(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】用紙搬送装置およびその位置設定方法
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
B65H9/00 K
(21)【出願番号】P 2020195140
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2016098550の分割
【原出願日】2016-05-17
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 宏生
(72)【発明者】
【氏名】中村 至一
(72)【発明者】
【氏名】脇本 茂
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮輔
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-165044(JP,A)
【文献】特開2008-068904(JP,A)
【文献】特開昭58-216821(JP,A)
【文献】特開2007-261726(JP,A)
【文献】特開昭57-067454(JP,A)
【文献】実開平07-031744(JP,U)
【文献】実開昭52-130378(JP,U)
【文献】特開昭59-128153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00
B65H 13/00-15/02
B65H 5/00
B65H 29/00
B65G 47/64
B65G 47/68-47/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を第1方向に搬送して送り出す第1搬送部と、
前記第1搬送部から送り出された前記用紙を受け取り、前記第1方向に直角な第2方向に搬送する第2搬送部と、を備え、
前記第2搬送部は、
前記第2方向にのびる基準ガイドと、
前記用紙の一側縁をその全長にわたって前記基準ガイドに当接させるために、前記第2方向の上流側から前記基準ガイドへ向う前記第2方向に対する斜め方向に前記用紙を搬送する傾斜搬送機構と、を備え、
前記第1搬送部は、
前記用紙を前記第1方向に搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤの下流端を、前記基準ガイドに対して、前記第1方向及びその反対方向に移動させる移動機構と、
を備え
、
前記基準ガイドは、前記第2搬送部の本体に対して前記第1方向に移動されることによって、該第2搬送部の後段に配置された後処理装置の処理基準線に応じて該基準ガイドの前記第1方向における位置が決定されている用紙搬送装置。
【請求項2】
前記搬送コンベヤの搬送路を前記第1方向に伸縮させる請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記搬送コンベヤから供給される前記用紙の前記第1方向の長さに基づいて、前記搬送コンベヤの下流端の位置を決定し、前記搬送コンベヤの下流端が決定された位置まで移動するように前記移動機構を制御する制御部を備える請求項1
又は2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
用紙を第1方向に搬送して送り出す第1搬送部と、
前記第1搬送部から送り出された前記用紙を受け取り、前記第1方向に直角な第2方向に搬送する第2搬送部と、を備え、
前記第2搬送部は、
前記第2方向にのびる基準ガイドと、
前記用紙の一側縁をその全長にわたって前記基準ガイドに当接させるために、前記第2方向の上流側から前記基準ガイドへ向う前記第2方向に対する斜め方向に前記用紙を搬送する傾斜搬送機構と、
を備えた用紙搬送装置の位置設定方法であって、
前記第1搬送部は、前記用紙を前記第1方向に搬送する搬送コンベヤを備え、
前記搬送コンベヤの下流端を、前記基準ガイドに対して、前記第1方向及びその反対方向に移動させて該下流端の位置を設定
し、
前記基準ガイドは、前記第2搬送部の本体に対して前記第1方向に移動されることによって、該第2搬送部の後段に配置された後処理装置の処理基準線に応じて該基準ガイドの前記第1方向における位置が決定されている用紙搬送装置の位置設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば90°の方向転換を伴って用紙を搬送する用紙搬送装置およびその位置設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製本システムは、用紙加工装置を備えている。
図6Aに、用紙加工装置1’の一例が示されている。用紙加工装置1’の第1加工部51は、バックル折り機であって、給紙部50から順次供給される用紙Sを第1方向Xに直角な方向に折り畳む。用紙搬送部52は、第1加工部51によって折り畳まれた用紙Sを第1方向Xに搬送し、その搬送方向を90°方向転換し、当該用紙Sを第1方向Xに直角な第2方向Yに搬送する。第2加工部57は、バックル折り機であって、用紙搬送部52から供給される用紙Sを第2方向Yに直角な方向に折り畳む。そして、第2加工部57によって折り畳まれた用紙Sは、用紙加工装置1’の後段に配置された後処理装置Pへ送られて後処理される。
【0003】
用紙搬送部52は、第1加工部51から排出された用紙Sを第1方向Xに搬送する第1搬送部53と、第1搬送部53から送り出された用紙Sを受け取り、第2方向Yに搬送し、さらに搬送中の用紙Sの斜行を補正する第2搬送部54とからなる。こういった、用紙Sの斜行を補正する機構は、特許文献1等に開示されている。
【0004】
第1搬送部53は、一般的な搬送コンベヤからなる。第2搬送部54は、第2方向Yにのびる基準ガイド55と、第2方向Yの上流側から基準ガイド55に向う第2方向Yに対する斜め方向に、用紙Sを搬送する傾斜搬送機構56とを備え、搬送中の用紙Sの一側縁をその全長にわたって基準ガイド55に当接させて、当該用紙Sの斜行を補正している。
【0005】
用紙Sが第2加工部57へ搬送されるまでに当該用紙Sの一側縁全体が基準ガイド55に安定して当接するように、
図6Aの通り、基準ガイド55は第1搬送部53にできるだけ近づけて配置される。そして、後処理装置Pは、この基準ガイド55の位置を基準に位置決めされる。具体的には、後処理装置Pは、その処理基準線Cが基準ガイド55に当接する用紙Sの中心を通るように位置決めされる。
【0006】
しかしながら、後処理装置Pを容易に移動させることができない場合には、
図6Bの通り、後処理装置Pの処理基準線Cの位置を基準に、基準ガイド55を位置決めしなければならない。その結果、第1搬送部53と基準ガイド55との間の距離が大きくなってしまうので、第1搬送部53から送り出された用紙Sが第2加工部57へ搬送されるまでに、その一側縁全体が安定して基準ガイド55に当接しなかった。即ち、用紙Sの斜行が完全に補正されないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-201382号公報
【文献】独国特許出願公開第1611362号明細書
【文献】特開昭61-2643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、基準ガイドの位置が制限される場合でも、用紙の斜行を適切に補正することが可能な用紙搬送装置およびその位置設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る用紙搬送装置は、用紙を第1方向に搬送して送り出す第1搬送部と、前記第1搬送部から送り出された前記用紙を受け取り、前記第1方向に直角な第2方向に搬送する第2搬送部と、を備え、前記第2搬送部は、前記第2方向にのびる基準ガイドと、前記用紙の一側縁をその全長にわたって前記基準ガイドに当接させるために、前記第2方向の上流側から前記基準ガイドへ向う前記第2方向に対する斜め方向に前記用紙を搬送する傾斜搬送機構と、を備え、前記第1搬送部は、前記用紙を前記第1方向に搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤの下流端を、前記基準ガイドに対して、前記第1方向及びその反対方向に移動させる移動機構と、を備える。
【0010】
さらに、本発明の一態様に係る用紙搬送装置では、前記搬送コンベヤの搬送路を前記第1方向に伸縮させる。
【0011】
さらに、本発明の一態様に係る用紙搬送装置では、前記基準ガイドは、前記第2搬送部の本体に対して前記第1方向に移動されることによって、該第2搬送部の後段に配置された後処理装置の処理基準線に応じて該基準ガイドの前記第1方向における位置が決定されている。
【0012】
さらに、本発明の一態様に係る用紙搬送装置では、前記搬送コンベヤから供給される前記用紙の前記第1方向の長さに基づいて、前記搬送コンベヤの下流端の位置を決定し、前記搬送コンベヤの下流端が決定された位置まで移動するように前記移動機構を制御する制御部を備える。
【0013】
本発明の一態様に係る用紙搬送装置の位置設定方法は、用紙を第1方向に搬送して送り出す第1搬送部と、前記第1搬送部から送り出された前記用紙を受け取り、前記第1方向に直角な第2方向に搬送する第2搬送部と、を備え、前記第2搬送部は、前記第2方向にのびる基準ガイドと、前記用紙の一側縁をその全長にわたって前記基準ガイドに当接させるために、前記第2方向の上流側から前記基準ガイドへ向う前記第2方向に対する斜め方向に前記用紙を搬送する傾斜搬送機構と、を備えた用紙搬送装置の位置設定方法であって、前記第1搬送部は、前記用紙を前記第1方向に搬送する搬送コンベヤを備え、前記搬送コンベヤの下流端を、前記基準ガイドに対して、前記第1方向及びその反対方向に移動させて該下流端の位置を設定し、前記基準ガイドは、前記第2搬送部の本体に対して前記第1方向に移動されることによって、該第2搬送部の後段に配置された後処理装置の処理基準線に応じて該基準ガイドの前記第1方向における位置が決定されている。
【発明の効果】
【0014】
基準ガイドの位置が制限される場合でも、用紙の斜行を適切に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る用紙搬送装置を概略的に示す平面図である。
【
図3】第1搬送部の移動機構を概略的に示す側面図であって、搬送コンベヤが最も伸張した状態を示す。
【
図4】第1搬送部の移動機構を概略的に示す側面図であって、搬送コンベヤの中間状態を示す。
【
図5】第1搬送部の移動機構を概略的に示す側面図であって、搬送コンベヤが最も短縮した状態を示す。
【
図6】従来の用紙加工装置を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る用紙搬送装置及び用紙加工装置について説
明する。
用紙加工装置1は、製本システムに設けられている。
図1を参照して、用紙加工装置1は、その前段に配置された不図示の前処理装置から排出された用紙Sを受け取り、第1方向Xに順次搬送する給紙部2を備えている。給紙部2は、搬送コンベヤからなる。
【0017】
用紙加工装置1は、給紙部2の後段に配置された第1加工部3を備えている。第1加工部3は、給紙部2から供給された用紙Sを加工する。第1加工部3は、実施形態では、用紙折り機、より具体的にはバックル折り機である。第1加工部3は、例えば、バックルと、用紙Sをバックルに取り込むための一対の取込ローラと、バックルに取り込まれた用紙Sのうち当該バックルの外にはみ出した部分を折り畳む一対の排出ローラ等を含む。第1加工部3は、上記構成によって、用紙Sを第1方向Xに直角な方向に折り畳み排出する。
【0018】
用紙加工装置1は、第1加工部3によって加工された用紙Sを第1方向Xに搬送し、その搬送方向を90°方向転換し、用紙Sを第1方向Xに直角な第2方向Yに搬送する用紙搬送部4(用紙搬送装置)を備えている。
【0019】
用紙搬送部4は、第1加工部3の後段に配置された第1搬送部5と、第1搬送部5の後段に配置された第2搬送部6とからなる。第1搬送部5は、第1加工部3によって加工された(即ち、折り畳まれた)用紙Sを、第1方向Xに搬送して送り出す。第1搬送部5の構成については、後で詳述される。
【0020】
第2搬送部6は、第1搬送部5から送り出された用紙Sを受け取り、第2方向Yに搬送し、さらに搬送中の用紙Sの斜行を補正する。第2搬送部6は、第2方向Yにのびる基準ガイド7と、用紙Sの一側縁をその全長にわたって基準ガイド7に当接させるために、用紙Sを、搬送路G2上で、第2方向Yの上流側から基準ガイド7に向う第2方向Yに対する斜め方向に搬送する傾斜搬送機構8とを備えている。第2搬送部6の搬送路G2の高さは第1搬送部5の搬送路G1よりも低い。基準ガイド7は、搬送路G2上に配置されており、第1搬送部5の下流端に向けられている。
【0021】
用紙Sは、第1搬送部5の下流端から第2搬送部6の搬送路G2上へ送り出されると、傾斜搬送機構8によって前記斜め方向に搬送される。それによって、当該用紙Sの一側縁がその先端部から順に基準ガイド7に当接していく。最終的には、用紙Sの一側縁がその全長にわたって基準ガイド7に当接する。その結果、用紙Sの斜行が補正される。
【0022】
傾斜搬送機構8は、具体的には、例えば特許文献1のように、複数のローラからなる傾斜ローラ列と、傾斜ローラ列の下側に配置された吸引チャンバと、吸引チャンバ内を負圧にして用紙Sを傾斜ローラ上に吸引するための減圧機とを備えるものでよい。この傾斜搬送機構8は、用紙Sを減圧機によって傾斜ローラ列上に吸引しつつ傾斜ローラ列によって用紙Sを前記斜め方向に搬送することで、傾斜ローラ列上で横滑りさせる。それによって、用紙Sの一側縁がその全長にわたって基準ガイド7に当接して、用紙Sの斜行が補正される。
【0023】
また、傾斜搬送機構8は、例えば特許文献2のように、傾斜搬送ベルトと、傾斜搬送ベルト上で回転可能に保持された複数のボールとを備えるものでもよい。この傾斜搬送機構8は、用紙Sをボールの自重によって傾斜搬送ベルトに押し付けつつ傾斜搬送ベルトによって前記斜め方向に搬送して、傾斜搬送ベルト上で横滑りさせる。それによって、用紙Sの一側縁がその全長にわたって基準ガイド7に当接して、用紙Sの斜行が補正される。
【0024】
また、傾斜搬送機構8は、例えば特許文献3のように、無数の孔が形成された傾斜搬送ベルトと、傾斜搬送ベルトの内側に配置された吸引チャンバと、吸引チャンバ内を負圧にして用紙Sを傾斜搬送ベルト上に吸引するための減圧機とを備えるものでもよい。この傾斜搬送機構8は、用紙Sを減圧機によって傾斜搬送ベルト上で吸引しつつ傾斜搬送ベルトによって前記斜め方向に搬送して、傾斜搬送ベルト上で横滑りせる。それによって、用紙Sの一側縁がその全長にわたって基準ガイド7に当接して、用紙Sの斜行が補正される。
【0025】
用紙加工装置1は、第2搬送部6の後段に配置された第2加工部9を備えている。第2加工部9は、第2搬送部6から供給された用紙Sを加工する。第2加工部9は、実施形態では、第1加工部3と同様のバックル折り機であり、第2搬送部6から供給された用紙Sを第2方向Yに直角に折り畳み排出する。
【0026】
第1加工部3及び第2加工部9は、実施形態では、用紙折り機であり、具体的にはバックル折り機であるが、これに代えてナイフ折り機等でもよい。また、第1加工部3及び第2加工部9は、用紙折り機に代えて、用紙Sに筋を形成する筋入れ機、用紙Sにミシン目を形成するミシン機、用紙Sを所定の形状に打ち抜く打抜き機、用紙Sを断裁する断裁機/スリッターでもよい。また、第1加工部3及び第2加工部9は画像を用紙S上に形成する画像形成機でもよい。
【0027】
第2加工部9から排出された用紙Sは、用紙加工装置1の後段に配置された後処理装置Pに受け取られて後処理される。この実施形態の後処理装置Pは、大型であって容易に移動させることができないものとなっている。
【0028】
図2、
図3を参照して、第1搬送部5は、フレーム10と、用紙Sを搬送路G1上で第1方向Xに搬送するためにフレーム10に取り付けられた搬送コンベヤ11と、を備えている。
【0029】
搬送コンベヤ11は、上流端のプーリ12と、上流端のプーリ12から第1方向Xに間隔をあけて設けられた下流端のプーリ13と、を備えている。上流端のプーリ12及び下流端のプーリ13は、それぞれ、第1方向Xに直角にのびる回転軸14、15に取り付けられており、該回転軸14、15の周りに回転可能である。
【0030】
搬送コンベヤ11は、上流端のプーリ12と下流端のプーリ13とに掛け渡された無端状の搬送ベルト16と、上流端のプーリ12の回転軸14を回転させることで搬送ベルト16を駆動させるベルト駆動機構17(
図2)とを備えている。搬送ベルト16は、第1方向Xに直角な方向に適宜の間隔をあけて複数設けられている。搬送コンベヤ11は、搬送ベルト16の第1方向Xにのびる上側部分で用紙Sの下面を支持し、ベルト駆動機構17により駆動される搬送ベルト16によって当該用紙Sを搬送路G1上で第1方向Xに搬送するものである。
【0031】
第1搬送部5は、搬送コンベヤ11の下流端を基準ガイド7に対して第1方向X及びその反対方向に移動させるためにフレーム10に取り付けられた移動機構18を備えている。
図3の通り、移動機構18は、伸縮用のプーリ19、該伸縮用のプーリ19を上下方向に移動させるための上下動機構と、下流端のプーリ13を第1方向X及びその反対方向に移動させるための水平動機構とを備えている。
【0032】
図3の通り、伸縮用のプーリ19は、無端状の搬送ベルト16の内側に配置され、搬送ベルト16の下側部分に係合している。なお、テンションローラ20、21も、搬送ベルト16の下側部分に係合している。
【0033】
第1送りねじ22が、上下方向にのび、その軸線の周りに回転可能にフレーム10に支持されており、第1スライダ23が、第1送りねじ22の回転によって第1送りねじ22に沿って移動するよう第1送りねじ22に取り付けられている。伸縮用のプーリ19は、第1方向Xに直角にのびる回転軸を介して該回転軸の周りに回転可能に第1スライダ23に支持されている。それによって、第1送りねじ22がその軸線の周りに回転すれば、伸縮用のプーリ19が上下方向に移動する。
この第1送りねじ22及び第1スライダ23によって上下動機構が構成されている。
【0034】
第2送りねじ24が、第1方向Xにのび、その軸線の周りに回転可能にフレーム10に支持されており、第2スライダ25が、第2送りねじ24の回転によって第2送りねじ24に沿って移動するように第2送りねじ24に取り付けられている。スライドガイド26が、第1方向Xにのびるようにフレーム10に支持されており、支持体27が、スライドガイド26の案内によって第1方向X及びその反対方向に移動可能にスライドガイド26に設けられている。さらに、支持体27は、第2スライダ25に取り付けられており、第2スライダ25とともに移動するようになっている。そして、下流端のプーリ13が、回転軸15を介して支持体27に支持されている。それによって、第2送りねじ24がその軸線の周りに回転すれば、下側端のプーリ13が第1方向X及びその反対方向に移動する。なお、上流端のプーリ12は、回転軸14を介してフレーム10に支持されているので移動しない。
この第2送りねじ24、第2スライダ25、スライドガイド26、及び、支持体27によって、水平動機構が構成されている。
【0035】
なお、
図2の通り、用紙Sの浮き上がりを抑えるための複数の抑えローラ28が、搬送ベルト16毎に、下流端のプーリ13の上方に配置されている。抑えローラ28は、支持アーム29及び支持軸30を介して支持体27に支持されており、下流端のプーリ13とともに第1方向X及びその反対方向に移動するようになっている。
【0036】
図3の通り、移動機構18は、駆動用のモータ31を備えている。モータ31は、その駆動軸がカップリング32を介して第1送りねじ22の下端に連結されており、第1送りねじ22を回転させる。
【0037】
さらに、移動機構18は、第1送りねじ22のモータ31による回転を第2送りねじ24に伝達する伝達機構を備えている。伝達機構は、第1ギア33と第2ギア34とによって構成されている。第1ギア33は、第1送りねじ22の上端に取り付けられており、第2ギア34は、第2送りねじ24の上流端に取り付けられている。第1ギア33と第2ギア34とは、互いに噛み合っている。第1送りねじ22がモータ31によってその軸線の周りに回転すると、この回転が第1ギア33及び第2ギア34によって第2送りねじ24へ伝達され、第2送りねじ24もその軸線の周りに回転する。
【0038】
上記のような移動機構18によれば、第1送りねじ22及び第2送りねじ24がモータ31によってその軸線の周りの一方向に回転すると、
図3-
図5の通り、伸縮用のプーリ19が下方向に移動するとともに下流端のプーリ13が第1方向Xの反対方向に移動する。その結果、用紙Sの下面を支持して当該用紙Sを搬送する搬送ベルト16の上側部分は、第1方向Xにのびた状態のまま短縮し、搬送コンベヤ11の下流端は、基準ガイド7に対して離間する。
【0039】
一方、第1送りねじ22及び第2送りねじ24がモータ31によってその軸線の周りの他方向に回転すると、伸縮用のプーリ19が上方向に移動するとともに下流端のプーリ13が第1方向Xに移動する。その結果、搬送ベルト16の上側部分は、第1方向Xにのびた状態のまま伸張し、搬送コンベヤ11の下流端は、基準ガイド7に対して接近する。
【0040】
以上のように、下流端のプーリ13及び伸縮用のプーリ19が上下動機構及び水平動機構によって同時に移動にすることで、搬送コンベヤ11が、即ち搬送路G1は伸縮し、搬送コンベヤ11の下流端は基準ガイド7に対して第1方向X及びその反対方向に移動する。
【0041】
さらに、
図1の通り、用紙加工装置1は、制御部35を備えている。制御部35は、第1加工部の移動機構18を制御するためのものであり、プロセッサー等からなる。移動機構18(そのモータ31)は、制御部35に接続されている。制御部35は、第1加工部3によって加工された用紙Sの第1方向Xの長さと、基準ガイド7の位置とに基づいて、用紙Sの斜行の補正が安定して実現されるような搬送コンベヤ11の下流端の位置を決定する。例えば、搬送コンベヤ11の下流端と基準ガイド7との間の距離が、
図1の通り、第1加工部3によって加工された用紙Sの第1方向Xの長さより僅かに大きくなるように、搬送コンベヤ11の下流端の位置が決定される。
【0042】
そして、制御部35は、搬送コンベヤ11の下流端が上記のように決定された位置まで移動するように、移動機構18のモータ31を制御する。それによって、搬送コンベヤ11の下流端と基準ガイド7と間の最適な距離が設定され、用紙Sは第1搬送部5から第2搬送部6へスムーズに受け渡され、用紙Sの斜行の補正が安定する。
【0043】
上記において、制御部35は、第1加工部3により加工された用紙Sの第1方向Xの長さを、第1加工部3から制御部35に送られる第1加工部3の用紙Sの加工情報に基づいて算出している。第1加工部3が実施形態のようにバックル折り機の場合、加工情報は、折り畳まれる用紙Sのサイズ、折型、折寸法からなり、制御部35は、これらに基づいて、第1加工部3によって折り畳まれた用紙(即ち折丁)Sの第1方向Xの長さを算出する。なお、これに代えて、オペレータがこの用紙Sの第1方向Xの長さを不図示の入力部を通じて入力し、制御部35がこれを当該入力部から取得してもよい。
【0044】
基準ガイド7は、実施形態のように後処理装置Pが容易に移動できない場合、後処理装置Pの処理基準線Cの位置と、第1加工部3によって加工された用紙Sの第1方向Xの長さとによって決定される搬送路G2上の位置に配置されなければならない。従って、上記において、制御部35は、基準ガイド7の位置を、後処理装置Pから取得される処理基準線Cの位置と、前述のように算出される用紙(折丁)Sの第1方向Xの長さとに基づいて算出している。これに代えて、基準ガイド7の位置を検出する検出センサが設けられ、制御部35が、この検出センサから基準ガイド7の位置を取得してもよい。また、オペレータが入力部を通じて基準ガイド7の位置を入力し、制御部35がこれを入力部から取得してもよい。
【0045】
以上の本発明に係る構成によれば、後処理装置Pを容易に移動できない等の理由により基準ガイド7の位置が制限される場合でも、搬送コンベヤ11の下流端と基準ガイド7との間の距離を、移動機構18によって、第1加工部3に加工された用紙Sの第1方向Xの長さに合わせて最適に調整することができる。それによって、基準ガイド7の位置に関わらず、安定した用紙Sの斜行の補正が保障される。
【0046】
また、移動機構18が制御部35によって制御されて、搬送コンベヤ11の下流端(下流端のプーリ13)の位置が、最適にかつ自動的に調整されるので、ユーザーの負担が軽減されている。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 用紙加工装置
1’ 用紙加工装置(従来技術)
3 第1加工部
4 用紙搬送部(用紙搬送装置)
5 第1搬送部
6 第2搬送部
7 基準ガイド
8 傾斜搬送機構
9 第2加工部
11 搬送コンベヤ
12 上流端のプーリ
13 下流端のプーリ
18 移動機構
19 伸縮用のプーリ
S 用紙
X 第1方向
Y 第2方向
G1 第1加工部の搬送路
G2 第2加工部の搬送路
P 後処理装置
C 後処理装置の処理基準線