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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】量子ドットを含む有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20220818BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220818BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220818BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220818BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220818BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
H05B33/12 E
G02B5/20 101
H01L27/32
H05B33/14 A
G02F1/13357
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 349B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020542274
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 KR2020006770
(87)【国際公開番号】W WO2021020705
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0091031
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512268332
【氏名又は名称】インダストリー-ユニバーシティー コオペレーション ファウンデーション ハンヤン ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ジャグン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンジェ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジウン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソユン
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0007294(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0000811(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0041759(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0032017(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/32
G02F 1/1335
H01L 51/50
H01L 51/52
H01L 51/50
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に駆動トランジスタを含む下部基板と、
前記駆動トランジスタと連動する有機発光素子と、
前記有機発光素子上に形成され、光を吸収して特定の波長領域の可視光として発光するコア-シェル構造の量子ドットが備えられたRGBカラーフィルタ層とを含
前記コア-シェル構造の量子ドットは、前記コア-シェル構造の量子ドットの組成を調節して構造を制御し、
前記有機発光素子は青色有機発光ダイオード(OLED)であり、
前記RGBカラーフィルタ層は、赤色光を発光する第1量子ドットを備える赤色カラーフィルタと、緑色光を発光する第2量子ドットを備える緑色カラーフィルタと、青色光を発光する第3量子ドットを備える青色カラーフィルタとを含み、
前記第1量子ドットのコア物質は、13族元素と15族元素で構成され、
前記第2量子ドットは、InP/ZnSe/ZnSeS/ZnSコアシェル構造の緑色量子ドットを含み、
前記第3量子ドットは、ZnSe/ZnSコアシェル構造の青色量子ドットを含む、
有機発光表示装置。
【請求項2】
前記コア-シェル構造の量子ドットは、前記有機発光素子から入射された光をエネルギーダウンシフト(energy-down-shift)させることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記コア-シェル構造の量子ドットは閃亜鉛鉱(zinc-blende)構造を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記コア-シェル構造の量子ドットは、InP/ZnSe/ZnSコアシェル構造の赤色量子ドットを含むことを特徴とする、請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記RGBカラーフィルタ層は、前記コア-シェル構造の量子ドットの濃度によって吸光度(Absorption)が制御されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドットを含む有機発光表示装置に関し、より詳細には、RGBカラーフィルタ層に量子ドットを含むことで、赤色、緑色及び青色カラーフィルタの間の干渉を100%除去することができる量子ドットを含む有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の到来に伴い、様々な情報をユーザに提供する伝達媒体として映像表示装置の重要性がますます強調される傾向にある。その中で、急速に発展している半導体技術を中心に小型化及び軽量化され、かつ性能がさらに向上した液晶表示(liquid crystal display、LCD)パネルを備えた表示装置が代表的な表示装置となっている。
【0003】
液晶表示パネルを備えた表示装置は、小型化、軽量化及び低電力消費化などの利点を有しているので、従来のブラウン管(cathode ray tube、CRT)の欠点を克服できる代替手段としてますます注目されてきた。現在は、表示装置を必要とする携帯電話、PDA(personal digital assistant)、及びPMP(portable multimedia player)などのような小型製品だけでなく、中大型製品であるモニタ及びTVなどにも装着されて使用されるなど、表示装置を必要とするほとんど全ての情報処理機器に装着されて使用されている。
【0004】
近年、液晶表示装置の輝度の低下を補完するために、量子ドットを含む量子ドット向上フィルムをバックライトに適用する技術が研究されている。
【0005】
ナノ粒子は、バルク物質とは異なり、物質の固有の特性と知られている物理的特性(エネルギーバンドギャップ、融点など)を、粒子サイズによって調節することができる。例えば、量子ドット(quantum dot)とも呼ばれる半導体ナノ結晶は、数ナノサイズの結晶構造を有する半導体材料であるが、このような半導体ナノ結晶は、サイズが非常に小さいため、単位体積当たりの表面積が広く、量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示すので、半導体物質自体の特性とは異なる物理化学的特性を有する。量子ドットは、励起源(excitation source)から光を吸収してエネルギー励起状態になり、量子ドットのエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出するようになる。
【0006】
量子ドットは、理論的量子収率(QY)が100%であり、高い色純度(例えば、40nm以下の半値幅)の光を放出することができ、増加した発光効率及び向上した色再現性を達成することができる。したがって、量子ドットを液晶表示装置、有機発光表示装置などの各種ディスプレイ装置、イメージセンサ、照明装置などへの様々な電子素子で応用しようとする研究が活発である。しかし、向上した物性を示す量子ドットを含む電子素子に対する必要性は依然として残されている。
【0007】
大韓民国公開特許第10-2018-0040173号は、赤色光を放出する第1量子ドットと、緑色光を放出する第2量子ドットとを光電変換層に含むことで、緑色光及び赤色光を発光して液晶表示装置の発光特性を向上させ、色再現性を向上させる技術が開示されているが、光電変換層を形成するために、樹脂(resin)を用いてフィルム(film)化を行わなければならず、フィルム化に使用される樹脂の透過度は~90%で、~10%のバックライト光源のエネルギー損失をもたらすという問題が存在する。また、青色(blue)バックライトベースのLCD技術に限定されているので、フレキシブルディスプレイ及びLCD技術の限界が存在するという問題が存在する。
【0008】
大韓民国公開特許第10-2019-0007294号は、発色粒子が放出する光の波長よりも長波長である光を放出する量子ドットを含むカラーフィルタを開示しているが、白色有機発光素子(white OLED)をベースとしており、白色有機発光素子の場合、青色ピーク(blue peak)と黄色ピーク(yellow peak)であって、黄色ピークスペクトルエネルギーが広範囲に広がるようになり、したがって、最終的に、緑色と赤色の広いピークスペクトルにより緑色光と赤色光のクロストーク(cross talk)が発生してしまい、色再現性が低下するという問題が存在する。また、白色有機発光素子の場合、青色及び黄色スペクトルエネルギーであって、赤色量子ドットの場合、青色及び黄色のエネルギー帯域の吸収が可能であるが、緑色量子ドット及び青色量子ドットの場合、エネルギー吸収領域が減少して、バックライト光源の損失が発生するという問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施例の目的は、閃亜鉛鉱量子ドットを含む赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタを使用して、赤色光、緑色光及び青色光の間の干渉を除去することで、広いRGB色領域の値(カラー標準の基準であるBT.2020を基準として~100%達成可能である)を有する有機発光表示装置を提供するためのものである。
【0010】
本発明の実施例の目的は、量子ドットをバックライトまたは機能性フィルムとして製造せず、RGBカラーフィルタ層に混合して用いることで、光源の光損失(~10%)を解消すると同時に、フィルム化工程を除去することで、工程の簡素化及び素子のスリム化が可能な有機発光表示装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
解決しようとする課題の達成のために、本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、表面に駆動トランジスタを含む下部基板と;前記駆動トランジスタと連動する有機発光素子と;前記有機発光素子上に形成され、光を吸収して特定の波長領域の可視光として発光する量子ドットが備えられたRGBカラーフィルタ層とを含む。
【0012】
前記有機発光素子は青色有機発光ダイオード(OLED)であってもよい。
【0013】
前記量子ドットは、前記有機発光素子から入射された光をエネルギーダウンシフト(energy-down-shift)させるものであってもよい。
【0014】
前記量子ドットは閃亜鉛鉱(zinc-blende)構造を含むことができる。
【0015】
前記量子ドットは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HggZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、InAlPAs、及びそれらの組み合わせのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0016】
前記量子ドットは、コア/単一シェル構造、コア/多重シェル構造、及び合金構造のうちの少なくともいずれか1つの構造を含むことができる。
【0017】
前記量子ドットは、ZnSe/ZnSコアシェル構造の青色量子ドットを含むことができる。
【0018】
前記量子ドットは、InP/ZnSe/ZnSeS/ZnSコアシェル構造の緑色量子ドットを含むことができる。
【0019】
前記量子ドットは、InP/ZnSe/ZnSコアシェル構造の赤色量子ドットを含むことができる。
【0020】
前記RGBカラーフィルタ層は、前記量子ドットの濃度によって吸光度(Absorption)が制御されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例によれば、閃亜鉛鉱量子ドットを含む赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタを使用して、赤色光、緑色光及び青色光の間の干渉を除去することで、広いRGB色領域の値(カラー標準の基準であるBT.2020を基準として~100%達成可能である)を有する有機発光表示装置を提供することができる。
【0022】
本発明の実施例によれば、量子ドットをバックライトまたは機能性フィルムとして製造せず、RGBカラーフィルタ層に混合して用いることで、光源の光損失(~10%)を解消すると同時に、フィルム化工程を除去することで、工程の簡素化及び素子のスリム化が可能な有機発光表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A-B】本発明の一実施例に係る有機発光表示装置の構成断面図である。
図2A-C】本発明の一実施例に係る青色の閃亜鉛鉱量子ドット(ZnSe/ZnS)(図2A)、緑色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnSeS/ZnS)(図2B)及び赤色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnS)(図2C)の高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)測定イメージである。
図3A-C】青色の閃亜鉛鉱量子ドット(ZnSe/ZnS)(図3A)、緑色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnSeS/ZnS)(図3B)及び赤色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnS)(図3C)のXRD分析結果及びSAEDイメージである。
図4A-C】青色(図4A)、緑色(図4B)及び赤色(図4C)の閃亜鉛鉱量子ドットの吸光度(Absorption)及び光発光(PL、0.005~0.07wt%、under 325nm wavelength)の測定結果を示すグラフである。
図5】青色OLED(B-OLED)の電圧によるLuminance-voltage(L-V)曲線グラフである。
図6】青色OLED(blue OLED)の光発光スペクトル(PL spectrum)、量子ドットを含まない青色、緑色及び赤色カラーフィルタ(Blue CF、Green CF、Red CF)の透過率スペクトル(transmittance spectrum)を示すグラフである。
図7】本発明の実施例に係る閃亜鉛鉱量子ドットを含む青色、緑色及び赤色カラーフィルタ(B-QDCF、G-QDCF、R-QDCF)を用いる有機液晶表示装置(QDCF/B-OLED)の光発光スペクトルを示すグラフである。
図8A】青色LED(blue LED)バックライトを用い、青色、緑色及び赤色の量子ドット向上レジン(resin)フィルム(B-PrQDEF、G-PrQDEF、R-PrQDEF)を用いた液晶表示装置(QLED/B-LED)の構成図である。
図8B】青色LED(blue LED)バックライトを用い、青色、緑色及び赤色の量子ドット向上レジン(resin)フィルム(B-PrQDEF、G-PrQDEF、R-PrQDEF)を用いた液晶表示装置(QLED/B-LED)の光発光スペクトルを示すグラフである。
図9A】白色OLED(white OLED)バックライトを用い、量子ドットを含むカラーフィルタ(RGB-QDCF)を用いた有機発光表示装置(QDCF/W-OLED)の構成図である。
図9B】白色OLED(white OLED)バックライトを用い、量子ドットを含むカラーフィルタ(RGB-QDCF)を用いた有機発光表示装置(QDCF/W-OLED)の光発光スペクトルを示すグラフである。
図10図7での有機発光表示装置(QDCF/blue-OLED)及び図9での有機発光表示装置に対するCIE 1931色領域(CIE 1931 color space)を示すイメージである。
図11A】青色OLEDバックライトを用い、青色、緑色及び赤色の量子ドット向上フィルム(B-CF、QDEF+G-CF、QDEF+R-CF)を用いる有機液晶表示装置(RG-QDEF+RGB CF/B-OLED(without blue QD))の構成図である。
図11B】青色OLEDバックライトを用い、緑色及び赤色の量子ドット向上フィルム(B-CF、QDEF+G-CF、QDEF+R-CF)を用いる有機液晶表示装置(RG-QDEF+RGB CF/B-OLED(without blue QD))の光発光スペクトルを示すグラフである。
図12】青色OLEDと緑色及び赤色の量子ドット向上フィルムを用いる有機発光表示装置(QDEF/blue-OLED)、及び本発明の実施例に係る閃亜鉛鉱量子ドットを含むカラーフィルタを用いる有機発光表示装置(QDCF/blue-OLEE)のCIE 1931色領域(CIE 1931 color space)を示すイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面及び添付の図面に記載された内容を参照して、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明が実施例によって制限又は限定されるものではない。
【0025】
本明細書で使用された用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作及び/又は素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しない。
【0026】
本明細書で使用される「実施例」、「例」、「側面」、「例示」などは、記述された任意の態様(aspect)又は設計が他の態様又は設計よりも良好であるか、または利点があるものと解釈すべきものではない。
【0027】
以下の説明で使用される用語は、関連する技術分野で一般的かつ普遍的なものが選択されたが、技術の発達及び/又は変化、慣例、技術者の選好などに応じて他の用語があり得る。したがって、以下の説明で使用される用語は、技術的思想を限定するものと理解されてはならず、実施例を説明するための例示的な用語として理解されなければならない。
【0028】
また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する説明部分で詳細にその意味を記載する。したがって、以下の説明で使用される用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味、及び明細書全般にわたる内容に基づいて理解されなければならない。
【0029】
一方、「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素がこのような用語によって限定されるものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0030】
また、膜、層、領域、構成要素などの部分が他の部分「の上に」又は「上に」あるとするとき、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、それらの間に他の膜、層、領域、構成要素などが介在している場合も含む。
【0031】
他の定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解される意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義されていない限り、理想的又は過度に解釈されない。
【0032】
一方、本発明を説明するにおいて、関連する公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、本明細書で使用される用語(terminology)は、本発明の実施例を適切に表現するために使用された用語であって、これは、使用者、運用者の意図、または本発明の属する分野の慣例などによって変わり得る。したがって、本用語に対する定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行われるべきである。
【0033】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図1A及び図1Bは、本発明の実施例に係る有機発光表示装置を示したものである。
【0035】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、表面に駆動トランジスタを含む下部基板110と、駆動トランジスタと接続される有機発光素子120と、有機発光素子120上に形成され、有機発光素子120から入射された光を吸収して特定の波長帯域の光として放出する量子ドット131,132,133を含むRGBカラーフィルタ層130と、RGBカラーフィルタ層130上に形成されて有機発光素子120を封止する上部基板140とを含む。
【0036】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、表面に駆動トランジスタを含む下部基板110を含む。
【0037】
下部基板110は、上部に駆動トランジスタTR及び有機発光素子120からなる画素を含み、上部基板140は、下部基板110と対向するように配列され、下部基板110と上部基板140とは結合部材によって結合される。
【0038】
駆動トランジスタTRは、有機発光素子120に電流を供給するための複数のトランジスタを含むことができ、駆動トランジスタTRは、下部基板110上のトランジスタ領域に形成され得、有機発光素子120は、下部基板110上の表示領域に形成され得る。
【0039】
駆動トランジスタTRは、活性層、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁層、及びゲート電極を含むことができる。
【0040】
駆動トランジスタTRの上部には、バンクによって定義された表示領域内には、駆動トランジスタTRを介して印加された駆動電流によって発光する有機発光素子120が形成され得る。
【0041】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、駆動トランジスタと接続される有機発光素子120を含む。
【0042】
有機発光素子120は、第1電極、第2電極、及び第1電極と第2電極との間に形成される発光層を含むことができ、第1電極及び第2電極は正極または負極であってもよい。
【0043】
実施例によって、有機発光素子は、第1電極及び第2電極と発光層との間に、正孔伝達層、正孔注入層、電子伝達層及び電子注入層のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0044】
例えば、有機発光素子120は、第1電極で発生した正孔及び第2電極で発生した電子が発光層の内部に注入され、注入された電子と正孔が結合してエキシトン(exciton)が生成される。生成されたエキシトンが励起状態(exited state)から基底状態(ground state)に落ちながら固有の色光を発生させることによって、カラー画像を表示することができる。
【0045】
有機発光素子120は、光源として青色光を用いる青色OLED(blue OLED)であってもよい。白色OLED(white OLED)を使用する場合、青色に黄色蛍光体(yellow phosphor)を混合して製造するので、広い半値幅を示し、光源からのエネルギー損傷が発生するが、本発明の実施例に係る青色光源を用いる青色OLEDの場合、量子ドット131,132,133を含むRGBカラーフィルタ層130で青色光源を吸収してエネルギーダウンシフト(energy-down shift)させてRGBカラーの光を発生させるので、エネルギー損失を減少させることができる。
【0046】
有機発光素子120は、光源として青色光を用いる青色OLED(blue OLED)であってもよく、MoO(10nm)/NPB(60nm)/BCzVBi 5wt%:CBP:TPBi(1:1、20nm)/TPBi(40nm)/LiF(1nm)/Al(150nm)で構成され得、NPBのHOMOは2.1eV、LUMOは5.0であり、BCzVBiのHOMOは2.4eV、LUMOは5.5であり、CPBのHOMOは2.9eV、LUMOは6.0であり、TPBiのHOMOは2.7eV、LUMOは6.2である。
【0047】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、有機発光素子120上に形成され、有機発光素子120から入射された光を吸収して特定の波長帯域の光として放出する量子ドット131,132,133を含むRGBカラーフィルタ層130を含む。
【0048】
量子ドット131,132,133は、有機発光素子から入射された光をエネルギーダウンシフト(energy-down-shift)させることができ、量子ドット131,132,133は、光源から入射された光をエネルギーダウンシフトさせて、RGBカラーフィルタ層130に対応する赤色光、緑色光及び青色光を発光することができる。
【0049】
より具体的には、量子ドット131,132,133を含む半導体物質の場合、バンドギャップエネルギー(bandgap energy)以上の光子エネルギー(photon energy)を吸収できるので、量子ドット131,132,133はいずれも、青色光源を吸収することができ、量子ドット131,132,133のバンドギャップエネルギーに該当する発光波長を放出してRGBの色表現が可能となり得る。
【0050】
したがって、本発明の実施例に係る有機発光表示装置のRGBカラーフィルタ層130は、量子ドット131,132,133を含むことによって、高い光子(photon)エネルギーを吸収して低い光子(photon)バンドギャップエネルギーに該当する光を発光させるため、光をエネルギーダウンシフトさせることができる。
【0051】
量子ドット131,132,133は、閃亜鉛鉱構造を含む閃亜鉛鉱量子ドットを含むことができる。
【0052】
閃亜鉛鉱量子ドットは、化学量論のモル分率(stoichiometric molar fraction)を調節して光源から入射される光を吸収した後、エネルギーダウンシフトさせ、それぞれ、赤色光、緑色光及び青色光のみで発光させることができる。
【0053】
したがって、本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、狭い半値幅(narrow FWHM)を有することができ、カラーフィルタの状態でクロストーク(crosstalk)がない赤色光、緑色光及び青色光を発光させることができる。
【0054】
また、本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、閃亜鉛鉱量子ドットをバックライト(back light)又は機能性フィルムとして製造せず、RGBカラーフィルタ層130に混合させることによって、光源の光損失(~10%)を解消すると同時に、フィルム化工程を除去して、工程の簡素化及び素子のスリム化が可能である。
【0055】
RGBカラーフィルタ層130は、赤色カラーフィルタ130R、緑色カラーフィルタ130G及び青色カラーフィルタ130Bを含むことができ、赤色カラーフィルタ130Rは、光源から入射された光を吸収して赤色光を放出する第1量子ドット131を含むことができ、緑色カラーフィルタ130Gは、光源から入射された光を吸収して緑色光を放出する第2量子ドット132を含むことができ、青色カラーフィルタ130Bは、光源から入射された光を吸収して青色光を放出する第3量子ドット133を含むことができる。
【0056】
RGBカラーフィルタ層130は、量子ドットの濃度によって吸光度(Absorption)が制御され得る。
【0057】
具体的には、量子ドット131,132,133の濃度が増加するにつれ、吸光度が増加し得、量子ドット131,132,133の濃度が臨界濃度に達すると、飽和吸光度を示すことができる。但し、量子ドット131,132,133の濃度が臨界濃度以上となる場合、量子ドット131,132,133の周囲に分散された量子ドット131,132,133が発光する光は、自己再吸収効果(self-reabsorption effect)により、発光効率が減少し得る。
【0058】
量子ドット131,132,133の場合、青色光源を吸収し、各RGBカラーフィルタ層130に対応する光を放出して、RGBカラーフィルタ層130を通過することができる。
【0059】
RGBカラーフィルタ層130のスペクトルピーク波長の場合、青色は450nm、緑色は530nm、赤色は620nmの特性を用いるようになり、このようなRGBカラーフィルタ層130のピーク波長と量子ドット131,132,133の発光ピーク波長とが一致することで、エネルギー損失(energy loss)なしにRGB光を発光することができる。
【0060】
したがって、量子ドット131,132,133のピーク波長を、青色は445~450nm、緑色は520~530、赤色は625~640nmにエネルギーを調節するために、量子ドット131,132,133の組成を調節して構造を制御することができる。
【0061】
量子ドット131,132,133は、表面にカプセル化層を含むことができる。より詳細には、量子ドット131,132,133は、コア部分に閃亜鉛鉱量子ドットを含み、シェル部分にカプセル化層を含む、コア-シェル構造の量子ドットであってもよい。
【0062】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、コア-シェル構造の量子ドットをRGBカラーフィルタ層130に含むことによって、コア部分に該当する閃亜鉛鉱量子ドットが空気中に露出しないようにすることで、閃亜鉛鉱量子ドットの耐久性を向上させることができる。
【0063】
カプセル化層は、シリカ(silica、SiO)、硫化亜鉛(ZnS)、または亜鉛-セレニウム-硫黄(ZnSeS)合金であってもよい。
【0064】
また、実施例によって、本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、量子ドット131,132,133の表面にリガンドを形成して量子ドット131,132,133の安全性を向上させることができ、一例として、リガンドは、ペルフルオロオクタン酸塩(PFOA:perfluorooctanoic acid)が用いられてもよい。
【0065】
したがって、本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、量子ドットを含む赤色カラーフィルタ130R、緑色カラーフィルタ130G及び青色カラーフィルタ130Bを用いることによって、赤色光、緑色光及び青色光の間の干渉を除去し、広いRGB色領域の値(カラー標準の基準であるBT.2020を基準として~100%達成可能である)を有することができる。
【0066】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、RGBカラーフィルタ層130に含まれる量子ドット131,132,133として、閃亜鉛鉱量子ドットの代わりに非閃亜鉛鉱量子ドットを含むことができ、非閃亜鉛鉱量子ドットを含むRGBカラーフィルタ層130は、量子ドット131,132,133として非閃亜鉛鉱量子ドットを用いることを除けば、他の構成要素は、閃亜鉛鉱量子ドットを含むRGBカラーフィルタ層130と同一である。
【0067】
したがって、本発明の実施例に係る有機発光表示装置の量子ドットは、閃亜鉛鉱量子ドットまたは非閃亜鉛鉱量子ドットを含むことができ、又は、閃亜鉛鉱量子ドット及び非閃亜鉛鉱量子ドットの両方を含むことができ、本発明の量子ドットとして、CdSe、CdSeS、ZnSe、ZnTe、ZnTeS、ZnSeなどの12族と16族元素で構成された量子ドット、InP、InGaP、InAlP、GaPなどの13族と15族元素で構成された量子ドット、ペロブスカイト(perovskite)量子ドット、またはこれらの組み合わせで構成された量子ドットを含むことができる。
【0068】
より詳細には、前記量子ドットは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HggZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、InAlPAs、及びそれらの組み合わせのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0069】
より詳細には、RGBカラーフィルタ層130において光源から入射された光を吸収して赤色光を放出する第1量子ドット131は、コア(core)/中間シェル(inter-shell)/外部シェル(outer-shell)のコア-シェル構造であってもよく、コアのバンドギャップエネルギーは1.99eV、中間シェルのバンドギャップエネルギーは2.71~3.68eV、外部シェルのバンドギャップエネルギーは3.68eVであってもよく、第1量子ドット131はInP/ZnSe/ZnSであってもよい。
【0070】
より詳細には、RGBカラーフィルタ層130において光源から入射された光を吸収して緑色光を放出する第2量子ドット132は、コア(core)/中間シェル(inter-shell)/外部シェル(outer-shell)のコア-シェル構造であってもよく、コアのバンドギャップエネルギーは2.34eV、中間シェルのバンドギャップエネルギーは2.71~3.68eV、外部シェルのバンドギャップエネルギーは3.68eVであってもよく、第2量子ドット132はInP/ZnSe/ZnSeS/ZnSであってもよい。
【0071】
より詳細には、RGBカラーフィルタ層130において光源から入射された光を吸収して青色光を放出する第3量子ドット133は、コア(core)/外部シェル(outer-shell)のコア-シェル構造であってもよく、コアのバンドギャップエネルギーは2.79eV、外部シェルのバンドギャップエネルギーは3.68eVであってもよく、第3量子ドット133はZnSe/ZnSであってもよい。
【0072】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、RGBカラーフィルタ層130上に形成されて有機発光素子120を封止する上部基板140を含む。
【0073】
RGBカラーフィルタ層130上に形成される上部基板140は、有機発光素子120を湿気のような外部要因から封止する役割を果たす。
【0074】
本発明の実施例に係る有機発光表示装置は、上部基板140上に形成される偏光層(polarizer)150を含むことができる。
【0075】
上部基板140上に形成される偏光層150は、有機発光素子120から入射される光を偏光させて均一な輝度分布を提供する役割を果たし、偏光層150は、垂直偏光層(vertical polarizer)または水平偏光層(horizontal polarizer)であってもよい。
【0076】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0077】
製造例1.閃亜鉛鉱量子ドットの合成
第1量子ドット(InP/ZnSe/ZnS)の製造
インジウムアセテート(Indium acetate)0.65mmol、15mLの1- オクタデセン(1-octadecene、ODE)及び1.95mmolのパルミチン酸(Palmitic acid、PA)を、100mLの三つ口フラスコ(3-neck flask)に入れ、真空下で150℃で加熱する。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素(N)に切り替える。300℃で加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(tris(trimethylsilyl)phosphine、TMS3P)0.325mmolの溶液を迅速に注入し、反応させてInPコアを形成した後、連続してシェルを形成する。ZnSe/ZnSシェルの形成においては、亜鉛ステアレート(Zinc stearate)3mmolを10mLの1-オクタデセン混合溶液に速やかに注入して30分間反応させる。この後、Se-TOP1.6M濃度0.5mlを注入して30分間反応させ、連続的にS-TOP2M濃度2mlを注入して、120分間、ZnSe/ZnSシェルを形成する。反応終了後、常温に迅速に冷やした量子ドット溶液にエタノールを入れて沈殿を形成し、これを遠心分離によって分離して、ヘキサンまたはトルエンに再分散させる。
【0078】
第2量子ドット(InP/ZnSe/ZnSeS/ZnS)の製造
インジウムアセテート(Indium acetate)0.4mmol、亜鉛アセテート(Zinc acetate)0.2mmol、10mLの1-オクタデセン(1-octadecene、ODE)及び1.4mmolのパルミチン酸(Palmitic acid、PA)を、100mLの三つ口フラスコ(3-neck flask)に入れ、真空下で150℃で加熱する。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素(N)に切り替える。320℃で加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(tris(trimethylsilyl)phosphine、TMS3P)0.175mmolの溶液を迅速に注入し、反応させてInPコアを形成した後、連続してシェルを形成する。ZnSe/ZnSeS/ZnSシェルの形成においては、亜鉛ステアレート(Zinc stearate)6mmolを15mLの1-オクタデセン混合溶液に速やかに注入して30分間反応させる。連続的にSe-TOP1.6M濃度0.1mlとS-TOP2M濃度0.5mlを注入して30分間反応させ、S-TOP2M濃度2mlを注入して30分間反応させて、ZnSe/ZnSeS/ZnSシェルを形成する。反応終了後、常温に迅速に冷やした量子ドット溶液にエタノールを入れて沈殿を形成し、これを遠心分離によって分離して、ヘキサンまたはトルエンに再分散させる。
【0079】
第3量子ドット(ZnSe/ZnS)の製造
亜鉛アセテート(Zinc acetate)1.0mmol、20mLの1-オクタデセン(1-octadecene、ODE)及び2mmolのオレイン酸(Oleic acid、OA)を、100mLの三つ口フラスコ(3-neck flask)に入れ、真空下で150℃で加熱する。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素(N)に切り替える。320℃で加熱した後、Se-TOP1M濃度1.0mlの溶液を迅速に注入し、反応させてZnSeコアを形成した後、連続してシェルを形成する。ZnSシェルの形成においては、亜鉛オレエート(Zinc oleate)2mmolを2mLの1-オクタデセン混合溶液に速やかに注入した後、相次いでS-TOP2M濃度2mlを注入して120分間成長させる。反応終了後、常温に速やかに冷やした量子ドット溶液にエタノールを入れて沈殿を形成し、これを遠心分離によって分離して、ヘキサンまたはトルエンに再分散させる。
【0080】
製造例2.量子ドットを含むRGBカラーフィルタ層の製造
製造例1で製造された閃亜鉛鉱量子ドットを20wt%の溶媒(核酸)に溶解させて量子ドット溶液を製造し、5mLのガラスバイアル(glass vial)に量子ドット溶液及び0.3mLの赤色、緑色及び青色カラーフィルタ(東進セミケム、DCR-TR711R、DCR-TR711G及びDCR-TR711B)を混合して、赤色、緑色及び青色の閃亜鉛鉱量子ドット溶液を製造した。
【0081】
石英ガラス基板をイソプロパノール及びアセトン(1:1)の中で100分間超音波処理して洗浄した後、窒素下で乾燥させた後、1cmの石英ガラス基板上に赤色、緑色及び青色の閃亜鉛鉱量子ドット溶液をそれぞれ均一にコーティングした後、室温で乾燥させた。
【0082】
本発明の実施例に係る青色の閃亜鉛鉱構造の量子ドット、緑色の閃亜鉛鉱構造の量子ドット、及び赤色の閃亜鉛鉱構造の量子ドットの高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)イメージを分析した。図2Aは、青色の閃亜鉛鉱量子ドット(ZnSe/ZnS)の高分解能透過型電子顕微鏡測定イメージであり、図2Bは、緑色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnSeS/ZnS)の高分解能透過型電子顕微鏡測定イメージであり、図2Cは、赤色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnS)の高分解能透過型電子顕微鏡測定イメージである。図2A乃至図2Cを参照すると、青色、緑色及び赤色の閃亜鉛鉱量子ドットが形成されたことを確認することができる。
【0083】
図3Aは、青色の閃亜鉛鉱量子ドット(ZnSe/ZnS)のXRD分析結果及びSEADイメージであり、図3Bは、緑色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnSeS/ZnS)のXRD分析結果及びSEADイメージであり、図3Cは、赤色の閃亜鉛鉱量子ドット(InP/ZnSe/ZnS)のXRD分析結果及びSEADイメージである。図3A乃至図3Cを参照すると、青色、緑色及び赤色の閃亜鉛鉱量子ドットの結晶サイズ(crystal size)は、それぞれ、7.43nm、5.12nm及び7.07nmであることを確認することができる。
【0084】
図4Aは、青色の閃亜鉛鉱量子ドットの吸光度(Absorption)及び光発光(PL、0.005~0.07wt%、under 325nm wavelength)の測定結果を示したグラフであり、図4Bは、緑色の閃亜鉛鉱量子ドットの吸光度及び光発光の測定結果を示したグラフであり、図4Cは、赤色の閃亜鉛鉱量子ドットの吸光度及び光発光の測定結果を示したグラフである。
【0085】
図4Aを参照すると、青色の閃亜鉛鉱量子ドットは、300~500nmの波長の光を吸収し、紫外線-可視光線分光法(UV-visible spectroscopy)で測定時に、青色の閃亜鉛鉱量子ドットの濃度(wt%)に応じて吸光度が増加した。青色の閃亜鉛鉱量子ドットのPLは444nmであり、半値幅(full width at half maximum、FWHM)は19nmであり、光発光-量子効率(photoluminescence-quantum yield、PL-QY)は41%である。
【0086】
図4Bを参照すると、緑色の閃亜鉛鉱量子ドットは、300~550nmの波長の光を吸収し、紫外線-可視光線分光法で測定時に、青色の閃亜鉛鉱量子ドットの濃度(wt%)に応じて吸光度が増加した。緑色の閃亜鉛鉱量子ドットのPLは530nmであり、半値幅(FWHM)は39nmであり、光発光-量子効率(PL-QY)は85%以上である。
【0087】
図4Cを参照すると、赤色の閃亜鉛鉱量子ドットは、300~650nmの波長の光を吸収し、紫外線-可視光線分光法で測定時に、青色の閃亜鉛鉱量子ドットの濃度(wt%)に応じて吸光度が増加した。赤色の閃亜鉛鉱量子ドットのPLは623nmであり、半値幅(FWHM)は42nmであり、光発光-量子効率(PL-QY)は73%以上である。
【0088】
図5は、本発明の実施例に係る青色OLED(blue OLED)の電圧によるLuminance-voltage(L-V)曲線グラフであり、図6は、青色OLED(blue OLED)の光発光スペクトル(PL spectrum)、量子ドットを含まない青色、緑色及び赤色カラーフィルタ(Blue CF、Green CF、Red CF)の透過率スペクトル(transmittance spectrum)を示したグラフである。
【0089】
図5を参照すると、青色OLED(B-OLED)は、電圧が増加するにつれ、輝度が増加することを確認することができ、図6を参照すると、量子ドットを含まない青色、緑色及び赤色カラーフィルタ(Blue CF、Green CF、Red CF)は、それぞれ、371~563nm、478~589nm、及び570nm以上の透過率スペクトルを示し、それぞれ、451nm、527nm及び631nm以上の透過率スペクトルのピーク(peak)を示すことを確認することができる。青色OLEDの光発光スペクトルは、440nmの青色光ピーク(peak)及び67nmの半値幅(FWHM)を示すことを確認することができる。
【0090】
図7は、本発明の実施例に係る閃亜鉛鉱量子ドットを含む青色、緑色及び赤色カラーフィルタ(B-QDCF、G-QDCF、R-QDCF)を用いる有機液晶表示装置(QDCF/B-OLED)の光発光スペクトルを示したグラフである。
【0091】
図8Aは、青色LED(blue LED)バックライトを用い、青色、緑色及び赤色の量子ドット向上レジン(resin)フィルム(B-PrQDEF、G-PrQDEF、R-PrQDEF)を用いた液晶表示装置(QLED/B-LED)の構成図を示したものであり、図8Bは、青色LED(blue LED)バックライトを用い、青色、緑色及び赤色の量子ドット向上レジン(resin)フィルム(B-PrQDEF、G-PrQDEF、R-PrQDEF)を用いた液晶表示装置(QLED/B-LED)の光発光スペクトルを示したグラフである。図7及び図8Bの結果を、下記表1にまとめた。
【0092】
【表1】
【0093】
図7図8B及び表1を参照すると、青色LED(blue LED)バックライトを用い、青色、緑色及び赤色の量子ドット向上レジン(resin)フィルム(B-PrQDEF、G-PrQDEF、R-PrQDEF)を用いた液晶表示装置(QLED/B-LED)の場合、量子ドット向上フィルム(QDEF)を形成するために、レジン(resing)を用いたフィルム化工程を伴い、フィルム化に用いられるレジンの透過度は~90%であって、~10%の青色のバックライト光源のエネルギー損失が発生する。これに比べて、本発明の実施例に係る有機発光表示装置(QDCF/B-OLED)は、フィルム化工程を伴わず、したがって、レジンを用いないので、レジンによる光源のエネルギー損失を克服することができる。
【0094】
図9Aは、白色OLED(white OLED)バックライトを用い、量子ドットを含むカラーフィルタ(RGB-QDCF)を用いた有機発光表示装置(QDCF/W-OLED)の構成図であり、図9Bは、白色OLED(white OLED)バックライトを用い、量子ドットを含むカラーフィルタ(RGB-QDCF)を用いた有機発光表示装置(QDCF/W-OLED)の光発光スペクトルを示したグラフである。図7及び図9Bの結果を、下記表2にまとめた。
【0095】
【表2】
【0096】
図7図9B及び表2を参照すると、白色OLED(white OLED)バックライトを用い、量子ドットを含むカラーフィルタ(RGB-QDCF)を用いた有機発光表示装置(QDCF/W-OLED)の場合、緑色と赤色において50nm以上のクロストークが発生したことを確認することができ、これは、白色OLEDバックライトは、青色ピーク(peak)と黄色ピーク(yellow peak)であって、黄色ピークスペクトルエネルギー(spectrum energy)が広範囲であることによって、最終的に緑色(green)と赤色(red)の広域ピークスペクトル(broad peak spectrum)によりG-Rクロストーク(G-R cross-talk)が発生してしまい、色再現性が低下するという問題が存在する。
【0097】
図10は、図7での有機発光表示装置(QDCF/blue-OLED)及び図9Bでの有機発光表示装置(QDCF/W-OLED)に対するCIE 1931色領域(CIE 1931 color space)を示したイメージである。
【0098】
図10を参照すると、本発明の実施例に係る有機発光表示装置(QDCF/blue-OLED)での青色OLEDバックライトの場合、RGB量子ドットでそれぞれ青色光源を吸収してRGBを発光するエネルギーダウンシフトの概念が適用されるが、白色OLED(white OLED)バックライトを用い、量子ドットを含むカラーフィルタ(RGB-QDCF)を用いた有機発光表示装置(QDCF/W-OLED)での白色OLEDバックライトの場合、赤色量子ドットは青色及び黄色のエネルギー帯域を吸収できるが、緑色量子ドット及び青色量子ドットの場合、エネルギー吸収領域が減少して、バックライト光源の損失が発生する。
【0099】
図11Aは、青色OLEDバックライトを用い、緑色及び赤色の量子ドット向上フィルム(B-CF、QDEF+G-CF、QDEF+R-CF)を用いる有機液晶表示装置(RG-QDEF+RGB CF/B-OLED(without blue QD))の構成図であり、図11Bは、青色OLEDバックライトを用い、緑色及び赤色の量子ドット向上フィルム(B-CF、QDEF+G-CF、QDEF+R-CF)を用いる有機液晶表示装置(RG-QDEF+RGB CF/B-OLED(without blue QD))の光発光スペクトルを示したグラフであり、図12は、青色OLEDと緑色及び赤色の量子ドット向上フィルムを用いる有機発光表示装置(RG-QDEF/blue-OLED)(図11A及び図11Bの有機液晶表示装置(RG-QDEF+RGB CF/B-OLED(without blue QD)))、及び本発明の実施例に係る閃亜鉛鉱量子ドットを含むカラーフィルタを用いる有機発光表示装置(QDCF/blue-OLED)のCIE 1931色領域(CIE 1931 color space)を示したイメージである。図7図11B及び図12による結果を、下記表3にまとめた。
【0100】
【表3】
【0101】
図7図11B図12及び表3を参照すると、量子ドット向上フィルムを用いる有機発光表示装置(RG-QDEF+RGB CF/B-OLED)は、青色及び緑色において37nmのクロストーク(crosstalk)が発生したが、本発明の実施例に係る有機発光表示装置(RGB-QDCF/B-OLEE)ではクロストークが発生しなかった。また、本発明の実施例に係る有機発光表示装置(RGB-QDCF/B-OLEE)は、120.8%(NTSC)及び90.4%(Rec.2020)で、色再現性に優れることを確認できる。
【符号の説明】
【0102】
110 下部基板
120 有機発光素子
130 RGBカラーフィルタ層
140 上部基板
150 偏光層
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12