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特許7125804ポリマーとマグネシウムの接合体のためのマグネシウム表面処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ポリマーとマグネシウムの接合体のためのマグネシウム表面処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 1/00 20060101AFI20220818BHJP
   C23F 1/22 20060101ALI20220818BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20220818BHJP
   H05K 5/02 20060101ALN20220818BHJP
【FI】
C23F1/00 104
C23F1/22
C23C26/00 A
H05K5/02 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021102059
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2021-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519400575
【氏名又は名称】ドングァン ディーエスピー テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ティア ロング
(72)【発明者】
【氏名】タン,ヨン ガング
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,グオ シン
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/235070(WO,A1)
【文献】特開昭57-023057(JP,A)
【文献】特開2009-132092(JP,A)
【文献】特開2009-249663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 1/00-4/04
C23C 24/00-30/00
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーとマグネシウム金属との接着結合のためのマグネシウムの表面処理方法として、
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
(d)マグネシウム表面を超音波を用いた1次シランカップリング(Silane Coupling)処理段階
(e)酸性溶液を用いた表面活性化処理段階
(f)マグネシウム表面を超音波を用いた2次シランカップリング処理段階を含み、
前記(a)段階は、硫酸、リン酸と微量の硝酸を含む酸性溶液に30~60℃で10~180秒間エッチングを行い、
前記(b)段階は、アルカリ洗浄剤に30~60℃で100~24KHz、400Wで10~180秒間超音波処理を実施し、
前記(c)段階は、硫酸、リン酸と微量の硝酸を含む酸性溶液に30~60℃で10~180秒間、2次エッチングを行い、
前記(d)段階は、基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間行い、
前記(e)段階で、硫酸、及び酸の混合酸性溶液において30~70℃の温度で10~300秒間行い、
前記(f)段階は基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間実施することを特徴とするマグネシウム表面処理方法。
【請求項2】
前記(f)段階での、前記添加したシランカップリング剤は(RO)Si-(CH-NH、(RO)Si-(CH-Si(OC、(RO)Si-(CH-SH、(RO)Si-CH=CH、(RO)Si-(CH-OOC(CH)C=CH、(RO)Si-(CH-O-CHCHO、R2-Si-R’-N3、及び(RO)Si-(CH15CHのいずれか1つを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーとマグネシウム接合体の接着結合のためのマグネシウム表面処理方法に係り、より詳しくは、マグネシウム表面を超音波による1次シランカップリング処理と、2次シランカップリング処理を通じてマグネシウム表面とポリマー接合体の接合を極大化するポリマーとマグネシウムの接合体のためのマグネシウム表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーとマグネシウム接合体は防水性が必要な電子部品及びスマートフォンや電気自動車のリチウムイオンバッテリーに多く使われているが、ポリマーとマグネシウムの接合強度に対する信頼性が低いことが問題点として挙げられている。
【0003】
マグネシウムを酸性溶液によるエッチングおよび超音波を用いた表面処理によりマグネシウム表面の活性度および摩擦力を高め、ポリマーとの強力な接着ができるように製造に使用されている。 しかし、エッチング及び超音波を利用した表面処理だけでポリマーとの十分な接着力と密閉性を得ることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、上記の問題を解決するためのマグネシウム表面処理方法であり、優れた接合強度と密閉性を持つマグネシウムとポリマー金属接合体を製造するためのマグネシウム表面処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリマーとマグネシウムの複合材の接着結合のためのマグネシウムの表面処理方法として、
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
(d)マグネシウム表面を超音波を用いた1次シランカップリング(Silane Coupling)処理段階
(e)酸性溶液を用いた表面活性化処理段階
(f)マグネシウム表面を超音波を用いた2次シランカップリング処理段階を含み、
前記(a)段階は、硫酸、リン酸と微量の硝酸を含む酸性溶液に30~60℃で10~180秒間エッチングを行い、
前記(b)段階は、アルカリ洗浄剤に30~60℃で100~24KHz、400Wで10~180秒間超音波処理を実施し、
前記(c)段階は、硫酸、リン酸と微量の硝酸を含む酸性溶液に30~60℃で10~180秒間、2次エッチングを行い、
前記(d)段階は、基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間行い、
前記(e)段階で、硫酸及び酸の混合酸性溶液において30~70℃の温度で10~300秒間行い、
前記(f)段階は基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間実施することを特徴とする。
【0006】
前記(d)段階は、基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間行うことを特徴とする。
【0007】
前記(e)段階で、硫酸及び酸の混合酸性溶液において30~70℃の温度で10~300秒間行うことを特徴とする。
【0008】
前記(f)段階は基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間実施することを特徴とする。
【0009】
前記(f)段階での、前記添加したシランカップリング剤は(RO)Si-(CH-NH、(RO)Si-(CH-Si(OC、(RO)Si-(CH-SH、(RO)Si-CH=CH、(RO)Si-(CH-OOC(CH)C=CH、(RO)Si-(CH-O-CHCHO、R2-Si-R’-N3、及び(RO)Si-(CH15CHのいずれか1つを用いて行うことを特徴とする。
【0010】
前記(f)段階後、70~80℃で5~10分間乾燥を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マグネシウム表面に対する酸性溶液を利用してエッチング処理し、マグネシウム表面を粗くし、超音波で1次表面処理して表面にマイトでクラックを生成し、酸性溶液を利用した2次エッチングを通じてマイクロクラックと共に表面をさらに粗くする。この後、超音波を利用した1次、2次シランカップリング処理を通じて、表面に微細クラックを多量生成後、生成されたクラックにシランを浸透させて、ポリマーとシランとの結合作用によってポリマーとマグネシウムの接合力を極大化する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるマグネシウム表面処理のそれぞれの工程による酸化膜の変化を示す図である。
図2図1の最終マグネシウム表面の詳しい模様を示す図である。
図3】超音波装置である。
図4】従来の製品と本願の発明品をそれぞれの恒温恒湿テスト後、T-Bend test方法と結果状態を示す図である。
図5】従来の製品と本願の発明品をそれぞれの恒温恒湿テスト後の引張実験のための試片と実験方法を示す図である。
図6】従来の製品と本源の発明品をそれぞれ恒温恒湿テスト後の引張実験の結果を示すグラフである。
図7】従来の製品と本源の発明品をそれぞれの恒温恒湿テスト後引張実験による破断面の写真である。
図8】従来の製品と本源の発明品をそれぞれの放置時間による引張実験の比較グラフである。
図9】恒温恒湿テスト用試片と測定機械である。
図10】従来の製品と本願の発明品のそれぞれの密閉比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明によるポリマーマグネシウム接合体の製造方法を説明する。
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
(d)マグネシウム表面を超音波を用いた1次シランカップリング(Silane Coupling)処理段階
(e)酸性溶液を用いた表面活性化処理段階
(f)マグネシウム表面を超音波を用いた2次シランカップリング処理段階を含む。
【0014】
(a)段階では、一般的な硫酸、リン酸と微量の硝酸を含む酸性溶液に30~60℃で10~180秒間エッチングを行う。 エッチングはマグネシウムの表面に不規則なエッチングの跡を形成し、表面を粗くする。
【0015】
(b)段階は、一般的なアルカリ洗浄剤に30~60℃で100~24KHz、400Wで10~180秒間超音波処理を実施する。超音波処理によってエッチングされたマグネシウムの表面にマイクロクラックを生成する。
【0016】
(c)段階は、超音波処理されたマイクロクラックを持つマグネシウム表面を一般的な硫酸、リン酸と微量の硝酸を含む酸性溶液に30~60℃で10~180秒間、2次エッチングを行う。 2次エッチングはマグネシウムの表面に不規則なエッチングの跡を形成し、表面をさらに粗くする。
【0017】
(d)段階は、基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間行う1次シランカップリング処理を行うことにより、エッチングされたマグネシウム表面にマイクロクラックを追加形成し、形成されたマイクロクラック部位にシランカップリング剤を浸透させる。
【0018】
(d)段階で、使われる電解質はC、NaHCO、NaOH、NaCO、NaSO、KSO、NaSO、NaNO、KNO、NaNO、NaClO、CHCOONa、Na、NaHPO、(NaPO、 NaMoO、 NaSiO、及びNaHPOのいずれか1つを用いて行う。
【0019】
(d)段階での、添加したシランカップリング剤は(RO)Si-(CH-NH、(RO)Si-(CH-Si(OC、(RO)Si-(CH-SH、(RO)Si-CH=CH、(RO)Si-(CH-OOC(CH)C=CH、(RO)Si-(CH-O- CHCHO、R2-Si-R’-N3、及び(RO)Si-(CH15CHのいずれか1つを用いて行う。
【0020】
(e)段階で、硫酸及び酸の混合酸性溶液において30~70℃の温度で10~300秒間実施することにより、表面をエッチングすることでさらに荒らすとともに、マイクロクラックに浸透したシランカップリング剤を含むマグネシウム表面をエッチングとともに約60%を除去することになる。
【0021】
(f)段階は、基本溶液0.1~20%のCに補助液である0.1~10%のNaSi、0.01~1%のC、0.001~0.01%のCOH2410を混合した後、前記混合した溶液に0.1~1%のシランカップリング剤(Silane Coupling agent)を添加し、30~70℃で100~24KHz、400Wで10~300秒間行う2次シランカップリング処理を行うことにより、エッチングされたマグネシウム表面にマイクロクラックを追加形成し、形成されたマイクロクラック部位にシランカップリング剤を浸透させる。
【0022】
(f)段階での、添加したシランカップリング剤は(RO)Si-(CH-NH、(RO)Si-(CH-Si(OC、(RO)Si-(CH-SH、(RO)Si-CH=CH、(RO)Si-(CH-OOC(CH)C=CH、(RO)Si-(CH-O-CHCHO、R2-Si-R’-N3、及び(RO)Si-(CH15CHのいずれか1つを用いて行う 。
【0023】
このような超音波を利用した一、二次シランカップリング処理によって、マグネシウム表面に表面粗度が増加し、微細なマイクロクラックが多く形成され、形成されたマイクロクラックにシランカップリング剤が浸透し、ポリマーとの結合時に化学的反応を通じてシランカップリング剤とポリマーとの結合が行われる。 このような表面粗さとマイクロクラック及びシランカップリング剤によってポリマーとマグネシウムの間の接合力を極大化する効果がある。
【0024】
図1に本発明によるマグネシウム表面処理のそれぞれの工程による酸化膜の構造および変化を図示した。
図2はそれぞれの工程で生成された酸化膜の具体的な形態を図示した。
以下、具体的な実施例と図面を説明する。
[実施例1]
【0025】
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
を実施した従来の方法で試片を作った。
[実施例2]
【0026】
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
(d)マグネシウム表面を超音波を用いた1次シランカップリング(Silane Coupling)処理段階を実施して試片を作った。
[実施例3]
【0027】
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
(d)マグネシウム表面を超音波を用いた1次シランカップリング(Silane Coupling)処理段階
(e)酸性溶液を用いた表面活性化処理段階
を実施して試片を作った。
[実施例4]
【0028】
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
(d)マグネシウム表面を超音波を用いた1次シランカップリング(Silane Coupling)処理段階
(e)酸性溶液を用いた表面活性化処理段階
(f)マグネシウム表面を超音波を用いた2次シランカップリング処理段階を実施して試片を作った。
【0029】
この4つの実施例1~4で作られた試片で、それぞれ以下のT-bend Test、引張実験、放置時間による結合力測定及び密閉実験などを実施した。その結果は以下の通りである。
[実験例1]
【0030】
実施例1~4の試片を用いて接合強度を測定するために恒温恒湿1000HR 後にT-bend Test を実施し、その結果を下表1に示した。
【表1】
【0031】
表1の結果のように、2次超音波シランカップリング処理を実施しなかった実施例1、実施例2、実施例3の試片より、さらに2次超音波シランカップリング処理を実施した実施例4の試片だけが、ポリマーとマグネシウムとの接合強度が優れていることが分かる。
【0032】
図4aはT-bend Test のために製作された試片であり、実施例それぞれのマグネシウム試片にポリマーを結合させたものである。
図4bはT-bend Test方法およびテスト結果が“No Good”であるテスト結果図示したものである。
図4cはT-bend Test方法およびテスト結果が“Good”であるテスト結果図示したものである。
[実験例2]
【0033】
実施例1~4の試片を用いて接合強度を測定するため,恒温恒湿1000HR前後に引張実験を実施し、その結果を図6に示した。
【0034】
図6のグラフのように、実施例1の試片より実施例2の試片の方が恒温恒湿試験前後の引張力が優れていることが分かる。
また、実施例2の試片より実施例3の試片の方が、恒温恒湿試験前後の引張力がより優れていることが分かる。
そして、実施例3の試片より実施例4の試片の方が恒温恒湿試験前後の引張力がより優れていることが分かる。
【0035】
図6aは引張実験のために製作された試片であり、実施例1~4それぞれのマグネシウム試片にポリマーを重ねたものである。
図6bは引張実験の方法に関する写真である。
【0036】
図7は恒温恒湿試験後の引張実験完了後,それぞれの実施例1~4による試片の分離されたマグネシウム表面に残っているポリマーの量についての写真である。
図7aは、実施例1の試片の分離面写真で、分離してマグネシウム表面にポリマーの量が20%程度存在することが分かる。
図7bは、実施例2の試片の分離面写真で、分離してマグネシウム表面にポリマーの量が40%程度存在することが分かる。
図7cは、実施例3の試片の分離面写真であり、分離してマグネシウム表面にポリマーの量が60%程度存在することが分かる。
図7dは、実施例4の試片の分離面写真であり、分離してマグネシウム表面にポリマーの量が80%程度存在することが分かる。
【0037】
図8のグラフは、実施例1~4の試片をそれぞれ製作し、ポリマー重ね合わせ後、1ヶ月から12ヶ月間の時間経過による引張試験を実施した結果である。
このように、実施例1の試片より実施例2の試片の方が、時間の経過による引張力の低下が大きいことが分かる。
また、実施例2の試片より実施例3の試片の方が時間の経過による引張力の低下が大きいことが分かる。
そして、実施例3の試片より実施例4の試片の方が時間の経過による引張力の低下の方がより優れていることがわかる。
[実験例3]
【0038】
実施例1~4の試片を用いてマグネシウムとポリマーとの密閉状態を測定するために恒温恒湿実験を実施し,その結果を図10に示す。
【0039】
図10のグラフのように、実施例1の試片より実施例2の方が密閉性に優れていることが分かる。
また、実施例2の試片より実施例3の試片の方が密閉性が優れていることが分かる。
そして、実施例3の試片より実施例4の試片の方が密閉性がより優れていることが分かる。
【0040】
図9aは恒温恒湿実験用の試片写真である
図9bは恒温恒湿実験機器の写真である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明はポリマーとマグネシウムの接合体の製造方法で、マグネシウムの表面処理を通じてポリマーとマグネシウムの接合力を強化し、部品の密閉性を向上し、部品の軽量化およびコスト削減の効果がある。
【要約】
【課題】優れた接合強度を持つポリマーとマグネシウム金属の接合体の製造のためにマグネシウム表面処理方法を提供する。
【解決手段】ポリマーとマグネシウム金属との接着結合のためのマグネシウムの表面処理方法として、
(a)マグネシウム表面を酸性溶液を用いてエッチングするエッチング処理段階
(b)マグネシウム表面を超音波で処理する1次表面処理段階
(c)マグネシウム表面を酸性溶液にエッチングする2次表面処理段階
(d)マグネシウム表面を超音波を用いた1次シランカップリング処理段階
(e)酸性溶液を用いた表面活性化処理段階
(f)マグネシウム表面を超音波を用いた2次シランカップリング処理段階を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10