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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】制動装置及びこれを用いた遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
E06B9/322
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018084341
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019190138
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 武信
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-129002(JP,A)
【文献】特開2017-206877(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00690199(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00716212(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 - 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードの移動を許容しつつ当該コードの移動を制動する制動装置であって、
前記コードの移動を回転運動に変換する運動変換部と、前記回転運動に抵抗を与える抵抗付与部と、前記運動変換部及び前記抵抗付与部の少なくとも一部を保持するケースとを備えており、
前記運動変換部は前記コードを挟着する一対の挟着部材を備え、
前記一対の挟着部材の一方は前記コードの移動により回転するよう構成され、
前記抵抗付与部は、前記一対の挟着部材の一方に抵抗を付与するよう構成され、
前記ケースは着脱規制手段を備えており、前記着脱規制手段は、前記コードが前記運動変換部から脱落することを規制する状態と、前記コードを前記運動変換部から取り外すことの可能な状態とを取り得るよう構成される、制動装置
【請求項2】
請求項1に記載の制動装置であって、
前記ケースは、前記一対の挟着部材の上方を覆う天壁部を備え、
前記天壁部は、前記コードの長手方向にわたって延在する導入溝を備える、制動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制動装置であって、
前記着脱規制手段は、前記長手方向に延在して前記導入溝と嵌り合う凸部を備える、制動装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の制動装置であって、
前記一対の挟着部材を保持する保持部材を備えており、
前記保持部材は、上方に向かって開放されるとともに前記長手方向に亘って延在する溝部を備え、前記コードを上方から配置可能とされており、
前記保持部材が前記コードの一方向の移動に伴って前記ケース内を移動することによって前記一対の挟着部材が前記コードを挟着するよう構成される、制動装置。
【請求項5】
ヘッドボックスと、遮蔽部材と、前記コードと、請求項1請求項4の何れかに記載の制動装置とを備えた遮蔽装置であって、前記コードの移動により前記遮蔽部材が開閉されるよう構成され、
前記ヘッドボックスは、前記コードの長手方向と略垂直な一方向が開放可能とされており、
前記制動装置は、前記着脱規制手段が前記一方向側に位置するよう前記ヘッドボックスに設置される、遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動装置、及び、これを用いた遮蔽装置に関し、特に、昇降コードの移動を適切に減速するために使用可能な制動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降コードを引くことで遮蔽材を引き上げ、遮蔽材の自重によりこの遮蔽材を降下させる遮蔽装置がある。このような遮蔽装置には、昇降コードの移動を減速させる制動装置を備え、遮蔽部材が降下する勢いを低減させることが可能なものがある。例えば、特許文献1には、コードを挟着することでコードの移動を部材の回転に変換し、その回転に対して抵抗を付与することでコードを制動する制動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-30084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の制動装置は、当該制動装置にコードが通された状態で制動装置に組み込まれる構成となっている。したがって、制動装置を一度遮蔽装置に組み込んだ後、部品不良や抵抗付与部の抵抗を調整するため制動装置を構成する部品を交換するには、コードを制動装置から抜き取った上で制動装置を取り出して部品を交換する必要があり、容易に部品交換ができない構成となっていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、制動装置を一度遮蔽装置に組み込んだ後にも、制動装置を構成する部品を容易に交換又は調整することができ、組立作業が容易な制動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、コードの移動を制動する制動装置であって、前記コードの移動を回転運動に変換する運動変換部と、前記回転運動に抵抗を与える抵抗付与部と、前記運動変換部及び前記抵抗付与部の少なくとも一部を保持するケースとを備えており、前記制動装置は、下記(1)~(3)の何れかの構成を備える、制動装置が提供される。
(1)前記ケースは着脱規制手段を備えており、前記着脱規制手段は、前記コードが前記運動変換部から脱落することを規制する状態と、前記コードを前記運動変換部から取り外すことの可能な状態とを取り得るよう構成される。
(2)前記抵抗付与部は前記運動変換部の上方に設けられ、前記ケースは前記抵抗付与部の上方に天板を備えており、当該天板は、前記コードと前記運動変換部とを分離することなく取り外せるよう構成される。
(3)前記コードを、当該コードの側面から運動変換部に着脱可能に構成される。
【0007】
本発明によれば、上記(1)の構成の場合、着脱規制手段がコードを制動装置から取り出すことの可能な状態を取り得ることから、制動装置とコードとを容易に分離することができるため、制動装置を構成する部品を容易に交換又は調整することができる。また、上記(2)の構成の場合も、天板がコードと運動変換部とを分離することなく取り外せる構成であることから、制動装置を構成する部品を容易に交換又は調整することができる。さらに、上記(3)の構成の場合にも、コードをその側面から制動装置に着脱可能であることから、コードを端部まで引き抜かなくとも制動装置とコードとを分離でき、制動装置を構成する部品を容易に交換又は調整することができる。
【0008】
好ましくは、前記運動変換部は前記コードを挟着する一対の挟着部材と、回転部材とを備え、前記一対の挟着部材の一方は前記コードの移動により前記回転部材とともに回転するよう構成され、前記抵抗付与部は、前記回転部材に抵抗を付与するよう構成される。
【0009】
好ましくは、上記(1)の構成を備える。
【0010】
好ましくは、上記(1)の構成を備え、前記ケースは、前記一対の挟着部材の上方を覆う天壁部を備え、前記天壁部は、前記長手方向にわたって延在する導入溝を備える。
【0011】
好ましくは、前記着脱規制手段は、前記長手方向に延在して前記導入溝と嵌り合う凸部を備える。
【0012】
好ましくは、前記一対の挟着部材を保持する保持部材を備えており、前記保持部材は、上方に向かって開放されるとともに前記長手方向に亘って延在する溝部を備え、前記コードを上方から配置可能とされており、前記保持部材が前記コードの一方向の移動に伴って前記ケース内を移動することによって前記一対の挟着部材が前記コードを挟着するよう構成される。
【0013】
また、前記コードの移動により前記遮蔽部材が開閉されるよう構成され、前記ヘッドボックスは、前記コードの長手方向と略垂直な一方向が開放可能とされており、前記制動装置は、前記着脱規制手段が前記一方向側に位置するよう前記ヘッドボックスに設置される、遮蔽装置が提供される。
【0014】
好ましくは、上記(2)の構成を備える。
【0015】
好ましくは、上記(2)の構成を備え、前記抵抗付与部は、ウェイトと、当該ウェイトを保持するウェイトホルダとを備え、前記ウェイトホルダは、前記回転部材の回転に伴って回転して前記ウェイトを回転させるよう構成され、前記抵抗付与部は、前記ウェイトが回転により発生する遠心力によって径方向外側に移動して前記ケースの内壁面との間の摩擦によって前記制動力を発生させるよう構成され、前記制動力は、前記ウェイトの個数又は種類に応じて調節可能に構成される。
【0016】
また、前記コードの移動により前記遮蔽部材が開閉されるよう構成され、前記ヘッドボックスは、前記コードの長手方向と略垂直な一方向が開放可能とされており、前記制動装置は、前記抵抗付与部が前記運動変換部に対して前記一方向側に位置するよう前記ヘッドボックスに設置される、遮蔽装置が提供される。
【0017】
また、好ましくは、上記(3)の構成を備える。
【0018】
好ましくは、上記(3)の構成を備え、前記コードを、当該コードの側面から前記一対の挟着部材の間に配置するよう構成される。
【0019】
また、前記コードの移動により前記遮蔽部材が開閉されるよう構成され、前記ヘッドボックスは、前記コードの長手方向と略垂直な一方向が開放可能とされており、前記制動装置は、ヘッドボックスに設置された状態で、前記コードを当該コードの側面から運動変換部に着脱可能に構成される、遮蔽装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る遮蔽装置1を示す正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る制動装置100の外観を示す斜視図である。
図3図2の制動装置100のカバー10Cを取り外した様子を示す斜視図である。
図4図2の制動装置100のカバー10Cを下方より見たときの斜視図である。
図5図2の制動装置100から上ケース10Aを取り除いた状態を示す斜視図である。
図6図2の制動装置100のスライダー20を示す斜視図である。
図7図2の制動装置100の図5の状態からさらにスライダー20を取り除いた状態を示す斜視図である。
図8図2の制動装置100を、昇降コードCDと垂直な平面で切断したときの要部断面図である。
図9図8のA-A線切断部断面図である。
図10図8のB-B線切断部断面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る制動装置100の外観を示す斜視図である。
図12図11の制動装置100を遮蔽装置のヘッドボックス2に取り付けた際の状況を示す模式図である。
図13図11の制動装置100を遮蔽装置のヘッドボックス2に取り付けた状態において、下ケース10Bだけを取り外した様子を示す模式図である。
図14図11の制動装置100の下ケース10Bを取り外した様子を模式的に示す説明図である。
図15図15Aは、本発明の第2実施形態の変形例に係る制動装置100の説明図であり、図15Bは、本発明の第2実施形態の他の変形例に係る制動装置100の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0022】
1.第1実施形態
1-1 全体構成
第1実施形態に係る遮蔽装置1である横型ブラインドは、図1の正面図に示すように、ヘッドボックス2から複数本のラダーコード3を介して複数段のスラット4が吊下支持され、同ラダーコード3の下端にはボトムレール4aが吊下支持される。以下、スラット4とボトムレール4aを合わせて、遮蔽部材4とも呼ぶことにする。また、図1においては、図面の表裏方向を前後方向、左右方向を幅方向とする。
【0023】
ヘッドボックス2内には、支持部材5が複数個配設され、その支持部材にはチルトドラム6が回転可能に支持される。ラダーコード3の上端部は、チルトドラム6に取着され、そのチルトドラム6の中心部には、ヘッドボックス2の長手方向に延びるチルト軸7が全てのチルトドラム6に嵌挿されている。従って、チルト軸7が回転されると、全てのチルトドラム6が回転され、そのチルトドラム6の回転にともなって、ラダーコード3の前後の縦糸の一方が引き上げられることにより、各スラット4及びボトムレール4aが同位相で角度調節される。
【0024】
ヘッドボックス2の一端部には、筒体からなる操作棒8が吊下支持されており、操作棒8の下端には操作部8aが設けられている。そして、操作部8aを把持して操作棒8を回転操作すると、ヘッドボックス2内に配設されるギヤ機構を介してチルト軸7が回転される。従って、操作棒8の回転操作により、各遮蔽部材4を角度調節可能となっている。
【0025】
また、ヘッドボックス2からは複数本(図1では3本)の昇降コードCDが吊下されており、各昇降コードCDの一端はボトムレール4aに取着される。各昇降コードCDの他端は、ヘッドボックス2に設けられた案内部材(図示せず)を介してヘッドボックス2内へ転向案内され、ヘッドボックス2内に取り付けられたロック部9及び制動装置100を経てヘッドボックス2端部から引き出される。そして、引き出された複数本の昇降コードCDは、筒状の操作棒8内に挿通され、その先端は操作部8aの下方に設けられたコードイコライザ8bに接続される。従って、コードイコライザ8bを下方へ引いて、ヘッドボックス2から昇降コードCDを引き出すと、ボトムレール4aが引き上げられることにより、各スラット4が順次引き上げられる。
【0026】
ロック部9は、遮蔽部材4の自重降下を防止するために用いられるものであり、本実施形態では、公知のハートカムストッパが用いられる。詳細な説明は省略するが、このロック部9は、ロック状態からコードイコライザ8bを一度下方へ引いて手を離すとロックが解除されて遮蔽部材4が降下し、この状態でコードイコライザ8bをもう一度下方へ引くと、昇降コードCDがロックされ、自重降下が防止されるよう構成されている。
【0027】
また、制動装置100は、昇降コードCDの移動を制動し、遮蔽部材4が降下する勢いを低減させるものである。以下、図2図10を参照して、この制動装置100について詳細に説明する。
【0028】
なお、以下の説明においては、制動装置100について図2に示す矢印の向きをそれぞれ前後、左右、上下とする。したがって、昇降コードCDの長手方向は、制動装置100の前後方向と一致する。また、図1の遮蔽装置1においては、制動装置100は左側が前方向、右側が後方向となるよう配置される。
【0029】
1-2 制動装置100の構成
本実施形態に係る制動装置100は、昇降コードCDの移動を回転運動に変換する運動変換部DTと、この回転運動に対し回転抵抗を付与する抵抗付与部RAとが略垂直方向に連結されて構成される。
【0030】
本実施形態において、運動変換部DTは、図8等に示すように、保持部材としてのスライダー20、一対の狭着部材の一方である回転部材としての張力伝達ローラ30、一対の狭着部材の他方であるアイドルローラ40、コイルスプリングSP及びケース10の一部から構成される。また、抵抗付与部RAは、図8及び図9等に示すように、内歯付キャリア260、遊星歯車280、太陽歯車付ウェイトホルダ320、ウェイト340、下ケース10B及びケース10の一部から構成される。以下、各部材について説明する。
【0031】
本実施形態のケース10は、図2及び図3に示すように、上ケース10Aと、下ケース10Bと、着脱規制手段としてのカバー10Cとを備える。
【0032】
上ケース10Aは、平面視がそれぞれ略正方形である2つの直方体が積み重なったような外径を有し、内部に各部材を収容する空間を有する箱型の部材である。具体的には、上ケース10Aは、外形が概ね正方形の天壁部11と、天壁部11の前後左右の端部から下方に延びる側壁部12と、側壁部12の下端から水平方向外側に向かって延びる鍔部13と、鍔部13の縁部から下方に向かって延びる裾部14とを備える。
【0033】
天壁部11には、図3に示されるように、上下方向に貫通する第1天壁溝16と第2天壁溝17とが形成されている。第1天壁溝16及び第2天壁溝17は、それぞれ昇降コードCDの長手方向すなわち前後方向に対して斜めに形成されており、昇降コードCDの一方の長手方向である前方に向かうにつれて、第1天壁溝16と第2天壁溝17との距離が小さくされている。
【0034】
具体的には、第1天壁溝16は円弧状に形成されており、第1天壁溝16の円弧は、図9に示される内歯付キャリア260の内周面と平面視において同心円上となるように形成される(図3参照)。一方、第2天壁溝17は緩やかなカーブを描いた形状に形成され、前方側が略直線状の形状とされ、後方に向かうにつれて、第1天壁溝16から離れる向きに湾曲している(図3参照)。これら第1天壁溝16及び第2天壁溝17には、後述する張力伝達ローラ30のシャフト31及びアイドルローラ40のシャフト41が配置される。
【0035】
側壁部12の前後方向の面のそれぞれ左右方向中央の位置には、図2及び図3に示すように、上下方向に連続するガイド溝61が形成される。ガイド溝61は、昇降コードCDを前後方向に挿通するための溝であり、図2及び図3では3本の昇降コードCDが前後方向に挿通されている。また、天壁部11の左右方向中央の位置には、前後方向に亘って延在する導入溝62が形成される。本実施形態において、側壁部12の前後のガイド溝61と、導入溝62とは連続している。したがって、昇降コードCDは、図3の上方向から制動装置100に導入する(組み込む)ことが可能となっている。また、側壁部12の左右方向の面の上端の位置には、図3に示すように、カバー10Cと係合するための係合溝12aが形成される。
【0036】
鍔部13及び裾部14は、図3に示すように、側壁部12の下方に形成され、内部に後述するピニオンギア50、内歯付キャリア260、遊星歯車280、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340が配置される。裾部14の内面は略円筒形状となっており、遊星歯車280と歯合するリング状の内周ギア65(図9参照)が形成される。また、裾部14の前後方向の外面には、下ケース10Bと係合するための係合溝63(図2及び図9参照)が左右方向の2箇所に形成される。
【0037】
下ケース10Bは、図2図8及び図10に示すように、制動装置100の底面を構成し、上ケース10Aとともに筐体を構成するものである。下ケース10Bは、図10に示すように、上ケース10Aの第1天壁溝16及び第2天壁溝17と対向する位置に、第1下ケース溝18及び第2下ケース溝19を備える。第1下ケース溝18及び第2下ケース溝19の形状は、第1天壁溝16及び第2天壁溝17の形状にそれぞれ対応する。また、下ケース10Bの前後方向の端面には、上ケース10Aの係合溝63と係合する係合爪64が上方に向かって延びている。加えて、下ケース10Bの下面には、制動装置100をヘッドボックス2内に固定するときに利用する取付筒15が設けられる(図8参照)。
【0038】
カバー10Cは、図2図4に示すように、上ケース10Aの上部、特に上ケース10Aの導入溝62を覆うように設けられる。カバー10Cは、天板部71と、保持部72と、中央凸部73とを備える。
【0039】
天板部71は、図4に示すように、中央凸部73の左右両側に、厚みの薄くなった凹部71aを有しており、上ケース10Aにカバー10Cを取付けた際に、上ケース10Aの第1天壁溝16及び第2天壁溝17から突出するシャフト31及びシャフト41と干渉しないようになっている(図8参照)。
【0040】
保持部72は、天板部71の左右方向の両端部からそれぞれ前後方向に亘って下方に延びる。保持部72の左右方向内側の、上ケース10Aの側壁部12と対向する位置には、上ケース10Aと係合するための係合爪72aが形成される。
【0041】
中央凸部73は、天板部71の左右方向中央部から前後方向に亘って下方に延びる。中央凸部73の左右方向の幅は、導入溝62の左右方向の幅と略同一か、それよりもわずかに狭い幅となっている。これにより、中央凸部73は、カバー10Cを上ケース10Aに取り付けた際に、導入溝62と嵌り合うようになっている(図2参照)。なお、本実施形態において、中央凸部73は、スライダー20が存在する位置までは突出しておらず、スライダー20の前後天壁溝27とは嵌り合っていない。ただし、スライダー20の前後方向の動作と干渉しないのであれば、中央凸部73を前後天壁溝27とも嵌り合う構成としても良い。
【0042】
スライダー20は、図5に示すように、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40を内部に保持するものであり、上ケース10Aの天壁部11と側壁部12により形成される空間内において、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40とともに前後方向に移動するよう構成される。具体的には、スライダー20は、図6に示すように、天壁部21、後側壁部22、前側壁部24及び底壁部23とを有する。
【0043】
天壁部21は、左右方向に亘って形成される左右天壁溝26及び、前後方向に亘って形成される前後天壁溝27を備える。ここで、左右天壁溝26と前後天壁溝27とは、天壁部21の略中央部分で交差している。また、前後天壁溝27は、上方に向かって開放されており、昇降コードCDを上方からスライダー20内に配置可能となっている。
【0044】
底壁部23は、左右天壁溝26と対向する位置に、左右一対の底壁溝28を備える。一対の底壁溝28は、底壁部23の左右方向端部から中央方向に向かって延びる。ただし、底壁部23側の底壁溝28は左右方向に亘って連続しておらず、中央部分においてスライダー20の前後部分を接続している。そして、天壁部21の左右天壁溝26及び左右一対の底壁溝28に沿って後述するシャフト31及びシャフト41を左右方向外側からスライドさせることで、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40をスライダー20内に配置できるようになっており、加えて、左右方向に移動可能な態様で保持できるようになっている。
【0045】
前側壁部24及び後側壁部22には、それぞれ貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、前側壁部24及び後側壁部22の幅方向の略中央において前側壁部24及び後側壁部22を前後方向に貫通し、上下方向に長い略U字の形状とされ、複数本の昇降コードCDが縦方向に整列した状態で挿通可能な形状である。
【0046】
また、後側壁部22には、貫通孔25の両脇に、後側壁部22の外側面から形成される凹部29が形成され、凹部29内にはコイルスプリングSPが配置される(図5参照)。コイルスプリングSPは、凹部29に配置された状態において、一端が凹部29から突出する。
【0047】
なお、このような形状のスライダー20の左右方向の大きさは、上ケース10Aの天壁部11及び側壁部12によって形成される空間の左右方向の幅と概ね同じである。従って、スライダー20が上ケース10Aの空間内に配置されると、スライダー20の天壁部21及び底壁部23の側面が上ケース10Aの左右の側壁部12の内壁面に当接して、スライダー20は上ケース10Aに対して左右方向に動きが規制される。この状態において、スライダー20の貫通孔25は、上ケース10Aのガイド溝61と前後方向に並ぶ。そのため、上ケース10Aの導入溝62及びスライダー20の前後天壁溝27を介して、昇降コードCDをスライダー20内に挿通することができる。
【0048】
一方、スライダー20の前後方向の大きさは、同空間の前後方向の幅よりも小さくされる。従って、スライダー20が上ケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20と上ケース10Aの前後の側壁部12の内壁面との間には隙間が生じ、スライダー20は上ケース10Aに対して前後方向に動くことができる。また、スライダー20が上ケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20の後側壁部22の凹部29から突出するコイルスプリングSPが上ケース10Aの側壁部12の後方の内壁を押圧する。そのため、スライダー20が上ケース10Aの空間内に配置された状態では、スライダー20は、前方側に位置し、上ケース10A内において前方に押圧された状態となる。
【0049】
次に、図7及び図8を用いて、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40について説明する。
【0050】
張力伝達ローラ30は、シャフト31と、シャフト31の外周面を覆う円筒状のローラ部32とを有する。ローラ部32は、シャフト31の一端側に取り付けられ、シャフト31の他端には、ピニオンギア50が挿入されている。ローラ部32は、弾性体から形成されることが好ましい。
【0051】
ピニオンギア50は、圧入によりシャフト31に取り付けられており、シャフト31を中心として張力伝達ローラ30とともに回転する。また、ピニオンギア50と張力伝達ローラ30との間はスライダー20の底壁部23が介在できる程度に離間している。なお、本実施形態のピニオンギア50は、上ケース10Aの第1天壁溝16と下ケース10Bの第1下ケース溝18が内歯付キャリア260の内周面の中心点と平面視において同心円上に形成されるため、常に内歯付キャリア260に設けられた内歯車261に歯合し続けることができる。
【0052】
一方、アイドルローラ40は、張力伝達ローラ30のシャフト31と平行なシャフト41と、シャフト41の外周面を覆うローラ部42とを有する。従って、張力伝達ローラ30の回転軸とアイドルローラ40の回転軸とは互いに平行とされる。本実施形態において、アイドルローラ40のローラ部42の外周面は樹脂製とされ、金属の平坦な面よりも摩擦係数が高い状態とされる。また、シャフト41の両端部は、ローラ部42から露出している。
【0053】
これら張力伝達ローラ30のローラ部32及びアイドルローラ40のローラ部42は、図5及び図8に示すように、スライダー20の内部に保持され、ピニオンギア50は、スライダー20の外部に保持される。つまり、制動装置100の組み立て時においては、ローラ部32とピニオンギア50がスライダー20の底壁部23を挟み込むような構成となっている。
【0054】
次に、図7図9を用いて内歯付キャリア260及び遊星歯車280について説明する。本実施形態では、内歯付キャリア260は、図7に示すように、平面視において略ドーナツ形状である。内歯付キャリア260は、図8に示すように、円柱部264と、円柱部264から径方向外側に突出するフランジ262を備える。
【0055】
円柱部264の径方向内側の内周面には、図9に示すように、ピニオンギア50と歯合する内歯車261が形成される。そして、フランジ262には、鉛直方向において下向きに突出する支持軸263が形成される(図8参照)。支持軸263は、等間隔であることが好ましく、本実施形態では、支持軸263が等間隔に4つ設けられた構成となっている。
【0056】
そして、支持軸263にはそれぞれ、遊星歯車280が回転可能に支持されている。遊星歯車280は、後述する太陽歯車323と、上ケース10Aの内部に設けられた内周ギア65と互いに歯合する。そして、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能である。従って、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達されることにより内歯付キャリア260が回転し、それにともない内歯付キャリア260のフランジ262に設けられた支持軸263に回転可能に支持された遊星歯車280が回転することで、ピニオンギア50に起因する回転を太陽歯車付ウェイトホルダ320に伝達することが可能となっている。
【0057】
次に、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340について、図8図10を用いて説明する。太陽歯車付ウェイトホルダ320は、図10に示すように、リング状のリング部324の下端近傍から外方に向かって、複数(4つ)の凸部321が突出する形状である。図9に示すように、リング部324の外側の外周面には、遊星歯車280と歯合する太陽歯車323が、回転軸が凸部321の延在方向と略垂直方向を向くように設けられる。そして、図10に示すように、リング部324の外面と凸部321により形成される空間にはウェイト340が配置され、ウェイト340を保持する。本実施形態では、凸部321は4つなので、最大で4つのウェイト340を保持可能となっている。
【0058】
ウェイト340は、ピニオンギア50に起因する回転時において、発生する遠心力により内歯車261の中心から遠ざかる方向(径方向外側)に移動し、ケース10の内周壁と当接することにより、回転に対して遠心ブレーキとして抵抗力を付与するものである。したがって、上ケース10Aの内周ギア65、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340により、抵抗付与部RAが形成される。なお、本実施形態において、ウェイト340の下ケース10B側には、下ケース10Bとの間の摩擦抵抗を低減する複数の突起341が形成される(図8参照)。また、ウェイト340の個数は任意であるが、回転時におけるバランスの観点から等間隔であることが好ましい。なお、本実施形態では、一例として4つの保持空間のうち対向する2つの空間にウェイト340が配置されている。
【0059】
1-3 制動装置100の動作
次に、上述した構成の制動装置100の動作について説明する。本実施形態の制動装置100は、昇降コードCDの前方向の移動に対して制動力を与え、昇降コードCDの後方向の移動に対しては制動力を与えないよう動作する。
【0060】
<定常状態>
まず、昇降コードCDが移動しなていない状態(定常状態)においては、スライダー20はコイルスプリングSPにより前方に向かって押圧されており、上ケース10Aの前方に位置する。このため、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40も前方に位置し、ローラ部32とローラ部42の間の距離が小さいため、これらが昇降コードCDを挟着している。
【0061】
<制動状態>
次に、上述した定常状態において昇降コードCDが前方(長手方向に沿った一方向)に移動すると、昇降コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローラ部32及びローラ部42が回転し、ローラ部32の回転に伴ってピニオンギア50も回転する。この際、張力伝達ローラ30(シャフト31)及びアイドルローラ40(シャフト41)は前方に移動しようとし、左右方向により近接しようとして、ローラ部32とローラ部42による昇降コードCDの挟着力が強くなり、昇降コードCDの移動に応じてローラ部32が確実に回転するようになる。
【0062】
そして、ローラ部32及びこれと連結されているピニオンギア50が回転すると、図9及び図10に示すように、ピニオンギア50は内歯車261と歯合しているので、内歯付キャリア260も回転し、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280も同様に回転(公転)する。ここで、遊星歯車280は太陽歯車323及び上ケース10Aにより固定された内周ギア65と互いに歯合しているので、公転方向とは逆向きに自転することとなり、遊星歯車280の内側で遊星歯車280と歯合する太陽歯車323も回転する。これにより、太陽歯車323とともに回転する太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持されるウェイト340も回転を開始する。
【0063】
すると、遠心力によりウェイト340が上ケース10Aの内周壁に当接することにより、回転に対して抵抗力が生じる。そして、昇降コードCDの移動速度が上昇すると、回転速度が上昇し、これにより遠心力が上昇する。そして、遠心力が上昇することによりウェイト340が上ケース10Aの内周壁により強く当接することになり、抵抗力が増加する。これにより、昇降コードCDの移動速度を抑えることができる。
【0064】
<非制動状態>
一方、昇降コードCDが後方(長手方向に沿った他方向)に移動する場合は、張力伝達ローラ30(シャフト31)及びアイドルローラ40(シャフト41)が後方に移動しようとし、左右方向に離間しようとして、昇降コードCDに対するローラ部32及びローラ部42による挟着力が弱まり、張力伝達ローラ30への回転の伝達が抑制されて、制動力を受けることなく昇降コードCDを引っ張ることが可能となる。
【0065】
1-4 制動装置100の組立及びヘッドボックス2への組み付け
本実施形態の制動装置100は、下ケース10B上に各部材を配置し、上方から、上ケース10Aを被せることで組み立てられる。そして、上ケース10Aの4つの係合溝63と、下ケース10Bの対応する係合爪64が互いに係合することで、上ケース10Aと下ケース10Bが固定される(図3参照)。
【0066】
本実施形態において、制動装置100は、この状態、すなわちカバー10Cが取り付けられていない状態でヘッドボックス2に設置される。この際、下ケース10Bがヘッドボックス2の底面と接する向きに導入され、下ケース10Bの取付筒15がヘッドボックス2に形成された凹部(図示せず)と嵌り合うことで位置決めされる。そして、ヘッドボックス2に設置された後に、上ケース10Aの導入溝62及びスライダー20の前後天壁溝27を介して制動装置100の運動変換部DTに昇降コードCDが導入される。より具体的には、昇降コードCDは、その側面、すなわちコードの長手方向とは垂直な方向に移動することで一対の挟着部材である張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40の間の位置に配置され、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40に挟着される(図2参照)。なお、張力伝達ローラ30とアイドルローラ40とは、スライダー20がコイルスプリングSPにより前方に押圧される結果、互いに近づく方向に押圧されているため、昇降コードCDを挟着これらの間に挟着させる際には、シャフト31、シャフト41を操作してこれらの間隔を開けてから昇降コードCDを通すことが好ましい。
【0067】
そして、最後に、ヘッドボックス2内において、カバー10Cが上ケース10Aに取り付けられることで、昇降コードCDの抜けが規制される状態となり、制動装置100のヘッドボックス2への組み付けが完了する。なお、このような組付けを行うため、ヘッドボックス2は、昇降コードCDの長手方向と略垂直な一方向である上方が開放可能となっているか、常に開放されていることが好ましい。
【0068】
なお、制動装置100がヘッドボックス2に設置される際の制動装置100の前後(図の左右方向)の向きは、コードイコライザ8bを引いて遮蔽部材4を引き上げる際に昇降コードCDの挟着を解除し、コードイコライザ8bを手放して遮蔽部材4を自重により降下させる際に昇降コードCDを挟着する向きとされる。すなわち、昇降コードCDが図2における前方に移動する向きを遮蔽部材4の下降する向きとし、昇降コードCDが後方に移動する向きを遮蔽部材4の上昇する向きとする。また、ロック部9は、図1に示すように、制動装置100の前方(図の左側)に配置される。
【0069】
このような向きに制動装置100を組み付けることで、遮蔽部材4を上昇させるためコードイコライザ8bを下方に引っ張る場合には、張力伝達ローラ30とアイドルローラ40とが離間するため、昇降コードCDを小さな抵抗力で引くことができる。一方、遮蔽部材4が下降しきっていない状態且つロック部9により昇降コードCDがロックされていない状態において、昇降コードCDを離した場合には、遮蔽部材4は自重により自由落下しようとする。しかしながら、この際には、昇降コードCDが前方に向かって引かれる結果制動装置100が昇降コードCDに制動力を付与するため、遮蔽部材4の下降速度が抑えられる。なお、昇降コードCDに昇降可能に吊持される遮蔽部材4が自由落下する場合には、昇降コードCDに加えられる張力とウェイト340と上ケース10Aの内周壁による抵抗力が釣り合うところで、昇降コードCDの移動速度が略一定となる。従って、制動装置100により、遮蔽部材4をゆっくりと降下させることが可能となり、遮蔽部材4の下降速度が超過することによる破損等を抑制することができる。
【0070】
1-5 作用・効果
第1実施形態に係る遮蔽装置1により、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)制動装置100が着脱規制手段としてカバー10Cを有しており、昇降コードCDが制動装置100の運動変換部DTから脱落することを規制する状態と、昇降コードCDを運動変換部DTから取り外すことの可能な状態とを取ることが可能となっている。ここで、昇降コードCDが脱落することを規制する際には、カバー10Cの中央凸部73が上ケース10Aの天壁部11の導入溝62と嵌り合う。したがって、制動装置100の動作時には、昇降コードCDが運動変換部DTから脱落してしまうことが防止される。一方、カバー10Cを取り外すだけで制動装置100と昇降コードCDとを容易に分離することができるため、昇降コードCDを遮蔽部材4及びコードイコライザ8bに接続した状態のまま、制動装置100を取り外し、制動装置100のメンテナンスや制動力等の変更を行うことが可能となっている。制動力の変更方法としては、例えば抵抗付与部RAのウェイト340の個数又は種類を変更する等が考えられる。ウェイト340の個数を増やすか個々のウェイト340を重くすると制動力が増加し、ウェイト340の個数を減らすか個々のウェイト340を軽くすると制動力は減少する。加えて、既に設置されている遮蔽装置1に対し、昇降コードCDを接続した状態のまま、制動装置100を後付けすることも可能である。このような制動装置100のメンテナンス、後付けが可能となるのは、制動装置100が、昇降コードCDを当該昇降コードCDの側面から着脱可能に構成されていることによるものであるとも言える。なお、制動装置100のメンテナンス、後付けの際には、ヘッドボックス2に配置されているチルト軸7が作業中に干渉する可能性があるが、チルト軸7は軸方向(ヘッドボックス2の長手方向)に容易にずらすことができるので、チルト軸7をずらすことで、容易に作業を行うことが可能である。なお、本実施形態の制動装置100を横型ブラインドではなく遮蔽装置1としてのプリーツスクリーンに適用する場合、プリーツスクリーンにはチルト軸7がないため、より簡単に制動装置100を設置することが可能である。
(2)保持部材としてのスライダー20が、上方に向かって開放されるとともに前後方向に亘って延在する溝部としての前後天壁溝27を備えていることから、昇降コードCDを上方からスライダー20内に導入し、保持している一対の挟着部材(張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40)に挟着させることが可能となっている。
【0071】
なお、本実施形態は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、抵抗付与部RAが運動変換部DTの下方に配置される構成であったが、昇降コードCDをその側面から運動変換部DTに装着できる構成であれば、抵抗付与部RAと運動変換部DTの位置関係は任意である。例えば、抵抗付与部RAと運動変換部DTを平面的に並べることも可能である。
・上記実施形態では、一対の挟着部材である張力伝達ローラ30とアイドルローラ40のシャフト31,41が鉛直方向に配置される構成であったが、挟着部材の回転軸が水平となるような制動装置100にも、本発明を適用することが可能である、この場合、昇降コードCDは水平方向に移動させて挟着部材に挟着させる構成にすることが好ましい。
・上記実施形態では、ヘッドボックス2は上方が開放可能とされ、制動装置100は抵抗付与部RAに対し運動変換部DT及びカバー10Cが開放された上方側となるよう配置されており、これにより、昇降コードCDを運動変換部DTから容易に取り外すことが可能となっていた。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。すなわち、遮蔽装置1のヘッドボックス2が上方以外(例えば、下方)に開放されているか開放可能な構成である場合にも、適用することができる。具体的には、抵抗付与部RAに対し運動変換部DT及びカバー10Cをヘッドボックス2が開放可能となっている側に位置づけることで、上記実施形態と同様、昇降コードCDを運動変換部DTから容易に取り外すことが可能となる。
【0072】
2 第2実施形態
次に、図11図14を用いて、第2実施形態に係る遮蔽装置1を説明する。第2実施形態の遮蔽装置1は、制動装置100のケース10の形状、制動装置100をヘッドボックス2へ取り付ける向き及び装着可能なウェイト340の数のみが第1実施形態と異なっている。したがって、以下では、その相違点のみを説明する。
【0073】
本実施形態に係る遮蔽装置1の制動装置100は、図11に示すように、ケース10が上ケース10Aと下ケース10Bから構成されており、カバー10Cは設けられていない。また、上ケース10Aには昇降コードCDを通す導入溝が設けられておらず、スライダー20にも前後天壁部は設けられていない。つまり、本実施形態において、昇降コードCDは、ガイド溝61から制動装置100の運動変換部DT、具体的には張力伝達ローラ30とアイドルローラ40の間に通される構成である。したがって、一度昇降コードCDを制動装置100に通した後は、簡単には制動装置100と昇降コードCDとを分離することはできない。
【0074】
しかしながら、本実施形態の遮蔽装置1では、図12に示すように、制動装置100が第1実施形態とは逆向きにヘッドボックス2に組み付けられる。すなわち、本実施形態では、運動変換部DTが下側、抵抗付与部RAが上側に配置され、上ケース10Aが下側、下ケース10Bが上側となる。そして、この際には、制動装置100の上ケース10Aの天壁部11から外方へ突出する円筒状の突出部66がヘッドボックス2に形成された取付溝2aと嵌り合うことで、制動装置100が位置決めされる。
【0075】
また、本実施形態の制動装置100は、図14に示すように、太陽歯車付ウェイトホルダ320が8つの凸部321を有し、8つのウェイト340が装着されている。なお、図14においては、太陽歯車付ウェイトホルダ320よりも内側の部材の記載を省略している。
【0076】
本実施形態の制動装置100は、このような様態でヘッドボックス2に組み付けられることから、図13に示すように、上ケース10Aをヘッドボックス2に固定した状態で、下ケース10Bだけを取り外すことが可能となっている。したがって、本実施形態の制動装置100は、上ケース10Aをヘッドボックス2に固定した状態で下ケース10Bを取り外すことで、図14に示すように、ウェイト340を露出させ、抵抗付与部RAのウェイト340の個数等を変更することが可能となっている。
【0077】
なお、本実施形態の場合も、ヘッドボックス2に配置されているチルト軸7が作業中に干渉する可能性があるが、チルト軸7は軸方向(ヘッドボックス2の長手方向)に容易にずらすことができるので、チルト軸7をずらすことで、容易に作業を行うことが可能である。また、本実施形態の制動装置100も、横型ブラインドではなくチルト軸7がないプリーツスクリーンに適用する場合には、より簡単に制動装置100を設置することが可能である。
【0078】
なお、本実施形態は、以下の態様でも実施可能である。
・上記第2実施形態では、図12にも示すように、ヘッドボックス2は上方が開放される構成であり、制動装置100は上ケース10Aが下側、下ケース10Bが上側となるよう配置されていた。しかしながら、遮蔽装置1のヘッドボックス2は、上方以外の方向に開放されるか又は上方以外の方向に開放可能な構成であっても良い。この場合、上ケース10Aに対し下ケース10Bを、当該開放される側に配置することで、上記実施形態と同様、下ケース10Bを取り外して抵抗付与部RAのウェイト340の個数等を容易に変更することが可能となる。
・上記第2実施形態では、下ケース10Bは、上ケース10Aに対して上下方向に相対移動させることで、64と63の係合により取付け及び取り外しが行われる構成であった(図14参照)。しかしながら、下ケース10Bは、図15Aに示すように、前後方向のスライドにより上ケース10Aに取り付けられる構成とすることも可能である。この場合、上ケース10Aには、下ケース10Bを保持するため、左右方向の端部に保持爪67(例えば、4つ)を設けることが好ましい。このような構成により、ヘッドボックス2にチルト軸7が配置されている場合にも、容易に下ケース10Bを取り外すことが可能である。なお、この構成の場合、下ケース10Bには第1下ケース溝18及び第2下ケース溝19(図14参照)を形成せず、張力伝達ローラ30のシャフト31及びアイドルローラ40のシャフト41を、上ケース10Aの第1天壁溝16及び第2天壁溝17のみによって左右方向の移動を規制する。したがってこの場合には、上ケース10Aの天壁部11の厚みを上記実施形態のものよりも厚くすることが好ましい。また、図15Bに示すように、下ケース10Bに溝を形成する代わりに、下ケース10Bの上ケース10A側の面に、シャフト31の左右方向外側への移動を規制する第1規制壁68及びシャフト41の左右方向外側への移動を規制する第2規制壁69を設けても良い。この構成であれば、下ケース10Bをスライドにより上ケース10Aに取付け且つシャフト31,41の左右方向の移動を好適に制限することが可能である。
【0079】
また、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、遮蔽装置1として横型ブラインドを例に説明したが、本発明の遮蔽装置1は、上記実施形態と異なる構成であっても良い。例えば、本発明の遮蔽装置1は、プリーツカーテンやローマンシェード、カーテン布が巻き取られるロールカーテンとされても良い。
【0080】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1:遮蔽装置、2:ヘッドボックス、2a:取付溝、3:ラダーコード、4:遮蔽部材(スラット)、4a:ボトムレール、5:支持部材、6:チルトドラム、7:チルト軸、8:操作棒、8a:操作部、8b:コードイコライザ、9:ロック部、10:ケース、10A:上ケース、10B:下ケース、10C:カバー(着脱規制手段)、11:天壁部、12:側壁部、12a:係合溝、13:鍔部、14:裾部、15:取付筒、16:第1天壁溝、17:第2天壁溝、18:第1下ケース溝、19:第2下ケース溝、20:スライダー(保持部材)、21:天壁部、22:後側壁部、23:底壁部、24:前側壁部、25:貫通孔、26:左右天壁溝、27:天壁溝、28:底壁溝、29:凹部、30:張力伝達ローラ(回転部材)、31:シャフト、32:ローラ部、40:アイドルローラ、41:シャフト、42:ローラ部、50:ピニオンギア、61:ガイド溝、62:導入溝、63:係合溝、64:係合爪、65:内周ギア、66:突出部、67:保持爪、68:第1規制壁、69:第2規制壁、71:天板部、71a:凹部、72:保持部、72a:係合爪、73:中央凸部、100:制動装置、260:内歯付キャリア、261:内歯車、262:フランジ、263:支持軸、264:円柱部、280:遊星歯車、320:太陽歯車付ウェイトホルダ、321:凸部、323:太陽歯車、324:リング部、340:ウェイト、341:突起、CD:昇降コード、DT:運動変換部、RA:抵抗付与部、SP:コイルスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15