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特許7125952腫瘍を治療するための薬剤の製造におけるBTK阻害剤との組み合わせでのEZH2阻害剤の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】腫瘍を治療するための薬剤の製造におけるBTK阻害剤との組み合わせでのEZH2阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5025 20060101AFI20220818BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61K31/5025
A61K31/4545
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019561276
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 CN2018087246
(87)【国際公開番号】W WO2018210296
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】201710350614.6
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】馬 珂
(72)【発明者】
【氏名】曹 国慶
(72)【発明者】
【氏名】楊 昌永
(72)【発明者】
【氏名】張 連山
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/084494(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/007185(WO,A1)
【文献】特表2016-539134(JP,A)
【文献】特表2016-521266(JP,A)
【文献】特表2014-534178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/5025
A61K 31/4545
A61P 35/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EZH2阻害剤が、式(I):
【化1】
[式中、
環Aは、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;
各R1は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6、-S(O)mNR7R8および-(CH2)xRaからなる群から選択され、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
Raは、ハロゲン、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび-NR7R8からなる群から選択され、ここで、シクロアルキルおよびヘテロシクリルはそれぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
R2は、水素またはアルキルであり、ここで、アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
R3は、水素、アルキル、ハロゲン、シアノ、アルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択される;
各R4は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6、-S(O)mNR7R8および-NR7R8からなる群から選択される;
各R5は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6、-S(O)mNR7R8および-NR7R8からなる群から選択される;
R6は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される;
R7およびR8は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ独立して、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
mは、0、1または2である;
nは、0、1、2または3である;
pは、0、1、2、3、4または5である;
qは、0、1または2である;および
xは、0、1、2または3である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその立体異性体であることを特徴とする、腫瘍を治療するための薬剤の製造におけるEZH2阻害剤とBTK阻害剤の組み合わせの使用であって、
BTK阻害剤が、式(II):
【化2】
[式中、
Aは、CR1およびNからなる群から選択される;
CR1は、水素、ハロゲンおよび任意に置換されたアルキルからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択される;
Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、任意に置換されたアルキルからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルおよび任意に置換されたアルコキシからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択される;
Bは、任意に置換されたアリールから選択され、ここで、置換基は、ハロゲンからなる群から選択される
Lは、単結合またはメチレンである;および
Yは、
【化3】
である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその立体異性体である、使用。
【請求項2】
EZH2阻害剤が、式(IA):
【化4】
[式中、
Gは、CRbRc、C=O、NRd、S(O)mおよび酸素からなる群から選択される;
RbおよびRcはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6および-NR7R8からなる群から選択される;
Rdは、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R6、-C(O)OR6および-S(O)mR6からなる群から選択される;および
R1からR4、R6からR8、n、mおよびqは、請求項1と同意義である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその立体異性体である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
EZH2阻害剤が、式(IB):
【化5】
[式中、
Eは、CHまたは窒素である;
Fは、CRbRc、C=O、NRdおよび酸素からなる群から選択される;
RbおよびRcはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6および-NR7R8からなる群から選択される;
Rdは、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R6、-C(O)OR6および-S(O)mR6からなる群から選択される;
各Reは同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される;
tは、0、1、2、3、4または5である;
xは、0、1、2または3である;
yは、0、1、2または3である;および
R2~R4、R6~R8、mおよびnは、請求項1と同意義である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
EZH2阻害剤が、式(IC):
【化6】
[式中、
各Reは同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される;
tは、0、1、2、3、4または5である;および
R2~R4およびnは、請求項1と同意義である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
EZH2阻害剤が、式(IE):
【化7】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
BTK阻害剤が、式(IIA):
【化8】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
薬学的に許容される塩が、リン酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびベシル酸塩からなる群から選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
組み合わせが、任意に、HDAC阻害剤、CDK4/6阻害剤、ALK阻害剤、JAK2阻害剤、Bcl-2阻害剤、Hsp90阻害剤、グルココルチコイド、ビンカアルカロイド、代謝拮抗剤、DNA損傷剤、レナリドマイド、リツキシマブ、PKC撹乱因子(PKC perturbagen)、Lyn/Fyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、PKCβ阻害剤、IKK阻害剤、20代プロテアソーム、IRF-4、IRAK4抗体、CXCR4抗体、CXCR5抗体、GLS抗体、PLK抗体、CD20抗体、Topo II阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、Ras/MAPK阻害剤およびFGFR1阻害剤からなる群から選択される第3の成分を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
HDAC阻害剤が、パノビノスタット乳酸塩、ベリノスタット、チダミド、ロミデプシン、ボリノスタット、ベキサノスタットおよびエンチノスタットからなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブ、ブリナツモマブ、塩酸チアガビンおよびイトリズマブからなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
Bcl-2阻害剤が、ベネトクラックス、オブリメルセンナトリウム、ABT-737およびHA14-1からなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
Hsp90阻害剤が、セベリパーゼアルファおよびレタスピマイシン塩酸塩からなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項13】
JAK2阻害剤が、クエン酸トファシチニブ、リン酸ルキソリチニブ、レスタウルチニブ、二塩酸モメロチニブ、ペフィシチニブおよびフィルゴチニブからなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項14】
PKC 撹乱因子が、テプレノン、ツルヘアル(Truheal)、HO/03/03、ソトラスタウリン、エンザスタウリンおよびGF109203Xからなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項15】
ALK阻害剤が、アレクチニブ塩酸塩、セリチニブ、クリゾチニブ、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、塩酸クロルメチンおよびNVP-TAE684からなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項16】
PI3K阻害剤が、GS-1101、IPI-145、BKM120、BEZ235、GDC-0941、AMG319、CAL-101およびA66からなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項17】
IKK阻害剤が、オーラノフィン、BAY 86-9766およびRDEA-119からなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項18】
腫瘍が、リンパ腫である、請求項8に記載の使用。
【請求項19】
腫瘍が、非ホジキンリンパ腫である、請求項18に記載の使用
【請求項20】
腫瘍が、B細胞増殖性疾患である;ここで、B細胞増殖性疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、高リスクCLLまたは非CLL/SLLリンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、前駆B細胞腫瘍、前駆Bリンパ芽球性白血病(またはリンパ腫)、成熟(末梢)B細胞腫瘍、リンパ形質細胞性リンパ腫(または免疫芽腫)、節外粘膜関連リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞腫(または形質細胞骨髄腫)、ワルデンストレームのマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫(BL)、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫または節外辺縁帯B細胞リンパ腫、急性または慢性骨髄性(または骨髄)白血病、骨髄異形成症候群および急性リンパ芽球性白血病からなる群から選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
EZH2阻害剤対BTK阻害剤の比が、0.001-1000である、請求項18に記載の使用。
【請求項22】
EZH2阻害剤対BTK阻害剤の比が、0.01-100である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
EZH2阻害剤対BTK阻害剤の比が、0.1-10である、請求項21に記載の使用。
【請求項24】
EZH2阻害剤の投与量が、1-2000 mgであり;およびBTK阻害剤の投与量が、1-1000 mgである、請求項21に記載の使用。
【請求項25】
EZH2阻害剤の投与量が、10 mg、50 mg、100 mg、150 mg、200 mg、300 mg、400 mg、800 mgまたは1600 mgであり;およびBTK阻害剤の投与量が、10 mg、20 mg、50 mg、80 mg、100 mg、150 mg、160 mg、200 mg、250 mg、300 mg、350 mg、500 mgまたは650 mgである、請求項13に記載の使用。
である、請求項21に記載の使用。
【請求項26】
請求項1~7のいずれか1つに記載のEZH2阻害剤およびBTK阻害剤、ならにび1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EZH2阻害剤およびBTK阻害剤の組み合わせ、ならびに腫瘍を治療するための薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リンパ腫は、リンパ節および/または節外性リンパ組織に由来するリンパ系悪性腫瘍である。病理学におけるリード・スターンバーグ細胞(R-S細胞)の存在に応じて、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分類される。2015年において、中国の悪性リンパ腫の発生率は8.82/100,000であり、あらゆる種類の腫瘍の発生率において11位であった。男性の悪性リンパ腫の発生率は女性のそれよりも高く、それぞれ5.30/100,000と3.52/100,000である。2015年において、中国における悪性リンパ腫の死亡率は5.21/100,000であり、腫瘍死症例の中で10位であった。
【0003】
アジアでは、リンパ腫患者の90%がNHL患者であり、病理学的分化度が異なるリンパ球、組織球または細網細胞を有する。NHLの自然経過によると、NHLは3つの主要な臨床タイプ、すなわち高侵襲性、侵襲性、および無痛性リンパ腫に分類することができる。リンパ球の起源の違いにより、B細胞、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫に分類することができる。B細胞の主な機能は、さまざまな抗体を分泌して、さまざまな外部からの侵襲から身体を保護することである。
【0004】
EZH2遺伝子によってコードされるヒストンメチルトランスフェラーゼは、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)の触媒成分である。EZH2レベルは、正常組織と比較して癌組織で異常に上昇しており、EZH2は進行性腫瘍または予後不良において最も高発現している。腫瘍の種類によっては、EZH2遺伝子の増幅と同時にEZH2の過剰発現が起こる。多くのsi/shRNA実験研究は、腫瘍細胞株におけるEZH2発現の減少が腫瘍細胞の増殖、移動および浸潤、または血管新生を阻害し、アポトーシスにつながることを示している。WO2017084494(PCT/CN2016/104318、2016年11月2日出願)は、次の構造を持つEZH2阻害剤を開示している:
【化1】
【0005】
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、チロシンキナーゼサブファミリーの員のであり、キナーゼのTecファミリーに属する。それは、主にB細胞に発現し、リンパ系、造血系および血液系に分布している。B細胞受容体(BCR)は、慢性リンパ性白血病(CLL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、およびびまん性大B-細胞リンパ腫(DLBCL)のサブタイプなどのさまざまなリンパ腫の増殖および生存の調節において重要な役割を果たす。さらに、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、および他の免疫疾患の病因におけるB細胞の効果が、臨床診療で証明されている。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、BCRシグナル伝達経路の重要なプロテインキナーゼである。それは、正常なB細胞の成熟と分化を調節することができ、B細胞リンパ組織障害のさまざまな疾患とも密接に関連している。したがって、BTKを標的とする小分子阻害剤は、B細胞悪性腫瘍および自己免疫疾患の治療に有益でありうる。WO2016007185A1(2014年1月14日公開)は、次の構造を持つBTK阻害剤を開示している:
【化2】
【0006】
胚中心に位置するB細胞は、胚中心B細胞(GC B細胞)と呼ばれる。GC B細胞は非常に急速に分裂し、侵襲性の感染症を防ぐ高親和性抗体を産生することを成し遂げ、残りのGC B細胞はアポトーシス性である。GC B細胞の急速な分裂と同時のVDJ再配列により、DNA修復は弱められる。したがって、胚中心はリンパ腫形成のエンジンである。残念ながら、これが起きると、他の多くの遺伝子も変異し、最終的には胚中心B細胞様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫や濾胞性リンパ腫などのリンパ腫の形成につながる。
【0007】
胚中心に由来するB細胞リンパ腫は、BTKおよびEZH2突然変異(Y641、Y646、A682、A692など)の持続的な活性化または過剰発現を示すことが示されている。BTK阻害剤とEZH2阻害剤の併用は、BTKとEZH2の異常な(または過剰な)活性化(または過剰発現)によって引き起こされる腫瘍細胞の増殖を同時に抑制することができ、相乗的な抗腫瘍効果をもたらす。
【0008】
特許出願WO2014168975A1(2014年10月16日公開)、WO2014166820A1(2014年10月16日公開)およびWO2015146159A1(2015年10月1日公開)は、B細胞増殖性疾患の治療におけるEZH2阻害剤とBTK阻害剤の併用を開示している。本発明は、EZH2阻害剤とBTK阻害剤が新規な構造を有し、相乗効果を有する、腫瘍を治療するための薬剤の製造におけるEZH2阻害剤とBTK阻害剤の組み合わせの使用を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概略
本発明によって解決されるべき技術的問題は、腫瘍を治療するための薬剤の製造において、EZH2阻害剤とBTK阻害剤の組み合わせの使用を提供することであり、ここで、その併用は、相乗効果を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の技術的解決策は以下の通りである:
本発明は、EZH2阻害剤が、式(I):
【化3】
[式中、
環Aは、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;
各R1は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6、-S(O)mNR7R8および-(CH2)xRaからなる群から選択され、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
Raは、ハロゲン、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよび-NR7R8からなる群から選択され、ここで、シクロアルキルおよびヘテロシクリルはそれぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
R2は、水素またはアルキルであり、ここで、アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
R3は、水素、アルキル、ハロゲン、シアノ、アルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択される;
各R4は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6、-S(O)mNR7R8および-NR7R8からなる群から選択される;
各R5は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、オキソ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6、-S(O)mNR7R8および-NR7R8からなる群から選択される;
R6は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される;
R7およびR8は同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、アルキル、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ独立して、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
mは、0、1または2である;
nは、0、1、2または3である;
pは、0、1、2、3、4または5である;
qは、0、1または2である;および
xは、0、1、2または3である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその立体異性体であることを特徴とする、腫瘍を治療するための薬剤の製造におけるEZH2阻害剤とBTK阻害剤の組み合わせの使用を提供する。
【0011】
好ましくは、EZH2阻害剤は、式(IA):
【化4】
[式中、
Gは、CRbRc、C=O、NRd、S(O)mおよび酸素からなる群から選択される;
RbおよびRcはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6および-NR7R8からなる群から選択される;
Rdは、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R6、-C(O)OR6および-S(O)mR6からなる群から選択される;および
R1からR4、R6からR8、n、mおよびqは、請求項1と同意義である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその立体異性体である。
【0012】
さらに好ましくは、EZH2阻害剤は、式(IB):
【化5】
[式中、
Eは、CHまたは窒素である;
Fは、CRbRc、C=O、NRdおよび酸素からなる群から選択される;
RbおよびRcはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR6、-C(O)R6、-C(O)OR6、-S(O)mR6および-NR7R8からなる群から選択される;
Rdは、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)R6、-C(O)OR6および-S(O)mR6からなる群から選択される;
各Reは同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される;
tは、0、1、2、3、4または5である;
xは、0、1、2または3である;
yは、0、1、2または3である;および
R2~R4、R6~R8、mおよびnは、請求項1と同意義である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0013】
さらに好ましくは、EZH2阻害剤は、式(IC):
【化6】
[式中、
各Reは同一もしくは異なり、それぞれ独立して、水素、アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される;
tは、0、1、2、3、4または5である;および
R2~R4およびnは、請求項1と同意義である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0014】
さらに好ましくは、EZH2阻害剤は、式(ID):
【化7】
[式中、
Reは、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される;および
R2~R4およびnは、請求項1と同意義である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0015】
さらに好ましくは、EZH2阻害剤は、式(IE):
【化8】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0016】
上記実施態様では、BTK阻害剤は、式(II):
【化9】
[式中、
Aは、CR1およびNからなる群から選択される;
CR1は、水素、ハロゲンおよび任意に置換されたアルキルからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択される;
Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、任意に置換されたアルキルからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルおよび任意に置換されたアルコキシからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択される;
Bは、水素、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールおよび任意に置換されたヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択される;
Lは、結合および任意に置換されたアルキルからなる群から選択される;および
Yは、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールおよび任意に置換されたヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキニルカルボニルおよびハロアルキルからなる群から選択される]
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその立体異性体である。
【0017】
好ましくは、BTK阻害剤は、式(IIA):
【化10】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0018】
本発明の1つの実施態様では、薬学的に許容される塩は、リン酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびベシル酸塩からなる群から選択される。
【0019】
本発明のもう1つの実施態様では、BTK阻害剤は、イブルチニブ、アカラブルチニブ、MSC-2364447、スペブルチニブ、HM-71224、プレビトレキセド、GS-4059、GDC-0853、SNS-062、CGP-53716、イドキシフェン、BTG-511、バノキサントロン、グルカルピダーゼ、抗ジゴキシンポリクローナル抗体、マムシ類(Crotalidae)多価免疫Fab(ヒツジ、BTG)およびオテリキシズマブからなる群から選択される。
【0020】
上記実施態様では、組み合わせは、任意に、HDAC阻害剤、CDK4/6阻害剤、ALK阻害剤、JAK2阻害剤、Bcl-2阻害剤、Hsp90阻害剤、グルココルチコイド、ビンカアルカロイド、代謝拮抗剤、DNA損傷剤、レナリドマイド、リツキシマブ、PKC撹乱因子(PKC perturbagen)、Lyn/Fyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、PKCβ阻害剤、IKK阻害剤、20代プロテアソーム、IRF-4、IRAK4抗体、CXCR4抗体、CXCR5抗体、GLS抗体、PLK抗体、CD20抗体、Topo II阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、Ras/MAPK阻害剤およびFGFR1阻害剤からなる群から選択される第3の成分を含む;ここで、HDAC阻害剤は、パノビノスタット乳酸塩、ベリノスタット、チダミド、ロミデプシン、ボリノスタット、ベキサノスタットおよびエンチノスタットからなる群から選択されるのが好ましい;CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、ブリナツモマブ、塩酸チアガビンおよびイトリズマブからなる群から選択されるのが好ましい;Bcl-2阻害剤は、ベネトクラックス、オブリメルセンナトリウム、ABT-737およびHA14-1からなる群から選択されるのが好ましい;Hsp90阻害剤は、セベリパーゼアルファおよびレタスピマイシン塩酸塩からなる群から選択されるのが好ましい;JAK2阻害剤は、クエン酸トファシチニブ、リン酸ルキソリチニブ、レスタウルチニブ、二塩酸モメロチニブ、ペフィシチニブおよびフィルゴチニブからなる群から選択されるのが好ましい;PKC 撹乱因子は、テプレノン、ツルヘアル(Truheal)、HO/03/03、ソトラスタウリン、エンザスタウリンおよびGF109203Xからなる群から選択されるのが好ましい;ALK阻害剤は、アレクチニブ塩酸塩、セリチニブ、クリゾチニブ、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、塩酸クロルメチンおよびNVP-TAE684からなる群から選択されるのが好ましい;PI3K阻害剤は、GS-1101、IPI-145、BKM120、BEZ235、GDC-0941、AMG319、CAL-101およびA66からなる群から選択されるのが好ましい;IKK阻害剤は、オーラノフィン、BAY 86-9766およびRDEA-119からなる群から選択されるのが好ましい。
【0021】
上記実施態様では、組み合わせは、相乗効果を有する。
【0022】
本発明は、上記EZH2阻害剤とBTK阻害剤を患者に投与することを含む、腫瘍の治療方法を提供する。
【0023】
本発明の使用によれば、腫瘍は、リンパ腫、好ましくは、非ホジキンリンパ腫、より好ましくは、B細胞増殖性疾患である;ここで、B細胞増殖性疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、高リスクCLLまたは非CLL/SLLリンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、前駆B細胞腫瘍、前駆Bリンパ芽球性白血病(またはリンパ腫)、成熟(末梢)B細胞腫瘍、リンパ形質細胞性リンパ腫(または免疫芽腫)、節外粘膜関連リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞腫(または形質細胞骨髄腫)、ワルデンストレームのマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫(BL)、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫または節外辺縁帯B細胞リンパ腫、急性または慢性骨髄性(または骨髄)白血病、骨髄異形成症候群および急性リンパ芽球性白血病からなる群から選択される。
【0024】
本発明は、腫瘍を治療するための薬剤として使用するための上記EZH2阻害剤と上記BTK阻害剤の組み合わせを提供する。
【0025】
本発明の使用によれば、EZH2阻害剤対BTK阻害剤の比は、0.001-1000、好ましくは、0.01-100、より好ましくは、0.1-10、およびさらに好ましくは、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、2:1、2:3、2:5、2:7、2:9、2:11、2:13、2:15、2:17、2:19、2:21、3:1、3:2、3:4、3:5、3:7、3:8、3:10、3:11、3:13、3:14、3:16、3:17、3:19、3:20、4:1、4:3、4:5、4:7、4:9、4:11、4:13、4:15、4:17、4:19、4:21、5:1、5:2、5:3、5:4、5:6、5:7、5:8、5:9、5:11、5:12、5:13、5:14、5:16、5:17、5:18、5:19、5:21、6:1、6:5、6:7、6:11、6:13、6:17、6:19、7:1、7:2、7:3、7:5、7:6、7:8、7:9、7:10、7:11、7:12、7:13、7:15、7:16、7:17、7:18、7:19、7:20、8:1、8:3、8:5、8:7、8:9、8:11、8:13、8:15、8:17、8:19、9:1、9:2、9:4、9:5、9:7、9:8、9:10、9:11、9:13、9:14、9:16、9:17、9:19、9:20、10:1、10:3、10:7、10:9、10:11、10:13、10:17、または10:19である。
【0026】
本発明の使用によれば、EZH2阻害剤は、0.1-5000 mg、好ましくは、1-2000 mgである。
【0027】
本発明の使用によれば、BTK阻害剤は、0.1-2000 mg、好ましくは、1-1000 mgである。
【0028】
本発明では、EZH2阻害剤の投与量は、0.1-5000 mg、好ましくは、10 mg、50 mg、100 mg、150 mg、200 mg、250 mg、300 mg、350 mg、400 mg、400 mg、500 mg、550 mg、600 mg、650 mg、700 mg、750 mg、800 mg、8500 mg、900 mg、950 mg、1000 mg、1200 mg、1250 mg、1300 mg、1400 mg、1500 mg、1600 mg、1700 mg、1800 mg、1900 mg、2000 mg、2100 mg、2200 mg、2300 mg、2400 mg、2500 mg、2600 mg、2700 mg、2800 mg、2900 mg、3000 mg、3500 mg、4000 mg、4500 mg、または5000 mgである;BTK阻害剤の投与量は、0.1-2000 mg、好ましくは、10 mg、20 mg、30 mg、50 mg、80 mg、90 mg、100 mg、150 mg、160 mg、200 mg、250 mg、300 mg、350 mg、500 mg、650 mg、700 mg、750 mg、800 mg、850 mg、900 mg、950 mg、1000 mg、1200 mg、1300 mg、1400 mg、1500 mg、1600 mg、1800 mg、1900 mg、または2000 mgである。
【0029】
本発明の組み合わせの投与様式は、同時投与、別製剤後の同時投与、別製剤後の連続投与からなる群から選択される。
【0030】
本発明はさらに、腫瘍の治療のための薬剤の製造におけるEZH2阻害剤とBTK阻害剤の組み合わせの使用に関し、ここで、EZH2阻害剤の推奨される投与頻度は、1日1回または1日2回であり、BTK阻害剤の推奨される投与頻度は、1日1回である。
【0031】
意義深いことに、本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の組み合わせは、相乗効果を有する。
【0032】
本発明はまた、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤および/または希釈剤を任意に含む、EZH2阻害剤とBTK阻害剤を含む医薬組成物に関する。医薬組成物は、薬学的に許容される剤形のいずれか1つに製剤されうる。たとえば、EZH2阻害剤とBTK阻害剤の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、注射剤(注射溶液、注射用滅菌粉末および注射用濃縮液など)、坐剤、吸入剤または噴霧剤に製剤されうる。
【0033】
さらに、本発明の医薬組成物は、任意の適切な投与様式、たとえば、経口、非経口、直腸、肺内または局所投与により、そのような治療を必要とする患者または対象に投与することもできる。経口投与の場合、医薬組成物は、経口製剤、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤などの経口固形製剤;または経口液体製剤、たとえば、経口液剤、経口懸濁液剤、シロップ剤などなどの経口液体製剤に製剤化することができる。経口製剤に製剤化される場合、医薬組成物は、適切な充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などをさらに含むことができる。
【0034】
本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の医薬組成物は、単独で、または1つ以上の治療薬と組み合わせて投与することができる。したがって、特定の好ましい実施態様では、医薬組成物はさらに、1つ以上の治療薬を含む。
【0035】
組み合わせる成分(たとえば、EZH2阻害剤、BTK阻害剤、第2の治療薬など)は、同時にまたは連続して別々に投与することができる。たとえば、第2の治療薬は、本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の同時投与の前、同時、または後に投与することができる。さらに、組み合わせる成分は、同じ製剤において、または別々の異なる製剤において同時投与することもできる。
【0036】
本発明において、「併用投与」または「共投与」という用語は、2つの薬物が順次または同時に投与されるさまざまな状況を含む投与様式である。本明細書において「同時に」という用語は、EZH2阻害剤とBTK阻害剤が同じ投与サイクルの間に投与されること、たとえば、2つの薬物が2日または1日以内に投与されることを意味する。「順次または連続」投与という用語には、EZH2阻害剤とBTK阻害剤がそれぞれ異なる投与サイクルで投与される状況が含まれる。これらの投与モードはすべて、本発明の併用投与に属する。
【0037】
本発明の「有効量」という用語は、病状の症状または徴候を改善または予防するのに十分な量を包含する。「有効量」という用語は、診断を可能にするか、または促進するのに十分な量をも示す。特定の患者または獣医対象の有効量は、治療される状態、患者の一般的な健康状態、投与経路と投与量、および副作用の重症度などの要因によって異なる。有効量は、重大な副作用または毒性作用を回避する最大用量または投与計画でありうる。
【0038】
定義
本出願の明細書および特許請求の範囲において、特に明記しない限り、本明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。ただし、本発明をよりよく理解するために、いくつかの関連用語の定義と説明を提供する。さらに、本出願で提供される用語の定義および説明が当業者によって一般に理解される意味と一致しない場合、本出願で提供される用語の定義および説明が優先するものとする。
【0039】
本発明で使用される「ハロゲン」または「ハロゲン原子」という用語は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0040】
本発明で使用される「シアノ」という用語は、-CN基を示す。
【0041】
本発明で使用される「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を示す。
【0042】
本発明で使用される「アミノ」という用語は、-NH基を示す。
【0043】
本発明で使用される「カルボキシ」という用語は、-COOH基を示す。
【0044】
本発明で使用される「カルボニル」という用語は、-CO-基を示す。
【0045】
本発明で使用される「ニトロ」という用語は、-NO2基を示す。
【0046】
本発明で使用される「アルキル」という用語は、たとえば「C1-6アルキル」、「C1-4アルキル」などを含む、1~20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを示す。アルキルの具体例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3 -ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1,2-ジメチルプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明で使用される「アルキニル」という用語は、たとえば「C2-6アルキニル」、「C2-4アルキニル」などを含む、2~20個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖アルキニルを示す。アルキニルの例として、エチニル、プロピニル、2-ブチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-メチル-2-ペンチニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、5-メチル-2-ヘキシニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明で使用される「シクロアルキル」という用語は、3~14個の炭素原子、好ましくは3~12個の炭素原子、より好ましくは3~8個の炭素原子、最も好ましくは5~6個の炭素原子を有する飽和または部分不飽和単環式または多環式炭化水素基を示し、シクロアルキルがシクロプロピルであるのが最も好ましい。単環式シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチルなど、好ましくは、シクロプロピル、またはシクロヘキセニルが挙げられる。多環式シクロアルキルとして、スピロ環、縮合環または架橋環を有するシクロアルキルが挙げられる。
【0049】
本発明で使用される「縮合シクロアルキル」という用語は、隣接する2つの原子によって互いに結合した2つ以上の環状構造で形成される、4~15個の炭素原子を有する環状構造を示す。縮合シクロアルキルとして、たとえば、「6~11員の縮合シクロアルキル」、「5~9員の縮合シクロアルキル」、「7~10員の縮合シクロアルキル」、「9~10員の縮合シクロアルキル」などが挙げられる。必要に応じて、環状構造の炭素原子を酸化することができる。縮合シクロアルキルの例として、以下などが挙げられるが、これらに限定されない:
【化11】
【0050】
本発明で使用される「スピロシクロアルキル」という用語は、5~15個の環炭素原子を有する環状構造を示し、1つの炭素原子によって互いに結合した2つ以上の環状構造で形成される。必要に応じて、環状構造の炭素原子を酸化することができる。スピロシクロアルキルとして、たとえば、「6~11員のスピロシクロアルキル」、「5~10員のスピロシクロアルキル」、「7~8員のスピロシシクリル」、「9~10員のスピロシクロアルキル」などが挙げられる。スピロシクロアルキルの具体例として、以下などが挙げられるが、これらに限定されない:
【化12】
【0051】
本発明で使用される「架橋シクロアルキル」という用語は、5~15個の環炭素原子を有する環状構造を示し、2つの非隣接炭素原子によって互いに結合した2つ以上の環状構造で形成される。必要に応じて、環状構造の炭素原子を酸化することができる。架橋シクロアルキルとして、たとえば、「6~11員の架橋シクロアルキル」、「7~10員の架橋シクロアルキル」、「9~10員の架橋シクロアルキル」などが挙げられる。架橋シクロアルキルの具体例として、以下などが挙げられるが、これらに限定されない:
【化13】
【0052】
本発明で使用される「ヘテロシクリル」という用語は、1つ以上の環原子がN、OおよびS(O)からなる群から選択されるヘテロ原子である、3~14員の飽和または部分不飽和単環式または多環式炭化水素基を示し、ここで、1つ以上の環原子は、N、OおよびS(O)m(mは0~2の整数)からなる群から選択されるヘテロ原子であるが、ただし、リング内の-O-O-、-O-S-または-S-S-を除き、残りの環原子は炭素原子である。好ましくは、ヘテロシクリルは、1~4個の原子がヘテロ原子である、3~12個の環原子、より好ましくは3~8個の環原子、より好ましくは5~6個の環原子を有する。単環式ヘテロシクリルの非限定的例として、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニル、ピラニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。多環式ヘテロシクリルとして、スピロ環、縮合環または架橋環を有するヘテロシクリルが挙げられる。
【0053】
本発明で使用される「縮合ヘテロシクリル」という用語は、4~15個の環原子(ここで、少なくとも1個の環原子はヘテロ原子、たとえば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子である)を有する環状構造を示し、隣接する2つの原子によって互いに結合した2つ以上の環状構造で形成される。必要に応じて、環状構造の環原子(炭素原子、窒素原子、硫黄原子など)を酸化することができる。縮合ヘテロシクリルとして、たとえば、「4~12員の縮合ヘテロシクリル」、「5~9員の縮合ヘテロシクリル」、「6~11員の縮合ヘテロシクリル」、「7~9員の縮合ヘテロシクリル」、「9~10員の縮合ヘテロシクリル」などが挙げられる。縮合ヘテロシクリルの具体例として、以下などが挙げられるが、これらに限定されない:ピロリジノシクロプロピル、シクロペンタノアザシクロプロピル、ピロリジノシクロブチル、ピロリジノピロリジニル、ピロリジノピペリジル、ピロリジノピペラジニル、ピロリジノモルホリニル、ピペリジノモルホリニル、ベンゾピロリジニル、テトラヒドロイミダゾ[4,5-c]ピリジル、3,4-ジヒドロキナゾリニル、1,2-ジヒドロキノキサリニル、ベンゾ[d] [1,3]ジオキサシクロペンテニル、1,3-ジヒドロイソベンゾフリル、2H-クロメニル、2-オキソ-2H-クロメニル、4H-クロメニル、4-オキソ-4H-クロメニル、クロマニル、4H-1,3-ベンゾオキサジニル、4,6-ジヒドロ-1H-フロ[3,4-d]イミダゾリル、3a,4,6,6a-テトラヒドロ-1H-フロ[3,4-d]イミダゾリル、4,6-ジヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾリル、4,6-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-d]イミダゾリル、ベンゾイミダゾリジニル、オクタヒドロ-ベンゾ[d]イミダゾリル、デカヒドロキノリル、ヘキサヒドロチエノイミダゾリル、ヘキサヒドロフロイミダゾリル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾリル、オクタヒドロシクロペンテノ[c]ピロリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ベンゾオキサゾリジニル、ベンゾチアゾリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリル、4H-1,3-ベンゾオキサジニル。
【0054】
本発明で使用される「スピロヘテロシクリル」という用語は、5~15個の環原子(ここで、少なくとも1個の環原子はヘテロ原子、たとえば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子である)を有する環状構造を示し、1個の環原子によって互いに結合し2つ以上の環状構造で形成される。必要に応じて、環状構造の環原子(炭素原子、窒素原子、硫黄原子など)を酸化することができる。スピロヘテロシクリルとして、たとえば、「5~11員のスピロヘテロシクリル」、「6~11員のスピロヘテロシクリル」、「6~9員のスピロヘテロシクリル」、「9~10員のスピロヘテロシクリル」などが挙げられる。スピロヘテロシクリルの具体例として、以下などが挙げられるが、これらに限定されない:
【化14】
【0055】
本発明で使用される「架橋ヘテロシクリル」という用語は、5~15個の環原子(ここで、少なくとも1個の環原子はヘテロ原子、たとえば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子である)を有する環状構造を示し、2つの非隣接環原子によって互いに結合した2つ以上の環状構造で形成される。必要に応じて、環状構造の環原子(炭素原子、窒素原子、硫黄原子など)を酸化することができる。架橋ヘテロシクリルとして、たとえば、「5~10員の架橋ヘテロシクリル」、「6~11員の架橋ヘテロシクリル」、「6~9員の架橋ヘテロシクリル」、「7~9員の架橋ヘテロシクリル」などが挙げられる。架橋ヘテロシクリルの具体例として、以下などが挙げられるが、これらに限定されない:
【化15】
【0056】
本発明で使用される「ハロアルキル」という用語は、「アルキル」に由来する基を示し、ここで、1つ以上の水素原子は1つ以上の「ハロゲン原子」で置換され、「ハロゲン原子」および「アルキル」という用語は、上記と同意義である。
【0057】
本発明で使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は、1つ以上の水素原子が1つ以上の「ヒドロキシ」で置換された「アルキル」に由来する基を示し、用語「アルキル」は、上記と同意義である。
【0058】
本発明で使用される「アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボキシ、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキルまたはジアルキルアミノ」という用語は、アルキル-O-、ハロアルキル-O-、アルキル-C(O)-、アルキル-O-C(O)-、アルキル-C(O)-NH-、アルキル-NH-C(O)-、(アルキル)2-NH-C(O)-、アルキル-C(O)-O-、ハロアルキル-C(O)-、シクロアルキル-アルキル-、シクロアルキル-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-、アルキル-NH-、アルキル-NH-アルキル-または(アルキル)2-N-という結合形態をもつ基を示し、ここで、「アルキル、ハロアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリル」という用語は、上記と同意義である。
【0059】
本発明で使用される「アリール」という用語は、共役π電子系を有する、6~14員の全炭素単環式環または多環式縮合環(すなわち、系内の別の環と、隣接する炭素原子の対を共有する)、好ましくは、6~8員のアリール、より好ましくはフェニル、アントリルおよびフェナントリル、最も好ましくはフェニルを示す。アリールの環は、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキルの環に縮合することができ、ここで、親構造に結合している環は、アリール環である。その非限定的な例として、以下が挙げられる:
【化16】
【0060】
本発明で使用される「ヘテロアリール」という用語は、共役π電子系を有し、さらにO、SおよびNからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を有する、5~15員の全炭素単環または縮合多環環基を示す。ヘテロアリールは、好ましくは、5~8員のヘテロアリールであり、より好ましくは、5または6員のヘテロアリールである。ヘテロアリールの具体例として、フリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、ピリジル、2-ピリドニル、4-ピリドニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,4,5-テトラジニル、アザシクロヘプタトリエニル、1,3-ジアザシクロヘプタトリエニル、アザシクロオクタテトラエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールの環は、アリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルでありえ、ここで、親構造に結合する環は、ヘテロアリール環である。その非限定的例として、以下が挙げられる:
【化17】
【0061】
本発明で使用される「炭素原子、窒素原子または硫黄原子は、酸化される」という表現は、C=O、N=O、S=OまたはSO2構造の形成を示す。
【0062】
「置換された」とは、対応する数の置換基で独立して置換された、基内の1つ以上の水素原子、好ましくは5個まで、より好ましくは1~3個の水素原子を示す。置換基が、可能な化学的位置にのみ存在することは言うまでもない。当業者は、過剰な努力を払うことなく、実験または理論によって置換が可能か不可能かを判断することができる。たとえば、遊離水素を有するアミノまたはヒドロキシおよび不飽和結合(オレフィンなど)を含む炭素原子の組み合わせは、不安定になる可能性がある。
【0063】
本発明の有利な効果
従来技術と比較して、本発明の技術的解決は、以下の利点を有する:
本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の併用投与は、SU-DHL-4およびSU-DHL-6細胞の増殖に対する有意な阻害効果、ならびに相乗効果を有する;併用投与はまた、B細胞リンパ腫DOHH-2細胞の増殖に対する有意な阻害効果、ならびに有意な相乗効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】SU-DHL-4細胞の増殖に対する、本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の併用投与(化合物Aと化合物Bのモル比=1:2)および単一成分(化合物B、化合物A)の投与の阻害効果を示す。
図2】SU-DHL-6細胞の増殖に対する、本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の併用投与(化合物Aと化合物Bのモル比=1:4)および単一成分(化合物B、化合物A)の投与の阻害効果を示す。
図3】リンパ腫DOHH-2細胞を接種したヌードマウスの皮下移植腫瘍に対する、本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の併用投与(化合物Bと化合物Aの組み合わせ)および単一成分(化合物B、化合物A)の投与の有効性を示す。
図4】リンパ腫DOHH-2細胞を皮下接種したヌードマウスの体重に対する、本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の併用投与(化合物Bと化合物Aの組み合わせ)および単一成分(化合物B、化合物A)の投与の有効性を示す。
図5】B細胞リンパ腫SU-DHL-4細胞を接種したマウスの皮下移植腫瘍に対する、本発明のEZH2阻害剤とBTK阻害剤の併用投与(化合物Bと化合物Aの組み合わせ)および単一成分(化合物B、化合物A)の投与の有効性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
発明の詳細な記載
本発明の組成物の好ましい活性および有益な技術的効果を実証するために、糖尿病の治療における本発明の組成物の医学的使用のための例示的な実験的解決策を以下に提供する。しかし、以下の実験的解決策は本発明の単なる例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。当業者は、本明細書の教示に基づいて、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の技術的解決策に適切な修正または変更を加えることができる。
【0066】
比較例1
式(IE)で表されるN-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミド(化合物B)の調製
【化18】
【化19】
【0067】
ステップ1
3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸
2-エチル安息香酸1a(20.0 g、133 mmol、"Journal of the American Chemical Society、1991、113(13)、4931-6"に開示の方法にしたがって調製)を150 mLの硫酸に加え、次いで、硝酸ナトリウム(11.3 g、133 mmol)を氷浴中で分けて加えた。反応溶液を3時間撹拌し、次いで、N-ブロモスクシンイミド(2.6 g、14.5 mmol)を分けて加えた。反応系を60℃にて1時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を氷水に注ぎ入れ、よく撹拌し、ろ過した。ろ液を水で洗浄し、減圧濃縮して、粗標記生成物3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸1b(35 g)を白色固体で得、精製することなく次のステップに直接用いた。
【0068】
ステップ2
3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸メチル
粗3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸1b(35 g、128 mmol)を200 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、次いで、ヨードメタン(21.8 g、153 mmol)および炭酸カリウム(35.3 g、255 mmol)を加えた。反応系を室温にて2時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を減圧濃縮した。反応溶液に過剰の水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、粗標記生成物3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸メチル1c(36 g)を黄色油状物で得、精製することなく次のステップに直接用いた。
【0069】
ステップ3
5-アミノ-3-ブロモ-2-エチル安息香酸メチル
粗3-ブロモ-2-エチル-5-ニトロ安息香酸メチル1c(35.0 g、121 mmol)を250 mLのエタノールおよび150 mLの水に加えた。反応溶液を70℃に加熱し、塩化アンモニウム(52.8 g、969 mmol)を加え、次いで、鉄粉(34 g、606 mmol)を分けて加えた。反応系を70℃にて2時間撹拌した2。反応が完了した後、反応溶液を加熱しながらセライトでろ過した。ろ過ケーキを熱エタノールで洗浄し、次いで、ろ液を合わせ、減圧濃縮した。酢酸エチルおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えた。二相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物5-アミノ-3-ブロモ-2-エチル安息香酸メチル1d(22.0 g、収率70%)を、黄色固体で得た。
【0070】
ステップ4
3-ブロモ-2-エチル-5-ヒドロキシ安息香酸メチル
5-アミノ-3-ブロモ-2-エチル安息香酸メチル1d(15.0 g、58 mmol)を10 mLのアセトニトリルに溶解し、次いで、200 mLの10% 硫酸を加えた。反応溶液をよく撹拌し、氷浴で3℃に冷却し、次いで、10 mLの亜硝酸ナトリウムの予め調製した溶液(4.4 g、64 mmol)を滴下した。反応溶液を上記温度にて4時間撹拌し、200 mLの50% 硫酸を滴下し、次いで、90℃にて1時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を酢酸エチルで3回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物3-ブロモ-2-エチル-5-ヒドロキシ安息香酸メチル1e(5.5 g、収率37%)を褐色固体で得た。
【0071】
ステップ5
3-ブロモ-5-(2,2-ジエトキシエトキシ)-2-エチル安息香酸メチル
3-ブロモ-2-エチル-5-ヒドロキシ安息香酸メチル1e(35 g、135 mmol)を200 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、次いで、2-ブロモ-1,1-ジエトキシエタン(40 g、202 mmol)および炭酸カリウム(37 g、269 mmol)を加えた。反応系を120℃にて12時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を減圧濃縮して、N,N-ジメチルホルムアミドを除去した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物3-ブロモ-5-(2,2-ジエトキシエトキシ)-2-エチル安息香酸メチル1f(40 g、収率80%)を淡黄色油状物で得た。
【0072】
ステップ6
6-ブロモ-5-エチルベンゾフラン-4-カルボン酸メチル
ポリリン酸(30 g)を400 mLのトルエンに加えた。反応溶液を100℃に加熱し、50 mLの3-ブロモ-5-(2,2-ジエトキシエトキシ)-2-エチル安息香酸メチル1f(40 g、107 mmol)の予め調製したトルエン溶液を撹拌しながら加えた。反応溶液を100℃にて16時間撹拌した。反応が完了した後、上清をデカントした。残渣に水および酢酸エチルを加えた。二相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、飽和炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物6-ブロモ-5-エチルベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1g(11.8 g、収率39%)を黄色固体で得た。
【0073】
ステップ7
5-エチル-6-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル
6-ブロモ-5-エチルベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1g(11.0 g、39 mmol)、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(5.89 g、58 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(3.6 g、3.9 mmol)、(.9 mmol)ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン(4.86 g、7.8 mmol)および炭酸セシウム(38 g、117 mmol)を、100 mLのトルエンに溶解した。反応溶液を100℃にて12時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液をセライトでろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物5-エチル-6-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1h(10.0 g、収率85%)を黄色固体で得た。
【0074】
ステップ8
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル
5-エチル-6-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1h(10.0 g、0.033 mmol)を150 mLの1,2-ジクロロエタンに溶解し、次いで、アセトアルデヒド(7.2 g、0.165 mmol)および酢酸(9.9 g、0.165 mmol)を加えた。反応溶液を1時間撹拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(20.8 g、0.1 mmol)を加えた。反応溶液を室温にて12時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を減圧濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1i(7.8 g、収率71%)を白色固体で得た。
MS m/z(LC-MS):332.4 [M+1]
【0075】
ステップ9
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-ホルミルベンゾフラン-4-カルボン酸メチル
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1i(1.6 g、4.8 mmol)を25 mLのテトラヒドロフランに溶解した。反応溶液を-70℃に冷却し、アルゴン雰囲気下、2.0 Mのリチウムジイソプロピルアミド(3.6 mL、7.3 mmol)を滴下した。反応溶液を90分間撹拌し、N,N-ジメチルホルムアミド(536 mg、7.3 mmol)を加えた。反応溶液を2時間撹拌し、次いで、室温までゆっくりと温めた。反応溶液に過剰の塩化アンモニウムを加え、よく撹拌し、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-ホルミルベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1j(1.3 g、収率75%)を黄色油状物で得た。
MS m/z(ESI):360.2 [M+1]
【0076】
ステップ10
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-ホルミルベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1j(1.4 g、3.9 mmol)を5 mLのテトラヒドロフランおよび10 mLのメタノールに溶解し、次いで、水素化ホウ素ナトリウム(222 mg、5.8 mmol)を加えた。反応溶液を室温にて30分間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を減圧濃縮し、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてn-ヘキサンおよび酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1k(1.4 g、収率99%)を黄色油状物で得た。
【0077】
ステップ11
2-(ブロモメチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1k(1.0 g、2.8 mmol)を30 mLのテトラヒドロフランに溶解し、次いで、三臭化リン(1.12 g、4.2 mmol)を滴下した。反応溶液を室温にて12時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、粗標記生成物2-(ブロモメチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル11(1.15 g)を黄色油状物で得、精製することなく次のステップに直接用いた。
【0078】
ステップ12
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル
粗2-(ブロモメチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル11(1.15 g、2.7 mmol)を15 mLのアセトニトリルに溶解し、次いで、予め調製したアセトニトリル中のピペリジンの溶液(362 mg、4.3 mmol)10 mLを滴下した。反応溶液を撹拌し、室温にて30分間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を減圧濃縮し、酢酸エチルおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えた。二相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られる残渣を、溶離液としてジクロロメタンおよびメタノールを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1m(1.2 g、収率99%)を黄色油状物で得た。
MS m/z(LC-MS):429.2[M+1]
【0079】
ステップ13
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸メチル1m(1.2 g、2.7 mmol)を5 mLのテトラヒドロフランおよび20 mLのメタノールに溶解し、次いで、5 mLの4 M水酸化ナトリウム溶液を加えた。反応溶液を60℃にて12時間撹拌した。反応が完了した後、濃塩酸を加えて反応溶液のpHを4に調節した。混合物を減圧濃縮し、残渣をジクロロメタンおよびメタノール(V:V=5:1)の混合溶媒に溶解し、ろ過した。ろ液を合わせ、減圧濃縮し、粗標記生成物5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸 1n(1.1 g)を黄色固体で得、精製することなく次のステップに直接用いた。
MS m/z(LC-MS):415.2[M+1]
【0080】
ステップ14
式(IE)の化合物(化合物として定義B)の調製
5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボン酸 1n(1.0 g、2.4 mmol)を30 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、次いで、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(696 mg、3.6 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(490 mg、3.6 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.56 g、12.1 mmol)を加えた。反応溶液を1時間撹拌し、次いで、3-(アミノメチル)-4,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オン塩酸塩2a(593 mg、3.0 mmol、特許出願"WO2014097041"に開示の方法にしたがって調製)を加えた。反応溶液を室温にて12時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液に過剰の水を加え、ジクロロメタンおよびメタノール(V:V=8:1)の混合溶媒で抽出した。有機相を合わせ、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、得られる残渣を、溶離液としてジクロロメタンおよびメタノールを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記生成物N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-エチル-6-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-2-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンゾフラン-4-カルボキサミド2(750 mg、収率57%)を白色固体で得た。
MS m/z(ESI):549.7 [M+1]
1H-NMR(400MHz、DMSO-d6):δ 11.48(s、1H)、8.15(t、1H)、7.39(s、1H)、6.46(s、1H)、5.86(s、1H)、4.32(d、2H)、3.83(d、2H)、3.54(s、2H)、3.21(t、2H)、3.01-3.07(m、2H)、2.92-2.97(m、1H)、2.77-2.82(m、2H)、2.39(brs、4H)、2.23(s、3H)、2.11(s、3H)、1.64-1.67(brd、2H)、1.47-1.55(m、6H)、1.36-1.37(brd、2H)、1.02(t、3H)、0.82(t、3H)。
【実施例1】
【0081】
インビトロでのDOHH-2細胞の増殖に対する本発明組成物の効果
試験化合物:式(IE)の化合物(化合物Bとして定義、WO2017084494(特許出願PCT/CN2016/104318)に開示の方法にしたがって調製、比較例1参照)、および式(IIA)の化合物(化合物Aとして定義、特許出願WO2016007185A1に開示の方法にしたがって調製)。
細胞株:10%ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI 1640培地中にてインビトロで培養したヒトB細胞リンパ腫DOHH-2細胞(DSMZから購入)
【0082】
試験化合物溶液の調製:
試験化合物はすべて、DMSOで10 mMストック溶液に調製し、使用時に無血清培地で所望の濃度に調製した。
【0083】
実験方法:
一定数の対数増殖期の細胞を、96ウェル培養プレートに接種した。24時間後、細胞に異なる濃度(1-100000 nM)の試験化合物を加え、72時間インキュベートした。各ウェルにMTT希釈標準溶液を加えた。4時間後、細胞をトリプル溶液(triple solution)に溶解し、マイクロプレートリーダーにより、波長570 nmでOD値を測定した。
【0084】
データ分析:
以下の式によって、細胞増殖阻害率を計算した。
阻害率=(コントロールウェルのOD値-薬物投与ウェルのOD値)/コントロールウェルのOD値×100%;
各濃度の阻害率にしたがって非線形回帰法を用いて、半数効果濃度IC50を計算した。
【0085】
併用投与では、化合物A:化合物Bの濃度比は1:10である。半有効法を用いるCalcu-Synプログラムにより、併用指数(CI)を計算して、併用投与中の2つの化合物の間の関係を評価した(CI<1は相乗効果を示し、CI=1は相加効果を示し、CI>1は拮抗作用を示す)。
【0086】
実験結果:
第1表:DOHH-2細胞の増殖に対する単一化合物の効果
【表1】
【0087】
第2表:DOHH-2細胞の増殖に対する併用投与の阻害効果
【表2】
【0088】
実験的結論:
上記表のデータから、化合物Aと化合物Bの併用投与が、インビトロでのDOHH-2細胞の増殖に対する相乗阻害効果を有することが明らかである。
【実施例2】
【0089】
インビトロでのSU-DHL-4およびSU-DHL-6細胞の増殖に対する本発明組成物の効果
試験化合物:式(IE)の化合物(化合物Bとして定義、WO2017084494(特許出願PCT/CN2016/104318)に開示の方法にしたがって調製、比較例1参照)、および式(IIA)の化合物(化合物Aとして定義、特許出願WO2016007185A1に開示の方法にしたがって調製)。
細胞株:10%ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI 1640培地中でインビトロで培養したヒトB細胞リンパ腫SU-DHL-4およびSU-DHL-6細胞(ATCCから購入)
【0090】
試験化合物溶液の調製:
試験化合物はすべて、DMSOで10 mMストック溶液に調製し、使用時に無血清培地で所望の濃度に調製した。
【0091】
実験方法:
一定数の対数増殖期の細胞を、96ウェル培養プレートに接種した。24時間後、細胞に異なる濃度(1-40000 nM)の試験化合物を加え、72時間インキュベートした。各ウェルにMTT希釈標準溶液を加えた。4時間後、細胞をトリプル溶液(10% SDS、5%イソブタノール、0.012 mol/L HCl)に37℃にて一晩溶解し、マイクロプレートリーダーにより、波長570 nmでOD値を測定した。
【0092】
データ分析:
以下の式によって、細胞増殖阻害率を計算した。
阻害率=(コントロールウェルのOD値-薬物投与ウェルのOD値)/コントロールウェルのOD値×100%;
各濃度の阻害率にしたがって非線形回帰法を用いて、半数効果濃度IC50を計算した。
【0093】
併用投与では、化合物A:化合物Bの濃度比は1:2(SU-DHL-4の場合)および1:4(SU-DHL-6の場合)である。半有効法を用いるCalcu-Synプログラムにより、併用指数(CI)を計算して、併用投与中の2つの化合物の間の関係を評価した(CI<1は相乗効果を示し、CI=1は相加効果を示し、CI>1は拮抗作用を示す)。
【0094】
実験結果:
第3表:SU-DHL-4およびSU-DHL-6細胞の増殖に対する単一化合物の効果
【表3】
【0095】
第4表:SU-DHL-4およびSU-DHL-6細胞の増殖に対する併用投与の阻害効果
【表4】
【0096】
実験的結論:
上記表のデータから、化合物Aと化合物Bの併用投与が、インビトロでのSU-DHL-4およびSU-DHL-6細胞の増殖に対する相乗阻害効果を有することが明らかである。
【実施例3】
【0097】
ヒト濾胞性リンパ腫細胞を接種したヌードマウスの皮下移植腫瘍に対する本発明組成物の効能
試験化合物:式(IE)の化合物(化合物Bとして定義、WO2017084494(特許出願PCT/CN2016/104318)に開示の方法にしたがって調製、比較例1参照)、および式(IIA)の化合物(化合物Aとして定義、特許出願WO2016007185A1に開示の方法にしたがって調製)。
試験動物:ALB/cA-ヌードマウス、5-6週齢、雌性、Shanghai Lingchang Biotechnology Co.、Ltd.から購入、実験動物使用許可番号:SCXK(上海)2013-0018および動物証明番号:2013001818958、給餌条件:SPFグレード。
【0098】
試験化合物の溶液の調製:
試験化合物はすべて、0.2% Tween 80+0.5% CMC溶液で調製し、対応する濃度に希釈した。
【0099】
実験方法:
(1)ヌードマウスにリンパ腫DOHH-2細胞を皮下接種した。腫瘍が100-200 mm3に増殖した時点で、動物を無作為にグループ分けした(D0)。投与量および投与処方を第5表に示す。
(2)観察および記録:腫瘍体積を週2,3回測定し、マウスを秤量し、データを記録した。
(3)腫瘍測定および終点:終点は、主として、腫瘍増殖が遅れるか、またはマウスが治癒されるかに依存する。腫瘍体積(mm3で)を二次元キャリパーで週2回測定した。
腫瘍体積(V)は、次のように計算される:
V=0.5×a×b2
[式中、aおよびbは、それぞれ長さおよび幅を表す];
T/C(%)=(T-T0)/(C-C0)×100
[式中、TおよびCは、実験終了時の腫瘍体積を表し、T0およびC0は、実験開始時の腫瘍体積を表す]。T/C値(パーセンテージ)は、抗腫瘍効果を示す。
【0100】
(4)データ分析:統計は、平均および平均の標準誤差(SEM)、グループ間の腫瘍体積の差の統計分析、および最後の投与後の最適な治療時点で行われた薬物相互作用によって得られたデータの分析を含めて要約された(グループ分け後第21日)。一元配置分散分析を行って、グループ間の腫瘍体積および腫瘍重量を比較した。有意でないF検定量が得られた場合(p<0.001、処理分散 対 誤差分散)、グループ間の比較を、Games-Howell検定を用いて行った。すべてのデータが、SPSS17.0を用いて分析され、P<0.05が統計的に有意であるとみなされた。
【0101】
実験結果:
第5表:DOHH-2細胞の増殖に対する併用投与の効果
【表5】
【0102】
実験的結論:
上記第5表のデータから、化合物A(50 mg/kg、PO、QD×21)が、DOHH-2細胞を接種したヌードマウスの皮下移植腫瘍の増殖を阻害し、腫瘍増殖阻害率が49%(P<0.05、溶媒と比較して)であったことが明らかである。化合物B(50 mg/kg、PO、QD×21)は、DOHH-2細胞に対して一定の阻害効果を有し、腫瘍増殖阻害率は、35%(P>0.05、溶媒と比較して)であった。2つの化合物を併用投与した場合、腫瘍増殖阻害率は、75%に増加し、効果は、化合物Aまたは化合物B単独よりも有意に強かった(P<0.05、単一化合物と比較して、図3参照)。図4は、化合物Aと化合物Bの併用が、有意な体重減少およびその他の症状を引き起こさないことを明らかにする。
【0103】
要約すれば、BTK阻害剤である化合物AとEZH2阻害剤である化合物Bとの併用効果は、単一化合物の効果よりも良好であり、そのような併用は、相乗効果を有する。
【実施例4】
【0104】
ヒトB細胞リンパ腫SU-DHL-4細胞を接種したマウスの皮下移植腫瘍に対する本発明組成物の効能
試験化合物:式(IE)の化合物(化合物Bとして定義、WO2017084494(特許出願PCT/CN2016/104318)に開示の方法にしたがって調製、比較例1参照)、および式(IIA)の化合物(化合物Aとして定義、特許出願WO2016007185A1に開示の方法にしたがって調製)。
試験動物:SCID.BGマウス、5-6週齢、雌性、Shanghai Lingchang Biotechnology Co.、Ltd.から購入、実験動物使用許可番号:SCXK(上海)2013-0018および動物証明番号:2013001820833、給餌条件:SPFグレード。
【0105】
試験化合物の溶液の調製:
試験化合物はすべて、0.2% Tween 80+0.5% CMC溶液で調製し、対応する濃度に希釈した。
【0106】
実験方法:
(1)マウスにSU-DHL-4細胞(B細胞リンパ腫SU-DHL-4細胞は、ATCCから購入した)を皮下接種した。腫瘍が100-150 mm3に増殖した時点で、動物を腫瘍体積にしたがってグループ分けした(D0)。投与量および投与処方を第6表に示す。
(2)観察および記録:腫瘍体積を週2,3回測定し、マウスを秤量し、データを記録した。
(3)腫瘍測定および終点:終点は、主として、腫瘍増殖が遅れるか、またはマウスが治癒されるかに依存する。腫瘍体積(mm3で)を二次元キャリパーで週2回測定した。
腫瘍体積(V)は、次のように計算される:
V=0.5×a×b2
[式中、aおよびbは、それぞれ長さおよび幅を表す];
T/C(%)=(T-T0)/(C-C0)×100
[式中、TおよびCは、実験終了時の腫瘍体積を表し、T0およびC0は、実験開始時の腫瘍体積を表す]。T/C値(パーセンテージ)は、抗腫瘍効果を示す。
腫瘍増殖阻害率(TGI)(%)=100-T/C(%);
腫瘍が退縮した場合、腫瘍増殖阻害率(TGI)(%)=100-(T-T0)/T0 ×100である。
もし腫瘍体積が初期体積よりも小さい、すなわち、T<T0またはC<C0ならば、それは、部分退縮(PR)として定義される;もし腫瘍が完全に消失したら、それは、完全退縮(CR)として定義される。
【0107】
(4)データ分析:統計は、平均および平均の標準誤差(SEM)、グループ間の腫瘍体積の差の統計分析、および最後の投与後の最適な治療時点で行われた薬物相互作用によって得られたデータの分析を含めて要約された(グループ分け後第14日)。一元配置分散分析を行って、グループ間の腫瘍体積および腫瘍重量を比較した。有意でないF検定量が得られた場合(p<0.001、処理分散 対 誤差分散)、片側マン・ホイットニー統計分析を行って、2つのグループの腫瘍体積を比較し、P<0.05が統計的に有意であるとみなされた。
【0108】
実験結果:
第6表:ヒトB細胞リンパ腫SU-DHL-4細胞を接種したマウスの皮下移植腫瘍に対する併用投与の効果
【表6】
【0109】
実験的結論:
上記第6表のデータから、化合物A(50 mg/kg、PO、QD×14)が、SU-DHL-4細胞を接種したマウスの皮下移植腫瘍の増殖を阻害し、腫瘍増殖阻害率が76%であった(腫瘍は1/8のマウスにおいて部分退縮し、1/8のマウスにおいて完全退縮した)ことが明らかである。化合物B(50 mg/kg、PO、QD×14)は、細胞に対して60%の腫瘍増殖阻害率を有する(腫瘍は2/8のマウスにおいて部分退縮し、1/8のマウスにおいて完全退縮した)。化合物Aと化合物Bとが併用投与された場合、腫瘍増殖阻害率は、91%に増加し(腫瘍は2/8のマウスにおいて部分退縮し、1/8のマウスにおいて完全退縮した);および効果は、化合物Aまたは化合物B単独よりも有意に強かった(図5参照)。2つの化合物の併用投与は、ヒトB細胞リンパ腫SU-DHL-4細胞を接種したマウスの皮下移植腫瘍の増殖を有意に阻害し、腫瘍の部分または完全退縮を誘発した。2つの化合物が併用投与された場合、効果は改善され、腫瘍担持マウスは体重が減少したが、化合物に対して耐性であった。
【0110】
要約すれば、BTK阻害剤である化合物AとEZH2阻害剤である化合物Bとの併用効果は、単一化合物の効果よりも良好であり、そのような組み合わせは、相乗効果を有する。
図1
図2
図3
図4
図5