(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】浮遊船舶および浮遊船舶を運転する方法
(51)【国際特許分類】
B63H 21/20 20060101AFI20220818BHJP
B63H 21/16 20060101ALI20220818BHJP
B63H 21/06 20060101ALI20220818BHJP
B63H 23/24 20060101ALI20220818BHJP
B63H 21/14 20060101ALI20220818BHJP
B63B 25/08 20060101ALI20220818BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20220818BHJP
F01D 15/04 20060101ALI20220818BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20220818BHJP
F01D 17/24 20060101ALI20220818BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20220818BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20220818BHJP
F02C 6/20 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B63H21/20
B63H21/16
B63H21/06
B63H23/24
B63H21/14
B63B25/08 Z
B63H21/17
F01D15/04
F01D15/10 A
F01D17/24
F01K23/10 A
F02C6/00 B
F02C6/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018001578
(22)【出願日】2018-01-10
【審査請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】102017000003996
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・トリンシア
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-522109(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02808248(EP,A1)
【文献】米国特許第05775092(US,A)
【文献】特開2010-180878(JP,A)
【文献】特開昭63-248931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0036094(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0193780(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1616333(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/20
B63H 21/16
B63H 21/06
B63H 23/24
B63H 21/14
B63B 25/08
B63H 21/17
F01D 15/04
F01D 15/10
F01D 17/24
F01K 23/10
F02C 6/00
F02C 6/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNGリザーバ(70)からの蒸発ガス(71)および海洋ガス油(72)で運転することができる二重燃料ガスタービンエンジンを含み、第1の電力(21)を生成して前記第1の電力(21)を配電システム(50)に供給するように構成され
、最大の前記第1の電力が10MW~18MWである、ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)と、
第2の電力(41)を生成して前記第2の電力(41)を前記配電システム(50)に供給するように構成された蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(30)と、
前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)から排気された高温ガス(81)および酸化ユニット(106)から排気された高温ガスを受け取って蒸気(82)を生成するように構成された蒸気発生器(80)であって、前記蒸気(82)が、前記蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(30)の蒸気タービンを駆動するように構成される、蒸気発生器(80)と、
前記配電システム(50)から供給された推進力(61)を使用し
て浮遊船舶(100)を推進するように構成された推進システム(60)と
、
を備え、
前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)は、前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)から排気される前記高温ガスを前記蒸気発生器(80)に送るためのクロスオーバーダクト(128)と流体連通する第1の排気ダクト(118)をさらに含み、当該第1の排気ダクト(118)は、前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)から排気されて前記蒸気発生器(80)に送られる前記高温ガスの量を調節する第1のダイバータバルブ(120)を含む、浮遊船舶(100)。
【請求項2】
前記酸化ユニット(106)は、前記クロスオーバーダクト(128)と流体連通する第2の排気ダクトを含む二重燃料ガス燃焼ユニット(106)であり、前記第2の排気ダクトは、前記二重燃料ガス燃焼ユニット(106)から排気されて前記蒸気発生器(80)に供給される前記高温ガスの量を調節する第2のダイバータバルブ(132)を含み、
前記第1のダイバータバルブ(120)及び第2のダイバータバルブ(132)は、前記蒸気発生器(80)に送られる前記二重燃料ガス燃焼ユニット(106)からの前記高温ガスが、すべての条件下で前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)からの前記高温ガス及び前記二重燃料ガス燃焼ユニット(106)からの前記高温ガスの安定してバランスのとれた流れを確保するのに十分な背圧を提供するように、少なくとも一つのコントローラによって一括して制御される、請求項1に記載の浮遊船舶(100)。
【請求項3】
前記蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(30)から減少した蒸気の一部が、前記浮遊船舶(100)上の一つ以上の蒸気負荷に送られ、前記蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(30)から減少した蒸気の別の部分は、凝縮器で凝縮され、前記蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(30)に再循環される、請求項1又は2に記載の浮遊船舶(100)。
【請求項4】
前記推進システム(60)が、前記推進力(61)
が最大の
前記第1の電力
と最大の
前記第2の電力の合計に対応するとき、18ノット以下の最大速度で前記浮遊船舶(100)を推進するように構成される、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の浮遊船舶(100)。
【請求項5】
前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)のブラックスタート機能を提供し、および/または第3の電力(92)を前記配電システム(50)に供給するように構成された1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリ(90)をさらに含み
、前記第3の電力(92)が、2MW~5MWである、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の浮遊船舶(100)。
【請求項6】
前記推進システム(60)が、前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)
が最大の
前記第1の電力を生成し、前記蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(30)
が最大の
前記第2の電力を生成し、前記1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリ(90)が前記第3の電力(92)を生成するとき、19ノット以上の最大速度で前記浮遊船舶(100)を推進するように構成される、請求項
5に記載の浮遊船舶(100)。
【請求項7】
前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)が、ガス圧縮シャフトに配置され、ガス圧縮機を駆動するように構成された高圧タービンと、発電シャフトに配置され、発電用に構成された低圧タービンとを含む2軸エンジンを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の浮遊船舶(100)。
【請求項8】
前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)が、前記高圧タービンと前記低圧タービンとの間に配置され、前記高圧タービンと前記低圧タービンの回転速度の比を調節するように構成された可変面積タービンノズルを含む、請求項
7に記載の浮遊船舶(100)。
【請求項9】
前記ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(10)が
、入口ガス流の制御を行うための可変入口ガイドベーンを含む、多段軸流圧縮機を含む、請求項7
または8に記載の浮遊船舶(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮遊船舶、詳細にはタンク船、より詳細には液化天然ガスを輸送するように構成されたLNG船に関する。本開示はさらに、浮遊船舶、詳細にはLNG船を運転する方法に関する。より具体的には、本開示は、ガスタービンエンジン-発電機アセンブリおよび蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリを有する浮遊船舶、ならびにそのような浮遊船舶を効率的に運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知の液化天然ガス(LNG)船の貯蔵タンクは冷却されておらず、かなりの内圧に耐えるように設計されていない場合がある。したがって、貯蔵タンクに貯蔵されたLNGは、輸送中に蒸発することがある。これは、自然蒸発ガス(NBOG)として知られている。NBOGは、LNG船の貯蔵タンク内で連続的に生成され、船舶の安全性を保証するために常に管理されなければならない。NBOGは、燃料源として、または船舶上の他のプロセスのために、たとえば電気エネルギー発生システムまたは推進システムのための燃料源としてNBOGを利用することによって管理することができる。
【0003】
NBOGが過剰量で存在すると、ガス燃焼ユニット(GCU)で燃焼され、それにより生成された熱および排気ガス生成物が船外へと周囲大気中に排出され得る。本明細書で使用される蒸発ガス(BOG)は、自然BOG(NBOG)および強制BOG(FBOG)の2つのガス流をカバーする。
【0004】
電気エネルギーを生成するためのガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(GTG)を有する浮遊船舶は、すでに説明されている。ガスタービンは、蒸発ガスで運転させることができる。ガスタービンは、ディーゼルエンジンと比較して利点を有する。たとえば、ガスタービンは、より軽量であり、消費する空間が少なく、環境面で有益であり得る。
【0005】
しかし、効率が向上し、全体的なエネルギーおよび燃料消費量が低減された浮遊船舶を運転することが有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
上記の観点から、浮遊船舶および浮遊船舶を運転する方法が提供される。
【0007】
本開示の一態様によれば、浮遊船舶、詳細にはLNG船が提供される。浮遊船舶は、第1の電力を生成して第1の電力を配電システムに供給するように構成されたガスタービンエンジン-発電機アセンブリと、第2の電力を生成して第2の電力を配電システムに供給するように構成された蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリと、配電システムから供給された推進力を使用して浮遊船舶を推進するように構成された推進システムとを含み、ガスタービンエンジン-発電機アセンブリは、25℃で10MW~18MW、特に14MW~15MWの最大の第1の電力を生成するように構成される。
【0008】
本開示のさらなる態様によれば、浮遊船舶、詳細にはLNG船を運転する方法が提供される。方法は、第1の電力を生成して第1の電力を配電システムに供給するために10MW~18MWの最大の第1の電力を生成するように構成されたガスタービンエンジン-発電機アセンブリを運転することと、第2の電力を生成して第2の電力を配電システムに供給するために蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリを運転することと、配電システムから供給された推進力を使用して推進システムで浮遊船舶を推進することとを含む。
【0009】
本開示のさらなる態様、利点、および特徴は、従属請求項、明細書、および添付の図面から明らかとなる。
【0010】
本開示の上記列挙された特徴が詳細に理解され得るように、上で簡潔に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによってなされ得る。添付の図面は、本開示の実施形態に関するものであり、以下に説明される。いくつかの実施形態が図面に示され、以下の説明で詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に記載の実施形態による浮遊船舶の概略ブロック図である。
【
図2】本明細書に記載の実施形態による浮遊船舶の概略ブロック図である。
【
図3】本明細書に記載の実施形態による浮遊船舶の向上した効率を示すグラフである。
【
図4】本明細書に記載の実施形態による浮遊船舶を運転する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本開示の様々な実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例を図に示す。各例は、説明のために提供され、限定を意味するものではない。たとえば、一実施形態の一部として例示または説明される特徴を任意の他の実施形態で、または任意の他の実施形態と組み合わせて使用して、またさらなる実施形態を得ることができる。本開示は、そのような修正および変形を含むことが意図されている。
【0013】
以下の図面の説明の中で、同じ参照番号は、対応するまたは同様の構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみが説明されている。特に指示がない限り、一実施形態における部分または態様の説明は、別の実施形態における対応する部分または態様にも同様に適用される。
【0014】
本明細書に記載の実施形態は、浮遊船舶、詳細には液化天然ガスを運搬して輸送するように構成されたLNG船に関する。LNG船において、自然蒸発ガス(NBOG)は、LNG船の運航の結果としての本質的に「フリー」な燃料源であり、海洋ガス油(MGO)、たとえばディーゼル油などの従来の液体燃料よりクリーンに燃焼する。LNG貯蔵タンクからのNBOGを浮遊船舶の推進燃料として使用することは、NBOGの使用がLNG輸送の経済性を向上させ、LNG運航の環境影響を軽減するので有益となり得る。
【0015】
LNG船の電力および推進システムは、広範な定期的船舶運航を支援する。これらは、需用、持続時間、および冗長性の要求が異なる。典型的な貨物荷渡サイクル中、船舶は、以下の基本運航を経験することになる。
【0016】
貨物積込み:これは、典型的には、LNGが陸上ターミナルのLNG貯蔵タンクから船舶の貨物タンクに移送される期間である。低温を維持し空気を締め出すためにタンクがLNG貯残を収容しなかった場合、タンクのパージおよび冷却も要求され、貨物作業に必要とされる時間に加えられる。貨物積込み中、NBOGは、一般に、船舶の発電プラントに燃料供給するために利用することができない。様々な実施形態において、船舶タイプに応じて、典型的な電気負荷は、2.5MW~5MW程度である。
【0017】
港内での準備、燃料積込み、および船員の休憩:船舶は、保守活動、貯蔵品積込み、ならびに液体燃料および潤滑油の補給を除いて、港内で待機する。電力レベルは、1.5MW~3.5MWに及ぶ場合があり、船舶運航サイクル中最低である。
【0018】
港内外への移動:船舶は、典型的には10または12ノットの低速で航行し、港湾施設と外洋との間を移動する。電力レベルは、3MW~13MWと中位である。このとき、機器の最大冗長性が重要となる。港湾航路は、狭い場合があり、他の港湾交通の危険性は、連続的な電力供給を要求する。多くの場合、LNG船は、これらの運航中にリスクを軽減するためにタグの併走を伴う。タグの併走に加えて、船舶は、方向転換、航路内での位置調整、ならびに埠頭への移動および埠頭からの移動のためにタグを使用する。タグ運航中、推進力が時折ゼロとなる場合がある。
【0019】
外洋移動:荷受港の海浮標と荷渡港の海浮標との間の移動が、船上時の大半を費やす。船舶の速度は、天候、波浪、経済性、およびスケジュールの配慮によって決まる。船舶は、最も経済的な速度で運航し、それは発電プラントがすべてのNBOGを消費し、強制蒸発ガス(FBOG)を使用しないときに生じ得る。外洋移動は、燃料経済性が冗長性より重要となり得る航海の部分である。外洋移動はまた、最も多くの電力を消費する。たとえば、船舶電力システムは、高い電力または最大の利用可能な電力を生成し得る。
【0020】
貨物積降し:これは、船舶が貨物を陸上ターミナルに移送する期間である。例示的な実施形態では、船舶サービス負荷および貨物ポンプを駆動するための電力レベルは、8MW程度である。
【0021】
オペレータは、時々の状況および経済的に最も適切な運転モードを選ぶ。
【0022】
何十年もの間、LNG船の推進は、2ストロークディーゼルエンジンの技術に基づいていた。最近のLNG輸送価格の高騰により、LNG輸送会社は、従来の推進技術を経済性の高い革新的なソリューションに変更している。
【0023】
たとえば、船舶の推進力の主要部分を生成するためのディーゼルエンジンの代わりに、ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(GTG)を使用することができる。GTGは、蒸発ガス、特に自然蒸発ガス(NBOG)で動作させることができる。GTGは、蒸気によって駆動される蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(STG)と組み合わせて使用することができる。蒸気は、GTGからの高温排気ガスを利用して生成することができる。ディーゼルエンジンと比較して、コストおよび燃料消費量を低減することができ、同じ輸送運行でより多くのLNGを輸送することができる。
【0024】
船舶電力システムは、ガスタービンエンジンと、ガスタービンエンジンによって駆動される第1の発電機とを含むガスタービンエンジン-発電機アセンブリ(GTG)を含むことができる。GTGは、浮遊船舶の配電システムに供給され得る第1の電力を生成するように構成することができる。ガスタービンエンジンは、天然ガス、特に浮遊船舶のLNG貯蔵タンクからの自然蒸発ガス(NBOG)で燃料を供給することができる。
【0025】
船舶電力システムはさらに、蒸気タービンと、蒸気タービンエンジンによって駆動される第2の発電機とを含む蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ(STG)を含むことができる。STGは、浮遊船舶の配電システムに供給され得る第2の電力を生成するように構成することができる。さらに、ディーゼルエンジンを必要に応じて設けることもできる。
【0026】
いくつかの実施形態では、GTGからの高温排気ガスは、STGを駆動するための蒸気を生成するために少なくとも部分的に使用されてもよい。これにより、船舶電力システムの効率を高めることができる。特に、GTGおよびSTGを含む複合サイクル構成は、高い効率を達成することができる。代替的または追加的に、STGを駆動するための蒸気を生成するためのガス燃焼ユニットにおいてBOGを燃焼させることも可能である。
【0027】
船舶を高速で推進するための高い電力値を生成することを可能にするために、25MW以上のシャフト電力を供給するように構成されたガスタービンエンジンなどの大型ガスタービンエンジンが、従来LNG船には使用されてきた。しかし、大型ガスタービンエンジンには、欠点がある。たとえば、大型ガスタービンエンジンは、典型的には、設計電力出力で運転されるときに最大効率で作動し、浮遊船舶は、たとえば19.5ノット以上の高い航行速度で推進される。しかし、高い航行速度で船舶を駆動することは、多くの燃料を消費する可能性がある。
【0028】
本明細書に記載の実施形態によれば、GTGおよびSTGを含む船舶電力システムは、中程度の航行速度、たとえば18ノット以下の航行速度に焦点を合わせて設計されており、相当量の燃料を節約することができる。特に、従来の浮遊船舶と比較して、低減された最大電力出力を生成するように構成された、および/またはガスタービンエンジンのシャフト電力が低減されたより小型のGTGを提供することができる。特に、いくつかの実施形態では、低減された電力定格を有し、シャフト電力が低減されたガスタービンエンジンを含むGTGを使用することができる。注目すべきは、より小型のGTGは、設計電力出力、すなわち、電力出力が低減された状態で運転されるときに高効率で作動し、浮遊船舶は、低減された航行速度で推進され得る。したがって、浮遊船舶の設計速度を従来の浮遊船舶と比較して低減することができるが、エネルギー効率および/または燃料消費量は増加することになる。
【0029】
これは、高い航行速度で航行している船舶の輸送時間と比較して増加し得る輸送時間と、高い航行速度のために設計された船舶と比較して大幅に低減され得る燃料消費量との間の妥協をもたらす。基本的に、より小型のガスタービンモデルの統合は、燃料節約と余分な収入の組み合わせ、たとえば増加したペイロードにより、大きな経済的利益をもたらすことができる。
【0030】
図1は、本明細書に記載の実施形態による浮遊船舶100の電力システムの概略ブロック図である。浮遊船舶100は、第1の電力21を生成して第1の電力21を配電システム50に供給するように構成されたGTG10と、第2の電力41を生成して第2の電力41を配電システム50に供給するように構成されたSTG30と、配電システム50から供給された推進力61を使用して浮遊船舶100を推進するように構成された推進システム60とを含む。本明細書に記載の実施形態によれば、GTG10は、標準的な条件で10MW以上18MW以下、特に14MW以上15MW以下の最大の第1の電力を生成するように構成される。
【0031】
本明細書で使用されるGTGの最大電力は、標準的な条件での電力定格またはGTGの設計電力出力として理解され得る。典型的には、GTGのエネルギー効率は、GTGが設計電力出力で運転されるときに最大となる。したがって、本明細書に記載の実施形態による浮遊船舶のGTGは、10MW~18MWの電力出力用に設計することができる。
【0032】
GTGのガスタービンエンジンのシャフト電力は、GTGの発電機がいくらかの損失を伴い得るので、GTGの電力定格をわずかに上回る可能性がある。たとえば、いくつかの実施形態では、標準的な条件において、ガスタービンエンジンのシャフト電力は11MW以上19MW以下、特に15MW以上17MW以下であってもよい。本明細書で使用される標準的な条件は、約25℃の大気圧および温度を意味し得る。
【0033】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、GTGは、標準的な条件で約16.5MWのシャフト電力用に構成することができるNova(商標)LT16ガスタービンを含むことができる。Nova(商標)LT16ガスタービンの技術的詳細を記載した参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
GTGによって生成された電力は、条件、特に温度に依存し得ることに留意されたい。たとえば、Nova(商標)LT16ガスタービンを有するGTGは、25℃で14.5MWの最大電力(海上航行の通常の場合)を発生することができ、その範囲は、50℃で11.3MWから-20℃で18MWとなり得る。
【0035】
船舶の中程度の航行速度の負荷をより「中心として」いる「より小型の」ガスタービンモデルを使用することは、STGと組み合わせてより効率的とすることができ、その結果、前記設計負荷を「中心として」いない「より大型の」ガスタービンモデルの場合と比較して、全体的な効率が向上し、および/または燃料消費量が低減される。
【0036】
さらに、ガスタービンエンジン-発電機アセンブリを蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリと組み合わせて使用することにより、これまでに使用されていたエンジン技術と比較して、余分なペイロード貨物容量、たとえば液化天然ガスLNGに対してたとえば10%の増大を得ることができる。
【0037】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ30は、特に標準的な条件において、3MW~8MW、特に5MW~6MWの最大の第2の電力を生成するように構成されてもよい。STGの最大の第2の電力は、STGの設計出力電力または電力定格として理解することができる。STGは、GTGが最大の第1の電力を生成するように運転され、GTGからの高温排気ガスがSTGを駆動するための蒸気を発生するときに設計出力電力で運転することができる。
【0038】
たとえば、標準的な条件(海上航行の通常の場合である25℃の周囲温度)では、STGは、5MW以上6MW以下の最大の第2の電力を発生することができる。したがって、たとえば、Nova(商標)LT16ガスタービンモデルを使用する場合、GTGおよびSTGを含む電力システムは、19MW以上21MW以下の総電力を生成するように構成されてもよく、典型的には、17ノット~18ノットの船舶速度の電気需要をカバーするのに十分な電力である。
【0039】
LNG船の場合、船舶のサイズは、船舶貨物容量で表される。本明細書に記載のLNG船の貨物容量の典型的な値は、150,000m3以上200,000m3以下、特に約174,000m3である。
【0040】
いくつかの実施形態では、推進力61が最大の第1の電力と最大の第2の電力の合計に対応するとき、推進システムは18ノット以下の最大速度で浮遊船舶を推進するように構成されてもよい。したがって、GTGとSTGの両方が配電システム50を介して推進力61として使用されるそれぞれの設計出力電力を生成するとき、浮遊船舶は、18ノット以下の速度で推進され得る。上記の計算では、船舶サービス負荷62として使用可能なGTGおよびSTGによって生成された電力の一部がゼロであるとみなされることに留意されたい。船舶のこのような追加の電力負荷に応じて、推進力61として利用可能な電力は、それに応じて低減され得る。
【0041】
本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、GTGおよびSTGは、GTGおよび/またはSTGによって最大効率で生成された第1の電力21および第2の電力41の合計を利用することによって、浮遊船舶が18ノット以下、特に16ノット~18ノットの速度で推進することができるように設計されてもよい。この場合、さらなる電力、たとえばディーゼルエンジンから生成される電力は必要とされない。
【0042】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、最大の第1の電力は、浮遊船舶の総電力需要の50%超、特に70%超となり得、および/または最大の第2の電力は、浮遊船舶の総電力需要の50%未満、特に30%未満となり得る。これらの比により、STGは、GTGの高温排気ガスを介して加熱された蒸気で、部分的に、主にまたは全体的に駆動することが可能になる。
【0043】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、GTG10は、LNGリザーバ70からの蒸発ガス71およびディーゼル油などの海洋ガス油で運転することができる二重燃料ガスタービンエンジンを含むことができる。たとえば、GTG10は、Nova(商標)LT16ガスタービンを含むことができる。
【0044】
浮遊船舶はさらに、GTG10からの高温排気ガス81および/または酸化ユニットからの高温ガスを使用して蒸気82を生成するように構成された蒸気発生器80を含んでもよく、蒸気82は、STG30の蒸気タービンを駆動するように構成することができる。酸化ユニットは、天然ガス、たとえばNBOGおよび/またはFBOGを燃焼させるように構成されたガス燃焼ユニットであってもよい。
【0045】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、浮遊船舶はさらに、ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ10のブラックスタート機能を提供し、および/または第3の電力を配電システム50に供給するように構成された1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリを含むことができる。ディーゼルエンジン-発電機アセンブリは、2MW~5MWの範囲の第3の電力を生成するように構成されてもよい。
【0046】
ディーゼルエンジン-発電機アセンブリが設けられる場合、浮遊船舶100は、より高い航行速度、たとえば18ノット超、たとえば19ノット以上、特に19.5ノット以上の航行速度に「強制」されてもよい。たとえば、高い航行速度が必要な場合、1つ、2つまたはそれ以上の追加のディーゼルエンジンをオンにして、推進システム60に対して、たとえば3MW以上の追加の電力を得ることができる。「強制された」高い航行速度が、ディーゼルエンジンの余分な燃料消費量を引き起こすことは明らかである。
【0047】
いくつかの実施形態では、推進システムは、GTG10が最大の第1の電力を生成し、STG30が最大の第2の電力を生成し、1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリが第3の電力を生成するとき、19ノット以上、たとえば19.5ノットの速度で浮遊船舶を推進するように構成することができる。換言すれば、GTGおよびSTGだけでなく、ディーゼルエンジン-発電機アセンブリも運転することによって、18ノット超の航行速度を得ることができる。この場合、推進力は、最大の第1の電力、最大の第2の電力、およびディーゼルエンジンによって生成可能な3MW以上の追加の電力の合計に対応し得る。
【0048】
たとえば、17~18ノットの中程度の航行速度で浮遊船舶100を推進するために、1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリをオンにする必要はない。本明細書に記載の実施形態による電力システムは、この場合、向上した効率の複合サイクルを設けることができる。浮遊船舶を高い航行速度、たとえば19.5ノットで推進するために、より大型のガスタービンを有するGTG、たとえば20MW以上を生成するように構成されたGTGの場合には、複合サイクル効率がより良好であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、GTG10は、ガス圧縮シャフトに配置され、ガス圧縮機を駆動するように構成された高圧タービンおよび/または発電シャフトに配置され、発電用に構成された低圧タービンを含む2軸エンジンを含むことができる。高圧タービンおよび低圧タービンの回転速度は可変であり得るので、2軸エンジンは、負荷遮断に応じて柔軟性が増す。たとえば、2段高圧タービンおよび/または2段低圧タービンを設けることができる。
【0050】
低圧タービン(パワータービンとも呼ばれる)は、6,000~9,000rpmの回転速度に構成することができる。特に、パワータービンの定格公称速度は、7,800rpmであってもよい。代替的または追加的に、高圧タービンの定格公称速度は、9,000~12,000rpm、特に約10,204rpmであってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ガスタービンエンジンの可用性は、90%以上、さらには99%以上と高くすることができる。代替的または追加的に、ガスタービンエンジンは、低メンテナンスであってもよい。たとえば、ガスタービンエンジンは、メンテナンスに35,000時間の平均時間を設計されてもよい。
【0052】
GTG10は、以下の1つまたは複数を含むことができるLNG船推進の運転上の必要性に適合させることができる:(i)GTG10は、燃料可変であってもよく、すなわち、LNGリザーバ70から供給されるBOG72、および追加の燃料、たとえばBOGが利用できない状況において海洋ガス油(MGO)で運転することができる。(ii)GTG10は、ピッチとロールの角度が大きいことを意味し得る厳しい海の状態、たとえば嵐においても運転することができる。(iii)GTG10は、特にガスタービンエンジンの火炎損失なしに、全負荷遮断および/またはベース負荷の25%以上の突然の負荷変動の受け入れを特に含む、浮遊船舶の電気負荷の変動を受け入れることができる。リカバリ時間は、短くすることができる。(iv)GTG10を含む電力システムは、コンパクトであり、ディーゼルエンジンだけを含む電力システムと比較して、船舶フレームにたとえば10%の追加のペイロードを可能にすることができる。
【0053】
本開示の一態様によれば、浮遊船舶は、高圧タービンと低圧タービンとの間に配置された可変面積タービンノズルを有するGTGを含むことができる。可変面積タービンノズルは、高圧タービンと低圧タービンの回転速度の比を調節するように構成することができる。したがって、GTGの全負荷時だけでなく、部分負荷時においても高い効率を得ることができる。特に、可変幾何学形状ノズルは、ガスタービンエンジンの部分負荷運転を改善するために、2段高圧タービンの下流、および2段低圧タービンの上流に設けられてもよい。
【0054】
小型のガスタービンエンジンは、火炎損失なしに、かつ速い回復能で、電気負荷の突然の変動(完全または部分的な負荷遮断)を受け入れる優れた能力を有することができる。さらに、高圧タービンと低圧タービンとの間の可変面積タービンノズルは、火炎損失なしに負荷変動に耐える能力をさらに改善することができる。
【0055】
GTG10は、火炎損失なしに、3MW以上、特に6MW以上の負荷遮断、より詳細には全負荷遮断に耐えるように構成することができる。特に、GTG10のガスタービンエンジンは、6MW以上の負荷遮断の場合、または全負荷遮断の場合でさえ、火炎損失がないように構成することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、GTG10はさらに、特に入口ガス流の制御を行うための可変入口ガイドベーンを含む、多段軸流圧縮機を含むことができる。たとえば、12段の高効率軸流圧縮機を設けてもよい。圧縮機は、1つまたは複数、特に2つ以上、より詳細には3つの可変幾何学形状ベーン段、すなわち可変入口ガイドベーン(VIGV)および可変第2段および第3段ベーン(VSV)を設けることができる。ガイドベーンは、圧縮機流路の翼形部のピッチを変化させて回転し、適切な失速マージンおよび/または始動および運転条件全体にわたって高効率を提供するように構成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、固定幾何学形状ベーン段が設けられてもよい。
【0057】
GTGに入る空気は、入口ケーシングによって軸流圧縮機に導くことができ、その際、空気は、軸流圧縮機で15:1以上、特に19:1の比に圧縮され得る。
【0058】
軸流圧縮機から出る圧縮空気は、環状燃焼器内に導くことができ、ここで圧縮空気は燃料、たとえば圧縮天然ガスと混合することができる。燃料/空気混合物は、最初に点火プラグで点火され得る。燃焼が自己完結すると、点火プラグがオフになる。いくつかの実施形態では、30以上のバーナ、たとえば39のバーナが設けられてもよい。
【0059】
高温燃焼ガスは、圧縮機ロータを駆動することができる高圧タービン内に導くことができる。高圧タービンは、たとえば第1段および第2段タービンホイールを含む軸流反応型タービンであってもよい。
【0060】
ガスは、出力負荷を駆動することができる低圧タービンを通ってさらに膨張することができる。低圧タービンからの排気ガスは、排気ディフューザによって方向転換され、排気プレナムフランジを通して排出され得る。
【0061】
低圧タービンは、ロータと、低圧ステータアセンブリとを含むことができる。ロータは、第1段タービンディスクと、第2段タービンディスクとを含むことができる。
【0062】
図2は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による浮遊船舶100の電力システムの概略ブロック図である。電力システムは、
図1に関して上述した電力システムのいくつかの特徴またはすべての特徴を含み得るので、ここで繰り返されない上記の説明を参照することができる。電力システムは、船上電力および推進力をLNG船に供給するように構成することができる。
【0063】
特に、浮遊船舶100は、ガスタービンエンジン12および第1の発電機14を有するGTG10と、蒸気タービンエンジン32および第2の発電機34を有するSTG30と、1つまたは複数の第3の発電機91を有する1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリ90とを含む。GTG10は、第1の電力21を生成するように構成され、STG30は、第2の電力41を生成するように構成され、ディーゼルエンジン-発電機アセンブリ90は、第3の電力を生成するように構成される。
【0064】
GTG10の最大の第1の電力は、10MW以上18MW以下である。換言すれば、GTGは、10MW以上18MW以下の出力電力に設計されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、浮遊船舶100は、1つまたは複数のLNGリザーバ70から、たとえばLNG貯蔵タンクからBOG71を受け取るように構成された蒸発ガス圧縮機102を含む。圧縮されたBOGは、二重燃料ガス燃焼ユニット106および/または二重燃料ガスタービンエンジン-発電機アセンブリとすることができるGTG10に送ることができる。さらに、ガス燃焼ユニット106はまた、非圧縮蒸発ガスの「自由流」を燃焼させることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、浮遊船舶100は、たとえばオフノーマル運転中または高速航行用に電力を供給するように構成されたディーゼルエンジン-発電機アセンブリ90に海洋ガス油(MGO)を送るように構成された燃料リザーバ110を含む。燃料リザーバ110はまた、MGOをガス燃焼ユニット106および/またはGTG10に送るように構成されてもよい。海洋ガス油72として説明したが、燃料リザーバ110は、様々な他の燃料または燃料タイプを含むことができる。
【0067】
第1の電力21を配電システム50に供給することに加えて、GTG10はまた、排気ダクト118を通して高温の排気流を蒸気発生器80に供給することもできる。排気ダクト118は、ダイバータバルブコントローラ122によって制御されるダイバータバルブ120を含むことができる。ダイバータバルブ120は、蒸気発生器80への、および/または蒸気発生器のバイパススタック126を通した周囲124へのGTG排気流の量を調節するように構成されてもよい。
【0068】
GTG排気流は、クロスオーバダクト128を通して蒸気発生器80に送ることができる。特定の条件下では、GTG10は、LNGリザーバ70で生成されたNBOGのすべてを消費することができない場合がある。このような条件の間、ガス燃焼ユニット106へのNBOGの代替経路を使用することができる。ガス燃焼ユニット106は、NBOGを酸化して高温排気ガスの流れを生成し、これは、スタック130を通して周囲124に、および/またはダイバータバルブコントローラ134によって制御され得るダイバータバルブ132を通してクロスオーバダクト128に送られる。
【0069】
したがって、蒸気発生器80には、クロスオーバダクト128を通してGTG10および/またはガス燃焼ユニット106からの高温排気ガスを供給することができ、高温排気ガスの各流れは、それぞれのダイバータバルブによって制御され得る。
【0070】
他の条件下では、GTG10および/またはガス燃焼ユニット106を通して処理されたNBOGを使用して生成が可能な、より多くの蒸気を生成できることが有益であり得る。この場合、NBOG流量が、STG30が最大電力に達するのに十分でない場合があるバラスト航海などでは、FBOGを使用してガス燃焼ユニットに燃料を供給することができる。
【0071】
ダイバータバルブ120および132は、それぞれのコントローラ122および134によって制御されてもよい。個々のスタンドアロンコントローラとして説明したが、コントローラ122および134は、単一のコントローラに組み合わされてもよく、またはより大型の発電プラント制御システム内で具体化されてもよい。ダイバータバルブ120および132は、それぞれのコントローラ122および134によって制御され、蒸気発生器80に送られたガス燃焼ユニット106からの排気ガスが、すべての運転条件下で排気ガスの安定してバランスのとれた流れを確保するのに十分な背圧を提供するようにする。
【0072】
蒸気発生器80は、クロスオーバダクト128を通して供給されるGTG10および/またはガス燃焼ユニット106からの高温排気ガスから蒸気を生成するように構成することができる。生成された蒸気は、配電システム50に導くことができる第2の電力41を生成するように構成されたSTG30に送ることができる。STG30からの減少した蒸気の第1の部分は、1つまたは複数の船上蒸気負荷138に送られてもよい。船舶加熱蒸気は、蒸気タービンの上流に位置する減圧バルブから導き出されてもよく(約85%未満の蒸気流)、または蒸気タービンエンジンから取られる抽出蒸気(減少した蒸気)から導き出されてもよい(電力>85%)。STG30からの減少した蒸気の第2の部分は、凝縮器で凝縮され、凝縮システム(図示せず)および給水システム(図示せず)を通して再資源化され蒸気発生器80に戻される。
【0073】
運転中、浮遊船舶は、少なくとも総電力需要、利用可能な運転機器、運転環境および電気プラント構成に基づく複数の基本運転モードを含むことができる。基本運転モードの各々のサブモードは、異なる燃料供給(液体またはガス)、排出条件、および電力を増加させるためのブラックスタート緊急ディーゼルの潜在的な使用を考慮に入れることができる。
【0074】
たとえば、以下の運転モードの一部またはすべてを設けることができる:プラント運転停止(モード0);GTGおよびSTG複合サイクル並列電気プラント運転(モード1);GTGおよびSTG複合サイクルスプリット電気プラント運転(モード2);GTG単一サイクル(モード3);ガス燃焼ユニット熱源を用いたSTGボトミングサイクル(モード4);高冗長性スプリット電気プラント(モード5);高冗長性並列電気プラント運転(モード6)。
【0075】
GTG10は、
図1を参照して上述した特徴のいくつかまたはすべてを含み得るので、ここで繰り返されない上記の説明を参照することができる。
【0076】
図3は、本明細書に記載の実施形態による浮遊船舶の向上した効率を示すグラフである。y軸は、COGESプラントとも呼ばれる複合ガスおよび蒸気発電システムの総発電効率を示す。x軸は、GTGおよびSTGによって生成された第1の電力および第2の電力の合計を示す(COGESプラント総電力)。
【0077】
本明細書に記載の実施形態によるCOGESプラントの効率は、約5MW~約20MWのCOGESプラント総電力の範囲においてより高いことが示されており、従来のCOGESプラントと比較して、約10ノット~約18ノットの浮遊船舶の航行速度に対応する。他方、本明細書に記載の実施形態によるCOGESプラントは、ディーゼルエンジンによって提供され得る追加の電力なしに、約18ノットより高い航行速度で浮遊船舶を推進することができない場合がある。たとえば19.5ノット以上の高い航行速度で浮遊船舶を推進するためには、従来のCOGESプラントの効率は、十分であり得る。しかし、18ノット以下の速度範囲では、本明細書に記載の実施形態によるCOGESシステムは、向上した効率値を提供する。
【0078】
たとえば、Nova(商標)LT16ガスタービンエンジンを含むCOGESプラントを17ノットの低速で使用する場合、補助エンジンをオンにする必要はなく、COGESプラントは、従来のCOGESプラントの45%と比較して47%の向上した効率をもたらす。航行速度がより高い、たとえば19.5ノットの場合、従来のCOGESプラントの効率は、おそらく追加のディーゼルエンジンをオンにする必要はないため、たとえば49%とより高くなり得る。17ノットでの推進には約16MWの低い電力が必要であり、19.5ノット(23.28MW)での推進には高い電力が要求され得る。相当量の燃料を、節約することができる。
【0079】
さらなる態様によれば、浮遊船舶、詳細にはタンク船、より詳細にはLNG船を運転する方法が説明される。
【0080】
図4に示すように、ボックス410において、10MW~18MWの最大の第1の電力を生成するように構成されたGTG10、およびSTG30が浮遊船舶に設けられる。換言すれば、浮遊船舶上に設けられるGTG10は、10MW以上18MW以下の設計出力電力または電力定格を有することができる。
【0081】
ボックス420において、GTG10は、第1の電力21を生成するように運転され、第1の電力21は、配電システム50に供給される。さらに、STG30は、第2の電力41を生成するように運転され、第2の電力41は、配電システム50に供給される。
【0082】
ボックス430において、浮遊船舶は、配電システム50から供給される推進力61を使用して推進システム60によって推進される。
【0083】
いくつかの実施形態では、浮遊船舶は、最大の第1の電力と最大の第2の電力の合計にほぼ対応し得る19~21MWの推進力で、18ノット以下、たとえば17ノット~18ノットの速度で推進されてもよい。換言すれば、GTG10および/またはSTG30が、GTGおよび/またはSTGのそれぞれの設計電力出力に対応し得る高い効率範囲で運転される場合、浮遊船舶は、18ノット以下の速度で航行することができる。燃料消費量は、低減することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリ90を運転させて、第3の電力92を生成し、第3の電力92を配電システム50に供給することができる。浮遊船舶の電力要件に応じて、第3の電力は、2MW~5MWの範囲とすることができる。
【0085】
たとえば、浮遊船舶は、18ノット以上、たとえば19ノット~20ノットの速度で推進されてもよく、推進力は22~26MWの範囲である。この電力は、最大の第1の電力、最大の第2の電力、および1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリによって生成され得る第3の電力の合計に対応し得る。特に、GTGおよび/またはSTGは、GTGおよび/またはSTGのそれぞれの電力定格に対応し得る高い効率範囲で運転されてもよく、高い航行速度で浮遊船舶を推進するように推進システムを「強制する」ために、1つまたは複数のディーゼルエンジン-発電機アセンブリによって追加の電力を生成してもよい。燃料消費量、特にディーゼル消費量は、増加する可能性がある。
【0086】
いくつかの実施形態では、たとえば外洋移動においても、浮遊船舶は基準レベルを下回る推進力の第1の運転モードで運転させることができる。そこでは、第3の電力92は配電システム50に供給されず、浮遊船舶は18ノット以下の速度で航行することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、たとえば例外的な状況または緊急の場合には、浮遊船舶は基準レベルを上回る推進力の第2の運転モードで運転させることができる。そこでは、第3の電力が配電システム50に供給され、浮遊船舶は18ノット超の速度で航行することができる。第2の運転モードでは、GTGおよび/またはSTGを運転させて、それぞれの電力定格に対応する電力を生成することができる。
【0088】
典型的には、GTG10は、LNGリザーバ70からの蒸発ガス71、たとえばNBOGのみで部分的にまたは全体的に運転されてもよい。強制蒸発は、必要ではない。
【0089】
いくつかの実施形態では、GTG10を運転することは、高圧タービンと低圧タービンの回転速度の比を調節するために、GTG10のガスタービンエンジンの高圧タービンの下流および低圧タービンの上流に配置された可変面積タービンノズルを調整することを含む。
【0090】
そこでは、可変面積タービンノズルは、GTG10の第1の電力の需要に応じて、および/または負荷遮断の場合に調整されてもよい。
【0091】
前述は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他のおよびさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されることができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲により決定される。
【符号の説明】
【0092】
10 ガスタービンエンジン-発電機アセンブリ
12 ガスタービンエンジン
14 第1の発電機
21 第1の電力
30 蒸気タービンエンジン-発電機アセンブリ
32 蒸気タービンエンジン
34 第2の発電機
41 第2の電力
50 配電システム
60 推進システム
61 推進力
62 船舶サービス負荷
70 LNGリザーバ
71 蒸発ガス
72 海洋ガス油
80 蒸気発生器
81 高温排気ガス
82 蒸気
90 ディーゼルエンジン-発電機アセンブリ
91 第3の発電機
92 第3の電力
100 浮遊船舶
102 蒸発ガス圧縮機
106 二重燃料ガス燃焼ユニット
110 燃料リザーバ
118 排気ダクト
120 ダイバータバルブ
122 ダイバータバルブコントローラ
124 周囲
126 バイパススタック
128 クロスオーバダクト
130 スタック
132 ダイバータバルブ
134 ダイバータバルブコントローラ
138 船上蒸気負荷