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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】壁面構築用ブロック
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
E02D29/02 303
E02D29/02 305
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020174738
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065923
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591036125
【氏名又は名称】藤林コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤林 功
【審査官】宇都宮 啓明
(56)【参考文献】
【文献】実開平9-443(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0203441(US,A1)
【文献】特開昭51-006306(JP,A)
【文献】特開昭62-153421(JP,A)
【文献】意匠登録第1519338(JP,S)
【文献】特開2010-261168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/02
E02B 3/04-3/14
E02D 5/22-5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に積層状態で連結して壁面を構築するための壁面構築用ブロックであって、この壁面構築用ブロックは、正面パネル部と、この正面パネル部の背面に設けられ該正面パネル部を支持する底板部と、この底板部の上面に立設され前記正面パネル部と前記底板部との間に架設される補強板部とから成り、一の前記壁面構築用ブロックにおける前記正面パネル部の上端部に他の前記壁面構築用ブロックにおける前記正面パネル部の下端部を載置すると共に、一の前記壁面構築用ブロックにおける前記補強板部の上端部に他の前記壁面構築用ブロックにおける前記底板部の下面部を載置することで、一の前記壁面構築用ブロックの上に他の前記壁面構築用ブロックを積層可能に構成され、更に、前記底板部の左右側端部には、前記壁面構築用ブロック同士を積層した場合に上下に位置する前記底板部同士間に架設される連結体を設けるための連結体止着部が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【請求項2】
請求項1記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記連結体は棒状体であり、この連結体を貫通させて止着するように前記連結体止着部は構成されていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【請求項3】
請求項2記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記連結体止着部は、前記底板部の左右側面に開口する開口部を有し、この開口部から前記連結体が配設されるように構成されていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部には、上端部に係止部が設けられると共に、下端部に積層した他の壁面構築用ブロックの前記係止部が凹凸係止する被係止部が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記底板部は、前記正面パネル部の背面中央部にのみに設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部の背面には、前記壁面構築用ブロックを左右に並設した際に左右に隣接する前記正面パネル部同士間に架設可能な左右連結体を止着するための左右連結体止着部が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部の背面には、裏込め材を打設する空間部が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【請求項8】
請求項1~7ずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部の背面には、前記空間部に裏込め材を打設した際に埋設状態となる定着用部材を取り付けるための取付部が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面構築用ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、壁面を構築するためのブロックとして特許文献1に開示されるコンクリート製のブロック(以下、「従来例」という。)を提案している。
【0003】
この従来例は、正面パネル部と、この正面パネル部の背面に設けられ該正面パネル部を自立可能に支持する底板部と、この底板部の上面に立設され前記正面パネル部と前記底板部との間に架設される補強板部とから成り、一の前記壁面構築用ブロックにおける前記正面パネル部の上端部に他の前記壁面構築用ブロックにおける前記正面パネル部の下端部を載置すると共に、一の前記壁面構築用ブロックにおける前記補強板部の上端部に他の前記壁面構築用ブロックにおける前記底板部の下面部を載置することで、一の前記壁面構築用ブロックの上に他の前記壁面構築用ブロックを自立状態で積層可能に構成されており、この従来例を施工箇所に適宜設置した後、例えば裏込め材(コンクリート)を打設するだけで擁壁を簡易に構築することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-117330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、前述した壁面を構築するためのブロックについて更なる研究開発を進めた結果、従来に無い実用的な壁面構築用ブロックを開発した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
上下に積層状態で連結して壁面Fを構築するための壁面構築用ブロックXであって、この壁面構築用ブロックXは、正面パネル部1と、この正面パネル部1の背面に設けられ該正面パネル部1を支持する底板部2と、この底板部2の上面に立設され前記正面パネル部1と前記底板部2との間に架設される補強板部3とから成り、一の前記壁面構築用ブロックXにおける前記正面パネル部1の上端部に他の前記壁面構築用ブロックXにおける前記正面パネル部1の下端部を載置すると共に、一の前記壁面構築用ブロックXにおける前記補強板部3の上端部に他の前記壁面構築用ブロックXにおける前記底板部2の下面部を載置することで、一の前記壁面構築用ブロックXの上に他の前記壁面構築用ブロックXを積層可能に構成され、更に、前記底板部2の左右側端部には、前記壁面構築用ブロックX同士を積層した場合に上下に位置する前記底板部2同士間に架設される連結体4を設けるための連結体止着部5が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記連結体4は棒状体であり、この連結体4を貫通させて止着するように前記連結体止着部5は構成されていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【0009】
また、請求項2記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記連結体止着部5は、前記底板部2の左右側面に開口する開口部5aを有し、この開口部5aから前記連結体4が配設されるように構成されていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【0010】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部1には、上端部に係止部6が設けられると共に、下端部に積層した他の壁面構築用ブロックXの前記係止部6が凹凸係止する被係止部7が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【0011】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記底板部2は、前記正面パネル部1の背面中央部にのみに設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【0012】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部1の背面には、前記壁面構築用ブロックXを左右に並設した際に左右に隣接する前記正面パネル部1同士間に架設可能な左右連結体8を止着するための左右連結体止着部9が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【0013】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部1の背面には、裏込め材30を打設する空間部Sが設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【0014】
また、請求項1~7ずれか1項に記載の壁面構築用ブロックにおいて、前記正面パネル部1の背面には、前記空間部Sに裏込め材30を打設した際に埋設状態となる定着用部材11を取り付けるための取付部10が設けられていることを特徴とする壁面構築用ブロックに係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、壁面を簡易且つ迅速に構築することができるなど、従来に無い実用的な壁面構築用ブロックとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す斜視図である。
図3】別例を示す斜視図である。
図4】別例を示す斜視図である。
図5】本実施例を用いて壁面を構築する際に使用する台座ブロックYを示す斜視図である。
図6】本実施例を用いて壁面を構築する際に使用する台座ブロックYを示す背面図である。
図7図6のA-A断面図である。
図8】本実施例を用いた壁面構築方法の工程説明図である。
図9】本実施例を用いた壁面構築方法の工程説明図である。
図10】本実施例を用いた壁面構築方法の工程説明図である。
図11】本実施例を用いた壁面構築方法の工程説明図である。
図12】本実施例を用いた壁面構築方法の工程説明図である。
図13】本実施例を用いた壁面構築方法の工程説明図である。
図14】本実施例を用いて構築した壁面Fの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
壁面Fを構築する際、一の壁面構築用ブロックXにおける正面パネル部1の上端部に他の壁面構築用ブロックXにおける正面パネル部1の下端部を載置すると共に、一の壁面構築用ブロックXにおける補強板部3の上端部に他の壁面構築用ブロックXにおける底板部2の下面部を載置することで、一の壁面構築用ブロックXの上に他の壁面構築用ブロックXを積層する。
【0019】
この積層状態において、上下に位置する底板部2夫々の連結体止着部5に連結体4を設けると、この連結体4は上下の壁面構築用ブロックX同士間に架設された状態となり、この上下に積層された壁面構築用ブロックX同士は連結される。
【0020】
従って、この壁面構築用ブロックXを上下に連結した状態において、例えばこの壁面構築用ブロックX(正面パネル部1)の空間部Sに裏込め材30を打設する際、積層した壁面構築用ブロックXの位置ズレや万一の落下を心配することなく作業ができるなど、従来例にも増して壁面F、ひいては擁壁の構築が簡易に行えることになる。
【実施例
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、上下に積層状態で連結されて壁面Fを構築するための壁面構築用ブロックXである。
【0023】
具体的には、この壁面構築用ブロックXは、図1,2に図示したように適宜なコンクリート製の部材で一体成形されたものであり、表面が化粧面に構成された方形状の正面パネル部1と、この正面パネル部1の背面に設けられ該正面パネル部1を自立可能に支持する底板部2と、この底板部2の上面に立設され正面パネル部1と底板部2との間に架設される補強板部3とで構成され、正面パネル部1の背面にして補強板部3の左右位置には、裏込め材30を打設する空間部Sが設けられている。
【0024】
この構成から、壁面構築用ブロックXは、一の壁面構築用ブロックXにおける正面パネル部1の上端部に他の壁面構築用ブロックXにおける正面パネル部1の下端部を載置すると共に、一の壁面構築用ブロックXにおける補強板部3の上端部に他の壁面構築用ブロックXにおける底板部2の下面部を載置することで、一の壁面構築用ブロックXの上に他の壁面構築用ブロックXを自立状態で積層可能となる。
【0025】
また、正面パネル部1は、後方へ五分勾配(約64度の傾斜)を有する傾斜パネルとして構成されており、この壁面構築用ブロックXを上下に積層することで傾斜する壁面Fを構築することができる。
【0026】
また、正面パネル部1には、上端部の巾方向全域に段状の係止部6が設けられると共に、下端部の巾方向全域に段状の被係止部7が設けられており、壁面構築用ブロックXを上下に積層した際、下層の壁面構築用ブロックXの係止部6に対して、上層の壁面構築用ブロックXの被係止部7が凹凸係止するように構成されている。
【0027】
従って、壁面構築用ブロックXを上下に積層した際、この係止部6と被係止部7が凹凸係止(位置決め固定)されることになり、良好な積層状態が得られる。
【0028】
また、この正面パネル部1の被係止部7は、後述する台座ブロックY,Y’に設けられる段形状の係止部15に凹凸係止(位置決め固定)するように構成されている。
【0029】
また、本実施例は、正面パネル部1の背面には、壁面構築用ブロックXを左右に並設した際、隣接する正面パネル部1同士間に架設可能な板状の左右連結体8(金属製の連結プレート)を重合させて止着するための左右連結体止着部9が設けられている。
【0030】
この左右連結体止着部9は、左右連結体8を止着する止着部材21(止着ボルト)が螺着する螺着孔(雌螺子を有するインサート材をインサート成形したもの)であり、本実施例では、この左右連結体止着部9を正面パネル部1の背面の左右上下位置に複数設けている。
【0031】
また、本実施例は、正面パネル部1の背面には、正面パネル部1の空間部Sに裏込め材30を打設した際に埋設状態となる螺子棒状の定着用部材11(金属製ボルト)を取り付けるための取付部10が設けられている。
【0032】
この取付部10は、定着用部材11を螺着する螺子孔(雌螺子を有するインサート材をインサート成形したもの)であり、本実施例では、この取付部10を正面パネル部1の背面にして補強板部3を境界とした左右位置に複数設けている。
【0033】
また、本実施例では、正面パネル部1の背面中央部にのみに底板部2が設けられている。
【0034】
具体的には、底板部2は、図2に図示したように正面パネル部1よりも巾狭(1/4巾)であり、正面パネル部1の下端部から水平方向へ突出状態に設けられている。
【0035】
また、底板部2の左右側端部には、壁面構築用ブロックX同士を積層した際、上下に位置する底板部2同士間に架設可能な連結体4を設けるための連結体止着部5が設けられている。
【0036】
この連結体4は棒状体(金属製ボルト)であり、この連結体4を貫通させて止着するように連結体止着部5は構成されている。
【0037】
具体的には、この連結体止着部5は、図2に図示したように底板部2の左右側端部夫々の前後位置に上下方向に貫通する凹条を設けて構成されており、底板部2の左右側面に開口する開口部5aを有し、この開口部5aから連結体止着部5内に連結体4を配設し得るように構成されている。
【0038】
この連結体止着部5内に連結体4を配して底板部2から突出する部位に止着部材20(座板20’とナット20”)を止着することで連結体4は底板部2に固定される。
【0039】
従って、連結体4を介して上下に積層された壁面構築用ブロックX同士は連結される。
【0040】
また、本実施例は、正面パネル部1と底板部2との間に補強板部3が架設されている。
【0041】
この補強板部は、その上端部に正面パネル部1の上端部と同等の高さとなる水平面が設けられ、この水平面は上層に積層される壁面構築用ブロックXの底板部2を載置する載置面として構成されている。符号3aは裏込め材30が充填される貫通孔である。
【0042】
また、本実施例では、壁面を構築する施工箇所に敷設され上部に壁面構築用ブロックXを載置する台座ブロックYを設けている。
【0043】
この台座ブロックYは、図5,6,7に図示したように適宜なコンクリート製の部材で形成された方形板状体であり、先端側上縁部には巾方向全域に段形状の係止部15が設けられ、この係止部15は台座ブロックYの上面に載置した壁面構築用ブロックXの被係止部7が凹凸係止するように構成されている。
【0044】
また、台座ブロックYは、後端側上縁部に間隔を介して複数の突起部16が設けられており、この各突起部16は壁面構築用ブロックXの底板部2が載置される部位である。
【0045】
また、台座ブロックYは、正面及び背面の左右位置には、台座ブロックYを左右に並設した際に左右に隣接する正面及び背面同士間に架設可能な板状の左右連結体17(金属製プレート)を重合させて止着するための左右連結体止着部18が設けられている。
【0046】
この左右連結体止着部18は、左右連結体を止着する止着部材22(止着ボルト)が螺着する螺着孔(雌螺子を有するインサート材をインサート成形したもの)であり、本実施例では、この左右連結体止着部18を台座ブロックYの正面及び背面夫々の左右位置に設けている。
【0047】
また、本実施例では、壁面Fの左右位置に配される側方用の台座ブロックY’を設けている。
【0048】
この側方用の台座ブロックY’は、先端側上縁部に設けられる係止部15が側端側上縁部にも延長して設けられており、この係止部15は上部に配された壁面構築用ブロックXの側方への移動を阻止するように構成されている。
【0049】
また、側方用の台座ブロックY’の正面には、前述した左右連結体17(金属製プレート)を重合させて止着するための左右連結体止着部(図示省略)が設けられている。
【0050】
また、本実施例では、図3,4に図示したように正面パネル部1を垂直パネルとして構成した別例の壁面構築用ブロックXを設けており、前述した傾斜する正面パネル部1を有する壁面構築用ブロックXと、この垂直の正面パネル部1を有する壁面構築用ブロックXとを組み合わせて上下に積層可能に設けられている。尚、前述した傾斜パネルとして構成した壁面構築用ブロックXと、この垂直パネルとして構成した壁面構築用ブロックXとを組み合わせて上下に積層しても良い。
【0051】
以上の構成から成る本実施例に係る壁面構築用ブロックX及び台座ブロックY,Y’を用いた壁面F(擁壁)の構築方法について説明する。尚、本実施例では、壁面Fを、壁面構築用ブロックXを上下に3段積層した構成としているが、2段積層した構成でも4段以上積層した構成でも良い。
【0052】
先ず、壁面Fを構築する施工箇所に、構築する壁面Fの幅(左右方向に並設する壁面構築用ブロックXの数)を考慮して必要な数だけ台座ブロックYを左右方向に敷設し、この敷設された台座ブロックYのうち左右両端部に位置する台座ブロックY夫々の外側方位置に側方用の台座ブロックY’を敷設し、この隣接する台座ブロックY同士と、台座ブロックYと側方用の台座ブロックY’とを左右連結体17を介して連結する(図8参照)。
【0053】
続いて、台座ブロックY,Y’の上部に、一段目の壁面構築用ブロックXを左右方向に並べて載置し(壁面構築用ブロックXの正面パネル部1の下面と底板部2の下面を台座ブロックY,Y’に載置する)、この左右方向に隣接する壁面構築用ブロックX同士を左右連結体8を介して連結し、更に、正面パネル部1の背面に定着用部材11を設ける(図9参照)。尚、この定着用部材11は予め壁面構築用ブロックXに設けておいても良い。
【0054】
続いて、一段目の壁面構築用ブロックXの上部に二段目の壁面構築用ブロックXを左右方向並べて載置し、この積層状態において、左右方向に隣接する壁面構築用ブロックX同士を左右連結体8を介して連結すると共に、上下に位置する底板部2夫々の連結体止着部5に連結体4を設けると、この連結体4は上下の壁面構築用ブロックX同士間に架設された状態となり、この上下に積層された壁面構築用ブロックX同士は連結される(図10参照)。この際、更に、正面パネル部1の背面に定着用部材11を設ける。尚、この定着用部材11は予め壁面構築用ブロックXに設けておいても良い。
【0055】
続いて、一段目の壁面構築用ブロックXにおける正面パネル部1の空間部S(定着用部材11が埋設する位置まで)に裏込め材30を打設する(図11参照)。
【0056】
続いて、二段目の壁面構築用ブロックXの上部に三段目の壁面構築用ブロックXを左右方向並べて載置し、この積層状態において、左右方向に隣接する壁面構築用ブロックX同士を左右連結体8を介して連結すると共に、上下に位置する底板部2夫々の連結体止着部5に連結体4を設けると、この連結体4は上下の壁面構築用ブロックX同士間に架設された状態となり、この上下に積層された壁面構築用ブロックX同士は連結される(図12参照)。この際、更に、正面パネル部1の背面に定着用部材11を設ける。尚、この定着用部材11は予め壁面構築用ブロックXに設けておいても良い。
【0057】
続いて、二段目の壁面構築用ブロックX及び三段目の壁面構築用ブロックXにおける正面パネル部1夫々の空間部Sに裏込め材30を打設して壁面Fは完成する(図13,14参照)。
【0058】
本実施例は上述のように構成したから、壁面構築用ブロックXを上下に連結した状態において、この壁面構築用ブロックX(正面パネル部1)の空間部Sに裏込め材30を打設する際、積層した壁面構築用ブロックXの位置ズレや万一の落下を気にすることなく作業ができるなど、従来例にも増して壁面F、ひいては擁壁の構築が簡易に行えることになる。
【0059】
また、本実施例は、連結体4は棒状体であり、この連結体4を貫通させて止着するように連結体止着部5は構成されているから、上下に積層した壁面構築用ブロックX同士を確実に連結することができる。
【0060】
また、本実施例は、連結体止着部5は、底板部2の左右側面に開口する開口部5aを有し、この開口部5aから連結体4を配設し得るように構成されているから、この連結体4を使用した壁面構築用ブロックX同士の連結が簡易且つ迅速に行えることになる。
【0061】
また、本実施例は、正面パネル部1には、上端部に係止部6が設けられると共に、下端部に積層した他の壁面構築用ブロックXの係止部6が凹凸係止する被係止部7が設けられているから、壁面構築用ブロックX同士の積層作業が良好に行えることになる。
【0062】
また、本実施例は、底板部2は、正面パネル部1の背面中央部にのみに設けられているから、上下に積層される壁面構築用ブロックX同士を確実に連結することができるのは勿論、安定的に自立するに最小限の面積となる底板部2であるから軽量化が達成される。
【0063】
また、本実施例は、正面パネル部1の背面には、壁面構築用ブロックXを左右に並設した際に左右に隣接する正面パネル部1同士間に架設可能な左右連結体8を止着するための左右連結体止着部9が設けられているから、壁面構築用ブロックX同士の配設作業が良好に行え、しかも、壁面Fを堅固に構築することができる。
【0064】
また、本実施例は、正面パネル部1の背面には、裏込め材30を打設する空間部Sが設けられているから、この点においても壁面Fを堅固に構築することができる。
【0065】
また、本実施例は、正面パネル部1の背面には、空間部Sに裏込め材30を打設した際に埋設状態となる定着用部材11を取り付けるための取付部10が設けられているから、この点においても壁面Fを堅固に構築することができる。
【0066】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0067】
F 壁面
S 空間部
X 壁面構築用ブロック
1 正面パネル部
2 底板部
3 補強板部
4 連結体
5 連結体止着部
5a 開口部
6 係止部
7 被係止部
8 左右連結体
9 左右連結体止着部
10 取付部
11 定着用部材
30 裏込め材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14