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特許7125790ダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20220818BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220818BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61K47/34
A61P7/02
A61P9/00
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/26
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/48
A61K9/20
A61K9/32
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020554215
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2018117619
(87)【国際公開番号】W WO2019192195
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】201810300259.6
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520255676
【氏名又は名称】シャンハイ ダブリュディー ファーマシューティカル カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】リャン チャン トン
(72)【発明者】
【氏名】チャン シーチョン
(72)【発明者】
【氏名】チアオ イェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン タンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ウェンファン
(72)【発明者】
【氏名】シー チンミン
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106880845(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104644543(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0322338(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0302150(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 47/00
A61K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダビガトランエテキシレートおよび/またはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である医薬活性成分と、ポリエチレンカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフト共重合体である両性ポリマーとを含み、且つ、前記医薬活性成分と前記両性ポリマーの質量比は1:0.23~1:3であるビガトランエテキシレートを含む医薬組成物であって、
前記医薬組成物が親水性ポリマーをさらに含み、前記親水性ポリマーが、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロック共重合体であり;
前記医薬組成物における前記医薬活性成分の質量百分率は、5wt%~60wt%であり;前記医薬組成物における前記両性ポリマーの質量百分率は、3wt%~40wt%であり;前記医薬組成物における前記親水性ポリマーの質量百分率は、10wt%~90wt%であり;
前記医薬組成物において、前記医薬活性成分、前記両性ポリマー及び前記親水性ポリマーが固体分散体を形成することを特徴とする、医薬組成物
【請求項2】
前記医薬活性成分は、ダビガトランエテキシレートまたはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩であり;
及び/または、前記医薬組成物における前記医薬活性成分の質量は、30~180mgであり
及び/または、前記両性ポリマーにおけるビニルカプロラクタムの繰り返し単位の数は、57以下であり;記両性ポリマーのモノマーは、リエチレングリコール6000、ビニルカプロラクタム、および酢酸ビニルであり、前記両性ポリマーにおけるポリエチレングリコール6000、ビニルカプロラクタム、および酢酸ビニルとの前記3つのモノマーのモル比は、13:57:30であり;前記両性ポリマーの分子量は、0000~140000g/molであり;前記両性ポリマーのガラス転移温度は、9~71℃であり;
及び/または、前記医薬活性成分および前記両性ポリマーの質量比は、1:0.24~1:3、1:0.3~1:3、1:0.5~1:3、1:1.5~1:3または1:1.5~1:2.3あることを特徴とする請求項1に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物における前記医薬活性成分の質量は、39.1~173mgであり;
及び/または、前記両性ポリマーは、Soluplus(登録商標)であり;
及び/または、前記医薬活性成分および前記両性ポリマーの質量比は、1:0.24、1:0.25、1:0.33、1:0.77、1:1、1:1.2、1:1.5、1:1.6、1:2または1:2.3であり;
及び/または、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロック共重合体は、Kolliphor(登録商標) P188および/またはKolliphor(登録商標) P407であり;
及び/または、前記医薬組成物における前記医薬活性成分の質量百分率は、0wt%~55wt%あることを特徴とする請求項1または2に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物における前記医薬活性成分の質量百分率が、20wt%~45wt%であり;
及び/または、前記医薬組成物における前記親水性ポリマーの質量百分率は、40wt%~60wt%であること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物は、崩壊剤をさらに含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスポビドンのうちの一種又は複数種でありここで、前記医薬組成物における前記崩壊剤の質量百分率は、wt%~5wt%(0wt%が排除される)であり;
及び/または、前記医薬組成物は、帯電防止剤をさらに含み、前記帯電防止剤が長鎖アルキルフェノール、エトキシル化アミン、グリセリドおよびシリカのうちの一種又は複数種でありここで、前記医薬組成物における前記帯電防止剤の質量百分率は、wt%~5wt%(0wt%が排除される)であり;
及び/または、前記医薬組成物は、潤滑剤をさらに含み、前記潤滑剤がステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、コロイド状シリカ、ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸カルシウムのうちの一種又は複数種でありここで、前記医薬組成物における前記潤滑剤の質量百分率は、wt%~5wt%(0wt%が排除される)であり
及び/または、前記医薬組成物は、希釈剤をさらに含み、前記希釈剤がマンニトールおよび/またはラクトース一水和物であり;ここで、前記医薬組成物における前記希釈剤の質量百分率は、wt%~40wt%(0wt%が排除される)あることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物は、質量分率で、9%~48%の前記医薬活性成分、9%~44%の前記両性ポリマー、0%~53%の親水性ポリマー、0%~90%の希釈剤、0%~20%の崩壊剤、0%~5%の帯電防止剤、及び0%~2%の潤滑剤を含み
または、前記医薬組成物は、質量分率で、9%~48%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、9%~44%のSoluplus(登録商標)、0%~30%のKolliphor(登録商標) P407、0%~23%のKolliphor(登録商標) P188、0%~58%ラクトース一水和物、0%~32%のマンニトール、0%~20%のクロスカルメロースナトリウム、0%~5%シリカ及び0%~3%ステアリン酸マグネシウムを含ここでKolliphor(登録商標) P407の質量分率とKolliphor(登録商標) P188の質量分率が、同時に0%ではないことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物は、質量分率で、13%~44%の前記医薬活性成分、6%~39%の前記両性ポリマー、16%~36%の親水性ポリマー、9%~39%の希釈剤、5%~23%の崩壊剤及び0.4%~0.5%の潤滑剤を含み
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、16%~18%の前記医薬活性成分、26%~44%の前記両性ポリマー、17%~23%の親水性ポリマー、0%~32%の希釈剤、5%~20%の崩壊剤、および0%~2%の潤滑剤を含み
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、16%~18%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、26%~44%のSoluplus(登録商標)、7%~23%のKolliphor(登録商標) P188、0%~32%のマンニトール、5%~20%のクロスカルメロースナトリウムおよび0%~2%のステアリン酸マグネシウムを含み;
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、16.9%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、38.8%のSoluplus(登録商標)、9.9%のKolliphor(登録商標) P188、18.9%のマンニトール、5.0%のクロスカルメロースナトリウムおよび0.5%のステアリン酸マグネシウムからなり;
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、43.35%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、10%のSoluplus(登録商標)、2.15%のKolliphor(登録商標) P407、9%のマンニトール、15.0%のクロスカルメロースナトリウムおよび0.5%のマグネシウムステアリン酸からなり;
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、43.35%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、10%のSoluplus(登録商標)、2.15%のKolliphor(登録商標) P407、9%のマンニトール、15.0%の低置換ヒドロキシプロピルセルロースおよび0.5%ステアリン酸マグネシウムからなり;
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、39.1%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、9.2%のSoluplus(登録商標)、9.2%のKolliphor(登録商標) P188、9.2%のマンニトール、23.0%のクロスカルメロースナトリウムおよび0.4%のステアリン酸マグネシウムからなる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、粉末、ペレット、顆粒、カプセル、または錠剤の形態で存在し;前記ペレットは性コアペレット又は酸性コアペレットに分けられることを特徴とする請求項1~にいずれか1項に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が粉末の形態で存在する場合、記粉末において、前記医薬活性成分の総質量に対する、分子分散形態および/または非定型形態で存在する医薬活性成分の百分率は、15wt%~100wt%であり
前記医薬組成物が中性コアペレットの形態で存在する場合、前記中性コアペレットは中性コアと前記中性コアを覆う薬物層を有し、前記中性コアペレットは、質量分率で、9%~30%の前記医薬活性成分、2%~24%の前記両性ポリマー、11%~42%の親水性ポリマー、及び33%~77%の前記中性コアを含み;
前記医薬組成物が酸性コアペレットの形態で存在する場合、前記酸性コアペレットは酸性コア、バリア層、および薬物層を含み、前記バリア層は酸性コアの表面を覆い、前記薬物層は前記バリア層の表面を覆い;前記バリア層にSoluplus(登録商標)とKolliphor(登録商標) P407を含
求項に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が中性コアペレットの形態で存在する場合、
前記中性コアペレットは、質量分率で、12%~30%の前記医薬活性成分、6%~24%の前記両性ポリマー、15%~42%の前記親水性ポリマーおよび33%~50%の前記中性コアを含み;
或いは、前記中性コアペレットは、質量分率で、9%~20%の前記医薬活性成分、2%~5%の前記両性ポリマー、11%~25%の前記親水性ポリマーおよび50%~77%の前記中性コアを含み;
或いは、前記中性コアペレットは、質量分率で、13.3%~24%の前記医薬活性成分、3.33%~28.27%の前記両性ポリマー、16.7%~36%の前記親水性ポリマーおよび40%~66.7%の前記中性コアを含み;
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、18%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、6%のSoluplus(登録商標)、36%のKolliphor(登録商標) P407および40%の糖コアからなり;
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、24%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、6%のSoluplus(登録商標)、30%のKolliphor(登録商標) P407および40%の糖コアからなり;
或いは、前記医薬組成物は、質量分率で、13.3%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、3.33%のSoluplus(登録商標)、16.7%のKolliphor(登録商標) P407および66.7%の糖コアからなる、
請求項9に記載のダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が中性コアペレットの形態で存在する場合、
前記医薬活性成分の総質量に対する分子分散形態および/または非定型形態で存在する医薬活性成分の百分率は、15wt%~100wt%であり;
及び/または、前記中性コアは、微結晶セルロースコアおよび/または糖コアである、
請求項9または10に記載のダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が酸性コアペレットの形態で存在する場合、
前記酸性コアは、酒石酸コアであり;
及び/または、前記酸性コアが前記酸性コアペレットにおける質量百分率は、17%~36%であり;
及び/または、前記バリア層中のSoluplus(登録商標)が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は9%~13%であり;前記バリア層中のKolliphor(登録商標) P407が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は、4%~6%であり;
及び/または、前記薬物層に前記薬物活性成分、Soluplus(登録商標)およびKolliphor(登録商標) P407が含まれ、且つ、前記薬物層中の前記薬物活性成分が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は14%~19%であり、前記薬物層中のSoluplus(登録商標)が前記酸性コアペレットにおける質量百分率が12%~17%であり、前記薬物層中のKolliphor(登録商標) P407が前記酸性コアペレットにおける質量百分率が22%~29%である、
請求項9に記載のダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項13】
前記酸性コアが前記酸性コアペレットにおける質量百分率は17%~36%であり;前記バリア層中のSoluplus(登録商標)が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は9%~13%であり、前記バリア層中のKolliphor(登録商標) P407が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は4%~6%であり;前記薬物層には、前記医薬活性成分、Soluplus(登録商標)およびKolliphor(登録商標) P407が含まれ、且つ前記薬物層中の前記医薬活性成分が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は14%~19%であり、前記薬物層中のSoluplus(登録商標)が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は12%~17%であり、前記薬物層中のKolliphor(登録商標) P407が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は22%~29%であり;
或いは、前記酸性コアが前記酸性コアペレットにおける質量百分率は35.7%であり;前記バリア層中のSoluplus(登録商標)が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は9.6%であり、前記バリア層中のKolliphor(登録商標) P407が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は4.7%であり;前記薬物層には、前記医薬活性成分、Soluplus(登録商標)およびKolliphor(登録商標) P407が含まれ、且つ前記薬物層中の前記医薬活性成分が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は14.4%であり、前記薬剤層中のSoluplus(登録商標)が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は12.9%であり、前記薬物層中のKolliphor(登録商標) P407が前記酸性コアペレットにおける質量百分率は22.6%である、
請求項12に記載のダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物は、粉末、ペレット、顆粒、カプセルまたは錠剤の形態で存在し、且つ前記医薬組成物における前記両性ポリマー及び前記親水性ポリマーは、以下の2つの存在形態で共存し、第1の存在形態は、前記医薬活性成分と固体分散体を形成することであり、第2の存在形態は、固体顆粒の形態で存在することである、
求項に記載のビガトランエテキシレートを含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~7のいずれかに記載のダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物の調製方法であって、前記方法が、以下の工程:
工程(1):前記医薬組成物が中性コアを含まず、且つ前記医薬組成物が粉末の形態で存在、前記粉末の調製方法は、前記医薬組成物の各成分をエタノール水溶液に溶解させ、噴霧乾燥するステップを含み
工程(2):前記医薬組成物が中性コアを含まず、且つ前記医薬組成物が顆粒の形態で存在、前記顆粒の調製方法は、造粒溶媒としてイソプロパノールを使用し、前記医薬組成物における各成分の混合物を湿式造粒して、湿顆粒を得;さらに、前記湿顆粒を20メッシュの篩に通過させ、乾燥するステップを含み
工程(3):前記医薬組成物が中性コアを含み、且つ前記医薬組成物が中性コアペレットの形態で存在、前記中性コアペレットを調製する方法は、前記医薬組成物における前記中性コア以外の他の成分を有機溶媒に溶解して得られたコーティング液を前記中性コアにスプレーするステップを含み、ここで、前記中性コアとは、予備乾燥後の中性コアであり
工程(4):前記医薬組成物が酸性コアを含み、且つ前記医薬組成物が酸性コアペレットの形態で存在、前記酸性コアペレットの調製方法は、
(1)リア層の各成分を有機溶媒に溶解して形成されたコーティング液を前記酸性コアにスプレーして、酸性顆粒を得;(2)剤層の各成分を有機溶媒に溶解して形成されたコーティング液を前記酸性顆粒にコーティングするステップを含み;
ステップ(1)において、前記酸性コアは、予備乾燥後の酸性コアであり、前記予備乾燥後の酸性コアの水分含有量は、.0wt%未満である、
の中の1つである、方法。
【請求項16】
工程(1)において、前記エタノール水溶液中のエタノールの質量分率は90%~95%であり;
工程(3)において、前記予備乾燥後の中性コアの水分含有量は、1.0wt%未満であり;
工程(3)において、前記有機溶媒は、エタノール溶液であり;任意に前記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は、90%~95%であり;
工程(3)において、前記コーティング液における医薬組成物の質量百分率は、20%~24%であり;
工程(3)において、前記スプレー過程において、空気入口の温度は、45~60℃;任意に30~50℃であり;
工程(3)において、前記スプレーが完了した後、前記顆粒は水分含有量が1.0wt%未満になるまで乾燥されるものであり;
工程(4)における、ステップ(1)において、前記有機溶媒は、エタノール溶液であり;任意に、前記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は、90%~95%であり;
工程(4)における、ステップ(1)において、前記コーティング液における前記医薬組成物の質量百分率は、20%~26%であり;
工程(4)における、ステップ(1)において、前記スプレー過程において、空気入口の温度は45~60℃、任意に30~32℃であり;
工程(4)における、ステップ(1)において、前記スプレーが完了した後、前記酸性顆粒は、水分含有量が1.0wt%未満になるまで乾燥されるものであり;
工程(4)における、ステップ(2)において、前記有機溶媒はエタノール溶液であり;任意に前記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は、90%~95%であり;
工程(4)における、ステップ(2)において、前記コーティング液における前記医薬組成物の質量百分率は、20%~24%であり;
工程(4)における、ステップ(2)では、前記スプレー過程において、空気入口温度は45~60℃であり;
工程(4)における、ステップ(2)では、前記スプレー過程において、前記酸性コアペレットの温度は30~32℃であり;
工程(4)における、ステップ(2)において、前記スプレーが完了した後、前記酸性コアペレットは、水分含有量が1.0wt%未満になるまで乾燥される、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願日が2018年4月4日である中国特許出願CN201810300259.6の優先権を主張する。この出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(DEM)の化学名は、β-アラニン、N-[[2-[[[4-[[((ヘキシロキシ)カルボニル]アミノ]イミノメチル]ベンゼン[アミノ]メチル] -1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-イル]カルボニル]-N-2-ピリジル-エチルエステルメタンスルホネートであり、経験式はC34415・CHSであり、分子量は723.86であり、CAS#は872728-81-9である。DEMの構造式は次のとおりである:
【0004】
【化1】
【0005】
DEMは、市販品であるPradaxaカプセルの医薬活性成分(API)である。DEMはダビガトランのプロドラッグの1つであり、トロンビンの直接阻害剤である。Pradaxaカプセルはベーリンガーインゲルハイムによって販売されており、心臓弁以外の問題によって引き起こされる心房細動を有する患者の脳卒中及び血栓症のリスクを減らすために使用されており、また、深部静脈血栓症や肺塞栓症の治療にも使用されている。
【0006】
DEMは白色から淡黄色の粉末である。これはメタノールに溶け易く、イソプロパノールにやや溶けにくい、エタノールに溶けにくい。純水におけるDEM飽和溶液の溶解度は1.8mg/mLである。DEMはpH依存の溶解度分布を有し、pH 1での最大溶解度は80mg/mLを超えるが、中性pHでは溶けない。中性pHでDEMの低い溶解度は、その低い経口吸収と不安定の原因になる。
【0007】
従来技術では、DEMの溶出度を改善することを目的とした様々な方法が開示されている。
【0008】
米国特許出願20130052262および20150366807は、DEMおよび無機酸から構成される医薬製剤を開示した。当該製剤中の無機酸は胃液への溶解度を高めることができるが、中性媒体でのDEM沈殿問題はまだ解決することはできなかった。
【0009】
米国特許出願20150030680に開示されている医薬組成物は2つのタイプの顆粒を含み、1つの顆粒はDEMを有し、もう一つの顆粒は有機酸を有する。当該製剤中の有機酸は胃液への溶解度を高めることができるが、中性媒体でのDEM沈殿問題はまだ解決することはできなかった。
【0010】
米国特許出願20150366813は親油性医薬組成物を開示し、当該医薬組成物は、例えばDEMのような容易に加水分解できるAPIを含み、且つ、当該APIは、水分と接触するのを防ぎ、その溶出度を増加させるために、APIを医薬組成物に懸濁する。しかしながら、この特許出願に開示されている医薬組成物は、中性媒体におけるDEM沈殿問題を依然として解決することはできなかった。
【0011】
米国特許出願20130149346A1は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールグリセリド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを固体溶媒として使用したDEM固溶体組成物を開示した。この特許出願には、中性pHでの溶出曲線がどうなるかが示されていないため、これらの固溶体のDEM溶出が改善されるかどうかを確認することはできなかった。
【0012】
WO 03/074056には、酒石酸を使用してDEMの即時放出を達成し、それにより、胃腸管でのその溶出度を促進する製剤が開示されている。前述のように、この方法は、プロトンポンプ阻害剤パントプラゾールの事前投与によって胃液のpHを人為的に上昇させる場合に適する。このような医薬組成物は市販製品のPradaxaと言われ、酒石酸コアの表面にシーラント層組成物をスプレーし、次いで密封された酒石酸コアにDEMと皮膜形成剤の懸濁液をスプレーすることにより調製される。シーラント層は、DEMと酒石酸との相互作用を防ぐために使用される。APIとポリマー皮膜形成剤との比率が高いため、DEMは主に結晶の形で存在し、したがって、その溶出曲線はpHに強く依存することを招く。酒石酸を含まない製剤と比較すると、その経口バイオアベイラビリティが改善されているにもかかわらず、それはまだ低く、約3~7%である。これ以外に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルシェルを使わない丸剤を経口服用する場合、Pradaxaの経口バイオアベイラビリティは75%増加し、これはHPMCカプセルの緩慢な溶解が胃液に溶解したDEMの百分比を減らすため、DEMのバイオアベイラビリティを低下させることを表明する。
【0013】
DEMは酒石酸の作用により胃液に溶解しやすくても、溶解したDMEは胃から小腸に排出された後沈殿する可能性があるため、その吸収を低下させる。これ以外に、Dabigatran:how the drug company withheld important analyses(Deborah Cohen, investigations editor, The BMJ,BMJ 2014;349)には、酒石酸だけを使用して胃腸液におけるDEMの溶出度を増加させることは、DEM吸収の大きな変化を引き起こし、それが胃腸液における最大濃度(Cmax)の範囲は5倍まで達することが示された。DEMの治療指数が低いため、変化の範囲が広すぎるCmaxのほうが、さらに、大出血などの有害な副作用を引き起こす可能性が高くなる。高い血漿DEM濃度によって引き起こされる潜在的な大出血を緩和するために、米国特許8.962,574に、150mgの代わりに、110mgのより低い用量強度を使用することが開示されていた。
【発明の概要】
【0014】
発明内容
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術におけるダビガトランエテキシレートを含む製剤の腸液に沈殿しやすいという欠点を克服し、ダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物およびその調製方法を提供することである。当該医薬組成物の溶出曲線は、胃腸液のpHによる影響が少なく、中性pHでDEMが腸液内に沈殿することを防ぐこともできるため、当該医薬組成物は、ダビガトランエテキシレートまたはその薬学的に許容される塩の経口吸収を増強することができ、医薬活性成分のバイオアベイラビリティを改善することができ、さらに吸収の変動性を低減することができ、同時に、より安定的な血漿におけるダビガトランの濃度を提供することができ、それにより有害な副作用を減らし、GIT出血の可能性を減らす;それ以外に、吸収が増加し、胃腸管での非吸収DEMが大幅に減少するので、GIT大出血をさらに軽減できる。医薬活性成分が医薬組成物の他の組分と共同に固体分散体を形成する場合、すべてのDEMは担体に事前に溶解される(担体は医薬活性成分以外の他の組分を指す)ので、薬物の溶出を心配する必要がなく;また、担体は水性媒体および酸性pHの条件下で迅速に溶出できるため、DEMの再結晶の可能性を低減ひいては排除することができるため、DEMの吸収をさらに促進することができる。
【0015】
本発明は、以下の技術案により上記の技術的問題を解決する。
【0016】
本発明は、医薬活性成分と両性ポリマーとを含むダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物を提供し、ここで、上記医薬活性成分がダビガトランエテキシレートおよび/またはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩であり、上記両性ポリマーがポリエチレンカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフト共重合体であり;且つ、上記医薬活性成分と上記両性ポリマーの質量比は1:0.23~1:3である。
【0017】
本発明において、好ましくは、上記医薬活性成分は、ダビガトランエテキシレートまたはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である。
【0018】
本発明において、上記医薬組成物における医薬活性成分の質量は、好ましくは30~180mgであり、より好ましくは39.1~173mgである。
【0019】
本発明において、上記両性ポリマーにおけるビニルカプロラクタムの繰り返し単位の数は、57以下であることが好ましい。上記両性ポリマーにおける酢酸ビニルの繰り返し単位の数は、30以下であることが好ましい。上記両性ポリマーにおけるポリエチレングリコールの繰り返し単位の数は、13以上であることが好ましい。上記両性ポリマーにおいて、ビニルカプロラクタム単位の割合は好ましくは57%であり、酢酸ビニル単位の割合は好ましくは30%であり、ポリエチレングリコール単位の割合は好ましくは13%であり、パーセントはモルパーセントである。上記ポリエチレングリコールは、好ましくはポリエチレングリコール6000である。上記両性ポリマーのモノマーは、好ましくはポリエチレングリコール6000、ビニルカプロラクタム、および酢酸ビニルである。上記両性ポリマーにおけるポリエチレングリコール6000、ビニルカプロラクタムおよび酢酸ビニルの3つのモノマーのモル比は、好ましくは13:57:30である。上記両性ポリマーの分子量は、好ましくは90000~140000g/molである。上記両性ポリマーのガラス転移温度は、好ましくは69~71℃である。上記両性ポリマーは、より好ましくは市販で入手できるSoluplus(登録商標)であり、その製造元はBASF AGである。上記Soluplus(登録商標)は、ポリエチレンカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト共重合体であり;上記Soluplus(登録商標)におけるビニルカプロラクタムの繰り返し単位の数は57以下であり、上記Soluplus(登録商標)における酢酸ビニルの繰り返し単位の数は30以下であり、上記Soluplus(登録商標)におけるポリエチレングリコールの繰り返し単位の数は13以上であり;上記両性ポリマーの繰り返し単位は、ポリエチレングリコール6000、ビニルカプロラクタムおよび酢酸ビニルであり、且つ、ポリエチレングリコール6000、ビニルカプロラクタムおよび酢酸ビニルとの上記3つの単位のモル比は13:57:30であり、上記Soluplus(登録商標)の分子量は90000~140000g/mol(例えば118000g/mol)であり、上記Soluplus(登録商標)のガラス転移温度は約70℃である。
【0020】
本発明において、上記医薬活性成分および上記両性ポリマーの質量比は、好ましくは1:0.24~1:3、1:0.3~1:3、1:0.5~1:3、1:1.5~1:3または1:1.5~1:2.3であり、例えば1:0.24、1:0.25、1:0.33、1:0.77、1:1、1:1.2、1:1.5、1:1.6、1:2または1:2.3である。
【0021】
本発明において、上記医薬組成物は、親水性ポリマーをさらに含んでもよく、上記親水性ポリマーは、当該技術分野で通常的に使用されている水溶性材料であってもよい。
【0022】
ここで、上記医薬活性成分および上記親水性ポリマーの質量比は、好ましくは1:0.45~1:4であり、より好ましくは1:0.5~1:3であり、例えば1:1.2、1:1.25、1:1.9、1:2、1:2.5または1:2.85。
【0023】
ここで、上記親水性ポリマーは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリアクリレートのうちの一つ又は複数であることが好ましい。ここで、説明する必要があるのは、上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロック共重合体は、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールで形成された共重合体である。上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロック共重合体は、好ましくはKolliphor P188および/またはKolliphor P407である。上記ポリビニルピロリドンは、好ましくはPVP K12である。上記ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体は、好ましくはKolliphor VA64である。上記ヒドロキシプロピルセルロースは、好ましくはKlucel EFである。上記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好ましくはHPMC E5および/またはHPMC VLVである。上記ポリアクリレートは、好ましくはEudragit L100である。
【0024】
親水性ポリマーが上記医薬組成物に含まれる場合、上記医薬組成物における上記医薬活性成分の質量百分率は、当該技術分野で通常のものであり得、例えば、5wt%~60wt%、好ましくは10wt%~55wt%、より好ましくは20~45wt%であり、例えば13.3wt%、14.4wt%、16.9wt%、17.0wt%、18.0wt%、24.0wt%、 39.1wt%、または43.4wt%である。
【0025】
親水性ポリマーが上記医薬組成物に含まれる場合、上記医薬組成物における上記両性ポリマーの質量百分率は、好ましくは3wt%~40wt%であり、例えば3.3wt%、6.0wt%、9.2wt%、10.0wt%、12.8 wt%、12.9wt%、18.6wt%、21.3wt%、22.5wt%、22.8wt%、24.3wt%、28.3wt%、38.8wt%、または39.2wt%である。
【0026】
親水性ポリマーが上記医薬組成物に含まれる場合、上記医薬組成物における上記親水性ポリマーの質量百分率は、当該技術分野で通常のものであり得、例えば、10wt%~90wt%、好ましくは20wt%~80wt%、さらに好ましくは、40wt%~60wt%であり、例えば、16.7wt%、19.2wt%、19.9wt%、22.2wt%、26.1wt%、27.4wt%、27.4wt%、29.6wt%、31.0wt%、33.3wt%、35.9wt%、30.0wt%または36.0wt%である。
【0027】
上記親水性ポリマーは、医薬組成物における医薬活性成分が酸性pHでの溶出を促進し、それにより医薬組成物における分子形態で分散した医薬活性成分の潜在的な再結晶化を最小限に抑える。
【0028】
本発明において、上記医薬組成物は、当該技術分野で通常的に使用される崩壊剤をさらに含んでもよく、好ましくはクロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスポビドンの一種又は複数種であり、より好ましくはクロスカルメロースナトリウムおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0029】
ここで、上記医薬組成物における上記崩壊剤の質量百分率は、当該技術分野で通常のものであり得、例えば、0wt%~5wt%あり得るが、0wt%ではなく;好ましくは3wt%~5wt%である。
【0030】
本発明において、上記医薬組成物は、当該技術分野で通常的に使用される帯電防止剤をさらに含んでもよく、好ましくは長鎖アルキルフェノール、エトキシル化アミン、グリセリド、およびシリカのうちの一種又は複数種であり、より好ましくはシリカである。
【0031】
ここで、上記医薬組成物における上記帯電防止剤の質量百分率は、当該技術分野で通常のものであってよく、例えば、0wt%~5wt%であるが、0wt%ではなく、好ましくは0.01wt%~3wt%、より好ましくは、0.5wt%~2wt%である。帯電防止剤の添加は、上記医薬組成物のスプレーおよび封入を促進する。
【0032】
本発明において、上記医薬組成物は、当該技術分野で通常的に使用されている潤滑剤(「流動促進剤」とも呼ばれる)をさらに含んでもよく、好ましくはステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、コロイド状シリカ、ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸カルシウムのうちの一種又は複数種であり、より好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
【0033】
ここで、上記医薬組成物における上記潤滑剤の質量百分率は、当該技術分野で通常のものであってよく、例えば、0wt%~5wt%であるが、0wt%ではなく、好ましくは0.01wt%~3wt%、より好ましくは0.5wt%~2wt%である。潤滑剤の添加は、上記医薬組成物の噴霧乾燥またはスプレー、及び上記医薬組成物を含む固体顆粒またはペレットがカプセルに充填されること促進する。
【0034】
本発明において、上記医薬組成物は、当該技術分野で通常的に使用されている希釈剤をさらに含んでもよく、好ましくはマンニトールおよび/またはラクトース一水和物である。
【0035】
ここで、上記医薬組成物における上記希釈剤の質量百分率は、当該技術分野で通常のものであってよく、例えば、0wt%~40wt%であるが、0wt%ではなく、好ましくは、9 wt%~38.3 wt%である。
【0036】
本発明において、好ましくは、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分を含む:9%~48%の上記医薬活性成分、9%~44%の上記両性ポリマー、0%~53%の上記親水性ポリマー、0%~90%の上記希釈剤、0%~20%の上記崩壊剤、0%~5%の上記帯電防止剤、0%~2%の上記潤滑剤。より好ましくは、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分を含む:9%~48%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、9%~44%のSoluplus(登録商標)、0%~30%のKolliphor P407、0%~23%のKolliphor P188、0%~58%ラクトース一水和物、0%~32%のマンニトール、0%~20%のクロスカルメロースナトリウム、0%~5%シリカおよび0%~3%ステアリン酸マグネシウム。
【0037】
本発明において、好ましくは、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分を含む:13%~44%の上記医薬活性成分、6%~39%の上記両性ポリマー、16%~36%の上記親水性ポリマー、9%~39%の上記希釈剤、5%~23%の上記崩壊剤及び0.4%~0.5%の上記潤滑剤。上記医薬活性成分は、好ましくはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である。上記両性ポリマーは、好ましくはSoluplus(登録商標)である。上記親水性ポリマーは、好ましくはKolliphor P407および/またはKolliphor P188である。上記希釈剤は、好ましくはラクトース一水和物および/またはマンニトールである。上記崩壊剤は、好ましくはクロスカルメロースナトリウムおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。上記潤滑剤は、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
【0038】
本発明において、好ましくは、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分を含む:16%~19%の上記医薬活性成分、21%~43%の上記両性ポリマー、32%~58%の上記希釈剤、5%~20%の上記崩壊剤、および0%~2%の上記潤滑剤。より好ましくは、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各成分を含む:16%~19%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、21%~43%のSoluplus(登録商標)、32%~58%のラクトース一水和物、5%~20%クロスカルメロースナトリウムおよび0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0039】
本発明において、好ましくは、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分を含む:16%~18%の上記医薬活性成分、26%~44%の上記両性ポリマー、17%~23%の上記親水性ポリマー、0%~32%の上記希釈剤、5%~20%の上記崩壊剤、および0%~2%の上記潤滑剤。より好ましくは、上記医薬組成物は以下の質量分率の各組分を含む:16%~18%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、26%~44%のSoluplus(登録商標)、0%~32%のマンニトール、17%~23%のKolliphor P188、5%~20%のクロスカルメロースナトリウムおよび0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0040】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:17%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、39.2%のSoluplus(登録商標)、38.3%のラクトース水和物、5.0%のクロスカルメロースナトリウムおよび0.5%のステアリン酸マグネシウム。
【0041】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:16.9%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、38.8%のSoluplus(登録商標)、18.9%のマンニトール、19.9%のKolliphor P188、5.0%のクロスカルメロースナトリウムおよび0.5%のステアリン酸マグネシウム。
【0042】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:43.35%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、10%のSoluplus(登録商標)、9%のマンニトール、22.15%のKolliphor P407、15.0%のクロスカルメロースナトリウムおよび0.5%のマグネシウムステアリン酸。
【0043】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:43.35%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、10%のSoluplus(登録商標)、9%のマンニトール、22.15%のKolliphor P407、15.0%の低置換ヒドロキシプロピルセルロースおよび0.5%ステアリン酸マグネシウム。
【0044】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:39.1%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、9.2%のSoluplus(登録商標)、9.2%のマンニトール、19.2%のKolliphor P188、23.0%のクロスカルメロースナトリウムおよび0.4%のステアリン酸マグネシウム。
【0045】
本発明において、上記医薬組成物は、一般に以下の形態で存在する:粉末、ペレット、顆粒、カプセル、または錠剤、で上記剤形では、医薬活性成分は、医薬組成物における他の組分と共同に固体分散体を形成することができ、医薬活性成分は、医薬組成物における他の組分と物理的に混合した後、均一に混合されたシステムを形成することもできる。
【0046】
上記医薬組成物が粉末の形態で存在する場合、上記医薬活性成分は上記医薬組成物における他の組分と共同に固体分散体を形成し、上記粉末の調製方法は当該技術分野で通常の調製方法であり得、例えば、上記医薬組成物における各組分を有機溶媒に溶解し、噴霧乾燥すればよい。好ましくは、上記粉末の調製方法は以下のステップを含む:上記医薬組成物における各組分をエタノール水溶液に溶解し、噴霧乾燥すればよく、ここで、上記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は90%~95%である。上記粉末において、分子分散形態および/または非定型形態で存在する医薬活性成分が上記医薬活性成分の総質量で占めす百分率は、15wt%~100wt%であってもよく、好ましくは40wt%~100wt%であり、より好ましくは、60wt%~100wt%である。
【0047】
ペレットはコアと上記コアを覆う薬物層を有し、上記薬物層とは、上記医薬組成物における各組分が共同に形成された、上記コアを覆う固体分散層を指し、且つ、そのコアで形成された溶液のpHの相違により、中性コアペレットと酸性コアペレットに分けられることができる。
【0048】
上記医薬組成物が中性コアペレットの形態で存在する場合、上記中性コアペレットは中性コアと上記中性コアを覆う薬物層を有し、上記薬物層とは上記薬物組成物における各組分が共同に形成した、上記中性コアを覆う固体分散層を指し、上記中性コアペレットは、以下の質量分率の各組分を含む:9%~30%の上記医薬活性成分、2%~24%の上記両性ポリマー、11%~42%の上記親水性ポリマー、33%~77%の上記中性コア。
【0049】
ここで、上記医薬活性成分の総質量に対して、分子分散形態および/または非定型形態で存在する医薬活性成分の百分率は15wt%~100wt%であってもよく、好ましくは40wt%~100wt%であり、より好ましくは60wt%~100wt%である。
【0050】
ここで、上記中性コアは、当該技術分野で中性コアペレットの調製に通常的に使用される中性コアであってもよく、例えば、微結晶セルロースコアおよび/または糖コアであってもよい。好ましくは、上記中性コアは糖コアである。
【0051】
ここで、好ましくは、上記中性コアペレットは、以下の質量分率の各組分を含む:12%~30%の上記医薬活性成分、6%~24%の上記両性ポリマー、15%~42%の上記親水性ポリマーおよび33%~50%の上記中性コア。より好ましくは、上記中性コアペレットは、以下の質量分率の各組分を含む:12%~30%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、6%~24%のSoluplus(登録商標)、15%~42%のKolliphor P407、%および33%~50%の糖コア。
【0052】
ここで、好ましくは、上記中性コアペレットは、以下の質量分率の各組分を含む:9%~20%の上記医薬活性成分、2%~5%の上記両性ポリマー、11%~25%の上記親水性ポリマーおよび50%~77%の上記中性コア。より好ましくは、上記中性コアペレットは、以下の質量分率の各組分を含む:9%~20%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、2%~5%のSoluplus(登録商標)、11%~25%のKolliphor P407、および50%~77%の糖コア。
【0053】
ここで、好ましくは、上記中性コアペレットは、以下の質量分率の各組分を含む:13.3%~24%の上記医薬活性成分、3.33%~28.27%の上記両性ポリマー、16.7%~36%の上記親水性ポリマーおよび40%~66.7%の上記中性コア。上記医薬活性成分は、好ましくはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である。上記両性ポリマーは、好ましくはSoluplus(登録商標)である。上記親水性ポリマーは、好ましくはKolliphor P407および/またはKolliphor P188である。上記中性コアは、糖コアおよび/または微結晶セルロースコアである。
【0054】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:18%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、6%のSoluplus(登録商標)、36%のKolliphor P407および40%の糖コア。
【0055】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:24%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、6%のSoluplus(登録商標)、30%のKolliphor P407および40%の糖コア。
【0056】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:13.3%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩、3.33%のSoluplus(登録商標)、16.7%のKolliphor P407および66.7%の糖コア。
【0057】
ここで、上記中性コアペレットを調製する方法は、当該技術分野で通常のものであり得、例えば、上記医薬組成物における各組分を有機溶媒に溶解し中性核にスプレーすればよい。好ましくは、上記中性コアペレットを調製する方法は、上記医薬組成物における各組分をエタノール水溶液に溶解し、中性コアにスプレーするステップを含めばよく、ここで、上記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は90%~95%である。
【0058】
上記医薬組成物が酸性コアペレットの形態で存在する場合、上記酸性コアペレットは酸性コア、バリア層、および薬物層を含み、上記バリア層は酸性コアの表面を覆い、上記薬物層は上記バリア層の表面を覆い;上記バリア層にSoluplus(登録商標)とKolliphor P407が含まれる。
【0059】
ここで、上記酸性コアは、当該技術分野で通常的に使用される酸性コアであり得、例えば、酒石酸コアであってもよい。
【0060】
ここで、上記酸性コアが上記酸性コアペレットにおける質量百分率は、当該技術分野で通常のものであり得、好ましくは17%~36%である。
【0061】
ここで、上記バリア層が上記酸性コアの表面を覆うことは、上記バリア層の各組分が均一に混合された状態で上記酸性コアの表面にコーティングされることを意味する。上記バリア層中のSoluplus(登録商標)が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は、9%~13%であることが好ましい。上記バリア層中のKolliphor P407が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は、好ましくは4%~6%である。
【0062】
ここで、上記薬物層が上記バリア層の表面を覆うことは、上記薬物層の各組分が固体分散体の形態で上記バリア層の表面にコーティングされることを意味する。好ましくは、上記薬物層に上記薬物活性成分、Soluplus(登録商標)およびKolliphor P407が含まれ、且つ、上記薬物層中の上記薬物活性成分が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は14%~19%であり、上記薬物層中のSoluplus(登録商標)が上記酸性コアペレットにおける質量百分率が12%~17%であり、上記薬物層中のKolliphor P407が上記酸性コアペレットにおける質量百分率が22%~29%である。
【0063】
ここで、好ましくは、上記酸性コアが上記酸性コアペレットにおける質量百分率は17%~36%である。上記バリア層中のSoluplus(登録商標)が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は9%~13%であり、上記バリア層中のKolliphor P407が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は4%~6%であり、上記薬物層には、上記医薬活性成分、Soluplus(登録商標)およびKolliphor P407が含まれ、且つ上記薬物層中の上記医薬活性成分が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は14%~19%であり、上記薬物層中のSoluplus(登録商標)が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は12%~17%であり、上記薬物層中のKolliphor P407が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は22%~29%である。
【0064】
本発明の1つの好ましい実施形態では、上記酸性コアが上記酸性コアペレットにおける質量百分率は35.7%であり;上記バリア層中のSoluplus(登録商標)が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は9.6%であり、上記バリア層中のKolliphor P407が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は4.7%であり;上記薬物層には、上記医薬活性成分、Soluplus(登録商標)およびKolliphor P407が含まれ、且つ上記薬物層中の上記医薬活性成分が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は14.4%であり、上記薬剤層中のSoluplus(登録商標)が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は12.9%であり、上記薬物層中のKolliphor P407が上記酸性コアペレットにおける質量百分率は22.6%である。
【0065】
上記医薬組成物が顆粒の形態で存在する場合、上記顆粒の調製方法は、例えば、湿式造粒(ここで、上記湿式造粒に使用される溶媒は好ましくはイソプロパノールである)、ロール造粒、流動層造粒またはホットメルト造粒など当該技術分野で通常の造粒方法であり得る。上記造粒法により調製された顆粒において、医薬活性成分及び医薬組成物における他の組分は、物理的に混合することを経って均一に混合された系を形成する。もちろん、上記医薬組成物を顆粒の形態で存在させるために、当該技術分野における通常の造粒方法を採用することにより、医薬活性成分が医薬組成物における他の組分と共同に固体分散体を形成してもよい。
【0066】
ここで、顆粒の調製方法は、ホットメルト造粒であることが好ましく、上記医薬組成物が潤滑剤を含まない場合、上記顆粒を調製する方法は、以下のステップを含むことが好ましい:Soluplus(登録商標)粉末を上記医薬組成物における他の組分と混合して均一な顆粒を形成すればよい。上記Soluplus(登録商標)粉末の粒子径は120メッシュ未満であることが望ましい。好ましくは、上記混合の温度は70~75℃である。
【0067】
ここで、上記顆粒の調製方法は、ホットメルト造粒であることが好ましく、上記医薬組成物が潤滑剤を含む場合、上記顆粒を調製する方法は、好ましくは以下のステップを含む:上記医薬組成物中のSoluplus(登録商標)を粉砕した後得られたSoluplus(登録商標)粉末を上記医薬組成物における他の組分と混合して均一な顆粒を形成した後、さらに潤滑剤と混合すればよい。上記Soluplus(登録商標)粉末の粒子径は120メッシュ未満であることが望ましい。好ましくは、上記混合の温度は70~75℃である。
【0068】
上記ホットメルト造粒を採用する場合、好ましくは、上記医薬組成物は、以下の質量分率の各組分を含む:16%~45%の上記医薬活性成分、9%~40%の上記両性ポリマー、19%~23%の上記親水性ポリマー、9%~20%の上記希釈剤、4%~23%の上記崩壊剤および0.4%~0.5%の上記潤滑剤。上記医薬活性成分は、好ましくはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である。上記両性ポリマーは、好ましくはSoluplus(登録商標)である。上記親水性ポリマーは、Kolliphor P407および/またはKolliphor P188であることが好ましい。上記希釈剤は、好ましくはラクトース一水和物および/またはマンニトールである。上記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであることが好ましい。上記潤滑剤は、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
【0069】
前述のように、上記医薬組成物は、粉末、ペレット、顆粒、カプセルまたは錠剤の形態で存在し得る。好ましくは、上記医薬活性成分は、上記医薬組成物における他の組分と共同に固体分散体を形成する。より好ましくは、上記医薬組成物における上記両性ポリマーは、以下の2つ存在形態で共存し、第1の存在形態は、上記医薬活性成分と固体分散体を形成することであり、第2の存在形態は、固体顆粒の形態で存在することである。
【0070】
ここで、好ましくは、第1の形態で存在する両性ポリマーの質量分率は、上記両性ポリマーの総質量の10%~100%を占めるが、100%ではない。
【0071】
ここで、上記固体顆粒は上記両性ポリマーの粉末であってもよく、以下の質量分率の各組分を含んでもよい:40%~100%の上記両性ポリマー、0%~55%の上記希釈剤、0%~55%の上記親水性ポリマー、0%~20%の上記崩壊剤、0%~5%の上記帯電防止剤および0%~2%の上記潤滑剤。具体的には、上記固体顆粒には以下の質量分率の各組分が含まれる:40%~100%のSoluplus(登録商標)、0%~55%のKolliphor P407および/またはKolliphor P188、0%~55%のラクトース一水和物および/またはマンニトール、0%~20%のクロスカルメロースナトリウム、0%~5%のシリカ及び0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0072】
好ましくは、上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分を含む:40%~58%の上記両性ポリマー、0%~55%の上記希釈剤、0%~55%の上記親水性ポリマー、5%~20%の上記崩壊剤、0%~5%の上記帯電防止剤、および0%~2%の上記潤滑剤。
【0073】
より好ましくは、上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分を含む:40%~50%のSoluplus(登録商標)、0%~55%のラクトース、5%~20%のクロスカルメロースナトリウム、0%~5%のシリカおよび0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0074】
より好ましくは、上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分を含む:40%~50%のSoluplus(登録商標)、0%~55%のKolliphor P407、5%~20%のクロスカルメロースナトリウム、0%~5%のシリカおよび0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0075】
より好ましくは、上記固体顆粒は以下の質量分率の各組分を含む:41%~58%のSoluplus(登録商標)、3%~33%のマンニトール、13%~26%のKolliphor P407、5%~20%のクロスカルメロースナトリウム、0%~5%のシリカおよび0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0076】
より好ましくは、上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分を含む:41.9%~50%の上記両性ポリマー、24.7%~51.9%の上記希釈剤、19.8%~51.9%の上記親水性ポリマー、5.0%~5.25%の上記崩壊剤、0.1%~1%の上記潤滑剤および0.1%~1%の上記帯電防止剤。上記医薬活性成分は、好ましくはダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩である。上記両性ポリマーは、好ましくはSoluplus(登録商標)である。上記親水性ポリマーは、Kolliphor P407および/またはKolliphor P188であることが好ましい。上記希釈剤は、好ましくはラクトース一水和物および/またはマンニトールである。上記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであることが好ましい。上記潤滑剤は、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。上記帯電防止剤は、シリカであることが好ましい。
【0077】
ここで、好ましくは、上記医薬組成物の総質量で占める上記固体顆粒の質量百分率は9%~35%である。
【0078】
本発明の一つの好ましい実施形態において、上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分からなる:41.88%のSoluplus(登録商標)、51.87%のラクトース一水和物、5.25%のクロスカルメロースナトリウム、0.5%のステアリン酸マグネシウムおよび0.5%のシリカ。
【0079】
本発明の一つの好ましい実施形態において、上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分からなる:41.88%のSoluplus(登録商標)、51.87%のKolliphor P407、5.25%のクロスカルメロースナトリウム、0.5%のステアリン酸マグネシウムおよび0.5%のシリカ。
【0080】
本発明の一つの好ましい実施形態において、上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分からなる:49.5%のSoluplus(登録商標)、24.7%のマンニトール、19.8%のKolliphor P407、5.0%のクロスカルメロースナトリウム、0.5%のステアリン酸マグネシウムおよび0.5%のシリカ。
【0081】
ここで、上記固体顆粒が補助材料を含む場合(ここで、補助材料はSoluplus(登録商標)以外の他の組分を指す)、上記固体顆粒の調製方法は、例えば、湿式造粒(ここで、上記湿式造粒で使用される溶媒は好ましくはイソプロパノールである)、ロール造粒、流動層造粒、またはホットメルト造粒など当該技術分野で通常の造粒方法であり得る。
【0082】
ここで、好ましくは、上記固体顆粒を調製する方法はホットメルト造粒である。上記固体顆粒が潤滑剤を含まない場合、上記固体顆粒を調製する方法は、以下のステップを含むことが好ましい:Soluplus(登録商標)粉末を上記固体顆粒の原料における他の組成と混合して、均一な顆粒を形成すればよい。上記Soluplus(登録商標)粉末の粒子径は120メッシュ未満であることが望ましい。好ましくは、上記混合の温度は70~75℃である。
【0083】
ここで、上記固体顆粒の調製方法は、ホットメルト造粒であることが好ましく、上記固体顆粒が潤滑剤を含まない場合、上記固体顆粒を調製する方法は、好ましくは以下のステップを含む:Soluplus(登録商標)粉末を上記固体顆粒の原料における他の組分と混合して均一な顆粒を形成した後、さらに潤滑剤と混合すればよい。上記Soluplus(登録商標)粉末の粒子径は120メッシュ未満であることが望ましい。好ましくは、上記混合の温度は70~75℃である。
【0084】
上記医薬組成物がカプセルの形態で存在する場合、上記カプセルのカプセルシェルに、前述の粉末、前述のペレット、および前述の顆粒の一種又は複数種を含む。好ましくは、上記カプセルのカプセルシェルは、上記粉末、上記ペレットまたは上記顆粒を含む。ここで、上記カプセルシェルは、当該技術分野で通常的に使用されるカプセルシェルであってもよい。
【0085】
上記医薬組成物が錠剤の形態で存在する場合、上記錠剤は、前述の粉末、前述のペレット、および前述の顆粒の一種又は複数種を含む。好ましくは、上記錠剤は、上記粉末、上記ペレット、または上記顆粒を含む。
【0086】
本発明において、患者へ、溶液または懸濁液の形態で経口投与することができ、且つ、上記溶液または上記懸濁液は、前述の粉末、前述のペレット、および前述の顆粒の一種又は複数種を分散させることによって得られる。好ましくは、上記溶液または上記懸濁液は、前述のペレットを分散させることにより得られる。ここで、上記溶液または上記懸濁液における水の体積は、例えば、10~50mLであってもよい。
【0087】
本発明において、好ましくは、患者へ、カプセルまたは錠剤の形態で経口投与し、且つ上記カプセルまたは上記錠剤における医薬活性成分の含有量は、40~200ng/mLのダビガトランの最大血漿濃度を生成できなければならない。より好ましくは、上記カプセルまたは上記錠剤における医薬活性成分の含有量は、70~175ng/mLのダビガトランの最大血漿濃度を生成できなければならない。さらに好ましくは、上記カプセルまたは上記錠剤における医薬活性成分の含有量は、100~150ng/mLのダビガトランの最大血漿濃度を生成できなければならない。上記ダビガトランの最大血漿濃度は、健康なボランティアまたは患者を対象とした単回投与の空腹時試験に基づいて確定することができる。
【0088】
本発明は、医薬組成物を調製する方法も提供する。
【0089】
上記医薬組成物が中性コアを含まず、且つ上記医薬組成物が粉末の形態で存在する場合、上記粉末の調製方法は好ましくは以下のステップを含む:上記医薬組成物の各組分をエタノール水溶液に溶解され、噴霧乾燥すればよい。
【0090】
ここで、好ましくは、上記エタノール水溶液中のエタノールの質量分率は90%~95%であり;
上記医薬組成物が中性コアを含まず、且つ上記医薬組成物が顆粒の形態で存在する場合、上記顆粒の調製方法は、以下のステップを含むことが好ましい:造粒溶媒としてイソプロパノールを使用して、上記医薬組成物における各組分の混合物を湿式造粒し、湿顆粒を得;さらに、上記湿顆粒を20メッシュの篩に通過させた後、乾燥させればよい。
【0091】
上記医薬組成物が中性コアを含まず、かつ上記医薬組成物が顆粒の形態で存在する場合、上記医薬組成物はより好ましくはホットメルトにより造粒され、上記ホットメルト造粒の方法は好ましくは以下のステップを含む:
上記医薬組成物が潤滑剤を含まない場合、上記顆粒を調製する方法は、以下のステップを含む:Soluplus(登録商標)粉末を上記医薬組成物における他の組分と混合して均一な顆粒を形成すればよい。好ましくは、上記Soluplus(登録商標)粉末の粒子径は120メッシュ未満であることが望ましい。より好ましくは、上記混合温度は70~75℃である。
【0092】
上記医薬組成物が潤滑剤を含む場合、上記顆粒を調製する方法は、以下のステップを含む:Soluplus(登録商標)粉末を上記医薬組成物における他の組分と混合して均一な顆粒を形成させた後、さらに、上記潤滑剤と混合すればよい。好ましくは、上記Soluplus(登録商標)粉末の粒子径は120メッシュ未満である。より好ましくは、上記混合の温度は70~75℃である。
【0093】
上記医薬組成物が中性コアを含み、且つ上記医薬組成物が中性コアペレットの形態で存在する場合、上記中性コアペレットを調製する方法は、好ましくは以下のステップを含む:上記医薬組成物における上記中性コア以外の他の組分を有機溶媒に溶解して得られたコーティング液を上記中性コアにスプレーすればよい。
【0094】
ここで、上記中性コアとは、予備乾燥後の中性コアを指し、上記予備乾燥後の中性コアの水分含有量は、好ましくは1.0wt%未満である。
【0095】
ここで、上記有機溶媒はエタノール溶液であることが好ましい。上記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は、好ましくは90%~95%である。
【0096】
ここで、上記コーティング液における医薬組成物の質量百分率は、好ましくは20%~24%である。
【0097】
ここで、上記スプレー過程において、空気入口の温度は、好ましくは45~60℃である。
【0098】
ここで、上記スプレー過程において、上記顆粒の温度は30~50℃であることが好ましい。
【0099】
ここで、上記スプレーが完了した後、上記顆粒を水分含有量が1.0wt%未満になるまで乾燥させることが好ましい。
【0100】
上記医薬組成物が酸性コアを含み、且つ上記医薬組成物が酸性コアペレットの形態で存在する場合、上記酸性コアペレットの調製方法は、好ましくは以下のステップを含む:
(1)上記バリア層の各組分を有機溶媒に溶解して形成されたコーティング液を上記酸性コアにスプレーして、酸性顆粒を得;
(2)上記薬剤層の各組分を有機溶媒に溶解して形成されたコーティング液を上記酸性顆粒にコーティングすればよい。
【0101】
ステップ(1)において、上記酸性コアは、予備乾燥後の酸性コアを指し、上記予備乾燥後の酸性コアの水分含有量は、好ましくは1.0wt%未満である。
【0102】
ステップ(1)において、上記有機溶媒はエタノール溶液であることが好ましい。上記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は、好ましくは90%~95%である。
【0103】
ステップ(1)において、上記コーティング液における医薬組成物の質量百分率は、好ましくは20%~26%である。
【0104】
ステップ(1)において、上記スプレー過程において、空気入口の温度は45~60℃が好ましい。
【0105】
ステップ(1)において、上記スプレー過程において、上記酸性顆粒の温度は30~32℃が好ましい。
【0106】
ステップ(1)において、上記スプレーが完了した後、上記酸性顆粒は、水分含有量が1.0wt%未満になるまで乾燥されることが好ましい。
【0107】
ステップ(2)において、上記有機溶媒は好ましくはエタノール溶液である。上記エタノール水溶液におけるエタノールの質量分率は、好ましくは90%~95%である。
【0108】
ステップ(2)において、上記コーティング液における上記医薬組成物の質量百分率は、好ましくは20%~24%である。
【0109】
ステップ(2)では、上記スプレー過程において、空気入口の温度は45~60℃であることが好ましい。
【0110】
ステップ(2)では、上記スプレー過程において、上記酸性コアペレットの温度は30~32℃であることが好ましい。
【0111】
ステップ(2)において、上記スプレーが完了した後、上記酸性コアペレットは、水分含有量が1.0wt%未満になるまで乾燥されることが好ましい。
【0112】
本発明はまた、心臓弁以外の問題によって引き起こされる心房細動を有する患者の脳卒中および/または心臓弁以外の問題によって引き起こされる心房細動を有する患者の血栓症を治療するための医薬の調製における前述の医薬組成物の使用を提供する。
【0113】
本発明は、さらに深部静脈血栓症および/または肺塞栓症を治療するための医薬の調製における前述の医薬組成物の使用を提供する。
【0114】
本発明の医薬組成物によって調製される固体剤形は、製造および貯蔵期間に安定であるべきである。製造および通常の保管(25℃/60%RH)および加速保管(40℃/75%RH)の期間で、医薬不純物の増加を防ぐべきである。約25℃の温度及び約60%の相対湿度で少なくとも6か月間、好ましくは少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも2年間保管し、または約40℃の温度及び約75%の相対湿度で3ヶ月、最も好ましくは6ヶ月保管する。本発明の固体剤形における不純物は、以下の品質指標を超えてはならない:不純物1≦0.2%、不純物2≦0.5%、不純物3≦0.5%、不純物4≦0.1%、不純物5≦0.6%、不純物6≦0.5%、不純物7≦0.1%、不純物8≦0.25%、不純物9≦0.15%、不純物10≦2.5%、単一の未知の不純物≦0.2%、総不純物≦ 3.6%。本発明の固体剤形が乾燥剤含有容器(例えば、プラスチックボトル)に保存される場合、約40℃および約75%の相対湿度の条件で6ヶ月間保存し、固体剤形における各分解生成物および/または不純物のレベルのいずれも上記の品質指標の要件を満たさなければならない。単独および総体の分解生成物および/または不純物は、固体剤形中のDEMの総量に基づく。不純物の種類および含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)など製薬分野で通常に使用される方法により確定することができる。
【0115】
本発明において、Eudragit L100のメーカーは、エボニックスペシャルティケミカルズ(上海)株式会社
であり;Klucel EFのメーカーはAshlandであり;Kollicoat IRのメーカーはBASFであり;Kollidon VA64のメーカーはBASFであり;Kolliphor P188のメーカーはBASFであり;Kolliphor P407のメーカーはBASFであり;HPMC E5のメーカーはDOWであり;HPMC VLVのメーカーはDOWであり;HPMCP HP55のメーカーはSamsung Precision Chemical Co.,Ltdであり;HPMCAS MGのメーカーはShin/Etsuであり;PVP K12のメーカーはAshlandであり;PVP K30のメーカーはAshlandであり;Soluplus(登録商標)のメーカーはBASFであり;クロスカルメロースナトリウムのメーカーはFMCであり;低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのメーカーはShin/Etsuである。
【0116】
本発明において、「……を含む」という用語は、「からなる」と表現してもよい。
【0117】
例えば、上記固体顆粒には、以下の質量分率の各組分が含まれる:41%~58%のSoluplus(登録商標)、3%~33%のマンニトール、13%~26%のKolliphor P407、5%~20%のクロスカルボキシメチルセルロースナトリウム、0%~5%のシリカ及び0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0118】
以上のことは、以下のように表現してもよい:上記固体顆粒は、以下の質量分率の各組分からなる:41%~58%のSoluplus(登録商標)、3%~33%のマンニトール、13%~26%のKolliphor P407、5%~20%のクロスカルボキシメチルセルロースナトリウム、0%~5%のシリカ及び0%~2%のステアリン酸マグネシウム。
【0119】
当該技術分野の常識に違反しない限り、上記の様々な好ましい条件を任意に組み合わせて、本発明の好ましい実施形態が得られる。
【0120】
本発明で使用される試薬および原料のいずれも市販から入手できる。
【0121】
本発明の積極的な進歩効果は、本発明がダビガトランエテキシレートを含む医薬組成物およびその調製方法を提供することにある。当該医薬組成物の溶出曲線は、受ける胃腸液のpHの影響が少なく、中性pHでDEMが腸液内に沈殿することを防ぐこともできるため、当該医薬組成物は、ダビガトランエテキシレートまたはその薬学的に許容される塩の経口吸収を増強することができ、医薬活性成分のバイオアベイラビリティを改善することができ、さらに吸収の変動性を低減することができ、同時に、より安定したダビガトランの血漿中の濃度を提供することができ、これにより有害な副作用を減らし、GIT出血の可能性を減らす;さらに、吸収が増加したため、胃腸管での未吸収DEMが大幅に減少するので、GIT大出血をさらに軽減できる。当該医薬活性成分が医薬組成物の他の組分と共同に固体分散体を形成する場合、すべてのDEMは担体に事前に溶解される(担体は医薬活性成分以外の他の組分を指す)ので、薬物の溶出に関する心配が要らなく;また、担体は水性媒体および酸性pHの条件下で迅速に溶出できるため、DEM再結晶の可能性を低減ひいては排除することもできるため、DEMの吸収をさらに促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1図1で表されるのは、実施例1のポリマーがSoluplus(登録商標)である医薬組成物及び対照グループの医薬組成物の医薬活性成分がpH6.8及び25℃のリン酸塩緩衝液での経時的な溶解度変化のグラフである。
図2図2で表されるのは、実施例1のポリマーEudragit L100及びKolliphor P407の医薬組成物及び対照グループの医薬組成物の医薬活性成分がpH 6.8、25℃のリン酸塩緩衝液での経時的な溶解度変化のグラフである。
図3図3で表されるのは、実施例1の残存ポリマーを含む医薬組成物及び対照グループの医薬組成物にの医薬活性成分がpH6.8及び25℃のリン酸塩緩衝液での経時的な溶解度変化のグラフである。
図4図4で表されるのは、実施例2の各SDFおよび対照グループにおける医薬活性成分がpH6.8及び37℃のリン酸塩緩衝液での60分間時の溶解度である。
図5図5で表されるのは、実施例3の各SDFおよび対照グループにおける医薬活性成分がpH4.5及び37℃の酢酸緩衝液での経時的な溶出変化のグラフである。
図6図6で表されるのは、実施例3の各SDFおよび対照グループにおける医薬活性成分がpH6.8及び37℃のリン酸塩緩衝液での経時的な溶出変化のグラフである。
図7図7で表されるのは、実施例4の各医薬組成物における医薬活性成分が37℃及びpH4.5の酢酸緩衝液→pH6.8のリン酸塩緩衝液での2段階溶出実験における経時的な溶出変化のグラフである。
図8図8で表されるのは、実施例4の各医薬組成物における医薬活性成分が37℃及びpH4.5の酢酸緩衝液→pH6.8のリン酸塩緩衝液での2段階溶出実験における経時的な溶出変化のグラフである。
図9図9で表されるのは、実施例4の各医薬組成物における医薬活性成分が37℃及びpH4.5の酢酸緩衝液→pH6.8のリン酸塩緩衝液での2段階溶出実験における経時的な溶出変化のグラフである。
図10図10は、実施例5のペレット(F1)が異なる濃度の両性ポリマーを含む溶液での溶出曲線であり、ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図11図11は、実施例5のペレット(F1)、実施例5のペレット+Soluplus(登録商標)の粉末(すなわち、実施例6のペレット)、およびPradax Pelletsの溶出曲線であり、ここで、Pradaxa PelletsペレットはPradaxa Capsulesのカプセル内容物であり、且つPradaxa Capsulesの中国語商品名は:
【0123】
プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図12図12は、実施例7のカプセル(F2-A、F2-B、F2+Soluplus(登録商標)粉末)および実施例6のペレットの溶出曲線であり;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図13図13は、実施例8のカプセル(F3)、実施例7のカプセル(F2-A)およびPradaxa Capsules がpH1.2→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図14図14は、実施例8のカプセル(F3)、実施例7のカプセル(F2-A)、およびPradaxa CapsulesがpH2.0→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり;ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図15図15は、実施例8のカプセル(F3)、実施例7のカプセル(F2-A)、およびPradaxa CapsulesがpH3.0→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図16図16は、実施例8のカプセル(F4、F5)およびPradaxa CapsulesがpH2.0→pH6.8の2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図17図17は、実施例10のそれぞれに2つの崩壊剤を含むカプセル(F10、F11)がpH2.0塩酸溶液での溶出曲線であり、ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図18図18は、実施例11のペレット(F6)、ペレットF6が分散された溶液または懸濁液(F6溶液と表示)、およびPradaxa CapsulesがpH2.0→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図19図19は、実施例11のペレット(F6)、ペレットF6が分散された溶液または懸濁液(F6溶液と表示)、およびPradaxa CapsulesがpH2.0→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図20図20は、実施例12の酸性コアペレット(F7)およびPradaxa CapsulesがpH2.0→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図21図21は、実施例12の酸性コアペレット(F7)およびPradaxa CapsulesがpH6.0→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
図22図22は、実施例13および比較例1のカプセル(F8、F9)およびPradaxa CapsulesがpH2.0→pH6.8での2段階溶出実験における溶出曲線であり、ここで、Pradaxa Capsulesの中国語商品名は:プラザキサ(登録商標)、仕様:150 mg、製造元:ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)で;ここで、エラーバーは、n=3の標準偏差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0124】
具体的な実施形態
以下、実施例の形態により本発明をさらに説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。以下の実施例で説明されていない具体的な実験方法は、通常の方法と条件、または商品の説明書に従って選択される。
【0125】
以下の実施例では、Eudragit L100のメーカーは、エボニックスペシャルティケミカルズ(上海)株式会社
であり;Klucel EFのメーカーはAshlandであり;Kollicoat IRのメーカーはBASFであり;Kollidon VA64のメーカーはBASFであり;Kolliphor P188のメーカーはBASFであり;Kolliphor P407のメーカーはBASFであり;HPMC E5のメーカーはDOWであり;HPMC VLVのメーカーはDOWであり;HPMCP HP55のメーカーはSamsung Precision Chemical Co.,Ltdであり;HPMCAS MGのメーカーはShin/Etsuであり;PVP K12のメーカーはAshlandであり;PVP K30のメーカーはAshlandであり;Soluplus(登録商標)のメーカーはBASFであり;クロスカルメロースナトリウムのメーカーはFMCであり;低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのメーカーはShin/Etsuであった。
【0126】
以下の実施例では、溶出測定実験において、使われたpH1.2の溶液は0.085N塩酸溶液であり、使われたpH2.0の溶液は0.01N塩酸溶液であり、使われたpH3.0の溶液は0.001N塩酸溶液であり、使われたpH6.0溶液は0.000001N塩酸溶液であり、使われたpH4.5溶液は50mM酢酸ナトリウム緩衝液であり、使われたpH6.8溶液は50mMリン酸ナトリウム緩衝液であり、使われたるアルカリ性溶液はであり、水酸化ナトリウムとリン酸ナトリウムの混合溶液であった。
【0127】
実施例1
実施例1で実施されたことはスクリーニング実験であり、中性pHでDEM沈殿を阻害できるポリマーを見出すことを目的としており、以下は、スクリーニング実験用のポリマーであった。
【0128】
Eudragit L100 Klucel EF Kollicoat IR Kollidon VA64 Kolliphor P188 Kolliphor P407 HPMC E5 HPMC VLV HPMCP HP55 HPMCAS MG PVP K12 PVP K30 Soluplus(登録商標)
【0129】
スクリーニング実験には次のステップが含まれた。
【0130】
1.0.1 N HClにおいて、50mg/mLの薬物濃度でDEMストック溶液を調製した。
【0131】
2.上記ポリマー40mgを5mLバイアルに入れ、pH6.8のリン酸ナトリウム緩衝液3.6mLを添加してポリマーを溶解し、ポリマー溶液を得た。
【0132】
3.ステップ1で得たストック溶液0.4mLをステップ2で得たポリマー溶液に添加し、同時に対照グループとしてストック溶液0.4mLをポリマーを含まないpH6.8のリン酸塩緩衝液に添加した。
【0133】
4.バイアルを室温条件下で250 rpmで振盪した。
【0134】
5.10分、20分、30分、45分、60分、120分の各時点で0.4mLのアリコートを採取した。
【0135】
6.これらのアリコートを12000 rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を得た。
【0136】
7.メタノールと水の混合溶液(メタノールと水の体積比は1:1)で上澄み液を20倍に希釈した。
【0137】
8.ステップ7から得たDEM溶液をHPLC方法を使用して分析した。
【0138】
スクリーニング結果を表1に示し、結果を図1図2、及び図3にプロットした。表1および図1図2及び図3から、中性pH6.8でのDEM沈殿を抑制する効果に関して、Soluplus(登録商標)は、スクリーニングされたすべてのポリマーの中で最高であることが分かった。
【0139】
ここで、DEMが上記のポリマーを含むpH6.8のリン酸塩緩衝液に完全に溶解すると仮定すれば、得られたDEM溶液においてDEMの理論的な濃度は約5mg/mLであることをさらに説明する必要がある。これから、DEMがSoluplus(登録商標)と配合した後、DEMを完全溶解の状態に接させることができることが分かった。
【0140】
【表1】
【0141】
実施例2
実施例2はマイクロ溶出実験であり、DEM固体分散フィルム(SDF)の溶出挙動を評価することを目的とした。次の表は、マイクロ溶出実験で評価されようとしたSDFの構成であり、且つ各百分率は質量百分率であった。
【0142】
【表2】
【0143】
この実施例では、溶媒蒸発法を使用し、20mLのガラス瓶に3mgのDEMを含むDEM SDFを調製し、その後、溶出媒体を添加し37℃で溶出試験を行い、具体的な実験ステップは次のとおりであった:
【0144】
1.ボリュームフラクションが95%であるエタノール溶液において、100mg/mLの薬物濃度で、DEMストック溶液を調製した。
【0145】
2.ボリュームフラクションが95%であるエタノール溶液において、100mg/mLのポリマー濃度で、ポリマーストック溶液を調製した。
【0146】
3.次の表に示された体積に従って、ステップ1および2のストック溶液を20mLバイアルに添加し、十分に混合して混合溶液を取得し;
ここで、BN-009058-Eは、ステップ1の溶液をボリュームフラクションが95%であるエタノール溶液に添加し、十分に混合し、即ち得られた混合溶液で;BN-009079-Iは、このステップで何の処理も実行しなかった。
【0147】
【表3】
【0148】
4.各混合溶液150μLまたはDEM粉末3mgを20mLバイアルに添加した。
【0149】
5.上記混合溶液と3mg DEM粉末を周囲条件(煙道)で30分間乾燥させ、次にフィルムを迅速且つ完全に乾燥するように、さらに真空乾燥ボックス(乾燥条件:50℃、10mbar、30分間)で乾燥させて、上記表における各番号のSDFを取得した。
【0150】
6.pH6.8のリン酸ナトリウム緩衝液18mLをステップ5のバイアルに添加し、DEM粉末のみを含有するバイアルも含んだ。
【0151】
7.バイアルを37℃、200rpmで振盪した。
【0152】
8. 60分の時点でサンプルを採取した。
【0153】
9.ステップ8のサンプルを12000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を得た。
【0154】
10.上澄み液をメタノールと水の混合溶液(メタノールと水の体積比は1:1)で20倍に希釈した。
【0155】
11.HPLC方法を使用してステップ10のDEM溶液を分析した。
【0156】
スクリーニング結果を表2に示し、結果を図4にプロットした。表2と図4から、Soluplus(登録商標)/PVP K12及びSoluplus(登録商標)/Kolliphor P188の組み合わせが、中性pH条件下での溶出促進において最良の結果を示したことがわかった。
【0157】
ここで、DEMが上記のポリマーを含むpH6.8のリン酸塩緩衝液に完全に溶解すると仮定すれば、得られたDEM溶液において、DEMの理論的な濃度は約150μg/mLであることをさらに説明する必要があった。
【0158】
【表4】
【0159】
実施例3
実施例3は、マイクロ溶出実験であり、pH4.5の酢酸ナトリウム緩衝液およびpH6.8のリン酸ナトリウム緩衝液におけるDEM固体分散フィルム(SDF)の溶出挙動を評価することを目的とした。具体的な実験ステップは実施例2と同じであった。具体的な実験ステップは以下のとおりであった。
【0160】
1.95%エタノール溶液において、100mg/mLの薬物濃度でDEMストック溶液を調製した。
【0161】
2.95%エタノール溶液において、100mg/mLのポリマー濃度で、ポリマーストック溶液を調製した。
【0162】
3.次の表に示された体積に従って、ステップ1および2のストック溶液を20mLバイアルに添加し、十分に混合して混合溶液を取得し;
ここで、DEM Fはステップ1の溶液をボリュームフラクションが95%であるエタノール溶液に添加し、十分に混合し、即ち得られた混合溶液で;DEM Pはこのステップで何の処理も実行しなかった。番号がDEM FおよびDEM Pであるのは対照グループであった。
【0163】
【表5】
【0164】
4.各混合溶液150μLまたはDEM粉末3mgを20mLバイアルに添加した。
【0165】
5.上記混合溶液と3mg DEM粉末を周囲条件(煙道)で30分間乾燥させ、フィルムを迅速且つ完全に乾燥するように、さらに真空乾燥ボックス(乾燥条件:50℃、10mbar、30分間)で乾燥させ、上記表における各番号のSDFを取得し、且つ各構成に2つのフィルムを準備した。
【0166】
6.pH4.5の酢酸塩緩衝液18mLをステップ5の1つフィルムに添加した(DEM粉末だけを含有するバイアルを含む)。
【0167】
pH6.8のリン酸塩緩衝液18mLをステップ5のもう一つの膜に添加した(DEM粉末だけを含有するバイアルを含む)。
【0168】
7.バイアルを37℃、200rpmで振盪した。
【0169】
8.10、20、30、45、60、120分の時点でサンプルを採取した。
【0170】
9.ステップ8のサンプルを12000rpmで5分間遠心分離して、上澄み液を得た。
【0171】
10.上澄み液をメタノールと水の混合溶液(ここで、メタノールと水の体積比は1:1)で20倍に希釈した。
【0172】
11.HPLC方法を使用してステップ10のDEM溶液を分析した。
【0173】
スクリーニング結果を表3および4に示し、結果を図5および図6にプロットした。表3、表4、図5および図6から、D/K12(2:8)およびD/S/P407(2:4:4)のSDFはpH4.5で急速な溶出を示したのに対し、D/S/K12(2:4:4)、D/P407(2:8)およびD/S/P407(2:4:4)は、pH6.8でより良い溶出を示した。
【0174】
ここで、DEMが上記のポリマーを含むpH6.8のリン酸塩緩衝液に完全に溶解すると仮定すれば、得られたDEM溶液において、DEMの理論的な濃度は約150μg/mLであることをさらに説明する必要があった。
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
実施例4
実施例4は、固体分散フィルム内および固体分散フィルム外のSoluplus(登録商標)の量が溶出度に対する影響、特にpH6.8の中性媒体において、薬物沈殿に対する影響を評価することを目的とした。
【0178】
この実施例では、実施例2のステップを繰り返してSDFの調製を行い、相違点はSDFの溶出測定は2段階溶出法を用いて行われることであり、ここで、第1段階はpH4.5の溶液であり、第2段階は溶液はpH6.8であった。
【0179】
次の表は、2段階溶出法によって評価されようとしたSDFの構成である。
【0180】
【表8】
【0181】
まず、膜外を含む、または含まないSoluplus(登録商標)のSDFを酢酸塩緩衝液18mL(pH4.5の溶液)に配置した:10分の時点で、0.4mLのアリコートを取り、次に2mLのアルカリ性溶液を添加してpHを6.8(6.5~7.0)の目標pHに調整した;pH調整した10分後に、さらにアリコート(0.4mL)を取り、各アリコートにおけるDEM濃度を分析した。
【0182】
結果を表5および図7図8、および図9に示し、膜内のSoluplus(登録商標)が溶出を遅くさせることがわかった。したがって、膜外のSoluplus(登録商標)で膜内のSoluplus(登録商標)を置き換えることは、酸性pH(pH 4.5)での溶出を加速しただけではなく、中性pH(pH6.8)でのDEMの沈殿も防止した。
【0183】
【表9】
【0184】
実施例5
表6に基づき、中性コアに固体分散組成物をスプレーすることによりペレットを調製し、且つ、固体分散組成物は30wt%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(DEM)、10wt%のSoluplus(登録商標)および60wt%のKolliphor P407を含んだ。
【0185】
具体的な準備方法は次のとおりであった。
【0186】
まず、固体分散組成物を95wt%のエタノールに溶解させて、20wt%の固体分散組成物を含むコーティング液を調製した。次に、中性コア(300~500メッシュ)を、その含水率が1.0%未満になるまで、80℃の対流式オーブンで予備乾燥した。次に、Wursterインサートを備えた流動床造粒機で、適切な入口空気圧と45~60℃の空気入口温度で、60gの固体分散組成物を含むコーティング液300 gを予備乾燥後の中性コア40gにスプレーし、スプレー過程において、製品の温度を30~50℃に保つように、スプレー速度とスプレー圧力を調整した。コーティング液を使い切った後、製品は、水分含有量が1.0%未満になり、且つ中性コアを覆う固体分散層と中性コアとの目標質量比が1.5/1.0であるまで流動床で乾燥さぜ、実施例5のペレットを得た。
【0187】
【表10】
【0188】
USPバスケット2段階法を使用して100rpmおよび37℃で、173.0mg DEM(150mg DEM遊離塩基に相当)を含むペレットの溶出曲線を測定した。第1段階では、ペレットを500mLの酸性媒体(pH2.0の溶液)に入れ、当該酸性媒体に異なる質量(0、75、150、300mg)のSoluplus(登録商標)が含まれ;第2段階(45分間)では、pHを6.8に調整するように、500mLのアルカリ性溶液を酸性媒体に添加した。10、45、55、および90分の時点で、サンプルのアリコート3mLを採取した。これらのアリコートを12000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液をHPLC分析のために体積比が1/1であるメタノール/水の混合溶液で10倍に希釈した。
【0189】
結果を表7および図10に示した。図10から、ペレット外に75mgまたはこれ以上のSoluplus(登録商標)粉末を入れることで、中性pH(pH6.8)でより多くのDEMが沈殿するのを防ぐことができる。
【0190】
【表11】
【0191】
実施例6
実施例5のステップを繰り返して、ペレットF1を得た。実施例5との相違点は、実施例6で添加されたSoluplusが粉末形態で添加されたことであった。
【0192】
まず、Soluplus顆粒を粉砕し、80メッシュの篩に通過させ、150mgのSoluplus粉末(<80メッシュ)を取得し;次に、0.5wt%(Soluplus(登録商標)粉末に基づく質量は150mgである)のシリカと混合して、固体顆粒を取得し;最後に、ペレットF1と固体顆粒を混合し、実施例6のペレットを得た。
【0193】
実施例5と同じ試験方法によりペレットF1、実施例6のペレット、Pradaxa Pelletsペレット(Pradaxa Capsulesのカプセル内容物)の溶出曲線を測定し、結果を表8および図11に示した。
【0194】
表8および図11から分かるように、Pradaxa Pelletsペレットと比較して、ペレットF1は、酸性媒体へ溶出したDEMがpH6.8で沈殿するのを防ぐことができる。しかし、添加されたSoluplus(登録商標)粉末を含む実施例6のペレットは、酸性媒体へのDEMの溶出を遅らせる。
【0195】
【表12】
【0196】
実施例7
実施例5の調製方法を使用して、ペレットF2を調製した。
【0197】
イソプロピルアルコール(IPA)を造粒溶媒として使用し、固体顆粒の各組分の混合物を湿式造粒して、湿式顆粒を取得し;次に、湿った顆粒を20メッシュの篩に通過させ、且つ、周囲温度で層流フードで乾燥させ、固体顆粒を取得した。
【0198】
【表13】
【0199】
表9に従って、ゼラチンカプセル(#0)にペレット(240.3mg)および固体顆粒(179.1mg)を充填して、カプセルF2-AおよびF2-Bを得た。
【0200】
カプセルF2-AおよびF2-Bの溶出曲線を、実施例5と同じ試験方法により測定し、結果は表10および図12に示したようであった。
【0201】
表10および図12から分かるように、F2+Soluplus(登録商標)粉末(Soluplus(登録商標)粉末75.0mgを含む)と比較して、実施例7の固体顆粒を含むペレット製剤(F2-AおよびF2-B)は、酸性媒体でより速い溶出を示した。
【0202】
【表14】
【0203】
実施例8
実施例7の湿式造粒ステップを繰り返して、DEM含有の顆粒F3を調製した。
【0204】
【表15】
【0205】
上記表に従って、ゼラチンカプセル(#0)にDEM含有の顆粒(339.3mg)を充填した。
【0206】
測定方法:
実施例5の測定方法との相違点は、胃のpH変化を考慮して、第1段階のpHをそれぞれに1.2または2.0または3.0に設定(すなわち、第1段階で使用した酸性媒体のそれぞれはpH 1.2の溶液、pH 2.0の溶液、pH 3.0の溶液である)し、残りは実施例5の測定方法と同じであった。
【0207】
上記測定方法を使用して、Pradaxa Capsules(150mg)、F2-AおよびF3の溶出曲線を測定し、結果は表11、図13図14、および図15に示したようであった。これから分かるように、Pradaxa Capsulesと比較して、本発明の製剤(F2-AおよびF3)は、酸性pHで有意により速く溶出し、且つ、中性pHで沈殿がより少なかった。
【0208】
【表16】
【0209】
実施例9
この実施例では、ホットメルト造粒プロセスにより、カプセルF4内の固体顆粒およびカプセルF5内の顆粒を調製した。
【0210】
【表17】
【0211】
【表18】
【0212】
ホットメルト造粒プロセスのステップは次のとおりであった。
【0213】
まず、Soluplus(登録商標)を粉砕し、且つ120メッシュの篩に通過させ、Soluplus(登録商標)粉末を取得し、次に、表12の質量百分率に従って、Soluplus(登録商標)粉末をステアリン酸マグネシウム以外の他の組分とガラスビーカーで70~75℃で、均一な顆粒が形成されるまでステンレス鋼のへらで混合した。次に、上記顆粒をステアリン酸マグネシウムと混合して、F4の固体顆粒を取得した。
【0214】
まず、Soluplus(登録商標)を粉砕し、120メッシュの篩に通過させ、Soluplus(登録商標)粉末を取得し、次に、表13の質量百分率に従って、Soluplus(登録商標)粉末をステアリン酸マグネシウム以外の他の組分とガラスビーカーで70~75℃で、均一な顆粒が形成されるまでステンレス鋼のへらで混合した。次に、上記顆粒をステアリン酸マグネシウムと混合して、F5の固体顆粒を取得した。
【0215】
実施例7のペレットF2(240.3mg)および表12の処方から得られた固体顆粒(151.5mg)をゼラチンカプセル(#0)に充填し、得られたカプセルをF4としてマークした。表13の処方から得られた顆粒(341.4mg)もゼラチンカプセル(#0)に充填し、カプセルF5を得た。
【0216】
実施例5と同じ試験方法を使用してカプセルF4およびF5の溶出曲線を測定し、結果は表14および図16に示したようであった。
【0217】
表14および図16からか分かるように、Pradaxa Capsulesと比較して、本発明の製剤(F4およびF5)は、酸性pHで有意により速く溶解し、且つ、中性pHで沈殿が少なかった。Pradaxa Capsules、F4、およびF5は、pH2.0の溶液中、且つ10minの時に、溶出されたDEMの質量百分率は、それぞれ16.4%、83.4%、および78.5%であった。Pradaxa Capsules、F4、およびF5は、pH6.8の溶液中10minの時に、溶出されたDEMの質量百分率は、それぞれ5.4%、39.7%および47.4%であった。
【0218】
【表19】
【0219】
実施例10
ホットメルト造粒プロセスのステップは次のとおりであった。
【0220】
まず、Soluplus(登録商標)を粉砕し、且つ120メッシュの篩に通過させ、Soluplus(登録商標)粉末を取得し、次に、表15の質量百分率に従って、Soluplus(登録商標)粉末を、ステアリン酸マグネシウムおよび外添加クロスカルメロースナトリウム以外の他の組分とガラスビーカーで70~75℃で、均一な顆粒が形成されるまでステンレス鋼のへらで混合した。次に、上記顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび外添加クロスカルメロースナトリウムと混合して、F10の顆粒を得た。表15の処方で得られた顆粒をゼラチンカプセル(#0)に充填して、カプセルF10を得た。
【0221】
まず、Soluplus(登録商標)を粉砕し、且つ120メッシュの篩に通過させ、Soluplus(登録商標)粉末を取得し、次に、表16の質量百分率に従って、Soluplus(登録商標)粉末をステアリン酸マグネシウムおよび外添加低置換ヒドロキシプロピルセルロース以外の他の組分とガラスビーカーで70~75℃で、均一な顆粒が形成されるまでステンレス鋼のへらで混合した。次に、上記顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび外添加低置換ヒドロキシプロピルセルロースと混合して、F11の顆粒を得た。表16の処方で得られた顆粒をゼラチンカプセル(#0)に充填して、カプセルF11を得た。
【0222】
【表20】
【0223】
【表21】
【0224】
F10およびF11をpH2.0の溶液に入れ、溶出曲線を測定し、結果は表17および図17に示したようであった。表17および図17から分かるように、F10およびF11の2つ剤形の溶出結果には有意的な相違を有していなかった。
【0225】
【表22】
【0226】
実施例11
表18に従って、固体分散組成物を中性コアにスプレーすることによってペレットを調製し、且つ、固体分散組成物は以下の質量分率の各組分からなる:40wt%のダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(DEM)、10wt%のSoluplus(登録商標)および50 wt%のKolliphor P407。
【0227】
具体的な調製方法は次のとおりであった。
【0228】
ペレットの調製:固体分散組成物を90wt%エタノールと10wt%脱イオン水の混合溶液に溶解してコーティング液を調製し、当該コーティング液は24wt%の固体分散組成物を含んだ。次に、中性コア(300~500メッシュ)を、その水分含有量が1.0%未満になるまで、80℃の対流式オーブンで予備乾燥させた。
【0229】
次に、Wursterインサートを備えた流動床造粒機で、適切な入口空気圧と45~50℃の空気入口温度で、25gの固体分散組成物を含むコーティング液104.2gを予備乾燥した糖コア50gにスプレーし、スプレー過程において、製品の温度を30~50℃に保つように、スプレー速度とスプレー圧力を調整した。コーティング液が使い切った後、製品は、水分含有量が1.0%未満になり、且つ中性コアを覆う固体分散層と中性コアとの目標質量比が1.5/1.0であるまで流動床で乾燥させ、薬物顆粒を得た。
【0230】
Soluplus(登録商標)粉末の調製:まず、Soluplus顆粒を粉砕し、次に80メッシュの篩に通過させ、Soluplus粉末(<80メッシュ)を得た。薬物顆粒(ペレット)をSoluplus粉末と混合して、実施例11のペレット(製剤)を得た。
【0231】
【表23】
【0232】
測定方法:
実施例5の測定方法との相違点は、第1段階のpHをそれぞれに2.0または6.0に設定(すなわち、第1段階で使用した酸性媒体のそれぞれはpH2.0の溶液、pH6.0の溶液である)し、残りは実施例5の測定方法と同じであった。
【0233】
上記の測定方法を使用して、ペレットF6の溶出曲線を測定した。比較のために、F6ペレットを25mLの脱イオン水に事前に溶解し、F6溶液を得た。同じ方法でF6溶液の溶出曲線を測定し、結果は表19、図18および図19に示したようであった。
【0234】
これから分かるように、Pradaxa Capsulesと比較して、F6は酸性pH2およびpH6でより速く溶出し、且つ中性pH6.8で少ない沈殿が析出し;且つF6は、酸性媒体(pH2.0および6.0)に溶解した60%を超えるDEMがpH6.8での沈殿することを防ぐことができた。室温で、F6溶液はDEMとSoluplus(登録商標)の溶出を促進することができるので、中性pH(pH6.8)でより良い沈殿抑制効果を生み出した。
【0235】
【表24】
【0236】
実施例12
酸性コアペレットの調製方法は次のとおりであった。
【0237】
表20に従って、バリア層組成物(当該組成物では、Soluplus(登録商標)の質量分率は67%、Kolliphor P407の質量分率は33%である)を、95wt%エタノールと5wt%脱イオン水からなる混合溶液に溶解し、コーティング液を調製し、当該コーティング液におけるバリア層組成物の質量分率は26%であった。
【0238】
次に、酒石酸コア(300~500μm)を、その水分含有量が1.0%未満になるまで、80℃の対流式オーブンで予備乾燥した。
【0239】
次に、Wursterインサートを備えた流動層造粒機を使用して、適切な入口空気圧と35℃の空気入口温度で、20gのバリア層組成物を含むコーティング液を予備乾燥後の酒石酸コア50gにスプレーし、スプレー過程において、製品の温度を30~32℃に保つように、スプレー速度とスプレー圧力を調整した。コーティング液が使い切った後、製品を、水分含有量が1.0%未満になり(流動床での乾燥後に水分含有量が1.0%未満に達しない場合、オーブンでの2次乾燥が必要)、且つバリア層と酒石酸コアとの目標質量比は0.4/1.0であるまで、流動床で乾燥させた。
【0240】
薬物層組成物のコーティング過程は、実施例11に記載されたものと同じであり、且つ薬物層組成物は、以下の質量分率の各組分からなる:28.9wt%DEM、25.9wt%Soluplus(登録商標)、および45.3wt%Kolliphor P407;且つ薬物層と、バリア層で覆う酒石酸コアとの目標質量比は1.0/1.0であった。
【0241】
【表25】
【0242】
測定方法:
実施例5の測定方法との相違点は、第1段階のpHをそれぞれに2.0または6.0に設定(すなわち、第1段階で使用した酸性媒体のそれぞれはpH2.0の溶液、pH6.0の溶液である)し、残りは実施例5の測定方法と同じであった。
【0243】
上記の測定を使用してF7の溶出曲線を測定し、結果は表21、図20及び図21に示したようであった。
【0244】
これから分かるように、DEMはF7から速く溶出でき、且つF7は酸性環境(pH6.0)での溶出速度を高め、酸性環境(pH2.0およびpH6.0)で既溶出したDEMの40%~47%が中性pH(pH6.8)では沈殿しなかった。
【0245】
【表26】
【0246】
実施例13
ホットメルト造粒プロセスのステップは次のとおりであった。
【0247】
まず、Soluplus(登録商標)を粉砕し、120メッシュの篩に通過させ、Soluplus(登録商標)粉末を取得した。次に、表22の質量百分率に従って、Soluplus(登録商標)粉末をステアリン酸マグネシウムと外添加クロスカルメロースナトリウム以外の他の組分とガラスビーカーで70~75℃で、均一な顆粒が形成されるまでステンレス鋼のへらで混合した。次に、上記顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび外添加クロスカルメロースナトリウムと混合して、F8の顆粒を取得した。表22の処方で得られた顆粒をゼラチンカプセル(#0)に充填して、カプセルF8を取得した。
【0248】
【表27】
【0249】
実施例5と同じ測定方法によりF8の溶出曲線を測定し、結果は表23および図22に示したようであった。
【0250】
【表28】
【0251】
実施例14
当該実施例では、2つの代表的な処方(F4およびF5)、即ち、ペレット処方とホットメルト造粒処方について、安定性研究を行った。
【0252】
F4およびF5をHDPEボトルに詰め、温度40℃、相対湿度75%の条件で6か月間放置した。
【0253】
上記と同じようなpH2.0→pH6.8の2段階溶解法を使用して、サンプルの溶出挙動を検測し;サンプルの不純物含有量をHPLC法を使って検測し、且つ水分含有量をカールフィッシャー法で測定した。
【0254】
結果から、上記サンプルが、温度40℃、相対湿度75%の条件で6ヶ月間放置された後、その溶出挙動、DEM含有量に有意な変化がなく、不純物含有量の全てが品質指標の範囲内にあり、水分含有量が品質指標の要件を満たしていることが示された。
【0255】
比較例1
ホットメルト造粒プロセスのステップは次のとおりであった。
【0256】
ステアリン酸マグネシウムと外添加クロスカルメロースナトリウム以外の他の組分を、ガラスビーカーで70~75℃で、均一な顆粒が形成されるまでステンレス鋼のへらで混合した。次に、上記顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび外添加クロスカルメロースナトリウムと混合して、F9の顆粒を取得した。表24の処方で得られた顆粒をゼラチンカプセル(#0)に充填して、カプセルF9を得た。
【0257】
【表29】
【0258】
実施例5と同じ測定方法により、F9の溶出曲線を測定し、結果が図5に示したようであった。
【0259】
図22から、Soluplus(登録商標)を含まない処方(F9)がpH6.8での沈殿状況は、既存の市販先発製品に近いが、Soluplus(登録商標)処方(F8)が添加された処方は、pH6.8でDEM濃度を大幅に増加させることができることが分かった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図18
図19
図20
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図22