(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】流量調整配管
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20220819BHJP
F15D 1/02 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
F16L55/00 G
F15D1/02 E
F15D1/02 D
(21)【出願番号】P 2019152730
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 富
(72)【発明者】
【氏名】平川 猛
(72)【発明者】
【氏名】山本 宏之
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/048643(WO,A1)
【文献】特開2010-111824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
F15D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向にガス流れを形成する直管部と、
前記直管部に接続され、かつ第1系統及び、第2系統の2つの系統に配管を分岐させる分岐部とを備え、
前記第1系統の一端は、前記第2系統の一端よりも前記第1の方向に向けて開口され、又は、前記直管部を通過した前記ガス流れに向けて開口され、
分岐終了部の後段では、互いに異なるガス流れを形成する
前記第1系統と、
前記第2系統とを有し、
前記分岐終了部の前段には、前記第2系統におけるガス流れ方向に向かって傾斜
し、前記第1系統と前記第2系統のガス流量の偏りが小さくなるよう調節する傾斜板を備えた流量調整配管。
【請求項2】
前記第1系統のガス流れ方向は、前記第1の方向と同じであり、
前記第2系統のガス流れ方向は、前記第1の方向以外の方向である請求項1に記載の流量調整配管。
【請求項3】
前記傾斜板の傾斜角度は可変である請求項1又は2に記載の流量調整配管。
【請求項4】
前記傾斜板は、前記配管の壁部に設置位置又は設置範囲が調整可能に取り付けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の流量調整配管。
【請求項5】
前記傾斜板は、前記傾斜板によって発生した乱流が前記分岐終了部に至るまでに解消しない範囲に設置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の流量調整配管。
【請求項6】
前記傾斜板から前記分岐終了部までの距離は、前記配管の径の8倍以下である、請求項5に記載の流量調整配管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐した後の配管内のガス流量を調節できる流量調整配管に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所に代表される各種の工場では、配管を用いてガス等の流体を供給することが行われる。この際、配管を所定の位置で分岐させ、複数の系統に分けてガス供給を行うこともある。
【0003】
配管を分岐させる場合、分岐部の後段でそれぞれの系統に供給されるガスの流量を調整することがある。特に、分岐部の前段からのガス供給量に変動がある場合や、分岐部の後段の各系統でのガスの使用量に変動がある場合、ガス流量の調整が必要となる。ガス流量の調整は、分岐部の前後段に設けられた流量調整弁の開度調整により行われることが一般的である。
【0004】
しかし、流量調整弁を用いる場合、流量の変動が生じるたびに、関連する系統の全ての流量調整弁の調整を行わなければならず、作業が煩雑であるという問題がある。そこで、流動調整弁を用いることなく、分岐部後段の各系統のガス流量を調整する種々の技術が開発されている。
【0005】
例えば、流量調整弁による調整作業を回避する技術を開示した文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、主配管及び分岐配管よりも断面積の大きい球体の分配器を分岐部に取り付けることにより、各分岐配管に均等にガスを分配する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、分岐後の各系統に均等にガスを分配することは可能であるものの、分岐後の各系統に送られるガスの分配量を変えることはできないという問題がある。さらには、製鉄所のような大規模工場では、直径が1500~3000mm程度の超大径の配管が存在し、当該配管よりも断面積の大きい球体を設置することは、設置面積やコストの問題から現実的ではない。
【0008】
また前述したような超大径の配管で、流量調整弁によりガス流量の調整を行おうとすると、流量調整弁の開度調整に時間を要し、小径の配管設備に比べて所望のガス流量を得るのに時間を要するという問題もある。
【0009】
本発明は上述の問題点に鑑みて完成されたものであり、流量調整弁の操作を必要とせず、簡便に配管分岐後のガス流量を調節できる流量調整配管を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]第1の方向にガス流れを形成する直管部と、複数の系統に配管を分岐させる分岐部とを備え、分岐終了部の後段では、互いに異なるガス流れを形成する第1系統と、第2系統とを有し、分岐終了部の前段には、前記第2系統におけるガス流れ方向に向かって傾斜する傾斜板を備えた流量調整配管。
[2]前記第1系統のガス流れ方向は、前記第1の方向と同じであり、前記第2系統のガス流れ方向は、前記第1の方向以外の方向である[1]に記載の流量調整配管。
[3]前記傾斜板の傾斜角度は可変である[1]又は[2]に記載の流量調整配管。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、煩雑な流量調整弁の操作を必要とせずに、簡便に配管分岐後のガス流量の調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、電気集塵装置の入側配管設備を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る流量調整配管の他の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る流量調整配管の他の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る流量調整配管の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明に係る流量調整配管が適用される具体例として、製鉄所の電気集塵装置(EP)の入側配管設備について
図1を用いて説明する。
【0014】
焼結機の建屋内で発生した排ガスは、大径の角管により形成されるダクト内を通って、途中の分岐部で2系統に分かれて、第1EPと第2EPとに供給される。当該排ガスは、多数の粉塵を含むので、EPにおいて除塵されて脱硫・脱硝処置等を受けた後に、大気中へ排出される。
【0015】
排ガスは、まず直管部1を通過した後に、直管部1から垂直に立ち上がった垂直部3を通過する。垂直部3の内側には上下方向に仕切り板4が設けられる。仕切り板4は、垂直部3の内側において、第1EPに接続される第1系統11と第2EPに接続される第2系統12という複数の系統を仕切る隔壁である。
【0016】
直管部1は、第1の方向にガス流れを形成する。言い換えると、直管部1の軸線方向を第1の方向とすればよい。
図1の例では、図面の左側から右側に向かう方向が、第1の方向となる。直管部1は、分岐部6において複数の系統に分岐する。分岐部6のうち、配管系統が分岐を開始するガス流れ方向(第1の方向)の位置を分岐開始部6aとし、分岐を完了するガス流れ方向(第1の方向)の位置を分岐終了部6bとする。
図1の例では、直管部1と垂直部3(第2系統12)との接続部のうち、第1の方向入側に位置する箇所を分岐開始部6a、仕切り板4の下端を分岐終了部6bとする。
【0017】
第1系統11では、直管部1から流れてきたガスは方向を変えずに直進する。但し
図1の例における第1系統11では、ガスは直進した後に内壁5へ衝突して上方向へと向きを変える。一方の第2系統12では、ガスは第1の方向以外の方向に流れる。
図1の例では、第2系統12においてガス流れは水平方向から上方向へとガス流れを変える。尚、水平方向のガス流れは、水平方向と完全に一致していなくてもよく、水平成分が鉛直成分よりも大きい方向であればよい。また、上方向のガス流れも、鉛直成分が水平成分よりも大きい方向であればよい。
【0018】
EPの近傍にはブロワーが設けられ、当該ブロワーを用いてガスを吸引することにより、ダクトのガス流れが発生する。但し、当該ブロワーは、一律の吸引力でガスを吸引するだけの設備であって、当該ブロワーによって分岐後の配管の流量調整を行うことは難しい。
【0019】
本発明者らの検討では、当該EPを稼働させていると、直管部1を通過したガスはそのまま進行方向前方へと直進しやすい一方で、分岐部6の近傍では上向きのガス流れが発生しにくいことが見出された。よって、ガス流れ方向から見て奥側にある第1EPには多量のガスが流入する一方、手前側にある第2EPには少量のガスしか流入しないという問題がある。
【0020】
このように、2つのEPに流入するガスの流量に偏りがある場合、一方のEPのみに過負荷がかかるので、設備操業上好ましくない。
【0021】
EPの過負荷を防止するためには、分岐後の各系統に流入するガスの流量を調整する必要がある。但し、入側ダクトは、断面における縦辺長さ及び横辺長さがそれぞれ1500mm以上にもなる設備であって、流量調整弁によりガス流量の調整を行おうとすると、流量調整弁の開度調整に時間を要し、小径の配管設備の場合に比べて所望のガス流量を得るのに時間を要する。尚、入側ダクトの断面における縦辺長さ及び横辺長さの上限は、特に制限されないが、それぞれ3000mm以下とすることができる。尚、縦辺長さ及び横辺長さは、それぞれダクトの内寸を採用すればよい。
【0022】
本発明では、分岐終了部6bよりも前段に傾斜板7を設けることで、分岐後の両系統に流入するガス量を調節できる。
図1の例では傾斜板7は、ダクトの下面に載置され、ガス流れ方向(第1の方向)と同方向へ向かって上向きの傾斜を形成する。
【0023】
傾斜板7は、傾斜方向(
図1の例では上方向)の乱流を一時的に発生させ、ガスの一部を仕切り板4の手前にある第2系統12へ誘導する。これにより、第1系統11のガス流量を減少させ、第2系統12のガス流量を増加させて、両系統のガス流量がより均等になるよう調節できる。これにより、第1EPと第2EPとの負荷に偏りを出さずに操業ができる。
【0024】
図2では、傾斜板7の一例を示す。傾斜板7は、板本体7aの一端側(図の左端側)でヒンジ等により接続されて、ダクトの下面に取り付けられる。傾斜板7は、板本体7aの他端側(図の右端側)でサポート部材7bにより支持され、傾斜を形成する。サポート部材7bは、上端部にて板本体7aの裏側を支持するとともに、下端部にてサポート受け部材7cに接続される。サポート受け部材7cは、ガス流れ方向の複数の位置で、サポート部材7bを固定可能とする。
図2の例における板本体7aの傾斜角度は、サポート受け部材7cにおけるサポート部材7bの固定位置に応じて可変である。このように傾斜角度を可変とすることにより、異なる配管設備に応じて、或いは同一の配管設備であってもガス流量の変化に応じて、分岐部後段での各系統におけるガス流量を調節可能となる。尚、傾斜角度とは、
図2のように傾斜板7を側面より見た際に、板本体7aとダクトの下面との間になされる角度θをいう。
【0025】
尚、傾斜板7の他の一例として、所定の傾斜面を備えた三角柱形の部材を用いることもできる。
【0026】
傾斜板7の材質は、高粉塵、高温のガス環境下で十分な耐久性を有する素材であればよく、特に制限されない。
【0027】
図1にて、傾斜板7は、設備の定修時等にダクトの側面に設けられたマンホール8からダクト内へ搬入及び設置できる。また、傾斜板7自体も従来公知の板部材を加工して容易に成形できる。よって本発明では、流量調整弁の開閉操作を行うことなく、簡便かつ低コストで配管のガス流量調節ができる。
【0028】
本発明は、
図3のように配管がT字状に分岐する例にも適用できる。当該例では、図面の左から右へ向かって直管部1を流れるガスは、第1系統11ではそのまま直進するのに対し、第2系統12では90°上側に方向を変える。
図3の例では、第1系統11の配管と第2系統12の配管との接続部のうち、第1の方向(直管部1のガス流れ方向に対応する。)の入側に位置する部分を分岐開始部6a、第1の方向の出側に位置する部分を分岐終了部6bとする。
【0029】
図3の例では、バルブ等の流量調整弁を用いて流量調節をしないと、第1系統11のガス流量は多く、第2系統12のガス流量は少ないといったガス流量の偏りが生じる。本発明では、傾斜板7を分岐終了部6bの手前に設置することで、第1系統11のガス流量がより多くなるように、ガスの流れを誘導できる。具体的には、第2系統12のガス流れ方向(
図3では上方向)に向けて高くなるように設置した傾斜板7をガスが通過する過程で、上向きの乱流が発生し、これにより第2系統12へ流入するガス流量を増大させることができる。
【0030】
図1及び
図3の例では、第2系統12のガス流れが第1の方向(水平方向)から上方向に変化する例を示したが、この例に限定されるものではない。第2系統12におけるガス流れ方向は、第1の方向から見て上下左右のいずれの方向に変化してもよい。尚、この際に、第2系統のガス流れ方向は厳密に上下左右のいずれかの方向と一致していなくてもよく、第1の方向成分よりも上下左右のいずれかの成分の方が大きい方向は、上下左右のいずれかの方向とみなすことができる。
【0031】
図4では、第2系統12におけるガス流れ方向が、第1の方向から見て左方向に変わる例を説明する。直管部1は、その後段においてそのままガスが直進する第1系統11、及び直管部1のガス流れ方向から見て左方向にガスの向きが変わる第2系統12と連通する。当該配管設備をそのまま操業していると、第1系統11にはガスが流れやすく、第2系統12にはガスが流れにくい。
【0032】
本発明では、分岐終了部6bの前段に傾斜板17を設ける。傾斜板17は、第2系統におけるガス流れ方向(第1の方向から見て左方向)に向かって傾斜する。より具体的には、ガス流れ方向(
図4では左側)に向かって高くなるような傾斜が形成される。これにより、傾斜のより高い方向に向かってガスの乱流が発生し、第2系統12へとガスが誘導される。尚、図示していないものの、
図4とは逆に第1の方向から右方向に向かって第2系統12が形成される場合には、
図4とは傾斜方向を逆にした傾斜板17を設置すればよい。
【0033】
また
図5のように、第2系統12を下側に向けて形成することもできる。この場合、傾斜板7は第2系統12に向かって下向きの傾斜を形成する。これにより、分岐部6の前段で下向きの乱流が形成され、第2系統12へとガスが誘導される。
【0034】
尚、図示は省略しているものの、本発明は第2系統が鋭角又は鈍角に分岐する例や、2つの系統が同程度の角度で分岐するY字状の分岐部にも適用できる。
【0035】
上述の説明では、いずれも第1系統のガス流れ方向が第1の方向と同じであって、第2系統のガス流れ方向がそれ以外の方向である例について説明した。但し、分岐部がY字状である場合には、2つの系統が互いに異なるガス流れを形成するものの、同程度の角度をもって直管部から分岐する。この場合、いずれの系統にも同程度のガスが流入しうるが、いずれかの系統のガス流量を増大又は減少させたい場合、上記と同様に分岐終了部の前段に傾斜板を設ける。この場合、傾斜板によってガス流れを誘導する方の系統を第2系統とする。
【0036】
分岐後のガス流量を調節する際には、傾斜板7の設置位置、傾斜板7の傾斜角度、及び傾斜板7の設置範囲の少なくともいずれかを調節することが有効である。以下、
図1の例を用いて具体的に説明する。
【0037】
まず傾斜板7は、分岐終了部6bの前段に設けられる。具体的には、傾斜板7のうち最もガス流れ方向出側に位置する箇所(
図1の例では傾斜板7の最高点に対応する箇所)が、ガス流れ方向において分岐終了部6よりも手前となるように、傾斜板7が設置される。
【0038】
傾斜板7の設置位置は、分岐終了部6bに近ければ近いほど第2系統12のガス流量を多くすることができ、分岐終了部6bから遠ければ遠いほど第2系統12のガス流量を小さくすることができる。但し、第2系統12へガス流れを誘導するためには、傾斜板7によって発生した乱流が分岐終了部6bに至るまでに解消しない範囲に、傾斜板7を設置することが好ましい。より具体的には、傾斜板7を通過した後に、ダクト断面においてガスの流速分布は不均一となるが、当該不均一性が分岐終了部6bに至るまでに解消しない範囲に、傾斜板7を設置することが好ましい。当該乱流の発生及び解消は、ダクトの断面積やガス流量等の各種条件によって変動しうるが、一例として、傾斜板7から分岐終了部6bまでの距離は、ダクト径の8倍以下とすることが好ましい。当該範囲は、例えば差圧式流量計の下流側の必要直管部の長さとして広く用いられているもので、確実に分岐終了部6b近傍で乱流を発生させることができる。尚、傾斜板7から分岐終了部6bまでの距離は、ダクト径の4倍以下がさらに好ましく、1倍以下とすることがさらに好ましい。尚、角形ダクトを用いる場合、ダクト径の大きさは長辺長さ(内寸)の長さを採用すればよい。その他の形状のダクトの場合は、円相当径を採用すればよい。また、分岐終了部6bと傾斜板7との距離は、傾斜板7のうち最もガス流れ方向出側に位置する箇所と分岐終了部6bとの間のガス流れ方向における長さを採用できる。
【0039】
また、本発明では傾斜板7の傾斜角度を調節することによっても、ガス流量を調整できる。具体的には、傾斜角度を大きくすると第2系統12へ流入するガス量を増やし、傾斜角度を小さくすると第1系統11へ流入するガス量を増やすことができる。傾斜角度は、傾斜板7の長さ等によっても影響されるが、一例としては15°~30°の範囲とすることができる。
【0040】
さらに、本発明では傾斜板7の設置範囲を調節することによっても、ガス流量の調整が可能である。具体的に、
図3や
図5のように第2系統12の鉛直成分が水平成分よりも大きい場合は、傾斜板7の幅方向設置範囲を調節することが有効である。尚、幅方向とは水平面上においてガス流れ方向(第1の方向)とは垂直の方向をいう。幅方向の設置範囲を広げるほど第2系統12へのガス流入量を増やし、設置範囲を狭めるほど第2系統12へのガス流入量を減らすことができる。尚、一例ではあるが、設置範囲は角形ダクトの横辺(内寸)の1/4~1/2とすることが望ましい。当該設置範囲は、板本体7aの幅方向の合計長さを、ダクトの横辺長さにより除算することで算出される。傾斜板を設置する幅方向位置は、中央部でもよいし、端部でもよいが、下流での配管の分岐方向等を考慮して最もガス流量が大きい位置を選んで設置することが望ましい。
【0041】
図4のように、第2系統12が左右方向に分岐する際には、傾斜板7のガス流れ方向における設置範囲を上記と同様に調節することが好ましい。
【0042】
尚、傾斜板7の設置範囲を調節する際は、1つの傾斜板7の大きさを調節してもよいし、複数の傾斜板7を設けることとして設置する傾斜板の数を調節してもよい。
図1の例でマンホール8から傾斜板を出し入れする作業性を考えると、複数の傾斜板を分割して設けることが好ましく、作業効率を鑑みると2個の傾斜板に分割することがさらに好ましい。
【0043】
その他、1つ又は複数の傾斜板7を幅方向及びガス流れ方向にそれぞれ組み合わせて設置することとし、その数を適宜調節することにより、分岐後の各系統のガス流量を調節することもできる。
【0044】
尚、前述したように傾斜板7は定修時等に設置され、設備の稼働中には傾斜板7の位置や数等を調節することはできない。そこで、設備稼働中の流量調整を行うことを目的として、傾斜板7の角度を遠隔で調節可能とすることが好ましい。具体的には、サポート部材7bとサポート受け部材7cとの接続部を電動で変位及び固定可能とし、作業者が系外からコントローラ等で傾斜角の変更を行えるようにすればよい。これにより、設備の稼働中にガス流量を調整する必要が生じた場合であっても、設備を停止することなく、リアルタイムで配管の流量調整が可能となる。
【0045】
尚、3つ以上の系統に分かれるダクト設備であっても、2か所以上の位置に傾斜板を設けることにより、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 直管部
3 垂直部
4 仕切り板
5 内壁
6 分岐部
6a 分岐開始部
6b 分岐終了部
7 傾斜板
7a 板本体
7b サポート部材
7c サポート受け部材
8 マンホール
11 第1系統
12 第2系統