(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】水再利用装置、環境試験機、及び水再利用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
G01N17/00
(21)【出願番号】P 2020125338
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000107583
【氏名又は名称】スガ試験機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】須賀 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】玉田 宏一
(72)【発明者】
【氏名】古山 和弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 傑
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107356438(CN,A)
【文献】特開2000-241337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境試験機に付加して用いる水再利用装置であって、
水再利用装置は、
環境試験機から排出される排水を回収する回収タンクと、
回収タンクから送水される回収タンク水を少なくとも貯水する給水タンクと、
を有し、
給水タンクから環境試験機に給水タンク水を供給
し、
環境試験機から排出される排水を、回収タンクへの回収と回収タンク以外への排出に切り替える第1バルブを有し、
環境試験機から排出される排水のうち、環境試験機の洗浄工程の開始直後における環境試験機の排出口から最初に出てきた排水を回収タンク以外に排出し、一定時間経過後の排水を回収タンクに回収する、
水再利用装置。
【請求項2】
環境試験機に付加して用いる水再利用装置であって、
水再利用装置は、
環境試験機から排出される排水を回収する回収タンクと、
回収タンクから送水される回収タンク水を少なくとも貯水する給水タンクと、
を有し、
給水タンクから環境試験機に給水タンク水を供給し、
給水タンクの水位が低下した際に、給水タンクに供給水を供給する給水部を有する、
水再利用装置。
【請求項3】
回収タンクと給水タンクとが別体であり、
回収タンクは、環境試験機の排水を排出する排出口よりも低い位置に配置される、
請求項1
又は2に記載の水再利用装置。
【請求項4】
給水タンクに貯水された給水タンク水を、給水タンクから再利用しない水として排出する第2バルブを有し、
給水タンクは、給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を測定する溶解不純物センサを有し、
溶解不純物センサで測定した溶解不純物の濃度が所定値以上の場合に、給水タンク内の給水タンク水を再利用しない水として一定量排水した後、給水部から給水タンクに供給水を供給し、給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を所定値未満にする、
請求項
2に記載の水再利用装置。
【請求項5】
溶解不純物センサは、塩濃度センサである、
請求項
4に記載の水再利用装置。
【請求項6】
回収タンクに回収された回収タンク水を、回収タンクから再利用しない水として排出する第3バルブを有し、
給水タンクの溶解不純物センサで測定した溶解不純物の濃度が所定値以上の場合に、回収タンクに回収された回収タンク水を回収タンクから再利用しない水として排出する、
請求項
4又は
5に記載の水再利用装置。
【請求項7】
回収タンクは、固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサを有し、
固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサは、回収タンクに回収された回収タンク水の固形不純物及び/又は溶解不純物の濃度を測定する、
請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の水再利用装置。
【請求項8】
回収タンクと給水タンクとを接続する配管を有し、
回収タンクと給水タンクとを接続する配管に固形物除去フィルタを有する、
請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の水再利用装置。
【請求項9】
給水タンクと環境試験機とを接続する配管と、
給水タンクと環境試験機とを接続する配管に配置されたイオン交換樹脂及び第1送水ポンプと、
給水タンクに貯水された給水タンク水の昇温装置及び降温装置と、
を有し、
給水タンクから、イオン交換樹脂を通り、温度管理された水を環境試験機へ送水する、
請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の水再利用装置。
【請求項10】
請求項1ないし
9のいずれか一項に記載の水再利用装置を含む環境試験機。
【請求項11】
試験槽を有し、
試験槽の壁及び/又は床に水を噴出させる噴出口、湿度発生機、測温抵抗体から選択されるいずれか1つ又は複数を有する、
請求項
10に記載の環境試験機。
【請求項12】
環境試験機から排出された排水を、環境試験機の排水を排出する排出口よりも低い位置に設置された回収タンクで回収する工程と、
回収タンクに回収された回収タンク水を、回収タンクとは別体の給水タンクへ送水し、給水タンクに貯水する工程と、
給水タンクに貯水された給水タンク水を環境試験機に供給する工程と、
を有
し、
給水タンクが溶解不純物センサを有し、溶解不純物センサが給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を測定する工程と、
測定された溶解不純物の濃度が所定値以上であった場合、給水タンクに貯水された給水タンク水を一定量排水し、その後、給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度が所定値未満となるように給水タンクに供給水を供給する処理を行う工程と、
を更に有する、
環境試験機から排出された排水の水再利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願における開示は、水再利用装置、環境試験機、及び水再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種部品や材料等の環境による劣化を試験するための環境試験機が知られている。環境試験機は、試験槽に試料を設置し、試料を加湿、噴霧環境に曝すために多くの水を使用する。環境試験に用いた水や、試験槽を洗浄した水は、有害物質を含んでいる場合もあり、大量の水を産業廃棄物として処分する必要があった。
【0003】
そこで、省資源、省コスト、産業廃棄物の処分量を少なくするとの観点から環境試験機に用いられる水を再利用することが注目された。特許文献1には、環境試験機用の水再利用装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された水再利用装置は、仕切りを有した貯水タンクを有している。そして、貯水タンクは、仕切りで仕切られた区画の一つを沈殿槽としている。特許文献1に記載された水再利用装置は、環境試験機から排出された排水を、貯水タンクへ送水し、排水が沈殿槽に供給され、仕切りをオーバーフローした水を貯水して、貯水された水を再利用している。
【0006】
特許文献1に記載された水再利用装置は、沈殿槽と貯水を兼ねた1つの貯水タンクを有している。環境試験機から排出される水を溜める際、貯水タンクは環境試験機の排出口よりも低い位置に設置する必要があるため、貯水タンクの容量を大きくすることが困難であった。
【0007】
そこで、本出願における開示は、貯水タンクの大型化を容易とする水再利用装置を提供することを課題とする。本出願における開示のその他の任意付加的な効果は、発明を実施するための形態において明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)環境試験機に付加して用いる水再利用装置であって、
水再利用装置は、
環境試験機から排出される排水を回収する回収タンクと、
回収タンクから送水される回収タンク水を少なくとも貯水する給水タンクと、
を有し、
給水タンクから環境試験機に給水タンク水を供給する、
水再利用装置。
(2)回収タンクと給水タンクとが別体であり、
回収タンクは、環境試験機の排水を排出する排出口よりも低い位置に配置される、
上記(1)に記載の水再利用装置。
(3)環境試験機から排出される排水を、回収タンクへの回収と回収タンク以外への排出に切り替える第1バルブを有し、
環境試験機から排出される排水のうち、環境試験機の洗浄工程の開始直後における環境試験機の排出口から最初に出てきた排水を回収タンク以外に排出し、一定時間経過後の排水を回収タンクに回収する、
上記(1)又は(2)に記載の水再利用装置。
(4)給水タンクの水位が低下した際に、給水タンクに供給水を供給する給水部を有する、
上記(1)ないし(3)のいずれか一つに記載の水再利用装置。
(5)給水タンクに貯水された給水タンク水を、給水タンクから再利用しない水として排出する第2バルブを有し、
給水タンクは、給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を測定する溶解不純物センサを有し、
溶解不純物センサで測定した溶解不純物の濃度が所定値以上の場合に、給水タンク内の給水タンク水を再利用しない水として一定量排水した後、給水部から給水タンクに供給水を供給し、給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を所定値未満にする、
上記(4)に記載の水再利用装置。
(6)溶解不純物センサは、塩濃度センサである、
上記(5)に記載の水再利用装置。
(7)回収タンクに回収された回収タンク水を、回収タンクから再利用しない水として排出する第3バルブを有し、
給水タンクの溶解不純物センサで測定した溶解不純物の濃度が所定値以上の場合に、回収タンクに回収された回収タンク水を回収タンクから再利用しない水として排出する、
上記(5)又は(6)に記載の水再利用装置。
(8)回収タンクは、固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサを有し、
固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサは、回収タンクに回収された回収タンク水の固形不純物及び/又は溶解不純物の濃度を測定する、
上記(1)ないし(7)のいずれか一つに記載の水再利用装置。
(9)回収タンクと給水タンクとを接続する配管を有し、
回収タンクと給水タンクとを接続する配管に固形物除去フィルタを有する、
上記(1)ないし(8)のいずれか一つに記載の水再利用装置。
(10)給水タンクと環境試験機とを接続する配管と、
給水タンクと環境試験機とを接続する配管に配置されたイオン交換樹脂及び第1送水ポンプと、
給水タンクに貯水された給水タンク水の昇温装置及び降温装置と、
を有し、
給水タンクから、イオン交換樹脂を通り、温度管理された水を環境試験機へ送水する、
上記(1)ないし(9)のいずれか一つに記載の水再利用装置。
(11)上記(1)ないし(10)のいずれか一つに記載の水再利用装置を含む環境試験機。
(12)試験槽を有し、
試験槽の壁及び/又は床に水を噴出させる噴出口、湿度発生機、測温抵抗体から選択されるいずれか1つ又は複数を有する、
上記(11)に記載の環境試験機。
(13)環境試験機から排出された排水を、環境試験機の排水を排出する排出口よりも低い位置に設置された回収タンクで回収する工程と、
回収タンクに回収された回収タンク水を、回収タンクとは別体の給水タンクへ送水し、給水タンクに貯水する工程と、
給水タンクに貯水された給水タンク水を環境試験機に供給する工程と、
を有する、
環境試験機から排出された排水の水再利用方法。
(14)給水タンクが溶解不純物センサを有し、溶解不純物センサが給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を測定する工程と、
測定された溶解不純物の濃度が所定値以上であった場合、給水タンクに貯水された給水タンク水を一定量排水し、その後、給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度が所定値未満となるように給水タンクに供給水を供給する処理を行う工程と、
を更に有する、
上記(13)に記載の水再利用方法。
【発明の効果】
【0009】
水再利用装置の給水タンクを大型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る水再利用装置1a~1d、1f~1gの構成例を示す図。
【
図2】実施形態に係る水再利用装置1eの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、水再利用装置1の実施形態について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一又は類似の符号が付されている。そして、同一又は類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0012】
また、図面において示す各構成の位置、大きさ、範囲などは、理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、本出願における開示は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0013】
(水再利用装置の第1の実施形態)
図1を参照して、水再利用装置の第1の実施形態について説明する。
図1は、環境試験機9からの排水を再利用する第1の実施形態に係る水再利用装置1aの構成例を示す図である。水再利用装置1aは、少なくとも回収タンク2と、給水タンク3とを有する。なお、
図1に記載された水再利用装置1aは、説明は後掲するが、任意付加的に、固形物除去フィルタ4、溶解不純物センサ5、イオン交換樹脂6、昇温装置7、降温装置8、配管L1~L9、第1送水ポンプP1、第2送水ポンプP2、第1バルブV1、第2バルブV2、第4バルブV4、第5バルブV5を有する例が示されている。
【0014】
回収タンク2は、環境試験機9から排出される排水を回収するためのものである。回収タンク2への排水の回収は、回収タンク2に排水を回収できれば特に制限はない。例えば、排水を重力の作用によって回収する場合、回収タンク2は、環境試験機9の排水が排出される排出口91よりも低い位置に配置される。
図1に示す例では、水再利用装置1aは、任意付加的に配管L1、L2、第1バルブV1を有する。そして、回収タンク2の上端が、環境試験機9の排水が排出される排出口91よりも低い位置になるように回収タンク2を配置し、環境試験機9と回収タンク2とを配管L1、第1バルブV1、配管L2を介して接続している。配管L1は、環境試験機9の排水が排出される排出口91に接続されている。第1バルブV1を開けることで、環境試験機9からの排水が、回収タンク2へ回収される。
【0015】
給水タンク3は、回収タンク2に回収された回収タンク水が供給され、環境試験機9に再利用する給水タンク水を貯水するためのものである。そして、第1の実施形態に係る水再利用装置1aの給水タンク3は、回収タンク2と別体である。
図1に示す例では、水再利用装置1aは、任意付加的に配管L3、第2送水ポンプP2を有する。そして、給水タンク3は、回収タンク2の後段にあり、配管L3によって、回収タンク2と接続されている。そして、回収タンク2に回収された回収タンク水は、第2送水ポンプP2によって、給水タンク3に送水される。
【0016】
第1の実施形態に係る水再利用装置1aは、給水タンク3から、環境試験機9に給水タンク水を供給して、環境試験機9から排出される排水を再利用する。このとき、給水タンク3から、環境試験機9に給水タンク水を供給することができれば特に制限はない。
図1に示す例では、水再利用装置1aは、任意付加的に配管L4を有する。そして、給水タンク3には、配管L4が接続される。配管L4を用いることで、給水タンク3に貯水された給水タンク水は、環境試験機9へ返送され、再利用される。
【0017】
第1の実施形態に係る水再利用装置1aは、以下の効果を奏する。
(1)第1の実施形態に係る水再利用装置1aは、回収タンク2と、給水タンク3とが別体である。そのため、水再利用装置1aは、環境試験機9から排出される排水の回収と、環境試験機9に再利用するための貯水を別々に行うことができる。したがって、環境試験機9と回収タンク2の位置関係に影響されずに、給水タンク3を設置できるので、給水タンク3の容量を大きくすることができる。
(2)第1の実施形態に係る水再利用装置1aは、回収タンク2が環境試験機9の排水が排出される排出口91よりも低い位置に配置されるので、環境試験機9からの排水を確実に回収できる。
【0018】
(水再利用装置の第2の実施形態)
図1を参照して、第2の実施形態に係る水再利用装置1bについて詳しく説明する。第2の実施形態に係る水再利用装置1bは、回収タンク2と、給水タンク3とに加え、第1バルブV1を必須の構成要素として含む点で、第1の実施形態に係る水再利用装置1aと異なり、その他の点は水再利用装置1aと同じである。したがって、第2の実施形態に係る水再利用装置1bでは、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態に係る水再利用装置1bの実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0019】
なお、
図1に示す、回収タンク2、給水タンク3、第1バルブV1以外の構成要素は、第2の実施形態に係る水再利用装置1bにおいて、任意付加的な構成要素である。
【0020】
環境試験機9から排出される排水を再利用する場合、再利用される水は、環境試験機9で使用可能な水であることが望ましい。ところで、環境試験機9から排出される排水には、空気中の塵埃や、試料の表面から剥離脱落した細片等の排水に溶解しない不純物が含まれる場合がある。更に、環境試験機9で行われる試験の中には、塩水噴霧試験・塩水複合サイクル試験・キャス試験といった腐食試験がある。腐食試験では、塩水やキャス液といわれる酢酸酸性の塩化ナトリウム溶液に塩化銅を添加した溶液が用いられる。そのため、環境試験機9から排出される排水には、塩や酸等といった不純物が溶解している。なお、本明細書において、塵埃や細片等の水に溶解しない不純物を「固形不純物」と記載し、塩や酸等の水に溶解する不純物を「溶解不純物」と記載し、それら両方を含むものを「不純物」と記載することがある。
【0021】
環境試験機9の試験槽の壁及び/又は床に水を噴射しながら洗浄を行う場合、環境試験機9から排出される排水には、壁及び/又は床に付着した塵埃、細片等や試験に使用された塩や酸等が含まれる。特に、試験槽の壁及び/又は床の洗い流しを開始した直後に排出口91から排出される排水は、不純物を多く含む。そのため、不純物を多く含む排水は、再利用には好適ではない。
【0022】
そこで、第2の実施形態に係る水再利用装置1bは、第1バルブV1を有する。第1バルブV1は、環境試験機9から排出する排水を回収タンク2へ回収するか、回収タンク以外へ排出させるかを切り替えるバルブである。また、
図1に示す第2の実施形態に係る水再利用装置1bは、任意付加的に配管L5、第4バルブV4を有する。
【0023】
環境試験機9の試験槽の壁及び/又は床に水を噴出すると、不純物の多くは最初に排出され、一定時間経過後の排水は、不純物が少ないものとなる。
【0024】
第2の実施形態に係る水再利用装置1bは、試験槽の壁及び/又は床への水の噴射開始後、(1)先ず、第1バルブV1を閉めて、第4バルブV4を開けることで、不純物を多く含む排水を、配管L5により水再利用装置1bの外へ排出し、(2)一定時間経過後に、第4バルブV4を閉め、第1バルブV1を開け、(3)環境試験機9から排出される排水を配管L1からL2に通し、回収タンク2へ送水し回収する。
【0025】
上記のとおり、第2の実施形態に係る水再利用装置1bは、第1バルブV1を開閉することで、不純物を多く含む排水は再利用せず、不純物が比較的少ない排水を選択して再利用できる。
【0026】
なお、第1バルブV1を閉め、次に、第1バルブV1を開けるまでの時間は、短すぎると不純物が多い排水を排出しきれなくなり、長すぎると、再利用可能な水を無駄に排出してしまう。したがって、環境試験機9における試験の条件等を考慮し第1バルブV1を閉め、次に、第1バルブV1を開けるまでの時間は、使用状況に応じて適宜調整すればよい。
【0027】
第1バルブV1、第4バルブV4の開閉は手動で行っても、
図1に図示していない制御部により自動で行ってもよい。
【0028】
また、図示はしていないが、配管L1にセンサを設けて、不純物が多く含まれる排水を水再利用装置1の外部へ排出させるタイミングの制御をしてもよい。
【0029】
配管L1に設けられたセンサは、排水の不純物の濃度の測定を行うものである。不純物は、固形不純物、溶解不純物が含まれるが、センサは、固形不純物、溶解不純物のどちらか一方、又は両方を測定できれば良い。固形不純物を測定するセンサとしては、例えば、光学的なセンサが挙げられる。また、溶解不純物を測定するセンサとしては、塩濃度センサ、導電率センサ、pHセンサ、金属イオン電極等であり、測定対象に応じて公知のセンサを用いることができる。また、複数のセンサを組み合わせて用いることもできる。なお、本明細書において、固形不純物を測定するセンサを「固形不純物センサ」と記載し、溶解不純物を測定するセンサを「溶解不純物センサ」と記載することもある。
【0030】
配管L1にセンサを設けた際の動作を説明する。まず、第1バルブV1を閉め、第4バルブV4を開けた状態で、環境試験機9から排出される排水を、配管L5を通して水再利用装置1bの外へ排出させる。その際、排水が通過する配管L1に設けられたセンサで排水の不純物を測定する。そして、センサで測定される値が、所定値以上であれば、そのまま排水を水再利用装置1bの外へ排出し、所定値未満であれば、第4バルブV4を閉め、第1バルブV1を開けて排水を回収タンク2へ送水する。また、上記では配管L1にセンサを設けた場合を説明したが、配管L2、L5にセンサを設けて、不純物が多く含まれる排水を水再利用装置1bの外部へ排出させるタイミングの制御をしてもよい。
【0031】
第2の実施形態に係る水再利用装置1bは、第1の実施形態に係る水再利用装置1aが奏する効果に加え、以下の効果を相乗的に奏する。
(1)環境試験機9の試験槽の壁及び/又は床に水を噴射しながら洗浄を行う場合、環境試験機9から排出される排水には、不純物が多く含まれる。第2の実施形態に係る水再利用装置1bは、第1バルブV1を有することで、水噴出直後の不純物を多く含む排水を、再利用しない水として水再利用装置1bの外部へ排出できる。したがって、不純物が少ない排水を回収タンク2に回収し、排水を効率よく再利用することができる。
【0032】
(水再利用装置の第3の実施形態)
図1を参照して、第3の実施形態に係る水再利用装置1cについて詳しく説明する。第3の実施形態に係る水再利用装置1cは、回収タンク2と、給水タンク3とに加え、給水タンクに供給水を供給する給水部を必須の構成要素として含む点で、第1、2の実施形態に係る水再利用装置1a、1bと異なり、その他の点は水再利用装置1a、1bと同じである。したがって、第3の実施形態に係る水再利用装置1cでは、第1、2の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1、2の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第3の実施形態に係る水再利用装置1cの実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第1、2の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0033】
なお、
図1に示す回収タンク2と、給水タンク3と、配管L6と、第5バルブV5以外の構成要素は、第3の実施形態に係る水再利用装置1cにおいて、任意付加的な構成要素である。
【0034】
第3の実施形態に係る水再利用装置1cの給水部は、給水タンク3に水再利用装置1cの外部から供給水を供給できるものであれば、特に制限はない。
図1に示す例では、配管L6と第5バルブV5とで給水部を形成し、給水タンク3に給水が行われる。
【0035】
配管L6は、給水タンク3に供給水として水道水を供給する。配管L6は第5バルブV5を有している。第5バルブV5の開閉によって、給水タンク3への水道水の供給を制御する。
【0036】
また、第5バルブV5の開閉は手動で行っても、
図1に図示していない制御部により自動で行ってもよい。
【0037】
また、
図1に示す例では、配管L6と第5バルブV5で給水部を形成している。代替的に、給水タンク3へ給水するための供給水を貯めておく貯水槽を設け、該貯水槽を給水部としてもよい。更に代替的に、給水部は、配管L6、第5バルブV5及び貯水槽で形成してもよい。
【0038】
環境試験機9に水再利用装置1cを付加して用いる際は、水再利用装置1cの給水タンク3に、配管L3から回収タンク水が供給され、貯水される。そして、給水タンク3に貯水された給水タンク水は、環境試験機9へ送水され、再利用される。したがって、給水タンク3には、環境試験機9において再利用される給水タンク水が十分量貯水されている必要がある。
【0039】
第3の実施形態に係る水再利用装置1cは、給水部を有する。よって、給水タンク3の水位が低下した際に、給水部から供給水を供給して、環境試験機9で使用される給水タンク水を十分量確保することができる。
【0040】
また、上記したように、環境試験機9から排出された排水は、溶解不純物を含んでいることがある。溶解不純物が含まれる水は、その濃度が低い場合には、環境試験機9の試験槽の洗浄等に用いることが可能であるが、濃度が高い場合には、塩の析出や酸による腐食というような不具合がおこる恐れがある。したがって、環境試験機9に再利用される水は、溶解不純物の濃度が低いものが好ましい。
【0041】
第3の実施形態に係る水再利用装置1cは、給水部から供給水が供給されるので、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を下げることができる。
【0042】
第3の実施形態に係る水再利用装置1cは、第1、2の実施形態に係る水再利用装置1a、1bが奏する効果に加え、以下の効果を相乗的に奏する。
(1)第3の実施形態に係る水再利用装置1cは、給水部を有するため、環境試験機9に利用するための給水タンク3に貯水された給水タンク水を確保することができる。
(2)第3の実施形態に係る水再利用装置1cは、給水部を有するため、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を下げることができる。
【0043】
(水再利用装置の第4の実施形態)
図1を参照して、第4の実施形態に係る水再利用装置1dについて詳しく説明する。第4の実施形態に係る水再利用装置1dは、回収タンク2と、給水タンク3とに加え、溶解不純物センサ5と、第2バルブV2と、給水部とを必須の構成要素として含む点で、第1~3の実施形態に係る水再利用装置1a~1cと異なり、その他の点は水再利用装置1a~1cと同じである。したがって、第4の実施形態に係る水再利用装置1dでは、第1~3の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1~3の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第4の実施形態に係る水再利用装置1dの実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第1~3の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0044】
なお、
図1に示す、回収タンク2、給水タンク3、溶解不純物センサ5、第2バルブV2、給水部以外の構成要素は、第4の実施形態に係る水再利用装置1dにおいて、任意付加的な構成要素である。
【0045】
上記したように、環境試験機9から排出された排水は、排水に溶解不純物を含んでいることがあるが、環境試験機9に再利用される水は、溶解不純物の濃度が低いものが好ましい。
【0046】
第4の実施形態に係る水再利用装置1dは、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を低くする処理(あるいは制御)を行い、処理後の水を再利用する。
【0047】
図1に示す例では、水再利用装置1dは、任意付加的に配管L7を有する。配管L7は、給水タンク3に貯水された給水タンク水を、再利用しない水として水再利用装置1の外部へ排水するためのものである。そして、配管L7は第2バルブV2を有している。第2バルブV2は、給水タンク3からの排水をその開閉によって制御するバルブである。
【0048】
給水タンク3に貯水された給水タンク水は、環境試験機9の試験槽や試験槽内の装備の洗浄等に用いられる。そのため、再利用される給水タンク3に貯水された給水タンク水は、環境試験機9や水再利用装置1dにおいて不具合が起こるほどの溶解不純物の濃度が高濃度でなければよい。したがって、給水タンク3で行われる処理は、溶解不純物の濃度が所定値未満となるようなものであればよい。
【0049】
処理は、例えば、以下のようなものが挙げられる。(1)給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度測定を行う。(2)溶解不純物の濃度が所定値以上であった場合、給水タンク3に貯水された給水タンク水を一定量排水する。(3)給水部から供給水を給水タンク3に供給する。以下により具体的に説明する。
【0050】
給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度測定は、溶解不純物センサ5で行われる。溶解不純物センサ5は、上記第2の実施形態において記載された溶解不純物センサと同じものを用いることができる。
【0051】
例えば、環境試験機9において、塩水噴霧試験が行われる場合、環境試験機9から排出される排水には、塩が含まれている。したがって、溶解不純物センサ5は、塩濃度センサが用いられる。そして、塩濃度センサで測定される塩濃度の所定値は、環境試験機9で使用可能、すなわち塩が析出しない程度の濃度であればよく特に限定されない。例えば、給水タンク3に貯水された給水タンク水の塩濃度は、1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
【0052】
また、環境試験機9において、キャス試験が行われる場合、環境試験機9からの排水には、酸や銅イオン等が溶解している。よって、水再利用装置1dの溶解不純物センサ5には、pHセンサ及び/又は銅イオンを検出するイオン電極等が使用できる。
【0053】
回収タンク2に回収された回収タンク水は、任意付加的に有する配管L3を通り、給水タンク3に送水される。その際、給水タンク3では、溶解不純物センサ5によって、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度が測定される。そして、溶解不純物センサ5で測定された溶解不純物の濃度が所定値以上であった場合、第2バルブV2を開けて配管L7から給水タンク3に貯水された給水タンク水を一定量排出する。その際、給水タンク3から排出する量は、特に制限はない。排出する量が多いと排水の再利用効率が下がり、排水する量が少なすぎると溶解不純物の濃度が下がりにくくなる。したがって、給水タンク3の容量等に応じて、適宜調整すればよい。
【0054】
その後、排水した量の供給水を、給水部から給水タンク3へ供給し、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を所定値未満の濃度とする。
【0055】
また、上記処理のほかにも、給水タンク3の貯水量の空き容量に余裕があった場合、給水タンク3から、再利用装置1dの外部への排水を行わずに所定量の供給水を給水部から供給し、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を所定値未満の濃度としてもよい。
【0056】
また、溶解不純物センサ5の測定値が所定値未満となるように、リアルタイムに第2バルブV2及び第5バルブV5を制御し、給水タンク3からの排水と給水タンク3への供給水の供給を行ってもよい。上記した給水タンク3に貯水された給水タンク水の処理は、それぞれを単独で行ってもよいが、組み合わせて行ってもよい。
【0057】
また、給水タンク3に貯水された給水タンク水のpHの値を所定値とする場合、上記した給水タンク3に貯水された給水タンク水の排出、供給水の供給による処理のほかに、給水タンク3にNaOHのようなアルカリ溶液を滴下してpHの値を調整してもよい。その際、図示はしていないが、給水タンク3に貯水された給水タンク水にアルカリ溶液を滴下する滴下装置を設けてもよい。
【0058】
第4の実施形態に係る水再利用装置1dは、第1~3の実施形態に係る水再利用装置1a~1cが奏する効果に加え、以下の効果を相乗的に奏する。
(1)第4の実施形態に係る水再利用装置1dは、給水タンク3に貯水された給水タンク水を処理できるので、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を所定値未満にすることができる。
【0059】
(水再利用装置の第5の実施形態)
図2を参照して、第5の実施形態に係る水再利用装置1eについて詳しく説明する。
図2は、環境試験機9からの排水を再利用する水再利用装置1eの構成例を示す図である。
【0060】
第1~第4の実施形態に係る水再利用装置1a~1dは、回収タンク2に回収された回収タンク水は、すべて給水タンク3に送水される。一方、第5の実施形態の係る水再利用装置1eは、回収タンク2に回収された回収タンク水を、回収タンク2から水再利用装置1eの外部へ排出できる点で、第1~第4の実施形態と異なり、その他の点は第1~4の実施形態と同じである。したがって、第5の実施形態の係る水再利用装置1eでは、第1~4の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1~4の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第5の実施形態に係る水再利用装置1eの実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第1~4の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0061】
第5の実施形態に係る水再利用装置1eは、回収タンク2と、給水タンク3と、溶解不純物センサ5と、第3バルブV3と、給水部とを少なくとも有し、
図2に例示された水再利用装置1が有するその他の構成要素は、任意付加的な構成要素である。
【0062】
図2に示す例では、水再利用装置1eは、任意付加的に配管L10を有する。配管L10は、回収タンク2に接続され、回収タンク2に回収された回収タンク水を、再利用しない水として水再利用装置1eの外部へ排水するためのものである。そして、配管L10は第3バルブV3を有している。第3バルブV3は、回収タンク2からの排水をその開閉によって制御するバルブである。
【0063】
第5の実施形態に係る水再利用装置1eは、第4の実施形態に係る水再利用装置1dと同様に、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を低減させる処理を行う。
【0064】
第5の実施形態に係る水再利用装置1eの処理は、例えば、以下のように行われる。第3バルブV3を閉めた状態で、回収タンク2に回収された回収タンク水は、任意付加的に有する配管L3を通り、給水タンク3に送水される。その際、給水タンク3では、溶解不純物センサ5によって、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度が測定される。そして、溶解不純物センサ5で測定される溶解不純物の濃度が所定値以上であった場合、第3バルブV3を開けて回収タンク2に回収された回収タンク水を、配管L10を通し水再利用装置1の外部へ排出させる。その後、給水部から供給水を給水タンク3へ供給する。給水部からの供給水の供給は、溶解不純物センサ5によって測定される溶解不純物の濃度が所定値未満の濃度となるまで行われる。
【0065】
よって、第5の実施形態に係る水再利用装置1eの処理によって、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を、所定値未満とすることができる。
【0066】
第5の実施形態に係る水再利用装置1eは、第1~4の実施形態に係る水再利用装置1a~1dが奏する効果に加え、以下の効果を相乗的に奏する。
(1)第5の実施形態に係る水再利用装置1eで行われる処理は、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度が所定値以上となった時点で、回収タンク2からの溶解不純物の濃度が高い回収タンク水が給水タンク3に供給されなくなる。そのため、給水部から供給される溶解不純物の濃度を低くするための供給水の量を少なくすることが可能となり、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を効率的に所定値未満とすることができる。
【0067】
(水再利用装置の第6の実施形態)
図1を参照して、第6の実施形態に係る水再利用装置1fについて詳しく説明する。第6の実施形態に係る水再利用装置1fは、回収タンク2と、給水タンク3とに加え、固形物除去フィルタ4、及び、配管L3を必須の構成要素として含む点で、第1~5の実施形態に係る水再利用装置1a~1eと異なり、その他の点は水再利用装置1a~1eと同じである。したがって、第6の実施形態に係る水再利用装置1fでは、第1~5の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1~5の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第6の実施形態に係る水再利用装置1fの実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第1~5の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0068】
なお、
図1に示す、回収タンク2、給水タンク3、固形物除去フィルタ4、配管L3以外の構成要素は、第6の実施形態に係る水再利用装置1fにおいて、任意付加的な構成要素である。
【0069】
配管L3は、回収タンク2と給水タンク3とを接続し、回収タンク2に回収された回収タンク水を給水タンク3へ送水するものである。そして、配管L3は、固形物除去フィルタ4と任意付加的な第2送水ポンプP2を有している。環境試験機9から排出される排水には、上記したように塵埃や細片等の固形不純物が含まれていることがある。それら固形不純物を除去するために、第6の実施形態に係る水再利用装置1fは、固形物除去フィルタ4を有している。
【0070】
第6の実施形態に係る水再利用装置1fは、第1~5の実施形態に係る水再利用装置1a~1eが奏する効果に加え、以下の効果を相乗的に奏する。
(1)第6の実施形態に係る水再利用装置1fは、固形物除去フィルタ4を有することで、環境試験機9から排出される排水に含まれる固形不純物を除去することができる。
【0071】
(水再利用装置の第7の実施形態)
図1を参照して、第7の実施形態に係る水再利用装置1gについて詳しく説明する。第7の実施形態に係る水再利用装置1gは、回収タンク2と、給水タンク3とに加え、イオン交換樹脂6、昇温装置7、降温装置8、配管L4、L8、及び、第1送水ポンプP1を必須の構成要素として含む点で、第1~6の実施形態に係る水再利用装置1a~1fと異なり、その他の点は水再利用装置1a~1fと同じである。したがって、第7の実施形態に係る水再利用装置1gでは、第1~6の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1~6の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第7の実施形態に係る水再利用装置1gの実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第1~6の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0072】
なお、
図1に示す、回収タンク2、給水タンク3、イオン交換樹脂6、昇温装置7、降温装置8、配管L4、L8、第1送水ポンプP1以外の構成要素は、第7の実施形態に係る水再利用装置1gにおいて、任意付加的な構成要素である。
【0073】
配管L4は、給水タンク3と環境試験機9とを接続し、給水タンク3に貯水された給水タンク水を給水タンク3から環境試験機9に送水する。また、配管L4は、第1送水ポンプP1を有する。
【0074】
給水タンク3に貯水された給水タンク水の環境試験機9への送水は、第1送水ポンプP1によって行われるため、環境試験機9への送水される量を一定に保つことが可能である。
【0075】
例えば、水再利用装置1gを用いない場合、一般に、環境試験機9へは、水道水が供給されるが、水道水は状況により水量が一定しないことがある。しかしながら、第7の実施形態に係る水再利用装置1gを用いることで、第1送水ポンプP1により、環境試験機9に安定して送水することができる。
【0076】
配管L8は、配管L4と環境試験機9とを接続するものである。配管L8はイオン交換樹脂6を有する。
【0077】
イオン交換樹脂6は、給水タンク3に貯水された給水タンク水を環境試験機9に送水する過程で、給水タンク3に貯水された給水タンク水をイオン交換し、給水タンク3に貯水された給水タンク水よりも溶解不純物の少ない水とする。
【0078】
上記したように、給水タンク3に貯水された給水タンク水は、溶解不純物を含むものの、その溶解不純物の濃度は、環境試験機9や水再利用装置1gにおいて不具合が起こるほどの高濃度ではない。しかしながら、環境試験機9は、試験が行われる試験槽のほかにも試験槽内の環境を制御する湿度発生機、測温抵抗体等を備える。そして、湿度発生機、測温抵抗体は、試験槽内の環境を制御するために、試験槽と比べてより清浄な水が必要である。
【0079】
第7の実施形態に係る水再利用装置1gは、給水タンク3に貯水された給水タンク水よりも溶解不純物を含まない水を環境試験機9に送水することができる。したがって、環境試験機9の湿度発生機、測温抵抗体等のより清浄に保つ必要のある装備に溶解不純物を含まない水を供給できる。
【0080】
なお、配管L4、L8によって環境試験機9に送水される水の使い分けは、例えば、環境試験機9の配管L4、L8の接続部それぞれに設けられた弁を制御することによって行われる。また、図示はしていないが、配管L4と配管L8の接続部にバルブを設けて、環境試験機9に送水される水を、水再利用装置1gで制御してもよい。
【0081】
昇温装置7は、給水タンク3に貯水された給水タンク水を昇温させるためのものである。昇温装置7は、水再利用装置1gで再利用される水を昇温できるのであれば、どこに設けてもよいが、
図1に示す例では、給水タンク3に設けられている。
【0082】
降温装置8は、給水タンク3に貯水された給水タンク水を降温させるためのものである。降温装置8は、水再利用装置1gで再利用される水を降温できるのであれば、どこに設けてもよいが、
図1に示す例では、給水タンク3に貯水された給水タンク水を送水する配管L4に接続される任意付加的な配管L9の経路に設けられている。
【0083】
配管L9は、配管L4と給水タンク3に接続され、給水タンク3に貯水された給水タンク水を、給水タンク3へ返送する返送ラインである。
【0084】
第7の実施形態に係る水再利用装置1gは、第1~6の実施形態に係る水再利用装置1a~fが奏する効果に加え、以下の効果を相乗的に奏する。
(1)第7の実施形態に係る水再利用装置1gは、給水タンク3に貯水された給水タンク水の送水を第1送水ポンプP1によって行うため、環境試験機9に安定した水量で送水することができる。
(2)第7の実施形態に係る水再利用装置1gは、イオン交換樹脂6を有しているので、環境試験機9の試験槽と比べて湿度発生機、測温抵抗体等のより清浄に保つ必要のある装備に溶解不純物を含まない水を供給することができる。
(3)第7の実施形態に係る水再利用装置1gは、昇温装置7、降温装置8を有するので、環境試験機9に送水される水の温度管理が可能となる。したがって、環境試験機9の温度環境に影響を与えることを抑えることができ、環境試験機9での試験を効率よく行うことができる。
【0085】
本出願における開示は、上記各実施形態に限定されず、本出願で開示する技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態において任意の構成要素を省略することも可能である。
【0086】
例えば、回収タンク2は、回収タンク水の固形不純物及び/又は溶解不純物の濃度を測定する固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサを有することも可能である。固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサは、上記第2の実施形態において記載済みである。回収タンク2が固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサを有することで、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる固形不純物及び/又は溶解不純物の濃度を低減させることができる。具体的には、固形不純物センサ及び/又は溶解不純物センサによって、回収タンク水の固形不純物及び/又は溶解不純物の濃度測定が行われる。そして、固形不純物及び/又は溶解不純物の濃度が所定値以上であった場合、第1バルブV1を閉め、第4バルブV4を開けて、環境試験機9からの排水を、配管L5を通し水再利用装置1の外部へ排出することができる。代替的に、第3バルブV3を開けて、回収タンク2から回収タンク水を、配管L10を通し水再利用装置1の外部へ排出させることもできる。
【0087】
(環境試験機の実施形態)
環境試験機9は、少なくとも試料が設置される試験槽、水再利用装置1を含んでいる。また、任意付加的に、試験槽の壁及び/又は床に水を噴出させる噴出口、湿度発生機、測温抵抗体を、環境試験機9の構成要素として有してもよい。環境試験機9が有する水再利用装置1は、水再利用装置1の実施形態1~7で説明済みである。したがって、水再利用装置1に関しては、繰り返しとなる記載は省略する。
【0088】
環境試験機9は、試験槽に設置された試験片を、噴霧・湿潤・乾燥等の状態に曝すことで、試験片の劣化を試験できるものであって、水分を用いて試験を行うものであれば特に制限はない。
【0089】
実施形態に係る環境試験機9は、従来の環境試験機に水再利用装置1を含むことが特徴である。実施形態に係る環境試験機9を用いることで、上記した第1~7の実施形態に係る水再利用装置1a~1gと同様の効果を奏する。
【0090】
(水再利用装置を利用した水再利用方法の第1の実施形態)
第1の実施形態に係る水再利用方法は、以下の工程を有する。
(1)環境試験機9から排出された排水を、環境試験機9の排水を排出する排出口91よりも低い位置に設置された回収タンク2で回収する工程、
(2)回収タンク2に回収された回収タンク水を、回収タンク2とは別体の給水タンク3へ送水し、給水タンク3に貯水する工程、
(3)給水タンク3に貯水された給水タンク水を環境試験機9に供給する工程。
【0091】
第1の実施形態に係る水再利用方法が有する各工程は、水再利用装置の実施形態1で説明済みであるので、繰り返しとなる記載は省略する。
【0092】
第1の実施形態に係る水再利用方法は、第1の実施形態に係る水再利用装置1aと同様の効果を奏する。
【0093】
(水再利用装置を利用した水再利用方法の第2の実施形態)
第2の実施形態に係る水再利用方法は、第1の実施形態に係る水再利用方法に加えて以下の工程を有する。
(4)給水タンク3が溶解不純物センサ5を有し、溶解不純物センサ5が給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を測定する工程、
(5)測定された溶解不純物の濃度が所定値以上であった場合、給水タンクに貯水された給水タンク水を一定量排水し、その後、給水タンクに貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度が所定値未満となるように給水タンクに供給水を供給する処理を行う工程。
【0094】
そして、第2の実施形態に係る水再利用方法の処理により、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を低減させることができる。
【0095】
給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を低減させるための処理として、代替的に、給水タンク3に貯水された給水タンク水を一定量排水せずに、所定量の供給水を給水部から供給し、給水タンク3に貯水された給水タンク水に含まれる溶解不純物の濃度を所定値未満の濃度とする処理が行われてもよい。また、溶解不純物センサ5の測定値が所定値未満となるように、給水タンク3からの排水と給水タンク3への供給水の供給をリアルタイムに制御する処理でもよい。更に、回収タンク2に回収された回収タンク水を再利用装置1の外部へ排出し、供給水を給水タンク3へ供給する処理でもよい。
【0096】
第2の実施形態に係る水再利用方法は、第1、3~5の実施形態に係る水再利用装置1a、1c~eと同様な効果を奏する。
【0097】
水再利用方法についても、上記各実施形態に限定されず、本出願で開示する技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、水再利用装置及び環境試験機の各実施形態で用いられる任意の構成要素を、水再利用方法の実施形態に組み合わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本出願における開示の発明は、水再利用装置の給水タンクを大型化できる。したがって、試験機産業にとって有用である。
【符号の説明】
【0099】
1、1a~1g…水再利用装置、2…回収タンク、3…給水タンク、4…固形物除去フィルタ、5…溶解不純物センサ、6…イオン交換樹脂、7…昇温装置、8…降温装置、9…環境試験機、91…排出口、L1~L10…配管、P1…第1送水ポンプ、P2…第2送水ポンプ、V1…第1バルブ、V2…第2バルブ、V3…第3バルブ、V4…第4バルブ、V5…第5バルブ