(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】カセットおよびシステム
(51)【国際特許分類】
B65H 1/00 20060101AFI20220818BHJP
B41J 3/44 20060101ALI20220818BHJP
G01D 11/30 20060101ALI20220818BHJP
B41J 3/36 20060101ALN20220818BHJP
【FI】
B65H1/00 A
B41J3/44
B65H1/00 501A
G01D11/30 C
B41J3/36 Z
(21)【出願番号】P 2018115289
(22)【出願日】2018-06-18
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】涌井 健
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 寿美男
(72)【発明者】
【氏名】柳 政宏
(72)【発明者】
【氏名】小山 利哉
(72)【発明者】
【氏名】小口 達也
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-059222(JP,A)
【文献】実開昭62-124942(JP,U)
【文献】特開2010-052231(JP,A)
【文献】特表2003-500245(JP,A)
【文献】登録実用新案第3013507(JP,U)
【文献】実開昭60-072430(JP,U)
【文献】特開2009-291354(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B41J 3/36
B41J 3/44
G01D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に接続されるカセットであって、
円弧状をなし、用紙が内部に収容される収容部と、
前記印刷装置の給紙口に接続されて前記印刷装置に前記用紙を供給する接続部と、
前記収容部
外部の内周面に設けられ、前記内周面に囲まれた空間内の状態に関する計測を行う複数の検出部を有する検出部群と
を備えることを特徴とするカセット。
【請求項2】
前記検出部群は、
前記内周面において周方向に沿って等間隔に並べて設けられた奇数個の前記検出部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記内周面の周方向と交差する方向に複数の前記検出部群が離間して設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のカセット。
【請求項4】
前記複数の検出部群の各々は、前記内周面の周方向における前記複数の検出部の設置位置が、他の前記検出部群と異なる
ことを特徴とする請求項3に記載のカセット。
【請求項5】
前記収容部は、
前記内周面の周方向に沿ってスライドするアームを有し、
前記複数の検出部群のうちの一の検出部群は、前記アームに設けられている
ことを特徴とする請求項3または4に記載のカセット。
【請求項6】
前記収容部は、
開閉可能な外周壁を有し、前記外周壁が外側に開くことにより、当該収容部内に前記用紙を収容可能である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項7】
前記収容部の内部に敷設された配線部材を備え、
前記配線部材は、
前
記内周面に形成された開口の位置毎に異なる接続パターンを有し、
前記複数の検出部の各々は、
前記検出部が開口に装着されることにより前記配線部材に電気的に接続される複数の位置判別用の端子を有し、前記開口に装着されたときの前記接続パターンに接続される前記位置判別用の端子の組み合わせによって当該検出部の設置位置を判別する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項8】
前記複数の検出部の各々から検出値を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記複数の
検出部の各々の前記検出値に基づいて、
前記内周面に囲まれた空間内の状態に関する算出値を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記算出値を端末装置へ出力する出力制御部と
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項9】
前記複数の検出部の各々は、
発光素子および受光素子を有し、
前記カセットは、
前記複数の検出部の各々の前記発光素子を順次発光させる発光制御部と、
前記発光素子が発光する毎に、当該発光素子を有する前記検出部以外の他の前記検出部の各々から前記受光素子の検出値を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された複数の前記受光素子の検出値に基づいて、前記発光素子と前記受光素子の組み合わせ毎に、当該発光素子と当該受光素子との間の物体の状態を判断する判断部と
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項10】
前記収容部に設けられ、
前記空間内とは異なる方向を検知方向とする第2の検出部と、
前記第2の検出部から
前記空間内とは異なる方向の測定対象に関する第2の検出値を取得する第2の取得部と、
前記第2の取得部によって取得された前記第2の検出値を端末装置へ出力する第2の出力制御部と
を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のカセット。
【請求項11】
端末装置と、
請求項1から10のいずれか一項に記載のカセットと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
端末装置と、
請求項1から10のいずれか一項に記載のカセットと
センサおよび無線通信手段を有する複数のセンサユニットと
を備えたシステムであって、
前記端末装置、前記カセットあるいは前記センサユニットのいずれかを最上位の装置として、前記端末装置、前記カセット、および前記複数のセンサユニットが順列をなす無線通信経路を形成し、
前記無線通信経路における上流側から下流側、あるいは下流側から上流側に向って、順次、順番が上下する装置同士で無線通信を行い、
下位の装置から上位の装置に、自身が取得したセンサデータに更に下位の装置から受信したセンサデータを追加したセンサデータを順次送信し、
前記各装置が取得したセンサデータを最上位の装置で集約する
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセットおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペン型のプリンタモジュールと、プリンタモジュールに接続可能な拡張モジュールとを備えたコンパクトプリンタシステムが開示されている。また、特許文献2には、フレームの内側に設置された複数の距離計測センサの出力値に基づいて、被測定者の腹部の周囲径を測定することが可能な腹部周囲径測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-500245号公報
【文献】特開2009-291354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、計測装置による計測結果を印刷する場合、印刷装置と計測装置とを個別に用意したうえで、計測装置に印刷装置をケーブルで接続するか、計測装置から印刷装置へ計測結果を送信する必要がある。このため、計測装置および印刷装置の取り扱いが容易とならなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するため、計測および印刷が可能な取り扱い容易性の高い端末装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のカセットは、印刷装置に接続されるカセットであって、用紙が収容される収容部と、前記印刷装置の給紙口に接続されて前記印刷装置に前記用紙を供給する接続部と、前記収容部に囲まれた空間内の状態に関する計測を行う複数の検出部を有する検出部群とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、計測および印刷が可能な取り扱い容易性の高い端末装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの外観斜視図
【
図4】本発明の一実施形態に係るシステムの変形例を示す図
【
図16】収容部におけるセンサモジュールの配置位置を示す図
【
図17】端末装置およびカセットのハードウェア構成を示すブロック図
【
図18】センサモジュールのハードウェア構成を示すブロック図
【
図19】カセットのセンサ部の機能構成を示すブロック図
【
図20】第1実施例に係るセンサモジュールの配置位置を模式的に示す図
【
図21】第1実施例に係るセンサモジュールによる受光結果を記録するテーブル
【
図22】第1実施例に係るカセットによる初期処理の手順を示すフローチャート
【
図23】第1実施例に係るカセットによる位置検出処理の手順を示すフローチャート
【
図24】第2実施例に係るシステムのシステム構成を示す図
【
図25】第3実施例に係るシステムのシステム構成を示す図
【
図26】センサユニットのハードウェア構成を示すブロック図
【
図27】第3実施例に係るシステムによるセンサデータ収集処理のシーケンス図
【
図28】第3実施例に係るシステムによるセンサデータ収集処理のシーケンス図
【
図29】スマートフォンおよび端末装置の好適な設置を説明する図
【
図30】カセットから端末装置が分離した状態のシステムの外観斜視図
【
図31】カセットから端末装置が分離した状態のシステムの外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係るシステム10の外観斜視図であり、
図2は側面図、
図3は端末装置100の断面図である。
図1~
図3に示すように、システム10は、端末装置100、スマートフォン200、およびカセット300を備える。
【0011】
端末装置100は、円柱状のペン型の外形をなしている、小型且つ携帯可能なIoT(Internet of Things)デバイスである。例えば、端末装置100は、直径が約18mm~20mm、長さが約165mm~170mmである。端末装置100は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)により、「携帯情報端末」の一例であるスマートフォン200との間で無線通信を行うことができる。端末装置100は、スマートフォン200との間でデータの送受信を行うことにより、各種データをスマートフォン200と共有することができる。
【0012】
端末装置100は、電源部113とプリンタ部114とに分離可能な筐体110を有する。プリンタ部114は、接続された電源部113から供給される電力により動作する。プリンタ部114は印刷装置120を有しており、給紙口111Aに装着されたカセット300から供給された用紙Pに印刷を行い、排紙口111Bから用紙Pを排紙する。プリンタ部114は接続されたカセット300から供給される電力により動作することもできる。また、プリンタ部114は、スマートフォン200から無線送信された印刷データ、または自身のメモリに記憶されている印刷データを用いた印刷が可能である。
【0013】
プリンタ部114の長手方向に沿ってフック110Aが設けられ、筆記用具と同様にフック110Aによって胸のポケット等に端末装置100を挟持することが可能となっている。プリンタ部114の外周には、円筒状のダイヤルスイッチ130が設けられている。ユーザがダイヤルスイッチ130を操作することにより、電源のオンオフ、動作モードの切り替えなど端末装置100の操作を可能とする。ダイヤルスイッチ130はプッシュ操作と回転操作との2通りの操作が可能である。フック110Aにはインジケータ132が設けられている。インジケータ132の点灯によって、電源状態、印刷状態、動作モード等の端末装置100の状態を表すことができる。インジケータ132としては、例えばLED(light emitting diode)が用いられる。筐体110の一端部には着脱可能なキャップ110Bが、筐体110の他端部には着脱可能なキャップ110Cが設けられている。
【0014】
カセット300は、端末装置100に用紙Pおよび電力を供給する。カセット300は、本体305から延在し用紙Pが収容される円弧状の収容部310を有しており、後述する本体305端部の接続部380(
図30等参照)を給紙口111Aに接続することにより、収容部310に収容されている用紙Pを印刷装置120に供給することができる。収容部310はクリップ形状を有しており、例えば円筒状の透明なパイプに装着可能である。収容部310の内周面には、収容部310に囲まれた空間内の物体に関する計測を行う複数のセンサモジュール320a1~a3,b1~b3(以下まとめて「複数のセンサモジュール320」と示す)が設けられている。収容部310を透明なパイプに装着した場合、複数のセンサモジュール320によりパイプ内の物体に関する存在確認、形状、サイズ、移動方向、移動速度等の計測ができる。一例として、パイプ内を通過する液体内に存在する魚、異物等の複数の物体の数をカウントしたり、パイプ内を通過するボール等の複数の物体の数をカウントすることができる。本実施形態では、2つのセンサモジュール群が、収容部310の内周面の周方向と交差する短手方向に離間して設けられている。各センサモジュール群は、周方向に等間隔で設置された3つのセンサモジュール320を有する。カセット300は、本体305に設けられたIC(Integrated Circuit)等の処理部307により、センサモジュール320から得られたセンサデータの記憶、内部処理等を行うことができる。また、端末装置100へセンサデータを送信することにより、端末装置100でのセンサデータの印刷、共有、外部処理、蓄積、配信等を行うこともできる。カセット300は、本体305の上面に、スマートフォン200を設置することが可能な設置台330を有する。
【0015】
図3に示すように、筐体110は円筒状の外筒111および内筒112を有しており、外筒111の内部に内筒112が挿入される二重構造をなしている。外筒111は内筒112に対し回転可能である。外筒111には、給紙口111Aおよび排紙口111Bが形成されている。また、内筒112には、給紙口112Aおよび排紙口112Bが形成されている。
【0016】
図3に示すように、内筒112の内部に印刷装置120が設けられている。印刷装置120はいわゆるサーマルプリンタである。印刷装置120は、サーマルヘッド121、プラテンローラ122、給紙ローラ123、ガイド124、制御回路125を備えている。
【0017】
サーマルヘッド121には、複数の発熱素子が並べて設けられている。プラテンローラ122はサーマルヘッド121と対向して設けられている。プラテンローラ122とサーマルヘッド121との間に用紙Pを挟み込むことにより、用紙Pをサーマルヘッド121に押し当てることができる。サーマルヘッド121は、制御回路125から供給された制御信号によって発熱素子が発熱制御され、用紙Pに対して画像を形成する。
【0018】
給紙ローラ123は、回転することにより給紙口111Aおよび給紙口112Aから給紙された用紙Pを、ガイド124に沿ってサーマルヘッド121とプラテンローラ122との間へ搬送する。
【0019】
制御回路125は、ヘッド駆動回路(図示省略)およびモータ駆動回路(図示省略)を有している。ヘッド駆動回路は、印刷データに応じたヘッド駆動制御データに基づいて、サーマルヘッド121の動作を制御する。モータ駆動回路は、印刷タイミングに応じたモータ制御データに基づいて、用紙送り用のパルスモータ(図示省略)の動作を制御する。
【0020】
図4は一実施形態に係るシステム10の変形例を示す図である。
図4に示すシステム10Aは、端末装置100に代えて端末装置100Aを備える。端末装置100Aは、電源部113の代わりに着脱可能なキャップ110Dがプリンタ部114に装着されている。端末装置100Aは、カセット側に設けられた2セルのリチウムイオン電池により動作することができる。
【0021】
図5~
図10を参照して、収容部310が備えるアーム340を説明する。
図5および
図6は、アーム340の取り付け構造を説明する図である。
図5に示すように、収容部310は、カセット300の内周面の一部を構成し、周方向にスライド可能なアーム340を有する。アーム340は、周方向へのスライドによって収容部310の先端から突出し、収容部310の先端と後端との間の開口部311を閉じた状態とし、パイプ等の収容部310の装着対象が抜け落ちないようにすることができる。アーム340には、2つのセンサモジュール群のうちの1つが設けられており、アーム340のスライドに伴って、アーム340に設けられたセンサモジュール群が周方向に移動する。
図6に示すように、収容部310の内周面には、一定の幅で周方向に沿って切り欠かれたスライド溝310Gが形成されており、スライド溝310Gの左右両縁部にアーム340の左右両縁部を嵌め込むことにより、アーム340がスライド溝310Gに沿ってスライド可能になる。スライド溝310Gの中央には、一定の幅のガイド溝310Hが周方向に沿って形成されている。ガイド溝310Hは、アーム340の外周面に形成されたガイドリブ340Cと係合して、アーム340のスライドをガイドする。
【0022】
図7~
図10は、アーム340を説明する図である。アーム340は、円弧状のアーム部340Aと、アーム部340Aの先端に設けられたグリップ340Bとを備える。グリップ340Bは、アーム340をスライドさせる際にユーザによって把持される。アーム部340Aの外周面には、ガイドリブ340Cが周方向に沿って形成されている。
【0023】
図7に示すように、アーム部340Aの内周面には複数の開口340Dが周方向に並べて形成されている。各開口340Dはセンサモジュール320の基板321と同形状を有している。
図8に示すように、各開口340Dにセンサモジュール320を嵌め込むことにより、各センサモジュール320を所定の位置に容易且つ確実に設置できる。開口340Dおよび基板321は矩形状に形成され、互いに一致する一つの角部が切り欠かれている。これにより、開口340Dに対して基板321を正しい向きで取り付け可能となっている。なお、
図9に示すように、開口340Dにカバー322を取り付けることにより、センサモジュール320が保護される。
【0024】
ガイドリブ340Cは、アーム部340Aの外周面に形成されたガイド溝340Eに着脱可能となっている。
図10は、ガイドリブ340Cを取り外した状態を示しており、ガイド溝340Eが露出している。ガイド溝340Eには帯状のFPC344が敷設されている。ガイドリブ340Cがアーム部340Aに取り付けられた状態では、FPC344はガイド溝340Eとガイドリブ340Cとの間に敷設される。FPC344は、アーム部340Aに設けられた各センサモジュール320と電気的に接続され、本体305に設けられた制御回路から各センサモジュール320に入出力する電気信号を伝送する。
【0025】
図11~
図13を参照して、FPC344およびセンサモジュール320の構成を説明する。
図11は、FPC344およびセンサモジュール320の平面図である。
図12は、FPC344およびセンサモジュール320の断面図である。
図13は、センサモジュール320の底面を示す図である。
【0026】
図11~
図13に示すように、センサモジュール320の基板321の表面には、発光素子323および受光素子324が設けられている。また、基板321の底面には、電源用の端子325A,325Bと、信号用の端子326A,326Bとが設けられている。なお。発光素子および受光素子はセンサの一例であり、測定対象に応じて他の種類のセンサを用いることも可能である。
【0027】
FPC344は、電源用の配線344A,344Bと、信号用の配線344C,344Dを有する。配線344A,344Bは、本体305に設けられた制御回路からセンサモジュール320へ電源を供給する配線である。配線344C,344Dは、本体305に設けられた制御回路から、発光素子323の制御信号および受光素子324の出力信号を送受信する配線である。
【0028】
基板321を開口340Dに嵌め込むと、端子325A,325Bが配線344A,344Bと接続され、端子326A,326Bが配線344C,344Dと接続される。
【0029】
基板321の一の角部に斜めに形成された切欠き321Aにより、基板321を開口340Dに正しい向きで嵌め込むことができる。これにより、センサモジュール320のFPC344への誤接続による破損を防止可能となる。
【0030】
基板321の底面には、複数の位置判別用の端子327A~327Fが設けられている。基板321が開口340Dに嵌め込まれると、端子327A~327Fのうち、センサモジュール320の設置位置に応じた端子が、図中点線で示す配線344A,344Bと接続される。配線344A、344Bに接続した端子には電源電圧が供給されるため、センサモジュール320は、どの端子に電源電圧が供給されたのかを判別することで自身がどの開口340Dに設置されたのかを特定して、特定した開口をカセット300へ通知することができる。例えば、
図11に示す例では、配線344Aが端子327Aにも接触する形状(例えば、配線幅が広がっている、ランド様の部材を付加する、配線経路を内側に曲げている、その他態様による)を有しており、同様に配線344Bが端子327Eおよび327Fにも接触する形状を有している。また、端子327Aは配線344Aに接続されており、端子327Eおよび327Fは配線344Bに接続されている。配線344A、344Bは開口の位置に応じて配置が変えられており、センサモジュール320を取り付ける位置によって、配線344Aに接続する端子327A,327B,327Cの組合せと、配線344Bに接続する端子327D、327E、327Fの組合せが決まる。センサモジュール320は、予め端子の組み合わせと開口の識別情報との対応付けがなされているテーブルを記憶しており、配線344A、344Bに接続されている端子の組合せから、自身が設置された開口を特定し、自身のIDおよびセンサ種類の情報とともに特定された開口の識別情報をカセット300へ通知する。
図11の例では、配線344A、344Bに接続されている端子327A,327E,327Fの組み合わせから自身が設置された開口の識別情報を特定する。カセット300は、通知されたID、センサ種類、および開口の識別情報に基づいてどの開口にどのセンサモジュール320が設置されたかを把握して、センサが設置された開口およびセンサの種類に応じた制御を行う。
【0031】
なお、収容部310の内周面のアーム340以外の部分には、開口340Dと同様に3つの開口が周方向に並べて形成されており、FPC344と同様のFPCが、3つの開口の裏側を通過するように内蔵されている。これにより、アーム340へのセンサモジュール320の設置と同様に、収容部310内周面のアーム340以外の部分へのセンサモジュール320の設置および電気的接続を、容易に行うことができる。
【0032】
センサモジュール320は、配線344C,344Dの代わりに、BLE通信によって発光素子323の制御信号および受光素子324の出力信号を送受信してもよい。
【0033】
図14および
図15は、収容部310の外周壁310Aを説明する図である。
図14に示すように、収容部310は開閉可能な外周壁310Aを有している。外周壁310Aは、収容部310の先端部分に設けられた回動軸310Bによって開閉自在に軸支されている。
図15に示すように、外周壁310Aを外側へ開くことにより、収容空間内に用紙Pを補充することができる。なお、用紙Pとして例えばA8サイズ(52×74mm)のラベル用紙を用いることができ、端末装置100で印刷したラベルを直ちに手帳等に貼り付けることができる。収容部310は、外周壁310Aを半径方向に開閉する構成のため、アーム340を周方向にスライドさせることなく、外周壁310Aを開いて用紙Pを補充できる。用紙Pの補充時にはセンサモジュール320を動かす必要がないので、用紙補充に伴うセンサモジュール320の位置調整は不要である。外周壁310Aの先端にはフック310Cが設けられており、フック310C先端の爪を、収容部310の本体側に設けられた溝310Dに係合させることにより、外周壁310Aを閉じた状態に固定できる。外周壁310Aの収容空間側の表面には、用紙Pの搬送をガイドする複数のガイドリブ310Eが周方向に沿って形成されている。同様に、収容部310本体の収容空間側の表面には、用紙Pの搬送をガイドするガイドリブ310Fが周方向に沿って形成されている。
【0034】
図16は、収容部310におけるセンサモジュール320の配置位置を示す。
図1などに図示されるように、収容部310の内周面には、周方向と交差する方向に第1のセンサモジュール群と第2のセンサモジュール群とが離間して設けられている。第1のセンサモジュール群は、周方向に120°の等間隔に配置された複数のセンサモジュール320a1,a2,a3を有する。第2のセンサモジュール群は、周方向に120°の等間隔に配置された複数のセンサモジュール320b1,b2,b3を有する。なお、第1のセンサモジュール群は、アーム340に設けられている。
【0035】
図1などに示すようにアーム340が開いた状態では、第1のセンサモジュール群と第2のセンサモジュール群とは周方向の同じ位置に配置される。一方、
図14や
図16に示すように、アーム340が60°回動した状態では、周方向における第1のセンサモジュール群の配置位置と第2のセンサモジュール群の配置位置とは60°異なる。
【0036】
図17は、端末装置100およびカセット300のハードウェア構成を示すブロック図である。
図17に示すように、電源部113は、USBコネクタ402、充電回路403、非接触充電用の受電回路404、および1セルのリチウムイオン電池405を備える。充電器401はUSBコネクタ402に接続され、充電回路403へ電力を供給する。受電回路404はカセット300から非接触により供給された充電用の電力を充電回路403へ供給する。充電回路403は、充電器401または受電回路404から供給された電力によりリチウムイオン電池405を充電する。リチウムイオン電池405は端末装置100の各部へ動作用の電力を供給する。
【0037】
端末装置100は、電源給電の端子406、操作制御回路/セル切替回路/カセットインタフェース(以下「制御回路」と称する)407、通信用のインタフェース408、メイン回路/BLE通信制御回路(以下「メイン回路」と称する)409、給紙機構410、およびアンテナ411を備える。端子406は、カセット300から供給された電力を受電し、端末装置100の各部へ電力を供給する。制御回路407は、ダイヤルスイッチ130の操作に応じた制御を行う。また、制御回路407は、端末装置100が備えるリチウムイオン電池405からの電力による動作と、2セルのリチウムイオン電池426からの電力による動作とを切り替える。また、制御回路407は、カセット300との通信を制御する。インタフェース408は、カセット300と物理的且つ電気的に接続される接続端子である。メイン回路409は、端末装置100の動作および外部とのBLEによる無線通信を制御する。給紙機構410は、カセット300から供給された用紙Pを印刷装置120の印刷位置へ自動給紙する。アンテナ411は、外部とのBLEによる無線通信における電波の送受信を行う。
【0038】
カセット300は、USBコネクタ422、切替回路423、非接触充電用の送電回路424、2セル対応の充電制御回路425、2セルのリチウムイオン電池426、電源供給用の端子427、通信制御回路428、DC/DCコンバータ429、電源スイッチ430、拡張バス431、プリンタインタフェース432、メイン回路433、ファイルメモリ434、モータ435、モータ制御回路436、センサ437、および用紙カセット438を備える。
【0039】
2セル充電器/ACアダプタ(以下「充電器」と称する)421はUSBコネクタ422に接続され、切替回路423へ電力を供給する。切替回路423は、充電器421から供給された電力を送電回路424、カセット300の各部、または充電制御回路425へ供給する。送電回路424は、切替回路423から供給された電力を、充電用に非接触で端末装置100に供給する。充電制御回路425は、切替回路423から供給された電力を用いてリチウムイオン電池426を充電する。リチウムイオン電池426は、カセット300の各部へ動作用の電力を供給する。
【0040】
端末装置100へ電力は端子427を介して供給される。通信制御回路428は、拡張バス431に接続された複数のセンサモジュール320との通信を制御する。DC/DCコンバータ429は、カセット300の各部へ供給される電力の電圧変換を行う。電源スイッチ430は、カセット300の電源オンおよびオフを切り替える。プリンタインタフェース432は、端末装置100との通信を制御する。メイン回路433は、カセット300の動作を制御する。ファイルメモリ434は、各種ファイルを記憶する。モータ435は、モータ制御回路436の制御によって給紙機構410を駆動する。用紙カセット438は、収容された用紙Pを端末装置100へ供給する。
【0041】
用紙カセット438を除くカセット300の各ハードウェアは、本体305の内部に設けられている。
【0042】
図18は、センサモジュール320のハードウェア構成を示すブロック図である。
図18に示すように、センサモジュール320は、インタフェース回路441、ID管理442、制御回路443、センサ回路444を備える。インタフェース回路441はカセット300との通信を制御する。ID管理442は、自モジュールのIDを管理する。また、ID管理442は、複数の端子327A~327Fの接続状態に応じて特定される自モジュールの設置位置を示す情報を管理する。また、ID管理442は、自モジュールが備えるセンサの種類を示す情報を記憶する。センサモジュール320は、カセット300からの要求に応じてID、設置位置を示す情報、およびセンサ種類の情報を、インタフェース回路441を介してカセット300へ送信する。これにより、カセット300は、自身に取り付けられているセンサモジュール320のID、設置位置、およびセンサの種類を特定することができる。制御回路443は、センサモジュール320の動作を制御する。センサ回路444は、発光素子323および受光素子324を制御する。
【0043】
図19は、カセット300のセンサ部の機能構成を示すブロック図である。
図19に示すように、カセット300は、第1通信制御部501、第2通信制御部502、発光制御部503、取得部504、判断部505、記録部506、記憶部507、算出部508、取得部509、および出力制御部510を備える。
【0044】
第1通信制御部501は例えば、端末装置100との通信接続、データ送受信を制御する。
【0045】
第2通信制御部502は例えば、複数のセンサモジュール320の各々との通信接続、データ送受信を制御する。
【0046】
発光制御部503は、第2通信制御部502を介して、複数のセンサモジュール320の各発光素子323の発光を制御する。一例として、発光制御部503は複数のセンサモジュール320を順次切り替えて発光させる。
【0047】
取得部504は、第2通信制御部502を介して複数のセンサモジュール320の各受光素子324の検出値を取得する。一例として、取得部504は、複数のセンサモジュール320が順次切り替えて発光する毎に、他のセンサモジュール320から受光素子324の検出値を取得する。
【0048】
判断部505は、取得部504が取得した検出値に基づいて、収容部310に囲まれた空間内に物体が存在するか否かを判断する。判断部505は、複数のセンサモジュール320が順次切り替えて発光する毎に、他のセンサモジュール320による検出値に基づいて、各センサモジュール320の間に物体が存在するか否かを判断する。この際、判断部505は、検出値が閾値以上の場合は物体が存在しないと判断し、検出値が閾値未満の場合は物体が存在すると判断する。
【0049】
記録部506は、センサモジュール320の組み合わせ毎に、判断部505による判断結果を記憶部507に記憶されているテーブル(
図21参照)に記録する。例えば記録部506は、発光したセンサモジュール320と受光したセンサモジュール320との組み合わせに対応するセルに、物体が存在することを示す「1」を設定し、受光できなかったセンサモジュール320との組み合わせに対応するセルに、物体が存在しないことを示す「0」を設定する。但し、ファジー値として中間値に設定することも可能である。また、記録部506は、取得部509が取得した各センサモジュール320からのセンサ情報を記憶部507に記録する。
【0050】
記憶部507は、判断部505による判断結果を示すテーブルを記憶する。また、記憶部507は、各センサモジュール320のセンサ情報を記憶する。
【0051】
算出部508は、記憶部507が記憶する判断結果に基づいて各種の算出処理を行う。例えば、記憶部507が記憶する各センサモジュール間の物体の有無の検出結果に基づいて、算出部508は物体の大まかな形状、サイズを算出できる。さらに、センサモジュール320の組み合わせ毎の物体の存在有無の検出時間を記録部506に記録しておくことにより、算出部508は、検出位置および検出時間の変化に基づいて物体の移動方向、移動速度を算出できる。
【0052】
取得部509は、第2通信制御部502を介して各センサモジュール320からセンサ情報を取得する。また取得部509は、は、各センサモジュール320から、ID、設置位置を示す情報、および、センサの種類を示す情報をセンサ情報として取得する。
【0053】
出力制御部510は、算出部508による算出結果を、第1通信制御部501を介して端末装置100へ送信する。
【0054】
(第1実施例)
図20および
図21を参照して、第1実施例に係るセンサモジュール320による物体検出の一例を説明する。
図20(a)は、センサモジュール320の配置位置を模式的に示す斜視図である。
図20(b)は、センサモジュール320の配置位置を模式的に示す正面図である。
図20では、第1の仮想平面f1上に配置された第1のセンサモジュール群を構成するセンサモジュールa1,a2,a3の配置位置を丸で示し、第2の仮想平面f2上に配置された第2のセンサモジュール群を構成するセンサモジュールb1,b2,b3の配置位置を三角で示す。第1の仮想平面f1および第2の仮想平面f2は、収容部310の内周面と直交する。第1の仮想平面f1と第2の仮想平面f2とは、間隔d1だけ離れている。
【0055】
各センサモジュール320は、発光素子323および受光素子324を備えている。これにより、各センサモジュール320は、自身が発光することもできるし、他のセンサモジュール320からの光を受光することもできる。
【0056】
カセット300は、一のセンサモジュール320から発せられた光を他のセンサモジュール320が受光した場合、両者の間に物体が存在しないと判断する。また、カセット300は、一のセンサモジュール320から発せられた光を他のセンサモジュール320を受光しなかった場合、両者の間に物体が存在すると判断する。
【0057】
カセット300は、複数のセンサモジュール320を順次発光させて、その都度他のセンサモジュール320による受光有無を確認することにより、収容部310に囲まれた空間内の物体の有無を確認できる。
【0058】
例えば、カセット300は、
図20において実線矢印で示すように、第1の仮想平面f1上のセンサモジュール320を発光させたときの第1の仮想平面f1上の他のセンサモジュール320での受光有無を確認することにより、第1の仮想平面f1における物体の有無を確認する。
【0059】
同様に、カセット300は、
図20において実線矢印で示すように、第2の仮想平面f2上のセンサモジュール320を発光させたときの第2の仮想平面f2上の他のセンサモジュール320での受光有無を確認することにより、第2の仮想平面f2における物体の有無を確認する。
【0060】
さらに、カセット300は、
図20において破線矢印で示すように、第1の仮想平面f1上のセンサモジュール320を発光させたときの第2の仮想平面f2上のセンサモジュール320での受光有無を確認することにより、第1の仮想平面f1と第2の仮想平面f2との間の物体の有無を確認できる。
【0061】
同様に、カセット300は、
図20において破線矢印で示すように、第2の仮想平面f2上のセンサモジュール320を発光させたときの第1の仮想平面f1上のセンサモジュール320での受光有無を確認することにより、第1の仮想平面f1と第2の仮想平面f2との間の物体の有無を確認できる。
【0062】
図21は、第1実施例に係る複数のセンサモジュール320による受光結果を記録するテーブルの一例である。カセット300は、
図21に示すようなテーブルをメモリに保持している。カセット300は、発光したセンサモジュール320と受光できなかったセンサモジュール320の組み合わせについて、テーブルの対応するセルに「1」を設定する。例えば、センサモジュールa1を発光させたときにセンサモジュールa2が受光できなかった場合、カセット300は、「発光a1」と「受光a2」のセルに「1」を設定する。また、カセット300は、発光したセンサモジュール320と受光できたセンサモジュール320との組み合わせについては、テーブルの対応するセルに「0」を設定する。
【0063】
図22は、第1実施例に係るカセット300による初期処理の手順を示すフローチャートである。
図22に示す処理は、例えばカセット300の電源がオンに切り替えられたときに実行される。
【0064】
第2通信制御部502は、複数のセンサモジュール320の中から一のセンサモジュール320を選択し(S601)、選択したセンサモジュール320に自身を接続する(S602)。次に、取得部509が、第2通信制御部502に接続されたセンサモジュール320からセンサ情報を取得し(S603)、記録部506は取得したセンサ情報を記憶部507に記録する(S604)。そして、第2通信制御部502が、接続されたセンサモジュール320との通信を切断する(S605)。
【0065】
次に、第2通信制御部502は、全てのセンサモジュール320が選択済みであるか否かを判断する(S606)。全てのセンサモジュール320が選択済みでないと判断された場合(S606:No)、第2通信制御部502は選択されていないセンサモジュール320の中から次のセンサモジュール320を選択し(S607)、カセット300は、S602へ処理を戻す。一方、全てのセンサモジュール320が選択済みであると判断された場合(S606:Yes)、カセット300は、
図22に示す一連の処理を終了する。
【0066】
図23は、第1実施例に係るカセット300による位置検出処理の手順を示すフローチャートである。
図23に示す処理は、例えば位置検出処理の実行命令を端末装置100から取得したときに実行される。
【0067】
第2通信制御部502が、複数のセンサモジュール320の中から一のセンサモジュール320を選択し(S701)、選択したセンサモジュール320に自身を接続する(S702)。そして、発光制御部503が、第2通信制御部502に接続されたセンサモジュール320の発光素子323を発光させる(S703)。
【0068】
次に、第2通信制御部502は、タイマ割込みによる所定時間の待機後(S704)、他のセンサモジュール320に接続する(S705)。次に、取得部504は、第2通信制御部502に接続された他のセンサモジュール320から受光素子324の検出値を取得し(S706)、判断部505が、取得された検出値に基づいて物体の有無を判断し(S707)、記録部506が、物体有無の判断結果を記憶部507に記録する(S708)。そして、第2通信制御部502が、接続されたセンサモジュール320との通信を切断する(S709)。
【0069】
次に、取得部504は、全ての他のセンサモジュール320から検出値を取得したか否かを判断する(S710)。全ての他のセンサモジュール320から検出値を取得していないと判断された場合(S710:No)、カセット300は、S704へ処理を戻す。
【0070】
一方、全ての他のセンサモジュール320から検出値を取得したと判断された場合(S710:Yes)、発光制御部503は、全てのセンサモジュール320が発光済みであるか否かを判断する(S711)。全てのセンサモジュール320が発光済みでないと判断された場合(S711:No)、第2通信制御部502が選択されていないセンサモジュール320の中から次のセンサモジュール320を選択し(S712)、カセット300はS702へ処理を戻す。
【0071】
一方、全てのセンサモジュール320が発光済みであると判断された場合(S711:Yes)、算出部508は、記憶部507が記憶する判断結果に基づいて各種算出を行い(S713)、算出結果を出力制御部510から端末装置100へ出力する(S714)。そして、カセット300は、
図23に示す一連の処理を終了する。
【0072】
このように、第1実施例では、収容部310の内周面に設置された各センサモジュール320の組み合わせごとの受光状態に基づいて、発光側のセンサモジュール320と受光側のセンサモジュール320との間の物体の有無を判断できる。第1実施例では、収容部310に囲まれた空間内において、第1の仮想平面f1、第2の仮想平面f2、および第1の仮想平面f1と第2の仮想平面f2との間のそれぞれで、センサモジュール320の組み合わせ毎に物体有無の判断できるため、物体有無の判断を比較的密に行うことができる。
【0073】
(第2実施例)
図24は、第2実施例に係るシステム10Cのシステム構成を示す図である。
図24に示すシステム10Cは、カセット300A,300B,300Cを備えている。3つのカセット300の各々は、収容部310の先端に距離センサ350を備えている。距離センサ350は、収容部310の外側方向を検知方向とする「第2の検出部」の一例であり、カセット300外部の物体までの距離を計測する。距離センサ350としては、ドップラー距離センサ、赤外線距離センサ、超音波距離センサ等を用いることができる。距離センサ350の設置位置は、収容部310の先端に限らない。但し、距離センサ350は、収容部310の外周壁310A以外の部分に設けられることが好ましい。これにより、外周壁310Aの開閉に伴う距離センサ350の位置変動を回避できる。また、各カセット300は、距離センサ350の検出値を取得する第2の取得部と、第2の取得部が取得した検出値を端末装置100へ出力する第2の出力制御部とを有している。第2の取得部および第2の出力制御部の機能は、例えば、本体305に設けられた処理部307によって実現される。
【0074】
図24に示す例では、3つのカセット300は物体X2を取り囲むように配置されている。各カセット300は、距離センサ350によって物体X2までの距離を計測することができる。システム10Cでは、いずれかのカセット300が、各カセット300の位置と、各カセット300から取得した距離センサ350の検出値とに基づいて、物体X2の位置を検出する。例えば、システム10Cでは、3つのカセット300がグループ間通信を行うことにより、協働して物体X2の位置を検出する。このとき、いずれか1つのカセット300がグループ間通信におけるマスタ(以下「マスタカセット」)として機能し、他の2つのカセット300がグループ間通信におけるスレーブ(以下「スレーブカセット」)として機能する。マスタカセット300は、自身で物体X2までの距離を計測するとともに、スレーブカセット300に物体X2までの距離の計測を指示し、スレーブカセット300が計測した距離データを収集する。そして、マスタカセット300は、自身で計測した距離データと、スレーブカセット300から収集した距離データと、3つのカセット300の位置データとに基づいて、三角測量法を用いることにより物体X2の位置を算出する。なお、各カセット300の位置は予め定められたものであってもよく、各カセット300においてGPS(Global Positioning System)等によって計測されたものであってもよい。
【0075】
(第3実施例)
図25は、第3実施例に係るシステム10Dのシステム構成を示す図である。
図25に示すシステム10Dは、端末装置100Aと、カセット300と、8個のセンサユニット800A~800Hとを備えている。8つのセンサユニット800の各々は、円柱状のペン型の外形をなしており、電源部830、ダイヤルスイッチ810、およびセンサモジュール820を備えている。電源部830,ダイヤルスイッチ810は、端末装置100の電源部113,ダイヤルスイッチ130と同様である。センサモジュール820は、カセット300のセンサモジュール320と同様の機能を有する。但し、第3実施例では、センサモジュール320が備えるセンサと、センサモジュール820が備えるセンサは受光素子に限らず、計測内容に応じた如何なるセンサであってもよい。
【0076】
システム10Dでは、カセット300はセンサモジュール320を用いて計測を行う。また、各センサユニット800は、センサモジュール820を用いて計測を行い、計測結果をBLE通信によって出力する。特に、システム10Dでは、端末装置100Aと各センサユニット800とがグループ間通信によりデータ連携を行うことにより、8つのセンサユニット800で得られたセンサデータと、カセット300で得られたセンサデータとを端末装置100Aが集約して、印刷装置120によって印刷したり、BLE通信を介してスマートフォン200へ送信したりできる。
【0077】
図26は、センサユニット800のハードウェア構成を示すブロック図である。
図26に示すように、センサユニット800の電源部830は、USBコネクタ802、充電回路803、受電回路804、およびリチウムイオン電池805を備える。充電器801はUSBコネクタ802に接続され、充電回路803へ電力を供給する。受電回路804は非接触により供給される電力を充電回路803へ供給する。充電回路803は、充電器801または受電回路804から供給された電力を用いてリチウムイオン電池805を充電する。リチウムイオン電池805は、センサユニット800の各部へ動作用の電力を供給する。
【0078】
また、センサユニット800は、制御回路806、アンテナ807、メイン回路/BLE通信制御回路(以下「メイン回路」と総称)808、およびセンサ回路809を備える。制御回路806はダイヤルスイッチ810の操作に応じた制御を行う。アンテナ807は、外部とのBLE通信における電波の送受信を行う。メイン回路808は、センサユニット800の動作および外部とのBLE通信を制御する。センサ回路809は、センサモジュール820の動作を制御する。
【0079】
図27および
図28は、第3実施例に係るシステム10Dによるセンサデータ収集処理のシーケンス図である。なお、以下に説明する、端末装置100Aおよびセンサユニット800が行うマスタモードでの再起動処理は、マスタ切替要求フラグセット、WDT停止処理、およびマスタモードによる起動を含む。また、以下に説明する、端末装置100Aおよびセンサユニット800が行うスレーブモードでの再起動処理は、スレーブ切替要求フラグセット、マスタ切替要求フラグクリア、WDT停止処理、およびスレーブモードによる起動を含む。
【0080】
図27に示すように、端末装置100Aがスマートフォン200からセンサデータの取得指示を受信すると(S901)、マスタモードで自身を再起動する(S902)。そして、端末装置100Aは、センサユニット800AへのBLE通信接続およびセンサデータの取得指示を行う(S903)。
【0081】
センサユニット800Aは、取得指示に対する応答を端末装置100Aへ送信する(S904)。端末装置100Aは、この応答を受信するとスレーブモードで自身を再起動する(S905)。一方、センサユニット800Aは、マスタモードで自身を再起動し(S906)。センサユニット800BへのBLE通信接続およびセンサデータの取得指示を行う(S907)。
【0082】
センサユニット800Bは、取得指示に対する応答をセンサユニット800Aへ送信する(S908)。センサユニット800Aは、この応答を受信するとスレーブモードで自身を再起動する(S909)。一方、センサユニット800Bは、マスタモードで自身を再起動し(S910)。センサユニット800CへのBLE通信接続およびセンサデータの取得指示を行う(S911)。
【0083】
以降、同様に、センサユニット800C~800Gのうち下位のセンサユニットは、上位のセンサユニット800からのセンサデータ取得指示に対する応答を上位のセンサユニット800へ送信し、マスタモードで自身を再起動した後、自身に対して下位のセンサユニット800へBLE通信接続およびセンサデータ取得指示を行う。
【0084】
最下位のセンサユニット800Hに対し、センサユニット800GからBLE通信接続およびセンサデータ取得指示がなされると、センサユニット800HはBLE通信接続および取得指示に対する応答をセンサユニット800Gへ送信し(S913)、マスタモードで自身を再起動した後(S914)、
図28のS921へ処理を進める。
【0085】
図28に進み、センサユニット800Hは、自身のセンサモジュール820からセンサデータを取得する(S921)。そして、センサユニット800Hは、センサユニット800GとのBLE通信接続およびセンサデータ送信を行う(S922)。尚、センサユニット800Hの終端設定は予めなされているものとする。
【0086】
センサユニット800Gは、センサデータの受信に対する応答をセンサユニット800Hへ送信する(S923)。センサユニット800Hは、この応答を受信するとスレーブモードで自身を再起動する(S924)。一方、センサユニット800Gはマスタモードで自身を再起動し(S925)、自身のセンサモジュール820からセンサデータを取得する(S926)。そして、センサユニット800Gは、センサユニット800FへBLE通信接続し、自身が取得したセンサデータと、センサユニット800Hから受信したセンサデータとを、センサユニット800Fへ送信する(S927)。
【0087】
以降、同様に、センサユニット800F~800Bの各々は、下位のセンサユニット800から送信されたセンサデータの受信に対する応答を下位のセンサユニット800へ送信し、マスタモードで自身を再起動する。そして、自身のセンサモジュール820からセンサデータを取得し、自身に対して上位のセンサユニット800へBLE通信接続し、自身が取得したセンサデータと、下位のセンサユニット800から受信したセンサデータとを、上位のセンサユニット800へ送信する。
【0088】
その結果、最上位のセンサユニット800Aに対し、センサユニット800Bからセンサユニット800B~800Hのセンサデータの送信がなされる。
【0089】
センサユニット800Aは、センサデータの受信に対する応答をセンサユニット800Bへ送信する(S929)。そして、センサユニット800Aはマスタモードで自身を再起動し(S930)、自身のセンサモジュール820からセンサデータを取得する(S931)。さらに、センサユニット800Aは、端末装置100AへBLE通信接続し、自身が取得したセンサデータと、センサユニット800Bから受信した各センサデータとを端末装置100Aへ送信する(S932)。これにより、端末装置100Aに対し、センサユニット800A~800Hのセンサデータが送信される。
【0090】
端末装置100Aは、センサデータの受信に対する応答をセンサユニット800Aへ送信する(S933)。センサユニット800Aは、この応答を受信するとスレーブモードで自身を再起動する(S934)。一方、端末装置100Aは、自身にBLE通信接続されたカセット300のセンサモジュール320からセンサデータを取得する(S935)。そして、端末装置100Aは、センサモジュール320から取得したセンサデータと、センサユニット800A~800Hのセンサデータとを集計する処理を行い(S936)、センサデータの集計結果をスマートフォン200へ出力する(S937)。
【0091】
その後、端末装置100Aは、スマートフォン200からセンサデータの印刷指示を受信すると(S938)、センサデータの集計結果を印刷装置120によって印刷し(S939)、印刷完了通知をスマートフォン200へ送信する(S940)。
【0092】
第3実施例では、端末装置100Aで得られたセンサデータと各センサユニット800で得られたセンサデータとを端末装置100Aが取得してスマートフォン200へ送信し、さらに印刷装置120で印刷できる。すなわち、任意の9つの測定位置での測定データを集約・送信・印刷することができる。
【0093】
特に、第3実施例では、端末装置100Aを最上位として、端末装置100Aおよび複数のセンサユニット800が順列をなす無線通信経路を形成する。そして、下位側から上位側に向って、順次センサユニット800同士でBLE通信を行い、下位のセンサユニット800から自身のセンサデータを含むセンサデータを上位のセンサユニット800へ送信してゆく。これにより、最上位の端末装置100Aに複数のセンサユニット800の各々のセンサデータを集約する。本方式により、端末装置100Aから最下位のセンサユニット800までの距離を最大で{(装置数-1)×BLE通信可能距離}とすることができ、よって、比較的広い範囲内で複数個所での測定が可能である。
【0094】
図29は、スマートフォン200および端末装置100の好適な設置を説明する図である。ここでは、各センサモジュール320に対し発光素子および受光素子の代わりに各種生体センサを実装し、収容部310をユーザの左腕LHに装着して、ユーザの体温、脈拍、心拍数、発汗量等の生体情報を検出する例を説明する。
図29に示すように、収容部310の開口を右側(図中X軸正側)にして左腕LHにカセット300を装着する場合、スマートフォン200は、本体205の下側が左腕LHの付け根側(図中Y軸負側)となるように設置台330に設置可能であることが好ましい。また、ジャケット210の開閉カバー210Aは、本体205の左側(図中X軸負側)の縁部近傍を回動軸として外側(D1方向)に回動可能であることが好ましい。これにより、開閉カバー210Aを外側に開くことで、ユーザによるスマートフォン200の表示内容の視認、および、右手によるスマートフォン200の操作が容易になる。また、
図29に示すように、端末装置100は、排紙口111Bが右側を向いた状態でスマートフォン200の右側に配置されることが好ましい。これにより、ユーザの右手によるダイヤルスイッチ130の操作、および排紙口111Bから排出された用紙Pの視認および取り出しが容易になる。なお、設置台330は
図29の矢印D2に示すように、本体205の表面が内側を向くように角度調整機構による角度調整が可能であってもよい。また、収容部310の内径は、ユーザの左腕LH等、測定対象のサイズおよび形状に応じた内径を有するものであることが好ましい。
【0095】
図30~
図32を参照して、接続部380の構成を説明する。
図30および
図31は、カセット300から端末装置100が分離した状態のシステム10の外観斜視図である。
図32は、接続部380の断面図である。
図30に示すように、本体305の右端部には接続部380が設けられている。接続部380は、給紙できるような開口形状を有しており、端末装置100の給紙口111Aに着脱自在である。接続部380を給紙口111Aに接続することにより、収容部310に収容されている用紙Pを印刷装置120に供給できる。
図31に示すように、給紙口111Aからは給紙ローラ123および給紙ローラ123を回転可能に軸支するシャフト123Aが露出している。一方、接続部380には、端末装置100側に突出した一対のクリップ381が設けられている。
図32に示すように、接続部380が端末装置100に接続されると、クリップ381にシャフト123Aが嵌め込まれて、シャフト123Aを把持することで、カセット300と端末装置100との接続状態を維持することができる。
【0096】
(変形例)
図33および
図34は、カセット300の変形例を示す図である。
図33に示す例では、収容部310の外周面にタッチパネル・ディスプレイ(「タッチパネル」)360が設けられており、タッチパネル360による情報表示および各種操作が可能となる。また、
図34では、設置台330の上面に太陽光パネル370が設けられ、太陽光パネル370から出力された電力によるリチウムイオン電池426の充電が可能となる。なお、設置台330の上面に、太陽光パネル370の代わりに、または太陽光パネル370に加えて、広角センサ、高精度センサ等の各種センサを設けてもよい。
【0097】
以上説明したように、本実施形態のカセット300では、接続部380を給紙口111Aに接続するだけで、複数のセンサモジュール320による計測と印刷を行うことが可能となる。特に、カセット300は複数のセンサモジュール320と一体化しており、さらに印刷装置120の接続により印刷装置120とも一体化するため、これらの装置の接続や持ち運び等の取り扱いが容易になる。さらに、カセット300は、これらの装置が一体化した状態で装着対象に装着可能である。加えて、カセット300は、複数のセンサモジュール320によって複数の方向から収容部310に囲まれた空間内の状態(例えば、物体の存在、数、形状、移動速度や、生体の体温、脈拍、心拍数、発汗量等)に関する計測を行うことができ、各センサモジュール320に実装されるセンサの種類に応じた測定を行うことができる。したがって、本実施形態のカセット300によれば、計測および印刷が可能な取り扱い容易性の高い端末装置を実現できる。
【0098】
(その他変形例)
収容部310は、用紙Pが収容される外周面側の第1の部分と、センサモジュール320が設置される内周面側の第2の部分とを有し、第2の部分が第1の部分から着脱可能な構成としてもよい。
【0099】
実施形態では、収容部310の内周面に周方向に3つのセンサモジュール320を並べて設置する例を説明したが、4つ以上のセンサモジュール320を並べて設置してもよい。
【0100】
実施形態では、収容部310の内周面に周方向に3つの開口340Dが並べて形成した例を説明したが、4つ以上の開口340Dを並べてもよい。この場合、ユーザは、全ての開口340Dにセンサモジュール320を設置してもよく、任意に選択した3つ以下の開口340Dにセンサモジュール320を設置してもよい。
【0101】
実施形態では、収容部310の内周面に2つのセンサモジュール群を設置する例を説明したが、3つ以上のセンサモジュール群を収容部310の内周面に設置してもよい。
【0102】
また、各センサモジュール320に実装されるセンサは、受光素子に限らず、測定内容に応じた如何なるセンサであってもよい。例えば、各センサモジュール320に各種生体センサを実装することにより、ユーザの体温、脈拍、心拍数、発汗量等の生体情報を検出してもよい。
【0103】
また、センサモジュール320に距離センサを実装し、第1の仮想平面f1上の各距離センサによって物体までの距離を検出することにより、第1の仮想平面f1上における物体の位置を検出することができる。同様に、第2の仮想平面f2上の各距離センサによって物体までの距離を検出することにより、第2の仮想平面f2上における物体の位置を検出することができる。さらに、第1の仮想平面f1上の物体の検出位置と第2の仮想平面f2上の物体の検出位置と各検出位置の検出時間とに基づいて、物体の移動速度、移動方向を算出できる。
【0104】
また、各センサモジュール320に温度センサを実装し、第1の仮想平面f1上の各温度センサによって第1の仮想平面f1の温度を検出し、各温度センサが検出した温度の平均値を算出することができる。同様に、第2の仮想平面f2上の各温度センサによって第2の仮想平面f2の温度を検出し、測定された3つの温度の平均値を算出することができる。さらに、第1の仮想平面f1の温度の平均値と第2の仮想平面f2の温度の平均値とに基づいて、温度勾配を算出することができる。
【0105】
以下、端末装置100の機能について説明する。
【0106】
端末装置100は、スマートフォン200、他の端末装置100等から印刷データを受信して印刷を行う。また、端末装置100は、他の情報処理装置と通信接続されていない状態であっても、メモリ内に記憶した印刷データを用いて印刷を行うことができる。
【0107】
端末装置100は、1または複数のスマートフォン等の情報処理装置とグループを構成し、BLE通信により情報処理装置とグループ間通信を行うことができる。例えば、端末装置100がグループ間通信のマスタとして機能し、情報処理装置がスレーブとして機能する。または、情報処理装置がグループ間通信のマスタとして機能し、端末装置100がスレーブとして機能する。端末装置100は、グループ間通信により情報処理装置と各種データを共有する。
【0108】
端末装置100は、1または複数の他の端末装置100とグループを構成し、BLE通信により他の端末装置100とグループ間通信を行う。例えば、端末装置100がグループ間通信のマスタとして機能し、他の端末装置100がスレーブとして機能する。端末装置100は、グループ間通信により他の端末装置100と各種データを共有することができる。なお、他の端末装置100は端末装置100と同様の機能を有するものであり、他の端末装置100は、端末装置100と同様に印刷を行ったり、グループ間通信を行ったりすることができる。また、他の端末装置100は、端末装置100と同様にスマートフォンとのグループ間通信を行ったり、マスタとして機能することもできる。
【0109】
端末装置100は、1または複数のセンサデバイスとグループを構成し、BLE通信によりセンサデバイスとグループ間通信を行う。例えば、端末装置100がグループ間通信のマスタとして機能し、センサデバイスがスレーブとして機能する。センサデバイスは如何なる種類であってよく、例えば温度センサ、気圧センサ、位置センサ、加速度センサ等が挙げられる。端末装置100は、グループ間通信によりセンサデバイスから温度、気圧、位置、加速度等の各種検出データを収集する。そして、端末装置100は、検出データをメモリに記憶したり、印刷装置120によって印刷する。検出データをラベル用紙に印刷することにより、検出データが印刷されたラベル用紙を手帳等に貼り付けることができる。また、端末装置100は、グループ間通信によりスマートフォン200へ検出データを出力することができる。また、端末装置100は、検出データをグループ間通信により他の端末装置とシェアすることができる。
【0110】
端末装置100は、グループを構成する他の装置との間で送受信されるデータに、所定のデータ構造を有するコンテキストデータと、ライブラリに格納されている複数の装置間で共有のオブジェクトとを用いることにより、通信データ量を削減することができる。
【0111】
例えば、ライブラリには、オブジェクトと、オブジェクトに付与されたオブジェクト識別子とが格納されている。また、ライブラリには、位置情報と、位置情報に付与された位置識別子とが格納されている。端末装置100は、スマートフォン200から、印刷対象のオブジェクトを特定するオブジェクト識別子、印刷位置を特定する位置識別子等が設定されたコンテキストデータを取得する。そして、端末装置100は、コンテキストデータに設定されているオブジェクト識別子および位置識別子から、印刷対象のオブジェクトおよび印刷位置を特定する。端末装置100は、予めスマートフォン200とライブラリを同期させることにより、印刷対象のオブジェクトをライブラリに保持している。このため、端末装置100は、印刷対象のオブジェクトをスマートフォン200から受け取らなくても、自身のライブラリから取得して印刷できる。
【0112】
端末装置100は、グループを構成する他の装置との間で、オブジェクトが格納されているライブラリを同期することができる。例えば、端末装置100は、自身のライブラリに格納されているローカルオブジェクトを他の装置へ送信して他の装置のライブラリに格納し、他の装置のライブラリに格納されているオブジェクトを受信して自身のライブラリに格納することにより、他の装置との間でライブラリを同期する。
【0113】
端末装置100は、グループを構成する他の装置からコンテキストデータによって収集した、共通のアプリ用の複数のオブジェクトを結合して、結合されたオブジェクトをコンテキストデータにより他の装置へ配信することができる。これにより、グループを構成する各装置は、同じ内容の出力データを共有して、表示、印刷を行うことができる。
【0114】
端末装置100は、キャップ110B、キャップ110C、キャップ110D、電源部113、またはプリンタ部114の代わりに、各種の拡張ユニットを装着できる。例えば、端末装置100に着脱可能なペン先ユニットを装着できる。ペン先ユニットにはボールペンなどの筆記具が設けられている。端末装置100にペン先ユニットを装着することにより、ペン先ユニットの筆記具で印刷装置120から出力された用紙Pや手帳への筆記ができる。端末装置100は、印刷機能、グループ間通信機能に加えて筆記機能を有するため、端末装置100の機能性をより高めることが可能となる。逐次印字したラベルをユーザがスクラップブック、手帳等に貼り、また必要なコメントを手書きすることで、端末装置100を機能的・効果的なファイル管理ツールとして用いることができる。
【0115】
端末装置100にはレーザポインタユニットを装着することができる。レーザポインタユニットにはレーザユニットが設けられており、レーザポインタユニットの後端面にはレーザ光の出射孔が形成されている。端末装置100にレーザポインタユニットを装着することにより、レーザポインタユニットから出射されたレーザ光をホワイトボードなどの指示対象物に向けて照射できる。端末装置100は、印刷機能、グループ間通信機能に加えてレーザポインタ機能を有するため、端末装置100の機能性をより高めることが可能となる。なお、レーザポインタユニットは接続端子により端末装置100に電気的に接続され、ダイヤルスイッチ130の操作によりレーザユニットの動作を制御できる。
【0116】
端末装置100は、電源部113の一端にタッチペン型のセンサユニット800を装着することができる。センサユニット800は、その先端によってスマートフォン200のタッチパネルの接触操作を行い、電源部113から供給された電力により動作する。この場合も、電源部113の他端部に他の拡張ユニットを装着することができる。
【0117】
端末装置100は、オブジェクトをラベル用紙に印刷することができる。ユーザは自身の手帳にオブジェクトが印刷されたラベル用紙を貼り付けることができる。端末装置100は、手帳の記録面のサイズに応じてラベル用紙のサイズを変更するようにしてもよい。ラベル用紙のサイズ変更は、カセット300の変更によるものでもよく、カセット300に収納されるラベル用紙の変更によってもよい。また、カセット300に複数サイズのラベル用紙を収納できる場合は、その中から記録面のサイズに応じたラベル用紙を選択的に用いてもよい。
【0118】
端末装置100は、動作モード切替部を備える。動作モード切替部は、端末装置100の動作モードを、グループ間通信でマスタとして機能するマスタモードと、スレーブとして機能するスレーブモードとに切り替える。例えば、動作モード切替部は、ダイヤルスイッチ130の操作に応じて端末装置100の動作モードを切り替え、端末装置100は初期状態においてスレーブモードで動作し、ダイヤルスイッチ130が操作された場合に動作モード切替部によってマスタモードに切り替わる。端末装置100の動作モードは電源がオフとなっても保持され、マスタモード時に電源がオフになった場合、再び電源がオンになると端末装置100はマスタモードで起動する。反対に、スレーブモード時に電源がオフになった場合、再び電源がオンになると端末装置100はスレーブモードで起動する。また、端末装置100は、モード切替動作を行っているときに電源オフの操作がなされた場合、直ちに電源をオフにするのではなく、モード切替の初期化処理のため電源オン状態を一時的に保持し、その間に動作モードを確実に切り替えて切り替え完了をユーザにインジケータ132などを用いて通知し、その後電源をオフにする。尚、マスタ/スレーブ切り替えは、ダイヤルスイッチ130の操作に限らず、上位からの切替指示命令であっても良い。
【0119】
端末装置100は、グループ間通信に関し、データ収集部、データ生成部、およびデータ配信部を備える。データ収集部は、端末装置100がマスタモードであるとき、グループを構成する他のスレーブモードの端末装置100から、グループ間通信によってコンテキストデータを用いたアプリケーション用のデータを収集する。データ収集部が収集するデータは、例えば印刷アプリケーション用のデータ、SNSアプリケーション用のデータである。データ生成部は、データ収集部が収集したアプリケーション用のデータを用いて、印刷アプリケーション用の出力データ、SNSのアプリケーション用の出力データ等のアプリケーション用の出力データを生成する。データ配信部は、データ生成部が生成した出力データをスレーブモードの各端末装置へ配信する。
【0120】
端末装置100は、グループ間通信に関するグループ管理部を備える。グループ管理部は、予め定義されたグループ毎に、グループIDと、グループに属する、グループへの参加が許可されたユーザのユーザIDとを管理テーブルによって管理する。マスタモードの端末装置100では、ダイヤルスイッチ130の操作によってグループ管理部が管理するグループからグループ間通信に使用するグループを選択する。そして、マスタモードの端末装置100は、選択されたグループに属するスレーブモードの情報処理装置に接続することにより、グループを構築する。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0122】
10 システム
100 端末装置
120 印刷装置
200 スマートフォン
300 カセット
310 収容部
310A 外周壁
320 センサモジュール(検出部)
340 アーム
340D 開口
344 FPC(配線部材)
350 距離センサ(第2の検出部)
380 接続部