IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東友ファインケム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-透過光学系の検査装置 図1
  • 特許-透過光学系の検査装置 図2
  • 特許-透過光学系の検査装置 図3
  • 特許-透過光学系の検査装置 図4
  • 特許-透過光学系の検査装置 図5
  • 特許-透過光学系の検査装置 図6
  • 特許-透過光学系の検査装置 図7
  • 特許-透過光学系の検査装置 図8
  • 特許-透過光学系の検査装置 図9
  • 特許-透過光学系の検査装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】透過光学系の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
G01N21/958
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021042863
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2021148794
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0032677
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウー キム
(72)【発明者】
【氏名】セ ジン オ
(72)【発明者】
【氏名】テ キュ リ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2045818(KR,B1)
【文献】特開2000-137001(JP,A)
【文献】特開2007-333563(JP,A)
【文献】国際公開第2014/072184(WO,A1)
【文献】特開2016-085212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に光を照射する光源と、
前記被検体に前記光の焦点を形成する集光レンズと、
前記集光レンズによって集中された前記光を部分的に遮断する遮光部と、
前記被検体を通過した前記光を受容して映像を取得する撮影部とを含み、
前記光源、前記集光レンズ、前記遮光部及び前記撮影部は、一列に配置され、
前記遮光部の幅に対する前記光源の幅の比率は、1:2.625~1:4であり、
前記光源と前記遮光部との間の距離に対する前記光源と前記被検体との間の距離の比率は、1:6.25~1:12.5であることを特徴とする透過光学系の検査装置。
【請求項2】
前記光源及び前記遮光部は、バー(bar)形状を有する、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【請求項3】
前記遮光部の幅は5~10mmである、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【請求項4】
前記光源の幅は6~40mmである、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【請求項5】
前記光源と前記遮光部との間の距離は4~10mmである、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【請求項6】
前記光源と前記被検体との間の距離は30~70mmである、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【請求項7】
前記遮光部により、前記集光レンズを通過した前記光のうち、前記被検体に対して垂直に入射する前記光が遮断される、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【請求項8】
前記遮光部は、平面上で前記被検体の搬送方向に対して45度(°)以上90度未満の角度に傾斜して配置される、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【請求項9】
前記被検体は、表面上に欠陥部を含み、前記遮光部による遮断がされていない前記光のうち、前記欠陥部によって屈折、回折または散乱された前記光が前記撮影部に収集される、請求項1に記載の透過光学系の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過光学系の検査装置に関する。より詳細には、対象体の透過映像を活用する透過光学系の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目視による検査方法が自動化設備を用いて機械装置によって自動的に行われている。自動化検査装置としての透過光学系の検査装置は、平坦な表面を持つ物質の表面欠陥を見つける用途に活用される。
【0003】
例えば、画像表示装置の部品として含まれるガラス及び各種の光学フィルムには、画像表示装置の映像出力品質を向上させるために、ガラス及び光学フィルムの表面が滑らかで平坦であることが求められる。
【0004】
特に、リターダ、偏光子、位相差フィルムなどとして画像表示装置に用いられる光学フィルムの場合には、その表面が非常に平坦であることが必要である。
【0005】
しかし、ガラス及び光学フィルムは、製造または取扱いの過程でその表面に傷(Scratch)、異物、気泡、凹凸、破れ、ねじれ又は折れなどの欠陥が発生することがしばしばある。
【0006】
画像表示装置の映像品質を向上させるためには、これらの欠陥を高感度で検出する必要がある。例えば、韓国特許公開第10-2017-0010675号公報では、光学フィルムの検査装置を開示しているが、より微細な欠陥を検出するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開第10-2017-0010675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、検出解像度に優れた光学系の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1.被検体に光を照射する光源と、前記被検体に前記光の焦点を形成する集光レンズと、前記集光レンズによって集中された前記光を部分的に遮断する遮光部と、前記被検体を通過した前記光を受容して映像を取得する撮影部とを含み、前記遮光部の幅に対する前記光源の幅の比率は1:1~1:8である、透過光学系の検査装置。
【0010】
2.前記項目1において、前記光源、前記集光レンズ及び前記撮影部は、一列に配列される、透過光学系の検査装置。
【0011】
3.前記項目2において、前記遮光部は、前記光源、前記集光レンズ及び前記撮影部と直線上に配置される、透過光学系の検査装置。
【0012】
4.前記項目1において、前記光源及び前記遮光部は、バー(bar)形状を有する、透過光学系の検査装置。
【0013】
5.前記項目1において、前記光源と前記遮光部との間の距離に対する前記光源と前記被検体との間の距離の比率は、1:3~1:17.5である、透過光学系の検査装置。
【0014】
6.前記項目1において、前記遮光部の幅は5~10mmである、透過光学系の検査装置。
【0015】
7.前記項目1において、前記光源の幅は6~40mmである、透過光学系の検査装置。
【0016】
8.前記項目1において、前記光源と前記遮光部との間の距離は4~10mmである、透過光学系の検査装置。
【0017】
9.前記項目1において、前記光源と前記被検体との間の距離は30~70mmである、透過光学系の検査装置。
【0018】
10.前記項目1において、前記遮光部により、前記集光レンズを通過した前記光のうち、前記被検体に対して垂直に入射する前記光が遮断される、透過光学系の検査装置。
【0019】
11.前記項目1において、前記遮光部は、平面上で前記被検体の搬送方向に対して45度(°)以上90度未満の角度に傾斜して配置される、透過光学系の検査装置。
【0020】
12.前記項目1において、前記被検体は、表面上に欠陥部を含み、前記遮光部による遮断がされていない前記光のうち、前記欠陥部によって屈折、回折または散乱された前記光が前記撮影部に収集される、透過光学系の検査装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態に係る光学系の検査装置では、遮光部によって、光源から撮影部に直進する光が遮断され、撮影部で取得される画像が全体的に暗く表示され得る。
【0022】
被検体における欠陥のある部分では、前記欠陥に到達した光が回折、散乱または屈折によって進行経路が変化し、撮影部に前記光が収容され得る。
【0023】
これにより、欠陥のない部分は暗く表示され、欠陥のある部分だけが明るく表示される画像が取得され、微細なサイズの欠陥を容易に検出することができる。
【0024】
また、集光レンズを用いて光を集光することにより、遮光部により遮断されることなく前記欠陥に到達する光の量を増加させ、欠陥の検出感度を向上させることができる。
【0025】
そして、前記遮光部と前記光源を被検体の搬送方向に対して特定の角度に配置することにより、前記被検体上に様々な方向に形成され得る様々なサイズと形状の欠陥を実質的に均一な感度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、例示的な実施形態による透過光学系の検査装置を示す概略図である。
図2図2は、例示的な実施形態による透過光学系の検査装置を示す概略図である。
図3図3は、比較例による透過光学系の検査装置を示す図である。
図4図4は、比較例による透過光学系の検査装置から取得された画像を示す図である。
図5図5は、いくつかの実施形態による透過光学系の検査装置を示す図である。
図6図6は、いくつかの実施形態による透過光学系の検査装置から取得された画像を示す図である。
図7図7は、いくつかの実施形態による透過光学系の検査装置から取得された画像を示す図である。
図8図8は、いくつかの実施形態による透過光学系の検査装置を示す図である。
図9図9は、いくつかの実施形態による透過光学系の検査装置から取得された画像を示す図である。
図10図10は、いくつかの実施形態による透過光学系の検査装置から取得された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の例示的な実施形態は、被検体に光の焦点を形成する集光レンズと、集光レンズによって集中された光を部分的に遮断する遮光部と、被検体を通過した光を受容して映像を取得する撮影部とを含み、遮光部と光源の幅の比率は1:1~1:8である透過光学系の検査装置を提供する。これにより、被検体の欠陥を高感度で検出することができる。
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0029】
本明細書で使用する用語「被検体の搬送方向」とは、被検体の平面上における前記被検体の長さ方向を意味する。
【0030】
図1及び図2は、例示的な実施形態による透過光学系の検査装置を示す概略図である。
【0031】
図1及び図2を参照すると、透過光学系の検査装置100(以下、「検査装置」と略称する。)は、光源110と、遮光部150と、撮影部190とを含むことができる。例示的な実施形態によると、被検体170は撮影部190と遮光部150との間に位置することができる。
【0032】
光源110は、被検体170に光を照射することができる。光源110の非限定的な例としては、LED、メタルハライド灯、蛍光灯及びハロゲン灯などが挙げられる。例えば、光源110は、バー形状または棒状であってもよい。
【0033】
被検体170は、光源110と撮影部190との間に配置することができ、光源110から光が照射され得る。また、光源110から放射された光のうち、遮光部150による遮断がされていない光は、被検体170を通過して撮影部190に収容され得る。
【0034】
被検体170は、例えば、板状、フィルム状またはシート状の物質であってもよく、例えば、透明なコンベヤー・ベルト上に置かれて搬送されるか、又はローラーによって巻き取られながら搬送され得る。
【0035】
被検体170は、ガラスまたは光学フィルムを含むことができる。前記光学フィルム又は前記ガラスは、OLED装置、LCD装置等に挿入されるものであってもよい。前記光学フィルムは、例えば、偏光板、リターダ、エンキャプセレーション・フィルム、ウィンドウフィルム、保護フィルム及びタッチセンサーフィルムを含むことができる。
【0036】
被検体170は、欠陥部172を含むことができる。欠陥部172は、例えば、傷、スクラッチ、破れ、凹み、異物または折れなどを含むことができ、被検体170の表面の不均一および不均質な部分を意味し得る。欠陥部172に到達した光は、例えば屈折、回折または散乱によって進行経路が変化し得る。
【0037】
被検体170は、透明性または透過性を有する物質であってもよく、少なくとも半透明性を有する物質であってもよい。また、前記回折または散乱によって光の進行経路が変化して撮影部190に前記光が進行し得るので、不透明な物質であってもよい。
【0038】
遮光部150は、被検体170と光源110との間に配置され、前記光を部分的に遮断することができる。例えば、遮光部150は、被検体170と平行に配置することができる。例えば、遮光部150によって、光源110から放射される光のうち、撮影部190に向かって実質的に直進して進行する光を遮断することができる。
【0039】
遮光部150は、光を遮断する材質の物質で形成することができる。「光を遮断する」ということは、光を実質的に通過させないことを意味する。例えば、遮光部150は、光の透過率が10%未満の物質で形成することができる。
【0040】
また、遮光部150は、例えば光を吸収または反射する材質の物質で形成することができる。遮光部150の非限定的な例としては、金属板および不透明プラスチックなどが挙げられる。
【0041】
前記「光を部分的に遮断する」ということは、前記光を完全に遮断しないことであり、例えば、前記光の50%~90%を遮断することを意味し得る。
【0042】
遮断率が前記範囲内であると、光量が多くなりすぎないため、撮影部190によって取得される画像の背景を暗く維持することができ、また、光量が少なくなりすぎないため、欠陥が明るく検出されるようにして検査装置100の検出力を確保することができる。
【0043】
撮影部190は、被検体170を通過した光を受容して映像を取得することができる。例えば、遮光部150により遮断されることなく被検体170を通過した光から画像を取得することができる。撮影部190は、例えばCCDカメラを含み、例えば、ラインスキャンカメラ(Line-scan Camera)、領域カメラ(Area Camera)を含むことができる。
【0044】
例えば、撮影部190に光が収容される場合、撮影部190によって取得される画像は明るく表示され、光が収容されない場合、撮影部190によって取得される画像は暗く表示され得る。
【0045】
より具体的には、図1は、いくつかの実施形態において、被検体170の欠陥のない部分に光が照射された場合を示す概略図であり、図2は、いくつかの実施形態において、被検体170の欠陥部172に光が照射された場合を示す概略図である。
【0046】
図1に示すように、被検体170における欠陥のない部分に光が照射される場合、前記光のうち、撮影部190に向かって実質的に直進する光は遮光部150によって遮断され、遮光部150を避けて進む光は被検体170に到達することができる。前記光は、被検体170を通過して直進することができる。前記「直進」とは、光の進行経路が変化せずに実質的に維持されることを意味し、例えば、約10度の範囲内で屈折される場合を含むことができる。
【0047】
この場合、前記光は撮影部190に収容できなくなり得る。このため、撮影部190によって取得される画像は暗く表示され得る。
【0048】
これに対して、図2に示すように、被検体170の欠陥部172に光が照射される場合には、前記光が前記欠陥(例えば、スクラッチ)に到達して回折、散乱または屈折されることにより、前記光の進行経路が変更し得る。
【0049】
この場合には、回折、散乱または屈折された光の一部が撮影部190に収容され、撮影部190によって取得される画像が明るく表示され得る。
【0050】
このため、被検体170に欠陥がない場合には前記画像が暗く表示され、欠陥がある場合には前記画像が明るく表示され得る。したがって、前記画像は、暗い背景に欠陥部172に対応する部分だけが明るく表示されるため、検査装置100により被検体170の微細な欠陥まで容易に検出することができる。
【0051】
例示的な実施形態において、遮光部150の幅(w1)に対する光源110の幅(w2)の比率は1:1~1:8、好ましくは1:1~1:3.5であってもよい。
【0052】
例示的な実施形態において、遮光部150の幅(w1)は5~10mmであってもよい。遮光部150の幅(w1)が前記範囲内であると、検出性能を向上することができる。好ましくは、遮光部150の幅(w1)は5~9mm、6~10mm、5~8mmまたは6~8mmであってもよい。
【0053】
例示的な実施形態において、光源110の幅(w2)は6~40mmであってもよい。光源110の幅(w2)が前記範囲内であると、検出性能を向上することができる。好ましくは、光源110の幅(w2)は6~30mmまたは6~21mmであってもよい。
【0054】
例示的な実施形態において、光源110と遮光部150との間の距離(d1)に対する光源110と被検体170との間の距離(d2)は、1:3~1:17.5、好ましくは1:3.75~1:15であってもよい。
【0055】
例示的な実施形態において、光源110と遮光部150との間の距離(d1)は、4~10mmであってもよい。光源110と遮光部150との間の距離(d1)が前記範囲内であると、検出性能を向上することができる。好ましくは、光源110と遮光部150との間の距離(d1)は、4~9mmまたは4~8mmであってもよい。
【0056】
例示的な実施形態において、光源110と被検体170との間の距離(d2)は、30~70mmであってもよい。光源110と被検体170との間の距離(d2)が前記範囲内であると、検出性能を向上することができる。好ましくは、光源110と被検体170との間の距離(d2)は、30~65mm、35~65mmまたは30~60mmであってもよい。
【0057】
例示的な実施形態において、「w1」、「w2」、「d1」及び「d2」は、下記数式1を満たすことができる。
【0058】
[数式1]
【0059】
いくつかの実施形態において、光源110は、400~700nmまたは500~600nmの波長の光を照射することができる。この場合には、光源110及び遮光部150が前述したサイズ及び位置を有するときに欠陥検出力が向上し得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、欠陥部172の幅は0.2~20μmであってもよい。欠陥部172の幅とは、被検体170の移動方向に平行な方向に対する欠陥部172の両端部間の距離を意味し得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、遮光部150の幅(w1)に対する遮光部150と被検体170との間の距離の比率は、1:5~1:10であってもよい。前記範囲であると、欠陥検出力を向上することができる。好ましくは、遮光部150の幅(w1)に対する遮光部150と被検体170との間の距離の比率は、1:6~1:9であってもよい。
【0062】
図3及び図4は、比較例による透過光学系の検査装置及びそれから取得された画像を示す図である。
【0063】
図3を参照すると、比較例による透過光学系の検査装置200は、光源210および撮影部290を含み、実施例による検査装置100に含まれる遮光膜150を備えていない。図1及び図2と実質的に同一の構成及び/又は構造については説明を省略する。
【0064】
遮光部150を省略する場合には、光源210から撮影部290の方向に実質的に直進する光が遮断されずに撮影部290によって収容される。この場合には、実施例による検査装置100とは異なり、撮影部290に収容される光量が多すぎて、取得される画像が全体的に明るく表示され得る。
【0065】
被検体270における欠陥のある部分では、前記欠陥に到達した光の屈折、回折または散乱が起こり得る。この場合には、前記光の進行経路が変化して、前記光が撮影部290を避けて進み得る。このため、映像において前記欠陥部分がより暗く表示され得る。
【0066】
図4において、中央を縦方向に横切る暗い部分は被検体270に存在する前記欠陥に相当し、欠陥のない部分よりも暗く表示される。
【0067】
したがって、遮光部150が備えられていない場合には、図4に示すように欠陥のない部分と欠陥のある部分との色及び明るさの差が大きくないため、欠陥の検出力が低下することがある。
【0068】
いくつかの実施形態において、検査装置100は、光源110と遮光部150との間に配置された集光レンズ130をさらに含むことができる。集光レンズ130は、例えば、直進光を通過させながら集光する機能を果たすものであり、凹レンズなどを含むことができる。
【0069】
集光レンズ130は、光源110と一体を成して一つの部材として光源110に含まれ得る。さらに、遮光部150まで集光レンズ及び光源110と一体を成して一つの部材として光源110に含まれ得る。
【0070】
一実施形態によると、集光レンズ130は、被検体170の表面上に焦点が形成されるように配置することができる。
【0071】
前記焦点が被検体170の表面上に形成される場合には、欠陥部172に到達する光量が増加し得る。これにより、欠陥部172で回折、散乱または屈折によって経路が変化する光量が増加し、撮影部190に収容される光量も増加して、欠陥の検出力を増加させることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、遮光部150は、光源110または集光レンズ130と平面上で部分的に重畳するバー(bar)形状を有することができる。
【0073】
例えば、光源110または集光レンズ130も前記バー形状を有することができ、前記バー形状を有する遮光部150により、光源110から放出されて集光レンズ130を通過して集光される光を前記バー形状の長さ方向に均等に遮断することができる。これにより、撮影部190に収容される光量を減少させ、取得される画像が暗い背景を維持するようにすることにより、欠陥の検出力を向上させることができる。
【0074】
一実施形態では、遮光部150によって、集光レンズ130を通過した光のうち被検体170に対して垂直に入射する光を遮断することができる。
【0075】
前記「垂直に入射する光」とは、実質的に垂直に入射する光を意味し、例えば、集光レンズ130によって屈折されて約60度~90度の角度内の範囲に入射する光を含むことができる。
【0076】
前記垂直に入射する光を遮断することにより、撮影部190に収容される光量が多くなりすぎないように調節し、取得される画像の背景を暗く維持することができる。
【0077】
一実施形態によると、光源110、集光レンズ130、遮光部150及び撮影部190は、被検体170に対して垂直な方向に一列に配列することができる。
【0078】
図1及び図2に示すように、光源110、集光レンズ130、遮光部150及び撮影部190を前記のように配列すると、被検体170の表面上に焦点を形成することが容易になり、前記焦点に対称的に光が入射することによって、様々な方向に形成される欠陥の検出力を増加させることができる。
【0079】
図5~7は、いくつかの実施形態に係る透過光学系の検査装置及びそれから取得された画像を示す図である。
【0080】
いくつかの実施形態において、遮光部150は、図5に示すように平面上で被検体170の搬送方向に対して垂直に配置することができる。前記「垂直」は、実質的に90度の角度で認識できる角度を意味し、例えば80度~100度の角度を含むことができる。
【0081】
例えば、光源110もまた、遮光部150と同じ方向に配置することができる。これにより、被検体170の幅方向に形成された欠陥に対して照射される光量が増加し、前記欠陥の検出力を向上することができる。
【0082】
したがって、図6及び図7に示すように、厚さの薄い線形に形成されたスクラッチのような欠陥を、取得される画像上で容易に識別することができ、欠陥の検出解像度を向上させることができる。
【0083】
図8~10は、いくつかの実施形態に係る透過光学系の検査装置及びそれから取得された画像を示す図である。
【0084】
いくつかの実施形態では、図8に示すように、遮光部150は、平面上で被検体170の搬送方向に対して45度以上90度未満の角度に傾斜して配置することができる。図8では、遮光部150と被検体170の搬送方向がなす角をθで表示した。
【0085】
被検体170には様々な方向及び形状に欠陥部172が形成され得る。例えば、欠陥部172が延長される方向と、遮光膜150及び光源110が配置される方向とが実質的に垂直な場合には、欠陥部172に到達する光量が少なくて欠陥の検出力が低下することがある。
【0086】
例えば、遮光部150の配置角度が前記範囲の角度である場合には、被検体170の搬送方向に形成された欠陥及び前記搬送方向に垂直に形成された欠陥の両方を高感度で検出することができる。これにより、様々な方向と形状に形成された欠陥を汎用的に(実質的に均一な感度で)検出することができる。
【0087】
図9は、図6の被検体と同じ被検体の同じ部分から取得した画像である。図10は、図7の被検体と同じ被検体の同じ部分から取得した画像である。また、図10及び図7は、被検体の搬送方向と平行な方向に形成されたスクラッチから取得した画像である。
【0088】
これらのことから、被検体170の搬送方向に対して特定の角度に形成されたスクラッチの場合には、図9に示すように、(図6と比較して)検出感度がより向上できる。
【0089】
また、被検体170の搬送方向に対して平行に形成されたスクラッチの場合には、図10に示すように、図7に示す画像に比べて検出感度がより向上し得る。
【0090】
いくつかの実施形態によると、被検体170は、内部にスクラッチを含み、遮光部150による遮断がされていない光のうち、前記スクラッチにより回折された光が撮影部190に収集され得る。これにより、前記回折によって厚さの薄いスクラッチも検査装置100によって検出することができ、検出解像度が向上し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、欠陥を含む被検体を準備し、前記被検体の下に遮光部を配置した後、前記遮光部により前記被検体に対する垂直光がフィルタリングされるように光を照射することができる。そして、前記欠陥により回折された光を収集して画像を取得することにより、被検体の欠陥を検査することができる。
【0092】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、これらの実施例は本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。これらの実施例に対し、本発明の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正を加えることが可能であることは当業者にとって明らかであり、これらの変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然のことである。
【0093】
実施例
照明、遮光部、偏光フィルム(被検体)及びカメラを図1に示すように配置した。
偏光フィルムは、線幅約50μmのスクラッチを含んでおり、スクラッチが位置する領域に約550nmの波長の光を照射し、カメラに取得された光から検査画像を得た。
検査画像上でスクラッチが形成された領域の明度(グレースケール;0~255単位)とその周辺領域(暗部)との明度差を計算して検出強度で示した。
【0094】
実験例1:遮光部の幅(w1)による検出性能の評価
w2:21mm、d1:6mm、d2:50mmの条件下でw1を変えながら検査画像及び検出強度を得た。
【0095】
【表1】
【0096】
実験例2:光源の幅(w2)による検出性能の評価
w1:6mm、d1:6mm、d2:50mmの条件下でw2を変えながら検査画像及び検出強度を得た。
【0097】
【表2】
【0098】
実験例3:光源-遮光部の距離(d1)による検出性能の評価
w1:6mm、w2:21mm、d2:50mmの条件下でd1を変えながら検査画像及び検出強度を得た。
【0099】
【表3】
【0100】
実験例4:光源-被検体の距離(d2)による検出性能の評価
w1:6mm、w2:21mm、d1:6mmの条件下でd2を変えながら検査画像及び検出強度を得た。
【0101】
【表4】
【符号の説明】
【0102】
100:光学系の検査装置
110,210:光源
130,230:集光レンズ
150:遮光部
170,270:被検体
190,290:撮影部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10