(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】関節部マッサージ器
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20220818BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20220818BHJP
A61F 7/00 20060101ALN20220818BHJP
【FI】
A61H23/02 344
A61H23/02 360
A61H23/02 370
A61H7/00 322B
A61H7/00 322J
A61F7/00 300
(21)【出願番号】P 2019209512
(22)【出願日】2019-11-20
(62)【分割の表示】P 2018186188の分割
【原出願日】2018-09-29
【審査請求日】2021-09-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年 3月22日、https://www.amazon.co.jp/KNEELAX-二―ラックス/dp/B07BMRGV5V 2018年3月1日、株式会社テレビショッピング研究所(東京都大田区西蒲田7丁目25番7号)の本社内 2018年 3月31日、https://www.dinos.co.jp/p/1350300033/ 2018年3月1日、https://www.biccamera.com/bc/item/5336635/
(73)【特許権者】
【識別番号】518245489
【氏名又は名称】株式会社QUIX
(74)【代理人】
【識別番号】100084342
【氏名又は名称】三木 久巳
(74)【代理人】
【識別番号】100213883
【氏名又は名称】大上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】柳樂 修
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207023319(CN,U)
【文献】中国実用新案第201631929(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-0699546(KR,B1)
【文献】特開2016-209204(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1773785(KR,B1)
【文献】Amazon,MEIDUO マッサージャー 電動膝パッドジョイントマッサージ家庭用ヒートニースマッサージ器 高齢者のための,2018年06月11日,平成31年4月8日検索,インターネット,https://www.amazon.co.jp/MEIDUO-%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC-%E9%9B%BB%E5%8B%95%E8%86%9D%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%B8%E5%AE%B6%
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00-23/02
A61H 39/00-39/04
A61F 7/00- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節部に装着して使用するための関節部マッサージ器であり、前記関節部は、第一体部と関節と第二体部からなって、第一体部と第二体部が鋭角から鈍角の角度範囲内の任意の開閉角度に開閉制御され、
装着時に前記関節部に当接する本体部と、前記本体部に取着され、前記本体部を前記関節部に装着して固定するための固定手段を有し、
前記本体部はヘルメット形状であって、前記関節を挿入する関節挿入口を有し、前記本体部は、装着時に、前記第一体部に対面する第一支持部材と、前記関節に対面する関節支持部材と、前記第二体部に対面する第二支持部材と、を含み、前記第一支持部材と前記関節支持部材と前記第二支持部材とは、連続して一体に形成された、若しくは剛体的に結合された、硬質の殻体を構成し、
前記本体部には、前記関節部に圧迫刺激を与えるための圧迫手段と、前記関節部に振動刺激を与えるための振動手段と、前記関節部に加温刺激を与えるための加温手段と、制御部と、が組み込まれ、
前記制御部は、タイマと、振動刺激状態列{VS
k}及び圧迫速度状態列{PS
k}を記憶した記憶手段と、メモリと、入出力部と、を有し、
前記制御部が、次の各ステップ(1)~(3)を含むフローを実行して、前記入出力部からの信号により前記圧迫手段、前記振動手段及び前記加温手段を制御することによって、前記関節部にマッサージを行い、
(1)それぞれ複数の値を取り得る、加温強度レベルTL、圧迫速度レベルPL、及び振動強度レベルVLを初期値に設定するステップ、
(2)(1)で設定されたTL及びPLの値に基づいて、必要な振動刺激状態列{VS
k}及び圧迫速度状態列{PS
k}を前記記憶手段から読み込んで、前記メモリに保存するステップ、
(3)前記タイマを作動させ、時間間隔Δt
k(k=0,1,2,・・)を次々とカウントしながら、各々のk番目の時間間隔Δt
kにおいて、PLの値と圧迫速度状態PS
kに基づいて第k次圧迫速度状態制御を行い、VLの値と振動刺激状態VS
kに基づいて第k振動状態制御を行い、かつ、TLの値に基づいて第k次加温状態制御を行うステップ、
前記ステップ(3)における前記第k次圧迫速度状態制御は、圧迫速度状態PS
kが+1,0,-1のいずれの値をとるかを判定するステップと、PS
k=+1である場合に前記圧迫手段が備えるポンプを圧迫速度レベルPLの値に対応した吐出圧力の作動状態として前記関節部に与える圧迫強度の増大進行状態を実現するステップと、PS
k=0である場合に前記圧迫強度の一定保持状態を実現するステップと、PS
k=-1である場合に前記圧迫強度の減少進行状態を実現するステップと、で構成されることを特徴とする関節部マッサージ器。
【請求項2】
前記本体部に操作入力手段が組み込まれ、
前記フローは、各々の時間間隔Δt
kにおいて、前記操作入力手段への操作入力の有無を確認するステップと、該ステップにおいて操作入力が確認された場合に実行されるサブルーチンと、を有し、
該サブルーチンは、前記操作入力に応じて加温強度レベルTL、圧迫速度レベルPL又は振動強度レベルVLを変更し、変更後のTL,PL,VLの値に基づいて、必要な振動刺激状態列{VS
k}及び圧迫速度状態列{PS
k}を前記記憶手段から読み込んで前記メモリに保存して、前記フローに復帰するサブルーチンである請求項1に記載の関節部マッサージ器。
【請求項3】
時間間隔Δt
kが一定でなく、ランダムな、若しくは規則的なゆらぎ、或いはそれらを組み合わせたゆらぎを有する請求項1又は2に記載の関節部マッサージ器。
【請求項4】
前記固定手段は、装着時に前記関節部に当接し、
前記固定手段は、前記関節部に圧迫刺激を与えるための副圧迫手段、及び/又は、前記関節部に加温刺激を与えるための副加温手段を有する請求項1~3のいずれかに記載の関節部マッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節部をマッサージするためのマッサージ器およびマッサージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特表昭62-500987公報(特許文献1)には、
図21に示すように、ハンディタイプのマッサージ器110が開示されている。マッサージ器110は、マッサージヘッド116と、マッサージヘッド116に振動運動を与えるようポータブルケーシング114内に取り付けられた振動器アセンブリ112と、マッサージヘッド116のまわりを通過する気流を発生させるファン118と、当該気流を温めるための加熱素子120を有する。しかし、マッサージ器110はハンディタイプであり、関節部に装着して用いることができず、使用時には手で把持しなければならない。また、マッサージ器110は振動手段を有するものの、マッサージヘッドを温めるための加熱手段や、マッサージヘッドを膨張させることにより圧迫刺激を与えるための圧迫手段を有しない。
【0003】
特開平08-089540号公報(特許文献2)には、
図22に示すように、ブーツタイプのエアマッサージ機が従来の技術として引用されている。当該エアマッサージ機は、側面から見た形状が略L字型をなす本体201と、エア給排気装置206を有し、本体201の足収納部201a及び下腿収納部201bに脚を挿入してからエア給排気装置206を作動させることで、空気袋202、204を膨張・収縮させて、足及び下腿をマッサージする。しかし、当該エアマッサージ器は、かかと部以外の関節部に用いることができず、また、筒状をなす本体201に対して脚を出し入れしなければならない面倒さがあり、更に、本体201とは別に据え置かれたエア給排気装置206を有するから携帯性が悪く、どこでも気軽に装着して用いることができない欠点がある。加えて、当該エアマッサージ器は圧迫手段を有するものの、加温手段や振動手段を有しない。
【0004】
特開2010-136849号公報(特許文献3)には、
図23に示すように、足先への機械刺激によるマッサージと足湯を併用できるブーツタイプのマッサージ器が開示されている。当該マッサージ機は、足先307を出し入れするための出し入れ開口354を具えた足湯用の袋状容器305と、袋状容器305をセットするマッサージ器本体301により構成される。マッサージ器本体301はマッサージ手段303と加熱手段306を具える。マッサージ手段303は、振動等の機械的刺激を足先307へ作用させる。加熱手段306は、袋状容器305を収容できるカバー体304内を加熱するヒータで構成される。しかし、当該マッサージ器は、かかと部以外の関節部に用いることができず、また、加温刺激を得るために、袋状容器305にお湯又は水を満たさなければならない面倒さがあるから携帯性が悪く、どこでも気軽に装着して用いることができない欠点がある。
【0005】
特開2000-316932号公報(特許文献4)には、
図24に示すように、空気袋402の膨張収縮により被マッサージ部409に圧迫刺激を与えるマッサージ機が開示されている。該マッサージ機は、底板413と、間隔をおいて設けらえた複数の支持体414と、両端が支持体414に取り付けられて断面U字形をなしている帯体403と、帯体403の内面側に位置する空気袋402と、空気袋402を膨張収縮させる空気供給手段404と、を有する。しかし、該マッサージ器は、その形状から前腕や下腿のマッサージに用いることはできても、関節部のマッサージに使用することはできず、特に、屈曲状態の関節部に装着してマッサージするために用いることができない。更に、本体とは別に据え置かれた空気供給手段404を有するから、どこでも気軽に装着して用いることができない欠点がある。
【0006】
特開2005-245707号公報(特許文献5)には、
図25に示すように、膝等の患部Mへ、圧迫と温熱並びに振動の3種が混合したマッサージ作用を与えるマッサージ方法の発明が開示されている。該マッサージ方法は、患部Mに密封状態に被着一体化した包袋Pと温水貯留槽Tとを温水循環回路Rによって接続配管するとともに、その温水循環回路Rの途中から取り入れた空気による気泡混じりの温水Fを、上記包袋P自身の中空内部等へ圧送して、その気泡混じりの温水Fによる圧迫、温熱並びに振動の3種が複合したマッサージ作用を、患部Mへ付与するものである。しかし、該マッサージ方法においては、配管が接続された状態の包袋Pを膝等の患部Mに装着しなければならない面倒さがあり、更に、包袋Pとは別に据え置かれた温水貯留槽Tを必要とするから、どこでも気軽に包袋Pを患部Mに装着してマッサージを行うことができない欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表昭62-500987号公報
【文献】特開平08-089540号公報
【文献】特開2010-136849号公報
【文献】特開2000-316932号公報
【文献】特開2005-245707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、膝、肘、肩、足首等の屈曲した状態の関節部に気軽に装着して使用することができ、装着時に使用者の両手が開放される、軽量かつコンパクトな関節部マッサージ器を提供すること、及び、該関節部マッサージ器を用いた関節部マッサージ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、関節部に対面する硬質の殻体を有する本体部に圧迫手段、振動手段、及び/又は加温手段をコンパクトに収容し、かつ、関節部に本体部を固定するための固定部材を有する関節部マッサージ器を提供することにより、上記の目的を達成するものである。
【0010】
本発明の第1の形態は、関節部に装着して使用するための関節部マッサージ器であり、前記関節部は、第一体部と関節と第二体部からなって、第一体部と第二体部が鋭角から鈍角の角度範囲内の任意の開閉角度に開閉制御され、装着時に前記関節部に当接する本体部と、前記本体部に取着され、前記本体部を前記関節部に装着して固定するための固定手段を有し、前記本体部はヘルメット形状であって、装着時に前記関節部の屈曲内側に対面する部分に関節挿入口を有し、前記本体部は、装着時に、前記第一体部に対面する第一支持部材と、前記関節に対面する関節支持部材と、前記第二体部に対面する第二支持部材と、を含み、前記第一支持部材と前記関節支持部材と前記第二支持部材とは、連続して一体に形成された、若しくは剛体的に結合された、硬質の殻体を構成し、前記本体部には、前記関節部に圧迫刺激を与えるための圧迫手段と、前記関節部に振動刺激を与えるための振動手段と、前記関節部に加温刺激を与えるための加温手段と、のいずれか1つ以上が組み込まれることを特徴とする関節部マッサージ器である。
【0011】
本発明の第2の形態は、前記殻体が、前記第一体部と前記関節部と前記第二体部と、のいずれか1つ以上の横断面外周の半分以上を覆う関節部マッサージ器である。
【0012】
本発明の第3の形態は、前記固定手段が、装着時に前記関節部に当接し、前記固定手段は、前記関節部に圧迫刺激を与えるための副圧迫手段、及び/又は、前記関節部に加温刺激を与えるための副加温手段を有する関節部マッサージ器である。
【0013】
本発明の第4の形態は、前記本体部に設けられた振動手段を有し、前記振動手段は、前記本体部に設けられた振動板と、前記振動板に固定されたモーターと、偏心子と、を有し、前記モーターの回転軸体の回転により前記偏心子が回転することで前記振動板に振動を発生させる関節部マッサージ器である。
【0014】
本発明の第5の形態は、前記振動板が前記殻体であるか、又は、前記振動板が前記殻体に剛体的に結合されている関節部マッサージ器である。
【0015】
本発明の第6の形態は、前記本体部に設けられた圧迫手段を有し、前記圧迫手段は、伸縮性のある流体バッグと、前記流体バッグの内部に流体を送りこむための前記本体部に設けられたポンプと、前記流体バッグの内部の流体の流れを制御するための前記本体部に設けられた開閉弁と、を有する関節部マッサージ器である。
【0016】
本発明の第7の形態は、上記のいずれかの形態の関節部マッサージ器を用いて関節部をマッサージすることを特徴とする関節部マッサージ方法である。
【0017】
本発明の第8の形態は、前記本体部は、圧迫手段と振動手段と加温手段と制御部と、を有し、前記圧迫手段は、前記関節部に与える圧迫刺激の強度が次第に増加する圧迫強度増大進行状態と、前記関節部に与える圧迫刺激の強度が次第に減少する圧迫強度減少進行状態と、前記関節部に与える圧迫刺激の強度が一定に保たれる圧迫強度一定保持状態と、のいずれかを制御部が選択できるように構成され、前記固定手段を用いて前記本体部を前記関節部に装着し、前記加温手段により前記関節部に継続して加温刺激を与える関節部マッサージ方法である。
【0018】
本発明の第9の形態は、前記振動手段は、前記関節部に振動刺激を与える振動刺激ON状態と、前記関節部に振動刺激を与えない振動刺激OFF状態と、のいずれかを制御部が選択できるように構成される関節部マッサージ方法である。
【0019】
本発明の第10の形態は、前記制御部にタイマを設け、タイマを作動させて、時間間隔を次々とカウントしながら、各々の時間間隔において、(s1)圧迫強度増大進行状態かつ振動刺激ON状態、(s2)圧迫強度増大進行状態かつ振動刺激OFF状態、(s3)圧迫強度減少進行状態かつ振動刺激ON状態、(s4)圧迫強度減少進行状態かつ振動刺激OFF状態、(s5)圧迫強度一定保持状態かつ振動刺激ON状態、(s6)圧迫強度一定保持状態かつ振動刺激OFF状態のいずれかを制御部が選択して前記関節部のマッサージを行う関節部マッサージ方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の形態によれば、関節部に装着して使用するための関節部マッサージ器であり、前記関節部は、第一体部と関節と第二体部からなって、第一体部と第二体部が鋭角から鈍角の角度範囲内の任意の開閉角度に開閉制御され、装着時に前記関節部に当接する本体部と、前記本体部に取着され、前記本体部を前記関節部に装着して固定するための固定手段を有し、前記本体部はヘルメット形状であって、装着時に前記関節部の屈曲内側に対面する部分に関節挿入口を有し、前記本体部は、装着時に、前記第一体部に対面する第一支持部材と、前記関節に対面する関節支持部材と、前記第二体部に対面する第二支持部材と、を含み、前記第一支持部材と前記関節支持部材と前記第二支持部材とは、連続して一体に形成された、若しくは剛体的に結合された、硬質の殻体を構成し、前記本体部には、前記関節部に圧迫刺激を与えるための圧迫手段と、前記関節部に振動刺激を与えるための振動手段と、前記関節部に加温刺激を与えるための加温手段と、のいずれか1つ以上が組み込まれることを特徴とする関節部マッサージ器を提供できる。
【0021】
本発明において、「関節」とは、膝、肘、肩、足などの関節をいう。また、「装着して」とは、固定手段により関節部に固定され、両手による支持や本発明の関節部マッサージ器以外の部材による支持を必要としないことをいう。したがって、本発明の関節部マッサージ器の本体部が固定手段により関節部に装着されると、使用者の両手が開放され、装着状態を保ったまま、体の姿勢を変えることができるので、リラックスした状態でマッサージを行うことができる。また、「対面して」とは、第一部材等が、第一部材等に設けられたマッサージヘッドを介して、該マッサージヘッドが当接する第一体部等に対面する、という意味である。
【0022】
本発明の関節部マッサージ器は、屈曲した状態の関節部に装着して使用するものである。本体部はヘルメット形状であって、装着時に前記関節部の屈曲内側に対面する部分に関節挿入口を有する。該関節挿入口を通して関節を前記本体部に出し入れすることができるから、本体部の装着及び取り外しが容易である。なお、「ヘルメット形状」とは、3次元ユークリッド空間に埋め込まれた半球殻を位相数学の意味で連続的に変形して生じる形状であって、ある断面において略「くの字」形であり、かつ、該断面に交差する断面において略「コの字」形である形状をいう。ここで、「半球殻」とは、球殻を任意の平面で2つに切断して生じる2つの立体形状のうち任意の1つをいう。また、略「くの字」形とは、「くの字」を構成する2辺の長さの比や2辺がなす角度、2辺が共有する頂点の近傍における角の丸み、及び2辺の各々の曲率が、上記角度が180°でない限り、任意でよいという意味である。更に、略「コの字」形とは、「コの字」を構成する3辺の長さの比や、2つの頂点において隣り合う2辺がなす角度、2つの頂点における角の丸み、及び3辺の各々の曲率が、2つの上記角度のいずれもが90°より大きく且つ180°より小さい限り、任意でよいという意味である。
【0023】
前記本体部は、第一支持部材と関節支持部材と第二支持部材とが連続して一体に形成された、若しくは剛体的に結合された、硬質の殻体を有する。該殻体は、関節部に圧迫刺激を与えるための圧迫手段や、関節部に振動刺激を与えるための振動手段や、関節部に加温刺激を与えるための加温手段を、前記本体部にコンパクトに収容して組み込むための安定した基盤を提供することができる。
【0024】
本発明の第2の形態によれば、前記殻体が、前記第一体部と前記関節部と前記第二体部と、のいずれか1つ以上の横断面外周の半分以上を覆う関節部マッサージ器を提供できる。殻体が前記横断面外周の半分以上を覆うから、該殻体は、関節部を構成する筋肉、腱、靭帯、骨の多くを効果的にマッサージするための圧迫手段や振動手段や加温手段を本体部にコンパクトに収容して組み込むための安定した基盤を提供することができる。
【0025】
本発明の第3の形態によれば、前記固定手段が、装着時に前記関節部に当接し、前記固定手段は、前記関節部に圧迫刺激を与えるための副圧迫手段、及び/又は、前記関節部に加温刺激を与えるための副加温手段を有する関節部マッサージ器を提供できる。本形態によれば、装着時に関節部に当接するバンド等の固定手段により、本体部が関節部に固定される。固定手段が副圧迫手段及び/又は副加温手段を有するから、本体部に組み込まれた圧迫手段や振動手段や加温手段による刺激に加えて、固定手段に設けられた副圧迫手段による圧迫刺激、及び/又は、固定手段に設けられた副加温手段による加温刺激を関節部に加えることができるから、関節部のより効果的なマッサージが可能になる。
【0026】
本発明の第4の形態によれば、前記本体部に設けられた振動手段を有し、前記振動手段は、前記本体部に設けられた振動板と、前記振動板に固定されたモーターと、偏心子と、を有し、前記モーターの回転軸体の回転により前記偏心子が回転することで前記振動板に振動を発生させる関節部マッサージ器を提供できる。本形態によれば、振動手段は、振動板に固定されたモータの回転により偏心子が回転することで振動板に振動が発生するというシンプルな仕組みをもつ。この振動による刺激を関節部に与えることで、振動刺激による関節部のマッサージが可能となる。
【0027】
本発明の第5の形態によれば、前記振動板が前記殻体であるか、又は、前記振動板が前記殻体に剛体的に結合されている関節部マッサージ器を提供できる。本形態によれば、殻体全体が振動板として振動し、或いは、振動板に剛体的に結合された殻体全体が振動する。したがって、殻体の任意の部分に振動マッサージヘッドを配置することにより、該振動マッサージヘッドが殻体の振動により振動して、該マッサージヘッドが当接する関節部の任意の箇所に、振動刺激によるマッサージを行うことが可能となる。
【0028】
本発明の第6の形態によれば、前記本体部に設けられた圧迫手段を有し、前記圧迫手段は、伸縮性のある流体バッグと、前記流体バッグの内部に流体を送りこむための前記本体部に設けられたポンプと、前記流体バッグの内部の流体の流れを制御するための前記本体部に設けられた開閉弁と、を有する関節部マッサージ器を提供できる。本形態によれば、流体の出入により膨張・収縮することで関節部に圧迫刺激を与えるための流体バッグと、ポンプと、開閉弁とがすべて本体部に組み込まれているから、本体部とは別に据え置き型のポンプ等を必要としない。したがって、どこでも気軽に本体部を関節部に装着して圧迫刺激によるマッサージを行うことができる。
【0029】
本発明の第7の形態によれば、上記のいずれかの形態の関節部マッサージ器を用いて関節部をマッサージすることを特徴とする関節部マッサージ方法を提供できる。本形態によれば、屈曲した状態の関節部に気軽に装着して使用することができ、装着時に使用者の両手が開放される、軽量かつコンパクトな関節部マッサージ器を用いた関節部マッサージ方法を提供することができる。
【0030】
本発明の第8の形態によれば、前記本体部は、圧迫手段と振動手段と加温手段と制御部と、を有し、前記圧迫手段は、前記関節部に与える圧迫刺激の強度が次第に増加する圧迫強度増大進行状態と、前記関節部に与える圧迫刺激の強度が次第に減少する圧迫強度減少進行状態と、前記関節部に与える圧迫刺激の強度が一定に保たれる圧迫強度一定保持状態と、のいずれかを制御部が選択できるように構成され、前記固定手段を用いて前記本体部を前記関節部に装着し、前記加温手段により前記関節部に継続して加温刺激を与える関節部マッサージ方法を提供できる。本形態によれば、圧迫強度増大進行状態と、圧迫強度減少進行状態と、圧迫強度一定保持状態と、を制御部が自動的に選択してマッサージを行うから、使用者が電源ボタンを押圧した後、なんら操作をせずとも、制御部があらかじめ記憶しているマッサージパターンに従って圧迫刺激を関節部に与えるマッサージ方法を提供することができる。
【0031】
本発明の第9の形態によれば、前記振動手段は、前記関節部に振動刺激を与える振動刺激ON状態と、前記関節部に振動刺激を与えない振動刺激OFF状態と、のいずれかを制御部が選択できるように構成される関節部マッサージ方法を提供できる。本形態によれば、振動刺激ON状態と、振動刺激OFF状態と、を制御部が自動的に選択してマッサージを行うから、使用者が電源ボタンを押圧した後、なんら操作をせずとも、制御部があらかじめ記憶しているマッサージパターンに従って振動刺激を関節部に与えるマッサージ方法を提供することができる。
【0032】
本発明の第10の形態によれば、前記制御部にタイマを設け、タイマを作動させて、時間間隔を次々とカウントしながら、各々の時間間隔において、(s1)圧迫強度増大進行状態かつ振動刺激ON状態、(s2)圧迫強度増大進行状態かつ振動刺激OFF状態、(s3)圧迫強度減少進行状態かつ振動刺激ON状態、(s4)圧迫強度減少進行状態かつ振動刺激OFF状態、(s5)圧迫強度一定保持状態かつ振動刺激ON状態、(s6)圧迫強度一定保持状態かつ振動刺激OFF状態のいずれかを制御部が選択して前記関節部のマッサージを行う関節部マッサージ方法を提供できる。本形態によれば、時間間隔を次々とカウントしながら、各々の時間間隔において、(s1)~(s6)のいずれかの状態を制御部が自動的に選択してマッサージを行うから、使用者がなんら操作をせずとも、制御部があらかじめ記憶しているマッサージパターンに従って、圧迫刺激と振動刺激とがリズミカルに組み合わされた複合刺激を関節部に与えるマッサージ方法を提供することができる。本形態においては、圧迫手段と振動手段とが作動時に奏でる音もリズミカルに組み合わされるので、上記のマッサージ効果とともに、音楽的な聴覚によるリラックス効果も併せもったマッサージ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態が関節部に装着された状態を断面で示す端面図である。
【
図3】
図2におけるA-A線を通る断面でみた端面図である。
【
図4】
図3と同様な、本発明の別の一実施形態における端面図である。
【
図5】
図2におけるA-A線を通る断面及び
図3におけるB-B線を通る断面でみた端面図である。
【
図6】本発明の実施形態において、振動発生手段と振動板と殻体の、2通りの構成の仕方を例示する端面図である。
【
図8】
図1に示す本発明の一実施形態をそれぞれ別の方向から見た2つの斜視図である。
【
図9】
図8に示す本発明の一実施形態の本体部を、マッサージヘッドが見える方向から見た底面図である。
【
図10】
図8に示す本発明の一実施形態の表示操作パネルを示す平面図である。
【
図11】
図8に示す本発明の一実施形態の分解斜視図である。
【
図12】
図8に示す本発明の一実施形態において、本体部カバーと表示操作パネルとをはずして内部が見える状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態におけるモーターと偏心子を示す斜視図、及び、モータと振動板の構成を示す端面図である。
【
図14】本発明の一実施形態における、エアバッグを有する圧迫手段の構成を示す模式図、及び、本発明の別の一実施形態における、流体バッグを有する圧迫手段の構成を示す模式図である。
【
図15】本発明の一実施形態における、全体フローを示すフローチャート図である。
【
図16】本発明の一実施形態における、初期設定、第k次加温状態制御、第k次振動状態制御、安全停止処理のそれぞれのフローを示すフローチャート図である。
【
図17】本発明の一実施形態における、第k次圧迫速度状態制御のフローを示すフローチャート図である。
【
図18】本発明の一実施形態における、操作入力の有無確認と操作入力時の処理のフローを示すフローチャート図である。
【
図19】本発明の一実施形態における、振動刺激状態VSと圧迫速度状態PSとが圧迫強度の時間変化に及ぼす影響を示すグラフ図、及び振動刺激状態VSと圧迫速度状態PSの組合せパターンを示すグラフ図である。
【
図20】本発明の一実施形態における、圧迫速度レベルPLと圧迫速度状態PSとが圧迫強度の時間変化に及ぼす影響、及び、加温強度レベルTLが加温強度の時間変化に及ぼす影響、を示すグラフ図である。
【
図21】従来のハンディタイプのマッサージ器の斜視図である。
【
図22】従来のブーツタイプのエアマッサージ機の断面図である。
【
図23】従来の足湯用の袋状容器を具えたブーツタイプのエアマッサージ器の断面図である。
【
図24】従来の空気袋の膨張収縮により被マッサージ部に圧迫刺激を与えるマッサージ機の斜視図及び断面図である。
【
図25】従来の温水貯留槽を用いるマッサージ方法とその装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明に係る関節部マッサージ器及びマッサージ方法の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明の一実施形態である関節部マッサージ器1を、膝関節部である関節部11に装着して使用している状態を示す斜視図である。膝関節部である関節部11は、大腿である第一体部12と、膝関節である関節13(
図1では関節部マッサージ器1に隠れて見えない)と、下腿である第二体部14と、から構成される。関節部マッサージ器1は、その本体部2を固定手段3により、屈曲状態の関節部11に装着して使用される。装着時には、ヘルメット形状の本体部2の関節挿入口22から関節部11が本体部2の内側に入り込み、本体部2の内側に設けられたマッサージヘッド10(
図1では隠れて見えない)が関節部11に当接するようにして装着する。本体部2が固定手段3により関節部11に装着されると、使用者の両手が開放され、装着状態を保ったまま、体の姿勢を変えることができるので、リラックスした状態でマッサージを行うことができる。本体部2は、本体部カバー26と、表示操作パネル9を有する。表示操作パネル9の表面は略平坦面となっており、視認性と操作性を向上させている。表示操作パネル9は、ディスプレイを具える表示手段91と、操作ボタンを具える操作入力手段92と、を有する。
【0036】
図1は、膝関節部である関節部11に装着して使用される本発明の一実施形態を示すが、本発明の対象となる関節部は、膝関節部に限定されるものではなく、肘関節部、肩関節部、足関節部も本発明の対象であり、それぞれの関節部に装着して使用するための本発明の実施形態があり得る。対象が肘関節部の場合、第一体部12は上腕であり、関節は肘関節であり、第二体部は前腕である。対象が肩関節部の場合、第一体部12は上肩であり、関節は肩関節であり、第二体部は上腕である。対象が足関節部の場合、第一体部12は下腿であり、関節は足関節であり、第二体部は足である。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態である関節部マッサージ器1が膝関節である関節部11に装着された状態の縦断面を示す端面図である。関節部マッサージ器1の本体部2は、屈曲状態の関節部11に当接した状態で、関節部11の屈曲内側16に当接する固定手段3により装着される。関節部11は、第一体部12、関節13、第二体部14からなる。
【0038】
第一体部12と第二体部14は、鋭角から鈍角の角度範囲内の任意の開閉角度に開閉制御され、装着状態において(関節の)開閉角度(θ)15の角度をなしている。関節部11が膝関節部の場合、開閉角度(θ)15は30°~170°とすることが可能であり、使用者が椅子又は床上に座った状態での装着容易性及びマッサージ効果の観点からは60°~120°であることが好ましい。関節部11が肘関節部の場合、開閉角度(θ)15は30°~170°とすることが可能であり、装着容易性及びマッサージ効果の観点からは60°~120°であることが好ましい。関節部11が肩関節部の場合、開閉角度(θ)15は100°~170°とすることが可能であり、装着姿勢の維持容易性及びマッサージ効果の観点からは100°~150°であることが好ましい。関節部11が足関節部の場合、開閉角度(θ)15は100°~170°とすることが可能であり、装着姿勢の維持容易性及びマッサージ効果の観点からは100°~150°であることが好ましい。
【0039】
本体部2はヘルメット形状であって、装着時に関節部11の屈曲内側16に対面する部分に関節挿入口22を有する。関節挿入口22を通して関節13を本体部2に出し入れすることができるから、本体部2の装着及び取り外しが容易である。
【0040】
本体部2は、装着時に、第一体部12に対面する第一支持部材71と、関節13に対面する関節支持部材72と、第二体部14に対面する第二支持部材73と、を含み、第一支持部材71と関節支持部材72と第二支持部材73とは、連続して一体に形成された、若しくは剛体的に結合された、硬質の殻体7を構成する。本体部2は、関節部11に圧迫刺激を与えるための圧迫手段を具え、前記圧迫手段は、ポンプ42と圧迫マッサージヘッド44であるマッサージヘッド10を含む。また、本体部2は、関節部11に振動刺激を与えるための振動手段を具え、前記振動手段は、振動発生手段51と、振動板として機能する殻体7と、振動マッサージヘッド53であるマッサージヘッド10を含む。また、本体部2は、関節部11に加温刺激を与えるための加温手段を具え、前記加温手段は、加温マッサージヘッドであるマッサージヘッド10を含む。なお、上記において、「第一支持部材71が第一体部12に対面する」とは、第一部材71が、第一部材71に設けられたマッサージヘッド10を介して、該マッサージヘッド10が当接する第一体部12に対面する、という意味であり、「第二支持部材73が第二体部14に対面する」、「関節支持部材72が関節13に対面する」の意味についても同様である。硬質の殻体7は、関節部11に圧迫刺激を与えるための圧迫手段や、関節部11に振動刺激を与えるための振動手段や、関節部11に加温刺激を与えるための加温手段を、本体部2にコンパクトに収容して組み込むための安定した基盤を提供することができる。
【0041】
図2に示す実施形態においては、複数のマッサージヘッド10の厚みが常にほぼ等しいので、第一支持部材71と第一体部12、関節支持部材72と関節13、及び、第二支持部材73と第二体部14、のそれぞれの間の距離は常にほぼ同じである。したがって、縦断面において第一支持部材71の延伸方向と第二支持部材73の延伸方向がなす角度(αとする)は、第一体部の延伸方向15aと第二体部の延伸方向15bがなす角度である開閉角度(θ)15にほぼ等しい。ゆえに、本実施形態においては、関節部11が膝関節部の場合、角度αは30°~170°とすることが可能であり、使用者が椅子又は床上に座った状態での装着容易性及びマッサージ効果の観点からは60°~120°であることが好ましい。関節部11が肘関節部の場合、角度αは30°~170°とすることが可能であり、装着容易性及びマッサージ効果の観点からは60°~120°であることが好ましい。関節部11が肩関節部の場合、角度αは100°~170°とすることが可能であり、装着姿勢の維持容易性及びマッサージ効果の観点からは100°~150°であることが好ましい。関節部11が足関節部の場合、角度αはは100°~170°とすることが可能であり、装着姿勢の維持容易性及びマッサージ効果の観点からは100°~150°であることが好ましい。なお、本発明の別の一実施形態においては、角度αは、開閉角度(θ)15とは異なる角度に選ばれる。
【0042】
本体部2は更に、殻体7に取着された本体部カバー26と、制御部8と、表示操作パネル9を有し、表示操作パネル9は、表示手段91と操作入力手段92を具える。また、固定手段3は、副圧迫手段34を構成する副流体バッグ34aと、副加温手段33を構成する副加温素子33aと、を具える。該副圧迫手段34は、関節部11に圧迫刺激を与えることを目的とし、副加温手段33は、関節部11に加温刺激を与えることを目的とする。
【0043】
図3は、
図2におけるA-A線を通る断面でみた端面図である。本実施形態においては、本体部2の殻体7が、関節部11を構成する第一体部と関節と第二体部と、のいずれか1つ以上の横断面外周の半分以上を覆うから、殻体7は、関節部11を構成する筋肉、腱、靭帯、骨の多くを効果的にマッサージするための圧迫手段や振動手段や加温手段を本体部2にコンパクトに収容して組み込むための安定した基盤を提供することができる。殻体7には、振動発生手段51と、振動マッサージヘッド53であるマッサージヘッド10と、圧迫マッサージヘッド44であるマッサージヘッド10と、加温マッサージヘッドであるマッサージヘッド10が設けられ、本体部カバー26が取着されている。
装着時に関節部11に当接する固定手段3は、第一バンド31と第二バンド32を有する。第一バンド31と第二バンド32はいずれも柔軟な素材でできており、好ましくは不織布を構成要素として含む。装着時には、第二バンド32の先端に取着されたバンド調節具32aを挿通する第一バンド31が、バンドループ31aを形成する。バンドループ31aのところで自身と対向する第1バンド31の外側表面には面ファスナー31bが設けられており、自身と対向する第一バンド31の外側表面どうしを面ファスナー31bで固定することにより、本体部2を関節部11に装着して固定することができる。第一バンド31はバンド固定具38により殻体7に固定され、第二バンド32はバンド固定具38により殻体7に固定されている。バンド固定具38は、視線が本体部カバー26にさえぎられるため、外部からは視認できない。殻体7の殻体縁部74には殻体縁部切欠部74aが設けられ、第一バンド31は殻体縁部切欠部74aを通過して本体部2の外部へと延伸し、第二バンド32は殻体縁部切欠部74aを通過して本体部2の外部へと延伸する。固定手段3の第一バンド31は、関節部11に圧迫刺激を与えるための副圧迫手段34を構成する副流体バッグ34、及び/又は、関節部11に加温刺激を与えるための副加温手段33を構成する副加温素子33aを有する。固定手段3が副流体バッグ34a及び/又は副加温素子33を具えるから、本体部2に組み込まれた圧迫手段や振動手段や加温手段による刺激に加えて、固定手段3に配置された、副圧迫手段34を構成する副流体バッグ34による圧迫刺激、及び/又は、固定手段3に配置された、副加温手段33を構成する副加温素子33aによる加温刺激を関節部11に加えることができるので、関節部11のより効果的なマッサージが可能になる。
【0044】
図3に示す実施形態においては、面ファスナー31bの使用により固定手段3の長さを自在に調節できるから、関節部11の形状やサイズの個人差に関わらず、本体部2を関節部11にジャストフィットさせて、マッサージを行うことができる。更に、
図3に示す横断面において、殻体7の断面形状及び殻体7に取着された複数のマッサージヘッド10の配置が、左右略対称であるから、本体部2を、身体の左右いずれの関節部にもジャストフィットさせて、固定手段3で固定し、マッサージを行うことができる。なお、本実施形態では面ファスナー31bにより第一バンド31と第二バンド32を結合しているが、本実施形態の変形形態においては、両バンドの端に雄部材と雌部材を設け、いずれかのバンドには長さ調節可能なようにループ状の余剰バンドループを設けて、雄部材と雌部材の機械的係合により、若しくは、雄部材と雌部材の磁気力による接合により、両バンドを長さ調節可能な態様で結合してもよい。或いは、第二バンド32を設けず、代わりに本体部2の縁部に雌部材を設け、更に第一バンド31の端に長さ調節可能な態様で雄部材を設け、該雄部材と該雌部材の機械的係合により、第一バンド31を本体部2の関節挿入口22の直径方向に張架することで、本体部2を関節部11に装着・固定してもよい。
【0045】
ここで、関節部11が膝関節部である本発明の一実施形態について説明する。膝関節部には、膝蓋骨、大腿四頭筋、内側側副靭帯、外側側副靭帯、膝蓋腱、膝蓋靭帯などが含まれる。膝関節部は人間の身体のなかでも、最も複雑で不安定な構造となっている。しかも、膝関節部は重力の影響を受けやすい上に、さまざまな動きの支点として機能しているため大きな負担を受けがちである。本実施形態の関節部マッサージ器1は、圧迫マッサージヘッド44及び副流体バッグ34がゆっくり膨らみ、膝関節部の膝蓋骨のまわりや裏側をやさしく圧迫すると同時に振動発生手段51が作動して、振動により膝関節部の多くの筋肉等をおだやかにほぐすことができる。更に、加温手段6と副加温手段33により、心地よい加熱刺激若しくは冷熱刺激を与えることができる。加えて、圧迫の強さも加温刺激の強度も3段階、又は多段階に調節可能である。
【0046】
図4は、
図3に示した実施形態の一変形形態についての、
図3と同様な端面図である。本形態においては、本体部2の殻体7が、関節部11の横断面外周の半分以上を覆うことはないが、代わりに、固定手段3が関節部11の横断面外周の半分以上を覆うから、固定手段3に設けられた、副圧迫手段34を構成する副流体バック34aによる圧迫刺激、及び/又は、固定手段3に設けられた、副加温手段33を構成する副加温素子33aによる加温刺激を関節部11に加えることにより、関節部11を構成する筋肉、腱、靭帯、骨の多くを効果的にマッサージすることができる。固定手段3及び本体部2の構成と作用効果は、
図3に示した実施形態と共通する点がほとんどであるので、相違点を中心に説明する。
図4の端面図においては、殻体7には振動マッサージヘッド53及び/又は加温マッサージヘッドであるマッサージヘッド10が取着されているが、殻体7には、
図4の断面に含まれない位置に、圧迫マッサージヘッド44及び/又は加温マッサージヘッドであるマッサージヘッド10が取着されていてもよい。第一バンド31は、1つ以上の副流体バッグ34aと1つ以上の副加温素子33aを具える。本変形形態においては、本体部カバー26に本体部カバー切欠部27が設けられている。第一バンド31は、殻体7の外部から視認できない位置に取着されたバンド固定具38に固定され、本体部カバー切欠部27を通過して、本体部カバー26の外部へと延伸する。第二バンド32も、殻体7の外部から視認できない位置に取着されたバンド固定具38に固定され、本体部カバー切欠部27を通過して、本体部カバー26の外部へと延伸する。
【0047】
図(5A)は、
図2におけるB-B線を通る断面でみた端面図である。図(5A)は、圧迫マッサージヘッド44であり、かつ加温マッサージヘッドでもある、マッサージヘッド10の断面構造を示す図である。殻体7の本体部カバー26とは逆側の面にマッサージヘッド10が取着されている。マッサージヘッド10は好ましくは、ポリウレタンや、軟質のポリウレタンフォーム等又は天然のゴムスポンジ等の樹脂発泡体等からなる弾力素材からなり、その表面は布カバー54で被覆され、関節部11に心地良い触感を与える。マッサージヘッド10は、その内部に、若しくは布カバー54の内側に、流体バッグ41及び加温素子61を包含する。流体バッグ41には、流体を供給・排出するためのチューブ43が接続され、流体の供給・排出により流体バッグ41が膨張・収縮することで、マッサージヘッド10が膨張・収縮して、関節部に圧迫刺激を与えることができる。加温素子61には二極性の導線62が接続され、導線62を通じて加温素子61に電流を流すことにより加温素子61の温度が変化して、関節部に加温刺激を与えることができる。チューブ43及び導線62は、殻体7に設けられた殻体孔部75cを通過して、本体部カバー26と殻体7とで囲われた空間領域である本体部内空部26aへと導かれる。
【0048】
図(5B)は、
図2におけるC-C線を通る断面でみた端面図である。図(5B)は、第一バンド31の断面構造を示す図である。内側帯状部材35と外側帯状部材36は、その両縁部を2つのバンド縁部部材37aで挟まれた状態で、該両縁部をバンド縁部固定部材37bにより固定されている。固定の方法は例えば、縫着、接着又は融着などであり、バンド縁部固定部材37bは、縫着の場合には糸であり、接着の場合には接着材であり、融着の場合には、内側帯状部材35若しくは外側帯状部材36若しくはバンド縁部部材37a自身である。内側帯状部材35と外側帯状部材36と2つのバンド縁部部材37aとで囲われてなる副流体バッグ収容部34bは、その内部に、副流体バッグ34a及び副加温素子33aを有する。副流体バッグ収容部34bは、その内部にポリウレタンや、軟質のポリウレタンフォーム等又は天然のゴムスポンジ等の樹脂発泡体等からなる弾力素材が充填されていてもよい。副流体バッグ34aには、流体を供給・排出するためのチューブ43が接続され、流体の供給・排出により副流体バッグ34aが膨張・収縮することで、第一バンド31がその断面形状において膨張・収縮して、関節部に圧迫刺激を与えることができる。好ましくは、内側帯状部材35を外側帯状部材36より弾性に富んだ素材で構成することにより、副流体バッグ34aの膨張・収縮による、第一バンド31の断面形状における膨張・収縮を、相対的に見て内側帯状部材35の側で大きく、外側帯状部材36の側で小さい、非対称な膨張・収縮とすることができ、関節部11により大きな圧迫刺激を与えることが可能となる。副加温素子33aには二極性の導線62が接続され、導線62を通じて副加温素子33aに電流を流すことにより副加温素子33aの温度が変化して、関節部に加温刺激を与えることができる。チューブ43及び導線62は、副流体バッグ収容部34bを通過して延設され、外側帯状部材36の本体部内空部26a内に位置する部分に設けられた外側帯状部材孔部36aを通過して第一バンド31の外へ出て、本体部内空部26aへと導かれる。内側帯状部材35の関節部11に当接する側の表面は、好ましくはポリエステル、ナイロン、綿又は綿を含む混紡布などを素材とし、更に好ましくは通気性や撥水性を有するメッシュ生地でできており、関節部11に心地良い触感を与える。
【0049】
図(6A)は、本発明の実施形態において、振動発生手段と振動板と殻体の、1つの構成の仕方を示す端面図であり、殻体自身が振動板の機能を果たす構成を示す。殻体7の本体部カバー26とは逆側の面に振動マッサージヘッド53であるマッサージヘッド10が取着されている。マッサージヘッド10の表面は布カバー54で被覆され、関節部11に心地良い触感を与える。マッサージヘッド10は好ましくは弾力素材からなり、その内部若しくは布カバー54の内側に加温素子61を包含する。殻体7の本体部カバー26と同じ側の面に振動発生手段51が取着されている。振動発生手段51が作動して振動を発生させると、その振動が振動板として機能する殻体7に伝わり、殻体7に取着されたマッサージヘッド10が振動し、マッサージヘッド10に当接する関節部11に振動刺激を与えることができる。加温素子61には二極性の導線62が接続され、導線62を通じて加温素子61に電流を流すことにより加温素子61の温度が変化して、関節部11に加温刺激を与えることができる。導線62は、殻体7に設けられた殻体孔部75cを通過して、本体部カバー26と殻体7とで囲われた空間領域である本体部内空部26aへと導かれる。
【0050】
図(6B)は、本発明の実施形態において、振動発生手段と振動板と殻体の、別の1つの構成の仕方を示す端面図であり、殻体に振動板が固定された構成を示す。殻体7には振動板取付用開口部76aが設けられ、振動板取付用開口部76aの縁部に振動板52がネジ24を用いて螺着により固定されている。なお、固定の方法は螺着に限らず、例えば接着、融着、係合、嵌合などでもよい。振動板52の本体部カバー26とは逆側の面に振動マッサージヘッド53であるマッサージヘッド10が取着されている。マッサージヘッド10の表面は布カバー54で被覆され、関節部11に心地良い触感を与える。マッサージヘッド10は好ましくは弾力素材からなり、その内部若しくは布カバー54の内側に加温素子61を包含する。振動板52の本体部カバー26と同じ側の面に振動発生手段51が取着されている。振動発生手段51が作動して振動を発生させると、その振動が振動板52に伝わり、振動板52に取着されたマッサージヘッド10が振動し、マッサージヘッド10に当接する関節部11に振動刺激を与えることができる。また、振動板52の振動は殻体7にも伝わり、殻体7に取着されたマッサージヘッド10(図(6B)には図示されていない)が振動し、マッサージヘッド10に当接する関節部11に振動刺激を与えることができる。加温素子61には二極性の導線62が接続され、導線62を通じて加温素子61に電流を流すことにより加温素子61の温度が変化して、関節部11に加温刺激を与えることができる。導線62は、振動板52に設けられた振動板孔部52gを通過して、本体部カバー26と殻体7と振動板52とで囲われた空間領域である本体部内空部26aへと導かれる。
【0051】
図7は、本発明の一実施形態の構成図である。本形態の関節部マッサージ器1は、本体部2とは別に、交流電圧/電流を直流電圧/電流に変換する電力変換装置21aと、本体部2を関節部11に装着・固定するための固定手段3を有する。電力変換装置21aを本体部2とは別に設けることで本体部2の軽量化を図り、装着時の快適性を高めている。例えば、交流電圧/電流はAC100V 50/60Hz 0.4Aであり、電力変換装置21aから本体部2の電源端子21に供給される直流電圧/電流はDC5.0V 2.0Aである。固定手段3は、関節部11に加温刺激を与えるための副加温素子33aと、関節部11に圧迫刺激を与えるための副流体バッグ34aを有する。副加温素子33aは副加温手段33の構成要素であり、副流体バッグ34aは副圧迫手段34の構成要素である。
【0052】
本体部2は、圧迫手段4と、振動手段5と、加温手段6と、制御部8と、表示操作パネル9を有する。関節部11に圧迫刺激を与えるための圧迫手段4は、圧迫マッサージヘッド44に内包される流体バッグ41と、ポンプ42と、開閉弁45と、を含む。制御部8の入出力部88からの信号に基づいて、ポンプ42と開閉弁45が作動することにより、流体バッグ41に流体が供給・排出されて、流体バッグ41が膨張・収縮することで圧迫マッサージヘッド44が膨張・収縮し、圧迫マッサージヘッド44が当接する関節部11に圧迫刺激を与えることができる。
【0053】
関節部11に振動刺激を与えるための振動手段5は、振動マッサージヘッド53が取着された振動板52と、振動発生手段51と、を含む。制御部8の入出力部88からの信号により、振動発生手段51が振動を発生させると、振動板52が振動し、その振動が振動マッサージヘッド53を振動させ、振動マッサージヘッド53が当接する関節部11に振動刺激を与えることができる。振動発生手段51の1つの構成は、モータ51aと偏心子51cからなる構成である。モータ51aの回転軸51bの回転により、回転軸51bに取着された、若しくは歯車やベルト等を介して回転軸51bと接続された、偏心子51cが回転し、偏心子51cの偏心ウェイトが回転することによりモータ51a若しくは偏心子の回転軸を保持する振動板52に振動を発生させるのである。なお、振動発生手段51の構成は偏心子を用いたものに限られず、例えば、交替する電気的なクーロン力により、或いは交替する磁気力により、或いは交替する電磁的なローレンツ力により振動する振動板などでもよい。
【0054】
関節部11に加温刺激を与えるための加温手段6は、加温マッサージヘッドであるマッサージヘッド10に内包された加温素子61を有する。制御部8の入出力部88からの信号により、加温素子61に電流が流れると、加温素子61が加熱若しくは冷却されて、マッサージヘッド10が当接する関節部11に加温刺激を与えることができる。ここで、本発明において「加温刺激」とは温度差による刺激一般を言い、温熱刺激だけでなく、冷熱刺激をも含む。例えば、加温素子61が電熱線等のヒータからなる場合には関節部11に温熱刺激を与えることができる。また、加温素子61が熱電対からなる場合には、加温素子61に流す電流の方向を変えることで、関節部11に温熱刺激を与えるか、冷熱刺激を与えるかを任意に選択することができる。同様に、副加温素子33aが例えば、電熱線等のヒータからなる場合には関節部11に温熱刺激を与えることができる。また、副加温素子33aが熱電対からなる場合には、副加温素子33aに流す電流の方向を変えることで、関節部11に温熱刺激を与えるか、冷熱刺激を与えるかを任意に選択することができる。なお、本明細書において「冷熱」とは、物体(Aとする)に、より温度の低い別の物体(Bとする)を接触させることにより、物体Aから熱を取り去ることを意味する。
【0055】
制御部8は、中央演算処理装置(CPU)87aと、タイマ87bと、ROM及びRAM等からなる記憶手段87cと、入出力部88を有する。表示操作パネル9は、表示手段91と操作入力手段92を有する。表示手段91は、振動ON/OFF表示手段91aと圧迫速度表示手段91bと加温強度表示手段91cを有する。操作入力手段92は、電源ボタン92aと圧迫速度操作ボタン92bと加温強度操作ボタン92cを有する。
【0056】
図(8A)は、
図1に示す本発明の一実施形態の関節部マッサージ器1の斜視図であり、図(8B)は、同じ関節部マッサージ器1を別の方向から見た斜視図である。両図の矢印25は、関節部マッサージ器1を関節部11に装着したときの、第一体部12から関節13へ向かう方向を示している。ヘルメット形状の本体部2は、装着時に関節部11の屈曲内側16に対面する部分に関節挿入口22を有する。本体部2は、その外側を覆う本体部カバー26を有する。本体部カバー26の材質としては、限定されるものではないが、PC(ポリカーボネート)とABSのポリマーアロイが好適に利用できる。本体部カバー26の本体部カバー縁部28は、関節挿入口22の縁部の一部を構成する。本体部カバー26の本体部カバー縁部28には、修飾部材である本体部カバー縁部部材28aが取着されている。本体部カバー縁部部材28aの材質としては、限定されるものではないが、PCが好適に利用できる。本体部2は殻体7を有し、本体部カバー26は殻体7に嵌合及び螺着により固定されている。殻体7の材質としては、限定されるものではないが、密度0.94g/cm
3以上の高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、PC、ABS、PCとABSのポリマーアロイ等の硬質樹脂が利用可能であり、好ましくは、PCとABSのポリマーアロイが好適に利用できる。本体部2は更に、その外側上部を覆う、略平坦な表面をもつ表示操作パネル9を有する。略平坦な表面は、表示操作パネル9の視認性及び操作性を向上させる。表示操作パネル9は、表示手段91と操作入力手段92を有する。表示操作パネル9は、本体部カバー26の上部外表面に設けられた凹部に嵌合するように挿入され、殻体7に螺着される関節挿入口上部縁部部材29aとの係合及び螺着により殻体7に固定される。関節挿入口上部縁部部材29aの材質としては、限定されるものではないが、PCが好適に利用できる。殻体7の内側表面には、側部に圧迫マッサージヘッド44が、上部に振動マッサージヘッド53が設けられており、関節部11を構成する筋肉、腱、靭帯、骨の多くを効果的にマッサージすることができる。殻体7には、電力変換装置21aからの直流電圧/電流を導く導線の一端に取着された電源プラグを挿入するための電源端子21が設けられている。
【0057】
本体部2に取着された固定手段3は、本体部2を関節部11に装着・固定するために使用される。固定手段3は、第一バンド31と、第二バンド32と、第二バンドの一端に固着されたバンド調節具32aを有する。バンド調節具32aは略O字型若しくは略D字型の形状の、穴を有する部材であって、装着時にはその穴の部分に第1バンド31を通して、バンドループ31aを形成する。バンドループ31aのところで自身と対向する第1バンド31の外側表面には面ファスナー31bが設けられており、面ファスナー31bどうしを貼り合わせることにより第1バンド31が任意の長さで固定されるから、本体部2が固定手段3により関節部11にジャストフィットするように装着・固定される。固定手段3の第一バンド31は、1つ以上の副流体バッグ収容部34bを有する。副流体バッグ収容部34bはその内部に、膨張収縮により関節部11に圧迫刺激を与えるための副流体バッグ34aと、関節部11に加温刺激を与えるための副加温素子33aを具える。なお、本実施形態の変形形態においては、第一バンド31の副流体バッグ収容部34aは、その内部に副流体バッグ34aのみを具えて副加温素子33aを具えなくてもよく、或いは、副流体バッグ収容部34bがその内部に副加温素子33aのみを具えて副流体バッグ34aを具えなくてもよく、或いは、第一バンド31が副流体バッグ収容部34bを有さず、副流体バッグ34aも副加温素子33aも具えていなくてもよい。
【0058】
図9は、
図8に示す本発明の一実施形態の本体部2を、マッサージヘッド10が見える方向から見上げた底面図である。本体部2はヘルメット形状であって、装着時に関節部11の屈曲内側16に対面する部分に関節挿入口22を有する。関節挿入口22の外縁は本体部カバー26で構成されている。本体部2は、装着時に、第一体部に対面する第一支持部材71と、関節に対面する関節支持部材72と、第二体部に対面する第二支持部材73と、を含み、第一支持部材71と関節支持部材72と第二支持部材73とは、連続して一体に形成された、若しくは剛体的に結合された、硬質の殻体7を構成する。殻体7には、関節部11に圧迫刺激を与えるための圧迫マッサージヘッド44であるマッサージヘッド10と、関節部11に振動刺激を与えるための振動マッサージヘッド53であるマッサージヘッド10と、関節部11に振動刺激を与えるための第二振動マッサージヘッド57であるマッサージヘッド10と、が取着されている。各マッサージヘッド10は、関節部11に振動刺激を与えるための加温素子61を包含してもよい。例えば、圧迫マッサージヘッド44は、斜線で示した圧迫マッサージヘッド側部44aと、その他の部分である圧迫マッサージヘッド中央部44bと、からなる。本実施形態においては、加温素子61は圧迫マッサージヘッド側部44aに設けられるので、関節部11に側面から加温刺激を与えることができる。本実施形態の変形形態においては、加温素子61は圧迫マッサージヘッド中央部44bに設けられるので、関節部11に第二体部の側から加温刺激を与えることができる。本実施形態の別の変形形態においては、加温素子61は、圧迫マッサージヘッド側部44aと圧迫マッサージヘッド中央部44bの両方に設けられるので、関節部11に側面と第二体部の側の両方から加温刺激を与えることができる。
【0059】
図10は、
図8に示す本発明の一実施形態の表示操作パネル9を示す平面図である。表示操作パネル9は、本体部カバー26の上部外表面に設けられた凹部に嵌合するように挿入され、殻体7に螺着される関節挿入口上部縁部部材29aとの係合及び螺着により殻体7に固定される。表示操作パネル9は略平坦な表面を有する。略平坦な表面は、表示操作パネル9の視認性及び操作性を向上させる。表示操作パネル9は、表示手段91と操作入力手段92を有する。表示手段91は、振動ON/OFF表示手段91aと圧迫速度表示手段91bと加温強度表示手段91cを有する。操作入力手段92は、電源ボタン92aと圧迫速度操作ボタン92bと加温強度操作ボタン92cを有する。
【0060】
振動ON/OFF表示手段91aは、関節部マッサージ器1の電源が入っていて、かつ、振動強度レベルVLが0でなければマークが明るく光り、電源が入っていないか、又は、振動強度レベルVLが0であればマークが光らないように構成されている。マークは振動を表す波形マークである。これは、関節部マッサージ器1においては、振動刺激を加えないこと(VL=0)を使用者が随時に選択しないかぎり、電源が入っていれば常に、予め決められたマッサージパターンに従って時間変化する振動刺激が与えられるからである。電源が入っていない状態(電源OFFの状態)で電源ボタン92aを押すと、電源が入り、電源ONの状態となる。電源が入っている状態(電源ONの状態)で電源ボタンを長押しすると、電源が切れ、電源OFFの状態となる。また、電源ONの状態で電源ボタンを押すたびに、振動強度レベルVLが、VL=0ならばVL=1となり、VL=1ならばVL=0となるように反転する。
【0061】
圧迫速度表示手段91bは、初期設定時の、若しくは使用者が操作入力した圧迫速度レベルに応じて、多段階の圧迫速度レベルPLを表示することができる。
図10に示す実施形態では圧迫速度レベルPLは1~3の3段階からなり、PL=3の場合には3つの円弧状の部分すべてが光り、PL=2の場合には3つの円弧状の部分のうち2つが光り、PL=1の場合には3つの円弧状の部分のうち1つだけが光ることで、現在の圧迫速度レベルPLが使用者に直感的に理解できるように構成されている。圧迫速度レベルPLの初期値は2であり、圧迫速度操作ボタン92bを押すたびに、圧迫速度レベルPLは2→3→1→2→3→1・・と循環的に変わる。なお、本実施形態の変形形態においては、nを任意の自然数として、圧迫速度レベルPLは1~nのn段階からなり、圧迫速度表示手段91bはn個の円弧状の部分を有し、圧迫速度操作ボタン92bを押すたびに、圧迫速度レベルPLは2→3→・・→n→1→2→3・・と循環的に変わる。
【0062】
加温強度表示手段91cは、初期設定時の、若しくは使用者が操作入力した加温強度レベルTLに応じて、多段階の加温強度レベルTLを表示することができる。
図10に示す実施形態では加温強度レベルTLは0~3の4段階からなり、TL=3の場合には3つの円弧状の部分すべてが光り、TL=2の場合には3つの円弧状の部分のうち2つが光り、TL=1の場合には3つの円弧状の部分のうち1つだけが光り、TL=0の場合には3つの円弧状の部分のいずれもが光らないことで、現在の加温強度レベルTLが使用者に直感的に理解できるように構成されている。加温強度レベルTLの初期値は2であり、加温強度操作ボタン92cを押すたびに、加温強度レベルTLは2→3→0→1→2→3→0・・と循環的に変わる。なお、本実施形態の変形形態においては、nを任意の自然数として、加温強度レベルTLは0~nのn+1段階からなり、加温強度表示手段91cはn個の円弧状の部分を有し、加温強度操作ボタン92cを押すたびに、加温強度レベルTLは2→3→・・→n→0→1→2・・と循環的に変わる。加温素子61及び副加温素子33aが電熱線等のヒータの場合には、加温強度レベルTLが大きいほど関節部11に与えられる温熱刺激は強く、TLが小さいほど関節部11に与えられる温熱刺激は弱い。加温素子61及び副加温素子33aが熱電対の場合には、熱電対は加温強度レベルTLに応じて加熱刺激か冷熱刺激のいずれかを関節部11に与え、若しくはいずれの刺激も与えず、加温強度レベルTLが大きいほど関節部11に与えられる温熱刺激は強く、TLが小さいほど関節部11に与えられる冷熱刺激は強い。
【0063】
図11は、
図8に示す本発明の一実施形態の関節部マッサージ器1の分解斜視図である。まず、大きな構造を説明し、次に細部を説明する。関節部マッサージ器1は、ヘルメット形状の殻体7を有し、その内側に圧迫マッサージヘッド44と第二振動マッサージヘッド57が取着されている。殻体7は、第一支持部材71、関節支持部材72及び第二支持部材73が連続して一体に形成されてなる。なお、本実施形態の一変形形態においては、殻体7を、第一支持部材71、関節支持部材72及び第二支持部材73を剛体的に結合して構成することも可能である。殻体7の第一支持部材71には制御部主基板84と表示操作パネル9が取着され、殻体7の関節支持部材72に設けられた振動板取付用開口部76aには振動板52が、ABS樹脂等からなる振動板固定部材55を用いて係合及び螺着により取着されている。振動板52には、ポンプ42とモータ51aが固定されている。振動板52の振動マッサージヘッド受部52dには振動マッサージヘッド53(図示せず)が取着されている。殻体7のバンド固定具受部79aには、固定手段3の第二バンド32の一端に設けられたバンド固定具38が螺着により取着されている。殻体7の殻体縁部74には、ネジ穴78が設けられ、本体部カバー26が係合及び螺着により取着されている。本体部26の本体部カバー縁部28には装飾目的で、本体部カバー縁部部材28a及び本体部カバー中央縁部部材28bが係合突起と係合受部の係合により取着されている。本体部カバー中央縁部部材28bの材質としては、限定されるものではないが、PCが好適に利用できる。
【0064】
バンド固定具38は第二バンド32の一端に縫着により固定される。より詳しくは、バンド固定具38に設けられた穴部に第二バンド32の一端を挿入してバンドループ31aを形成して該一端を縫着するのである。なお、図示されていない第一バンド31も、第二バンド32と同様にして、バンド固定具を用いて殻体7に取着される。第一バンド31を挿通するための穴部を有するバンド調節具32aは、第二バンド32の他端側に縫着される。
【0065】
圧迫マッサージヘッド44の圧迫マッサージヘッド側部44aにはネジ穴44dが設けられ、圧迫マッサージヘッド中央部44bには圧迫マッサージヘッド取着用部材44eが設けられている。ネジ24を、ネジ穴44dと殻体7に設けられたネジ穴75bに挿入し、圧迫マッサージヘッド取着用部材44eを殻体7に設けられた圧迫マッサージヘッド取着用口75aに挿入して、それぞれ螺着することにより、圧迫マッサージヘッド44は殻体7に固定される。圧迫マッサージヘッド44内の流体バッグに流体を供給・排出するためのチューブ43(図示せず)は、殻体7に設けられたチューブ挿入用口70を通って、圧迫マッサージヘッド44に設けられたチューブ受部44cに接続される。
【0066】
殻体7の第一支持部材71には、第二振動マッサージヘッド57が螺着により取着されている。第二振動マッサージヘッド57は関節部11の第一体部12及び関節13に効果的に振動刺激及び/又は加温刺激を与えることができる。殻体7の第一支持部材71には制御部主基板固定部材86が螺着により固定され、制御部主基板84は、制御部主基板固定部材86と、殻体7の第一支持部材71に螺着により固定されている。制御部主基板84には、ABS樹脂等からなる黒色の遮光部材23が接着により固定されている。制御部主基板固定部材86の材質としては、特に限定されるものではないが、ABS樹脂が好適に利用できる。殻体7の第一支持部材71には、関節挿入口上部縁部部材29aが螺着により固定されている。遮光部材23の上に重ねるように表示操作パネル9と表示操作パネルカバー93が配置され、殻体7に係合及び螺着により取着される本体部カバー26との嵌合により、表示操作パネル9と表示操作パネルカバー93が本体部カバー26及び殻体7に対して固定される。表示操作パネルカバー93の素材としては、特に限定されるものではないが、PCとABSのポリマーアロイが好適に利用できる。なお、殻体7には、制御部主基板84とは別に、制御部副基板85が固定されている。制御部副基板85は、割込制御等の、特別な制御を行うための基板である。
【0067】
振動板52のポンプ収容凹部52eには、ポンプ42がポンプ固定部材52fを用いて螺着により固定される。振動板52のモータ収容凹部52aには、モータ51aがモータ固定部材56を用いて係合及び螺着により固定される。振動板52の振動マッサージヘッド受部52dには、振動マッサージヘッド53が取着される。殻体7の第二支持部材73には開閉弁受部79bが設けられ、開閉弁受部79bには開閉弁45が嵌着される。開閉弁45が開閉弁受部79bから脱離することを防ぐために、振動板固定部材55には開閉弁押え部材55aが延設されている。振動板固定部材55の材質としては特に限定されるものではないが、ABS樹脂が好適に利用できる。流体の輸送経路を分岐するためにT字コネクタ43aが設けられており、T字コネクタ43aにはチューブ43(図示せず)が連結されている。
【0068】
殻体7の外表面、すなわち本体部内空部26aと対面する側の表面には、複数の互いに平行な板状突起77が設けられ、外力による応力に対する殻体7の強度を十分に保ちつつ、殻体7を薄く軽い素材で構成することを可能にしている。本実施形態において、関節部マッサージ器1は、その全体質量が0.8kg以下(電力変換装置21aを含めても1.0kg以下)ととても軽いから、楽に持ち運びすることができ、かつ、使用者がどこでも気軽に関節部11に装着して、リラックスした状態でマッサージを行うことができる。
【0069】
図12は、
図8に示す本発明の一実施形態において、本体部カバー26と表示操作パネル9とをはずして、本体部2の内部が見える状態を示す斜視図である。制御部主基板84には遮光部材23が取着されている。硬質樹脂からなる振動板52には、モータ51aがモータ固定部材56を用いて固定され、ポンプ42がポンプ固定部材52fを用いて固定されている。ポンプ固定部材52fの材質としては特に限定されるものではないが、ABS樹脂が好適に利用できる。制御部主基板84とモータ51aを接続するモータ制御線58は、モータ制御信号を伝達する。制御部主基板84とポンプ42を接続するポンプ制御線40は、ポンプ制御信号を伝達する。殻体7には開閉弁45が取着されている。制御部主基板84と開閉弁45を接続する開閉弁制御線47は、開閉弁制御信号を伝達する。ポンプ42、開閉弁45、エア排出口48、第一バンド31に設けられたエアバッグ41aである副流体バッグ34a、圧迫マッサージヘッド44の圧迫マッサージヘッド側部44aに設けられたエアバッグ41aは、互いにチューブ43とT字コネクタ43aを用いて、連通するように接続されている。殻体7の表面には互いに平行な複数の板状突起77が設けられている。板状突起77は、殻体7の強度を向上させ、薄く軽い素材で殻体7を構成することを可能にしている。板状突起77の高さは5mm~1cm、間隔は5mm~1cm、厚みは0.5mm~2mmであることが好ましい。固定手段3は殻体7に固定されている。より詳しくは、固定手段3を構成する第一バンド31の一端にはバンド固定具38が縫着により固定され、バンド固定具38は殻体7に螺着により固定されている。第一バンド31の、内側帯状部材35と外側帯状部材36と、のバンド縁部37には、バンド縁部部材37aがバンド縁部固定部材37bを用いて固定されている。1つの実施形態では、バンド縁部固定部材37bは糸であり、固定の方法は縫着である。縫着のほかに、接着や融着を用いてもよい。第一バンド31の外側帯状部材36には、バンド固定具38の近傍、すなわち距離1cm以内若しくは2cm以内に外側帯状部材孔部36aが開口されている。外側帯状部材孔部36aを通して、チューブ43及び二極性の導線62が挿入されて、第一バンド31の副流体バッグ収容部34bまで延伸する。チューブ43はエアバッグである副流体バッグ34aに接続され、導線62は副加温素子33aに接続される。制御部主基板84とマッサージヘッド10が内包する加温素子61とを接続する導線62、及び、制御部主基板84と副流体バッグ収容部34b内の副加温素子33aとを接続する導線62は、設定され、若しくは操作入力された加温レベルTLに応じた電圧若しくは電流を、加温素子61及び副加温素子33aに与える。導線62及びチューブ43は、殻体7に設けられた殻体孔部75cを通って、本体部内空部26aからマッサージヘッド10内へ延伸し、マッサージヘッド10に内包される加温素子61、又はエアバッグ41aである流体バッグ41と接続される。
【0070】
本実施形態において、加温手段及び副加温手段33の消費電力は合わせて0.5W~2Wであり、機器の加熱防止の観点から、好ましくは0.5~1Wである。関節部マッサージ器1の全体の消費電力は2W~8Wであり、機器の加熱防止と消費電力低減の観点から、好ましくは2W~5Wである。
【0071】
図(13A)は、本発明の一実施形態におけるモータ51aと偏心子51cを示す斜視図であり、図(13B)は、モータ51aと振動板52の構成を示す端面図である。本形態においては、偏心子51cは、モータ51aの回転軸51bにその重心が回転軸51b上に位置しない態様で固定されており、モータ51aが作動して、回転方向を示す矢印51rが示すように回転軸51bが回転すると、偏心子51cの重心が円運動を行い、モータ51aに周期変化する力が加わる結果、モータ51aが取着された振動板52が振動する。モータ51aは振動板52のモータ収容凹部52aに収容され、モータ固定部材56で固定される。モータ収容凹部52aを両側から囲うようにモータ支持第一部材52bとモータ支持第二部材52cとが振動板52から突設され、モータ支持第一部材52bとモータ支持第二部材52cとの間に橋を架けるようにモータ固定部材56が張設されてモータ51aを押圧固定する。モータ支持第一部材52bには、モータ固定部材56の一端が挿入されるモータ固定部材受部52b1が設けられる。モータ支持第二部材52cにはネジ穴が設けられ、モータ固定部材56の他端がネジ24を用いてモータ支持第二部材52cに螺着により固定される。
なお、本実施形態においては、モータ51aの回転軸51bに直接、偏心子51cを取着しているが、本実施形態の変形形態においては、ギヤやベルトを介して、モータ51aの回転軸51bの回転を偏心子51cの回転運動に変換して、偏心子51cの回転に伴って振動板52が振動する構成を採用してもよい。更に、本実施形態においては振動板52を殻体7とは別に設けているが、本実施形態の一変形形態においては、殻体7自体を振動板52として用いることもできる。
【0072】
本実施形態において、振動手段の振動数(回転数)は3000回/分~13000回/分であり、使用者が感じる振動刺激の心地よさと、振動手段の作動音による聴覚刺激の心地よさの観点から、好ましくは5000回/分~8000回/分であり、更に好ましくは6000回/分~7000回/分である。
【0073】
図(14A)は、本発明の一実施形態における、エアバッグ41aである流体バッグ41を有する圧迫手段4の構成を示す模式図である。本実施形態においては、ポンプ42、開閉弁45、エア排出口48、及び、エアバッグ41aが、チューブ43とT字コネクタ43aを用いて図のように連結されている。エアバッグ41aは弾性素材でできている。開閉弁45を閉じて、ポンプ42を作動状態にすると、ポンプ42のエア取入口46から取り入れられた空気がチューブ43を通ってエアバッグ41aに送り込まれ、エアバッグ41aが膨らむ。その結果、関節部11に圧迫刺激を与えることができる(圧迫強度増大進行状態)。ここで、開閉弁45を閉じたまま、ポンプ42を停止状態にしても、ポンプ42には逆流防止機構が備えられているので、エアバッグ41a内の空気が逃げることはない。その結果、継続して関節部11に圧迫刺激を与えることができる(圧迫強度一定保持状態)。ここでさらに、ポンプ42を停止状態に保ったまま、開閉弁45を開けると、弾性素材からなるエアバッグ41aは収縮し、エアバッグ41a内の空気はチューブ43を通ってエア排出口48から排出される。その結果、関節部11に加えられる圧迫刺激の強度は空気の排出に伴って漸減することとなる(圧迫強度減少進行状態)。エア取入口46とエア排出口48は、外部から視認できない箇所に設けられることが好ましい。例えば、エア取入口46は本体部内空部26aから空気を取り入れ、エア排出口48は本体部内空部26aに空気を排出する。本体部内空部26aは係合部の隙間や多孔質のマッサージヘッド等を通して外気と連通している。本実施形態は、流体バッグを膨張・収縮させるために、外気の空気を使用するので、別途流体を用意する必要がなく、保守管理も容易であるという利点を有する。なお、チューブ43にはエアバッグ41aだけでなく、固定手段3に設けられるエアバッグである副流体バッグ34aを1つ若しくは複数、接続してもよい。
本実施形態において、ポンプ42の多段階に調節できる吐出圧力は40kPa~60kPaの範囲に含まれることが好ましく、更に使用者が感じる圧迫刺激の心地よさの観点から、上記吐出圧力は45kPa~55kPaの範囲に含まれることがより好ましい。
【0074】
図(14B)は、本発明の別の一実施形態における、流体バッグ41を有する圧迫手段4の構成を示す模式図である。流体とは、気体、液体、又は、気体若しくは液体若しくは固体を溶媒に溶解又は懸濁させてなる液体(又は気体)を意味する。本実施形態においては、ポンプ42、開閉弁45、流体バッグ41、流体溜め袋49が、チューブ43とT字コネクタ43aを用いて図のように連結され、ポンプ42は循環経路内に位置している。流体バッグ41は弾性素材でできている。開閉弁45を閉じて、ポンプ42を作動状態にすると、流体溜め袋49に蓄えられた流体がチューブ43及びポンプ42を通って流体バッグ41に送り込まれ、流体バッグ41が膨らむ。その結果、関節部11に圧迫刺激を与えることができる(圧迫強度増大進行状態)。ここで、開閉弁45を閉じたまま、ポンプ42を停止状態にしても、ポンプ42には逆流防止機構が備えられているので、流体バッグ41内の流体が外へ排出されることはない。その結果、継続して関節部11に圧迫刺激を与えることができる(圧迫強度一定保持状態)。ここでさらに、ポンプ42を停止状態に保ったまま、開閉弁45を開けると、弾性素材からなる流体バッグ41は収縮し、流体バッグ41内の流体はチューブ43及び開閉弁45を通って流体溜め袋49に蓄えられる。その結果、関節部11に加えられる圧迫刺激の強度は流体バッグ41からの流体の排出に伴って漸減することとなる(圧迫強度減少進行状態)。なお、チューブ43には流体バッグ41だけでなく、固定手段3に設けられる流体バッグである副流体バッグ34aを1つ若しくは複数、接続してもよい。
本実施形態において、ポンプ42の多段階に調節できる吐出圧力は40kPa~60kPaの範囲に含まれることが好ましく、更に使用者が感じる圧迫刺激の心地よさの観点から、上記吐出圧力は45kPa~55kPaの範囲に含まれることがより好ましい。
【0075】
本実施形態は、流体バッグ41を膨張・収縮させるために、循環経路内に閉じ込められた流体を使用するから、マッサージ対象となる関節部11の種類に応じて、マッサージ効果を高める上で最適な密度や粘度を有する流体を、自在に選択して使用できるという利点を有する。
【0076】
図15は、本発明の一実施形態である関節部マッサージ方法における、全体フローを示すフローチャート図である。当該関節部マッサージ方法は、タイマ87bを作動させて、時間間隔を次々とカウントしながら、各々の時間間隔において、(s1)圧迫強度増大進行状態かつ振動刺激ON状態、(s2)圧迫強度増大進行状態かつ振動刺激OFF状態、(s3)圧迫強度減少進行状態かつ振動刺激ON状態、(s4)圧迫強度減少進行状態かつ振動刺激OFF状態、(s5)圧迫強度一定保持状態かつ振動刺激ON状態、(s6)圧迫強度一定保持状態かつ振動刺激OFF状態、のいずれかを制御部が選択して関節部11のマッサージを行うことを特徴とする。制御部8のCPU87aは、上記の選択を、あらかじめ記憶手段87cからメモリにロードした振動刺激状態列{VS
k}及び圧迫速度状態列{PS
k}に基づいて行う。電源ボタン92aが長押しされたことが検出された場合には電源を切ってマッサージを終了し、異常が発生した場合や、マッサージ時間がマッサージ上限時間を超過した場合には、安全停止処理を行う。
【0077】
以下、全体フローを順に説明する。ステップS10では、電源ボタン92aが押圧されたことが検出されると、関節部マッサージ器1の電源が入り、マッサージが開始される。ステップS20では、後述する必要な初期設定が行われる。次に、ステップS30では、加温レベルTLと圧迫速度レベルPLの値に基づいて、必要な、振動刺激状態列{VSk}及び圧迫速度状態列{PSk}がROM等の記憶手段87cから読み込まれ、RAM等のメモリである記憶手段87cに保存される。ステップS40では、タイマ87bの時刻tをゼロに設定し、タイマ87bをスタートさせ、整数の変数kにゼロを代入し、変数t0にゼロを代入する。なお、「変数」とは記憶手段87cの一記憶領域、又は、CPU87aのレジスタを意味する。ステップS50では、k番目の時間間隔Δtkの振動刺激状態VSkと圧迫速度状態PSkをメモリにロードする。なお、記号「Δtk」は「k番目の時間間隔」を意味するが、文脈で区別可能であるから、「k番目の時間間隔の時間」も簡単のため、同じ記号「Δtk」で表す。ステップS60では、後述する第k次加温状態制御を行う。ステップS70では、後述する第k次振動状態制御を行う。ステップS80では、後述する第k次圧迫速度状態制御を行う。ステップS90では、関節部マッサージ器1に、高負荷がかかったり、内部温度が許容範囲からはずれていたり、といった異常が生じていないかどうかが判定される。異常ありと判定されれば、ステップS140へ進み、安全停止処理を行う。異常なしと判定されれば、ステップS100へ進み、タイマ87bが示す時刻tがマッサージ上限時間を超えたか否かが判定される。YESと判定されればステップS140の安全停止処理へと進み、NOと判定されればステップS110へ進んで、操作入力の有無確認と操作入力時の処理が行われる。1つの実施形態では、使い過ぎや切り忘れを防止するため、マッサージ上限時間は10分~30分に設定される。マッサージ効果が十分に得られる時間を確保しつつ、使用者を飽きさせず、かつ、安全のために内部温度の過度の上昇を防き、更にはけがを防止するという観点からは、マッサージ上限時間は12分~18分に設定されることが好ましい。ステップS120では、電源ボタン92aが長押しされたかどうかが判定され、YESであればステップS130へ進み、終了処理ののち電源を切ってマッサージを終了する。NOであれば、ステップS150へ進んで、時刻tがtk+Δtkより小さいか否かが判定される。YESであれば、上記のステップS110へ戻る。NOであれば、ステップS160へ進んで、変数tk+1にtk+Δtkを代入し、更にステップS170へ進んで、整数の変数kの値を1だけ増やし、ループの最初のステップS50へと戻る。
【0078】
図(16A)~図(16D)、図(17A)~図(17D)、
図18は、本発明の一実施形態における、初期設定、第k次加温状態制御、第k次振動状態制御、安全停止処理、第k次圧迫速度状態制御、操作入力の有無確認と操作入力時の処理のそれぞれのサブルーチンのフローを示すフローチャート図である。
【0079】
図(16A)に示すように、ステップS20の初期設定のサブルーチンでは、ステップS21で加温レベルTLを初期値TL
0に設定し、ステップS22で圧迫速度レベルPLを初期値PL
0に設定し、ステップS23で振動強度レベルVLを初期値VL
0に設定し、ステップS24でマッサージ上限時間をメモリにロードする。最後にステップS25で、
図15に示すメインフローへと戻る。
【0080】
図(16B)に示すように、ステップS60の第k次加温状態制御のサブルーチンでは、ステップS61で、加温レベルTLに応じて加温素子の電流値又は電圧値を設定する。最後にステップS62で、
図15に示すメインフローへと戻る。
【0081】
図(16C)に示すように、ステップS70の第k次振動状態制御のサブルーチンでは、ステップS71でまず、振動強度レベルVLが0であるか否かかが判定される。判定がYESであれば、ステップS72へ進んで、振動手段5を振動刺激OFF状態にし、更にステップS75へと進んで、
図15に示すメインフローへと戻る。判定がNOであれば、ステップS73へ進んで、振動刺激状態VS
kが1か否かが判定される。判定がYESであれば、ステップS74へ進んで、振動手段5を振動刺激ON状態にし、更にステップS75へ進んで、
図15に示すメインフローへと戻る。判定がNOであれば、ステップS76へ進んで、振動刺激状態VS
kが0か否かが判定される。判定がNOであれば、これは異常であるからステップS140の安全停止処理へと進み、判定がYESであれば、ステップS77へ進んで、振動手段5を振動刺激OFF状態にし、更にステップS75へと進んで、
図15に示すメインフローへと戻る。
【0082】
図(16D)に示すように、ステップS140の安全停止処理のサブルーチンでは、ステップS141で加温手段6を停止し、ステップS142で圧迫手段4及び副圧迫手段34を停止し、ステップS143で振動手段5を停止し、ステップS144で、表示手段91にエラーコード又はエラーメッセージを表示し、若しくは音で知らせ、ステップS145へ進んで、電源ボタン92aが長押しされたか否かが判定され、判定がYESであればステップS130へ進んで、電源を切ってマッサージを終了し、判定がNOであればステップS145に戻る。
【0083】
図(17A)に示すように、ステップS80の第k次圧迫速度状態制御のサブルーチンでは、ステップS81、ステップS83、及びステップS85において、圧迫速度状態PS
kの値が判定される。PS
k=1であると判定されれば、ステップS82へと進み、圧迫手段4(と副圧迫手段34)を圧迫強度増大進行状態にして、更にステップS87へと進んで、
図15に示すメインフローへと戻る。PS
k=0であると判定されれば、ステップS84へと進み、圧迫手段4(と副圧迫手段34)を圧迫強度一定保持状態にして、更にステップS87へと進んで、
図15に示すメインフローへと戻る。PS
k=-1であると判定されれば、ステップS86へと進み、圧迫手段4(と副圧迫手段34)を圧迫強度減少進行状態にして、更にステップS87へと進んで、
図15に示すメインフローへと戻る。PS
kが1、0、-1のいずれの値でもないと判定されれば、これは異常であるから、ステップS140へと進んで安全停止処理を行う。
【0084】
図(17B)に示すように、ステップS82の圧迫手段を圧迫強度増大進行状態にするための副サブルーチンでは、ステップS82aにおいて、ポンプ42を圧迫強度レベルPLに対応した出力の作動状態にし、ステップS82bにおいて、開閉弁45を閉状態にして、更にステップS82cへと進み、図(17A)に示すサブルーチンへと戻る。
図(17C)に示すように、ステップS84の圧迫手段を圧迫強度一定保持状態にするための副サブルーチンでは、ステップS84aにおいて、ポンプ42を停止状態にし、ステップS84bにおいて、開閉弁45を閉状態にして、更にステップS84cへと進み、図(17A)に示すサブルーチンへと戻る。
図(17D)に示すように、ステップS86の圧迫手段を圧迫強度減少進行状態にするための副サブルーチンでは、ステップS86aにおいて、ポンプ42を停止状態にし、ステップS86bにおいて、開閉弁45を開状態にして、更にステップS86cへと進み、図(17A)に示すサブルーチンへと戻る。
【0085】
図18に示すように、ステップS110の操作入力の有無確認と操作入力時の処理を行うためのサブルーチンでは、ステップS111において、加温強度操作ボタン92cが押圧されたかどうかが判定され、NOであればステップS113へ進み、YESであればステップS112へ進んで、加温強度レベルTLを循環的に1だけ増加させる変更を行って、ステップS113へ進む。ステップS113においては、圧迫速度操作ボタン92bが押圧されたかどうかが判定され、NOであればステップS115へ進み、YESであればステップS114へ進んで、圧迫速度レベルPLを循環的に1だけ増加させる変更を行って、ステップS115へ進む。ステップS115においては、電源ボタン92aが押圧されたかどうかが判定され、NOであればステップS117へ進み、YESであればステップS116へ進んで、振動強度レベルVLがVL=0ならばVL=1とし、VL=1ならばVL=0となるように、振動強度レベルVLを反転させる変更を行って、ステップS117へ進む。ステップS117では、電源ボタン92aが長押しされたかどうかが判定され、YESであればステップS130へ進み、終了処理ののち電源を切ってマッサージを終了する。NOであれば、ステップS118へ進んで、以下に述べる表示を行う。ステップS118は、ステップS118a~S118cの3つの副ステップから構成される。ステップS118aでは、加温強度レベルTLを表示手段91に表示し、ステップS118bでは、圧迫速度レベルPLを表示手段91に表示し、ステップS118cでは、振動強度レベルVLを表示手段91に表示する。更に、ステップS119へと進んで、
図15に示すメインフローへと戻る。
【0086】
上記のステップS112、S114及びS116において、加温強度レベルTLを循環的に1だけ増加させる変更を行った後に、又は、圧迫速度レベルPLを循環的に1だけ増加させる変更を行った後に、又は、振動強度レベルVLを反転させる変更を行った後に、変更後の加温レベルTLと圧迫速度レベルPLと振動強度レベルVLとの値に基づいて、必要な、振動刺激状態列{VS
k}及び圧迫速度状態列{PS
k}がROM等の記憶手段87cから読み込まれ、RAM等のメモリである記憶手段87cに保存される。その後、
図18に示すサブルーチンの続きを実行してもよいし、或いは、
図18に示すサブルーチンの処理を中断して、
図15に示すメインフローのステップS40から新たにマッサージを実行してもよい。
【0087】
図(19A)は、本発明の一実施形態における、振動刺激状態VSと圧迫速度状態PSとが圧迫強度の時間変化に及ぼす影響を例示するグラフ図である。簡単のため、圧迫強度レベルPLは一定であると仮定し、振動強度レベルVLは常に1であると仮定している。横軸には時刻tを時間間隔Δtで割った値t/Δtをとっている。ここでは簡単のため、時間間隔Δtkは一定値Δtであると仮定しているが、マッサージ時に使用者に意外性を与えるため、時間間隔Δtkに±10%~±20%程度のランダムな、若しくは規則的なゆらぎ、或いはそれらを組み合わせたゆらぎをもたせても良い。ゆらぎをもたせると、単調なマッサージのリズムが破られることにより、使用者が意外性を感じて関節部11に意識を集中するので、マッサージ効果を高めることができる。
【0088】
曲線C1が示すように、振動刺激状態VSは、あらかじめメモリにロードされる振動刺激状態列{VSk}の値に基づき、時間間隔Δtkごとに、0または1の値をとる。今は常にVL=1であると仮定しているので、振動刺激状態VSがVS=1である時間間隔Δtkでは振動手段5が作動して関節部11に振動刺激を与える。一方、VS=0である時間間隔Δtkにおいては振動手段5は停止しており、関節部11に振動刺激は与えられない。本実施形態においては、振動手段5が作動しているときの振動発生手段51が引き起こす振動の強さは一定である。振動刺激の強さはもっぱら、圧迫手段4による圧迫強度が変化し、振動マッサージヘッド53が関節部に及ぼす圧力が変わることにより、間接的に制御される。振動発生手段51が引き起こす振動の強さが一定であるから、振動手段5の構成を簡単化でき、部品点数を減らして本体部の重量を軽くすることができる。
【0089】
曲線C2が示すように、圧迫速度状態PSは、あらかじめメモリにロードされる圧迫速度状態列{PSk}の値に基づき、時間間隔Δtkごとに、1、0、-1のいずれかの値をとる。圧迫速度状態PSがPS=1である時間間隔Δtkでは、圧迫手段4が圧迫強度の増大進行状態となり、関節部11に与えられる圧迫刺激の強度が増大する。一方、PS=0である時間間隔Δtkでは、圧迫手段4が圧迫強度の一定保持状態となり、関節部11に与えられる圧迫刺激の強度がほぼ一定に保たれる。更に、PS=-1である時間間隔Δtkでは、圧迫手段4が圧迫強度の減少進行状態となり、関節部11に与えられる圧迫刺激の強度がほぼゼロまで急激に減少する。
【0090】
図(19A)の曲線C1,C2,C3から読み取れるように、本実施形態では、圧迫強度が徐々に増していく過程においては、圧迫強度が増大進行状態である時間間隔Δtkにおいては振動刺激が与えられ、圧迫強度が一定保持状態である時間間隔Δtkにおいては振動刺激が与えられず、圧迫刺激と振動刺激とが手を取り合ってリズミカルにマッサージが進行するから、圧迫手段と振動手段とが作動時に奏でる音もリズミカルに使用者の耳に届き、触覚と聴覚の相乗によりマッサージ効果を高めることができる。
【0091】
図(19B)の曲線C4は、本発明の別の実施形態における振動刺激状態VSの時間変化を示す。圧迫速度状態PSと圧迫強度の時間変化は図(19A)の曲線C2及びC3と同様である。図(19B)から読み取れるように、この実施形態では、圧迫強度が徐々に増していく過程においては、圧迫強度が増大進行状態である時間間隔Δtkにおいては振動刺激が与えられず、圧迫強度が一定保持状態である時間間隔Δtkにおいては振動刺激が与えられ、圧迫刺激と振動刺激とが手を取り合ってリズミカルにマッサージが進行するから、圧迫手段と振動手段とが作動時に奏でる音もリズミカルに使用者の耳に届き、触覚と聴覚の相乗によりマッサージ効果を高めることができる。
【0092】
図(19C)の曲線C5は、本発明の更に別の実施形態における振動刺激状態VSの時間変化を示す。圧迫速度状態PSと圧迫強度の時間変化は図(19A)の曲線C2及びC3と同様である。図(19C)から読み取れるように、この実施形態では、圧迫強度が徐々に増していく過程においては、振動刺激については、「2つの時間間隔の間、振動刺激が与えられ、次の2つの時間間隔の間、振動刺激が与えられない」という周期4×Δtでの繰り返しが見られるのに対し、圧迫刺激については、「圧迫強度が増大進行状態である時間間隔と、圧迫強度が一定保持状態である時間間隔」という周期2×Δtでの繰り返しが見られる。このように、振動刺激の繰り返しパターンと圧迫刺激の繰り返しパターンが互いに倍数の関係にある時間周期を有するために、圧迫刺激と振動刺激とが手を取り合ってリズミカルにマッサージが進行するから、圧迫手段と振動手段とが作動時に奏でる音もリズミカルに使用者の耳に届き、触覚と聴覚の相乗によりマッサージ効果を高めることができる。
【0093】
図(20A)は、本発明の一実施形態において、圧迫速度レベルPLと圧迫速度状態PSとが、圧迫強度の時間変化に及ぼす影響を例示するグラフ図である。本実施形態では、圧迫速度レベルPLは整数0~3の4段階の値をとることが可能であり、横軸の値「t/Δt」を簡単のため、本段落において「時刻」と呼ぶならば、曲線C6が示すように、時刻0から時刻5まではPL=2であり、時刻5以降はPL=3である。時刻5においてPLの値が2から3に変化したのは、圧迫速度操作ボタン92bが押圧されたからである。圧迫速度状態PSは1、0、-1の3つの値をとることが可能であり、あらかじめメモリにロードされた圧迫速度状態列{PSk}の値に基づいて、曲線C7が示すように時間変化する。このとき、関節部マッサージ器1が関節部11に与える圧迫強度は、曲線C8が示すように時間変化する。時刻0から時刻4までの間は、PS=1であるから、圧迫強度は増大進行状態であり、同様に、時刻5から時刻9までの間も、PS=1であるから、圧迫強度は増大進行状態である。しかし、両者を比べると、PL=3である後者の方がPL=2である前者よりも圧迫強度の増大スピードは大きく、最終的に到達する圧迫強度も大きい。圧迫速度レベルはポンプ42の出力若しくは吐出圧力に対応している。また、時刻4から5までの間、及び、時刻10から11までの間は、PS=-1であるから、圧迫強度は減少進行状態であって、圧迫強度はほぼゼロまで急激に減少する。また、時刻9から10までの間は、PS=0であるから、圧迫強度はほぼ一定に保たれる。
【0094】
図(20B)は、本発明の一実施形態において、加温強度レベルTLが加温強度の時間変化に及ぼす影響を例示するグラフ図である。本実施形態では、加温強度レベルTLは整数0~3の4段階の値をとることが可能であり、横軸の値「t/Δt」を簡単のため、本段落において「時刻」と呼ぶならば、曲線C9が示すように、時刻0から時刻3まではTL=1であり、時刻3から時刻6まではTL=2であり、時刻6から時刻9まではTL=3であり、時刻9以降はTL=0である。時刻3、6、9においてTLの値が変化したのは、加温強度操作ボタン92cが押圧されたからである。このとき、関節部マッサージ器1が関節部11に与える加温強度は、加温強度レベルTLの変化に正確に対応して、曲線C10が示すように時間変化する。加温素子61が電熱線等のヒータである場合には、加温強度とは加熱強度を意味し、加温強度レベルTLが大きいほど、加熱強度が大きい。加温素子61が熱電対である場合には、加温強度とは加熱強度又は冷熱強度を意味し、熱電対は加温強度レベルTLに応じて加熱刺激か冷熱刺激のいずれかを関節部11に与え、若しくはいずれの刺激も与えず、加温強度レベルTLが大きいほど加熱強度が大きく、加温強度レベルTLが小さいほど冷熱強度が大きい。
【0095】
本発明は、上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の関節部マッサージ器は、本体部と、本体部を関節部に装着し固定するための固定手段を有し、前記本体部は、連続して一体に形成された、若しくは剛体的に結合された、硬質の殻体を有し、該殻体は、圧迫手段や振動手段や加温手段を、前記本体部にコンパクトに収容して組み込むための安定した基盤を提供するから、装着時に使用者の両手が開放され、装着状態を保ったまま、体の姿勢を変えることができるので、リラックスした状態でマッサージを行うことができる。本発明は、従来技術には存在しなかった、使用者が膝などの屈曲した状態の関節部に気軽に装着して使用できる軽量かつコンパクトな関節部マッサージ器を提供している。本発明に係る関節部マッサージ器とそれを用いたマッサージ方法は、家庭において個人が手軽に利用可能であり、業務用の電器製品業界においても広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0097】
1 関節部マッサージ器 2 本体部
3 固定手段 4 圧迫手段
5 振動手段 6 加温手段
7 (硬質の)殻体 8 制御部
9 表示操作パネル 10 マッサージヘッド
11 関節部 12 第一体部
13 関節 14 第二体部
15 (関節の)開閉角度 15a 第一体部の延伸方向
15b 第二体部の延伸方向 16 (関節部の)屈曲内側
21 電源端子 21a 電力変換装置
22 関節挿入口 23 遮光部材
24 ネジ
25 (第一体部から関節へ向かう方向の)矢印
26 本体部カバー 26a 本体部内空部
27 本体部カバー切欠部 28 本体部カバー縁部
28a 本体部カバー縁部部材 28b 本体部カバー中央縁部部材
29 関節挿入口上部縁部 29a 関節挿入口上部縁部部材
31 第一バンド 31a バンドループ
31b 面ファスナー 32 第二バンド
32a バンド調節具 33 副加温手段
33a 副加温素子 34 副圧迫手段
34a 副流体バッグ 34b 副流体バッグ収容部
35 内側帯状部材 36 外側帯状部材
36a 外側帯状部材孔部 37 バンド縁部
37a バンド縁部部材 37b バンド縁部固定部材
38 バンド固定具 40 ポンプ制御線
41 流体バッグ 41a エアバッグ
42 ポンプ 43 チューブ
43a T字コネクタ 44 圧迫マッサージヘッド
44a 圧迫マッサージヘッド側部
44b 圧迫マッサージヘッド中央部
44c チューブ受部
44d (圧迫マッサージヘッド取付用)ネジ穴
44e 圧迫マッサージヘッド取着用部材
45 開閉弁 46 エア取入口
47 開閉弁制御線 48 エア排出口
49 流体溜め袋 51 振動発生手段
51a モータ 51b 回転軸
51c 偏心子 51r 回転方向を示す矢印
52 振動板 52a モータ収容凹部
52b モータ支持第一部材 52b1 モータ固定部材受部
52c モータ支持第二部材 52d 振動マッサージヘッド受部
52e (振動板の)ポンプ収容凹部
52f (振動板の)ポンプ固定部材
52g 振動板孔部 53 振動マッサージヘッド
54 布カバー 55 振動板固定部材
55a 開閉弁押え部材 56 モータ固定部材
57 第二振動マッサージヘッド
58 モータ制御線 61 加温素子
62 導線 70 チューブ挿入用口
71 第一支持部材 72 関節支持部材
73 第二支持部材 74 殻体縁部
74a 殻体縁部切欠部 75a 圧迫マッサージヘッド取着用口
75b (殻体の圧迫マッサージヘッド取付用)ネジ穴
75c 殻体孔部 76a 振動板取付用開口部
77 板状突起 78 (本体部カバー取付用)ネジ穴
79a バンド固定具受部 79b 開閉弁受部
84 制御部主基板 85 制御部副基板
86 制御部主基板固定部材 87a CPU
87b タイマ 87c 記憶手段
88 I/O(入出力部) 91 表示手段
91a 振動ON/OFF表示手段
91b 圧迫速度表示手段 91c 加温強度表示手段
92 操作入力手段 92a 電源ボタン
92b 圧迫速度操作ボタン 92c 加温強度操作ボタン
93 表示操作パネルカバー