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特許7125951生体温度の継続的かつワイヤレスなモニタリングおよび分析のためのセンサシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】生体温度の継続的かつワイヤレスなモニタリングおよび分析のためのセンサシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 13/20 20210101AFI20220818BHJP
   G01K 1/024 20210101ALI20220818BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G01K13/20 341G
G01K1/024
G01K13/20 361P
A61B5/01 250
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019553360
(86)(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 NO2018050088
(87)【国際公開番号】W WO2018186748
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】1705425.5
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】20170555
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】519345265
【氏名又は名称】オニオ アーエス
【氏名又は名称原語表記】ONIO AS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】チェーティル メイサル
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/185905(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0369764(US,A1)
【文献】特開2016-128805(JP,A)
【文献】特開2014-182073(JP,A)
【文献】特開2003-302290(JP,A)
【文献】特開2010-276590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0122473(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
A61B 5/00,5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の温度を測定するためのセンサ(100)であって、
前記生体と熱的に接続される第1の層(104)と、
前記第1の層(104)の上に配置された断熱材料である第2の層(122)と、
前記第2の層(122)を通る熱伝導体(105)を介して前記第1の層(104)と熱的に接続される第1の温度センサ(110)と、
前記生体から断熱された第2の温度センサ(120)と、を備え、前記第1および第2の温度センサが前記第2の層(122)よりも上に配置されていることを特徴とし、
前記センサが放射素子をさらに備え、前記第1の層が前記放射素子のリフレクタ(138)であり、前記アンテナ放射素子と前記リフレクタ(138)との間に、前記断熱材料によって距離が設けられており、
前記放射素子、前記断熱材料、および前記リフレクタ(138)が、環境発電された電気エネルギーを貯蔵するためのエネルギーストレージユニットを形成していることを特徴とする、センサ。
【請求項2】
前記第2の層よりも上に第3の層をさらに備え、好ましくは前記第3および第1の層が金属材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のセンサ(100)。
【請求項3】
環境発電手段(142)と、少なくとも1つのエネルギーストレージユニットと、をさらに備え、環境発電されたエネルギーが前記エネルギーストレージユニットに貯蔵されることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ(100)。
【請求項4】
前記第1および第2の温度センサをサンプリングするための処理手段をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のセンサ(100)。
【請求項5】
前記エネルギーストレージユニットが、前記センサ(100)の少なくとも2つの金属層(104,106)と少なくとも1つの断熱層(122)とで形成された、少なくとも1つの容量性ストレージであることを特徴とする、請求項4に記載のセンサ(100)。
【請求項6】
前記リフレクタ(138)が、前記環境発電手段からの環境発電されたエネルギーを貯蔵するための、容量性ストレージデバイスを備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載のセンサ(100)。
【請求項7】
前記放射素子が、環境発電用の受信要素として機能することを特徴とする、請求項~6のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項8】
前記処理手段が、前記環境発電手段、エネルギーストレージユニット、および少なくとも1つのセンサ(110,120)からのデータをサンプリングするために前記処理手段に電力を供給する容量性ストレージデバイスを含む群から選択される少なくとも1つに連結されており、かつ前記処理手段が、前記少なくとも1つのサンプリングされたセンサデータを送信するために前記放射素子に連結されていることを特徴とする、請求項~7のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項9】
前記センサが、前記処理手段に連結されたインジケータをさらに備え、該インジケータが好ましくは色付きライトであることを特徴とする、請求項8に記載のセンサ(100)。
【請求項10】
生体の表面に配置される請求項1に記載のセンサを使用して、当該生体の深部温度を推定する方法であって、
前記第1の温度センサから温度を測定するステップと、
前記第2の温度センサから温度を測定するステップと、
前記第1および前記第2の温度センサからの前記測定値を使用した熱流束計算により前記深部温度を計算するステップと、を含む方法。
【請求項11】
生体の表面温度を測定するための請求項1に記載のセンサ(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して測定システムに関し、より具体的には、生体の深部温度を測定および分析するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最先端技術は、(耳の中の)鼓膜、口腔または直腸測定、および側頭動脈の赤外線検知に反映されている。問題は、これらの方法は、大人による取り扱いが必要なかさばる装置を必要とし、かつ継続的な手動監視なしのモニタリングには適していないことである。専門的な治療では、急速に発熱する可能性がある場合、また発熱が敗血症をモニタリングするための重要なパラメータである場合、例えば、好中球減少症患者の継続的なモニタリングには、直腸プローブの設置が用いられている。これらの直腸プローブは、多くの患者に不快感、傷および感染のリスクをもたらす。
【0003】
従来技術から、従来の体温計を参照する必要がある。
【0004】
よって、上記の問題を克服する方法およびシステムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の主な目的は、生体の深部温度を継続的に測定および分析するためのセンサおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴部分に記載の特徴を有する、請求項1のプリアンブルに定義される生体温度を測定するためのセンサにより達成され、また、請求項12の特徴部分に記載の特徴を有する、請求項12のプリアンブルに定義されるセンサの操作方法によって達成される。
【0007】
本発明の第1の態様では、生体の温度を測定するためのセンサが提供され、当該センサは、
生体と熱的に接続される第1の層(104)と、
第1の層(104)の上に配置された断熱材料である第2の層(122)と、
第2の層(122)を介して第1の層(104)と熱的に接続された第1の温度センサ(110)と、
生体から断熱された第2の温度センサ(120)と、を備え、第1および第2の温度センサが第2の層(122)よりも上に配置されていることを特徴とする。
【0008】
互いの上にある第1、第2および第3の層を参照すると、それらは、積層形式で編成されており、第1の層が生体に最も近い。第2の層は、第1の層の上に重ねられており、該第2の層は、第1の層よりも生体から離間している。「上に」は、第1の層が水平面に配置されている場合、その他の層も水平にスタックされているものと理解されたい。通常、サンドイッチ構造とも呼ばれる。層は、同じ形状、厚さ、面積、方向を有する必要はない。つまり、層のスタックの形を維持したまま、層が部分的に重複する場合がある。
【0009】
好ましくは、センサは、温度、圧力、流体流、熱流、高度、近接性、変位、生体インピーダンス、画像、光、気体、化学物質、加速度、方向、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、力、電気、磁気、質量および音声を含む群の、第2の物理的特性を測定する少なくとも1つの追加のセンサを含む。これは、生体のモニタリングの改善に有利であろう。
【0010】
好ましくは、センサ(100)は、第2の層よりも上に第3の層をさらに備えることを特徴とする。好ましくは、第3および第1の層は金属材料を含む。利点の1つは、層が電荷の容量性ストレージとして動作できることである。
【0011】
好ましくは、当該センサは、環境発電手段(142)と、少なくとも1つのエネルギーストレージユニットと、をさらに備え、環境発電されたエネルギーがエネルギーストレージユニットに貯蔵されることを特徴とする。利点の1つは、エネルギーを後の使用のために保存しておけることである。エネルギーは、光電池、熱電、圧電、電磁気、磁気、電気、酸化、静電、生物エネルギーを電気エネルギーに変換するための手段を使用して、周囲から環境発電することができる。
【0012】
好ましくは、当該センサは、第1および第2の温度センサをサンプリングするための処理手段をさらに備えることを特徴とする。利点の1つは、温度センサのデータをデジタル形式に変換できることである。処理手段は、プログラム可能かつ変更可能である。該処理手段は、変更可能な操作モード、センサ操作、データの保存、データの処理、データの暗号化、データの復号化、データの解釈、補助コンポーネントの操作および構成、ならびに自己破壊を含む群から少なくとも1つの特性を有することができる。さらに、後の検索用にセンサデータを保存できるように、メモリデバイスが設けられていてもよい。
【0013】
好ましくは、当該センサは、エネルギーストレージユニットが、好ましくは該センサ(100)の少なくとも2つの金属層(104,106)と少なくとも1つの断熱層(122)とで形成された、少なくとも1つの容量性ストレージであることを特徴とする。エネルギーストレージユニットは、バッテリ、燃料電池などとすることもできる。
【0014】
好ましくは、当該センサは、該センサが放射素子をさらに備え、第1の層が放射素子のリフレクタであり、アンテナ放射素子とリフレクタとの間に、断熱材料によって距離が設けられていることを特徴とする。利点の1つは、設計がコンパクトなことである。
【0015】
好ましくは、当該センサは、放射素子、断熱材料、およびリフレクタが、環境発電されたエネルギーを貯蔵するためのエネルギーストレージユニットを形成することを特徴とする。利点の1つは、サイズが改善されることである。
【0016】
好ましくは、当該センサは、リフレクタが、環境発電手段からの環境発電されたエネルギーを貯蔵するための、容量性ストレージデバイスを備えることを特徴とする。利点の1つは、ユニットのサイズが縮小され、デバイスの製造が容易になることであろう。
【0017】
好ましくは、当該センサは、放射素子が、環境発電用の受信要素として機能することを特徴とする。利点の1つは、電波からのエネルギーを環境発電できることである。
【0018】
好ましくは、当該センサは、処理手段が、環境発電手段と、エネルギーストレージユニットと、少なくとも1つのセンサ(110,120)からデータをサンプリングするために処理手段に電力を供給する容量性ストレージデバイスと、を含む群から選択される少なくとも1つに連結されており、かつ処理手段が、少なくとも1つのサンプリングされたセンサデータを送信するために放射素子に連結されていることを特徴とする。利点の1つは、その周囲からユニットへの電力供給が可能であることであり、以前のエネルギーがデバイスに貯蔵されているがために、環境発電にアクセスすることなく一定期間動作できることである。
【0019】
好ましくは、センサは、処理手段に連結されたインジケータをさらに備え、該インジケータが好ましくは色付きライトであることを特徴とする。インジケータは、LCDスクリーン、電子インク(e-ink)スクリーン、白色光、またはアラームの状況をユーザに視覚的に表示できる他のデバイスとすることができる。
【0020】
本発明の第2の態様では、生体の表面に配置される請求項1に記載のセンサを使用して、当該生体の深部温度を推定する方法が提供される。当該方法は、
第1の温度センサから温度を測定するステップと、
第2の温度センサから温度を測定するステップと、
第1および第2の温度センサからの測定値を使用した熱流束計算により深部温度を計算するステップと、を含む。
【0021】
本発明の第3の態様では、生体の表面温度を測定するためのセンサの使用が提供される。
【0022】
本発明の多くの非網羅的な実施形態、変形形態または代替形態は、従属請求項によって定義される。
【0023】
本明細書において、「継続」という用語は、システムが有効になっている場合、ユーザの介入に関係なく、繰返し測定を実行する測定システムを意味すると理解される。これは、人間の体温をモニタリングする場合、体温がどれだけ早く変化するかということ、および±0.1℃の望ましい分解能に関連する必要なサンプリングレートに対応するために、毎分2回の稀な測定を意味する場合がある。急速な変化の例には、悪性熱、弛張熱などによって引き起こされるものがあり得る。このような急激な変化は、10分ごとに1℃未満であり、シャノンのサンプリング定理(Shannon's sampling theorem)と±0.1℃以内の温度変化の検出に対応するには、毎分2回のサンプリングレートが必要である。
【0024】
本発明は、接触面を生体と共有する温度センサによって上記の目的を達成する。接触面は、生体の温度を測定できる、生体との優れた熱接触を提供する。混合信号半導体により、生体の温度および他の物理的パラメータを定量化し、信号処理し、格納し、かつ配信することができる。好ましくは、配信は、無線通信リンクによるものである。通信リンクは、搬送波と変調伝送を生成するセントラルリーダによって有効になる。混合信号半導体によって変調された搬送波は、通常、RFIDなどの後方散乱無線システムで使用される。
【0025】
継続的な読み出し用のセンサシステムは、生体の表面に付着するための接触面と、該接触面と熱接触するセンサと、該センサと動作可能に接続されたRFIDチップと、を備える。RFIDチップは、センサからデータを読み取り、そのデータを送信することにより、リーダからの誘導信号に応答する。
【0026】
好ましくは、接触面は露出しているしている一方で、システムは弾性材料でカプセル化されている。
【0027】
好ましくは、接触面は接着剤層でコーティングされている。
【0028】
好ましくは、このシステムは、周囲から環境発電し、該エネルギーを指定されたストレージユニットに貯蔵する。これは、バッテリーレスのアプリケーションで有利である。
【0029】
好ましくは、このシステムは、定義されたプログラムに基づいて、センサの操作、信号処理、アルゴリズム作業、データ処理、データ格納、後方散乱無線操作などのタスクを実行するようにプログラムされており、またプログラムすることができる。そのようなプログラムの例は、リーダの接触に関係なく、電力が十分である限り、センサエンジンの電源を入れること、センサデータを記録すること、センサエンジンの電源を切ること、および毎分1回、タイムスタンプ付きのセンサデータを保存することである。
【0030】
好ましくは、このシステムは、プログラムに基づいて独立して動作し、センサを動作させ、後の読み出しまたは送信のためにセンサデータなどのデータを保存することができる。これは、システムが自律的に動作できるという点で有利である。
【0031】
好ましくは、このシステムは、周囲から環境発電し、そのエネルギーを指定されたエネルギーストレージユニットに貯蔵する。
【0032】
好ましくは、このシステムは、定義されたプログラムに基づいて、センサの操作、データの計算、データの格納、および無線の操作などのタスクを実行するようにプログラムすることができる。
【0033】
好ましくは、このシステムは、プログラムに基づいて動作し、センサを操作し、かつ後の読み出しのためにデータを格納することができる。好ましくは、このシステムは、弾性材料を使用して、接触面に対して任意の側に配置されたアンテナをさらに備え、アンテナと接触面との間の距離により、アンテナ利得を提供する。
【0034】
好ましくは、このシステムは、アンテナをさらに備え、該アンテナは、金属製リフレクタから分離されて該金属製リフレクタの実質的に反対側に位置する放射素子を含む。放射素子と金属製リフレクタは、材料によって離間されており、材料の寸法は、放射素子とリフレクタとの間の間隔、ならびにそのような間隔保持材料の電磁特性および放射素子の放射効率によるアンテナゲインを定義する。これにより、例えば、人体、哺乳類、動物などの生体からの吸収効果を低減する。このようなリフレクタは、システムのエネルギーストレージとして、また熱流束の熱伝達要素として、コストを削減し、製造を簡素化することができるように実装することができる。
【0035】
好ましくは、アンテナの金属層は、多層構造として設計されており、エネルギーストレージユニットとして機能するために、層が絶縁体によって分離されており、また層が実質的に一次元または多次元のコンデンサを実装している。
【0036】
好ましくは、アンテナの金属製リフレクタとして機能する金属層は、多層構造として設計されており、エネルギーストレージユニットとして機能するために、層が絶縁体によって分離されている。
【0037】
好ましくは、金属層を分離する絶縁体は、多層リフレクタ構造の最上層に熱を伝達する、既知の一定の熱伝導率を有する。
【0038】
好ましくは、当該構造の最上層は、熱伝導材料および導電材料によって、センサが配置される層に接続されている。この接続は、1つの温度センサを熱的に接続する細いピンまたはVIAとすることができる。
【0039】
好ましくは、断熱材料は、多層リフレクタの上層と温度センサが接続される層との間に配置される。
【0040】
好ましくは、この断熱材の上層に、既知の良好な断熱材によって接触面から熱を分離する追加の温度センサが配置される。
【0041】
好ましくは、2つの温度センサは、同じ構造レベルに配置されて、例えば、深部温度を推定するための、熱流束測定を実行するために使用される。
【0042】
好ましくは、このシステムは、温度、圧力、熱流、流体流、高度、近接性、変位、バイオ、画像、インピーダンス、照度、ガス、化学物質、加速度、方向、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、抵抗、力、電気、磁気、音、ノイズ、音声および質量を含む群から選択される、少なくとも1つの特性を検出するための第2のセンサをさらに含む。
【0043】
好ましくは、このシステムは、センサのクラスタを形成する2つ以上の同じセンサをさらに含む。
【0044】
センサのクラスタを一緒に使用して、流量などの複雑な値を測定したり、組み合わせてドリフトやノイズなどの環境への影響を補正したりすることができる。
【0045】
好ましくは、温度、水分および生体インピーダンス用のセンサの組み合わせは、汗、脱水、および発熱を一度に検出するのに非常に価値がある。発熱のケアを可能にし、患者が汗に浸るのを防ぎ、病気の患者、例えば高齢患者に必要な水分補給のレベルについてアドバイスを提供する。
【0046】
好ましくは、1つまたは複数の温度センサと加速度センサとの組み合わせを使用して、生体の熱性痙攣を検出する。
【0047】
好ましくは、静電容量センサとの組み合わせは、例えばセンサが皮膚に配置されたことを検出することができ、また、例えばオン/オフ機能のタッチ機能を有効にする。
【0048】
好ましくは、このシステムは、位置検出器をさらに備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、センサの操作方法が提供される。当該方法では、温度、圧力、流量、高度、近接性、変位、バイオ、画像、ガス、化学物質、加速度、方向、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、力、電気、磁気、および質量を含む群から選択される、少なくとも1つの特性を検出するための第2のセンサを使用して、センサからのデータを環境効果に対して補正し、補正データを生成する。好ましくは、例えばCarolisフローセンサと、2つの加速度計との組み合わせをさらに備える群から、低コストの血流および血圧センサを実装することができ、例えばベータ遮断薬を常用している患者が家庭で継続的なモニタリングを行うための、低コストで快適な非侵襲的手段を提供することができる。
【0050】
好ましくは、センサからのデータが事前定義された範囲外にある場合、例えば熱が39.5℃を超えると、アラームが発生する。
【0051】
好ましくは、センサからの補正データが事前定義された範囲外にある場合、例えば周囲温度が35℃を超えると、アラームが発生する。
【0052】
好ましくは、第2のセンサからのデータが事前定義された範囲外にある場合、例えば温度が45℃を超えると、アラームが発生する。
【0053】
好ましくは、2つ以上のセンサからの組み合わされたデータが事前定義された範囲外にある場合、例えば、高い発熱と高い周囲温度との組み合わせで、アラームが発生する。例えば、40℃の発熱と35℃を超える周囲温度との組み合わせである。
【0054】
生体温度の継続的かつワイヤレスなモニタリングおよび分析のためのセンサシステムおよび方法において、このようなシステムは、生体の表面または皮膚に配置される、好ましくは可撓性の粘着性バンドとして統合された、ワイヤレスセンサシステムを備える。好ましくは、このシステムは、その周囲から環境発電する手段と、環境発電したエネルギーをエネルギーストレージユニットに貯蔵する手段と、を備える。このような環境発電は、ワイヤレス通信で使用される搬送波、またはラジオもしくはテレビ帯などの地上放送信号の整流として実装することができる。環境発電されたエネルギーは、コンデンサ、充電式バッテリ、または後の使用のために電気エネルギーを保存するための同様のストレージユニットに貯蔵される。代替的なシステムは、太陽電池またはより伝統的な燃料電池からの小さな電位を高めることができる。コンデンサは、前述のように、熱流束測定用に既に使用されている2つの金属体(層)によって実現することができる。ワイヤレスリーダは、例えば、周囲の状況を検知することに加えて、定義済の無線プロトコル、またはいくつかのプロトコルを組み合せて使用してセンサデータを読み取ることができ、例えばネットワーククラウドソリューションとして実装することができるエコシステムにそのようなデータを送信することができる。前述のエコシステムは、単純化された定量化可能なデータをエンドユーザデバイスに提示する方法および信号処理を含み、そのようなデータ、データの履歴へのアクセス、そのようなエコシステムへのビッグデータアクセスプラットフォームに基づいて、個別の調整可能な通知を有効にすることができる。また、前述のエコシステムは、生体温度および傾向に関する情報の場所、追跡、ならびに新しい洞察に使用できる分析のための方法を含み、これらの用途の1つは、例えば感染により引き起こされる、例えば人間の体内での発熱と通常呼ばれる温度上昇をモニタリングすることである。ユーザが提供する生体に関する情報と、例えばユーザのデバイスから取得できるそのジオロケーションと、を組み合わせることで、追加の分析のために、そのようなエコシステムを通じて地理的に特定されたデータおよび感染パターンを追跡する一例がある。一例としては、ジオロケーションおよび経時的な発熱反応の特性を利用して、人間の感染、および社会における感染の拡大を追跡し、既知の発熱パターンおよび既知の感染にマッピングすることができる。
【0055】
このような使用は、医療機関や医学研究にとって非常に価値があり、感染源の追跡、感染拡大の追跡、ならびに一般に熱性反応を引き起こす登録済みおよび未登録の病気についての益々多くの知識に関する、社会の登録済みおよび未登録の病気に関する知識に大きく貢献することができる。一例として、このようなデバイスは、世界の開発地域および後進地域の両方で使用され、知識と対策を改善し、流行発生および非流行発生の両方において支援することができる。
【0056】
[発明の効果]
従来技術との技術的差異は、センサシステムを違和感なく継続的に装着することが可能であり、センサの統合度および測定精度が高いことである。他の技術的差異は、センサが環境発電およびエネルギー貯蔵のための手段を備えていることである。また、センサのリフレクト層は、放射素子を皮膚の電気吸収から効果的に遮蔽し、アンテナシステムを改善する。
【0057】
これらの効果により、さらにいくつかの利点が得られる:
【0058】
人間や動物などの生体を継続的にモニタリングすることを可能にする。
【0059】
世話人または患者による管理なしに、測定システムの継続的な使用を可能にする。
【0060】
周囲温度や湿度が変化する場合や、センサが覆われている場合でも、該センサの有効な読み取りを可能にする。
【0061】
リーダまたは電源が範囲外にある場合でも、継続的な測定ができる。
【0062】
ワイヤレスおよびパッシブセンサを低コストで統合できるため、再利用による感染リスクを制限する消耗品の発熱センサを可能にする。
【0063】
生体の感染および非感染性疾患を識別するための指標として使用されるパターンを少なくすることができる。
【0064】
例えば好中球減少症患者における敗血症の早期警告として、正常な変動の頻度または振幅の増加などの体温の異常を検出することができる。
【0065】
例えば高温および低温の体温アラートを、管理なしに使用することができる。
【0066】
低コストのセンサを可能にし、プロおよび家庭用のヘルスケア設定での広範な使用を可能にする。
【0067】
生体を非侵襲的にモニタリングすることができる。
【0068】
例えば重症患者などの患者や生体のより快適なモニタリングを可能にする。
【0069】
アラーム/アラームなしの状態を知らせるための、リーダまたはセンサからの単純な視覚的フィードバッグを可能にする。
【0070】
バッテリなどの1回限りの使用電源への依存を減らすことができる。
【0071】
モニタリングシステムの使用を容易にすることができる。
【0072】
生体をモニタリングするためのより効率的なシステムを可能にする。
【0073】
生体をモニタリングするためのより小型のシステムを可能にする。
【0074】
本発明の上記の特徴およびさらなる特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されており、また、添付の図面を参照して与えられる本発明の「例示的な」実施形態についての以下の詳細な説明を考察することにより、その利点とともに、より明らかになるであろう。
【0075】
以下、図面に概略的に示される例示的な実施形態に関連して、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】センサ実装、リーダ、エコシステムおよびユーザデバイスを備えるシステムを示す図である。
図2】アンテナ、無線チップ、センサ、環境発電部、熱伝導体、断熱材およびエネルギー貯蔵部を有する、センサ実装を示す図である。
図3】センサ実装、形状の例、および熱伝導体と接着剤との間のスペースを示す図である。
図4】センサに接続された熱伝導層と、アンテナおよびセンサを囲む断熱層への接続を示す図である。
図5】間隔保持材および金属製リフレクタを有する、センサ実装のアンテナ部を示す図である。
図6】センサ実装のビルドアップおよび熱流束モード測定用の部品を示す図である。
図7】熱流束モード測定用の断熱材料の周りに無線チップおよび外部センサが取り付けられた基板の基本的な折り畳みを示す図である。
図8】リーダおよびそのアンテナ、無線チップ、処理チップ、センサ、インタフェース、ストレージおよび気流設計を示す図である。
図9】インタフェース、信号処理アルゴリズム、処理および様々なストレージシステムを有する、エコシステムの重要な部分を示す図である。
図10】システム内のユーザデバイス、およびそのようなデバイスのストレージユニットを示す図である。
図11】センサ実装および形状の例を示す図である。
図12】無線チップ、2つのサーミスタを使用した熱流束センサ構造、熱伝導性および断熱材料を有するセンサ実装を示す図である。
図13】無線チップ、熱伝導性および断熱材料を提供する標準PCBのような多層構造材料を使用した熱流束センサ構造を有するセンサ実装を示す図である。
図14】無線チップと2つのサーミスタを使用して構築された熱流束センサとを備えるセンサ実装であって、コンポーネントが断熱材料の周りに折り畳まれたフレキシブル基板上に組み立てられており、エネルギーストレージデバイスとしての追加機能を有するセンサ実装を示す図である。
図15】無線チップと2つのサーミスタを使用して構築された熱流束センサとを備えるセンサ実装であって、コンポーネントがフレキシブル基板上に組み立てられたセンサ実装において、接触面をサーミスタの1つに接続するヒートパイプを示す図である。
図16】無線チップおよび層上の2つのサーミスタを、通信アンテナ専用領域および環境発電専用領域とともに示す図である。
図17】熱流束モードの温度測定の概念およびその一部、ならびに深部温度の参照を示す図である。周囲への熱流束チャネルを含む。
図18】リーダおよびそのアンテナ、無線チップ、処理チップ、センサ、インタフェース、ストレージおよび気流設計を示す図である。
図19】天井にリーダがあり、ユーザの額にセンサがある、典型的なユーザシナリオを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本開示の様々な態様を、添付の図面を参照して以下により完全に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本開示を通じて提示される特定の構造または機能に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの形態は、本開示を徹底的かつ完全にし、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本開示の他の態様とは独立して実施されているか、あるいは本開示の他の態様と組み合わされて実施されているかに関わらず、本開示の範囲は、本明細書に開示されるあらゆる態様を網羅することが意図されていることを理解するべきである。例えば、本明細書に記載される任意の数の態様を使用して、装置を実装することができ、あるいは方法を実施することができる。さらに、本開示の範囲は、本明細書に記載される様々な態様に加えて、あるいはそれ以外に、他の構造、機能、または構造および機能を使用して実施される装置または方法を網羅するものとする。本明細書の開示される任意の態様は、請求項の1つまたは複数の要素によって具現化され得ることを理解されたい。
【0078】
図面に概略的に示される例示的な実施形態に関連して、本発明をさらに説明する。
【0079】
図1に示される装置は、例えば、家庭用の、特には子ども向けの発熱または体温のモニタリングシステムである。現在、主に使用されている代替手段は、(耳の中の)鼓膜、口腔または直腸での測定、および側頭動脈の赤外線センシングである。子どもたちは、例えば、耳、口または直腸で測定するこれらのほとんどを不快と考えている。また、これらの測定は継続的でない。既存の最も快適な手法は、側頭動脈の赤外線センシングによる手法であるが、これでは継続的な測定ができない。継続的な測定を可能にするいくつかのBluetoothベースのデバイスが登場したが、これらはバッテリといくつかの電子機器で構成されており、広範囲に使用するためには消費者の総所有コストが高くなる。これらのデバイスはBluetoothをベースとしており、ユーザデバイスがセンサの範囲内に制限されるため、ユーザフレンドリではなくなる。これは、鉄筋コンクリートなどの建築材料が使用された環境では難しい場合がある。また、ユーザが継続的に観察できるセンサの数も制限される。これにより、ユーザデバイスがセンサおよびアラームから継続的なデータを取得するためには、ユーザおよびユーザデバイスがセンサと同じ部屋に留まらなければならない。後方散乱無線技術は、RFIDの形で最もよく知られている。RFIDは、長年にわたって存在しており、ほとんどの手法において、大量のタグを読み取るリーダインフラストラクチャのある、大規模な物流業務での電子識別および何らかの形のセキュリティアプリケーション向けに設計されている。
【0080】
[本発明の基礎を形成する原理]
基本的な原理は、後方散乱無線およびアンテナを備えたセンサを、バッテリなしの低コストのセンサシステムに統合し、生体の表面に付着させるための接着剤付きのパッケージに入れることで、継続的なモニタリングにウェアラブル(装着型)センサを使用できる、ということである。同じ後方散乱無線技術を利用するリーダは、センサシステムに電力を誘導し、センサから利用可能なデータを読み取る。使用中、センサはリーダによって繰り返し読み取られることが可能であるため、実用的な低コストと継続使用が実現され、広範囲の使用と、これまで大規模な継続データが利用できなかった領域からのより大量のセンサデータが有効になる。このシステムは、従来のプリント回路基板のような、簡単にアクセスできる製造プロセスを使用して製造し易い、1つまたは複数の温度センサを備える。好ましい温度センサは、2つのサーミスタの配置を含む。生体の表面に最も近いのは、1つのサーミスタが熱的に接続された金属層である。既知の、好ましくは一定お熱係数を有する材料の層がある。第3の層は、第2の金属層であり、第2のサーミスタが第3の層に熱的に接続されている。適切なアナログ/デジタル変換器でサーミスタ値を測定することにより、熱流束を推定し、適切なアルゴリズムを適用して深部温度を計算することができる。第1および第3の層における金属層は、任意の形状を有することができる。好ましくは、第1および第3の層における金属層は、互いに対応する形状を有している。好ましくは、2つの金属層は、可能な限り重なり合う。第1のサーミスタが第1の層と第3の層との間に埋設されている面倒な技術を使用する代わりに、PCTビアの新規な使用が適用される。このビアは、ヒートパイプとして使用されるため、両方のサーミスタを同じPCBレベルに配置することができる。温度センサは、サイズが特にコンパクトであり、製造が簡単であり、少数のコンポーネントを使用した低コストなものである。
【0081】
[本発明を実施するための最良の形態]
図1に示される本発明による装置の実施形態は、柔軟なセンサ実装100と、無線リーダ200と、エコシステム300と、ユーザデバイス400と、を含む。無線リーダ200は、センサデータを読み取ってそれをエコシステム300に格納する。エコシステム300は、データ処理およびプレゼンテーションフォーマットを含み、そのデータを、ユーザデバイス400を介してユーザに提示する。ユーザデバイス400は、携帯電話のアプリケーションとすることができる。記載されているこのようなシステムは、温度センサの実装100とすることができ、このシステムは、例えば子どもなどの人間の額の表面温度を測定し、エコシステムを使用してその人の深部温度を計算し、これを、例えば両親や代わりの世話人に継続的に表示するように設計されており、継続的な発熱モニタリング装置として機能して、そのような発熱の発生、傾向、および重症度に関連する継続的な情報を提供する。発熱反応を引き起こす病気のために医師に連絡する場合、そのようなデータを提示および分析することにより、医師の診断プロセスを支援することができる。そのようなシステムは、消費者が発熱モニタリング機器を見つけることが期待される、例えばオンラインストア、薬局、または地元のスーパーマーケットを通じて消費者が利用できるようになる。利用可能な製品バンドルは、複数のセンサを備えたリーダ、および例えば異なる印刷の複数のセンサのバンドルであり得る。このような装置は、発熱のモニタリングおよび病気の子どものケアを改善するだけでなく、子どもと親の両方に安心感をもたらす。また、発熱の進展に関するそのような規模のデータは現在存在しないので、発熱反応を引き起こす病気の研究のための新たな未開拓領域である可能性がある。現在入手可能な継続的な発熱データのほとんどは、病気の患者を病院でモニタリングして得たものである。社会における病気の拡散をモニタリングすることは、病気の大規模な流行を初期段階で低減または防止することにより、大きな社会経済的価値を有し得る。
【0082】
図1に示されるシステムは、例えば、人間および動物の生体温度の継続的かつワイヤレスなモニタリングおよび分析用に設計されている。このシステムは、例えば、円形、四角形、長方形または楕円形などの形状の、例えば粘着バンドのような柔軟なセンサ実装100を含む。センサ実装100は、その周囲から環境発電し、温度を感知し、それをワイヤレスで送信することができる。環境発電に使用されるのは、誘導電波、受け取った太陽エネルギー、ペルティエ素子(皮膚と空気との温度差を利用して電気エネルギーを生成する)を介して電気エネルギーに変換される熱エネルギー、例えば電圧デバイスを介した動きから変換される電気エネルギーであり得る。センサシステムにワイヤレスでエネルギーを伝達し、センサ実装100からの送信を受信することができるリーダ200は、内部センサ270から、例えば、温度および湿度などの周囲センサ情報を追加し、これをエコシステム300に送信する。エコシステム300は、例えば、ネットワーククラウドソリューションに実装することができる。このエコシステム実装は、好ましくはリアルタイムで、データを格納および定量化し、エンドユーザにデータを送信するための方法を有する。エンドユーザは、デバイス400を通じて、例えばスマートフォンなどのデバイス上のアプリケーションまたは任意のコンピュータを介したWebインタフェースを通じて、システムをインタフェースする。リーダ200は、エコシステムへの接続がない場合のバックアップソリューションとしても使用することができ、Bluetoothなどのワイヤレス技術を使用してデバイスにデータを直接転送することができる。例としては、ユーザのデバイス上のアプリケーションがあるが、当該アプリケーションもまた、リアルタイムでデータを定量化してユーザに提示する方法を有し、データを受信して処理する。バックアップシナリオにおいて、データは、後でエコシステムと同期するために、デバイスのデータストレージユニットに保存される。リーダが短時間でエコシステムまたはバックアップモードのデバイスとの接続を失った場合は、バッグアップモードのエコシステムまたはデバイスとの接続が再び機能するまで、内部ストレージを介してデータを保存する手段がある。
【0083】
センサ実装100は、システムの要であり、長距離後方散乱通信特性と最適化された温度検知条件とを組み合わせた多層構造として構築されている。これは、いくつかの方法で実現することができる。第1の手法は、図4および図5に示すようなシングルセンサ手法とすることができ、第2の手法は、図2,6,7,12,13,14,15,16および17に示す温度熱流束測定を使用したデュアルセンサ実装500とすることができる。図2に示されるセンサ実装100は、アンテナ130および無線チップ135を備え、無線チップ135は、統合された温度検知機能と、無線およびプロトコル部との両方を備えることができ、温度センサとすることができる外部センサ110,120に例えば電力を供給し通信するための可能なインタフェースを含む。熱伝導層114、断熱層122、および印刷層144。また、センサ実装は、周囲から環境発電することができる環境発電ユニット140を備えていてもよい。
【0084】
アンテナ130は、例えば皮膚および人体の特性によって引き起こされる放射エネルギーの吸収による影響を最小限にするような方法で設計されている。このような特徴は、そのようなエネルギーの吸収を制限する方法でアンテナ130を設計することにより得られる。これに対処する手法は、以下の1つまたは組み合わせとすることができる;スペース保持材料122を使用してアンテナ放射要素132を皮膚から所定の距離だけ離間させること、選択された電磁特性を有するスペース保持材料を適用すること、アンテナの共振周波数を変更すること、アンテナと皮膚との間に金属製リフレクタ138を適用すること、または当業者に既知の他の手法。したがって、アンテナ130は、配置されている材料に影響されないように、あるいは配置されている材料の特徴を建設的に使用して放射性能を改善するように設計されている。
【0085】
図6は、センサ実装の熱伝導層114により、センサ実装100が配置されている表面(例えば、人間の皮膚)と直接的かつ良好な熱接触が可能になることを示している。熱伝導体114は、接着層152の切り抜き領域155、および金属製リフレクタ138の切り抜き領域137に、スペース/隙間125を設けて配置することができる。このスペース/隙間125は、熱伝導層114とアンテナ設計130の下側金属層/金属リフレクタ138との間に設計することができるものである。これは、熱伝導体114と金属製リフレクタ138との間の良好な熱接続および電気的接続を回避し、138への横方向の熱損失または熱伝達を回避し、無線チップ135ならびに外部センサ110および120のESD課題を軽減するためである。熱伝導層114は、測定媒体と直接接触する。シングルセンサモードにおいて内蔵センサおよび外部センサ110を備え、熱流束温度検知モードにおいて外部センサ120を備える無線チップ135は、無線チップ135と外部センサ110および120の両方を固定するとともに良好な熱伝導体である熱伝導性接着剤または類似の化合物を使用して、熱伝導層114に熱的に接続される。無線チップ135ならびにセンサ110および120はともに、DIE形式または良好な熱伝導性を有するその他のパッケージングである。センサ120への熱接続は、熱伝導体114をセンサ120に固定するために使用される熱伝導性接着剤で満たされ得る、例えばPET基板の、例えば穿孔領域を通して行われる。
【0086】
図5に示されるシングルセンサ手法における、センサ実装の最上層にあるアンテナ放射素子132から無線チップ135の接続への遷移部133、または図6および7に示される基板122の折り畳み部は、2つの機能の組み合わせを可能にする。すなわち、導電性または吸収性の表面に配置されたアンテナでの良好な領域性能と、内部センサおよびセンサ110および120と測定媒体との間の良好な熱接触である。図4および5を参照のこと。シングルセンサ手法における、アンテナ放射素子132からセンサ実装の下層への遷移部133は、任意選択で、無線チップ135がこの形状の中央底部に位置する円弧として、例えば球体の平面カットとして最適に成形される。この形状の底部中心は、センサ実装100の最下層の一部に位置しており、この形状の外縁に接続されたアンテナ放射素子132は、印刷層144の真下に、上から2番目の層に位置している。アンテナ放射素子132と、成形された遷移部133と、接続された無線チップ135と、を含む基板は、例えば、可撓性のPET基板などに組み立てられ、製造中に成形される一体型部品である。無線チップ135は、通常は、導電性接着剤、または基板が曲げられている間に電気接続を維持することを可能にする、他の適切な材料または方法を使用して基板に接着される。
【0087】
成形された遷移部133の底部と最上層との間の領域は、周囲温度からの影響、および測定面からの熱損失を減らすために、断熱材料122で満たされている。そのような断熱材料122は、例えば、独立ポリエチレンフォームまたは同様の材料とすることができる。さらに、アンテナ構造のリフレクト層138は、測定面からの熱損失を低減するために、例えば、金属化BoPET(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)または同様の断熱材料とすることができる。熱伝導体114と組み合わせた両方の断熱技術は、内部温度センサおよびセンサ110または120の温度平衡時間を短縮するのに役立つ。これは、断熱材122がセンサ110と周囲条件との間の熱伝導率を低減させるために達成される。アンテナ130の金属シート断熱材138は、センサ実装100によって覆われる表面領域全体の熱伝導率を低下させる一方で、熱伝導体114は、測定される媒体の表面への熱伝導率を増加させる。
【0088】
ここで、図6を参照する。熱流束センサ手法では、例えば、可撓性のPET基板とすることができる基板180は、シングルセンサ手法と同様に、製造中に1つの部品として組み立てることができるが、外部温度センサ120は、無線チップ135から離れて配置されている。熱流束検知手法における手法では、基板は、センサ実装100のサイズの2倍に製造され、アンテナエリア139の切り抜きまたは入り込み禁止エリアを介して配線された接続ワイヤ182を使用して外部センサ110を接続し、それを材料122の周りに折り畳む特徴を有し、これは、金属製リフレクタ138とアンテナ放射素子132との間のアンテナスペーサとして、また表面からの熱損失を低減する断熱材として機能し、既知の電磁特性および既知の熱伝達係数を有し、材料は、例えば、よりコンパクトなアンテナ設計130用に、あるいは優れた断熱材として最適化される。熱伝導体114および断熱材122は両方ともに、シングルセンサ手法および熱流束検知手法の両方で、既知の熱特性、ならびにリーダ200からの周囲センサデータと組み合わせて110および120からのセンサデータを有し、アルゴリズムおよび信号処理システム370は、その表面温度から生体の真の深部温度を推定することができる。文献、例えば医学文献からの既知の補正技術を人間の深部温度推定に適用する。周囲条件における変化は、センサ110または120に影響を及ぼす前に、リーダ200の周囲センサ270によって検出することができる。センサ実装100の周囲からセンサ110または120への影響は知られているので、この影響は、信号処理アルゴリズムシステム370で補正することができる。
【0089】
図9に示される、シングルセンサの信号処理アルゴリズムシステム370は、生体の表面温度、例えば人間の皮膚温度を測定し、湿気に対する湿球/乾球補正技術のような既知の技術、例えば表面温度と深部温度との間に常に定義される差分などを使用し、リーダ200のセンサ270からのセンサ情報を使用して、周囲条件への温度漏れ補正を組み合わせる。熱流束検知手法は、2つのセンサ110および120を使用し、深部から組織および皮膚515を通る熱流束を計算することによって深部温度520を計算し、2つのセンサの読み取り値とその間の材料122の既知の熱伝達係数124の差を使用して、材料122を通る熱流束を計算する。次式は、図17に示すように、例えば人間の深部温度を計算するために使用される場合、そのような計算の中心部分になる:
【数1】
ここで、
Tc:深部温度
TA:センサA106の温度
TB:センサB114の温度
φqCA:コアと皮膚との間の熱流束515
φqAB:センサA106とセンサB114との間の熱流束
:組織/皮膚の熱伝達係数510
:断熱材122の熱伝達係数123
【0090】
センサ実装100構造の理由:
生体、例えば人体の皮膚/組織の熱伝達係数に関する既知のデータと、シングルセンサモードでの皮膚とセンサ110および120および110との間の最適化された既知の熱伝導率と、断熱材料122の既知の熱伝達係数124と、検知環境の周囲条件に対する既知の熱伝導率を利用し、アルゴリズムを適用して、生体の深部温度を高精度で予測することができる。アンテナ設計と、シングルセンサ手法で無線チップを接続する形状と、熱流束手法での折り畳みと、センサへの熱接続性と、周囲条件に対する断熱性と、の組み合わせにより、生体の表面温度および深部温度を推定する長距離の継続的かつ受動的RFIDのためのアンテナおよびセンサパフォーマンスの最適な組み合わせが維持される。
【0091】
下層:測定媒体(例えば、皮膚)への熱接続と同じレベルにある最下層は、接着層152であり、例えば、それが適用される生体に害を及ぼさない低刺激性の特性を有する。
【0092】
最上層:最上層は、アートワーク用の印刷可能な層である。この層は、薄紙のように、アンテナ性能に影響を与えない材料の薄い層である。
【0093】
リーダ200(図8に示す)は、無線センサ実装100のエコシステムへのポータルとして設計されている。この設計は、無線リーダチップ210、処理ユニット130、内部ストレージ240、内部センサ270、有線インタフェース250、ワイヤレスネットワークインタフェース用無線290、ワイヤレスネットワークインタフェース用アンテナ260、および無線アンテナ220を備えることができ、センサ270が空気質および/または温度のセンサである場合、該センサ用の気流設計280を備えることができる。リーダ200は、カスタムされた読み取りプランを通じてセンサ実装を読み取る。例えば、センサ実装の無線チップ135は、内部センサ110および/または外部センサ120および/または他を使用して検知を実行し、また、例えば、適切なセンサ情報、校正データ、IDおよび他の情報をリーダ200に通信するのに十分な電力を蓄積するために、msであり得る一定量の誘導エネルギーを必要とする。さらに、リーダ200および読み取りプランは、低消費電力、センサ実装100へのデューティサイクル通信、したがってその測定頻度、およびエコシステム300との通信間隔に対して最適化されており、リーダシステムを周期的にスリープ状態にできるようにする。
【0094】
この実装により、センサは、連続して複数回読み取ることができ、オーバーサンプリングを適用して解像度を高め、適用される読み取り速度と比較してゆっくり変化する温度測定のノイズを低減することができるため、センサの温度測定精度が向上し、それにより深部温度の計算精度を高めることができる。リーダ200に実装される標準のワイヤレスおよび有線ネットワーク通信プロトコルおよび方法は、エコシステム300との通信の単一のメインチャネルとして機能することができ、例えば、メインの通信が機能しない場合のバックアップシステムを備えることができる。さらに、リーダ200は、メインの通信チャネルが一時的に機能しない場合、および/またはバックアップ通信チャネルが一時的に機能しない場合に使用する、バックアップストレージを備えることができる。また、リーダ200は、例えば、エコシステムに通信されるデータを暗号化するためのハードウェアまたはソフトウェアの方法も含み得る。リーダ200へのネットワーク接続を介して、例えばIPアドレスを介して、現在のジオロケーションをエコシステムに記録することができる。その目的は、例えば、規制要件、社会における流行病および非流行病の位置の特定および追跡、ローカルな環境条件(温度、湿度および気圧であり得る)の検索による動作モードの設定であり得る。さらに、リーダ設計は、例えばリーダ200の内側の空気またはリーダ200の内側の乾燥空気の加熱による影響から周囲センサ270を分離する気流設計280を備えており、これにより周囲条件のより正確な検知を保証している。
【0095】
エコシステム300(図9に示す)は、例えば、製品330、センサ読み取り値320およびユーザ310に関するデータを格納するとともに、例えば[数1]に記載されるような実装アルゴリズムを有する信号処理アルゴリズム方法370と、例えば人間の深部温度を計算する例えば[数1]を使用して、センサデータに対して信号処理アルゴリズム方法370を実行する処理ユニット360と、を備えるように設計することができる。さらに、エコシステム300は、ユーザ側350とビッグデータ側340とで異なるインタフェースを備えることができる。このようなエコシステム300は、例えばネットワーククラウドソリューションまたは任意の他のデバイスもしくはユニットとして実装することができる。エコシステム300は、該エコシステム300の一部となるように設計および製造されたすべての製品、例えば、センサ実装、リーダおよびその他のデバイスの一意のIDを格納するように設計し、例えば、ユーザエクスペリエンスおよび/またはセンサデータの品質および使いやすさを損なう偽造品による侵害を制限することができる。そのようなエコシステム300では、ユーザ用インタフェース350は、個々のユーザのデータへのアクセスを容易に制限し、ユーザの製品によってのみ生成されるデータになるようにすることができる。ビッグデータ用インタフェースは、ユーザを特定できるデータ、例えばe-mailアドレス、氏名、メモ、画像などを含まないようにデータを簡単に制限することができる。さらに、エコシステムは、すべての一意の製品IDをデータベースに格納することによって、製品の動作時間を制限し、例えばセンサを長時間使用することによって、また、例えば生体の表面との熱接続が減ることに起因してデータの誤りが生じることによって、読み取り値の質が損なわれないようにする。
【0096】
生体の体温調節は、最適な動作温度を維持しようとする恒常性メカニズムの一部である。体温は、日中に、日をまたいで、また個体群にわたって変化するため一定ではない。人間においてそのような体温の平均は37.0℃であるが、体温の通常のリズムのために、通常の体温は、37.0±0.5℃の範囲として定義される。通常の体温における上昇は、重大な要因によって引き起こされる可能性があり、2つの主な定義、すなわち発熱と高熱症とに分けられる。発熱は、生体の温度が通常の範囲を超えて上昇している状態であり、これは発熱反応または発熱として知られている。体温調節の設定点の上昇によって引き起こされる発熱は、主に感染症および非感染症の両方の医学的条件に起因して生じる。その一方で、高熱症は、生体が自身で処理しきれない熱を発生させている状態によって引き起こされ、これは高温の環境条件(熱中症)、または薬物使用に対する有害反応によって引き起こされる可能性がある。この状態において、設定点は上昇していない。午前中に37.2℃を超える体温、または午後に37.7℃を超える体温は、通常、発熱とみなされる。発熱温度の範囲は、発熱>37.5℃、高熱症>37.5℃、および過熱症>40.0℃に分類される。過熱症は、生命を脅かす可能性があり、医学的な緊急事態とみなされる。時間の経過に伴う発熱(または体温)の進展により、特定の発熱のパターン(発熱パターン)が明らかになる。これらのパターンは、古くから病気の診断を支援するために使用されており、通常は、連続熱、断続熱、寛解熱、ペル・エブスタイン熱、波状熱、再発熱に分類される。
【0097】
エンドユーザデバイス400(図10に示す)は、例えばWebインタフェース、スマートデバイス上のアプリケーションなどとして設計されたインタフェースを含む。このインタフェース422は、例えば、進行中の測定からリアルタイムデータを提示し、このデータの経時的変化に基づいて通知を設定して調整する。そのような通知は、例えば高熱アラート、または発熱反応を引き起こす状態を伴う人間にとって長期間にわたる一定レベルの発熱であり得る。加速度計などの他のセンサに基づくアラートでは、発作中の体の動きによって発熱発作アラームがトリガされ得る。例えば、短期または長期のデータ履歴、および以前の個々の測定値には、インタフェース422を介してアクセスすることができる。エンドユーザデバイス420は、ストレージユニット424を備えることができ、該ストレージユニットを使用して、例えばリーダへのバックアップ通信ソリューションがアクティブである場合、かつ/あるいはエコシステム300またはデータ履歴または外部ストレージへの接続がない場合に、データを一時的に格納することができる。さらに、ユーザインタフェース422は、解熱剤投与および一般的な健康状態登録機能を含むことができる。これは、タイムスタンプを含むことができ、グラフィカルユーザインタフェースの単純なグラフィカルボタンとすることができ、実際の医薬品(量およびブランドを含む)の登録をサポートすることができ、そのような医薬品パッケージ上の光学的に読み取り可能な製品コードをスキャンし、その情報を公の医薬品データベースに関連付けるために使用される、スマートデバイスからのカメラ入力を関連付けるソフトウェアとして実装することができる。解熱剤の投与に関するそのような情報は、その後、センサデータと関連付けて使用され、人間の発熱データを分析する際に、一般的な健康状態の説明に加えて、例えば予期しない経時的な変化および薬剤の投与量について医師に説明する。さらに、エンドユーザデバイス400は、センサ実装100に電力を誘導し、該センサ実装からデータを直接読み取るための無線リーダチップを備えることができる。これは、例えばNFC、RFIDなどを使用して実行できる。
【0098】
図13には、センサ実装の第2の実施形態が示されている。センサ実装100は、長距離後方散乱通信の特性と最適化された温度検知条件とを組み合わせた多層構造として構築されている。多層構造にエネルギーストレージが組み込まれており、周囲環境から環境発電する。センサ実装100は、アンテナ130と、一体型の環境発電ユニット140、および2つのサーミスタ110および120を使用した温度検知機能の両方を備え得る無線チップ135と、温度センサなどの外部センサとの例えば給電および通信用の可能なインタフェースを含む無線およびプロトコル部品と、を備える。熱伝導層104、断熱層122、および印刷層144。センサ実装はまた、周囲から環境発電するための1つまたは複数の手段を備える、外付け環境発電ユニット140を備えることができる。アンテナ層上の領域142(図16参照)は、環境発電専用とすることができ、例えば環境発電アンテナ構造およびソーラパネルの実装を可能にし、電磁エネルギーおよび光エネルギーを収集する。図12、13、14には、センサのスタックの様々な実施形態が示されている。熱流束検知用のセンサビルドは、接触面に接触する熱伝導層104と、断熱材122を通過する金属などの良好な熱伝導体105の部分と熱的に接続された温度センサ110と、で構築されている。したがって、熱伝導体105の部分および断熱材料の上部は同じ層上に配置されており、第2の温度センサ120を断熱材122の上部に配置することを可能にしている。したがって、温度センサ110および122は、同じ層上に配置されている間の熱流束測定を表し、それほど複雑ではない低コストの生産を可能にする。さらに、熱伝導層104はアンテナの一部としても機能し、リフレクタとして機能し、人間の皮膚からのエネルギー吸収を低減する。この層は、良好な熱伝導特性を有するアイソレータ材料でできた薄いシートによって分離された、薄いシートとして実装される多層金属構造として実装され得る。したがって、この多層構造104、106は、エネルギーストレージデバイスとしても機能し、環境発電エンジン140に接続されている。
【0099】
図12は、センサ実装100の熱伝導層104が、該センサ実装100が配置されている例えば人間の皮膚の表面との直接的かつ良好な熱接触を可能にすることを示している。熱伝導層104は測定される媒体と直接接触する。センサ110は、ヒートパイプ105の実装を介して、一方、センサ120は、熱流束センサを形成する断熱材122の上部に配置されている。
【0100】
図16では、アンテナ放射素子130、環境発電素子142、温度センサ110および120、ならびに無線チップ135を備える基板は、一体型として設計することができ、例えば可撓性のPET基板などの上に組み立てて、生産中に成形することができる。低コストのロールツーロール生産を可能にする。通常、コンポーネントは、導電性接着剤、ワイヤボンディング、または基板が曲げられている間に電気接続を維持することができる他の適切な材料もしくは方法を使用して、基板に接着される。
【0101】
前述の可撓性基板との収縮に使用される断熱材料は、例えば、独立気泡ポリエチレンまたは同様の材料とすることができる。
【0102】
図7には、第2の熱流束センサ手法が示されている。例えば、可撓性PET基板とすることができる基板122は、生産時に1つの部品として組み立てられ得る。熱流束検知における熱伝導体104および断熱材料122は既知で一定の熱特性を有し、リーダ200からの周囲センサデータと組み合わされたセンサ110および120からのセンサデータ、アルゴリズムおよび信号処理システム370は、熱流束センサデータから真の深部温度を推定することができる。例えば、温度、湿度、気圧などの周囲条件の変化は、それが熱流束センサに影響を及ぼす前に、リーダ200の周囲センサ270で検出することができる。周囲からセンサ実装100における熱流束センサへの影響は既知であるため、この影響は、信号処理アルゴリズムシステム370で補正することができる。
【0103】
熱流束検知手法は、2つのセンサ110および120を使用して、コアから組織および皮膚510を通る熱流束を計算することによって深部温度520を計算し、2つのセンサの読み取り値の差とその間の材料122の既知の熱伝達係数とを使用して、材料122を通る熱流束を計算する。次の式は、例えば、図17に示すように、人間の深部温度を計算するために使用する場合、そのような計算の中心部分になる。この計算は、前述した[数1]の式を使用する。
【0104】
センサ実装100構造の理由:例えば、人間の体の皮膚/組織などの生体の熱伝達係数に関する既知のデータと、皮膚とセンサ110および120との間の最適化された既知の熱伝導率と、断熱材料122の既知の熱伝達係数と、検知環境における周囲条件への既知の熱伝導率と、を使用し、アルゴリズムを適用して生体の深部温度を高精度で予測することができる。エネルギーストレージデバイスとしてアンテナリフレクタおよびアンテナ放射構造を利用し、熱伝達設計としてアンテナリフレクタを利用する、コンパクトな多層構造でのセンサ実装の組み合わせにより、コンパクトかつ低コストの形状因子で熱流束手法を実装することができる。後方散乱無線用のアンテナ設計を、環境発電、エネルギーストレージ機能、およびセンサビルドと組み合わせることにより、生体の深部温度推定の長距離連続かつ受動的な後方散乱無線センサプリケーションのためのアンテナおよびセンサのパフォーマンスの最適な組み合わせが維持される。
【0105】
下層:測定媒体との熱接続と同じ層上にある最下層は、接着層152であり、例えば、それが塗布された生体に害を及ぼさない低刺激性の特性、ならびに防水性および最近耐性を有するシリコーンゲル接着剤である。接着剤は、好ましくは薄く、既知の熱伝導特性を有する熱伝導性である。
【0106】
センサ実装の最上層:最上層は、アートワークを印刷できる層である。この層は、薄紙のように、アンテナ性能に影響を与えない材料でできた薄層である。
【0107】
図18は、無線センサ実装100のためのエコシステムへのポータルとして設計されているリーダ200の第2の実施形態を示している。この設計は、無線リーダチップ210、処理ユニット230、内部ストレージ240、外部センサ270、有線インタフェース250、ワイヤレスネットワークインタフェース用無線290、ワイヤレスネットワークインタフェース用アンテナ260、無線リーダアンテナ220を備えることができ、また、センサ270が空気質および/または温度センサである場合、該センサ用の気流設計280を備えることができる。リーダ200は、カスタム読み取りプランを通じてセンサ実装を読み取り、例えば、センサ実装における無線チップ135は、センサ110および120を使用して検知を実行し、例えば、適切なセンサ情報、校正データ、IDおよびその他の情報をリーダ200に通信するのに十分な電力を蓄積するmsであり得る誘導信号のいくつかの時間単位を必要とする。さらに、リーダ200および読み取りプランは、低消費電力、センサ実装100へのデューティサイクル通信、したがってその測定周波数、およびエコシステム300への通信間隔に最適化されるようにカスタマイズされており、読み取りシステムが周期的にスリープできるようになっている。この実装により、センサは、連続して数回読み取ることができ、オーバーサンプリングを適用して解像度を高め、適用される読み取り速度と比較してゆっくり変化する温度測定のノイズを低減することができるため、センサの温度測定精度が向上し、それにより深部温度の計算精度を高めることができる。リーダ200に実装された標準のワイヤレスおよび有線のネットワーク通信プロトコルおよび方法は、エコシステム300への通信の単一のメインチャネルとして機能し、また例えば、メイン通信が失敗した場合のバックアップシステムを備えることができる。さらに、リーダ200は、メイン通信チャネルが一時的に失敗した場合、および/またはアックアップ通信チャネルが一時的に失敗した場合のバックアップシステムを備えることができる。リーダ200は、例えば、エコシステムに通信されるデータを暗号化するためのハードウェアまたはソフトウェアの方法も含むことができる。リーダ200へのネットワーク通信を通じて、例えばIPアドレスを通じて、現在のジオロケーションを目的(例えば、規制要件、場所、および社会の流行病および非流行病の追跡による動作モードの設定、温度、湿度、気圧などのローカルな環境条件の検索であり得る)のためにエコシステムに記録することができる。さらに、リーダ設計は気流設計280を含む。気流設計280は、周囲センサ270を、例えば、リーダ200の内側の空気または乾燥空気の加熱に起因する影響から分離し、周囲状態のより正確な検知を保証する。
【0108】
図19は、リーダ200が天井に配置され、センサ100が患者の額に取り付けられている、典型的なシナリオを示す図である。
【0109】
[代替的な実施形態]
上記の実施形態には多くのバリエーションが考えられる。例えば、ワイヤレスセンサ実装のアンテナ130を使用する場合、アンテナは、空気中ではなく、生体の表面上、例えば人間の皮膚の上で動作するように当業者によって設計される。
【0110】
別の変形例は、アンテナ性能を改善するために、例えば人間の頭蓋の前頭骨など、生体または生体の一部を建設的に使用するようにアンテナ130を設計することである。
【0111】
他の変形例は、ワイヤレスセンサシステムを様々な基板材料および形状で実装し、生体で様々な方法で使用するように設計することである。人間の場合、これは、例えばコンタクトレンズもしくは耳栓、イヤリングもしくは他の宝飾品であり、あるいは靴、衣類の布地、包帯、医療用ギプスまたは石膏、ブリーフ、おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、プロテーゼ、コルセットまたはその他の医療および非医療支援または支援デバイスに実装されるものである。
【0112】
これの別の変形例は、複数の無線プロトコルおよび標準規格を使用したワイヤレスセンサ実装であり、より広い使用範囲と動作範囲を可能にする。これは、例えば、複数の無線プロトコル、既存の無線プロトコルと新規の無線プロトコルとの組み合わせ、後者に基づくカスタムプロトコル、または複数の他の無線プロトコルとすることができる。
【0113】
高齢の患者に使用されるセンサのいくつかの実施形態では、温度センサ、水分、およびPHセンサのような例えば簡単に実装された化学センサの組み合わせは、高齢者の生活の質を高める手段を提供し、高齢者介護施設でのルーチンの質を保証する。このようなセンサの組み合わせは、アシドーシス、脱水症、下痢、腎不全および尿路感染症などの、いくつかの医学的および非医学的状態に関する早期の徴候を検出することに加えて、概要の内容を分類することができる。
【0114】
他の実施形態では、センサシステムとして実装される温度、圧力、近接性、方向、変位、および加速度センサの組み合わせは、皮膚と、例えば背中および首の多くの怪我の手術後および先天性異常からの矯正手術後に使用されるコルセットとの間にある場合、例えば、医療補助器具の使用を検出することができる。このシステムは、使用具合がきつ過ぎる場合や緩すぎる場合に、使用中の患者の動きや活動を検出し、使用中の補助変位をサポートすることができる。結果を改善するための患者へのさらなるアドバイス、治療、およびモチベーションをサポートおよび支援するためのデータ基板を医師に提供する。
【0115】
さらに他の実施形態では、温度、水分および光、例えば紫外線を組み合わせたセンサの組み合わせは、高熱症、子どもや高齢者の過熱および日光への過度の露出を検出するセンサシステムとして機能することができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の温度センサを、生体インピーダンスセンサと組み合わせることができ、該システムは、脱水を検出することができる。
【0116】
さらに他の実施形態では、センサは、温度検知、水分およびPHレベルを含む群からの1つまたは複数のセンサと組み合わされ、生体インピーダンスと組み合わせて、例えば、火傷のスマート包帯として機能することができ、感染による深部および/または発熱と比較した表面温度の上昇、特定の細菌感染によるPHレベルの変化、および細菌増殖からの排出による水分増加によって、傷に対する注意が必要かどうかを検出する。世話人は、新しい皮膚の発達を保護する瘡蓋の破壊によって新たな感染症を不必要に引き起こし得る、不要な包帯の取り換えを避けることができる。他の実施形態では、例えば、いびきと無呼吸の検出器として機能するために、温度センサを、音声、ノイズ、音、加速度計などのセンサと組み合わせることができ、音声と振動を組み合わせて在宅医療市場に低コストのテストを提供する。
【0117】
さらに他の実施形態において、温度、加速度計、変位および力などのセンサの組み合わせは、例えば、膝の半月板手術後の間接の柔軟性と使用を検出する手段を提供し、膝の感染または炎症によって引き起こされる局所温度の発生を検出することさえできる。患者および医師に情報を提供して、治療と回復を改善する。
【0118】
さらに他の実施形態では、患者の発熱による発疹、赤面、肌の色の画像がキャプチャされる。これは、患者をモニタリングするために該患者から収集された体温パターンおよびその他の重要なデータとともに使用される。発疹の一時的な発生は、発熱パターンとともに病気を判定するために使用することができる。
【0119】
[産業上の利用可能性]
本出願にしたがう発明は、生体の深部温度の連続的なモニタリングに用途を見出している。その例としては、病気を減らし、受精のタイミングを改善することで、家畜の病気および繁殖をモニタリングして、生産および収量を最大化することができる。
【符号の説明】
【0120】
100:アンテナ、無線チップ、センサおよび熱伝導体を有するセンサ実装
101:ボンディングワイヤ
102:RF整流器に接続されたボンディングワイヤ
103:周囲への熱伝導体である銅(CU)製の最上層
104:接触面に接続された露出金属
105:ヒートパイプ/導体として動作するPCBビア
106:金属層
107:ヒートパイプ/導体としてではなく電気接続としてのみ動作するPCBビア
110:無線チップに接続された温度センサ
114:熱伝導体
120:無線チップに接続された温度センサ
122:断熱材,基板
124:2つのサーミスタ間の熱流束
125:センサ実装のアンテナ部の下における伝導体と金属の裏当ておよび接着剤との間のスペース/隙間
130:センサ実装のアンテナ部
132:最上層の専用アンテナ領域
133:最下層のサーミスタへの遷移および接続
135:センサ実装の無線、プロトコル、コントローラ部
137:第2のセンサへの接続がルーティングされる設計上のアンテナ領域の切り抜き
138:アンテナの金属製リフレクタ部
139:熱伝導体への接続に適合する金属製リフレクタの切り抜き
140:センサ実装の環境発電部
142:最上層の専用環境発電領域
144:センサ実装の印刷層
150:センサ実装のエネルギー貯蔵部
152:センサ実装を測定面に固定する接着剤
155:皮膚への熱伝導体接触位置における接着剤の切り抜き
170:センサ実装および形状のバリエーション例
180:センサチップおよびアンテナが埋設されているメイン基板
182:2つのセンサ間の接続配線
200:アンテナ、無線リーダチップ、処理チップ、インタフェース、データストレージ、センサおよび気流設計を有するリーダ
210:無線リーダチップ
220:無線リーダアンテナ
230:処理およびインタフェースチップ
240:リーダのデータストレージ
250:リーダの無線インタフェース
260:リーダのワイヤレスインタフェース用アンテナ
270:リーダの周囲センサ
280:リーダの周囲センサ用気流設計
290:ワイヤレスインタフェース用の無線
300:インタフェース、信号処理アルゴリズム、処理およびストレージシステムを有するエコシステム
310:エコシステムのユーザストレージ
320:エコシステムのセンサデータストレージ
330:エコシステムの製品データベース
340:ビッグデータアクセス用のエコシステムインタフェース
350:エンドユーザアクセス用のエコシステムインテフェース
360:エコシステムの処理ユニット
370:エコシステムの信号処理アルゴリズム
400:エンドユーザデバイス
420:アプリケーションまたはウェブブラウザを有するエンドユーザデバイス、およびそのストレージユニット
422:アプリケーションまたはブラウザを有するエンドユーザデバイス
424:エンドユーザデバイス内のストレージユニット
500:温度熱流束測定のセットアップ
510:組織/皮膚の熱伝達係数
515:コアと組織/皮膚との間の熱流束
520:コア温度Tc
610:測定環境の空気
615:センサ100と環境との間の熱流束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19