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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
H02K9/06 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018110328
(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2019213425
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】沢田 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克彦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 達拡
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-187352(JP,A)
【文献】特開2004-312875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、該固定子の内径側に所定の空隙を介して対向配置された回転子と、前記固定子を支持するフレームとから成り、
前記固定子は、固定子コアと、該固定子コアの内径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、軸方向に伸延する固定子スロット内に装着された固定子コイルとを備え、
前記回転子は、前記固定子コアと径方向に所定の空隙をもって対向配置された回転子コアと、該回転子コアの外径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、軸方向に延伸する回転子スロット内に装着された界磁部材とを備え、
前記回転子の軸方向一端に取り付けられ、機内空気を循環する内扇ファンと、前記内扇ファンが取り付けられている側とは反対側のみの前記回転子に取り付けられ、機外空気を取り込む外扇ファンとを備えている回転電機であって、
前記外扇ファンの主板の機内側には、前記フレーム若しくは前記固定子コアに固定された仕切り板が配置され、
前記仕切り板は、前記外扇ファンの主板の面に沿うように、前記主板とのギャップが略一定となるように取り付けられ、前記主板の機内側の面の全部が、前記内扇ファンによる前記機内空気に曝露されない状態となるように前記仕切り板で覆われており、
前記外扇ファンの主板は、前記回転子との取り付け部を起点に径方向の外側に向かうに従い軸方向外側に広がる傾斜部と、この傾斜部の先端部から連続して径方向の外側に鉛直する鉛直部とから成ると共に、前記仕切り板は、前記フレーム若しくは前記固定子コアとの固定部を起点に径方向の内側に鉛直する鉛直部と、この鉛直部の先端部から連続して前記主板の傾斜部に沿って傾斜する傾斜部とから成り、
前記主板の傾斜部と前記仕切り板の傾斜部及び前記主板の鉛直部と前記仕切り板の鉛直部が略一定のギャップをもって配置され、前記仕切り板の鉛直部と傾斜部が、前記主板の傾斜部と鉛直部の面の全部を、前記内扇ファンによる前記機内空気に曝露されない状態となるように覆っていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記固定子コアと前記フレームとの間に機外空気通風路を設け、前記外扇ファンを通過した前記機外空気は、前記機外空気通風路を通過した後に機外に排出されることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転電機であって、
前記内扇ファンは、前記機内空気を循環する内扇ファン及び前記機外空気を取り込む外扇ファンの機能を兼ねる内外扇兼用ファンであることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機であって、
前記主板の機内側の面の全部を覆う前記仕切り板は、前記回転子コアの外径面よりも内径側まで伸びていることを特徴とする回転電機。
【請求項5】
固定子と、該固定子の内径側に所定の空隙を介して対向配置された回転子と、前記固定子を支持するフレームとから成り、
前記固定子は、固定子コアと、該固定子コアの内径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、軸方向に伸延する固定子スロット内に装着された固定子コイルとを備え、
前記回転子は、前記固定子コアと径方向に所定の空隙をもって対向配置された回転子コアと、該回転子コアの外径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、軸方向に延伸する回転子スロット内に装着された界磁部材とを備え、
前記回転子の軸方向一端に取り付けられ、機内空気を循環する内扇ファンと、前記内扇ファンが取り付けられている側とは反対側のみの前記回転子に取り付けられ、機外空気を取り込む外扇ファンとを備えている回転電機であって、
前記外扇ファンの主板の機内側には、前記フレーム若しくは前記固定子コアに固定された仕切り板が配置され、
前記仕切り板は、前記外扇ファンの主板の面に沿うように、前記主板とのギャップが略一定となるように取り付けられ、前記主板の機内側の面の一部が、前記内扇ファンによる前記機内空気に曝露されない状態となるように前記仕切り板で覆われており、
前記外扇ファンの主板は、前記回転子との取り付け部を起点に径方向の外側に向かうに従い軸方向外側に広がる傾斜部と、この傾斜部の先端部から連続して径方向の外側に鉛直する鉛直部とから成ると共に、前記仕切り板は、前記フレーム若しくは前記固定子コアとの固定部を起点に径方向の内側に鉛直する鉛直部と、この鉛直部の先端部から連続して前記主板の傾斜部に沿って傾斜する傾斜部とから成り、
前記主板の傾斜部と前記仕切り板の傾斜部及び前記主板の鉛直部と前記仕切り板の鉛直部が略一定のギャップをもって配置され、前記仕切り板の鉛直部と傾斜部が、前記主板の傾斜部と鉛直部の面の一部を、前記内扇ファンによる前記機内空気に曝露されない状態となるように覆っていることを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項に記載の回転電機であって、
前記主板の機内側の面の一部を覆う前記仕切り板は、その内径位置が前記回転子コアの外径面よりも外径側に位置していることを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の回転電機であって、
前記フレームに固定されている前記仕切り板は、金属製であることを特徴とする回転電機。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の回転電機であって、
前記固定子コアに固定されている前記仕切り板は、非磁性材であることを特徴とする回転電機。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の回転電機であって、
前記界磁部材は、回転子バー、永久磁石、回転子巻線のいずれか1つであることを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転電機に係り、特に、空気を用いて機内を冷却するものに好適な回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回転電機は、電動機として電気的な入力を機械的な出力に変換する際や発電機として機械的な入力を電気的な出力に変換する際に、渦電流損失やジュール損失に起因して発熱する。
【0003】
一方、回転電機を構成する部品の材料には、それぞれ上限温度が規定されており、電動機或いは発電機として動作する際に、各部品の温度がそれぞれの上限温度を超えないように冷却する必要がある。
【0004】
このような回転電機の冷却方式として広く用いられているものに、空気を用いて冷却する空冷方式がある。
【0005】
この空冷方式は、回転電機の発熱部に、直接的或いは間接的に空気を当てることにより、発熱部の熱を取り除き冷却する冷却方式である。
【0006】
また、空冷方式は、冷却のための空気をファンなどの装置を用いて強制的に流す強制空冷方式と、ファンなどの装置を用いずに自然対流により放熱する自然空冷方式とに分類できる。
【0007】
このうちの強制空冷方式を用いた回転電機は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1には、回転電機の回転子の一端に回転子と一体となって回転するファンを有し、このファンの回転によりモータ外部の空気をモータ内部に取り込み、モータ内部に設けた通風流路に取り込まれた空気を流すことによりモータを冷却し、その後、モータの外部に空気を排出する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2001-78390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
通常、モータ内部に冷却空気を流す場合、ファンの回転面では、空気に対して遠心力により内径側から外径側に力を与える。このため、ファンの回転面に接する領域において、遠心力に逆らって外径側から内径側に空気を流す場合には、抵抗が生じファンの損失となる。
【0011】
これを防止するため、特許文献1では、図8に開示されているように、ファン15の回転面15cと機内空気とを仕切るための仕切り板16が設置されている。
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の仕切り板16は、外径側から内径側に向かい鉛直に伸びているため、ファン15による機内空気の流れが仕切り板16に衝突して大きなファン損失を生じ、また、仕切り板16とファン15の回転面15cとの隙間が大きいため、そこに空気の2次流れを生じ、ファン損失の要因となり、回転電機の効率が低下する懸念がある。
【0013】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ファンを用いて機内を冷却するものであっても、ファン損失を低減して効率を向上することができる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の回転電機は、上記目的を達成するために、固定子と、該固定子の内径側に所定の空隙を介して対向配置された回転子と、前記固定子を支持するフレームとから成り、
前記固定子は、固定子コアと、該固定子コアの内径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、軸方向に伸延する固定子スロット内に装着された固定子コイルとを備え、
前記回転子は、前記固定子コアと径方向に所定の空隙をもって対向配置された回転子コアと、該回転子コアの外径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、軸方向に延伸する回転子スロット内に装着された界磁部材とを備え、
前記回転子の軸方向一端に取り付けられ、機内空気を循環する内扇ファンと、前記内扇ファンが取り付けられている側とは反対側のみの前記回転子に取り付けられ、機外空気を取り込む外扇ファンとを備えている回転電機であって、
前記外扇ファンのみの主板の機内側には、前記フレーム若しくは前記固定子コアに固定された仕切り板が配置され、
前記仕切り板は、前記外扇ファンの主板の面に沿うように、前記主板とのギャップが略一定となるように取り付けられ、前記主板の機内側の面の全部が、前記内扇ファンによる前記機内空気に曝露されない状態となるように前記仕切り板で覆われており、
前記外扇ファンの主板は、前記回転子との取り付け部を起点に径方向の外側に向かうに従い軸方向外側に広がる傾斜部と、この傾斜部の先端部から連続して径方向の外側に鉛直する鉛直部とから成ると共に、前記仕切り板は、前記フレーム若しくは前記固定子コアとの固定部を起点に径方向の内側に鉛直する鉛直部と、この鉛直部の先端部から連続して前記主板の傾斜部に沿って傾斜する傾斜部とから成り、
前記主板の傾斜部と前記仕切り板の傾斜部及び前記主板の鉛直部と前記仕切り板の鉛直部が略一定のギャップをもって配置され、前記仕切り板の鉛直部と傾斜部が、前記主板の傾斜部と鉛直部の面の全部を、前記内扇ファンによる前記機内空気に曝露されない状態となるように覆っていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファンを用いて機内を冷却するものであっても、ファンの損失を低減し、回転電機の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の回転電機の実施例1を示す断面図である。
図2】本発明の回転電機の実施例2を示す断面図である。
図3】本発明の回転電機の実施例3を示す断面図である。
図4】本発明の回転電機の実施例4を示す断面図である。
図5】本発明の回転電機の実施例5を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の回転電機を説明する。なお、各実施例において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0018】
図1に、本発明の回転電機の実施例1を示す。
【0019】
図1に示す本発明の回転電機は、誘導電動機に適用した例を示す。
【0020】
なお、以下に説明する各実施例では、回転電機を誘導電動機として説明するが、特にこれに限定するものではなく、空冷式の回転電機であれば、永久磁石型同期電動機に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0021】
図1に示す誘導電動機である回転電機1は、固定子2と、この固定子2の内径側と所定の空隙をもって対向配置された回転子3と、固定子2を保持するフレーム4とから概略構成されている。
【0022】
更に詳述すると、固定子2は、固定子コア20と、固定子コア20の内径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、回転軸方向に延伸する固定子スロット(図示せず)内に巻き回(装着)された固定子コイル22とから構成されている。
【0023】
また、回転子3は、固定子コア20と径方向に所定の空隙をもって対向して配置された回転子コア30と、回転子コア30の外径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって複数形成され、回転軸方向に延伸する回転子スロット(図示せず)内に挿入(装着)された界磁部材である複数の回転子バー32と、各回転子バー32を両軸端で短絡するための導体であるエンドリング33と、各回転子バー32とエンドリング33とを保持するためのリテイニングリング34と、回転子コア30が嵌合されているシャフト36とから構成され、シャフト36は、軸受37a、37bにより回転可能に保持されている。なお、41は、回転電機1の軸方向両端を塞ぐエンドブラケットである。
【0024】
また、回転子3の軸方向の一端には、機内空気71を循環するための内扇ファン51が取り付けられており、回転子3の軸方向の他端(内扇ファン51が取り付けられている側とは反対側の回転子3)には、機外空気72を取り込むための外扇ファン52が取り付けられている。いずれのファンも回転子3と一体となって回転することでファンとして機能する。
【0025】
そして、本実施例では、外扇ファン52の主板52aの機内側には、フレーム4に一端が固定された金属製の仕切り板6が、外扇ファン52の主板52aの面に沿うように主板52aとのギャップが略一定となるように取り付けられ、この仕切り板6は、主板52aの機内側の面の全部を、内扇ファン51による機内空気71に曝露されない状態となるように、回転子コア30の外径面よりも内径側まで伸びて覆っている。
【0026】
即ち、回転子3の内扇ファン51が取り付けられている側とは反対側に取り付けられている外扇ファン52の主板52aは、回転子3との取り付け部を起点に径方向の外側に向かうに従い軸方向外側に広がる傾斜部52a1と、この傾斜部52a1の先端部から連続して径方向の外側に鉛直する鉛直部52a2とから成り、一方、フレーム4に一端が固定されている仕切り板6は、フレーム4との固定部を起点に径方向の内側に鉛直する鉛直部6aと、この鉛直部6aの先端部から連続して主板52aの傾斜部52a1に沿って傾斜する傾斜部6bとから成っている。
【0027】
そして、外扇ファン52の主板52aの傾斜部52a1と仕切り板6の傾斜部6b及び外扇ファン52の主板52aの鉛直部52a2と仕切り板6の鉛直部6aが、略一定のギャップをもって配置され、仕切り板6の鉛直部6aと傾斜部6bが、外扇ファン52の主板52aの機内側の面の全部、つまり、主板52aの傾斜部52a1と鉛直部52a2を、内扇ファン51による機内空気71に曝露されない状態となるように覆っている。この時、仕切り板6の内径位置が、回転子コア30の外径面よりも内径側まで伸びている。
【0028】
このような構成の本実施例では、機内空気71は、内扇ファン51の回転により、機内空気通風路73を通り、図1に示す断面において反時計回りに回転電機1の機内を循環している。その際、仕切り板6の近傍では、機内空気通風路73を通った機内空気71が、仕切り板6の鉛直部6aと傾斜部6bに沿って外径側から内径側に向かう流れとなる。一方、外扇ファン52は、内扇ファン51と同様に回転子3と一体となって回転するために、主板52aと接する機内空気71に対して、機外空気72が主板52aの傾斜部52a1と鉛直部52a2に沿って内径側から外径側に流れ、内径側から外径側に向かう力を与えることになる。
【0029】
このため、従来のように仕切り板6がない場合には、外扇ファン52の主板52aの全面が機内空気71と接することになり、内扇ファン51により外径側から内径側に向かって循環させようとしている機内空気71に対して、機外空気72が外扇ファン52により逆向きの内径側から外径側に向かう力を与えることになり、それがファン損失の増大を招いていた。
【0030】
これに対して、本実施例のように、フレーム4に一端が固定された仕切り板6の鉛直部6aと傾斜部6bが、外扇ファン52の主板52aの傾斜部52a1と鉛直部52a2のの鉛直部6aと傾斜部6bの面に沿うように主板52aとのギャップが略一定となるように取り付け、主板52aの機内側の面の全部を、内扇ファン51による機内空気71に曝露されない状態となるように覆うことで、回転しないで静止している仕切り板6により、内扇ファン51による機内空気71と外扇ファン52による機外空気72を分離することができるため、外径側から内径側に向かって循環させようとしている機内空気71に対して、逆向きの内径側から外径側に向かう力を与えることがなくなり、ファン損失の増大を抑制することができる。
【0031】
また、内扇ファン51及び外扇ファン52の動力はともに、回転電機1の所要動力であるため、これらのファン損失を低減することは、回転電機1の効率の向上につながることとなる。
【0032】
なお、仕切り板6は、外扇ファン52の主板52aと接触しないように、主板52aとのギャップが略一定となるように確保した上で、主板52aの面に沿って回転子コア30の外径面よりも内径側まで伸びた形状とすることが望ましい。また、外扇ファン52の主板52aの機内側の面をできるだけ広く覆う形状とすることが望ましい。
【0033】
また、本実施例では、界磁部材として回転子バー32について説明したが、界磁部材は、回転子バー32の他に永久磁石や回転子巻線であっても構わない(以下に説明する他の実施例も同様である)。
【実施例2】
【0034】
図2に、本発明の回転電機の実施例2を示す。
【0035】
図1に示した実施例1の回転電機1においては、外扇ファン52による回転電機1の機外から吸い込んだ機外空気72は、外扇ファン52を介してエンドブラケット41の上部から排出される構造となっており、外扇ファン52による機外空気72は、一方の軸受37aを冷却することを主たる目的としているが、図2に示した実施例2の回転電機1においては、外扇ファン52を通過した機外空気72は、固定子コア20とフレーム4との間に設けた機外空気通風路74を通過した後に、回転電機1の機外に排出される構造となっている。他の構造は、実施例1と同様である。
【0036】
このような本実施例の構造とすることにより、仕切り板6と外扇ファン52の構造は実施例1と同様であり、その効果も実施例1と同様であるが、外扇ファン52により取り込んだ機外空気72を、固定子コア20に直接接触させることができるので、より高い冷却性能を得ることができる構造となっている。
【実施例3】
【0037】
図3に、本発明の回転電機の実施例3を示す。
【0038】
図1及び図2に示した実施例1及び実施例2においては、仕切り板6は、主板52aの機内側の面の全部を、内扇ファン51による機内空気71に曝露されない状態となるように、回転子コア30の外径面よりも内径側まで伸びているが、図3に示した実施例3の回転電機1では、仕切り板6は、主板52aの機内側の面の一部を、内扇ファン51による機内空気71に曝露されない状態となるように、仕切り板6の内径位置が、回転子コア30の外径面よりも外径側に位置している。
【0039】
即ち、外扇ファン52の主板52aの傾斜部52a1と仕切り板6の傾斜部6b及び外扇ファン52の主板52aの鉛直部52a2と仕切り板6の鉛直部6aが、略一定のギャップをもって配置され、仕切り板6の鉛直部6aと傾斜部6bが、外扇ファン52の主板52aの機内側の面の一部、つまり、主板52aの傾斜部52a1の一部と鉛直部52a2を、内扇ファン51による機内空気71に曝露されない状態となるように覆っている。この時、仕切り板6の内径位置が、回転子コア30の外径面よりも外径側に位置している。他の構造は、実施例1と同様である。
【0040】
このような本実施例の構造とすることにより、実施例1と同様な効果が得られることは勿論、回転電機1を組み立てる際に、回転子3に内扇ファン51及び外扇ファン52を取り付けた状態で、回転子3を図3の左側から右側に向かい固定子2の内径側に挿入することができる。
【0041】
また、回転電機1の組み立てでは、回転子3を構成する部品を組み立てた状態で予めバランス調整をした後で、一体のまま固定子2に組み付ける場合があるが、実施例1及び2の状態(仕切り板6が回転子コア30の外径面よりも内径側まで伸びている状態)では、仕切り板6に回転子3が接触してしまうため、組み立てが不可能となる。
【0042】
これに対して、図3に示した本実施例のように、仕切り板6の内径位置を、回転子コア30の外径面よりも外側に位置させることにより、組み立て後の回転子3をそのまま一体で固定子2の内径側に挿入することができる。
【0043】
実施例1及び2と比較して、本実施例では、仕切り板6により機内空気71と外扇ファン52の主板52aとを分離できる面積が少なくなるため、ファン損失の低減効果が少なくなるが、外扇ファン52の回転による影響は、回転速度の大きい外径側の方が大きくなるため、仕切り板6により回転速度の大きい外径側の主板52aの表面を覆うことにより、実施例1及び2の効果の低減代を少なくすることができる。
【実施例4】
【0044】
図4に、本発明の回転電機の実施例4を示す。
【0045】
図4に示した実施例4の回転電機1では、回転子3の右側に取り付けられているファンを、機内空気71を循環する内扇ファン及び機外空気72を取り込む外扇ファンの機能を兼ねる内外扇兼用ファン53としたことを特徴としている。他の構造は、実施例1と同様である。
【0046】
このような本実施例の構造とすることにより、実施例1と同様な効果が得られることは勿論、回転子3の右側に取り付けられた内外扇兼用ファン53では、機内空気71を循環させることができ、また、機外空気72を取り込んで、固定子2と回転子3の冷却は勿論、回転電機1の右側の軸受37bも冷却することができる。一方、回転子3の左側に取り付けられている外扇ファン52では、回転子3の左側の軸受72aを冷却することができる。
【実施例5】
【0047】
図5に、本発明の回転電機の実施例5を示す。
【0048】
上述した実施例1-4の回転電機1では、仕切り板6は、いずれもフレーム4に取り付けられているが、図5に示した本実施例の回転電機1では、仕切り板6が固定子コア20に取り付けられていることを特徴とする。
【0049】
なお、実施例1-4の回転電機1では、仕切り板6が金属製のフレーム4に取り付けられているが、本実施例の回転電機1では、仕切り板6が固定子コア20に取り付けられているため、仕切り板6は、樹脂等の非磁性部材にする必要がある。
【0050】
このように、仕切り板6を固定する対象は、静止している部品であれば、フレーム4に限定されることなく、本実施例のように、固定子コア20に固定しても実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…回転電機、2…固定子、3…回転子、4…フレーム、6…仕切り板、6a…仕切り板の鉛直部、6b…仕切り板の傾斜部、20…固定子コア、22…固定子コイル、30…回転子コア、32…回転子バー、33…エンドリング、34…リテイニングリング、36…シャフト、37a、37b…軸受、41…エンドブラケット、51…内扇ファン、52…外扇ファン、52a…外扇ファンの主板、52a1…主板の傾斜部、52a2…主板の鉛直部、53…内扇外扇兼用ファン、71…機内空気、72…機外空気、73…機内空気通風路、74…機外空気通風路。
図1
図2
図3
図4
図5