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特許7126012校正デバイスを備えた製品の付加製造のための装置及びこの装置の校正方法
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  • 特許-校正デバイスを備えた製品の付加製造のための装置及びこの装置の校正方法 図1
  • 特許-校正デバイスを備えた製品の付加製造のための装置及びこの装置の校正方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】校正デバイスを備えた製品の付加製造のための装置及びこの装置の校正方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/31 20210101AFI20220818BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20220818BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220818BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20220818BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220818BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220818BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220818BHJP
【FI】
B22F10/31
B22F10/28
B29C64/153
B29C64/268
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021049572
(22)【出願日】2021-03-24
(62)【分割の表示】P 2018108643の分割
【原出願日】2018-06-06
(65)【公開番号】P2021101045
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】2017/5404
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ジョナス ファン ヴェーレンベルグ
(72)【発明者】
【氏名】サム コーク
(72)【発明者】
【氏名】ブロウリー ファルケンボルグ
(72)【発明者】
【氏名】ルディ ライーマカーズ
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-210835(JP,A)
【文献】特開2001-351876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/105
B22F 3/16
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物品(4)の積層製造のための装置であって、前記物品(4)が内部で構築される構築チャンバ(1)、及び該構築チャンバ(1)に関して外部にある光学システム(2)を有し、該光学システム(2)は、エネルギービーム(6)を生成するための少なくとも1つのビーム源(9)及びこのビーム(6)を移動させるための対応する走査手段(10)を備え、
前記ビーム(6)を移動させて選択位置に当てるために前記走査手段(10)を制御する制御ユニット(12)が提供され、
前記構築チャンバ(1)の壁が、前記ビーム(6)が窓(11)を通過し前記構築チャンバ(1)に入るように前記ビーム(6)に対して透明である窓(11)を特徴とし、
前記装置が、前記ビーム源(9)及び/又は前記走査手段(10)のための校正デバイス(3)を備え、少なくとも前記走査手段(10)が、前記ビーム(6)が前記窓(11)を通過し前記構築チャンバ(1)に入ることができる製造位置と、前記ビーム(6)が校正デバイス(3)に当たりしたがってそれと組み合わせて作用することができる校正位置との間で前記構築チャンバ(1)に関して移動可能であり、
前記走査手段(10)が、可動式ベース(13)に取り付けられ
前記校正デバイス(3)が、前記ビーム(6)の位置を測定するための位置センサ(15)を備え、
前記位置センサ(15)が、前記校正デバイス(3)の2次元平面(16)上における前記ビーム(6)の入射点の位置の測定を可能とし、
前記入射点の実際に測定された位置と、前記制御ユニット(12)により選択又は設定された入射点の位置との間の差異を特定するための手段が提供される
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記製造位置と前記校正位置との間で前記走査手段(10)の移動を可能とする前記走査手段(10)のガイド手段(14)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記校正デバイス(3)が、前記ビーム(6)により実際に供給されるパワーを測定するためのパワーセンサを少なくとも備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ビーム(6)の実際のパワーを、該ビーム(6)の設定された又は所望のパワーと比較するために調整手段が提供され、該調整手段は、前記供給された実際のパワーを前記所望のパワーに変えることができることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記校正デバイス(3)が、異なる位置で前記ビーム(6)の位置を測定するために、少なくとも2つ位置センサ(15)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記差異を特定するための手段が、前記選択された位置が前記入射点の実際の位置に一致するように前記制御ユニット(12)を調整することができることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記構築チャンバ(1)が、密閉シールできることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ビーム源(9)がレーザ源から構成され、前記ビーム(6)がレーザビームを含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に選択的レーザ溶融のような付加製造技術の用途のための、3次元物品の積層製造のための装置に関する。この装置は、内部で製品が構築される構築チャンバ、及び構築チャンバの外側に伸長する光学システムを有する。光学システムは、エネルギービームを生成するためのビーム源を少なくとも有し、このビームを移動させるための対応する走査手段を備える。本明細書において、ビームが選択された位置に当たるようにビームを移動させる走査手段を制御する制御ユニットが提供される。構築チャンバの壁は、ビームが窓を通過して構築チャンバに入るようにビームに対して透明な閉鎖窓を特徴とする。
【0002】
概して、物品を製造する際に、ビームを移動させるためのスキャナと組み合わせて、エネルギービーム、より詳細にはレーザビームを用いる製造プロセスにおいて、校正が必要である。これは通常、レーザビームのパワーの校正と物品が構築される平面におけるスキャナのXY精度の校正との両方を必要とする。従来技術によれば、これらの校正は、装置中の構築チャンバ自体の中で行われるのがほとんどである。構築チャンバ中に1つ以上のセンサを設置し読み取ることにより、構築チャンバ中でレーザパワーが測定される。
【0003】
スキャナの校正は、さまざまの方法で行うことができる。本明細書におけるある実施例は、物品を構築し、次いで、例えば座標測定機を用いて物品の実寸法を測定し、これらの寸法を規定の物品寸法と比較する。次いで、検出された差異を用いて、倍率、オフセット又は補正テーブルを特定し、装置中で次の物品を製造する際にこれらの差異を補正することができる。
【0004】
いくつかの場合には、既知の寸法又は基準点を有する平面を、構築チャンバ中の既知の位置に配置し、この位置におけるレーザビームの入射点の実際の位置とレーザビームの選択された位置との間の差異を比較する。
【0005】
スキャナの校正の異なる方法によれば、比較的高価なセンサを構築チャンバ中に配置し、レーザビームの入射点の特定の座標の位置を測定する。
【0006】
従来技術に従った、これらの校正方法は、相当な時間がかかりかつ測定をオフラインで行わなければならないので、散発的にしか行うことができないという欠点がある。より詳細には、既存の校正方法を適用すると常に、構築チャンバを開いて製造された物品を構築チャンバから取り除く必要がある。言い換えれば、必然的に、プロセスチャンバを開くことなしに、物品の製造中にレーザパワー又はスキャナの中間校正(interim calibration)を行うことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、構築チャンバを開く必要なしに、レーザビームのパワーを容易かつ高速に測定及び校正し、かつ走査手段を校正することができる装置及び方法を提供することにより、これらの欠点をなくすことを目的とする。より詳細には、本発明は、構築チャンバを開く必要なしに、物品の製造中に中間校正を可能とすることを目的とする。したがって、構築チャンバを開く必要なしに、校正の完了後に、製造プロセスを続けることができる。これは、比較的大きい物品の製造において主に有利である。したがって、本発明は、走査手段又はビームの校正中に構築チャンバ中で低い又は高い圧力あるいは保護雰囲気を維持することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明による装置は、ビーム源及び/又は走査手段のための校正デバイスを備え、少なくとも走査手段は、ビームが窓を通過し構築チャンバに入る製造位置と、ビームが校正デバイスに当たる校正位置との間で、構築チャンバに関して移動可能である。
【0009】
この目的のために、本発明の装置は、走査手段を製造位置と校正位置との間で移動させることができる走査手段のためのガイド手段を備える。
【0010】
有利には、ビーム源及び走査手段は、同じ可動式ベースに取り付けられる。
【0011】
本発明はまた、光学システムを用いた付加製造技術によって構築チャンバ中で3次元物品を製造するための方法、及びこの光学システムを校正する方法に関する。本明細書において、光学システムはコントローラと組み合わせて作用する。光学システムは、構築チャンバ中でこのビームの入射点を移動させるための対応する走査手段を用いて、エネルギービームを生成するビーム源を少なくとも有する。本発明の方法によれば、光学システムは製造位置に配置され、走査手段を用いることにより、ビームは構築チャンバ中へその壁にある窓を通過して入る。ビームを移動させる際に、構築チャンバ中の粉末を物品の連続的に接着された層に変えることにより物品を製造する。
【0012】
この方法の1つの特徴は、光学システムを校正することであり、少なくとも走査手段が、製造位置から校正位置へ構築チャンバに関して移動され、光学システムの少なくとも1つのパラメータについて実効値が測定され、この測定された実効値がパラメータについての選択値と比較される。次に、走査手段が製造位置へ戻され、光学システムは、少なくとも1つのパラメータの実効値が対応するパラメータの選択値に一致するように調整され、物品が続いて製造される。
【0013】
関心のある方法によれば、本発明に従って、光学システムが校正位置へ移動される際に、構築チャンバ中の製造圧力を維持しながら、物品の製造が一時的に停止される。次いで、光学システムが校正後に製造位置へ戻ると、物品の製造が続けられる。
【0014】
本発明のさらなる詳細及び利点が、本発明に従った方法及び装置のいくつかの特定の実施形態の以下の記載に示される。この記載は、例としてのみ与えられるものであり、特許請求される保護範囲を制限するものではない;以下で用いられる参照番号は、添付の図面に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】光学システムが製造位置に配置された場合の、本発明に従った装置の構築チャンバ、光学システム及び校正デバイスの概略正面図
図2】光学システムが校正位置にある場合の、図1からの装置の概略正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
さまざまの図面において、同じ参照番号は同じ又は類似する部材に関する。
【0017】
概して、本発明による装置は、付加製造技術の適用による3次元物品の製造のための機械に関する。この種の技術において、物品は、連続的に接着された層を製造することにより構築される。本明細書において、例えば、金属粉末が使用され、これは、物品の断面のためのパターンに従って移動するレーザビームにより溶融される。関心のある付加製造技術の1つの実施例は、選択的レーザ溶融であり、レーザビームが連続的な粉末層の上を移動し、物品の連続的な断面に対応するパターンに従ってこの粉末を溶融及び固化する。
【0018】
物品を構築するために、金属粉末のような原材料を変化させるためのパターンに従ってレーザのようなエネルギービームを移動させる、付加製造プロセスにおいては、最小限の寸法公差で物品を製造するために、ビームの移動は精度が高いことが重要である。このために、不一致について装置を定期的にチェックし、所望であれば、装置において校正を行うことが重要である。
【0019】
図1は、光学システム2及び校正デバイス3を備えた構築チャンバ1の概略図である。構築チャンバ1において、構築プラットフォーム5の上に構築表面7上で連続的な粉末層を塗布することにより物品4が製造される際に、かつ各粉末層の塗布の後に、最後に塗布された層にエネルギービーム6を当て、このビームを層上で移動させることにより物品4の層を作製する。ビーム6は、例えばレーザビームを含んでもよい。物品4の層の作製後、構築プラットフォーム5を、層の厚さに対応する距離に亘って下方に移動させることによって、物品の頂部が再び構築表面7中に伸長し、次の粉末層が塗布できる。
【0020】
物品4の構築を開始する前に、矢印8により示されるように、構築チャンバ1から空気を抜き、構築チャンバを低圧下に置く、あるいは不活性雰囲気での物品4の製造を可能とする。不活性雰囲気又はガスを、矢印8”により示されるように、構築チャンバ中へ供給してもよい。
【0021】
光学システムは、構築チャンバ1の外側に配置され、ビーム源9、特にレーザビーム、及び走査手段10を備え、ビーム源9により生成されたビーム6が窓11を通過して構築チャンバ1中へ入ることを可能とする。窓11は、構築チャンバ1の壁にある開口を密閉シールし、ビーム6に対して透明である。
【0022】
走査手段10は、コンピュータを備える制御ユニット12により制御される。したがって、制御ユニット12は、走査手段10を制御し、構築チャンバ1中で粉末層の上にビーム6を移動させる。これらの走査手段10は、例えば、構築される物品の2次元断面に対応するパターンに従って、粉末層の上にビームの入射点を移動させるために、1つ以上の可動式電動ミラーを備えた1つ以上の検流計を含んでもよい。
【0023】
図1に示されるように、光学システム2は、ビーム6が窓11を通過して構築チャンバ1に入ることができる製造位置において、窓11の反対側に配置される。
【0024】
光学システム2の走査手段10及びビーム源9は、製造位置と校正位置との間で構築チャンバ1に関して一緒に移動できる。図2は、校正位置における走査手段10及びビーム源9を備えた光学システムを示し、走査手段10を用いることにより、ビーム6を校正デバイス3に当てることができる。
【0025】
好ましくは、ビーム源9及び走査手段10は、互いに関して固定位置を有するように同じ可動式ベース13に取り付けられる。可動式ベース13は、その上をベース13が製造位置と校正位置との間で移動できるガイド手段と組み合わせて作用する。本発明に従った、図面に示される装置の実施形態において、これらのガイド手段は、構築チャンバ1に関して固定されて取り付けられるガイドレール14を備える。したがって、2つの位置の間で固有のかつ既知の経路に沿ってベース13を移動させることができる。
【0026】
本発明に従った、装置の代替的な実施形態において、走査手段10のみが、製造位置と校正位置との間で構築チャンバ1に関して移動できるのに対し、ビーム源9は、構築チャンバに関して固定され場合によって調整可能な位置を有する。ビーム源9及び走査手段10を互いに独立して移動可能とすることもできる。
【0027】
校正デバイス3の第1の実施形態において、複数の固定されたセンサが取り付けられる。これらのセンサは、表面上でビーム6の入射点の位置を測定するための位置センサ15を備える。
【0028】
これらのセンサ15は、例えば、ビーム6の入射点がいつセンサ上に位置するかの検出を可能とする。これは、センサ15に当たるエネルギーの強度を測定することにより達成されるかもしれない。本明細書において、限界値が設定され、この限界値を超えると、ビームの入射点が既知の位置を有するセンサ15上に位置することが特定される。
【0029】
好ましくは、校正デバイス3は、2次元校正平面16において異なる位置でビーム6の入射点の位置を測定するために、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのセンサ15を備える。
【0030】
センサ15は、例えば、フォトダイオード又は他の種類のビーム検出器を備えてもよい。したがって、例えば、これらのセンサ15は、ビームの入射点が校正平面16上の所定の位置にいつ当たるかを検出する、あるいはこの平面16上のビーム6の入射点の位置を測定する、1つ以上のカメラシステム17から構成されてもよい。図面に示される実施形態は、校正平面16に提供される位置センサ15及びカメラ18を含むセンサの両方を示す。
【0031】
さらに、本発明の装置は、校正平面16上の入射点の実際に測定された位置と制御ユニットにより選択又は設定された入射点の位置との間の差異を特定するための手段、特にコンピュータを備える。構築プロセスの精度を高めるために、選択された又は設定された位置が入射点の実際の位置に一致するように制御ユニット中のパラメータを調整する。
【0032】
校正デバイスはまた、好ましくは、ビームにより実際に供給されるパワーを測定するためのパワーセンサを備える。この実際に測定されたパワーは、このビームについて設定されかつ所望のパワーと比較される。実際のパワーの値が設定された所望のパワーから外れる場合、調整手段を使用して、所望のパワーに一致するように供給された実際のパワーを変える。
【0033】
概して、本発明に従った装置上に取り付けられた校正デバイス3は、ビーム源9又は走査手段10を校正するために構築チャンバ1中で、従来技術に従って使用される任意の従来の校正システムを備えてもよい。
【0034】
それにもかかわらず、好ましくは制御ユニット12において複数のパラメータを調整することにより、走査手段10又は光学システム2の他の構成要素の物理的位置を手動で調整することによって、校正を行うことももちろんできる。
【0035】
本発明の主な利点は、光学システム2又はその構成要素の校正を行うために構築チャンバを開ける必要がもはやないということである。したがって、比較的大きい物品についての構築プロセス中、構築チャンバ1を開く必要なしに通常のインターバルで新しい校正を行うことができる。
【0036】
したがって、構築チャンバ1中で製造圧力を維持しながら、物品4の製造を一時的に停止し、光学システム2を校正位置へ移動させる。次に、光学システム2を校正し、製造位置へ戻して物品4の製造を続ける。
【0037】
本発明に従って、走査手段10及び/又はビーム源9の校正位置において、光学システム2の少なくとも1つのパラメータの実効値を測定し、当該パラメータについての選択又は設定された数値と比較する。次に、走査手段10を製造位置に戻し、ここで、問題のパラメータの実効値がこのパラメータの選択又は設定された数値に一致するように光学システムが調整される。
【0038】
したがって、校正位置において、パラメータは例えば、校正平面16上のビーム6の入射点の位置と一致し、この位置は制御ユニット12を用いて設定される。この場合、校正デバイス3を用いて測定されたこの位置についての数値は、当該位置に対応するパラメータの実効値であり、次いでビーム6のこの実際の位置と設定された位置との間の差異が測定される。
【0039】
同様に、例えば、上記のパラメータはビーム6のパワーであり、このパラメータの実際に測定された値は、ビーム6の実際のパワーとその設定又は選択されたパワーとの間の差異を特定する。
【0040】
さらに、上記のパラメータを、ビーム6の焦点直径、強度又は焦点距離に関係させることも可能であり、これらのパラメータを測定するために対応するセンサが提供される。概して、校正デバイス3は好ましくは、適用される付加製造技術のフレームワーク内で、ビームの質に関する複数の特性パラメータの測定を可能とする。
【0041】
図面において、上記の校正平面16のレベルは、構築表面7のレベルよりも高い。これによって、校正平面16が構築平面7よりも小さい表面積を有することができるという利点が提供されるが、これには通常、校正を行う際に適用される倍率が必要とされる。校正平面16のレベルは、構築平面7のレベルに一致してもよい。
【0042】
本発明に従った、装置及び方法の単純な実施形態によれば、校正平面16は、校正デバイス3中に配置される、光感受性フィルムのようなフィルムから構成される。本明細書において、走査手段10が校正位置に移動されると、ビーム6は、オペレータによって選択又は設定される位置に従って走査手段によってこのフィルム上を移動される。次いで、フィルムは手動によりオフラインで測定される。したがって、制御ユニットは、自動的なフィードバックを受けない:その代わりに、オペレータは、測定の結果を制御ユニットに手動で入力しなければならない。
【0043】
本発明は、もちろん、上記で説明されかつ添付の図面に提案される装置又は方法の実施形態に限定されない。したがって、本発明のフレームワークの範囲内で、異なるバリエーションを検討してもよい。
【0044】
上記の説明は、ビーム源9のための走査手段10のみを備える光学システム2を特定するが、この光学システム2について、異なるビームのための複数の走査手段10を取り付けることももちろん可能である。したがって、光学システム2は、複数のビーム源9を備えてもよい。
他の実施形態
1. 3次元物品(4)の積層製造のための装置であって、前記物品(4)が内部で構築される構築チャンバ(1)、及び該構築チャンバ(1)に関して外部にある光学システム(2)を有し、該光学システム(2)は、エネルギービーム(6)を生成するための少なくとも1つのビーム源(9)及びこのビーム(6)を移動させるための対応する走査手段(10)を備え、
前記ビーム(6)を移動させて選択位置に当てるために前記走査手段(10)を制御する制御ユニット(12)が提供され、
前記構築チャンバ(1)の壁が、前記ビーム(6)が窓(11)を通過し前記構築チャンバ(1)に入るように前記ビーム(6)に対して透明である窓(11)を特徴とし、
前記装置が、前記ビーム源(9)及び/又は前記走査手段(10)のための校正デバイス(3)を備え、少なくとも前記走査手段(10)が、前記ビーム(6)が前記窓(11)を通過し前記構築チャンバ(1)に入ることができる製造位置と、前記ビーム(6)が校正デバイス(3)に当たりしたがってそれと組み合わせて作用することができる構成位置との間で前記構築チャンバ(1)に関して移動可能である、
装置。
2. 前記製造位置と前記校正位置との間で前記走査手段(10)の移動を可能とする前記走査手段(10)のガイド手段(14)を備えることを特徴とする、実施形態1に記載の装置。
3. 前記ビーム(9)及び前記走査手段(10)が、同じ可動式ベース(13)に取り付けられることを特徴とする、実施形態1又は2に記載の装置。
4. 前記校正デバイス(3)が、前記ビーム(6)により実際に供給されるパワーを測定するためのパワーセンサを少なくとも備えることを特徴とする、実施形態1から3のいずれかに記載の装置。
5. 前記ビーム(6)の実際のパワーを、該ビーム(6)の設定された又は所望のパワーと比較するために調整手段が提供され、該調整手段は、前記供給された実際のパワーを前記所望のパワーに変えることができることを特徴とする、実施形態4に記載の装置。
6. 前記校正デバイス(3)が、前記ビーム(6)の位置を測定するための位置センサを備えることを特徴とする、実施形態1から5のいずれかに記載の装置。
7. 前記校正デバイス(3)が、異なる位置で前記ビーム(6)の位置を測定するために、少なくとも2つ及び好ましくは少なくとも3つの位置センサ(15)を備えることを特徴とする、実施形態6に記載の装置。
8. 前記位置センサ(15)が、前記校正デバイス(3)の2次元平面(16)上における前記ビーム(6)の入射点の位置の測定を可能とすることを特徴とする、実施形態5又は6に記載の装置。
9. 前記入射点の実際に測定された位置と、前記制御ユニット(12)により選択又は設定された入射点の位置との間の差異を特定するための手段が提供されることを特徴とする、実施形態8に記載の装置。
10. 前記手段が、前記選択された位置が前記入射点の実際の位置に一致するように前記制御ユニット(12)を調整することができることを特徴とする、実施形態9に記載の装置。
11. 前記構築チャンバ(1)が、密閉シールできることを特徴とする、実施形態1から10のいずれかに記載の装置。
12. 前記ビーム源(9)がレーザ源から構成され、前記ビーム(6)がレーザビームを含むことを特徴とする、実施形態1から11のいずれかに記載の装置。
13. 光学システム(2)を有する付加製造技術を用いた構築チャンバ(1)中での3次元物品(4)の製造、及び前記光学システム(2)の校正のための方法であって、
前記光学システム(2)が、コントローラを備え、エネルギービーム(6)の入射点を前記構築チャンバ(1)中に移動させるための対応する走査手段(10)を有する前記ビーム(6)を生成するためのビーム源(9)を少なくとも有し、
前記走査手段(10)によって、前記ビーム(6)が前記構築チャンバ(1)の壁に提供された窓(11)を通過して前記構築チャンバ(1)に入るように、前記光学システム(2)が製造位置に配置され、前記ビーム(6)の移動中に、前記構築チャンバ(1)中の粉末を前記物品(4)の連続的に接着した層に変えることにより前記物品(4)が製造され、
前記光学システム(2)の校正のために、少なくとも前記走査手段(10)を、前記製造位置から校正位置へ前記構築チャンバ(1)に関して移動させ、前記光学システム(2)の少なくとも1つのパラメータの実効値を測定し、該実際に測定された値を前記パラメータについて選択又は設定された数値と比較し、
前記走査手段(10)が、その後前記製造位置に戻され、前記パラメータの実際に測定された値が選択又は設定された数値に関して許容誤差よりも大きい差異を有する場合、この許容誤差内のパラメータの前記実効値が、このパラメータの前記選択又は設定された数値に一致するように、前記光学システム(2)を調整し、その後前記物品(4)が製造される、
方法。
14. 前記構築チャンバ(1)中で製造圧力を維持しながら、前記物品(4)の製造が一時的に中断され、前記光学システム(2)が前記校正位置に移動され、
前記光学システム(2)が校正後に前記製造位置に戻ると前記物品(4)の製造が再開されることを特徴とする、実施形態13に記載の方法。
15. 付加製造技術を用いて、構築チャンバ(1)中で3次元物品(4)を製造するための装置の光学システム(2)を校正するための方法であって、
前記光学システム(2)が、コントローラを備え、エネルギービーム(6)の入射点を前記構築チャンバ(1)中に移動させるための対応する走査手段(10)を備える前記ビーム(6)を生成するためのビーム源(9)を少なくとも有し、
前記ビーム(6)の移動中に、前記構築チャンバ(1)中の粉末を前記物品(4)の連続的に接着した層に変えることにより前記物品(4)を製造することを可能とするため、前記走査手段(10)によって、前記ビーム(6)が前記構築チャンバ(1)中の壁にある窓(11)を通過して前記構築チャンバ(1)に入るように、前記光学システム(2)が製造位置に配置され、
前記光学システム(2)の校正のために、前記光学システム(2)の少なくとも前記走査手段(10)を、前記製造位置から校正位置へ前記構築チャンバ(1)に関して移動させ、前記光学システム(2)の少なくとも1つのパラメータの実効値を測定し、該実際に測定された値を前記パラメータについて選択又は設定された数値と比較し、
前記走査手段(10)が、その後前記製造位置に戻り、前記パラメータの実際に測定された値が選択又は設定された数値に関して許容誤差より大きい差異を有する場合、このパラメータの前記実効値が、このパラメータの前記選択又は設定された値に一致するように、前記光学システム(2)を調整する、
方法。
16. 前記校正位置において、前記パラメータについて2次元平面(16)上で前記ビーム(6)の入射点について位置が設定され、このパラメータの前記実際に測定された値が、前記ビーム(6)の実際の位置とその設定された位置との間の差異を特定することを特徴とする、実施形態13から15のいずれかに記載の方法。
17. 前記パラメータが前記ビーム(6)のパワーであり、このパラメータの前記実際に測定された値が、前記ビーム(6)の実際のパワーとその選択されたパワーとの間の差異を特定することを特徴とする、実施形態13から16のいずれかに記載の方法。
18. 前記光学システム(2)の少なくとも前記走査手段(10)が、前記製造位置と前記校正位置との間で、ガイド手段(14)、特にガイドレールに亘って移動することを特徴とする、実施形態13から17のいずれかに記載の方法。
図1
図2