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  • 特許-真空管サブウーファー抽出回路システム 図1
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  • 特許-真空管サブウーファー抽出回路システム 図4A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】真空管サブウーファー抽出回路システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020042883
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021007211
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】16/454,310
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518310477
【氏名又は名称】名世電子企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】陳錫賢
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0204131(US,A1)
【文献】特開2013-017107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0090263(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0172380(US,A1)
【文献】Pure Digital Audio 直感アンプ塾:真空管アンプ回路設計の心,[online],2014年01月14日,第1-3頁,[令和3年4月27日検索],インターネット<URL:http://puredigital.jp/blog-entry-918.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00ー 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空管サブウーファー抽出回路システムであって、
フロントエンド回路と、
前記フロントエンド回路に接続された真空管サブウーファー抽出回路と、を備え、
前記真空管サブウーファー抽出回路は、
前記フロントエンド回路から入力信号を受信し、オーディオ信号を出力する小信号増幅真空管と、
前記小信号増幅真空管に接続され、前記オーディオ信号に対してフィルタリング処理を行ってフィルタリングされた信号を出力するように構成された受動フィルタ回路と、を含み、
前記フロントエンド回路は、前記真空管サブウーファー抽出回路の前記小信号増幅真空管に低電圧を供給するスイッチ電源回路を含み、
前記小信号増幅真空管は、前記入力信号に対する利得効果を有していない、真空管サブウーファー抽出回路システム。
【請求項2】
前記小信号増幅真空管は、真空管カソードフォロアとして機能する、請求項1に記載の真空管サブウーファー抽出回路システム。
【請求項3】
前記真空管サブウーファー抽出回路は、
前記受動フィルタ回路の後ろに接続され、前記フィルタリングされた信号を受信して第2のオーディオ信号を出力する第2の小信号増幅真空管を備える、請求項1に記載の真空管サブウーファー抽出回路システム。
【請求項4】
前記第2の小信号増幅真空管は、真空管カソードフォロワとして機能し、前記フィルタリングされた信号に対する利得効果を有していない、請求項3に記載の真空管サブウーファー抽出回路システム。
【請求項5】
前記真空管サブウーファー抽出回路に接続され、前記真空管サブウーファー抽出回路からの出力信号の出力電力を増幅するように構成された増幅回路をさらに備える請求項1に記載の真空管サブウーファー抽出回路システム。
【請求項6】
前記増幅回路は、増幅回路にブリッジして負荷をかける、請求項5に記載の真空管サブウーファー抽出回路システム。
【請求項7】
前記フロントエンド回路は、分圧回路を含み、
前記分圧回路は、前記スイッチ電源回路によって供給される電圧を分圧し、分圧された電圧を前記小信号増幅真空管及び第2の小信号増幅真空管に供給する、請求項1に記載の真空管サブウーファー抽出回路システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、真空管サブウーファー抽出回路システムに関し、より詳細には、スイッチ電源回路を使用する真空管サブウーファー抽出回路システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチモード電源(Switch Mode Power Supply : SMPS)は、従来の真空管ループには適用できない。これは、スイッチ電力(switch power)がパルス幅変調(pulse width modulation : PWM)信号を含み、その信号が真空管に高周波ノイズを発生させるためである。そのノイズは最終的に増幅される。さらに、従来の真空管ループは、100V DC~250V DCの電圧で動作し、スイッチ電力を使用できない。このような条件では、単一の高電圧電源は、サブウーファーシステムに対して設計の困難さと高コストという問題を生じさせる。さらに、外部スイッチ電力では電力と安全コストを削減することは不可能である。このため、スイッチ電源回路を使用するだけでなく、発生した高周波ノイズを除去する真空管サブウーファー抽出回路システムが求められている。
【発明の概要】
【0003】
従来技術の前述した欠点を克服するために、本開示の一態様は、スイッチ電源回路を使用するだけでなく、発生した高周波ノイズを除去する真空管サブウーファー抽出回路システムを提供する。
【0004】
上述した態様では、本開示は、真空管サブウーファー抽出回路システムを提供し、該真空管サブウーファー抽出回路システムは、フロントエンド回路と、フロントエンド回路に接続された真空管サブウーファー抽出回路と、を備え、真空管サブウーファー抽出回路は、フロントエンド回路から入力信号を受信し、オーディオ信号を出力する小信号増幅真空管と、小信号増幅真空管に接続され、オーディオ信号に対してフィルタリング処理を行ってフィルタリングされた信号を出力するように構成された受動フィルタ回路と、を含み、フロントエンド回路は、真空管サブウーファー抽出回路に低電圧を供給するスイッチ電源回路を含み、小信号増幅真空管は、入力信号に対する利得効果を有していない。
【0005】
本開示の好ましい実施形態では、小信号増幅真空管は、真空管カソードフォロアとして機能する。
本開示の好ましい実施形態では、真空管サブウーファー抽出回路は、受動フィルタ回路の後ろに接続され、フィルタリングされた信号を受信して第2のオーディオ信号を出力する第2の小信号増幅真空管を備える。
【0006】
本開示の好ましい実施形態では、第2の小信号増幅真空管は、真空管カソードフォロワとして機能し、フィルタリングされた信号に対する利得効果を有していない。
本開示の好ましい実施形態では、真空管サブウーファー抽出回路システムは、真空管サブウーファー抽出回路に接続され、真空管サブウーファー抽出回路からの出力信号の出力電力を増幅するように構成された増幅回路をさらに備える。
【0007】
本開示の好ましい実施形態では、増幅回路は、増幅回路にブリッジして負荷をかける(ブリッジ接続負荷(bridge-tied load))。
本開示の好ましい実施形態では、フロントエンド回路は、分圧回路を含み、分圧回路は、スイッチ電源回路によって供給される電圧を分圧し、分圧された電圧を小信号増幅真空管及び第2の小信号増幅真空管に供給する。
【0008】
本開示は、上述の態様及び他の態様が以下の非限定的な特定の実施形態によって示され且つ添付の図面によって示されることによって、理解可能かつ明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路システムのブロック図である。
図2】本開示の別の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路システムのブロック図である。
図3A】本開示の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路の回路図である。
図3B】本開示の特定の実施形態による小型信号増幅真空管の概略図であり、そのピン番号を示す。
図4A】本開示の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路のボード線図である。
図4B】本開示の別の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路のボード線図である。
図4C】本開示のさらに別の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路のボード線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、本開示の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路システム(vacuum tube subwoofer extraction circuit system)のブロック図が示されている。図1を参照すると、真空管サブウーファー抽出回路システム100は、フロントエンド回路110、真空管サブウーファー抽出回路120、および増幅回路130を備える。真空管サブウーファー抽出回路120は、フロントエンド回路110の後ろに接続されている。増幅回路130は、真空管サブウーファー抽出回路120の後ろに接続されている。フロントエンド回路110はさらに、スイッチ電源(スイッチモード電源、SMPS)回路112および分圧回路114を備える。真空管サブウーファー抽出回路120は、小信号増幅真空管122、受動フィルタ回路124および第2の小信号増幅真空管126をさらに含む。受動フィルタ回路124は、小信号増幅真空管122の後ろに接続されている。第2の小信号増幅真空管126は、受動フィルタ回路124の後ろに接続される。特定の実施形態では、真空管サブウーファー抽出回路は、小信号増幅真空管および受動フィルタ回路のみを含む。第2の小信号増幅真空管は、別の回路から独立して配置されている。
【0011】
図1に示す実施形態では、フロントエンド回路110の分圧回路114は、スイッチ電源回路112が真空管サブウーファー抽出回路120に供給する電圧を分圧し、分圧された電圧を小信号増幅真空管122及び第2の小信号増幅真空管126に供給する。小信号増幅真空管122は、フロントエンド回路110から入力信号を受け取り、入力信号を処理してオーディオ信号を出力する。受動フィルタ回路124は、オーディオ信号に対してフィルタリング処理を行って、フィルタリングされた信号を出力する。第2の小信号増幅真空管126は、フィルタリングされた信号を受け取って処理して、第2のオーディオ信号を出力する。増幅回路130は、真空管サブウーファー抽出回路120からの出力信号(本実施形態では、第2の小信号増幅真空管126から出力される第2のオーディオ信号)の出力電力を増幅する。特定の実施形態では、スイッチ電源回路112が真空管サブウーファー抽出回路120の小信号増幅真空管122および第2の小信号増幅真空管126に供給する電圧は、低電圧である。例えば、スイッチ電源回路112によって供給される低電圧は、20V未満である。
【0012】
特定の実施形態では、小信号増幅真空管122および第2の小信号増幅真空管126は、3端子「12AU7」真空管であるが、本開示はそれに限定されない。小信号増幅真空管122の端子のうちの2つだけを作動させており、いかなる利得効果も有していない。第2の小信号増幅真空管126の端子のうちの2つだけを作動させており、いかなる利得効果も有していない。したがって、真空管サブウーファー抽出回路システム100は、低電圧で動作することができる。別の特定の実施形態では、増幅回路130は、TL072チップ、TDA7375チップおよび/またはTDA7377チップの形態で提供されるが、本開示はそれに限定されない。特定の実施形態では、増幅回路130は、増幅回路にブリッジして負荷をかけ(bridges to and loads : BTL)、高電流駆動を使用して動的低域シングレット(dynamic low-pitch singlet)を上昇させ、外部スイッチ電力回路112を用いて真空管サブウーファー抽出を実行することを可能にする。
【0013】
図1に示す実施形態では、小信号増幅真空管122は、真空管カソードフォロアとして機能し、真空管サブウーファー抽出回路システム100において、小信号増幅真空管122は、入力信号に対する利得効果を有していない。また、第2の小信号増幅真空管126は、真空管カソードフォロアとして機能し、真空管サブウーファー抽出回路システム100において、第2の小信号増幅真空管126は、フィルタリングされた信号に対する利得効果を有していない。小信号増幅真空管122及び第2の小信号増幅真空管126は、真空管サブウーファー抽出回路システム100において利得機能を有していないので、必要な電圧を最小にし、この回路が、電圧供給器としてスイッチ電源回路112を用いることを可能にする。また、真空管サブウーファー抽出回路システム100の必要な電圧が低いので、安全関連コストを低減することができ、コストを低減することができる。また、小信号増幅真空管122および第2の小信号増幅真空管126は、それぞれ真空管カソードフォロアとして機能するため、入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いことにより、受動フィルタ回路124の設計精度が確保される。
【0014】
図2を参照すると、本開示の他の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路システムのブロック図が示されている。図2に示す実施形態では、真空管サブウーファー抽出回路システム200は、サブウーファーシステムの使用のためのものである。真空管サブウーファー抽出回路システム200において、フロントエンド回路210は、スイッチ電源回路212を用いて電圧を供給する。真空管サブウーファー抽出回路システム200の真空管サブウーファー抽出回路220は、低電圧電源を使用して、「12AU7」真空管を構成する。真空管サブウーファー抽出回路220は、小信号増幅真空管と、受動RCローパスフィルタと、第2の小信号増幅真空管と、を備える(真空管サブウーファー抽出回路220の内部構成は、図1の真空管サブウーファー抽出回路120によって例示される)。
【0015】
特定の実施形態では、スイッチ電源回路212に含まれるパルス幅変調(pulse width modulation : PWM)信号によって発生した真空管高周波ノイズが増幅されることを防止するために(真空管サブウーファー抽出回路220の小信号増幅真空管と第2の小信号増幅真空管は、いかなる利得効果も有しない)、真空管サブウーファー抽出回路システム200の増幅回路230は、真空管サブウーファー抽出回路220の出力信号の出力電力を増幅する。真空管サブウーファー抽出回路220は、小型信号増幅真空管と第2の小型信号増幅真空管との間に受動フィルタ回路を用いてフィルタリング処理を行い、PWM信号により発生した真空管高周波ノイズを除去する。
【0016】
図3Aを参照すると、本開示の特定の実施形態による真空管サブウーファー抽出回路の回路図が示されている。図3Aに例示された実施形態では、真空管サブウーファー抽出回路320の小信号増幅真空管322及び第2の小信号増幅真空管326の各々の端子のうちの2つだけを作動させており、いかなる利得効果も有していない。フィルタ回路324は、小信号増幅真空管322と第2の小信号増幅真空管326との間に配置され、小信号増幅真空管322からのオーディオ信号に対してフィルタリング処理を行うように構成される。図3Bを参照すると、「12AU7」の小信号増幅真空管322Aのピンのピン番号を示す概略図が示されている。図3Aに示す小信号増幅真空管322及び第2の小信号増幅真空管326のピン番号は、図3Bに示す小信号増幅真空管322Aのピン番号に対応している。
【0017】
図4A図4Cを参照すると、異なる特定の実施形態における真空管サブウーファー抽出回路のボード線図が示されている。図3Aに示されるボード線図450Aは、(161.406Hzを超える周波数の)高周波信号がフィルタで除去されていることを示している。図3Bに示すボード線図450Bは、(167.423mHz未満の周波数を有する)可聴でない超低周波信号がフィルタで除去されることを示している。図3Cに示すボード線図450Cは、(100Hz以上の周波数を有する)高周波信号がフィルタで除去されることを示している。図4A図4Cは、これらの特定の実施形態において、真空管サブウーファー抽出回路がスイッチ電力回路のPWM信号を大幅に低減することを示す。
【0018】
本開示の真空管サブウーファー抽出回路システムは、上記で説明され、添付の図面によって示されている。本発明の実施形態は、本開示の単なる例示である。当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な変更を加えることができ、その変更は、本開示の範囲内に含まれると見なされなければならない。したがって、本発明の実施形態は、本開示を限定するものではない。したがって、本開示の権利保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C