(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】電磁波シールド材用不織布基材
(51)【国際特許分類】
D04H 1/435 20120101AFI20220818BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20220818BHJP
D04H 1/55 20120101ALI20220818BHJP
D21H 13/24 20060101ALI20220818BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
D04H1/435
D04H1/4382
D04H1/55
D21H13/24
H05K9/00 W
(21)【出願番号】P 2017174267
(22)【出願日】2017-09-11
【審査請求日】2019-03-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三枝 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】増田 敬生
(72)【発明者】
【氏名】重松 俊広
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】石田 智樹
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-75485(JP,A)
【文献】特開2013-118950(JP,A)
【文献】特許第4473867(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式不織布である電磁波シールド材用不織布基材において、湿式不織布が、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを必須成分として含有
し、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維が繊度0.06dtexの延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維であり、繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維が繊度0.2dtexの未延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維であり、繊度0.06dtexの延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維の含有率が不織布基材を構成する繊維全体の20~80質量%であり、繊度0.2dtexの未延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維の含有率が不織布基材を構成する繊維全体の20~80質量%であることを特徴とする電磁波シールド材用不織布基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた電磁波シールド性を発現できる電磁波シールド材用不織布基材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は電磁波を発生している。そして、電磁波を電子機器の外部に漏らさないようにするため、また、電磁波により電子機器が誤作動を起こさないようにするために、電磁波シールド材が使用されている。電磁波シールド材には、板金、金属を含む塗料、金属メッシュ、発泡金属等が挙げられる。近年の電子機器の小型化に伴い、薄い電磁波シールド材が求められており、ポリエステル系短繊維から形成される不織布に金属鍍金加工を施してなる電磁波シールド材が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の実施例では、延伸ポリエステル系短繊維として、繊維径3μm及び7.4μmの短繊維が使用されているが、薄い電磁波シールド材が求められるにつれ、電磁波シールド性が十分に確保できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、優れた電磁波シールド性を発現できる電磁波シールド材用不織布基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、湿式不織布が、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを必須成分として含有し、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維が繊度0.06dtexの延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維であり、繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維が繊度0.2dtexの未延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維であり、繊度0.06dtexの延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維の含有率が不織布基材を構成する繊維全体の20~80質量%であり、繊度0.2dtexの未延伸ポリエチレンテレフタレート系短繊維の含有率が不織布基材を構成する繊維全体の20~80質量%であることを特徴とする電磁波シールド材用不織布基材を見出した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電磁波シールド材用不織布基材によって、優れた電磁波シールド性を発現できる電磁波シールド材用不織布基材が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の電磁波シールド材用不織布基材について詳説する。本発明において、電磁波シールド材用不織布基材は、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを必須成分として含有することを特徴としている。
【0009】
一般的に、電磁波シールド材用不織布基材の鍍金加工には無電解鍍金が用いられるが、無電解鍍金では、不織布を形成する繊維の比表面積(単位体積当たり表面積)が小さいと、単位体積当たりの金属の付着量が小さくなり、優れた電磁波シールド性を発現できない。繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを必須成分として含有する場合、比表面積を増やすことができ、優れた電磁波シールド性が発現できる。すなわち、電磁波シールド材用不織布基材が、繊維径が3.0μm以上の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が5.0μm超の未延伸ポリエステル系短繊維のみから成る場合では、優れた電磁波シールド性が発現できない。また、薄い電磁波シールド材が求められており、繊維径が小さいと電磁波シールド材としての強度が得られない場合がある。繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを含むことで、薄く強度のある電磁波シールド材用不織布基材を提供することが容易になる。
【0010】
本発明において、延伸ポリエステル系短繊維は、熱カレンダー処理によっても、溶融又は軟化しにくく、不織布基材の骨格を形成する主体繊維である。
【0011】
本発明において、未延伸ポリエステル系短繊維は、熱カレンダー処理によって、溶融又は軟化し、不織布基材の強度を高めるバインダー繊維として機能する。未延伸ポリエステルの融点は、220℃~250℃が好ましい。未延伸ポリエステルの融点が220℃未満の場合、熱カレンダー処理時の熱ロールに不織布基材が貼り付いてしまい、シートにならない場合がある。250℃を超える場合、繊維が接着せずにシートの強度が発現しない場合がある。
【0012】
未延伸ポリエステル系短繊維の融点は、示差走査熱量測定装置にて窒素雰囲気で昇温速度10℃/min、25℃から300℃まで昇温した時のピーク温度である。
【0013】
本発明において、電磁波シールド材用不織布基材は、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを必須成分として含有する。繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維の繊維径は、0.1μm以上であることが好ましい。繊維径が0.1μm未満である場合、強度が発現しない場合がある。
【0014】
本発明において、延伸ポリエステル系短繊維と未延伸ポリエステル系短繊維の質量含有比率は、20:80~80:20であることが好ましい。未延伸ポリエステル系短繊維の含有率が不織布基材を構成する繊維全体の20質量%未満であると、基材として必要な強度が発現しなくなることがある。一方、未延伸ポリエステル系短繊維の含有率が80質量%を超えると、均一性を損なう場合がある。
【0015】
本発明において、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維以外の繊維を使用しても良い。すなわち、繊維径が3.0μm以上の延伸ポリエステル系短繊維、繊維径が3.0μm未満や5.0μm超の未延伸ポリエステル系短繊維を使用しても良い。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上の繊維径の繊維を併用してもよい。
【0016】
繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維については、その質量含有率は、含有する全延伸ポリエステル系短繊維中、1~100質量%であることが好ましく、3~100質量%であることがより好ましい。繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維の含有率が1質量%未満である場合、併用する繊維径によっては比表面積が小さくなり、優れた電磁波シールド性が発現し難くなる場合がある。
【0017】
また、繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維については、その質量含有率は、含有する全未延伸ポリエステル系短繊維中、1~100質量%が好ましく、2~100質量%がより好ましい。繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維の含有率が1質量%未満である場合、併用する繊維径によっては比表面積が小さくなり、優れた電磁波シールド性が発現し難くなる、または優れた不織布の強度が発現し難くなる場合がある。
【0018】
なお、ポリエステル系短繊維の繊維径は、顕微鏡で3000倍の不織布基材断面の拡大写真を撮り、ポリエステル系短繊維の断面積を測定し、繊維の断面形状が真円として算出した直径であり、本発明では、10本以上の繊維の算術平均値を求めた。
【0019】
ポリエステル系短繊維の繊維長は、好ましくは1~20mmであり、より好ましくは1~10mmであり、さらに好ましくは2~8mmである。ポリエステル系短繊維の繊維長が1mm未満である場合、基材として必要な強度が発現しなくなることがある。ポリエステル系短繊維の繊維長が20mm超の場合、均一性を損なう場合がある。
【0020】
上記繊維をシート状に形成せしめる方法としては、スパンボンド法、メルトブロー法、静電紡糸法、湿式法等の各種製造方法によることができる。繊維間を接合する方法としては、ケミカルボンド法、熱融着法等の各種方法によることができる。これらの中で、湿式法によってシート状に形成し、熱融着法によって接合することが、耐久性や強度に優れ表面が平滑な不織布基材が得られることから好ましい。
【0021】
湿式法における熱融着法としては、抄紙で得られたシートを、多筒式ドライヤー、ヤンキードライヤー、エアースルードライヤー等の抄紙後に使用される乾燥機で乾燥する際に熱融着する方法を用いることができる。また、金属製熱ロール/金属製熱ロール、金属製熱ロール/弾性ロール、金属製熱ロール/コットンロールなどのロール組み合わせを有する熱カレンダー装置による熱カレンダー処理によって熱融着する方法が好ましい。熱カレンダー処理により、バインダー成分が熱溶融し、熱融着が生じる。
【0022】
また、熱カレンダーの条件は以下に例示することができるが、これらに限定されるものではない。熱カレンダー処理における熱ロールの温度は、200℃以上215℃以下が好ましい。熱ロールの温度が200℃未満の場合、繊維同士が接着せずに強度が発現しないという問題が発生し、逆に、熱ロールの温度が215℃超である場合、熱ロールに不織布が貼り付いてしまい、シートにならないという問題が発生する。熱ロールの温度は、より好ましくは、205℃以上210℃以下である。強度を発現するために熱カレンダー処理における圧力は、好ましくは50~250kN/mであり、さらに好ましくは80~150kN/mである。50kN/m未満である場合、表面の平滑性を損なう可能性があり、また、速度を低下させないと厚みが薄くならない可能性がある。250kN/m超の場合、シートが圧力に耐えられずに破断する可能性がある。熱カレンダーの速度は1~300m/minが好ましい。1m/min以上とすることで、作業効率が良好となる。300m/min以下とすることで、不織布基材に熱を伝導させ、熱融着の実効を得やすくなる。熱カレンダーのニップ回数は不織布基材に熱を伝導することができれば特に限定するものではないが、金属製熱ロール/弾性ロールの組み合わせでは、不織布基材の表裏から熱を伝導させるために2回以上ニップしても良い。
【0023】
本発明の電磁波シールド材用不織布基材の厚みは、電子機器で使用する目的から、7~30μmであることが好ましく、目付(坪量)は6~30g/m2であることが好ましい。目付が6g/m2未満であると、均一性を得ることが難しくなり、電磁波シールド性の効果にバラつきが発生しやすくなる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部は、断りのない限り、全て質量基準である。また、実施例4及び7は参考例である。
【0025】
[実施例1]
繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維60質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維40質量部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、通気度275cm3/cm2/sec、組織[上網:平織、下網:畝織]の抄造ワイヤーを設置した傾斜型抄紙機にて、湿式法で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用未延伸PET系短繊維を熱融着させて不織布強度を発現させ、目付10g/m2の不織布とした。さらに、この不織布を、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダー装置を使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0026】
[実施例2]
繊度0.1dtex(繊維径3.0μm)、繊維長3mmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維20質量部と、繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維40質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維40質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0027】
[実施例3]
繊度0.3dtex(繊維径5.3μm)、繊維長3mmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維20質量部と、繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維40質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維40質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0028】
[実施例4]
繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維90質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維10質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0029】
[実施例5]
繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維80質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維20質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0030】
[実施例6]
繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維20質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維80質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0031】
[実施例7]
繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維10質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維90質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0032】
[比較例1]
繊度0.6dtex(繊維径7.4μm)、繊維長5mmの延伸PET系短繊維30質量部と、繊度0.3dtex(繊維径5.3μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維30質量部と、繊度1.2dtex(繊維径10.5μm)、繊維長5mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維40質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0033】
[比較例2]
繊度0.06dtex(繊維径2.4μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維60質量部と、繊度1.2dtex(繊維径10.5μm)、繊維長5mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維40質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0034】
[比較例3]
繊度0.6dtex(繊維径7.4μm)、繊維長5mmの延伸PET系短繊維30質量部と、繊度0.3dtex(繊維径5.3μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維30質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維40質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0035】
[比較例4]
繊度0.1dtex(繊維径3.0μm)、繊維長3mmの延伸PET系短繊維50質量部と、繊度0.2dtex(繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用未延伸PET系短繊維50質量部とした以外は実施例1と同じようにして、厚み15μmの不織布基材を作製した。
【0036】
実施例及び比較例で作製した不織布基材に対して無電解鍍金法により、銅及びニッケルの鍍金を施し、電磁波シールド材を作製した。
【0037】
<評価>
[耐繊維脱落性]
不織布基材を5分間、10%水酸化ナトリウム水溶液に浸した後、純水で十分に洗浄した。その後、学振型摩擦堅牢度試験機を使い、500gfの錘を載せたビリケンモス布を使って5往復基材を擦り下記基準で評価した。
【0038】
「○」ビリケンモス布に繊維がほとんど付着しない。
「△」ビリケンモス布に繊維が若干付着するが実用上問題がない。
【0039】
[電磁波シールド性]
電磁波シールド材をKEC法によって評価した。
【0040】
「◎」特に優れた電磁波シールド性がある。
「○」優れた電磁波シールド性がある。
「△」やや優れた電磁波シールド性がある。
「×」電磁波シールド性が劣る。
【0041】
【0042】
実施例1~4の不織布基材は、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを必須成分として含有することから、優れた電磁波シールド性がある。これに対し、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維と繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維とを含有していない比較例1の不織布基材、繊維径が3.0μm以上5.0μm以下の未延伸ポリエステル系短繊維を含有していない比較例2の不織布基材、繊維径が3.0μm未満の延伸ポリエステル系短繊維を含有していない比較例3及び4の不織布基材では、電磁波シールド性が劣るものであった。
【0043】
また、未延伸ポリエステル系短繊維の含有率が不織布基材を構成する繊維全体の20質量%未満である実施例4は、含有率が20質量%以上の実施例1~3、5、6と比較してやや耐繊維脱落性すなわち強度が低下した。また、未延伸ポリエステル系短繊維の含有率が不織布基材を構成する繊維全体の80質量%を超える実施例7は、含有率が80質量%以下の実施例1~3、5、6と比較してやや電磁波シールド性が低下した。繊維の融着点が多く、フィルム状になり、不織布基材としての均一性が損なわれたためと考える。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の不織布基材の活用例としては、電磁波シールド材が好適である。