解し、水素化ナトリウム(1.08g,27mmol)を加えた後、氷冷下にて化合物20(5.52g,14mmol)のアセトニトリル溶液(70mL)を15分間かけて滴下し、氷冷下にて1時間撹拌した後、水素化ナトリウム(540mg,14mmol)を追加し室温にて1.5時間撹拌し、さらに水素化ナトリウム(270mg,7.1mmol)を追加し室温にて1時間撹拌した。氷冷下にて塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、反応液を減圧下で半分ほど濃縮し、酢酸エチル、水で分配した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=9:1-2:1)にて精製し、化合物22を得た(4.76g,58%)。
H-NMR(CDCl):δ8.18(1H,brs),8.00-7.22(9H,m),6.75(1H,d,J=6.2Hz,8.0Hz),6.51(1H,d,J=3.8Hz),5.81-5.79(1H,m),4.74(1H,d,J=4.2Hz,11.9Hz),4.63(1H,d,J=4.4Hz,11.9Hz),4.57(1H,dd,J=4.2Hz,7.1Hz),3.05-3.00(1H,m),2.81-2.77(1H,m),2.44(3H,s),2.42(3H,s),1.35(9H,s)。
【0068】
次に、このようにして得られた化合物22から、化合物23(4-クロロ-7-(2-デオキシ-5-O-ジメトキシトリチル-β-D-リボフラノシル)-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物22(182mg,0.30mmol)をジクロロメタン(1.5mL)、メタノール(1.5mL)に溶解し、-10℃にてナトリウムメトキシド(162mg,3.0mmol)を加えた後、氷冷下にて4時間撹拌した。1M塩酸を加え反応停止後、反応液を減圧下で濃縮し、クロロホルム、水で分配し、水層をクロロホルムで抽出し、クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をピリジンで共沸した後、ピリジン(3mL)に溶解し、氷冷下にてジメトキシトリチルクロリド(122mg,0.36mmol)を加え室温にて7時間撹拌した。ジメトキシトリチルクロリド(31mg,0.090mmol)を追加し、さらに16時間撹拌した。メタノールを加え反応停止後、反応液を減圧下で濃縮した後、酢酸エチルと水で分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-2:1)にて精製し、化合物23を得た(92mg,2工程46%)。
H-NMR(CDCl):δ7.99(1H,brs),7.43-7.17(9H,m),7.11(1H,d,J=3.7Hz),6.84(1H,d,J=6.3Hz,7.3Hz),6.80-6.77(4H,m),6.41(1H,d,J=3.7Hz),4.66(1H,d,J=3.0Hz,5.9Hz),4.15(1H,d,J=3.4Hz,7.5Hz),4.08(3H,s),3.77(3H,s),3.77(3H,s),3.42(1H,d,J=3.4Hz),3.36-3.34(1H,m),2.59-2.57(1H,m),2.54-2.52(1H,m),1.30(9H,s)。
【0069】
次に、このようにして得られた化合物23から、化合物24(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-クロロ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物23(282mg,0.42mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解し、イミダゾール(86mg,1.3mmol)を加えた後、氷冷下にてtert-ブチルジメチルシリルクロリド(95mg,0.63mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した後、イミダゾール(86mg,1.3mmol)、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(95mg,0.63mmol)を追加し17時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(8mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(160mg,0.84mmol)のメタノール溶液(4mL)を10分かけて滴下し、1時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後クロロホルムを加え分配し、有機層を飽和重曹水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=6:1-3:1)にて精製し、化合物24を得た(189mg,2工程93%)。
H-NMR(CDCl):δ8.11(1H,brs),7.20(1H,d,3.7Hz),6.52(1H,d,J=3.7Hz),6.24(1H,t,J=6.7Hz),4.88-4.85(1H,m),4.22-4.20(1H,m),4.03(1H,d,J=3.5Hz),3.92(1H,dd,J=2.1Hz,12.5Hz),3.80(1H,dd,J=4.6Hz,12.5Hz),2.97-2.92(1H,m),2.30-2.25(1H,m),1.34(9H,s),0.92(9H,s),0.13(3H,s),0.12(3H,s)。
【0070】
次に、このようにして得られた化合物24から、化合物25(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-4-クロロ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物24(418mg,0.87mmol)をジメチルスルホキシド(5mL)、トルエン(3.5mL)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(995mg,5.2mmol)、ピリジン(141μL,1.7mmol)、トリフルオロ酢酸(97μL,1.3mmol)を加え2時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を1,4-ジオキサン(3mL)に溶解し、氷冷下にて37%ホルムアルデヒド水溶液(495μL,6.1mmol)、1M水酸化ナトリウム水溶液(910μL,0.91mmol)を加え2時間撹拌した。氷冷下にて水素化ホウ素ナトリウム(34mg,0.89mmol)のエタノール溶液(3mL)を加え10分間撹拌した。酢酸を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1-2:1)にて精製し、化合物25を得た(220mg,2工程49%)。
H-NMR(CDCl):δ8.14(1H,brs),7.19(1H,d,3.7Hz),6.51(1H,d,J=3.7Hz),6.31(1H,dd,J=5.2Hz,7.5Hz),3.87-3.64(5H,m),3.09-3.06(1H,m),2.68(1H,brs),2.50-2.46(1H,m),1.34(9H,s),0.94(9H,s),0.21(3H,s),0.15(3H,s)。
【0071】
次に、このようにして得られた化合物25から、化合物26(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-4-クロロ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物25(71mg,0.14mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、トリエチルアミン(39μL,0.28mmol)を加え、氷冷下にて4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(56mg,0.17mmol)を加え2時間撹拌し、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(9mg,0.03mmol)を追加してさらに2時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、イミダゾール(29mg,0.42mmol)を加え、氷冷下にてtert-ブチルジフェニルシリルクロリド(55μL,0.21mmol)を加え、室温にて7時間撹拌し、イミダゾール(29mg,0.42mmol)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(55μL,0.21mmol)を追加して2時間撹拌した後、さらにイミダゾール(29mg,0.42mmol)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(55μL,0.21mmol)を追加して14.5時間撹拌した。氷冷下にて飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(3mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(53mg,0.28mmol)のメタノール溶液(1.5mL)を5分かけて滴下し5分間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後分配し、酢酸エチルで分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて精製し、化合物26を得た(76mg,3工程72%)。
H-NMR(CDCl):δ8.00(1H,brs),7.61-7.20(11H,m),6.61(1H,dd,J=4.9Hz,7.4Hz),6.36(1H,d,J=3.7Hz),5.09(1H,dd,J=6.3Hz,7.4Hz),3.92-3.77(4H,m),2.70-2.64(1H,m),2.58-2.51(1H,m),1.26(9H,s),1.05(9H,s),0.92(9H,s),0.13(3H,s),0.12(3H,s)。
【0072】
次に、このようにして得られた化合物26から、化合物27(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-クロロ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を、合成した。すなわち、化合物26(113mg,0.50mmol)をジメチルスルホキシド(1mL)、トルエン(0.5mL)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(173mg,0.90mmol)、ピリジン(24μL,0.30mmol)、トリフルオロ酢酸(11μL,0.15mmol)を加え2時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をピリジン(1mL)に溶解し、塩酸ヒドロキシルアミン(16mg,0.23mmol)を加え1時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し酢酸エチルと水で分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(1mL)に溶解し、トリエチルアミン(42μL,0.30mmol)、メシルクロリド(17μL,0.23mmol)を加え1時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて精製し、化合物27を得た(86mg,3工程77%)。
H-NMR(CDCl):δ7.97(1H,brs),7.60-7.14(11H,m),6.46(1H,d,3.7Hz),6.42(1H,dd,J=4.0Hz,8.2Hz),5.37(1H,t,J=7.4Hz),4.07(1H,d,J=11.5Hz),4.02(1H,d,J=11.5Hz),2.83-2.80(1H,m),2.63-2.59(1H,m),1.20(9H,s),1.04(9H,s),0.93(9H,s),0.14(3H,s),0.09(3H,s)。
【0073】
次に、このようにして得られた化合物27から、化合物28(4-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を、合成した。すなわち、化合物27(80mg,0.30mmol)をピリジン(2mL)、水(1mL)に溶解し、50℃にて62.5時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣を1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、メチルアミン水溶液(1mL)を加え1時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-2:1)にて精製し、化合物28を得た(53mg,2工程68%)。
H-NMR(CDCl):δ7.80(1H,brs),7.61-7.26(10H,m),6.88(1H,d,J=3.7Hz),6.56(1H,dd,J=5.1Hz,7.6Hz),6.23(1H,t,J=3.7Hz),5.24(2H,brs),5.11(1H,t,J=6.7Hz),3.98(1H,d,J=11.3Hz),3.93(1H,d,J=11.3Hz),2.72-2.68(1H,m),2.56-2.52(1H,m),1.26(9H,s),1.06(9H,s),0.94(9H,s),0.15(3H,s),0.13(3H,s)。
【0074】
次に、このようにして得られた化合物28から、化合物29(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2,4-ジアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を、合成した。すなわち、化合物28(44mg,0.060mmol)、ヨウ化アンモニウム(8.7mg,0.060mmol)をクロロホルム(1mL)、ヒドラジン一水和物(2mL)に溶解し、60℃にて19.5時間撹拌した。水を加え反応停止後、クロロホルムで3回抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=1:1-1:3)にて精製し、化合物29を得た(19mg,50%)。
H-NMR(CDCl):δ7.66-7.34(10H,m),6.68(1H,d,J=3.7Hz),6.50(1H,t,J=6.8Hz),6.14(1H,d,J=3.7Hz),4.98(2H,brs),4.87(1H,dd,J=5.2Hz,5.7Hz),4.45(2H,brs),3.99(1H,d,J=11.0Hz),3.86(1H,d,J=11.0Hz),2.90-2.85(1H,m),2.42-2.37(1H,m),1.08(9H,s),0.96(9H,s),0.18(3H,s),0.16(3H,s)。
【0075】
次に、このようにして得られた化合物29から、化合物30(7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2,4-ジアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を、合成した。すなわち、化合物29(29mg,0.045mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1M テトラヒドロフラン溶液(99μL,0.099mmol)を加え、室温にて30分間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=3-7%)にて精製し、化合物30を得た(11.5mg,88%)。
H-NMR(DMSO-d):6.89(1H,d,J=3.7Hz),6.58(2H,brs),6.51(1H,t,J=7.1Hz),6.40(1H,d,J=3.7Hz),6.25(1H,d,J=3.8Hz),5.84(1H,t,J=5.8Hz),5.64(1H,d,J=5.8Hz),4.53(1H,d,J=3.8Hz),3.70(1H,dd,J=5.5Hz,11.7Hz),3.60(1H,dd,J=6.2Hz,11.7Hz),2.64-2.60(1H,m),2.28-2.23(1H,m)。
【0076】
合成例4:2-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンの合成
2-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン(化合物34)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0077】
【化7】
【0078】
先ず、合成例3にて得られた化合物27から、化合物31(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を、合成した。すなわち、化合物27(100mg,0.13mmol)をピリジン(1.5mL)、水(1mL)に溶解し、60℃にて48時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をメタノール(1.9mL)に懸濁し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(0.1mL)を加え8時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、減圧下で濃縮した。酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=9:1-8:1)にて精製し、化合物31を得た(29mg,2工程33%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.86(1H,brs),7.60-7.22(10H,m),6.93(1H,d,J=3.6Hz),6.54(1H,dd,J=4.8Hz,7.7Hz),6.39(1H,d,J=3.6Hz),5.20(1H,t,J=6.9Hz),4.10(3H,s),4.01(1H,d,J=11.3Hz),3.96(1H,d,J=11.3Hz),2.77-2.72(1H,m),2.59-2.53(1H,m),1.27(9H,s),1.05(9H,s),0.94(9H,s),0.15(3H,s),0.12(3H,s)。
【0079】
次に、このようにして得られた化合物31から、化合物32(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ピバロイルアミノ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン)を、合成した。すなわち、化合物31(28mg,0.038mmol)をピリジン(0.5mL)に溶解し、ピリジン塩酸塩(13mg,0.11mmol)を加え、90℃にて2時間撹拌し、ピリジン塩酸塩(30mg,0.26mmol)、ピリジン(0.5mL)を加えさらに15時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル、水で分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-1:2)にて精製し、化合物32を得た(16mg,58%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ11.82(1H,brs),8.06(1H,brs),7.64-7.26(10H,m),6.73(1H,d,J=3.6Hz),6.60-6.57(2H,m),4.80(1H,t,J=5.9Hz),3.89-3.86(2H,m),2.49-2.45(2H,m),1.35(9H,s),1.08(9H,s),0.96(9H,s),0.17(3H,s),0.15(3H,s)。
【0080】
次に、このようにして得られた化合物32から、化合物33(2-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン)を、合成した。すなわち、化合物32(16mg,0.022mmol)、ヨウ化アンモニウム(3mg,0.022mmol)を2-プロパノール(1mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(500μL)を加え、室温にて70分間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=1:1-1:2)にて精製し、化合物33を得た(14mg,quant)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ11.71(1H,brs),7.67-7.35(10H,m),6.63(1H,d,J=3.7Hz),6.48(1H,t,J=6.7Hz),6.39(1H,d,J=3.7Hz),5.15(2H,brs),4.82(1H,t,J=5.6Hz),3.97(1H,d,J=11.1Hz),3.86(1H,d,J=11.1Hz),2.76-2.71(1H,m),2.42-2.37(1H,m),1.09(9H,s),0.96(9H,s),0.18(9H,s),0.16(3H,s)。
【0081】
次に、このようにして得られた化合物33から、化合物34(2-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-オン)を、合成した。すなわち、化合物33(14mg,0.022mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(48μL,0.048mmol)を加え、室温にて30分間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=5-7%)にて精製し、アセトニトリルと水から結晶化を行い、化合物34を得た(3.9mg,61%)。
H-NMR(DMSO-d,500MHz);δ10.42(1H,brs),6.93(1H,d,J=3.7Hz),6.46(1H,t,J=7.1Hz),6.35(2H,brs),6.29(1H,d,J=3.7Hz),6.25(1H,d,J=4.7Hz),5.73(1H,t,J=6.0Hz),4.51(1H,dd,J=4.7Hz,5.7Hz),3.69(1H,dd,J=6.0Hz,11.7Hz),3.60(1H,dd,J=6.0Hz,11.7Hz),2.64-2.58(1H,m),2.31-2.26(1H,m)。
【0082】
合成例5:2-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
2-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物37)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0083】
【化8】
【0084】
先ず、合成例3にて得られた化合物27から、化合物35(7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物27(46mg,0.062mmol)を1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、メチルアミン水溶液(1mL)を加え3.5時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=4:1-3:1)にて精製し、化合物35を得た(45mg,98%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.91(1H,brs),7.60-7.25(11H,m),6.83(1H,d,J=3.7Hz),6.55(1H,dd,J=4.9Hz,7.7Hz),5.17-5.14(2H,m),4.00(1H,d,J=11.3Hz),3.94(1H,d,J=11.3Hz),3.17(3H,d,J=4.7Hz),2.73-2.69(1H,m),2.57-2.51(1H,m),1.26(9H,s),1.06(9H,s),0.94(9H,s),0.14(3H,s),0.12(3H,s)。
【0085】
次に、このようにして得られた化合物35から、化合物36(2-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物35(41mg,0.055mmol)、ヨウ化アンモニウム(8mg,0.055mmol)を2-プロパノール(0.5mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(0.5mL)を加え、50℃にて1時間撹拌した後、70℃に昇温しさらに4.5時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1-1:1)にて精製し、化合物36を得た(20mg,56%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.66-7.34(10H,m),6.63(1H,d,J=3.7Hz),6.52(1H,t,J=6.7Hz),6.16(1H,d,J=3.7Hz),5.00(1H,brs),4.86(1H,t,J=5.3Hz),4.44(2H,brs)3.99(1H,d,J=11.0Hz),3.86(1H,d,J=11.0Hz),3.07(3H,d,J=4.9Hz),2.88-2.85(1H,m),2.41-2.37(1H,m),1.08(9H,s),0.96(9H,s),0.18(3H,s),0.15(3H,s)。
【0086】
次に、このようにして得られた化合物36から、化合物37(2-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メチルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物36(20mg,0.030mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(67μL,0.067mmol)を加え、室温にて20分間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=5%)にて精製した後、再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=5%)にて精製し、化合物37を得た(8.9mg,97%)。
H-NMR(CDOD,500MHz);δ6.84(1H,d,J=3.7Hz),6.47(1H,t,J=7.0Hz),6.37(1H,d,J=3.7Hz),4.69(1H,dd,J=4.4Hz,6.4Hz),3.89(1H,d,J=12.0Hz),3.83(1H,d,J=12.0Hz),2.98(3H,brs),2.82-2.77(1H,m),2.43-2.38(1H,m)。
【0087】
合成例6:2-アミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-1,7-ジヒドロピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンの合成
2-アミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-1,7-ジヒドロピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン(化合物47)を、以下の反応工程にて合成した。
【0088】
【化9】
【0089】
先ず、合成例3にて得られた化合物22から、化合物38(7-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物22(7.87g,13mmol)をジクロロメタン(63mL)、メタノール(32mL)に溶解し、氷冷下にて5Mナトリウムメトキシドメタノール溶液(31mL,160mmol)を加え、室温にて10分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、化合物38を得た(3.69g,78%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.06(1H,brs),6.99(1H,d,J=3.4Hz),6.44(1H,d,J=3.4),6.37(1H,dd,J=8.1Hz,6.0Hz),5.08(1H,brs),4.79(1H,s),4.12(3H,s),3.91(1H,d,J=12.2Hz),3.79(1H,d,J=11.1Hz),2.90-2.84(1H,m),2.35-2.31(1H,m)1.34(9H,s)。
【0090】
次に、このようにして得られた化合物38から、化合物39(7-(5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物38(100mg,0.27mmol)をピリジン(2.7mL)に溶解し、氷冷下にてtert-ブチルジフェニルシリルクロリド(210μL,0.82mmol)を加え、室温にて24時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1)にて精製し、化合物39を得た(150mg,91%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.99(1H,brs),7.64-7.30(10H,m),7.12(1H,s),6.80(1H,s),6.40(1H,d,J=2.9Hz),4.74(1H,s),4.09(3H,s),4.07(1H,s),3.86(2H,dd,J=4.7Hz,4.3Hz),2.56-2.51(2H,m),1.33(9H,s),1.08(9H,s)。
【0091】
次に、このようにして得られた化合物39から、化合物40(7-(3-O-ベンジル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物39(491mg,0.82mmol)を1,4-ジオキサン(8mL)に溶解し、モレキュラーシーブ 5Å(491mg)、2,4,6-トリス(ベンジルオキシ)-1,3,5-トリアジン(163mg,0.41mmol)を加え、室温にて30分撹拌した後、トリフルオロメタンスルホン酸(72μL,0.82mmol)を加え24時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1)にて精製し、化合物40を得た(361mg,64%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.94(1H,brs),7.61-7.20(10H,m),7.08(1H,d,J=3.7Hz),6.67(1H,m),6.39(1H,d,J=3.7Hz),4.58(2H,d,J=4.3Hz),4.45-4.43(1H,m),4.19-4.17(1H,m)4.12(3H,s),3.83-3.78(2H,m),2.56-2.44(1H,m),1.34(9H,s),1.07(9H,s)。
【0092】
次に、このようにして得られた化合物40から、化合物41(7-(3-O-ベンジル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物40(1.3g,1.9mmol)をテトラヒドロフラン(19mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1M テトラヒドロフラン溶液(2.1mL,2.1mmol)を加え、室温にて3.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1-1:1)にて精製し、化合物41を得た(714mg,84%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.03(1H,brs),7.38-7.31(10H,m),6.93(1H,d,J=3.6Hz),6.43(1H,d,J=3.7Hz),5.88(1H,brs),6.39(1H,d,J=3.7Hz),4.58(2H,d,J=4.3Hz),4.45-4.43(1H,m),4.19-4.17(1H,m)4.12(3H,s),3.98(1H,dd,J=13.4Hz,1.6Hz),3.76(1H,dd,J=10.7Hz,10.8),2.99-2.94(1H,m),2.43-2.40(1H,s),1.34(9H,s)。
【0093】
次に、このようにして得られた化合物41から、化合物42(7-(3-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物41(714mg,1.6mmol)をジメチルスルホキシド(4.5mL)、トルエン(3mL)に溶解し、氷冷下にて1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.8g,9.4mmol)、ピリジン(253μL,3.1mmol)、トリフルオロ酢酸(120μL,1.6mmol)を加え、室温で2.5時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を1,4-ジオキサン(16mL)に溶解し、氷冷下にて37%ホルムアルデヒド水溶液(585μL,3.1mmol)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.7mL,1.7mmol)を加え1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をエタノール(7.7mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(119mg,3.1mmol)をエタノール(8.0mL)に溶解して氷冷下にて滴下し、室温で10分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1-1:1-1:2)にて精製し、化合物42を得た(525mg,3工程68%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.02(1H,brs),7.40-7.33(10H,m),6.94(1H,d,J=3.6Hz),6.43(1H,d,J=3.6Hz),6.23(1H,dd,J=7.9Hz,6.4Hz),5.39(1H,brs),4.87(2H,dd,J=6.4Hz,2.7Hz),4.72(1H,d,J=11.6Hz),4.57(1H,d,J=11.6Hz),4.13(3H,s),3.81-3.74(2H,m),3.10-3.05(1H,m),2.62(1H,brs),2.55-2.51(1H,m),1.35(9H,s)。
【0094】
次に、このようにして得られた化合物42から、化合物43(7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物42(30mg,0.061mmol)を1,4-ジオキサン(0.6mL)に溶解し、モレキュラーシーブ 5Å(30mg)、2,4,6-トリス(ベンジルオキシ)-1,3,5-トリアジン(12.3mg,0.031mmol)を加え、室温にて30分撹拌した後、トリフルオロメタンスルホン酸(5.4μL,0.061mmol)を加え24時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1)にて精製し、化合物43を得た(7.4mg,21%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.04(1H,s),7.34-7.27(10H,m),6.92(1H,d,J=3.6Hz),6.41(1H,d,J=3.6Hz),6.17(1H,dd,J=8.6Hz,6.0Hz),5.66(1H,d,J=7.4Hz),4.66-4.52(5H,m)4.14(3H,s),3.99(1H,d,J=11.8Hz),3.84(1H,d,J=11.9Hz),3.76(1H,d,J=9.8Hz),3.68(1H,d,J=9.8Hz),3.05-2.99(1H,m),2.48-2.44(1H,m),1.35(9H,s)。
【0095】
次に、このようにして得られた化合物43から、化合物44(7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-4-メトキシ-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物43(10.3mg,0.016mmol)をジクロロメタン(0.15mL)に溶解させた後、Deoxo Fluor(登録商標、8.8mg,0.048mmol)を加え、-78℃で1時間攪拌した後、0℃に昇温して1時間撹拌し、室温に昇温して30分撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1)にて精製し、化合物44を得た(5.1mg,49%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.93(1H,s),7.47-7.28(10H,m),7.13(1H,J=3.7Hz),6.64(1H,t,J=6.9Hz),6.46(1H,d,J=3.7Hz),4.77-4.53(7H,m),4.09(3H,s),3.81(1H,d,J=2.4Hz),3.73(1H,d,J=1.6Hz),2.77-2.71(1H,m),2.64-2.59(1H,m),1.36(9H,s)。
【0096】
次に、このようにして得られた化合物44から、化合物45(7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-2-ピバロイルアミノ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン)を合成した。すなわち、化合物44(11.7mg,0.020mmol)をピリジン(0.4mL)に溶解させた後、ピリジン塩酸塩(7.0mg,0.060mmol)を加え、80℃で24時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=1:1)にて精製し、化合物45を得た(10.7mg,94%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ11.71(1H,s),7.97(1H,s),7.38-7.29(10H,m),6.99(1H,d,J=3.7Hz),6.67(1H,d,J=3.6Hz),6.53(1H,dd,J=7.3Hz,7.1Hz),4.74-4.49(6H,m),4.39(1H,dd,J=5.2Hz,2.6Hz),3.80(1H,d,J=2.7Hz),3.69(1H,d,J=1.5Hz),2.54-2.48(2H,m),1.31(9H,s)。
【0097】
次に、このようにして得られた化合物45から、化合物46(2-アミノ-7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン)を合成した。すなわち、化合物45(10.7mg,0.019mmol)を1M 水酸化ナトリウム水溶液(0.2mL)、メタノール(0.2mL)に溶解させ、80℃で80分撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、クロロホルムで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、化合物46を得た(6.2mg,70%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ11.84(1H,s),7.36-7.27(10H,m),6.84(1H,d,J=3.7Hz),6.51(1H,dd,J=7.1Hz,7.1Hz),6.48(1H,d,J=3.7Hz),5.26(2H,s),4.73-4.50(6H,m),4.40(1H,dd,J=4.5Hz,4.2Hz),3.81(1H,d,J=2.3Hz),3.79(1H,d,J=2.2Hz),2.54-2.50(2H,m)。
【0098】
次に、このようにして得られた化合物46から、化合物47(2-アミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン)を合成した。すなわち、化合物46(6.2mg,0.013mmol)をジクロロメタン(0.3mL)に溶解させた後、-78℃下で三塩化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液,130μL,0.13mmol)を加え、0℃で10分攪拌した。メタノールを加え反応停止後、反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1:3)にて精製した後、SP207 樹脂を用いて脱塩し、化合物47を得た(3.3mg,88%)。
H-NMR(CDOD,500MHz);δ6.88(1H,d,J=3.8Hz),6.47(1H,t,J=6.9Hz),6.41(1H,d,J=3.6Hz),4.58-4.57(1H,m),4.56(1H,dd,J=43.9Hz,9.8Hz),4.47(1H,dd,J=43.5Hz,9.8Hz),3.75-3.73(2H,m),2.60-2.57(1H,m),2.35-2.32(1H,m)。
【0099】
合成例7:2,4-ジアミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
2,4-ジアミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物51)を、以下の反応工程にて合成した。
【0100】
【化10】
【0101】
先ず、合成例6にて得られた化合物45から、化合物48(7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-4-(2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物45(29.0mg,0.061mmol)をジクロロメタン(0.6mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(17μL,0.12mmol)、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(27.5mg,0.091mmol),4-ジメチルアミノピリジン(7.4mg,0.061mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、クロロホルムで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1)にて精製し、化合物48を得た(44.9mg,75%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.16(1H,s),7.56(1H,d,J=4.6Hz),7.34(1H,d,J=3.7Hz),6.65(1H,t,J=7.0Hz),6.60(1H,d,J=3.6Hz),6.28(1H,d,J=5.1Hz),5.82(1H,t,J=6.1Hz),4.61(1H,dd,J=4.8Hz,11.0Hz),3.76(1H,dd,J=5.9Hz,11.7Hz),3.62(1H,dd,J=6.3Hz,11.7Hz),2.95(3H,d,J=4.6Hz),2.81-2.75(1H,m),2.39-2.34(1H,m)。
【0102】
次に、このようにして得られた化合物48から、化合物49(4-アミノ-7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-2-ピバロイルアミノピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物48(56.9mg,0.069mmol)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解させた後、アンモニア水(3mL)を加え、90℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=1:2)にて精製し、化合物49を得た(22.9mg,59%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.71(1H,s),7.34-7.20(11H,m),6.58(1H,t,J=6.8Hz),6.41(1H,d,J=3.8Hz),4.72-4.55(7H,m),4.24-4.11(2H,m),3.80-3.71(2H,m),1.28-1.23(27H,m)。
【0103】
次に、このようにして得られた化合物49から、化合物50(2,4-ジアミノ-7-(3,5-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物49(15.7mg,0.028mmol)を1M 水酸化ナトリウム水溶液(1mL)、メタノール(1mL)に溶解させ、90℃で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応停止後、クロロホルムで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、化合物50を得た(4.5mg,70%)。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ7.36-7.27(10H,m),6.92(1H,d,J=3.8Hz),6.55(1H,t,J=7.1Hz),6.25(1H,d,J=3.8Hz),5.70(2H,brs),4.94(2H,brs),4.73-4.51(6H,m),4.40(1H,t,J=4.4Hz),3.80(1H,dd,J=10.2Hz,2.5Hz),3.69(1H,dd,J=10.1Hz,1.7Hz),2.55-2.52(2H,m)。
【0104】
次に、このようにして得られた化合物50から、化合物51(2,4-ジアミノ-7-(2-デオキシ-4-C-フルオロメチル-β-D-リボフラノシル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物50(4.5mg,9.4μmol)をジクロロメタン(0.1mL)に溶解させた後、-78℃下で三塩化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液,94μL,0.09mmol)を加え、0℃で30分攪拌した。メタノールを加え反応停止後、反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1:3)にて精製した後、SP207樹脂を用いて脱塩し、化合物51を得た(2.3mg,82%)。
H-NMR(CDOD,500MHz);δ6.93(1H,d,J=3.8Hz),6.52(1H,t,J=6.8Hz),6.43(1H,d,J=3.8Hz),4.61-4.60(1H,m),4.58(1H,dd,J=51.0Hz,9.7Hz),4.49(1H,dd,J=51.7Hz,9.7Hz),3.78(2H,dd,J=12.2Hz,2.5Hz),2.66-2.60(1H,m),2.38-2.33(1H,m)。
【0105】
合成例8:4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物60)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0106】
【化11】
【0107】
先ず、化合物52(Eur.Pat.Appl.,710667)から、化合物53(4-ベンジルアミノ-7-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物52(2.27g,6.0mmol)をピリジン(15mL)に溶解し、氷冷下にてクロロトリメチルシラン(7.66mL,60mmol)を加え、室温にて3時間撹拌した後、ベンゾイルクロリド(714μL,6.2mmol)を加え2時間撹拌した。氷冷下にて水を加え20分間撹拌した後、アンモニア水(12mL)を加えさらに1時間室温にて撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、メタノール、水から結晶化し、化合物53を得た(1.83g,63%)。
H-NMR(DMSO-d):δ8.69(1H,s),8.10-7.54(6H,m),6.66(1H,t,J=7.0Hz),5.33(1H,d,J=4.1Hz),5.00(1H,t,J=5.5Hz),4.38(1H,s),3.86(1H,d,J=2.6Hz),3.60-3.52(2H,m),2.56-2.54(1H,m),2.28-2.26(1H,m)。
【0108】
次に、このようにして得られた化合物53から、化合物54(4-ベンジルアミノ-7-(2-デオキシ-5-O-ジメトキシトリチル-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物53(1.79g,3.7mmol)をピリジンで共沸した後、ピリジン(20mL)に溶解し、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(1.52g,4.5mmol)のピリジン溶液(20mL)を氷冷下にて30分間かけて滴下し、室温にて17時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1-1:4)にて精製し、化合物54を得た(2.88g,99%)。
H-NMR(CDCl):δ9.34(1H,brs),8.75(1H,s),8.09-6.83(19H,m),6.76(1H,t,J=6.5Hz),4.67(1H,dd,J=2.5Hz,5.8Hz),4.13-4.10(1H,m),3.79(6H,s),3.46-3.38(2H,m),2.66-2.62(1H,m),2.55-2.51(1H,m)。
【0109】
次に、このようにして得られた化合物54から、化合物55(4-ベンゾイルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物54(2.79g,3.6mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(35mL)に溶解し、イミダゾール(969mg,14mmol)を加えた後、氷冷下にてtert-ブチルジメチルシリルクロリド(1.07g,7.1mmol)を加え、室温にて21時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(40mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(1.36g,7.1mmol)のメタノール溶液(80mL)を15分かけて滴下し、1.5時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後分配し、クロロホルムで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-1:1)にて精製し、化合物55を得た(1.99g,2工程94%)。
H-NMR(CDCl):δ9.39(1H,brs),8.75(1H,s),8.09-7.53(5H,m),7.40(1H,s),6.27(1H,dd,J=5.6Hz,9.3Hz),5.34(1H,d,J=10.0Hz),4.68(1H,d,J=5.2Hz),4.12(1H,dd,J=3.7Hz,7.3Hz),3.95(1H,d,J=12.6Hz),3.78-3.73(1H,m),3.03-2.97(1H,m),2.23-2.19(1H,m),0.93(9H,s),0.12(6H,s)。
【0110】
次に、このようにして得られた化合物55から、化合物56(4-ベンゾイルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物55(115mg,0.19mmol)をジメチルスルホキシド(1.2mL)、トルエン(0.7mL)に溶解し、氷冷下にて1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(222mg,1.2mmol)、ピリジン(31.5μL,0.39mmol)、トリフルオロ酢酸(21.5μL,0.29mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を1,4-ジオキサン(2mL)に溶解し、氷冷下にて37%ホルムアルデヒド水溶液(108μL,1.3mmol)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(200μL,0.20mmol)を加え7.5時間撹拌した。氷冷下にて水素化ホウ素ナトリウム(22mg,0.57mmol)を加え1時間撹拌した。酢酸を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1-1:1)にて精製し、化合物56を得た(85mg,2工程72%)。
H-NMR(CDCl):δ9.39(1H,brs),8.75(1H,s),8.09-7.53(5H,m),7.39(1H,s),6.36(1H,dd,J=6.2Hz、8.4Hz),5.15(1H,d,J=9.3Hz),4.91(1H,dd,J=1.6Hz,6.2Hz),3.84-3.80(2H,m),3.71-3.64(2H,m),3.19-3.16(1H,m),2.61(d,1H,J=4.8Hz),2.35-2.31(1H,m),0.95(9H,s),0.18(3H,s),0.16(3H,s)。
【0111】
次に、このようにして得られた化合物56から、化合物57(4-ベンゾイルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物56(85mg,0.14mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1.4mL)に溶解し、トリエチルアミン(38μL,0.27mmol)を加え、氷冷下にて4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(55mg,0.16mmol)を加え室温にて2時間撹拌し、トリエチルアミン(19μL,0.14mmol)、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(14mg,0.040mmol)を追加してさらに2時間撹拌した。氷を加え反応停止後、酢酸エチル、飽和重曹水を加え分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をN,N-ジメチルホルムアミド(1.4mL)に溶解し、氷冷下にてイミダゾール(37mg,0.54mmol)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(71μL,0.27mmol)を加え、室温にて17時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(3mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(52mg,0.27mmol)のメタノール溶液(1.5mL)を5分かけて滴下し1時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後クロロホルムで抽出し、有機層を飽和重曹水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-1:1)にて精製し、化合物57を得た(65mg,3工程55%)。
H-NMR(CDCl):δ9.35(1H,brs),8.73(1H,s),8.09-7.35(16H,m),6.74(1H,t,J=6.6Hz),4.81(1H,d,J=3.5Hz,6.0Hz),3.87-3.72(4H,m)2.71-2.65(1H,m),2.49-2.45(1H,m),2.29(1H,brs),1.11(9H,s),0.93(9H,s),0.13(3H,s),0.11(3H,s)。
【0112】
次に、このようにして得られた化合物57から、化合物58(4-ベンジルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物57(63mg,0.073mmol)をジメチルスルホキシド(0.45mL)、トルエン(0.25mL)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(84mg,0.44mmol)、ピリジン(11.8μL,0.15mmol)、トリフルオロ酢酸(5.4μL,0.073mmol)を加え1.5時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をピリジン(1mL)に溶解し、塩酸ヒドロキシルアミン(7.6mg,0.11mmol)を加え2時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し酢酸エチルと水で分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(1mL)に溶解し、トリエチルアミン(20.3μL,0.15mmol)、メシルクロリド(8.5μL,0.11mmol)を加え氷冷下にて2.5時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1-2:1)にて精製し、化合物58を得た(47mg,3工程74%)。
H-NMR(CDCl):9.31(1H,brs),8.67(1H,s),8.08-7.35(116H,m),6.67(1H,t,J=6.6Hz),4.89(1H,t,J=5.5Hz),4.06(1H,d,J=11.2Hz),3.88(1H,d,J=11.2Hz),2.93-2.87(1H,m),2.55-2.50(1H,m),1.09(9H,s),0.96(9H,s),0.16(3H,s),0.15(3H,s)。
【0113】
次に、このようにして得られた化合物58から、化合物59(4-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物58(44mg,0.051mmol)をメタノール(3mL)に溶解し、アンモニア水(1mL)を加え48時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-1:1)にて精製し、化合物59を得た(36mg,94%)。
H-NMR(CDCl):δ8.15(1H,s),7.64-7.34(10H,m),7.11(1H,s),6.59(1H,t,J=6.5Hz),5.70(2H,brs),4.89(1H,t,J=5.8Hz),4.02(1H,d,J=11.2Hz),3.85(1H,d,J=11.2Hz),2.87-2.81(1H,m),2.50-2.45(1H,m),1.08(9H,s),0.94(9H,s),0.15(3H,s),0.14(3H,s)。
【0114】
次に、このようにして得られた化合物59から、化合物60(4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-ヨードピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。化合物59(36mg,0.048mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液(103μL,0.10mmol)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=3-5%)にて精製し、化合物60を得た(19mg,97%)。
H-NMR(DMSO-d):δ8.13(1H,s),7.67(1H,s),6.71(2H,brs),6.63(1H,t,J=6.9Hz),6.28(1H,d,J=5.0Hz),5.76(1H,t,J=6.1Hz),4.59(1H,dd,J=5.0Hz,10.9Hz),3.75(1H,dd,J=5.9Hz,11.8Hz),3.62(1H,dd,J=6.1Hz,11.8Hz),2.77-2.72(1H,m),2.38-2.33(1H,m)。
【0115】
合成例9:4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物69)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0116】
【化12】
【0117】
先ず、化合物61(Synthesis,2006,12,2005 参照)から、化合物62(4y-ベンジルアミノ-7-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物61(383mg,1.4mmol)をピリジン(4mL)に溶解し、氷冷下にてクロロトリメチルシラン(1.81mL,14mmol)を加え、室温にて2.5時間撹拌した後、ベンゾイルクロリド(174μL,1.5mmol)を加え4.5時間撹拌した。氷冷下にて水を加え15分間撹拌した後、アンモニア水(3mL)を加えさらに1.5時間室温にて撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、メタノール、水から結晶化し、化合物62を得た(436mg,82%)。
H-NMR(DMSO-d6):δ11.24(1H,brs),8.67(1H,s),8.05-7.54(6H,m),6.73(1H,t,J=6.5Hz),5.33(1H,d,J=4.1Hz),4.98(1H,t,J=5.5Hz),4.36(1H,d,J=5.0Hz),3.85-3.83(1H,m),3.58-3.50(2H,m),2.53-2.24(2H,m)。
【0118】
次に、このようにして得られた化合物62から、化合物63(4-ベンジルアミノ-7-(2-デオキシ-5-O-ジメトキシトリチル-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物62(421mg,1.1mmol)をピリジンで共沸した後、ピリジン(26mL)に溶解し、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(460mg,1.4mmol)のピリジン溶液(6mL)を氷冷下にて15分間かけて滴下し、室温にて24時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1-1:4)にて精製し、化合物63を得た(762mg,quant.)。
H-NMR(CDCl):δ8.62-6.82(21H,m),4.60(1H,d,J=5.1Hz),4.12(1H,dd,J=4.2Hz,8.1Hz),3.79(6H,s),3.43-3.35(2H,m),2.57-2.44(2H,m)。
【0119】
次に、このようにして得られた化合物63から、化合物64(4-ベンゾイルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物63(744mg,1.1mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、イミダゾール(300mg,4.4mmol)を加えた後、氷冷下にてtert-ブチルジメチルシリルクロリド(332mg,2.2mmol)を加え、室温にて5.5時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(12mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(837g,4.4mmol)のメタノール溶液(24mL)を5分かけて滴下し、30分間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後分配し、クロロホルムで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-1:1)にて精製し、化合物64を得た(504mg,2工程94%)。
H-NMR(CDCl):δ,8.63(1H,s),8.61(1H,s),7.99-7.06(6H,m),6.23(1H,dd,J=5.7Hz,9.0Hz),5.21(1H,d,J=9.4Hz),4.67(1H,d,J=5.3Hz),4.11(1H,d,J=1.5Hz),3.94(1H,d,J=12.6Hz),3.76-3.71(1H,m),2.99-2.94(1H,m),2.25-2.21(1H,m),0.95(9H,s),0.12(6H,s)。
【0120】
次に、このようにして得られた化合物64から、化合物65(4-ベンゾイルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物64(470mg,0.97mmol)をジメチルスルホキシド(6mL)、トルエン(4mL)に溶解し、氷冷下にて1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.11g,5.8mmol)、ピリジン(157μL,1.9mmol)、トリフルオロ酢酸(108μL,1.5mmol)を加え、室温にて4時間撹拌した。氷を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を1,4-ジオキサン(3mL)に溶解し、氷冷下にて37%ホルムアルデヒド水溶液(552μL,6.8mmol)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(1.94mL,1.9mmol)を加え6.5時間撹拌した。氷冷下にて水素化ホウ素ナトリウム(110mg,2.9mmol)を加え1時間撹拌した。酢酸を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1-1:1)にて精製し、化合物65を得た(310mg,2工程62%)。
H-NMR(CDCl):δ8.74(1H,brs),8.59(1H,brs),7.99-7.52(5H,m),7.04(1H,d,J=2.4Hz),6.35(1H,t,J=7.1Hz),4.99(1H,brs),4.89(1H,dd,J=2.8Hz,6.5Hz),3.84-3.79(2H,m),3.72-3.66(2H,m),3.13-3.07(1H,m),2.71(1H,brs),2.39-2.35(1H,m),0.95(9H,s),0.17(3H,s),0.16(3H,s)。
【0121】
次に、このようにして得られた化合物65から、化合物66(4-ベンゾイルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2-デオキシ-4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物65(305mg,0.59mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解し、トリエチルアミン(164μL,1.2mmol)を加え、氷冷下にて4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(240mg,0.71mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(3mL)を1時間かけて滴下し、室温にて4時間撹拌し、トリエチルアミン(82μL,0.59mmol)、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(60mg,0.18mmol)を追加してさらに16時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチル、飽和重曹水を加え分配し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をN,N-ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解し、氷冷下にてイミダゾール(161mg,2.4mmol)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(307μL,1.2mmol)を加え、室温にて12時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をクロロホルム(12mL)に溶解し、-15℃にてトシル酸一水和物(224mg,1.2mmol)のメタノール溶液(6mL)を5分かけて滴下し1時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後クロロホルムで抽出し、有機層を飽和重曹水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1-1:1)にて精製し、化合物66を得た(311mg,3工程70%)。
H-NMR(CDCl):δ8.87(1H,brs),8.56(1H,s),7.97-7.35(15H,m),7.08(1H,d,J=6.4Hz),6.80(1H,t,J=6.7Hz),4.80(1H,d,J=4.0Hz,6.3Hz),3.89-3.72(4H,m)2.60-2.54(1H,m),2.45-2.40(2H,m),1.10(9H,s),0.93(9H,s),0.13(3H,s),0.11(3H,s)。
【0122】
次に、このようにして得られた化合物66から、化合物67(4-ベンジルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物66(275mg,0.36mmol)をジメチルスルホキシド(1mL)、トルエン(2mL)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(420mg,2.2mmol)、ピリジン(58μL,0.72mmol)、トリフルオロ酢酸(27μL,0.36mmol)を加え1.5時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をピリジン(4mL)に溶解し、塩酸ヒドロキシルアミン(38mg,0.54mmol)を加え45分間撹拌した。水を加えて反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(4mL)に溶解し、トリエチルアミン(100μL,0.72mmol)、メシルクロリド(42μL,0.54mmol)を加え氷冷下にて2.5時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1-3:1)にて精製し、化合物67を得た(213mg,3工程79%)。
H-NMR(CDCl):8.57(1H,s),8.51(1H,s),7.98-7.35(15H,m),6.98(1H,d,J=2.1Hz),6.74(1H,t,J=6.5Hz),4.87(1H,t,J=5.7Hz),4.00(1H,d,J=11.2Hz),3.87(1H,d,J=11.2Hz),2.81-2.76(1H,m),2.54-2.49(1H,m),1.08(9H,s),0.96(9H,s),0.17(3H,s),0.15(3H,s)。
【0123】
次に、このようにして得られた化合物67から、化合物68(4-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物67(75mg,0.10mmol)をメタノール(6mL)に溶解し、アンモニア水(3mL)を加え40時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1)にて精製し、化合物68を得た(47mg,73%)。
H-NMR(CDCl):δ8.18(1H,s),7.65-7.34(10H,m),6.70(1H,s),6.63(1H,t,J=6.4Hz),5.44(2H,brs),4.89(1H,t,J=5.8Hz),3.98(1H,d,J=11.2Hz),3.84(1H,d,J=11.2Hz),2.83-2.78(1H,m),2.50-2.45(1H,m),1.07(9H,s),0.95(9H,s),0.16(3H,s),0.15(3H,s)。
【0124】
次に、このようにして得られた化合物68から、化合物69(4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。化合物68(45mg,0.070mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液(153μL,0.15mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=3-5%)にて精製し、化合物69を得た(17mg,83%)。
H-NMR(DMSO-d6):δ8.10(1H,s),7.37(1H,d,J=1.7Hz),7.08(2H,brs),6.69(1H,dd,J=6.2Hz,6.6Hz),6.30(1H,d,J=5.1Hz),5.76(1H,t,J=6.1Hz),4.56(1H,dd,J=5.0Hz,10.9Hz),3.73(1H,dd,J=6.0Hz,11.8Hz),3.61(1H,dd,J=6.2Hz,11.8Hz),2.70-2.65(1H,m),2.38-2.33(1H,m)。
【0125】
合成例10:4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物71)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0126】
【化13】
【0127】
先ず、合成例2にて得た化合物16から、化合物70(4-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物16(24mg,0.038mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)に溶解し、N-クロロスクシンイミド(5.1mg,0.038mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(0.5mL)を氷冷下で滴下し、1時間撹拌した後、室温にて2時間撹拌した。メタノールを加えて反応停止後、反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=3:1-1:1)にて精製し、化合物70を得た(7.4mg,29%)。
H-NMR(CDCl):δ8.16(1H,s),7.64-7.34(10H,m),6.95(1H,s),6.60(1H,dt,J=6.5Hz),5.68(1H,brs),4.89(1H,t,J=5.9Hz),4.00(1H,d,J=11.2Hz),3.85(1H,d,J=11.2Hz),2.85-2.81(1H,m),2.52-2.48(1H,m)。
【0128】
次に、このようにして得られた化合物70から、化合物71(4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。化合物70(7.4mg,0.011mmol)をテトラヒドロフラン(0.5mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液(25μL,0.025mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=3%)にて精製し、化合物71を得た(3.5mg,quant.)。
H-NMR(DMSO-d6):δ8.11(1H,s),7.40(1H,s),6.68(1H,d,J=6.7Hz),4.73(1H,dd,J=5.4Hz,6.5Hz),3.88(1H,d,J=12.0Hz),3.83(1H,d,J=12.0Hz),2.79-2.74(1H,m),2.53-2.48(1H,m)。
【0129】
合成例11:4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-エチニルピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-エチニルピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物72)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0130】
【化14】
【0131】
合成例8にて得た化合物59(15mg,0.020mmol)、Pd(PPhCl(0.70mg,0.0010mmol)、ヨウ化銅(0.40mg,0.0020mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、トリメチルシリルアセチレン(28μL,0.20mmol)、トリエチルアミン(8μL,0.057mmol)を加え、室温にて5時間撹拌した。飽和重曹水を加え反応停止後、反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1Mテトラヒドロフラン溶液(66μL,0.066mmol)を加え、1時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=0-4%)にて精製し、化合物72(4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-エチニルピロロ[2,3-d]ピリミジン)を得た(5.9mg,2工程99%)。
H-NMR(DMSO-d6):δ8.13(1H,s),7.62(1H,s),6.64(1H,t,J=6.7Hz),4.76(1H,dd,J=5.4Hz,6.4Hz),3.90(1H,d,J=12.0Hz),3.84(1H,d,J=12.0Hz),2.83-2.78(1H,m),2.55-2.50(1H,m)。
【0132】
合成例12:4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物74)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0133】
【化15】
【0134】
先ず、合成例8にて得た化合物59から、化合物73(4-アミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-5-O-tert-ブチルジフェニルシリル-4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物59(30mg,0.040mmol)、1H-ピラゾール-3-イルボロン酸(7mg,0.060mmol)、Pd(PPh(0.70mg,0.0010mmol)を1,4-ジオキサン(0.4mL)に溶解し、2M炭酸ナトリウム水溶液(0.3mL,0.60mmol)を加え、100℃にて4時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=0-5%)にて精製し、化合物73を得た(9.3mg,34%)。
H-NMR(CDCl):δ8.12(1H,s),7.69-7.32(12H,m),6.67(1H,t,J=6.8Hz),6.27(1H,d,J=2.4Hz),4.96-4.93(1H,m),4.06(1H,d,J=11.1Hz),3.89(1H,d,J=11.1Hz),3.00-2.94(1H,m),2.51-2.46(1H,m),1.07(9H,s),0.96(9H,s),0.17(3H,s),0.16(3H,s)。
【0135】
次に、このようにして得られた化合物73から、化合物74(4-アミノ-7-(4-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-(1H-ピラゾール-3-イル)-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)を合成した。すなわち、化合物73(8.9mg,0.013mmol)をメタノール(1mL)に溶解し、フッ化水素アンモニウム(9.5mg,0.26mmol)を加え、30時間加熱還流した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=0-6%)にて精製し、化合物74を得た(2.5mg,57%)。
H-NMR(DMSO-db):δ8.06(1H,s),7.71(1H,s),7.66(1H,d,J=2.4Hz),6.71(1H,t,J=6.8Hz),6.65(1H,d,J=2.4Hz),4.78(1H,dd,J=5.1Hz,6.5Hz),3.93(1H,d,J=12.0Hz),3.87(1H,d,J=12.0Hz),2.89-2.84(1H,m),2.55-2.50(1H,m)。
【0136】
合成例13:4-アミノ-7-(4-C-アジド-2-O-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリジンの合成
4-アミノ-7-(4-C-アジド-2-O-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物85)を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0137】
【化16】
【0138】
先ず、化合物75(Synthesis,2006,12,2005 参照)2.44g(4.66mmol)をメタノール(20mL)に溶解させた後、アンモニア水(20mL)を加え、85℃で22時間攪拌した(シールド管を使用)。反応終了後、溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、粗精製の化合物76(1.06g,<3.95mmol)を得た。
【0139】
次に、粗精製の化合物76(1.06g,<3.95mmol)をピリジン(11mL)に溶解させた後、0℃でクロロトリメチルシラン(5.0mL,39.5mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。続いて、ベンゾイルクロリド(0.48mL,4.15mmol)を加えて3時間撹拌した後、更にベンゾイルクロリド(0.14mL,1.19mmol)を加え、1時間撹拌した。反応終了後、0℃で水を加えて20分撹拌した後、アンモニア水(8mL)を加え1時間撹拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、粗精製の化合物77(<3.95mmol)を得た。
【0140】
次に、ピリジンによる共沸脱水を行った粗精製の化合物77(<3.95mmol)をピリジン(20mL)に溶解させた後、0℃で4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(1.61g,4.74mmol)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応終了後、0℃でメタノールによるクエンチを行った。その後、溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物78(<3.95mmol)を得た。
【0141】
次に、粗精製の化合物78(<3.95mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した後、0℃でイミダゾール(0.81g,11.9mmol)とtert-ブチルジメチルクロロシランTBSCl(1.20g,7.90mmol)を順次加え、室温で13.5時間撹拌した。反応終了後、0℃で飽和重曹水によるクエンチを行った。続いて酢酸エチルによる抽出と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物79(<3.95mmol)を得た。
【0142】
次に、粗精製の化合物79(<3.95mmol)をクロロホルム(11mL)に溶解させた後、p-トルエンスルホン酸一水和物(2.30g,11.9mmol)を溶解させたメタノール(22mL)を-15℃で滴下した。同温で2時間撹拌した後、1N 水酸化ナトリウム水溶液で中和を行った。続いて酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/へキサン=1/2→1/1)で精製を行い、粗精製の化合物80(943mg,<1.94mmol)を得た。
【0143】
次に、粗精製の化合物80(429mg,<0.882mol)をピリジン(4.4mL)に溶解した後、トリフェニルホスフィン(1.16g,4.41mmol)とヨウ素(1.12g,4.41mmol)を順次加え、室温で3.5時間撹拌した。反応終了後、0℃でチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液によるクエンチを行った。続いて酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/へキサン=1/3)で精製を行い、化合物81(4-ベンジルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2,5-ジ-O-デオキシ-ヨード-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン、261mg,0.438mmol,24% for 6steps)を得た。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.72(1H,s),8.65(1H,brs),7.99(2H,m),7.61(1H,m),7.54(2H,m),7.23(1H,s),6.76(1H,t,J=6.5Hz),4.45(1H,m),3.86(1H,m),3.41(2H,m),2.62(1H,m),2.38(1H,m),0.93(9H,s),0.16(3H,s),0.15(3H,s)。
【0144】
次に、化合物81(213mg,0.357mmol)をピリジン(1.8mL)に溶解させた後、カリウム tert-ブトキシド(120mg,1.07mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/へキサン=1/2)で精製を行い、化合物82(4-ベンジルアミノ-7-(3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2,5-ジ-O-デオキシ-β-D-エリトロ-ペント-エノフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン、155mg,0.330mmol,93%)を得た。
H-NMR(CDCl,500MHz);8.69(1H,s),8.50(1H,brs),7.98(2H,d,J=7.0Hz),7.62(1H,t,J=8.0Hz),7.54(2H,t,J=7.5Hz),7.01(1H,d,J=2.0Hz),6.97(1H,t,J=7.0Hz),4.94(1H,t,J=5.0Hz),4.47(1H,s),4.21(1H,d,J=1.5Hz),2.56(1H,m),2.51(1H,m),0.94(9H,s),0.16(6H,s)。
【0145】
次に、化合物82(86.0mg,0.184mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解させた後、アジ化ナトリウム(59.7mg,0.918mmol)と塩化ヨウ素(1.0M in ジクロロメタン,0.46mL,0.46mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、0℃で飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液によるクエンチを行った。続いて酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製を行い、化合物83(7-(4-C-アジド-3-O-tert-ブチルジメチルシリル-2,5-ジ-O-デオキシ-5-O-ヨード-β-D-リボフラノシル)-4-ベンジルアミノ-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリミジン、50.1mg,0.0786mmol,43%)を得た。
H-NMR(CDCl,500MHz);δ8.69(1H,s),8.65(1H,brs),7.99(2H,d,J=6.5Hz),7.63(1H,t,J=7.5Hz),7.54(2H,t,J=7.5Hz),7.21(1H,s),7.13(1H,m),4.35(1H,d,J=4.0Hz),3.61(1H,d,J=11.0Hz),3.51(1H,d,J=11.0Hz),2.79(1H,m),2.48(1H,m),0.98(9H,s),0.25(3H,s),0.20(3H,s)。
【0146】
次に、化合物83(50.1mg,0.0786mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解させた後、安息香酸ナトリウム(113mg,0.786mmol)と15-クラウン-5(0.16mL,0.786mmol)を加え、100℃で24時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/へキサン=1/2→1/1→2/1)で精製を行い、粗精製の化合物84(10.5mg,<0.0202mmol)を得た。
【0147】
粗精製の化合物84(10.5mg,<0.0202mmol)をメタノール(1mL)に溶解した後、アンモニア水(1mL)を加え、室温で80時間撹拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/20)で精製を行い、化合物85(4-アミノ-7-(4-C-アジド-2-O-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-5-フルオロピロロ[2,3-d]ピリジン、2.6mg,8.41μmol,11% for 2 steps)を得た。
H-NMR(CDOD,500MHz);δ8.09(1H,s),7.20(1H,d,J=1.0Hz),6.73(1H,m),4.69(1H,t,J=7.0Hz),3.77(1H,d,J=12Hz),3.69(1H,d,J=12Hz),2.66(1H,m),2.52(1H,m)。
【0148】
また、上述の通りに合成して得られたヌクレオシド誘導体に関し、以下に示す方法にて、抗ウイルス活性及び細胞毒性を評価した。
【0149】
試験例1:抗HBV活性の評価 1
供試細胞として、HepG2 2.2.15.7細胞を用いた。なお、HepG2 2.2.15.7細胞は、ヒト肝ガン由来細胞株(HepG2細胞)にHBV遺伝子を導入することにより持続的にHBVを産生するように調製されたHepG2 2.2.15細胞を親株とする、また、HepG2 2.2.15.7細胞は、10%胎児ウシ血清、G418(500μg/ml)及び抗生剤(ペニシリンとカナマイシン)含有DMEMにおける継続培養にて維持した。
【0150】
HepG2 2.2.15.7細胞は、ゲノムに統合されたDNAだけでなくエピソームとして産生されるHBV遺伝子を保持するHBV持続産生細胞である。そこで、各ヌクレオシド誘導体と共培養し、培養上清に放出されるウイルスのDNAコピー数及びHepG2 2.2.15.7細胞中に存在するウイルスのDNAコピー数を定量し、その減少度を抗HBV活性の評価の指標とした。
【0151】
より具体的には、コラーゲンコートされた96穴細胞培養皿に細胞生存性90%以上のHepG2 2.2.15.7細胞を2×10cells/mlの濃度で播種し、細胞播種同日に、様々な濃度にて各ヌクレオシド誘導体を添加した。37℃、5%COの標準培養条件で3日培養した後、さらに各ヌクレオシド誘導体を含むfreshな培地に交換し、交換後3日目の培養上清から1Wアッセイ(培養開始から7日目のアッセイ)のために、HBV DNAを回収した。加えて、その上清回収後の細胞プレートに更に各ヌクレオシド誘導体を含むfreshな培地を添加して更に7日間培養及び14日間培養を続け、各々2Wアッセイ(培養開始から14日目のアッセイ)及び3Wアッセイ(培養開始から21日目のアッセイ)のために、HepG2 2.2.15.7細胞から細胞内 HBV DNAを回収した。そして、これらのDNAを鋳型とし、定量的PCRを行い検量線からウイルスコピー数を求め、ヌクレオシド誘導体ごとの50%効果(EC50)を算出した。得られた結果を表2及び3に示す。
【0152】
なお、HepG2 2.2.15.7細胞上清及び細胞内からのDNA抽出は、QIAamp MiniElute virus Spin Kit(QIAGEN社製)を用いて行い、抽出DNAのうち5μLをqPCRに使用した。PCR反応には、HBVコア蛋白領域を検出するPrimerDesign社の特異的TaqMan probeプライマーを用いた。PCR反応は、95℃で15分後、95℃で10秒と60℃で60秒を50サイクル行った。得られたCは、既知濃度のHBV DNA断片を10倍ごとに希釈(20から2×10コピー)した反応から得られた検量線を用いて、HBVコピー数へと変換した。
【0153】
試験例2:細胞毒性試験 1
上記ヌクレオシド誘導体に関し、HepG2細胞に対する細胞毒性試験も行った。なお、HepG2細胞は、10%胎児ウシ血清及び抗生剤(ペニシリンとカナマイシン)含有DMEMにおける継続培養にて維持した。
【0154】
細胞毒性試験を行う上で、段階希釈後の各濃度の各ヌクレオシド誘導体を添加した培地と共に、HepG2細胞を1×10cells/mlの濃度になるよう播種した。このようにして様々な濃度の各ヌクレオシド誘導体の存在下、37℃、5%COの標準培養条件で7日間、これら細胞を培養した後、各ウェルの生存細胞数をMTTアッセイで定量化した。そして、得られた生存細胞数に基づき、各ヌクレオシド誘導体に関し、CC50を算出した。得られた結果を表2及び3に示す。
【0155】
試験例3:細胞毒性試験 2
供試細胞として、PXB細胞を用いた。なお、PXB細胞は、ヒト肝細胞キメラマウス由来新鮮ヒト肝細胞であり、PXB細胞用dHCGM培地にて維持した。なお、細胞及び培地は共に株式会社フェニックスバイオ製である。
【0156】
コラーゲンコートされた96wellプレートに、PXB細胞を3×10cells/mlで播種し、段階希釈後の各濃度の化合物と37℃、5%COの標準培養条件で7日間培養した後、各ウェルの生存細胞数をMTTアッセイで定量化した。そして、得られた値に基づき、細胞傷害の程度を判定し、各化合物の細胞毒性としてCC50値を算出した。得られた結果を表2及び3に示す。
【0157】
なお、下記表2及び3において、抗ウイルス活性に関する項目にて「*(アスタリスク)」が付されている項目は、EC50値が1μM超であることを示し、細胞毒性に関する項目にて「*(アスタリスク)」が付されている項目は、CC50値が10μM未満であることを示し、「―」が付されている項目は、未試験であることを示す。
【0158】
【表2】
【0159】
【表3】
【0160】
表2及び3に示す通り、上述の通りに合成して試験したヌクレオシド誘導体は、いずれもHBVに対する優れた抗ウイルス活性を有することが明らかになった。また2Wアッセイの結果から、その効果は持続されることも確認された(なお、表には示していないが、化合物69について3Wアッセイを行った結果、EC50は0.060と高い抗ウイルス活性が維持されていることを確認している)。さらに、表2及び3に示す通り、これらヌクレオシド誘導体の細胞毒性は、概して低いことも明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0161】
以上説明したように、本発明によれば、少なくともHBVに対して優れた抗ウイルス活性を有し、宿主細胞に対する毒性が低いヌクレオシド誘導体を提供することが可能となる。したがって、本発明は、ウイルス感染症の予防又は治療において極めて有用である。