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特許7125894自転車のチェーンホイールキャリアとホイールハブとの間で用いる変速機、並びにその変速機を備えた後部アクスルおよび後部ホイール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】自転車のチェーンホイールキャリアとホイールハブとの間で用いる変速機、並びにその変速機を備えた後部アクスルおよび後部ホイール
(51)【国際特許分類】
   B62M 11/16 20060101AFI20220818BHJP
   F16H 3/44 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B62M11/16 C
F16H3/44 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018530473
(86)(22)【出願日】2016-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 NL2016050601
(87)【国際公開番号】W WO2017039440
(87)【国際公開日】2017-03-09
【審査請求日】2019-08-14
(31)【優先権主張番号】2015370
(32)【優先日】2015-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518068970
【氏名又は名称】アドバンシング テクノロジーズ ビー.ヴィー.
【氏名又は名称原語表記】Advancing Technologies B.V.
【住所又は居所原語表記】Kennedyplein 200 5611 ZT Eindhoven Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】ブランド,ファン デン,ヨハネス ジェスバータス アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】ドルテン,ファン,ロエル マリエ
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04577531(US,A)
【文献】特表2003-516907(JP,A)
【文献】特開2008-196696(JP,A)
【文献】特開2012-086625(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02166502(GB,A)
【文献】特開2001-234990(JP,A)
【文献】登録実用新案第3065927(JP,U)
【文献】特開2010-274900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 11/16
F16H 3/44-3/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の後部ホイールのスプロケットまたはスプロケットキャリアとホイールハブ(201)との間で用いる変速機であって、前記変速機は、
前記自転車の前記後部ホイールのホイールアクスル(3)上に取り付けられることが意図され、
変速機筐体(33)であって、前記スプロケットまたは前記スプロケットキャリアと前記変速機筐体(33)とを接続するための接続手段(35、37)を備えるか、または前記スプロケットキャリアと一体化されている、変速機筐体(33)と、
前記変速機(33)を前記ホイールハブ(201)と連結するための連結手段(41)と、
前記変速機筐体内に存在し、3つの回転部材を備えた遊星歯車セットであって、前記3つの回転部材のうち、第1の回転体(47)がリングホイールを構成して前記変速機筐体(33)に接続され、第2の回転体(49)が遊星キャリアを構成して前記連結手段(41)に接続され、第3の回転体(53)が太陽ホイールを構成して前記ホイールアクスル(3)と係合可能である、遊星歯車セットと、
を備え、
前記第1の回転体(47)が第1のクラッチ(71)を介して前記第2の回転体(49)に接続され、前記第3の回転体(53)が、第2の連結部(73)を介して前記ホイールアクスル(3)に接続され、
前記第2の連結部(73)がフリーホイールであり、
前記第1のクラッチ(71)が前記第1の回転体を前記第2の回転体に回転方向において固定するための切り換え可能なクラッチとして構成され、
前記第1のクラッチを閉鎖し、前記第2の連結部をフリーホイールとすることにより、前記スプロケットキャリアと前記ホイールハブとの間に1対1の変速を形成するように構成された、ことを特徴とする変速機。
【請求項2】
前記第1のクラッチ(71)が、互いに相対的に連結されるべき部品を回転方向において固定することができる、切り換え可能な歯止め(74)を有するクラッチとして設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の変速機。
【請求項3】
前記第1のクラッチ(71)が、前記変速機の負荷(駆動)のもとで、連結と連結解除とがともに可能なクラッチとして設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の変速機。
【請求項4】
前記第2の連結部(73)が、クラッチフリーホイール軸受、フリーホイールクラッチ、一方向軸受、または一方向クラッチとして設計されていることを特徴とする、請求項1、2、または3に記載の変速機。
【請求項5】
前記第2の連結部(73)が、互いに相対的に連結されるべき部品を回転方向において固定することができる、歯止め(77)を有する切り換え可能なクラッチとして設計されていることを特徴とする、請求項4に記載の変速機。
【請求項6】
前記変速機が、前記切り換え可能なクラッチまたは前記切り換え可能な各クラッチ(71、73)を切り換えるための切り換え機構を備え、前記切り換え機構が前記変速機筐体(33)内部に配置されていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、または5に記載の変速機。
【請求項7】
前記切り換え機構が、軸方向に移動することによって、または接線方向に回転することによって、前記切り換え可能なクラッチまたは前記切り換え可能な各クラッチ(71、73)を操作することができるリング(79)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の変速機。
【請求項8】
前記切り換え機構が、電気アクチュエータ(81)を備えることを特徴とする、請求項6または7に記載の変速機。
【請求項9】
前記切り換え機構が、電気アクチュエータ(81)を備え、
前記リング(79)および前記電気アクチュエータが、前記変速機筐体(33)において、前記連結手段(41)を背にした前記遊星歯車セットの側に存在することを特徴とする、請求項7に記載の変速機。
【請求項10】
記電気アクチュエータが、前記変速機筐体(33)において、前記連結手段(41)を背にした前記遊星歯車セットの側に存在し、
前記電気アクチュエータに、前記ホイールアクスル(3)内または前記ホイールアクスル(3)上の1つ以上の開口部を貫通し、前記ホイールアクスルから隔離された接続ピンが設けられていることを特徴とする、請求項8または9に記載の変速機。
【請求項11】
前記変速機が、前記第1の回転体(47)と前記変速機筐体(33)との間に存在し、フリーホイールとして設計された第3のクラッチ(75)を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の変速機。
【請求項12】
前記変速機が、前記第2の回転体または前記第1のクラッチと前記変速機筐体(33)との間に存在し、フリーホイールとして設計された第4のクラッチ(83)を備えることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の変速機。
【請求項13】
ホイールアクスル(3)と、前記ホイールアクスル上に取り付けられる、請求項1から12のいずれか1項に記載の変速機とを備えた、自転車用後部ホイールアクスルであって、前記第3の回転体(53)が前記第2の連結部(73)を介して前記ホイールアクスル(3)に接続される、自転車用後部ホイールアクスル。
【請求項14】
請求項13に記載の後部ホイールアクスルと、前記ホイールアクスル(3)上に取り付けられ、前記変速機に連結されたホイールハブ(201)とを備えた、自転車用後部ホイールであって、前記ホールハブは、第1端付近においてホイールハブ軸受(209)を介して前記ホイールアクスル上に取り付けられ、第2端において、前記変速機の連結手段(41)に連結された更なる連結手段を備える、自転車用後部ホイール。
【請求項15】
前記連結手段(41)および前記更なる連結手段(207)が形状閉鎖接続部として設計されていることを特徴とする、請求項14に記載の後部ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の後部ホイールのスプロケットまたはスプロケットキャリアとホイールハブとの間で用いる変速機に関し、この変速機は、自転車の後部ホイールのホイールアクスル上に取り付けれらることが意図されている。また、この変速機は変速機筐体を備え、この変速機筐体は、スプロケットまたはスプロケットキャリアと自身とを接続するための接続手段を備えるか、またはスプロケットキャリアと一体化されている。この変速機は、自身をホイールハブと連結するための連結手段を更に備える。また、この変速機は、変速機筐体内に存在し、3つの回転部材を備えた遊星歯車セットを更に備え、これら3つの回転部材のうち、第1の回転体がリングホイールを構成して変速機筐体に接続され、第2の回転体が遊星キャリアを構成して連結手段に接続され、第3の回転体が太陽ホイールを構成してホイールアクスルと係合可能である。
【背景技術】
【0002】
そのような変速機が米国特許明細書第3,513,725号から公知である。この公知の変速機では、第3の回転体(太陽歯車)がホイールアクスルに固定的に接続されており、このホイールアクスルは、変速機が自転車に適用されている場合には、自転車のフレームに固定的に接続されている。この公知の変速機の欠点は、スプロケットキャリアとホイールハブとの間に1対1の変速があるときに可聴音を発生し、そのため、アクチュエータにおける損失を必然的に引き起こしてしまうことである。これは、高級自転車においては望ましくない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、冒頭の段落において説明したタイプの変速機を提供することであり、この変速機は、自転車の後部ホイールのホイールアクスル上に取り付けられた場合、周知の変速機に比べ、サイクリング中に発生されるノイズが少ないか、または全くなく、この変速機における損失も少ないか、または全くない。この目的のために、本発明による自転車は、第1の回転体が第1のクラッチを介して第2の回転体に接続され、第3の回転体が第2の連結部を介してホイールアクスルに接続されていることを特徴とする。当然、当該各回転体と、ホイールアクスルと、クラッチとの間にも更なる連結部が存在し得る。本発明による変速機において1対1の変速(第1のクラッチ閉鎖)である場合、各遊星歯車がそれらの軸の周りを回転しないので、1対1の変速である場合の変速機は互いに相対的に回転する歯車を有しない。各遊星歯車がそれらの軸の周りを回転しない理由は、1対1の変速(第2のクラッチ開放)である場合、太陽歯車が静止ホイールアクスルに固定的に接続されていないからである。特に、各遊星歯車はそれらの軸の周りを回転すると、ノイズを引き起こし、結果として効率に劣る。各遊星ホイールをそれらの軸に対して固定することにより、1対1の変速である場合の音の発生が低減される。
【0004】
好ましくは、第1のクラッチは切り換え可能なクラッチとして、好ましくは、互いに相対的に連結されるべき部品を回転方向において固定することができる、切り換え可能な歯止めを有するクラッチ(形状閉鎖連結部)として設計される。
【0005】
第1のクラッチは、好ましくは、変速機の負荷(駆動)のもとで、連結と連結解除とがともに可能なクラッチとして設計される。
【0006】
また、第2の連結部は、好ましくは、係合解除可能なクラッチとして、同様に好ましくは、互いに相対的に連結されるべき部品を回転方向において固定することができる、歯止めを有する切り換え可能なクラッチ(形状閉鎖連結部)として設計される。これにより、太陽歯車とホイールアクスルとの間のフリーホイールクラッチの歯止めを係合解除位置に切り換えることが可能となり、歯止めが歯打ちができなくなるため、音が発生しなくなる。
【0007】
別の好ましい変形形態は、第2のクラッチがフリーホイールとして設計される形態である。フリーホイールは、例えば、フリーホイール軸受、フリーホイールクラッチ、一方向軸受、および一方向クラッチとすることができる。好ましくは、このフリーホイールは、フリーホイール軸受として構成される。
【0008】
本発明による自転車の一実施形態は、変速機が、切り換え可能なクラッチまたは切り換え可能な各クラッチを切り換えるための切り換え機構を備え、この切り換え機構が変速機筐体内部に配置されていることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、切り換え機構は、軸方向に移動することによって、または接線方向に回転することによって、切り換え可能なクラッチまたは切り換え可能な各クラッチを操作することができるリングを備える。
【0010】
また、切り換え機構は、好ましくは、電気アクチュエータを備え、このアクチュエータは、ホイールアクスル上またはホイールアクスル内に取り付けられたステータを備える。その結果、自転車のハンドルバーまたはフレーム上の制御レバーへの機械的接続が必要とされない。この機械的接続は、後部ホイールを手早く交換できるように、容易かつ迅速に連結解除できることが更に要求されるものである。
【0011】
本発明による自転車の更なる実施形態は、リングおよびアクチュエータが、変速機筐体において、連結手段を背にした遊星歯車セットの側に存在することを特徴とする。
【0012】
本発明による自転車の更に別の実施形態は、アクチュエータに、ホイールアクスル内またはホイールアクスル上の1つ以上の開口部を貫通し、ホイールアクスルから隔離された接続ピンが設けられていることを特徴とする。
【0013】
更にまた、本発明による自転車の更に有利な実施形態は、第2の連結部がフリーホイールとして設計されていることを特徴とする。これは、強制ロック連結部である。フリーホイール軸受は、歯止めではなくローラーを使用するので、ノイズが少ないか、または全くなく、そのため、切り換え可能である必要がない。
【0014】
有利な実施形態において、変速機は、第1の回転体(47)と変速機筐体(33)との間に存在し、フリーホイール、好ましくは、フリーホイールクラッチ(形状閉鎖)または一方向軸受(強制閉鎖)として設計された第3のクラッチ(75)を備える。この第3のクラッチの利点は、後部ディレーラの適用時に、(突然)ペダリングトルクが通過しなくなる状況において、チェーン張力が一定のままであることである。
【0015】
本発明による変速機の更に有利な実施形態は、変速機が、第2の回転体または第1のクラッチと変速機筐体との間に存在し、フリーホイールとして設計された第4のクラッチを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明は更に、ホイールアクスルと、ホイールアクスル上に取り付けられる本発明による変速機とを備えた、自転車用後部ホイールアクスルに関し、この後部ホイールアクスルにおいて、第3の回転体は、第2のクラッチを介してホイールアクスルに接続されている。
【0017】
また、本発明は、本発明による後部ホイールアクスルと、ホイールアクスル上に取り付けられ、変速機に連結されたホイールハブとを備えた、自転車用後部ホイールに関し、このホイールハブは、第1端付近においてホイールハブ軸受を介してホイールアクスル上に取り付けられ、第2端において、変速機の連結手段に連結された更なる連結手段を備える。この付勢力は、ホイールハブとホイールアクスルとの間の調節可能なリングまたはバネによって加えられてもよい。ホイールハブ軸受に、変速機の方向の付勢力によってホイールシャフト上の軸方向にプレストレスを与えることもできる。好ましくは、ホイールシャフト上の変速機筐体の軸受には、これによって軸方向にプレストレスが加えられない。この場合、支持軸受は、好ましくは、ホイールの軸方向の力を吸収することができる溝軸受として設計されており、従って、これを変速機筐体軸受によって行う必要はない。この目的のために、連結スリーブが、ホイールハブの軸方向の力を支持軸受に伝達できるように設計されている。
【0018】
好ましくは、連結手段および更なる連結手段は、形状閉鎖接続部として設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明によるホイールハブおよびドライバを備えた自転車の後部ホイールアクスルの図面に示された実施形態の例を参照して、以下に、本発明を更により詳細に説明する。
【0020】
図1】自転車の自転車フレームのドロップアウト間に存在する後部ホイールの一部を示す。
【0021】
図2図1に示す後部ホイールの、ドライバの位置における詳細を示す。
【0022】
図3】遊星歯車セットに接続された連結部における操作可能な歯止めの様々な好ましい位置を示す。
図4】遊星歯車セットに接続された連結部における操作可能な歯止めの様々な好ましい位置を示す。
【0023】
図5】ホイールアクスルおよびアクスルシャフトがドロップアウトにロックされた後部ホイールアクスルの断面図を示す。
【0024】
図6】ドロップアウトにロックされた後部ホイールアクスルの別個のホイールアクスルの断面図を示す。
【0025】
図7】自転車フレームから取り出した別の後部ホイールアクスルのホイールアクスルの後部フォークのドロップアウトの断面図を示す。
【0026】
図8】後部ホイールアクスルの別個のアクスルシャフトの断面図を示す。
【0027】
図9図7に示すドロップアウトの斜視図を示す。
【図面の詳細な説明】
【0028】
図1は、自転車の自転車フレームのドロップアウト101と103との間に存在する、本発明による後部ホイール21の一部を断面で示す。後部ホイール21は、後部ホイールアクスル1と、その上に存在する変速機23と、その一端が軸受209を介してホイールアクスルに軸受取り付けされ、他端が変速機23に連結されたホイールハブ201とを備える。
【0029】
後部ホイールアクスル1は、ホイールアクスル3とこれに挿通されたアクスルシャフト5とから構成されている。 ホイールアクスル3は中空であり、その一端には、自転車フレームの後部フォークのドロップアウト101のうちの1つに形状ロック接続するための内部スプライン13が設けられている(図3参照)。この形状ロック接続を介して、ホイールアクスルはトルクを支持することができ、このトルクは、ドライバのドライバ本体33とホイールハブ201との間の駆動部の反応トルクである。ホイールハブ201は、後部ホイールのスポーク(図示せず)が固定された2つのスポークフランジ203および205を有する。ドライバ31のドライバ本体33上には、スプロケットが取り付けられたスプロケットキャリア(図示せず)を装着することができる。この目的のために、ドライバ本体33に接続手段(歯部35および37と雌ねじ39)が設けられており、この接続手段を介して、更なる接続手段を備えたスプロケットキャリアをドライバ本体に接続することができる。
【0030】
ドライバ31は、ドライバ本体33とホイールハブ201との間に2つの切り換え可能な駆動部を備え、その結果、クランク軸上の単一のスプロケットのみで十分であり、従って、自転車の前部ディレーラを省略してもよい。ドライバ31は、スプライン41を介してホイールハブ201に連結される。これらのスプラインは、ホイールハブ内に存在する内部スプライン207と、ドライバの出力連結ブッシュ45上の外部スプライン43とを含む。ドライバ31は、それが取り付けられている中空のホイールアクスル3とともにユニットを構成し、このユニットは全体としてホイールハブ201内に挿入することができ、ホイールハブ(およびホイールハブがその一部をなす後部ホイールの残りの部分)とともに、自転車フレームの後部フォークのドロップアウト101と103との間に押し込むことができ、更に取り出すことができる。
【0031】
ドライバ31は、3つの回転部材を有する遊星歯車セットであって、そのうち、第1の回転部材が環状歯車47によって構成され、第2の回転部材が、複数の遊星歯車51が軸受取り付けされ、外部スプライン43を有する連結ブッシュ45によって構成された連結手段に接続された遊星歯車支持体49によって構成され、第3の回転部材が、ホイールアクスル3に接続された太陽歯車53によって構成されている。
【0032】
第1の回転部材47は、第1の切り換え可能な連結部71を介して第2の回転部材51に接続され、第3の回転部材53は第2の切り換え可能な連結部73に接続され、この第2の切り換え可能な連結部73を介して第3の回転部材をホイールアクスル3に接続することができる。ドライバ31は、切り換え可能な連結部71および73を切り換えるための切り換え機構を更に含む。切り換え機構は、ドライバ本体33内の空間に配置され、軸方向の変位によって2つの連結部を操作することができる摺動リング79を有する。切り換え機構は、摺動リング79を変位させるか、または回転させるための電気アクチュエータを更に含む。
【0033】
ドライバは、第1の回転体47とドライバ本体33との間に存在し、好ましくは一方向クラッチまたは一方向軸受として構成された第3の連結部75と、第2の回転体49または第1のクラッチ71とドライバ本体33との間に存在し、同様に一方向クラッチまたは一方向軸受として設計された第4のクラッチ83とを更に有する。
【0034】
摺動リング79およびアクチュエータ81は、ドライバ本体33内において、連結手段41を背にした遊星歯車セット側に存在する。アクチュエータは、ホイールアクスル内部の導電体に電気的に接続されている。アクスルシャフトには接続ピンが設けられ、これら接続ピンは、1つ以上の開口部を通じてホイールアクスル内に突出し、ホイールアクスルから隔離され、ホイールアクスル内に存在する導電体に接触することができる。アクスルシャフトを通じて、電気的接触を更に外部に導くことができる。
【0035】
図3および図4は、遊星歯車セットにおける連結部71および73の操作可能な歯止め74および77の2つの変形形態を示す。この歯車セットにおいて、環状歯車が駆動され、遊星歯車支持体cが出力を構成する。太陽歯車sをホイールアクスル3に連結することができる。図3は、操作可能な歯止め74および77を備えた遊星歯車セットの第1の実施形態を示す。ホイールアクスル3は、この場合、自転車のフレームに固定されている。歯止め77は、ホイールアクスル3に回転可能に接続され、太陽歯車sと係合している。歯止め74は、遊星歯車支持体cに回転可能に接続され、環状歯車aと係合している。
【0036】
図4は、操作可能な歯止め74および77を備えた遊星歯車セットの第2の実施形態を示す。ここでは、ホイールアクスル3は自転車のフレームに固定されている。歯止め77は、ホイールアクスルに回転可能に接続され、太陽歯車sと係合している。歯止め74は、環状歯車aに回転可能に接続され、遊星歯車支持体cと係合している。
【0037】
連結手段(連結ブッシュ45)とドライバ本体33との間には、外周側がドライバ本体に接続され、内周側が連結手段 (連結ブッシュ45)に接続された左側密封ドライバ本体軸受55(第1の密封玉軸受)により構成された第1の密封部が配置されている。連結手段(連結ブッシュ45)とホイールアクスル3との間には、支持軸受57(密封ニードル軸受)によって構成された第2の密封部が配置されている。支持軸受の密封リング59は、その外周側において連結手段(連結ブッシュ45)と接続されている。ドライバ本体33とホイールアクスル3との間には、外周側がドライバ本体に接続された右側密封ドライバ本体61(第2の密封玉軸受)によって構成された第3の密封部が配置されている。支持軸受57の外周側は、連結手段(連結ブッシュ45)に接続され、第2の密封部と第3の密封部との間に存在する。支持軸受のローラー61は、ホイールアクスル3上に存在するローラー面63上を走行する。
【0038】
外部スプラインが設けられた連結ブッシュ45によって構成された連結手段は、ホイールハブ201内に存在する内部スプライン207によって構成された更なる連結手段と協働する。連結ブッシュ45には、その他端において、第2の回転部材の一部を構成するか、または第2の回転部材に接続されるフランジ65が設けられている。左側ドライバ本体55は、ここでは、外部スプライン43と結合ブッシュ45上のフランジ65との間に存在する。ホイールハブ201は、第1端付近においてホイールハブ軸受(図面には示されていない)を通じてホイールアクスル3上に軸受取り付けされ、第2端において、内部スプライン207によって構成された更なる結合手段を備える。
【0039】
図5は、自転車の後部フォークのドロップアウト101と103との間に固定された後部ホイールアクスル1の断面図を示す。後部ホイールアクスル1は、中空のホイールアクスル3を備え、このホイールアクスル3は自身に挿通されたアクスルシャフト5を収容している。後部ホイールアクスルは、ホイールアクスルに作用するトルクを自転車フレーム上で支持するためのトルク支持手段を備える。これらのトルク支持手段は、内部スプライン13と、内部スプライン113と、外部スプライン12とによって構成される。内部スプライン13は、中空のホイールアクスルの左側端にあり(図5および図6参照)、内部スプライン113は、左側ドロップアウト101の開口部109内に存在し、ドロップアウトに対して遊動する(図9参照)トルク支持アーム105内にあり、外部スプライン12(図5および図8参照)は、ピン7の周りを回転自在なブッシュ11上にある。ホイールアクスル3内の内部スプライン13とブッシュ11の右側部分とが、ここでは、第1の形状ロック接続部を構成し、トルク支持アーム105内の内部スプライン113とブッシュ11の左側部分とが第2の形状ロック接続部を構成する。アクスルシャフト5をホイールアクスルから軸方向に取り外すことによって取り外した後、ホイールアクスル3を、後部フォークのドロップアウト101と103との間から径方向に取り外すことができる(図7参照)。
【0040】
ピン7が、その周りを自在に回転するブッシュ11と、ピン7にねじ接続を介して接続された更なるピン9と共同してアクスルシャフト5を構成する(図8参照)。アクスルシャフトの左端には、ピン7の端部に取り付けられたアクスル17に偏心して接続され、ホイールアクスル3を自転車フレームのドロップアウト101と103との間にクランプするためのクイックリリース機構(図8参照)を構成するレバー19が設けられている。 更なるピン9の自由端には雄ねじ21が設けられ、この雄ねじ21は、右側ドロップアウト103の開口部111内に存在する、雌ねじ115を有するキャップ107にねじ込まれる。
【0041】
図9は、ドロップアウト101および103を斜視図で例示する。ドロップアウトの開口部109および111は、内部スプライン113が設けられたトルク支持アーム105および雌ねじ115が設けられた中空キャップ107の形態であるインサートを収容する。トルク支持アーム105の端部105Bは、回転方向121においてドロップアウト101に対して遊動するため、このドロップアウト101は回転に対してロックされ、従って、トルクを支持することができる。
【0042】
本発明を図面を参照して上記で説明したが、本発明がこれら図面に示された実施形態に決して限定されるものではないことが明確にされるべきである。本発明は、請求項によって規定される範囲内で、図面に示された実施形態から逸脱する任意の実施形態にも適用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9