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特許7125974カオリンを基体にした水浄化材料並びにその調製方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】カオリンを基体にした水浄化材料並びにその調製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/01 20060101AFI20220818BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20220818BHJP
   C01B 33/40 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B01D21/01 102
B01D21/01 101A
C02F1/52 K
C01B33/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020218280
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022073863
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】202011202007.3
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521000688
【氏名又は名称】江西省▲環▼境保▲護▼科学研究院
【氏名又は名称原語表記】JIANGXI ACADEMY OF ENVIRONMENTAL SCIENCES
【住所又は居所原語表記】1131 HONGDU NORTH AVENUE, NANCHANG, JIANGXI, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 萌
(72)【発明者】
【氏名】周 秀秀
(72)【発明者】
【氏名】金 平
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 兵
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 燕
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 足根
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼ ▲暁▼▲聡▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼ 秀国
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110937672(CN,A)
【文献】特開2008-006382(JP,A)
【文献】特開2020-099846(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107512799(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105668751(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/01
C02F 1/52- 1/56
C01B 33/40
C01B 39/00-39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カオリン、改質剤及び水を混合して、水熱反応を行い、前記カオリンを基体にした水浄化材料を得るステップが含まれ、
前記改質剤が有機改質剤又は無機改質剤であり、前記有機改質剤がオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリドであり、前記無機改質剤がポリ塩化アルミニウム、Al(SO、Fe(SO、AlCl及びFeClの一種又は複数種であり、
前記カオリンの粒径が200~400メッシュであることを特徴とする、カオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項2】
前記改質剤とカオリンとの質量比が1:(10~25)であることを特徴とする請求項1に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項3】
カオリンと水との固液比が1g:(2~5)mLあることを特徴とする請求項1に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項4】
前記水熱反応の温度が300~600℃であることを特徴とする請求項1に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項5】
前記水熱反応の時間が4~8時間であることを特徴とする請求項4に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項6】
さらに前記水熱反応が完了した後、前記水熱反応の生成物を順次に洗浄し乾燥することが含まれることを特徴とする請求項1に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項7】
前記改質剤が有機改質剤である場合、前記洗浄が無水エタノール及び水で順次に洗浄し、
前記改質剤が無機改質剤である場合、前記洗浄に使用される洗浄液が水であることを特徴とする請求項6に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項8】
前記乾燥が真空環境で行われ、乾燥時間が6~8時間であり、
前記改質剤が有機改質剤である場合、乾燥温度が75℃~85℃であり、
前記改質剤が無機改質剤である場合、乾燥温度が100℃~110℃であることを特徴とする請求項6に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の調製方法によって調製されたカオリンを基体にした水浄化材料。
【請求項10】
有害な藻類ブルーム廃水の処理における請求項9に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水浄化材料の技術分野に関し、特にカオリンを基体にした水浄化材料並びその調製方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
都市と産業の継続的な発展、並びに農業用肥料とリン含有洗剤の大規模な使用、不当な開墾と放牧による大規模な土壌の侵食と劣化に伴い、地表を流れる河川において栄養素含有量が大幅に増加している。さらに、都市の家庭用下水と産業及び農業廃水が処理されずに川や湖に流れ込むため、湖や川に窒素やリンなどの栄養素が蓄積しつつあり、一部の藻類や他の水生生物の異常増殖を促し、それによって富栄養化がさらに速やかに深刻化になっている。富栄養化がますます深刻化するシステムでは、栄養素の消費と栄養素の増加とはバランスを取ることができず、藻類が大量に成長し、アルガルブルームが発生しやすくなる。調査によると、世界中でアルガルブルーム事件の頻度は上昇しており、波及される規模は拡大し続けており、持続期間はますます長くなっている。世界中におけるシアノバクテリアのアルガルブルームの25~70%が植物毒素を生成する可能性があるため、シアノバクテリアのアルガルブルームによって汚染された水は、有毒なシアノバクテリアの破裂により、さまざまな種類のシアノバクテリア毒素を水中に放出し、より深刻な二次災害と生態系セキュリティリスクを引き起こした。したがって、シアノバクテリアのアルガルブルームの発生を制御して汚染を減らし、生態学的リスクを減らすことは非常に重要である。
【0003】
現在、一般的に使用されているシアノバクテリアブルームの制御方法は、クイックライム、硫酸銅、改質ミョウバン、改質粘土、2,2-ジブロモ-3-ニトロプロピオンアミド(DBNPA)などを添加する化学的方法による藻類除去である。化学的方法による藻類除去は、確かに効果が抜群で、迅速に結果が得られる効果的な方法であり、水域の緊急対処によく使用されるが、水中の藻類を制御できる期間が短く、化学殺藻剤にはさまざまな程度の毒性副作用がある場合が多い。したがって、藻類を効率よく除去でき、安全性が高く、環境にやさしい水浄化材料を見つける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カオリンを基体にした水浄化材料並びその調製方法及びその使用を提供することを目的とする。本発明の水浄化材料は、藻類を効率的に除去し、水を浄化することができ、環境に優しく安全である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明目的を実現するために、本発明は以下の技術的解決策を提供する。
本発明は、カオリン、改質剤及び水を混合して、水熱反応を行い、前記カオリンを基体にした水浄化材料を得るステップが含まれ、
前記改質剤が有機改質剤又は無機改質剤であり、前記有機改質剤がオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリドであり、前記無機改質剤がポリ塩化アルミニウム、Al(SO、Fe(SO、AlCl及びFeClの一種又は複数種であり、
前記カオリンの粒径が200~400メッシュである、カオリンを基体にした水浄化材料の調製方法を提供する。
【0006】
好ましくは、前記改質剤とカオリンとの質量比が1:(10~25)である。
【0007】
好ましくは、カオリンと水との固液比が1g:(2~5)mLある。
【0008】
好ましくは、前記水熱反応の温度が300~600℃である。
【0009】
好ましくは、前記水熱反応の時間が4~8時間である。
【0010】
好ましくは、前記水熱反応が完了した後、前記水熱反応の生成物を順次に洗浄及び乾燥することがさらに含まれる。
【0011】
好ましくは、前記改質剤が有機改質剤である場合、前記洗浄が無水エタノール及び水で順次洗浄し、前記改質剤が無機改質剤である場合、前記洗浄に使用される洗浄液が水である。
【0012】
好ましくは、前記乾燥が真空環境で行われ、乾燥時間が6~8時間であり、前記改質剤が有機改質剤である場合、乾燥温度が75℃~85℃であり、前記改質剤が無機改質剤である場合、乾燥温度が100℃~110℃である。
【0013】
本発明は、上記技術的解決策に記載の調製方法によって調製された、カオリンを基体にした水浄化材料を提供する。
【0014】
本発明は、上記技術的解決策に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の有害な藻類ブルーム廃水の処理における使用(適用)を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、カオリン、改質剤及び水を混合して、水熱反応を行い、カオリンを基体にした水浄化材料を得るステップが含まれ、前記改質剤が有機改質剤又は無機改質剤であり、前記有機改質剤がオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリドであり、前記無機改質剤がポリ塩化アルミニウム、Al(SO、Fe(SO、AlCl及びFeClの一種又は複数種であり、前記カオリンの粒径が200~400メッシュである、カオリンを基体にした水浄化材料の調製方法を提供する。
【0016】
カオリンは、特殊な層状構造と多孔質構造を有し、本発明では200~400メッシュのカオリンを使用するため、比表面積が大きくなるようにして、有機改質剤と無機改質剤の両方が微視的レベルでカオリンと接触できる。これは、その後の水熱合成反応において、有機改質剤や無機改質剤が吸着によってカオリンと結合することに有利である。水熱反応では、有機改質剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(OTAC)が静電引力によってカオリンと結合する。OTACは一定量であるため、カオリンの表面の負の電荷は正の電荷に転換する。同時に、OTACは長い分子鎖であるため、調製された材料と有害な藻類との効果的な衝突が増加する。選択した無機改質剤は、それ自体の加水分解によりカチオンを生成するだけでなく、コロイドを形成して藻類への吸着をさらに改善できる。水熱反応の過程において、カオリンの表面に負の電荷があるため、正の電荷のある無機改質剤は、一方では静電引力によってカオリンと結合すると同時に、また、無機改質剤はカオリンとイオン交換して金属イオンをカオリンの構造に挿入できる。本発明の方法により調製された水浄化材料は、比表面積が大きく、正電荷が増強されるが、水域の藻類細胞の表面は、一般に負電荷を有し、静電吸着により浄水材と凝縮してフロックを形成する。藻類のフロック自体は重力によって水域に定着するだけでなく、定着過程中に他の藻類細胞をトラップして、一緒に水底に定着させて、効率的に藻類を除去すると同時に、環境に優しく安全である。
【0017】
本発明の方法において、有機改質剤及び無機改質剤は、静電引力及びイオン交換反応によりカオリンとフロックを形成するため、結合が強く、特性変化がなく、安定している。
【0018】
さらに、本発明の原料として使用されるカオリンは、原料資源が豊富で、廉価、無毒、無公害の原料であり、取得プロセスがシンプルで制御可能であり、大規模生産に適しており、高い経済的利益を有し、環境に優しい水浄化材料の調製の方向性を提供し、カオリンの効率的で高価値利用について新しいアイデアを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】未改質カオリンのSEM画像を示す写真図である。
図2】実施例1のOTACによる改質後に得られた水浄化材料のSEM画像を示す写真図である。
図3】実施例5のAlClによる改質後に得られた水浄化材料のSEM画像を示す写真図である。
図4】実施例4のFe(SOによる改質後に得られた水浄化材料のSEM画像を示す写真図である。
図5】実施例3のAl(SO4)による改質後に得られた水浄化材料のSEM画像を示す写真図である。
図6】実施例2のPACによる改質後に得られた水浄化材料のSEM画像を示す写真図である。
図7】実施例7のPAC/FeClによる改質後に得られた水浄化材料のSEM画像を示す写真図である。
図8】実施例6のFeClによる改質後に得られた水浄化材料のSEM画像を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、カオリン、改質剤及び水を混合して、水熱反応を行い、カオリンを基体にした水浄化材料を得るステップが含まれ、
前記改質剤が有機改質剤又は無機改質剤であり、前記有機改質剤がオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリドであり、前記無機改質剤がポリ塩化アルミニウム、Al(SO、Fe(SO、AlCl及びFeClの一種又は複数種であり、
前記カオリンの粒径が200~400メッシュである、カオリンを基体にした水浄化材料の調製方法を提供する。
【0021】
本発明では、特別な説明がない限り、使用される原材料はすべて、当技術分野で周知の市販の製品である。
【0022】
本発明は、カオリン、改質剤及び水を混合して混合物を得る。
【0023】
本発明において、カオリンの粒径は、200~400メッシュ、好ましくは250~350メッシュである(200メッシュ:約74~77μm、250メッシュ:約61~62μm、350メッシュ:約42μm、400メッシュ:約34~37μm)。本発明において、カオリンの粒径が上記の要件を満たさない場合、カオリンを粉砕し、ふるいにかけて、200~400メッシュの粒径を有するカオリンを得ることが好ましい。本発明で使用される200~400メッシュのカオリンは、大きな比表面積及び豊富な細孔構造を有する。これは後続の水熱反応過程中に、改質剤とのイオン交換や吸着などの反応に有利である。当該反応後に調製して得られた水浄化材料は、強い吸着機能とイオン交換機能を持っており、藻類などの水域内の物質の除去に有利であり、それにより水域が浄化される。
【0024】
本発明において、前記改質剤が有機改質剤又は無機改質剤であり、前記有機改質剤がオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリドであり、前記無機改質剤がポリ塩化アルミニウム、Al(SO、Fe(SO、AlCl及びFeClの一種又は複数種である。前記無機改質剤が前記物質の内の複数であれば、本発明は、各物質の比率について特別な要件がなく、任意の比率にすることができる。本発明の実施形態において、無機改質剤がポリ塩化アルミニウム及びFeClである場合、ポリ塩化アルミニウム及びFeClとの質量比は1:1である。
【0025】
本発明において、水は、好ましくは蒸留水又は超純水である。
本発明において、前記改質剤とカオリンとの質量比は、好ましくは1:(10~25)、より好ましくは1:(12~22)、さらにより好ましくは1:(15~20)である。
【0026】
本発明において、カオリンと水との固液比は、好ましくは1g:(2~5)mL、より好ましくは1g:(3~4)mLである。
【0027】
本発明は、混合方法に関して特別な要件がなく、カオリン、改質剤及び水を均一に混合できる任意の方法であればよい。本発明の実施形態では、具体的には、カオリンと改質剤を混合して反応ケトルに入れ、次に水を加えて攪拌して混合物を得る。
【0028】
混合物が得られた後、本発明は前記混合物を水熱反応にかける。
【0029】
本発明は、好ましくは、混合物を反応ケトルに入れ、次に反応ケトルを高温炉に置いて水熱反応させる。
【0030】
本発明において、前記水熱反応の温度は、好ましくは300~600℃、より好ましくは350~550℃、さらに好ましくは400~500℃である。また、水熱反応の時間は好ましくは4~8時間、より好ましくは5~7時間であり、さらに好ましくは5.5~6.5時間である。
【0031】
改質剤が有機改質剤である場合、本発明は水熱反応プロセスにおいて、正電荷を有する有機改質剤のオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(OTAC)は、負電荷を有するカオリンと静電引力により結合する。OTACは一定量であるため、カオリン表面の負電荷が正電荷に変換できることになり、同時に、OTACは長い分子鎖であるため、調製された材料と有害な藻類との効果的な衝突が増加して、浄化効果を向上させる。
【0032】
改質剤が無機改質剤である場合、本発明の前記水熱反応過程において、カオリンの表面が負電荷を有するため正電荷を有する無機改質剤は静電引力によりカオリンと結合すると同時に、無機改質剤はまた、カオリンとイオン交換して金属イオンをカオリンの構造に挿入することもでき、カオリンの層状構造の空間的な複雑さが増して、藻類物質の付着と沈殿がさらに促進される。さらに、本発明で選択された無機改質剤はまた、加水分解されてコロイドを形成でき、吸着及び凝集効果を有する。
【0033】
前記水熱反応が完了した後、本発明は、好ましくは、前記水熱反応生成物をそのまま室温までに冷却させ、次いで、順次に洗浄及び乾燥する。
【0034】
本発明において、前記改質剤が有機改質剤である場合、前記洗浄は、好ましくは、無水エタノール及び水を順次に使用し、前記無水エタノール洗浄の回数は、好ましくは2~3回であり、前記水洗浄は、好ましくは2~3回である。前記水は、好ましくは超純水である。本発明は、無水エタノールを使用して材料の表面に付着した有機物を洗い除去し、次に超純水で洗浄して、調製された材料が不純物を含まないことを確実にする。
【0035】
本発明において、前記改質剤が無機改質剤である場合、前記洗浄に使用される洗浄液は、好ましくは水、より好ましくは超純水である。本発明は、前記洗浄プロセスについて特別な要件がなく、当技術分野で周知の洗浄プロセスであればよい。
【0036】
本発明において、前記乾燥は、空気とカオリンを基体にした水浄化材料とが接触し反応して、製品の品質に影響を与えることを避けるために、好ましくは、真空環境で実施される。
【0037】
本発明において、乾燥時間は、好ましくは6~8時間、より好ましくは6.5~7.5時間である。本発明において、前記改質剤が有機改質剤である場合、乾燥温度は、好ましくは75~85℃、より好ましくは80℃であり、前記改質剤が無機改質剤である場合、乾燥温度は、好ましくは100~110℃、より好ましくは105℃である。
【0038】
乾燥後、本発明は、好ましくは、カオリンを基体にして調製された水浄化材料を、後で使用するために密封及び保存する。
【0039】
本発明は、上記技術的解決策に記載の調製方法によって調製されカオリンを基体にした水浄化材料を提供する。本発明の水浄化材料は、比表面積が大きく、正電荷が増強され、一方、水域の藻類細胞の表面は、一般に負電荷を帯びており、静電吸着により水浄化材料と凝縮してフロックを形成する。藻類のフロックは、自体の重力によって水域に沈降するだけでなく、沈降過程中に他の藻類細胞をトラップして、一緒に沈降させることもでき、藻類を効果的に除去できると同時に、環境に優しく安全である。
【0040】
本発明は、有害な藻類ブルーム廃水の処理における前記技術的解決策に記載のカオリンを基体にした水浄化材料の使用を提供する。本発明は、前記有害の藻類ブルーム廃水源に関して特別な要件がなく、当技術分野で周知の任意の有害な藻類ブルーム廃水でよい。
【0041】
本発明は、使用(適用)方法について特別な要件がなく、当技術分野で周知の適用方法でよい。本発明の実施形態において、具体的には、カオリンを基体にした水浄化材料を藻類ブルーム廃水に直接添加し、攪拌するだけで十分である。本発明では、カリオンを基体にした前記水浄化材料の投与量は、好ましくは15~60mg/L、より好ましくは30mg~60mg/Lである。
【0042】
以下に、本発明によって提供されるカオリンを基体にした水浄化材料並びその調製方法及びその使用を、実施例を参照して詳細に説明するが、それらは、本発明の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【実施例
【0043】
〔実施例1〕
本実施例によって提供されるカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法の具体的なステップを以下に示した。
1)カオリン10gを破砕機で粉砕し、400メッシュのふるいに通して400メッシュのカオリンを得た(SEM画像は図1を参照)。
【0044】
2)50mgのOTACを1gの上記400メッシュのカオリン(OTACとカオリンとの質量比は1:20)と混合し、反応ケトルに移し、30mLの蒸留水を加えて密封した。次に、反応ケトルを高温炉に入れ、350℃までに加熱して5時間保温しながら水熱反応させ、冷却してから取り出した。得られた混合物を無水エタノールで3回洗浄し、次に超純水で完全に洗浄した。最後に、80℃で真空乾燥し、最終製品は、後で使用するために回収して密封し、保管した。
【0045】
図2には、実施例1のOTACの改質後に得られた浄水材を示した。図2から、得られた円滑な水浄化材料の表面が粗くなって、長い「触手」物質や表面の細孔が多く出て、比表面積が増加したことが判明した。
【0046】
〔実施例2〕
本実施例によって提供されるカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法の具体的なステップを以下に示した。
1)カオリン10gを破砕機で粉砕し、400メッシュのふるいに通して400メッシュのカオリンを得た。
【0047】
2)66.7mgのポリ塩化アルミニウム(PAC)を1gの上記400メッシュのカオリン(PACとカオリンとの質量比は1:15)と均一に混合し、反応ケトルに移し、30mLの蒸留水を加えて密封した。次に、反応ケトルを高温炉に入れ、400℃までに加熱して5時間保温しながら水熱反応させ、冷却してから取り出した。得られた混合物を超純水で3回洗浄した。最後に、105℃で真空乾燥し、最終製品は、後で使用するために回収して密封し、保管した。
【0048】
図6には、実施例1のPACの改質後に得られた浄水材を示した。図6から、得られた水浄化材料の表面が粗く、長い「触手」があり、比表面積が増加したことが判明した。
【0049】
〔実施例3〕
本実施例によって提供されるカオリンを基体にした水浄化材料の調製方法の具体的なステップを以下に示した。
1)カオリン10gを破砕機で粉砕し、400メッシュのふるいに通して400メッシュのカオリンを得た。
【0050】
2)55.56mgのAl(SO4)を1gの上記400メッシュのカオリン(Al(SO4)とカオリンの質量比は1:18)と均一に混合し、反応ケトルに移し、30mLの蒸留水を加えて密封した。次に、反応ケトルを高温炉に入れ、550℃までに加熱して6時間保温しながら水熱反応させ、冷却してから取り出した。得られた混合物を超純水で3回洗浄した。最後に、105℃で真空乾燥し、最終製品は、後で使用するために回収して密封し、保管した。
【0051】
図5には、実施例3のAl(SO4)の改質後に得られた浄水材を示した。図5から、得られた水浄化材料の表面はAl(SOの付着又は埋め込みにより粗くなり、比表面積が増加したことが判明した。
【0052】
〔実施例4〕
1)カオリン10gを破砕機で粉砕し、400メッシュのふるいに通して400メッシュのカオリンを得た。
【0053】
2)55.55mgのFe(SO4)を1gの上記400メッシュカオリン(Fe(SOとカオリンとの質量比は1:18)と均一に混合し、反応ケトルに移し、30mLの蒸留水を加えて密封した。次に、反応器を高温炉に入れ、550℃までに加熱して6時間保温しながら水熱反応させ、冷却してから取り出した。得られた混合物を超純水で3回洗浄した。最後に、105℃で真空乾燥し、最終製品は、後で使用するために回収して密封し、保管した。
【0054】
図4には、実施例4のFe(SOの改質後に得られた浄水材を示した。図4から、得られた水浄化材料の表面が粗く、比表面積が増加したことが判明した。
【0055】
〔実施例5〕
1)カオリン10gを破砕機で粉砕し、400メッシュのふるいに通して400メッシュのカオリンを得た。
【0056】
2)83.33mgのAlClを1gの上記400メッシュのカオリン(AlClとカオリンとの質量比は1:12)と均一に混合し、反応器に移し、30mLの蒸留水を加えて密封した。次に、反応器を高温炉に入れ、600℃までに加熱して7時間保温しながら水熱反応させ、冷却してから取り出した。得られた混合物を超純水で3回洗浄した。最後に、105℃で真空乾燥し、最終製品は、後で使用するために回収して密封し、保管した。
【0057】
図3には、実施例5のAlClの改質後に得られた浄水材を示した。図3から、得られた水浄化材料の表面の細孔が多くなり、比表面積が増加したことが判明した。
【0058】
〔実施例6〕
1)カオリン10gを破砕機で粉砕し、400メッシュのふるいに通して400メッシュのカオリンを得た。
【0059】
2)83.33mgのFeClを1gの上記400メッシュのカオリン(FeClとカオリンとの質量比は1:12)と均一に混合し、反応ケトルに移し、30mLの蒸留水を加えて密封した。次に、反応器を高温炉に入れ、600℃までに加熱して7時間保温しながら水熱反応させ、冷却してから取り出した。得られた混合物を超純水で3回洗浄した。最後に、105℃で真空乾燥し、最終製品は、後で使用するために回収して密封し、保管した。
【0060】
図8には、実施例6のFeClの改質後に得られた浄水材を示した。図8から、得られた水浄化材料の表面が粗くなり、比表面積が増加したことが判明した。
【0061】
〔実施例7〕
1)カオリン10gを破砕機で粉砕し、400メッシュのふるいに通して400メッシュのカオリンを得た。
【0062】
2)50mgのポリ塩化アルミニウム(PAC)及び50mgのFeClを1gの上記400メッシュのカオリン(PACとFeClとカオリンとの質量比は1:1:12)と均一に混合し、反応ケトルに移し、30mLの蒸留水を加えて密封した。次に、反応器を高温炉に入れ、600℃までに加熱して8時間保温しながら水熱反応させ、冷却してから取り出した。得られた混合物を超純水で3回洗浄した。最後に、105℃で真空乾燥し、最終製品は、後で使用するために回収して密封し、保管した。
【0063】
図7には、実施例7のPAC及びFeClでの改質後に得られた浄水材を示した。図7から、得られた水浄化材料の表面の細孔が多くなり、一定の「触手」が現れ、比表面積が増加したことが判明した。
【0064】
〔適用例1〕
実施例1で得られたカオリンを基体にした水浄化材料40mgを中国江西省南昌市青山湖から収集した藻類ブルーム水サンプル1Lに加え、その水域状況をシミュレートし、最初に3分間すばやく(250r/分)攪拌し、次に低速(50r/分)で10分間攪拌し、最後に一定時間静置した後、液面下3cmでサンプルを採取して、クロロフィルaと濁度をテストした結果を表1に示した。
【0065】
〔適用例2〕
実施例2で得られたカオリンを基体にした水浄化材料50mgを中国江西省南昌市青山湖から収集した藻類ブルーム水サンプル1Lに加え、その水域状況をシミュレートし、最初に3分間すばやく(250r/分)攪拌し、次に低速(50r/分)で10分間攪拌し、最後に一定時間静置して液面下3cmでサンプルを採取して、クロロフィルaと濁度をテストした結果を表2に示した。
【0066】
〔適用例3〕
実施例7で得られたカオリンを基体にした水浄化材料30mgを中国江西省南昌市青山湖から収集した藻類ブルーム水サンプル1Lに加え、その水域状況をシミュレートし、最初に3分間すばやく(250r/分)攪拌し、次に低速(50r/分)で10分間攪拌し、最後に一定時間静置して液面下3cmでサンプルを採取して、クロロフィルaと濁度をテストした結果を表3に示した。
【0067】
〔適用例4〕
実施例1~6で得られたカオリンを基体にした水浄化材料15mgを、中国江西省南昌市青山湖から収集した6つの1L藻類ブルーム水サンプルのそれぞれに加えた。藻類ブルーム水サンプルの初期クロロフィル含有量は1916.12μg/Lであり、濁度は154NTUであった。その水域状況をシミュレートし、最初に3分間すばやく(250r/分)攪拌し、次に低速(50r/分)で10分間攪拌し、最後に一定時間静置して液面下3cmでサンプルを採取して、クロロフィルaと濁度をテストした結果を表4に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
上記の実施例及び適用例から、本発明は、異なるタイプの改質剤を使用することにより、カオリンを基体にした様々な水浄化材料を調製できることが判明した。改質剤の投与量を調整し制御することにより、異なる比率のカオリンを基体にした水浄化材料を得ることが可能であり、本発明によって調製された水浄化材料は、比表面積が大きく、正電荷が増強されて、藻類のブルームが発生した水域の浄化に使用され、良い浄化効果を有する。
【0073】
上記は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の原理から逸脱することなく、当業者にとって、いくつかの改善及び修正を行うことができ、これらの改善及び修正も、本発明の保護範囲の内のものと見なされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、水浄化材料並びその調製方法に利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8