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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】非接触液体封止アクチュエータシステム
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20220818BHJP
   F15B 15/02 20060101ALI20220818BHJP
   E02D 27/44 20060101ALI20220818BHJP
   E04H 4/00 20060101ALN20220818BHJP
【FI】
F15B15/14 380Z
F15B15/14 345A
F15B15/02 A
E02D27/44 Z
E04H4/00 502B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019547743
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 AU2017051287
(87)【国際公開番号】W WO2018094459
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】2016904777
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519179947
【氏名又は名称】サーフ レイクス ホールディングス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SURF LAKES HOLDINGS LTD
【住所又は居所原語表記】8/249 Scottsdale Drive Robina QLD 4226 Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シドウェル クリストファー ロイ
(72)【発明者】
【氏名】トレビス アーロン ジェームス
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-127802(JP,U)
【文献】特開2012-180706(JP,A)
【文献】国際公開第2015/188219(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0053306(US,A1)
【文献】実公昭50-007434(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0223483(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0084333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00- 15/28
E04H 4/00- 4/16
E02D 27/44
F04D 35/00
A63B 69/12
F16J 15/3244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部を有する内側軸と、
前記内側軸の前記第1の端部が挿入される端部を有する中空の外側軸と、
前記中空の外側軸の内面に隣接して配置される複数の封止リングであって、環状封止ギャップが画定されるように、前記外側軸の内径よりも小さい外径を有する複数の封止リングであって、前記内側軸の長手方向軸に沿って同心円状に配置され、前記内側軸の前記長手方向軸に沿って同心円状に配置されたスペーサハブによって離間されている複数の封止リングと、
前記内側軸または前記外側軸のいずれかの遠位端に取り付けられた物体と、
前記中空の外側軸に加圧流体を注入することで、前記物体を持ち上げるのを補助するように、前記内側軸の前記第1の端部と、前記複数の封止リングとの両方に圧力を印加する、圧力源と、を備え、
システムが、前記システムの外部に存在する外部液体に少なくとも部分的に含侵すると、前記複数の封止リングが前記外部液体に沈み、そして、前記複数の封止リングの上方の前記外部液体の水頭が、前記圧力源によって印加される前記圧力に対抗する、前記環状封止ギャップにおける背圧を規定する、
液体封止アクチュエータシステム。
【請求項2】
前記物体が、前記外部液体内で垂直方向に振動する中央造波デバイスを形成する、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項3】
前記中央造波デバイスが、前記外部液体に波を発生させる、請求項2に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項4】
前記複数の封止リングが取り付けられた封止サブシステムと、
前記封止サブシステムに接続された複数の壁離間デバイスであって、前記壁離間デバイスの一部が、前記複数の封止リングの上方に配置され、前記壁離間デバイスの一部が、前記複数の封止リングの下方に配置される、複数の壁離間デバイスと、を更に備える、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項5】
前記中央造波デバイスの質量が、500トン超である、請求項2に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項6】
前記中央造波デバイスの質量が、100トン未満である、請求項2に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項7】
前記環状封止ギャップが、前記複数の封止リングに接続され、前記複数の封止リングの上方および下方に位置する複数の壁離間デバイスによって維持される、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項8】
前記複数の封止リングが、2~30個の封止リングを含む、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項9】
前記複数の封止リングの各封止リングが、複数の周方向における同じ位置で、前記内側軸に沿って相互接続された、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項10】
前記複数の封止リングが、隣接距離が調節可能なように前記内側軸に取り付けられている、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項11】
前記複数の封止リングが、前記内側軸に固定されたピストンリングに対する位置を調節可能にボルト付けされる、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項12】
前記外側軸の前記遠位端の垂直動作範囲が、前記外部液体の液面の上方まで及び、前記内側軸の前記遠位端が、地盤支持部に接続されている、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項13】
前記内側軸の前記遠位端の垂直動作範囲が、前記外部液体の液面の上方まで及び、前記外側軸の前記遠位端が、地盤支持部に接続されている、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項14】
前記内側軸および前記外側軸がシリンダである、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項15】
使用中、前記内側軸が、前記複数の封止リングが前記外側軸の前記内面に接触しないような非接触の方式で前記外側軸を出入りするように振動する、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項16】
前記内側軸および前記外側軸が、それぞれその長手方向軸を中心に、独立して回転することができる、請求項14に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項17】
前記複数の封止リングの前記外径によって分割される前記環状封止ギャップの比率が、0.0005(または0.05%)未満であり、前記加圧流体および前記外部液体が両方とも水である、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【請求項18】
複数の内側軸系および外側軸系が、前記物体を支持する、請求項1に記載の液体封止アクチュエータシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
「Surfing Wave Generation, various methods and systems」と題する国際特許出願公開第2015/188219号では、造波プールおよび人工サーフィン設備を構成する方法およびシステムが提案されている。しかしながら、大きな波を一定且つ信頼性高く発生させるためには巨大な力が必要であり、波発生システムの構造、エネルギー効率および機械的摩耗に関して大きな技術的課題を伴う。
【0002】
また、これらの技術的課題を克服する解決策は、波および/または大量の液体の効率的な移送を利用したその他用途に有用であり得る。
【0003】
したがって、改良された非接触液体封止アクチュエータシステムが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様によれば、本発明は、第1の端部を有する内側軸と、内側軸の第1の端部が挿入される端部を有する中空の外側軸と、中空の外側軸の内面に隣接して配置される少なくとも1つの封止リングであって、環状封止ギャップが画定されるように、外側軸の内径よりも小さい外径を有する少なくとも1つの封止リングと、内側軸または外側軸のいずれかの遠位端に取り付けられた物体と、中空の外側軸に加圧流体を注入することで、物体を持ち上げるのを補助するように、内側軸の第1の端部と、少なくとも1つの封止リングとの両方に圧力を印加する、圧力源と、を備え、少なくとも1つの封止リングが外部液体に沈むように、システムが外部液体に少なくとも部分的に含侵し、少なくとも1つの封止リングの上方の外部液体の水頭が、圧力源によって印加される圧力に対抗する、環状封止ギャップにおける背圧を規定する、液体封止アクチュエータシステムである。
【0005】
好ましくは、物体は、外部液体内で垂直方向に振動する中央造波デバイスを形成する。
【0006】
好ましくは、中央造波デバイスは、外部液体に波を発生させる。
【0007】
好ましくは、本システムは、少なくとも1つの封止リングが取り付けられた封止サブシステムと、封止サブシステムに接続された複数の壁離間デバイスであって、壁離間デバイスの一部が、少なくとも1つの封止リングの上方に配置され、壁離間デバイスの一部が、少なくとも1つの封止リングの下方に配置される、複数の壁離間デバイスと、を更に備える。
【0008】
好ましくは、中央造波デバイスの質量は、500トン超である。
【0009】
好ましくは、中央造波デバイスの質量は、100トン未満である。
【0010】
好ましくは、加圧流体および外部液体が両方とも水である。
【0011】
好ましくは、加圧流体は空気であり、外部液体は水である。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの封止リングは、内側軸の長手方向軸に沿って同心円状に配置された複数の封止リングを含む。
【0013】
好ましくは、複数の封止リングは、内側軸の長手方向軸に沿って同心円状に配置されたスペーサハブによって離間されている。
【0014】
好ましくは、複数の封止リングは、2~30個の封止リングを含む。
【0015】
好ましくは、複数の封止リングの各封止リングは、複数の同一で、相互接続された部位を含む。
【0016】
好ましくは、複数の封止リングは、内側軸に調節可能に取り付けられている。
【0017】
好ましくは、複数の封止リングは、内側軸に固定されたピストンリングに調節可能にボルト付けされる。
【0018】
好ましくは、外側軸の遠位端の垂直動作範囲は、外部液体の液面の上方まで及び、内側軸の遠位端は、地盤支持部に接続されている。
【0019】
好ましくは、内側軸の遠位端の垂直動作範囲が、外部液体の液面の上方まで及び、外側軸の遠位端が、地盤支持部に接続されている。
【0020】
好ましくは、内側軸および外側軸はシリンダである。
【0021】
好ましくは、使用中、内側軸は、少なくとも1つの封止リングが外側軸の内面に接触しないように非接触式で外側軸を出入りするように振動する。
【0022】
好ましくは、内側軸および外側軸は、それぞれその長手方向軸を中心に、独立して回転することができる。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つの封止リングの外径によって分割される環状封止ギャップの比率は、0.01(または1%)未満であり、加圧流体および外部液体は両方とも水である。
【0024】
好ましくは、少なくとも1つの封止リングの外径によって分割される環状封止ギャップの比率は、0.0005(または0.05%)未満であり、加圧流体および外部液体は両方とも水である。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つの封止リングの外径によって分割される環状封止ギャップの比率は、0.01(または1%)未満であり、加圧流体は空気あり、外部液体は水である。
【0026】
好ましくは、内側軸は、物体の下方中心に配置されている。
【0027】
好ましくは、複数の内側軸系および外側軸系は物体を支持する。
【0028】
本発明を理解しやすくし、当業者が本発明を実効化できるようにするために、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をあくまで例示的に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の1つの実施形態による、非接触液体封止アクチュエータシステムの側面透視図である。
図2図1のアクチュエータシステムの封止サブシステムの拡大透視側面図である。
図3図1のシステムと同様の非接触液体封止アクチュエータシステムの側面図であり、見易さのために、当該システムに接続された物体は図示されていない。
図4図3のアクチュエータシステムの封止サブシステムの詳細な側面図である。
図5】本発明の代替実施形態による、非接触液体封止アクチュエータシステムの側面図である。
図6図5のアクチュエータシステムの上面図である。
図7】本発明の別の実施形態による、非接触液体封止アクチュエータシステムの側断面図である。
図8図7の実施形態の封止サブシステムの斜視図である。
図9図7の実施形態の封止サブシステムの部分切欠き側面図である。
図10図9の詳細図用部分Bの拡大図である。
図11図9の断面用線Aに沿った断面図である。
図12図11の詳細図用部分Cの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、非接触液体封止アクチュエータシステムに関する。本発明の要素は、簡潔で概略的に図示されている。即ち、当業者には本明細書から明らかであろう事項を必要以上に細かく本開示に詰め込むのではなく、本発明の実施形態の理解に必要である具体的な詳細のみを示している。
【0031】
この特許明細書において、「第1(first)」および「第2(second)」、「左(left)」および「右(right)」、「上部(top)」および「底部(bottom)」、「上側(upper)」および「下側(lower)」、「後部(rear)、前部(front)および側部(side)などの形容詞は、形容詞によって説明される特定の相対位置または順序を必ずしも必要とせずに、単に、1つの要素または方法ステップを別の要素または方法ステップに対して定義するために使用される。「・・・を備える(comprises)」または「・・・を含む(includes)等の用語は、排他的な要素または方法ステップ群を定義するためには使用されない。むしろ、これら用語は、単に、本発明の特定の実施形態に含まれる要素または方法ステップの最小組を定義するにすぎない。
【0032】
1つの態様によれば、本発明は、第1の端部を有する内側軸と、内側軸の第1の端部が挿入される第1の端部を有する中空の外側軸と、中空の外側軸の内面に隣接して配置される少なくとも1つの封止リングであって、環状封止ギャップが画定されるように、外側軸の内径よりも小さい外径を有する少なくとも1つの封止リングと、内側軸または外側軸のいずれかの遠位端に取り付けられた物体と、中空の外側軸に加圧流体を注入することで、物体を持ち上げるのを補助するように、内側軸の第1の端部と、少なくとも1つの封止リングとの両方に圧力を印加する、圧力源と、を備え、少なくとも1つの封止リングが外部液体に沈むように、システムが外部液体に少なくとも部分的に含侵し、少なくとも1つの封止リングの上方の外部液体の水頭が、圧力源によって印加される圧力に対抗する、環状封止ギャップにおける背圧を規定する、液体封止アクチュエータシステムである。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の利点としては、非接触または低摩擦で使用可能な、ロバストで効率的な液体封止アクチュエータシステムが挙げられる。本発明の異なる様々な実施形態を、様々な規模で様々な用途に利用できる。例としては、サーフィンおよび/または水遊びのための波発生、平地または水路の迅速な潅水および/または充水のための波発生、津波シナリオのための海洋試験、映画製作のための波発生、大型水族館で自然海洋環境を再現するための波発生、ならびに低い騒音レベルで軟土壌および/または海洋環境における大きい杭/ねじ杭の打ち込みが挙げられる。
【0034】
図1は、本発明の1つの実施形態による、非接触液体封止アクチュエータシステム100の側面透視図である。システム100は、中空の外側軸110内に部分的に挿入される内側軸105を含む。中空の外側軸110は、中央造波デバイス115の形態の物体を貫通しながら、当該デバイスに接続されている。封止サブシステム120は、内側軸105に接続されており、内側軸105の外壁と外側軸の内壁との間に非接触封止を実現する。内側軸105の基部125は、造波プールの底部などの地盤支持部に固定される。
【0035】
2015年6月9日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願PCT/AU2015/000344の公報WO2015/188219に記載されるプランジャ12、22と同様に、一実施形態による使用時に、中央造波デバイス115は、流体へと垂直方向に振動し、中央造波デバイス115から外向きに放射状に広がる流体に同心円状の波を発生させる。外側軸110内の中空の空洞を連続して加圧することによって、外側軸110の遠位端に上向きの力が印加され、中央造波デバイス115を持ち上げる。圧力が解放されると、中央造波デバイス115は、重力により流体内へと落ち、流体に同心円状の波を発生させる。
【0036】
図2は、封止サブシステム120の拡大側面透視図である。封止サブシステム120は、内側軸105に調節可能に接続された複数の封止リング200を含む。図示のように、各封止リング200は、それぞれ60度の円弧を画定する6つの同一部位が相互接続されている。各封止リング200の部位は、内側軸105の外面に沿って長手方向に延びるボルト205を使用して、互いにボルト締結されており、かつ、隣接する封止リング200にボルト締結される。ボルト205により、封止リング200の調節、維持および/または交換を容易に実行できる。
【0037】
各封止リング200の外径は、外側軸110の内径よりも小さいので、環状封止ギャップが規定される。内側軸105上で中央造波デバイス115を留めることで、中央造波デバイス115は、外側軸110の内面に封止リング200が接触することなく、上下に振動することが可能である。したがって、内側軸105は、非接触であることで摩耗しないように、外側軸110に出入りし、伸縮式の振動運動することが可能となる。
【0038】
例えば、大型のサーフィン施設では、中央造波デバイス115は、500~1500トンの巨大な物体であり得る。したがって、アクチュエータシステム100の滑らかで比較的摩擦のない動作は、劇的に効率を上げ、運転コストを下げ、望ましくない騒音を低減し、ユーザに施設をより楽しむことを可能とする。
【0039】
例えば、内側軸105の基部を通って上方に延び、かつ、外側シリンダ110に空気または液体のいずれかを注入する供給パイプを通じて、中空の外側シリンダ110内部に圧力を提供することができる。いくつかの実施形態では、さらにアクチュエータシステム100が部分的に含侵する水も、外側シリンダ110を加圧する液体として使用される。例えば、サーフィン施設において使用されるアクチュエータにおいて採用される典型的な圧力は、100kPa~1000kPaの範囲のゲージ圧であり得る。当該圧力の圧力源は、例えば、給水塔の水頭および/または別の加圧水源であり得る。
【0040】
図3は、システム100と同様の非接触液体封止アクチュエータシステム300の側面図であるが、明確さのために、システム300に接続された物体は図示されていない。図示のシステム300は、水等の外部液体305に部分的に浸かった状態として示されている。封止サブシステム120の下側端部と外部液体30の液面315との間にある外部液体300の水頭310は、圧力源によって印加される外向きの圧力に対抗する、環状の封止ギャップにおける背圧を規定する。これにより、封止の有効性が高まり、環状封止ギャップをより大きくすることが可能になり、内側軸105と外側軸110との間の非接触の相対運動に貢献する。
【0041】
矢印320によって示すように、外側軸110と、中央造波デバイス115(図3には示されていない)などの物体は、内側軸105から独立して回転可能である。そのような回転機能と、例えば、中央造波デバイスのカスタマイズされた形状とにより、中央造波デバイスにより得られた波の形状および性質にバリエーションを加えることが可能となる。
【0042】
外側軸110の遠位端325は、メンテナンス用に外側軸110の内部へアクセスできるように、キャップまたは入口を有してもよい。
【0043】
図4は、アクチュエータシステム300の封止サブシステム120の詳細な側面図である。ピストンリング400は、内側軸105に永久溶接またはその他手法で取付けることができる。次いで、ボルト205を使用して、封止リング200を画定する部位をピストンリング400にボルト締結する。したがって、ピストンリング400も、さらなる封止部として機能する。
【0044】
ポリマー封止部などの追加の可撓性封止部405が、封止サブシステム120の下側端部でピストンリング400に接続されているように示されている。そのような追加の可撓性封止部405は、封止サブシステム120の有効性を更に高めることができて、簡単に交換されるように設計することができる。
【0045】
造波プールおよびサーフィン施設などのいくつかの用途では、アクチュエータシステム100、300による音響が環境のエキサイティングさに大きく貢献することが理解されよう。したがって、システム100、300は、特に、封止サブシステム120および環状封止ギャップの相対的な幅を調整することで、中央造波デバイス115が上下に振動するときに、流れる水および/または空気の音が生成されるように調整することができる。
【0046】
図5は、本発明の別実施形態に係る、非接触液体封止アクチュエータシステム500の側面図である。システム500は、複数の内側軸および外側軸系510によって支持された中央造波デバイス505の形態の物体を含む。各系510は、本明細書で説明するように非接触で封止される伸縮式の内側軸515および外側軸520を含む。水平支持部525の列が、中央造波デバイス505と軸系510の各々との間に延在する。
【0047】
図6は、アクチュエータシステム500の上面図である。中央造波デバイス505の荷重は、6つの軸系510の間に分配され、軸系510のすべてが同期的に協働して中央造波デバイス505の持ち上げ、解放を実行する。これにより、中央造波デバイス505は造波プールの水などの液体媒体中で上下するように、滑らかに垂直方向に振動可能となる。
【0048】
図7は、本発明の別の実施形態による、非接触液体封止アクチュエータシステム700の側断面図である。システム700は、中空の外側軸710内に部分的に挿入される内側軸705を含む。中空の外側軸710は、環状の中央造波デバイス715の形態の物体の孔を貫通しながら、当該デバイスに接続されている。
【0049】
当業者には、環状の中央造波デバイス715は、用途に応じて、最も効果的に同心円状の波を発生させるように、様々な形状であり、様々な材料から形成されることができることが理解されよう。
【0050】
内側軸705の上端部は、中空の外側軸710が挿入される円筒壁725を有するキャップ720に接続されている。ピストンリング737を含む封止サブシステム735は、内側軸705の下側遠位端に枢動点738で接続されており、シリンダ空洞739と外側軸710の内壁との間に非接触型封止が実現される。したがって、環状の中央造波デバイス715、キャップ720、内側軸705および封止サブシステム735は全て、中空の外側軸710に対して上下に振動する。中空の外側軸710の基部740は、造波プールの底部などの地盤支持部に固定される。
【0051】
配管745により、高圧液体がシリンダ空洞739内へ送られる。それによるシリンダ空洞739内の圧力は、ピストンリング737に対して上方に力を加える。これにより、封止サブシステム735、内側軸705、キャップ720および中央造波デバイス715が上方に持ち上がる。
【0052】
図8は、封止サブシステム735の斜視図である。ローラー800の形態の複数の壁離間デバイスは、封止サブシステム735に接続されており、中空の外側軸710の内壁上で転がる。これにより、中空の外側軸710を上下する封止サブシステム735の垂直方向の移動がガイドされる。
【0053】
当業者には、本発明の様々な実施形態において、ローラー800が、様々なサイズおよび構成のものとすることができ、あるいは、封止サブシステム735の他の構成要素が中空の外側軸710の内壁に衝突するのを防止するための、スキッドパッドまたは他の種類の壁離間デバイスに置き換えられることが可能であることが理解されよう。
【0054】
図9は、断面図用線Aおよび詳細図用部分Bを規定する円を含む、封止サブシステム735の部分切欠側面図である。
【0055】
図10は、図9の詳細図用部分Bの拡大図である。図示のように、封止サブシステム735は、複数の封止リングアセンブリ1025を備える。各封止リングアセンブリ1025は、離間ハブ1040の上側横方向フランジ1035に対して挟持された可撓性の封止リング1030を備える。封止リングアセンブリ1025は、垂直ロッド1045によって互いに接続される。
【0056】
図11は、図9の断面図用線Aによる断面図であり、詳細図用部分Cを規定する円を含む、封止サブシステム735の断面図である。円筒形コア1100は、封止サブシステム735の中心を通って延びており、内側軸705の一部および延長部として機能する。ピストンリング737は、円筒形コア1100の外壁に接続されており、封止リングアセンブリ1025を貫通する垂直ロッド1045を支持している。
【0057】
図12は、図11の詳細図用部分Cの拡大図である。図示のように、各封止リングアセンブリ1025では、可撓性の封止リング1030は、クランプリング1205とナット1210との間に挟持される。ナット1210は、クランプリング1205に固定されたボルト1215にねじ止めされる。したがって、各離間ハブ1040の上側横方向フランジ1035は、隣接する離間ハブ1040の下側横方向フランジ1220に対して挟持される。
【0058】
破線1225は、中空の外側軸710の内壁の位置を示す。各可撓性の封止リング1030の外縁部と中空の外側軸710の内壁との間に、環状封止ギャップ1230(見やすいように実寸よりも大きく示されている)が存在する。少なくとも1つの可撓性の封止リング1030が外部液体に沈むように非接触液体封止アクチュエータシステム700が外部液体に少なくとも部分的に含侵した場合、少なくとも1つの可撓性の封止リング1030の上方の外部液体の水頭は、圧力源によってシリンダ空洞739に印加される圧力に対抗する、環状封止ギャップ1230における背圧を規定する。
【0059】
当業者には、本発明の様々な実施形態が、鋼、金属合金または高強度プラスチック、あるいは複合材料を含む、様々な材料または様々な材料の組合せで作製できることが理解されよう。
【0060】
本発明の様々な実施形態の上記の説明は、関連技術における通常の知識を有する者を対象としたものであって、消尽的であること、あるいは開示された単一の実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。上記の教示の通常の知識を有する者には、本発明に対する多数の代替形態および変形形態が明らかであろう。したがって、いくつかの代替実施形態について具体的には論じてきたが、当業者であれば、他の実施形態が明らかであるか、比較的容易に実現されるであろう。したがって、本許明細書は、本明細書に記載した本発明のすべての代替形態、修正変更、および上記で説明した本発明の趣旨および範囲内のその他実施形態を包含することが意図される。
図1
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図12