(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】心臓弁インプラント及び心臓弁インプラントシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2020503099
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2018058028
(87)【国際公開番号】W WO2018178210
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】102017002974.1
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519351152
【氏名又は名称】イマヌエル アルベルティネン ディアコニー ゲマインヌートツィヒェ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス アルベス
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0118213(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0200657(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0067048(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0106245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の拍動する心臓(1)内の弁フラップ(6)を最少侵襲修復するための心臓弁インプラント(11)であって、
-結合部材(20)を有し、結合部材(20)に、第1の端部(24)と第2の端部(24')が、一般的に互いに対向して、設けられており、
-係止部材(13)を有し、前記係止部材が近位の端部(51)と遠位の端部(52)を有し、近位の端部(51)が結合部材(20)の第1の端部(24)に配置されており、かつ結合部材(20)の第2の端部(24')には固定手段(18)が配置されており、
固定手段(18)が:
-パイプ部材(25);
-結合部材(27);及び
-把持部材(60)
を有し、
-結合部材(27)が自由端部(30)を有し、前記自由端部がパイプ部材(25)内に揺動可能に配置されており、かつ
-揺動可能な結合部材(27)の、長手軸(33)の長手方向(53)に対向する他の端部(54)にレッグばね(38)が揺動可能に配置されており、前記レッグばねに、このレッグばねと結合されて、レッグばね(38)によって平行に離隔した2つのばねアーム(50、50')が配置されており、かつ
心臓弁インプラントが、
-クリップ手段(74)を有し、前記クリップ手段が結合部材(20)を固定部材(18)と結合する、
心臓弁インプラント。
【請求項2】
パイプ部材(25)が結合部材(27)と共にジョイント状の結合(29)を形成し、結合部材(27)が把持部材(60)と共にジョイント状の結合(29')を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項3】
パイプ部材(25)が円筒状のスリーブ(25')として形成されており、かつ、スリーブ壁(32)内に、横軸(35)上に位置するように、2つの対向する開口部(31、31')を有し、横軸(35)がスリーブ(25')の長手軸(33)に対して垂直であり、かつ開口部(31、31')がスリーブ(25')の長手方向に見て、スリーブ壁(32)の中央に配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項4】
結合部材(27)がアーチ部(28)を形成し、前記アーチ部が2つの長手脚(34、34')と横脚(36)とを有し、長手脚(34、34')の自由端部(30)にピン又は
アイレットが配置されており、かつ横脚(36)が横軸(44)を有する結合ロッド(37)を形成し、それがスリーブ(25')内の横軸(35)に対して平行に離隔しており、かつ結合ロッド(37)としてレッグばね(38)の支持体である、ことを特徴とする請求項1に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項5】
把持部材(60)のレッグばね(38)が板ばね(39)からU字状に形成されており、かつ少なくとも2つの板ばね脚(45、45’、49、49')を有し、脚領域(40)の内側に位置する頂点(48)に、アーチ部(28)の結合ロッド(37)に対して関連する、横軸(55)を有する結合部材(41)が配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項6】
結合部材(41)が、少なくとも1つのリングアイ(42、42')、円筒状の通路(43)、長手溝(43)又はスリット(72)から形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項7】
結合部材(41)が、板ばね脚(45、45’、49、49')の開口部(47)とは逆の側の脚領域(48)内で、板ばね脚(45、45’、49、49')の外側(70)に配置されている、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項8】
レッグばね(38)の板ばね(39)が、面(70)内で、板ばね脚(45、49)内に少なくとも1つの凹部(71)を有している、ことを特徴とする請求項5に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項9】
把持部材(60)が、ばねアーム(50、50')によって形成される口部分(56)を有し、前記口部分が把持部材(60)の固定側(63)に、かつ開放されたレッグばね(38)とは逆の側に、かつパイプ部材(25)の長手軸(33)上に位置するように配置されており、口部分(56)が、口部分(56)内に配置された少なくとも1つのスペースホルダ(88)を有し、前記スペースホルダが口部分(56)内のグリップジョウ(86)の歯切り(87)の間のあらかじめ定められた間隙(89)を発生せる、ことを特徴とする請求項1に記載の心臓弁インプラント(11)。
【請求項10】
患者の拍動する心臓(1)内の弁フラップ(6)を最少侵襲修復するための心臓弁インプラントシステムであって、
-固定手段(18)を案内して保持するための内径を備えた外側のパイプスライダ(57)を有し、
-把持部材(60)を開放及び閉鎖するための内径を備えた第1の内側のパイプスライダI(58)を有し、
-係止部材(13)を案内してねじ込むための内径を備えた第2の内側のパイプスライダII(59)を有し、
-スライドリング(76)を導入して位置決めするための第3の内側のパイプスライダIII(77)を有し、かつ
-心臓弁インプラント(11)を有し、前記心臓弁インプラントが、
-結合部材(20)を有し、結合部材(20)に第1の端部(24)と第2の端部(24')が、一般的に対向して、形成されており、
-係止部材(13)を有し、前記係止部材が近位の端部(51)と遠位の端部(52)を有し、近位の端部(51)が結合部材(20)の第1の端部(24)に配置され、結合部材(20)の第2の端部(24')に固定手段(18)が配置されており、
-固定手段(18)が、円筒状のスリーブ(25')の形式のパイプ部材(25)として形成されており、かつ
-結合部材(
27)と把持部材(60)を有し、
-結合部材(
27)がアーチ部(28)を有し、前記アーチ部が自由端部(30)を有し、前記自由端部がパイプ部材(25)内に揺動可能に配置されており、
-揺動可能な結合部材(27)の、長手軸(33)の長手方向(53)において対向する他の端部(54)に、把持部材(60)が揺動可能に配置されており、かつ
-把持部材(60)がレッグばね(38)を有し、前記レッグばねに、そのレッグばねと堅固に結合されて、レッグばね(38)によって平行に離隔した2つのばねアーム(50、50')が配置されている、
心臓弁インプラントシステム。
【請求項11】
把持部材(60)が、ばねアーム(50、50')によって形成される口部分(56)を有し、前記口部分が把持部材(60)の固定側(63)に、かつ開放したレッグばね(38)とは逆の側に、そしてパイプ部材(25)の長手軸(33)上に位置するように配置されており、口部分(56)が、口部分(56)内に配置された少なくとも1つのスペースホルダ(88)を有しており、前記スペースホルダが口部分(56)内でグリップジョウ(86)の歯切り(87)の間にあらかじめ定められた間隙(89)を発生させる、ことを特徴とする請求項10に記載の心臓弁インプラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓弁インプラント及び最少侵襲性の外科学用の心臓弁インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓外科の領域においては、生きている有機体の内部、たとえば心臓の内部を調査するため、かつ/又は手術介入、たとえば心臓弁の最少侵襲性の修復用に利用するために、器具、装置あるいは方法が使用され、その場合に外科用器具が使用され、その器具が心臓内へのアクセスによって、種々の修復及び拍動する心臓におけるインプラントの挿入を実施することを許す。
【0003】
現在では、心臓弁介入において、種々の従来的かつ最少侵襲性の外科的方法が適用される。心臓弁介入は、心臓弁の機能能力を再び形成する目的をもって、心臓弁もしくは心臓弁小葉におけるカテーテル支援される、あるいは手術による介入である。機能能力を形成するために、種々の技術的方法と外科用器具が提供される。この種の技術は、心臓弁の修復と代替を有する。心臓において修復を行うことができるようにするために、種々のアクセス方法がある。心臓への手術によるアクセス方法は、たとえば、患者の胸腔内へのアクセスを可能にする、医療的胸骨切開の形式の開胸術を介して行われる。そのためには、胸骨を縦方向に切り開き、もしくはのこぎりで開けて、肋骨開排器によって胸郭の2つの半体を互いに押し広げなければならない。そして手術チームにとって、心臓及び胸部脉管システムへの自由な視野が開ける。手術フィールドの視覚化と大きさに基づいて、多数の外科用器具を使用することができる。しかし胸郭のこのような開放によって、患者においては外傷の程度が大きく、病院における静臥時間が長く、かつ治癒プロセスが長引くことになる。この既知のアクセス方法とそのために使用される外科用器具は、ここでは従来技術を記録するためだけに示されており、それについてはこれ以上考察しない。
【0004】
多くの心臓病において、もしくは心臓機能不全において、カテーテルによる心臓の介入が実施される。多くの心臓弁膜症は、最近のカテーテル方法によって丁寧なやり方で是正され、かつより大きい手術が回避される。特に左の心臓半体の心臓弁における、したがって大動脈及び僧坊弁における現在の故障は、カテーテルを用いて処理される。他のカテーテル侵襲におけるように、プラスチックカテーテルが鼠径内又は腕内の血管を介して心臓まで移動される。心臓へのこのアクセス方法(トランスカテーテルテクノロジー)も、ここでは詳細に考察しない。
【0005】
多数の心臓疾患もしくは心臓機能不全については、心臓へのアクセスは、特に僧坊弁外科学において、最終侵襲性の方法を用いて行われる。僧坊弁外科学において、これまでは患者の胸郭の開放と心肺機械の使用がまだ必要であった。
【0006】
従来技術からは、心臓弁介入におけるこの種の手術は、拍動する心臓においても行うことができることが、知られている;特許文献1(国際公開第2006/078694(A2)号)を参照。したがって再構築と代替は、開放した開胸方法におけるように、最少侵襲性外科学の使用によって可能である。
【0007】
大動脈弁再構築と僧坊弁再構築とが区別される。僧坊弁再構築は、僧坊弁(両尖弁)の維持による弁機能の再形成である。したがって人の心臓の内部で僧坊弁の弁機能を成功裏に修復するために、僧坊弁の種々のコンポーネントが調査され、その可能な機能不全が検証される。調査は、特に、たとえば心臓カテーテルとエコーカルディオグラフィーによって、手術前に診断を用いて行われる。
【0008】
僧帽弁(Mitral Valve)は、4つの機能的なコンポーネント、前方の小葉(cupis anterior)と後方の小葉(cupis pasterior)からなる2つの小葉(Mitral Valve Leaflets)、僧帽弁リング(Mitral Valve Annulus)内の小葉の懸架部、小葉を乳頭筋(Papillary Muscles)に移動可能に固定する腱索(Chordae tendineae)及び心筋層内で終了する乳頭筋自体からなる。各個々のコンポーネントを修復するために、様々な外科用器具及び/又はインプラントが提供される。
【0009】
たとえば代替品としての人工糸の移植による、腱索の修復も、僧坊弁再構築に属する。従来技術、特許文献2(米国特許第8758393(B2)号明細書)と特許文献3(米国特許第9192374(B2)号明細書)からは、(脱出した)僧坊弁小葉の腱索を最少侵襲修復する装置が知られている。僧坊弁の小葉に付着する1つ又は複数の腱索の破裂が、腱索破裂と称される。その場合に弁逆流をもたらす、破裂した腱索(severed chordae)が人工的な糸(artificial chordae)に代えられ、その場合に人工糸は一方で、左心房の僧坊弁の小葉に、そして他方では左心室(left ventricel)の尖端(Apex)の心外膜に固定され、それによって心臓収縮の間小葉弁(valve leaflets)が前庭(left atrium)内へ裏返ることが阻止される。人工の腱索(artificial chordae)からなるインプラントを挿入するための器具のアクセスは、心臓の尖端(apex)における心筋層を通して左心室内へ切開(lateral LV incision by true apex)することを介して行われる。最少侵襲性僧坊弁外科学によって心臓内の破裂した腱索(severed chordae)の箇所に達するためには、左の側方の胸郭開放(left anterolaterale minithracotomy)を行うことが、必要である。尖端内の開口部を通して器具が左室内へ導入され、それによって機能不全によって損傷した弁小葉が捕捉される。器具は、弁小葉を通して二重の人工の腱索を案内し、ループを用いてそれを固定し、それによって弁小葉が捕捉される。腱索の必要な長さが種々の測定方法、たとえばTEE方法に基づくエコーカルディオグラフィーを介して求められた後に、腱索の2つの端部が心外膜の外部で尖端に結びつけられる。前もって心臓尖端における開口部が縫われている。しかしこの器具は、アクセスが左心房を介して行われる場合には、心臓の左室内の破断した腱索(severed chordae)に使用するのには適していない。
【0010】
最少侵襲性の外科学を使用するための、拍動する心臓における他の心臓弁修復システムは、特許文献4(米国特許第9044221(B2)号明細書)から読み取ることができる。交換可能な修復システムを使用する外科学的方法が記述される。修復システムは、1つの装置にまとめられる、種々のコンポーネントからなる。方法を適用するためには、心壁の尖端を開放することができるようにし、かつアクセスを設けるために、左の胸郭領域内の肋骨の間のアクセスが必要である。このアクセスは、套管針の場合と同様に、装置の種々のコンポーネントを収容することができる。その場合に装置のまとめてロックされた配置が、ユニットとしてアクセスを通して左心室内へ送り込まれる。装置の送りの監視は、画像を与える方法によって行われる。弁逆流を減少させるために、この装置によって、組織を把持した後に人工糸が、縫い付けカテーテルを用いて、一方で心臓弁小葉にノット(girth hitch knote)を用いて固定され、他方では乳頭筋に縫い付けられる。また、ノットスライダの使用及び尖端の領域内で心臓の外側の心外膜上に糸を結びつけることが可能である。この器具とインプラントも、アクセスが右の胸郭領域を介して左心房内へ行われる場合には、心臓の左心室内の破裂した腱索(severed chordae)に使用するには適していない。
【0011】
機能不全の心臓弁の修復及び/又は補修は、特許文献5(米国特許第8480730(B2)号明細書)、特許文献6(米国特許第8888844(B2)号明細書)、特許文献7(米国特許第8894705(B2)号明細書)、特許文献8(米国特許第9232999(B2)号明細書)に開示されているように、心臓弁インプラントの使用によっても、行うことができる。ここで適用されるのは、心臓弁機能不全を是正することができる、本発明に係る外科用器具もしくは装置の適用ではなく、僧坊弁スペーサである。僧坊弁スペーサは、弁インプラントであって、それは、左室が収縮する場合に血液がその室から右の前房へ逆流することを阻止するために、僧坊弁の開閉する開口部内へ挿入することができる。弁インプラントは軸からなり、その軸は心臓インプラントの長手軸に沿って延びており、かつ上方の端部にスペースホルダを有しており、そのスペースホルダは多数のセグメントから形成されている。これらのセグメントは、様々な大きさと形状を有することができる。セグメントの外側面は、僧坊弁が閉鎖する際に弁小葉が添接するために用いられる。軸は、下方の端部にアンカーセクションを有している。アンカーセクションは、螺旋ねじからなり(helical tissue anchor)、その螺旋ねじがその軸を中心に回転することによって心臓の筋肉組織内へ介入する。どのようにして、どのような手段で螺旋ねじが筋肉組織内に固定されるかにつては、開示されていない。この種の弁インプラントの挿入は、しかるべき位置へ心臓を移動させることを可能にする、医療用の長手胸骨切開のアクセスを介して、あるいは開胸術のアクセスを介して行われる。2つの方法は、僧坊弁への視野を有する、心臓の左の前房への介入を可能にする。外科学から知られたカテーテルは、心臓弁インプラントを左の前房内へ導入し、そこに固定し、かつ2つの僧坊弁小葉の間に弁体を位置決めするために、利用される。弁体もしくはスペースホルダへの弁小葉の固定は、行われない。
【0012】
特許文献9(米国特許第8216302(B2)号明細書)からは、供給カテーテルが知られており、それは経皮的に心臓内へ導入され、かつそれを介して僧坊弁インプラントが送られる。左心室内の僧坊弁インプラントの固定は、螺旋ねじを有する係止機構によって行われる。螺旋ねじは、天然の心臓組織、心臓の尖端近傍の左室の筋肉壁に挿入される。螺旋ねじの挿入は、インプラントを回転させることによって行われ、それによって、螺旋ねじが筋肉組織内へ進入する。螺旋ねじの挿入は、
図7と
図8の説明に従って行うこともできる。スリーブ内の結合された位置にある2つのロックピンからなるロック機構は、スリーブ内のセンタリングセットによって案内される、供給ワイヤを用いて回動させて移動させることができる。ロック機構は、組織内へ挿入すべき螺旋ねじを制御するために、係止ワイヤとその停止機構に作用する。複雑な機構を回避するために、新しい螺合システムを開発することが必要である。
【0013】
装置を用いて組織内へ螺旋ねじを挿入することは、特許文献10(米国特許出願第2007/0150000(A1)号明細書)からも知られている。この装置によって心臓内の2つの離隔した組織フラップが螺旋ねじによって互いに結合される。そのために、経静脈的に心臓内へ導入可能な供給カテーテルによって、摺動可能な装置(ねじカテーテル)が離隔した組織フラップへ案内されて、ねじ込み可能な螺旋ねじによって一緒に案内される。現在添接している組織フラップは、高周波電圧の印加によって互いに接着される。
【0014】
心臓及び胸郭外科において、少なくとも1つの開放した手術が実施され、それにおいて胸郭の開放によって心臓へのアクセスが形成される。アクセスは、通常、医療的な胸骨切開によって行われ、その場合に胸郭を開放するために、約25cm長さの縦のカットが胸骨を通して形成される。胸郭切開の場合に、胸郭の外科的開放は、肋間カットによって、すなわち肋骨間隙内への小さいカットによって、行われる。胸骨切開又は開胸術によって形成された開口部は、胸郭を広げて開放しておくために使用される肋骨開排器によってあけたまま維持される。開口部は、外科医が手術的介入を行うためのアクセス部として用いられる。その場合に有機的な身体部分における介入は、形成された胸郭内の開口部を通して多数の様々な外科用器具を用いて行われる。たとえば、患者の心臓が露出している場合に、直接心臓と大きい血管に種々のカテーテル、カニューレ及びクリップが添接される。典型的に、冠状動脈を動脈システムの残りから絶縁するために、大動脈が、上昇する大動脈の周りで血管クリップによって遮断され、その場合にここで遮断というのは、血管を把持して、圧縮し、締めつけて保持することである。必然的に使用される外科用器具が、身体開口部を縮小し、したがって外科医の視野内の活動をじゃまする。さらに開口部、生じる組織被害及び手術の外傷の大きさに基づいて、患者における迅速な治癒プロセスは期待できない。医療的な胸骨切開の欠点は、回避されなければならない。
【0015】
最少侵襲性外科学から、心臓弁インプラント及び付属の外科用器具に課される要請を満たすために、心臓弁インプラント及び外科用器具の新しい実施形態を開発することが必要である。
【0016】
既知の配置の上述した欠点及び外科的不十分さを回避する、最少侵襲性の外科的方法において使用するための外科用器具を有する医療用心臓弁インプラント、特に一方で簡単かつコスト的に好ましく形成することができ、他方で人間工学的かつ操作の視点で簡単な機能幾何学配置を有する、高められた要求のための心臓弁インプラントを形成することを可能にする、外科用心臓弁インプラントを提供することが必要である。この外科用心臓弁インプラントは、有機的な身体部分を再構築するだけでなく、外科医に、患者の心臓内の様々な条件に基づいて、たとえば心筋と僧坊弁小葉の間の様々な長さ間隔に対応することができ、かつ僧坊弁の弁内の最少の逆流を調節することができる可能性を与えるものである。様々に調節可能な逆流は、様々な医療用の使用に対応する。
【0017】
したがって最少侵襲性技術(Minithorakotomie)を用いて、拍動する心臓において手術を可能にすることが必要である。もちろん処置する心臓外科医は、最少侵襲性の方法によって心臓弁修復を実施することができるかを、前もって試験している。解剖学的又は技術的前提、そしてまた必要な介入の複雑さも、最少侵襲性方法の使用を著しく制限する。
【0018】
従来技術から、上述したように、患者の拍動する心臓内で弁フラップを最少侵襲修復するための心臓弁インプラントが、知られている。特に僧坊弁再構築用の、心臓弁インプラントは、たとえば糸、軸又はワイヤのような結合部材からなり、結合部材は一般的に心臓弁インプラントの長手軸に沿って線形に延びており、その場合に、互いに対向して配置された第1と第2の端部を有する結合部材が、好ましくは螺旋ねじとして形成されたアンカーを有し、その螺旋ねじが近位の端部と遠位の端部を有し、その場合に近位の端部が結合部材の第1の端部に配置されている。結合部材の第2の端部には、固定手段が配置されている。この種の心臓弁インプラントは、左の胸郭領域から左心室内へ挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】国際公開第2006/078694(A2)号
【文献】米国特許第8758393(B2)号明細書
【文献】米国特許第9192374(B2)号明細書
【文献】米国特許第9044221(B2)号明細書
【文献】米国特許第8480730(B2)号明細書
【文献】米国特許第8888844(B2)号明細書
【文献】米国特許第8894705(B2)号明細書
【文献】米国特許第9232999(B2)号明細書
【文献】米国特許第8216302(B2)号明細書
【文献】米国特許出願第2007/0150000(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、最少侵襲外科学の適用の枠内で既知のカテーテルを用いて、右の胸郭領域と心臓の左心房とを介して左心室内へ埋め込んで、そこに係止することができる、心臓弁インプラントを提供することである。
【0021】
したがってインプラントは、套管針及び/又はカテーテルを通して手術箇所へ案内することができる大きさのみを占めなければならない。インプラントは、1つの形態において、固定手段を搭載することができる。固定手段は、僧坊弁もしくは僧坊弁小葉を捕捉することができなければならない。僧坊弁もしくは僧坊弁小葉は、固定手段によってさらに移動可能でなければならないが、移動あそび空間内で調節可能であり、かつ制限されている。固定手段を心臓の心筋組織と結合することを、設けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
解決するために、請求項1及び10に記載の心臓弁インプラント及び心臓弁インプラントシステムが提供される。形態が、下位請求項の対象である。
【0023】
麻酔された患者において心臓弁修復のためにハイブリッドORシナリオが適用される。それによれば、衰弱した右の肺翼において第3又は第4の肋間の間の右の胸郭内に複数の側方の小さいアクセス開口部が形成される。この介入は、最少侵襲技術(鍵穴外科学とも称される)によって行われ、たとえば套管針、傷拡張器、光学系、前庭トップリトラクターなどのような器具を収容する。好ましくは、最少侵襲性の外科的方法を適用する場合に、心臓弁インプラントを移植するために、たとえば大動脈クリップのため、および心肺機械のためのアクセスは、もはや不要であって、それによって侵襲の減少及びそれに伴って患者にとって負担減少が得られる。
【0024】
外科用器具とインプラントによって心臓内へ進入することができるようにするため、かつ心臓弁脱出、特に僧坊弁脱出を是正するために、僧帽弁再構築を実施するために、左心房を小さいカット、切開によって開放し、套管針を挿入することが必要である。套管針は、たとえば、1つ又は複数のカテーテル及びインプラントを収容し、かつ左心房内へ、そして次にさらに僧坊弁の弁内もしくは僧坊弁小葉の間に生じた開口部を通るアクセスガイドとして用いられ、それによって僧坊弁の左心室内へ進入することができる。
【0025】
心臓弁インプラントは、1つの形態において、僧帽弁インプラントを有しており、それは商品名「MitraPeg」と称することもできる。「MitraPeg」は、3つの部材によって形成することができる。第1の部材は、螺旋状に形成された係止部材であって、螺旋ねじとして形成されている。第2の部材は、人工的な糸又はワイヤからなる結合部材であって、その結合部材にはスライドリングの形式のクリップ手段が設けられている。スライドリングは、糸と固定手段の間の結合を形成する。第3の部材は、僧帽弁インプラントのベースを形成し、それは、僧帽弁の動きを制限し、もしくは位置決めすることができるようにするための固定手段に関する。3つすべての部材は、調整後に心臓弁インプラントとして互いに結合される。
【0026】
固定手段は、一方で、僧坊弁の弁小葉を捕捉することができ、他方では人工的な糸又はワイヤへの結合を形成し、その糸又はワイヤの端部に係止部材が配置されている。固定手段も、3つの部材を有することができる。3つの部材は、パイプ部材、結合部材及び把持部材とすることができる。パイプ部材は、円筒状のスリーブとそれに配置された結合部材を有することができる。結合部材は、ワイヤ状のアーチ部によって形成することができ、そのアーチ部が円筒状のスリーブとジョイント結合されている。ジョイントは、ある技術においては、自由度を有する、2つの部分の間の回転運動可能な結合である。結合は、アーチ部がスリーブを中心に360度だけ揺動するように、形成することができる。そのためにアーチ部は、ほぼU字形状に形成することができ、その場合にアーチ部の一方の開放した横端部はそれぞれピンによってスリーブ壁内の開口部内へそれぞれ回転運動可能に嵌入し、したがってスリーブの外側に揺動可能に連結することができる。スリーブ壁内の2つの開口部は、スリーブを通して横方向に、もしくはスリーブの長手軸に対して垂直に延びており、かつスリーブの長手方向に見て、ほぼ中央に配置されている。
【0027】
ワイヤ状のアーチ部の、スリーブから遠い他方の横端部は、ピンをもたないことができ、かつつながった横ロッドを有することができ、その横ロッドが2つの長手脚の間に結合ロッドとして配置されており、かつそれらを結合する。結合ロッドは、把持部材の支持体である。
【0028】
把持部材は、1つのレッグばねと2つのばねアームを有することができる。レッグばねは、特殊鋼から、たとえばばね鋼から、あるいはNitinolからからなる板ばねとすることができ、アーチ部の結合ロッドを収容するために2つのアイ又は溝を有することができる。
【0029】
アーチ部の結合ロッドは、同時にレッグばねの頂点内で横軸を形成し、その横軸内へアーチ部の、スリーブから遠い横端部が嵌入する。結合部材とレッグばねの間の結合は、レッグばねがアーチ部の結合ロッドを中心に回転することができるように、構成することができる。したがってレッグばねはアーチ部と共にジョイント状の結合を形成し、その結合はスリーブの長手軸に対して垂直に延びている。一方で、レッグばねは、スリーブ内の横軸を中心に所定の角度領域内で固定の円軌跡上に揺動可能に配置することができ、他方ではレッグばね自体が専用の横軸を中心に回転することができる。この構成に基づいて、互いに堅固に結合された部材と手段は、ジョイント状の結合を介して移動可能に配置されている。
【0030】
レッグばねは、レッグばねと堅固に結合されている2つのシート形状のばねアームの支持体となることができる。2つのばねアームは、レッグばねによって平行に離隔することができ、かつ把持セクションを備えた口部分を有することができる。ばねアームとレッグばねの課題は、把持部材の口部分を開放し、かつ閉鎖させることができるようにすることである。したがってレッグばねは、特に重要である。というのは、ばねアームもしくは口部分の把持アームの間に弁小葉を連続的に挟持して固定することができるようにするために、ばねアームに力を加えなければならないからである。やや長円形に湾曲されたばねアームは、弾性的な把持アームを形成する課題を有している。ばねアームは、一方の端部において開放されており、かつ、レッグばねの大きさによってあらかじめ定められる間隔を有している。ばねアームの他方の端部は、閉鎖された口部分を備えた移動可能な把持アームを形成する。
【0031】
移植に適した、この種の心臓弁インプラントは、僧坊弁インプラントに関連してこれに先立つ記載によって開示されている。インプラントは、他の適用において、たとえば他の心臓弁と組み合わせたインプラントとして使用することもできる。したがってこの開示の視点は、僧坊弁インプラントに限定されず、このインプラントは種々の心臓弁再構築の使用のために設計することができる。
【0032】
上述した説明に従って、この種の心臓弁インプラントを形成し、拍動する心臓における外科的介入において使用することができる。最初にこれは、心臓弁インプラントの組立て大きさを最小限に抑え、右の胸郭側からの心臓へのアクセスを可能にするという課題を解決することに関する。心臓内へ挿入する前に、心臓弁インプラントを分解して最小化することが可能である。心臓弁インプラントは、構造的に多部材で形成することができる。心臓弁インプラントの諸部材は、個々に心臓内へ導入されて、そこで組み立てられる。
【0033】
これらの部材は、係止部材、クリップ手段を有する結合部材及び固定手段とすることができる。3つの部材が一緒になって、心臓弁インプラントを形成することができる。
【0034】
心臓弁インプラントの最小化は、個々の部材が、套管針内で案内される外科用器具をまだ通ることができる最大の組立て大きさしか有することができないことを、意味している。係止部材と結合部材は組立て大きさにおいて問題にならず、問題になるのは部材を挿入して固定するために必要な外科医用器具である。したがって結合部材に配置されている係止部材の挿入と固定のために、パイプスライダIIの形式の内側の外科用器具を設けることができる。内側のパイプスライダIIの寸法は、心臓の前庭内に挿入された套管針を通り、かつ套管針内に導入された、外側のパイプスライダの形式の外科用器具を通して案内されるのに適したものとすることができる。さらに、内側のパイプスライダIIは、固定手段を通して摺動できなければならない。このパイプスライダは、ここでは内側のパイプスライダIIと称される。このパイプスライダは、係止部材とそれに配置されている結合部材を左心房と左心室を通して心臓内の僧坊弁へ案内して、ここに固定することができるように、構成されている。係止部材を固定するために、内側のパイプスライダIIは導入される端部にクリップ手段を有しており、そのクリップ手段によって係止部材を心筋層内へねじ込むことができる。内側のパイプスライダIIは、簡単なやり方で係止部材から外して、外側のパイプスライダから除去することができる。
【0035】
係止部材に配置された結合部材を僧坊弁もしくは僧坊弁小葉と結合するために、上述し、かつ図にも示されるような固定手段が開発された。固定手段は、外側のパイプスライダの形式の外科用器具を用いて套管針を通して案内することができるように考えて、わずか数ミリメートルの組立て大きさを有することができる。他の視点によれば、固定手段は僧坊弁小葉を捕捉して挟持するための把持手段を有している。さらに固定手段は結合部材と結合することができ、それによって僧坊弁小葉と心筋層との間の定められて離隔した結合を形成することができる。離隔した結合は、長さにおいて固定的に限定されており、すなわち僧坊弁小葉は室内でのみ移動できるが、前庭内へもどるように振動しない。しかし長さを短縮した場合には、結合は移動可能であり、すなわち僧坊弁が室内で心筋壁の方向へ振動した場合に、結合部材は撓む。僧坊弁小葉と心筋層との間の長さにおいて固定的に限定されているが、移動可能な結合は、クリップ手段を固定手段内へ挿入することによって行われ、そのクリップ手段によって結合部材が固定手段内に挟持される。クリップ手段は、スライドリングからなる。スライドリングを固定手段内へ挿入するために、他のパイプスライダIIIの形式の他の外科用器具が提供される。固定手段を心臓内へ挿入するためにも、すでに示したように、外側のパイプスライダの形式の特殊な外科用器具が必要である。この外側のパイプスライダは、套管針を通して導入可能である。さらに外側のパイプスライダは、内側のパイプスライダI、II、IIIを収容することができる。たとえば外側のパイプスライダを通して案内される、内側のパイプスライダIによって、口部分を開閉するための固定手段の把持部材が捕捉される。その間、外側のパイプスライダが固定手段をしっかりと保持する。
【0036】
右の胸郭側から拍動する心臓に心臓弁インプラントを挿入するための最少侵襲外科方法を実施する課題は、上述した形態によって解決される。
【0037】
心臓弁インプラント、特に僧坊弁インプラントを形成して、最少侵襲性の外科的方法の使用によって人又は動物の身体に手術的に介入する場合に使用するために、心臓弁インプラントの挿入に必要な外科用器具を、人間工学的に形成された、操作を容易にする種々のパイプスライダを有する、供給及び取り出し装置が外科医に提供されるように、形成することができる。
【0038】
この種の心臓弁インプラントを心臓内に移植することができるようにするために、請求項10に記載の装置と心臓弁インプラントとを有するシステムが提供され、そのシステムによって僧坊弁再構築が可能になる。
【0039】
患者の拍動する心臓内の弁フラップを最少侵襲で修復するための心臓弁インプラントシステムは、以下のものを有することができる:固定手段を案内して保持するための内径を有する外側のパイプスライダと、把持部材を開放して閉鎖するための内径を有する第1の内側のパイプスライダI。さらに、係止部材を案内してねじ込むための内径を有する第2の内側のパイプスライダII及びクリップ手段を導入して位置決めするための第3の内側のパイプスライダIIIを設けることができる。この外科用器具によって、心臓弁インプラントが整えられる。心臓弁インプラントは、糸又はワイヤのような結合部材を有することができ、その糸又はワイヤは一般的に心臓弁インプラントの長手軸に沿って線形に延びており、その場合に結合部材には、一般的に互いに対向する第1と第2の端部が設けられている。近位の端部と遠位の端部とを有する螺旋ねじとして形成された、係止部材を設けることができ、その場合に近位の端部が結合部材の第1の端部に配置されており、結合部材の第2の端部には固定手段が配置されている。
【0040】
さらに、心臓弁インプラントは、円筒状のスリーブの形式のパイプ部材として形成された固定手段と結合部材及び把持部材を有することができ、その場合に結合部材がアーチ部を有することができ、そのアーチ部が自由端部を有し、その自由端部がパイプ部材内に揺動可能に配置されている。揺動可能な結合部材の、長手軸の長手方向に対向する他の端部に、把持部材を揺動可能に配置することができ、その場合に把持部材はレッグばねからなることができ、そのレッグばねに、それと堅固に結合された、レッグばねによって平行に離隔する2つのばねアームが配置されており、それによって少なくとも部分的に心臓弁の閉鎖された位置にある弁を通る血液の逆流が最小限に抑えられる。
【0041】
心臓弁インプラントシステムの把持部材は、把持アームの固定側に、かつ開放したレッグばねの反対側に、かつパイプ部材の長手軸上に位置する、ばねアームによって形成される口部分を有しており、その場合に口部分は、その口部分内に配置された少なくとも1つのスペースホルダを有しており、そのスペースホルダが口部分のグリップジョウの間にあらかじめ定めら、かつ前もって正確に定められた間隙を発生させ、それによって歯切りを有するグリップジョウが直接互いに重なる合うことがなく、組織を外傷なしで挟持する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】左心房と左心室内に挿入された僧坊弁インプラントとを有する左心室を図式的に示す断面図である。
【
図2a】閉成された把持アームを有する固定手段の3つの部材を側面図で同様に図式的に示している。
【
図2b】開放された把持アームを有する固定手段を示している。
【
図3a】
図2a、2bに示すばねアームなしでレッグばねの実施形態を斜視図で示している。
【
図3b】
図2a、2bに示すばねアームなしのレッグばねの代替的な実施形態を斜視図で示している。
【
図3c】
図2a、2bに示すばねアームなしのレッグばねの他の実施形態を斜視図で示している。
【
図4a】挟持された僧坊弁小葉を有する固定手段を図式的に示している。
【
図4b】パイプ部材を中心とする把持部材の揺動プロセスにおいて、挟持された僧坊弁小葉を有する固定手段を図式的に示している。
【
図4c】結合部材に配置された係止部材を案内して固定するための外科用器具を図式的に示している。
【
図5】左心室内に係止された心臓弁インプラントを図式的に示している。
【
図6】クリップ手段の支援によって固定手段と係止部材との間の結合を形成することを、図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に図式的かつ原理的に示す心臓1は、その長手軸を中心に回動して、左の胸腔内にあるので、右の心臓半体は多くは前方の胸壁に添接し、左の心臓半体はどちらかと言うと後方を向いている。既知の従来技術に基づいて、本発明の課題は、心臓弁インプラント11を開発することであって、その心臓弁インプラントは、患者の拍動する心臓1に最少侵襲性の外科的方法を適用する場合に、既知の外科用器具と套管針5を用いて、右の胸郭領域と心臓1の左心房3を介し、かつそこから左心室7内へ挿入して、そこに係止することができる。
【0044】
したがって左心房3と僧坊弁6へ至る左心房3内へのアクセス4及び左心室7を有する、左心室2が示されている。アクセス4は、示唆される套管針5、外側のパイプスライダ57及び内側のパイプスライダI58を介して行われる。外側のパイプスライダ57は套管針5を通して、内側のパイプスライダI58は外側のパイプスライダ57を通して案内される。内側のパイプスライダI58は、手術の経過において他のパイプスライダII59(
図4cを参照)と交換される。左心室7は、流入路と流出路に分割されている。それは、僧坊弁6によって前庭3から分離されている。僧坊弁6は、腱索(Chordae tendineae)8によって乳頭筋9と結合されており、その乳頭筋は室壁10から来ており、かつ、僧坊弁6がその弁閉鎖の際に、かつ左心室7の収縮の間左心房3内へ激しく折り返らないようにする。左心室7内には、挿入された僧坊弁インプラント11が見られる。僧坊弁インプラント11は、遠位の端部12に係止部材13を有しており、その場合に係止部材13は、コルクスクリュー状の螺旋ねじ14からなる。従来技術に基づく他の係止手段の使用が考えられる。ねじ込まれた螺旋ねじ14は、心臓筋肉組織15内で尖端の領域、いわゆる尖った心臓領域16内に位置する。さらに僧坊弁インプラント11は、近位の端部17に固定手段18を有し、それが僧坊弁小葉19に固定されている。僧坊弁6は、2つの小葉19.1、19.2、前方の小葉(Cuspis anterior)19.1と後方の小葉(Cuspis posterior)19.2からなる。
図1によれば、僧坊弁インプラント11は、たとえば前方の損傷した小葉19.1に取り付けられている。係止部材13と固定手段18の間に結合部材20が配置されている。結合部材20は、人工の糸21からなり、その糸は、一般的に、心臓弁インプラント11の長手軸23に沿って線形に延びており、かつたとえば1つ又は複数の破裂した腱索22の機能の欠陥を代用し、その場合に、一般的に互い対向して配置されている、第1の端部24と第2の端部24’を有する結合部材20は、固定手段18を係止部材13と結合する。固定手段18は、
図2aと
図2bにおいて詳細に記述される。
図1に基づく同様な参照符号が、
図2aと
図2bにおいて引き継がれる。
【0045】
図2aと
図2bは、固定手段18を図式的な表示において側面図で示している。
図2aによれば、ばねアーム50、50’の把持部材60に、閉成された口部分56が設けられており、
図2bによれば開放された口部分56が設けられている。口部分56は、心臓弁インプラント11のアクティブな側を、もしくは僧坊弁6における心臓弁インプラント11の固定側63を形成しており、かつ
図2cにおいて詳細に記述される。円筒状のパイプ部材25の、固定側63とは逆のフランジ側64は、パッシブな側であって、それは、固定手段18を操作し、もしくは左心房3内へ挿入し、それに続いて僧坊弁小葉19を捕捉して挟持した後に、左心室7内へ挿入するために、用いられる。
【0046】
套管針5を通して固定手段18を前庭3内へ導入する前に、固定手段18の円筒状のパイプ部材25が、既知の固定方法によって外側のパイプスライダ57に取り外し可能に結合される。パイプ部材25との間の取り外し可能な結合部材68(詳細には図示せず)は、パイプ部材25のフランジ側64と外側のパイプスライダ57の連結側65に位置している。外側のパイプスライダ57は、外科用器具(ここには詳細に示されない)であって、患者の胸郭の外部で手術者によって操作される。外側のパイプスライダ57の外径は、円筒状のパイプ部材25の外径26にほぼ適合されている。
【0047】
次のステップにおいて、固定手段18の把持部材60の自由端部61が、外側のパイプスライダ57と円筒状のパイプ部材25とを通して案内される、内側のパイプスライダI58によって捕捉される。内側のパイプスライダI58の外径は、肉薄のパイプ部材25の内径66にほぼ適合されている。把持部材60の捕捉は、内側のパイプスライダI58の開口部62が把持部材60の自由端部61に設けられたばねアーム50、50'を収容することによって、行われる。ここでは、内側のパイプスライダI58の開口部62の内径69が、把持部材60とそれに伴ってばねアーム50、50’の外周よりもやや小さい状態である。内側のパイプスライダI58の開口部62内へ把持部材60のばねアーム50、50'を収容することは、内側のスライダI58が把持部材60のばねアーム50、50'を介して摺動することによって行われる。この摺動は、
図2aに示すように、ばねアーム50、50’が開口部62内へ少し案内されるまでの距離だけ行われる。そのために、内側のパイプスライダI58が摺動する際に、平行に離隔したばねアーム50、50’が互いに対して少し圧縮されるが、一方でばねアーム50、50’が内側のパイプスライダI58の開口部62内にまさに収容することができるが、他方では把持部材60の口部分56がまだ開いていない程度である。ばねアーム50、50'の圧縮は、ばねアーム50、50’がレッグばね38上に配置されているので、可能になる。レッグばね38は、ばねアーム50、50'に圧力がかかった場合に圧縮される。ばねアーム50、50'へのこの圧力の行使は、内側のパイプスライダI58によって行われる。2つのばねアーム50、50’が内側のパイプスライダI58の開口部62内へ収容された後に、円筒状のパイプ部材25は固定手段18の固定側63において徐々に内側のパイプスライダI58と面一になる。
【0048】
2つのパイプスライダ57、58に固定手段18を取り付けることは、ばねアーム50、50’が最初の内側のパイプスライダI58によって捕捉されることにより、逆の順序で行うこともできる。ばねアーム50、50'の捕捉は、内側のパイプスライダI58が円筒状のパイプ部材25の内径66を通してフランジ側64から長手方向53に把持側67へ摺動されることによって、行われる。次のステップにおいて、パイプ部材の連結側65が先行して、内側のパイプ部材I58を越えて円筒状のパイプ部材25のフランジ側64まで摺動されて、結合部材68と結合されることによって、外側のパイプスライダ57が円筒状のパイプ部材25に固定される。固定手段18が2つのパイプスライダ57、58によって捕捉された場合に、その固定手段は套管針5を通して左心房3内へ導入することができる。その後、左心房3内で、固定手段18は2つのパイプスライダ57、58を用いて僧坊弁小葉19を捕捉する準備ができる。
【0049】
固定手段18が2つのパイプスライダ57、58によって左心房3内へ導入された場合に、固定手段は第1の適用方法において、口部分56を開放し、かつ閉鎖するため、したがって、以下で説明するように、僧坊弁小葉19を捕捉して挟持するために、利用することができる。套管針5内で外側のパイプスライダ57を摺動させることによって、たとえば固定位置に留まる内側のパイプスライダI58に対して引き戻すことによって、把持部材60の口部分56を開放することができる。口部分56の開放は、以下のように行われる:円筒状のパイプ部材25に連結されている外側のパイプスライダ57が、アーチ部28を介してパイプ部材25と結合されている、把持部材60のばねアーム50、50’をさらに内側のパイプスライダI58の開口部62内へ引き込む。ばねアーム50、50’を内側のパイプスライダI58の開口部62内へさらに引き込む場合に、ばねアームが自由端部61の領域内でさらに圧縮されて、レッグばね38への圧力が高まり、それによって把持部材60の口部分56が開放する;
図2bを参照。原理は、シーソーもしくは、中央で支承されて、回転中心の右と左にほぼ同じ長さのレバーアームを有する、両側レバーに似ている。一方のレバーアームの端部に重力がかかった場合、あるいは力がその上に作用した場合に、負荷を受けたアームが沈み、逆の、もしくは負荷を受けない他のレバーアームは逆方向に移動する。
【0050】
この原理が、把持アーム60のばねアーム50、50’に移し替えられる。各ばねアーム50、50’は、両側レバーアームに相当し、したがって機能方法を判断する場合に代表して一方のばねアーム50のみを考察すればよい。この種のばねアーム50は、2つの自由端部を有している。一方の端部61は、開放した把持部材60に、そして他方の端部は口部分56に配置されている。ばねアーム50は、レッグばね38のほぼ中央に固定されているので、固定の右と左にはほぼ同じ長さのレバーアームが形成される。内側のパイプスライダI58によってばねアーム50(レバーアーム)の自由端部61に力が加わった場合に、ばねアーム50(レバーアーム)は一方でレッグばね38における固定点(回転点)を中心に回転し、それによってばねアーム50、50’の両方の自由端部61が互いに近づくように移動し、したがって接近し、他方ではレッグばね38が少し圧縮される。ばねアーム50、50'の、口部分56が配置されている他方の端部は、逆方向に、したがって互いに離れるように移動し、かつ口部分56が開放する。
【0051】
しかしまた、把持部材60の口部分56は、僧坊弁小葉19を捕捉して挟持するために、2つのパイプスライダ57、58の第2の適用方法を介して開閉することもできる。前庭3内に位置する2つのパイプスライダ57、58のうちの、外側のパイプスライダ57とそれに伴ってそれに連結されている円筒状のパイプ部材25も、固定位置に保持される。内側のパイプスライダI58が長手方向53に、かつ固定部材18の長手軸33に沿って摺動することによって、外側のパイプスライダ57の内部及び円筒状のパイプ部材25の内部に位置する内側のパイプスライダI58が、開口部62内に位置するばねアーム50、50'を越えてさらに延びる。円筒状のパイプ部材25と共に固定位置に留まる外側のパイプスライダ57に対して内側のパイプスライダI58が前へ摺動することによって、把持部材60の口部分56を開放させることができる。口部分56の開放は、内側のパイプスライダI58が、アーチ部28を介してパイプ部材25と結合されている把持部材60のばねアーム50、50’を介して摺動することによって行われる。ばねアーム50、50’は、回避することができない。というのは、ばねアームはレッグばね38を介してアーチ部28と、そしてこのアーチ部がまたパイプ部材25と結合されているからである。ばねアーム50、50'を介して内側のパイプスライダI58がさらに前へ摺動することによって、ばねアームはさらに内側のパイプスライダI58の開口部62内へ滑り移動する。その場合に2つの平行に離隔したばねアーム50、50’がさらに圧縮されて、それによって把持部材60の口部分56が開放される;
図2bを参照。
【0052】
僧坊弁インプラント11は、固定手段18を搭載することができる。固定手段18は、僧坊弁小葉19(
図1を参照)を捕捉することができ、その場合に僧坊弁6はさらに移動可能なままでなければならないが、移動あそび空間内で方向制限される。方向制限というのは、前庭3内へ僧坊弁小葉19が折り返されることである。
【0053】
僧坊弁インプラント11は、たとえば3つの部材を有している。第1の部材は、係止部材13であって、その係止部材は螺旋ねじ15として形成されており、かつ心臓筋肉組織15(
図1を参照)内に心臓弁インプラント11を固定する。第2の部材は人工の糸21又はワイヤからなる結合部材20であって、その糸がクリップ手段74に支援されて係止部材13と固定手段18の間の結合を形成する。これら2つの部材は、すでに
図1に示されている。他の部材を形成するのが固定手段18であって、これは
図2a及び
図2bに詳細に示されている。
【0054】
固定手段18自体も、3つの部材、たとえばパイプ部材25、結合部材27及び把持部材60、によって形成することができる。パイプ部材25は、好ましくは円筒状のスリーブ25'として形成されており、その場合にスリーブ25’は横断面において、たとえば四稜パイプなどのような、幾何学的形状を有することができ、したがって円形状に結びついていない。スリーブ25'の外径26において、スリーブ壁32に2つの対向する開口部31、31’が配置されている。開口部30、30’は、スリーブ25’の長手軸33に対して垂直の横軸35上に位置し、その場合に開口部30、30’はスリーブ25’の長手方向53に見て、ほぼ中央に配置されている。開口部30、30’及びスリーブ25'の外側に結合部材27が配置されている。結合部材27はワイヤ形状のほぼU字状のアーチ部28から形成されており、そのアーチ部が円筒状のスリーブ25’とジョイント結合29されている。そのためにU字形状のアーチ部28の自由端部30は2つのピン(図示せず)を有しており、それらのピンが少なくとも90度内側へ屈曲されており、その場合にそれぞれピンがスリーブ壁32内の開口部31、31’内へ回転可能に嵌入する。ピンは、内側へ向かって180度まで屈曲することもでき、ピンは長手脚34に対して平行に延びるので、したがってそれによってスリーブ壁32を収容するためのある種のアイが形成される。それによって、スリーブ25’と結合部材27の間に取り外しできないが、ジョイント状の結合29が生じる。アーチ部28の長手脚34は、スリーブ長さの半分よりもずっと長い、スリーブ長さの半分の約3倍の長さを有する。したがってアーチ部28の長さが、アーチ部28に、スリーブ25'を中心とする360度の回転を行うことを許す。というのは、2つの長手脚34、34'を互いに結合する、アーチ部28の横脚36は、スリーブ25'から比較的遠くに離れているからである。横脚36は、長手脚34、34'の間につながった結合ロッド37を形成し、その結合ロッドが把持部材60の支持体である。把持部材60は、レッグばね38によって形成することができ、そのレッグばねも2つのばねアーム50、50’の支持体である。
【0055】
ほぼU字状に形成されたレッグばね38は、板ばね39から形成されており、その板ばねは、脚領域40の中心において、もしくはレッグばね38のほぼ頂点48内に、アーチ部28の結合ロッド37を収容するための、関連する結合部材41を有している。
図3a、3b及び3cには、レッグばね38の種々の実施形態が示されている。結合部材41は、2つの離隔したリングアイ42、42'(
図3bを参照)からなり、それらはレッグばね38の固定の構成要素である。リングアイ42、42’は、レッグばね38の端縁の側方にあって、内側へ向かって延びている;
図3bを参照。代替的に結合部材41は、円筒状の通路43もしくは長手溝43(
図3aを参照)からなることもできる。通路43もしくは長手溝43は、レッグばね38の一方の側から他方の側へ、もしくは延びている板ばね脚45、49に対して横方向に、延びている;これについては
図3aの形態を参照。
図3bの実施形態に基づくレッグばね38のリングアイ42、42'の軸線44あるは
図3aの実施形態に基づくレッグばね38の円筒状の通路43もしくは長手溝43の軸線44は、スリーブ25’内の開口部31、31’の横軸35に対して平行に離隔して、かつ同様にスリーブ25’の長手軸33に対して垂直に、延びている。すなわち2つの横軸35と44は、平行に離隔しており、その場合に横軸44は、横軸35を中心とする円軌跡55(
図4bを参照)上で揺動することができる。アーチ部28の結合ロッド37とレッグばね38の関連する結合部材41との間の結合は、レッグばね38が結合ロッド37を中心に回転可能に揺動するように、構成されている。U字状に形成されたレッグばね38の開放された板ばね脚45、49は、頂点48から始まって円筒状のスリーブ25’及びアーチ部28の長手脚34、34’の方向を向いている。したがって板ばね脚45、45’は、スリーブ25’の長手軸33に対してほぼ平行であり、かつアーチ部28に揺動可能にジョイント結合されており、かつ開口部47を有している。すなわちアーチ部28に配置されたレッグばね38は、アーチ部28と共に一方で、スリーブ25'を通って案内される横軸35を中心に回転し、他方ではレッグばね38を通って案内される横軸44を中心に回転する。2つの横軸35、44を中心とするレッグばね38の回転は、観覧車におけるゴンドラの原理と同様に、同時に行うことができる。
【0056】
レッグばね38は、2つのばねアーム50、50’の支持体でもある。2つのばねアーム50、50’は、レッグばね38と堅固に結合されている。結合は、レーザー、溶接、リベット止め、ねじ止めなどのような、技術的に知られた方法によって形成することができる。その場合に、レッグばね38が2つの板ばね脚45、49のみから形成されている限りにおいて、一方のばねアーム50が一方の板ばね脚45上に、そして他方のばねアーム50’が反対側の板ばね脚49上に載置されている。しかし、
図3aと3bに示されるように、レッグばね38が4つの板ばね脚45、45’、49、49’から形成される可能性も存在する。これは、一方のばねアーム50が2つの板ばね脚45、45’上に、そして他方のばねアーム50’が板ばね脚45、45’とは逆の2つの板ばね脚49、49’上に載置され、かつそこに固定されていることを、意味している。2つのばねアーム50、50’はレッグばね38の板ばね脚45、49もしくは45、45’と49、49’上に次のように、すなわち固定側63の口部分56が閉鎖されており、かつ反対側の開口部が把持手段側67の自由端部61にある場合に、2つのばねアームがほぼ平行に離隔しており、かつスリーブ25’の長手軸33に対して、したがって固定手段18の長手軸33に対して平行に延びるように、固定されている。2つの互いに平行に離隔したばねアーム50、50’は、集光レンズに似て、ほぼ長円形もしくは凸状の形状を有する。すなわち2つのばねアーム50、50’はそれぞれ外側へ湾曲されている。
【0057】
図2cは、固定手段18の把持部材60の口部分56を図式的な表示で示している。口部分56は、把持部材60の構成要素であるばねアーム50、50’から形成される。口部分56は、把持部材60の固定側63に、かつ開放したレッグばね38の反対側かつパイプ部材25の長手軸33上に位置するように配置されており、その場合に口部分56は、口部分56内に配置された少なくとも1つのスペースホルダ88を有しており、そのスペースホルダが口部分56のグリップジョウ86、86’の間にあらかじめ定められた間隙89を形成し、それによってグリップジョウ86、86’の歯切り87が互いに直接重なり合わない。スペースホルダ88は、それぞればねアーム50、50’あたり、たとえば1つの条溝90、90’、好ましくは2つの条溝を刻印することによって形成することができる。条溝90、90’の刻印は、ばねアーム50、50'の外側91、91’において行われ、それによってばねアーム50、50’の内側92、92’に隆起部93、93'が生じる。条溝90、90’は、ばねアーム50、50’内に互いに対向して刻印されるので、口部分56が閉鎖された場合に、内側92、92'に生じた隆起部93、93’が互いに近づき、互いに対応し、したがってスペースホルダ88を形成する。スペースホルダ88を形成するための、ばねアーム50、50’の間の内側92、92’上の隆起部93、93’は、他の手段を使用して形成することもできる。
【0058】
図3a、3b及び3cはそれぞれ、把持部材60の構成要素であるレッグばね38の実施形態を示している。
図2aと2bによれば、把持部材60の実施形態は、錆びない合金化された金属からなる2つの等しい、細長いばねアーム50、50’からなり、その金属は所定の弾性的特性を有し、好ましくはNitinolからなることができる。ばねアーム50、50'は、錆びない金属からなるレッグばね38の中央に固定されており、したがってまとめられる。レッグばね38は、同時にジョイントとして用いられる。2つのばねアーム50、50’を、かつそれに伴ってばねアーム50、50’の一方の端部61においてレッグばね38の2つの板ばね脚45、49を、内側のパイプスライダI58を用いて圧縮することによって、固定側63の他方の端部における口部分56が開放する;
図2bを参照。ばねアーム50、50’が再びパイプスライダI58から解放された場合に、レッグばね38に内在する力が、自由端部61の一方の側においてばねアーム50、50’を互いに押し開き、口部分56の他の側において再び圧縮する;
図2aと
図4aを参照。したがって把持部材60は、選択ばさみ原理に従って作動する。
【0059】
一体的な把持部材60は、
図2aと2bから明らかなように、レッグばね38とそれに堅固に配置されたばねアーム50、50’からなる。一体的なレッグばね38とその様々な実施形態をより良好に示し、かつ見やすくするために、
図3a、3b、3cにおいてはばねアーム50、50’の表示は省かれているが、それらはもちろんレッグばね38及びそれに伴って把持部材60における対象である。把持部材60とレッグばね38に関して
図2aと2b内で同一に示される参照符号は、ここでも同様に引き継がれる。
【0060】
レッグばね38のすべての実施形態に共通に、ベースは板ばね30からなる。この板ばね30は、弾性的なばね鋼から形成されており、U字形状に形成され、したがってその湾曲した脚の間に開口部47を有している。したがってU字形状に形成された板ばね39は、それぞれ2つの板ばね脚45、49を形成する。板ばね脚45、49の面は、その面70、70’内に凹部71、71’を有することができ、その場合に面70、70'内の凹部71、71’は、開放していても、閉鎖されていてもよい。凹部71、71'に基づいて、複数の板ばね脚45、45’、49、49'が生じる。レッグばね38の他の共通性は、レッグばね38がその頂点48内に、アーチ部28の結合ロッド37(
図2aと2bを参照)を収容するための、関連する結合部材41を有することにある。たとえば結合部材41は、レッグばね38の固定の構成要素である、2つの離隔したリングアイ42、42’(
図3bを参照)からなることができる。リングアイ42、42’は、レッグばね38の端縁の側方にあって、レッグばね38の横方向において内側を向いて延び、かつ横軸44を有している。U字形状のレッグばね38のリングアイ42、42’は、板ばね脚45、49を向いた側の開口部47の内側に位置する。代替的に、リングアイ42、42’は、レッグばね38の頂点領域48内に、しかし板ばね脚45、49の外側に(図示せず)、したがって開口部47とは反対側に、配置することができる。レッグばね38のリングアイ42、42’は、アーチ部28の結合ロッド37と共にリンク状の結合29’を生じさせるように、形成されている。
【0061】
代替的に、レッグばね38の結合部材41は、円筒状の通路43もしくは長手溝43(
図3aを参照)からなることもできる。通路43もしくは長手溝43は、レッグばね38の一方の横側から他方の横側へ、もしくは延びている板ばね脚45、49に対して横方向に延びている。円筒状の通路もしくは長手溝43は、円筒状の通路もしくは長手溝43がスリット72を有し、そのスリットが互いに向き合う板ばね脚45、49の方向に開放するように、形成されている。スリット72は、アーチ部28の結合ロッド37を収容することができるようにするために、つながって開放されている。レッグばね38の円筒状の通路もしくは長手溝43は、アーチ部28の結合ロッド37と共に固定的に、しかしリンク状の結合29’を生じさせるように、形成されている。長手溝43は、横軸44を有し、その横軸はリングアイ42、42’の横軸44と同一に延びている。この結合部材41の円筒状の通路又は長手溝43も、板ばね脚45、49へ向いた側の開口部47の内側に配置されている。板ばね脚45、49は、円筒状の通路もしくは長手溝43と共に一体的なレッグばね38を形成する。
【0062】
レッグばね38の他の実施形態において(
図3cを参照)、円筒状の通路もしくは長手溝43の結合部材41は、板ばね脚45、49の開放領域内ではなく、もしくは板ばね脚45、49の間の内側にではなく、頂点48の領域内ではあるが、板ばね脚45、49の外側に配置されている。もちろん、レッグばね38のこの実施形態の横軸44は、
図3aと3bのレッグばね38の横軸と同一である。このレッグばね38も、一体的に形成されており、アーチ部28の結合ロッド37を収容するためのスリット72を有している。レッグばね38の円筒状の通路もしくは長手溝43は、アーチ部38の結合ロッド37と共に固定的だが、リンク状の結合29'を生じさせるように、形成されている。
【0063】
図4aと4bは、固定手段18を把持部材60内に挟持された僧坊弁小葉19と共に図式的な表示で示している。
図4aによれば、心臓1の左心房3内の僧坊弁小葉19を捕捉して挟持するプロセスが行われ、その場合に把持部材60における口部分56の開放と閉鎖のプロセスは、すでに
図2aと2bで記述されている。把持部材60の機能方法は、
図3a-3cから明らかである。原則的に、僧坊弁小葉19を把持する前に、把持部材60が開放されて、開放された口部分56によって僧坊弁小葉19が捕捉される。僧坊弁小葉19を捕捉するために、固定手段18を移送し、かつ操作する2つのパイプスライダ57、58が僧坊弁6の方向へ送られる。固定手段18の摺動は、既知の器具に基づく、画像を与える方法を用いて観察される。把持部材60の開放された口部分56が僧坊弁小葉19に対して正しい位置にある場合に、口部分56が閉鎖される。口部分56の閉鎖は、同時に外側のパイプスライダ57を固定しておきながら、内側のパイプスライダI58を引き戻すことによって行われ、それによって円筒状のパイプ部材25が固定位置に留まる。そして内側のパイプスライダI58は、除去することができる。内側のパイプスライダI58を除去する場合に、レッグばね38が弛緩して、2つの板ばね脚45、49が2つのばねアーム50、50’を自由端部61において所定距離長さだけ互いに押し開く。ばねアーム50、50’の、口部分56が配置されている、反対側の端部において、レッグばね38の最大の力が口部分56に作用し、それによって口部分56内にある僧坊弁小葉19が挟持される。挟持は、
図2cに記述されるように、行われる。
【0064】
次のステップにおいて、把持部材60が円筒状のパイプ部材25の横軸35を中心揺動し、かつ固定手段18が左心室7内へ導入され、それによって固定手段が一方でそこに位置決めされ、他方では心臓筋肉組織15内に固定される。このプロセスが、
図4bと4cに示される。
【0065】
図4bの図式的な表示からは、把持部材60が揺動する際の、挟持された僧坊弁小葉19を有する固定手段18が明らかにされる。すでに僧坊弁小葉19を捕捉して挟持している固定手段18を左心房3から(すなわち固定手段18はまだ僧坊弁6の上方にある)僧坊弁6の下方の左心室7内へ移動させるために、外側のパイプスライダ57にとって、外側のパイプスライダ57をさらに操作し、もしくは送ることが必要である(特に
図1を参照)。そのために外側のパイプスライダ57がまず、それに取り外し可能に固定されている円筒状のパイプ部材25を、そしてその後パイプ部材25に配置されている把持部材60を、僧坊弁6内の弁開口部94を通して左心室7内へ導入する。パイプ部材25を中心とする把持部材60の揺動プロセスは、把持部材60が外側のパイプスライダ57の外側に添接した場合に、終了する。この位置において固定手段18に揺動可能に配置されている把持手段60は、
図1と5から明らかなように、挟持されている僧坊弁小葉19と共に僧坊弁6の下方で左心室7内にある。外側のパイプスライダ57によって固定手段18を左心室7内へ摺動させる、この操作も、既知の画像を与える方法によって管理される。管理は、外側のパイプスライダ57を案内する場合に、重要である。
【0066】
左心室7内の心臓筋肉組織内に固定手段18を固定することは、
図4cの図式的な表示に、そして心臓弁インプラント11を位置決めすることは、
図5に示されている。
【0067】
図4cからは、図式的な表示において、結合部材20に配置されている係止部材13を案内し、かつ心臓筋肉組織15内に固定するための外科用器具が明らかにされる。外科用器具は、ここでは内側のパイプスライダII59とし示されている。内側のパイプスライダII59は、内部に結合部材20と係止部材13を装備しており、その場合に結合部材20が係止部材13と堅固に結合されている。結合部材20は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成された糸21からなる。結合部材20の糸21の(第2の)端部は、患者の胸郭の外部に位置し、糸21の他の(第1の)端部24は、係止部材13の近位の端部51と堅固に結合されている。係止部材13は螺旋ねじ14からなり、その螺旋ねじはニッケル-チタン合金から、好ましくはNitinolから形成することができる。螺旋形状の係止部材13を案内して固定するために、内側のパイプスライダII59は、導入端部73にクリップ手段74を有している。クリップ手段74は、パイプ壁76内の螺旋溝75として形成することができ、その場合に螺旋溝75は、内側のパイプスライダII59の壁に一定の勾配で配置されたカーブを形成する。螺旋溝75の勾配とピッチは、螺旋ねじ14の右ピッチの勾配と関連する。螺旋溝75は、内側のパイプスライダII59の導入端部73に比較的短く形成されており、内側のパイプスライダII59が時計方向に回転する際に近位の端部51に設けられた螺旋ねじ14を捕捉する。
【0068】
套管針5を通し、かつ固定手段18の孔66(内径)を通して内側のパイプスライダII59を左心室7内へ挿入する前にすでに、結合部材20と係止部材13が内側のパイプスライダII59内へ挿入されている。係止部材13は、パイプスライダII59の導入端部73にあって、その場合に螺旋ねじ14の近位の端部51は螺旋溝75内に位置する。使用すべき螺旋ねじ14の大きさの選択は、尖端16の領域内の心臓筋肉組織15の様々な厚みに対応するために、手術の前に行われている。したがって様々な長さの螺旋ねじ14が提供される。螺旋ねじ14の遠位の端部52は、パイプスライダII59を右回りでねじ込むことによって心臓筋肉組織15内へ挿入される。心臓筋肉組織15内の螺旋ねじ14の終端位置が達成された場合に、パイプスライダII59の簡単な左回しによって螺旋ねじ14に対する結合が解除される。螺旋ねじ14の近位の端部51は、パイプスライダII59が左回転する際に螺旋溝75から滑り出す。内側のパイプスライダII59は、引き戻すことによって固定手段18と套管針5から除去される。
【0069】
図5の図式的な表示から明らかなように、今や心臓1の左心室7内に心臓弁インプラント11が存在し、その場合に固定手段18が僧坊弁小葉19を捕捉しており、かつ螺旋形状の係止手段13が心臓筋肉組織15内に係止されている。結合部材20の糸21は、今はまだ係止部材13から固定手段18の円筒状のパイプ部材25を通り、固定手段18に連結された外側のパイプスライダ57を通り、かつそこから、左心房3内に挿入された套管針5を通って胸郭の外部まで延びている。2つの内側のパイプスライダI、II58、59は、前もってすでに除去されている。このときに、
図6から明らかなように、外側のパイプスライダ57のみが、固定手段18に挿入されている。外側のパイプスライダ58を案内するために、さらに、挿入された套管針15が利用される。心臓弁インプラント11を前もって形成しておくために、さらに結合部材20と固定手段18の間に結合を形成することが必要である。結合は、
図6に示されており、その場合に先行する図に基づく参照符号は、その中で示すことができる。
【0070】
図6は、図式的な表示において、結合部材20とクリップ手段74とによる固定手段18と係止部材13との間の結合の形成を示している。結合部材20は、糸21からなり、その糸は係止部材13から胸郭の外部まで達して、固定手段16の内部開口部を通して案内されている。糸21の外側に位置する端部83上に、クリップ手段74が取り付けられる。糸21上でクリップ手段74をスライドさせるために、新たに内側のパイプスライダIII77が使用される。パイプスライダIII77は、その孔84内に、一方で糸21とクリップ手段74を収容する。他方で内側のパイプスライダIII77の外径85は、外側のパイプスライダ57内へはまり込む。パイプスライダII77の前側78によって、クリップ手段74が糸21上で長手軸23に沿って固定箇所79へ移動される。固定箇所79は、フランジ側64に、円筒状のパイプ部材25の内側開口部66の入口に、位置している。クリップ手段74の材料は、好ましくはPTFEからなることができ、他の材料も考えられる。糸21がクリップ手段74内で通りにくく、もしくはクリップ手段74が所定の力でのみ糸21上で摺動することができる、という条件つきで、クリップ手段74内の孔80は、糸21の直径にほぼ適合されている。孔80と直径81が、プレス嵌めを形成する。同じことが、クリップ手段74の外径82と円筒状のパイプ部材25の内径66について言える。外径88は内径66よりもわずかに大きく、それによってここでもプレス嵌めが生じる。固定手段18内へクリップ手段74を導入するために、結合部材20の糸21と内側のパイプスライダIII77の孔84には、プレス嵌めに基づいて、滑り手段が設けられている。クリップ手段74は、様々な実施形態を有することができる。クリップ手段74の1つの実施形態において、クリップ手段はスライドリング76として円筒状に形成されている。他の実施形態において、クリップ手段74は円錐台形状に、ビンのコルク(図示せず)に似せて、形成されている。円筒状のパイプ部材25の内部開口部66よりもわずかに小さい、円錐台のより小さい直径は、パイプスライダIII77によって最初に挿入される。円錐台の外表面にクリップ効果が生じる。左心室7内の固定手段18の位置決めが、たとえばスライドリング76を用いて行われる。スライドリング76は、僧坊弁6に対する固定手段18の最適な位置において円筒状のパイプ部材25内へ挿入される。固定手段18の最適な位置を求めることは、ここでも既知の画像を与える測定方法によって行われ、その場合に左心室の収縮の間に左心房3内への血の逆流も求められる。最適な位置は、血の逆流が最少になった場合に、達成される。最適な位置がまだ達成されない場合には、スライドリング76が糸21上で長手軸23に沿ってパイプスライダIII77によって係止部材13の方向にさらに摺動される。スライドリング76が糸21上で摺動する間、一方で、糸21が胸郭の外部で固定されて、固定部材18が外側のパイプスライダ57によって固定位置に保持される。固定手段18内でスライドリング76が成功裏に位置決めされた後に、心臓弁インプラント11は完全に整えられて、内側のパイプスライダIII77を引き戻して除去することができる。そして、パイプスライダIII77は、既知の外科用器具(図示せず)に交換される。外科用器具によって、糸21をスライドリング76に結んで切断することができ、その場合に他の固定種類も考えられる。残りの糸21を心臓1と胸郭及び外科用器具から除去した後に、外側のパイプスライダ57も固定手段18から分離される。そのために外側のパイプスライダ57は、それぞれ結合箇所68がどのように構成されているかに応じて、たとえば回転させることによって、結合箇所68から外される。外側のパイプスライダ57を僧坊弁65の弁開口部から除去した後に、把持部材60が心臓弁インプラント11の長手軸23上へ揺動する。この場合に把持部材60と固定手段18の長手軸33は、結合部材20及び係止部材13の長手軸23と同一である。この場合に2つの長手軸23、33が、共通の長手軸を形成する。本発明に係る心臓弁インプラント11を心臓1の左心室7内へ挿入することは、これをもって終了する。
【0071】
図1から
図6に示す、先行する実施例は、左心室内で整えられ、かつ僧坊弁小葉に対して挿入されて、逆流を是正する、僧坊弁インプラントを示している。逆流は、心臓の中空器官からの内容物が通常定められているルートをとるだけでなく、部分的又は主として他の方向へ逆流するプロセスである。このプロセスは、人において、かつ多くの種類の動物において、病気である。逆流を是正するために、心臓弁インプラントにおいて、特に心臓弁インプラントの固定手段において、付加的な実施形態が可能であって、したがってこの実施例に限定されない。これは、結合部材と固定手段の間の結合技術にも言えることである。
【符号の説明】
【0072】
1 心臓
2 左心室
3 左心房
4 アクセス
5 套管針
6 弁/僧坊弁
7 左心室
8 腱索
9 乳頭筋
10 室壁
11 僧坊弁インプラント
12 遠位の端部(11の)
13 係止部材
14 螺旋ねじ
15 心臓筋肉組織
16 心臓領域(尖端)
17 近位の端部(11の)
18 固定手段
19 僧坊弁小葉
19.1 前方の弁小葉
19.2 後方の弁小葉
20 結合部材
21 糸
22 破裂した腱索
23 長手軸(11の)
24、24’ 第1の端部、第2の端部
25、25’ パイプ部材/スリーブ
26 外径
27 結合部材(25、38の間)
28 アーチ部
29、29’ ジョイント状の結合
30 自由端部(28の)
31、31’ 開口部
32 スリーブ壁
33 長手軸(25、25’の)
34、34’ 長手脚(28の)
35 横軸
36 横脚
37 結合ロッド
38 レッグばね(60の)
39 板ばね
40 脚領域
41 結合部材
42、42’ リングアイ
43 通路/長手溝
44 横軸
45、45’ 板ばね脚
46、46’ 横ステイ
47 開口部 板ばね脚
48 頂点
49、49’ 板ばね脚
50、50’ ばねアーム
51 近位の端部(14の)
52 遠位の端部(14の)
53 長手方向
54 端部(28の)
55 円軌跡
56 口部分
57 外側のパイプスライダ
58 内側のパイプスライダI
59 内側のパイプスライダII
60 把持部材
61 自由端部(60の)
62 開口部(58内)
63 固定側(18、60の)
64 フランジ側(18、25の)
65 連結側(25の)
66 内径/開口部(25の)
67 把持アーム側
68 結合箇所(25、57の間)
69 内径(58の)
70、70’ 面/外側
71 凹部
72 スリット
73 導入端部
74 クリップ手段
75 螺旋溝
76 スライドリング
77 パイプスライダ
78 前側
79 固定-結合箇所
80 孔(76の)
81 直径(21の)
82 外径(76の)
83 糸端部
84 孔(77の)
85 外径(77の)
86、86’ グリップジョウ(56の)
87 歯切り
88 スペースホルダ
89 間隙(56の)
90、90’ 条溝(50、50’内)
91、91’ 外側(50、50’の)
92、92’ 内側(50、50’の)
93、93’ 隆起部
94 弁開口部